説明

引戸のスライドアシスト装置

【課題】装置コストの高騰を抑えつつ引戸のスライドアシスト機能を有効に発揮させる。
【解決手段】鴨居70に設けられた鴨居側係合部材(第1実施形態ではトリガー60)と、立て付け戸90の移動範囲内の所定の範囲で係合プレート60と係合する戸首部材20側に設けられた戸首側係合部材(第1実施形態では舌片492)と、鴨居側係合部材および戸首側係合部材が互いに係合した状態で立て付け戸90が移動することにより立て付け戸90に付勢力を付与するコイルスプリング50,50′とからなり、蓄積されたコイルスプリング50,50′の付勢力を利用して立て付け戸90の移動をアシストするように機能するバネ力伝達機構とを備えている。鴨居側および引戸側係合部材の少なくとも一方は、所定の上下幅に設定されているとともに、引戸のスライド方向に対して横方向で互いに係合するようにそれぞれの設置位置が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一旦開放または閉止された引戸を閉止または開放するに際し、当該閉止または開放操作をアシストするように構成された引戸のスライドアシスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スライドアシスト装置は、一般には引戸(吊り戸タイプのものを含む)の自動閉じ装置として使用され、原理的には、引戸と戸枠との間に設けた引きバネのバネ力を閉じ方向に加えるように構成される(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
この種の装置の中には、バネ力を引戸の全ストロークを通じて作用させるのではなく、ストローク後半部分でのみバネ力伝達機構を介して作用させる方式(以下、一部アシスト方式という。たとえば特許文献2参照)のものが知られている。
【0004】
この一部アシスト方式の装置におけるバネ力伝達機構は、たとえば、引きバネの一端側に上方へ突出して設けられたキャッチ体と、戸枠側に下方へ突出して設けられたフック体とからなり、引戸の開き方向のスライド時に、キャッチ体とフック体とが引戸の上方側で係合しフック体でキャッチ体を押して引きバネを伸長させるとともに、伸長状態でキャッチ体を水平軸回りに回動させ前記係合を解除してその位置に停止させ、閉じ方向のスライド時のストローク後半でキャッチ体とフック体とが引戸の上方側で係合することにより、キャッチ体を原姿勢に回動させて引きバネを解放し、そのバネ力(正確にはバネ反力)を引戸に閉じ方向のアシスト力として加えるように構成されている。
【特許文献1】実開昭57−77570号公報
【特許文献2】特開2008−156851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような一部アシスト方式においては、バネ力伝達機構を構成する戸枠側の部材(上記の例ではフック体)と引戸側の部材(同、キャッチ体)とが引戸の上方側で係脱してバネの伸張・解放操作を行うため、これら両部材の上下の位置関係が一定であることが前提になる。つまり、両者が上下に離れ過ぎても、近づき過ぎても係脱作用が適正に機能しない。
【0006】
ところが、このようなスライドアシスト装置が設置される引戸や戸枠には、寸法誤差や組み付け誤差等が存在する。これらの誤差等が存在した状態で設置された引戸や戸枠は、設置される毎に上下の位置関係が異なるため、前記係脱関係が適正に機能しない場合があった。
【0007】
また、前記誤差に基づく引戸と戸枠との間の隙間を解消するべく、戸車に上下の高さを調整するアジャスタが装着される場合があり、アジャスタにより上下の高さ位置を調整した結果、引戸が傾く場合がある。このよう場合にも、引戸側および戸枠側の部材の上下位置関係が狂って動作不良が発生する。
【0008】
このような場合に、特許文献2に記載のアシスト装置のように、戸枠側係合部材の突出量を調製することにより、係脱作用を適正に行わせるようにするものも知られているが、その調整作業が面倒であるばかりか、部品点数が増加するなどして装置コストが高くなるという問題点を有している。
【0009】
本発明は、従来のかかる状況に鑑みなされたものであって、寸法誤差や組み付け誤差等に拘わらずに安価で簡単かつ適正に係脱作用を行わせることができる引戸のスライドアシスト装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の発明は、頂部が鴨居の案内溝に遊嵌され、かつ、下縁部が敷居のガイド部に支持される引戸に対し開き方向および閉じ方向の少なくとも一方向へスライドアシスト力を付与する引戸のスライドアシスト装置において、前記引戸の頂部に設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される引きバネと、前記引戸の一方向へのスライド時に前記引きバネを伸張させ、反対方向へのスライド時に引きバネの付勢力を前記スライドアシスト力として付与するバネ力伝達機構とを備え、前記バネ力伝達機構は、前記鴨居の案内溝内に設けられた鴨居側係合部材と、前記引きバネのフリー端部側に取り付けられた引戸の移動範囲内の所定の範囲で前記鴨居側係合部材と前記引戸の側方側で係合する引戸側係合部材とを有し、前記鴨居側および引戸側係合部材の少なくとも一方は、所定の上下幅に設定されているとともに、引戸のスライド方向に対して横方向で互いに係合するようにそれぞれの設置位置が設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
かかる構成によれば、鴨居および引戸にそれぞれ設けられた鴨居側および引戸側係合部材の一方は、引戸の側方側で係合するので、引戸の頂面と鴨居の案内溝の下面との間の比較的狭い空間で係合する従来のアシスト装置と比べてその上下幅を十分に確保することができる。また、鴨居側および引戸側の少なくとも一方は、所定の上下幅に設定されているため、寸法誤差や組み付け誤差等による鴨居側および引戸側の上下の相対位置関係に変動があっても、所定幅に形成された少なくとも一方側の係合部材の幅寸法によって前記誤差等の上下位置関係の変動を吸収することができ、これにより両係合部材は、互いに確実に係合される。
【0012】
しかも、このように構成することで、上下の相対位置関係の変動を調整するための調整装置を別途設ける必要がなく、その分、コストの上昇を抑制することができるとともに、当該調製装置の調整作業を要さず、安価でかつ簡単に鴨居側および引戸側の係合部材の係脱を行わせることができる。
【0013】
請求項1記載の発明において、鴨居側および引戸側係合部材の上下寸法の総和は、案内溝の溝壁の上下寸法と略同一ないしはそれより大きく設定されている(請求項2)ことが好ましい。こうすることで、枠体が案内溝に遊嵌される引戸頂部に設けられているとともに、鴨居側係合部材が案内溝内に設けられていることと相まって、引戸の頂部が案内溝に遊嵌されている限り両係合部材は、少なくとも上下寸法のいずれかの個所で接触することとなり、上下位置関係の変動に拘わらず確実に係合される。
【0014】
また、これらの発明において、鴨居側係合部材は、案内溝の溝壁から前記引戸側へ突出する突出部と、この突出部の上下の少なくともいずれかの端部からそれぞれ延設されるフランジ部とを有し、このフランジ部は、鴨居における溝壁以外の部分、例えば案内溝の天壁面や鴨居の下面に取り付けられている(請求項3)ことが好ましい。こうすることで、鴨居側係合部材を鴨居に取り付けるためのフランジ部が引戸側係合部材と干渉して誤作動することが確実に防止される。
【0015】
また、これらの発明において、引戸側係合部材は、その下縁部が案内溝の開口部より下方に位置するように設定されている(請求項4)ことが好ましい。ところで、この種のアシスト装置にあっては、引戸側係合部材が鴨居側係合部材と係合し損なって適正に引きバネを伸張しなくなったり、あるいは引きバネの付勢力をスライドアシスト力として付与することができなくなったりするなど、アシスト装置として正常に機能し得なくなるような不都合が生じる場合がある。このような場合、従来は引戸の動作などからかかる不都合が生じていることを予測して、引戸を鴨居から外してアシスト装置を調整する必要があった。しかしながら、請求項4のように構成することにより、引戸側係合部材の下端部が鴨居から外部に露出しているので、アシスト装置の作動状態を簡単に視認することができ、しかも、誤操作が生じている場合には、露出している部分を操作することで簡単に正常な状態に調整することができる。
【0016】
また、これらの発明において、一方が前記引戸に対し開き方向へ向かうスライドアシスト力を付与し、他方が前記引戸に対し閉じ方向へ向かうスライドアシスト力を付与するように、当該引戸に一対で設けられている(請求項5)ことが好ましい。こうすることで、引戸を開くときと閉じるときとの双方でスライドアシスト装置がその機能を発揮するため、引戸の開け閉めの双方が容易になるとともに、引戸の閉め残しおよび開け残しの双方が生じなくなる。
【0017】
これらの発明において、枠体には、引戸側係合部材の引戸のスライド方向への移動を案内するガイドスリットが設けられ、引戸側係合部材は、引きバネに垂直軸回りに回動可能に取り付けられるとともに、この回動によって鴨居側係合部材に選択的に係止する第1および第2係止部が設けられ、引戸の一方向へ向かうスライド時に、第1係止部が鴨居側係合部材に係止することによって引きバネが伸張するとともに、引戸側係合部材は、ガイドスリットの終端部に到達したとき所定方向へ向けて回動することにより第1係止部が鴨居側係合部材から外れてガイドスリットの終端部に保持され、引戸の他方向へ向かうスライド時に、第2係止部が鴨居側係合部材に係止することにより、スライド部材がと反対方向へ回動して引きバネが解放されてその付勢力で引戸にアシスト力が付与されるように構成されている(請求項6)ことが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、簡単な構造で装置コストの高騰を抑えつつ、この装置の機能を確実に確保した上でつつ具体的に実現される。
【0019】
前記の各発明において、枠体は、鴨居の案内溝に遊嵌される引戸の戸首の一部として構成されている(請求項7)ことが好ましい。こうすることで、引戸の頂部に、当該引戸オリジナルの戸首に代えて枠体と取り替えることができるため、アシスト機能を有しない通常の引戸を、簡単なリフォーム処理で本発明に係るアシスト機能を備えたものに改修することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る引戸のスライドアシスト装置によれば、鴨居および引戸にそれぞれ設けられた鴨居側および引戸側係合部材は、引戸の側方側で係合するように構成され、また、少なくとも一方側が所定の上下幅に設定されているため、寸法誤差や組み付け誤差等による鴨居側および引戸側の相対位置関係に変動があっても、所定幅に形成された少なくとも一方側の係合部材の幅寸法によって前記誤差を吸収することができ、これにより両係合部材を互いに確実に係合させることができる。
【0021】
従って、寸法誤差や組み付け誤差等による鴨居側および引戸側の相対位置関係が変わった場合、従来のように鴨居側および引戸側の各係合部材の上下の相対的な位置関係を調整部材を別途設ける必要はなく、その分、装置コストの低減化に貢献することができ、また面倒な調整作業も不要にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は、本発明に係る引戸のスライドアシスト装置の第1実施形態が適用された立て付け戸を示す一部切り欠き斜視図である。なお、図1においてX方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。因みに、本発明における「引戸の側方」とは、Y方向をいうものとする。そして、図1に示す例において、立て付け戸90は、左右のいずれかの一方向へ向かうと開放され、他方向へ向かうと閉止されるのであるが、以下、左方へ向かうと閉止され、右方へ向かうと開放されるとして説明する。
【0023】
図1に示すように、第1実施形態のスライドアシスト装置10は、頂部が鴨居70に設けられた下面開放の鴨居用案内溝71に遊嵌され、かつ、下縁部が敷居80に開閉方向へ延びるように設けられた下部案内溝(ガイド部)81に嵌め込まれた状態で左右方向に正逆移動して開閉可能とされた、いわゆる立て付け戸(引戸)90を対象とするものである。鴨居用案内溝71は、溝幅寸法が、後述する角筒体30の前後幅寸法に後述する引掛け部材49の角筒体30からの突出量を加えた寸法より若干広めに設定されている。
【0024】
立て付け戸90は、平らな板状の戸本体91と、この戸本体91の上縁部に設けられる目隠し板92と、この戸本体91の下縁部に取り付けられた左右方向一対に戸車93とを備えている。かかる立て付け戸90は、後に説明する第2実施形態の引戸のスライドアシスト装置10に適用されたものと同一である。
【0025】
そして、このような立て付け戸90に適用される第1実施形態のスライドアシスト装置10は、戸本体91の上縁部の左右対称位置に取り付けられる左右一対の戸首部材20と、この戸首部材20に対応して前記鴨居70の鴨居用案内溝71の前方内壁(溝壁)73に固定された左右一対のトリガー(鴨居側係合部材)60とを備えている。一対のトリガー60は、立て付け戸90を開閉するに際し、一対の戸首部材20の内の対応した一方側のものの引掛け部材49と係合させるためのものであり、鴨居用案内溝71の前方内壁73の左右対称位置にそれぞれ取り付けられている。
【0026】
スライドアシスト装置10がそれぞれ左右一対で設けられる理由は、立て付け戸90を開くときと閉じるときとの双方でスライドアシスト装置10のアシスト機能を享受し得るようにするためである。
【0027】
そして、各戸首部材20の前後幅寸法は、立て付け戸90の厚み寸法より若干小さめ(具体的には立て付け戸90の厚み寸法の略2/3)に設定されている。かかる各戸首部材20の対向端面には、それぞれ装着隙間291を有する直方体状の二股片29が固定されている。各装着隙間291は、二股片29の対向面に上下方向に延びるように設けられている。なお、第1実施形態では、二股片29の前後幅寸法が戸首部材20のそれより若干大きめに設定され、これによって二股片29の前縁部が戸首部材20から前方へ向けて突出した状態になっている。
【0028】
前記目隠し板92は、左右の端部がこれら一対の二股片29の各装着隙間291に嵌め込まれることにより、一対の戸首部材20間に形成された間隙が埋められ、これによってこの部分を通した向こう側が目隠しされるようになっている。
【0029】
以下、かかる引戸のスライドアシスト装置10について、図2〜図5を基に必要に応じて図1も参照しながらさらに詳細に説明する。図2は、第1実施形態に係る左側の戸首部材20を示す一部切り欠き分解斜視図であり、図3および図4はその組み立て斜視図である。そして、特に図3は、立て付け戸90が閉止された状態、図4は、立て付け戸90が開放された状態をそれぞれ示している。図3および図4における円外にはトリガー60を図示していない代わりに、円内にはトリガー60と舌片492との相対的な位置関係を示している。また、図5は、図3の円内の図のV−V線断面図である。なお、図2〜図5においてXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0030】
さらに、図2〜図5においては、左右対称に一対で設けられた戸首部材20およびトリガー60の内の左側のもののみを示している。右側のものは、左側のものと左右対称に形成されていることを除いてその構成は左側のものと同一である。そして、左側の戸首部材20は、立て付け戸90を閉じるときに当該閉止操作をアシストし、右側の戸首部材20は、立て付け戸90を開くときに当該開放操作をアシストする。
【0031】
まず図2に示すように、第1実施形態に係る引戸のスライドアシスト装置10は、戸本体91の上縁部の左右対称位置に取り付けられる左右一対の戸首部材20と、この戸首部材20に対応して前記鴨居70の鴨居用案内溝71の前方内壁73に設けられた左右一対のトリガー(鴨居側係合部材)60とを備えている。
【0032】
一対のトリガー60は、立て付け戸90を開閉するに際し、一対の戸首部材20の内の対応した方の後述する舌片492と係合させるためのものであり、鴨居用案内溝71の前方内壁73の左右対称位置にそれぞれ取り付けられている。
【0033】
前記戸首部材20は、第1エッジブロック22および第2エッジブロック23がそれぞれの端部に嵌め込まれる角筒体30と、この角筒体30に内装されるショックアブソーバ40と、このショックアブソーバ40と平行に角筒体30に内装されるコイルスプリング(引きバネ)50と、前記ショックアブソーバ40およびコイルスプリング50を介して前記第2エッジブロック23と対向配置され、かつ、角筒体30内で移動可能に内装されたスライドブロック45と、このスライドブロック45に装着され、かつ、立て付け戸90の開閉操作で前記トリガー60と係合したり係合が解除されたりする舌片492とを備えて構成されている。前記ショックアブソーバ40は、長さ寸法が角筒体30の左右方向の寸法の略半分に設定されている。
【0034】
そして、第1実施形態における本発明に係るバネ力伝達機構は、鴨居70に設けられたトリガー(鴨居側係合部材)60と、コイルスプリング50のフリー端部側に取り付けられたスライドブロック45と、このスライドブロック45に取り付けられた立て付け戸90の移動範囲内の所定の範囲でトリガー60と係合する引掛け部材49とを備えて構成されている。
【0035】
前記第1エッジブロック22は、図2に示す角筒体30の左端部に装着されるものであり、角筒体30に内嵌される略直方体条のブロック本体221と、このブロック本体221の左端面から左方へ向けて延設されたブロック本体221より若干大きい食み出しブロック222と、ブロック本体221の右端面から右方へ向かって突設された平面視でL字状を呈する台座ブロック223とを備えている。
【0036】
前記ブロック本体221は、四囲が角筒体30の内壁面に当接状態で角筒体30に内装される。かかるブロック本体221には、上下の面にネジ孔221aが螺設され、角筒体30を貫通したネジSがこれらのネジ孔221aに螺着されることにより、第1エッジブロック22が角筒体30に固定される。
【0037】
前記食み出しブロック222は、左右方向から見た形状が角筒体30の端面視の形状と同一に設定され、これによってエッジブロック21が角筒体30に内嵌された状態で食み出しブロック222の周面は角筒体30の周面と面一になる。かかる食み出しブロック222には、上下方向に延びた貫通孔222aが穿設され、この貫通孔222aにネジSが挿通されて立て付け戸90の上面に螺設された図略のネジ孔に螺着されて締結されることにより、戸首部材20の左端部が立て付け戸90に固定されるようになっている。
【0038】
前記台座ブロック223は、引掛け部材49の後面側を受けるものであり、ブロック本体221の前後方向の略中央部から右方へ向かって突設された受台223aと、この受台223aの右縁部から後方へ向かって折り返された状態の脚部223bとからなっている。脚部223bの後縁部は、角筒体30の後方内壁面に当止されるように寸法設定されている。
【0039】
前記第2エッジブロック23は、ショックアブソーバ40およびコイルスプリング50の右端部を取り付けるためのものである。かかる第2エッジブロック23は、内壁面に当接状態で角筒体30に嵌入されるように寸法設定され、二股片29の左端面から一体的に延設されている。かかる第2エッジブロック23には、その左面下部位置にショックアブソーバ40の右端部を嵌入するための円孔231が凹設されているとともに、この円孔231の上方位置には、上方に向かって突設された左右方向から見てY字状のY字片232が設けられている。このY字片232は、コイルスプリング50の右端部を係止するためのものである。
【0040】
また、第2エッジブロック23の上下の面には、上下方向に延びたネジ孔233がそれぞれ螺設されている。そして、第2エッジブロック23が右面開口から角筒体30内へ差し込まれた状態で、角筒体30を貫通したネジSをネジ孔233に螺着して締結することにより、第2エッジブロック23が角筒体30に固定される。
【0041】
さらに、第2エッジブロック23には、前記円孔231に対応した位置に、当該円孔231を横断した状態でかしめ孔234が穿設されている。このかしめ孔234は、ショックアブソーバ40の右端部が円孔231に嵌入された状態で、当該ショックアブソーバ40を貫通するピン(垂直軸)Pを通して当該ピンPにかしめ処理を施させるためのものである。
【0042】
一方、第2エッジブロック23と一体の前記二股片29には、上下方向に延びた貫通孔292が穿設され、ネジSをこの貫通孔292を通して立て付け戸90の上縁面に螺設された図略のネジ孔に螺着し締結することで戸首部材20の右端部が立て付け戸90に固定されることになる。
【0043】
前記角筒体30は、金属板を端面視でコ字状を呈する前面側が開放状態の第1アングル材31と、この第1アングル材31に全長に亘って前方から外嵌される後面側が開放状態の端面視でコ字状を呈する第2アングル材32とからなっている。
【0044】
前記第1アングル材31には、その上下の横板314における前後のエッジブロック22,23の各ネジ孔221a,233に対応した位置にネジ孔315がそれぞれ螺設されているとともに、前記第2アングル材32には、その上下の横板323における前後の前記ネジ孔315に対応した位置にはネジSを挿通して前記第2エッジブロック23のネジ孔233に螺着させるための挿通孔324がそれぞれ穿設されている。
【0045】
従って、第1アングル材31に第2アングル材32を外嵌して角筒体30を形成させた状態で、当該角筒体30の左端部に第1エッジブロック22のブロック本体221を嵌め込むとともに、角筒体30の右端部に第2エッジブロック23を嵌め込んだ状態で、ネジSを角筒体30の前後の挿通孔324およびネジ孔315を介して第1エッジブロック22のネジ孔221aおよび第2エッジブロック23のネジ孔233にそれぞれ螺着することによって、第1アングル材31および第2アングル材32が一体化されるとともに、角筒体30に第1および第2エッジブロック22,23が固定される。
【0046】
本実施形態においては、前記角筒体30と、この角筒体30の左端部に装着される前記第1エッジブロック22と、同右端部に装着される第2エッジブロック23とで本発明に係る枠体が形成されている。
【0047】
そして、第1実施形態においては、左右方向へ延びるガイドスリット33およびこのガイドスリット33に連設された上下幅寸法がガイドスリット33のそれより広い角孔34が第2アングル材32の縦板321側に設けられている。ガイドスリット33は、第2アングル材32の縦板321の左右方向の中央部より若干左方位置を始点にして左方へ延びるように設けられている。角孔34は、かかるガイドスリット33の左端部に連設されている。角孔34は、縦板321の略全上下幅に亘るように大きく形成されている。
【0048】
前記ショックアブソーバ40は、図3に示すように、前記角筒体30に内装されるものであり、角筒体30内で左方側に配設される内筒体41と、この内筒体41に摺接状態で右方から外嵌される外筒体42とを備えている。かかるショックアブソーバ40は、スライドアシスト装置10による立て付け戸90の開閉操作のアシスト時に、当該立て付け戸90が急激に移動するのを緩衝して穏やかにアシストさせるためのものである。
【0049】
かかる緩衝作用のために、ショックアブソーバ40の適所に図略の一方弁が設けられ、内筒体41が外筒体42から引き出されるときは、当該一方弁が開放して空気がショックアブソーバ40内に容易に吸入される一方、内筒体41が外筒体42に押し込まれるときは当該一方弁が半開状態とされ、これによる気流に対する大きな抵抗の付与で内筒体41の外筒体42への押し込み速度が緩やかになるようになされている。
【0050】
前記内筒体41の左端部には、挿通孔416aの穿設された第1ブラケット416が設けられているとともに、外筒体42の右端部には、挿通孔426aの穿設された第2ブラケット426が設けられている。第1ブラケット416の挿通孔416aは、ピンPを通してスライドブロック45に内筒体41を連結するためのものである。
【0051】
また、第2ブラケット426の挿通孔426aは、外筒体42の右端部を第2エッジブロック23の円孔231に嵌入した状態で、かしめ孔234に差し通されたピンPを挿通させるものであり、こうすることで外筒体42の右端部が第2エッジブロック23に固定される。
【0052】
前記コイルスプリング50は、第2エッジブロック23とスライドブロック45との間に介設されてスライドブロック45に付勢力を付与するためのものである。かかるコイルスプリング50の各端部には、円形係止片55が同心で固定されている。これらの円形係止片55の左方のものがスライドブロック45に係止されるとともに、右方のものが第2エッジブロック23に係止され、これによってコイルスプリング50がスライドブロック45および第2エッジブロック23間に張設されるようになっている。
【0053】
前記スライドブロック45は、立て付け戸90の開閉動作をアシストするべく、当該アシスト力(具体的にはコイルスプリング50の付勢力)を蓄積するとき、および蓄積されたアシスト力(コイルスプリング50の付勢力)を立て付け戸90の開閉動作に与えるときに角筒体30内を摺動するものである。
【0054】
かかるスライドブロック45は、直方体状を呈したブロック基体451と、このブロック基体451の左前方角部の上下方向の中央部が切り欠かれることによって形成された上下一対の軸支板452と、これら一対の軸支板452間の右方位置でブロック基体451から前方に向かって突設された突設片453と、ブロック基体451の右端部に形成された二股部分の隙間が上下方向へ延びて上部が開放状態のY字片454とを備えている。
【0055】
前記一対の軸支板452に引掛け部材49を装着するための装着空間46が形成されている。かかる一対の軸支板452には、その前方左角部に上下方向に延びたかしめ孔452aがそれぞれ穿設されている。そして引掛け部材49の適所が装着空間46に嵌め込まれた状態で、引掛け部材49を貫通するようにかしめ孔452aにピンPを差し込み、かしめ止めすることで引掛け部材49がスライドブロック45に装着された状態になる。そして、本実施形態においては、スライドブロック45と引掛け部材49とで本発明に係る引戸側係合部材が形成されている。
【0056】
前記突設片453は、上下寸法が前記ガイドスリット33の上下寸法より僅かに短めに設定され、これによってスライドブロック45が角筒体30に内装された状態で、ガイドスリット33から前方に向かって外部に突出するようになされている。
【0057】
本実施形態のスライドブロック45は、突設片453が設けられているため、立て付け戸90を急激に開閉操作した場合、この突設片453がトリガー60の係合条(突出部)66と係合し、これによってスライドブロック45の急激な移動が円筒部材40の作用で抑えられるため、結果として立て付け戸90の急激な開閉を抑制することができる。
【0058】
前記Y字片454は、コイルスプリング50の左の円形係止片55を係止するためのものであり、当該円形係止片55の軸の部分をY字片454の隙間に嵌め込むことでコイルスプリング50は、その左端がスライドブロック45に装着される。一方、コイルスプリング50の右端部の円形係止片55は、前記のように第2エッジブロック23のY字片232に係止される。左右の円形係止片55がスライドブロック45および第2エッジブロック23の各Y字片454,232に係止されることにより、コイルスプリング50がスライドブロック45および第2エッジブロック23間に介設された状態になる。
【0059】
また、ブロック基体451には、その右端面における第2エッジブロック23の前記円孔231に対向した位置に内筒体41の左端部を嵌め込むための円孔455が凹設されているとともに、この円孔455を横断するように前後方向へ延びたかしめ孔456が穿設されている。そして、内筒体41の左端部が円孔455に嵌入された状態で、ピンPがかしめ孔456および第1ブラケット416の挿通孔416aにそれぞれ嵌入してかしめ止めされることにより、内筒体41がスライドブロック45に連結される。
【0060】
前記引掛け部材49は、スライドブロック45に装着された状態で、立て付け戸90の開閉動作に応じ(具体的には、左側のスライドアシスト装置10については立て付け戸90の閉止操作時、右側のスライドアシスト装置10については、立て付け戸90の開放操作時)トリガー60と係合してスライドブロック45の鴨居70に対する相対移動を阻止するためのものである。
【0061】
かかる引掛け部材49は、平面視で左方に向かって先細りに形成された三角形状を呈する三角ブロック491と、この三角ブロック491の前面左半分の部分に固定された平面視で左方へ向かって先細りの舌片492とを備えている。前記三角ブロック491は、スライドブロック45の一対の軸支板452間に形成された前記装着空間46に装着されるものであり、上下寸法が装着空間46の上下寸法より僅かに小さめに設定されている。かかる三角ブロック491は、左右方向の略中央部に上下方向に延びた前記かしめ孔452aの対応する挿通孔491aが穿設されている。そして、ピンPがこれらかしめ孔452aおよび挿通孔491aに貫通された状態でかしめ止めされることにより、引掛け部材49がピン(垂直軸)P回りに回動可能に軸支された状態でスライドブロック45に装着される。
【0062】
前記舌片492は、上下寸法がガイドスリット33の上下寸法より長く、かつ、角孔34の上下寸法より短く設定されているとともに、左右寸法が角孔34の左右寸法より若干短めに設定されている。そして、舌片492がガイドスリット33の範囲内にあるときは、当該舌片492は、図3に示すように、ガイドスリット33から角筒体30の外部に突出した状態になっている。
【0063】
この状態で、舌片492の右角部(第1係止部)492aが、図3の円内に示すように、トリガー60の後述の係合条66に当接している。従って、この状態で立て付け戸90を開放するべく右方へ移動させると、舌片492の右角部492aが係合条66に当止してスライドブロック45がこれ以上右方へ移動しなくなるため、スライドブロック45がその位置に残ったまま角筒体30のみが右方へ移動することになる。この移動によってコイルスプリング50は伸張し、付勢力が蓄積されていく。
【0064】
そして、立て付け戸90の開放操作を継続すると、ついには舌片492がガイドスリット33を相対的に通り越して角孔34へ到達する。この角孔34へ到達した舌片492は、その傾斜面492bが角孔34の左縁部と係合して当該傾斜面492bが角孔34の左縁部に誘導され、図4に示すように、ピンP回りに時計方向へ回動して角筒体30内へ没入する。
【0065】
そして、角筒体30内へ没入した舌片492は、その右角部492aが角孔34の右縁部と係合しているため、コイルスプリング50は伸張状態を維持したまま、舌片492が係合条66を通過して戸首部材20はさらに右方へ移動することができる。
【0066】
逆に、閉止された立て付け戸90を開放していくとき(すなわち、立て付け戸90を左方へ移動させるとき)は、立て付け戸90がある程度開放された状態で引掛け部材49の三角ブロック491の前方右縁部(第2係止部)491bが係合条66と係合し、これによって引掛け部材49がピンP回りに反時計方向に回動して舌片492が角孔34から外部へ抜け出す。これによりコイルスプリング50の付勢力で引掛け部材49がガイドスリット33を相対的に右方へ移動しつつ立て付け戸90がコイルスプリング50の付勢力によって開放されることになる。
【0067】
ところで、この種のアシスト装置にあっては、引掛け部材49の舌片492がトリガー60の係合条66と係合し損なって適正にコイルスプリング50を伸張し得なくなったり、あるいはコイルスプリング50の付勢力をスライドアシスト力として付与することができなくなったりするなど、スライドアシスト装置10として正常に機能し得なくなるような場合がある。
【0068】
また、立て付け戸90を閉めきったり開ききったりしたとき、係合姿勢から解除姿勢に姿勢変更しなければならないはずの舌片492が、係合姿勢のままになっているような場合もある。このような場合、従来の装置では、立て付け戸90を鴨居70から外してスライドアシスト装置10を調整する必要があった。
【0069】
そこで、引掛け部材49の下部を、図5に示すように、鴨居用案内溝71から下方へ向けて突出させるように構成することで、舌片492の下端部が鴨居70から外部に露出しているので、舌片492が正常に動作しなくなったような場合、これを一別することができるとともに、誤動作が生じている場合には、舌片492の露出している部分を手で操作することにより簡単に正常な状態に調整することができるようになった。
【0070】
前記トリガー60は、立て付け戸90の開閉操作時に引掛け部材49の舌片492と係合させるためのものであり、立て付け戸90が開放されたり閉止されたりしたときに、舌片492とスライドブロック45の突設片453との間に位置するように前方内壁73の側に取り付けられている。
【0071】
かかるトリガー60は、金属板を所定の形状にプレス処理することによって形成され、左右方向から見て1段の階段状に形成されており、板状の上部ブラケット片(フランジ部)64と、この上部ブラケット片64より下方位置に位置設定される下部ブラケット片(フランジ部)65と、上部ブラケット片64の前縁部と下部ブラケット片65の後縁部との間に架設された上下方向に延び、かつ、後方へ向けて膨出した係合条66とを備えている。係合条66は、上下寸法が鴨居用案内溝71の前方内壁73の上下長と同一に設定されている。
【0072】
また、上部および下部ブラケット片64,65には、それらの中央部に貫通孔67がそれぞれ穿設されている。そして、上部ブラケット片64が鴨居用案内溝71の天井に当接されるとともに、下部ブラケット片65が鴨居70の鴨居用案内溝71より前方の下面に当接された状態で、それぞれの貫通孔67,67に木ネジMを差し通して鴨居70へねじ込むことにより、トリガー60が、図2に示すように、鴨居70に固定される。
【0073】
以下、図6および図7を基に、第1実施形態に係るスライドアシスト装置10の作用について説明する。図6および図7は、スライドアシスト装置10の作用を説明するための平面視の一部断面説明図であり、図6(A)は、立て付け戸90が閉止されることによって舌片492が係合姿勢に姿勢設定されたスライドアシスト装置10が最左端に位置した状態、図6(B)は、立て付け戸90の開放動作によってコイルスプリング50が伸張しつつある状態、図6(C)は立て付け戸90が所定距離だけ移動したことにより引掛け部材49の舌片492が角孔34に到達してピンP回りに時計方向に回動して解除姿勢に姿勢変化し、角孔34を介して角筒体30内へ没入した状態、図6(D)は、解除姿勢に姿勢設定された舌片492がトリガー60の係合条66を遣り過ごしてコイルスプリング50の付勢力を維持したまま立て付け戸90が開放動作を継続している状態をそれぞれ示している。
【0074】
また、図7(A)は、一旦開放された立て付け戸90を閉止操作することにより、引掛け部材49の三角ブロック491の前方右縁部491bがトリガー60の係合条66に係合した状態、図7(B)は、舌片492が角孔34から抜け出して解除姿勢から係合姿勢へ姿勢変化し、これによって舌片492の右角部492aが係合条66に係合した状態をそれぞれ示している。なお、図6および図7におけるXおよびYによる方向表示は図8の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0075】
まず、図6(A)に示すように、立て付け戸90が閉止された状態では、引掛け部材49の舌片492はガイドスリット33に嵌り込んだ係合姿勢に設定され、かつ、舌片492の右角部492aがトリガー60の係合条66に係合した状態になっている。このとき、コイルスプリング50は、付勢力が略発生しない最小長さになっている。
【0076】
この状態で立て付け戸90を右方へ移動させて開放していくと、舌片492は、その右角部492aがトリガー60の係合条66と係合していて右方へ移動することができないため、結局スライドブロック45がこの位置に残留したまま角筒体30のみが右方へ移動していくことになる。従って、角筒体30のこの移動により、コイルスプリング50が伸張していき、付勢力が蓄積されていく。
【0077】
そして、角筒体30の移動が進行して舌片492が角孔34に対応した状態になると、舌片492の右角部492aが係合条66によって左方へ向かって相対的に押圧されているとともに、傾斜面492bの左端部が角孔34の左縁部に案内されるため、舌片492は、ピンP回りに時計方向へ向けて回動し、これによって、図6(C)に示すように、角孔34を介して角筒体30内に没入した解除姿勢へ姿勢変更する。
【0078】
ついで、解除姿勢に姿勢変更された舌片492は、コイルスプリング50の付勢力で右方へ引っ張られ、舌片492の右角部492aが角孔34の右縁の前後の部分に当止する(図6(D))。これによってスライドブロック45は、角筒体30に対し相対的に右方へ向けて移動し得なくなっているとともに、コイルスプリング50は、最大の付勢力が保持された状態になる。解除姿勢に姿勢設定された舌片492は、係合条66との係合状態が解除されるため、立て付け戸90は、図6(D)に示すように、舌片492が係合条66を遣り過ごしつつ開放することができる。
【0079】
そして、一旦開放された立て付け戸90を左方へ移動させて開けていくと、図7(A)に示すように、三角ブロック491の前方右縁部491bが係合条66に係合し、これによって舌片492は、ピンP回りに反時計方向に向けて回動して係合条66に対する解除姿勢から係合条66に係合する係合姿勢へと姿勢変更する(図7(B)参照)。
【0080】
そして、舌片492は、この姿勢変更によって角孔34から抜け出し、当該舌片492の右角部492aが角孔34の右縁部へ係止されていた状態が解消されるため、引掛け部材49は、その三角ブロック491がガイドスリット33に入り込み得るようになる。
【0081】
そして、図7(B)に示すように、舌片492が係合条66に係合し、且つ、三角ブロック491がガイドスリット33に入り込んだ状態では、弾性変形で伸張しているコイルスプリング50の付勢力は、角筒体30を左方へ移動させるように作用するため、結果として立て付け戸90は、スライドアシスト装置10のアシストにより角筒体30を介し左方へ自動的に移動して閉止される。
【0082】
第1実施形態のスライドアシスト装置10に関し、図2〜図7では、立て付け戸90の左側に設けられるものを例に挙げて説明したが、右側のものは、左側のものと左右対称に形成され、立て付け戸90を閉止するときにアシストするようになされている以外、構成および作用効果の点で左側のものと同様である。
【0083】
以上詳述したように、第1実施形態に係るスライドアシスト装置10によれば、立て付け戸90に設けられた引戸側係合部材としての引掛け部材49は、鴨居用案内溝71の側方側でトリガー60の係合条66と係合するので、立て付け戸90頂面と鴨居70の鴨居用案内溝71の下面(溝底)との間の比較的狭い空間で係合する従来のアシスト装置と比べてその上下幅を十分に(具体的には、鴨居用案内溝71の溝深さ寸法まで)確保することができる。また、トリガー60および引掛け部材49の少なくとも一方は、互いに確実に係合し合う所定の上下幅に設定されているため、寸法誤差や組み付け誤差等による鴨居70側および立て付け戸90側の上下の相対位置関係に変動があっても、所定幅に形成された少なくとも一方側の係合部材の幅寸法によって誤差等の上下位置関係の変動を吸収することができ、これにより両係合部材が互いに係合し合わないような不都合の発生を確実に防止することができる。
【0084】
しかも、このように構成することで、上下の相対位置関係の変動を調整するための調整装置を別途設ける必要がなく、その分、コストの上昇を抑制することができるばかりか、調整作業も不要になる。
【0085】
また、トリガー60の係合条66および引掛け部材49の舌片492の上下寸法の総和は、鴨居用案内溝71の溝壁の上下寸法と略同一ないしはそれより大きく設定されていることが好ましく、こうすることで、立て付け戸90の頂部が鴨居用案内溝71に遊嵌されている限り係合条66および舌片492は、少なくとも上下方向のいずれかの個所で接触することとなり、上下位置関係の変動に拘わらず両者を確実に係合させることができる。
【0086】
また、第1実施形態のスライドアシスト装置10においては、鴨居側係合部材としてのトリガー60は、鴨居用案内溝71の溝壁から立て付け戸90側へ突出する係合条66と、この係合条66の上下から延設された上部ブラケット片64および下部ブラケット片65とを有し、これら上下のブラケット片64,65が鴨居用案内溝71の側壁面に固定されているため、係合条66の鴨居70への取付状態を安定させることができ、舌片492が誤動作を起こさないようにすることができる。
【0087】
そして、特に引掛け部材49は、その下縁部が鴨居用案内溝71の開口部より下方に位置するように設定されているため、引掛け部材49の作動状態を簡単に視認することができ、しかも、舌片492が所定の姿勢に姿勢設定されなければならないにも拘わらずにそれが実現されていないときなどには、引掛け部材49の露出している部分を手で操作することで舌片492を本来あるべき正常な姿勢に調整することができる。
【0088】
また、本実施形態においては、2つのスライドアシスト装置10が採用され、一方のスライドアシスト装置10を立て付け戸90の閉止操作で機能させる一方、他方のスライドアシスト装置10を立て付け戸90の解放操作で機能させるようにしているため、立て付け戸90を開くときと閉じるときとの双方でスライドアシスト装置10がその機能を発揮し、これにより立て付け戸90の開け閉めの双方が容易になるとともに、立て付け戸90の閉め残しおよび開け残しの双方を生じなくすることができる。
【0089】
しかも、本実施形態においては、円筒部材40やスライドブロック45、さらには引掛け部材49やコイルスプリング50等が角筒体30内装されてなる戸首部材20は、鴨居70の鴨居用案内溝71に遊嵌される立て付け戸90の戸首の一部として構成されている。従って、スライドアシスト装置10が設けられていない立て付け戸の頂部のオリジナルの戸首を戸首部材20と取り替えるという簡単なリフォーム処理で、アシスト機能を有しない通常の立て付け戸を、本発明に係るアシスト機能を備えたものにリフォームすることができる。
【0090】
そして、このように、左右対称のスライドアシスト装置10を立て付け戸90の頂部に設けることによって、立て付け戸90の開閉操作の双方でスライドアシスト装置10によるスライドアシストを受けることができ好都合である。
【0091】
以下、図8〜図19を基に本発明の第2実施形態に係るスライドアシスト装置10′について説明する。これらの図の内、まず、図8は、本発明に係る引戸のスライドアシスト装置の第2実施形態が適用された立て付け戸を示す分解斜視図であり、図9は、その組み立て斜視図である。なお、図8および図9においてX方向を左右方向、Y方向を前後方向といい、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。
【0092】
まず、図8に示すように、引戸のスライドアシスト装置10′は、頂部が鴨居70に設けられた下面開放の鴨居用案内溝71に遊嵌され、かつ、下縁部が敷居80に開閉方向へ延びるように設けられた下部案内溝(ガイド部)81に嵌め込まれた状態で左右方向に正逆移動して開閉可能とされた、いわゆる立て付け戸(引戸)90を対象とするものである。鴨居用案内溝71は、溝幅寸法が、後述する角筒体30の前後幅寸法に後述する矢尻片(戸首側係合部材)48の角筒体30からの突出量を加えた寸法より若干広めに設定されている。
【0093】
立て付け戸90は、第1実施形態のスライドアシスト装置10で採用されたものと同一であり、平らな板状の戸本体91と、この戸本体91の上縁部に設けられる目隠し板92と、この戸本体91の下縁部に取り付けられた左右方向一対に戸車93とを備えている。戸車93は、戸本体91の下縁部の適所が凹没されることによって形成された戸車収納凹部931に装着され、外観視を美麗にするべく外部からは視認し得ないようになされている。
【0094】
そして、立て付け戸90が建物のドアー枠における鴨居70と敷居80との間に立て付けられた状態で、当該立て付け戸90の上部と鴨居70の案内溝71の溝壁との間にスライドアシスト装置10′をメンテナンスするためのメンテナンス用の隙間が形成されている。こうすることで、スライドアシスト装置10′に不具合が生じた場合、立て付け戸90を外すような面倒な作業を行わなくても、隙間から指を差し入れてスライドアシスト装置10′の不具合を解消することができ、立て付け戸90のメンテナンス作業の作業性を向上させることができる。
【0095】
そして、このような立て付け戸90に適用される引戸のスライドアシスト装置10′は、戸本体91の上縁部の左右対称位置(具体的には、それぞれ立て付け戸90の上縁部の右端および左端に寄せた位置)に取り付けられる左右一対の戸首部材20′と、この戸首部材20′に対応して前記鴨居70の鴨居用案内溝71の後方内壁(溝壁)72に固定された左右一対の係合プレート(鴨居側係合部材)60とを備えている。一対の係合プレート60′は、立て付け戸90を開閉するに際し、一対の戸首部材20′の内の対応した方の後述する矢尻片48と係合させるためのものであり、鴨居用案内溝71の後方側の後方内壁(溝壁)72の左右対称位置にそれぞれ取り付けられている。
【0096】
戸首部材20′が立て付け戸90の上縁部に左右一対で設けられるのは、立て付け戸90のスライドアシストにおいて、立て付け戸90を右方へ向けて移動(本実施形態では立て付け戸90の閉止方向への移動)させるとき右側の戸首部材20′を機能させる一方、立て付け戸90を左側へ移動(本実施形態では立て付け戸90の開放方向への移動)させるとき左側の戸首部材20′を機能させるようにするためである。
【0097】
各戸首部材20′の前後幅寸法は、立て付け戸90の厚み寸法より若干小さめ(具体的には立て付け戸90の厚み寸法の略2/3)に設定されている。かかる各戸首部材20′の対向端面には、それぞれ装着隙間291を有する直方体状の二股片29が固定されている。各装着隙間291は、二股片29の対向面に上下方向に延びるように設けられている。そして、前記目隠し板92は、左右の端部がこれら一対の二股片29の各装着隙間291に嵌め込まれることにより、図9に示すように、一対の戸首部材20′間に形成された間隙が埋められ、これによってこの部分を通した向こう側が目隠しされるようになっている。
【0098】
以下、かかる引戸のスライドアシスト装置10′について、図10〜図13を基にさらに詳細に説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係る戸首部材20′を示す分解斜視図であり、図11は、その組み立て斜視図である。また、図12は、図11のXII−XII線断面図であり、図13は、図11のXIII−XIII線断面図である。なお、図10〜図13においてX方向を左右方向といい、Y方向を前後方向という。そして、特に−Xを左方、+Xを右方、−Yを前方、+Yを後方という。因みに、図10〜図13においては、左右対称に設けられた戸首部材20′および係合プレート60′の内の右側のもののみを示している。左側のものは、右側のものと左右対称に形成されていることを除いてその構成は左側のものと同一である。そして、右側の戸首部材20′′は、立て付け戸90を閉止するときに当該閉止操作をアシストし、左側の戸首部材20′′は、立て付け戸90を開放するときに当該開放操作をアシストする。
【0099】
前記戸首部材20′は、それぞれ直方体状を呈する左右方向一対のエッジブロック21と、これら一対のエッジブロック21が両端部に嵌め込まれる角筒体30と、この角筒体30に内装される円筒部材40′と、この円筒部材40′に内装されるコイルスプリング(引きバネ)50′と、前記円筒部材40′の右端部に取り付けられ、立て付け戸90の開閉操作で前記係合プレート60′と係合したり係合が解除されたりする、矢尻片48とを備えて構成されている。円筒部材40′は、長さ寸法が立て角筒体30の左右方向の寸法の略半分に設定されている。
【0100】
前記一対のエッジブロック21の内の図10〜図12に示す左方のものには、その左面側に前記二股片29が二股部分を左方へ向けた状態で一体に延設されているとともに、右面側には、左方へ向かって切り込まれることによって形成された上下方向に延びる切り込み溝211が設けられている。
【0101】
また、エッジブロック21には、前記切り込み溝211を通るように前後方向に向けて貫通された貫通孔212が設けられている。さらに、左側のエッジブロック21の左面には、左右方向へ延びるネジ孔213が螺設されている。これに対し右側のエッジブロック21は、切り込み溝211は設けられず、左側のものと同様の貫通孔212が穿設されているとともに、右面側に左右方向に延びるネジ孔213が螺設されている。
【0102】
前記角筒体30は、金属板を端面視でコ字状を呈するようにプレス処理して形成された、両端部に前記エッジブロック21が嵌め込まれる、前面側が開放状態の第1アングル材31と、この第1アングル材31に全長に亘って外嵌される後面側が開放状態の端面視でコ字状を呈する第2アングル材32とからなっている。
【0103】
前記第1アングル材31には、その縦板311における前後のエッジブロック21の各貫通孔212に対応した位置にネジ孔312がそれぞれ螺設されているとともに、前記第2アングル材32には、その縦板321における前後のエッジブロック21の各貫通孔212に対応した位置にネジSを挿通するための挿通孔322がそれぞれ穿設されている。
【0104】
さらに、第1アングル材31の縦板311には、その左右方向の略中央位置から右方へ向かって前後方向に貫通状態で切り込まれることにより形成された左右方向に長尺のガイドスリット33と、このガイドスリット33の右端部に連通した縦板311の全上下幅に亘る角孔34とが設けられている。
【0105】
本実施形態においては、角筒体30と、この角筒体30の前後の端部に装着される一対のエッジブロック21とで本発明に係る枠体が形成されている。
【0106】
以下、円筒部材40′、コイルスプリング50′および矢尻片48について図14および図15を基に必要に応じて他の図面も参照しながら詳細に説明する。図14は、円筒部材40′の一実施形態を示す分解斜視図であり、図15は、その一部切り欠き組み立て斜視図である。なお、図14および図15におけるXおよびYによる方向表示は図10の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0107】
円筒部材40′は、図11に示すように、前記角筒体30に内装されるものであり、図14に示すように、角筒体30内で左方側に配設される内筒体41′と、この内筒体41′に右方から外嵌される外筒体42′と、この外筒体42′の右端部に固定された外観視で直方体状を呈する、前記矢尻片48を装着するための箱体43とを備えている。前記コイルスプリング50′は、図14に示すように、伸張状態で内筒体41′の左端部と外筒体42′の右端部との間に架設される。
【0108】
そして、第2実施形態においては、前記箱体43と、前記矢尻片48とで本発明に係る引戸側係合部材が形成されている。
【0109】
前記内筒体41′は、その左端部開口を閉止するための左方栓部材411を有している。この左方栓部材411は、内筒体41′へ圧入可能に径設定された円柱状の栓本体412と、この栓本体412の左端面から左方へ向かって突設された第1ブラケット413と、同右端面から右方へ向かって突設された第2ブラケット414とからなっている。
【0110】
前記栓本体412には、左右方向に向けて貫通した通気孔415が設けられているとともに、この通気孔415の途中には図略の逆止弁が設けられている。この逆止弁は、円筒部材40′内へ向かう気流を容易に流通させることができる一方、円筒部材40′内から外部へ向かう気流は大きな抵抗によって流通困難になるように設定され、これによって立て付け戸90を閉止するときの緩衝器としての機能を果たすようになされている。
【0111】
前記第1ブラケット413は、円筒部材40′を前記左側のエッジブロック21に連結するためのものである。第1ブラケット413には、貫通孔413aが穿設されている。そして、第1ブラケット413を左方のエッジブロック21の切り込み溝211に差し込んだ状態で当該エッジブロック21を第1および第2アングル材31,32で挟持し、この状態で第2アングル材32の挿通孔322、エッジブロック21の貫通孔212および第1ブラケット413の貫通孔413aにネジSを挿通し、当該ネジSを第1アングル材31のネジ孔312に螺着して締結することにより、円筒部材40′が角筒体30内に装着された状態になる。
【0112】
前記第2ブラケット414には、コイルスプリング50′の左端部(具体的には後述の左側のフック51)を係止するための係止孔414aが穿設されている。
【0113】
前記外筒体42′は、その右端部開口が右方栓部材421によって閉止されている。右方栓部材421は、外筒体42′に圧入される栓本体422と、この栓本体422の左端面から左方に向かって突設された第3ブラケット423とを備えている。第3ブラケット423には、コイルスプリング50′の右端部(具体的には後述の右側のフック51)を係止するための係止孔423aが穿設されている。
【0114】
前記コイルスプリング50′は、装着状態で内筒体41′の第2ブラケット414と外筒体42′の第3ブラケット423との間に架設され、これによって内筒体41′を外筒体42′内へ没入させる方向に向けて付勢するものである。かかるコイルスプリング50′の両端部には、それぞれフック51が形成されている。そして、コイルスプリング50′は、これらのフック51が第2および第3ブラケット414,423の各係止孔414a,423aにそれぞれ係止されることによって円筒部材40′に装着された状態になる。
【0115】
前記箱体43は、矢尻片48を保持するためのものである。かかる箱体43は、その左面板431が外筒体42′の右端部に溶接等によって固定されている。箱体43の右面は開放状態とされている。また、箱体43の後面板432には、矢尻片48の後述する首部482を通すための左右方向に延びた長孔433が穿設されている。長孔433の右端は開放されている。
【0116】
さらに、箱体43の天板434には、箱体43内で矢尻片48を軸支するための軸ネジ(垂直軸)44を通す挿通孔434aが穿設されているとともに、箱体43の底板435には、軸ネジ44を螺着するためのネジ孔435aが螺設されている。
【0117】
従って、軸ネジ44を挿通孔434aに通して矢尻片48の半円部483の支持孔484に貫通させ、先端をネジ孔435aに螺着して締結することにより、矢尻片48が軸ネジ44回りに回動可能に箱体43に装着されることになる。
【0118】
前記天板434および底板435は、これらの後方右角部が挿通孔434aおよびネジ孔435aの孔心を中心とし、かつ半径が天板434および底板435の前後寸法の半分に設定された円周に沿うように円弧状に形状設定されているとともに、後面板432は、この円弧形状に沿うように平面視で湾曲されている。従って、矢尻片48が軸ネジ44回りに時計方向に向けて回動しても、当該矢尻片48の矢尻本体481が箱体43の後方右角部と係合することはない。
【0119】
前記矢尻片48は、図14に示すように、後方の先端が先鋭に尖った平面視で二等辺三角形状の矢尻状を呈する矢尻本体481と、この矢尻本体481の前端面から突設された首部482と、この首部482の前端から延設された平面視で半円状の半円部483とからなっている。前記矢尻本体481は、上下寸法が箱体43の上下寸法と略同一に設定されている。
【0120】
前記首部482は、矢尻本体481の上下方向の略中央部から前方に向かって突設されている。このような首部482の突出量は、円筒部材40′が戸首部材20′角筒体30に内装された状態で首部482がガイドスリット33から外部に突出し得る長さに設定されている。
【0121】
前記半円部483は、曲率半径が首部482の左右寸法と略等しく設定されている。かかる半円部483は、平面視でその弦に対応する部分の右半分が首部482の基端部(前端部)に接続されている。このような半円部483の中央部より僅かに左方へ寄った位置に、上下方向へ貫通した支持孔484が穿設されている。
【0122】
かかる矢尻片48は、その首部482を箱体43の右面開口から後面板432の長孔433へ嵌め込んでいき、挿通孔434aを介して軸ネジ44を半円部483の支持孔484に挿通し、底板435のネジ孔435aに螺着して締結することにより、箱体43に装着される。
【0123】
矢尻片48の設置位置は、当該矢尻片48が箱体43に装着された状態で、首部482が長孔433から、第1アングル材31の厚さ分だけ突出するように設定されている。具体的には、このようになるように軸ネジ44が挿通される挿通孔434aの穿設位置が設定されている。
【0124】
そして、コイルスプリング50′が内筒体41′および外筒体42′に内装され、かつ、矢尻片48が箱体43に装着された円筒部材40′は、立て付け戸90が閉止された状態で、図15に示すように、コイルスプリング50′の付勢力により最小長さ寸法に設定されている。このような状態の円筒部材40′が、その矢尻片48の矢尻本体481を第1アングル材31から外部に突出させた状態で角筒体30に内装される。
【0125】
また、矢尻片48の矢尻本体481は、図13に示すように、その下部が鴨居用案内溝71から下方へ向けて突出されている。このようにされる理由は、第1実施形態の場合と同様であり、スライドアシスト装置10′の作動状態を簡単に視認し得るようにするとともに、誤動作しているときには、矢尻本体481の露出している部分を手で操作することにより容易に正常な状態に戻し得るようにするためである。
【0126】
前記係合プレート60′は、立て付け戸90が開閉されるに際し、前記矢尻片48の矢尻本体481および半円部483の左側部のいずれかと係合して当該矢尻片48を軸ネジ44回りに正逆回動させ、これによって立て付け戸90を閉止するに際し当該閉止操作をアシスト(援助)するものである。
【0127】
係合プレート60′は、金属板を凸字状に折り曲げ処理することによって形成されている。かかる係合プレート60′は、左右一対の裾部61と、これら一対の裾部61間において前方へ向かって膨出された膨出部62とからなっている。そして、このような係合プレート60′の上下寸法は、鴨居用案内溝71の溝深さと同一に設定されている。
【0128】
このような係合プレート60′は、立て付け戸90が図11に示すように閉止された状態で、矢尻片48の矢尻本体481が係合プレート60′の膨出部62の右縁面に当接するように設置位置が設定されている。
【0129】
各裾部61には、少なくとも1つのネジ孔63が螺設され、これらのネジ孔63に鴨居70の後面側から貫通されたネジSが螺着されて締結されることにより、係合プレート60′が鴨居70の鴨居用案内溝71の溝壁に固定されている。
【0130】
図16は、矢尻片48の矢尻本体481の第1アングル材31からの突出状態および矢尻本体481と係合プレート60′との位置関係を説明するためのスライドアシスト装置10′を後面側から見た斜視図であって、図16(A)は、立て付け戸90が閉止された状態、図16(B)は、立て付け戸90が開かれつつある状態をそれぞれ示している。なお、図16におけるXおよびYによる方向表示は図10の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。因みに、図16においては、Xで示した左右が実際の紙面の左右と逆転している。
【0131】
図16(A)に示すように、立て付け戸90が閉止された状態では、矢尻片48の首部482が第1アングル材31のガイドスリット33に嵌り込んで最左端に位置し、これによって矢尻本体481がガイドスリット33の最左端の位置で第1アングル材31から後方に向けて突出した状態になっている。
【0132】
一方、前記係合プレート60′は、立て付け戸90が閉止された状態で膨出部62の右縁面の矢尻片48の矢尻本体481に当接している。従って、立て付け戸90を左方へ移動させて開放していくと、矢尻本体481は膨出部62と係合して動くことができないため、図16(B)に示すように、矢尻本体481と係合している位置に留まってガイドスリット33内を相対的に右方へ向かって移動することになる。このとき、矢尻本体481と一体の外筒体42′も停止するため、内筒体41′のみが移動することになり、これによってコイルスプリング50′は伸張して付勢力が蓄積されることになる。
【0133】
そして、第2実施形態における本発明に係るバネ力伝達機構は、鴨居70に設けられた係合プレート(鴨居側係合部材)60′と、コイルスプリング50′のフリー端部側に取り付けられた立て付け戸90の移動範囲内の所定の範囲で前記係合プレート60′と係合する矢尻片(引戸側係合部材)48とを備えて構成されている。かかるバネ力伝達機構によれば、立て付け戸90が閉止された状態を始点として当該立て付け戸90を開放していくと、矢尻片48が係合プレート60′に係合していることにより、コイルスプリング50′が伸張されてその付勢力が蓄積されていく。これに対し、一旦開放された立て付け戸90を閉止していくと、コイルスプリング50′の蓄積されていた付勢力が当該閉止されつつある立て付け戸90に対してアシスト(援助)する力を発揮し、これによって立て付け戸90を極めて軽く閉止することができるとともに、閉め残しが確実に防止される。
【0134】
そして、鴨居70の後部の下縁面と、立て付け戸90の戸本体91の上縁面(戸本体91の上面における戸首部材20′より後方の部分)との間には、指を差し入れることが可能なメンテナンス隙間dが形成されるようにている。戸本体91の上下寸法や戸首部材20′の上下寸法さらには鴨居70の上下寸法やその鴨居用案内溝71の溝深さ等が互いに関連されながら設定されている。
【0135】
従って、一旦開放した立て付け戸90を閉止するに際し、コイルスプリング50′による正常なアシスト力が得られない等、スライドアシスト装置10′が不調になっているとき(具体的には、矢尻片48の軸ネジ44回りの回動姿勢が正常ではなくなっているとき等)は、このメンテナンス隙間dから不調の状況を視認することができるとともに、メンテナンス隙間dから指を差し入れて矢尻本体481を左右に動かす等の操作を施すことにより、不調を解消させることができる。
【0136】
以下図17〜図19を基に、必要に応じて他の図面も参照しながら、第2実施形態に係る引戸のスライドアシスト装置10′の作用についてさらに詳細に説明する。図17〜図19は、第2実施形態に係るスライドアシスト装置10′の作用を説明するための平面視の断面図であり、図17(A)は、立て付け戸90が閉止された状態、図17(B)は、立て付け戸90が開かれ始めた状態、図18(A)は、矢尻片48の矢尻本体481が係合プレート60′の膨出部62に係合しつつある状態、図18(B)は、立て付け戸90が開放された状態、図19(A)は、立て付け戸90を閉止していって矢尻片48の半円部483が係合プレート60′の膨出部62に係合しつつある状態、図19(B)は、立て付け戸90が閉止される直前の状態をそれぞれ示している。
【0137】
なお、図17〜図19において、円内は、矢尻片48と係合プレート60′との間の相対的な位置関係を説明するための平面視の部分拡大図であり、四角内は矢尻本体481とガイドスリット33、角孔34との間の相対的な位置関係を説明するための部分拡大図である。また、図17〜図19におけるXおよびYによる方向表示は、図10の場合と同様(−X:左方、+X:右方、−Y:前方、+Y:後方)である。
【0138】
まず、図17(A)に示すように、立て付け戸90が閉止されているときには、矢尻片48の矢尻本体481は、角筒体30のガイドスリット33から外部に突出した状態で、その左部が係合プレート60′の膨出部62の右縁部に当接している。
【0139】
この状態で立て付け戸90を左方に向けて移動させて開放していくと、矢尻本体481は、図17(B)に示す用に、上下寸法(図17の紙面に直交する方向の寸法)がガイドスリット33の溝幅寸法より大きいため、当該ガイドスリット33の縁部に阻止されて軸ネジ44回りの時計方向へ向かう回動が阻止され、結局、矢尻本体481(すなわち矢尻本体481と一体の第2アングル材32)が現状の位置を維持したままで第1アングル材31のみが立て付け戸90に同伴して移動することになる。
【0140】
これによって第1および第2アングル材31,32間に介設されているコイルスプリング50′が伸張するため、立て付け戸90の開度が大きくなるに連れてコイルスプリング50′の付勢力が大きくなって蓄積されている。
【0141】
そして、立て付け戸90に対する開放操作を継続することによって矢尻本体481がガイドスリット33の右端部を相対的に通り過ぎると、当該矢尻本体481は、嵌り込み得る大きさの角孔34に対向した状態になるため(図18(A))、係合プレート60′の膨出部62に相対的に押されて軸ネジ44回りに時計方向に向けて回動する。
【0142】
矢尻本体481は、この回動によって角孔34内へ嵌り込み、膨出部62に対する当接状態は解消される。これに代わって矢尻本体481の左縁部が、図18(A)の円内に示すように、角孔34の左縁部に係止された状態(すなわち、角筒体30内で左方へ移動し得ない状態)になる。このとき、矢尻片48の半円部483は、軸ネジ44回りに時計方向に回動することによってガイドスリット33から後方に向かって突出し、膨出部62の左方に位置した状態になる。
【0143】
従って、図18(B)に示すように、以後この状態(すなわち、コイルスプリング50′が最大限に伸張した状態)を維持したまま立て付け戸90は、最大開度まで開放されることになる。
【0144】
ついで、一旦開放された立て付け戸90を閉じていくと、当該立て付け戸90が略半分閉じた状態で、図19(A)に示すように、ガイドスリット33から右方へ向けて突出している矢尻片48の半円部483が係合プレート60′の膨出部62の左縁部に当接する。従って、この状態で立て付け戸90の閉止操作を継続すると、半円部483が膨出部62によって相対的に押圧されることで矢尻片48が軸ネジ44回りに反時計方向に向けて回動し、これによって半円部483がガイドスリット33を介して角筒体30内に没入する一方、矢尻本体481が角孔34から外部に突出して首部482がガイドスリット33内に嵌り込む。
【0145】
従って以後は、図19(B)に示すように、矢尻本体481の根本部分が角孔34の左縁部から外れることにより、矢尻片48がガイドスリット33に案内されつつ移動可能になるため、結果として立て付け戸90は、一旦伸張して付勢力が蓄積されたコイルスプリング50′の圧縮により、特に大きな力を加えなくても当該コイルスプリング50′のアシストにより軽く閉止することができるようになる。
【0146】
第2実施形態のスライドアシスト装置10′に関し、図10〜図19では、立て付け戸90の右側に設けられるものを例に挙げて説明したが、左側のものは、右側のものと左右対称に形成され、立て付け戸90を開放するときにアシストするようになされている以外、構成および作用効果の点で右側のものと同様である。
【0147】
そして、このように、左右対称のスライドアシスト装置10′を立て付け戸90の頂部に設けることによって、立て付け戸90の開閉操作の双方でスライドアシスト装置10′によるスライドアシストを受けることができ好都合である。
【0148】
第2実施形態のスライドアシスト装置10′についても、その作用効果は、第1実施形態のものと同様であるが、特に第2実施形態のスライドアシスト装置10′にあっては、立て付け戸90側の係合部材である矢尻片48の構造が、第1実施形態のスライドブロック45および引掛け部材49からなる引戸側係合部材に比較して簡単な構造であるため、その分、製造コストの低減化に貢献することができる。
【0149】
以上詳述したように、本発明に係るスライドアシスト装置10,10′は、引戸として頂部の戸首部材20,20′が鴨居70の鴨居用案内溝71に遊嵌され、かつ、下縁部が敷居80に開閉方向へ延びるように設けられた敷居用案内溝81に支持されて案内される、いわゆる立て付け戸90を対象とするものであり、当該立て付け戸90のスライド操作をアシストするためのものである。
【0150】
そして、かかるスライドアシスト装置10,10′は、鴨居70に設けられた鴨居側係合部材(第1実施形態ではトリガー60、第2実施形態では係合プレート60′)と、立て付け戸90の移動範囲内の所定の範囲で係合プレート60と係合する戸首部材20側に設けられた戸首側係合部材(第1実施形態ではスライドブロック45および舌片492を備えた引掛け部材49、第2実施形態では矢尻片48)と、鴨居側係合部材および戸首側係合部材が互いに係合した状態で立て付け戸90が移動することにより立て付け戸90に付勢力を付与するコイルスプリング50,50′とからなり、蓄積されたコイルスプリング50,50′の付勢力を利用して立て付け戸90の移動をアシストするように機能するバネ力伝達機構とを備えている。
【0151】
かかる構成のスライドアシスト装置10,10′によれば、閉止されている立て付け戸90を開いたり、または開放されている立て付け戸90を閉じたりするに際し、当該立て付け戸90は、コイルスプリング50,50′の付勢力によって移動がアシストされるため、立て付け戸90の開放または閉止のための移動操作が軽くなり、立て付け戸90の移動操作が容易になるとともに、立て付け戸90の閉め残しや開け残しを起こさないようにすることができる。
【0152】
そして、鴨居側係合部材は、鴨居70の鴨居用案内溝71の後方内壁72側に設けられているとともに、戸首側係合部材は、戸首部材20における後方内壁72に対向した面側に設けられているため、両者の上下方向の位置変動に拘わらずに両者を係合させるように設計することが可能であり、結果として立て付け戸90が吊り戸ではない立て付け戸であっても、寸法誤差や組み付け誤差などによって鴨居70側および戸首部材20側の係合部材間の相対的な位置関係の変動により両者の係合が行われなくなるような不都合の発生が確実に防止され、結果としてスライドアシスト装置10,10′をより確実に機能させることができる。
【0153】
また、スライドアシスト装置10,10′は、戸首部材20,20′を構成要素とするものであるため、既存の引戸を対象とし、当該引戸に本発明に係るスライドアシスト装置10,10′を適用して、いわゆるリフォーム処理を施す場合、既存の戸首を本発明に係る戸首部材20,20′に付け代えるだけで済ませることができ、引戸のリフォームの点から見ても本発明に係るスライドアシスト装置10,10′は優れている。
【0154】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0155】
(1)上記の実施形態においては、角筒体30は、断面視でコ字状を呈した第1アングル材31に同様の第2アングル材32を外嵌することによって形成されているが、こうする代わりに当初から一体化された角形のパイプを採用してもよい。
【0156】
(2)上記の実施形態においては、本発明に係るガイド部として敷居80に凹設された敷居用案内溝81が採用されているが、本発明は、ガイド部が敷居用案内溝81であることに限定されるものではなく、戸車が案内されるレールであってもよい。この場合は特に案内溝を設ける必要がない。
【0157】
(3)上記の実施形態においては、1つの立て付け戸90に2つのスライドアシスト装置10,10′が採用され、当該立て付け戸90の開閉操作の双方でスライドアシストが行われるようになされているが、本発明は、2つのスライドアシスト装置10,10′を採用することに限定されるものではなく、1つのスライドアシスト装置10,10′で立て付け戸90の開閉のいずれか一方のスライドアシストを行うようにしてもよい。
【0158】
(4)上記の第1実施形態においては、トリガー60は、係合条66の上下から突設された上下のブラケット片64,65を有しているが、これら上下のブラケット片64,65の内のいずれか一方側のみを採用するようにしてもよい。これについては第2実施形態の係合プレート60′についても同様であり、膨出部62の左右の裾部61の内の一方側のみを採用してもよい。
【0159】
(5)上記の第1実施形態においては、鴨居側係合部材であるトリガー60の係合条66の上下寸法を鴨居用案内溝71の前方内壁73の上下寸法と同一に設定しているが、係合条66と、舌片492との相対的な位置関係を所定のものとすることにより、両者の係合範囲を広いものにすることができる。その具体例としては、例えば、以下を挙げることができる。すなわち、係合条66を鴨居用案内溝71の前方内壁73の下端部に設ける一方、舌片492の上端部を角筒体30の上面と同一高さレベルに設定すればよい。こうすることで、係合条66の上下寸法を鴨居用案内溝71の前方内壁73の上下寸法より短くしても、係合条66と舌片492との係合範囲を最大限にすることができる。この場合、本発明に係る鴨居側および引戸側係合部材の上下寸法の総和は、鴨居用案内溝71の溝深さに舌片492の上下寸法を加えた値になる。
【0160】
このことについては、第2実施形態における鴨居側係合部材である係合プレート60′と引戸側係合部材である矢尻片48の矢尻本体481との間の関係についても同様である。
【0161】
(6)上記の第1実施形態においては、トリガー60は、その係合条66の上端部から延設された上部ブラケット片64が鴨居用案内溝71の溝底に固定されるとともに、同下端部から延設された下部ブラケット片65が鴨居70の下面に固定されることによって鴨居70に取り付けられているが、上下のブラケット片64,65のいずれか一方のみを採用して鴨居70に固定するようにしてもよい。
【0162】
このことについては、第2実施形態の係合プレート60′についても同様であり、左右一対の裾部61の内の一方側のみを採用して係合プレート60′を鴨居70に固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明に係る引戸のスライドアシスト装置の第1実施形態が適用された立て付け戸を示す一部切り欠き斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る左側の戸首部材を示す分解斜視図である。
【図3】図2に示す戸首部材の組み立て斜視図であり、立て付け戸が開放されたときの状態を示している。なお、円内にはトリガーと舌片との相対的な位置関係を示している。
【図4】図2に示す戸首部材の組み立て斜視図であり、立て付け戸が閉止された状態を示している。なお、円内にはトリガーと舌片との相対的な位置関係を示している。
【図5】図3の円内のV−V線断面図である。
【図6】スライドアシスト装置の作用を説明するための平面視の一部断面説明図であり、(A)は、立て付け戸が開放されることによって舌片が係合姿勢に姿勢設定されたスライドアシスト装置が最左端に位置した状態、(B)は、立て付け戸の閉止動作によってコイルスプリングが伸張しつつある状態、(C)は立て付け戸が所定距離だけ移動したことにより引掛け部材の舌片が角孔に到達してピン回りに時計方向に回動し、解除姿勢に姿勢変化して角孔を介して角筒体内へ没入した状態、(D)は、解除姿勢に姿勢設定された舌片がトリガーの係合条を遣り過ごしてコイルスプリングの付勢力を維持したまま立て付け戸が係止動作を継続している状態をそれぞれ示している。
【図7】スライドアシスト装置の作用を説明するための平面視の一部断面説明図であり、(A)は、一旦閉止された立て付け戸を開放操作することにより、引掛け部材の三角ブロックの前方右縁部がトリガーの係合条に係合した状態、(B)は、舌片が角孔34から抜け出して係合姿勢から解除姿勢2へ姿勢変化し、これによって舌片の右角部が係合条に係合した状態をそれぞれ示している。
【図8】本発明に係る引戸のスライドアシスト装置の第2実施形態が適用された立て付け戸を示す分解斜視図である。
【図9】図8に示す立て付け戸の組み立て斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る立て付け戸に設けられたスライドアシスト装置を示す分解斜視図である。
【図11】図10に示すスライドアシスト装置の組み立て斜視図である。
【図12】図11のXII−XII線断面図である。
【図13】図11のXIII−XIII線断面図である。
【図14】筒部材の一実施形態を示す分解斜視図である。
【図15】図14の筒部材の一部切り欠き組み立て斜視図である。
【図16】矢尻片の矢尻本体の第1アングル材からの突出状態および矢尻本体と係合プレートとの位置関係を説明するためのスライドアシスト装置を後面側から見た斜視図であって、(A)は、立て付け戸が閉止された状態、(B)は、立て付け戸が開かれつつある状態をそれぞれ示している。
【図17】引戸のスライドアシスト装置の作用を説明するための平面視の断面図であり、(A)は、立て付け戸90が閉止された状態、(B)は、立て付け戸が開かれ始めた状態をそれぞれ示している。
【図18】引戸のスライドアシスト装置の作用を説明するための平面視の断面図であり、(A)は、矢尻片の矢尻本体が係合プレートの膨出部に係合しつつある状態、(B)は、立て付け戸が開放された状態をそれぞれ示している。
【図19】引戸のスライドアシスト装置の作用を説明するための平面視の断面図であり、(A)は、立て付け戸を閉止していって矢尻片の半円部が係合プレートの膨出部に係合しつつある状態、(B)は、立て付け戸が閉止される直前の状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0164】
10,10′ スライドアシスト装置
20,20′ 戸首部材 21 エッジブロック
211 切り込み溝 212 貫通孔
213 ネジ孔 22 エッジブロック
221 ブロック本体 221a ネジ孔
222 食み出しブロック 222a 貫通孔
223 台座ブロック 223a 受台
223b 脚部 23 エッジブロック
231 円孔 232 Y字片
233 ネジ孔 234 かしめ孔
29 二股片 291 装着隙間
292 貫通孔 30 角筒体(枠体)
31 アングル材 311 縦板
312 ネジ孔 314 横板
315 ネジ孔 32 アングル材
321 縦板 322 挿通孔
323 横板 324 挿通孔
33 ガイドスリット 34 角孔
40 円筒部材 40′ ショックアブソーバ
41,41′ 内筒体 411 左方栓部材
412 栓本体 413,416 第1ブラケット
413a 貫通孔 414,426 第2ブラケット
414a 係止孔 415 通気孔
416a 挿通孔 42,42′ 外筒体
421 右方栓部材 422 栓本体
423 第3ブラケット 423a 係止孔
426a 挿通孔 43 箱体
431 左面板 432 後面板
433 長孔 434 天板
434a 挿通孔 435 底板
435a ネジ孔 44 軸ネジ(垂直軸)
45 スライドブロック 451 ブロック基体
452 軸支板 452a かしめ孔
453 突設片(第2係止部) 454 Y字片
455 円孔 456 かしめ孔
46 装着空間 48 矢尻片(戸首側係合部材(バネ力伝達機構))
481 矢尻本体 482 首部
483 半円部 484 支持孔
49 引掛け部材 491 三角ブロック
491a 挿通孔 491b 前方右縁部(第2係止部)
492 舌片(戸首側係合部材(バネ力伝達機構))
492a 右角部(第1係止部) 492b 傾斜面
50,50′ コイルスプリング(引きバネ)
51 フック 55 円形係止片
60 トリガー(鴨居側係合部材(バネ力伝達機構))
60′ 係合プレート(鴨居側係合部材(バネ力伝達機構))
61 裾部 62 膨出部
63 ネジ孔 64 上部ブラケット片(フランジ部)
65 下部ブラケット片(フランジ部)
66 係合条(膨出部) 67 貫通孔
70 鴨居 71 鴨居用案内溝
72 後方内壁(溝壁) 73 前方内壁(溝壁)
80 敷居 81 敷居用案内溝(ガイド部)
90 立て付け戸(引戸) 91 戸本体
92 目隠し板 93 戸車
931 戸車収納凹部 M 木ネジ
P ピン(垂直軸) S ネジ
d メンテナンス隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部が鴨居の案内溝に遊嵌され、かつ、下縁部が敷居のガイド部に支持される引戸に対し開き方向および閉じ方向の少なくとも一方向へスライドアシスト力を付与する引戸のスライドアシスト装置において、
前記引戸の頂部に設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される引きバネと、前記引戸の一方向へのスライド時に前記引きバネを伸張させ、反対方向へのスライド時に引きバネの付勢力を前記スライドアシスト力として付与するバネ力伝達機構とを備え、
前記バネ力伝達機構は、前記鴨居の案内溝内に設けられた鴨居側係合部材と、前記引きバネのフリー端部側に取り付けられ引戸の移動範囲内の所定の範囲で前記鴨居側係合部材と前記引戸の側方側で係合する引戸側係合部材とを有し、
前記鴨居側および引戸側係合部材の少なくとも一方は、所定の上下幅に設定されていることを特徴とする引戸のスライドアシスト装置。
【請求項2】
前記鴨居側および引戸側係合部材の上下寸法の総和は、前記案内溝の溝壁の上下寸法と略同一ないしはそれより大きく設定されていることを特徴とする請求項1記載の引戸のスライドアシスト装置。
【請求項3】
前記鴨居側係合部材は、前記案内溝の溝壁から前記引戸側へ突出する突出部と、この突出部の上下の少なくともいずれかの端部からそれぞれ延設されるフランジ部とを有し、前記フランジ部は、前記鴨居における前記溝壁以外の部分に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の引戸のスライドアシスト装置。
【請求項4】
前記引戸側係合部材は、その下縁部が前記案内溝の開口部より下方に位置するように設定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の引戸のスライドアシスト装置。
【請求項5】
一方が前記引戸に対し開き方向へ向かうスライドアシスト力を付与し、他方が前記引戸に対し閉じ方向へ向かうスライドアシスト力を付与するように、当該引戸に一対で設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の引戸のスライドアシスト装置。
【請求項6】
前記枠体には、前記引戸側係合部材の前記引戸のスライド方向への移動を案内するガイドスリットが設けられ、
前記引戸側係合部材は、前記引きバネに垂直軸回りに回動可能に取り付けられるとともに、この回動によって前記鴨居側係合部材に選択的に係止する第1および第2係止部が設けられ、
前記引戸の一方向へ向かうスライド時に、前記第1係止部が前記鴨居側係合部材に係止することによって引きバネが伸張するとともに、前記引戸側係合部材は、前記ガイドスリットの終端部に到達したとき所定方向へ向けて回動することにより前記第1係止部が前記鴨居側係合部材から外れてガイドスリットの終端部に保持され、
前記引戸の他方向へ向かうスライド時に、前記第2係止部が鴨居側係合部材に係止することにより、スライド部材が前記と反対方向へ回動して前記引きバネが解放されてその付勢力で引戸にアシスト力が付与されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の引戸のスライドアシスト装置。
【請求項7】
前記枠体は、前記鴨居の案内溝に遊嵌される引戸の戸首の一部として構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の引戸のスライドアシスト装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−90571(P2010−90571A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259964(P2008−259964)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000145895)株式会社小林製作所 (21)
【出願人】(000169329)アトムリビンテック株式会社 (81)