説明

弁当盛り付け用コンベア装置

【課題】搬送停止中に盛り付け材料の盛り付けができて、盛り付け作業を容易にするとともに、弁当の種類毎に適格な弁当容器の搬送がなされる弁当盛り付け用コンベア装置の提供。
【解決手段】弁当容器を搬送するベルトコンベアと、該ベルトコンベアを駆動する3相モータからなる駆動モータと、該駆動モータとベルトコンベア回転軸との間に介在させた電動のクラッチと、前記3相モータの駆動と電動クラッチの断続動作をコントロールする制御装置とを備え、前記制御装置には、シーケンサーとインバータとを備え、該シーケンサーによって前記クラッチの断続と駆動モータのインバータを介した回転速度とを制御させることにより、前記ベルトコンベアの所定速度での所定時間の動作と、所定時間の一時停止とを繰り返し動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁当容器を間欠的に搬送させつつ惣菜等の盛り付け材料を順次盛り付けるための弁当盛り付け用コンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、量産される市販の弁当の盛り付けには、弁当容器を自動的に搬送するベルトコンベアが使用され(例えば特許文献1)、コンベアによる搬送途中に所望の間隔を置いて、盛り付け作業位置を定めておき、その各盛り付け作業位置を通過する弁当容器内に、各盛り付け作業位置に割り振られた盛り付け材料を盛り付ける方法が採られている。
【0003】
この弁当容器の盛り付けは、ロボットによるものもあるが、加熱調理された惣菜類の盛り付けは、殆どが人手によって行われており、弁当の種類に応じて盛り付け材料が変わり、各盛り付け作業位置の作業者は、弁当の種類に応じて担当する盛り付け材料を弁当容器の通過中に手作業で盛り付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−236628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような手作業による弁当盛り付けのためのコンベアは、従来その送り速度の調整が可能なものもあるが、コンベアによる弁当容器の通過中にそれぞれが分担している盛り付け材料を盛り付けるものであるため、盛り付けを担当する材料の違いによって、盛り付け時間が異なることとなり、最も時間のかかる盛り付け材料に合わせてコンベア速度を、弁当の種類毎に手動で調整することも可能であるが、種類が変わる度に手動での調整には手間がかかり、また正確度も一定せず、作業効率にばらつきが発生するという問題がある。
【0006】
また、弁当容器の移動中に盛り付けする作業は、盛り付け材料によっては困難な場合が発生し、このためコンベアの搬送速度を極端におそくする必要が生じ、作業効率を悪くするという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題に鑑み、搬送停止中に盛り付け材料の盛り付けができて、盛り付け作業を容易にするとともに、弁当の種類毎に適格な弁当容器の搬送がなされる弁当盛り付け用コンベア装置の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、弁当容器を搬送するベルトコンベアと、該ベルトコンベアを駆動する3相モータからなる駆動モータと、該駆動モータとベルトコンベア回転軸との間に介在させた電動のクラッチと、前記3相モータの駆動と電動クラッチの断続動作をコントロールする制御装置とを備え、前記制御装置には、シーケンサーとインバータとを備え、該シーケンサーによって前記クラッチの断続と駆動モータのインバータを介した回転速度とを制御させることにより、前記ベルトコンベアの所定速度での所定時間の動作と、所定時間の一時停止とを繰り返し行わせるようにしてなる弁当盛り付け用コンベア装置にある。
【0009】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記ベルトコンベアに電動のブレーキを備え、前記制御装置によってクラッチの切り動作時に前記ブレーキによるコンベア停止操作がなされるようにしたことにある。
【0010】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の何れか1の請求項の構成に加え、前記制御装置には、前記シーケンサーによる制御パターンを弁当の種類に合わせて複数種類記憶させるメモリを備え、該メモリに記録された何れか1の制御パターンを選択してベルとコンベアをコントロールさせるようにしたことにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る弁当盛り付け用コンベア装置においては、弁当容器を搬送するベルトコンベアと、該ベルトコンベアを駆動する3相モータからなる駆動モータと、該駆動モータとベルトコンベア回転軸との間に介在させた電動のクラッチと、前記3相モータの駆動と電動クラッチの断続動作をコントロールする制御装置とを備え、前記制御装置には、シーケンサーとインバータとを備え、該シーケンサーによって前記クラッチの断続と駆動モータのインバータを介した回転速度とを制御させることにより、前記ベルトコンベアの所定速度での所定時間の動作と所定時間の一時停止とを繰り返し行わせるようにしたことにより、盛り付け作業は、弁当容器が停止している状態で行うことができ、操作が容易且つ正確になされ、作業効率が向上する。
【0012】
また、本発明では、前記ベルトコンベアに電動のブレーキを備え、前記制御装置によってクラッチの切り動作時に前記ブレーキによるコンベア停止操作がなされるようにすることにより、盛り付け作業中におけるベルトコンベアを確実に停止させることができ、盛り付け作業の正確さを向上させることができる。
【0013】
更に、本発明では、前記制御装置には、前記シーケンサーによる制御パターンを弁当の種類に合わせて複数種類記憶させるメモリを備え、該メモリに記録された何れか1の制御パターンを選択してベルとコンベアをコントロールさせるようにすることにより、盛り付け材料の異なった複数種類の弁当の盛り付け祖業を行うに際し、予め設定されたパターンを選択するのみで、弁当の種類に応じたコンベアの搬送速度および盛り付けのための一時停止時間を最適なものとすることが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る弁当盛り付け用コンベア装置の概略を示す説明図である。
【図2】同上の動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に基づいて説明する。
【0016】
図において符合1はベルトコンベアであり、その両側又は片側にコンベアの搬送方向に適宜間隔をおいて盛り付け作業場所が設定されている。このベルトコンベア1は後述する制御装置によって、トレー等の弁当容器aを所定の速度で搬送し、各盛り付け作業場所にて所定の盛り付け時間だけ一時停止するようにコントロールされる。
【0017】
ベルトコンベア1の駆動軸2は電動のクラッチ3を介して3相モータからなるモータ4により駆動されるようになっている。ベルトコンベア2には、電動のブレーキ5が備えられている。
【0018】
これらのモータ4、クラッチ3、ブレーキ5は、シーケンサー10及びインバータ11を使用した制御装置によってコントロールされるようになっている。
【0019】
モータ4はインバータ11より回転速度が調整されるようになっている。インバータ11のコントロールはシーケンサー10によってなされるようになっており、モータ4の回転速度をシーケンサー10のメモリに記録されたパターンに従ってコントロールされるようになっている。
【0020】
ブレーキ5とクラッチ3もシーケンサー10によってコントロールされるようになっており、ブレーキ5は、クラッチ3が駆動切断状態にあるときに作動状態、即ちベルトコンベア2に制動力を与える状態となるようにコントロールされている。
【0021】
また、クラッチ3は、その断続の時間、即ちベルトコンベアの駆動時間と一次停止時間をシーケンサー10からの電源供給の断続によって コントロールされるようになっている。
【0022】
図中12は、シーケンサー10へのデータの入力と、表示を受け持つ入力表示装置としてのタッチパネルである。シーケンサー10のメモリには、タッチパネル12によって予め複数の制御パターンが記録されている。この制御パターンは、モータ4の回転速度、クラッチ3の回転接続時間(次の盛り付け作業場所までの送り時間)と回転切断時間(一次停止時間)とのそれぞれの長さを違え、ベルトコンベア2の搬送速度、搬送時間、一次停止時間を弁当の種類、即ち盛り付け材料の異なった弁当に応じて予め最適と思われる組合せに設定したものである。
【0023】
各盛り付け作業場所には非常停止スイッチ13が設置されているとともに、ベルトコンベア2には、コンベアベルトの弛みを検出するための近接センサ14が備えられ、これらはシーケンサー10に接続され、何れかのスイッチが動作されることによってシーケンサー10によって緊急停止がなされるようになっている。
【0024】
図中15は、タッチパネル12に立設したシグナルタワーであり、これには発信されるシグナルに応じて異なった色の光が発せられる光源15a,15b,15cが備えられている。16は操作スイッチである。
【0025】
シーケンサー10は、図2の動作フロー図に示す内容で装置全体の動作を行い、また外部の装置への情報提供手段を持っている。電源投入直後に初期化処理S1を行い、タッチパネル12との通信を始めるための準備や、電源断直前に選択されていた運転設定の再取得を行い、運転待機S2や異常監視処理S3や運転設定入力待機S4のそれぞれの処理を開始する。
【0026】
異常監視処理S2は運転待機S6の処理と平行して動作し、非常停止スイッチ13やベルト開放時に近接センサ14が入力されるかインバータ11の故障や過負荷検知により警報をタッチパネル12に出し、あるいは外部に接続したブザーやシグナルタワー15の赤色ランプ15aの点滅で使用者に異常発生を知らせ、運転中の場合は停止させる。
【0027】
運転設定入力待機処理S3または運転待機S6はタッチパネル12により動作を選択されるまで待機を続ける。タッチパネル12の指示により運転設定入力待機処理S3を選択すると、タッチパネル12の画面を運転設定入力のための画面に切り替え、設定入力処理S4に移行する。
【0028】
設定入力処理S4は運転設定の入力をタッチパネル12から受け付け、書き込み対象の設定番号の選択や入力の受付とタッチパネル12の画面への反映を行う。書き込み指示が入力され、なおかつ入力内容に不正な数値が入っていない場合は設定書き込み処理S5に移行する。
【0029】
不正な数値が入力されている場合はタッチパネル12に異常な数値が入っていることを知らせる表示を行う。また、入力終了を受け付け、入力待機状態に移行する処理も行う。
【0030】
設定書き込み処理S5ではシーケンサー10の不揮発性メモリ領域に運転設定を書き込む。書き込み終了後にタッチパネル12へ処理終了の表示を行った後設定入力処理S4に移行する。
【0031】
運転待機S6では使用する運転設定をタッチパネル12で切り替えて選択するほか操作スイッチ16で運転準備を行い、インバータ11に指示を出してベルトコンベア1のモータ4を駆動し、回転速度が安定した後にタッチパネル12へ運転準備完了を表示する。モータ4は運転準備が切れるか異常監視処理S2により動作停止するまで回り続ける。異常監視処理S2による異常発生がなく、運転準備が完了して操作スイッチ6による運転開始が指示されるとコンベア運転処理S7へ移行する。
【0032】
コンベア運転処理S7へ移行するとブレーキ5を開放しクラッチ3を接続いてモータ4の動力をベルトコンベア1に伝達する。運転設定により決められた運転時間を経過するとクラッチ3を切り、ブレーキ5を接続してコンベア一時停止処理S8へ移行する。
【0033】
コンベア一時停止処理S8は運転設定により指示された時間、コンベアを動作させずに待機する。一時停止時間を0秒に設定されている場合はこの工程をスキップしてすぐにコンベア運転処理S7に移行し、連続運転させる。
【0034】
ベルトコンベア運転中S7〜S8の間に操作スイッチ6で運転停止を指示するとただちに運転待機S3に戻る。また、運転中はシグナルタワー15の緑色ランプ15bを点灯させ続ける。
【0035】
これらの動作は操作スイッチ16による電源断までループ動作をし続ける。
【符号の説明】
【0036】
a 弁当容器
1 ベルトコンベア
2 駆動軸
3 クラッチ
4 モータ
5 ブレーキ
6 操作スイッチ
10 シーケンサー
11 インバータ
12 タッチパネル
13 非常停止スイッチ
14 近接センサ
15 シグナルタワー
15a,15b,15c 光源
S1 初期化処理
S2 運転待機
S3 異常監視処理
S4 運転設定入力待機
S5 設定書き込み処理
S6 運転待機
S7 コンベア運転処理
S8 コンベア一時停止処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁当容器を搬送するベルトコンベアと、該ベルトコンベアを駆動する3相モータからなる駆動モータと、該駆動モータとベルトコンベア回転軸との間に介在させた電動のクラッチと、前記3相モータの駆動と電動クラッチの断続動作をコントロールする制御装置とを備え、
前記制御装置には、シーケンサーとインバータとを備え、該シーケンサーによって前記クラッチの断続と駆動モータのインバータを介した回転速度とを制御させることにより、前記ベルトコンベアの所定速度での所定時間の動作と、所定時間の一時停止とを繰り返し行わせるようにしてなる弁当盛り付け用コンベア装置。
【請求項2】
前記ベルトコンベアに電動のブレーキを備え、前記制御装置によってクラッチの切り動作時に前記ブレーキによるコンベア停止操作がなされるようにしてなる請求項1に記載の弁当盛り付け用コンベア装置。
【請求項3】
前記制御装置には、前記シーケンサーによる制御パターンを弁当の種類に合わせて複数種類記憶させるメモリを備え、該メモリに記録された何れか1の制御パターンを選択してベルとコンベアをコントロールさせるようにしてなる請求項1又は2に記載の弁当盛り付け用コンベア装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−246206(P2011−246206A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118189(P2010−118189)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(510143398)有限会社エンヂニアリング・アイキ (1)
【出願人】(510143402)株式会社食品施設計画研究所 (1)
【Fターム(参考)】