説明

弾球遊技機

【課題】大入賞口の開放に伴う特定領域有効期間が連続するのを避け、遊技のスピード感を維持すること。
【解決手段】主制御装置40は、始動口に入球すると(S1:YES)直ちに可変入賞装置14を始動開放させる(S2)。前回の特定領域有効期間が残存していなければ(S3:NO)停留板36を解除状態にさせ(S8)、前回の特定領域有効期間が残存していれば(S3:YES)それが終了するまで停留板36を停留状態にさせる(S4〜S6)。前回の特定領域有効期間が残存していないときには可変入賞装置14に入球した遊技球は停留されずに流下するので、遊技のスピード感は損なわれない。前回の特定領域有効期間が残存しているときには停留板36が遊技球を停留させ、その特定領域有効期間が終了すれば停留が解除されるので、今回の入賞球が前回の特定領域有効期間内に特定領域を通過することはない。停留は希にしか発生せず遊技のスピード感は損なわれない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来の弾球遊技機には、例えば特開2003−126417号公報に記載の「羽根モノ」と呼ばれる電動役物を備えるものがある。
羽根部材を備える電動役物は、遊技球が始動口に入球すると1回又は2回開放(始動開放)し、その始動開放中に入賞した遊技球が特定領域(いわゆるV)を通過すると特別遊技(大当たり)となる。
【0003】
大当たりでは、羽根部材が間欠的に開放動作(特別遊技態様で連続開放)する。普通は間欠開放回数が18回(但し、開放時間の合計は30秒を超えない)又は10個の入賞で1ラウンドが終了し、そのラウンドでの入賞球のいずれかが特定領域を通過すれば次のラウンドが実行され(電動役物が継続作動する)、特定領域を通過しなければ次のラウンドは実行されない。なお、特別遊技(大当たり)は規定のラウンド数に達したときにも終了し、普通は16ラウンドまでである。
【0004】
始動開放中に入賞した遊技球が特定領域を通過するか否かは特別遊技(大当たり)に直結するので重要となるが、特定領域は常時有効ではなく、遊技球の特定領域の通過を有効とする特定領域有効期間が設定されている。この特定領域有効期間は、大入賞口の始動開放に伴って開始されて大入賞口の始動開放の終了に伴って終了するのが普通である。これは、始動開放が連続した場合に各々の始動開放を区別する(不連続にする)ためである。
【0005】
また、始動開放で入賞した遊技球が始動開放の終了後に特定領域を通過する可能性があるので、そのような遊技球(残存球)が特定領域を通過した場合でも、これを有効として電動役物を連続作動させる(大当たりを発生させる)ために、特定領域有効期間は、始動開放の終了後に(残存球が特定領域を通過するに十分な時間後に)終了するように設定されていた。
【0006】
そして、特定領域有効期間を始動開放の終了後に終了させる場合に、前回の特定領域有効期間と今回の特定領域有効期間とが連続してしまうのを避けるために、始動口への入球から始動開放の開始までに遅延時間を設ける技術や、前回の始動開放の終了後でも前回分の特定領域有効期間が終了するまでは今回の始動開放を開始しない技術もある((特開2001−79194号公報、特開2001−79195号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−126417号公報
【特許文献2】特開2001−79194号公報
【特許文献3】特開2001−79195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
遊技者は、始動開放が終了(大入賞口が閉鎖)すれば新たな始動口への入球により大入賞口は再度開放されるものと考えているから、特許文献2、3のように、前回の特定領域有効期間が今回の特定領域有効期間とが連続するのを避けるために遅延期間を設けたり、前回の特定領域有効期間が終了する以前の入球を無効にすることは、遊技者に不利益となる。
【0009】
これに対して、大入賞口の始動開放中に入賞した遊技球を停留させ、始動開放の終了直後に停留を解除することも考えられる。しかし、大入賞口に入賞した遊技球が停留させられることは遊技のスピード感を損なうという問題がある。また、大入賞口閉鎖直後に遊技球が始動口に入球して再度大入賞口が開放すると、再度の開放時に入賞した遊技球が前回の特定領域有効期間内に特定領域を通過する可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の弾球遊技機は、
開閉可能な大入賞口が設けられた電動役物と、遊技球が始動口に入球すると前記電動役物の大入賞口を始動態様で開放(以下、「始動開放」という。)させ、遊技球が前記電動役物内に設けられ特定領域を通過すると前記電動役物の大入賞口を特別遊技態様で連続開放させる制御手段とを備え、
遊技球の前記特定領域の通過を有効とする特定領域有効期間が、前記大入賞口の始動開放に伴って開始されて前記大入賞口の始動開放の終了よりも後に終了する弾球遊技機において、
前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定領域側へ移動するのを阻んで停留させる停留状態と前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定領域側へ移動するのを許す解除状態とに可変の停留手段を備え、
前記制御手段は、遊技球が始動口に入球すると直ちに前記大入賞口を始動開放させ、
該始動開放の開始時に、前回の前記始動開放時の前記特定領域有効期間が残存していなければ前記停留手段を前記解除状態にさせ、前回の前記始動開放時の前記特定領域有効期間が残存していれば該特定領域有効期間が終了するまで前記停留手段を前記停留状態にさせ、
更に、前記停留手段は、電源投入時を含む通常遊技状態時には解除状態にさせられ、
前記特定領域有効期間は、前記大入賞口の始動開放より所定時間経過後に開始させることを特徴とする。
【0011】
請求項1記載の弾球遊技機は、大入賞口に入球した遊技球が特定領域側へ移動するのを阻んで停留させる停留状態と大入賞口に入球した遊技球が特定領域側へ移動するのを許す解除状態とに可変の停留手段を備えており、制御手段は、遊技球が始動口に入球すると直ちに大入賞口を始動開放させ、この始動開放の開始時に、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存していなければ停留手段を解除状態にさせ、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存していればその特定領域有効期間が終了するまで停留手段を停留状態にさせる。
【0012】
これにより、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存していないとき(多くの場合がこの状態である)には停留手段が解除状態になっていて、大入賞口に入球した遊技球は停留されることなく流下するので、遊技のスピード感は損なわれない。
【0013】
一方、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存しているときには停留手段が停留状態になって遊技球を停留させ、その特定領域有効期間が終了すれば停留が解除されるので、今回の始動開放での入賞球が前回の特定領域有効期間内に特定領域を通過することはない。大入賞口の始動開放の開始時に前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存している状態はレアケースであるから、上述の停留は希にしか発生せず、遊技のスピード感は損なわれない。
【0014】
また、請求項1に記載の弾球遊技機は、停留手段は電源投入時を含む通常遊技状態時には解除状態にさせられ、特定領域有効期間は大入賞口の始動開放より所定時間経過後に開始させる。
これにより、開店直後の不正行為を防止する効果も期待できる。
なお、停留手段は予め定められた条件で作動する(停留状態になりまた解除状態になる)ので遊技規則にも適合する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例のパチンコ機の遊技盤の正面図。
【図2】実施例の可変入賞装置の正面図。
【図3】可変入賞装置の回転体の説明図。
【図4】実施例のパチンコ機の電気ブロック図。
【図5】実施例で主制御基板が実行する可変入賞口開放制御のフローチャート。
【図6】図5の制御を説明するためのタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施例等により発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は下記の実施例等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまに実施できることは言うまでもない。
[実施例]
図1に示すように、弾球遊技機の一種であるパチンコ機(全体的な構成は公知技術に従っているので図示と説明を省略)の遊技盤10には、ガイドレール11、12により略円形の遊技領域13が形成されている。
【0017】
この遊技領域13のほぼ中央部には、電動役物である可変入賞装置14が装着されている。可変入賞装置14は、一般に「羽根もの」とか第2種特別電動役物と呼ばれる入賞装置である。
【0018】
可変入賞装置14の左右には一般入賞口15が配置されている。可変入賞装置14の左右斜め下方には第1羽根始動口34が、中央下方には第2羽根始動口35が配置されている。第1羽根始動口34及び第2羽根始動口35は始動口に該当する。
【0019】
図2に拡大して示すとおり、可変入賞装置14の頂部には一般入賞口15が設けられているが、可変入賞装置14と一般入賞口15とは相互に独立した存在であり、一般入賞口15の入賞球は可変入賞装置14と無関係に処理される。また、一般入賞口15の下には表示装置19が取り付けられている。
【0020】
一般入賞口15を頂点とする庇部16は山状であり、その左右の下端部には夫々可変入賞装置14の入賞口(大入賞口に該当)17が設けられている。
入賞口17は羽根部材である可動翼片18によって開閉され、閉鎖時には入賞不可能であるが開放時には斜め上向きに倒れた可動翼片18が遊技球を入賞口17に誘導するので入賞容易となる。可動翼片18の開放は第1羽根始動口34、第2羽根始動口35への入賞に応じて行われ、第1羽根始動口34に入賞すれば可動翼片18は0.35秒×1回、第2羽根始動口35に入賞すれば可動翼片18は0.65秒×2回開放される。
【0021】
入賞口17の側壁部分には、遊技者に対面する開口部電飾20が設置されている。各開口部電飾20は、上から順に赤LED、赤LED、緑LEDの順に配置された3つのLEDを備えている。
【0022】
入賞口17を通過した遊技球(入賞球)は上段振分区域21に流入するが、その中央部には回転体22が配されている。回転体22は中空のドーム状で、側面部には120度ピッチで配された開口23が設けられている。また、回転体22に底は無く、第1落下口24が開口している。その回転体22の左右の奥には第2落下口25が設けられている。
【0023】
回転体22は、図3に示すように回転して開口23の位置を変化させる。このため、図3(a)、(b)に例示するように開口23が入賞球Bに対してどのような向きになっているかに応じて第1落下口24に入りやすくなったり、第1落下口24に入りにくく(第2落下口25に入りやすく)なったりする。
【0024】
上段振分区域21に流入した入賞球は、開口23から第1落下口24に流入するか2つの第2落下口25のいずれかに流入する。なお、上段振分区域21の床26(回転体22の手前)には、入賞球の進路を変化させるために3角形の突起27が設けられている。
【0025】
図2に示すように、上段振分区域21の床下に相当する部分には下段振分区域28が設けられている。下段振分区域28の最奥部には第2流出口29、第1流出口30、第2流出口29が横に並んで配置されている。第1落下口24に流した入賞球は中央の第1流出口30から下段振分区域28の床31に流出し、左の第2落下口25に流入した入賞球は左の第2流出口29から、右の第2落下口25に流入した入賞球は右の第2流出口29から、それぞれ床31に流出する。
【0026】
下段振分区域28の床31の上端部には、停留板36が配されている。
停留板36は停留板ソレノイド36a(図2には示さない。図4参照)によって駆動されて、床31に埋没した状態と床31から立ち上がった状態とに可変である。通常は停留板ソレノイド36aがオフにされていて停留板36は床31に埋没した状態にあり、停留板ソレノイド36aがオンにされることで停留板36は立ち上がった状態となる。
【0027】
立ち上がった状態における停留板36の床31からの立ち上がり高さは遊技球の半径を上回っている。停留板36が立ち上がった状態になると第2流出口29、29及び第1流出口30から流出しようとする遊技球が停留させられ、床31への流出が阻まれる。一方、停留板36が床31に埋没した状態になれば、停留板36は第2流出口29、29及び第1流出口30からの遊技球の流出も、床31上での遊技球の移動も阻害しない。立ち上がった状態の停留板36に停留させられていた遊技球があれば、停留板36が床31に埋没した状態になったときに停留を解除されて床31へ流出する。
【0028】
停留板36は停留手段に該当し、上記の立ち上がった状態が停留状態に、同じく埋没した状態が解除状態に相当する。
また床31の中央部には、第1流出口30から前方に向かう方向に沿って一対の案内凸条32が配されている。これら案内凸条32は床31からわずかに凸になっており、両案内凸条32の間隔は遊技球の直径を上回っている。
【0029】
下段振分区域28の床31は奥から手前に向かって緩やかに傾斜しているので、第2流出口29又は第1流出口30から床31に流出した遊技球は床31上を転動して床31の手前縁から落下する。その床31の手前には特定領域となる特別入球口33が配されており、その右側と左側は特定領域外領域37とされている。床31から落下した入賞球は特別入球口33に入球するか、これを外れて特定領域外領域37に落下するかどちらかである。
【0030】
パチンコ機の制御系は図4に示す通り、主制御装置40を中心にして構成されている。詳細の図示は省略するが、主制御装置40、賞球制御装置42、発射制御装置44、統合基板46は、いずれもCPU、ROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備えている。
【0031】
主制御装置40には、下皿の満タンスイッチ、球タンクの補給スイッチ、発射ハンドルのタッチスイッチ、第1羽根始動口34の入賞球を検出する第1始動口スイッチ34a、第2羽根始動口35の入賞球を検出する第2始動口スイッチ35a、特別入球口33の通過球を検出するVスイッチ33a、特別入球口33を通過した遊技球及び特定領域外領域37を通過した遊技球の合計すなわち可変入賞装置14への入賞球をカウントするためのカウントスイッチ14a、一般入賞口15の入賞球を検出する賞球払い出しスイッチ15a等の検出信号が入力される。
【0032】
主制御装置40は搭載しているプログラムに従って動作して、上述の検出信号などに基づいて遊技の進行に関わる各種のコマンドを生成して賞球制御装置42、発射制御装置44、統合基板46に出力する。
【0033】
また主制御装置40は、可変入賞装置14の動作も制御する。まず大入賞口ソレノイド18aを制御することで可動翼片18の開閉を制御し、回転体モータ22aを制御することで回転体22の回転を制御し、停留板ソレノイド36aを制御することで停留板36の昇降を制御する。
【0034】
主制御装置40からの出力信号は試験信号端子にも出力され、また図柄変動や大当たり等の管理用の信号が盤用外部接続端子に出力されてホールメインコンピュータに送られる。
【0035】
賞球制御装置42は、主制御装置40から送られてくるコマンドに応じて球切モータを稼働させて賞球を払い出させる。また、パチンコ機にプリペイドカードユニット(CRユニット)が付属する場合、賞球制御装置42は、CRユニット及びCR精算表示装置と通信して貸球の払い出しも行う。
【0036】
発射制御装置44は、主制御装置40から送られてくるコマンド、タッチスイッチのタッチ信号、発射ハンドルの回動量信号及び発射停止スイッチの信号に基づいて発射モータを制御することで遊技球の発射を制御する。
【0037】
統合基板46は、主制御装置40から送信されてくるデータ及びコマンドを受信し、それらを表示制御用、音制御用及びランプ制御用のデータに振り分けて、各制御部位(表示制御装置、音制御装置及びランプ制御装置としての機能部)に分配する。そして、表示制御装置としての機能部は、表示制御用のデータに基づいて、LCDパネルユニットと付属ユニットとで構成されている表示装置19の表示を制御し、音制御装置としての機能部は、音制御用のデータに基づいて音LSIを作動させることによってスピーカからの音声出力を制御し、ランプ制御装置としての機能部はランプ制御用のデータに基づいてランプドライバを作動させることによって各種LEDや各種ランプを制御する。このように統合基板46によって統括的に制御する構成とすることで、音、ランプ、表示装置19の演出タイミングの同調を図ることができる。
【0038】
主制御装置40による可変入賞装置14の開放制御について図5、図6を参照して説明する。
図5に示すように、主制御装置40は第1始動口スイッチ34a、第2始動口スイッチ35aの検出信号に基づいて、第1羽根始動口34又は第2羽根始動口35に入賞したか否かを判断し(S1:YES)、入賞していると(S1:YES)、可変入賞装置14を開放作動させる(S2)。
【0039】
S2の開放作動は始動開放であり、S1で遊技球が入賞したのが第1羽根始動口34であれば可動翼片18を0.35秒×1回、第2羽根始動口35なら可動翼片18を0.65秒×2回開放する。
【0040】
次に、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存しているか否かを判断する(S3)。
前回の特定領域有効期間が残存しているときは(S3:YES)、図6にも示すように停留板ソレノイド36aをオンにして停留板36を立ち上がった状態に変化させる(S4)。これにより、始動開放で可変入賞装置14に入賞した遊技球があっても、それは停留板36によって停留させられる。
【0041】
次に主制御装置40は、前回の特定領域有効期間が終了するのを待って(S5:YES)、停留板ソレノイド36aをオフにして停留板36を床31に埋没した状態にさせる(S6)。そして、図6にも示すように解除後遅延時間T2を経過するのを待って(S7)、特定領域有効期間を開始する(S10)。
【0042】
解除後遅延時間T2は、停留板36によって停留させられていた位置から自由落下して特別入球口33(厳密にはVスイッチ33a)を通過するに十分な時間として、予め設定されている。
【0043】
一方、前回の特定領域有効期間が残存していないときは(S3:NO)、停留板ソレノイド36aをオフにして(実際には既にオフであるのでこれを維持して)停留板36を床31に埋没した状態にさせておく(S8)。そして、図6にも示すように始動開放(S2)から遅延時間T0を経過するのを待って(S9)、特定領域有効期間を開始する(S10)。
【0044】
S10において特定領域有効期間を開始するというのは、特定領域有効期間としての経過時間の計測を開始することである。特定領域有効期間の長さは、始動開放中に入賞した遊技球が特別入球口33(厳密にはVスイッチ33a)を通過するに十分な時間後に終了するように、始動開放(上記の1回開放又は2回開放)が終了した後、予め定められた閉鎖後残存時間T1だけは継続する(図6参照)ように設定されている。
【0045】
なお、遅延時間T0は閉鎖後残存時間T1よりもわずかに短い(T0=(T1−α)である。)。
特定領域有効期間の開始(S10)後に始動開放が終了したなら(S11)、特定領域有効期間の終了を待って(S12:YES)、上述の始動開放による入賞球が特別入球口33に入球したか否かを(Vスイッチ33aの検出信号が入力されているか否かを)判断する(S13)。
【0046】
入賞球が特別入球口33に入球していれば(S13:YES)、大当たりフラグをセットする等、大当たり発生処理を行う(S4)。
大当たりフラグがセットされていると、主制御装置40が図示省略の大当たり遊技処理を実行し、それによって可変入賞装置14が特別遊技態様で連続開放する。つまり大当たり遊技が実行される。この大当たり遊技処理による可変入賞装置14の制御(可動翼片18の開閉、入賞球が特別入球口33に入球したなら大当たり遊技を継続、規定のラウンド数に達したら大当たり遊技を終了する等)は公知の第2種パチンコ機における第2種特別電動役物の制御(大当たり遊技)と同様であるから、説明は省略する。尚、特別入球口33への入球有無に関係なく、規定ラウンド数連続開放させてもよい。
【0047】
上述の可変入賞装置14の始動開放における各動作を図示すると、図6のタイミングチャートのようになる。
以上説明したように、本実施例のパチンコ機の可変入賞装置14には、床31から立ち上がった状態(停留状態)と床31に埋没した状態(解除状態)とに可変で、停留状態では可変入賞装置14(大入賞口)に入球した遊技球が第1流出口30又は第2流出口29から特別入球口33側へ移動するのを阻んで停留させ、解除状態では遊技球が第1流出口30又は第2流出口29から特別入球口33側へ移動するのを許す停留板36と、これを駆動する停留板ソレノイド36aとが備わっている。
【0048】
制御手段である主制御装置40は、遊技球が第1羽根始動口34又は第2羽根始動口35に入球すると(S1:YES)直ちに可変入賞装置14を始動開放させ(S2)、この始動開放の開始時に、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存していなければ(S3:NO)停留板36を解除状態にさせ(S8)、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存していれば(S3:YES)その特定領域有効期間が終了するまで停留板36を停留状態にさせる(S4〜S6)。
【0049】
これにより、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存していないとき(多くの場合がこの状態である)には停留板36が解除状態になっていて、可変入賞装置14に入球した遊技球は停留されることなく流下するので、遊技のスピード感は損なわれない。
【0050】
一方、前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存しているときには停留板36が停留状態になって遊技球を停留させ、その特定領域有効期間が終了すれば停留が解除されるので、今回の始動開放での入賞球が前回の特定領域有効期間内に特定領域を通過することはない。可変入賞装置14の始動開放の開始時に前回の始動開放時の特定領域有効期間が残存している状態はレアケースであるから、上述の停留は希にしか発生せず、遊技のスピード感は損なわれない。
【0051】
また、可変入賞装置14の始動開放に伴って停留板36が停留状態になったときは、その停留状態を解除した後、停留板36による遊技球の停留位置から特別入球口33までの垂直距離を遊技球が自由落下するに要する時間以下の解除後遅延時間T2を経過してから特定領域有効期間が開始されるので、特定領域有効期間が連続することはない。
【0052】
なお、特定領域有効期間が残存しておらず、停留板36を解除状態にしたままで始動開放を行った場合に特定領域有効期間の開始を遅らせる遅延時間T0は、開店直後のいわゆるモーニングによる大当たりを防止するために設けられているが、遅延時間T0を設けずに、始動開放に伴って直ちに特定領域有効期間を開始する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
10・・・遊技盤、
13・・・遊技領域、
14・・・可変入賞装置、
14a・・・カウントスイッチ、
17・・・入賞口(大入賞口)、
18・・・可動翼片、
18a・・・大入賞口ソレノイド、
29・・・第2流出口、
30・・・第1流出口、
31・・・床、
33・・・特別入球口(特定領域)、
33a・・・Vスイッチ、
34・・・第1羽根始動口(始動口)、
34a・・・第1始動口スイッチ、
35・・・第2羽根始動口(始動口)、
35a・・・第2始動口スイッチ、
36・・・停留板(停留手段)、
36a・・・停留板ソレノイド、
37・・・特定領域外領域、
40・・・主制御装置(制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な大入賞口が設けられた電動役物と、遊技球が始動口に入球すると前記電動役物の大入賞口を始動態様で開放(以下、「始動開放」という。)させ、遊技球が前記電動役物内に設けられ特定領域を通過すると前記電動役物の大入賞口を特別遊技態様で連続開放させる制御手段とを備え、
遊技球の前記特定領域の通過を有効とする特定領域有効期間が、前記大入賞口の始動開放に伴って開始されて前記大入賞口の始動開放の終了よりも後に終了する弾球遊技機において、
前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定領域側へ移動するのを阻んで停留させる停留状態と前記大入賞口に入球した遊技球が前記特定領域側へ移動するのを許す解除状態とに可変の停留手段を備え、
前記制御手段は、遊技球が始動口に入球すると直ちに前記大入賞口を始動開放させ、
該始動開放の開始時に、前回の前記始動開放時の前記特定領域有効期間が残存していなければ前記停留手段を前記解除状態にさせ、前回の前記始動開放時の前記特定領域有効期間が残存していれば該特定領域有効期間が終了するまで前記停留手段を前記停留状態にさせ、
更に、前記停留手段は、電源投入時を含む通常遊技状態時には解除状態にさせられ、
前記特定領域有効期間は、前記大入賞口の始動開放より所定時間経過後に開始させることを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−81839(P2013−81839A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−24847(P2013−24847)
【出願日】平成25年2月12日(2013.2.12)
【分割の表示】特願2008−115343(P2008−115343)の分割
【原出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(395018239)株式会社高尾 (550)
【Fターム(参考)】