説明

建設補助具

【課題】建築部分または加工材への当接を誤作動なく検出できる上述のような建設補助具を得る。
【解決手段】固定素子30のための、ベース11から突出するガイド部分12を備える建設補助具であって、このガイド部分12は、固定素子30のための貫通開口13および支承部14備え、貫通開口13は固定軸線Aを画定する該建設補助具において、ベース11に、摺動可能に案内した感知素子20を設け、この感知素子には、貫通開口13から半径方向に離間し、固定軸線Aに沿って摺動可能な、打込み装置の押圧センサ42ための少なくとも1個の制御面21を設け、感知素子20は、初期状態では、ベース11のガイド部分12側とは反対側の底面から突出する構成とする。建築部分または加工材への当接の際に感知素子20が底面から引っ込むことにより、当接を感知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1前段に記載のような建設補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような建設補助具は、例えば型枠ストッパ、ケーブル固定具、管ホルダ、管止め具、またはアングル素子として構成される。これらは、打込み装置により打込み可能な、釘やピンなどの固定素子などによって、建設部分または加工材に固定することができる。このような建設補助具は、部分的に保持部分を有し、この保持部分は、打込み装置(鋲打ち機)の砲口に差し込むことができる。
【0003】
特許文献1(米国特許第2961210号)に記載の、管クランプとして構成した建設補助具は、釘として構成した固定素子のための、支承部を持つスリーブ状のガイド部分を備える。スリーブ状のガイド部分は、建設補助具のベースから突出し、管のための湾曲した保持ハンガーに隣接して設ける。スリーブ状のガイド部分は、打込み作業前に打込み装置の砲口の開口に差し込むことができる。
【0004】
この従来技術の欠点は、建設補助具を打込み装置の砲口に差し込むと、打込み装置のトリガ安全解除するための押圧機構が、建設補助具を装置ハウジングに手動で押し付けることで簡単に模擬動作し、これにより、打込み装置が簡単に動作してしまう点である。
【0005】
特許文献2(欧州特許第0855467号)に記載の、格子ホルダとして構成した建設補助具は、建設部分または加工材に支持するためのベースを備える。このベースから、釘などの固定素子のための支承部を持つ、先端の丸い円錐形状のガイド部分を突出させ、このベースの側方に、格子ホルダ部分を設ける。
【0006】
この従来技術の欠点も、建設補助具を打込み装置の砲口に差し込むと、打込み装置のトリガ安全解除するための押圧機構が、建設補助具を装置ハウジングに手動で押し付けることで簡単に模擬動作し、したがって、打込み装置が簡単に動作してしまう点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2961210号明細書
【特許文献2】欧州特許第0855467号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の課題は、建築部分または加工材への当接を検出できる上述のような建設補助具を得ることにある。この課題は、請求項1に記載する特徴により解決される。
【0009】
本発明によれば、ベースに、摺動可能に案内した感知素子を設け、この感知素子には、貫通開口から半径方向に離間し、固定軸線に沿って摺動可能な、打込み装置の押圧センサのための少なくとも1個の制御面を設け、感知素子は初期状態において、ベースのガイド部分とは反対側の底面から突出する構成とする。ベースにある、移動可能または摺動可能に案内した感知素子によって、ベースが建設部分または加工材に当接したことを検出し、打込み装置の押圧センサに伝達することができる。
【0010】
好適には、感知素子を細長のピンとして構成し、ガイド部分から半径方向に離間して別個のガイド内に設け、そのピンの端部に制御面を設ける。この構成により、技術的に低コスト、かつ僅かな付加的コストのみを必要とする構成となる。
【0011】
さらに好適には、検出素子を紛失防止可能にガイド内に保持する。さらに感知素子は、例えばその双方の端部を太くして、その横断面をガイドの内径よりも大きいものとすることもできる。
【0012】
好適には、感知素子を、固定素子のための収容空間を備える細長の中空ピンとして構成し、感知素子のためのガイドを固定軸線に同心状に設ける。この構成により、ガイドと固定素子のための貫通開口とは兼用でき、ベースに別個のガイドを設ける必要がない。しかも、押圧力が軸線の周りに対称的に分布するため、均等な押圧力伝達が可能となる。
【0013】
また、感知素子に少なくとも1個の側方に突出する張り出し部を設け、この張り出し部に制御面を設けると好適である。この構成により、制御面は、感知素子を固定軸線に同心状に設けても、感知素子または貫通開口とは半径方向にずらして配置されるので、打込み装置の押圧センサを作動させることができる。
【0014】
好適には、複数の張り出し部を、等角度間隔に感知素子の側方から突出させる。この構成により、建設補助具を多少傾けて打込み装置の砲口部に差し込んだ場合にも、打込み装置の押圧センサを確実に作動させることができる。
以下図面につき、本発明の実施形態を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ケーブル固定具として構成した本発明建築補助具の一実施形態における斜視図である。
【図2】図1に示す建設補助具の平面図である。
【図3】図1に示す建設補助具を打込み装置の砲口に差し込んだ状態の縦断面図である。
【図4】図1に示す建設補助具を打込み装置の砲口に差し込み、加工材に押し当てた状態の縦断面図である。
【図5】ケーブル固定具として構成した本発明建設補助具の他の実施形態における打込み装置の砲口に差し込んだ状態の縦断面図である。
【図6】図5に示す建設補助具を打込み装置の砲口に差し込み、加工材に押し当てた状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜4に示すのは、ケーブル固定具もしくはケーブル結束具として構成した本発明建設補助具10の一実施形態である。建設補助具10はベース11を備え、このベース11の側方には、ケーブルを固定するために、図示しないケーブルバンドのためのバンドガイド17を設ける。ベース11から突出するスリーブ状のガイド部分12は、支承部14が周囲を取囲む、固定素子30のための貫通開口13を備える。ガイド部分12は制御輪郭15を有する。図3および4に示すように、この制御輪郭15の存在によって、建設補助具10を砲口部40に対して第1矢印51の方向に差し込むとき(図3参照)、打込み装置(鋲打ち装置)の砲口部40の第1押圧センサ41は第2矢印52の方向に作動可能である。打込み装置の第1押圧センサ41が作動することで、打込み装置の制御電子回路がプレ打込み準備状態に移行する。
【0017】
ガイド部分12内には、細長の中空ピンとして構成した感知素子20のためのガイド16を設ける。この感知素子20は、軸線方向に延在する収容空間23を備え、この収容空間23内に固定素子30を差し込み、摩擦により保持する。感知素子20は、中心のピン本体から周方向に等間隔に配列して半径方向に突出する3個の張り出し部22を有する。張り出し部22の、砲口部40に挿入方向側には制御面21を設ける。図4に示すように、この制御面21により、打込み装置の砲口部40の第2押圧センサ42が作動可能となる。打込み装置を、その砲口部40に建設補助具10を差し込んだ状態で加工材Wに押し付けると、感知素子20は、その図3に示される初期状態から第3矢印53の方向に、砲口部40に対して摺動する。このとき、張り出し部22における制御面21は、図4に示すように、第2押圧センサ42を第4矢印54の方向に、砲口部40内に移動させる。このように第2押圧センサ42が作動することで、打込み装置の制御電子回路は、打込み準備状態に移行し、打込み装置の作動スイッチもしくはトリガスイッチが作動するだけで打込み作業が開始される状態となる。
【0018】
図5および6に示す建設補助具10は、図1〜4に示す建設補助具とは、ピンとして構成された感知素子20の、砲口部40に差し込む方向のピン端部に制御面21を設けた点で異なる。さらに、感知素子20のためのガイド16は、ガイド部分12から半径方向に離間して設ける。このガイド16は固定軸線Aに平行ではあるが、同軸状ではない。
【0019】
建設補助具10を第1矢印51の方向に、打込み装置の砲口部40に差し込むと、ガイド部分12の制御輪郭15によって、図5に示すように、砲口部40における第1押圧センサ41は第2矢印52の方向に動かされ、作動する。打込み装置の第1押圧センサ41が作動することで、打込み装置の制御電子回路は、プレ打込み可能状態に移行する。
【0020】
図6に示すように、打込み装置を、砲口部40に建設補助具10を差し込んだ状態で加工材Wに押し付けると、感知素子20は、図5に示すその初期状態から、第3矢印53の方向に砲口部40に対して摺動する。このとき、張り出し部22における制御面21は第2押圧センサ42を第4矢印54の方向に砲口部40内に移動させる。このように第2押圧センサ42が作動することで、打込み装置の制御電子回路は打込み可能状態に移行し、打込み装置の作動スイッチもしくはトリガスイッチを作動するだけで打込み作業が開始される状態となる。
【0021】
建設補助具10は、型枠ストッパ、スペーサ、鉄筋ホルダ、管止め具、保持素子、アングル素子、天井ハンガー等のいずれとして構成することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 建設補助具
11 ベース
12 ガイド部分
13 貫通開口
14 支承部
15 制御輪郭
16 ガイド
17 バンドガイド
20 感知素子
21 制御面
22 張り出し部
40 砲口部
41 第1押圧センサ
42 第2押圧センサ
51 第1矢印
52 第2矢印
53 第3矢印
54 第4矢印
A 固定軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定素子(30)のための、ベース(11)から突出するガイド部分(12)を備える建設補助具であって、このガイド部分(12)は、前記固定素子(30)のための貫通開口(13)および支承部(14)を備え、前記貫通開口(13)は固定軸線(A)を画定する該建設補助具において、
前記ベース(11)に、摺動可能に案内した感知素子(20)を設け、この感知素子には、前記貫通開口(13)から半径方向に離間し、前記固定軸線(A)に沿って摺動可能な、打込み装置の押圧センサ(42)ための少なくとも1個の制御面(21)を設け、
前記感知素子(20)は、初期状態では、前記ベース(11)のガイド部分(12)側とは反対側の底面から突出する構成とした、建設補助具。
【請求項2】
請求項1記載の建設補助具において、前記感知素子(20)を細長のピンとして構成し、前記ガイド部分(12)から半径方向に離間して別個のガイド(16)内に設け、前記ピンの端部に制御面(21)を設けた、建設補助具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の建設補助具において、前記感知素子(20)を、紛失防止可能に前記ガイド(16)内に保持した、建設補助具。
【請求項4】
請求項1または3に記載の建設補助具において、前記感知素子(20)を、前記固定素子(30)のための収容空間(23)を備える細長の中空ピンとして構成し、前記感知素子(20)のための前記ガイド(16)を前記固定軸線(A)に同心状に設けた、建設補助具。
【請求項5】
請求項1,3,4のうちいずれか一項に記載の建設補助具において、前記感知素子(20)に、少なくとも1個の側方に突出する張り出し部(22)を設け、この張り出し部(22)に前記制御面(21)を設けた建設補助具。
【請求項6】
請求項1または3〜5のうちいずれか一項に記載の建設補助具において、複数の張り出し部(22)を、等角度間隔に、感知素子(20)の側方から突出させた建設補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−13928(P2010−13928A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155817(P2009−155817)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(591010170)ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト (339)
【Fターム(参考)】