説明

弱毒型HIV−1塩基配列

【課題】HIV遺伝子の構造・機能相関やウイルスの複製機構、エイズ発症のメカニズムの解析に重要な役割を果たすと考えられる弱毒化HIV遺伝子をクローニングし、その構造を解明すること。
【解決手段】下記の何れかの塩基配列を有するDNA。(1)特定の塩基配列;又は(2)特定の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列であって、弱毒化HIV−1ウイルス変異体をコードする塩基配列:

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIV−1ゲノムをコードする新規なDNAに関する。
【背景技術】
【0002】
HIV疾患の進行速度は、宿主の遺伝因子および免疫因子とウイルスの病原力との間に複雑な交絡があるために、HIV-1に感染した患者間で大きく異なる。ウイルスのnef遺伝子は、動物モデル(非特許文献1〜3)で実証されているように、疾患の進行に関与する重要な因子の一つである。nef遺伝子がヒトのAIDS進行に関与する重要な因子であるということは、10〜14年間HIV-1に感染しているにもかかわらずウイルス価の少ない長期非進行性の感染者(LTNP)のうちの一部の感染者は、nef遺伝子に大きな欠失があるか(非特許文献4〜6)、または小さな構造上の欠損又は変異を有するウイルスを保持している(非特許文献7)という事実によって強く裏付けられる。
【0003】
CD4およびクラスI MHC分子の細胞表面発現の抑制(非特許文献8及び9)、ウイルスの複製および感染力の増強(非特許文献10及び11)、T細胞(非特許文献12)とマクロファージ(非特許文献13)におけるサイトカインおよびケモカイン発現の誘導および、HIV-1感染細胞における前アポトーシスシグナルの遮断(非特許文献14及び15)などを含め、nef遺伝子の幾つかの機能が報告されている。nef遺伝子の機能に重要な細胞相互作用のパートナーは多数同定されており、それらの結合部位はNef内の異なる位置にマッッピングされている(非特許文献16)。
【0004】
緩徐な疾患進行に関与するnef遺伝子の遺伝的改変は、欧米の集団でのHIV-1亜型Bにおいて同定されているが(非特許文献4〜7)、これらの改変が亜型B系統にのみ存在するのか否かは明らかではなかった。
【0005】
【非特許文献1】Du, Z., 他、1995. Identification of a nef allele that causes lymphocyte activation and acute disease in macaque monkeys Cell. 82:665-74
【非特許文献2】Hanna, Z., 他、1998. Nef harbors a major determinant of pathogenicity for an AIDS-like disease induced by HIV-1 in transgenic mice Cell. 95:163-75
【非特許文献3】Kestler, H. W. d., 他、1991. Importance of the nef gene for maintenance of high virus loads and for development of AIDS Cell. 65:651-62
【非特許文献4】Deacon, N. J., 他、1995. Genomic structure of an attenuated quasi species of HIV-1 from a blood transfusion donor and recipients [see comments] Science. 270:988-91
【非特許文献5】Kirchhoff, F., T. C. Greenough, D. B. Brettler, J. L. Sullivan, and R. C. Desrosiers 1995. Brief report: absence of intact nef sequences in a long-term survivor with nonprogressive HIV-1 infection [see comments] N Engl J Med. 332:228-32
【非特許文献6】Salvi, R., 他、1998. Grossly defective nef gene sequences in a human immunodeficiency virus type 1-seropositive long-term nonprogressor J Virol. 72:3646-57
【非特許文献7】Casartelli, N., 他、2003. Structural defects and variations in the HIV-1 nef gene from rapid, slow and non-progressor children Aids. 17:1291-301
【非特許文献8】Aiken, C., 他、1994. Nef induces CD4 endocytosis: requirement for a critical dileucine motif in the membrane-proximal CD4 cytoplasmic domain Cell. 76:853-64
【非特許文献9】Schwartz, O., 他、1996. Endocytosis of major histocompatibility complex class I molecules is induced by the HIV-1 Nef protein Nat Med. 2:338-42
【非特許文献10】Miller, M. D., 他、1994. The human immunodeficiency virus-1 nef gene product: a positive factor for viral infection and replication in primary lymphocytes and macrophages J Exp Med. 179:101-13
【非特許文献11】Spina, C. A., 他、1994. The importance of nef in the induction of human immunodeficiency virus type 1 replication from primary quiescent CD4 lymphocytes J Exp Med. 179:115-23
【非特許文献12】Wang, J. K., 他、2000. The Nef protein of HIV-1 associates with rafts and primes T cells for activation Proc Natl Acad Sci U S A. 97:394-9
【非特許文献13】Swingler, S., 他、1999. HIV-1 Nef mediates lymphocyte chemotaxis and activation by infected macrophages [see comments] Nat Med. 5:997-103
【非特許文献14】Geleziunas, R., 他、2001. HIV-1 Nef inhibits ASK1-dependent death signalling providing a potential mechanism for protecting the infected host cell Nature. 410:834-8
【非特許文献15】Wolf, D., 他、2001. HIV-1 Nef associated PAK and PI3-kinases stimulate Akt-independent Bad-phosphorylation to induce anti-apoptotic signals Nat Med. 7:1217-24
【非特許文献16】Geyer, M., 他、2001. Structure--function relationships in HIV-1 Nef EMBO Rep. 2:580-5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
弱毒化HIV分子クローンの分離は、HIV遺伝子の構造・機能相関やウイルスの複製機構、エイズ発症のメカニズムの解析に重要な役割を果たすだけでなく、HIV研究に必須な分子生物学的(HIV遺伝子発現システムなど)・免疫学的試薬(モノクローナル抗体など)の開発、さらにワクチンおよびその評価系(エイズ発症の動物モデル等)の開発に極めて重要な意義をもっている。本発明は、弱毒化HIV遺伝子をクローニングし、その構造を解明することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、5年の追跡期間中に抗体反応が異常に弱いためにウイルス価が検出できない無症候性患者のnef-LTR領域に大きな欠失が保持するHIV-1組換型流行株(CRF)_01(CRF01_AE)の弱毒化変異体を同定することに成功した。本発明者らは、非亜型B株における疾患の緩徐な進行とnef欠失との関連を初めて実証した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
【0008】
即ち、本発明によれば、下記の何れかの塩基配列を有するDNAが提供される。
(1)配列番号1に記載の塩基配列;又は
(2)配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列であって、弱毒化HIV−1ウイルス変異体をコードする塩基配列:
【0009】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明のDNAを有する組み換えベクターが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のDNA又は組み換えベクターを有する形質転換体が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のDNA又は組み換えベクターを宿主に形質転換して得られる形質転換体を培養することにより調製される、ウイルス粒子が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記したウイルス粒子を含む、HIVワクチンが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明により非亜型B株の天然型弱毒化HIV-1変異体が提供される。本発明の弱毒化HIV-1変異体はこれまで報告がなく、新規なHIV変異体である。この特異な欠失HIV-1株の伝染例から、AIDSの病理および疾患進行の予防戦略を理解するための見識を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施方法及び実施態様について詳細に説明する。
本発明では、5年間の追跡期間中に抗体応答が異常に弱いためにウイルス価が検出できない無症候性患者(GM43)から、HIV-1組換型流行株01_AE (CRF01_AE)の弱毒化変異体を同定した。GM43が保有するHIV-1プロウイルスのnef-LTR領域には大きな欠失が含まれていた。GM43でのnef-LTR領域を配列分析した結果、過去5年の間に欠失の大きさは84 bpから400 bpを越えるまでに漸次拡大していることが明らかとなった。追跡調査を行ってから6年後に、391-bpのnef-LTR欠失を有する高度弱毒化型HIV-1株を単離した。系統発生分析を実施したところ、この女性患者GM43は、夫(GM46)からHIV-1 CRF01_AEを獲得したことが示唆された。GM46のnef-LTR領域は、HIV-1準種小集団における12〜562 bpに及ぶ欠失を保持していることが判明したが、GM46内の欠失パターンがGM43の欠失パターンと同一ではなかった。GM43におけるnef-LTR領域の遺伝子構成は、シドニー血液バンクコホート等、以前報告された進行の遅いHIV-1亜型B感染者の遺伝子構成と驚くほどよく似ていた。HIV-1株ではその系統が異なっていても欠失の立体配置は実質的には同じになるという収斂的な進化特性があるので、病原性の弱毒化には共通の機序があること、したがって伝染に関しては欠損変異体の方が完全コンピテントHIV-1株よりも未確定ながら有利な点があることが示唆される。非亜型B株の天然型弱毒化HIV-1変異体についてはこれまで報告がなく、本発明が初めてである。この特異な欠失HIV-1株の伝染例から、AIDSの病理および疾患進行の予防戦略を理解するための見識を得ることが可能になる。
【0012】
(A)本発明のDNA
本発明のDNAは、下記の何れかの塩基配列を有する。
(1)配列番号1に記載の塩基配列;又は
(2)配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列であって、弱毒化HIV−1ウイルス変異体をコードする塩基配列:
【0013】
本明細書において「1〜複数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列」における「1〜複数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から60個、好ましくは1から30個、より好ましくは1から20個、さらに好ましくは1から10個、特に好ましくは1から5個程度を意味する。
【0014】
本発明のDNAは、以下の実施例に記載する方法で取得することができるし、あるいは本明細書の配列表の配列番号1に記載した塩基配列の情報に基づいて適当なプローブ又はプライマーを設計し、HIV粒子からスクリーニングすることにより取得することができる。
【0015】
本発明のDNAは、配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列であって、弱毒化HIV−1ウイルス変異体をコードする塩基配列を有していてもよい。
【0016】
本明細書で言う「弱毒化HIV−1ウイルス変異体」とは、該変異体に感染してもHIV-1抗体力価の増加が異常に緩徐で、長期間にわたってウイルス価が検出できないか、検出できたとしても低い値を示すような変異体を言う。従って、弱毒化HIV−1ウイルス変異体に感染してもHIV-1の病態の進展は極めて緩徐である。
【0017】
所定のDNA配列に所望の変異を導入する方法は当業者に公知である。例えば、部位特異的変異誘発法、縮重オリゴヌクレオチドを用いるPCR、核酸を含む細胞の変異誘発剤又は放射線への露出等の公知の技術を適宜使用することによって、変異を有するDNAを構築することができる。このような公知の技術は、例えば、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY.,1989、並びにCurrent Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley & Sons (1987-1997)に記載されている。
【0018】
(B)本発明の組み換えベクター
本発明のDNAは適当なベクター中に挿入して使用することができる。本発明で用いるベクターの種類は特に限定されず、例えば、自立的に複製するベクター(例えばプラスミド等)でもよいし、あるいは、宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるものであってもよい。
好ましくは、本発明で用いるベクターは発現ベクターである。発現ベクターにおいて本発明のDNAは、転写に必要な要素(例えば、プロモーター等)が機能的に連結されている。プロモータは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜することができる。
【0019】
細菌細胞で作動可能なプロモータとしては、ファージ・ラムダのPR若しくはPLプロモータ、大腸菌の lac、trp若しくはtacプロモータ、バチルス・ステアロテルモフィルス・マルトジェニック・アミラーゼ遺伝子もしくはバチルス・リケニホルミスαアミラーゼ遺伝子のプロモータなどが挙げられる。哺乳動物細胞で作動可能なプロモータの例としては、SV40プロモータ、MT−1(メタロチオネイン遺伝子)プロモータ、またはアデノウイルス2主後期プロモータなどがある。昆虫細胞で作動可能なプロモータの例としては、ポリヘドリンプロモータ、P10プロモータ、オートグラファ・カリホルニカ・ポリヘドロシス塩基性タンパクプロモータ、バキュウロウイルス即時型初期遺伝子1プロモータ、またはバキュウロウイルス39K遅延型初期遺伝子プロモータ等がある。酵母宿主細胞で作動可能なプロモータとしては、酵母解糖系遺伝子由来のプロモータ、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモータ、TPI1プロモータ、ADH2-4cプロモータなどがある。
【0020】
本発明の組み換えベクターはさらに選択マーカーを含有してもよい。選択マーカーとしては、例えば、その補体が宿主細胞に欠けている遺伝子(例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)など)、または薬剤耐性遺伝子(例えば、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリンなど)を挙げることができる。
本発明のDNA、プロモータ、および所望によりターミネータおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、これらを適切なベクターに挿入する方法は当業者に周知である。
【0021】
(C)本発明の形質転換体
本発明のDNA又は組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。
本発明のDNAまたは組み換えベクターを導入される宿主細胞は、本発明のDNAを発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞等が挙げられる。
【0022】
細菌はグラム陽性細菌(例えば、バチルス、ストレプトマイセス等)でもグラム陰性細菌(例えば、大腸菌等)の何れでもよい。細菌の形質転換は、プロトプラスト法、または公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行うことができる。
哺乳類細胞の例としては、HEK293細胞、HeLa細胞、COS細胞、BHK細胞、CHL細胞またはCHO細胞等が挙げられる。哺乳類細胞の形質転換は、例えば、エレクトロポーレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等を用いることができる。
【0023】
酵母細胞の例としては、サッカロマイセスまたはシゾサッカロマイセスに属する細胞が挙げられ、例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevis1ae)またはサッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主の形質転換は、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロブラスト法、酢酸リチウム法等を用いて行うことができる。
その他、昆虫細胞を宿主として用いることも可能であり、その場合には、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆虫細胞に感染させ、タンパク質を発現させることができる。
【0024】
(D)本発明のウイルス粒子
上記の形質転換体を、導入されたDNAの発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培養することにより、培地中に本発明のHIVのウイルス粒子を生成することができる。
形質転換体の培養物から、本発明のウイルス粒子を単離精製する方法は、当業者に公知の常法に従って行うことができる。具体的には、例えば、本発明のDNAを宿主(例えば、HeLa細胞などの哺乳動物細胞)に導入し、48〜72時間培養した後の培養上清を回収し、フィルター(例えば、孔径0.45μm)を通すことによって無細胞ウイルス調製液を得ることができる。
【0025】
(E)本発明のDNAの利用
本発明では、HIV-1感染後長期間にわたって抗体応答が著しく低く、血中ウイルス量が検出限界以下で推移した症例に注目し、そのゲノム構造を解析したところ、 nef/LTR領域に欠失をもつHIV-1 CRF01_AE株であることが明らかとなった。これまで同様な弱毒型(attenuated)ウイルスが、欧米型サブタイプBで知られているが、世界流行の主要な病因となっている非サブタイプB型ウイルスでは 最初の例となった。エイズワクチン開発は様々な要因から現在非常に大きな困難に遭遇しているが、この中で、ほぼ唯一といってよい明確な防御効果が確立されているのがSIVの系におけるnef欠失弱毒型生ワクチンlive attenuated vaccineの系である。CRF01_AEは、我が国を含むアジアにおける流行形成に重要な役割をもつ流行株であり、特にアジアの流行を標的としたワクチン開発に資する材料であると期待される。即ち、本発明のDNAは、弱毒型生ワクチン(live attenuated vaccine)を開発に有用である。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されることはない。
【実施例】
【0026】
(A)材料と方法
(1)被験者およびHIV-1血清検査
患者(GM43)は、過去8年間日本で生活した22歳のタイ人女性である。この患者は、タイ人の夫(GM46)と結婚した。1996年1月27日に妊娠18週検診において、HIV-1スクリーニングテスト(初回採血)を実施したところ、ウエスタンブロット分析では不明瞭な血清反応が示された(gp160でのみ1+の反応性)(Sanofi Fujirebio Diagnostics, Japan)(図1のストリップ1)。セロディア抗-HIVゼラチン粒子凝集(PA)試験(Fujirebio, Japan)および酵素イムノアッセイ(VIDAS Ab-EIA, Bio Merieux, France)の結果では、力価1:16の弱い血清反応陽性が示された。この患者のこの不明瞭な検査結果は、18カ月間持続した(図1におけるストリップ1-10とAおよびB)。この患者の夫(GM46)は、1996年4月にHIV-1陽性であることが判明し、ウエスタンブロットによる結果は明らかな陽性(図 1B)で、PA試験による抗体力価は1:>104であった。GM46はおそらくタイで1995年以前に性的にHIV-1に感染したと思われるが、正確な感染経路は明らかではない。1996年5月17日に帝王切開によってGM43が出産した新生児は、HIV陰性であった。GM43は抗レトロウイルス療法は受けていなかった。この患者には、夫(GM46)との性的接触以外の危険因子はなかったが、正確な感染時期は不明であった。GM43とGM46はともに臨床症状を呈することなく、健常状態を維持していた。HIV-2感染の徴候もない。
【0027】
(2)PBMCの調製と血漿中RNA量の検出
既報の通り、フィコール―ハイパック勾配による遠心分離により、クエン酸リン酸デキストロースに採取した患者GM43の血液から、末梢血単核細胞(PBMC)を分離した(1996年1月〜2002年4月)。PBMCをプロテイナーゼK(10mg/ml)を含有する溶解緩衝液(1x生理クエン酸ナトリウム(SSC),1mMのEDTA,10%のドデシル硫酸ナトリウム)中で3時間60℃で溶解した後、フェノール/クロロフォルムおよびエタノールを用いてDNAを抽出した。DNAは、TE緩衝液(pH)中で1μg/5μlまで濃縮させ、分析時まで、-20 ℃で保存した。血漿HIV-1 RNA量はAmplicor HIV-1モニタキット(バージョン1.5)(Roche Diagnostics, N.J.)を使用する超高感度法によって測定した。これによればHIV-1亜型B株だけでなく非亜型B株からもHIV-l RNA、例えばCRF01(AEを高感度に検出可能である(Triques, K., 他、1999. Efficiencies of four versions of the AMPLICOR HIV-1 MONITOR test for quantification of different subtypes of human immunodeficiency virus type 1 J Clin Microbiol. 37:110-6)。
【0028】
(3)HIV-1ゲノムの増幅とヌクレオチド配列決定
HIV-1プロウイルスゲノムのnef-LTR領域を、Env43F14(センス;5'-GAGTTAGGCAGGGATACTCAC(配列番号2);ヌクレオチド位置7892-7912)および3'LTR43R16(アンチセンス;5'-TAAGCACTCAAGGCAAGC-3'(配列番号3);位置 9202-9185)の外側プライマーとEnv43F15(センス;5'-AGCCTG-TGCCTCTTCAGCTACCA-3'(配列番号4);位置52-8083)およびMSR5 (reverse; 5'-GCACTCAAGGCAAGCTTTATTGAGGCT-3'(配列番号5),位置9199-9173)の内側プライマーとを用いたネスト(nested)PCRによって増幅した。各プライマーのヌクレオチド位置の付番は、HIV-1 CRF01(AE参考菌株TH.CM240 (Carr, J. K., 他、1996. Full-length sequence and mosaic structure of a human immunodeficiency virus type 1 isolate from Thailand J Virol. 70:5935-43)の報告されたヌクレオチド配列に従った。ヌクレオチド配列は、Big Dyeターミネータサイクル配列決定法によってPrism 310 DNA Sequencer (Applied Biosystems)を用いて決定した。
【0029】
(4)データ分析
ヌクレオチド配列は、CLUSTAL Wバージョン1.4(Thompson, J. D., 他、1994. CLUSTAL W: improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting, position-specific gap penalties and weight matrix choice Nucleic Acids Res. 22:4673-80)を使用して参考菌株と一緒に整列し、ギャップによりリーディングフレームが変更されないように補正した。Kimuraの2パラメータ距離マトリックスに基づく隣接結合法(Saitou, N., 他、1987. The neighbor-joining method: a new method for reconstructing phylogenetic trees Mol Biol Evol. 4:406-25)によって100個のブートストラップ複写体(Felsenstein, J. 1985. Confidence limits on phylogenies: An approach using the bootstrap. Evolution. 39:783-791)で系統樹を構築した。分析は、PHYLIPバージョン3.573(Felsenstein, J. 1993. PHYLIP (Phylogeny Inference Package) version 3.5c. Department of Genetics, University of Washington, Seattle)を用いて実施した。
【0030】
本発明で決定したヌクレオチド配列を配列表の配列番号1に記載する。
【0031】
(B)結果
(1)血清反応が異常に弱いHIV-1-感染者の同定
1996年1月の妊娠18週の女性患者GM43に関する血清検査(第1回来院時)によると、セロディア抗HIVゼラチン粒子凝集(PA)検査(図1A)とVIDUS ELISAにおいて、HIV-1血清反応は陽性ながら限界に近い低さ(1:16の力価)であった。ウエスタンブロットではHIV-1血清反応は不明瞭であった(gp160でのみ1+の反応度)(図1Bのストリップ1)。GM43におけるこの異常に低い血清陽性反応は、5日間後および1カ月後に採取した追加試料で確認された(図1Bのストリップ2と3)。この不明瞭な検査結果は、18カ月間持続した(図1Bのストリップ1〜10およびAとB)。
【0032】
経験的に、HIV-1感染症例のほとんどで、PA検査による抗体力価は、最初の2週間以内に1:103を越え、血清転化1月後には1:104に達する。しかし、患者GM43の場合、低いPA力価(1:103未満)が1.5年間持続し、抗体力価が1:104に達するまでに5.5年以上を要している(図1A)。同患者におけるこの異常に低い血清転化プロセスと平行して、HIV-1血漿中RNA量は、4.5年間(2000年5月24日まで)、Amplicoreバージョン1.5を用いた超高感度法による検査で、<50 copy/mlの検出可能レベル未満の値を持続した(図1A)。1997年7月(第1回採血の1.5年後)にenv (C2/V3)領域のみを、ネストPCRによって、HIV-1プロウイルスDNAを患者のPBMC DNAから増幅し、さらに1998年12月(第一回採血の約2年後)にgag (p17)とenv (C2/V3)の両領域をネストPCRによって、HIV-1プロウイルスDNAを患者のPBMC DNAから増幅したところ、GM43はHIV-1に感染していることが最終的に確認された(図1A)。患者GM43におけるCD4数は、血漿中ウイルス価が次第に上昇するのに伴って、最初の3年間の間に1μlの血液中の細胞数が1,074個から600個まで次第に減少していったが、臨床症状を示すことなく400〜600個のレベルを安定的に保っていた(図1A)。
【0033】
(2)HIV-1 CRF01(AEゲノムのnef-LTR領域の進行性欠失
患者GM43における抗体力価の異常に遅い増加機序を調査するために、疾患の緩徐な進行と関連することが知られている、nef-LTR領域の構造上の特徴について検討した(Deacon, N. J., 他、1995. Genomic structure of an attenuated quasi species of HIV-1 from a blood transfusion donor and recipients [see comments] Science. 270:988-91;Kirchhoff, F., T. C. Greenough, D. B. Brettler, J. L. Sullivan, and R. C. Desrosiers 1995. Brief report: absence of intact nef sequences in a long-term survivor with nonprogressive HIV-1 infection [see comments] N Engl J Med. 332:228-32;及びSalvi, R., 他、1998. Grossly defective nef gene sequences in a human immunodeficiency virus type 1-seropositive long-term nonprogressor J Virol. 72:3646-57)。HIV-1プロウイルスゲノムのnef-LTR領域を、下記の5つの時点で採取した患者のPBMCから抽出したDNAから、ネストPCRによって増幅した。5つの時点とは、1997年(第1回来院の18カ月後)(I);1998年12月(35カ月後)(II);2000年4月(51カ月後)(III);2001年1月(57カ月後)(IV);2002年2月(74カ月後)(V)(図1と2)である。HIV-1の完全なゲノムから予想したnef-LTR領域のアンプリコンのサイズは1,140bpであるが、増幅した断片のサイズは500〜1,000bpの範囲にわたっていた(図2A)。このようなアンプリコンサイズの範囲は、nef-LTR領域に約100〜500bpの欠失が存在することを示すものである(図2A)。
【0034】
nef-LTR領域内での遺伝子改変を配列レベルで同定することを目的として、1997年7月〜2000年2月の間の指定時点(図2と3の時点I〜V)で試料から得たPCR生成物を分子的にクローニングした。各時点での16〜39個のクローンについてヌクレオチド配列を決定し、CRF01_AE参考菌株CM240 (McCutchan, F. E., 他、1992. Genetic variants of HIV-1 in Thailand AIDS Res Hum Retroviruses. 8:1887-95)のヌクレオチド配列と一緒に整列させた(図3)。ヌクレオチド配列の整列により、GM43のnef-LTR領域における経時的に進行する欠失の存在が明らかとなった(図2B)。84-bpの欠失(Δ84と称する)が、時点I(第1回来院の18カ月後)で検出され、このときHIV-1プロウイルスゲノムをはじめて増幅した(図2Bおよび3)。nef-LTR領域における欠失の大きさは、継続的に増大して行った。すなわち時点II(35カ月後)では201〜342-bpの欠失(大部分はΔ215とΔ323)、時点III(51カ月後)では369〜623-bpの欠失(主要な種はΔ391とΔ402)、時点IV(57カ月後)では369〜391-bpの欠失(主要な種はΔ369およびΔ391)、時点V(74カ月後)では391〜503-bpの欠失(主要な種はΔ369、Δ391およびΔ403)が、それぞれ認められた (図2Bおよび3を参照)。
【0035】
複製コンピテントHIV-1株(GM43-23)は、時点V(第1回採血後74カ月)(図1と2)ではじめて単離した。GM43-23には、nef-LTR領域に391-bpの欠失(Δ391)があることが明らかとなった(図3F)。このように、391-bpが欠失しているHIV-1準種は、GM43における主要な機能性(複製コンピテント)HIV-1プロウイルス群であると考えられる(図3F)。
【0036】
(3)GM43と推定伝染者(GM46)との間の系統発生的関係
女性患者の夫(GM46)におけるHIV-1ゲノムの構造的特長について検討した。GM46のHIV-1プロウイルスは大部分が、nef-LTR領域に検出可能な欠陥を保持していなかった(図2Aおよび3G)が、GM46のnef-LTR配列の小さな部分(5%未満)に特異な欠失のセットが検出された(図3G)。ただし、これら欠失はいずれも、GM43で同定された欠損ゲノムのいずれとも一致しなかった(図3G)。
【0037】
env (C2/V3)とnef-LTR領域のヌクレオチド配列に基づいた系統樹分析の結果から、GM43とGM46から得たHIV-1配列が、高いブーツトラップ率(それぞれ100 %と98 %)でCRF01(AE内に単一の系統クラスターを形成していることが判明した(図4Aと4B)。GM43/GM46クラスターは、GM43とGM46が生活しているのと同じ地域(東京近郊)で採取した他のCRF01(AE地域対照配列とも異なっていた(図4Aの四角で囲まれた配列)。このことから、患者GM43は自分の夫(GM46)から実際に感染したこと、そしてGM43における欠損ゲノムは、GM46におけるマイナーなウイルス準種から進化したものであることが示唆された。
【0038】
(4)nef-LTR領域における欠失の遺伝子構成
GM43とGM46におけるnef/LTR欠失の遺伝子構成を図3にまとめる。主要な大型欠失が2箇所検出された。第一の主要な欠失は、LTRと重複していないnef遺伝子のアミノ末端側に位置していた。第二の主要な欠失は、nef/U3の重なり領域に位置していた。これら主要な欠失に続いて1もしくは2つの別の小さな欠失が存在していた。第一の主要な欠失の大部分によって、Nef機能に不可欠な高度に保存された酸性(EEEE)ドメインと(Pxx)4モチーフが除かれてしまったのに対し、その下流の欠失がnef/U3領域に局在しても、HIV-1複製に必須のポリプリン領域(3'-PPT)、NFκBおよびSP-1結合性部位、さらにTATAAボックスは残存しており(図3と5)、これは米国-ヨーロッパ母集団での欠損亜型B株に関するこれまでの研究で報告された(Deacon, N. J., 他、1995. Genomic structure of an attenuated quasi species of HIV-1 from a blood transfusion donor and recipients [see comments] Science. 270:988-91;Kirchhoff, F., T. C. Greenough, D. B. Brettler, J. L. Sullivan, and R. C. Desrosiers 1995. Brief report: absence of intact nef sequences in a long-term survivor with nonprogressive HIV-1 infection [see comments] N Engl J Med. 332:228-32;及びSalvi, R., 他、1998. Grossly defective nef gene sequences in a human immunodeficiency virus type 1-seropositive long-term nonprogressor J Virol. 72:3646-57)のと同じである。
【0039】
(5)nef-LTR欠失におけるヌクレオチド配列の特徴
(CRF01_AEに属する)GM43におけるnef-LTR欠失の全体的構造配置は、(HIV-1亜型Bに属する)シドニー血液バンクコホートで報告された弱毒化HIV-1変異体C18のものと驚くほど類似していた(図3H) (Deacon, N. J., 他、1995. Genomic structure of an attenuated quasi species of HIV-1 from a blood transfusion donor and recipients [see comments] Science. 270:988-91) (図3と5)。nefオープンリーディングフレームの最初42個のアミノ酸と3'-ポリプリン領域(3'-PPT)を含むヌクレオチド配列は、GM43とC18の双方で保持されている(図5)。C18と同様に、GM43の準種の大部分において、HIV-1の効率的な複製に必要な高度保存性の配列要素、例えばTCF-1α、NFκBおよびSP1の各結合部位が保持されている(図3と5)。GM43では、GABPモチーフ(5'-ACTTCCG-3')、単一NFkB、異常TATAボックス(5'-TAAAA-3')およびTARステムにおける2ヌクレオチドバルジ(3ヌクレオチドバルジの5'-UCU-3'ではなく5'-UC-3')などの、CRF01_AE (Carr, J. K., 他、1996. Full-length sequence and mosaic structure of a human immunodeficiency virus type 1 isolate from Thailand J Virol. 70:5935-43;Gao, F., 他、1996. The heterosexual human immunodeficiency virus type 1 epidemic in Thailand is caused by an intersubtype (A/E) recombinant of African origin J Virol. 70:7013-29;及びKusagawa, S., 他、2002. Isolation and characterization of replication-competent molecular DNA clones of HIV type 1 CRF01_AE with different coreceptor usages AIDS Res Hum Retroviruses. 18:115-22)における特異な配列特性が示されていた(図5)。nef-LTR領域(Salvi, R., 他、1998. Grossly defective nef gene sequences in a human immunodeficiency virus type 1-seropositive long-term nonprogressor J Virol. 72:3646-57)での欠失を生じさせると考えられる直接繰返し体は、GM43における準種では検知されなかった。
【0040】
(C)考察
本実施例では、HIV-1抗体力価の増加が異常に緩徐で、長期間にわたってウイルス価が検出できなかったCRF01(AE感染の特異な事例(GM43)について述べた。GM43は、nef-LTR領域に大きな欠失のある弱毒化ウイルス変異体を保持したことが判明し、これは既報の一部のLTNPで見られたものとよく似ていた。これは、nef/LTR領域に大きな遺伝子の改変があったために疾患の進行が遅くなったHIV-1非亜型B株感染の最初の事例を示すものである。
【0041】
図3に示す通り、nef-LTR領域における遺伝子改変の構成に関しては、亜型BとCRF01(AEとの間に著しい類似性が認められた。すなわち系統の相違には無関係に、Nef機能に必須の配列要素の大部分、例えばMHCクラスI制御に必要な高度保存性酸性領域(EEEE)、および、NefとPAK-1/2のようなシグナリング分子との間の相互作用、細胞活性化(Saksela, K., 他、1995. Proline-rich (PxxP) motifs in HIV-1 Nef bind to SH3 domains of a subset of Src kinases and are required for the enhanced growth of Nef+ viruses but not for down-regulation of CD4 Embo J. 14:484-91)、MHCクラスI制御、アポトーシス阻害(Wolf, D., 他、2001. HIV-1 Nef associated PAK and PI3-kinases stimulate Akt-independent Bad-phosphorylation to induce anti-apoptotic signals Nat Med. 7:1217-24)に介在する(PxxP)3モチーフ、および下流に位置する配列は、nef領域における遺伝子改変によってフレームの外に除かれた(図3)。LTR内のU3と重複するnefの領域内には多数の欠失が存在していたが、このいずれの欠失によっても、ウイルス複製に最重要であることが知られているシス作用性要素、例えば3'-ポリプリン領域(3'-PPT)、U3末端配列、TATAAボックスおよび、NFkBとSpIの結合部位には影響がなかった。このことから、欠損HIV-1ゲノムには最低限の複製能を維持するための強い選択圧力が存在していることが示唆される。
【0042】
系統発生分析の結果、GM43は、自分の夫(GM46)からHIV-1を獲得したことが示された(図4)。GM46におけるHIV-1ゲノムのほとんどが無傷のままに思えたが、GM46は、特異な組み合わせのnef/LTR欠失を保持するHIV-1準種を保持していることが判った(図3G)。GM43は、GM46から欠陥のあるnef対立遺伝子を持つウイルス変異体を獲得したと考えられる。しかしGM43が夫(GM46)からの伝染中および/または感染の定着中にnef対立遺伝子を選択しなかったのはむしろ驚くべきことである。なぜならば、実験的にnef-欠損SIVに感染させたアカゲザルではnef対立遺伝子の機能形が瞬時にしかも効率的に選択される(Kestler, H. W. d., 他、1991. Importance of the nef gene for maintenance of high virus loads and for development of AIDS Cell. 65:651-62)からである。特定の患者では、弱毒化ウイルス変異体の方が、無傷のnef対立遺伝子を持つHIV-1株よりも選択上の利点があるのかもしれない。ウイルス複製を効率的に制御するCTL認識を逃れることができるnef-欠陥ウイルスを選択するには免疫反応が有効と思われる(Mariani, R., 他、1996. High frequency of defective nef alleles in a long-term survivor with nonprogressive human immunodeficiency virus type 1 infection J Virol. 70:7752-64)。
【0043】
上記の結果から、HIV-1非亜型Bも、大きなnef欠失部を担持する弱毒化変異体に収斂的に進化する可能性があることが実証される。CRF01_AE感染のこの特異な事例によって、長期的な非進行性感染に関する系統的な研究、およびアジアにおけるように、開発途上国でHIV-1発症の研究が進んでいない震源地におけるウイルスと宿主の遺伝因子および免疫因子との間の交絡を解明する研究が容易になると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、患者GM43の血清検査およびウイルス検査におけるパラメータの経時的変化を示す。(A);血清検査およびウイルス検査パラメータのプロファイルの変化。(上段)gag (p24)とenv (C2/V3)領域のネストPCRによるプロウイルスHIV-1 DNAの検出:陰性(-);陽性(+)。セロディアゼラチン粒子凝集検査の抗体力価(PA力価)を示す。(中段)1mlの血液中のCD4+細胞数(白丸)。(下段)HIV-1血中RNA量(コピー数/μl(対数目盛り))(黒四角)。指定時点(A〜E)に採取した試料についてプロウイルスHIV-1ゲノムを分析した。2002年2月(試料採取時点E)に、はじめてGM43からHIV-1を単離した。(B):GM43から連続的に採取した血清に対するウエスタンブロット分析(Genelabs Diagnostics HIV 2.2)。ストリップ1〜9:1996年1月から1996年10月までの期間に連続的に採取した血清。ストリップAとB:1997年7月(試料採取時期A)に採取した血清と1998年12月(試料採取時期B)に採取した血清
【図2】図2は、GM43におけるnef-LTR領域の進行性欠失を示す。(A):指定時点(A〜E)で採取した患者のPBMCからのHIV-1 nef-LTR領域のPCR増幅フラグメントの分析。ネストPCRによって増幅したDNA生成物を、1.5%のアガロースゲルで電気泳動し、臭化エチジウム染色で可視化した。CRF01(AEの無傷のゲノムから予想される増幅フラグメントのサイズ(GM46をコントロールとして使用)は1140bpである。(B):欠失の大きさ(y軸)を、サンプリング時点(x軸)に対してプロットしたもの。棒グラフは、指定時点におけるnef-LTR領域における大きさの異なる欠失の割合(パーセンテージ)を示している。
【図3】図3は、患者GM43におけるnef-LTR領域のゲノム構成の進化を示す。対応する領域に関するHIV-1 CRF01(AE TH.CM240のゲノム構造図を最上段に示す。ネストPCRプライマーの位置を矢印で示す。黒塗りのボックスは正常な配列を表し、空白は欠失を表す。ヌクレオチドの位置はM240を基準として示されている。空白領域内の数字は、欠失の大きさを表す。患者GM43とその夫のGM46およびシドニー血液バンクコホートに記述のHIV-1亜類型B弱毒化変異体HIV-1C18からの各HIV-1単離体のゲノム構成を比較のために示す。
【図4】図4は、env (C2/V3) (A)とnef-LTR (B)領域のヌクレオチド配列に基づいた系統樹分析を示す。系統樹は、Kimuraの2パラメータ距離マトリックスに基づいて隣接結合法によって構築した。SIVCPZGABを外集団として使用する。対応するノードにブーツトラップ値(>80)を示した。GM43/36クラスターのブーツトラップ値は丸で囲んである。各系統樹の右側には、亜型とCRFの名称を示す。
【図5】図5は、患者GM43の主要な準種(Δ391)であるGM43-20におけるnef-LTR領域のヌクレオチド配列と、シドニー血液バンクコホートに記載のHIV-1亜類型B弱毒化変異体であるHIV-1C18のヌクレオチド配列との比較を示す。(A)nef-LTR領域における配列のランドマークが示されている。C18には、一組のNFkBとSpI配列からなる23-bpの複製が担持されている。(B)GM43-20のnef-LTR領域における欠失の配列ランドマークと部位。
【配列表フリーテキスト】
【0045】
SEQUENCE LISTING
<110> National Institute of Infectious Diseases
<120> Attenuated HIV-1 nucleotide sequence
<130> A51025A
<160> 5
<210> 1
<211> 8586
<212> DNA
<213> Human immunodeficiency virus
<400> 1
ggacttgaaa gcgaaagtta atagggactc gaaagcgaaa gttccagaga agttctctcg 60
acgcaggact cggcttgctg aggtgcacac agcaagaggc gagagcggcg actggtgagt 120
acgccaaatt ttgactagca ggggctagaa ggagagagat gggtgcgaga gcgtcagtat 180
taagtggggg aaaattagat gcatgggaaa aaattcggtt acggccaggg ggaaagaaaa 240
aatataggct aaaacattta gtatgggcaa gcagagagtt agaaagattc gcacttaacc 300
ctggcctttt agaaacagca gaaggatgtc aacaaataat agagcagtta cagtcaactc 360
tcaagacagg atcagaagaa cttaaatcat tatttaatac agtagcaacc ctctggtgcg 420
tacaccaaca gataagggta aaagacacca aggaagcttt agataaacta gaggaagtac 480
aaagtaagag ccagcaaaag acacagcagg cagcagctgg cacaggaagc aacagcaaag 540
tcagccaaaa ttaccctata gtgcaaaatg cacaagggca aatgacacat cagcctatat 600
cacctagaac tttgaatgcc tgggtgaaag tagtagaaga aaagggtttt aacccagaag 660
taatacccat gttctcagca ttatcagagg gaggcacccc acaagattta aatatgatgc 720
taaatataat agggggacac caggcagcaa tgcaaatgtt aaaagagacc atcaatgagg 780
aagctgcaga atgggatagg gtacacccag tacatgcagg gcctattcca ccaggccaga 840
tgagggaacc aaggggaagt gacatagcag gaactactag tacccttcaa gaacaaatag 900
gatggatgac aaacaatcca cctatcccag tgggagacat ctataaaagg tggataatcc 960
tgggattaaa taaaatagta agaatgtata gccccattag cattttagac ataagacaag 1020
ggccaaagga acccttcaga gactatgtag ataggttcta taaaactctc agagcggaac 1080
aagctacaca ggaggtaaaa aactggatga cagaaacctt gctagtccaa aatgcgaatc 1140
cagactgtaa gtccatttta aaagcattag gaacaggagc tacattagaa gaaatgatga 1200
cagcatgcca gggagtggga ggacctagcc ataaagcaag ggttttggct gaggcaatga 1260
gccaagcaca acatgcaaat ataatgatgc agagaggcaa ttttaagggc cagaaaagca 1320
ttaagtgctt caactgtggc agagaaggac acctagccag aaattgcagg gcccctagaa 1380
aaaagggttg ttggaaatgt gggaaggaag gacatcaaat gaaagactgc actgagagac 1440
aggctaattt tttagggaaa ttttggcctt cccacaaggg aaggccaggg aattttcctc 1500
agagcagacc agagccaaca gccccaccag cagaaaactg ggggatgggg gaagagacac 1560
cctcctcact gaggcaggag cagaaggaca agcaacagcc tcctccttta atttccctca 1620
aatcactctt tggcaacgac cccttgtcac agtaaaaata ggaggacagc tgaaagaagc 1680
tctattagat acaggagcag atgatacagt attagaggaa ataaatttgc caggaaaatg 1740
gaaaccaaaa atgatagggg gaattggagg ttttatcaag gtaaggcaat atgatcaaat 1800
acttatagaa atttgtggaa aaagagctat aggtacagta ttagtaggac ctacacctgt 1860
caacataatt ggacgaaata tgttgactca gctgggttgt actttaaatt tcccaattag 1920
tcctattgac actgtaccag tagcattaaa gccaggaatg gatggaccaa gggttaaaca 1980
gtggccattg acagaagaaa aaataaaagc attaacagaa atttgtaaag agatggaaga 2040
ggagggaaaa atctcaaaaa ttgggcctga aaatccatac aatactccag tatttgctat 2100
aaagaaaaag gacggcacca aatggaggaa attagtagac ttcagagagc ttaataaaag 2160
aactcaggac ttttgggaag ttcaattagg aataccgcat ccagcaggtt taaaaaagaa 2220
aaaatcagta acagtactag atgtggggga tgcatatttt tcagttcctt tacatgaaag 2280
ctttagaaag tatactgcat tcaccatacc tagtataaac aatgagacac caggaatcag 2340
atatcagtac aatgtgctgc cacagggatg gaaaggatca ccagcaatat tccagaatag 2400
catgacaaaa attttagagc cctttagaat aaaaaatcca gaaatggtta tctatcaata 2460
catggatgac ttgtatgtag gatctgattt agaaataggg cagcacagag caaaaataga 2520
ggagctgaga gctcatctaa tgagctgggg atttactaca ccagacaaaa agcatcaraa 2580
ggarcctccg ttcctttgga tgggrtatga actccatcct gacagatgga cagtccagcc 2640
tatagaactg ccagaaaaag ayagctggac tgtcaatgat atacagaaat tagtgggaaa 2700
actaaattgg gcaagccaaa tttatccagg gattaaagta aagcaactat gtaaactcct 2760
caggggagct aaggcactga cagacatagt gccactgact gaagaagcag aattagagtt 2820
ggcagagaac agggagattc taaaaacccc tgtgcatgga gtatattatg acccatcaaa 2880
agacttaata gcagaagtgc agaaacaagg gcaggatcaa tggacatatc aaatatttca 2940
agagccattt aaaaatctga aaacaggaaa atatgccaga aaaaggtctg ctcacactaa 3000
tgatgtaaga caattagcag aagtggtgca aaaaatagcc acagaaggca taataatatg 3060
gggaaagacc cctaaattta gactacccat acacagagaa acatgggaaa catggtggat 3120
ggagtattgg caggctacct ggattcctga atgggagttt gttaataccc ctcctctagt 3180
aaaattatgg taccaattag aaaaagaccc catagtagga gcagagactt tctatgtaga 3240
tggggcagct agtagggaga ctaagctagg aaaagcagga tatgtcactg acagaggaag 3300
acaaaaggta gtttccctaa ctgagacaac aaatcaaaag actgaattac atgcaatcca 3360
tttagccttg caggattcag gatcagaagt aaatatagta acagactcac aatatgcatt 3420
aggaatcatt caggcacaac cagacaggag tgaatcagaa gtagtcaacc aaataataga 3480
ggagctaata aaaaaggaaa aggtctacct gtcatgggta ccagcacaca aggggattgg 3540
aggaaatgaa caagtagata aattagtcag ttcaggaatc agaaaggtgc tatttttaga 3600
tgggatagat aaggctcaag aagagcatga aagatatcac agcaattgga gaacaatggc 3660
tagtgatttt aatttgccac ctatagtagc aaaggaaata gtagccaact gtgataaatg 3720
tcaactaaaa ggggaagcta tgcatggaca rgtggactgt agtccaggga tatggcaatt 3780
agattgcaca catctagaag gaaaagtcat cctggtagca gtccacgtgg ccagtggata 3840
tatagaagca gaagttatcc cagcagaaac aggacaggag acagcatact ttctgctaaa 3900
attagcaggg agatggccag taaaagtaat acacacagac aacggtagca atttcaccag 3960
cgctgcagtc aaagcagcct gttggtgggc caatgtccga caggaatttg ggatccccta 4020
caatccccaa agtcaaggag tagtagaatc tataaataag gaattaaaga aaatcatagg 4080
gcagrtaaga gagcaagctg aacaccttaa gacagcagta caaatggcag tattcattca 4140
caattttaaa agaaaagggg ggattggggg gtacagtgca ggggaaagaa taatagacat 4200
aatagcaaca gacatacaaa ctaaagaatt acaaaaacaa attacaaaaa tycaaaattt 4260
tcgggtttat tacagggaca gcagagaccc aatttggaaa ggaccagcaa agctactctg 4320
gaaaggtgaa ggggcagtag taatacaaga caatagtgat ataaaaatag taccaagaag 4380
aaaagcaaag atcattaggg attatggaaa acagatggca ggtgatgatt gtgtggcagg 4440
tagacaggat gaggattaga acatggaaca gtttagtaaa acatcatatg tacgtctcaa 4500
agaaagctaa aaagtggttt tatagacatc attatgaaag ccagaatcca aaggtaagtt 4560
cagaagtata tattccacta ggagaggcta gattagtaat aagaacatat tggggtctgc 4620
agacaggaga aaagractgg caattgggcc atggagtctc catagaatgg aggcagagaa 4680
catatagcac acaaatagat cctgacctcg cagaccaact gattcatcta cactattttg 4740
actgtttttc agactctgcc ataaggaaag ccatattagg acaagtagtt agacgtaggt 4800
gcgaataccc atcaggacat aacaaggtag gatccctaca atatttggca ctgaaagcat 4860
taacaacacc aaaaaggata aggccacctc tgcctagtgt taagaaatta acagaagata 4920
gatggaacaa gccccagaag atcaggggcc acagagagaa cccttcaatg aatggrcakt 4980
agaactgtta gaggagctta aaaatgaagc tgttaggcat tttcctaggc cctggctcca 5040
tggcttagga cggtacatct ataacactta tggagatact tgggaagggg ttgaagctat 5100
artaagaatt ttgcaacaac tactgtttgt tcatttcaga attgggtgtc aacatagcag 5160
aataggcatt ttgccaggga gaggaggcag gaatggagcc agtagatcct aacctagagc 5220
cctggaatca tccgggaagt cagcctacaa ctgcttgtag caagtgttac tgtaaaatat 5280
gttgctggca ttgtcaacta tgctttctga aaaaaggctt aggaatctcc tatggcagga 5340
agaagcggaa gcaccracga gaaactcctc agaacagtaa ggatcatcaa aatcatatac 5400
caaagcagta agtaataagt atatgtaatg acacctttgg aaattagtgc aatagtagga 5460
ctgatagtag cgctaatctt agcagtagta gtgtggacta tagtagctat agaaatagtg 5520
agaatactag agcaaagraa aatagacagg ttagttaaaa gaataagaga aagagcagaa 5580
gacagtggaa atgagagtga aggagacaca gakgaattgg ccaaacttgt ggaaatgggg 5640
gactttggtc cttgggttgg tgataatttg tagtgcctca gacaacttgt gggttacagt 5700
ttattatggr gttcctgtgt ggagagatgc agagaccacc ctattttgcg catcagatgc 5760
caaagcacat gagacagaag tgcacaatgt atgggccaca catgcctgtg tacccacaga 5820
ccccaaccca caagaaatac ccctggaaaa tgtaacagaa aattttaaca tgtggaaaaa 5880
taacatggta gagcagatgc aggaggatgt aatcagtcta tgggatcaaa gtctaaagcc 5940
atgtgtaaag ttaactcctc tctgcgttac tttaaattgt accaatgcta ctttgaccaa 6000
tgttactttg accagagrca ctaacatawc aggtgactat aacataggaa atgtaacaga 6060
tgaagtaaga aactgttctt ttaacatgac cacagaaata agagataaga agcagaatkt 6120
ctatgcactt ttttacaagc ttgatatagt acaaatggat aakagtratg astrtaggtt 6180
aataaattgt aatacttcag tcattaagca ggcttgtcca aagatgtcct ttgatccaat 6240
tcctatacat tattgtactc cagctggttt tgcgctttta aagtgtaata rtaagaattt 6300
caatgggaca gggccatgta amaatgtcag ctcagtacaa tgcacacatg gaattaagcc 6360
agtggtatca actcaattac tgttaaatgg cagtctagca gaagacgaga taataatcag 6420
atctgaaaak ctcacagaca atgccaaaac cataatagtg caccttaata aatctgtaga 6480
aatcaattgt accagaccct ccaacaatac aagaacaagt atacctatag gaccaggaca 6540
agtattctat agaacaggag acataacagg agatataaga aaagcatatt gtaagattaa 6600
tggaacaaaa tggarggaag ttttagcaca ggtagctgga aaattaaaag agcratttaa 6660
taagacaata gtcttccaac caccctcagg aggagatcta gaaattacaa cgcatcattt 6720
tacttgtaga ggggaatttt tctattgcaa tacaacacaa ctgtttaata gtacttgcaa 6780
trgtacttgc acaggagata atggcactat cacacttcca tgcagaataa agcaaattat 6840
aaacatgtgg cagggagcag gacaagcaat atatgctcct cccgtcagtg gaanaattaa 6900
ttgtgtatca aacattacag gaatactatt gacaagagat ggtggtgtta ataatagtgc 6960
aactaacgag accttcagac ctggaggagg aaatataaag gacaattgga gaagtgaatt 7020
atataaatat aaagtagtac aaattgaacc actaggaata gcacccacca gggcaaagag 7080
aagagtggtg gaaagagaaa aaagagcagt gggaatagga gctatgatct ttgggttctt 7140
aggagcagcc ggaagcacta tgggcgcggc gtcaataacg ctgacggtac aggccagaca 7200
attattgtct ggtatagtgc aacagcaaag caatttgctg agggctatag aggcgcagca 7260
gcatctgttg caactcacag tctggggcat taaacagctc caggccagag tcctggctgt 7320
ggaaagatac ctaaaggatc aaaagttcct aggactttgg ggctgctctg gaaaaatcat 7380
ctgcaccact gctgtgccct ggaactccac ttggagtaat aaatcttttg aagagatttg 7440
gaacaatatg acatggatag aatgggagag agaaattagc aattacacaa cacaaatata 7500
tgagatactt acaaaagcgc aggaccagca ggacagaaat gaaaaggatc tgttagaatt 7560
ggataattgg gcaagtctgt ggaattggtt tgacataaca aattggctgt ggtatataaa 7620
aatatttata atgatagtag gaggtttaat aggtttaaga ataatttttg ctgtgctttc 7680
tatagtaaat agagttaggc agggatactc acctttgcct ttccagaccc ctacccatca 7740
gcagagggaa cccgacagac ccgaaagaat cgaagaagga ggtggcgagc aaggcagaga 7800
cagatccgtg cgattagtga ccggattctt agcacttgcc tgggacgatc tacggagcct 7860
gtgcctcttc agctaccacc gcttgagaga cttcatcttg gttgcagcga ggattgtgga 7920
acttctggga cgcagcagtc tcaagggact gagacggggg tgggaaggcc tcaaatatct 7980
ggggaacctt ctgttatatt ggggacagga actaaaagct agtgctattt ctttgtttga 8040
tgctacagca atagcaatag cgggrtggac agatagggtt atagaagtag cacaaagagc 8100
ttggagagcc attctccaca tacctagaag aatcagacag ggcttagaaa gggctttgct 8160
ataacatggg aagcaagtgg tcaaaaagta acatagtggg atggcctcct tttaaaagaa 8220
aaggggggac tggatgggct agtttagtag aggagaacaa caaagaagaa gacaactgcc 8280
tgtyacaccc cataagccag catggaatag atgatgaaga aagagaagtg ctgatgtgga 8340
agtttgacag tgccagaact gcacccagag ttctataaag actgctgaca aagaagtttc 8400
taactaggac ttccgctggg gactttccag gggaggtgtg gccggggcgg agttggggag 8460
tggctaaccc tcagatgctg cataaaagca gccgctttcc gcttgtactg ggtctctctt 8520
gttagaccag gtcgagcccg ggagctctct ggctagcaag ggaacccact gcttaagcct 8580
caataa 8586
<210> 2
<211> 21
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 2
gagttaggca gggatactca c 21
<210> 3
<211> 18
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 3
taagcactca aggcaagc 18
<210> 4
<211> 23
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 4
agcctgtgcc tcttcagcta cca 23
<210> 5
<211> 27
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic DNA
<400> 5
gcactcaagg caagctttat tgaggct 27





【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の何れかの塩基配列を有するDNA。
(1)配列番号1に記載の塩基配列;又は
(2)配列番号1に記載の塩基配列において、1〜複数個の塩基が欠失、置換及び/又は付加している塩基配列であって、弱毒化HIV−1ウイルス変異体をコードする塩基配列:
【請求項2】
請求項1に記載のDNAを有する組み換えベクター。
【請求項3】
請求項1に記載のDNA又は請求項2に記載の組み換えベクターを有する形質転換体。
【請求項4】
請求項1に記載のDNA又は請求項2に記載の組換えベクターを宿主に形質転換して得られる形質転換体を培養することにより調製される、ウイルス粒子。
【請求項5】
請求項4に記載のウイルス粒子を含む、HIVワクチン。





【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−191891(P2006−191891A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8741(P2005−8741)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(591222245)国立感染症研究所長 (48)
【出願人】(000192903)神奈川県 (65)
【Fターム(参考)】