説明

弾性ファスニングタブ、ファスニングシステム、およびその製造方法

隣接する第1および第2の閉鎖要素(6、8)であって、それぞれ第1の面(10、12)と第2の面(14、16)を有し、各閉鎖要素の第1の面に感圧接着剤(20、22)が塗工されている閉鎖要素;各閉鎖要素の第1の面に取り付けられる弾性フィルム(18)であって、それぞれ第1および第2の閉鎖要素に接合される2つの端部(24、26)およびそれらの間にある中間部分を有する弾性フィルム;並びに、閉鎖要素と弾性フィルムの間に介在するブランキングフィルム(28、30)を備える、弾性積層体ファスニングタブ(2)。本発明は、また、このようなファスニングタブを備えるファスニングシステムおよびその製造方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨て吸収性物品、特に成人用失禁用物品に使用するための新規な弾性積層体ファスニングタブおよびファスニングシステム、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨て吸収性物品は、フィット具合の調節、および、更に確実でぴったりしたフィットを可能にするため、弾性体を設けたタブファスナを使用することが多い。例えば、米国特許第3,800,796号明細書(ジェイコブ(Jacob))は、弾性タブを有する使い捨ておむつを教示しており、ここで、該タブは、2つの非弾性セグメント間に弾性セグメントを有する。非弾性セグメントの1つは、タブをおむつに取り付けるのに使用され、もう1つの非弾性セグメントは、タブでおむつを閉鎖できるように感圧接着剤(PSA)を有する。タブ全体を弾性材料で形成し、例えば、非弾性材料を端部セグメントに積層することによって、2つの終端セグメントが非弾性になるように、タブを製造できる。米国特許第3,800,796号明細書では、タブになる前の積層体が直接ロールに巻かれる場合、弾性体が接着剤に曝露される。これは、弾性体が一般に接着剤に永久結合するか、又は接着剤に汚染される可能性があるという点で、問題がある。この構成は、弾性体を感圧接着剤との直接接触から保護しない。更に、タブは、厚さが様々であり、そのため、タブファスナになる前の積層体が安定なロールに形成されることを妨げる場合がある。
【0003】
米国特許第4,522,853号明細書(ソン(Szonn))もまた、使い捨ておむつ用の弾性タブ接着閉鎖具を開示している。タブは、中間(中央)の弾性片と、接着剤が塗工された端部とを有し、弾性体は接着剤層との直接接触から保護されていない。この構成は複雑で、複数の異なる層を有するため、タブの厚さにかなりの変化が生じ、安定なロールの形成が困難になる。
【0004】
米国特許第4,643,729号明細書(ラプランシュ(Laplanche))もまた、3つの部分、即ち、第1の横側部分(非弾性、製造中おむつに取り付けるため)、第2の横側部分(非弾性、おむつを閉鎖するためPSAを含む)、および弾性中心部分を備える、使い捨ておむつ用の複雑な弾性ファスナを開示している。2つの横部分は、横方向の予備切断線を設けた支持バンドで構成される単一片の一部であり、それらは、使用時に(予備切断線に沿って)分離される。2つの横部分は、中心弾性部分に接着剤バンドで結合しており、また、横部分は、おむつに結合するように(一端は製造業者による結合のため、もう一端は使用時におむつを閉鎖するため)、弾性部分の反対側の面に接着剤を有する。米国特許第4,643,729号明細書に教示される弾性タブは、ここでも、ロールに巻くときに、弾性材料を接着剤との接触から保護しない。
【0005】
米国特許第4,778,701号明細書(ペイプ(Pape))は、別々の弾性閉鎖タブを切り取ることができる積層ストリップのロールを開示している。これは、中心弾性部分と非弾性端部(1つは製造中におむつに取り付けるため、1つは消費者がおむつの閉鎖に使用するため)を有する予め積層された弾性タブである。この弾性体もまた、余分の保護材料片がなく、接着剤への曝露から保護されていない。この材料の厚さもまた、タブの幅全体で著しく変わり、望ましくない。
【0006】
米国特許第4,795,456号明細書(ボーガーズ(Borgers))は、おむつを使用するため使用者がタブを展開するまで、安定化されている(非伸張性である)使い捨ておむつ用の伸張性タブを開示している。弾性の中心セグメントのこのような非伸張性は、使用時にタブが開かれるまで(弾性セグメントと同様に)非伸張性端部セグメントを橋絡する非伸張性ウェブ(例えば、剥離テープ又はライナー)を含むタブ構成によって達成される。ここでも、弾性体は接着剤から保護されていない。また、この構成には、複数の接着剤層とフィルム層が必要であるため、製造は費用がかかり、且つ困難である。
【0007】
米国特許第4,834,820号明細書(コンドウ(Kondo))は、弾性シート、および、弾性シートに終端部位で直接結合している非弾性保持シートを含むおむつ用弾性閉鎖タブを開示しており、非弾性シートは中心部分に切り離し溝を有する。おむつを使用するとき、消費者は、保持シートを切り離し溝に沿って手で引き裂くが、ここで、保持シートと弾性シートが結合している領域間で保持シートがもはや弾性シートを橋絡しないように、弾性シートの中心は可撓性(弾性)に作られている。タブをおむつの側部に固定し(製造業者による結合)、且つ、おむつの閉鎖に使用されるように、タブは、更に、弾性シートの下側に接着剤を有する。この構造(弾性タブ)は、ここでも、複数の接着剤層が必要であり、ロールに巻かれる場合、弾性体を接着剤層との接触から保護できない。
【0008】
米国特許第5,057,097号明細書(ゲスプ(Gesp))は、おむつ用弾性テープタブを開示しており、ここで、端部セグメントに接着剤があり、中心セグメントには接着剤がなく、テープ支持体は、多層弾性フィルム(例えば、非弾性の外皮層を有する共押出しされた弾性体)である。弾性体は、接着剤層への直接の曝露から保護されているが、タブ全体が一般に弾性であるため、終端部は必ずしも非弾性ではなく、その結果、使用中にタブが機能しない可能性がある。また、弾性体は使用前、常に曝露されている。
【0009】
特開昭60−215803号公報(樋田(Hida))は、非伸張性端部位と、端部位を接合する伸張性シートとを有する使い捨ておむつ用のタブを開示しており、ここで、端部材と伸張性シートの重なる領域の少なくとも一部が結合されていない。ここでも、この構成の弾性体は、ロール状に巻かれる場合、接着剤との接触から保護されておらず、複雑な複数工程の構成プロセスが必要である。
【0010】
EP−A−1 000 598号明細書(セレン(Selen)ら)は、2つの物品、又は1つの物品の2つの部分を互いに止着するための機械的接合テープを備えるファスニングシステムを開示している。このファスニングシステムは、第1の物品又は物品の第1の部分に固着されるように構成された第1のセクションと、2部式のメカニカルファスナの第1のファスナ部材を設けた第2のセクションとを有するファスニングテープを設けた機械的接合テープを備える。機械的接合テープは、第2の物品又は物品の第2の部分に固着されるように構成された第1の面を有し、前記2部式のメカニカルファスナの第2のファスナ部材を設けた第2の面を有するターゲットテープを備える。第1の部材と第2の部材は、互いに機械的に係合し、機械的に係脱することができる。ターゲットテープの第2の面には、第1の端部セクションが設けられ、ここでは、第1の部材は第2の部材と係合できない。ターゲットテープの第2の面の第1の端部セクションは、第1の部材と第2の部材が機械的に係合するとき、ファスニングテープの第1のセクションから遠位にある。このファスニングシステムは、一般に、スリーテープファスニングシステム(3−tape−fastening sytem)として知られている。
【0011】
米国特許第6,463,633号明細書(サンガニ(Sangani)ら)は、テープに非伸張性層および伸張性層を載設する接着剤層を含む、多層構成を有する延伸テープを開示している。ファスニングテープは、その長さ方向に沿って、第1の終端セグメント又は外端部、中心セグメント、および、第2の終端セグメント又は外端部を含む。その厚さ方向では、テープは、非伸張性フェイスストック層、接着剤層、接着剤を防ぐマスキング層および伸張性層を含む。分離線又は面は、中心セグメント内に配置される。分離線は、スリットおよび接合連結部によって形成される。スリットは、テープに対して幅方向に延在し、且つ、層の厚みを貫通し、スリットは、非伸張性フェイスストック層の維持によって、断続的に中断され、連結部を形成する。接着剤層は、非伸張性フェイスストック層の表面に固定される表面および遠隔面を含む。第1の終端セグメントに隣接する遠隔面の部分は、ファスニングテープを剥離テープに載設するのに使用され得る。第2の終端セグメントに隣接する遠隔面の部分は、おむつの正面パネルに固定することによって、乳幼児又は着用者の周りにおむつを閉鎖するのに使用され得る。分離線に隣接するテープの中心セグメント内の接着剤層の表面に沿って、接着剤を防ぐマスキング層が設けられる。マスキング層は、テープの幅全体にわたって、および、テープの中心セグメント内のテープの長さの少なくとも一部に沿って延在している。マスキング層の各側にある接着剤層の部分は、それぞれ、弾性層をテープの第1および第2の終端セグメントに隣接する非伸張性層に固定する。接着剤を防ぐマスキング層は、インクを使用して印刷することによって形成され、インクは溶媒で希釈される場合がある。マスキング層の厚さは、非伸張性フェイスストック層、接着剤層、および伸張性層を合わせた厚さの約3%を超えないため、極僅かである。印刷されたインクマスキング層の厚さは、約4μm(ミクロン)になり得る。
【0012】
EP−A−0 832 630号明細書(ブロイニッヒ(Braeunig)ら)は、おむつ背面に取り付け可能な第1の非弾性支持体部分、おむつ正面に脱離可能に取り付け可能な第2の非弾性支持体部分、および2つの支持体部分の間にある弾性中間部分を備えるおむつ閉鎖テープに関する。2つの支持体は、中間部分と接合する領域に開放面を有し、中間部分は熱可塑性弾性材料からなり、該熱可塑性弾性材料は、柔軟化した状態で支持体部分の表面開口部の中に浸透し、そのため中間部分を支持体部分に機械的に固定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、着用者に快適で、容易に且つ精密に製造できる、改善された弾性ファスニングタブを提供することである。本発明の別の目的は、成人用失禁用おむつに特に有用な改善されたファスニングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の弾性積層体閉鎖タブ又はファスニングタブは、それぞれ第1の面と第2の面とを有する隣接する第1および第2の閉鎖要素を備え、各閉鎖要素の第1の面には、少なくとも部分的に感圧接着剤が塗工されている。タブは、更に、第1および第2の閉鎖要素のそれぞれの第1の面に取り付けられている2つの端部と、それらの間にある中間部分とを有する弾性フィルムを備える。弾性フィルムが閉鎖要素の接着剤塗膜とその中間部分で接触しないように、ブランキングフィルムが第1および第2の閉鎖要素のそれぞれの第1の面に取り付けられ、閉鎖要素と弾性フィルムの間に介在している。
【0015】
第1および第2の閉鎖要素は、好ましくは、最初、中心に又は断続的にスリットが入っているファスニングテープとして提供される。ブランキングフィルムは、好ましくは、また、ブランキングフィルムの中心にスリットを入れることによって提供される2つの別々の部分を備え、前記2つの別々の部分は、それぞれ、第1および第2の閉鎖要素に取り付けられている。ファスニングテープおよび/又はブランキングフィルムを通るスリットは、典型的には直線状のスリットであるが、波形スリット又は異なる形状のスリットを入れてもよい。
【0016】
例えば、おむつの正面ウエスト部分および背面ウエスト部分など、接合される2つの物品に本発明のファスニングタブを貼付した後、ファスニングタブを延伸し、閉鎖に弾性と可撓性の両方を付与することができる。
【0017】
別の態様によれば、本発明は、前述の弾性積層体ファスニングタブ、おむつのような物品に固着されるように構成された第1の面と前記ファスニングタブの止着部分を受容するように構成された第2の面とを有するターゲットテープ、およびターゲットテープの前記第1の面が結合され得る剥離テープを備える、スリーテープ積層体の形態のファスニングシステムを提供する。
【0018】
本発明は、更に、このような弾性積層体ファスニングタブおよびファスニングシステムを製造する方法に関する。
【0019】
従来技術のファスニングタブと比べた本発明のファスニングタブの特別な利点は、確実に、精密に、低コストで製造できるということである。特に、閉鎖要素の接着剤層を部分的に被覆する追加のブランキングフィルムを提供する方が、例えば、接着剤上に非常に薄い層をインラインインクコーティングするよりもずっと容易である。ブランキングフィルムを使用すると積層プロセスの使用が可能であり、ストリップコーティングプロセスが回避される。従来技術のように非弾性閉鎖要素の一部のみに接着剤塗膜を形成するよりも、同様の利点が達成される。
【0020】
本発明のファスニングタブの別の利点は、従来技術の構成では、弾性特性を活性化させる前に、最初の引張力で接合部分が破壊されなければならないが、本発明のブランキングフィルムおよび閉鎖要素構成により、弾性要素に直接どのような引張力も加えられることである。本発明のファスニングタブでは、接合部分のこのような安定化は必要ではないが、接着剤塗膜を含む閉鎖要素およびブランキングフィルムは、好ましくは実質的に完全に切断されており、弾性フィルムによってのみ接合されている。
【0021】
本発明の弾性で延伸可能なファスニングタブおよびシステムは、おむつのフィットを改善し、慣用的な弾性ウエストバンドの代わりに使用できる。本発明のファスニングシステムは、ファスニングテープフィンガーリフトの厚みを増大することができ、そのため、使用者の手による把持が改善される。本発明のファスニングシステムの材料は、それらが印刷可能であるように選択することができる。本発明で使用される弾性フィルムは、最初は隠れていて、ファスニングテープを延伸するときに見えるようになってもよい。
【0022】
本発明の弾性ファスニングテープおよびファスニングシステムは、エンドレス形状に製造され、安定なロールに転換することができる。遊星巻きと均等巻きの両方のロール形態、並びに花綱状にする(festooning)こともロール形態として使用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、使い捨て吸収性物品、即ち、おむつ4で使用されている本発明の弾性ファスニングタブ2を示す。弾性ファスニングタブ2は、使い捨て吸収性物品4の2つの対向する側部位に延在し、取り付けられている。
【0024】
図2および3に示されるように、本発明の弾性積層体ファスニングタブ2は、対向する終端部7、9を有する、2つの隣接する第1の閉鎖要素6および第2の閉鎖要素8を備える。閉鎖要素6、8は、好ましくは不織材料、又は不織布およびフィルム層の積層体、又はポリオレフィンフィルムのような単一層フィルムで製造される。閉鎖要素6、8はそれぞれ、第1の面10、12および第2の面14、16を有する。
【0025】
弾性フィルム18は、図2では取り付けられていない状態で示されているが、最終タブでは、その2つの端部24、26で各閉鎖要素の第1の面10、12に取り付けられている。弾性フィルムは、単一層フィルムであってもよいが、好ましくは共押出しフィルムの形態である。一面又は両面をポリオレフィン、ポリアミド、若しくはポリエステル不織布で被覆された弾性フィルム、又は弾性不織布を使用してもよい。好ましくは、弾性フィルム18は、隣接する要素6および8の2つの対向する終端部7、9に対して、ほぼ対称に取り付けられているが、任意に、弾性フィルムを非対称に取り付けてもよい。弾性フィルム18は、任意の好適な材料から製造することができ、好ましくは、国際公開第99/19388号パンフレットに開示されている材料から製造される。
【0026】
好ましくは、両方の閉鎖要素6、8の第1の面10、12に感圧接着剤20、22を完全に塗工する。弾性フィルム18は、第1の端部24および第2の端部26が、それぞれ、第1および第2の閉鎖要素6および8に接着剤で接合されている。弾性フィルム18は、接着剤20、22で閉鎖要素に取り付けられる。接着剤結合に加えて、熱融着、超音波融着、冷間圧接などの補足的結合手段を使用することもできる。閉鎖要素6、8の終端部又は終端部近傍に設けられる、2つの部分28、30を備えるブランキングフィルムを介在させることにより、端部24、26の間にある弾性要素18の中間部分が、閉鎖要素6、8に接着剤で接合されないようにしている。図2〜6に示される実施形態では、ブランキングフィルム28、30の全長は、弾性フィルム18の端部24、26を閉鎖要素6、8に直接取り付けることができるように、弾性フィルム18の長さより小さい。ブランキングフィルムは、好ましくは、積層体ファスニングタブ2の製造中、閉鎖要素6、8に積層される別々のフィルムである。ブランキングフィルムは、好ましくは、透明材料で製造されるが、着色されてもよく、又は任意選択の積層フィルムを有する不織布で製造されてもよい。ブランキングフィルム28、30の長さ、又は弾性フィルム18の2つの閉鎖要素6、8への取り付け位置間の距離は、活性弾性ゾーンの幅又は絶対伸びを決定する。
【0027】
閉鎖要素6、8の1つの外端部にフィンガーリフト32を設けるが、これは、図2では取り付けられていない状態で示されており、製造プロセス中に積層される。
【0028】
使い捨て吸収性物品、即ち、おむつ4を、図2に概略的に示す。第1の閉鎖要素6は、おむつを当てた後、おむつを閉鎖するのに使用され、通常、「使用者端部」と称される。第2の閉鎖要素8は、ファスニングタブをおむつバックシート4Aに取り付けるのに使用され、通常、「製造業者端部」と称される。おむつの内側のおむつトップシートを4Bで示す。
【0029】
様々な層は、全て、ファスニングタブ2を横切る厚さの変化が、好ましくは約50%未満、更に好ましくは約40%未満であるような厚さを有する。更に精密には、閉鎖要素6、8の厚さは、好ましくは、80〜120μm、更に好ましくは約95〜105μmの範囲である。接着剤20、22の厚さは、典型的には、30〜40μmの範囲、好ましくは約35μmである。更に、介在するブランキングフィルム28、30の厚さは、典型的には、8〜20μm、好ましくは10〜14μm、最も好ましくは約12μmである。弾性フィルム18の厚さは、好ましくは、150〜250μm、好ましくは180〜220μmの範囲、最も好ましくは約200μmである。
【0030】
ファスニングタブ2の幅w(図3を参照)は、ファスニングタブの用途に応じて様々であってよく、一般に、10〜70mm、好ましくは20〜50mmの範囲である。
【0031】
その長さ方向(図2および図3を参照)で、本発明のファスニングタブの様々な要素は、以下の寸法を有してもよい:2つの閉鎖要素6、8を合わせて測定した長さは、約50〜100mm、好ましくは60〜80mm、最も好ましくは約70mmであってよい。ブランキングフィルムの2つの部分28、30の長さは、合わせて、約4〜10mm、好ましくは5〜8mm、最も好ましくは約6mmであってもよく、ここで、好ましくは両方の部分は、同じ長さを有する。弾性フィルム18は、全長が約10〜20mm、好ましくは約12〜18mm、最も好ましくは約15mmであり、好ましくは2つの閉鎖要素6と8を分離する線、およびその対向する終端部7、9を覆って中心に貼付されている。フィンガーリフト要素32の長さは、約5〜15mm、好ましくは8〜12mm、最も好ましくは約10mmであってよい。
【0032】
2つの隣接する閉鎖要素6、8は、その対向する終端部7、9で、好ましくは、隣接して向かい合う関係にあり、それらは、弾性フィルム18全体を実質的に被覆する。そのため、弾性フィルム18は、使用前は被覆されており、接着剤汚染から保護されていると同時に、また、タブの中心部位でファスナタブ2を横切る厚さの変化も最小限になる。また、機能的および審美的利点もある。弾性フィルム18を異なるように着色することができ、区別可能なコントラストを付与するようなデザインを閉鎖要素6、8に付与してもよい。使用者がタブ2をある一定の距離だけ伸張すると、特に、ブランキングフィルム28、30が透明であるときは、予め被覆された弾性フィルム18が明瞭に露出される。これによって、弾性フィルム18がどの程度延伸されているかが明瞭に視覚的に表示され、また、弾性フィルムによって加えられる力も直接表示される。図1に示されるように、おむつ4に2つの対向するタブ2を使用するとき、各タブ2が同程度、伸張されるように、力の強さを容易に調節することができる。一般に、弾性フィルム18が使用されていることが容易に分かり、延伸の程度を適宜調節できる。
【0033】
同様に、接着剤層20、22、およびブランキングフィルム28、30の対向する端部は向かい合う関係にあり、それらは、使用前、弾性フィルム18の実質的に全てを被覆する。
【0034】
典型的には、本発明の弾性ファスニングタブ2の2つの閉鎖要素6、8は、接着剤層で完全に被覆されている単一の連続ウェブ材料から製造される。次いで、製造プロセス中、最終的にブランキングフィルムを形成するフィルムを、ウェブの接着剤塗膜の中心に貼付する。次いで、ウェブ材料、接着剤層、およびフィルムの中心にスリットを入れるか、又はそれらを中心で切断し、長さがほぼ等しい、それぞれ接着剤層20および22で被覆された2つの別々の閉鎖要素6、8と、別々のブランキングフィルム28、30を形成する。切断線33を図3に示す。その後、連続テープ又はシートの形態の弾性フィルム18を、その横端部24、26で各接着剤層20、22に接着剤で接合する。このようにして、ブランキングフィルムは完全に被覆され、弾性フィルム18の中間部分と閉鎖要素6、8の間の接着剤接合を防止する。次いで、図3に表すように、ファスニングタブテープの連続ロールを個々のファスニングタブに切断することができる。これらのファスニングタブは、弾性フィルム18のため延伸することができる。延伸すると、閉鎖要素6と8の間の隙間が広がり、そのため閉鎖に弾性と可撓性が付与される。
【0035】
閉鎖要素6、8は、好ましくは、不織布とフィルム層の積層体であるが、単一のフィルム、好ましくは、ポリプロピレンフィルムもしくはポリエチレンフィルムのようなポリオレフィンフィルム、又はフィルム層のない不織布とすることもできる。不織布は柔軟性を付与し、フィルム層は、接着剤に対するバリアおよび/又は寸法安定性を付与する。不織布は、好ましくは、坪量20g/m2〜50g/m2のスパンボンド不織布であり、ここで、フィルム層はスパンボンド不織布に押出し積層される。フィルム層は、好ましくは、感圧接着剤層20、22に隣接する。また、フィルム層を別々に提供し、接着剤積層、超音波融着又は他の慣用的な方法で不織布層に取り付けることもできる。感圧接着剤層20、22を閉鎖要素6、8上に設け、閉鎖要素6、8への弾性フィルム18の取り付けと、更に、使い捨て衣類4、又は閉鎖要素を使用してもよい他の物品、又は他の要素への閉鎖要素6、8の取り付けの両方を行う。好ましくは、1つ以上、好ましくは両方の閉鎖要素6、8は弾性フィルム18を超える面積を有し、そこで感圧接着剤層20、22が露出し、その面積は閉鎖要素6、8を使い捨て衣類4に取り付けるのに使用できるか、又は、或いはメカニカルファスナ要素などの他の要素を取り付けるのに使用できる。
【0036】
弾性フィルム端部24、26は、閉鎖要素6、8に更に確実に接着するように、非弾性である少なくとも1つのゾーンを有してもよい。この非弾性ゾーンは、一般に、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mm〜10mm延在し、好ましい実施形態では、接着剤層20、22に取付けられる端部24、26の全領域に延在してもよい。これによって、弾性材料を過剰に使用することなく、弾性フィルム18が接着剤層に確実に接着する。弾性フィルム18の中間弾性部位の長さは、使い捨て吸収性物品におけるほとんどの用途では、一般に、5〜20mm、好ましくは10〜15mmである。弾性部位のサイズは、タブ2と共に使用される物品のサイズ、および物品の正確な特徴、その意図される調節能力および必要とされる弾性力に依存する。弾性部位は、少なくとも1つの弾性ゾーンで形成することができ、その弾性ゾーンは、少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1〜5mm又はそれ以上延在し得る。弾性ゾーンは、連続的でない場合、非弾性ゾーンによって分離されている。弾性フィルム18の弾性部位に非弾性ゾーンを使用することは、弾性部位の弾性特性の調節に有用な場合がある。
【0037】
弾性フィルム18は、好ましくは、少なくとも1つのエラストマーコア層、および少なくとも1つの比較的非エラストマーの外皮層を備える共押出しエラストマー積層体である。外皮層の選択された部位がその弾性限界を超えて延伸され、弛緩されると、フィルムの表面は微細構造化され、この領域のエラストマーコアは弾性部位になる。
【0038】
エラストマーコア層を形成するエラストマー、又は、或いは、全弾性フィルム18は、薄いフィルム層に形成可能で、且つ周囲条件でエラストマー特性を示す、任意の材料を広く含むことができる。エラストマーとは、材料が延伸された後、その元の形状を実質的に回復することを意味する。更に、好ましくは、エラストマーは、変形および弛緩の後、永久硬化を少ししか維持せず、その硬化は、中程度の伸びで、好ましくは元の長さの20%未満、更に好ましくは10%未満である。一般に、比較的非弾性の外皮層に比較的一貫した永久変形を引き起こす程度に延伸できる、どのようなエラストマーも許容可能である。これは、20%又は50%程度の伸びとすることができる。しかし、好ましくは、エラストマーは、少なくとも100%の伸びを経ることができる。また、室温で300〜1200%までの伸び、最も好ましくは600〜800%までの伸びも可能である。エラストマーは、純粋なエラストマー、および、室温で依然として実質的なエラストマー特性を示すエラストマー相又は含量を有するブレンドの両方とすることができる。
【0039】
好ましいエラストマーには、A−B又はA−B−Aブロックコポリマーとして当業者に既知のものなどの、エラストマーのブロックコポリマーが挙げられる。これらのブロックコポリマーは、例えば、米国特許第3,265,765号明細書、同第3,562,356号明細書、同第3,700,633号明細書、同第4,116,917号明細書、および同第4,156,673号明細書に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に援用される。スチレン/イソプレン、ブタジエン又はエチレン−ブチレン/スチレン(SIS、SBS又はSEBS)ブロックコポリマーが特に有用である。他の有用なエラストマー組成物には、エラストマーポリウレタン、エチレンコポリマー(エチレン酢酸ビニルなど)、エチレン/プロピレンコポリマーエラストマー又はエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーエラストマーを挙げることができる。これらのエラストマーの互いのブレンド、又はこれらのエラストマーと変性用非エラストマーとのブレンドも想到される。例えば、ポリビニルスチレン、ポリスチレン(ポリ(α−メチル)スチレンなど)、ポリエステル、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)又はある種のエチレン酢酸ビニル、好ましくは高分子量のもの、又はクマロン−インデン樹脂などのポリマーを50重量%まで、しかし好ましくは30重量%未満、剛化助剤として添加することができる。これらの種類のエラストマーおよびブレンドを使用できることで、有意な可撓性を備えた本発明のタブ2がもたらされる。
【0040】
また、低分子量ポリエチレンおよびポリプロピレンポリマーおよびコポリマーなどの粘度低下ポリマーおよび可塑剤、又はグッドイヤー・ケミカル・カンパニー(Goodyear Chemical Company)から入手可能な脂肪族炭化水素粘着付与剤であるウィングタック(Wingtack)(登録商標)などの粘着付与樹脂をエラストマーとブレンドすることができる。また、粘着付与剤は、エラストマーコア層の外皮層への接着性を増大するのに使用することができる。粘着付与剤の例には、脂肪族又は芳香族炭化水素液体粘着付与剤、ポリテルペン樹脂粘着付与剤、および水素化粘着付与樹脂が挙げられる。脂肪族炭化水素樹脂が好ましい。
【0041】
エラストマーフィルム18全体がエラストマーからなり、非弾性外皮層がない場合は、前述のエラストマーを使用してもよい。
【0042】
比較的非弾性の外皮層は、好ましくは、コア層よりも弾性の小さい任意の半結晶性又は無定形のポリマーで形成され、エラストマー積層体が経る延伸率で永久変形する。そのため、幾つかのオレフィン系エラストマー(例えば、エチレン−プロピレンエラストマー又はエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーエラストマー)又はエチレン系コポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル)などの僅かに弾性のある化合物を外皮層として単独で又はブレンドして使用することができる。しかし、外皮層は、一般に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、又はポリエチレン−ポリプロピレンコポリマーなどのポリオレフィンであるが、全部又は部分的に、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートなど)、ポリフッ化ビニリデン、およびポリアクリレート(ポリ(メチルメタクリレート)など)等、およびこれらのブレンドであってもよい。外皮層材料は、選択されるエラストマーの種類に影響され得る。エラストマーコア層が外皮層と直接接触する場合、外皮層はエラストマーコア層に十分に接着し、容易に離層しない。
【0043】
外皮層に有用な添加剤には、以下に限定されないが、鉱油エキステンダー、帯電防止剤、顔料、染料、ブロッキング防止剤(但し、約15%未満の量であることを条件とする)、分解性のためのデンプンおよび金属塩、並びに安定剤(エラストマーコア層で記載されるものなど)が挙げられる。
【0044】
コア層と外側層の間に、層の結合を改善する連結層など、他の層を追加してもよい。連結層は、無水マレイン酸変性エラストマー、エチルビニルアセテートおよびオレフィン、ポリアクリルイミド、アクリル酸ブチル、過酸化物(例えば、ペルオキシオレフィンなどのペルオキシポリマー)、シラン(例えば、エポキシシラン)、反応性ポリスチレン、塩素化ポリエチレン、アクリル酸変性ポリオレフィン、および、アセテートおよび酸無水物官能基を有するエチルビニルアセテートなどで形成できるか、又はそれらを配合することができ、それらを外皮層又はコア層の1つ以上にブレンドして又は相溶化剤として使用することもできる。外皮層とコア層の結合力が小さいとき、連結層は特に有用である。このことは、表面張力が低く接着しにくいポリエチレン外皮に該当することが多い。しかし、追加される層はいずれも、外皮層の微細構造化に著しく影響を与えてはならない。
【0045】
隣接する弾性ゾーンおよび非弾性ゾーンを設けるため、ある一定の領域だけが弾性を有するか又は弾性になることができるように、これらの部位又はゾーンの外皮層又は弾性層を変えることができる。極端な場合、その部位又はゾーンが、米国特許第5,057,097号明細書(ゲスプ(Gesp))又は米国特許第5,773,374号明細書(ウッド(Wood)ら)に記載されるような非弾性領域を形成するように、弾性コア層は、ある部位には存在しなくても、又はある部位で実質的に厚さが大きくてもよく、これらの文献の内容は、参照により本明細書に援用される。或いは、弾性層又は外皮層をゾーンごとに処理して、それらを弱化又は強化し、それぞれ、弾性ゾーン又は非弾性ゾーンを設けることができる。例えば、全弾性率値が低くなるようにゾーン又は部位を制御することができ、それは、配向する応力の方向で隣接する弾性率のより高い部位よりも前に優先的に降伏する。この弾性率制御は、予備積層体形成段階、形成段階、又は、特定の積層体又は積層体中間体の後形成処理を含み得る様々な方法で達成することができる。同様に、積層体全体に加えられる応力の局在化によって、これらの局在化した応力部位を含む領域に優先的な伸びを生じることができる。また、この応力制御は、積層体の形成の多数の段階のいずれかで、様々な方法により実施することができる。これらの強化又は弱化処理には、後形成アニーリング、選択的架橋又は選択的可塑化、局在化コロナ処理、機械的アブレーション、スコーリング、積層材料の切断、又はインデント加工(indentation)等を挙げることができ、また、特定の弾性ゾーンは、米国特許第5,344,691号明細書(ハンシェン(Hanschen))に開示されているような、制御された局在化延伸によって形成することができ、この文献の内容は参照により本明細書に援用される。
【0046】
ゾーン活性化可能な弾性積層体の形成後、変形する、弾性率のより低い部位又は好ましい応力部位だけで、又は、好ましくはそれらの部位で、外皮層の弾性限界を過ぎて積層体を延伸させる。次いで、ゾーン活性化された積層体は、時間と共に又は加熱によって、即時に回復する。熱活性化回復では、熱活性化の固有温度は、第一に、積層体の弾性層の形成に使用される材料によって決定される。しかし、いずれかの特定の積層体では、積層体の外皮/コア比を変えることによって活性化温度を調節することができ、延伸率又は積層体の全厚が調節される。熱収縮積層体に使用される活性化温度は、一般に、少なくとも80°F(26.7℃)である。
【0047】
活性化は、一般に、間隔を空けて配置され、異なる弾性率又は応力特性を有するゾーン又は部位を有するフィルムの長手を実質的に横切る方向に積層体を延伸することによって達成される。少なくとも1つの非弾性ゾーンは、好ましくは、閉鎖要素6、8に取り付けられる、フィルム18の端部24、26にある。少なくとも1つの非弾性ゾーンは、閉鎖要素6、8に取り付けられない、フィルムの中間部位にある。好ましくは、非弾性ゾーンは、端部24、26の少なくとも10%、好ましくは少なくとも50%、好ましい実施形態では100%を形成する。好ましくは、弾性ゾーンは、取り付けられていない中間部位の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、好ましい実施形態では100%を形成する。
【0048】
図4は、本発明によるスリーテープ積層体ファスニングシステム50の第1の実施形態を表す。このファスニングシステム50は、成人用失禁用おむつに特に有用である。このファスニングシステムは、前述され、図2および図3に示される弾性積層体ファスニングタブ2、例えば使い捨ておむつなどの物品に感圧接着剤56で固着される又は選択的に配置されるように構成された第1の面54と、第1の面56の反対側にあり、止着部分としてファスニングタブ2の接着剤層20を受容するように構成された第2の面58とを有するターゲットテープ52を備える。ターゲットテープ52の第1の面54にフィンガーリフト要素60を設けてもよい。このフィンガーリフト要素60は、好都合には、接着剤56でターゲットテープ52に載設される。ターゲットテープ52は、典型的には、ファスニングタブ2が貼付されるターゲット材料の量が最小限になるように、成人用失禁用おむつに使用される。更に精密には、おむつを最初に使用する時、ターゲットテープ52をファスニングタブ2の期待される閉鎖位置に接着剤56で貼付する。その後、ターゲットテープ52に接着剤20で固定されたファスニングタブ2の端部にあるフィンガーリフト要素32でファスニングタブ2を開き、再閉鎖することができる。
【0049】
本発明によるスリーテープ積層体ファスニングシステムは、更に、剥離テープ64を備え、それにターゲットテープ52を接着剤56で固定してもよい。更に、ファスニングシステムは、剥離テープ64とファスニングタブ2を接合し、剥離層64の裏側の接着剤65に結合されている中心ストライプ66で安定化される。また、剥離テープ64の縁部を折り曲げ、このように接着剤結合を作り出すことによって、剥離テープ64をファスニングテープ52に直接接合させてもよい。
【0050】
ファスニングシステム50のファスニングタブ2の寸法は、図2および3に関して前述されたのと本質的に同じである。ファスニングシステム50の他の要素の寸法は、以下の通りである。ターゲットテープ52の長さは、好ましくは、約20〜50mm、好ましくは約30〜40mm、最も好ましくは約35mmである。ターゲットテープ52のフィンガーリフト60の長さは約5〜15mm、好ましくは約8〜12mm、最も好ましくは約10mmである。剥離テープ64の長さは、約30〜70mm、好ましくは約40〜60mm、最も好ましくは約50mmである。剥離テープ64とターゲットテープ52のフィンガーリフト要素60との重なりは、約2〜6mm、好ましくは約4mmである。閉鎖要素8の外縁部と剥離テープ64の距離は、好ましくは約10〜30mm、更に好ましくは約15〜25mm、最も好ましくは約18mmである。ターゲットテープ52は、閉鎖要素6の外縁部から約2〜6mm、好ましくは約4mm突出する。弾性フィルム18と、ターゲットテープ52および中心ストライプ66の内縁部との距離は、好ましくは1mm未満、最も好ましくは約0.5mmである。
【0051】
本発明のスリーテープ積層体ファスニングシステム50’の代替の実施形態を図5に表す。この実施形態では、機械的ファスニングシステムが使用されている。この機械的ファスニングシステムは、第1の閉鎖要素6に設けられた接着剤20に接着している第1のメカニカルファスナ構成要素68(例えば、フック)を備える。図示されていないが、この実施形態では、ターゲットテープは、閉鎖のためのターゲットゾーンとして機能する、第2のメカニカルファスナ構成要素(例えば、ループ材料又は別の噛み合うフック構成要素)を備える。ターゲット材料が既におむつに設けられている場合、メカニカルファスナ構成要素は、図2および図3のファスニングタブ2にも使用できる。これは、図6に概略的に表されている。フック、およびターゲットテープとしてのループテープの提供を統合すると、弾性のスリーテープメカニカルファスナ積層体が得られ、これを、正面ランディングゾーンと組み合わせて、機能的閉鎖システムを提供することができる。
【0052】
図7は、本発明のファスニングシステム50”のファスニングタブ2”の代替の実施形態を示す。この実施形態では、ブランキングフィルム28、30は、全長が弾性フィルム18の長さより大きくなるように延在する。この実施形態では、熱融着、超音波溶接、又は冷間圧接により、弾性フィルム18を伸張されたブランキングフィルム28、30に固着させることができる。ブランキングフィルム28、30は、好ましくは、接着剤20、22により、閉鎖要素6、8に接着剤で取り付けられ、熱融着、超音波融着、又は冷間圧接のような追加の結合手段を使用してもよい。好ましくは、弾性フィルム18およびブランキングフィルムの2つの部分28、30は、図7の参照符号19で示されるように、熱融着、超音波融着、又は冷間圧接により、単一の結合工程で閉鎖要素6、8に取り付けられる。活性弾性ゾーンの幅は、本質的には、弾性フィルム18が閉鎖要素6、8に結合されている、2つの結合線19、19の距離で決定される。
【0053】
図8は、本発明によるファスニングタブおよびファスニングシステムの製造方法を示す。図8は、いわゆる1本積層体ロールプロセスであり、本発明では、2本積層体ロールプロセスも実施可能である。
【0054】
図8に示される方法では、最終的に第1および第2の閉鎖要素6、8を形成する材料9、最終的にブランキングフィルムの2つの部分28、30を形成する材料31、および、ファスニングタブのフィンガーリフトを形成する材料32は、エンドレス形態で、各ロールから案内ロールを介して、切断ナイフCを含む切断セクションに提供され、そこで、材料に、その長さに沿ってスリットを入れ、更に、第1の積層ステーションL1に送り、そこで、それらを、同様にロールの形態で案内ロールを介して提供される弾性フィルム18材料に積層する。前述のように、接着剤結合で積層を実施することができるが、特に、弾性フィルム18がブランキングフィルム31より短い実施形態では、熱融着、超音波融着、又は冷間圧接を補足的に又は代替で使用することもできる。或いは、また、弾性フィルム18に積層された後、材料9および31を切断し、閉鎖要素6、8、および、ブランキングフィルム部分28、30を形成することができる。材料9および31を完全に切断するか又はスリットを入れる代わりに、部分的に切断するか又はミシン目を設けることも、1つの選択肢である。
【0055】
閉鎖要素6、8、ブランキングフィルムの部分28、30、および弾性フィルム18を含む、依然としてエンドレスシートの形態の積層体を、その後、第2の積層ステーションL2に第1の積層体として提供する。第2の積層ステーションL2では、ターゲットテープ52を、フィンガーリフト60、剥離テープ64、および中心ストライプ66と共にエンドレスシートの形態で含む第2の積層体に、前記第1の積層体を積層する。第2の積層ステーションL2で、本発明によるファスニングシステムを積層した後、積層体ロールLRに巻き取る。ロールの形態の前記ファスニングシステムを、例えば、インラインおむつ製造に提供することができる。
【0056】
図9〜図11は、製造中および使用中の使い捨て吸収性物品、即ち、おむつに関する本発明のファスニングシステムの位置を示す。図9は、おむつの内側のトップシート4B、および、ファスニングタブ2の製造業者端部8に取り付けられるおむつの背面4Aを含むおむつ4を有する、図4に類似の図である。図10では、剥離テープ64、ターゲットテープ52、およびファスニングシステムの使用者端部6が、おむつ内側のトップシート4B上に折り返され、接着剤65でいわゆる「Y結合」が設けられている。これは、本発明によるファスニングシステムを含むおむつが、製造業者によって最終使用者に典型的に送給される位置である。おむつを最初に使用する際、剥離テープ64がおむつの背面でおむつトップシート4Bに取り付けられている状態を維持したまま、使用者は、ターゲットテープ52のフィンガーリフト要素60を把持し、ファスニングシステムを「展開」してもよい。この位置は、図11に概略的に示されている。次いで、使用者は、ターゲットテープ52をその接着剤56でおむつの正面に取り付けることができる。その後、使用者は、ファスニングタブ2の使用者端部6に設けられたフィンガーリフト32で、ファスニングシステム50のファスニングタブ2を開き、再閉鎖することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の弾性ファスニングタブを使用する使い捨て吸収性物品の斜視図である。
【図2】本発明のファスニングタブの概略側面図である。
【図3】図2に表されるファスニングタブの斜視側面図である。
【図4】本発明のスリーテープ積層体ファスニングシステムの第1の実施形態の概略側面図である。
【図5】ターゲットテープのない本発明のスリーテープ積層体ファスニングシステムの別の実施形態の概略側面図である。
【図6】ターゲットテープのある図5に示されるスリーテープ積層体ファスニングシステムの側面図である。
【図7】本発明のファスニングタブの代替の実施形態の概略側面図である。
【図8】本発明のファスニングタブおよびファスニングシステムを製造する方法を示す図である。
【図9】使用中の本発明のファスニングシステムの様々な位置を示す概略組立分解図である。
【図10】使用中の本発明のファスニングシステムの様々な位置を示す概略組立分解図である。
【図11】使用中の本発明のファスニングシステムの様々な位置を示す概略組立分解図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する第1および第2の閉鎖要素であって、それぞれが第1の面と第2の面とを有し、各閉鎖要素の該第1の面が少なくとも部分的に感圧接着剤によって覆われている閉鎖要素と、前記第1および第2の閉鎖要素のそれぞれの前記第1の面に取り付けられている2つの端部およびそれらの間の中間部分を有する弾性フィルムと、前記第1および第2の閉鎖要素のそれぞれの前記第1の面に取り付けられており、それら閉鎖要素と前記弾性フィルムとの間に介在して、該弾性フィルムがその中間部分で該閉鎖要素の接着剤塗膜に接触しないようにするブランキングフィルムとを具備する、弾性積層体ファスニングタブ。
【請求項2】
前記弾性フィルムが、接着剤結合、熱融着、超音波融着および/又は冷間圧着により、前記閉鎖要素に取り付けられている、請求項1に記載の弾性積層体ファスニングタブ。
【請求項3】
前記弾性フィルムが、接着剤結合と、熱融着、超音波融着又は冷間圧着による補足的結合とによって、前記閉鎖要素に取り付けられている、請求項2に記載の弾性積層体ファスニングタブ。
【請求項4】
前記弾性フィルムの前記端部が、少なくとも部分的に非弾性である、請求項1に記載の弾性積層体ファスニングタブ。
【請求項5】
前記ブランキングフィルムが、前記第1および第2の閉鎖要素にそれぞれ取り付けられている2つの別々の部分を備える、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項6】
前記ブランキングフィルムの全長が、前記弾性フィルムの長さよりも短かく、前記弾性フィルムが、その2つの端部で前記第1および第2の閉鎖要素に直接取り付けられている、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項7】
前記ブランキングフィルムの全長が前記弾性フィルムの長さよりも長く、前記弾性フィルムが、前記ブランキングフィルムを介して前記第1および第2の閉鎖要素に取り付けられている、請求項1に記載の弾性積層体ファスニングタブ。
【請求項8】
前記ブランキングフィルムが透明である、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項9】
前記ブランキングフィルムが、ポリエチレン、ポリオレフィン若しくは二軸配向ポリプロピレンフィルム、又は積層フィルムを有する若しくは有しない不織布である、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項10】
前記第1および第2の閉鎖要素の厚さが、80〜120μmの範囲である、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項11】
前記感圧接着剤の厚さが、30〜40μmの範囲である、請求項10に記載のファスニングタブ。
【請求項12】
前記弾性フィルムの厚さが、150〜250μm、好ましくは180〜220μmの範囲である、請求項11に記載のファスニングタブ。
【請求項13】
前記ブランキングフィルムの厚さが、約10〜20μm、好ましくは約10〜14μmである、請求項12に記載のファスニングタブ。
【請求項14】
前記閉鎖要素が、例えば、ポリオレフィンフィルムなどの単一層フィルム、不織布とフィルム層との積層体、又はフィルム層のない不織布から作製されている、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項15】
前記不織布が、スパンボンド不織布である、請求項14に記載のファスニングタブ。
【請求項16】
前記フィルム層が、前記スパンボンド不織布に押出し積層されている、請求項15に記載のファスニングタブ。
【請求項17】
前記感圧接着剤が、少なくとも一方の閉鎖要素上で露出している、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項18】
少なくとも一方の前記閉鎖要素に、機械的ファスニング要素が設けられている、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項19】
一方の前記閉鎖要素の外縁部に設けられるフィンガーリフト要素を更に備える、請求項1に記載のファスニングタブ。
【請求項20】
特に成人用失禁用おむつのためのファスニングシステムであって、
i)請求項1に記載の弾性ファスニングタブと、
ii)物品に固着されるように構成された第1の面、および前記ファスニングタブの固着部分を受けるように構成された第2の面を有するターゲットテープと、
iii)剥離テープと、
を備えるファスニングシステム。
【請求項21】
前記ターゲットテープが、前記ファスニングタブと前記剥離テープとの間に介在する、請求項20に記載のファスニングシステム。
【請求項22】
前記剥離テープが、前記ターゲットテープによって一方の前記閉鎖要素に接合され、中心ストライプによって他方の閉鎖要素に接合されている、請求項20に記載のファスニングシステム。
【請求項23】
前記ターゲットテープが、前記剥離テープからの前記ターゲットテープの除去能力を向上させるフィンガーリフト要素を備える、請求項20に記載のファスニングシステム。
【請求項24】
弾性積層体ファスニングタブの製造方法であって、
i)実質的非弾性のウェブを用意するステップと、
ii)前記ウェブの一表面に感圧接着剤を塗工するステップと、
iii)ブランキングフィルムを、前記ウェブの中心部分に該ウェブの長さに沿って前記感圧接着剤上に貼付するステップと、
iv)前記ウェブ、前記感圧接着剤および前記ブランキングフィルムに、それらの長さに沿ってスリットを入れるステップと、
v)前記ブランキングフィルムの両側にある2つのウェブ部分に弾性フィルムを取り付けて、それら2つのウェブ部分を接続するステップと、
vi)このようにして形成された積層体を、その長さを横切る方向に切断して、前記弾性積層体ファスニングタブを形成するステップと、
を含む方法。
【請求項25】
特に成人用失禁用おむつのためのファスニングシステムの製造方法であって、
i)実質的非弾性のウェブを用意することと、
ii)前記ウェブの一表面に感圧接着剤を塗工することと、
iii)ブランキングフィルムを、前記ウェブの中心部分に該ウェブの長さに沿って前記感圧接着剤上に貼付することと、
iv)前記ウェブ、前記感圧接着剤および前記ブランキングフィルムに、それらの長さに沿ってスリットを入れることと、
v)前記ブランキングフィルムの両側にある2つのウェブ部分に弾性フィルムを取り付けて、それら2つのウェブ部分を接続して第1の積層体を形成することと、
vi)ターゲットテープ、剥離テープおよび中心ストライプを含む第2の積層体を用意することと、
vii)前記第1および第2の積層体を互いに積層して、第3の積層体を提供することと、
viii)前記第3の積層体を巻き上げて、積層体ロールを形成することと、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2006−518633(P2006−518633A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503339(P2006−503339)
【出願日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/003275
【国際公開番号】WO2004/075803
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】