説明

弁当用惣菜容器及び弁当用容器

【課題】弁当用惣菜容器内に液汁が出る惣菜を収容して包装して運ぶ際に、惣菜からの液汁により惣菜の風味が損なわれるのを防止する。惣菜収容部に収容された惣菜が液汁により本来の味が薄められたり、新鮮さや見栄えが損なわれたりするのを防止する。弁当用容器内の惣菜収容部に収容された惣菜から出る液汁が仕切壁を越えて主食のご飯や他の惣菜に付着して食材の風味が損なわれるのを防止する。
【解決手段】惣菜収容部9内に収容された惣菜容器13を回動して底面の排出孔19を液汁収容凹所17に一致させて排出孔19を開放して惣菜容器13内の液汁を液汁収容凹所17内へ排出可能にする一方、惣菜容器13を回動して底面の排出孔19を支持突所15に一致させて排出孔19を閉鎖する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液汁や水分(以下、これらを総称して液汁と称する。)が出やすい野菜サラダ、野菜炒めや煮物等の惣菜を包装して販売するのに適した弁当用惣菜容器及び弁当用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食生活の変化により、弁当専門店、スーパー及びコンビニエンス・ストア等で様々な弁当が販売されるようになってきている。この弁当を包装して販売する際に使用する弁当用容器も、販売する弁当の種類や、その使い方によって種々の工夫がなされるようになってきている。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数個の容器本体を重箱状に上下に重ねて配置し、その上部に蓋体を設けた包装用容器で、上側の容器本体を上記蓋体で覆い、その蓋体の周縁フランジ部を下側の容器本体の周縁フランジ部に嵌合保持させるように構成した多段重ねの容器で、蓋及び容器をそれぞれ外周で嵌合保持することで、密閉性を改良した包装容器が記載されている。
【0004】
該包装容器は、弁当に使われる様々な食材及びその量に対応するための各種工夫が施されているが、該弁当用容器内に液汁が出やすい野菜サラダ、野菜炒めや各種の煮物等の惣菜を収容して包装した際には、以下の問題が発生している。
【0005】
従来の弁当用容器内に液汁が多い惣菜を収容して包装すると、消費者(購入者)がその弁当を運ぶ際に、惣菜からの液汁が弁当用容器の仕切壁を越えて主食のご飯や他の惣菜に付着し、食材の風味が損なわれる問題を有している。また、上記した従来の弁当容器は、蓋と容器の密閉性に優れているものの、完全密閉することができない構造であるため、持ち運び時に惣菜からの液汁が容器外へ滲み出て他の弁当容器や包装袋等に付着したりし易く、包装袋から弁当用容器を取り出す際に液汁が手に付着したりして衛生上、問題があった。
【0006】
上記した問題点を解決するため、特許文献2に示す弁当容器が提案されている。該弁当容器は、合成樹脂製の容器本体及び蓋体で構成され、該容器本体が内部に仕切壁により区切られた複数の食品収納部を有し、少なくとも1つの特定の食品収納部の内側上部に、蓋体に形成された容器本体の食品収納部に内接するように形成された突起部が内嵌合する構造になっている。
【0007】
しかし、上記の弁当容器にあっては、食品収容部に収容された惣菜から出る液汁が他の食材へ付着するのを防止することができるが、食品収容部に収容された惣菜に液汁が付着したままの状態に保たれるため、液汁により惣菜の味付けが薄くなったり、惣菜に対する液汁の付着時間が長くなると、惣菜がふやけて調理時の形態を保つことができず、見栄えが悪くなる問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−245054号公報
【特許文献2】特開2006−36284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする問題点は、従来の弁当用容器内に液汁が出る惣菜を収容して包装すると、その弁当を運ぶ際に、惣菜からの液汁が弁当用容器の仕切壁を越えて主食のご飯や他の惣菜に付着して食材の風味が損なう点にある。また、惣菜収容部に惣菜を密閉する従来の弁当用惣菜容器にあっては、収容された惣菜に液汁が付着したままになり、液汁により惣菜の本来の味が薄められたり、新鮮さや見栄えが損なわれる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1は、合成樹脂シートから熱成形された容器本体及び蓋からな弁当用惣菜容器において、上記容器本体の惣菜収容部の底面には、中心部に向かって下降傾斜した支持突所及び液汁収容凹所を周方向へ等間隔で、かつ交互に設けると共に惣菜収容部内に回動可能に収容される惣菜容器の底面は、少なくとも支持突所の上面に一致する傾斜面に形成すると共に液汁収容凹所に対応する中心側に排出孔を形成したことを最も主要な特徴とする。
【0011】
また、請求項4は、合成樹脂シートから熱成形された容器本体及び蓋からなり、上記容器本体の惣菜収容部の底面には、中心部に向かって下降傾斜した支持突所及び液汁収容凹所を周方向へ等間隔で、かつ交互に設けると共に惣菜収容部内に回動可能に収容される惣菜容器の底面は、少なくとも支持突所の上面に一致する傾斜面に形成すると共に液汁収容凹所に対応する中心側に排出孔を形成してなり、かつ容器本体には、合成樹脂シートを熱成形して惣菜収容部に、底面が平面状で、主食となる食材を収容する食材収容部を一体成形したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、弁当用惣菜容器内に液汁が出る惣菜を収容して包装して運ぶ際に、惣菜からの液汁により惣菜の風味が損なわれるのを防止することができる。また、惣菜収容部に収容された惣菜が液汁により本来の味が薄められたり、新鮮さや見栄えが損なわれたりするのを防止することができる。更に、弁当用容器内の惣菜収容部に収容された惣菜から出る液汁が仕切壁を越えて主食のご飯や他の惣菜に付着して食材の風味が損なわれるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の係る弁当用惣菜容器を備えた弁当用容器の概略を示す斜視説明図である。
【図2】惣菜収容部の分解斜視図である。
【図3】図1のA−A線に応じた縦断面図である。
【図4】惣菜収容部における惣菜容器の変更例を示す説明図である。
【図5】液汁の排出状態を示す説明図である。
【図6】液抜き孔の閉鎖状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
惣菜収容部内に収容された惣菜容器を回動して底面の排出孔を液汁収容凹所に一致させて排出孔を開放して惣菜容器内の液汁を液汁収容凹所内へ排出可能にする一方、惣菜容器を回動して底面の排出孔を支持突所に一致させて排出孔を閉鎖することを最良の実施形態とする。
【実施例1】
【0015】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図3に示すように、弁当用容器1は、容器本体3と該容器本体3の上面開口を覆う蓋5から構成され、これら容器本体3及び蓋5は、例えばポリエチレン(PE)等の合成樹脂シートを加熱成形して立体形状に形成される。なお、図1は容器本体3と蓋5を別体としたが、容器本体3の長側縁に蓋5を折返しできるように一体成形した構成であってもよい。
【0016】
上記容器本体3は、食材収容部7及び惣菜収容部9が中央部のリブ11により区画されて設けられている。食材収容部7は、底面が平面状で、例えばご飯やパスタ等の主食となる食材が、また惣菜収容部9は、野菜炒め、野菜サラダ、煮物等の惣菜が収容される惣菜容器13がそれぞれ収容される。
【0017】
上記惣菜収容部9の底面には、平面から見て4分割の対角位置にそれぞれ配置され、上面が所要の高さで中心部に向かって傾斜した湾曲面の支持突所15及び該支持突所15間の対角位置にそれぞれ配置される液汁収容凹所17が形成される。
【0018】
上記惣菜容器13は、惣菜収容部9の側壁に対して若干の隙間を有して収容される大きさの有底円筒形状で、容器本体3及び蓋5と同種の合成樹脂により加熱成形される。該惣菜容器13は、底面が上記支持突所15の湾曲面に相対して密着するように中心部に向かって湾曲傾斜面に形成され、各液汁収容凹所17に相対する底面中心側には、複数個の排出孔19が形成される。
【0019】
また、惣菜容器13の上部外周には、惣菜収容部9における直交する側壁内面にそれぞれ当接する突部21が一体形成され、惣菜容器13の回動操作により該突部21が一方の側壁内面に当接して回り止めされた際には、上記各排出孔19がそれぞれの液汁収容凹所17へ連通されると共に他方の側壁内面に当接して回り止めされた際には、上記各排出孔19がそれぞれの支持突所15の上面に密着して閉鎖される。
【0020】
なお、上記説明は、惣菜容器13の回動操作により突部21がそれぞれの側壁内面に当接して回り止めされる構成としたが、図4に示すようにそれぞれの側壁内面に上記突部21がそれぞれ当接して惣菜容器13を回り止めするストッパ23をそれぞれ一体形成した構成であってもよい。また、上記容器本体3は、主食になる食材を収容する第1食材収容部7及び惣菜収容部9を一体成形したものを示すが、それぞれを別体に成形したものであってもよい。
【0021】
次に、上記した構造の弁当用容器1の使用例を説明する。
先ず、容器本体3の食材収容部7及び惣菜収容部9内にそれぞれの食材を収容して包装した際の作用を説明すると、食材収容部7内に主食となる食材(図示せず)を、また惣菜収容部9の惣菜容器13内に、例えば野菜サラダ、野菜炒め、煮物等の水分や液汁を多く含む惣菜25を収容した後に蓋5を被せて包装した後、商品台に並べたり、輸送したりする。このとき、突部21が惣菜収容部9における一方の側壁内面に当接するように惣菜容器13を回動して排出孔19を液汁収容凹所17に位置させる。
【0022】
惣菜収容部9内に収容された惣菜25からは、時間の経過に伴って液汁や水分が出てくるが、惣菜25からの液汁は、上記排出孔19から液汁収容凹所17内に排出されて溜められる。このとき、惣菜容器13の底面が中心部に向かって傾斜する傾斜湾曲面に形成されているため、液汁を中心部に集めて排出孔19から排出させる。(図5参照)
【0023】
これにより惣菜収容部9内に収容された惣菜25は、液汁により味付けが薄められたり、液汁に漬かったままになって外観が悪くなったり、鮮度が悪くなることが防止される。
【0024】
食材収容部7及び惣菜収容部9内の食材や惣菜25を食べる際に、惣菜収容部9内の惣菜25に、例えば醤油やソース、ドレッシング等の調味液をかける場合がある。この場合にあっては、惣菜容器13を、突部21が惣菜収容部9における他方の側壁内面に当接するように回動してから惣菜25に調味液をかける。
【0025】
このとき、図6に示すように液汁収容凹所17に連通していた排出孔19が支持突所15に位置して閉鎖される。これにより惣菜容器13内から調味液が流出するのを回避して溜めることができ、溜められた調味液により惣菜25を好みの味に味付けすることができる。
【0026】
なお、弁当用容器1の容器本体3と蓋5及び惣菜容器13が同一の合成樹脂からなるため、使用後においては、一緒に廃棄し、必要に応じて資源として再利用する際に、分別の手間を省くことができる。
【0027】
本実施例は、弁当用容器1の陳列時や輸送時には、惣菜収容部9内の惣菜容器13を回動して排出孔19を液汁収容凹所17に位置させて開放し、惣菜25からの液汁を液汁収容凹所17内へ排出可能にすることにより液汁により惣菜25の味付けが薄められたり、液汁に漬かったままになって外観が悪くなったり、鮮度が悪くなるのを防止することができる。一方、惣菜容器13内の惣菜25に調味液をかけて食べる際には、惣菜容器13を回動して排出孔19を支持突所15に位置させて閉鎖し、惣菜25にかけられた調味液を溜めて所望の味に味付けすることができる。
【0028】
また、弁当用容器1の容器本体3と蓋5及び惣菜容器13を同一の合成樹脂とすることにより、使用後においては、一緒に廃棄し、必要に応じて資源として再利用する際に、分別の手間を省くことができる。
【0029】
上記説明は、支持突所15の上面及び惣菜容器13の底面を傾斜湾曲面としたが、支持突所15の上面を傾斜面に形成すると共に惣菜容器13の底面を支持突所15の上面に一致する傾斜面に形成した多角錐面であってもよいことは、勿論である。この場合に、液汁収容凹所17に対応する惣菜容器13の底面の傾斜面中心側に排出孔19を設ける構成とする。
【符号の説明】
【0030】
1 弁当用容器
3 容器本体
5 蓋
7 食材収容部
9 惣菜収容部
11 リブ
13 惣菜容器
15 支持突所
17 液汁収容凹所
19 排出孔
21 突部
23 ストッパ
25 惣菜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂シートから熱成形された容器本体及び蓋からな弁当用惣菜容器において、
上記容器本体の惣菜収容部の底面には、中心部に向かって下降傾斜した支持突所及び液汁収容凹所を周方向へ等間隔で、かつ交互に設けると共に、
惣菜収容部内に回動可能に収容される惣菜容器の底面は、少なくとも支持突所の上面に一致する傾斜面に形成すると共に液汁収容凹所に対応する中心側に排出孔を形成したことを特徴とする弁当用惣菜容器。
【請求項2】
請求項1において、上記惣菜収容部の支持突所上面は、傾斜湾曲面及び傾斜平面のいずれかとすると共に排出孔が形成された惣菜容器の底面は、上記支持突所の上面に一致する形状とした弁当用惣菜容器。
【請求項3】
請求項1において、上記惣菜容器の外周には、惣菜収容部の各側壁内面に当接可能な突部を設け、惣菜収容部内における惣菜容器の回動により突部が一方の側壁内面に当接した際には、惣菜容器の排出孔を液汁収容凹所に一致させて開放可能にすると共に突部が他方の側壁内面に当接した際には、惣菜容器の排出孔を支持突所の上面に一致させて閉鎖可能にした弁当用惣菜容器。
【請求項4】
合成樹脂シートから熱成形された容器本体及び蓋からなり、
上記容器本体の惣菜収容部の底面には、中心部に向かって下降傾斜した支持突所及び液汁収容凹所を周方向へ等間隔で、かつ交互に設けると共に惣菜収容部内に回動可能に収容される惣菜容器の底面は、少なくとも支持突所の上面に一致する傾斜面に形成すると共に液汁収容凹所に対応する中心側に排出孔を形成してなり、かつ容器本体には、合成樹脂シートを熱成形して惣菜収容部に、底面が平面状で、主食となる食材を収容する食材収容部を一体成形した弁当用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−166818(P2012−166818A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28901(P2011−28901)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(310012638)
【Fターム(参考)】