説明

引出し装置

【課題】組付作業性を向上しうるとともに、上下寸法の異なる多品種の製品間における部品の共通化を図ることができるようにした、簡単な構造の引出し装置を提供する。
【解決手段】前面板5を、物品収容部4の前面に設けた裏面板6と、この裏面板6の前面を覆う表面板7、8とをもって構成するとともに、表面板7、8を、操作装置9が装着され、かつ裏面板6の前面における上下いずれかの部分を覆う第1表面板7と、裏面板6の前面における第1表面板7以外の部分を覆う第2表面板8とをもって構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机やキャビネット等における引出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の机やキャビネット等の引出し付什器における引出しには、それが、前方に引出し可能として収容されている筐体と係合することにより、引出しの前方への移動を阻止し、引出しが振動等により、意図せずに開くのを防止するようにしたラッチ機構と、引出しの前面より操作可能とした操作装置と、この操作装置と前記ラッチ機構とを、操作装置の操作により、ラッチ機構と筐体との係合を解除させうるように連係する連係手段とが設けられている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0003】
この種の従来の引出し装置の前面板は、表面板と裏面板とにより、中空の二重壁構造とし、その表面板に操作用の開口を、裏面板にラッチ機構を設け、かつ二重壁の中空部に、上記開口を通して操作されるようにした操作装置と連係手段とを設けているのが一般的である。
【0004】
また、表面板に操作用の開口を設けることなく、操作装置の操作部を、前面板の上方に突出するように設け、かつその操作部の左右方向の幅を、前面板の左右方向の幅とほぼ同一としたものもある(例えば特許文献4および5参照)。
【特許文献1】特開2003−239605号公報
【特許文献2】特開2003−180466号公報
【特許文献3】特開平9−256712号公報
【特許文献4】特開2007−135835号公報
【特許文献5】特開2004−89420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような従来の引出し装置においては、表面板と裏面板との間の中空部に、操作装置と連係手段とラッチ機構とを設けなければならず、しかも、表面板と裏面板とを接合した後に、中空部に部品を挿入することは困難であるので、その組付作業が面倒である。
例えば、操作装置を裏面板に取り付けた場合には、操作装置と表面板に設けた操作用の開口との位置決めが面倒になり、また、操作装置を表面板に取り付けた場合には、操作装置と連係手段との位置決めや連係が面倒になる。
【0006】
特に、特許文献4および5におけるように、操作装置の操作部の左右方向の幅を、前面板の左右方向の幅とほぼ同一としたものにおいては、操作装置によって、ラッチ機構と連係手段との収容スペースが著しく制限されるため、それらの部品を小型化することが余儀なくされ、組付作業がさらに面倒になっている。
【0007】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、組付作業性を向上させうるとともに、上下寸法の異なる多品種の製品間における部品の共通化を図ることができるようにした、簡単な構造の引出し装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 物品収容部の前面に前面板を設けた引出しに、前記物品収容部が前方に引出し可能として収容される筐体と係合することにより、引出しの前方への移動を阻止するようにしたラッチ機構と、引出しの前方からの操作により、前記ラッチ機構と筐体との係合を解除させる操作装置とを設けた引出し装置において、前記前面板を、物品収容部の前面に設けた裏面板と、この裏面板の前面を覆う表面板とをもって構成するとともに、前記表面板を、前記操作装置が装着され、かつ前記裏面板の前面における上下いずれかの部分を覆う第1表面板と、裏面板の前面における第1表面板以外の部分を覆う第2表面板とをもって構成する。
【0009】
このような構成とすると、操作装置を装着する第1表面板と、裏面板の前面における第1表面板によって覆われる部分以外の部分を覆う第2表面板とを、別部材で構成してあるので、第1表面板に操作装置を取付けた状態で、第1表面板を裏面板に取付けるだけで、操作装置を、簡単に引出しに取付けることができ、その後に、第2表面板を裏面板に取付けることにより、組付作業性を向上させることができる。
また、第1表面板と操作装置とラッチ機構とを、すべて共通として、裏面板と第2表面板との上下寸法を異ならせるだけで、上下寸法の異なる多品種の製品を容易に製造することができる。
【0010】
(2) 上記(1)項において、第1表面板の左右方向の幅と第2表面板の左右方向の幅とを同一とし、かつ第1表面板の前面と第2表面板の前面とを同一面とする。
【0011】
このような構成とすると、第1表面板と第2表面板とのデザインの統一を図り、美麗な外観の前面板を形成することができる。
【0012】
(3) 上記(1)または(2)項において、第1表面板の前面における第2表面板に隣接する縁部に、前方と第2表面板側とに開放する開口を設け、この開口に連通する第1表面板の内部空間に、操作装置における操作部を設ける。
【0013】
このような構成とすると、第1表面板に隣接する第2表面板の縁を利用して、第1表面板に、操作装置を操作するための開口を簡単に形成することができる。
【0014】
(4) 上記(3)項において、第2表面板における第1表面板に隣接する縁部に、第1表面板の内部空間に進入し、操作装置の操作用の空間を区画する壁面の一部を形成するとともに、前記内部空間への操作者の手の指の挿入を案内する案内片を設ける。
【0015】
このような構成とすると、第2表面板における第1表面板に隣接する縁部に設けた案内片により、第1表面板に設けた開口に挿入した操作者の手の指を、安全に、操作装置の操作部に向けて案内することができ、第2表面板の縁と第1表面板の開口との協働作用により、操作装置を操作するため操作用の空間を簡単に形成することができる。
【0016】
(5) 上記(4)項において、案内片の先端部と、それに対向する第1表面板の一部とに、第2表面板と第1表面板との結合手段を設ける。
【0017】
このような構成とすると、案内片を利用して、第1表面板と第2表面板とを、結合手段が外部に露呈することなく、美麗に結合することができる。
【0018】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、操作装置が、第1表面板に軸受された左右方向を向く操作軸と、この操作軸と一体となって回動するとともに、第1表面板の前方より操作される操作部を有する引き手とを備えるものとし、前記操作軸に、裏面板を貫通して後方に突出し、かつ後端部が筐体に係脱するようにしたラッチ機構におけるラッチレバーの前端部を固嵌する。
【0019】
このような構成とすると、操作装置とラッチ機構との構造を簡素化することができるとともに、操作装置とラッチ機構との各構成部材を、一体として、第1表面板に容易に組み付けることができる。
【0020】
(7) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、操作装置が、第1表面板に軸受された左右方向を向く操作軸と、この操作軸と一体となって回動するとともに、第1表面板の前方より操作される操作部を有する引き手と、操作軸と一体となって回動する回動レバーとを備えるものとし、この回動レバーと、裏面板に設けたラッチ機構とを、引き手の回動操作に連動して、ラッチ機構がラッチ解除されるように互いに連係する。
【0021】
このような構成とすると、操作装置の構造を簡素化することができるとともに、裏面板にラッチ機構を組み付けておいた状態で、操作装置の各構成部材を、ユニット化して、第1表面板に容易に組み付けることができる。
【0022】
(8) 上記(6)または(7)項において、引き手の操作部の左右方向の幅を、前面板の左右方向の幅とほぼ同一とする。
【0023】
このような構成とすると、引き手の操作部における左右方向のどのような部分を操作しても、ラッチ機構を解除して、引出しを引き出すことができ、操作性をよくすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、組付作業性を向上させ、かつ上下寸法の異なる多品種の製品間における部品の共通化を図ることができるようにした、簡単な構造の引出し装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態を備えるキャビネットの正面図、図2は、引出しの右上部の一部切欠拡大正面図、図3は、図2のIII−III線縦断側面図、図4は、図2のIV−IV線縦断側面図、図5は、図2のV−V線縦断側面図、図6は、図2のVI−VI線縦断側面図、図7は、第1表面板と操作装置との組付状態を示す平面図、図8は、図2のVIII−VIII線横断平面図である。なお、左右は、図1および図2に関して言うものとする。
【0026】
このキャビネットは、前面が開口する筐体1を備えており、この筐体1内には、上下に並ぶ3個の引出し2が、互いに独立して、前方に引出し可能として装着されている。
なお、3個の引出し2は、上段のものだけに施錠装置3が設けられていることを除いては、互いに同一構造であるので、以下の説明においては、上段の引出し2のみについて説明する。
また、施錠装置3および各引出し2の支持構造は、本発明に直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0027】
引出し2は、上面が開口する箱状の物品収容部4の前面に、内部が中空の前面板5を設けたものよりなり、少なくとも物品収容部4が、筐体1内に挿入されるようになっている。
【0028】
前面板5は、物品収容部4の前面に設けた裏面板6と、この裏面板6の前面における上部(下部とすることもある)を覆う第1表面板7と、裏面板6の前面における第1表面板7以外の部分を覆う第2表面板8とをもって構成されている。
【0029】
第1表面板7の左右方向の幅と、第2表面板8の左右方向の幅とは同一とし、第1表面板7の前面と、第2表面板8の前面とは同一面とし、第1表面板7の上下幅は、第2表面板8の上下幅よりも小としてある。
【0030】
第1表面板7には、引出し2の前面より操作可能とした操作装置9が設けられ、裏面板6には、筐体1と係合することにより、引出し2の前方への移動を阻止するようにしたラッチ機構10と、操作装置9とラッチ機構10とを、操作装置9の操作により、ラッチ機構10と筐体1との係合を解除させうるように連係する連係手段11とが設けられている。
次に、それらの詳細について説明する。
【0031】
第1表面板7は、図3に示すように、やや厚肉の後片12と上片13と前片14と両側片15、15とを備える、下面が開放する合成樹脂製の下向きの中空箱状体からなり、前片14の下方と両側片15、15の前部とには、前方と下方と両側方とに開放する開口16が設けられており、この開口16を通して、引出しの前方より、第1表面板7の内部空間に指を挿入して、その内部空間に配設した操作装置9の操作部を操作しうるようになっている。
なお、両側片15、15には、開口16を設けないこともある。
【0032】
図7に示すように、第1表面板7における後片12の後面には、複数の軸受片17が、後方に向かって突設されており、これらの軸受片17により、六角軸とした左右方向を向く操作軸18が、回動自在に枢支されている。
【0033】
第1表面板7の内部空間の上部には、左右方向の幅を前面板5の左右方向の幅とほぼ同一とした(実際には、それよりわずかに短くした)引き手19の操作部19aが配設され、その後縁より後方に向けて突設されたほぼ水平の複数の突部19bは、後片12に設けた複数の開口20(図5参照)を通って、後片12より後方に突出し、各突部19bに設けた左右方向を向く六角孔21を操作軸18に嵌合することにより、引き手19は、操作軸18と一体となって回動しうるようになっている。
【0034】
右端の軸受片17より右方に突出する操作軸18の右端部には、回動レバー22の上端部に設けた左右方向を向く六角孔23が固嵌され、回動レバー22は、操作軸18および引き手19と一体となって回動しうるようになっている。
回動レバー22は、操作軸18より垂下した後、第1表面板7における後片12の下方を通って、後片12より前方に延出し、引き手19の操作部19aが、図3に示す状態から前上方に回動させられることにより、下端部で、後述するラッチ軸30の上端部を左方に向けて折曲したアーム部30aを前方に押動し、ラッチレバー33を解除方向に回動させるようになっている。
【0035】
第1表面板7における後片12の後面適所には、後方に向かって突出する左右1対のボス24、24が設けられている。
【0036】
裏面板6は、垂直の基片25の上縁および両側縁に、前方を向く上片26および両側片27、27を折曲形成したものよりなり、上片26の前縁には、上向き鉤形の複数の係止片28が設けられている。
【0037】
この係止片28を、第1表面板7の後片12における上記開口20に後方より嵌合して、開口20の上縁に係止し、かつ第1表面板7の左右のボス24、24の後端を、裏面板6における基片25の前面に当接して、基片25の後方より、タッピングねじ29を、基片25を貫通させて、各ボス24の後端よりねじ込むことにより、第1表面板7は、裏面板6の上部前面に取付けられている。
【0038】
裏面板6における基片25の前面右側端部には、上下方向を向くラッチ軸30が、上下1対の軸受部材31、32をもって枢支されている。
上述したように、ラッチ軸30の上端部には、左方を向くアーム部30aが折曲形成されている。
【0039】
下方の軸受部材32は、正面視方形枠状をなし、その内部には、ラッチ軸30に固嵌された後方を向くラッチレバー33の前端部が配設されている。
ラッチレバー33は、裏面板6における基片25に設けられた窓孔34を通って後方に突出し、図8に示すように、後端部に設けた左右方向を向く係合孔35が、筐体1の側板36の内面に設けた平面視直角三角形の係合突起37と係合することにより、閉止位置に位置している引出し2の前方への移動を阻止するようになっている。
【0040】
下方の軸受部材32の上方において、ラッチ軸30のまわりには、ラッチレバー33を、図8に示すように、窓孔34の外側縁に当接して停止する係止位置に向かって付勢するねじりコイルばね38が設けられている。
【0041】
このねじりコイルばね38の付勢力に抗して、引き手19を前上方に回動させ、そのときの回動レバー22の下端部で、ラッチ軸30の上端部のアーム部30aとともに、ラッチレバー33を、図8に矢印で示す解除方向に回動させることにより、ラッチレバー33の係合孔35を、係合突起37から離脱させて、ラッチ解除させることにより、引出し2を、閉止位置から自由に前方に引き出すことができる。
【0042】
上記構成のうち、操作軸18と引き手19と回動レバー22とにより、操作装置9が形成され、ラッチレバー33と係合突起37とねじりコイルばね38とにより、ラッチ機構10が形成され、また上端にアーム部30aを有するラッチ軸30により、操作装置9とラッチ機構10とを連係する連係手段11が形成され、そのうちの操作装置9は第1表面板7に、またラッチ機構10と連係手段11とは裏面板6に、それぞれユニット化して取付けられている。
【0043】
第2表面板8の両側縁には、後方を向く側片39、39が連設され、また同じく上縁には、第1表面板7の内部空間に進入し、操作装置9の操作用の空間を区画する壁面の一部を形成するとともに、上記内部空間への操作者の手の指の挿入を案内する案内片40が設けられている。
【0044】
この案内片40は、第2表面板8の上縁より後上方に傾斜状態で延出した後、上方に向かってなだらかに湾曲し、かつ上端部が第1表面板7における後片12の前面に当接し、その上端に設けた後方を向く上向き鉤形の複数の係止片41が、第1表面板7における後片12に設けた複数の係合孔42に前方より嵌合して、係合孔42の上縁に係止されている。
【0045】
この係止片41と係合孔42とにより、第2表面板8と第1表面板7との結合手段が形成されている。
第2表面板8は、上述のように複数の係止片41を係合孔42の上縁に係止させ、かつ両側片39、39で、第1表面板7における両側片15、15の下端部外側面と、裏面板6における両側片27、27の外側面を覆うようにして、下端より後方に向けて折曲形成した底片(図示略)を、裏面板6の下端に重合させて、ねじ止め(図示略)することにより、第1表面板7と裏面板6とに取付けられている。
【0046】
この第2表面板8には、上述のような操作装置9やラッチ機構10等の機能部品を取付けることが全くないので、この部材の上下寸法を変更しても、機能部品の組付作業性には全く影響することがない。
【0047】
したがって、この実施形態のような構成とすると、裏面板6にラッチ機構10と連係手段11とを取付け、かつ第1表面板7に操作装置9をユニット化して取付けた状態で、第1表面板7を裏面板6に取付けるだけで、操作装置9とラッチ機構10と連係手段11とを、簡単に引出し2に取付けることができ、その後に、第2表面板8を裏面板6に取付けることにより、組付作業性を向上させることができる。
また、第1表面板7と操作装置9とラッチ機構10と連係手段11とを、すべて共通として、裏面板6と第2表面板8との上下寸法を異ならせるだけで、上下寸法の異なる多品種の製品を容易に製造することができる。
【0048】
図9は、本発明の第2の実施形態を備えるキャビネットにおける図4と同様の部分の縦断側面図、図10は、同じく、図7と同様の、第1表面板と操作装置との組付状態を示す平面図である。なお、第1の実施形態におけるのと同一または類似の部材には、同一の符号を付して図示するに止め、それらについての詳細な説明は省略する。
【0049】
図9に示す引出し2は、最上段のもの(図1参照)で、その操作装置9における操作軸18の右端部には、第1の実施形態における回動レバー22に代えて、ラッチ機構51におけるラッチレバー52の前端部に設けた左右方向の筒体53の六角孔54が固嵌されている。
【0050】
ラッチレバー52は、裏面板6における基片25の上部に設けた窓孔55を通って、筒体53より裏面板6の後方に突出し、後端に設けた上向きのフック部52aが、筐体1における天板1aの下面前部に設けた左右方向を向く凹溝56の前縁に係脱しうるようになっている。
【0051】
すなわち、ラッチレバー52は、引き手19が、図9に実線で示す位置に位置しているときは、フック部52aが凹溝56の前縁に係合する係止位置に位置しており、図9に2点鎖線で示すように、引き手19を前上方に回動させると、フック部52aが凹溝56の前縁から下方に離脱する解除位置へ回動させられるようになっている。
【0052】
なお、天板1aの下面前部に、凹溝56に代えて、下向き突条(図示略)を設け、この下端後縁に、ラッチレバー52のフック部52aが係脱するようにしてもよい。
また、上から2段目以下の引出し2においては、ラッチレバー52のフック部52aは、筐体1内を上下に仕切る仕切板(図示略)の下面前部に設けた凹溝56と同様の凹溝の前縁、またはそれに代わる下向き突条の下端後縁に係脱しうるようにすればよい。
【0053】
筒体53の外周には、前上方に向かって突出し、ラッチレバー52が係止位置に位置しているとき、先端が第1表面板7における後片12の後面に当接し、ラッチレバー52の係止位置から上方への回動を阻止する停止片57と、前下方に向かって突出し、先端が後片12の後面に圧接することにより、ラッチレバー52を図9における反時計回りに付勢する板ばね状の弾性舌片58とが、一体的に設けられている。
【0054】
この第2の実施形態のような構成とすると、第1の実施形態における回動レバー22、ラッチ機構10、連係手段11等の複雑な構成をすべて省略し、操作装置9における操作軸18の一端に、ラッチレバー52を設けるだけの簡単な構造で、第1の実施形態におけるのと同様の作用及び効果を奏することができる。
【0055】
本発明は、上記実施形態に限定されるもではない。
例えば、第1表面板7を、上述のものと上下逆向きとして、裏面板6の前面下部に取付け、その上方における裏面板6の前面に、第2表面板8を上下逆向きとして取付け、さらに、操作装置9とラッチ機構10と連係手段11等も上下逆向きとして取付け、物品収容部4のみを、上記のものと同一の向きとして実施することもできる。
【0056】
また上記実施形態においては、ラッチ機構10と連係手段11、およびラッチレバー52を、引出し2の右側部にしか設けていないが、引出し2の左右方向の幅が大であるときは、それらを、引出し2の左側部にも、上述のものと左右対称に設けて実施することもある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施形態を備えるキャビネットの正面図である。
【図2】前方から見た引出しの右上部の一部切欠拡大正面図である。
【図3】図2のIII−III線縦断側面図である。
【図4】図2のIV−IV線縦断側面図である。
【図5】図2のV−V線縦断側面図である。
【図6】図2のVI−VI線縦断側面図である。
【図7】第1表面板と操作装置との組付状態を示す平面図である。
【図8】図2のVIII−VIII線横断平面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を備えるキャビネットにおける図4と同様の部分の縦断側面図である。
【図10】同じく、第1表面板と操作装置との組付状態を示す、図7と同様の平面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 筐体
1a天板
2 引出し
3 施錠装置
4 物品収容部
5 前面板
6 裏面板
7 第1表面板
8 第2表面板
9 操作装置
10 ラッチ機構
11 連係手段
12 後片
13 上片
14 前片
15 側片
16 開口
17 軸受片
18 操作軸
19 引き手
19a操作部
19b突部
20 開口
21 六角孔
22 回動レバー
23 六角孔
24 ボス
25 基片
26 上片
27 側片
28 係止片
29 タッピングねじ
30 ラッチ軸
30aアーム部
31、32 軸受部材
33 ラッチレバー
34 窓孔
35 係合孔
36 側板
37 係合突起
38 ねじりコイルばね
39 側片
40 案内片
41 係止片
42 係合孔
51 ラッチ機構
52 ラッチレバー
52aフック部
53 筒体
54 六角孔
55 窓孔
56 凹溝
57 停止片
1 弾性舌片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品収容部の前面に前面板を設けた引出しに、前記物品収容部が前方に引出し可能として収容される筐体と係合することにより、引出しの前方への移動を阻止するようにしたラッチ機構と、引出しの前方からの操作により、前記ラッチ機構と筐体との係合を解除させる操作装置とを設けた引出し装置において、
前記前面板を、物品収容部の前面に設けた裏面板と、この裏面板の前面を覆う表面板とをもって構成するとともに、前記表面板を、前記操作装置が装着され、かつ前記裏面板の前面における上下いずれかの部分を覆う第1表面板と、裏面板の前面における第1表面板以外の部分を覆う第2表面板とをもって構成したことを特徴とする引出し装置。
【請求項2】
第1表面板の左右方向の幅と第2表面板の左右方向の幅とを同一とし、かつ第1表面板の前面と第2表面板の前面とを同一面とした請求項1記載の引出し装置。
【請求項3】
第1表面板の前面における第2表面板に隣接する縁部に、前方と第2表面板側とに開放する開口を設け、この開口に連通する第1表面板の内部空間に、操作装置における操作部を設けた請求項1または2記載の引出し装置。
【請求項4】
第2表面板における第1表面板に隣接する縁部に、第1表面板の内部空間に進入し、操作装置の操作用の空間を区画する壁面の一部を形成するとともに、前記内部空間への操作者の手の指の挿入を案内する案内片を設けた請求項3記載の引出し装置。
【請求項5】
案内片の先端部と、それに対向する第1表面板の一部とに、第2表面板と第1表面板との結合手段を設けた請求項4記載の引出し装置。
【請求項6】
操作装置が、第1表面板に軸受された左右方向を向く操作軸と、この操作軸と一体となって回動するとともに、第1表面板の前方より操作される操作部を有する引き手とを備えるものとし、前記操作軸に、裏面板を貫通して後方に突出し、かつ後端部が筐体に係脱するようにしたラッチ機構におけるラッチレバーの前端部を固嵌した請求項1〜5のいずれかに記載の引出し装置。
【請求項7】
操作装置が、第1表面板に軸受された左右方向を向く操作軸と、この操作軸と一体となって回動するとともに、第1表面板の前方より操作される操作部を有する引き手と、操作軸と一体となって回動する回動レバーとを備えるものとし、この回動レバーと、裏面板に設けたラッチ機構とを、引き手の回動操作に連動して、ラッチ機構がラッチ解除されるように互いに連係した請求項1〜5のいずれかに記載の引出し装置。
【請求項8】
引き手の操作部の左右方向の幅を、前面板の左右方向の幅とほぼ同一とした請求項6または7記載の引出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−261884(P2009−261884A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161083(P2008−161083)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】