弾性体の取付構造、超音波プローブ及び超音波診断装置
【課題】超音波の送受信の際に操作者の手を煩わせないような構造で、前記超音波プローブの送受信面と生体組織の表面との間に弾性体を設ける。
【解決手段】生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体3をアタッチメント2を介して超音波プローブ1の送受信面1a側に取り付ける弾性体の取付構造であって、前記アタッチメント2は、前記超音波プローブ1に取り付けられた状態において、前記送受信面1aの周囲から立ち上がる壁部4を有し、壁部4と前記送受信面1aとで構成される収容部5に、前記弾性体3が前記壁部4との間に隙間6を有するように収容されることを特徴とする。
【解決手段】生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体3をアタッチメント2を介して超音波プローブ1の送受信面1a側に取り付ける弾性体の取付構造であって、前記アタッチメント2は、前記超音波プローブ1に取り付けられた状態において、前記送受信面1aの周囲から立ち上がる壁部4を有し、壁部4と前記送受信面1aとで構成される収容部5に、前記弾性体3が前記壁部4との間に隙間6を有するように収容されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体を超音波プローブに取り付ける弾性体の取付構造、超音波プローブ及び超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のBモード画像と、生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像とを合成して表示させる超音波診断装置が、例えば特許文献1などに開示されている。この種の超音波診断装置において、弾性画像は次のようにして作成される。先ず、生体組織に対し、例えば超音波プローブによる圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ってエコーを取得する。そして、得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出し、この物理量を色相情報に変換してカラーの弾性画像を作成する。ちなみに、生体組織の弾性に関する物理量としては、例えば生体組織の歪みなどを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3932482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、弾性画像は、その画像における各部位の相対的な硬さ或いは軟らかさを示すものである。従って、弾性画像において観察対象の弾性を正確に把握することができないおそれがある。そこで、本願の発明者は、予め弾性が分かっている弾性体を前記超音波プローブの送受信面と生体組織の表面との間に挟んだ状態で、この弾性体を生体組織とともに変形させながら超音波の送受信を行ない、得られたエコー信号に基づく弾性画像を表示することについて検討した。この弾性画像によれば、前記弾性体の弾性を基準にして生体組織における観察対象の弾性を知ることができる。
【0005】
ところで、前記弾性体を前記超音波プローブの送受信面と生体組織の表面との間に挟んだだけでは、例えば前記超音波プローブによって圧迫とその弛緩を繰り返しながら超音波を送受信している時に、前記弾性体が位置ずれすることが考えられ操作者にとって煩わしい。そこで、本願の発明者は、超音波の送受信の際に操作者の手を煩わせないような構造で、前記弾性体を前記超音波プローブの送受信面と生体組織の表面との間に設けることについて鋭意検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで構成される収容部に、前記弾性体が前記壁部との間に隙間を有するように収容されることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0007】
第2の観点の発明によれば、第1の観点の発明において、前記弾性体は、前記壁部との密着部を有し、該密着部によって前記収容部内に保持されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0008】
第3の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記弾性体における前記密着部以外の部分と前記壁部との間に前記隙間が形成されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0009】
第4の観点の発明は、第2又は3の観点の発明において、前記弾性体に切欠部が設けられ、該切欠部によって前記弾性体と前記壁部との間に隙間が形成され、前記切欠部以外の部分により前記密着部が構成されることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0010】
第5の観点の発明は、第2〜4のいずれか一の観点の発明において、前記弾性体を密着状態で押圧して前記収容部内に保持する突起が前記壁部に設けられていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0011】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記弾性体は、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で前記収容部に収容されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0012】
第7の観点の発明は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで前記弾性体の収容部が形成され、前記弾性体は、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で前記収容部に収容されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0013】
第8の観点の発明は、第6又は7の観点の発明において、前記壁部には、壁切欠部が設けられ、該壁切欠部において前記弾性体の一部が露出して前記露出部が形成されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0014】
第9の観点の発明は、第1〜8のいずれか一の観点の発明において、前記弾性体は、前記収容部に収容された状態で該収容部から突出する突出部を有することを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0015】
第10の観点の発明は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで前記弾性体の収容部が形成され、前記弾性体は、前記収容部に収容された状態で該収容部から突出する突出部を有することを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0016】
第11の観点の発明は、第1〜10のいずれか一の観点の発明の弾性体の取付構造により、前記弾性体が取り付けられたことを特徴とする超音波プローブである。
【0017】
第12の観点の発明は、第11の観点の発明の超音波プローブを有することを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0018】
上記観点の発明によれば、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体を、前記アタッチメントを介して前記超音波プローブの送受信面と生体組織との間に簡単に取り付けることができる。従って、前記弾性体は前記超音波プローブと一体になっているので、超音波の送受信の際に操作者の手を煩わせることはない。そして、前記弾性体は、前記アタッチメントの壁部と前記送受信面とで構成される収容部において、前記壁部との間に隙間を有するように収容されているので、超音波の送受信を行なう際に、前記弾性体を前記収容部内において生体組織と同様に変形させることができる。
【0019】
また、上記他の観点の発明によれば、前記弾性体を、前記アタッチメントを介して簡単に取り付けることができるとともに、前記弾性体は、前記収容部において、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で収容されているので、前記壁部の側方側に変形することができる。
【0020】
また、上記他の観点の発明によれば、弾性体を、前記アタッチメントを介して簡単に取り付けることができるとともに、前記弾性体は、前記収容部に収容された状態でこの収容部から突出する突出部を有するので、この突出部において変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る弾性体の取付構造を有する超音波プローブ及びこの超音波プローブが接続された超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示す図である。
【図2】第一実施形態における超音波プローブの拡大正面図である。
【図3】図2の底面図である。
【図4】図3のA−A線拡大断面図である。
【図5】弾性体の拡大斜視図である。
【図6】図1に示す超音波診断装置の表示部に表示された超音波画像を示す図である。
【図7】第一実施形態の第一変形例における超音波プローブの底面図である。
【図8】第一実施形態の第二変形例における超音波プローブの底面図である。
【図9】第一実施形態の第三変形例における超音波プローブの底面図である。
【図10】第一実施形態の第四変形例における超音波プローブの底面図である。
【図11】図10のB−B線断面図である。
【図12】図10のC−C線拡大断面図である。
【図13】第二実施形態における超音波プローブの正面図である。
【図14】図13の底面図である。
【図15】図14のD−D線拡大断面図である。
【図16】第二実施形態の変形例における超音波プローブの正面図である。
【図17】図16の底面図である。
【図18】第三実施形態における超音波プローブの正面図である。
【図19】図18の底面図である。
【図20】図19のE−E線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。図1において、超音波プローブ1は、超音波診断装置100にケーブル101を介して接続されている。超音波プローブ1の送受信面1a側には、図2〜4に示すように、アタッチメント2を介して弾性体3が取り付けられている。前記アタッチメント2は、硬質の合成樹脂で四角筒状に形成されており、前記超音波プローブ1における送受信面1a側の端部に嵌合することにより、前記超音波プローブ1に取り付けられるようになっている。ここでは、特に図示しないが、前記アタッチメント2の嵌合状態を強固にするための構造を有していてもよい。
【0023】
前記アタッチメント2は、前記超音波プローブ1に取り付けられた状態において、前記送受信面1aの周囲から立ち上がる壁部4を有する。この壁部4と前記送受信面1aとで構成される収容部5に、前記弾性体3が前記壁部4との間に隙間6,6を有するように収容されている。
【0024】
前記弾性体3は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となるものであり、生体組織の弾性と同じかそれに近い弾性を有する材質からなる。例えば、弾性画像を用いて乳腺組織の診断を行なう場合、前記弾性体3は、脂肪、正常な乳腺組織、筋層等のいずれかの弾性に近い材質であることが望ましい。このような材質としては、メチルパラベンやプロピルパラベンなどを用いた合成化学物質や、極低硬度のシリコンゴムなどが挙げられる。
【0025】
前記弾性体3は、図5に示すように略直方体形状に形成され、互いに対向する側面3a,3b(前記弾性体3における長辺側の面)に切欠部7,7が形成されている。本例では、前記切欠部7,7は、前記弾性体3の幅方向中央部に形成されている。
【0026】
前記弾性体3が前記収容部5に収容された状態においては、前記切欠部7,7によって前記壁部4との間に前記隙間6,6が形成されている。また、前記弾性体3において、前記切欠部7,7以外の部分は、前記弾性体3が前記収容部5に収容された状態で前記壁部4に対して押圧状態で密着する密着部8を構成している。言い換えれば、前記密着部8以外の部分が前記切欠部7,7になっている。そして、前記密着部8により、前記弾性体3は前記収容部5内に保持されるようになっている。
【0027】
さて、本例の作用について説明すると、前記アタッチメント2を前記超音波プローブ1に取り付けた状態で、前記弾性体3を前記収容部5に収容することにより、前記弾性体3を前記超音波プローブ1に簡単に取り付けることができる。そして、このようにして前記弾性体3を取り付けた超音波プローブ1により、生体組織への超音波の送受信を行なう。従って、前記弾性体3が前記超音波プローブ1と一体になっているので、超音波の送受信の際に操作者の手を煩わせることはない。
【0028】
ちなみに、超音波の送受信は、前記弾性体3が前記収容部5内において前記送受信面1aと密着し、なおかつ前記弾性体3が生体組織とも密着した状態で行なわれる。
【0029】
また、超音波の送受信時には、生体組織を変形させる。生体組織を変形させる手法としては、例えば前記超音波プローブ1により、被検体への圧迫とその弛緩を繰り返す手法や、前記超音波プローブ1により被検体へ音響放射圧を加える手法などが挙げられる。
【0030】
超音波の送受信により取得されたエコー信号に基づいて、図6に示すようにBモード画像BGと弾性画像EGとが合成された超音波画像Gが作成され、前記超音波診断装置100の表示部102に表示される。ちなみに、前記弾性画像EGは領域R内に表示された画像であって、生体組織の弾性に応じた色相を有するカラーの画像である。前記弾性画像EGは、例えば特開2008−126079号公報に記載されている手法等を用いて、エコー信号に基づいて生体組織における各部の弾性に関する物理量を算出し、この物理量に基づいて作成される。前記物理量としては、例えば歪み、生体組織の変形による変位、弾性率などを算出する。
【0031】
前記領域R内に表示されている弾性画像EGの上部には、前記弾性体3の画像3′が表示されている。ちなみに、前記弾性画像EGにおいて、符号Cは腫瘍を示し、さらに符号Sは生体組織の表面を示している。ここで、前記弾性体3は、前記収容部5において前記隙間6を有する状態で収容されているので、変形が可能である。例えば、前記超音波プローブ1によって生体組織に対する圧迫とその弛緩を繰り返す場合においては、弾性変形した生体組織が前記収容部5内に入り込んで前記弾性体3の押圧とその緩和とが繰り返される。この時、前記隙間6を有するので、前記弾性体3は生体組織と同様に変形することができる。従って、前記エコー信号に基づいて前記弾性体3の歪みなどの物理量が算出され、この弾性体3の部分にもその弾性に応じた色相が付された弾性画像EGが表示される。これにより、弾性体3を基準として腫瘍Cなどの観察対象の弾性を知ることができる。
【0032】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について図7に基づいて説明する。この第一変形例では、前記弾性体3の互いに対向する面3a,3bのそれぞれに、前記切欠部7が2つずつ(合計で4つ)形成されている。前記切欠部7は、前記弾性体3の幅方向両端側に形成されている。
【0033】
次に、第一実施形態の第二変形例について説明する。前記隙間6は、前記切欠部7によって形成されるものに限られるものではない。この第二変形例では、図8に示すように、前記弾性体3には前記切欠部7が形成されておらず、前記弾性体3は、前記収容部5の断面積よりも小さい断面積となっている。本例では、前記弾性体3の断面積は、前記側面3a,3b側において前記壁部4との間に前記隙間6が形成される大きさになっている。
【0034】
また、本例では、前記弾性体3は、前記側面3a,3bと直交する側面3c,3d(前記弾性体3における短辺側の面)が前記壁部4と押圧状態で密着し、前記収容部5内に保持されるようになっている。本例では、前記側面3c,3dが、前記密着部8を構成する。
【0035】
次に、第一実施形態の第三変形例について説明する。この第三変形例においても、前記弾性体3は前記第二変形例と同様に前記収容部5の断面積よりも小さい断面積となっている。ただし、第二変形例とは異なり、前記弾性体3の断面積は、図9に示すように前記側面3c,3d側において前記壁部4との間に前記隙間6が形成される大きさになっている。
【0036】
また、本例では、前記弾性体3は、前記側面3a,3bが前記壁部4と押圧状態で密着し、前記収容部5内に保持されるようになっている。本例では、前記側面3a,3bが、前記密着部6を構成する。
【0037】
次に、第一実施形態の第四変形例について説明する。この第四変形例においても、前記弾性体3の断面積は、図10に示すように前記収容部5の断面積よりも小さくなっている。
【0038】
互いに直交する隣り合う壁部4a,4bには、図10〜図12に示すように、前記収容部5に突出する突起10,11が設けられている。この突起10,11は、前記収容部5に収容された前記弾性体3を密着状態で押圧するようになっている。
【0039】
前記弾性体3は、前記収容部5に収容された状態において、前記突起10,11によって押圧され、また前記側面3b,3dが前記壁部4に押圧状態で密着している。これにより、前記弾性体3が前記収容部5に保持されるようになっている。
【0040】
本例では、前記弾性体3における前記突起10,11との密着部分及び前記側面3b,3dが密着部8を構成している。そして、前記側面3a,3cにおける突起部10,11との密着部分以外の部分と、前記壁部4a,4bとの間に前記隙間6が形成されている。
【0041】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。ただし、第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
本例では、図13〜15に示すように、アタッチメント20を介して弾性体21が前記超音波プローブ1に取り付けられている。前記アタッチメント20及び前記弾性体21の材質については、第一実施形態の前記アタッチメント2及び前記弾性体3と同様である。
【0043】
四角筒状のアタッチメント20の互いに対向する壁部4,4には、略三日月形状の壁切欠部22,22が設けられている。この壁切欠部22,22において、前記収容部5に収容された前記弾性体21の一部が壁部4a,4cの側方側に露出して露出部23,23が形成されている。本例では、互いに対向する側面21a,21bの一部が前記壁切欠部22,22において露出し、前記露出部23,23が形成されている。
【0044】
本例では、前記弾性体21と前記壁部4との間に隙間を有さず、前記弾性体21は、側面21a,21b,21c,21dが前記壁部4に対して押圧状態で密着し、前記収容部5内に保持されるようになっている。従って、前記側面21a,21bにおける前記露出部23,23以外の部分と前記側面21c、21dとで前記密着部8が構成されている。
【0045】
本例においても、前記アタッチメント20によって前記弾性体21を前記超音波プローブ1に取り付けた状態で、第一実施形態と同様にして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ない、前記超音波画像Gを表示する(図6参照)。この時、前記弾性体21は前記露出部23,23を有する状態で前記収容部5に収容されているので、例えば前記弾性体21が生体組織の表面に押し付けられた場合に、前記露出部23,23が前記壁部4の側方側へ変形することができる。
【0046】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。図16,17に示すように、第一実施形態と同様に、前記切欠部7が形成された前記弾性体3が、前記アタッチメント20における前記収容部5に収容されてもよい。これにより、前記切欠部7と前記壁部4との間の隙間6が形成されるとともに、前記露出部23,23を有するので、前記弾性体3が一層変形しやすくなり好適である。
【0047】
なお、この第二実施形態において、第一実施形態の変形例と同様に、切欠部7を設けることなく、前記弾性体3と前記壁部4との間に隙間6を形成するようにしてもよい。
【0048】
また、この第二実施形態において、第一実施形態の第四変形例のように、前記弾性体21又は前記弾性体3と押圧状態で密着する突起を前記壁部4に設けてもよい。
【0049】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。ただし、第一、第二実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
本例では、図18〜20に示すように、第一実施形態で説明した前記アタッチメント2を介して弾性体21′が前記超音波プローブ1に取り付けられている。弾性体21′は、前記アタッチメント2における前記収容部5に収容された状態で、前記送受信面1a側とは反対側の部分が前記収容部5から突出して、突出部30が形成されている。
【0051】
前記弾性体21′の側面21a′、21b′,21c′,21d′も、前記突出部30以外の部分が前記壁部4に対して押圧状態で密着している。これにより、前記弾性体21′は前記収容部5内に保持されるようになっている。前記側面21a′、21b′,21c′,21d′における前記突出部30以外の部分が前記密着部8を構成している。
【0052】
本例においても、前記アタッチメント2によって前記弾性体21′を前記超音波プローブ1に取り付けた状態で、第一実施形態と同様にして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ない、前記超音波画像Gを表示する(図6参照)。この時、前記弾性体21′は前記収容部5から突出する突出部30を有するので、例えば前記弾性体21′が生体組織の表面に押し付けられた場合に、前記突出部30において変形することができる。
【0053】
なお、特に図示しないが、この第三実施形態においても、上記第一実施形態と同様に前記弾性体21′が前記収容部5に収容された状態で前記壁部4との間に隙間を有していてもよいし、前記壁部4に前記弾性体21′と押圧状態で密着する突起を設けてもよい。また、上記第二実施形態と同様に、前記壁部4に壁切欠部を設けて前記弾性体21′の一部が前記壁切欠部において前記壁部4の側方側に露出するようにしてもよく、さらに前記壁切欠部を有するとともに、前記弾性体21′と前記壁部4との間に隙間を有していてもよい。
【0054】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、第一実施形態における前記切欠部7や、第二実施形態における前記壁切欠部22の形成位置等は一例であり、図示のものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 超音波プローブ
1a 送受信面
2,20 アタッチメント
3,21,21′ 弾性体
4 壁部
5 収容部
6 隙間
7 切欠部
8 密着部
10,11 突起
22 壁切欠部
23 露出部
30 突出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体を超音波プローブに取り付ける弾性体の取付構造、超音波プローブ及び超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常のBモード画像と、生体組織の硬さ又は軟らかさを表す弾性画像とを合成して表示させる超音波診断装置が、例えば特許文献1などに開示されている。この種の超音波診断装置において、弾性画像は次のようにして作成される。先ず、生体組織に対し、例えば超音波プローブによる圧迫とその弛緩を繰り返すなどして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ってエコーを取得する。そして、得られたエコーデータに基づいて、生体組織の弾性に関する物理量を算出し、この物理量を色相情報に変換してカラーの弾性画像を作成する。ちなみに、生体組織の弾性に関する物理量としては、例えば生体組織の歪みなどを算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3932482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、弾性画像は、その画像における各部位の相対的な硬さ或いは軟らかさを示すものである。従って、弾性画像において観察対象の弾性を正確に把握することができないおそれがある。そこで、本願の発明者は、予め弾性が分かっている弾性体を前記超音波プローブの送受信面と生体組織の表面との間に挟んだ状態で、この弾性体を生体組織とともに変形させながら超音波の送受信を行ない、得られたエコー信号に基づく弾性画像を表示することについて検討した。この弾性画像によれば、前記弾性体の弾性を基準にして生体組織における観察対象の弾性を知ることができる。
【0005】
ところで、前記弾性体を前記超音波プローブの送受信面と生体組織の表面との間に挟んだだけでは、例えば前記超音波プローブによって圧迫とその弛緩を繰り返しながら超音波を送受信している時に、前記弾性体が位置ずれすることが考えられ操作者にとって煩わしい。そこで、本願の発明者は、超音波の送受信の際に操作者の手を煩わせないような構造で、前記弾性体を前記超音波プローブの送受信面と生体組織の表面との間に設けることについて鋭意検討した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するためになされた第1の観点の発明は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで構成される収容部に、前記弾性体が前記壁部との間に隙間を有するように収容されることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0007】
第2の観点の発明によれば、第1の観点の発明において、前記弾性体は、前記壁部との密着部を有し、該密着部によって前記収容部内に保持されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0008】
第3の観点の発明は、第2の観点の発明において、前記弾性体における前記密着部以外の部分と前記壁部との間に前記隙間が形成されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0009】
第4の観点の発明は、第2又は3の観点の発明において、前記弾性体に切欠部が設けられ、該切欠部によって前記弾性体と前記壁部との間に隙間が形成され、前記切欠部以外の部分により前記密着部が構成されることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0010】
第5の観点の発明は、第2〜4のいずれか一の観点の発明において、前記弾性体を密着状態で押圧して前記収容部内に保持する突起が前記壁部に設けられていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0011】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記弾性体は、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で前記収容部に収容されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0012】
第7の観点の発明は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで前記弾性体の収容部が形成され、前記弾性体は、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で前記収容部に収容されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0013】
第8の観点の発明は、第6又は7の観点の発明において、前記壁部には、壁切欠部が設けられ、該壁切欠部において前記弾性体の一部が露出して前記露出部が形成されていることを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0014】
第9の観点の発明は、第1〜8のいずれか一の観点の発明において、前記弾性体は、前記収容部に収容された状態で該収容部から突出する突出部を有することを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0015】
第10の観点の発明は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで前記弾性体の収容部が形成され、前記弾性体は、前記収容部に収容された状態で該収容部から突出する突出部を有することを特徴とする弾性体の取付構造である。
【0016】
第11の観点の発明は、第1〜10のいずれか一の観点の発明の弾性体の取付構造により、前記弾性体が取り付けられたことを特徴とする超音波プローブである。
【0017】
第12の観点の発明は、第11の観点の発明の超音波プローブを有することを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0018】
上記観点の発明によれば、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体を、前記アタッチメントを介して前記超音波プローブの送受信面と生体組織との間に簡単に取り付けることができる。従って、前記弾性体は前記超音波プローブと一体になっているので、超音波の送受信の際に操作者の手を煩わせることはない。そして、前記弾性体は、前記アタッチメントの壁部と前記送受信面とで構成される収容部において、前記壁部との間に隙間を有するように収容されているので、超音波の送受信を行なう際に、前記弾性体を前記収容部内において生体組織と同様に変形させることができる。
【0019】
また、上記他の観点の発明によれば、前記弾性体を、前記アタッチメントを介して簡単に取り付けることができるとともに、前記弾性体は、前記収容部において、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で収容されているので、前記壁部の側方側に変形することができる。
【0020】
また、上記他の観点の発明によれば、弾性体を、前記アタッチメントを介して簡単に取り付けることができるとともに、前記弾性体は、前記収容部に収容された状態でこの収容部から突出する突出部を有するので、この突出部において変形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る弾性体の取付構造を有する超音波プローブ及びこの超音波プローブが接続された超音波診断装置の実施形態の概略構成の一例を示す図である。
【図2】第一実施形態における超音波プローブの拡大正面図である。
【図3】図2の底面図である。
【図4】図3のA−A線拡大断面図である。
【図5】弾性体の拡大斜視図である。
【図6】図1に示す超音波診断装置の表示部に表示された超音波画像を示す図である。
【図7】第一実施形態の第一変形例における超音波プローブの底面図である。
【図8】第一実施形態の第二変形例における超音波プローブの底面図である。
【図9】第一実施形態の第三変形例における超音波プローブの底面図である。
【図10】第一実施形態の第四変形例における超音波プローブの底面図である。
【図11】図10のB−B線断面図である。
【図12】図10のC−C線拡大断面図である。
【図13】第二実施形態における超音波プローブの正面図である。
【図14】図13の底面図である。
【図15】図14のD−D線拡大断面図である。
【図16】第二実施形態の変形例における超音波プローブの正面図である。
【図17】図16の底面図である。
【図18】第三実施形態における超音波プローブの正面図である。
【図19】図18の底面図である。
【図20】図19のE−E線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
(第一実施形態)
先ず、第一実施形態について図1〜図6に基づいて説明する。図1において、超音波プローブ1は、超音波診断装置100にケーブル101を介して接続されている。超音波プローブ1の送受信面1a側には、図2〜4に示すように、アタッチメント2を介して弾性体3が取り付けられている。前記アタッチメント2は、硬質の合成樹脂で四角筒状に形成されており、前記超音波プローブ1における送受信面1a側の端部に嵌合することにより、前記超音波プローブ1に取り付けられるようになっている。ここでは、特に図示しないが、前記アタッチメント2の嵌合状態を強固にするための構造を有していてもよい。
【0023】
前記アタッチメント2は、前記超音波プローブ1に取り付けられた状態において、前記送受信面1aの周囲から立ち上がる壁部4を有する。この壁部4と前記送受信面1aとで構成される収容部5に、前記弾性体3が前記壁部4との間に隙間6,6を有するように収容されている。
【0024】
前記弾性体3は、生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となるものであり、生体組織の弾性と同じかそれに近い弾性を有する材質からなる。例えば、弾性画像を用いて乳腺組織の診断を行なう場合、前記弾性体3は、脂肪、正常な乳腺組織、筋層等のいずれかの弾性に近い材質であることが望ましい。このような材質としては、メチルパラベンやプロピルパラベンなどを用いた合成化学物質や、極低硬度のシリコンゴムなどが挙げられる。
【0025】
前記弾性体3は、図5に示すように略直方体形状に形成され、互いに対向する側面3a,3b(前記弾性体3における長辺側の面)に切欠部7,7が形成されている。本例では、前記切欠部7,7は、前記弾性体3の幅方向中央部に形成されている。
【0026】
前記弾性体3が前記収容部5に収容された状態においては、前記切欠部7,7によって前記壁部4との間に前記隙間6,6が形成されている。また、前記弾性体3において、前記切欠部7,7以外の部分は、前記弾性体3が前記収容部5に収容された状態で前記壁部4に対して押圧状態で密着する密着部8を構成している。言い換えれば、前記密着部8以外の部分が前記切欠部7,7になっている。そして、前記密着部8により、前記弾性体3は前記収容部5内に保持されるようになっている。
【0027】
さて、本例の作用について説明すると、前記アタッチメント2を前記超音波プローブ1に取り付けた状態で、前記弾性体3を前記収容部5に収容することにより、前記弾性体3を前記超音波プローブ1に簡単に取り付けることができる。そして、このようにして前記弾性体3を取り付けた超音波プローブ1により、生体組織への超音波の送受信を行なう。従って、前記弾性体3が前記超音波プローブ1と一体になっているので、超音波の送受信の際に操作者の手を煩わせることはない。
【0028】
ちなみに、超音波の送受信は、前記弾性体3が前記収容部5内において前記送受信面1aと密着し、なおかつ前記弾性体3が生体組織とも密着した状態で行なわれる。
【0029】
また、超音波の送受信時には、生体組織を変形させる。生体組織を変形させる手法としては、例えば前記超音波プローブ1により、被検体への圧迫とその弛緩を繰り返す手法や、前記超音波プローブ1により被検体へ音響放射圧を加える手法などが挙げられる。
【0030】
超音波の送受信により取得されたエコー信号に基づいて、図6に示すようにBモード画像BGと弾性画像EGとが合成された超音波画像Gが作成され、前記超音波診断装置100の表示部102に表示される。ちなみに、前記弾性画像EGは領域R内に表示された画像であって、生体組織の弾性に応じた色相を有するカラーの画像である。前記弾性画像EGは、例えば特開2008−126079号公報に記載されている手法等を用いて、エコー信号に基づいて生体組織における各部の弾性に関する物理量を算出し、この物理量に基づいて作成される。前記物理量としては、例えば歪み、生体組織の変形による変位、弾性率などを算出する。
【0031】
前記領域R内に表示されている弾性画像EGの上部には、前記弾性体3の画像3′が表示されている。ちなみに、前記弾性画像EGにおいて、符号Cは腫瘍を示し、さらに符号Sは生体組織の表面を示している。ここで、前記弾性体3は、前記収容部5において前記隙間6を有する状態で収容されているので、変形が可能である。例えば、前記超音波プローブ1によって生体組織に対する圧迫とその弛緩を繰り返す場合においては、弾性変形した生体組織が前記収容部5内に入り込んで前記弾性体3の押圧とその緩和とが繰り返される。この時、前記隙間6を有するので、前記弾性体3は生体組織と同様に変形することができる。従って、前記エコー信号に基づいて前記弾性体3の歪みなどの物理量が算出され、この弾性体3の部分にもその弾性に応じた色相が付された弾性画像EGが表示される。これにより、弾性体3を基準として腫瘍Cなどの観察対象の弾性を知ることができる。
【0032】
次に、第一実施形態の変形例について説明する。先ず、第一変形例について図7に基づいて説明する。この第一変形例では、前記弾性体3の互いに対向する面3a,3bのそれぞれに、前記切欠部7が2つずつ(合計で4つ)形成されている。前記切欠部7は、前記弾性体3の幅方向両端側に形成されている。
【0033】
次に、第一実施形態の第二変形例について説明する。前記隙間6は、前記切欠部7によって形成されるものに限られるものではない。この第二変形例では、図8に示すように、前記弾性体3には前記切欠部7が形成されておらず、前記弾性体3は、前記収容部5の断面積よりも小さい断面積となっている。本例では、前記弾性体3の断面積は、前記側面3a,3b側において前記壁部4との間に前記隙間6が形成される大きさになっている。
【0034】
また、本例では、前記弾性体3は、前記側面3a,3bと直交する側面3c,3d(前記弾性体3における短辺側の面)が前記壁部4と押圧状態で密着し、前記収容部5内に保持されるようになっている。本例では、前記側面3c,3dが、前記密着部8を構成する。
【0035】
次に、第一実施形態の第三変形例について説明する。この第三変形例においても、前記弾性体3は前記第二変形例と同様に前記収容部5の断面積よりも小さい断面積となっている。ただし、第二変形例とは異なり、前記弾性体3の断面積は、図9に示すように前記側面3c,3d側において前記壁部4との間に前記隙間6が形成される大きさになっている。
【0036】
また、本例では、前記弾性体3は、前記側面3a,3bが前記壁部4と押圧状態で密着し、前記収容部5内に保持されるようになっている。本例では、前記側面3a,3bが、前記密着部6を構成する。
【0037】
次に、第一実施形態の第四変形例について説明する。この第四変形例においても、前記弾性体3の断面積は、図10に示すように前記収容部5の断面積よりも小さくなっている。
【0038】
互いに直交する隣り合う壁部4a,4bには、図10〜図12に示すように、前記収容部5に突出する突起10,11が設けられている。この突起10,11は、前記収容部5に収容された前記弾性体3を密着状態で押圧するようになっている。
【0039】
前記弾性体3は、前記収容部5に収容された状態において、前記突起10,11によって押圧され、また前記側面3b,3dが前記壁部4に押圧状態で密着している。これにより、前記弾性体3が前記収容部5に保持されるようになっている。
【0040】
本例では、前記弾性体3における前記突起10,11との密着部分及び前記側面3b,3dが密着部8を構成している。そして、前記側面3a,3cにおける突起部10,11との密着部分以外の部分と、前記壁部4a,4bとの間に前記隙間6が形成されている。
【0041】
(第二実施形態)
次に、第二実施形態について説明する。ただし、第一実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
本例では、図13〜15に示すように、アタッチメント20を介して弾性体21が前記超音波プローブ1に取り付けられている。前記アタッチメント20及び前記弾性体21の材質については、第一実施形態の前記アタッチメント2及び前記弾性体3と同様である。
【0043】
四角筒状のアタッチメント20の互いに対向する壁部4,4には、略三日月形状の壁切欠部22,22が設けられている。この壁切欠部22,22において、前記収容部5に収容された前記弾性体21の一部が壁部4a,4cの側方側に露出して露出部23,23が形成されている。本例では、互いに対向する側面21a,21bの一部が前記壁切欠部22,22において露出し、前記露出部23,23が形成されている。
【0044】
本例では、前記弾性体21と前記壁部4との間に隙間を有さず、前記弾性体21は、側面21a,21b,21c,21dが前記壁部4に対して押圧状態で密着し、前記収容部5内に保持されるようになっている。従って、前記側面21a,21bにおける前記露出部23,23以外の部分と前記側面21c、21dとで前記密着部8が構成されている。
【0045】
本例においても、前記アタッチメント20によって前記弾性体21を前記超音波プローブ1に取り付けた状態で、第一実施形態と同様にして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ない、前記超音波画像Gを表示する(図6参照)。この時、前記弾性体21は前記露出部23,23を有する状態で前記収容部5に収容されているので、例えば前記弾性体21が生体組織の表面に押し付けられた場合に、前記露出部23,23が前記壁部4の側方側へ変形することができる。
【0046】
次に、第二実施形態の変形例について説明する。図16,17に示すように、第一実施形態と同様に、前記切欠部7が形成された前記弾性体3が、前記アタッチメント20における前記収容部5に収容されてもよい。これにより、前記切欠部7と前記壁部4との間の隙間6が形成されるとともに、前記露出部23,23を有するので、前記弾性体3が一層変形しやすくなり好適である。
【0047】
なお、この第二実施形態において、第一実施形態の変形例と同様に、切欠部7を設けることなく、前記弾性体3と前記壁部4との間に隙間6を形成するようにしてもよい。
【0048】
また、この第二実施形態において、第一実施形態の第四変形例のように、前記弾性体21又は前記弾性体3と押圧状態で密着する突起を前記壁部4に設けてもよい。
【0049】
(第三実施形態)
次に、第三実施形態について説明する。ただし、第一、第二実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
本例では、図18〜20に示すように、第一実施形態で説明した前記アタッチメント2を介して弾性体21′が前記超音波プローブ1に取り付けられている。弾性体21′は、前記アタッチメント2における前記収容部5に収容された状態で、前記送受信面1a側とは反対側の部分が前記収容部5から突出して、突出部30が形成されている。
【0051】
前記弾性体21′の側面21a′、21b′,21c′,21d′も、前記突出部30以外の部分が前記壁部4に対して押圧状態で密着している。これにより、前記弾性体21′は前記収容部5内に保持されるようになっている。前記側面21a′、21b′,21c′,21d′における前記突出部30以外の部分が前記密着部8を構成している。
【0052】
本例においても、前記アタッチメント2によって前記弾性体21′を前記超音波プローブ1に取り付けた状態で、第一実施形態と同様にして生体組織を変形させながら超音波の送受信を行ない、前記超音波画像Gを表示する(図6参照)。この時、前記弾性体21′は前記収容部5から突出する突出部30を有するので、例えば前記弾性体21′が生体組織の表面に押し付けられた場合に、前記突出部30において変形することができる。
【0053】
なお、特に図示しないが、この第三実施形態においても、上記第一実施形態と同様に前記弾性体21′が前記収容部5に収容された状態で前記壁部4との間に隙間を有していてもよいし、前記壁部4に前記弾性体21′と押圧状態で密着する突起を設けてもよい。また、上記第二実施形態と同様に、前記壁部4に壁切欠部を設けて前記弾性体21′の一部が前記壁切欠部において前記壁部4の側方側に露出するようにしてもよく、さらに前記壁切欠部を有するとともに、前記弾性体21′と前記壁部4との間に隙間を有していてもよい。
【0054】
以上、本発明を前記各実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、第一実施形態における前記切欠部7や、第二実施形態における前記壁切欠部22の形成位置等は一例であり、図示のものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 超音波プローブ
1a 送受信面
2,20 アタッチメント
3,21,21′ 弾性体
4 壁部
5 収容部
6 隙間
7 切欠部
8 密着部
10,11 突起
22 壁切欠部
23 露出部
30 突出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、
前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで構成される収容部に、前記弾性体が前記壁部との間に隙間を有するように収容される
ことを特徴とする弾性体の取付構造。
【請求項2】
前記弾性体は、前記壁部との密着部を有し、該密着部によって前記収容部内に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性体の取付構造。
【請求項3】
前記弾性体における前記密着部以外の部分と前記壁部との間に前記隙間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の弾性体の取付構造。
【請求項4】
前記弾性体に切欠部が設けられ、該切欠部によって前記弾性体と前記壁部との間に隙間が形成され、前記切欠部以外の部分により前記密着部が構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の弾性体の取付構造。
【請求項5】
前記弾性体を密着状態で押圧して前記収容部内に保持する突起が前記壁部に設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の弾性体の取付構造。
【請求項6】
前記弾性体は、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で前記収容部に収容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性体の取付構造。
【請求項7】
生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、
前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで前記弾性体の収容部が形成され、前記弾性体は、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で前記収容部に収容されている
ことを特徴とする弾性体の取付構造。
【請求項8】
前記壁部には、壁切欠部が設けられ、該壁切欠部において前記弾性体の一部が露出して前記露出部が形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の弾性体の取付構造。
【請求項9】
前記弾性体は、前記収容部に収容された状態で該収容部から突出する突出部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の弾性体の取付構造。
【請求項10】
生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、
前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで前記弾性体の収容部が形成され、前記弾性体は、前記収容部に収容された状態で該収容部から突出する突出部を有する
ことを特徴とする弾性体の取付構造。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の弾性体の取付構造により、前記弾性体が取り付けられたことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項12】
請求項11に記載の超音波プローブを有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項1】
生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、
前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで構成される収容部に、前記弾性体が前記壁部との間に隙間を有するように収容される
ことを特徴とする弾性体の取付構造。
【請求項2】
前記弾性体は、前記壁部との密着部を有し、該密着部によって前記収容部内に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性体の取付構造。
【請求項3】
前記弾性体における前記密着部以外の部分と前記壁部との間に前記隙間が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の弾性体の取付構造。
【請求項4】
前記弾性体に切欠部が設けられ、該切欠部によって前記弾性体と前記壁部との間に隙間が形成され、前記切欠部以外の部分により前記密着部が構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の弾性体の取付構造。
【請求項5】
前記弾性体を密着状態で押圧して前記収容部内に保持する突起が前記壁部に設けられていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の弾性体の取付構造。
【請求項6】
前記弾性体は、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で前記収容部に収容されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の弾性体の取付構造。
【請求項7】
生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、
前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで前記弾性体の収容部が形成され、前記弾性体は、前記壁部の側方側に露出する露出部を有する状態で前記収容部に収容されている
ことを特徴とする弾性体の取付構造。
【請求項8】
前記壁部には、壁切欠部が設けられ、該壁切欠部において前記弾性体の一部が露出して前記露出部が形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の弾性体の取付構造。
【請求項9】
前記弾性体は、前記収容部に収容された状態で該収容部から突出する突出部を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の弾性体の取付構造。
【請求項10】
生体組織の弾性画像において、生体組織の弾性と比較する基準となる弾性体をアタッチメントを介して超音波プローブの送受信面側に取り付ける弾性体の取付構造であって、
前記アタッチメントは、前記超音波プローブに取り付けられた状態において、前記送受信面の周囲から立ち上がる壁部を有し、該壁部と前記送受信面とで前記弾性体の収容部が形成され、前記弾性体は、前記収容部に収容された状態で該収容部から突出する突出部を有する
ことを特徴とする弾性体の取付構造。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の弾性体の取付構造により、前記弾性体が取り付けられたことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項12】
請求項11に記載の超音波プローブを有することを特徴とする超音波診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−5662(P2012−5662A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−144360(P2010−144360)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】
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