説明

往復ポンプ装置

【課題】装置のコンパクト化及び部品点数の削減を実現できる往復ポンプ装置を提供すること。
【解決手段】圧力スイッチ10をクランクケース8に一体に構成し、軸13、小ギア14、大ギア15、クランク16、クランクベアリング17及びコンロッド18により構成される駆動要素を挿入するための第一の開口81と、圧力スイッチ10の一部であるダイヤフラム102等を挿入するための第二の開口82とを、クランクケース8において反対側の面に設けることで、駆動要素が第一の開口81に挿入された状態で当該第一の開口81を閉塞するギアケース9と、圧力スイッチ10の一部であるダイヤフラム102等が第二の開口82に挿入された状態で当該第二の開口82を閉塞するダイヤフラムケース101とを、クランクケース8に対して共締め可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、往復ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を圧送等するものとして、往復ポンプ装置が知られている(例えば以下の特許文献1参照)。特許文献1には、液体噴霧装置に取り付けられた往復ポンプ装置が記載されている。この往復ポンプ装置では、当該往復ポンプ装置の吐出口と、液体を噴霧するノズルを有する噴霧ホースとの間に、圧力スイッチが介されている。噴霧ホースには、当該噴霧ホースを開閉するためのバルブが設けられている。そして、この往復ポンプ装置では、往復ポンプ装置を作動させた状態において、バルブを開にすることで噴霧ホースを介して液体を吐出し、バルブを閉にすることで液体の吐出を停止する。この際、往復ポンプ装置を作動させた状態でバルブを閉にすると、吐出を停止しているにも拘らず、往復ポンプ装置を駆動するモータ(原動機)が回転を続けてしまう。そこで、この往復ポンプ装置では、上述の圧力スイッチにより液圧の変化を検知し、当該液圧の変化に基づく圧力スイッチのオン、オフにより、モータのオン、オフを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−100675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記往復ポンプ装置においては、バルブの開閉により液体の吐出及び吐出停止を制御すべく圧力スイッチを別途設けているが、この場合、装置の大型化や部品点数の増加を招いてしまう。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、装置のコンパクト化及び部品点数の削減を実現できる往復ポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の往復ポンプ装置(1)は、原動機(11)からの駆動力により往復動する往復動部材(19,19)を備え、当該往復動部材(19,19)の往復動により流体を圧縮してポンプ作用を行う往復ポンプ装置(1)であって、往復動部材(19,19)を収容するポンプケース本体(8)と、原動機(11)からの駆動力を往復動部材(19,19)に伝達し、往復動部材(19,19)を駆動する駆動要素(13,14,15,16,17,18)と、流体の圧力変化を検知することでオン及びオフを行い、当該オン及びオフに基づいて原動機(11)を制御するための圧力スイッチ(10)と、を備え、圧力スイッチ(10)は、ポンプケース本体(8)に一体に構成されており、駆動要素(13,14,15,16,17,18)を挿入するための第一の開口(81)と、圧力スイッチ(10)の一部を挿入するための第二の開口(82)とが、ポンプケース本体(8)において反対側の面に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、圧力スイッチ(10)がポンプケース本体(8)に一体に構成されており、駆動要素(13,14,15,16,17,18)を挿入するための第一の開口(81)と、圧力スイッチ(10)の一部を挿入するための第二の開口(82)とが、ポンプケース本体(8)において反対側の面に設けられているため、駆動要素(13,14,15,16,17,18)が第一の開口(81)に挿入された状態で当該第一の開口(81)を閉塞する閉塞部材(9)と、圧力スイッチ(10)の一部が第二の開口(82)に挿入された状態で当該第二の開口(82)を閉塞する閉塞部材(101)とを、ポンプケース本体(8)に対して共締めすることが可能となる。従って、装置のコンパクト化及び部品点数の削減を実現できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、装置のコンパクト化及び部品点数の削減を実現できる往復ポンプ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る往復ポンプ装置が設けられた薬剤噴霧装置を示す側面図である。
【図2】図1中の往復ポンプ装置を右側面から示す斜視図である。
【図3】図1中の往復ポンプ装置を左側面から示す斜視図である。
【図4】図1のIV-IV矢視図である。
【図5】図1のV-V矢視図である。
【図6】図4のVI-VI矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の往復ポンプ装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、理解を容易にするために、図1における紙面「上」「下」「左」「右」「手前」「奥」を、それぞれ「上」「下」「後」「前」「右」「左」と便宜的に定める。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る往復ポンプ装置が設けられた薬剤噴霧装置を示す側面図である。図1に示すように、本実施形態に係る往復ポンプ装置1は、液体状の薬剤を噴霧する薬剤噴霧装置2に設けられている。薬剤噴霧装置2は、往復ポンプ装置1の他、薬剤タンク3、吐出ホース4、吸水ホース5、余水ホース6、及びバッテリ7を備えている。
【0012】
薬剤タンク3は、薬剤を貯留するタンクであり、側面視において略L字を逆さにした形状を呈している。この略L字を逆さにした形状の内側に隣接して、往復ポンプ装置1が配置されている。薬剤タンク3には、往復ポンプ装置1を外側から覆うように囲むカバー31が取り付けられている。
【0013】
吐出ホース4は、往復ポンプ装置1から吐出された薬剤を噴霧するホースであり、後述する往復ポンプ装置1の吐出口1aに接続されている。この吐出ホース4は、ノズルグリップ4a、バルブ4b、及びノズル4cを有している。
【0014】
ノズルグリップ4aは、作業者が散布作業等を行う際に手で持つ部分であり、吐出ホース4の途中に設けられている。バルブ4bは、吐出ホース4の開閉を行うものであり、ノズルグリップ4aに対して下流側に隣接して設けられている。ノズル4cは、薬剤が噴霧される部分であり、吐出ホース4の下流側の先端部に設けられている。
【0015】
吸水ホース5は、薬剤タンク3内の薬剤を往復ポンプ装置1に送るホースであり、薬剤タンク3と、後述する往復ポンプ装置1の吸水口1bとを接続している。余水ホース6は、薬剤の圧力が所定以上に達した場合に、往復ポンプ装置1内の薬剤の一部を薬剤タンク3に逃がすためのホースであり(詳しくは後述)、薬剤タンク3と、後述する往復ポンプ装置1の余水口1cとを接続している。バッテリ7は、往復ポンプ装置1の駆動源として往復ポンプ装置1に電力を供給するものであり、カバー31内に収容されている。
【0016】
次に、往復ポンプ装置1について詳細に説明する。図2は図1中の往復ポンプ装置を右側面から示す斜視図、図3は図1中の往復ポンプ装置を左側面から示す斜視図、図4は図1のIV-IV矢視図、図5は図1のV-V矢視図、図6は図4のVI-VI矢視図である。図2、図3に示すように、往復ポンプ装置1は、クランクケース(ポンプケース本体)8、ギアケース(閉塞部材)9、圧力スイッチ10、モータ(原動機)11、及びマニホルド12a,12b等を備えている。
【0017】
クランクケース8は、往復ポンプ装置1において種々の機構や部品を収容するものである。図6に示すように、このクランクケース8における上側面には、第一の開口81が凹設されており、この凹部内の領域は空間Aとされている。空間Aには、図4,5に示すように、クランクケース8を左右方向に貫通する貫通孔が連なっており、この貫通孔には、後述のようにプランジャ19,19が挿通されている。
【0018】
図6に戻り、クランクケース8における下側面には、第二の開口82が凹設されており、この凹部内の領域は空間Bとされている。第二の開口82は、上下方向において上述の第一の開口81と逆向きに設けられている。すなわち、第一の開口81と第二の開口82とが、クランクケース8において反対側の面に設けられている。また、クランクケース8には、後述するダイヤフラム102の過度の変位を規制するストッパ部83が、空間B内に突出しダイヤフラム102に対面するように設けられている。
【0019】
クランクケース8における空間A及び空間Bの後側には、上下方向に延在した空間Cが形成されている。この空間Cは、クランクケース8を上下方向に貫通している。空間Cにおける上側の貫通孔は、上述の余水口1cとされている(図1参照)。また、空間Cにおける下側の貫通孔には雌螺子が形成されており、円筒状の吐出継手84がねじ込まれている。この吐出継手84の下端部は、上述の吐出口1aとされている(図1参照)。
【0020】
吐出継手84の内周面における上端部には、後述する逆止弁球20の下側への移動を規制する規制部85が径方向内側に突出している。吐出継手84の外周面における軸線方向略中間部には、クランクケース8と吐出継手84との間を封止するOリングO1が設けられている。
【0021】
空間Cの延在方向中程からは、空間Bに向けて通路Dが延在しており、当該通路Dにより空間Bと空間Cとが連通されている。また、空間Cの通路Dより上方付近からは、左右方向に通路Eが延在している(図5参照)。この通路Eは、クランクケース8を左右方向に貫通している。
【0022】
クランクケース8における空間A及び空間Bの前側には、上下方向に延びる通路Fが形成されている。この通路Fの下端部は、クランクケース8を貫通し、上述の吸水口1bとされている(図1参照)。このように、吐出口1a、吸水口1b及び余水口1cは、いずれも上下方向に開口されている。また、通路Fの上端部からは、左右方向に沿って通路Gが延在している(図5参照)。この通路Gは、クランクケース8を左右方向に貫通している。
【0023】
ギアケース9は、上述のクランクケース8の第一の開口81を閉塞するように、クランクケース8に取り付けられている(詳しくは後述)。圧力スイッチ10は、往復ポンプ装置1内を流れる薬剤の圧力変化を検知することでオン及びオフを行い、当該オン及びオフに基づいてモータ11を制御するものであり、第二の開口82を閉塞するようにクランクケース8に取り付けられている(詳しくは後述)。モータ11は、往復動部材19(詳しくは後述)を駆動するものであり、後述するギアケース9の円筒部92に挿入されて固定されている。
【0024】
図5に示すように、マニホルド12a,12bは、左右方向において互いに対向するようにクランクケース8に取り付けられている。マニホルド12a,12bは、往復動部材19(詳しくは後述)により薬剤を加圧するための空間Hをそれぞれ有している。この空間Hは、プランジャ19及びシールSが組み込まれていない状態においては、クランクケース8の空間Aと連通している。空間Hからは、後側に向けて通路Iが延在しており、通路Iの先は空間Jとされている。この空間Jは、上述のクランクケース8の通路Eと連通するように設けられている。また、空間Hからは、前側に向けて通路Kが延在しており、通路Kの先は空間Lとされている。この空間Lは、上述のクランクケース8の通路Gと連通するように設けられている。
【0025】
次に、上述のクランクケース8及びマニホルド12a,12bの各空間及び通路に設けられている機構について詳細に説明する。
【0026】
図6に示すように、クランクケース8の空間Cには、逆流防止機構を構成する逆止弁球20及び逆止弁座21が挿入されている。逆止弁球20は、球体であり、空間C内において、上述の規制部85に対して上側に配置されている。逆止弁座21は、略円環状を呈しており、吐出継手84に対して上側に隣接して空間C内に固定されている。すなわち、逆止弁球20は、逆止弁座21と規制部85との間に配置されている。逆止弁座21の外周面には、クランクケース8と逆止弁座21との間を封止するOリングO3が設けられている。
【0027】
また、クランクケース8の空間Cには、圧力調整機構を構成する余水弁座22、余水弁23、及びバネ24が挿入されている。余水弁座22は、上述の逆止弁座21に対して上側に当接するように空間C内に固定されている。余水弁座22の軸線方向略中央部には、空間Cと通路Eとを連通するための貫通孔22aが前後方向に貫くように設けられている。余水弁座22の外周面には、クランクケース8と余水弁座22との間を封止するOリングO4が設けられている。余水弁23は、余水弁座22に対して上側に配置されている。バネ24は、余水弁23の外周面に外挿されており、余水弁23の外周面に設けられた鍔部と、空間Cを形成する内壁に設けられた上側段部との間に圧縮された状態で挟まれ、このバネ24により、余水弁23が余水弁座22に押し付けられている。これにより、空間Cから余水口1cに接続された余水ホース6(図1参照)に向けて薬剤は流れるが、余水ホース6から空間Cに薬剤が逆流しないようにされている。
【0028】
図5に示すように、マニホルド12a,12bの空間L,Lには、吸水弁座25、吸水弁26、及びバネ27がそれぞれ挿入されている。吸水弁座25は、マニホルド12a,12bの空間Lとクランクケース8の通路Gとの間にまたがって固定されている。吸水弁座25の外周面には、クランクケース8と吸水弁座25との間を封止するOリングO5が設けられている。吸水弁26は、吸水弁座25に対して空間L側に配置されている。バネ27は、吸水弁26の外周面に外挿されており、吸水弁26の外周面に設けられた段部と、空間Lを形成する内壁との間に圧縮された状態で挟まれ、このバネ27により、吸水弁26が吸水弁座25に押し付けられている。これにより、通路Gから空間Lに向けて薬剤は流れるが、空間Lから通路Gに薬剤が逆流しないようにされている。
【0029】
クランクケース8の通路Eにおける両端部には、吐出弁座28、吐出弁29、及びバネ30がそれぞれ挿入されている。吐出弁座28は、クランクケース8の通路Eとマニホルド12a,12bの空間Jとの間にまたがって固定されている。吐出弁座28の外周面には、クランクケース8と吐出弁座28との間を封止するOリングO6が設けられている。吐出弁29は、吐出弁座28に対して通路E側に配置されている。バネ30は、吐出弁29の外周面に外挿されており、吐出弁29の外周面に設けられた段部と、通路Eを形成する内壁に設けられた段部との間に圧縮された状態で挟まれ、このバネ30により、吐出弁29が吐出弁座28に押し付けられている。これにより、空間Jから通路Eに向けて薬剤は流れるが、通路Eから空間Jに薬剤が逆流しないようにされている。
【0030】
クランクケース8の空間Aには、駆動機構及び往復動機構が収容されている。具体的には、図6に示すように、モータ11の回転軸であるモータ軸11aが上下方向に延在して第一の開口81内に進入し、さらに、第一の開口81内に対して、駆動要素である軸13、小ギア14、大ギア15、カム16、カムベアリング17、コンロッド18が挿入されると共に、往復動部材であるプランジャ19,19(図5参照)が挿入されている。
【0031】
軸13は、モータ軸11aと平行に設けられており、その両端部はベアリング13a,13bにより回転可能に支持されている。ベアリング13aはギアケース9に配置されており、ベアリング13bはクランクケース8に配置されている。小ギア14はモータ軸11aに取り付けられ、大ギア15は軸13に取り付けられ、小ギア14及び大ギア15が噛合することでモータ11の回転が減速され、軸13に駆動力が伝達されるようになっている。
【0032】
カム16は、軸13に取り付けられており、大ギア15に対して下側に配置されている。このカム16は円板状を呈しており、当該円板状の軸心から偏心した位置に、軸13が挿入される貫通孔16aが設けられている。カムベアリング17は、カム16に外挿されている。
【0033】
図5に示すように、コンロッド18は、厚肉の略円板状を呈した部材であり、その中央部には軸線方向に貫く貫通孔18aが設けられている。この貫通孔18aには、カムベアリング17が周面に沿って摺設しながら回転可能に挿入されている。貫通孔18aの前側及び後側は円弧状に形成され、貫通孔18aの中央部には内壁が前後方向に沿って平行に延在した平行部18bが設けられている。この平行部18bの幅(左右方向の幅)は、カムベアリング17の外径と同程度とされている。また、平行部18bの長さ(前後方向の長さ)は、偏心した回転軸のカム16の回転に伴って、カムベアリング17が前後方向に沿って移動できる程度とされている。コンロッド18の外面には、左右方向に沿って径方向外側に突出した突出部18c,18cが設けられている。当該突出部18cの外周部には、雄螺子が形成されている。
【0034】
プランジャ19,19は、略有底円筒状を呈しており、コンロッド18の外周部から左右方向に沿って径方向外側に突出している。これらプランジャ19,19は、クランクケース8を左右方向に貫通して、上述のマニホルド12a,12bの空間Hまで達している。プランジャ19の内周面には雌螺子19aが凹設されており、上述のコンロッド18の突出部18cの雄螺子に螺合されて固定されている。マニホルド12a,12bの内周面には、プランジャ19とマニホルド12a,12bとの間を封止する円環状のシールSがそれぞれ設けられている。
【0035】
図6に示すように、クランクケース8の空間Bには、薬剤の圧力変化を検知すべく、圧力スイッチ10が設けられている。この圧力スイッチ10は、ダイヤフラムケース(閉塞部材)101、ダイヤフラム102、ロッド103、バネ104、及びマイクロスイッチ105を有している。
【0036】
ダイヤフラムケース101は、ダイヤフラム102、ロッド103、バネ104、及びマイクロスイッチ105等の部品を支持すると共に、クランクケース8の第二の開口82を閉塞すべく、クランクケース8に取り付けられるものである(詳しくは後述)。図3に示すように、ダイヤフラムケース101は、クランクケース8と当接する略正方形板状の基部101aと、当該基部101aの略中央部から下側に突出した略円筒状の円筒部101bと、基部101aの左右方向略中央部から円筒部101bと一部重なるように下側に突出した略矩形板状の板部101c,101cとを含んで構成されている。
【0037】
図6に示すように、ダイヤフラムケース101の基部101aは、その上端部がクランクケース8の第二の開口82に挿入されており、当該第二の開口82に設けられた段部と当接している。円筒部101bの内部は空間Mとされ、この空間Mはクランクケース8側に開口されている。また、円筒部101bの下部には、空間Mと外部とを連通する貫通孔が設けられている。板部101c,101cは、左右方向において互いに離間するように平行に設けられている。
【0038】
ダイヤフラム102は、クランクケース8の空間B内における薬剤の圧力変化により湾曲して変位する板状(膜状)の部材であり、クランクケース8の第二の開口82を塞ぐように当該第二の開口82に挿入されている。ダイヤフラム102は、第二の開口82に設けられた上述の段部とダイヤフラムケース101の基部101aとの間に挟まれてその周縁が固定されている。第二の開口82の段部には溝が設けられており、当該溝にはダイヤフラム102とクランクケース8との間を封止するためのOリングO2が挿入されている。
【0039】
ロッド103は、ダイヤフラム102の変形をマイクロスイッチ105に伝達するものであり、空間M内に円筒部101bの軸線方向に沿って移動可能に挿入されている。このロッド103は、空間Mの内径と略同一の外径を有する略円板状の円板部103aと、円板部103aの外径よりも小さい外径を有する略円柱状のピン部103bとを含んで構成されている。円板部103aはダイヤフラム102と当接し、ピン部103bは円板部103aの略中央部からダイヤフラム102の反対側に向けて突出し、上述の円柱部101bの貫通孔を通して空間Mの外側まで延在している。
【0040】
バネ104は、ロッド103がダイヤフラム102に当接するように当該ロッド103を付勢するものであり、ロッド103のピン部103bに外挿されている。このバネ104は、ロッド103をダイヤフラム102側へ付勢すべく、圧縮された状態でロッド103の円板部103aと、円筒部101bの内壁とに挟まれている。
【0041】
マイクロスイッチ105は、ロッド103を介して伝達されたダイヤフラム102の変位に応じてオン及びオフを行うものであり、ロッド103のピン部103bと対向するように、ダイヤフラムケース101の板部101c,101cに挟まれて固定されている。このマイクロスイッチ105には、ピン部103bと当接し、当該ピン部103bの移動に伴って変形する変形部105aが設けられている。マイクロスイッチ105は、当該変形部105aが変形していない状態でオンになり、当該変形部105aが変形した状態でオフになるようにされている。
【0042】
次に、ギアケース9及びダイヤフラムケース101の取付方法について詳細に説明する。
【0043】
図2に示すように、ギアケース9は、その周縁がクランクケース8の第一の開口81の周縁と当接しており、略正方形板状の基部91と、基部91に対して前側(モータ11側)に位置しモータ11を支持する略円筒状の円筒部92とを含んで構成されている。図2,3に示すように、基部91には、略正方形状の四隅付近に、螺子S1〜S4を通すための貫通孔が設けられている。基部91の外面には、これらの貫通孔と対応する位置に、ナットN1〜N4を挿入するための座ぐりが設けられている(図3参照)。
【0044】
クランクケース8には、上述のギアケース9の基部91に設けられた貫通孔と対応する位置に、螺子S1〜S4を通すための不図示の貫通孔が設けられている。また、ダイヤフラムケース101の基部101aには、ギアケース9の基部91に設けられた貫通孔と対応する位置に、螺子S1〜S4を通すための貫通孔が設けられている。
【0045】
そして、螺子S1〜S4をダイヤフラムケース101の基部101aの貫通孔にそれぞれ挿入し、上述のクランクケース8の貫通孔及びギアケース9の基部91の貫通孔に通して、対応するナットN1〜N4と螺子S1〜S4とをそれぞれ螺合することで、ダイヤフラムケース101とギアケース9とが上下方向において互いに対向するようにクランクケース8に共締めされている。
【0046】
次に、上記のように構成された往復ポンプ装置1を有する薬剤噴霧装置2の動作について説明する。
【0047】
図6に示すように、薬剤噴霧装置2においては、モータ11の駆動スイッチがオンにされると、モータ11のモータ軸11aが回転し、当該回転が小ギア14及び大ギア15により減速され、軸13に駆動力が伝達される。軸13が回転すると、カム16が回転し、カム16に外挿されたカムベアリング17がコンロッド18の貫通孔18aの内部をカム16の偏心に従って前後方向に移動しつつコンロッド18が左右方向に沿って往復動する。その結果、モータ11からの回転が往復動に変換され、プランジャ19,19が往復動を行う。
【0048】
プランジャ19,19が往復動を行うと、吸引側(容積が大きくなる側)の空間H(図5において右側の空間H)に発生する負圧により、薬剤タンク3内の薬剤が、吸水ホース5を介して吸水口1bに進入する。吸水口1bに進入した薬剤は、通路F、通路Gを通過し、図5に示すように、吸水弁26を押し開けて空間Lに達する。空間Lに達した薬剤は、通路Kを通過し、吸引側の空間Hに至る。
【0049】
その後、吸引側の空間Hは、プランジャ19,19の往復動により圧縮側(容積が小さくなる側)に変わる。圧縮側の空間Hの薬剤は、プランジャ19により加圧され、通路Iを通過して、空間Jに達する。空間Jに達した薬剤は、吐出弁29を押し開けて通路Eを通過し、空間Cに至る。図6に示すように、空間Cに至った薬剤は逆止弁座21を通過し、その一部は通路Dを通過して空間Bに滞留し、他部は吐出口1aを介して吐出ホース4(図1参照)に吐出され、これにより、ポンプ作用が行われる。
【0050】
このようにモータ11が回転した状態で吐出ホース4のバルブ4b(図1参照)が開にされると、ノズル4cから薬剤が噴霧される。このとき、プランジャ19により加圧された薬剤の圧力は噴霧圧力P1となっており、空間Bに滞留した薬剤の圧力も噴霧圧力P1となっている。噴霧圧力P1と、圧力スイッチ10のバネ104によるバネ力F1との間には、以下の式(1)が成立している。
(P1×A)<F1・・・(1)
但し、
A:ダイヤフラム102における薬剤との接触面積。
【0051】
一方、モータ11が回転した状態でバルブ4bが閉にされると、薬剤の圧力が上昇し、当該圧力の上昇に伴って逆止弁球20が逆止弁座21に押圧される。これにより、逆止弁座21における薬剤の逆流が防止される。そして、逆止弁座21よりも下流側の部分に、封入圧力P2が封入される。空間Bにおいて、封入圧力P2と、圧力スイッチ10のバネ104によるバネ力F1との間には、以下の式(2)が成立し、ダイヤフラム102が変形してロッド103がマイクロスイッチ105側に移動する。
F1<(P2×A)・・・(2)
【0052】
ロッド103がマイクロスイッチ105側に移動すると、ロッド103のピン部103bがマイクロスイッチ105の変形部105aを押圧し、変形部105aが変形してマイクロスイッチ105がオフとなる。これにより、モータ11の回転が停止される。
【0053】
さらに、モータ11が停止した状態で閉にされたバルブ4bが開にされると、封入圧力P2が低下し、バネ104のバネ力F1によりロッド103及びダイヤフラム102が押し戻され、マイクロスイッチ105がオンとなる。これにより、モータ11が回転を始める。なお、ロッド103及びダイヤフラム102は、ストッパ部83(図6参照)により、過度の変位が防止される。
【0054】
このように、往復ポンプ装置1では、通路F、通路G、空間L、通路K、空間H,通路I、空間J、通路E及び空間Cの順番で、噴射される薬剤の流路が形成されている。そして、圧力スイッチ10をクランクケース8と一体に構成してクランクケース8内で圧力変化を検知すべく、上述の経路から分岐した通路D及び空間Bを別途クランクケース8内に設け、当該空間Bに圧力スイッチ10を進入させて圧力変化を検知している。
【0055】
なお、往復ポンプ装置1では、モータ11の回転中に薬剤の圧力が過度に上昇した場合、余水弁23が押し開けられ、空間Cの薬剤の一部が余水口1cを介して余水ホース6に流出し、薬剤タンク3に逃がされるようになっている。これにより、薬剤の圧力が所定以下に調整される。
【0056】
このように本実施形態に係る往復ポンプ装置1では、圧力スイッチ10がクランクケース8に一体に構成されており、軸13、小ギア14、大ギア15、カム16、カムベアリング17及びコンロッド18により構成される駆動要素を挿入するための第一の開口81と、圧力スイッチ10の一部であるダイヤフラム102等を挿入するための第二の開口82とが、クランクケース8において反対側の面に設けられており、駆動要素が第一の開口81に挿入された状態で当該第一の開口81を閉塞する閉塞部材であるギアケース9と、圧力スイッチ10の一部であるダイヤフラム102等が第二の開口82に挿入された状態で当該第二の開口82を閉塞する閉塞部材であるダイヤフラムケース101とが、クランクケース8に対して共締めされているため、クランクケース8と圧力スイッチ10とを接続する配管等が不要になると共に、ギアケース9及びダイヤフラムケース101をクランクケース8に固定するための螺子の本数が少なくなる。従って、装置のコンパクト化及び部品点数の削減を実現できる。
【0057】
また、本実施形態に係る往復ポンプ装置1では、ギアケース9及び圧力スイッチ10が上下方向において互いに対向するようにクランクケース8に取り付けられ、マニホルド12a,12bが上下方向と直交する左右方向において互いに対向するようにクランクケース8に取り付けられているため、効率よくクランクケース8のスペースを利用することができ、装置のコンパクト化を実現できる。
【0058】
また、本実施形態に係る往復ポンプ装置1では、吐出口1a、吸水口1b及び余水口1cはいずれも上下方向に開口されているため、配管がシンプルになっている。
【0059】
また、本実施形態に係る往復ポンプ装置1では、逆流防止機構を構成する逆止弁球20、逆止弁座21、及び、圧力調整機構を構成する余水弁座22、余水弁23、バネ24が、空間Aに設けられた駆動機構と並列になるように、クランクケース8内の空間Cに内蔵されている。従って、逆流防止機構や圧力調整機構を、駆動機構の延長上に設ける場合や、クランクケース8の外部に別途設ける場合に比して、装置のコンパクト化や部品点数の削減を実現できる。
【0060】
以上、本発明に係る往復ポンプ装置1について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、往復ポンプ装置1は、薬剤噴霧装置2に適用されているが、バルブの開閉により流体の吐出及び吐出停止を制御する他の装置に適用することも可能である。
【0061】
また、上記実施形態においては、原動機としてモータ11が用いられているが、内燃機関等が用いられてもよい。また、上記実施形態においては、流体として薬剤が用いられているが、薬剤以外の液体や気体が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…往復ポンプ装置、8…クランクケース(ポンプケース本体)、10…圧力スイッチ、11…モータ(原動機)、13…軸(駆動要素)、14…小ギア(駆動要素)、15…大ギア(駆動要素)、16…カム(駆動要素)、17…カムベアリング(駆動要素)、18…コンロッド(駆動要素)、19…プランジャ(往復動部材)、81…第一の開口、82…第二の開口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機(11)からの駆動力により往復動する往復動部材(19,19)を備え、当該往復動部材(19,19)の往復動により流体を圧縮してポンプ作用を行う往復ポンプ装置(1)であって、
前記往復動部材(19,19)を収容するポンプケース本体(8)と、
前記原動機(11)からの駆動力を前記往復動部材(19,19)に伝達し、前記往復動部材(19,19)を駆動する駆動要素(13,14,15,16,17,18)と、
前記流体の圧力変化を検知することでオン及びオフを行い、当該オン及びオフに基づいて前記原動機(11)を制御するための圧力スイッチ(10)と、を備え、
前記圧力スイッチ(10)は、前記ポンプケース本体(8)に一体に構成されており、
前記駆動要素(13,14,15,16,17,18)を挿入するための第一の開口(81)と、前記圧力スイッチ(10)の一部を挿入するための第二の開口(82)とが、前記ポンプケース本体(8)において反対側の面に設けられていること、
を特徴とする往復ポンプ装置(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−83191(P2013−83191A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223152(P2011−223152)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】