説明

影響解析支援装置、該方法、及び該プログラム

【課題】所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援装置を提供する。
【解決手段】影響解析支援装置は、通信機器から、通信機器の近距離通信機能により検出された他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納された格納手段から、基準機器の機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得し、第1の他機器情報と一致する通信機器の第1の機器履歴情報に含まれる第2の他機器情報を取得する処理を繰り返して、各通信機器の相対位置を決定し、各通信機器について相対位置毎の通信機器の滞在時間と滞在時間の合計時間とを算出し、合計時間が所定値以上の各通信機器の相対位置毎の滞在時間を取得し、相対位置と滞在時間とに応じて、各通信機器を順位付けし、各通信機器の所有者に対する基準機器の所有者の影響に関する情報を作成することにより、上記課題の解決を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型インフルエンザの世界的な大流行(パンデミック)が強く懸念されている。このようなパンデミックを防ぐ対策のひとつとして、感染者のコンタクトトレースを迅速に行なうことが考えられる。コンタクトトレースとは、感染者と接近していた他の人物(接近者)を洗い出す作業を意味する。このような接近者の洗い出しに、感染者の周囲を監視することが考えられる。
【0003】
監視技術としては、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星等の測位用衛星からの信号を受信して、その信号の捕捉に成功するか否かを条件として、受信点位置の屋内外を判定する技術がある。これにより、管理・監視対象が屋内に存在するのか屋外に存在するのかを判定することができる。
【0004】
また、特定の行動を起こした登録者の周囲にいる他の登録者を検出する技術がある。例えば、店舗で取引を行う登録者の携帯端末が、近距離無線通信で周囲の他の携帯端末に対して応答要求信号を送信する。この応答要求信号を受信した他の携帯端末が応答信号を返す。携帯端末は応答信号を送信してきた他の携帯端末のリストを作成し、これをセンタ装置1に通知する。センタ装置1は、通知されたリストに載っている登録者毎に、配信情報を配信する。
【0005】
また、GPS機能付き携帯電話機が電話番号情報及び位置情報を音声発呼、音声着呼、メール受信時、メール送信時、インターネット接続時にメインサーバーに送信する技術がある。これにより、任意の場所名の位置範囲内に存在するGPS機能付き携帯電話機を監視する。
【0006】
また、一定領域を特定して混雑状況の基準値を設定し、その混雑状況を監視しながら基準値を越えたときに、一定領域内における携帯機器の外部出力を抑える技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−297171号公報
【特許文献2】特開2001−106068号公報
【特許文献3】特開2004−70425号公報
【特許文献4】特開2006−157502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本実施の形態では、所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援装置、その方法、及びそのプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援装置は、格納手段、相対位置決定手段、順位付け手段、作成手段とを含む。
格納手段は、所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能を有する通信機器から、少なくとも、該通信機器を識別する情報と、該通信機器の通信機能により検出された他の通信機器を識別する他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納される。
【0010】
相対位置決定手段は、前記格納手段から、所定期間内における、所定の通信機器である基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得する。それから、相対位置決定手段は、前記格納手段から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を所定回数繰り返す。それから、相対位置決定手段は、該繰り返し数に応じて前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定する。
【0011】
滞在時間算出手段は、前記機器履歴情報の日時情報を用いて、前記各通信機器について、前記相対位置毎に該通信機器が滞在した時間である滞在時間と該滞在時間の合計時間とを算出する。それから、滞在時間算出手段は、該合計時間が所定値以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する。
【0012】
順位付け手段は、前記相対位置と、該相対位置に対応する前記滞在時間とに応じて、前記各通信機器について順位付けを行う。
作成手段は、前記通信機器の順位付け結果に基づいて、前記各通信機器の所有者または該所有者の所持物に対する、前記基準機器の所有者に属する因子の影響に関する情報を作成する。
【発明の効果】
【0013】
本実施の形態によれば、所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンタクトトレースシステムの構成図である。
【図2】コンタクトトレース情報処理装置1の機能ブロック図を示す。
【図3】無線アドレスDBのデータ構成の一例を示す。
【図4】行動・接近履歴DB3のデータ構成の一例を示す。
【図5】コンタクトトレースの対象となる期間を説明するための図である。
【図6】コンタクトトレースにおけるカテゴリーの概念を説明するための図である。
【図7】検査対象者抽出条件のデータ構造の一例を示す。
【図8】コンタクトトレース情報処理装置1の全体の処理フローを示す。
【図9】接近環境判定処理(S3)の詳細なフローの一例を示す。
【図10】カテゴリー関連テーブル60の一例を示す。
【図11】S6の処理におけるカテゴリー関連テーブル60の作成過程を説明するための図である。
【図12】カテゴリーの決定処理(S6)の詳細なフローの一例を示す。
【図13】カテゴリー別接近時間テーブル70の一例を示す。
【図14A】接近時間算出処理(S8)の詳細なフロー(その1)の一例を示す。
【図14B】接近時間算出処理(S8)の詳細なフロー(その2)の一例を示す。
【図14C】接近時間算出処理(S8)の詳細なフロー(その3)の一例を示す。
【図15】順位付け処理(S11)の詳細なフローの一例を示す。
【図16】接近距離−接近時間のグラフの一例を示す。
【図17】コンタクトトレース情報処理装置1のハードウェア環境の構成ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
コンタクトトレースの手法としては主に感染者からの聞き取りが中心である。しかし、当人の記憶違いや忘却により接近者を洗い出すことができないことが考えられる。また、インフルエンザのように空気感染するウィルスの場合、そもそも当人に接近したという意識が無い可能性があり、接近者を洗い出すことができないことが考えられる。このように、感染者からの聞き取りによっては、接近者を網羅的に洗い出すことは困難である。
【0016】
そこで、本実施の形態では、コンタクトトレースの情報収集に所持率の高い携帯電話を用いる。そして、携帯電話の近距離通信機能を用いて一定範囲内に存在する無線機器のデバイスアドレスの検出を行い、接近者の抽出を行う。それから、感染者の携帯電話の近距離通信範囲では、接近者の抽出範囲が限られるので、近距離通信を連鎖的に行い、抽出範囲を広げる。接近者の抽出範囲を広げたことで、検査の対象者が増加し、効率的に検査を行うことが求められる。そのため、検査対象者の抽出と検査の順位付けを行う。
【0017】
ここで、本実施の形態では、近距離無線通信方法によって、一定範囲内に存在する無線機器のデバイスアドレス(以下、無線アドレスという)を検出する機能(以下、近距離通信機能という)を用いる。ここで、近距離無線通信方法とは、例えば無線機能としてBluetooth(登録商標)やZigbee(登録商標)およびUWB(Ultra Wide Band)に代表される通信方法をいい、“指向性無し”、“検出範囲は数m”、“低出力”という特徴を有する。
【0018】
近距離通信機能が“低出力”であることから、大きな障害物(建物の壁面や車体など)は通過せず、反射や回折も無いものとする。また、近距離通信機能は、機器による個体差は無く、均一の性能であるものとする。
【0019】
また、本実施形態において、コンタクトトレースが可能な範囲は、近距離通信機能及びGPS(Global Positioning System)機能を持った携帯電話を感染者及び接近者が所持するものとする。
【0020】
図1は、コンタクトトレースシステムの構成図である。コンタクトトレースシステムは、コンタクトトレース情報処理装置1を中心に、例えば、携帯電話関連ネットワーク6、インターネット9、および医療関連ネットワーク11により構成される。
【0021】
コンタクトトレース情報処理装置1は、コンタクトトレースに関する情報処理を行う。コンタクトトレース情報処理装置1には、表示装置4、及び入力装置5が接続されている。操作者は入力装置5を用いてコンタクトトレースのための抽出条件をコンタクトトレース情報処理装置1に入力する。コンタクトトレース情報処理装置1により処理された結果は、表示装置4に表示される。
【0022】
また、コンタクトトレース情報処理装置1は、無線アドレスデータベース(以下、データベースをDBと称する)2、行動・接近履歴DB3を有している。無線アドレスDB2は、携帯電話番号と、近距離通信時における無線アドレス情報を関連付けた無線アドレスとを格納するDBである。行動・接近履歴DB3は、携帯電話毎に周期的に無線アドレスの検出結果を収集した行動・接近履歴を格納したDBである。無線アドレスDB2及び行動・接近履歴DB3は、コンタクトトレース情報処理装置1の内部に内蔵の記憶装置に格納されていてもよいし、外部の記憶装置に記憶されていてもよい。
【0023】
コンタクトトレース情報処理装置1は、予め設定された抽出条件に基づいて、行動・接近履歴DB3より検査対象者の情報を抽出する。それから、コンタクトトレース情報処理装置1は、その抽出された検査対象者について感染のリスクの高い順に順位付けを行う。コンタクトトレース情報処理装置1により得られた結果は、操作者により解析され、感染状況が判断される。操作者はその感染状況に応じて抽出条件を補正し、補正した抽出条件をコンタクトトレース情報処理装置1に再登録する。
【0024】
また、コンタクトトレース情報処理装置1は、携帯電話関連ネットワーク6を利用して、各携帯電話13より所定の情報の収集を行い、その収集した所定の情報を行動・接近履歴DB4に登録する。
【0025】
近距離通信機能及びGPS機能を持った携帯電話13から情報収集を行うために、携帯電話関連ネットワーク6には、携帯電話基地局7が接続されている。携帯電話13は、GPS衛星からGPS情報を取得することができる。携帯電話13同士は、お互いに近距離通信を行うことができる。また、携帯電話関連ネットワーク6には、携帯電話の契約情報等、携帯電話管理に必要となるDB8が接続されている。
【0026】
インターネット9には、接近環境の絞り込みに用いる電子地図情報を格納する電子地図DB10が接続されている。医療関連ネットワーク11には、処理結果の変更のため、感染情報を格納するDB12が接続されている。
【0027】
図2は、コンタクトトレース情報処理装置1の機能ブロック図を示す。コンタクトトレース情報処理装置1は、抽出条件取得部21、接近環境判定部22、接近距離判定部23、接近時間判定部24、順位付け部25、コンタクトトレース結果作成部26、記憶部27を含む。記憶部27には、無線アドレスDB2、行動・接近履歴DB3、検査対象者抽出条件50、カテゴリー関連テーブル60、ワークテーブル60W、カテゴリー別接近時間テーブル70等が格納されている。
【0028】
抽出条件取得部21は、入力装置5を介して操作者より入力された感染者に接近した者を抽出するための抽出条件(検査対象者抽出条件50)を取得する。抽出条件取得部21は、その検査対象者抽出条件50を記憶部27へ格納する。
【0029】
接近環境判定部22は、行動・接近履歴DB3から、検査対象者抽出条件50で設定された日付もしくは時刻、または日時における感染者の行動・接近履歴情報を抽出する。
接近距離判定部23は、その行動・接近履歴情報を用いて、行動・接近履歴DB3から、検査対象者抽出条件50で設定された半径(距離)に含まれる検査対象者を抽出する。
【0030】
ここでは、接近距離判定部23は、その行動・接近履歴情報を用いて、行動・接近履歴DB3から、検査対象者抽出条件50で設定された範囲に含まれる検査対象者を段階的にワークテーブル60Wに抽出する。接近距離判定部23は、その段階毎に抽出された検査対象者に番号(カテゴリーNo.)を付与し、分類する。接近距離判定部23は、ワークテーブル60Wを統合して、カテゴリー関連テーブル60を作成する。
【0031】
接近時間判定部24は、カテゴリー関連テーブル60から、検査対象者抽出条件50で設定された感染者と接近した時間以上、感染者と接近している検査対象者を抽出する。
ここでは、接近時間判定部24は、カテゴリー関連テーブル60を用いて、カテゴリー毎に感染者に対する検査対象者の接近時間を算出し、さらに、カテゴリー毎に算出した接近時間を、検査対象者毎に集計し、カテゴリー別接近時間テーブル70を作成する。接近時間判定部24は、カテゴリー別接近時間テーブル70から、カテゴリー毎に算出した接近時間を検査対象者毎に集計した接近時間が、検査対象者抽出条件50で設定された感染者と接近した時間以上である検査対象者を抽出する。
【0032】
順位付け部25は、カテゴリー別接近時間テーブル70を用いて、カテゴリーNo及び接近時間に基づいて、検査対象者の順位付けを行う。
コンタクトトレース結果作成部26は、その順位付けの結果に基づいて、コンタクトトレース結果として接近距離−接近時間グラフを作成する。作成されたコンタクトトレース結果は、表示装置4へ出力される。
【0033】
図3は、無線アドレスDBのデータ構成の一例を示す。無線アドレスDB2のデータ構成は、例えば「携帯電話番号」31、「無線アドレス」32、「氏名」33、「性別」34、「生年月日」35のデータ項目を含む。
【0034】
「携帯電話番号」31には、ユーザの所有する携帯電話13の電話番号が格納される。「無線アドレス」32には、携帯電話13の近距離通信機能に付した無線アドレスが格納される。「氏名」33には、携帯電話の所有者の氏名が格納される。「性別」34には、その所有者の性別が格納される。「生年月日」35には、その所有者の生年月日が格納される。
【0035】
次に、携帯電話13の動作について説明する。携帯電話13は、GPS機能による位置情報の検出と、近距離通信機能による周囲にある携帯電話13の無線アドレス情報の検出を一定時間毎に行う。
【0036】
各携帯電話13は、その検出した情報(日時情報、位置情報、周囲の無線アドレス情報)、及び自身を特定する情報(例えば、携帯電話番号、または無線アドレス)を含むユーザ行動・接近を作成する。各携帯電話13は、携帯電話関連ネットワーク6を介して、作成したユーザ行動情報をコンタクトトレース情報処理装置1へ送信する。
【0037】
コンタクトトレース情報処理装置1は、各携帯電話13より送信されたユーザ行動・接近情報を行動・接近履歴DB3へ格納し、携帯電話毎の履歴(以下、行動・接近履歴という)を作成する。
【0038】
図4は、行動・接近履歴DB3のデータ構成の一例を示す。行動・接近履歴DB3のデータ構成は、例えば「所有者」41、「検出日時」42、「位置情報」43、「検出された無線アドレス」44のデータ項目を含む。
【0039】
「所有者」41には、送られてきた各携帯電話13の所有者を識別する情報に対応する識別情報が格納される。ここでは、携帯電話13より送られた自身を特定する情報特定する情報(例えば、携帯電話番号、または無線アドレス)と、無線アドレスDB2とを関連付けられて得られる識別情報が格納される。
【0040】
「検出日時」42には、GPS機能によって位置情報を検出したときの日時が格納される。「位置情報」43には、GPS機能によって検出された位置情報が格納される。「検出された無線アドレス」44には、「検出日時」42に格納した日時において、近距離通信機能により通信することができた周囲の携帯電話13の無線アドレスが格納される。
【0041】
次に、コンタクトトレースの対象となる期間を、図5を用いて説明する。
図5は、コンタクトトレースの対象となる期間を説明するための図である。感染者は、パンデミックの対象となる感染症が発覚した場合、隔離され保健所等の監視下に置かれる。そのため、感染者が他人と接近することが制限(管理)される。よって、コンタクトトレースの対象となる期間は、潜伏期間を含め感染者が隔離されるまでの期間(以下、未隔離期間という)である。
【0042】
図5のA氏の場合について説明する。感染から発症までの期間を潜伏期間という。発症から通院までの期間は未通院である。また、A氏は、通院して検査を受け、感染が発覚し、隔離される。この場合、潜伏期間、未通院期間、検査期間を含めて、未隔離期間という。B氏、C氏についても同様に、感染から隔離されるまでの期間を未隔離期間という。
【0043】
次に、感染者との接近の度合いをカテゴリーという概念を用いて説明する。
図6は、コンタクトトレースにおけるカテゴリーの概念を説明するための図である。例えば、A氏が感染者であるとする。操作者が入力装置5を用いて、感染者を識別する情報(例えば、携帯電話番号、無線アドレス等)、および未隔離期間を入力する。すると、コンタクトトレース情報処理装置1は、その入力された感染者を識別する情報をキーに、行動・接近履歴DB3から、この感染者の未隔離期間における行動・接近履歴情報を抽出する。
【0044】
コンタクトトレース情報処理装置1は、この抽出された行動・接近履歴情報の「無線アドレス」44に格納された無線アドレスを取得する。コンタクトトレース情報処理装置1は、無線アドレスDB2を用いて、その取得した無線アドレスに対応する携帯電話13の所有者を識別する情報を取得する。この取得された識別する情報の所有者をカテゴリー1の検査対象者として決定する。
【0045】
次に、コンタクトトレース情報処理装置1は、カテゴリー1の検査対象者についての行動・接近履歴の「検出された無線アドレス」44から無線アドレスを取得する。コンタクトトレース情報処理装置1は、その無線アドレスで特定される携帯電話13の所有者を、カテゴリー2の検査対象者として決定する。
【0046】
このように、上位のカテゴリーに属する検査対象者の下位のカテゴリーに属する検査対象者を順次検出することにより、ユーザが感染者と同時刻にどれ位の距離で接近していたか分かる。つまり、近距離通信の通信規格による通信距離は予め判明しているので、以下の式より、そのカテゴリーに属する対象者と感染者との距離(接近距離)を算出することができる。
接近距離=カテゴリーNo.×近距離通信の通信規格による通信距離
【0047】
また、感染者を中心とした半径を接近距離して指定した場合、その感染者を中心とした半径に含まれる範囲のボーダーにいる対象者の属するカテゴリーを感染カテゴリーという。したがって、感染カテゴリーは、以下の式より算出することができる。
感染カテゴリーNo.=接近距離/近距離通信の通信規格による通信距離
【0048】
図6で説明したようにすれば、感染者のコンタクトトレースが行える。しかし、コンタクトトレース対象者が多数の場合、その対象者全てについて検査を行うことは、コスト的にも、時間的にも困難である。また、検査には時間を要し、検査結果が出るまで数日かかるケースもある。その間に感染が拡大するおそれもある。
【0049】
そこで、感染の拡大を防ぐために、コンタクトトレース情報処理装置は、検査対象の抽出だけでなく、効率的に検査するための順位付けを行う。以下に、コンタクトトレース情報処理装置1の処理について詳述する。
【0050】
まず、操作者は、入力装置5から検査対象者抽出条件を、感染症毎に入力し、コンタクトトレース情報処理装置1に登録する。検査対象者抽出条件については、図7を用いて説明する。
【0051】
図7は、検査対象者抽出条件のデータ構造の一例を示す。入力装置5から入力された検査対象者抽出条件50は、コンタクトトレース情報処理装置1の記憶部27に記憶される。検査対象者抽出条件50は、例えば、「感染者」51、「初感染者の発生日」52、「未隔離期間」53、「接近環境」54、「接近距離」55、「接近時間」56のデータ項目を含む。
【0052】
「感染者」51には、例えば、感染者の携帯電話番号またはユーザID等の感染者の携帯電話を特定するための識別情報が格納される。「初感染者の発生日」52には、初感染者の発生した日付が格納される。「初感染者の発生日」52を抽出条件としているのは、同日以前は、感染の可能性は無いので、抽出期間から除外するためである。「未隔離期間」53には、感染者の未隔離期間が格納される。
【0053】
「接近環境」54には、「狭い屋内のみ対象」、「広い屋内まで対象」、「屋外まで対象」からいずれか1つが格納される。操作者は、入力装置5を用いて、接近環境として「狭い屋内のみ対象」、「広い屋内まで対象」、「屋外まで対象」からいずれか1つを選択することができ、その選択された条件が「接近環境」54に格納される。
【0054】
接近距離とは、感染が想定される者(感染者)を中心とした半径をいう。「接近距離」55には、接近距離で検査対象者を絞りこむための閾値としての接近距離が格納される。接近時間とは、感染が想定される者(感染者)との接近時間をいう。「接近時間」56には、接近時間で検査対象者を絞り込むための閾値としての接近時間が格納される。
【0055】
例えば、新型インフルエンザA(H1N1)型に感染した者が発生したとする。このとき、入力装置5を用いて、検査対象者抽出条件をコンタクトトレース情報処理装置1に入力したとする。検査対象者抽出条件50として、例えば「感染者:A」「初感染者の発生日:2010/1/20」「未隔離期間:10日」「接近環境:狭い屋内のみ対象」「接近距離:2m」「接近時間:5時間」を入力する。すると、図7に示す情報がコンタクトトレース情報処理装置1の記憶部27に格納される。また、近距離通信の範囲を半径1mとする。
【0056】
以下では、対象者及び対象者を識別する情報に、「A」「B」「C」「D」「E」「F」「Z」を用い、図7の検査対象者抽出条件50をサンプルに各図面について説明する。
図8は、コンタクトトレース情報処理装置1の全体の処理フローを示す。まず、抽出情報取得部21は、予め登録された検査対象者抽出条件50を記憶部27から読み出す(S1)。
【0057】
抽出情報取得部21は、読み出した検査対象者抽出条件50のうちの「感染者」51、「初感染者の発生日」52、「未隔離期間」53を用いて、行動・接近履歴DB4から感染者の未隔離期間の行動・接近履歴情報を抽出する(S2)。ここで、感染者の未隔離期間の行動・接近履歴情報を感染者の未隔離期間の行動・接近履歴情報Hで表す。検査対象者抽出条件50が図7の場合、行動・接近履歴DB4から、「所有者」41=A、「検出日時」42=2010/1/20〜2010/1/30に該当するレコードを抽出する。
【0058】
次に、接近環境判定部22は、行動・接近履歴情報Hの「位置情報」43を用いて、感染者の接近環境(「屋外」「広い屋内」「狭い屋内」)を判定する(S3)。ここで、接近環境判定処理(S3)について詳述する。感染者が屋内に居ることを判断する手法としては、屋内版のGPSであるIMES(indoor messaging system)の利用が考えられる。また、IMESが利用できない場合においても、GPS衛星からの電波の受信ができていない場合には、屋内にいると判断できる。以下では、GPS機能を用いて屋内いるかどうかの判定を行う場合について説明する。
【0059】
一般的に、屋外<広い屋内<狭い屋内の順で、感染のリスクが高まる。そこで、以下の手順で、接近環境(屋外/広い屋内/狭い屋内)を判別する。
感染者の携帯電話のGPS機能により位置検出を行い、感染者の所在を確認する。GPSによる位置検出を行う場合、感染者の携帯電話によってGPS衛星14からの電波の受信ができるときは、その感染者は屋外にいると判断することができる。一方、感染者の携帯電話によってGPS衛星14からの電波の受信ができないときは、その感染者は屋内にいると判断することができる。
【0060】
また、例えば野球場から電車の車中へ移動するケースもある。この場合、野球場と電車内とは同じ屋内であっても、その大きさが著しくことなる。したがって、野球場と電車内とを同環境とすることは不合理である。そこで、接近環境判定部22は、GPS機能の位置検出により、感染者の位置情報が検出不可となる直前の情報及び、検査対象者の位置情報を電子地図上にトレースして、最寄りの建物を特定する。
【0061】
また、接近環境判定部22は、電子地図より特定した建物の縦及び横の長さを縮尺より求める。例えば、建物の縦または横の長さのが、取得した検査対象者抽出条件50の「接近距離」55の2倍より短い場合は「狭い屋内」、長い場合は「広い屋内」と判断する。
【0062】
また、特定した建物が駅や空港など、乗り物へ乗ることを主目的とした建物でかつ、次の位置検出結果から、その感染者が乗り物を利用したと想定される場合は、接近環境判定部22は、その感染者が乗り物を利用したと判断する。この場合には、接近環境判定部22は、「狭い屋内」と判断する。
【0063】
ここで、乗り物を利用したと想定される場合とは、例えば、2点間の行動・接近履歴情報Hの位置情報から移動距離及び移動時間を算出し、移動距離及び移動時間から移動速度を算出し、その移動速度が人力の速度を越えている場合等をいう。
【0064】
図9は、接近環境判定処理(S3)の詳細なフローの一例を示す。接近環境判定部22は、感染者の未隔離期間の行動・接近履歴情報Hの1レコードを読み込む(S301)。接近環境判定部22は、その読み込んだ行動・接近履歴情報Hのレコードの「位置情報」43に位置情報が格納されているか否かを判定する(S302)。「位置情報」43に位置情報が格納されている場合(S302で「Yes」)、接近環境判定部22は、感染者の接近環境を「屋外」と判定する(S310)。
【0065】
「位置情報」43に位置情報が格納されていない場合(S302で「No」)、接近環境判定部22は、次の処理を行う。つまり、接近環境判定部22は、GPS機能により位置情報が得られなくなる直前のその感染者の行動・接近履歴情報Hの位置情報を用いて、電子地図より最寄りの建物を特定する(S303)。具体的には、接近環境判定部22は、現在処理対象の行動・接近履歴情報Hのレコードより前の検出日時のレコードであって、「位置情報」43に位置情報が格納されているレコードのうち直近の検出日時のレコードを検索する。接近環境判定部22は、その検索されたレコードの「位置情報」43を用いて、電子地図上の位置を特定し、その位置またはその位置の最寄りにある建物を特定する。このとき、接近環境判定部22は、インターネットを介して電子地図DB10より、位置情報により特定される位置付近の電子地図情報を取得する。
【0066】
接近環境判定部22は、その電子地図情報に登録された建物情報から、その特定した建物が乗り物に乗りための建物(例えば、駅、バスセンター、空港、船乗り場等)か否かを判定する(S304)。
【0067】
その特定した建物が乗り物に乗りための建物であると判定した場合(S304で「Yes」)、接近環境判定部22は、感染者の移動速度を算出し、その移動速度が閾値以上かどうかで、感染者が乗り物に乗ったか否かを判定する(S305)。
【0068】
感染者の移動速度は、次のように算出される。接近環境判定部22は、現在処理している行動・接近履歴情報Hのレコードより後の検出日時のレコードであって、「位置情報」43に位置情報が格納されているレコードのうち直近の検出日時のレコードを検索する。接近環境判定部22は、その検索されたレコードの「位置情報」43と、S303で検索された位置情報とから、2点間の距離を算出する。接近環境判定部22は、その2点の位置情報の「検出日時」42から移動時間を算出する。接近環境判定部22は、2点間の距離と移動時間とを用いて移動速度(=2点間の距離/移動時間)を算出する。その移動速度が所定の閾値以上である場合には(S305で「Yes」)、接近環境判定部22は、感染者の接近環境を「狭い屋内」であると判定する(308)。
【0069】
その特定した建物が乗り物に乗りための建物でない場合(S304で「No」)、またはその移動速度が所定の閾値より小さい場合(S305で「No」)には、接近環境判定部22は、その特定した建物の大きさを測定する(S306)。具体的には、接近環境判定部22は、電子地図上の縮尺に基づいて、その建物の縦、横の長さを計測する。
【0070】
接近環境判定部22は、その計測した縦または横の長さが、検査対象者抽出条件50の「接近距離」55の2倍以下の長さか否かを判定する(S307)。その計測した縦または横の長さが、「接近距離」55の2倍以下の長さと判定した場合(S307で「Yes」)、接近環境判定部22は、感染者の接近環境を「狭い屋内」であると判定する(S308)。その計測した縦または横の長さが、「接近距離」55の2倍よりも長いと判定した場合(S307で「No」)、接近環境判定部22は、感染者の接近環境を「広い屋内」であると判定する(S309)。
【0071】
S301〜S310の処理を、感染者の未隔離期間の行動・接近履歴情報Hに含まれるレコード数分繰り返す(S311)。では、図8のフローの説明に戻る。
接近環境判定部22は、その判定結果に基づいて、行動・接近履歴情報Hから、その取得した検査対象者抽出条件50のうちの「接近環境」54と一致する判定結果を有するレコードを抽出する(S4)。抽出されたレコードがあれば(S5で「Yes」)、次の処理が実行される。抽出されるレコードがない場合(S5で「No」)、検査対象が存在しないので、接近環境判定部22は、本フローを終了する。
【0072】
図7の検査対象者抽出条件50の場合、接近環境を「狭い屋内のみ対象」としているため、Aの未隔離期間中で位置検出ができない場合で、最寄りの建物の縦または横の長さが4m以下または移動速度が閾値以上の場合、コンタクトトレース処理の対象になる。
【0073】
もし、検査対象者抽出条件50の接近環境を「屋外まで対象」とした場合は、位置検出結果に関係なくコンタクトトレースが行われる。また、検査対象者抽出条件50の接近環境を「広い屋内のみ対象」とした場合は、GPS機能による位置検出ができなかった期間についてコンタクトトレースが実行される。
【0074】
S4の抽出の結果、抽出されたレコードがあれば(S5で「Yes」)、接近距離判定部23は、その抽出されたレコードに基づいて、感染者に対する各検査対象者のカテゴリーを決定する。さらに、接近距離判定部23は、その決定したカテゴリーを用いて、感染者と各検査対象者との距離を算出する(S6)。ここでは、接近距離判定部23は、例えば、図11に示すような過程を経て、図10に示すカテゴリー関連テーブル60を作成する。それから、接近距離判定部23は、各検査対象者について決定したカテゴリーを用いて算出した接近距離をカテゴリー関連テーブル60に格納する。ここで、図10、図11について説明する。
【0075】
図10は、カテゴリー関連テーブル60の一例を示す。カテゴリー関連テーブル60は、例えば「下位カテゴリーの対象者」61、「上位カテゴリーの対象者」62、「カテゴリー」63、「検出日時」64のデータ項目を含む。
【0076】
「下位カテゴリーの対象者」61には、検査対象者を識別する情報が格納される。「上位カテゴリーの対象者」62には、「下位カテゴリーの対象者」61に格納された対象者の上位のカテゴリーに属する対象者を識別する情報が格納される。「カテゴリー」63には、「下位カテゴリーの対象者」61に格納された対象者のカテゴリーNo.が格納される。「検出日時」64には、行動・接近履歴情報の「検出日時」42が格納される。
【0077】
図11は、S6の処理におけるカテゴリー関連テーブル60の作成過程を説明するための図である。図11の左側のテーブルは、感染者及び各検査対象者の行動・接近履歴情報を簡略化したものである。図11の左側のテーブルにおいて、「検出された無線アドレス」44を、無線アドレステーブル2と関連付けることで、「検出された無線アドレスに対応する対象者」44−1に書き換えている。
【0078】
図11の右側のテーブル60W−1〜60W−7は、カテゴリー関連テーブル60を作成するためのワークテーブルである。ワークテーブル60W−1〜60W−7は、左側のテーブルの「所有者」41と「検出された無線アドレスに対応する対象者」44−1とが一対一の関係になるようにしたものである。
【0079】
左側のテーブルの「対象者」41、「検出された無線アドレスに対応する対象者」44−1、「検出日時」42はそれぞれ、ワークテーブル60W−1〜60W−7の「下位カテゴリーの対象者」61、「上位カテゴリーの対象者」62、「検出日時」64に対応する。「カテゴリー」63には、「下位カテゴリーの対象者」62のカテゴリーが格納される。
【0080】
まず、図11(1)のカテゴリー1の検査対象者の抽出について説明する。感染者Aの行動・接近履歴情報の「検出された無線アドレスに対応する対象者」44−1には、B、C、Eが格納されているので、これらのカテゴリーが「1」と決定され、ワークテーブル60W−1が作成される。
【0081】
次に、図11(2)〜(4)のカテゴリー2の検査対象者の抽出について説明する。図11(2)〜(4)はそれぞれ、ワークテーブル60W−1に格納された「検出日時」60−1における「下位カテゴリーの対象者」62について、図11(1)で説明した処理を行ったものである。
【0082】
例えば、図11(2)の場合、Bの行動・接近履歴情報の「検出された無線アドレスに対応する対象者」44−1には、A、Dが格納されているので、これらのカテゴリーが「2」と決定され、ワークテーブル60W−2が作成される。
【0083】
このとき、上位のカテゴリーの対象者との組み合わせを排除する。図11(2)の例で言えば、AはBの上位のカテゴリーということがワークテーブル60W−1より判明しているので、このワークテーブル60W−2の第1レコードについては、排除される。
このようにして、ワークテーブル60W−2〜60W−4が作成され、カテゴリー2の検査対象者として、D、Fが決定する。
【0084】
検査対象者抽出条件50の「接近距離」55=2(m)、近距離通信の通信距離=1(m)の場合、感染カテゴリーは、2(=2/1)となる。この場合、カテゴリー1〜2の検査対象者が抽出され、カテゴリー3以降の検査対象者については抽出されない。
【0085】
ワークテーブル60W−1〜60W−4を統合し、図10に示すカテゴリー関連テーブル60が作成される。
【0086】
図12は、カテゴリーの決定処理(S6)の詳細なフローの一例を示す。図12は、図11で説明した処理についてのフローである。
まず、接近距離判定部23は、カテゴリー変数iを1で初期化する。また、接近距離判定部23は、{(検査対象者抽出条件50の「接近距離」55)/近距離通信の通信距離}の値を感染カテゴリーNに代入する(S601)。近距離通信の通信距離は、携帯電話13の有する近距離通信機能の通信規格による通信距離であって、予め設定されている。検査対象者抽出条件50の「接近距離」55=2(m)、近距離通信の通信距離=1(m)の場合、感染カテゴリーNは、2(=2/1)となる。
【0087】
接近距離判定部23は、感染者の未隔離期間の行動・接近履歴Hに含まれる「検出された無線アドレス」44を抽出する(S602)。
接近距離判定部23は、無線アドレステーブル2を参照して、その抽出した「検出された無線アドレス」44に対応する対象者の識別情報を取得する。接近距離判定部23は、この取得された対象者の識別情報を「下位カテゴリーの対象者」61として、感染者を「上位のカテゴリーの対象者」62として、これらを関連付け、ワークテーブル60Wに格納する。このとき、接近距離判定部23は、「下位カテゴリーの対象者」61に格納した対象者のカテゴリーを「1」に決定し、ワークテーブル60Wの「カテゴリー」63に「1」を設定する(S603)。また、接近距離判定部23は、行動・接近履歴Hの「検出日時」42を「検出日時」64に設定する。これにより、図11(1)のワークテーブル60W−1が作成される。
【0088】
次に、接近距離判定部23は、カテゴリー変数iが感染カテゴリーNより小さいか否かを判定する(S604)。接近距離判定部23は、カテゴリー変数i<感染カテゴリーNの間(S604で「Yes」)、次の処理を行う。
【0089】
接近距離判定部23は、カテゴリーiの検査対象者X1の行動・接近履歴情報を抽出し、その行動・接近履歴情報に含まれる「検出された無線アドレス」44を抽出する(S605)。具体的には、接近距離判定部23は、無線アドレステーブル2を参照して、その抽出した「検出された無線アドレス」44に対応する対象者X2の識別情報を取得する。さらに、接近距離判定部23は、ワークテーブル60Wの「下位カテゴリーの対象者」61と「検出日時」64の組み合わせをキーとして、行動・接近履歴DB3から、検査対象者X2の行動・接近履歴情報を抽出する。
【0090】
接近距離判定部23は、この取得された対象者X2の識別情報が既に作成されたワークテーブル60Wにおいて、上位のカテゴリーNoが付与されているかをチェックする。その取得された対象者X2の識別情報について上位のカテゴリーNoが付与されていない場合、接近距離判定部23は、この取得された対象者X2の識別情報を、対象者X1の識別情報に関連づけて、ワークテーブル60Wに格納する。具体的には、接近距離判定部23は、対象者X2の識別情報を「下位カテゴリーの対象者」61として、対象者X1の識別情報を「上位カテゴリーの対象者」62として関連づけて、ワークテーブル60Wに格納する。
【0091】
接近距離判定部23は、カテゴリー変数iをインクリメントする(S606)。それから、接近距離判定部23は、対象者X2のカテゴリーを「i」に決定し、ワークテーブル60Wの「カテゴリー」63に「i」を設定する(S607)。また、接近距離判定部23は、行動・接近履歴Hの「検出日時」42を「検出日時」64に設定する。
【0092】
カテゴリー変数i≧感染カテゴリーNとなった場合(S604で「No」)、接近距離判定部23は、作成したワークテーブル60Wを統合して、図10のカテゴリー関連テーブル60を作成する(S608)。なお、上記のワークテーブル60Wの作成、カテゴリー関連テーブル60の作成では、説明を容易にするために、ある日時についてのみ処理を行った。これを、検出日時毎に行う。
【0093】
これにより、接近距離により抽出を行うと、感染カテゴリーのカテゴリーNo.より高いNo.のカテゴリーに属する対象者については、検査対象より除外することができる。では、再び図8の説明に戻る。
【0094】
図8のS7において、カテゴリー関連テーブル60にレコードが存在しない場合、検査対象がないので(S7で「No」へ進む)、接近距離判定部23は本フローを終了する。
図8のS7において、カテゴリー関連テーブル60にレコードが存在する場合(S7で「Yes」へ進む)、接近時間判定部24は、感染者に対する検査対象者の接近時間を算出する(S8)。ここでは、接近時間判定部24は、カテゴリー関連テーブル60から、図13で示すカテゴリー別接近時間テーブル70が作成される。ここで、カテゴリー別接近時間テーブル70及び接近時間算出処理(S8)について詳述する。
【0095】
図13は、カテゴリー別接近時間テーブル70の一例を示す。カテゴリー別接近時間テーブル70は、例えば、「対象者」71と、「カテゴリーNにおける接近時間」72、「接近時間の総計」73のデータ項目を含む。対象者71には、検査対象者を識別する情報が格納される。
【0096】
「カテゴリーNにおける接近時間」72には、カテゴリーNにおける接近時間が格納される。ここで、「カテゴリーNにおける接近時間」72に含まれるデータ項目数は、感染カテゴリーに応じて変化する。
【0097】
例えば、感染カテゴリーがN種類ある場合、「カテゴリーNにおける接近時間」72には「カテゴリー1における接近時間」、・・・、「カテゴリーNにおける接近時間」が設けられる。図13の場合、感染カテゴリーの種類が2であるので、「カテゴリーNにおける接近時間」72には「カテゴリー1における接近時間」72−1と「カテゴリー2における接近時間」72−2が設けられる。
【0098】
「接近時間の総計」73には、「カテゴリーNにおける接近時間」72に含まれる各カテゴリーの接近時間を合算した値、すなわち感染カテゴリーにおける接近時間が格納される。図13の場合、「接近時間の総計」73には、「カテゴリー1における接近時間」72−1に格納された値と「カテゴリー2における接近時間」72−2に格納された値が合算された値が格納される。
【0099】
図14A−図14Cは、接近時間算出処理(S8)の詳細なフローの一例を示す。接近時間判定部24は、カテゴリー変数kを1で初期化する(S801)。次に、接近距離判定部23は、カテゴリー1の接近時間を算出する(S802)。この処理について、図14Bを用いて説明する。
【0100】
接近距離判定部23は、カテゴリー関連テーブル60から、カテゴリー1に属する対象者のレコードを抽出する(S802−1)。
それから、接近距離判定部23は、カテゴリー1に属する対象者と感染者との接近時間を算出する。すなわち、接近距離判定部23は、その抽出した対象者のレコードの「検出日時」64を集計して、カテゴリー1の接近時間とする(S802−2)。それから、接近距離判定部23は、対象者毎にその接近時間をカテゴリー別接近時間テーブル70の「カテゴリー1」72−1に格納する。
【0101】
S802−1〜S802−2の処理を、カテゴリー関連テーブル60に含まれるカテゴリー1に属する対象者毎に行う(S802−3で「Yes」)。カテゴリー関連テーブル60に含まれるカテゴリー1に属する対象者の全員分について処理が終了したら(S802−3で「No」)、図14Aのフローへ戻る。
【0102】
接近時間判定部24は、カテゴリー変数k<感染カテゴリーNの間、以下の処理を行う(S803)。接近時間判定部24は、カテゴリー変数kをインクリメントして(S804)、カテゴリーkの接近時間を算出する(S805)。この処理について、図14Cを用いて説明する。
【0103】
接近時間判定部24は、カテゴリー関連テーブル60から、「カテゴリー」63=「k」の対象者X(「下位カテゴリーの対象者」61)のレコードを抽出する(S805−1)。
【0104】
接近時間判定部24は、S805−1で抽出した対象者Xのレコードから、「上位カテゴリーの対象者」62=対象者Yaのレコードを抽出する(S805−2)。
【0105】
接近時間判定部24は、S805−2で抽出されたレコードの「検出日時」64を集計して、対象者Xと、その上位カテゴリーの対象者Yaとの接近時間を算出し、その接近時間を接近時間Tとする(S805−3)。例えば、k=2の場合、すなわち、カテゴリー2の場合、図9において、Dを対象者Xとすると、上位カテゴリーの対象者YaはBとなる。したがって、カテゴリー関連テーブル60から、「下位カテゴリーの対象者」61=D、「上位カテゴリーの対象者」62=Bのレコードが抽出され、「検出日時」64を集計することにより、DとBの接近時間が得られる。
【0106】
次に、接近時間判定部24は、対象者Xと、既に処理済みの上位カテゴリーの対象者Yの接近時間外において、Xと接近した他の上位カテゴリーの対象者Ybが存在するか判定する(S805−4)。S805−4でYesの場合、接近時間判定部24は、XとYbとの接近時間Tbを算出し(S805−5)、接近時間Tbを接近時間Tに加算し(S805−6)、S805−4の処理へ戻る。XとYの接近時間外という条件を設けたのは、同じ接近時間を重複して加算しないようにするためである。例えば、図9において、対象者X=Dの場合、上位カテゴリーの対象者には、BとCがいる。ここで、Ya=Bで、DとBの接近時間の算出が完了した場合、既に処理済みの上位カテゴリーの対象者Y=B以外の、Xと接近した他の上位カテゴリーの対象者YbはCである。この場合、DとBの接近時間外で、DとCの接近時間の算出を行う。
【0107】
S805−1で抽出した対象者Xについての接近時間の算出処理が完了すると(S805−4で「No」)、接近時間判定部24は、接近時間Tをカテゴリー別接近時間テーブル70に登録する(S805−7)。すなわち、接近時間判定部24は、その接近時間Tを、対象者Xについてのカテゴリーkにおける感染者との接近時間として、カテゴリー別接近時間テーブル70に登録する(S805−7)。
【0108】
接近時間判定部24は、カテゴリーkに属する全ての対象者Xについて、S805−1〜S805−7の処理を繰り返す(S805−8)。
これにより、検査対象者のカテゴリー毎の感染者との接近時間を計算し、カテゴリー別接近時間テーブル70を作成することができる。
【0109】
では、図8の説明に戻る。接近時間判定部24は、カテゴリー別接近時間テーブル70から、「検査対象者抽出条件50の「接近時間」56≦感染カテゴリーにおける接近時間(「接近時間の総計」73)」に該当するレコードを抽出する(S9)。これにより、検査対象者抽出条件50として設定した接近時間に基づいて、検査対象者の絞り込みを行うことができる。S9において抽出されたレコードがない場合には、検査対象がないので(S10で「No」へ進む)、接近時間判定部24は、本フローを終了する。
【0110】
S9において抽出されたレコードがある場合には(S10で「Yes」へ進む)、順位付け部25は、その抽出されたレコード群を用いて、検査対象者の順位付けを行う(S11)。具体的には、順位付け部25は、カテゴリーNoが低い順、かつ、接近時間の長い順で検査対象者の順位付けを行う。
【0111】
一般的に感染者との接近距離が近く、接近時間が長い方が、感染リスクが高まる。そこで、順位付け部25は、接近距離(カテゴリー)と接近時間とに基づいて、検査対象者の優先順位を決定する。具体的には、順位付け部25は、カテゴリーNo.の低い順で順位付けを行い、さらに接近時間が長い順で検査対象者の順位付けを行う。ここで、図15を用いて、順位付け処理(S11)について詳述する。
【0112】
図15は、順位付け処理(S11)の詳細なフローの一例を示す。順位付け部25は、カテゴリー別接近時間テーブル70から1レコードを読み出す(S1101)。順位付け部25は、読み出したレコードのうちカテゴリーNoの最も低いカテゴリーの接近時間を取得する(S1102)。図13の場合では、四角の太枠で囲んだ接近時間が取得される。
S1101,S1102の処理を、カテゴリー別接近時間テーブル70に含まれる全レコードについて行う(S1103)。
【0113】
順位付け部25は、その取得したカテゴリーNo.と、そのカテゴリーNo.に対応する接近時間を用いて、各対象者を順位付けする。カテゴリーNo.の低い順で順位付けし、さらに接近時間が長い順で検査対象者の順位付けを行う(S1104)。具体的には、順位付け部25は、まずカテゴリーNo.の低い順で検査対象者の順位付けを行う。次に、順位付け部25は、順位付けを行った各カテゴリー内で、接近時間が長い順で検査対象者の順位付けを行う。
【0114】
例えば、B,C,Eのカテゴリーを「1」、D,Fのカテゴリーを「2」、Zのカテゴリーを「3」とする。検査対象者抽出条件50が図7の場合、「接近距離」55=2(m)、近距離通信の範囲=1mとしていることから、感染カテゴリーは「2」となる。したがって、B,C,D,E,F,Zのうち、カテゴリー1のB,C,Eと、カテゴリー2のD,Fが抽出される。
【0115】
B〜Fについて、カテゴリー毎に接近時間を算出し、さらに感染カテゴリーでの接近時間を算出する(カテゴリー別接近時間テーブル70の作成)。検査対象者抽出条件50の「接近時間」56=5(時間)であることから、カテゴリー別接近時間テーブル70から感染カテゴリーの接近時間が5時間以上のB,D,E,Fが抽出される。
【0116】
各対象者B,D,E,Fについて、カテゴリー毎に算出した接近時間のうち、最も低いカテゴリーNo.のカテゴリーの接近時間(Aとの接近距離が近い)が、取得される。
感染者Aとの距離の近い順、かつ、接近時間の長い順に優先順位をつける。まず、カテゴリーNo.の低い順で検査対象者の順位付けが行われるから、優先順位は、B,E>D,Fとなる。次に、順位付けを行った各カテゴリー内で、接近時間が長い順で検査対象者の順位付けが行われるから、図13のカテゴリー別接近時間テーブル70より、優先順位は、B>E、及びD>Fとなる。したがって、優先順位は、B>E>D>Fとなる。
【0117】
S1104の処理が終了すれば、図8のフローに戻る。
次に、コンタクトトレース結果作成部26は、順位付け部26により得られた検査対象者の優先順位の結果に基づいて、コンタクトトレース結果として、接近距離−接近時間グラフの作成を行う(S12)。ここでは、その順位付けを行った各対象者について、接近距離−接近時間のグラフにプロットし、表示装置4に表示する。この処理にについて、図16を用いて説明する。
【0118】
図16は、接近距離−接近時間のグラフの一例を示す。図15のグラフの横軸は、感染者との距離を示し、縦軸は感染者との接近時間を示す。上記の通り、順位付け部25は、カテゴリー別接近時間テーブル70から、各対象者について、カテゴリー毎に算出した接近時間のうち、最も低いカテゴリーNo.を有するカテゴリーの接近時間を取得する。それから、順位付け部25は、その取得したそのカテゴリーと接近時間とに応じて、検査対象者を順位付けする。コンタクトトレース結果作成部26は、その順位付けされた、そのカテゴリーとその接近時間とに応じて、各対象者を、接近距離−接近時間のグラフにプロットする。
【0119】
ところで、時間が経過し感染が広がると、感染実績が増える。これにより、感染傾向が出てくる場合がある(例えば、男性に比べて女性の感染者が多い、子供よりも老人の感染者が多い等)。また、入力装置5により検査対象者抽出条件50として設定した「接近環境」「接近距離」「接近時間」が実情と乖離してくる場合がある。
【0120】
そこで、感染の実績情報を疾病対策機関や医療機関が参加する医療関連ネットワークより収集し、コンタクトトレース情報処理装置により、以下の手順で抽出条件の変更や検査対象の順位付けを変更する。
【0121】
操作者は、現状の抽出条件の抽出対象者以外でも感染実績が発生しているか調査する。
感染の傾向がある場合は、携帯電話の契約記録等から、感染の傾向に関連する情報を収集して検査対象者抽出条件50を変更してもよい。これにより、従来ならば検査対象者抽出条件のボーダーライン付近で検査対象外となる者も、検査対象として順位付けすることができる。
【0122】
例えば、時間が経過し感染が広がると、感染実績が増える。これにより、例えば20歳以下の女性に感染し易いという傾向が見えたとする。この場合、携帯電話の契約情報等から20歳以下の女性を検索し、その検索された該当者について、感染者とのカテゴリー別接近時間に1時間加算し、検査順位を付け直す。1時間加算により、元々検査対象カテゴリーに居た該当者は、検査順位が上がる。また、接近時間のボーダーラインが従来より下がるので、従来ボーダーライン付近にいた該当者を検査対象者にすることができる。このように、特定の者について接近時間の重み付けを行い、効率的に抽出することができる。
【0123】
また、感染の傾向が無い場合は、感染実績に応じて、検査対象者抽出条件50の変更を行い、検査対象者を順位付けしてもよい。すなわち、感染実績から感染傾向は見られないが、当初設定した登録値より統計的に低い条件で感染されている場合には、条件を修正し、検査の順位付けを行うこともできる。
このように、感染状況に応じて、感染実績を検査対象者抽出条件にフィードバックすることができる。
【0124】
図17は、コンタクトトレース情報処理装置1のハードウェア環境の構成ブロック図である。コンタクトトレース情報処理装置1は、中央演算装置(CPU)82、リードオンリメモリ(ROM)83、ランダムアクセスメモリ(RAM)86、通信インターフェース(以下、インターフェースをI/Fという)84、記憶装置87、出力I/F81、入力I/F85、可搬型記憶媒体の読み取り装置88、およびこれらの全てが接続されたバス89、出力I/F81に接続している出力装置90、入力I/F85に接続している入力装置91によって構成されている。
【0125】
記憶装置87としてはハードディスク、フラッシュメモリ、磁気ディスクなど様々な形式の記憶装置を使用することができる。このような記憶装置87、またはROM83には、上記で説明した用いたフローのプログラムが格納されている。また、記憶装置87には、無線アドレスDB2、行動・接近履歴DB3、カテゴリー関連テーブル60、カテゴリー別接近時間テーブル70、様々なワークテーブル、検査対象者抽出条件50等が格納されている。
【0126】
CPU82は、記憶装置87等に格納した上記プログラムを読み出し、このプログラムに基づいて、抽出条件取得部21、接近環境判定部22、接近距離判定部23、接近時間判定部24、順位付け部25、及びコンタクトトレース結果作成部26として機能する。
【0127】
上記で説明したフローのプログラムは、プログラム提供者側からネットワーク92、および通信I/F84を介して、例えば記憶装置87に格納してもよい。また、このプログラムは、市販され、流通している可搬型記憶媒体に格納されていてもよい。この場合、この可搬型記憶媒体は読み取り装置88にセットされて、CPU82によってそのプログラムが読み出されて、実行されてもよい。可搬型記憶媒体としてはCD−ROM、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカードなど様々な形式の記憶媒体を使用することができ、このような記憶媒体に格納されたプログラムが読み取り装置88によって読み取られる。
【0128】
また、入力装置91には、キーボード、マウス、または電子カメラ、マイク、スキャナ、センサ、タブレットなどを用いることが可能である。また、出力装置90には、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどを用いることが可能である。また、ネットワーク92は、インターネット、LAN、WAN、専用線、有線、無線等の通信網であってよい。
【0129】
また、上記実施形態では、携帯電話13から行動・接近情報を収集したが、所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能と、コンタクトトレース情報処理装置1への通信手段があれば、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末等の通信機器であってもよい。また、上記の実施形態では、感染についてのコンタクトトレースについて説明したが、ある通信機器の所有者に属する因子の影響範囲を解析するものであれば、これに限定されない。例えば、ある者が所持する携帯電話の電波の影響がその周囲の人またはその周囲の人の所持する電子機器等にどのような影響を与えるかについて解析するための支援であってもよい。
【0130】
上記の実施形態によれば、各人の記憶に頼らず、感染者の近くにいたかどうかを網羅的に把握することができる。また、コンタクトトレース情報は、所持する携帯電話により自動的に収集されるため、個別の操作が不要である。また、コンタクトトレース情報の収集漏れがない。また、感染者との接近状況から、効率的に検査対象者の抽出及び検査の順位付けができる。
【0131】
したがって、パンデミックを防ぐ対策である、感染者のコンタクトトレースを携帯電話の近距離通信機能を用いて行うことができる。また、近距離通信機能による携帯電話の検出を連鎖的に行うことで、感染者近辺(単一の近距離通信範囲)だけでなく、その周辺(単一の近距離通信範囲以上)の接近者の抽出を網羅的に行うことができる。
【0132】
また、感染者のコンタクトトレースにより抽出した接近者から、接近環境、接近距離、接近時間により絞り込みを行い、検査対象者を抽出することができる。さらに、抽出した検査対象者について、検査の順位付けを行うことができる。
【0133】
さらに、時間経過による感染実績から、感染傾向と絞り込み条件の修正による、検査の順位付けを変更することができる。
このように、影響解析支援装置は、所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行うことができる。影響解析支援装置は、格納手段、相対位置決定手段、滞在時間算出手段、順位付け手段、作成手段を含む。
【0134】
格納手段は、所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能を有する複数の通信機器から、少なくとも、該通信機器を識別する情報と、該通信機器の通信機能により検出された他の通信機器を識別する他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納される。格納手段は、例えば上記実施形態で言えば、行動・接近履歴DB3に相当する。
【0135】
相対位置決定手段は、前記格納手段から、所定期間内における、所定の通信機器である基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得する。それから、相対位置決定手段は、前記格納手段から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を所定回数繰り返す。相対位置決定手段は、該繰り返し数に応じて前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定する。相対位置決定手段は、例えば上記実施形態で言えば、接近距離判定部23に相当する。
【0136】
滞在時間算出手段は、前記機器履歴情報の日時情報を用いて、前記各通信機器について、前記相対位置毎に該通信機器が滞在した時間である滞在時間と該滞在時間の合計時間とを算出する。滞在時間算出手段は、該合計時間が所定値以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する。滞在時間算出手段は、例えば上記実施形態で言えば、接近時間判定部24に相当する。
【0137】
順位付け手段は、前記相対位置と、該相対位置に対応する前記滞在時間とに応じて、前記各通信機器について順位付けを行う。順位付け手段は、例えば上記実施形態で言えば、順位付け部25に相当する。
【0138】
作成手段は、前記通信機器の順位付け結果に基づいて、前記各通信機器の所有者または該所有者の所持物に対する、前記基準機器の所有者に属する因子の影響に関する情報を作成する。作成手段は、例えば、上記実施形態で言えば例えば、コンタクトトレース結果作成部26に相当する。
【0139】
このように構成することにより、所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行うことができる。また、所定の通信機器の所有者の周辺(単一の近距離通信範囲以上)にいる他の通信機器の所有者の抽出を網羅的に行うことができる。
【0140】
前記影響解析支援装置は、さらに、解析範囲条件取得手段を含む。解析範囲条件取得手段は、前記解析の対象となる期間を解析期間として、前記基準機器を中心とする半径の長さを解析範囲として、該解析範囲における滞在時間を解析範囲滞在時間として取得する。解析範囲条件取得手段は、例えば上記実施形態で言えば、抽出条件取得部21に相当する。
【0141】
この場合、前記相対位置決定手段は、前記格納手段から、前記解析期間における、前記基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得する。それから、前記相対位置決定手段は、前記格納手段から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する。前記相対位置決定手段は、このような処理を、前記解析範囲を前記近距離通信の通信距離で割ることにより得られる値に等しい回数分繰り返して、該繰り返し処理を行う毎に前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定する。このとき、滞在時間算出手段は、前記合計時間が前記解析範囲滞在時間以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する。
【0142】
このように構成することにより、解析範囲条件取得手段により取得された条件で、解析対象となる範囲を調整することができる。
また、前記順位付け手段は、前記各通信機器の前記相対位置毎の滞在時間のうち前記基準機器の位置に最も近い相対位置である最近相対位置での滞在時間を取得する。それから、前記順位付け手段は、該最近相対位置が前記基準機器の位置により近く、かつ該最近相対位置での滞在時間がより長い順に、前記基準機器に対する前記各通信機器の順位付けを行う。
【0143】
このように構成することにより、前記基準機器による影響の大きい順に前記各通信機器の順位付けを行うことができる。
前記影響解析支援装置は、さらに、機器環境判定手段を含む。
機器環境判定手段は、前記基準機器の前記機器履歴情報に、前記通信機器の位置を示す情報である機器位置情報がない場合、該機器位置情報がなくなる直前の前記基準機器の機器履歴情報から第1の機器位置情報を取得する。それから、機器環境判定手段は、地図情報を用いて、該機器位置情報の示す位置での前記基準機器の存在する環境である機器環境を判定する。機器環境判定手段は、例えば上記実施形態で言えば、接近環境判定部22に相当する。
【0144】
このように構成することにより、基準機器の存在する環境を判定することができる。
また、前記機器環境判定手段は、前記機器環境を前記地図情報によって特定される建物の屋内と判定した場合、該地図情報より得られる該建物のサイズに応じて、前記機器環境を広い屋内であると判定することができる。
【0145】
このように構成することにより、基準機器のある環境が広い屋内かどうかを判定することができる。
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。
【0146】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援装置であって、
所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能を有する複数の通信機器から、少なくとも、該通信機器を識別する情報と、該通信機器の通信機能により検出された他の通信機器を識別する他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納される格納手段と、
前記格納手段から、所定期間内における、所定の通信機器である基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納手段から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を所定回数繰り返して、該繰り返し数に応じて前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定する相対位置決定手段と、
前記機器履歴情報の日時情報を用いて、前記各通信機器について、前記相対位置毎に該通信機器が滞在した時間である滞在時間と該滞在時間の合計時間とを算出し、該合計時間が所定値以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する滞在時間算出手段と、
前記相対位置と、該相対位置に対応する前記滞在時間とに応じて、前記各通信機器について順位付けを行う順位付け手段と、
前記通信機器の順位付け結果に基づいて、前記各通信機器の所有者または該所有者の所持物に対する、前記基準機器の所有者に属する因子の影響に関する情報を作成する作成手段と、
を備えることを特徴とする影響解析支援装置。
(付記2)
前記影響解析支援装置は、さらに、
前記解析の対象となる期間を解析期間として、前記基準機器を中心とする半径の長さを解析範囲として、該解析範囲における滞在時間を解析範囲滞在時間として取得する解析範囲条件取得手段
を備え、
前記相対位置決定手段は、前記格納手段から、前記解析期間における、前記基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納手段から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を、前記解析範囲を前記近距離通信の通信距離で割ることにより得られる値より1少ない回数分繰り返して、該繰り返し処理を行う毎に前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定し、
滞在時間算出手段は、前記合計時間が前記解析範囲滞在時間以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する
ことを特徴とする付記1に記載の影響解析支援装置。
(付記3)
前記順位付け手段は、前記各通信機器の前記相対位置毎の滞在時間のうち前記基準機器の位置に最も近い相対位置である最近相対位置での滞在時間を取得し、該最近相対位置が前記基準機器の位置により近く、かつ該最近相対位置での滞在時間がより長い順に、前記基準機器に対する前記各通信機器の順位付けを行う
ことを特徴とする付記1または2に記載の影響解析支援装置。
(付記4)
前記影響解析支援装置は、さらに、
前記基準機器の前記機器履歴情報に、前記通信機器の位置を示す情報である機器位置情報がない場合、該機器位置情報がなくなる直前の前記基準機器の機器履歴情報から第1の機器位置情報を取得し、地図情報を用いて、該機器位置情報の示す位置での前記基準機器の存在する環境である機器環境を判定する機器環境判定手段
を備えることを特徴とする付記1〜3のうちいずれか1項に記載の影響解析支援装置。
(付記5)
前記機器環境判定手段は、
前記機器環境を前記地図情報によって特定される建物の屋内と判定した場合、該地図情報より得られる該建物のサイズに応じて、前記機器環境を広い屋内であると判定する
ことを特徴とする付記4に記載の影響解析支援装置。
(付記6)
前記機器環境判定手段は、
前記機器環境を前記地図情報によって特定される建物の屋内と判定した場合であって、該地図情報より該建物が乗り物に乗るための建物であると判定した場合、前記取得した第1の機器位置情報と、該第1の機器位置情報に対応する日時情報の示す日時以降の日時を示す日時情報を有する前記基準機器の機器履歴情報の第2の機器位置情報とから、該機器の移動速度を算出し、該移動速度が所定値以上の場合、前記機器環境を狭い屋内であると判定する
ことを特徴とする付記4または5に記載の影響解析支援装置。
(付記7)
前記機器環境判定手段は、
前記基準機器の前記機器履歴情報に、前記通信機器の位置を示す情報である機器位置情報がある場合、前記機器環境を屋外であると判定する
ことを特徴とする付記4〜6のうちいずれか1項に記載の影響解析支援装置。
(付記8)
情報処理装置により行われる所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援方法であって、
前記情報処理装置は、所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能を有する複数の通信機器から、少なくとも、該通信機器を識別する情報と、該通信機器の通信機能により検出された他の通信機器を識別する他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納された格納装置を有し、
前記情報処理装置は、
前記格納装置から、所定期間内における、所定の通信機器である基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納装置から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を所定回数繰り返して、該繰り返し数に応じて前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定し、
前記機器履歴情報の日時情報を用いて、前記各通信機器について、前記相対位置毎に該通信機器が滞在した時間である滞在時間と該滞在時間の合計時間とを算出し、該合計時間が所定値以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得し、
前記相対位置と、該相対位置に対応する前記滞在時間とに応じて、前記基準機器に対する前記各通信機器について順位付けを行い、
前記通信機器の順位付け結果に基づいて、前記各通信機器の所有者または該所有者の所持物に対する、前記基準機器の所有者に属する因子の影響に関する情報を作成する
ことを特徴とする影響解析支援方法。
(付記9)
前記情報処理装置は、さらに、
前記解析の対象となる期間を解析期間として、前記基準機器を中心とする半径の長さを解析範囲として、該解析範囲における滞在時間を解析範囲滞在時間として取得し、
前記相対位置の決定では、前記情報処理装置は、前記格納装置から、前記解析期間における、前記基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納装置から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を、前記解析範囲を前記近距離通信の通信距離で割ることにより得られる値より1少ない回数分繰り返して、該繰り返し処理を行う毎に前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定し、
前記滞在時間の取得では、前記情報処理装置は、前記合計時間が前記解析範囲滞在時間以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する
ことを特徴とする付記8に記載の影響解析支援方法。
(付記10)
前記順位付けにおいて、前記各通信機器の前記相対位置毎の滞在時間のうち前記基準機器の位置に最も近い相対位置である最近相対位置での滞在時間を取得し、該最近相対位置が前記基準機器の位置により近く、かつ該最近相対位置での滞在時間がより長い順に、前記基準機器に対する前記各通信機器の順位付けを行う
ことを特徴とする付記8または9に記載の影響解析支援方法。
(付記11)
前記情報処理装置は、さらに、前記基準機器の前記機器履歴情報に、前記通信機器の位置を示す情報である機器位置情報がない場合、該機器位置情報がなくなる直前の前記基準機器の機器履歴情報から第1の機器位置情報を取得し、地図情報を用いて、該機器位置情報の示す位置での前記基準機器の存在する環境である機器環境を判定する
ことを特徴とする付記8〜10のうちいずれか1項に記載の影響解析支援方法。
(付記12)
前記機器環境の判定において、
前記機器環境を前記地図情報によって特定される建物の屋内と判定した場合、該地図情報より得られる該建物のサイズに応じて、前記機器環境を広い屋内であると判定する
ことを特徴とする付記11に記載の影響解析支援方法。
(付記13)
前記機器環境の判定において、
前記機器環境を前記地図情報によって特定される建物の屋内と判定した場合であって、該地図情報より該建物が乗り物に乗るための建物であると判定した場合、前記取得した第1の機器位置情報と、該第1の機器位置情報に対応する日時情報の示す日時以降の日時を示す日時情報を有する前記基準機器の機器履歴情報の第2の機器位置情報とから、該機器の移動速度を算出し、該移動速度が所定値以上の場合、前記機器環境を狭い屋内であると判定する
ことを特徴とする付記11または12に記載の影響解析支援方法。
(付記14)
所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援処理をコンピュータに実行させる影響解析支援プログラムであって、
所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能を有する複数の通信機器から、少なくとも、該通信機器を識別する情報と、該通信機器の通信機能により検出された他の通信機器を識別する他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納される格納装置から、所定期間内における、所定の通信機器である基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納装置から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を所定回数繰り返して、該繰り返し数に応じて前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定する相対位置決定処理と、
前記機器履歴情報の日時情報を用いて、前記各通信機器について、前記相対位置毎に該通信機器が滞在した時間である滞在時間と該滞在時間の合計時間とを算出し、該合計時間が所定値以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する滞在時間算出処理と、
前記相対位置と、該相対位置に対応する前記滞在時間とに応じて、前記各通信機器について順位付けを行う順位付け処理と、
前記通信機器の順位付け結果に基づいて、前記各通信機器の所有者または該所有者の所持物に対する、前記基準機器の所有者に属する因子の影響に関する情報を作成する作成処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする影響解析支援プログラム。
(付記15)
前記影響解析支援プログラムは、さらに、
前記解析の対象となる期間を解析期間として、前記基準機器を中心とする半径の長さを解析範囲として、該解析範囲における滞在時間を解析範囲滞在時間として取得する解析範囲条件取得処理
をコンピュータに実行させ、
前記相対位置決定処理は、前記格納装置から、前記解析期間における、前記基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納装置から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を、前記解析範囲を前記近距離通信の通信距離で割ることにより得られる値より1少ない回数分繰り返して、該繰り返し処理を行う毎に前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定し、
滞在時間算出処理は、前記合計時間が前記解析範囲滞在時間以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する
ことを特徴とする付記14に記載の影響解析支援プログラム。
(付記16)
前記順位付け処理は、前記各通信機器の前記相対位置毎の滞在時間のうち前記基準機器の位置に最も近い相対位置である最近相対位置での滞在時間を取得し、該最近相対位置が前記基準機器の位置により近く、かつ該最近相対位置での滞在時間がより長い順に、前記基準機器に対する前記各通信機器の順位付けを行う
ことを特徴とする付記14または15に記載の影響解析支援プログラム。
(付記17)
前記影響解析支援プログラムは、さらに、
前記基準機器の前記機器履歴情報に、前記通信機器の位置を示す情報である機器位置情報がない場合、該機器位置情報がなくなる直前の前記基準機器の機器履歴情報から第1の機器位置情報を取得し、地図情報を用いて、該機器位置情報の示す位置での前記基準機器の存在する環境である機器環境を判定する機器環境判定処理
をコンピュータに実行させることを特徴とする付記14〜16のうちいずれか1項に記載の影響解析支援プログラム。
(付記18)
前記機器環境判定処理は、
前記機器環境を前記地図情報によって特定される建物の屋内と判定した場合、該地図情報より得られる該建物のサイズに応じて、前記機器環境を広い屋内であると判定する
ことを特徴とする付記17に記載の影響解析支援プログラム。
(付記19)
前記機器環境判定処理は、
前記機器環境を前記地図情報によって特定される建物の屋内と判定した場合であって、該地図情報より該建物が乗り物に乗るための建物であると判定した場合、前記取得した第1の機器位置情報と、該第1の機器位置情報に対応する日時情報の示す日時以降の日時を示す日時情報を有する前記基準機器の機器履歴情報の第2の機器位置情報とから、該機器の移動速度を算出し、該移動速度が所定値以上の場合、前記機器環境を狭い屋内であると判定する
ことを特徴とする付記17または18に記載の影響解析支援プログラム。
【符号の説明】
【0147】
1 コンタクトトレース情報処理装置
2 無線アドレスDB
3 行動・接近履歴DB
4 表示装置
5 入力装置
21 抽出条件取得部
22 接近環境判定部
23 接近距離判定部
24 接近時間判定部
25 順位付け部
26 コンタクトトレース結果作成部
27 記憶部
50 検査対象者抽出条件
60 カテゴリー関連テーブル
60W ワークテーブル
70 カテゴリー別接近時間テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援装置であって、
所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能を有する複数の通信機器から、少なくとも、該通信機器を識別する情報と、該通信機器の通信機能により検出された他の通信機器を識別する他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納される格納手段と、
前記格納手段から、所定期間内における、所定の通信機器である基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納手段から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を所定回数繰り返して、該繰り返し数に応じて前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定する相対位置決定手段と、
前記機器履歴情報の日時情報を用いて、前記各通信機器について、前記相対位置毎に該通信機器が滞在した時間である滞在時間と該滞在時間の合計時間とを算出し、該合計時間が所定値以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する滞在時間算出手段と、
前記相対位置と、該相対位置に対応する前記滞在時間とに応じて、前記各通信機器について順位付けを行う順位付け手段と、
前記通信機器の順位付け結果に基づいて、前記各通信機器の所有者または該所有者の所持物に対する、前記基準機器の所有者に属する因子の影響に関する情報を作成する作成手段と、
を備えることを特徴とする影響解析支援装置。
【請求項2】
前記影響解析支援装置は、さらに、
前記解析の対象となる期間を解析期間として、前記基準機器を中心とする半径の長さを解析範囲として、該解析範囲における滞在時間を解析範囲滞在時間として取得する解析範囲条件取得手段
を備え、
前記相対位置決定手段は、前記格納手段から、前記解析期間における、前記基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納手段から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を、前記解析範囲を前記近距離通信の通信距離で割ることにより得られる値より1少ない回数分繰り返して、該繰り返し処理を行う毎に前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定し、
滞在時間算出手段は、前記合計時間が前記解析範囲滞在時間以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の影響解析支援装置。
【請求項3】
前記影響解析支援装置は、さらに、
前記基準機器の前記機器履歴情報に、前記通信機器の位置を示す情報である機器位置情報がない場合、該機器位置情報がなくなる直前の前記基準機器の機器履歴情報から第1の機器位置情報を取得し、地図情報を用いて、該機器位置情報の示す位置での前記基準機器の存在する環境である機器環境を判定する機器環境判定手段
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の影響解析支援装置。
【請求項4】
情報処理装置により行われる所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援方法であって、
前記情報処理装置は、所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能を有する複数の通信機器から、少なくとも、該通信機器を識別する情報と、該通信機器の通信機能により検出された他の通信機器を識別する他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納された格納装置を有し、
前記情報処理装置は、
前記格納装置から、所定期間内における、所定の通信機器である基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納装置から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を所定回数繰り返して、該繰り返し数に応じて前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定し、
前記機器履歴情報の日時情報を用いて、前記各通信機器について、前記相対位置毎に該通信機器が滞在した時間である滞在時間と該滞在時間の合計時間とを算出し、該合計時間が所定値以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得し、
前記相対位置と、該相対位置に対応する前記滞在時間とに応じて、前記基準機器に対する前記各通信機器について順位付けを行い、
前記通信機器の順位付け結果に基づいて、前記各通信機器の所有者または該所有者の所持物に対する、前記基準機器の所有者に属する因子の影響に関する情報を作成する
ことを特徴とする影響解析支援方法。
【請求項5】
所定の通信機器の所有者による周囲への影響を解析する支援を行う影響解析支援処理をコンピュータに実行させる影響解析支援プログラムであって、
所定の範囲で相互に直接通信を行う通信機能を有する複数の通信機器から、少なくとも、該通信機器を識別する情報と、該通信機器の通信機能により検出された他の通信機器を識別する他機器情報と、日時情報とを含む機器情報が逐次収集されて機器履歴情報として格納される格納装置から、所定期間内における、所定の通信機器である基準機器についての機器履歴情報に含まれる第1の他機器情報を取得すると共に、前記格納装置から該第1の他機器情報と一致する通信機器についての第1の機器履歴情報に含まれる前記第2の他機器情報を取得する処理を所定回数繰り返して、該繰り返し数に応じて前記基準機器に対する各通信機器の相対的な位置を示す相対位置を決定する相対位置決定処理と、
前記機器履歴情報の日時情報を用いて、前記各通信機器について、前記相対位置毎に該通信機器が滞在した時間である滞在時間と該滞在時間の合計時間とを算出し、該合計時間が所定値以上になる各通信機器の前記相対位置毎の前記滞在時間を取得する滞在時間算出処理と、
前記相対位置と、該相対位置に対応する前記滞在時間とに応じて、前記各通信機器について順位付けを行う順位付け処理と、
前記通信機器の順位付け結果に基づいて、前記各通信機器の所有者または該所有者の所持物に対する、前記基準機器の所有者に属する因子の影響に関する情報を作成する作成処理と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする影響解析支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−172007(P2011−172007A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33818(P2010−33818)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】