説明

引戸装置

【課題】錠機構を配設した引戸装置において、戸車を引戸の端部位置に近接して配設し、2つの戸車間の間隔を大きくすることによって、引戸の走行安定性を良好にすることができる引戸装置を提供すること。
【解決手段】錠前ロッド棒51を戸車ブラケット2の固定位置に突出させるとともに、引戸1の閉鎖位置における引戸1の上面と戸車3が載置されているレール4との間に位置するように錠前受け52を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸装置に関し、特に、引戸の上部に固定した戸車ブラケットに戸車を配設し、該戸車を介して、引戸をレールに移動可能に懸架するとともに、引戸を閉鎖位置にて固定するための錠前ロッド棒と錠前受けとからなる錠機構を配設した引戸装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図3に示すように、引戸1の上部に固定した戸車ブラケット2に戸車3を配設し、この戸車3を介して、引戸1をレール4に移動可能に懸架するとともに、引戸1を閉鎖位置にて固定するための錠前ロッド棒51と錠前受け52とからなる錠機構5を配設した引戸装置が提案されている。
【0003】
この引戸装置は、引戸1をレール4に移動可能に懸架するとともに、引戸1の閉鎖位置で引戸1の上面から補強板7に形成した透孔71を介して突出した錠前ロッド棒51が錠前受け52に当接するようにして、当該位置で引戸1が固定されるようにし、さらに、引戸1の引き手部あるいは引戸1の戸先側上方部に配設した操作部(図示省略)を操作することによって錠前ロッド棒51を引き下げ、錠前ロッド棒51と錠前受け52との当接状態を解除して、引戸1を開くことができるようにしている。
【0004】
そして、この引戸装置は、錠機構5を構成する錠前ロッド棒51と錠前受け52を、戸車3の前方側(引戸1の戸先側)に位置するように配設するようにしていた。
【0005】
ところで、引戸1をレール4に移動可能に懸架する戸車3は、引戸1の重量バランスを考慮して引戸1の上部の引戸1の移動方向(引戸1の幅方向)の対称位置に固定した戸車ブラケット2に配設されるが、この戸車3の配設位置は、引戸1の走行安定性に影響を与え、引戸1の走行安定性を良好にするためには、戸車3を引戸1の端部位置に近接して配設し、2つの戸車3間の間隔を大きくする必要がある。
しかしながら、上記従来の引戸装置のように錠機構5を構成する錠前ロッド棒51と錠前受け52を、戸車3の前方側(引戸1の戸先側)に位置するように配設するようにすると、この錠機構5が戸車3を引戸1の端部位置に近接して配設しようとする場合の障害になるため、必然的に戸車ブラケット2を反戸先側に後退させて配設することとなり、引戸1の幅寸法に対し2つの戸車3間の間隔を小さくして引戸1の走行安定性を犠牲にせざるを得ないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の引戸装置の有する問題点に鑑み、錠機構を配設した引戸装置において、戸車を引戸の端部位置に近接して配設し、2つの戸車間の間隔を大きくすることによって、引戸の走行安定性を良好にすることができる引戸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の引戸装置は、引戸の上部に固定した戸車ブラケットに戸車を配設し、該戸車を介して、引戸をレールに移動可能に懸架するとともに、引戸を閉鎖位置にて固定するための錠前ロッド棒と錠前受けとからなる錠機構を配設した引戸装置において、前記錠前ロッド棒を戸車ブラケットの固定位置に突出させるとともに、引戸の閉鎖位置における引戸の上面と戸車が載置されているレールとの間に位置するように錠前受けを取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の引戸装置によれば、引戸の上部に固定した戸車ブラケットに戸車を配設し、該戸車を介して、引戸をレールに移動可能に懸架するとともに、引戸を閉鎖位置にて固定するための錠前ロッド棒と錠前受けとからなる錠機構を配設した引戸装置において、前記錠前ロッド棒を戸車ブラケットの固定位置に突出させるとともに、引戸の閉鎖位置における引戸の上面と戸車が載置されているレールとの間に位置するように錠前受けを取り付けるようにしているので、錠機構が戸車を引戸の端部位置に近接して配設しようとする場合の障害にならず、戸車を引戸の端部位置に近接して配設し、2つの戸車間の間隔を大きくすることによって、引戸の走行安定性を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の引戸装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図2に、本発明の引戸装置を2連式の壁収納型の引戸装置に適用した一実施例を示す。
【0010】
この2連式の壁収納型の引戸装置は、図1に示すように、2枚の引戸1、1A(ここで、先行側の引戸1を「前引戸」、後行側の引戸1Aを「後引戸」という。)を、従来公知の任意の連動機構(図示省略)によって連動して開閉されるようにしたもので、引戸1、1Aの上部の各々2箇所に固定した戸車ブラケット2に戸車3を配設し、この戸車3を介して、引戸1、1Aをレール4に移動可能に懸架するとともに、レール4を戸先側が下向きになるように上枠6等に傾斜して取り付けることによって、引戸1、1Aが自動的に閉鎖する方向に付勢されるようにしている。
【0011】
そして、前引戸1には、引戸1、1Aを閉鎖位置にて固定するための錠前ロッド棒51と錠前受け52とからなる錠機構5を配設を配設するようにしている。
この錠機構5は、図2に示すように、錠機構5を構成する錠前ロッド棒51を前引戸1の戸先側の戸車ブラケット2の固定位置に戸車ブラケット2に形成した透孔21を介して突出させるとともに、引戸1、1Aを懸架する戸車ブラケット2を延設して前引戸1の閉鎖位置における前引戸1の上面と戸車3が載置されているレール4との間に位置するように錠前受け52を上枠6等へ取り付け、引戸1、1Aの閉鎖位置で前引戸1の上面から突出した錠前ロッド棒51が錠前受け52に当接するようにして、当該位置で引戸1、1Aが固定されるようにし、さらに、前引戸1の引き手部あるいは引戸1の戸先側上方部に配設した操作部(図示省略)を操作することによって錠前ロッド棒51を引き下げ、錠前ロッド棒51と錠前受け52との当接状態を解除して、引戸1、1Aを開くことができるようにしている。
ここで、錠機構5を構成する錠前ロッド棒51の上下動のストロークSは、錠前ロッド棒51と錠前受け52とが当接している状態から、当該当接状態を解除できる寸法に設定するようにする。
【0012】
そして、上記のように錠機構5を構成する錠前ロッド棒51及び錠前受け52を配設することにより、錠機構5が戸車3を前引戸1の端部位置に近接して配設しようとする場合の障害にならず、戸車3を戸車ブラケット2を介して前引戸1の端部位置に近接して配設することができ、前引戸1の2つの戸車3、3間の間隔を大きくすることによって、引戸1(1A)の走行安定性を良好にすることができる。
【0013】
以上、本発明の引戸装置について、2連式の壁収納型の引戸装置の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、1枚の引戸からなる引戸装置等にも適用できる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の引戸装置は、錠機構を配設した引戸装置において、戸車を引戸の端部位置に近接して配設し、2つの戸車間の間隔を大きくすることによって、引戸の走行安定性を良好にすることができることから、病院等で用いられる錠機構を配設した引戸装置に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の引戸装置の一実施例を示す全体正面図である。
【図2】同要部を示し、(a)は平面図、(b)正面図、(c)は側面図である。
【図3】従来の引戸装置の要部を示し、(a)は平面図、(b)正面図、(c)は側面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 引戸(前引戸)
1A 引戸(後引戸)
2 戸車ブラケット
21 透孔
3 戸車
4 レール
5 錠機構
51 錠前ロッド棒
52 錠前受け
6 上枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸の上部に固定した戸車ブラケットに戸車を配設し、該戸車を介して、引戸をレールに移動可能に懸架するとともに、引戸を閉鎖位置にて固定するための錠前ロッド棒と錠前受けとからなる錠機構を配設した引戸装置において、前記錠前ロッド棒を戸車ブラケットの固定位置に突出させるとともに、引戸の閉鎖位置における引戸の上面と戸車が載置されているレールとの間に位置するように錠前受けを取り付けたことを特徴とする引戸装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−107295(P2007−107295A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299870(P2005−299870)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000229047)日本スピンドル製造株式会社 (328)