説明

形態形成蛋白質溶解型複合体、及びその組成

【課題】高特異活性を有する形態形成蛋白質を生産し、精製する方法、及び、これらの蛋白質からなる製剤組成と骨形成方法について改善を提供する事など。
【解決手段】形態形質活性を有する特定された2量体構造と関連する一対の蛋白質サブユニットからなり、各該サブユニットはモルフォジェンファミリーに特徴的なシステイン残基パタ−ンを有する少なくとも100アミノ酸配列からなり、該サブユニットのすくなくとも1つはモルフォジェンファミリーの一員又は対立形質遺伝子変異、種間変異若しくはそれらの配列変異のサブユニットの成熟型からなり、モルフォジェンファミリーの一員又は種の若しくはそれらの配列変種のプロ領域からなるペプチドと非共有的に結合して、複合体を形成していないサブユニット対より水溶液中ではより溶解性のある複合体を形成する2量体蛋白質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は全般に形態形成蛋白質に関する、さらに詳しくは水系溶媒に改善された溶解度を有する組成に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
形態形成蛋白質(モルフォジェン)はよく知られており、先行技術に述べられている。例えば、U、S、Pat.Nos.4,968,590;5,011,691;5,018.753;PCT U S 92/01968及びPCT US92/07432;やOzkaynakらの(1992)J.Biol.Chem. 267:25220−25227及び0zkaynakらの(1991)Biochem.Biophys.Res.Comm.179:116−123を含めて科学文献に発行されているいろいろな論文などを参照できる。
【0003】
先行技術は骨からどのようにして形態形成蛋白質を単離するかとか、これらの蛋白質をコードする遺伝子をどのようにして同定するかとか、遺伝子組み換えテクノロジーを使って、どのようにそれらを発現させるかということを開示している。形態形成蛍白質は、それらが正しく折りたたまれ2量化し、適切な3次元コンフォーメーションがとれるよう、ジスルフィド結合した時、哺乳類の軟骨性骨形成や他の組織形成を誘導することができる。
【0004】
当該蛋白質は、局所あるいは全身投与により治療への適用に利用される。骨誘導が望まれているときには、例えば、モルフォジェンは一般に、遊走性前駆細胞(progenitor cell)の浸潤、増殖、分化を許容する、適切なコンフォーメーションを有する、適切なマトリックスと関連する哺乳類の骨形成の望まれる箇所に投与される。適切なマトリックス表面に吸着した骨形前形成蛋白質は、一般的には、当業者では骨形成法として考えられている。当該蛋白質は骨から単離する事が出来るし、好ましくは当該蛋白質をコードする遺伝子は、遺伝子組み換えにより、適切な宿主細胞で産生する事が出来る。
【0005】
モルフォジェンの前駆体ポリペプチド鎖は、N末端のシグナル配列とプロ領域(proregion)の共通の構造モチーフを共有し、そのどちらも切断されて、ジスルフィド結合が出来る成熟配列になり、ファミリーの中ではアミノ酸配列が高度に保存されるN末端延長部分及びC末端ドメインよりなる。
【0006】
成熟2量体の形で、モルフォジェンは、一般に生理的条件下では、ほとんど不溶である。これらの蛍白質の溶解度を上昇させることは、治療薬としてモルフォジェンの全身投与の効果を増強するので重要な医療の用途がある。血清アルブミン、カゼインを含むいろいろなキャリア蛋白質は、モルフォジェンの溶解度を増加させる事が知られている(例えば国際出願US92/07432参照)。国際出願US92/05309(WO93/00050)では、成熟2量体のBMP2の溶解度を増す各種のアミノ酸、及びそれらのメチルエステル及びグアニジン、塩化ナトリウム、ヘパリンなどを含む各種の溶解剤の利用について検討している。
【0007】
形態形成蛋白質の組み換え体発現の改善方法については、当該技術分野で努力が続けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は高特異活性を有する形態形成蛋白質を生産し、精製する方法、及び、これらの蛋白質からなる製剤組成と骨形成方法について改善を提供する事にある。
【0009】
他の目的は、本質的に形態形成蛋白質由来のアミノ酸配列からなる溶解型形態形成蛋白質を提供する事にある。他の目的は、形態形成蛋白質の溶解型複合体を安定化する製剤を提供する事にある。
【0010】
さらに他の目的は、当該溶解型形態形成蛋白質と成熟形態形成蛋白質を識別する手段を提供し、血清、脳を髄液、腹水などの体液中の当該蛋白質の定量方法を提供し、これらの各種類を識別する事が出来るポリクロナルやモノクロナル抗体を提供する事にある。
【0011】
他の目的は体液中に存在するモルフォジェンや、内因性抗モルフォジェン抗体の濃度を追跡するための抗体や生物学的診断方法を提供し及び体液中の当該蛋白質の濃度の変動を検出するアッセイ法を提供することにある。U.S.Patent No.4.857,456や、Uristらは(1984)Proc.Soc.Exp.Med.176:472−475で骨形前形成蛋白質であると思われる蛋白質を検出する血清のアッセイ法について論じている。この蛋白質は、ここで言う形態形成蛋白質のファミリーの一員ではなく分子量、構造特性、溶解度などで当該蛋白質とは異なる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によって以下が提供される:
(1)形態形質活性を有する特定された2量体構造と関連する一対の蛋白質サブユニットからなり、各該サブユニットはモルフォジェンファミリーに特徴的なシステイン残基パターンを有する少なくとも100アミノ酸配列からなり、該サブユニットのすくなくとも1つはモルフォジェンファミリーの一員又は対立形質遺伝子変異、種間変異若しくはそれらの配列変異のサブユニットの成熟型からなり、モルフォジェンファミリーの一員又は種の若しくはそれらの配列変種のプロ領域からなるペプチドと非共有的に結合して、複合体を形成していないサブユニット対より水溶液中ではより溶解性のある複合体を形成する2量体蛋白質。
(2)当該サブユニットが共にモルフォジェンファミリーの一員又は対立形質の、又は種の若しくはそれらの配列変種であるサプユニッドの成熟型からなり、該ペプチドと非共有的に複合体を形成する請求項1の蛋白質。
(3)各、当該サブユニットが成熟型のヒトOP−1、又は種の、若しくは対立形質のそれらの変種である請求項1記載の蛋白質。
(4)ペプチドがヒトOP−1のプロ領域、又は種間変異、若しくは対立形質遺伝子変異、若しくは配列のそれらの変異からなる請求項1、2、又は3記載の蛋白質
(5)当該ペプチドが、当該プロ領域を特定するアミノ酸配列の少なくとも最初の18のアミノ酸からなる請求項1記載の蛋白質。
(6)当該ペプチドが、Seq.IDNos.1−16のプロ領域、又はその配列変種を特定するアミノ酸配列の少なくとも最初の18のアミノ酸からなる請求項1記載の蛋白質。
(7)当該ペプチドが、当該プロ領域の全長からなる請求項1、又は6記載の蛋白質。
(8)当該プロ領域ペプチドが、Seq.ID No.1の残基30−48、30−292、及び48−292で特定される配列から選択されたアミノ酸配列からなる請求項1記載の蛋白質。
(9)当該プロ領域ペプチドが、Seq.ID Nos.1−19のプロ領域配列のN末端の18のアミノ酸をコードするDNAと厳密な条件下でハイプリダイズする核酸によりコードされるアミノ酸配列からなる請求項1記載の蛋白質。
(10)当該プロ領域が、Seq.ID No.1の136−192の、又はSeq.ID No.5の157−211のヌクレオチドにより特定されるDNAと厳密な条件下でハイプリダイズする核酸からなる請求項1、又は9記載の蛋白質。
(11)当該サブユニット配列変種が、キメラ型モルフォジェンアミノ酸配列からなる請求項1記載の蛋白質。
(12)当該ペプチドが、キメラ型プロ領域アミノ酸配列からなる請求項1記載の蛋白質。
(13)当該サブユニットが、一般配列7、又は一般配列8で特定される配列からなる請求項1記載の蛋白質。
(14)当該サブユニットが、Seq.ID No.1の残基335−431で特定される配列と60%のアミノ酸同一性を有する配列からなる請求項1記載の蛋白質。
(15)当該サブユニットが、Seq.ID No.5−19のいずれかの配列で特定される成熟型サブユニットからなる請求項1記載の蛋白質。
(16)当該サブユニットが、Seq.ID No.1のヌクレオチド1036−1341、又はSeq.ID No.5のヌクレオチド1390−1695により特定されるDNAとハイプリダイズする核酸によりコードされるアミノ酸配列からなる請求項1記載の蛋白質。
(17)当該複合体の安定性を増強する事が出来る分子をさらに含む請求項1記載の蛋白質。
(18)請求項1、2、5−9、又は11−17のいずれかの蛋白質からなる治療剤組成。
(19)各当該サブユニットが、成熟型ヒトOP−1、又は種の、若しくは対立形質のそれらの変種である請求項1記載の蛋白質からなる治療剤組成。
(20)当該ペプチドが、ヒトOP−1のプロ領域の一部、若しくは全部、又は種間変異、若しくは対立形質遺伝子変異からなる請求項1記載の蛋白質からなる、治療剤組成。
(21)当該サブユニットが、Seq.ID No.s.5−19のいずれかの配列で特定されるサブユニットの成熟型からなる請求項1記載の蛋白質からなる、請求項18記載の治療剤組成。
(22)請求項3、4、又は10の蛋白質からなる治療剤組成。
(23)さらに補助因子を含有する請求項18、又は22の治療剤組成。
(24)当該補助因子が症状緩和補助因子である請求項23の治療剤組成。
(25)組織不全を診断する、又は哺乳類の損失した、若しくは損傷した組織の再生治療の効果を評価するキットで、以下のものからなるキット;a)当該哺乳類からの細胞、又は体液サンプルを採取する手段。
(b)当該サンプル中の溶解型モルフォジェン複合体と特異的に相互作用する事が出来る結合蛋白質。
(c)当該溶解型モルフォジェン複合体に結合した結合蛋白質を検出する手段。
(26)当該結合蛋白質が、抗体である請求項25記載のキット。
(27)組織の状態を評価する方法で、体液サンプル中のモルフォジェン量と対照サンプル中のモルフォジェン量を比較する工程からなる方法。
(28)哺乳類の損失、又は損傷した組織の再生治療の効果を評価する方法で、体液サンプル中のモルフォジェン量を対照サンプル中のモルフォジェン量と比較する工程からなる方法。
(29)哺乳類の組織不全を診断する方法で、体液サンプル中のモルフォジェン量を対照サンプル中のモルフォジェン量と比較する工程からなる方法。
(30)当該モルフォジェンが、形態形質活性を有する特定された2量体構造と関連する一対の蛋白質サブユニットからなる2量体蛋白質であり、各該サブユニットはモルフォジェンファミリーに特徴的なシステイン残基パターンを有する少なくとも100アミノ酸配列からなり、該サブユニットのすくなくとも1つはモルフォジェンファミリーの一員又は対立形質遺伝子変異、種間変異若しくは配列の変異のサブユニットの成熟型からなり、モルフォジェンファミリーの一員又は種の若しくはそれらの配列変異のプロ領域からなるペプチドと非共有的に結合して、複合体を形成していないサブユニット対より水溶液中ではより溶解性のある複合体を形成する、請求項25、26、27または28の発明。
(31)当該モルフォジェン量が、イムノアッセイで検出される請求項25、26、27、又は28記載の発明。
(32)当該モルフォジェン量が、サンプル液中の溶解型モルフォジェンを離別する事が出来る抗体により検出する請求項25、26、27、又は28記載の発明。
(33)当該体液サンプルが血清からなる請求項25、26、27、又は28記載の発明。
(34)当該組織不全が、骨組織不全である請求項25、又は28記載の発明。
(35)当該骨組織不全が骨肉腫、骨粗鬆症及びバジェット病からなる群より選択される請求項34記載の発明。
(36)組織の状態を評価する方法で、組織、又は体液サンプル中の抗モルフォジェン抗体の存在を検出する工程よりなる方法。
(37)損失、又は損傷した組織の再生治療の効果を評価する方法で、組織あるいは体液サンプル中の抗モルフォジェン抗体の存在を検出する工程よりなる方法。
(38)組織不全を診断する方法で、組織、又は体液サンプル中の抗モルフォジェン抗体を検出する工程よりなる方法。
(39)組織不全を診断する、又は哺乳類の損失した、若しくは損傷した組織の再生治療の効果を評価するキットで、以下のものからなるキット;a)当該哺乳類からの細胞、又は体液サンプルを採取する手段。
(b)当該サンプル中の内因性抗モルフォジェン抗体と特異的に相互作用する事が出来る結合蛋白質。
(c)当該内因性抗モルフォジェン抗体に結合した結合蛋白質を検出する手段。
【0013】
発明の要約
哺乳動物細胞から培養培地へ分泌する形態形成蛋白質は、分泌蛋白質のかなりの留分として溶解型蛋白質を含む事が判明し、そしてこの溶解型が非共存結合で少なくとも一つの、好ましくは二つのプロドメインと結合している成熟2量体(それらの端を切った形のものも含む)からなることが判明した。さらに抗体が当該蛋白質のこれらの二つ型を識別するのに使用できる事も判明した。これらの抗体は、形態形成蛋白性の成熟型と溶解型を選択的に単離し、また産生される成熟型と溶解型の量を定量する精製工程の一部として使用してもよい。これらの抗体は、また体液中の形態形成蛋白質の濃度を追跡したり、各種の型の蛋白濃度の変動を検出する診断方法の一部として用いてもよい。抗体や蛋白質は、さらに、生体中の各種のこれらの蛋白質に対する、内因性の抗モルフォジェン抗体の濃度を検出、及び追跡する診断アッセイにも使用してもよい。
【0014】
本発明の重要な具体例は形態形成活性を有する2量体構造の特定と関連する一対のポリペプチドサブユニットからなる2量体蛋白質である。ここで特定されるように、関連親出願にはモルフォジェンは、一般的には、形態学的に許容し得る環境中では、以下のような生物学的な機能の全てが可能である:前駆細胞の増殖を促進する一分化細胞の増殖を促進する;そして分化細胞の成長と維持を支援する。
【0015】
2量体形態形成蛋白質の各サブユニットはモルフォジェンファミリーに特徴的な7個以上のシステイン残基を有する、少なくとも100個のアミノ酸ペプチド配列からなる。好ましくは、少なくともサブユニットの一つは、モルフォジェンファミリーの一員の変異、又は対立形質遺伝子変異若しくは種間変異、若しくはキメラ型変異、若しくは他の配列変異のプロ領域の一部、若しくは全部からなるペプチドと非共有結合的に複合体を形成しているモルフォジェンファミリーの一員の変異、又は対立形質遺伝子変異若しくは種間変異、若しくはキメラ型変異、若しくは他の配列変異の成熟型のサブユニットからなる。その一対のサブユニットと一つの、好ましくは二つのプロ領域ペプチドが、水系溶媒中で、複合体形成しない対のサブユニットより、より溶解性のある複合体を形成する。
【0016】
好ましくは、二つのサブユニットがモルフォジェンファミリーの一員の変異、又は対立形質遺伝子変異若しくは種間変異、若しくはキメラ型変異、若しくは他の配列変異の成熟型サブユニットからなり、二つのサブユニットは非共有結合的にプロ領域の全部、若しくは一部からなるペプチドと複合体を形成する。
【0017】
さらに好ましくは、各サブユニットがヒトOP−1の変異、又は種間変異、若しくは対立形質遺伝子変異、若しくは他の配列変種の成熟型であり、およびプロ領域ペプチドがヒトOP−1、又は種間変異、若しくは対立形質遺伝子変異、キメラ型変異、又は他の配列変異のプロ領域の完全なまたは部分配列である。現在のところ、好ましいプロ領域は、プロ領域の全長型である。プロ領域フラグメントとしてはプロ配列の最初の18アミノ酸を含むことが好ましい。他の有用なプロ領域フラグメントはインタクトなプロ領域配列の端の切れた配列である。切断はArg−Xaa−Xaa−Arg.の蛋白分解酵素開裂部位で起こる。当業者あれば、既知のモルフォジェンをコードしている遺伝子配列から、プロ領域をコードする有用な配列を得ることが出来る。またはキメラ型プロ領域を、一つ以上の既知のモルフォジェン配列から構築する事が出来る。さらに他の選択として、一つ以上の既知のプロ配列の合成配列変種をつくることもできる。
【0018】
ここで使用されるように、モルフォジェン蛋白の成熟型サブユニットはインタクトのC末端ドメインとインタクトあるいは切断(truncated)型のN末端延長部分を含む。例えば、OP−1の有用な成熟配列はSeq ID No.1の残基293−431で特定される。さらに、それらの切断配列をも含み、残基300−431、313−431、315−431、316−431や318−431で特定される配列を含む。この最後の配列は、N末端延長部分の配列の最後の約10残基のみを保持することに注意しなければならない。図2は、多くの好ましいモルフォジェン配列のN末端延長部分を表す。切断が起こる可能性のある標準のArg−Xaa−Xaa−Argの切断箇所は、図のなかで、枠で囲まれているか、アンダーラインが引いである。当業者であれば理解できるように成熟2量体は、異なるN末端切断部位を有するサブユニットの結合も含まれる。
【0019】
他の溶解型のモルフォジェンは、当該蛋白質の(下記参照)未切断のプロ型の2量体や、2量体の一つのサブユニットが当該蛋白質の未切断プロ型であったり、他のサブユニットが成熟型の蛋白質、好ましくは切断プロドメインと非共有結合的に結合するそれらの切断型の半2量体(hemi−dimer)ものも含む。
【0020】
本発明の溶解型蛋白質は、さらに哺乳類、特にヒトに投与する治療薬組成物の製剤や、細胞サンプルや、これに限るものではないが血清、脳脊髄液、腹水などの体液中の当該蛋白質や、当該蛋白質に対する内因性の抗体の濃度の追跡のための生物学的アッセイの開発に有用である。さらに本発明の他の目的や、特徴や有利性は以下の詳細な説明より、より明確になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
詳細な説明
ここで本質的に当該蛋白質のアミノ酸配列から組成される溶解型の形態形成蛋白質が本発明により判明した。溶解型はプロドメイン、またはそれらのフラグメントからなる非共有結合的に結合している複合体で、形態形成活性を有する2量体蛋白種と非共存結合的に結合し、または複合体を形成する。200未満のアミノ酸からなる2量体の各ポリペプチドは、それぞれSeq.ID No.1の残基330−431と335−431で特定される、少なくともC末端6、好ましくは7個のシステイン骨格からなる。好ましくは、2量体種のポリペプチド鎖は、これらの配列の成熟型か、またはそれらの切断型からなる。好ましい切断型は、インタクトのC末端ドメインを含み、少なくとも10個のアミノ酸のN末延長部分配列からなる。これらの溶解型の形態形成蛋白質は、培養細胞培地や哺乳類の体液から分離してもよいし、in vitroでつくってもよい。
【0022】
in vivoの生理的条件下で、プロドメインは蛋白質の運搬性を高めるのに利用してもよいし、蛋白分解酵素や、抗体を含むスカベンジャー分子から保護するのに利用してもよい。プロドメインは、さらに蛋白質を特定の組織へ標的化するのに役立ててもよいし、共有受容体との相互作用でモルフォジェン細胞表面受容体に、モルフォジェンを発現させるのに利用してもよい。分離した蛋白質は治療用製剤、特に経口、非経口投与用に使用してもよいし、内因性のモルフォジェンや、内因性の抗モルフォジェン抗体のレベルを追跡する診断や、他の組織評価キットやアッセイの開発に利用してもよい。
【0023】
損失、若しくは損傷した組織の再生の為や、組織不全や、病気の組織破壊的作用の阻害の為の治療における当該モルフォジェンの用途の詳細な説明は 国際出願 US92/01968(WO92/15323);US92/0735B(WO92/04692)とUS92/07432(WO93/05751)に開示されている。参照によりここに組み入れた。本発明の溶解型のモルフォジェン複合体も含め、モルフォジェンは損失した、若しくは損傷した骨、歯、歯周組織、肝臓、心臓、肺臓、神経組織を再生することや、免疫応答と関連する組織破壊的な作用から、これらの組織を保護する為の治療の一部として、特別な有用性を持っていると考えられている。当該蛋白質は骨粗鬆症や骨軟化症や骨肉腫などの代謝性骨疾患の治療や;肝硬変、肝炎、アルコール性肝疾患や肝炎性脳疾患などの肝疾患の治療や;虚血性再潅流関連の、特に、神経あるいは心臓組織などの組織損傷の治療や予防に、組織保護効果を発現する事が予測される。以下に本発明の有用な溶解型モルフォジェン複合体、及びそれらの作り方や使用法についての詳細な説明を開示する。
【0024】
I.有用な溶解型モルフォジェン複合体−タンパク質からの考察
本発明の有用なモルフォジェンの中でOP−1,OP−2、CBMP2蛋白質のような骨形成蛋白や、DPP(猩々蝿から)、Vgl(爪蛙から)、Vgr−1(マウスから、U.S.5,(011,691 Oppermannら参照)、GDF−1(マウスから、Lee(1991)PNAS 88:4250−4254参照)、60A蛋白(猩々蝿から、Seq.ID No.124、Whartonら(1991)PNAS 88:9214−9218参照)や最近、同定されたOP−3のようなアミノ酸配列関連蛋白質として、もともと同定された蛋白質である。
【0025】
このファミリーは、TGF−βスーパーファミリーのサブクラスであるが、図1に概要を開示しているが、特徴的な構造的特色や、保存された7個のシステイン構造を含むかなりのアミノ酸配列のホモロジーを共有している。図に示すように、蛋白質は前駆体ポリペプチド配列10として翻訳される。N末端レグナルペプチド配列12、(”プレ・プロ”領域、図中、あやめ陰影で示される)を有し、一般に、約30残基以下で、続いて点画で示されており、分解して成熟配列16を生じる”プロ”領域14を有する。成熟配列は保持されたC末端7個のシステインドメイン20、N末端配列18・・ここではN末端延長部分という・・の両者を含み、各種のモルフォジェンで配列が著しく変わっている。システインは縦縞線22で図中に開示されている。ポリペプチド鎖は2量化しこれらの2量体は、一般に、二つのポリペプチド鎖を結合する少なくとも一つの鎖間のジスルフィド結合で安定化されている。
【0026】
シグナルペプチドはVon Heijneの方法((1986)Nucleic Ac1ds Research 14:4683−4691。)を用いて、特定の配列中の予測される開裂箇所で、翻訳時に、早く開裂される。図.1中の”プロ”型の蛋白質サブユニット,24,はプロドメインも成熟ドメインも含み、一緒にペプチド結合している。一般に、このプロ型は蛋白質が細胞内にいる間に開裂され、プロドメインは非共有結合的に成熟型のサブユニット結合されたままで、培養哺乳動物細胞から分泌される、第一次の型と思われる溶解型種を生成する。一般に、従来の精製技術は複合体を解離させる変性条件を利用した。
【0027】
哺乳動物細胞から分泌される他の溶解型のモルフォジェンは、これらの蛋白質のプロ型の2量体を含み、ここではプロ領域は成熟ドメインから切断されず、”半2量体”、ここでは一つのサブユニットがプロ型のポリペプチド鎖サブユニットからなり、他のサブユニットが切断された成熟型のポリペプチド鎖サブユニット(それらの切断型も含む)、好ましくは切断プロドメインと非共有結合的に結合しているものである。分離したプロドメインは一般に、配列分析からも、溶液中での、その特性測定からみても、著しく疎水性の特性を有している。分離したプロ領域単独でも、一般に、水溶液にはそれほど溶解しないし、洗剤、尿素、グアニジン塩酸塩、等および/又は一つ以上のキャリア蛋白質のような変性剤の存在が必要である。従って、与えられた理論に限ることなく、切断プロ領域の非共有結合的な成熟モルフォジェン2量体種との結合は、プロ領域の疎水性部分と、2量体種の相当する疎水性部分との相互作用が含まれており、その相互作用は、もしそうでなければ暴露された成熟2量体の疎水性領域を、水溶液に対する成熟2量体種の親和性を高めながら、水系の環境への暴露から効果的に保護あるいは隠す。
【0028】
モルフォジェンはTGF−βスーパーファミリーの構造的に関連する蛋白質の中のサブファミリーの蛋白質からなる。ここで開示するモルフォジェンのように、TGF−βもまた、成熟TGF−β蛋白と非共有結合的に結合するプロ領域を有している。しかし、モルフォジェンとは異なり、TGF−βのプロ領域は多くのシステインを含有しているし、特定の結合蛋白質とジスルフィド結合を形成している。TGF−β1のプロドメインもまた、一つ以上のマンノース残基にリン酸化されており、一方、モルフォジェンプロ領域では、一般にはそうでない。
【0029】
有用なプロドメインは、以下に示すプロ領域の全長を含み、またこれらの各種の切断型、特にArg−Xaa−Xaa−Arg.の蛋白分解酵素開裂開裂部位での開裂型も含む。例えば、OP−1では、可能なプロ配列は 残基30−292(全長型);48−292;158−292;で特定される配列を含む。溶解型OP−1複合体の安定性は、プロ領域が全長型からなるときの方が48−292切断型のような切断型のときより増強される。残基30−47は他のモルフォジェンのN末端部位との配列相同性を示し、全てのモルフォジェンの複合体の安定化を増強するのに、特に有用性があると信じられる。従って、現在のところ好ましいプロ配列は、特定のモルフォジェンのプロ領域の全長型をコードする配列である(以下参照)。有用性を有することが予測される他のプロ配列は、生物学的に合成したプロ配列、特に一つ以上のプロ配列のN末端部分由来の配列を組み入れた配列を含む。
【0030】
下記の表Iは、そこで使用される命名法、サブユニット配列の各種の領域を特定する配列、それらの参考Seq.ID、それらの核酸及びアミノ酸配列の参考文献も含め、今までに同定された各種の好ましいモルフォジェンについて開示してある。これらの文献の開示は参考に、ここに組み入れた。特定された成熟蛋白質配列は、これらの配列の最長の予期し得る型である。上記のように、より短い、切断型のこれらの配列もまた予期し得る。好ましくは切断成熟配列は少なくともN末端延長部分の10個のアミノ酸を含む。図.2は以下に述べる数多くの好ましいモルフォジェン配列N末端延長部分を列挙している。成熟サブユニット型の切断配列を生じるArg−Xaa−Xaa−Arg.開裂部位が、図の中で枠でかこまれているか、アンダーラインが引いである。
【0031】
表I
”OP−1”はそれらの対立形質や種の変種、例えばヒトOP−1(”hOP−1”)、又はマウスOP−1(”mOP−1”)なども含むOP−1蛋白質をコードするDNA配列の、一部若しくは全部から発現された形態形成活性を存する蛋白質の群を総称的に指して云う。蛋白質の全長をコードするcDNA及びアミノ酸配列はSeq.ID Nos.lと2(hOPl)とSeq.ID Nos.3と4(mOPl)に示されている。成熟蛋白質は残基293−431(hOPl)と292−430(mOP1)に特定されている。ここで保存された7個のシステイン骨格が、それぞれ、残基330−431と329−430に、N末端延長部分は、それぞれ、残基293−329と292−329に特定されている。当該蛋白質のプロ領域は開裂されて成熟で、形態形成活性を存する蛋白質を生じるが、本質的に残基30−292(hOPl)と残基30−291 mOPl)により特定される。
”OP−2” はそれらの対立形質や種の変種、例えばヒトOP−2(”hOP−2”)、又はマウスOP−2(”mOP−2”)なども含むOP−2蛋白質をコードするDNA配列の一部、若しくは全部から発現された活性を有する蛋白質の群を総称的に指して云う。蛋白質の全長はSeq.ID Nos.5と6(hOP2)とSeq.ID Nos.7と8(mOP2)に示されている。成熟蛋白質は本質的に残基264−402(hOP2)と261−399(mOP2)に特定されている。ここで保存された7個のシステイン骨格が、それぞれ、残基301−402と298−399に、N末端延長部分は、それぞれ、残基264−300と261−297に特定されている。当該蛋白質のプロ領域は開裂されて成熟で、形態形成活性を有する蛋白質を生じるが、本質的に残基18−263(hOP2)と残基18−260(mOP2)により特定される。(他の開裂部位も両方のOP−2蛋白質の上流21残基のところで起きる。)
”OP−3” はそれらの対立形質や種の変種、例えばマウスOP−3(”mOP−3’)なども含むOP−3蛋白質をコードするDNA配列の一部、又は全部から発現された活性を有する蛋白質の群を総称的に指して云う。蛋白質の全長はSeq.ID Nos.9に示されている。成熟蛋白質は本質的に残基261−399又は264−399に特定されている。ここで保存された7個のシステイン骨格が、残基29B−399に、N末端延長部分は、残基264−297又は261−297に特定されている。当該蛋白質のプロ領域は開裂されて成熟で、形態形成活性を有する蛋白質を生じるが、本質的に残基20−262により特定される。
”BMP2/BMP4” は、ヒト−BMP2とBMP4の遺伝子でコードされる蛋白質配列を指して云う。蛋白質全長のアミノ酸配列はBMP2AやBMP2B、又はBMP2やBMP4として文献に言及されておりSeq.ID Nos.10と11に及びWozneyら(1988)Science 242:1528−1534.に、それぞれ記載されている。BMP2(BMP2A)のプロドメインは残基25−248、または25−282を含んでおり;成熟蛋白質は残基249−396、または283−396を含んでいるが、その残基249−296/283−296はN末端延長部分を特定し、295−396はC末端ドメインを特定する。BMP4(BMP2B)のプロ領域は、残基25−256、または25−292を含む;成熟蛋白質は残基257−408、または293−408を含み、その257−307/293−307はN末端延長部分を特定し308−408はC末端ドメインを特定する。
”DPP” は猩々蝿のDPP遺伝子によりコードされる蛋白質の配列を指して云う。蛋白質全長のアミノ酸配列は成熟型やプロ領域も含んでSeq.ID No.12とPadgettら(1987)Nature 325:81−84に発表されている。プロドメインは、シグナルペプチド開裂部位から残基456まで続いている。成熟蛋白質は、残基457−588で特定されるし、ここで残基457−586はN末端延長部分を特定し487−588はC末端ドメインを特定する。
”Vgr” は爪蛙のVgl遺伝子によりコードされる蛋白質配列を指して云う。蛋白質の全長のアミノ酸配列は成功型やプロ領域も含みSeq.ID No.13とWeeks(1987)Cell 51:861−867に記載されている。プロドメインはシグナルペプチド開裂部位から残基246まで続いている;成熟蛋白質は残基247−360で特定できるし、その残基247−258はN末端の延長部分を特定し、259−360はC末端ドメインを特定する。
”Vgr−1” はマウスVgr−1遺伝子によりコードされる蛋白質配列を指して云う。蛋白質の全長のアミノ酸配列は成熟型やプロ領域も含みSeq.ID No.14とLyonsら(1989)PNAS 86:4554−4558に記載されている。プロドメインはシグナルペプチド開裂部位から残基299まで続いている;成熟蛋白質は残基300−438で特定できるし、その残基の300−336はN末端の延長部分を特定し、337−438はC末端を特定する。
”GDF−1” はヒトGDF−1遺伝子によりコ−ドされる蛋白質配列を指して云う。蛋白質の全長のcDNAおよびコードされたアミノ酸配列はSeq.ID No.15とLee (1991)PNAS 88:4250−4254に記載されている。プロドメインは、シグナルペプチド開裂部位から残基314まで続いている;成熟蛋白質は残基215−372で特定できるし、その残基215−256はN末端の延長部分を特定し、257−372はC末端を特定する。
”60A” は猩々蝿60A遺伝子によりコードされる蛋白質配列を指して云う。蛋白質の全長のアミノ酸配列は、Seq.ID No.16とWhartOnら(1991)PNAS 87:9214−9218に記載されている。プロドメインはシグナルペプチド開裂部位から残基324まで続いている。成熟蛋白質は残基325−455で特定できるし、その残基325−353はN末端の延長部分を特定し、残基354−455はC末端を特定する。
”BMP3” はヒトBMP3遺伝子によりコードされる蛋白質配列を指して云う。蛋白質の全長のアミノ酸配列は、Seq.ID No.17とWozeneyらScience 242:1528−1534に記載されている。プロドメインはシグナルペプチド開裂部位から残基290まで続いている。成熟蛋白質は残基291−472で特定できるし、その残基291−370はN末端の延長部分を特定し、残基371−472はC末端を特定する。
”BMP5” はヒトBMP5遺伝子によりコードされる蛋白質配列を指して云う。蛋白質の全長のアミノ酸配列は成熟型やプロ領域も含みSeq.ID No.18とCe1esteら(1990)PNAS 87 :9843−9847に記載されている。プロドメインはシグナルペプチド開裂部位から残基316まで続いている;成熟蛋白質は残基317−454で特定できるし、その残基317−352はN末端を特定し、352−454はC末端を特定する。
”BMP 6” はヒトBMP6遺伝子によりコードされる蛋白質配列を指して云う。蛋白質の全長のアミノ酸配列は成熟型やプロ領域も含みSeq.ID No.16とC1esteら(1990)PNAS 87:9843−9847に記載されている。プロドメインはシグナルペプチド開裂部位から残基374まで続いている;成熟蛋白質は残基375−513で特定できるし、その残基375−411はN末端を特定し、412−513はC末端を特定する。
【0032】
OP−2やOP−3蛋白質はこのファミリーの他の蛋白質と共通する保存されたシステイン骨格の他にC末端領域にもう一つのシステイン残基を有していることを注意する必要がある(例えばこれらの配列の残基338を参照)。GDF−1蛋白質は保存された骨格に4個のアミノ酸が挿入されている(”Gly−Gly−Pro−Pro”)が、この挿入は、おそらく折りたたまれた構造中のシステインとの関係に影響を与えないであろう。さらにCBMP2蛋白質はシステイン骨格の一アミノ酸残基を欠いている。
【0033】
2量体モルフォジェン種は還元されると不活性であるが、酸化型ホモ2量体として、及び本発明の他のモルフォジェンとの併用で酸化されると活性である。このように、ここで特定されるように、溶解型モルフォジェン複合体に有用なモルフォジェンは一対のポリペプチド鎖からなる2量体蛋白質であり、その各ポリペプチド鎖は200個以下のアミノ酸でこれらのシステインと機能的に同等な配列(配列中のシステインの1次配列を変えるアミノ酸の挿入や削除、しかし折りたたまれた構造の関係は変えない)も含む、Seq.ID No.1の残基335−431で特定される、少なくともC末端の6、好ましくは7個のシステイン骨格からなる。そのようにして、ポリペプチド鎖が折りたたまれたとき一対のポリペプチド鎖からなる2量体蛋白質種は、本発明で特定しているようにモルフォジェンとして作用する事が出来るように、適当な鎖内、鎖間のジスルフィド結合も含め、適当な3次元構造をとる。モルフォジェンの成熟2量体が、本発明に従って少なくとも一つの、好ましくは二つのプロドメインが複合体を形成すると、これらの構造体の溶解度は改善される。
【0034】
本発明の溶解型モルフォジェンに有用な好ましいC末端配列を特定している各種の一般的な配列(一般的配列 1−6)はUSSN 07/923,780、に開示されており、参考に上記に組み入れた。現在のところ好ましい一般的な配列を以下に示す。
【0035】
下記に示されている一般的配列7 (Seq.ID No.20)と一般的配列8 (Seq.ID No.21)はOP−1,OP−2,OP−3、CBMP2A、CBMP2B、BMP3、60A、DPP、Vgl、BMP5.BMP6、Vrg−1、やGDF−1を含む現在までに同定されている好ましいモルフォジェン蛋白ファミリーの中で共育している相同性を備えている。これらの蛋白質のアミノ酸配列はここに(配列リスト参照)、また当業者に例えば国際出願 公開 US 92/07358、(WO93/04692)にも開示されている。一般的配列は6と7個のシステイン骨格によって特定されるC末端Xメインの配列が共通するアミノ酸の同一性も、配列中の変異部位の互換性のある残基も含む、一般的配列41位(一般的配列7)あるいは46位(一般的配列8)のもう一つのシステインを許容し、分子間、分子内ジスルフィド結合が形成出来る適当なシステイン骨格を提供し、蛋白質の3次元構造に影響する危険なアミノ酸を含有する。
【0036】
【化1−1】

【0037】
【化1−2】

【0038】
【化1−3】

【0039】
【化1−4】

【0040】
【化1−5】

【0041】
従って、好ましいC末端配列を特定する他の有用な配列は、上記一般的配列 7と8に組み入れられており、どの配列とも少なくとも70%のアミノ酸配列相同性、又は類似性、そして好ましくは、80%の相同性、又は類似性を共有するものである。これらには、対立形質遺伝子変異、種間変異、キメラ型変異及び他の変異(例えば”ミューテイン”、又は”変異蛋白”)の他に天然に存在するか、生物学的に合成されるかを問わずこの形態形成蛍白質ファミリーの新規なものをも含む事が予測される。ここで用いられているように、”アミノ酸配列相同性”はアミノ酸配列類似性という意味で理解され、相同性の配列は、同一、又は類似のアミノ酸を共有している。ここで類似のアミノ酸とは、Dayoffら、Atlas of Protein Sequence and structure; vol. 5, Suppl. 3 pp、345−362(M.O.Dayoff、編、Nat’l BioMed.Research Fdn.、Washington D.C.1978)に特定されている保存されたアミノ酸である。このように、対照配列に70%のアミノ酸相同性を共有する候補配列は、対照配列と候補配列を一緒に並べてみて、候補配列の70%のアミノ酸が、対照配列に相当するアミノ酸と同一、又は、それらに保存されたアミノ酸変化を構成することが必要である。”アミノ酸配列の同一性”は2つの並べられた配列間で、同一のアミノ酸であることが必要であると理解される。このように対照配列と60%のアミノ酸同一性を共有する候補配列は、候補配列を対照配列と一緒に並べてみて、候補配列の60%のアミノ酸が、対照配列の相当するアミノ酸と同一であることが要求される。
【0042】
ここで用いられるように、全ての相同性と同一性はOP−1を対照配列として計算される。また、ここで用いられるように、配列はNeedlemannら(1970)J、Mol Biol 48:443−453の方法を用いて相同性及び同一性計算用に整列させ、同一性はAlignプログラム(DNAstar、Inc.)により計算される。全ての場合について、並べられているままで、候補配列の内部欠落やアミノ酸の挿入は相同性/同一性の計算時には無視される。またここで用いられるように、”配列変種”とはアミノ酸変化や配列の変化が、蛋白質の形態形成的活性(例えば組織再生活性)を著しく変えないし、変種分子は天然に存在する型の分子と実質的に同じように、実質的に同じ機能を発揮するモルフォジェン蛋白質のアミノ酸配列の変種型を云うものと理解される。
【0043】
配列変種は、単一の、又は複数のアミノ酸変化を含み、以下に述べるようなキメラ型配列も含まれる。変種は天然に存在するものでもよいし、標準的な組み換えDNAテクノロジーあるいは化学的蛋白質合成法を用いた生物学的合成法により誘導してもよい。
【0044】
現在のところ本発明の溶解型モルフォジェン複合体に有用なもっとも好ましい蛋白質の配列はhOP1(例えば、Seq.ID No.5の残基335−431)の保存された6個のシステイン骨格を特定するアミノ酸配列と60%以上、好ましくは65%以上の同一性を存する配列である。これらのもっとも好ましい配列は猩々蝿60A蛋白質も含み、OP−1、OP−2の対立形質や種の変種を含む、従って、本発明の他の好ましい点は、有用なモルフォジェンはいろいろな同定されたOP−1やOP−2(Seq.ID No.22)の種間で相同性を持っている”OPX”とここでは云われている一般的アミノ酸配列を有する各種のポリペプチド鎖からなる活性蛋白質も含む。
【0045】
本発明のさらに好ましい点は、有用なモルフォジェンがOPl、若しくはOP2の保存されたC末端のシステインドメインをコードするDNA、若しくはRNA配列と、例えば、それぞれ、Seq.ID Nos.1と5のヌクレオチド1036−1341ヌクレオチド1390−1695で特定されるが、厳密なハイブリダイゼイションの条件下でハイブリダイズする核酸をコードするアミノ酸配列からなる活性蛋白質を含む、ここで用いられるように、厳密なハイブリダイゼイションの条件とは37℃で一晩、40%ホルムアルデヒド中で、5xSSPE、5xDenhardt溶液、0.1%SDSでハイブリダイゼイションを行い50℃で0.1xSSPE、0.1%SDSで洗浄する。同様に本発明の他の好ましい点は、有用なプロ領域ペプチドは、Seq.ID Nos.1−19に列挙されているいずれの配列の、少なくともN末端の18個のアミノ酸をコードするDNA、若しくはRNA配列と厳密な条件下でハイブリダイズする核酸をコードするアミノ酸配列からなるポリペプチド鎖を含む。もっとも好ましくは、ペプチドがOP1、又はOP2のプロ領域配列の少なくともN末端の18個のアミノ酸、例えば、それぞれSeq.ID Nos.1と5のヌクレオチド136−192やヌクレオチド152−211であるが、をコードしているDNA、又はRNA配列とハイブリダイズする核酸によってコードされる。
【0046】
有用なN末端の延長部分配列が、上記のC末端ドメインと一緒に使用するため図2に列挙されている。さらに上記の如く、N末端延長部分の全長、又は、それらの切断型は好ましい2量体種で用いてもよい。
【0047】
成熟2量体種はインタクトなDNA、又はそれらの切断型から生産してもよい。さらに本発明の実施例として、キメラ型のモルフォジェン配列を用いることが出来る。このように、キメラ型モルフォジェンをコードするDNAは一つのモルフォジェンからのN末端延長部分と、一以上の他のモルフォジェン由来のC末端ドメインの全部、あるいは一部を用いて、構築する事が出来る。これらのキメラ型蛋白質は、当業者によく知られている標準的な組み換えDNA法、又は化学的自動核酸合成法を用いた合成をしてもよい。他のキメラ型モルフォジェンは、プロドメインが一つ以上のモルフォジェンのプロ配列に相当するDNA配列からコードされており、成熟ドメインの一部又は全部が、一つ以上の異なるモルフォジェン由来のDNAによりコードされている溶解型モルフォジェン複合体を含む。
【0048】
これらの溶解型キメラは以下に述べるように、単一の合成DNAから生産してもよいし、また別の選択で、以下に述べるように、分離した成分からin vitroでつくることが出来る。
【0049】
最後に、モルフォジェンのプロドメイン及び/又は成熟型N末端延長部分それ自身を組織標的化配列として使用してもよい。上記の如く、モルフォジェンファミリーはそれらのC末端活性ドメインに著しい配列相同性を共有している。反対にその配列は成熟蛋白質のプロドメインや、N末端の39個のアミノ酸を特定している配列とは著しく異なっている。従って、プロドメイン及び/又はN末端延長部分の配列はモルフォジェンに特異的である可能性がある。従って、これらのモルフォジェン特異的配列の一部、又は全部が、本発明で開示されているモルフォジェンの組織標的化配列として用いることが出来る。例えば、N末端延長部分及び/又はプロドメインは、プロドメインと結合したモルフォジェンをその組織に配向させるのに、標的組織で一以上の分子と特異的に相互作用する事が出来る。このように、例えばOP−1やBMP2やBMP4のモルフォジェン特異的な配列は、モルフォジェン複合体が骨に標的化された時、特に有用な配列になることが出来る。なお、これらの蛋白質の全ては、本来、骨組織と関連して発見されたもの(例えば、US Pat.No.5,011,699を参照)である。同様に、BMP6(またはVgr−1)特異配列は肺組織への標的化が望まれている時に使用してもよい。別の選択では、GDF−1のモルフォジェン特異配列は溶解型モルフォジェン複合体を神経組織、特に脳組織へ標的化するのに使用してもよい。ここではGDF−1が主として発現されているようである(例えば、ここで引用文献として挙げているLee、PNAS、88:4250−4254 (1991)を参照、参照によりここに組み入れられる。)。
【0050】
II.溶解型モルフォジェン複合体の遺伝子組み換えによる産生
溶解型モルフォジェン複合体は、標準的な組み換え体発現技術を用いて、真核宿主細胞、好ましくは哺乳動物細胞から生産できる。現在のところ好ましい模範的なプロトコルは以下に示されるが、特別のベクター構成とチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株を用いる。当業者の技術では、他のベクターや他の細胞系なども含め、他の発現系も有用であるが、本発明は以下に詳述する方法によってのみ生産できる溶解型形態形成蛋白質複合体に限るものではない。COSやBSC細胞用に開発した組み換え体発現系を用いても、ここで開示しである結果と類似の結果が観察された。
【0051】
前駆体配列をコードしたモルフォジェンDNAを適当な、市販品のpUC型ベクター(例えばpUC−19、ATCC#37245、Rockville、MD)の挿入箇所に適当なプロモーター/エンハンサー配列で3’末端配列に従ってサブクローン化される。有用なDNA配列はこれらの蛋白質をコードする、発表された配列及び/又は合成構築物も含む。現在のところ好ましいプロモーター/エンハンサー配列はCMVプロモーター(ヒト サイトメガロウイルスの主たる中間体−アーリープロモーター)とラウス肉腫ウイルスLTRエンハンサー配列(例えばC1ontech,Inc.,Pa1o Altoより得られる)により増強されたマウス乳ガンウイルスプロモーター(mMTV)である。発現はさらにトランスアクチベーテイングエンハンサー配列を用いて増強する事が出来る。プラスミドはSV40アーリープロモーター制御下に増幅可能なマーカーとしてDHFRを含んでいる(ATCC#37148)。トランスフェクション、細胞培養、遺伝子増幅や蛋白発現条件は当業者によく知られている、例えば、Ausubelら(編)Current Protocols in Mo1ecular Biology、John Wiley & Sons、NY(1989)などの開示されている標準的な条件である。簡単にはトランスフェクトされた細胞は0.1−5%の透析された牛胎児血清を含む培地で培養され、サブクローニングし標準的なウエスタンブロット、あるいはノーザンブロットで評価して、安定的にトランスフェクトされた高発現型の細胞株が得られる。組み込まれた配列状態やコピー数増幅の程度を調べるのにサザーンブロットもまた用いられる。
【0052】
現在のところ、好ましい発現ベクターはSV40アーリープロモーター制御下で選択マーカーと誘導遺伝子増幅剤としてDHFR遺伝子を含む、DHFRのDNA配列は従来技術でよく特徴づけられており、市販品が入手できる。例えば、適当なベクターがpMAM−neo(C1ontech,Inc.、Pa1o Alto、CA)から、neo遺伝子(BamHI切断)を、SV40アーリープロモーター制御下でDHFR遺伝子を含んでいるpSV5−DHFR由来のSphI−BamHI、若しくはPvuII−BamHIフラグメントで置き換えることにより生成する事が出来る。BamHI部位はSphI、若しくはpvuI部位で、ベクターの骨格にフラグメントを挿入させるよう、標準的な技術(例えば、リンカーインサーションや部位特異的変異など)で作り出すことが出来る。モルフォジェンDNAはMMTV−LTR配列(マウス乳ガンウイルスLTR)の下流のポリリンカ一部位に挿入出来る。CMVプロモーター配列はそれから発現ベクター(例えば、pCDM8由来のもの、Invitorgen,Inc.)に挿入してもよい。DHFR発現を制御するSV40アーリープロモーターは産生されるDHFRのmRNAのレヘルを下げるためにこれらのベクターの中で修飾されるのが好ましい。
【0053】
現在のところ、好ましい哺乳動物細胞株はCHOチャイニーズハムスター卵巣細胞株であり、高発現レベルの安定なモルフォジェン産生細胞株の樹立の好ましい手順は、安定なCHO細胞株、好ましくはCHO−DXB11、を上記の発現ベクターでトランスフェクトし、モルフォジェン発現レベルの高いクローンを分離し、高発現クローンのボピュレーションを得るために以下に開示しである制限希釈法を用いてこれらのクローンをサブクローニングにかける。サブクローニングは、好ましくは、モルフォジェン産生用の増殖培地にはMTXの添加は必要でない安定な高発現クローンの同定するのにMTXの存在しない状態で行うのがよい。
【0054】
サブクローニングプロトコルで細胞は10個の100mmペトリ皿に、培養培地にはMTXを添加して、好ましくは添加しないで、細胞密度が1プレート当たり50あるいは100個のいずれかの細胞になるよう播種する。増殖14日後にクローンはクローニングシリンダーや標準的な操作を利用して分離され、24穴プレートで培養される。クローンはそれから標準的な操作を利用してウエスタン免疫プロントでモルフォジェンの発現についてスクリーニングされ、モルフォジェンの発現レベルについて親株と比較される。その後、高発現クローンの細胞株の安定性はモルフォジェン発現レベルを多数回の細胞継代培養しながら追跡する事により測定した。(例えば、4代か5代)
III.培地や体液から溶解型モルフォジェン複合体の単離
モルフォジェンは補乳動吻細胞から溶解型複合体として発現する。一般に、しかしながら、複合体は精製過程で、一般的には精製溶液によく添加される変性剤、例えば洗剤、アルコール、有機溶媒、水構造破壊剤や溶液のpHを下げるのに添加される化合物などに曝された時に解離する。以下に、調整培地、(別の選択では、血清、脳を髄液、腹水などの体)からの溶解型蛋白質の現在もっとも好ましい精製プロトコルは変性剤のない条件で行う。当該方法は早く、再現性もよく実質的に純粋な形で溶解型モルフォジェン複合体が単離される。
【0055】
溶解型モルフォジェン複合体は調整培地から、変性剤なしで行われる、単純な3工程のクロマトグラフィープロトコルを利用して単離することが出来る。プロトコルは培地(あるいは体液)をアフィニティーカラムに通し、次いでイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー工程を含む。以下に述べるアフィニティーカラムはZn−IMACである。本発明のプロトコルは各種のモルフォジェンの精製に一般的な適用が可能であり、それらの全ては以下に述べるプロトコルのほんの僅かの変更により単離可能であることが予測される。別のプロトコルとしては、標準的な操作を利用して作られた、例えば、特定のモルフォジェンプロドメイン(例えば、蛋白A結合のセファロースカラムに結合した)に特異な抗体を用いて免疫アフィニティーカラムを利用する事が予測される。免疫アフィニティーカラムの開発のプロトコルは従来技術に開示されている。(例えば、Guide to Protein Purification、M.Deutscher、編、Academic Press、San Diego、1990、特に第4節及び第XI節)
本実験ではOP−1は上記の如くCHO細胞で発現された。0.5%FBSを含むCHO細胞調整培地は、最初に、固定化金属イオン・アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)で精製された。調整培地由来の溶解型OP−1複合体は選択的にZn−IMAC樹脂に結合し、その結合した複合体を効果的に溶出させるには、高濃度のイミダゾール(50mMイミダゾール、pH8)が必要である。Zn−IMAC段階では、最初の流しの時及び35mMイミダゾール洗浄分画に溶出する多くのコンタミしている血清蛋白質から、溶解型OP−1を分離する。Zn−IMAC精製溶解型OP−1は次に20mM NaPO(pH7.0)と50mM NaClで平衡化されたS−セファロース・カチオン交換カラムに適用される。このS−セファロース段階ではさらに精製して次のゲル濾過工程への調製に溶解型OP−1複合体を濃縮するのに役立っている。蛋白質はTBSで平衡化されたセファクリルS−200HRカラムに載せられる。実質的に同じプロトコルを利用して、溶解型モルフォジェンを血清、脳脊髄液、腹水を含む一つ以上の体液から単離してもよい。
【0056】
IMACはカラム容量の3倍量の0.2M ZnSOで飽和されたキレーテイング・セファロース(ファルマシア)をもちいて行われた。調整培地はpH7に滴定され、500mM NaCl、20mM HEPES(pH7.0)で平衡化したZn−IMAC樹脂に直接、載せられた。Zn−IMAC樹脂には樹脂1mL当たり80mLの最初の調整培地が載せられた。負荷のあとカラムは平衡緩衝液で洗浄され、殆どのコンタミ蛋白質は平衡緩衝液中35mMイミダゾールで溶出した。溶解型OP−1複合体は、その後、20mM HEPES、500mM NaC1溶液中、50mMイミダゾール(pH8.0)で溶出した。
【0057】
溶解型OP−1複合体を含む50mMイミダゾール溶出画分は9倍量の20mM NaPO,で希釈し、20mM NaPO(pH7.0)、50mM NaC1で平衡化しているS−セファロースカラムに載せられた。S−セファロース樹脂に樹脂1mL当たり、800mLの最初の調整培地を負荷した。負荷後S−セファロースカラムは平衡緩衝液で洗浄され、100mM NaClで、引き続き300mMと500mM NaC1、20mM NaPO(pH7.0)で溶出された。300mM NaCl 溶出分はさらにゲル濾過クロマトグラフィーで精製された。50m1の300mM NaCl溶出分を、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、50mM トリス、150mM NaCl(pH7.4)で平衡化されたセファクリル S−200HR(ファルマシア)に載せた。カラムは10mLの分画で流速5mL/分で溶出した。溶解型OP−1の見かけの分子量は蛋白質分子量標準(アルコール脱水素酵素、(ADH、150キロダルトン)、生血清アルブミン(BSA、68キロダルトン)炭酸脱水酵素(CA、30キロダルトン)及びチトクロムC(cyt C,12.5キロダルトン))と比較して決定した。(図3参照)S−200力ラム分画の純度は、標準的なコマッシーブルーで染色した15%ポリアクリルアミドSDSゲル上での分離により測定した。成熟OP−1とプロドメインの同一性は、標準的な逆相 C18 HPLCを用いて成熟OP−1をプロドメインから分離した後に、N末端配列分析で測定した。
【0058】
図3は280nmにおける吸光度曲線を示している。溶解型OP−1複合体は見かけ110キロダルトンの分子量で溶出している。二つのプロドメイン(各々、39キロダルトン)と結合している一つの成熟OP−1 2量体(35−36キロダルトン)と溶解型OP−1複合体の予測される組成とよく一致している。最終的な複合体の純度は、適切な分画について還元型15%ポリアクリルアミドゲル分析により証明する事が出来る。
【0059】
複合体成分は、S−200、又はS−200HRカラムからの複合体を含む分画について逆相 C18 HPLCカラムにかけ、標準的な操作を用いてアセトニトリル・グラージェント(0.1%TFA)で溶出することにより証明できる。この段階で複合体は解離し、プロドメインと成熟種は分かれて溶出する。これらの分離した種はその後標準的な操作を利用して(例えば、Guide to Protein Purification、M.Deutscher、編、Academic Press、San Diego、199o、特にpp602−613参照)N末端配列分析にかけられ、単離された36kDa、39kDaの蛋白の同一性について、それぞれ成熟モルフォジェン、単離された切断型プロドメインとして確認された。OP−1産生する哺乳動物細胞から単離されたプロドメインN末端配列分析で2つの形のプロ領域、即ち、インタクト型(Seq.ID No.1の残基30から始まる)と切断型(Seq.ID No.lの残基48から始まる)があることがわかった。単離した成熟種のポリペプチドサブユニットのN末端配列分析ではSeq.ID No.1の残基293、300、313、315、316及び318から始まる成熟配列の一連のN末端があることが判明した。これらの全ては、標準的な骨誘導アッセイで示されるように活性である。
【0060】
V.in vitro 溶解型モルフォジェン複合体形成
培養培地や体液から、溶解型複合体を精製する別の方法として、溶解型複合体は精製プロドメインや成熟2量体種からつくることもできる。複合体形成が成功するにはジスルフィド結合に影響せず、これらの分子の折りたたまれた構造を緩和するのに十分な変性条件下で成分の解離が必要である。好ましくは、変性条件が、切断プロドメインが、緩和された折りたたみ条件下で、成熟2量体種と結合する機会をもてるに十分な分子内小孔の環境を擬似することである。そこで変性剤の溶液中の濃度は制御され、好ましくは、プロドメインが2量体と結合したままで、2量体とプロ領域の適切なりフォールデイングが許容できるように段階的に減少させる。有用な変性剤としては、pH4−10、好ましくはpH6−8の緩衝液中で、4−6Mの尿素、グアニジン塩酸塩(GuHCl)を含む、そして、溶解型複合体は調節された透析か、変性剤の最終濃度が0.1−2M 以下の尿素、又はGuHCl、好ましくは1−2M以下の尿素、又はGuHClの溶液、ここで好ましくは生理緩衝液に、希釈する事によって作られる。蛋白質精製や変性操作や考察については従来技術によく開示されており、適切な変性プロトコルをすぐに開発するための詳細は当業者の通常の技術を有するものにより決められる。一つの有用なテキストは、例えば、Guide to Protein Purification、M、DeutscherSW、Academic Press、San Diego、1990、特に第V節。
複合体形成は一つ以上のシャペロン蛋白質を加えることにより支援される。
【0061】
VI.溶解型モルフォジェン複合体の安定性
生理緩衝液中、例えば、トリス緩衝生理食塩水やリン酸緩衝生理食塩水など、での高度に精製された溶解型モルフォジェンの安定性は、いろいろな手段で増強できる。現在好ましくは、プロ配列(例えば、OP−1のSeq.ID No.1の残基30−47)のすくなくとも最初の18個のアミノ酸、好ましくはプロ領域の全長、からなるプロ領域によるものである。残基30−47は他のモルフォジェンのN末端部分と配列相同性を示し、全てのモルフォジェンの複合体安定性を増強するのに特に有用と考えられている。
【0062】
溶解型モルフォジェン複合体の安定性を増強させる他の有用な手段は、3つのクラスの添加剤を含む、これらの添加剤は塩基性アミノ酸(例えば、L−アルギニン、リジンとベタイン);非イオン性洗剤(例えば、Tween 80又はNonIdet P−120);とキャリア蛋白質(例えば、血清アルブミンとカゼイン)を含む。これらの添加剤の有用な濃度は1−100mM、好ましくは、10−70mM、50mM 塩基性アミノ酸を含む;0.01−1.0%好ましくは、0.05−0.2%,0.1%(容量/容量)の非イオン性洗剤を含む;0.01−1.0%、好ましくは0.05−0.2%、0.1%(重量/容量)のキャリア蛋白質を含む。
【0063】
VII.溶解型モルフォジェン複合体の活性
プロドメインと成熟2量体種との結合は異なる活性測定により示されるようにin vivoでの蛋白質の形態形成性活性に影響を与えない。特に、標準的なラット骨減少症モデルに投与された溶解型OP−1複合体は、成熟モルフォジェンを使用したときに得られる結果と類似した様式で、骨成長やオステオカルシン産生を有意に増加する。(以下の表IIを参照)
アッセイは国際出願 US92/07432(WO93/05751)に開示している骨粗鬆症モデルに類似しているが卵巣摘除の動物ではなく、むしろ老齢の雌性ラットを使用している。簡単には若齢及び老齢の雌性ラット(チャールズリバーラボ、それぞれ、115−145、335−460gの体重)に毎日7日間、尾静脈注射で、20μg/kg体重 の溶解型OP−1、あるいは100μg/kg体重 の溶解型OP−1を投与した。対照群の若年及び老年の雌性ラットにはトリス緩衝生理食塩水(TBS)のみを投与した。水や餌は全ての動物に自由に摂取させた。14日後、動物は屠殺され、新しい骨成長を標準的な組織病理学的方法により測定した。血清中のオステオカルシン濃度も測定した。モルフォジェン投与による好ましくない効果は体重や組織重量の変化の測定や、血液学的プロフイールによる測定では認められなかった。
【0064】
【表2】

【0065】
卵巣摘除ラットを使用したWO93/05751に開示されている骨粗に症モデルにおいて溶解型のOP−1種合体を使用して行った類似の実験でも、複合体を使用した事による好ましくない結果は認められなかった。
【0066】
成熟型も溶解型のモルフォジェン、両者とも以下に示すように、CAM(細胞接着分子)の発現を誘導することができる。簡単にはN−CAM 同型(N−CAM−180、N−CAM−140とN−CAM120)の誘導は市販の入手出来る抗体mAb H28.123(シグマ)との反応や標準的なウエスタンブロット分析(例えば、Mo1ecular C1onin、A Laboratory Manual、 Sambrookら 編 Co1d Spring Harbor Press、New York、1989、特に18節)で追跡できる。培養している神経由来、NG10B−15細胞(ATC,Rockville、MD)、の形質転換細胞に、成熟型のモルフォジェン2量体あるいは溶解型モルフォジェン複合体(10−100ng/ml、好ましくは少なくとも40ng/ml)のいずれかをインキュベートすると、これらの細胞が再分化し、形質転換していない神経に特徴的な形態に戻るのが誘導された。また、全ての3種のN−CAMの特異な誘導や増強された発現も含まれる。実験では細胞はポリ−L−リジン・コートされた6穴プレートで2次培養され、実験前2日間、化学的に特定の培地で増殖した。モルフォジェンの新しい溶液(2.5μl)は毎日添加された。
【0067】
VIII.抗体産生
以下にポリクロナル及びモノクロナル抗体産生の標準的プロトコルを開示する。溶解型複合体のみを認識する抗体のために、好ましくは単離されたプロ領域が抗原として使用されることである;ここでは成熱蛋白に対する特異的な抗体が望まれており、抗原は好ましくは、少なくともC末端ドメインかインタクトな成熟配列からなるのがよい。
【0068】
ポリクロナル抗体は以下のように作られる。各ウサギに、500μlの完全フロインドアジュバントと混合した0.1%SDS中、100μg/500μlの抗原で一次免疫した。抗原は動物の背中や脇腹の多数の箇所に皮下注射した。不完全フロインドアジュバントをもちいて同様な方法で一ヵ月後、ウサギにブースター投与した。検査用の血は7日後に耳静脈より採血する。2回のブーストと検査をモルフォジェン抗原に対する抗体がELISA法で血清に検出できるまで、一ヵ月間隔でおこなった。その後、ウサギはブースト後7日と10日に100μgの抗原の投与と採血(1回15m1)を1ヵ月毎に行う。
【0069】
特定のモルフォジェンに特異的なモノクロナル抗体は以下のように調製出来る。マウスにはモルフォジェン抗原を2回注射する。蛋白質や蛋白質フラグメントは好ましくは組み換え技術で産生する。最初の注射には完全フロインドアジュバント中に100μgの抗原を含有し皮下投与される。2回目の注射は不完全アジュバントに50μgの抗原を含存し腹腔内に投与する。マウスはその後、8ヵ月間にわたり、いろいろな時間に4回の腹腔内注射で全部で230μgのOP−3を投与される。マウスには細胞融合の1週間前に抗原(例えば100μg)を腹腔内に投与し、さらに適当な架橋剤で生血清アルブミンと結合したペプチドフラグメントをブーストしてもよい。ブーストは融合5日間(IP)、4日間(IP)、3日間(IP)、1日(IP)繰り返してもよい。マウス脾細胞を市販品で入手出来るミエローマ細胞とPEG 1500(ベーリンガーマンハイム、独)を使って1:1の比率で融合し、融合細胞をプレートにのせ、モルフォジェン配列の抗原として適切な部分を用いて、成功型あるいは溶解型モルフォジェンに特異的な抗体をスクリーニングする。細胞融合とモノクロナルのスクリーニングの工程は従来技術で広く知られた標準的な本によく開示された標準的な操作で行うことが出来る。
【0070】
これらの標準的な操作を用いて、抗プロドメイン抗血清を抗原としてOP−1由来の単離したプロドメインを用いて調製した。抗原として、大腸菌産生の切断型OP−1を用いて、成熟ドメインに対するモノクロナル抗体(”mAb”)マウスで産された。
【0071】
還元条件下で行われた標準的なウエスタンブロット分析では抗プロドメイン抗血清(”抗−プロ”)はプロドメインにのみ特異的であり、成熟OP−1に対するmAb(”抗−成POP−1”)は2量体サブユニットに特異的でありこれらの2個の抗体は交差反応しないので、例えば調製培地や血清などのサンプル中の溶解型と成熟型の蛋白を識別するのに使うことが出来る。ウエスタンブロットの結果が以下の表IIIにまとめであるが、mAbの成熟OP−1に対する反応性は”yy”で示し抗−プロ抗血清の反応性は”xx”で示しである。
【0072】
【表3】

【0073】
IX.イムノアッセイ
溶液中のモルフォジェンを検出したり、溶解型と成熟型2量体モルフォジェンの型を識別する能力は診断検査に貴重な手段を提供しており、血清や他の体液中のモルフォジェンの濃度や型を追跡したり、診断方法や他の組織評価キットを開発したりすることができる。
【0074】
例えば、OP−1は正常な骨成長や骨吸収に直接的に関連する。このように溶解型OP−1は、子どものように、高い骨代謝回転のヒトには高濃度で検出され、骨粗鬆症、骨肉腫、パジェット病などのような疾患の患者では実質的には低い濃度で検出されることが予期される。
【0075】
血清中のOP−1又はBMP2やBMP4のように骨組織へ標的化されているモルフォジェン類のレベルの追跡は個人の骨組織の状態を評価したり、損傷したり損失した骨組織を再生する治療効果を追跡する手段を提供する。同様に内因性のGDF−1のレベルを追跡することは、神経組織、特に、脳組織の健康状態についての診断的情報を提供する事が出来る。さらに本開示に従って溶液中の溶解型と成熟型のレベルを識別する事が出来る。
【0076】
現在、体液中のモルフォジェンレベルを評価する好ましい検出方法は、抗体や、他のモルフォジェンと特異的に反応し、モルフォジェンとの複合体の一部として検知され得る適当な結合蛋白質を用いたイムノアッセイからなる。イムノアッセイは、当業者に知られている標準的な技術とモルフォジェンに対するものでしかもモルフォジェンに特異的である抗体を利用して行うことが出来る。注目のモルフォジェン蛋白質の型を認識する抗体は、ここで開示されたように作ることが出来、これらの抗体は血清、全血、又は腹水のような体液中の内因性蛋白質のレベルを追跡するのに使用される。溶解型モルフォジェンの内因性の4度を追跡するのに、選ばれた抗体は、好ましくは溶解型に結合特異性を有するもの、例えば、プロドメインに特異性を有するものがよい、そのような抗体は、本質的に本発明で開示したように、プロドメイン、又は、その一部を抗原として用いて作る事が出来る。抗原として使用する適切なプロドメインは、溶解型複合体を単離して得られる。標準的な操作、例えば、上記の如く複合体をHPLCカラムにかけたり、ゲル電気泳動による分離、を利用して、成熟ドメインから非共有結合的に結合するプロドメインを分離した。別の選択として一量体の形のプロ型の蛋白を抗原として、使うことが出来る。候補の抗体はウエスタンブロットにより、又は、注目の蛋白質のン容解型蓋白のプロドメインを認識し、しかし、上記の如く成熟型は認識しない他の標準的なイムノアッセイによりスクリーニングされる。
【0077】
一量体のプロ型はCHO産生細胞の細胞溶解産物から、又はプロ型をコードするDNAを前核細胞、例えば大腸菌での発現により得ることが出来る。プロ型は哺乳類細胞では、見かけの分子量が約50キロダルトンであるが、その後、HPLC及び/又はゲル電気泳動により単離できる。
【0078】
溶液中に存在する形態形生性蛋白質の量を定量するために、当該蛋白質に特異的なポリクロナル、又はモノクロナル抗体を用いてイムノアッセイを行い、モルフォジェンを検出する事が出来る。本発明では、上記の如く、溶解型及び成熟型のモルフォジェンを、2つの型の蛋白質を識別出来る抗体を用いて、両者を区別することができる。現在のところ、好ましいアッセイは、ELISA法やラジオイムノアッセイ法があり、またサンプル中のモルフォジェンを定量するのに有用な標準的なコンペティターアッセイも含む、ここでは、サンプル中の未知の量のモルフォジェンが抗モルフォジェン抗体と反応し、この相互作用が既知量の標識化された抗原と競合する。その後、平衡状態での結合、又は、フリーの標識化抗原のレベルを測定して、溶液中の標識化されていない抗原の量を定量する。これらのアッセイの代表的なものを以下に開示する。しかしながら、当業者にはわかるように、これらプロトコルの変法は他のイムノアッセイと同様に公知であり、当業者の技術範囲内である。例えば、以下に示されるELISAプロトコルでは、溶解型OP−1はビオチン化した抗プロ抗血清を用いてサンプル中のものを同定している。ビオチン化した抗体は、以下に示すように、比色法や化学発光法で測定できる。また別の選択では、抗体は1151のような適当な分子で放射線標識できる。さらに、使用しうる別のプロトコルでは固相イムノアッセイがあり、好ましくは、マトリックス表面に結合した抗モルフォジェン抗体を用いたアフィニティーカラムを用いて、血清サンプルをそこを通過させることが出来る。有用なイムノアッセイの詳細な説明、プロトコルや考察も含み、については、例えば、Mo1ecular Clonining:A Laboratory Manual、Sambrookら、編、Co1d Spring HarborPress、New York、1989、特に第18節参照
血清アッセイについては、好ましくは、まず、血清は血清アルブミンのような過剰な、コンタミしている血清蛋白質をのぞく為に、部分精製する。好ましくは血清は硫安(例えば45%)沈澱により抽出され、複合体は沈殿する。血清中に存在する他の蛋白質の溶解度と比較して、溶解型あるいは成熟型モルフォジェンの溶解度が区別出来ることを利点としてさらに精製ができる。更なる精製は公知のクロマトグラフィー技術でも出来る。溶解型OP−1は、以下のように、ELISA法でOP−1プロドメインに特異的なポリクロナル抗体を用いて検出できる。1μg/100μlのアフィニティー精製したOP−1プロに特異的なポリクロナルウサギIgGを96穴プレートの各ウエルに加え、37℃で1時間インキュベートする。各ウェルを4回、pH8.2、Tween20を含む0.15M NACl、0.167M ほう酸ナトリウム緩衝液(BSA)で洗浄する。非特異的結合を最小限におさえるため、ウェルをBSB中1%牛血清アルブミン(BSA)で完全に満たしてブロックし37℃で1時間インキュベートする。ウエルはその後4回、0.1%のTween20含むBSBで洗浄する。100μlの培養上清か血清の検査サンプルの適当な希釈溶液を、各ウエルにn=3で加え、37℃で30分インキュベートした。インキュベートした後、100μlのビオチン化ウサギ抗プロ血清(ストック溶液は約1mg/mlで使用前に1%BSAを含むBSBに1:400で希釈する)を各ウエルに加え37℃ 30分インキュベートする。ウエルをその後4回、0.1%のTween20含むBSBで洗浄する。100μlのストレパビディン−アルカリ(Southern Biotechnology Associates、Inc.Birmingham、Alabama、使用前に0.1%のTween20含むBSBで1:2000に希釈する)を各ウエルに加え、37℃ 30分インキュベートする。プレートを4回pH0,2,0,5M)リス緩衝食塩水で洗浄する。50μlの基質(ELISA増幅システムキット、Life Technologies,Inc.、Bethesda、MD)を15分間、室温でインキュベートしである各ウエルに加えた。その後、50μlの増幅剤(同じ増幅システムキットから)を加え、さらに15分間、室温でインキュベートした。反応は50μlの0.3M硫酸を加えて停止させた。
【0079】
各ウエルの溶液の490nmのOD値を記録する。サンプル中の溶解型OP−1のレベルを定量するのにテストサンプルと平行して標準曲線を作成した。標準曲線は既知の量の精製OP−1プロが加えられて求められる。また、別の選択では、例えば、Lum1−phos 530(AnalyticalLuminescence Laboratories)を基質として、標準蛍光計で300−650nmの検出を利用して、複合体は化学発光で検知できるが、これは、一般に、可視光の変化による検出より、より高感度のアッセイを提供するものである。
【0080】
モルフォジェン(溶解型あるいは成熟型)は、以下のように、標準的なプレート・イムノアッセイで検出できる。抗モルフォジェン抗体の実験的測定限度は(例えば抗OP−1は、一般に、550−80n/ウエルであるが)PVCプレートのウエルに依存する。例えば、50μlのPBS燐酸緩衝食塩水中での測定、室温で結合出来る十分なインキュベーション後、一般に1時間であるが、プレートをPBS/Tween20溶液(”洗浄緩衝液”)で洗浄し、200μlのブロック(lxBSB中、3%BSA、0.1μリジン)を各ウエルに加え1時間インキュベートする。その後、各ウエルを再び、洗浄緩衝液で洗浄する。40μlの順次希釈した血漿からなるサンプル(上述したように、部分精製したものが好ましい)を、又はモルフォジェン標準(例えば、OP−1)をウエルのn=3で加える。サンプルは好ましくはPTTH(15mM KHPO,8mM NaPO、27mM KCl、137mM NaC1,0.05%Tween20.1mg/ml H3A、0.05% NaN、pH7,2)で希釈する。10μlの標識化競合抗原、好ましくは、100,000−500,000cpm/サンプルが加えられ(例えば、125I OP−1、標準的な操作で放射線標識化する)、プレートを4℃で一晩インキュベートする。その後プレートを洗浄緩衝液で洗浄し、乾燥する。ウエルを切り離し、結合した標識化OP−1を標準的なガンマーカウンターで測定する。サンプルの存在下、と存在していない場合に測定された標識化抗原の量を比較する。その差はサンプル液中に存在するサンプル抗原(モルフォジェン)の量に比例する。
【0081】
付随するアッセイ法として、内因性の抗モルフォジェン抗体を検出し、溶解型と成熟型に対する抗体間の識別できるイムノアッセイを開発する事が出来る。内因性の抗モルフォジェン抗体は血清中に検出されており、例えば、哺乳動物に骨形成手段を移植したとき、そのレベルが上昇する事が知られている。特定の理論に限定することなくこれらの抗体は血清中の生しうる蛋白のレベルを変えることにより、モルフォジェン活性を調整するのにも有用である。血中、又は体液中の内因性抗体のレベルを追跡するアッセイは、このように組織の状態を評価する診断アッセイにも利用できるし、組織再生の治療効果の追跡する手段を提供するものである。内因性の抗モルフォジェン抗体を検出する、現在好ましい方法は標準的なウエスタンブロットによる方法である。これらのアッセイの詳細な説明については、例えば、文献として組み入れている Mo1ecular C1oning:A Laboratory Manual、Sambrookら、編、Co1d Spring Harbor Press、NewYork、1989、特に18.60−18.75を参照すればよい。精製した成熟型、あるいは溶解型モルフォジェンは、溶液中の蛋白質を分離する為に工夫された、酸化あるいは還元条件下でSPSポリアクリルアミドゲルの電気泳動にかけられ、蛋白質は、その後、フッ素化ビニリデン細孔膜(0.45m 孔径)に標準緩衝液及び操作を使って移された。そしてフィルターを検査される血清(多種類の希釈で)とインキュベートする。プロドメインか成熟モルフォジェンのいずれかに結合した抗体は抗ヒト抗体蛋白、例えばヤギ抗ヒトIGを用いて検出する。モルフォジェン抗体の力価はシグナルが検出されなくなるまで血清をさらに希釈して決定する。
【0082】
X.治療薬として溶解型モルフォジェンの投与する方法及びその製剤
本発明の溶解型モルフォジェンは哺乳類、特にヒトの病気、あるいは損傷した組織を再生する治療薬として特に有用である。溶解型複合体は損傷した、病気の肺臓、肝臓、心臓、腎臓、神経組織、膵臓組織の再生に、又はこれらの組織、骨髄、皮膚、消化管粘膜や他の生体組織の移植や植接に特別な利点をもって使用することができる。
【0083】
本発明で開示される溶解型モルフォジェンは適当な手段により、好ましくは、直接、若しくは全身投与、例えば、非経口的に、若しくは経口で、する事が出来る。モルフォジェンが直接(例えば、局所で、注射により望まれる組織へ)、若しくは、非経口的に静脈内、皮下、筋肉内、眼窩内、眼、脳室内、頭蓋内、間接包内、脊髄内、くも膜下槽内、腹腔内、バッカル、直腸、膣、鼻腔内あるいはエアロゾル投与により投与されるが、モルフォジェン複合体は好ましくは水溶液からなる。溶液は生理学的に許容できるもので、望まれるモルフォジェンを愚者に投与するのに加えて、溶液は患者の電解質や体液バランスに副作用を示さないものである。このように、溶解型モルフォジェンの水系溶媒は通常の生理食塩水(0.9% NaC1、0.15M、pH7−7.4)よりなる。本発明の溶解型は上記の如く容易に培養細胞培地から生理緩衝液溶液に精製できる。さらに、上記の如く、もし望まれる場合、溶解型複合体は、塩基性アミノ酸(例えば、L−アルギニン、リジン、ベタイン)、非イオン性洗剤(例えば、Tween−80あるいは Non1det−120)キャリア蛋白(血清アルブミンやカゼイン)等の一つ以上の添加剤と一緒に製剤することができる。
【0084】
経口あるいは非経口投与に有用な溶液は、製剤技術の公知の方法のいずれによっても調製することができる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、(Gennaro、A、編)、MackPub.、1990 に開示されている。製剤は、例えば、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、又は植物油、又は水素化ナフタレンのようなものも含んでもよい。直接投与の製剤は、特に、グリセリンや他の高粘度の組成物をふくんでもよい。生物適合性ポリマー、好ましくは、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、リン酸トリカルシウム、ポリブチレート、ポリラクチド、ポリグリコリド、ラクチド/グリコリドコポリマーのような生物吸収性ポリマーを含む、はin vivoで、溶解型モルフォジェンの放出を制御できる有用な賦形剤として使用できる。
【0085】
他の可能性のある、当該モルフォジェンの有用な非経口デリバリーシステムはエチレン−酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋め込み可能な注入システムやリポソームを含む。吸入投与の製剤としては、賦形剤として、例えば、ラクトースを含んでもよいし、例えば、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル、グリココレート、デオキシコレート、又は油性溶液を鼻用ドロップ剤や鼻腔内投与用ゲルとして、含む水溶液であってもよい。
【0086】
本発明で開示された溶解型モルフォジェンは経口投与することもできる。治療薬としての蛋白質の経口投与は一般的には、殆どの蛋白質が血流に吸収される前に、哺乳類の消化器系の消化酵素や酸により、容易に分解されるので、実際的ではない。しかしながら、本発明で開示したモルフォジェンの成熟ドメインは、一般に、酸に対して安定で、蛋白分解酵素に耐性である。(例えば、U.S.Pat.No.4,968,590)さらに、少なくとも一つのモルフォジェン、OP−1、は乳腺抽出物、初乳やミルク、唾液中で同定されている。さらに、乳腺抽出物から精製されたOP−1が形態形成活性を有している0例えば、この蛋白質は、U.S.Pat.No.4,968,590に開示されているように、標準的なin vivoの骨アッセイを用いて評価すると、適当なマトリックス剤に結合して皮下に埋め込んだときに、軟骨内骨形成を誘導する。さらに、内因性のモルフォジェンもまたヒト血清中で検出されている(上記参照)。最後に、形態形成活性を特定する多くの実験で、溶解型と成熟型のモルフォジェンの比較したところ、プロドメインと2量体種との非共有結合は形態形成活性に影響しないことがわかった。これらの結果は、経口や非経口投与がモルフォジェンをヒトに投与する実行可能な手段であるということと、溶解型モルフォジェンが全身投与プロトコルで有用性を有する事を示している。
【0087】
本発明で提供される溶解型モルフォジェンはモルフォジェンを望まれる組織へ標的化する事が出来る分子と結合することができる。例えば、テトラサイクリンやジフォスフォネート(ビスフォスフォネート)は、哺乳類に全身投与したとき、骨ミネラル、特に骨リモデリング帯に結合する事は知られている。従って、これらの分子は溶解型モルフォジェンを骨組織へ標的化する有用な試薬として含むことが出来る。また、別の選択として、望まれる標的組繊細胞表面と特異的に相互作用する抗体や他の結合蛋白質をもまた使用することができる。さらに、そのような標的化分子はモルフォジェン複合体と、例えば、化学的架橋、又はAsp−Proのような酸分解しやすい結合を作る。標準的な遺伝子工学的手段などにより、共有結合させてもよい有用な標的化分子は、例えば、U.S.Pat.No.5,091,513に開示されている単一鎖結合部位テクノロジーを利用して、デザインすることができる。
【0088】
最後に、本発明で提供される溶解型モルフォジェン複合体は単独、又は組織修復や、再生することができる、若しくは炎症を阻害する事が出来る分子を含め、組織形態形成に有効な事が知られている他の分子と併用で投与する事が出来る。骨粗N症患者の骨組織成長を促進する有用な補助因子の例は例えば、それに限るものではないが、ビタミンD.カルシトニン、プロスタグランジン、副甲状腺ホルモン、デキサメタゾン、エストロジェン、IGF−I、ICF−IIが挙げられる。神経組織修復や再生に有用な補助因子は神経成長因子がある。他の有用な補助因子には症状を緩和する補助因子があり、それらには、防腐剤、抗生物質、抗ウイルス剤、抗菌剤、鎮痛剤や麻酔剤が挙げられる。
【0089】
本発明で提供される化合物は薬理学的に許容しうる、毒性のない賦活剤やキャリヤーとの混合による薬理学的組成物に製剤する事が出来る。上記の如く、そのような組成物は非経口投与では、特に溶液、又は懸濁液の形で、経口投与では、特に錠剤やカプセル剤の形で、あるいは、鼻腔内では、特に、散剤や鼻用ドロップやエアロゾルの形で作ることが出来る。組織表面への接着が望まれるところに、組成物はフィブリン−トロンビンに分散されたモルフォジェンの組成物が含まれる。他のそのような生物接着剤は本発明に組み入れである参考文献に、例えば国際出願US91/09275に開示されている。組成物はさらに、塗布されたり、噴霧されたり、又は、そうでなければ望まれる組織表面に適用することが出来る。
【0090】
組成物は、ヒトあるいは他の哺乳類に治療的に存効な量、例えば、上記の如くそれらの特定ステップも含み、を誘導するのに十分な時間、標的組織へ適当な濃度のモルフォジェンを供給する量を、非経口、又は経口投与のための製剤ができる。
【0091】
溶解型モルフォジェン複合体が移植操作の一部として使用される場合、モルフォジェンは生体組織に、又はドナーから組織や器官を切除するのに先立って移植されるべき組織や器官にモルフォジェンを供給することが出来る。モルフォジェンはドナー主に、直接、溶解型複合体からなる製剤の組織への注射、又は間接的に、例えば上述したどの手段をもってしても経口、又は非経口投与により供給することが出来る。
【0092】
また別の選択としては、さらに、一度ドナーから除去されれば、器官又は生体組織はモルフォジェンを含む保存溶液に入れられる。さらに、レシピアントにもまた、好ましくは、移植直前、又は同時にモルフォジェンを投与する。全てのケースについて溶解型複合体は危険な状態時に組織へ直接、組織への注射のように、投与することが出来、又は全身的に経口、若しくは非経口により、本発明で開示し、若しくは従来技術で知られている方法で供給することが出来る。モルフォジェンが組織や器官保存液からなる場合、入手出来るどのような市販品の保存溶液でも、利するのに使用できる。有用な保存溶液は、本発明で組み入れている参考文献 PCT/US92/07358に開示されている。
【0093】
当業者に理解できるように治療組成物に開示された化合物の濃度はいろいろな因子、投与される薬剤量、用いられる化学的特性(例えば疎水性)や、投与経路により変化する。投与されるべき薬剤の好ましい用量は、おそらく、組織損傷や組織損失のタイプや程度、特定の患者の全体の健康状態、化合物の製剤、製剤中の賦活剤の存在やタイプや投与経路のような変数に依存する。一般的に、本発明の化合物は非経口投与に約0.001−10% 重量/容量の化合物を含有する生理緩衝水溶液で供給される。一般の用量範囲は一日、約10ng/kg一体重から約1g/kg体重;好ましい用量範囲は0.1μg/kgから100mg/kg一体重である、成熟モルフォジェン(例えば、OP−1,20μg)を21日間、毎日、連続で正常に成長しているラットに投与しても、モルフォジェンに起因する病理学的損傷は認められない、さらに、10μgのモルフォジェンを毎日10日間正常の新生マウスに全身投与で注射しても、何の大きな異常も生じなかった。モルフォジェンが本発明の方法により全身投与される場合、好ましくは、大容量の投与量が治療の初期に用いられる。その後、治療は維持量で続けられる。さらに、その後、投与は血中のモルフォジェンのレベルを適当な間隔で追跡して決定する事が出来る。
【0094】
他の具体的
本発明は、その精神、又は本質的な特徴から離れることなく他の特定の形で具体化できる0本実施例は、従って、全ての点について実例として考慮されるべきものであるが、限定するものではない。前述の明細書によるものより、むしろ添付の請求項記載の発明の範囲、及び請求項と等価の意味と範囲内での全ての変化は、従って、本発明に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は配列をコードする核酸から発現される、モルフォジェンペプチド鎖の概要の表現である。そこで、あやめ陰影線の範囲はシグナル配列を表す;点画部分はプロドメインを表し;あやめ線領域は成熟蛋白質のN末端(”N末端延長部分”)を表し:なにもない部分は保存された7つのシステインドメインと、縦縞線で示された保存されたシステインで特定される成熱蛋白質配列のC末端領域を表している。
【図2】図2は各種の成熟型のモルフォジェンのN末端延長部分の配列をリストしてある。
【図3】図3は哺乳動物細胞からTBS(トリス緩衝生理食塩水)中でのIMAC、S−セファロースおよびS−200HRクロマトグラフィーで生産、精製した溶解型モルフォジェン(OP−1)のゲル濾過カラムの溶出曲線である。ここで、Vは、ボイド容量で、ADHはアルコール脱水素酵素(分子量150キロダルトン)で、BSAは牛血清アルブミン(分子量67キロダルトン)で、CAが炭酸脱水酵素(分子量29キロダルトン)、CytCはチトクロムC(分子量12.5キロダルトン)である。
【0096】
(配列表)
【0097】
【数1−1】

【0098】
【数1−2】

【0099】
【数1−3】

【0100】
【数1−4】

【0101】
【数1−5】

【0102】
【数1−6】

【0103】
【数1−7】

【0104】
【数1−8】

【0105】
【数1−9】

【0106】
【数1−10】

【0107】
【数1−11】

【0108】
【数1−12】

【0109】
【数1−13】

【0110】
【数1−14】

【0111】
【数1−15】

【0112】
【数1−16】

【0113】
【数1−17】

【0114】
【数1−18】

【0115】
【数1−19】

【0116】
【数1−20】

【0117】
【数1−21】

【0118】
【数1−22】

【0119】
【数1−23】

【0120】
【数1−24】

【0121】
【数1−25】

【0122】
【数1−26】

【0123】
【数1−27】

【0124】
【数1−28】

【0125】
【数1−29】

【0126】
【数1−30】

【0127】
【数1−31】

【0128】
【数1−32】

【0129】
【数1−33】

【0130】
【数1−34】

【0131】
【数1−35】

【0132】
【数1−36】

【0133】
【数1−37】

【0134】
【数1−38】

【0135】
【数1−39】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された多量体蛋白質複合体であって、以下:
(a)ジスルフィド結合するポリペプチド鎖の対を含む二量体蛋白質であって、該鎖の各々は、少なくとも100アミノ酸を含み、そして、配列(i)ヒトOP−1のC末端の7つのシステイン配列(配列番号1の残基330−431)と少なくとも70%のアミノ酸配列相同性を有するか、または(ii)一般配列7(配列番号20)によって規定されるか、または(iii)一般配列8(配列番号21)によって規定されるか、または(iv)ヒトOP−1のC末端の7つのシステイン配列(配列番号1のヌクレオチド1036−1341)をコードするDNAまたはRNA分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされるか;あるいは
(b)該二量体蛋白質と非共有結合的に複合体化されることにより多量体蛋白質複合体を形成するペプチドであって、該多量体蛋白質複合体は、該二量体蛋白質よりも水性の溶媒においてより溶解性であり、
該ペプチドは、(i)ヒトOP−1のC末端の7つのシステイン配列(配列番号1の残基330−431)と少なくとも70%のアミノ酸配列相同性を有するか、または(ii)ヒトOP−1のC末端の7つのシステイン配列(配列番号1のヌクレオチド1036−1341)をコードするDNAまたはRNA分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸によってコードされる、少なくとも100アミノ酸を含む、天然に存在するポリペプチドのプロ形態において成熟ポリペプチドのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する、
単離された多量体蛋白質複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−51162(P2007−51162A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−312291(P2006−312291)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【分割の表示】特願平6−505462の分割
【原出願日】平成5年7月29日(1993.7.29)
【出願人】(595148888)ストライカー・コーポレーション (52)
【氏名又は名称原語表記】STRYKER CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2725 Fairfield Road,Kalamazoo,Michigan United States of America
【Fターム(参考)】