説明

弾性ファスナー

【課題】本発明により、他のいずれのステム状ウェブと同様に実質的にいずれの用途にも使用することができ、整形外科用途に使用することができる圧縮ラップ品目または包帯に特に有用であるウェブ材料を提供する。
【解決手段】本発明は、2つのサイドを有し該2つのサイドの少なくとも一方から延在する複数のステムを有するウェブ材料であって、(a)第1のサイドと第2のサイドとを有する弾性材料を包含する第1の層と、(b)該第1の層の該第1のサイドに面する第1のサイドと、該複数のステムがそこから延在する第2のサイドとを有する第2の材料の連続した第2の層と、の少なくとも2層を具備することを特徴とし、引張応力を受けるときに少なくとも1つの方向に初期状態から伸びることができ、該応力の除去には該状態に戻ることができるウェブ材料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締めるかまたは結合するために使用される複数の特徴部を備えた表面を有するポリマーウェブ等のウェブに関する。そのような特徴部は、対向する表面上の繊維または突起物に機械的に絡み合うことができるステム、ループおよび他の表面特徴部であってもよい。
【背景技術】
【0002】
ミネソタ州セントポールのミネソタマイニングアンドマニュファクチャリング社(3M)によって商標「Scotchmate」で現在売買されているようなフックおよびループファスナーは、機械ファスナーの公知の型である。フックに対する1つの代替物は、ループではなく他の突起または表面特徴部に係合することによって両性機械ファスナーとしても使用することができるマッシュルーム型突起またはステムである。
【0003】
特許文献1および特許文献2には、直立ステムを備えたポリマーウェブを押出成形する方法が開示されている。特許文献3のフック構造物において、単一構成要素の熱可塑性樹脂は、キャビティの配列を有するツールに押し出され、樹脂から分かれるときにステムの配列を形成する。ステムは、次いで圧延されて、ステムの頂部により広いヘッド(キャップまたはマッシュルームヘッド)を形成する。特許文献4には、2つの異なる材料を使用して、両側にステムを備えたステム状ウェブを製造する方法が開示されている。
【0004】
業界における現在の進歩にも関わらず、より様々な用途に合致するより広い様々な特性を有する機械ファスナー等のステム状ウェブの必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,056,593号明細書
【特許文献2】米国特許第4,959,265号明細書
【特許文献3】米国特許第5,077,870号明細書
【特許文献4】米国特許第5,393,475号明細書
【発明の概要】
【0006】
発明の開示
この説明の目的のために、ステムは、ウェブ等の表面からの突起を称し、ステムが、ステム、ループまたは繊維等の他の特徴部を有する噛み合い表面に機械的に絡み合うかまたは係合することができるならば、突起の形状、長さ、長さ対幅比、または他の特徴は問わない。ステム状ウェブは、少なくとも一方の面にフックおよびステム等の小さな構造物または特徴部を有するウェブである。
【0007】
本発明は、ウェブの少なくとも一方の面から延在する複数のステムを有する材料のウェブである。ウェブは、少なくとも、第1のサイドと第2のサイドとを有する第1の材料の層と、第2の材料の層とを含む。第2の材料の層は、第1の層の第1のサイドに面する第1のサイドと、複数のステムが突出する第2のサイドとを有する。第1および第2の材料の層は、層の一方または両方が溶融される間に、且つ溶融された層が冷却される前に、一緒に結合してもよいが、そうしなければならないわけではない。
【0008】
第1の層は弾性材料から形成され、第2の材料の層は熱可塑性材料または溶融加工可能なポリマー材料から形成されることができる。第1の材料の層は第2の材料の層とは異なり、1つの実施態様において、第1の層を形成する材料は第2の層に突出して、第2の層に形成されたステムの少なくとも一部を形成する。
【0009】
他の実施態様において、ウェブの両方の面がステムを有することができ、これらのステムの1つまたはそれ以上がキャップを有することができる。追加の材料の層が形成されて第1および第2の層と一緒に結合されてもよい。
【0010】
本発明は、複数のステムを有する材料のウェブを製造する方法も含む。この方法は、第1の材料の層用に第1の弾性材料を選択し、第2の材料の層用に第2の材料を選択することを含む。第1および第2の材料の層は溶融形成される。第1および第2の材料の層は結合して、2層シートを形成する。次に、複数のステムが少なくとも第2の材料の層に形成される。
【0011】
ステムは、穴の配列を含む少なくとも1つの温度制御された表面に対して複数の層シートをプレスしてステムの配列を形成することによって、形成されることができる。キャップが次に、加熱された表面にステムをプレスしてステムの先端にキャップを形成することによって、ステムの先端に形成されることができる。
【0012】
あるいは、ステムは、熱可塑性材料または溶融加工可能な材料の複数の層を形状づけられたダイを通って押し出し、少なくとも一方の面に複数の隆起したリブを有する複数の層シートを形成することによって、形成されることができる。複数の鋭い縁がリブを直角に通り、複数の層シートが伸ばされて、各リブを複数のステムに分ける。ステムには、フック状形状を備えて形成されることができ、または、次に加熱された表面に対してプレスされて、フックまたはキャップ付ステムを形成することができる。
【0013】
溶融形成ステップは、第1および第2の材料の層を同時に溶融形成することを含むことができる。結合ステップは、(a)第1および第2の層を、いずれの層が冷却される前に一緒に結合すること、(b)第1および第2の層をラミネートすること、且つ/または、(c)第1および第2の層の間に1つまたはそれ以上の反応結合層を組み込むこと、を含むことができる。溶融形成は、第1および第2の材料の層を同時押し出しすることによって達成することができる。
【0014】
本発明のウェブは、締めるか固定するかくるむかされる物体または本体を囲繞するように伸ばされることができ、その本体または物体に適合する一定の引張応力を提供するように緩和する。その長さ全体に沿って実質的に連続した締結能力も呈する。弾性ウェブの端のみに締結手段を有する弾性材料から形成される代わりに、これらの連続締結構造は、弾性ウェブの長さおよび幅全体を横切ってまたはこれらに沿って締結手段を有することができる。これらの構造から実現された利益は少なくとも2つの部分を有する。すなわち、(1)そのような連続した機能性ウェブは、いずれの有用なサイズおよび形状に切断することができ、機能性を呈し、なかんずくテープ状包装が可能である。(2)そのような連続した機能性ウェブは、単位面積当たりより多くの締結能力を有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
すべての図面は本発明のウェブ材料の部分断面図であり、ステムと第1および第2の材料の層の組み合わせとの様々な実施態様を示す。
【図1】第1の弾性層が第2の層を通って突出してステムを形成する構造である。
【図2】図1に類似した実施態様であるが、ステムが、第2の層材料製のクラウンまたは先端を有することが異なる。
【図3】ステムが、第1の弾性層材料のコアと、第2の層材料の外側シースまたは表面とを具備する実施態様である。
【図4】ステムが、上部すなわち第2の層材料の大半を具備し、第1の弾性層材料のほんの少しの部分がステムの基部内に突出する実施態様を示す。
【図5】ステムが全体的に第2の層材料から作られる実施態様である。
【図6】図5に類似した実施態様を示し、第2の層が複数の層を具備するというさらなる特徴を備える。
【図7】伸び活性前の複数のステムを備えた本発明のウェブの実施態様を示す。
【図8】図7と同一の構造を示し、伸びの後の拡張した状態であり、個別のステムが互いに対して位置が変わっている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
機械ファスナーのフック構造物は、ステム状のウェブの1つの型である。これらのファスナーは、ステム上に、形成されたループ材料に係合することができるいくつかの型のフックを有し、ステムは今度はウェブ上に形成される。用途によって、フック構造物および基部支持体は、複数の構成材料から製造される。本発明において、これらの複数の構成材料は、たとえば溶融形成(たとえば押出)によって一緒に形成され、機械ファスナーの性能特性を高める。これらの性能向上は、材料の選択に依存し、フック強度、フックおよびステムの可撓性、耐久性、耐摩耗性、ループ保持力、ループ係合、柔軟性、外観、剥離、および、剪断強度が挙げられる。材料および構成を選択することによって、個別用途のための機械ファスナーの特性を変える。
【0017】
別の型のステム状ウェブは、キャップのないステム構造物を有する。たとえば接着剤材料をステム状のウェブの1つまたはそれ以上の表面へ加えることによって、ステムの表面が自動接着するときに、ステム表面は自己噛み合いすることが可能である。
【0018】
性能に影響を与えるいくつかの特性として、材料の層の厚さ、ステム構造(ステムが1つまたはそれ以上の材料から形成されるか否かおよびステムが2つ以上の材料から構成される場合に材料の相対位置)、単一層かまたは複数の層が使用されるか、ステム密度(単位面積当たりのステムの数)、ステム形状(ステムが本質的にまっすぐか、傾斜しているか、または形状づけられたフックを有するか)、および、構造の第2の表面の特性が挙げられる。
【0019】
複数層のファスナーは、ステムの配列を有する少なくとも1つの表面が形成される少なくとも2層を含む。そのようなファスナーの第1の層は、構造全体が弾性特徴を呈するように、すなわち、応力(たとえば引張応力)をかけられたときに当初の状態から少なくとも1つの方向へ伸ばされ(少なくとも5パーセント、好ましくは10パーセント、より好ましくは20パーセント)、応力の除去時にその初期状態に実質的に戻るように、弾性材料を具備する。本発明のウェブは、50パーセントまでの、好ましくは30パーセント未満、より好ましくは25パーセント未満の引張歪または応力緩和がある場合、当初の状態に実質的に戻るとみなされる。第1の層は、幅広く様々な公知の弾性材料のいずれを含んでもよく、たとえば、天然ゴムまたは合成ゴム等のエラストマー、イソプレンまたはブタジエンまたはエチレン(ブチレン)ブロックを含むスチレンブロックコポリマー、メタロセン触媒ポリオレフィン、ポリウレタンまたはポリジオルガノシロクサンが挙げられる。他のエラストマーは、下記の群に関係してもよい。すなわち、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ブロックおよび星形ポリマーである。
【0020】
ステム状のウェブ構造の第2の層は、当初は連続していてもよい。この層と、もしあれば、他の追加の層とは、同一であってもよく、または、各々が互いから且つ第1の弾性層を含む材料から異なっていてもよい。たとえば、そのような第2のまたは追加の層は、第1の弾性層を含むエラストマー材料と同一であっても、異なってもよく、または、そのような層は、エラストマーでなくてもよい。そのような層の一方は延性であってもよく、他方は剛性であってもよい。第2のおよび/または任意の追加層に有用な材料の型のいくつかの例として、ポリプロピレンまたはポリエチレン等のポリオレフィン;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、エチレンビニルアセテートコポリマー、アクリレート改質エチレンビニルアセテートポリマーおよびエチレンアクリル酸コポリマー等の他の熱可塑性樹脂;アクリルゴムまたは天然ゴムまたは合成ゴム、粘着付与されたスチレンブロックコポリマー、粘着付与されたポリジオルガノシロクサンユリアコポリマーおよび非晶質ポリ(l−アルケン)等の感圧接着剤;エチレン−ビニルアセテート等のホットメルト接着剤;ナイロンまたはポリ塩化ビニル等の延性熱可塑性樹脂;非粘着性接着剤;およびこれらの材料のブレンドが挙げられる。
【0021】
たとえば4層以上で一般に100層までの複数の層が、結果として、使用された個別の材料のものとは異なってもよい特性を有するステム表面化ウェブ構造の新しい構成物になることができる。第1または第2の層またはいずれの追加の層のいずれかまたは双方が、少なくとも2つの異なる材料製の2つまたはそれ以上の層を有してもよく、広い配列の構成物特性を備えた複数層構造を産する。
【0022】
様々な材料を使用して、ウェブの片側または両側に所望の特性を提供することができる。これらのいくつかの例として、接着剤面、研磨面または高摩擦面を提供することができる表面、低摩擦面を提供することができる剥離表面、および、たとえば、接着剤、コーティングまたは着色剤等の材料のための受容面を提供して、耐久性のある画像を形成する作用面等が挙げられる。着色剤は、水系インクまたは有機溶剤系インクまたは100%活性材料から構成されるインク等の広い範囲の材料を含むことができる。これらのインクは、紫外(UV)線への露出または静電グラフィック画像形成等の方法によって硬化されることが可能である。コーティングは、100%固体材料としてか、または、水および有機溶剤のいずれかの組み合わせに溶解されたかまたは分散されたかの、いずれの数の材料を含むことができる。1つの例としては、材料をインクジェットプリンタによって印刷されることができるコーティングが挙げられる。
【0023】
第1の層と第2の層(主要な層)との間の層間接着またはもしあればいずれの補助層の間の層間接着は、1つまたはそれ以上の反応種を層の間に組み込み界面に反応結合層を形成することによって、または両方の主要な層に親和力を有する別個の層を構造内に組み込むことによって、高めることができる。そのような反応種は、それぞれの層の界面で反応することによって層間接着を高める。そのようであるため、大半の反応種は、層の大部分内にあってもよく、したがって、表面にはなく、接着を高めるのに有用である。少量のグラフト化反応成分を含むポリマーが売買されている。これらの材料は、適切に合わせると、層間接着を効果的に増大する。有用な対として、たとえば、カルボン酸/アミン、無水マレイン酸/アミン、カルボン酸および無水マレイン酸/ヒドロキシル、マレイン酸および無視マレイン酸/二重結合、カルボジイミド/カルボン酸、イソシアネート/ヒドロキシル、アミン/ハロゲン化ヒドロキシル、エステル/アミン、エステル/エステル、エステル/ヒドロキシルフェノール、アミド/エステル、エポキシド/ヒドロキシルまたはアミンまたはカルボン酸または無水マレイン酸、オキサゾリン/カルボン酸またはフェノールまたは無水マレイン酸、および、ラクタム/アミンまたは酸イオノマーが挙げられる。
【0024】
反応結合層は連続であっても不連続であってもよく、エラストマーであってもエラストマーでなくてもよい。適切な反応結合層の選択は、その結合層の所望される機能性により、そのような選択は当業者の能力内である。一般に、反応結合層は、第1の層の材料または第2の層の材料に優先の親和力を有する分子セグメントを具備する複数セグメントのグラフトポリマーまたはブロックコポリマーを具備する。有用な結合層材料として、たとえば、ポリエチレンの層をポリアクリル酸の層に接着するのを高めるためのエチレンアクリル酸ブロックコポリマー、ポリエチレンの層をポリビニルアルコールの層に接着するのを高めるためのエチレンビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンの層をポリ酢酸ビニルの層に接着するのを高めるためのエチレン酢酸ビニルブロックコポリマー、ポリエチレンの層をポリアクリル酸の層に接着するのを高めるためのエチレンアクリル酸ブロックコポリマー、ポリエチレンの層をポリメチルアクリレートの層に接着するのを高めるためのエチレンメチルアクリレートブロックコポリマー、および、ポリプロピレンの層をポリウレタンの層に接着するのを高めるためのグラフト化エポキシまたは無水マレイン酸群を備えたポリプロピレンが挙げられる。層の相対厚さが、本発明の弾性ファスナー構造の特性に影響を与える。ステムの外側層を形成する接着剤の薄い層およびステムの厚いコアを形成する剛性ポリマーが、薄い剛性コア上に厚い接着剤層を有するものよりも、より硬質のステム配列を産する。しかし、弾性層の全体的厚さ(すなわち、他のいずれの弾性層とともに第1の連続した弾性層)は、全体的構造が弾性動作を呈するものであることは重要である。
【0025】
厚さ、粘度および処理状態を制御することによって、数多くの異なる構造を作ることができる。これらの構造は、材料の選択とともに、最終的な機械ファスナーのフックの性能を決定する。図1は、ステム12を有するシートまたはウェブ10の第1の構造を示す。この構造は、同時押し出しされた材料の2層、すなわち上層(第2の層)14と連続した下弾性層(第1の層)16ととを使用する。この構造において、より多くの下層材料が使用される。連続した下弾性層16は、シートの基部と、ステム12のコアおよび上部分とを形成する。上層14は、シートの基部上およびステムの下部分のまわりに表面層を形成する。別の実施態様において、複数の材料および複数のサブ層が、それぞれ上層14、下層16を形成することができる。
【0026】
図2は、図1の構造よりも上層14により多くの材料を使用する構造を示す。連続した下弾性層16はまた、シート10の基部とステム12のコアとを形成する。ここでは、上層14が、下層16から作られたステム上にクラウンを形成する。上層14はまた、シートの基部上に表面層を形成し、ステムの基部を囲繞する材料のシースも含む。
【0027】
図3において、連続した下弾性層16は、シート10の基部とステム12用のコア材料の柱とを形成する。上層14は、基部上およびステム上に表面層を形成する。
【0028】
図4において、下弾性層16はまた、シート10の連続した基部とステム12の小部分とを形成する。上層14は、弾性基部上に表面層を形成し、ステム材料の大部分を形成する。下層は、上層がステム基部シートとステムとを形成する点へステムのいずれの部分を形成することができ、且つ、下層は、ステムのいずれの部分も形成しない連続した滑らかなシートである。
【0029】
図5は、図4に類似した実施態様を示す。図5において、連続した下弾性層16は、シート10の基部を形成し、上層14は、基部に表面層を形成し、ステム材料の全体を形成する。
【0030】
図6は、材料の複数の上層18を使用し、連続した下弾性層19を有するステム状シート構造を示す。上層18は、2層まで少なくてもよく、または異なる層の刻み目であってもよい。これらの層は、異なる層で任意に繰り返すことができる2つまたはそれ以上の異なる材料を具備してもよく、1つまたはそれ以上の層が連続したまたは不連続の反応結合層を含んでもよく、いずれの隣接する2層の間の層間結合を増大する。シートの弾性基部とステムとは両方とも、多くの材料の層から形成される。この構造は、結果として、基部に表面層を形成し、ステムの外側面を形成する1つのみの材料(最上層)を備えた製品になる。あるいは、図示のように、ステムは、ステムの底部から頂部へステムの長さ方向に沿って露出した複数の層を有することができる。
【0031】
ステム状シートの層は、ステム形成の前に、同時にまたは順次に形成することができ、一方または両方の層が溶融される間に、溶融された層が冷却される前に、一緒に結合することができる。層はまた、層を互いにラミネートし、層を同時に冷却することによって、結合することもできる。ウェブの意図される使用および適用により、任意に、他の材料、類似接着剤および印刷を、ウェブに加えることができる。
【0032】
連続形成は、たとえば、順次押出、すなわち、一方の層を最初に押し出し、次いで他方の層を押し出すことによって達成することができる。これは、1つまたはそれ以上のダイで実行することができる。あるいは、層は金型で形成することができ、または、流し込み成形または圧延等の他の公知の方法によって形成することができる。同時形成は、たとえば、同時押出によって達成することができる。単一の多重マニホールドダイを使用することができ、または、複数のキャビティに切って複数の層を形成する供給ブロックを使用することができる。
【0033】
同時押出は、異なる押出機から異なる溶融ストリームを、(1)複数スロットの供給ブロックへ、次いで単一の層フィルムダイへ、または、(2)多重マニホールドダイへ、通すことによって、発生することができる。複数スロットの供給ブロック技術において、少なくとも2つの異なる材料が、異なる押出機から供給ブロックの異なるスロット(通常2〜200超)内へ供給される。個別のストリームは、供給ブロック内で合流し、層状スタックとしてダイに入り、材料がダイを離れるときに層状シート内に流れ出る。多重マニホールドダイは、ダイリップで異なる押出機からの異なる溶融したストリームを結合する。この方法は、通常、層の数が増えると複雑さが増すため、2〜3層のフィルムに限定される。両方の場合において、ダイを離れる層状シートは、2つのロールによって形成されたニップの間を通り、ロールの少なくとも一方は、ツール面を有し、ステムを形成する。
【0034】
ファスナー構造の層は、業界で公知の技術を使用して所望の結合強度を達成するのに十分な温度および圧力条件下で互いに対してラミネートすることもできる。一般に、層は、柔らかな状態まで加熱されて圧力下で一緒にプレスされる。それぞれのポリマーの溶融点に近い温度および20KPaまでまたはそれ以上の圧力を使用して、十分な層間接着を作ることができる。あるいは、高温高圧が望ましくない場合には、反応結合層、ホットメルト接着剤および感圧接着剤を使用することができる。
【0035】
ステム密度は製品の用途による。12〜465ステム/cm2(81〜3000ステム/in2)の密度範囲が最も有用である。多くの異なるステム形状を使用することができる。ステムは、真っ直ぐでも傾斜してもヘッド付(キャップ付)でもよい。キャップ付ステムは、マッシュルーム型、ゴルフティー型、アンカー型またはネイルヘッド型でもよい。押出成形された異形を有することができる。真っ直ぐなステムは、自己噛み合いであってもよく、または、感圧接着剤(PSA)外側層を有してもよく、または、次にPSAを塗布されてもよい。ステムは、たとえば、棒、角柱、球、平行六面体、不規則角度形状および雲形形状を初めとするいずれの形状を有することができる。
【0036】
ステム状ウェブも、ウェブの滑らかな側(ステムとは反対側)に、同時押し出しされた層を備えた滑らかな面を有することができ、これがステム表面の機械的締結機能を他の機能と組み合わせる。
【0037】
本発明の1つの実施態様において、ファスナー構造は、幾分脆い熱可塑性材料から形成されたステムを有する第2の層を有して設計されてもよい。そのような実施態様において、熱可塑性材料は、連続した弾性基部上に薄いスキン層を形成することができ、ステムの大部分を具備することができる。この構造は、比較的剛性のステムを提供しながら、構造の全体的な弾性動作を保持し、これが、厚い弾性層上にステムを支持する薄い連続上層を具備する。弾性構造は伸びによって活性化されることができる。この構造は、隣接するステムの間のスキン層を破断するかまたは割るのに十分な当初伸び力がかけられ、ステムはその後、剛性ステムの間で伸ばされ、伸び力の解放時に当初の状態に実質的に戻ることができる。各伸びに必要な応力は、弾性率、厚さおよび伸びの程度等のエラストマーコアの特性による。引張歪もエラストマーの化学的性質により、ほぼゼロから50パーセントの範囲であり、大半の場合に3〜10パーセントである。同時押し出しされたステムウェブの伸びる能力は、層の厚さ率による。ステムを支持する第2の層に適切である比較的非弾性の剛性ポリマーとして、たとえば、ポリカーボネートとポリスチレンとが挙げられる。
【0038】
別の実施態様において、ステムを支持する第2の層は、溶融加工可能なポリマー材料の不混和性のブレンドから製造される。不混和性ブレンドが、ダイまたはカレンダー等の形成手段によって層内に拡張されると、ポリマーの一方が他方のポリマーの連続フェーズ内に不連続フェーズを形成する。不連続フェーズポリマーは溶融加工可能で連続フェーズポリマーと十分に混合されなければならず、そのため、押出物の不混和領域は、第2の層の厚さ内にある。不連続フェーズは、顕微鏡的または分子的スケールで伸びた領域(ドメイン、ストランドまたはチェーン)に形成し(たとえば押し出し法によって)、それが第2の層の方向に、すなわち、機械方向またはダウンウェブ方向に延在する。一般に、不連続ポリマーの領域またはドメインは、形成された層の横断面直径が250マイクロメートル未満、好ましくは100マイクロメートル未満、もっとも好ましくは50マイクロメートル未満でなければならない。そのような構造は、伸びに対して異方性である。
【0039】
熱可塑性樹脂層は、別個の領域内で(クロスウェブ方向に伸ばすことによって生じた複数の割れによって)複数の縦じわに分かれる。すなわち、構造がクロスウェブ方向に、すなわち、機械方向に対して直角な方向に伸びるときに、熱可塑性の(第2の)層の別々の領域が分かれる。結果として、表面またはステム層は壊れて、表面層が損なわれていない領域の間で狭い平行な(割れ)線の複数の領域になる。対照的に、熱可塑性の(第2の)層は、この型の構造がダウンウェブ方向すなわち機械方向に伸びるときには、より様々に分かれる。表面(熱可塑性の)層は、より大きなより不規則に間隔をおいた領域に割れる。表面層が壊れて縦じわになると、構造はより大幅に伸びることができ、割れのまわりの表面層の離層は顕著ではない。しかし、表面層の割れが、ダウンウェブ方向にかなり多くの距離分けられた比較的少ない割れに制限されると、構造はあまり伸びることはできず、離層がより明白になる。
【0040】
本発明の別の実施態様において、熱可塑性の(第2の)層は、幾分延性がある。したがって、薄い上層は、「伸び活性」の間に永久に伸び、緩和の間に顕微鏡的スケールで折り返されるかまたはしわが寄る。適切である幾分延性なポリマーとして、たとえば、ポリエチレンとポリプロピレンとが挙げられる。
【0041】
ステムの間の上(第2の)層の最大厚さが重要である。上層は、構造の伸び活性を妨げるほど厚くてはいけない。上層の実際の厚さは、所望のステムのサイズと、構造を活性化するのに加えられる力とに依存する。一般に、より薄い上層がより良好である。典型的に、ステムが形成される前のウェブの上層は、500ミクロン未満、好ましくは250ミクロン未満、もっとも好ましくは125ミクロン未満でなければならない。
【0042】
ステムが形成される前のウェブの上層の最少厚さが重要なことが多い。ステムが形成される前の上層は、所与の用途のために所望のサイズおよび剛性のステムが形成されることができるのに十分な厚さでなければならない。弾性層の材料が十分な支持体を提供し、上層の材料が十分に剛性であるならば、ステムが形成される前の上層は、ステムが全体的に上層に使用される材料から構成される必要がないため、きわめて薄くてもよい。逆に、ステムが全体的に上層の材料から構成されなければならないならば、より厚い上層を使用しなければならない。ステムが形成される前の実際の最小上層厚さは、両方の主要層に使用される材料の型および用途による。
【0043】
これらの実施態様は図7、8に例示される。図7は、実質的に第2の材料から製造されるステム部分12を有する予め活性化された弾性ウェブファスナー10を示す。第2の層12は、ステムを形成するのに加えて、各ステムの間の第1の連続した弾性層16の頂部に薄いコーティングとして存在する。図8は、伸び活性時に拡張した状態の同一の構造を例示する。ここで、ウェブ10は伸びて、薄い第2の層14が、割ることによってステムの間で位置を変え、弾性層16は自由に伸びることができる。この構造は、伸び力の解放時に、実質的に当初の配向に戻るが、この構造が図8に示される状態に再度伸びるように、位置変化はそのままである。
【0044】
様々な添加剤、たとえば、充填剤(材料の固さと流れ特性とを変える)または抗菌剤または酸化防止剤(老化特性に影響を与える)が、構造の1つまたはそれ以上の層に組み込まれてもよい。微小球、難燃剤、内部用離型剤、着色剤、熱伝導粒子、および、電気伝導粒子が使用されてもよい。
【0045】
フックは、米国特許第5,077,870号に開示されるように、ステムをキャップして、マッシュルーム型ヘッドを形成することによって製造することができる。また、フックは、異形押出成形を使用して製造することができ、ウェブ上に長いリブを形成する。リブは、次いで側方向に薄く切られ、次いで伸ばされて、複数のステムを形成する。ヘッドは、薄く切る前または後のいずれかにステム上に形成することができる。これは、米国特許第4,894,060号に開示されている。
【0046】
ステムは、方向性フック能力を提供するように形状づけることができる。そのような方向性フックを使用して、選択された方向に締結を提供し反対方向に解放能力を提供することによって、方向的安定性をフックおよびループ締結構造に与えることができる。方向性ステムは、同一方向に傾斜した複数の穴を有するツールに溶融されてスキン層をプレスすることによって製造することができる。ツールの穴にはレーザが形成されることができ、たとえば、ベルトの上面に対して45度、60度等の様々な角度でドリルすることができる。熱可塑性ツールのレーザドリルの方法は、米国特許第5,792,411号に記載されている。これらのステムは、ループ面に係合するためにキャップされる必要はない。結果として得られるファスナー面によって、本発明は、機械的係合を解放するために引き且つ機械的係合を達成するために解放することによって、よりきつく締めることができる。
【0047】
1つに態様において、ループ層は、1つの方向に整合配置される弾性繊維を組み込むのであれば、弾性でありうる。この構造が伸び活性化されるときに、ステムを支持する硬質(または非弾性の第2の)層に見られるクラックまたは亀裂は、空気および湿分に対して透過性がある。弾性層は既に気体および湿分に対して透過性があるため、構造全体は活性化後に通気性がある(すなわち、気体および蒸気に対して透過性がある)。
【0048】
本発明のステム状ウェブは、他のいずれのステム状ウェブと同様に実質的にいずれの用途にも使用することができ、整形外科用途に使用することができる圧縮ラップ品目または包帯に特に有用であることがわかった。たとえば、弾性ファスナーは、ケーブル、整形外科品目または競技者保護装置を固定する弾性ラップとして使用することができる。医療ラップまたは包帯は、粘着性および接着性医療ラップおよび包帯の使用に関連する不利点なしで、特定の使用に必要な強度、弾性および締結特性を有するように製造されることができる。
【実施例】
【0049】
本発明は、下記の実施例によってさらに例示されるが、本発明の範囲を限定することを意図されない。実施例において、すべての部、率およびパーセンテージは、他に指示のない限り重量による。下記の試験方法を使用して、実施例の品目を特徴づけた。
【0050】
試験方法
層間接着
熱可塑性樹の材料と弾性層の材料との間の層間接着は、プラテンプレスに作られたステムなしのサンプルで測定された。各実施例用に、これらの材料の層の間の接触は、マサチューセッツ州キャントンのインストロン社(Instron Corporation)が販売のモデル1122インストロン装置を使用する引張T剥離試験によって測定された。サンプルの幅は、25mmであり、クロスヘッド速度は100mm/分であった。
【0051】
層厚さ
サンプルの層の厚さは、日本の株式会社小野測器が販売のモデルST−022ゲージスタンドを装備したモデルEG−233オノソッキディジタルリニアゲージを使用して測定した。表面にステムを有するフィルムのサンプルの断面の光学顕微鏡写真は、ミネソタ州ミネアポリスのリーズプレシジョンインスツルメンツ(Leeds Precision Instruments)が販売の写真能力を備えた光学顕微鏡を使用して撮られた。
使用された材料
材料 内容
DOWLEXTM3445 ポリプロピレン、メルトインデックス35g/10分、ミシガン州ミドランドのダウケミカル社が販売
VECTORTM4111 スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、テキサス州ヒューストンのエクソンケミカル社が販売
STYRONTM615 ポリスチレン、ミシガン州ミドランドのダウケミカル社が販売
BYNELTMXB602 グラフト化した1重量%のエポキシ官能基を備えたポリプロピレン、デラウェア州ウィルミントンのデュポン社が販売
KRATONTMFG−1901X 1重量%の無水コハク酸を備えたスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー、テキサス州ヒューストンのシェルケミカル社が販売
LOTADERTMAX8840 ポリエチレンと8重量%のグリシジルメタクリレートとのコポリマー、ペンシルバニア州フィラデルフィアのエルフアトケム社(Elf Atochem Co.)が販売
KRATONTMG1657 スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロックコポリマー、テキサス州ヒューストンのシェルケミカル社が販売
CD1010 トリアリールスルホニウムヘクサフルオロアンチモネート、ペンシルバニア州エクストンのサートマー(Sartomer)が販売
ESTANETM58661ポリウレタン、200%伸びたときの引張歪が3%、ショア硬度85A、オハイオ州クリーブランドのB.F.グッドリッチが販売
TECOFLEXTMCLC−60D ポリウレタン、ショア硬度70D、サウスカロライナ州スパータンバーグのサーメディクス社(Thermedics)が販売
DYPROTM7825MZ メルトフローインデックスが35のポリプロピレン、テキサス州ダラスのフィナオイル&ケミカル社(Fina Oil & Chemical Co.)が販売
G18 メルトフローインデックスが18のポリスチレン、バージニア州チェサピークのハンツマンケミカル社(Huntsman Chemical Corp.)が販売
ループ材料A ポリプロピレンスパンボンドの不織シートおよびポリプロピレンの薄い層に接着されたKRATONTMG1657ポリマーの層に接着されたクリンプされたループ材料、米国特許第5,256,231号にしたがって調製
ループ材料B ポリエステルスタイル695738の織られたシート サウスカロライナ州スパータンバーグのミリケン社(Milliken and Company)が販売
ループ材料C ポリプロピレンスパンボンドループ材料の2つの層の間に挿入されたSPANDEX繊維の平行ストランドから構成される不織シート、外側ポリプロピレンスパンボンド材料がこれに加えられるときにSPANDEX繊維が引張状態にあるようにある手段によって調製される
【0052】
実施例1
DOWLEXTM3445ポリプロピレンが、直径約32mm、L/Dが24/1、スクリュー速度15rpm、およそ215℃まで上昇した温度分布を有する単一スクリュー押出機に供給された。熱可塑性材料が押出機を通り、少なくとも0.7MPaの圧力で加熱されたネックチューブを通って、25.4cm幅のフィルムダイ(CloerenTMEBR III96−151、コーレン社(Cloeren Co.)販売)に装着された3層の調節可能な滑り羽根型供給ブロック(CloerenTMモデル86−120−398、コーレン社販売、および2層のためのセットアップ)の1つのポート内に、連続して排出された。弾性材料、Vector4111が、直径約64mm、L/Dが24/1、スクリュー速度5rpm、およそ215℃まで着実に上昇した温度分布を有する第2の単一スクリュー押出機に供給された。弾性材料は、次いで、加熱されたネックチューブを通って3層の供給ブロックの第2のポート内に、少なくとも約1.4MPaの圧力で連続して排出された。供給ブロックおよびダイは、およそ215℃に設定された。ダイのギャップはおよそ0.5mmに設定された。2層の溶融された構造は、ダイから排出され、約0.2KPaのニップ圧を有する2つのロールによって形成されたニップ内に約1.5m/分で滴下供給された。第1のロールは、55℃に維持され、直径約280ミクロン、深さが約2.5mmを超え、約813ミクロンの間隔をおいたキャビティを含むツール面を有し、結果として約140ステム/cm2のステム密度を有するステム配列が得られた。第2のロールは、滑らかなクロムめっきされた面を有し、これも55℃に維持された。ポリプロピレン層がツール面に面し、弾性層がクロム面に面した。結果として得られた流延フィルムがツール面から除去され、各々が直径およそ300ミクロンおよび高さ約700ミクロンを有しフィルムの表面から延在するロッド状ステム突起を備えたステム表面フィルムを形成した。ステムを有する表面を138℃まで加熱したロールに対して露出することによってフィルムの一部のステム上にキャップが形成された。キャップ付ステム表面フィルムの弾性側に、3Mが販売のLSE300アクリル系トランスファー感圧接着剤を塗布し、ループ材料Aのシートにラミネートした。
【0053】
測定は、フィルムおよび類似材料製のプレスされたサンドイッチで行われ、フィルムは様々な長さに伸ばされ、観察された。硬質層と弾性層との間の接着は、204℃に加熱されたWabashaTMに一緒にプレスされた類似材料製のプレスされたラミネートの層間接着を測定することによって見積もられた。これらの材料のラミネート用の層間接着は、270N/mであった。弾性材料は光学顕微鏡法によって観察され、ステムの中央部分を具備した。硬質層と弾性層との厚さは、それぞれ、約20ミクロン(μm)、100ミクロン(μm)と測定された。フィルムの3つのサンプルが、(1)一時にサンプルの元の長さを超えて400%まで、(2)100%刻みで400%、または(3)50%のいずれかに伸ばされた。400%まで伸ばされると、ステムの間の熱可塑性層は、3つの場合ともすべて永久に変形した。フィルムを緩和すると、ステム表面フィルムは、その伸びの約80%縮み、拡張の約20%は永久伸びであり、硬質層はステムの間に複数の折りまたは波しわを形成するのが観察された。次の伸びおよび緩和サイクルでは、結果として、永久伸びはほんのわずかな増加であった。フィルムが伸ばされ、そのまわりをくるまれるときに、機械的結合が、キャップ付ステム表面とループ表面との間の接触に形成された。材料の層の間の離層は観察されなかった。
【0054】
実施例2および比較例1
これらの実施例は、本発明のウェブにおける熱可塑性樹脂(第2の)層の厚さを増加する効果を例示する。
【0055】
実施例2および比較例1において、ループ材料なしで複数のキャップなしステムを備えた表面を有するフィルムが、実施例1と類似した方法で作られたが、硬質(熱可塑性)材料の流量が増加し、結果として第2の層の厚さがそれぞれ50μm、80μmに増加したことを除く。実施例2のウェブは図3に類似し、比較例1のウェブは図5に類似した。
【0056】
各実施例用に、ステム表面フィルムの性能が伸びの間に観察された。実施例2は、熱可塑性フィルムが割れる前に約20%まで伸びた。伸びの間、硬質層は、20%の伸びで割れるまで変形した。硬質層は、弾性層から離層するようには見えなかった。比較例1において、フィルムはごくわずかな伸びで破断した。硬質層および弾性層は、いくらかの離層を呈し、この材料から作られた硬質層の厚さは厚すぎて、弾性材料がステム内に流れ込んで結合を形成することはできなかった。
【0057】
実施例3
これらの実施例は、ステム表面フィルムの性能における異なる硬質層の厚さを増加する効果を例示する。
【0058】
実施例3において、表面にキャップのないステムを有し且つ反対側にループ材料のないフィルムが、実施例1と類似した方法で作られたが、第2の層の材料がStyron615ポリスチレンであり、硬質層の流量が増加して、結果として第2の層の厚さが20μmに増加したことを除く。押出機温度は実施例1と同一に保たれた。
【0059】
各実施例用に、ステム表面フィルムの性能が伸びの間観察された。実施例3は、ポリスチレンフィルムが破断する前に約50%まで伸びた。伸びの間、微小割れがステムの間のポリスチレン層に形成し、伸びが増えると分離した。
【0060】
実施例4、5
これらの実施例は、ステム表面フィルムの性能において反応結合層を使用して単位面積当たりのステムの数を増加する効果を例示する。
【0061】
実施例4、5において、ループ材料がなくキャップのないステムを備えた表面を有するフィルムが、実施例1と類似した方法で作られたが、反応結合層が存在し、ツール面に異なる材料および穴数密度が使用されたことを除く。実施例4、5の両方において、硬質材料と弾性材料とは、それぞれ、BynelTMXB602ポリプロピレンと、KratonTMFG−1901Xコポリマーとであった。反応結合層は、硬質層のエポキシ官能基と弾性層の無水コハク酸との反応生成物であった。実施例4、5において、ツール面は変化して、約208ステム/cm2、480ステム/cm2のステム密度を形成した。
【0062】
各実施例用に、これらの材料の層の間の接着と本発明のウェブの性能が伸びの間に観察された。層間接着は1090N/mであった。弾性材料の溶融粘度が熱可塑性材料の溶融粘度よりもかなり高く、したがってツール面の穴に流れ込まなかったため、層厚は20μmであったにもかかわらず、ステムは硬質材料のみから構成されることが観察された。しかし、硬質層および弾性層は、層の間に機械的係合がないにも関わらず、実施例4、5の両方のステム表面フィルムが実施例1にように伸ばされるときに、離層は観察されなかった。ステム数密度が増えると、より強い機械的結合を形成すると予想されるが、伸び特性に何ら悪影響を与えなかった。
【0063】
実施例6〜10
これらの実施例は、ステム表面フィルムの性能における反応結合層と放射線架橋を使用する効果を例示する。
【0064】
実施例6〜10において、熱可塑性の層と弾性層との2層フィルムが、インディアナ州ウォバッシュのウォバッシュMPIが販売のプラテンプレートを装備したモデル030H−15−LPウォバッシュホットプレスで作られた。実施例6において、熱可塑性の層と弾性層とは、それぞれ、熱可塑性材料LotaderTMAX8840と弾性材料KratonTMG1657から個別に作られた。LotaderTMAX8840ポリマー層は、ポリテトラフルオロエチレンを塗布されたシートで覆われたプラテンプレートの間に、1.5分の間に204℃で276KPaの圧力下に材料を置くことによって形成された。KratonTMG1657層は、ポリアミド系ライナーで覆われたプラテンプレートの間に、1.5分の間に204℃で827KPaの圧力で材料を置くことによって形成された。2つの層は、次いで、180℃の温度下でわずかな接触圧で30秒の間、一緒にプレスされた。加熱直後に、2層構造は、2ポンドローラーで2回巻かれた。実施例7は実施例6と同様に作られたが、弾性材料がKratonTMG1901であったことを除く。実施例8は実施例7と同様に作られたが、2層フィルムが、(1)180℃に予熱された炉内に30秒間置かれ、(2)コンベヤウェブライン上で紫外線に照射されたことを除く。紫外線硬化システムは、モデルF600V硬化システムとEPIQ6000照射器とを含み、両方ともメリーランド州ゲイザーバーグ(Gaithersburg)のフュージョンUVキュアリングシステム(Fusion UV Curing Systems)が販売した。フィルムの表面は、バージニア州スターリングのEITが販売のUVパワーパックTM(UV Power PuckTM)によって測定したときに、2J/cm2の放射線に露出された。実施例9は実施例8と同様に作られたが、弾性材料が0.5重量%のPh3SSbF6触媒を含んだことを除く。実施例10は実施例9と同様に作られたが、触媒の量が1.0重量%であり、2層フィルムがUV照射の前に3分間予熱されたことを除く。
【0065】
各実施例用に、これらの材料の層の間の接着は、下記のように測定され報告された。
表1 実施例 層間接着(N/m)
表1に見られるように、層間接着は化学線感知触媒の存在によって劇的に影響される可能性がある。層間接着が増大すると、2つの主要層の機械的からみ合いによる層間接着の必要性が減少し、したがって、いずれの弾性材料を含まないより剛性のステムを作ることが可能である。
【0066】
実施例11、12
これらの実施例は、ステム表面フィルムの性能において硬度が主として異なる一対の材料を使用する効果を例示する。
【0067】
実施例11、12において、ループ材料がなくステムを支持する表面を有するフィルムが、実施例1の方法に類似した方法で作られたが、材料といくつかのプロセスの状態が異なることを除く。両方の実施例の第2の層材料および弾性材料は、それぞれ、TECOFLEXTMCLC−60DポリウレタンおよびESTANETM58661ポリウレタンであった。流量は、実施例11、12の硬質層および弾性層が、それぞれ、20、100μm、および、10、100μmであった。
【0068】
実施例11は、第2の層フィルムが破断する前に20%伸びた。当初解放時に、永久伸びは10%であった。実施例12は、TecoflexTMCLC−60Dポリウレタンの割れまたは層の離層なしで30%伸びた。
【0069】
実施例13、14
本発明の弾性ステム表面ファスナーを作る別の方法である。
【0070】
実施例13、14は、実施例1に類似して作られたが、ループを含む層が異なる方法で加えられたことを除く。実施例13において、ループ材料Bは、ツール面と溶融された2層フィルムを備えた滑らかな面との間のニップの間を、両方とも約1.5m/分で通った。溶融されたフィルムがループ材料B構造の1つの織られた繊維表面に十分に包埋されたため、接着剤結合層は必要なかった。実施例14は実施例13と同様に作られたが、Vector4111弾性コポリマーがプロセスになく、ループ材料Cが材料Bの代わりに使用されたことを除く。
【0071】
両方の実施例のファスナー構造は、3つの異なる方向、すなわち、(1)ダウンウェブ方向、(2)ダウンウェブ方向から30度、および(3)クロスウェブ方向、にウェブを伸ばすことによって伸び活性された。使用されたループ材料の異方性特性のため、構造は、第1の場合に150%伸びることができ、第2の場合は40%、第3の場合には10%のみであった。両方の実施例とも、伸びた状態で物体のまわりにくるむことができ、機械的に締められた。
【0072】
実施例15
両側における自己噛み合いステムの効果が例示された。
【0073】
実施例15のウェブは、実施例1の方法に類似した方法で作られたが、熱可塑性樹脂の第2の層の材料が供給ブロックの第1および第3のスロットの両方に供給され、ニップの両面が穴で仕上げされ、キャップ付けは180℃で行われ、ループ材料は使用されなかったことを除く。
【0074】
結果として得られたフィルムの各側は、フィルムが少なくとも20%伸びた後、ループを使用せずに他方の側に係合することができた。
【0075】
実施例16
性能におけるステムのフック方向性の効果が例示された。
【0076】
表面にステムを有するウェブは、実施例1の方法に類似して作られたが、異なるパターンを有するツール面が使用され、ステムにキャップされたなかったことを除く。ツール面の穴は、表面に対して直角ではなく、ツールの表面に対して傾斜して作られた。2つのサンプルが作られ、サンプルAはツール面ロールに穴を備え、ステムは、可動ウェブの垂直面に、ダイに向けて45度戻った角度で形成され、サンプルBは60度の角度で形成された。結果として得られたステム表面ウェブは、ループ材料Aにラミネートされた。結果として得られた構造物は、張力下で伸ばされたときに締められることができ、すなわち、機械締結要素から係合を外すことができ、フィルムが解放されるときに増加したバインディング圧力で再係合することができた。
【0077】
実施例17
性能における異方性弾力の効果が例示された。
【0078】
3層フィルムが、3台の押出機を使用する同時押出ラインで調製された。AおよびC層(第1および第2のスキン層または外側層)が、177℃〜204℃〜218℃〜246℃のバレルゾーン温度分布と23rpmのスクリュー速度とを有する、ニュージャージー州シーダーグローブのデイビススタンダード社(Davis-Standard Corp.)によって製造された直径3.8cmの単一スクリュー押出機(24:1のL/D)を使用して押し出された。A層とB層との配合物は同一であり、25:75の重量比のDYPROTM7825MZポリプロピレンとG18ポリスチレンとのブレンドから構成された。B層(エラストマーコア)は、177℃〜204℃〜218℃〜246℃のバレルゾーン温度分布と30rpmのスクリュー速度とを使用する、ニュージャージー州シーダーグローブのデイビススタンダード社によって製造された直径6.35cmの単一スクリュー押出機(24:1l/D)を使用して押し出された。KratonTMG1657コポリマーがB層に使用された。A、BおよびCのポリマーのストリームは、CloerenTMABC供給ブロック(テキサス州オレンジのコーレン社(Cloeren Co.))内で混合され、次いで従来のコートハンガーダイを通って押し出された。供給ブロックおよびダイは260℃の温度に維持された。3層フィルムは、クロムロールと温度制御されたツール面とで形成されたニップ内に押し出され、C層はツール面に接触していた。ツール面は、388/cm2の密度でキャビティを形成するステムを含んだ。クロムロールは7℃の温度に維持され、ツール面は66℃の温度に維持された。3層フィルムは、ツール面から剥がされ、ロールに巻かれた。結果として得られたフィルムは、163ミクロンの基部フィルム厚を有し、C層から形成された直立ステムは、高さ550ミクロン、直径約226ミクロ(基部フィルム面上約150ミクロンで測定)を有する基部フィルムから突出した。フィルムは、次いで、上(133℃)カレンダーロールと下(43℃)バックアップロールとの間の406ミクロンのギャップを通って供給され、上ロールはステムの遠位端に接触し、機械的圧力下で容易に変形する温度まで加熱し、結果として直径330ミクロの略均一なディスク形状のヘッドが得られた。
【0079】
結果として得られたフィルムのサンプルは、長さおよそ3cm、幅2.5cmのストリップに切断された。サンプルAは機械方向に長い寸法を有し、サンプルBはクロスウェブ方向に長い寸法を有した。両方とも長い寸法に伸ばされ、構造を活性化した。サンプルAのステム表面は、ストリップを横切る単一のぎざぎざ線に割れた。さらに伸ばすと、破断していない表面の領域の間にストリップを横切って第2および第3の割れが発生し、長さ1〜3cmが測定された。熱可塑性ステム表面と弾性層との間に離層が観察された。ステムを有するサンプルBの表面は、ストリップを横切って数本の縦じわ領域に割れた。離層は観察されなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのサイドを有し該2つのサイドの少なくとも一方から延在する複数のステム(12)を有するウェブ材料(10)であって、
(a)第1のサイドと第2のサイドとを有する弾性材料を包含する第1の層(16)と、
(b)該第1の層(16)の該第1のサイドに面する第1のサイドと、該複数のステム(12)がそこから延在する第2のサイドとを有する熱可塑性材料の連続した第2の層(14)と、
の少なくとも2層を具備することを特徴とし、
ステムの間の第2の層の厚さが500ミクロン未満であり、
該ウェブが引張応力を受けるときに少なくとも1つの方向に初期状態から伸びることができ、該第1の層が該応力の除去時にその初期状態に戻ることができ、該第2の層が少なくとも2つの隣接したステムの間で永久に変形するウェブ材料。
【請求項2】
2つのサイドを有し該2つのサイドの少なくとも一方から延在する複数のステム(12)を有するウェブ材料(10)であって、
(a)第1のサイドと第2のサイドとを有する弾性材料の第1の層(16)と、
(b)該第1の層(16)の該第1のサイドに面する第1のサイドと、該複数のステム(12)がそこから延在する第2のサイドとを有する材料の第2の層(14)と、
の少なくとも2層を具備することを特徴とし、
引張応力を受けるときに少なくとも1つの方向に初期状態から伸びることができ、該応力の除去には該状態に戻ることができ、そして
該第1の層(16)を形成する材料がステム(12)の中に突出し、ステム基部シートの上にステム(12)の少なくとも一部を形成している、
ウェブ材料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−99502(P2010−99502A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6167(P2010−6167)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【分割の表示】特願2000−514540(P2000−514540)の分割
【原出願日】平成10年10月2日(1998.10.2)
【出願人】(590000422)スリーエム カンパニー (144)
【Fターム(参考)】