後処理装置及び画像形成システム
【課題】本発明の目的は、多種多様な用紙が利用される環境下で発生するタッピング部のようなタッピング部に関係するタッピング部ジャムを解決して高信頼性と高生産性の両立が可能な後処理装置及び画像形成システムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る後処理装置及び画像形成システムは、操作者が後処理装置FSのタッピング部としてのタッピング部に関係するタッピング部ジャムが懸念される、あるいは予見される用紙を用いて冊子を作製する場合に後処理装置FSのタッピング動作パラメータTPを変更することによってタッピング部ジャムの発生を未然に防止して、上記課題を解決した。
【解決手段】本発明に係る後処理装置及び画像形成システムは、操作者が後処理装置FSのタッピング部としてのタッピング部に関係するタッピング部ジャムが懸念される、あるいは予見される用紙を用いて冊子を作製する場合に後処理装置FSのタッピング動作パラメータTPを変更することによってタッピング部ジャムの発生を未然に防止して、上記課題を解決した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機等の画像形成装置に接続される後処理装置、及び画像形成装置と後処理装置とで構成される画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタや複写機等の画像形成装置に対して様々な後処理を行う後処理装置を組み合わせることができる。後処理装置としては、画像形成装置から排出される用紙をソートするだけの簡単なものから、用紙、あるいは用紙束を裁断したり、折ったり、製本したりするといった複雑な後処理を行う、後処理装置が提供されている。
【0003】
後処理装置は、パンチ穴開けやステイプル綴じ、折り等の物理的な作業を伴うため、処理を実行するのに一定のタスク時間を要する。そのタスク時間は、後処理の種類に応じて特定される後処理機構の動作パラメータ(タイミング、各部の搬送速度等々)によって定まるものである。又、タスク時間の設定により、後処理を実行中に後続の用紙が搬送されて搬送路上で後続の用紙が詰まってしまい、ジャムや故障が発生する事態を回避している。
【0004】
一方、上記のタスク時間は、同一種類の後処理にも拘わらず、機内環境条件、用紙に印刷された画像の密度、用紙の種類や向き、カールの状態等の影響により、最適な範囲を様々に変えるものである。そのため、これら機内環境や用紙の条件が異なると、後処理に要する時間も変わってくる。全て諸因子に対してジャム等を発生させないようにすると、後処理に要するタスク時間が長くなり、結果として生産性が低下するという問題も有している。
【0005】
そこで、画像形成装置で処理された用紙に関するジョブ情報(用紙が処理された時の機内環境条件、用紙に印刷された画像の密度、用紙の種類や向き等の情報)に応じて後処理の動作タイミングあるいは動作速度、用紙の搬送速度を適宜変えることで、必要以上に後処理に要するタスク時間が長くなるのを防止する後処理装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−251490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、近年市場環境が多種多様な用紙が使用する傾向にあり、画像形成装置で同一のジョブ情報に対応する同一の動作条件下で処理されて排出される用紙でも、後処理装置における挙動が様々に異なるという課題がある。そのために、特許文献1に記載のようにジョブ情報に応じて自動的に動作条件を変更する技術を用いても、ジャム等が発生し安定的に制御しきれないという問題が生じている。
【0008】
例えは、同一カテゴリの用紙(紙種・斤量、用紙方向)に同一機内環境下で、同一の画像パターンを印刷している途中で用紙がなくなり、同一カテゴリに属するが、製造メーカ、あるいはロットの異なる用紙に変えた直後に、スタッカでジャムが頻発するという問題が発生した。
【0009】
特に、中間スタッカに排紙された用紙の側端を軽打して用紙揃いを行うタッピング処理部では、排紙される用紙が中間スタッカに収まると見込んだ時点で軽打の作動を開始するようにしている。但し、重力による用紙の降下を利用しているために、多種多様な用紙の中には、同一カテゴリにも拘わらず、見込み以上に降下に時間を要するような特殊な用紙が存在する。その結果、きちんとスタッカに収まる前の状態で側端規制部材の規制を受けてしまい、ジャムを起こしていた。
【0010】
この問題を防止するために降下してからタッピングの動作タイミングを行うように十分なマージンを設定することも考えてられるが、その場合には同一カテゴリに属する全て用紙の処理において一様に生産性が低下するという課題を生じることになる。
【0011】
本発明の目的は、多種多様な用紙が利用される環境下で発生するタッピング部に関係するタッピング部ジャムを解決して高信頼性と高生産性の両立が可能な後処理装置及び画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、下記に記載する発明により達成する。
【0013】
1.用紙上に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から搬入された用紙を収容するスタッカと、該スタッカに収容された用紙の側端を側端規制部材で軽打して用紙揃いを行うタッピング部と、を有する後処理装置と、
前記側端規制部材で用紙の側端を軽打するタイミングをタッピング部の動作パラメータとして、前記タッピング部の動作パラメータに基づき前記タッピング部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記動作パラメータを操作者による指示に基づき変更することを特徴とする画像形成システム。
【0014】
2.入力部を有し、前記指示は前記入力部へ操作者が入力することにより行われることを特徴とする前記1に記載の画像形成システム。
【0015】
3.前記スタッカに搬入される用紙を検知する用紙検知手段を有し、
前記タッピング部の動作パラメータが、前記用紙検知手段による用紙の先端又は後端が検知された時点から前記タッピング部に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間であることを特徴とする前記1、又2に記載の画像形成システム。
【0016】
4.前記制御部は、ジャムが発生した際に当該ジャムが前記タッピング部に関係するか否か判定し、前記タッピング部に関係すると判定された場合に調整画面を表示部に表示させることを特徴とする前記1から3までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【0017】
5.表示部を有し、
前記制御部は、動作パラメータに対応する生産性を判定し、変更する動作パラメータにおける生産性が変更前の動作パラメータにおける生産性より低くなる場合に、生産性が低下する旨を前記表示部に表示させることを特徴とする前記1から4までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【0018】
6.前記制御部は、選択可能な複数の動作パラメータを表示させた調整画面を前記表示部に表示させることを特徴とする前記1から5までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【0019】
7.画像形成装置から搬入された用紙を収容するスタッカと、該スタッカに収容された用紙の側端を側端規制部材で軽打して用紙揃いを行うタッピング部と、
前記側端規制部材で用紙の側端を軽打するタイミングをタッピング部の動作パラメータとして、前記タッピング部の動作パラメータに基づき前記タッピング部を制御する制御部と、を有する後処理装置であって、
前記制御部は、前記動作パラメータを操作者による指示に基づき変更することを特徴とする後処理装置。
【0020】
8.入力部を有し、前記指示は前記入力部へ操作者が入力することにより行われることを特徴とする前記7に記載の後処理装置。
【0021】
9.前記スタッカに搬入される用紙を検知する用紙検知手段を有し、
前記タッピング部の動作パラメータが、前記用紙検知手段による用紙の先端又は後端が検知された時点から前記タッピング部に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間であることを特徴とする前記7、又8に記載の後処理装置。
【0022】
10.前記制御部は、ジャムが発生した際に当該ジャムが前記タッピング部に関係するか否か判定し、前記タッピング部に関係すると判定された場合に調整画面を表示部に表示させることを特徴とする前記7から9までの何れか1項に記載の後処理装置。
【0023】
11.表示部を有し、
前記制御部は、動作パラメータに対応する生産性を判定し、変更する動作パラメータにおける生産性が変更前の動作パラメータにおける生産性より低くなる場合に、生産性が低下する旨を前記表示部に表示させることを特徴とする前記7から10までの何れか1項に記載の後処理装置。
【0024】
12.前記制御部は、選択可能な複数の動作パラメータを表示させた調整画面を前記表示部に表示させることを特徴とする前記7から11までの何れか1項に記載の後処理装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、操作者が後処理装置FSのタッピング部に関係するタッピング部ジャムが懸念される、あるいは予見される用紙を用いて冊子を作製する場合に後処理装置FSのタッピング動作パラメータTPを変更することによってタッピング部ジャムの発生を未然に防止し、多種多様な用紙が使用される環境下でも生産性及び信頼性の両面に優れた後処理装置及び画像形成システムの提供を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】画像形成装置A、後処理装置FSから成る画像処理システムの全体構成図。
【図2】本発明に係る後処理装置FSにおける用紙Sの搬送経路を示す全体構成図。
【図3】ステイプル処理部70から成る後処理ユニットUの断面図。
【図4】ステイプル処理部70の要部を示す拡大・平面図。
【図5】後処理装置FSのFS制御部100における本発明に係る要部を示す、制御ブロック図。
【図6】FS制御部100によって用紙幅方向に移動制御される一対の側端規制部材731の位置状態を示す、模式図。
【図7】整合用モータM6の作動のタイミングチャートと側端規制部材731の位置移動との関係を示す。
【図8】本発明に係る後処理装置FSが接続する画像形成装置AのIF操作表示部に表示された基本操作画面を示す。
【図9】タッピング動作パラメータを調整するための調整用画面PG4を示す。
【図10】タッピング動作パラメータの選択を確認するための確認画面PG5を示す。
【図11】タッピング動作パラメータの変更する変更制御を示すフローチャート。
【図12】タッピングジャムの発生時にタッピング動作パラメータの変更を操作者に促すための選択画面PG6を示す。
【図13】タッピング部に関係するジャムを処理するタッピングジャム処理制御を示すフローチャート。
【図14】タッピング動作パラメータとしてタッピング開始時間T2と生産性Pの対応関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の後処理装置、画像形成装置と後処理装置からなる画像処理システムを図面に基づいて説明する。
【0028】
[画像処理システムの概要]
図1は画像形成装置A、画像読み取り装置B、後処理装置FSから成る画像処理システムの全体構成図である。
【0029】
画像形成装置Aは、回転する像担持体1の周囲に、帯電手段2、像露光手段(書き込み手段)3、現像手段4、転写手段5A、除電手段5B、分離爪5C、及びクリーニング手段6を配置した画像形成部を有する。帯電手段2によって像担持体1の表面に一様帯電を行った後に、像露光手段3のレーザビームによって原稿から読み取られた画像データに基づく露光走査を行って潜像を形成する。該潜像を現像手段4により反転現像して像担持体1の表面にトナー像を形成する。
【0030】
用紙収納手段7Aから給紙された用紙Sは転写位置へ送られる。転写位置において転写手段5Aによりトナー像が用紙S上に転写される。その後に、用紙Sは除電手段5Bにより裏面の電荷が消去され、分離爪5Cにより像担持体1から分離され、中間搬送部7Bにより搬送される。そして、引き続き定着手段8により加熱定着され、搬送路切換板7Dにより下方の反転搬送路7Eに一旦搬送された後、逆転搬送されて画像面を下向きにして排紙部7Cから排出される。
【0031】
用紙Sの両面に画像形成を行う場合には、定着手段8により加熱定着された用紙Sを、搬送路切換板7Dにより通常の排紙通路から分岐し、反転搬送路7Eにおいてスイッチバックして表裏反転した後、両面コピー搬送路7Fを経て給紙経路に導入される。用紙Sは画像形成部においてトナー画像を転写された後、定着手段8により定着されて、排紙部7Cにより装置外に排出される。排紙部7Cから排出された用紙Sは、後処理装置FSの受入部に送り込まれる。
【0032】
転写後における像担持体1の表面は、分離爪の下流においてクリーニング手段6によりクリーニングされ、像担持体1の表面に残留している現像剤が除去される。
【0033】
画像形成装置Aの上部前面側には、画像形成モード、用紙後処理モードを選択して設定する操作部9が配置されている。画像形成装置Aの上部には、原稿移動型読み取り方式の自動原稿送り装置を備えた画像読み取り装置Bが設置されている。
【0034】
[後処理装置の概要]
図2は、本発明に係る後処理装置FS内における用紙Sの搬送経路を示す全体構成図である。
【0035】
後処理装置FSには、図示の上段に第1給紙手段20Aと第2給紙手段20Bと固定排紙台30が配置されている。そして、中段に穿孔手段40とシフト手段50と排紙手段60がほぼ水平をなす同一平面上に直列配置され、下段にステイプル処理部70が傾斜面をなす同一平面上に直列配置されている。
【0036】
また、後処理装置FSの図示左側面には、シフト処理済みの用紙S及び端綴じ処理済みの用紙Sを積載する昇降排紙台61が配置されている。
【0037】
受入部10には、画像形成装置Aから画像形成されて搬入される用紙Sと、第1給紙手段20Aから供給される合紙K1と、第2給紙手段20Bから供給される表紙用紙K2とが導入される。
【0038】
第1給紙手段20Aの給紙皿内に収容された合紙K1は、給紙部21により分離、給送され、搬送ローラ22,23,24に挟持されて、受入部10に導入される。また、第2給紙手段20Bの給紙皿内に収容された表紙用紙K2は、給紙部25により分離、給送され、搬送ローラ23,24に挟持されて、受入部10に導入される。
【0039】
受入部10の用紙搬送方向下流側には、穿孔手段40が配置されている。
【0040】
穿孔手段40による穿孔位置の用紙搬送方向上流側にはレジストローラ11が配置され、用紙搬送方向下流側には搬送ローラ12が配置されている。
【0041】
図2に示すように、穿孔手段40の用紙搬送方向下流側には、切り換え手段G1、G2から成る用紙分岐手段が設けられている。切り換え手段G1、G2は、図示しないソレノイドの駆動により三方の用紙搬送路、即ち、上段排紙用の第1搬送路a、中段の第2搬送路b、下段の第3搬送路cの何れかに用紙sを選択的に分岐させる。
【0042】
第1搬送路aが選択されると、切り換え手段G1は第2搬送路b、第3搬送路cを遮断し、第1搬送路aのみを開放する。
【0043】
第1搬送路aを通過する用紙Sは、搬送ローラ31に挟持されて上昇、排出ローラ32により排出される。そして、固定排紙台30上に載置され、順次積載される。
【0044】
第2搬送路bが選択されると、切り換え手段G1が上方に退避、切り換え手段G2は第3搬送路cを遮断し、第2搬送路bを開放し用紙Sの通過を可能にする。用紙Sは切り換え手段G1、G2の間に形成された通紙路を通過する。
【0045】
その後、用紙Sはシフト手段50に至り、シフト手段50によって所定の枚数毎に搬送幅方向の位置を変えるシフト処理される。
【0046】
シフト処理された用紙Sは、排紙手段60により機外の昇降排紙台61に排出され順次載置される。この昇降排紙台61は順次下降するように構成されており、最大約3000枚(A4、B5)の用紙Sを収容可能である。
【0047】
〈後処理ユニットU〉
図3は、ステイプル処理部70とタッピング部73を有する後処理ユニットUの断面図である。
【0048】
画像形成装置Aの操作部9においてステイプル処理が設定されると、画像形成装置Aで画像形成された用紙Sは後処理装置FSの受入部10、穿孔手段40を通過し、切り換え手段G2の下方の第3搬送路cに送り込まれ、搬送ローラに挟持されて下方に搬送される(図2参照)。
【0049】
第3搬送路cにおいて、用紙Sは、搬送ローラで搬送され、一対の入口搬送ローラ15を経由して、中間スタッカ71上に排出する。
【0050】
一対の入口搬送ローラ15の上流側に配置された用紙検知手段としての用紙センサPS1は、用紙Sの通過を検知する。
【0051】
用紙Sは、後端部が入口搬送ローラ15の挟持位置から開放されると、その自重により中間スタッカ71の傾斜面上を下降し、用紙Sの後端部がステイプラ701、702の綴じ部近傍に設けた突当部材721、722に当接して停止する。
【0052】
図示の巻戻しローラ771は、矢印のような振り子運動で用紙Sを上方から叩き、用紙Sを中間スタッカ71に押して、用紙Sの後端部を突当部材721、722に突き当て、用紙Sの後端揃えを確実にするものである。
【0053】
一対の側端規制部材731は、用紙Sの側端部を揃えるタッピング部73のメイン部材であり、中間スタッカ71の両側面に幅方向に移動可能に配設している。用紙Sが中間スタッカ71に収納される毎に、用紙Sの側端部を軽打して幅方向を規制して用紙Sの側端揃え(幅整合)を行うよう、後述で詳しく説明するIF制御部によって制御されている。
【0054】
用紙束Saは、その主要部を中間スタッカ71の上面と側端規制部材731で支持され、後端側を一対の排出ベルト75及び中間スタッカ71、一対の用紙支持部711、712で支持される。
【0055】
冊子としての全ての用紙Sが中間スタッカ71に収納され、タッピング部73の処理が終了すると、一対のステイプラ701、702を作動して用紙束Saにステイプル針が打針される。
【0056】
上述のようにステイプル処理された用紙束Saは、排出ベルト75の排出爪76により用紙Sの後端部が押圧されて、排出ベルト75上に載せられ、中間スタッカ71の載置面上を滑走して斜め上方に押し上げられ、排紙手段60の排出ローラ63の挟持位置に進行する。用紙束Saは、回転する排出ローラ63に挟持されるように昇降排紙台61上に排出されて積載する。また、排紙手段60の排紙ローラ63の上流側に用紙束Saがステイプル部70から正常に排出されたか否かを検知する排出センサPS2が配設されている(図2)。
【0057】
中間スタッカ71の用紙積載面の一部には切り欠き部が形成されていて(図4参照)、駆動プーリ74Aと従動プーリ74Bに巻回された排出ベルト75が回動可能に駆動される。排出ベルト75の一部には、排出爪76が一体に形成されている。
【0058】
《用紙揃え機構としてのタッピング部》
図4は、タッピング部73及びステイプル処理部70、用紙束の排出機構の要部を示す拡大・平面図である。
【0059】
図示のようにタッピング部73は、一対の側端規制部材731と、側端規制部材731を幅方向に変位可能にするベルト732と、ベルト732を張架し、固定した軸に回転可能に支持された一対のプーリ733及び駆動プーリ734と、駆動プーリ734を回転する整合用モータM2で構成されている。
【0060】
整合用モータM2は、用紙サイズに対応してベルト732を介して一対の側端規制部材731を矢印Xに示すように移動するものである。整合用モータM2はステッピングモータであり、所定のパルス駆動によって側端規制部材731の間隔を任意に変更可能にするものである。
【0061】
後述で詳しく説明するタッピング部の用紙揃え制御は、新たな用紙Sが中間スタッカ71に完全にセットされた時点に、用紙Sの側部を側端規制部材731で軽打し、更に次の用紙Sが中間スタッカ71に進入する前に側端規制部材731を待機位置に戻すよう、側端規制部材731の移動を制御して、中間スタック71上の用紙Sの側端を揃えている。
【0062】
排出用モータM1は、図示のようにベルト、プーリを介して駆動プーリ74Aを回転して2本の排出ベルト75(排出爪76付き)を回動して中間スタッカ71上の用紙Sを昇降排紙台61上に排出する。
【0063】
SP移動用モータM3は、ベルト703を介して一対のステイプラ701、702を相互接近、あるいは相互離間するように任意の幅方向位置に移動可能にするものである。
【0064】
2つの打針用モータM4は、ステイプラ701、702の打針機構を駆動して綴じ針SP1、SP2を用紙束Saに打針させる。
【0065】
〈後処理装置FSのFS制御部〉
図5は、後処理装置FSのFS制御部100における本発明に係る要部を示す、制御ブロック図である。
【0066】
FS制御部100は、CPUからなりFS制御部100のメインを司るFS主制御部101と、本発明に係る入力部及び表示部として機能するFS操作表示部102と、プログラムを記憶しているROM103と、各制御データを記憶するRAM104と、駆動回路105と、画像形成装置AのIF通信手段と通信するFS通信手段106とを有する。上記の各制御ブロックはバス107を介して接続している。
【0067】
FS操作表示部102は、操作者が指示する動作パラメータ等を入力する入力部と、操作者に対して入力操作の支援、あるいはメッセージの通知を表示する表示部とを兼ねている。
【0068】
駆動回路105は、FS主制御部101の指令に従い図4で示した各モータM1〜M4を駆動するハードウエアである。
【0069】
用紙センサPS1及び排出センサPS2が非図示の入力インタフェースを介してFS主制御部101に接続している。
【0070】
FS通信手段106は、画像形成装置AのIF通信手段と通信するインタフェースである。
【0071】
《画像形成装置AのIF制御部》
後処理装置FSと接続する画像形成装置AのIF制御部200は、画像形成装置Aの全体制御を司るIF主制御部201と、本発明に係る入力部及び表示部として機能するIF操作表示部202と、後処理装置FSのFS通信手段106と通信するIF通信手段203と、ネットワークに接続するNT通信手段204とを有している。
【0072】
IF操作表示部202は画像形成装置Aの操作部9にあり、操作者が複写、印刷、画像送信、後処理等のジョブを設定する入力部と、操作者に報知するためのメッセージを表示する表示部と、を兼ねている。つまり、操作者が指示する動作パラメータ等を入力する入力部と、操作者に対して入力操作の支援、あるいはメッセージの通知を表示する表示部とを兼ねている。
【0073】
IF主制御部201は、IF通信手段203を通じて依頼する用紙の後処理ジョブに関する情報を後処理装置FS側に送信する。後処理装置FSは、FS通信手段106を通じて依頼された後処理ジョブの進行状態に関するステータス情報を画像形成装置Aに送信する。
【0074】
IF主制御部201は、NT通信手段204を介してローカルネットワークLAN上の情報処理端末装置PCと通信して各種情報を交換している。例えば、印刷ジョブ(印刷データ、該属性情報)の受理、あるいはステータス情報の返信等を交換している。
【0075】
《タッピング部73の用紙揃え制御》
FS制御部100が主に司り、タッピング部73の要部を作動させる用紙揃え制御に関し、図6及び図7を用いて以下に詳しく説明する。
【0076】
図6は、整合用モータM2の作動によって移動する一対の側端規制部材731の位置を示す、模式図である。
【0077】
後処理装置FSのFS主制御部101は、画像形成装置Aから後処理ジョブ(用紙Sサイズ及び後処理指定)の信号が入力されると、整合用モータM2を駆動させて側端規制部材731をホームポジションHPから第1位置K1に移動させるよう駆動回路105を制御する。
【0078】
第1位置K1は、搬入された用紙Sの幅方向バラツキが考慮され、且つ側端規制部材731が搬入される用紙が接触しないような待避位置であり、用紙Sのサイズに応じて適宜変更され予め設定されている(図6(a)、(b)参照)。用紙幅Wsより10mm程度大きな位置である。
【0079】
次に、FS主制御部101は、用紙センサPS1の信号からステイプル処理部に搬入された用紙Sの先端が検知された時点から所定時間(例えば160ms)経過すると、駆動回路105を制御して側端規制部材731が第2位置K2に移動するよう整合用モータM6をステップ駆動する。
【0080】
第2位置K2への移動の開始は、入口搬送ローラ15から中間スタッカ71上に搬出された用紙が、傾斜配置された中間スタッカ71の面上で滑落し始めるタイミングである(図6(c)参照)。
【0081】
次に、FS主制御部101は、用紙Sの先端検知後にタッピング開始時間T2が経過すると、整合用モータM6を駆動して側端規制部材731を第3位置K3に移動させ、用紙Sを整合する。
【0082】
次にFS主制御部101は、その後所定時間T3経過すると整合用モータM6は逆転駆動して側端規制部材731を前記第1の位置K1に戻す(図6(a)参照)。
【0083】
第3位置K3は、用紙幅Wsよりやや狭い位置(一例として、用紙幅Ws−3mm、片側1.5mm)に設定される。
【0084】
用紙Sの後端が突当部材721、722に当接する前に、降下中の用紙Sを規制するような状態になると、用紙不揃い、あるいはジャム等の不具合が発生する。従って、ジャム等の発生を防止するために、用紙Sの先端が検知された時点から側端規制部材731を第3位置K3に移動させる時点までのタッピング開始時間T2は、タッピング部の重要な動作パラメータとして鋭意検討して定められている。(図6(d)参照)。
【0085】
ところが、タッピング開始時間T2がタッピング処理の周期Ttが画像形成装置Aの能力で決まる用紙排出の周期Tsを上る程に長くなると、タッピング処理の周期Ttに合わせるように画像形成装置Aからの用紙排出の周期Tscを長くする必要となり、画像形成システムとして生産性Pは100%未満になる。一般的にタッピング開始時間T2と生産性Pの間には図14のような関係がある。
【0086】
生産性Pはつぎの式1で定義される。
【0087】
P=Ts/Tsc[%]・・・式1
図7は、整合用モータM6の作動のタイミングチャートと側端規制部材731の位置移動との関係を示す。図7を用いてタッピング部の用紙揃え制御における各部の動作を詳しく説明する。
【0088】
図7の最上部は、側端規制部材731の用紙幅方向における位置を示している。一点鎖線は、用紙Sの側端に相当する。ホームポジションHPと用紙側端の位置Ksと距離Dは、用紙Sのサイズに応じて変わるが、図6で示した第1位置K1、第2位置K2、及び第3位置K3は、用紙側端の位置Ksに対して定まる距離d1、d2、d3隔てた位置であり、用紙Sのサイズに依存せず設定される。
【0089】
図7の上から3番目は、整合用モータM2の停止、正転、逆転の状態を示している。P0は、側端規制部材731をHPからK1まで移動させる待避駆動を示す。その駆動パルス数は用紙Sのサイズに応じて異なるものである。P1は、側端規制部材731をK1からK2まで移動させる整合前駆動を示す。P2は、側端規制部材731をK2からK3まで移動させる整合駆動を示す。P3は、側端規制部材731をK3からK1に移動させる復帰駆動を示す。
【0090】
待避駆動P0の駆動パルス数は用紙Sのサイズに依存するが、整合前駆動P1、整合駆動P2及び復帰駆動P3の駆動パルス数は、用紙Sのサイズに依存しない定数である。
【0091】
図7の上から2番目は、画像形成装置Aから送信される後処理ジョブに関する信号を示す。
【0092】
FS主制御部101は、後処理ジョブの信号を受信すると、用紙Sのサイズに対応する初待避駆動P0を整合用モータM2に動作させるよう、駆動回路105を制御する。
【0093】
図7の最下部は、用紙センサPS1の用紙Sの検知信号(有、無)を示している。
【0094】
FS主制御部101は、用紙センサPS1の信号から用紙先端を検知すると、第1タイマt1、第2タイマt2を作動する。第1タイマt1がカウントアップすると、整合用モータM2に整合前駆動P1を作動させるよう駆動回路105を制御する。同様に、第2タイマt2がタッピング開始時間T2をカウントアップすると、整合用モータM2に整合駆動P2を作動させると共に、第3タイマt3を作動する。第3タイマt3がカウントアップしたら復帰駆動P3を作動させるよう駆動回路105を制御する。
【0095】
第1タイマt1及び第3タイマt3のカウントアップ値は、用紙Sのサイズ等に依存しない固定値としてROM103に登録されている。タッピング開始時間T2は、用紙Sのサイズ(及び斤量等)に応じて定まるものであり、ROM103に参照テーブルTableAとして記憶される。
【0096】
FS主制御部101は、画像形成装置から後処理ジョブの信号(用紙Sのサイズ信号)を受信すると、ROM103に記憶されている参照テーブルTableAを参照してタッピング開始時間T2を決定してRAM104の所定アドレスに記憶させる。実際に後処理装置FSの中間スタックに排出された用紙Sをタッピングする場合には、RAM104の記憶されたタッピング開始時間T2に基づき整合用モータM2の整合駆動P2を実行させる。
【0097】
以上に示した用紙揃え制御は、上記の実施の形態では中間スタッカに搬入される用紙Sの先端検知を起点にして第2タイマt2を作動させているが、用紙Sの後端検知を起点にして作動させるようにしても問題ない。
【0098】
[タッピング機構の動作パラメータの可変調整]
図7に示すように、側端規制部材731で用紙の側端を軽打するタイミング、つまり側端規制部材731の整合駆動P2を開始する第2タイマt2のタッピング開始時間T2は、本発明に係るタッピング部の動作パラメータに対応するものである。第2タイマt2の所定時間T2を以下にタッピング動作パラメータTPと称す。
【0099】
本発明に係る後処理装置FSでは、参照テーブルTableAとして登録されている値をタッピング動作パラメータPTの標準値とする。そして、この標準値に対してタッピング動作パラメータTPを後処理装置FSのFS操作表示部102(図5)、あるいは画像形成装置AのIF操作表示部202(図5)で変更可能である。
【0100】
操作者がタッピング部を利用するような後処理ジョブを選択する際に、複数のタッピング動作パラメータTPのリストで構成された調整用画面を表示する。操作者が調整用画面からひとつのタッピング動作パラメータTPを選択して“OK”ボタンを押下してセットすると、FS主制御部101はRAM104上の現行値を選択されたタッピング動作パラメータPTに書き替える。
【0101】
後処理装置FSのFS操作表示部102(図5)、あるいは画像形成装置AのIF操作表示部202(図5)に複数のタッピング動作パラメータTPで構成された調整用画面を表示する際に、複数のタッピング動作パラメータTPと、各動作パラメータを選択した場合予想される生産性P(%)とを対応付けて表示する。操作者に生産性Pの影響を報知させることによって操作者の適正な選択を支援している。
【0102】
図8は、画像形成装置AのIF操作表示部202に表示されたコピー操作画面PG1を示す。図示のBT1は出力設定を表示させるボタンである。そして、図8は、ボタンBT1が押下され、コピー操作画面PG1の主要領域に出力設定の基本操作画面PG2が展開されている状態を示している。
【0103】
IF主制御部201は、ステイプルボタンBT2が押下されると、後処理機能の選択部PG3にあり、ステイプル処理を選択するボタンである。BT2が押すと図示のようにBT2ボタン内を強調表示させる。更に、OKボタンBT3が押されると、図9に示すタッピング動作パラメータを調整するための調整用画面PG4を最上位にポップアップ表示させる。
【0104】
調整用画面PG4にリスト表示される複数のタッピング動作パラメータPTは、前述で説明した参照テーブルTableAから得た標準動作パラメータTPsと、標準動作パラメータTPsと異なる値の動作パラメータTPとで構成されている。図9では、第1列にタッピング動作パラメータ(ms)を示し、第2列に第1列に表示しているタッピング動作パラメータで後処理ジョブを実行した場合に想定される生産性P(%)を示している。そして、第3列は備考欄である。備考欄の“標準値”は参照テーブルTableAから得た標準のタッピング動作パラメータを示し、“現在値”は現在選択設定されているタッピング動作パラメータTPを示す。
【0105】
図示の“OK”ボタンBT4が押されると、調整用画面PG4で選択されたタッピング動作パラメータTPがIF通信手段203(FS通信手段105)を介してFS主制御部101に変更された新値として送信される。FS主制御部101は、RAM104上の現行値を画像形成装置A側から送信されたタッピング動作パラメータTPに書き替える。
【0106】
更に、IF主制御部201は、図9で示した調整用画面PG4においてタッピング動作パラメータPTを選択した場合に、そのタッピング動作パラメータPTに対応する生産性Pを判定する。そして、その判定結果が『変更するタッピング動作パラメータPTにおける生産性が変更前のタッピング動作パラメータPTにおける生産性より低くなる』、つまり変更するタッピング動作パラメータPTにおける生産性が現行値より低くなる場合に、図10に示すように“生産性が低下した”旨を表示する確認画面PG5を最上位にポップアップ表示させる。
【0107】
なお、ここでは確認画面として報知しているが、これに限定されるものでなく、音声等で操作者に報知するような形態であっても構わない。
【0108】
図10に示す確認画面PG5は、図9の調整用画面PG4においてタッピング動作パラメータPTとして3行目の“200ms”を選択した場合に図示のように生産性は“現行値の100%から90%に低くなる”と判定された場合の一例である。
【0109】
“OK”ボタンBT6が押下されると、選択された“200ms”を有効にし、FS主制御部101は選択されたタッピング動作パラメータ(200ms)をRAM104に記憶し、更に確認画面PG5及び調整用画面PG4を閉じさせる。“CANCEL”ボタンBT7が押下されると、確認画面PG5を閉じさせ、“200ms”への変更を無効にする。
【0110】
図11は、本発明に係るタッピング動作パラメータの変更する調整制御に関するフローチャートを示す。
【0111】
図11の制御フローは、操作者が使用経験の少ない用紙を交換した直後等にタッピング部に関係するジャム(以下においてタッピング部ジャムと称す)が懸念される、あるいは過去に使用した経験からタッピング部ジャムが予見される場合に、タッピング動作パラメータPTを適切に変更できるよう、動作パラメータの調整操作を支援するものである。
【0112】
S101は、図9で示した調整用画面PG4へ移行するか否かを判定する行程であり、“YES”と判定すると、S102に移行する。一例として、前述の図8で示したステイプルボタンBT2、引き続きOKボタンBT3が押された場合を示すが、これに限定されるものではない。
【0113】
S102は、前述で示した図9の調整用画面PG4をIF操作表示部202に表示する行程であり、S103に移行する。
【0114】
S103は、動作パラメータが選択されたか否かを判定する行程であり、選択された場合にS104に移行する。選択がキャンセルされた場合は変更制御を終了する。
【0115】
一例として、前述で示した図9の“200ms”の動作パラメータが選択された状態で“OK”ボタンBT6が押下された場合を示す。
【0116】
S104は、S104で選択されたタッピング動作パラメータTPでタッピング処理を行った場合に想定される生産性は100%未満であるか否かを判定する行程である。“YES”の場合はS105に移行し、“NO”の場合はS107に移行する。
【0117】
S105は、図10で示した確認画面PG5をIF操作表示部202に表示する行程であり、S106に移行する。
【0118】
S106は、調整用画面PG4で選択された動作パラメータTPが確認画面PG5で有効にされたか無効にされたかを判定する行程であり、操作者によって図10に示した“OK”ボタンBT6が押下されると、S107に移行する。“CANCEL”ボタンBT7が押下されると、調整用画面PG4の選択は無効になり、確認画面PG5は消去されて調整用画面PG4の表示に戻る。
【0119】
S107は、S103で選択されたタッピング動作パラメータTPを後処理装置FSのFS主制御部101に送信する行程である。つまり、FS主制御部101がIF制御部200からタッピング動作パラメータTPを受信する行程である。
【0120】
S108は、FS主制御部101が受信したタッピング動作パラメータTPにRAM104を書き替える行程である。
【0121】
本発明に係る動作パラメータ変更制御は、画像形成装置A及び後処理装置FSで構成される画像形成システムを利用されている操作者がタッピング部ジャムが懸念される、あるいは予見される用紙を用いて冊子を作製する場合に、後処理装置FSのタッピング動作パラメータTPを変更することによって、タッピング部ジャムの発生を未然に防ぐことを可能にする。また、タッピング動作パラメータTPを変更する際に、操作者が動作パラメータの変更に伴う生産性の影響を把握しながら適切な動作パラメータに変更することを可能にする。
【0122】
以上に示すように本発明は、多種多様な用紙が使用される環境下でも生産性及び信頼性の両面に優れた後処理装置及び画像形成システムの提供を達成できる。
【0123】
なお、上記の実施形態では、IF操作表示202から変更しているが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置AにLANを介して接続する情報処理端末装置PC、あるいは後処理装置FSのFS操作表示部102から変更するような場合も本発明の対象範囲である。
【0124】
また、上記の実施の形態では、用紙センサPS1による用紙の先端が検知された時点からタッピング部73に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間T2をタッピング部の動作パラメータとしている。但し、用紙センサPS1による用紙の後端が検知された時点からタッピング部73に用紙側端の軽打を開始させる時点までの時間をタッピング部の動作パラメータに置き換え可能である。
【0125】
[タッピング動作パラメータ変更制御における他の実施形態]
この実施形態のタッピング動作パラメータ変更制御は、後処理装置FSのタッピング機構に起因するジャムが所定レベル以上になった場合に、タッピング動作パラメータPTの変更を促すメッセージを操作者に対し自動的に報知するものである。そして、操作者の判断結果に基づき、前述の動作パラメータ変更制御に移行するものである。
【0126】
図12は、タッピング部に関係するジャムを処理するタッピングジャム処理制御を示すフローチャートである。ここでは後処理装置FSのFS主制御部101が主に司っているが、これに限定されるものでなく、画像形成システム内の制御部であればよい、IF制御部201が主体で行うことも可能である。
【0127】
S201は、画像形成装置Aからの後処理に関する信号に基づき画像形成装置Aから搬入される用紙の後処理を実行する行程であり、S202に移動する。
【0128】
S202は、用紙の後処理が終了したか否かを判定する行程であり、否の場合にはS203に移る。そして、終了の場合には後処理ジョブの実行を終了し本制御を終了する。
【0129】
S203は、ジャムが発生したか否かを判定する行程である。ジャムが発生しない場合はS201に継続し、発生した場合には実行中の後処理ジョブを中断しS204に移動する。
【0130】
S204は、発生ジャムがタッピング部ジャムであるか否かを判定する行程であり、タッピング部ジャムを判定した場合にはS205に移行する。他のジャムと判定した場合にはS207に移行する。なお、FS制御部101は、ステイプル処理される用紙束のうち最後に画像形成装置Aから中間スタッカ71に搬入されるラスト用紙が用紙センサを検出された時点から第1の所定時間を経過しても排出センサPS2がステイプル済み用紙束Saを検知しない場合、あるいは第1所定時間に検出されたが更に第2所定時間経過しても排出検出手段PS2が用紙束Saを検知し続ける場合に、タッピング部ジャムが発生したと判定している。
【0131】
S205は、タッピング部ジャムが所定レベル以上であるか否かを判定する行程であり、所定レベル以上の場合にはS206に移行し、所定レベル未満の場合にはS207に移行する。
【0132】
なお、S205行程における『ジャム発生が所定レベル以上か?』の意味するところは、後処理装置FSのタッピング動作パラメータTPに関係するジャム(TPジャム)が1枚発生した場合も包含するものである。また、所定枚数処理する中でTPジャムが所定枚数以上発生した場合、あるいはTPジャムの発生頻度を絶えず演算しその演算結果が所定頻度以上になった場合も含むものである。つまり、TPジャムの発生状態が基準以上に悪化した場合であれば本発明の対象範囲である。
【0133】
S206は、図11で示した動作パラメータ変更制御(S101からS108までの一連の行程)である。この実施形態の場合、S101の行程を実行するために、図12に示すような選択画面PG6を画像形成装置AのIF操作表示部202、あるいは後処理装置FSのFS操作表示部102に表示する。また、前述の実施形態で示したようにS206行程は、IF主制御部201、あるいはFS主制御部101のどちらが主体的に司ってもよい。
【0134】
選択画面PG6について以下に詳しく説明する。図12に示すように、選択画面PG6には『操作者にタッピング動作パラメータの変更を促す』旨のメッセージが表示されている。
【0135】
操作者はこのメッセージからジャム発生の背景を把握できる。そして、操作者によって選択画面PG6の“OK”ボタンBT8が押下されると、S101行程は“OK”と判定しS102に移行し、調整用画面PG4を操作表示部に表示させる。また、 “CANCEL”ボタンBT9が押下されると、S101行程は“NO”と判定し、選択画面PG6を消去させる。
【0136】
S207は、ジャム紙及び後処理装置FS内に滞留している用紙が取り除かれてジャムが解除されている否かを判定する行程であり、ジャム解除と判断するとS201に戻り中断中の後処理ジョブを再開させ、同時に画像形成装置AにFS通信手段106を介してジャム解除のステータス情報を送信する。
【0137】
後処理装置FSのFS制御部100は、タッピング部ジャム(ここでは、タッピング動作パラメータ及びタッピング部に関係するジャム)が発生すると、後処理ジョブを中断すると同時に、タッピング部の動作パラメータを変更するための調整用画面PG4へ移行する選択画面PG6を入力部としてのIF操作表示部201、あるいはFS操作表示部102に表示させる。
【0138】
以上で示したように、本発明は、ジャム発生時に操作者がジャム発生の背景を把握できるように選択画面PG6を表示させ、操作者がジャム発生がタッピング部に関係する場合に生産性を考慮しながら最適なタッピング部の動作パラメータに変更することを可能にするものである。その結果として後処理装置FSのタッピング部ジャムの解消を可能にしている。しかも、操作者が実際に後処理装置FSを使用する中で得られた知識及び経験を生かし、ジャム発生状況における最適な動作パラメータを設定できるため、多種多様な用紙が使用される環境下でも生産性及び信頼性の両面に優れた後処理装置及び画像形成システムの提供を達成できる。
【符号の説明】
【0139】
70 ステイプル処理部
71 中間スタッカ
73 タッピング部
731 側端規制部材
101 FS主制御部
102 FS操作表示部(入力部)
201 IF主制御部
202 IF操作表示部(入力部)
A 画像形成装置
FS 後処理装置
PS1 用紙センサ(用紙検知手段)
PS2 排出センサ
S 用紙
Sa 用紙束
TP タッピング動作パラメータ(タッピング部の動作パラメータ)
T2 タッピング開始時間
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタや複写機等の画像形成装置に接続される後処理装置、及び画像形成装置と後処理装置とで構成される画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタや複写機等の画像形成装置に対して様々な後処理を行う後処理装置を組み合わせることができる。後処理装置としては、画像形成装置から排出される用紙をソートするだけの簡単なものから、用紙、あるいは用紙束を裁断したり、折ったり、製本したりするといった複雑な後処理を行う、後処理装置が提供されている。
【0003】
後処理装置は、パンチ穴開けやステイプル綴じ、折り等の物理的な作業を伴うため、処理を実行するのに一定のタスク時間を要する。そのタスク時間は、後処理の種類に応じて特定される後処理機構の動作パラメータ(タイミング、各部の搬送速度等々)によって定まるものである。又、タスク時間の設定により、後処理を実行中に後続の用紙が搬送されて搬送路上で後続の用紙が詰まってしまい、ジャムや故障が発生する事態を回避している。
【0004】
一方、上記のタスク時間は、同一種類の後処理にも拘わらず、機内環境条件、用紙に印刷された画像の密度、用紙の種類や向き、カールの状態等の影響により、最適な範囲を様々に変えるものである。そのため、これら機内環境や用紙の条件が異なると、後処理に要する時間も変わってくる。全て諸因子に対してジャム等を発生させないようにすると、後処理に要するタスク時間が長くなり、結果として生産性が低下するという問題も有している。
【0005】
そこで、画像形成装置で処理された用紙に関するジョブ情報(用紙が処理された時の機内環境条件、用紙に印刷された画像の密度、用紙の種類や向き等の情報)に応じて後処理の動作タイミングあるいは動作速度、用紙の搬送速度を適宜変えることで、必要以上に後処理に要するタスク時間が長くなるのを防止する後処理装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−251490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、近年市場環境が多種多様な用紙が使用する傾向にあり、画像形成装置で同一のジョブ情報に対応する同一の動作条件下で処理されて排出される用紙でも、後処理装置における挙動が様々に異なるという課題がある。そのために、特許文献1に記載のようにジョブ情報に応じて自動的に動作条件を変更する技術を用いても、ジャム等が発生し安定的に制御しきれないという問題が生じている。
【0008】
例えは、同一カテゴリの用紙(紙種・斤量、用紙方向)に同一機内環境下で、同一の画像パターンを印刷している途中で用紙がなくなり、同一カテゴリに属するが、製造メーカ、あるいはロットの異なる用紙に変えた直後に、スタッカでジャムが頻発するという問題が発生した。
【0009】
特に、中間スタッカに排紙された用紙の側端を軽打して用紙揃いを行うタッピング処理部では、排紙される用紙が中間スタッカに収まると見込んだ時点で軽打の作動を開始するようにしている。但し、重力による用紙の降下を利用しているために、多種多様な用紙の中には、同一カテゴリにも拘わらず、見込み以上に降下に時間を要するような特殊な用紙が存在する。その結果、きちんとスタッカに収まる前の状態で側端規制部材の規制を受けてしまい、ジャムを起こしていた。
【0010】
この問題を防止するために降下してからタッピングの動作タイミングを行うように十分なマージンを設定することも考えてられるが、その場合には同一カテゴリに属する全て用紙の処理において一様に生産性が低下するという課題を生じることになる。
【0011】
本発明の目的は、多種多様な用紙が利用される環境下で発生するタッピング部に関係するタッピング部ジャムを解決して高信頼性と高生産性の両立が可能な後処理装置及び画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的は、下記に記載する発明により達成する。
【0013】
1.用紙上に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から搬入された用紙を収容するスタッカと、該スタッカに収容された用紙の側端を側端規制部材で軽打して用紙揃いを行うタッピング部と、を有する後処理装置と、
前記側端規制部材で用紙の側端を軽打するタイミングをタッピング部の動作パラメータとして、前記タッピング部の動作パラメータに基づき前記タッピング部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記動作パラメータを操作者による指示に基づき変更することを特徴とする画像形成システム。
【0014】
2.入力部を有し、前記指示は前記入力部へ操作者が入力することにより行われることを特徴とする前記1に記載の画像形成システム。
【0015】
3.前記スタッカに搬入される用紙を検知する用紙検知手段を有し、
前記タッピング部の動作パラメータが、前記用紙検知手段による用紙の先端又は後端が検知された時点から前記タッピング部に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間であることを特徴とする前記1、又2に記載の画像形成システム。
【0016】
4.前記制御部は、ジャムが発生した際に当該ジャムが前記タッピング部に関係するか否か判定し、前記タッピング部に関係すると判定された場合に調整画面を表示部に表示させることを特徴とする前記1から3までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【0017】
5.表示部を有し、
前記制御部は、動作パラメータに対応する生産性を判定し、変更する動作パラメータにおける生産性が変更前の動作パラメータにおける生産性より低くなる場合に、生産性が低下する旨を前記表示部に表示させることを特徴とする前記1から4までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【0018】
6.前記制御部は、選択可能な複数の動作パラメータを表示させた調整画面を前記表示部に表示させることを特徴とする前記1から5までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【0019】
7.画像形成装置から搬入された用紙を収容するスタッカと、該スタッカに収容された用紙の側端を側端規制部材で軽打して用紙揃いを行うタッピング部と、
前記側端規制部材で用紙の側端を軽打するタイミングをタッピング部の動作パラメータとして、前記タッピング部の動作パラメータに基づき前記タッピング部を制御する制御部と、を有する後処理装置であって、
前記制御部は、前記動作パラメータを操作者による指示に基づき変更することを特徴とする後処理装置。
【0020】
8.入力部を有し、前記指示は前記入力部へ操作者が入力することにより行われることを特徴とする前記7に記載の後処理装置。
【0021】
9.前記スタッカに搬入される用紙を検知する用紙検知手段を有し、
前記タッピング部の動作パラメータが、前記用紙検知手段による用紙の先端又は後端が検知された時点から前記タッピング部に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間であることを特徴とする前記7、又8に記載の後処理装置。
【0022】
10.前記制御部は、ジャムが発生した際に当該ジャムが前記タッピング部に関係するか否か判定し、前記タッピング部に関係すると判定された場合に調整画面を表示部に表示させることを特徴とする前記7から9までの何れか1項に記載の後処理装置。
【0023】
11.表示部を有し、
前記制御部は、動作パラメータに対応する生産性を判定し、変更する動作パラメータにおける生産性が変更前の動作パラメータにおける生産性より低くなる場合に、生産性が低下する旨を前記表示部に表示させることを特徴とする前記7から10までの何れか1項に記載の後処理装置。
【0024】
12.前記制御部は、選択可能な複数の動作パラメータを表示させた調整画面を前記表示部に表示させることを特徴とする前記7から11までの何れか1項に記載の後処理装置。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、操作者が後処理装置FSのタッピング部に関係するタッピング部ジャムが懸念される、あるいは予見される用紙を用いて冊子を作製する場合に後処理装置FSのタッピング動作パラメータTPを変更することによってタッピング部ジャムの発生を未然に防止し、多種多様な用紙が使用される環境下でも生産性及び信頼性の両面に優れた後処理装置及び画像形成システムの提供を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】画像形成装置A、後処理装置FSから成る画像処理システムの全体構成図。
【図2】本発明に係る後処理装置FSにおける用紙Sの搬送経路を示す全体構成図。
【図3】ステイプル処理部70から成る後処理ユニットUの断面図。
【図4】ステイプル処理部70の要部を示す拡大・平面図。
【図5】後処理装置FSのFS制御部100における本発明に係る要部を示す、制御ブロック図。
【図6】FS制御部100によって用紙幅方向に移動制御される一対の側端規制部材731の位置状態を示す、模式図。
【図7】整合用モータM6の作動のタイミングチャートと側端規制部材731の位置移動との関係を示す。
【図8】本発明に係る後処理装置FSが接続する画像形成装置AのIF操作表示部に表示された基本操作画面を示す。
【図9】タッピング動作パラメータを調整するための調整用画面PG4を示す。
【図10】タッピング動作パラメータの選択を確認するための確認画面PG5を示す。
【図11】タッピング動作パラメータの変更する変更制御を示すフローチャート。
【図12】タッピングジャムの発生時にタッピング動作パラメータの変更を操作者に促すための選択画面PG6を示す。
【図13】タッピング部に関係するジャムを処理するタッピングジャム処理制御を示すフローチャート。
【図14】タッピング動作パラメータとしてタッピング開始時間T2と生産性Pの対応関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の後処理装置、画像形成装置と後処理装置からなる画像処理システムを図面に基づいて説明する。
【0028】
[画像処理システムの概要]
図1は画像形成装置A、画像読み取り装置B、後処理装置FSから成る画像処理システムの全体構成図である。
【0029】
画像形成装置Aは、回転する像担持体1の周囲に、帯電手段2、像露光手段(書き込み手段)3、現像手段4、転写手段5A、除電手段5B、分離爪5C、及びクリーニング手段6を配置した画像形成部を有する。帯電手段2によって像担持体1の表面に一様帯電を行った後に、像露光手段3のレーザビームによって原稿から読み取られた画像データに基づく露光走査を行って潜像を形成する。該潜像を現像手段4により反転現像して像担持体1の表面にトナー像を形成する。
【0030】
用紙収納手段7Aから給紙された用紙Sは転写位置へ送られる。転写位置において転写手段5Aによりトナー像が用紙S上に転写される。その後に、用紙Sは除電手段5Bにより裏面の電荷が消去され、分離爪5Cにより像担持体1から分離され、中間搬送部7Bにより搬送される。そして、引き続き定着手段8により加熱定着され、搬送路切換板7Dにより下方の反転搬送路7Eに一旦搬送された後、逆転搬送されて画像面を下向きにして排紙部7Cから排出される。
【0031】
用紙Sの両面に画像形成を行う場合には、定着手段8により加熱定着された用紙Sを、搬送路切換板7Dにより通常の排紙通路から分岐し、反転搬送路7Eにおいてスイッチバックして表裏反転した後、両面コピー搬送路7Fを経て給紙経路に導入される。用紙Sは画像形成部においてトナー画像を転写された後、定着手段8により定着されて、排紙部7Cにより装置外に排出される。排紙部7Cから排出された用紙Sは、後処理装置FSの受入部に送り込まれる。
【0032】
転写後における像担持体1の表面は、分離爪の下流においてクリーニング手段6によりクリーニングされ、像担持体1の表面に残留している現像剤が除去される。
【0033】
画像形成装置Aの上部前面側には、画像形成モード、用紙後処理モードを選択して設定する操作部9が配置されている。画像形成装置Aの上部には、原稿移動型読み取り方式の自動原稿送り装置を備えた画像読み取り装置Bが設置されている。
【0034】
[後処理装置の概要]
図2は、本発明に係る後処理装置FS内における用紙Sの搬送経路を示す全体構成図である。
【0035】
後処理装置FSには、図示の上段に第1給紙手段20Aと第2給紙手段20Bと固定排紙台30が配置されている。そして、中段に穿孔手段40とシフト手段50と排紙手段60がほぼ水平をなす同一平面上に直列配置され、下段にステイプル処理部70が傾斜面をなす同一平面上に直列配置されている。
【0036】
また、後処理装置FSの図示左側面には、シフト処理済みの用紙S及び端綴じ処理済みの用紙Sを積載する昇降排紙台61が配置されている。
【0037】
受入部10には、画像形成装置Aから画像形成されて搬入される用紙Sと、第1給紙手段20Aから供給される合紙K1と、第2給紙手段20Bから供給される表紙用紙K2とが導入される。
【0038】
第1給紙手段20Aの給紙皿内に収容された合紙K1は、給紙部21により分離、給送され、搬送ローラ22,23,24に挟持されて、受入部10に導入される。また、第2給紙手段20Bの給紙皿内に収容された表紙用紙K2は、給紙部25により分離、給送され、搬送ローラ23,24に挟持されて、受入部10に導入される。
【0039】
受入部10の用紙搬送方向下流側には、穿孔手段40が配置されている。
【0040】
穿孔手段40による穿孔位置の用紙搬送方向上流側にはレジストローラ11が配置され、用紙搬送方向下流側には搬送ローラ12が配置されている。
【0041】
図2に示すように、穿孔手段40の用紙搬送方向下流側には、切り換え手段G1、G2から成る用紙分岐手段が設けられている。切り換え手段G1、G2は、図示しないソレノイドの駆動により三方の用紙搬送路、即ち、上段排紙用の第1搬送路a、中段の第2搬送路b、下段の第3搬送路cの何れかに用紙sを選択的に分岐させる。
【0042】
第1搬送路aが選択されると、切り換え手段G1は第2搬送路b、第3搬送路cを遮断し、第1搬送路aのみを開放する。
【0043】
第1搬送路aを通過する用紙Sは、搬送ローラ31に挟持されて上昇、排出ローラ32により排出される。そして、固定排紙台30上に載置され、順次積載される。
【0044】
第2搬送路bが選択されると、切り換え手段G1が上方に退避、切り換え手段G2は第3搬送路cを遮断し、第2搬送路bを開放し用紙Sの通過を可能にする。用紙Sは切り換え手段G1、G2の間に形成された通紙路を通過する。
【0045】
その後、用紙Sはシフト手段50に至り、シフト手段50によって所定の枚数毎に搬送幅方向の位置を変えるシフト処理される。
【0046】
シフト処理された用紙Sは、排紙手段60により機外の昇降排紙台61に排出され順次載置される。この昇降排紙台61は順次下降するように構成されており、最大約3000枚(A4、B5)の用紙Sを収容可能である。
【0047】
〈後処理ユニットU〉
図3は、ステイプル処理部70とタッピング部73を有する後処理ユニットUの断面図である。
【0048】
画像形成装置Aの操作部9においてステイプル処理が設定されると、画像形成装置Aで画像形成された用紙Sは後処理装置FSの受入部10、穿孔手段40を通過し、切り換え手段G2の下方の第3搬送路cに送り込まれ、搬送ローラに挟持されて下方に搬送される(図2参照)。
【0049】
第3搬送路cにおいて、用紙Sは、搬送ローラで搬送され、一対の入口搬送ローラ15を経由して、中間スタッカ71上に排出する。
【0050】
一対の入口搬送ローラ15の上流側に配置された用紙検知手段としての用紙センサPS1は、用紙Sの通過を検知する。
【0051】
用紙Sは、後端部が入口搬送ローラ15の挟持位置から開放されると、その自重により中間スタッカ71の傾斜面上を下降し、用紙Sの後端部がステイプラ701、702の綴じ部近傍に設けた突当部材721、722に当接して停止する。
【0052】
図示の巻戻しローラ771は、矢印のような振り子運動で用紙Sを上方から叩き、用紙Sを中間スタッカ71に押して、用紙Sの後端部を突当部材721、722に突き当て、用紙Sの後端揃えを確実にするものである。
【0053】
一対の側端規制部材731は、用紙Sの側端部を揃えるタッピング部73のメイン部材であり、中間スタッカ71の両側面に幅方向に移動可能に配設している。用紙Sが中間スタッカ71に収納される毎に、用紙Sの側端部を軽打して幅方向を規制して用紙Sの側端揃え(幅整合)を行うよう、後述で詳しく説明するIF制御部によって制御されている。
【0054】
用紙束Saは、その主要部を中間スタッカ71の上面と側端規制部材731で支持され、後端側を一対の排出ベルト75及び中間スタッカ71、一対の用紙支持部711、712で支持される。
【0055】
冊子としての全ての用紙Sが中間スタッカ71に収納され、タッピング部73の処理が終了すると、一対のステイプラ701、702を作動して用紙束Saにステイプル針が打針される。
【0056】
上述のようにステイプル処理された用紙束Saは、排出ベルト75の排出爪76により用紙Sの後端部が押圧されて、排出ベルト75上に載せられ、中間スタッカ71の載置面上を滑走して斜め上方に押し上げられ、排紙手段60の排出ローラ63の挟持位置に進行する。用紙束Saは、回転する排出ローラ63に挟持されるように昇降排紙台61上に排出されて積載する。また、排紙手段60の排紙ローラ63の上流側に用紙束Saがステイプル部70から正常に排出されたか否かを検知する排出センサPS2が配設されている(図2)。
【0057】
中間スタッカ71の用紙積載面の一部には切り欠き部が形成されていて(図4参照)、駆動プーリ74Aと従動プーリ74Bに巻回された排出ベルト75が回動可能に駆動される。排出ベルト75の一部には、排出爪76が一体に形成されている。
【0058】
《用紙揃え機構としてのタッピング部》
図4は、タッピング部73及びステイプル処理部70、用紙束の排出機構の要部を示す拡大・平面図である。
【0059】
図示のようにタッピング部73は、一対の側端規制部材731と、側端規制部材731を幅方向に変位可能にするベルト732と、ベルト732を張架し、固定した軸に回転可能に支持された一対のプーリ733及び駆動プーリ734と、駆動プーリ734を回転する整合用モータM2で構成されている。
【0060】
整合用モータM2は、用紙サイズに対応してベルト732を介して一対の側端規制部材731を矢印Xに示すように移動するものである。整合用モータM2はステッピングモータであり、所定のパルス駆動によって側端規制部材731の間隔を任意に変更可能にするものである。
【0061】
後述で詳しく説明するタッピング部の用紙揃え制御は、新たな用紙Sが中間スタッカ71に完全にセットされた時点に、用紙Sの側部を側端規制部材731で軽打し、更に次の用紙Sが中間スタッカ71に進入する前に側端規制部材731を待機位置に戻すよう、側端規制部材731の移動を制御して、中間スタック71上の用紙Sの側端を揃えている。
【0062】
排出用モータM1は、図示のようにベルト、プーリを介して駆動プーリ74Aを回転して2本の排出ベルト75(排出爪76付き)を回動して中間スタッカ71上の用紙Sを昇降排紙台61上に排出する。
【0063】
SP移動用モータM3は、ベルト703を介して一対のステイプラ701、702を相互接近、あるいは相互離間するように任意の幅方向位置に移動可能にするものである。
【0064】
2つの打針用モータM4は、ステイプラ701、702の打針機構を駆動して綴じ針SP1、SP2を用紙束Saに打針させる。
【0065】
〈後処理装置FSのFS制御部〉
図5は、後処理装置FSのFS制御部100における本発明に係る要部を示す、制御ブロック図である。
【0066】
FS制御部100は、CPUからなりFS制御部100のメインを司るFS主制御部101と、本発明に係る入力部及び表示部として機能するFS操作表示部102と、プログラムを記憶しているROM103と、各制御データを記憶するRAM104と、駆動回路105と、画像形成装置AのIF通信手段と通信するFS通信手段106とを有する。上記の各制御ブロックはバス107を介して接続している。
【0067】
FS操作表示部102は、操作者が指示する動作パラメータ等を入力する入力部と、操作者に対して入力操作の支援、あるいはメッセージの通知を表示する表示部とを兼ねている。
【0068】
駆動回路105は、FS主制御部101の指令に従い図4で示した各モータM1〜M4を駆動するハードウエアである。
【0069】
用紙センサPS1及び排出センサPS2が非図示の入力インタフェースを介してFS主制御部101に接続している。
【0070】
FS通信手段106は、画像形成装置AのIF通信手段と通信するインタフェースである。
【0071】
《画像形成装置AのIF制御部》
後処理装置FSと接続する画像形成装置AのIF制御部200は、画像形成装置Aの全体制御を司るIF主制御部201と、本発明に係る入力部及び表示部として機能するIF操作表示部202と、後処理装置FSのFS通信手段106と通信するIF通信手段203と、ネットワークに接続するNT通信手段204とを有している。
【0072】
IF操作表示部202は画像形成装置Aの操作部9にあり、操作者が複写、印刷、画像送信、後処理等のジョブを設定する入力部と、操作者に報知するためのメッセージを表示する表示部と、を兼ねている。つまり、操作者が指示する動作パラメータ等を入力する入力部と、操作者に対して入力操作の支援、あるいはメッセージの通知を表示する表示部とを兼ねている。
【0073】
IF主制御部201は、IF通信手段203を通じて依頼する用紙の後処理ジョブに関する情報を後処理装置FS側に送信する。後処理装置FSは、FS通信手段106を通じて依頼された後処理ジョブの進行状態に関するステータス情報を画像形成装置Aに送信する。
【0074】
IF主制御部201は、NT通信手段204を介してローカルネットワークLAN上の情報処理端末装置PCと通信して各種情報を交換している。例えば、印刷ジョブ(印刷データ、該属性情報)の受理、あるいはステータス情報の返信等を交換している。
【0075】
《タッピング部73の用紙揃え制御》
FS制御部100が主に司り、タッピング部73の要部を作動させる用紙揃え制御に関し、図6及び図7を用いて以下に詳しく説明する。
【0076】
図6は、整合用モータM2の作動によって移動する一対の側端規制部材731の位置を示す、模式図である。
【0077】
後処理装置FSのFS主制御部101は、画像形成装置Aから後処理ジョブ(用紙Sサイズ及び後処理指定)の信号が入力されると、整合用モータM2を駆動させて側端規制部材731をホームポジションHPから第1位置K1に移動させるよう駆動回路105を制御する。
【0078】
第1位置K1は、搬入された用紙Sの幅方向バラツキが考慮され、且つ側端規制部材731が搬入される用紙が接触しないような待避位置であり、用紙Sのサイズに応じて適宜変更され予め設定されている(図6(a)、(b)参照)。用紙幅Wsより10mm程度大きな位置である。
【0079】
次に、FS主制御部101は、用紙センサPS1の信号からステイプル処理部に搬入された用紙Sの先端が検知された時点から所定時間(例えば160ms)経過すると、駆動回路105を制御して側端規制部材731が第2位置K2に移動するよう整合用モータM6をステップ駆動する。
【0080】
第2位置K2への移動の開始は、入口搬送ローラ15から中間スタッカ71上に搬出された用紙が、傾斜配置された中間スタッカ71の面上で滑落し始めるタイミングである(図6(c)参照)。
【0081】
次に、FS主制御部101は、用紙Sの先端検知後にタッピング開始時間T2が経過すると、整合用モータM6を駆動して側端規制部材731を第3位置K3に移動させ、用紙Sを整合する。
【0082】
次にFS主制御部101は、その後所定時間T3経過すると整合用モータM6は逆転駆動して側端規制部材731を前記第1の位置K1に戻す(図6(a)参照)。
【0083】
第3位置K3は、用紙幅Wsよりやや狭い位置(一例として、用紙幅Ws−3mm、片側1.5mm)に設定される。
【0084】
用紙Sの後端が突当部材721、722に当接する前に、降下中の用紙Sを規制するような状態になると、用紙不揃い、あるいはジャム等の不具合が発生する。従って、ジャム等の発生を防止するために、用紙Sの先端が検知された時点から側端規制部材731を第3位置K3に移動させる時点までのタッピング開始時間T2は、タッピング部の重要な動作パラメータとして鋭意検討して定められている。(図6(d)参照)。
【0085】
ところが、タッピング開始時間T2がタッピング処理の周期Ttが画像形成装置Aの能力で決まる用紙排出の周期Tsを上る程に長くなると、タッピング処理の周期Ttに合わせるように画像形成装置Aからの用紙排出の周期Tscを長くする必要となり、画像形成システムとして生産性Pは100%未満になる。一般的にタッピング開始時間T2と生産性Pの間には図14のような関係がある。
【0086】
生産性Pはつぎの式1で定義される。
【0087】
P=Ts/Tsc[%]・・・式1
図7は、整合用モータM6の作動のタイミングチャートと側端規制部材731の位置移動との関係を示す。図7を用いてタッピング部の用紙揃え制御における各部の動作を詳しく説明する。
【0088】
図7の最上部は、側端規制部材731の用紙幅方向における位置を示している。一点鎖線は、用紙Sの側端に相当する。ホームポジションHPと用紙側端の位置Ksと距離Dは、用紙Sのサイズに応じて変わるが、図6で示した第1位置K1、第2位置K2、及び第3位置K3は、用紙側端の位置Ksに対して定まる距離d1、d2、d3隔てた位置であり、用紙Sのサイズに依存せず設定される。
【0089】
図7の上から3番目は、整合用モータM2の停止、正転、逆転の状態を示している。P0は、側端規制部材731をHPからK1まで移動させる待避駆動を示す。その駆動パルス数は用紙Sのサイズに応じて異なるものである。P1は、側端規制部材731をK1からK2まで移動させる整合前駆動を示す。P2は、側端規制部材731をK2からK3まで移動させる整合駆動を示す。P3は、側端規制部材731をK3からK1に移動させる復帰駆動を示す。
【0090】
待避駆動P0の駆動パルス数は用紙Sのサイズに依存するが、整合前駆動P1、整合駆動P2及び復帰駆動P3の駆動パルス数は、用紙Sのサイズに依存しない定数である。
【0091】
図7の上から2番目は、画像形成装置Aから送信される後処理ジョブに関する信号を示す。
【0092】
FS主制御部101は、後処理ジョブの信号を受信すると、用紙Sのサイズに対応する初待避駆動P0を整合用モータM2に動作させるよう、駆動回路105を制御する。
【0093】
図7の最下部は、用紙センサPS1の用紙Sの検知信号(有、無)を示している。
【0094】
FS主制御部101は、用紙センサPS1の信号から用紙先端を検知すると、第1タイマt1、第2タイマt2を作動する。第1タイマt1がカウントアップすると、整合用モータM2に整合前駆動P1を作動させるよう駆動回路105を制御する。同様に、第2タイマt2がタッピング開始時間T2をカウントアップすると、整合用モータM2に整合駆動P2を作動させると共に、第3タイマt3を作動する。第3タイマt3がカウントアップしたら復帰駆動P3を作動させるよう駆動回路105を制御する。
【0095】
第1タイマt1及び第3タイマt3のカウントアップ値は、用紙Sのサイズ等に依存しない固定値としてROM103に登録されている。タッピング開始時間T2は、用紙Sのサイズ(及び斤量等)に応じて定まるものであり、ROM103に参照テーブルTableAとして記憶される。
【0096】
FS主制御部101は、画像形成装置から後処理ジョブの信号(用紙Sのサイズ信号)を受信すると、ROM103に記憶されている参照テーブルTableAを参照してタッピング開始時間T2を決定してRAM104の所定アドレスに記憶させる。実際に後処理装置FSの中間スタックに排出された用紙Sをタッピングする場合には、RAM104の記憶されたタッピング開始時間T2に基づき整合用モータM2の整合駆動P2を実行させる。
【0097】
以上に示した用紙揃え制御は、上記の実施の形態では中間スタッカに搬入される用紙Sの先端検知を起点にして第2タイマt2を作動させているが、用紙Sの後端検知を起点にして作動させるようにしても問題ない。
【0098】
[タッピング機構の動作パラメータの可変調整]
図7に示すように、側端規制部材731で用紙の側端を軽打するタイミング、つまり側端規制部材731の整合駆動P2を開始する第2タイマt2のタッピング開始時間T2は、本発明に係るタッピング部の動作パラメータに対応するものである。第2タイマt2の所定時間T2を以下にタッピング動作パラメータTPと称す。
【0099】
本発明に係る後処理装置FSでは、参照テーブルTableAとして登録されている値をタッピング動作パラメータPTの標準値とする。そして、この標準値に対してタッピング動作パラメータTPを後処理装置FSのFS操作表示部102(図5)、あるいは画像形成装置AのIF操作表示部202(図5)で変更可能である。
【0100】
操作者がタッピング部を利用するような後処理ジョブを選択する際に、複数のタッピング動作パラメータTPのリストで構成された調整用画面を表示する。操作者が調整用画面からひとつのタッピング動作パラメータTPを選択して“OK”ボタンを押下してセットすると、FS主制御部101はRAM104上の現行値を選択されたタッピング動作パラメータPTに書き替える。
【0101】
後処理装置FSのFS操作表示部102(図5)、あるいは画像形成装置AのIF操作表示部202(図5)に複数のタッピング動作パラメータTPで構成された調整用画面を表示する際に、複数のタッピング動作パラメータTPと、各動作パラメータを選択した場合予想される生産性P(%)とを対応付けて表示する。操作者に生産性Pの影響を報知させることによって操作者の適正な選択を支援している。
【0102】
図8は、画像形成装置AのIF操作表示部202に表示されたコピー操作画面PG1を示す。図示のBT1は出力設定を表示させるボタンである。そして、図8は、ボタンBT1が押下され、コピー操作画面PG1の主要領域に出力設定の基本操作画面PG2が展開されている状態を示している。
【0103】
IF主制御部201は、ステイプルボタンBT2が押下されると、後処理機能の選択部PG3にあり、ステイプル処理を選択するボタンである。BT2が押すと図示のようにBT2ボタン内を強調表示させる。更に、OKボタンBT3が押されると、図9に示すタッピング動作パラメータを調整するための調整用画面PG4を最上位にポップアップ表示させる。
【0104】
調整用画面PG4にリスト表示される複数のタッピング動作パラメータPTは、前述で説明した参照テーブルTableAから得た標準動作パラメータTPsと、標準動作パラメータTPsと異なる値の動作パラメータTPとで構成されている。図9では、第1列にタッピング動作パラメータ(ms)を示し、第2列に第1列に表示しているタッピング動作パラメータで後処理ジョブを実行した場合に想定される生産性P(%)を示している。そして、第3列は備考欄である。備考欄の“標準値”は参照テーブルTableAから得た標準のタッピング動作パラメータを示し、“現在値”は現在選択設定されているタッピング動作パラメータTPを示す。
【0105】
図示の“OK”ボタンBT4が押されると、調整用画面PG4で選択されたタッピング動作パラメータTPがIF通信手段203(FS通信手段105)を介してFS主制御部101に変更された新値として送信される。FS主制御部101は、RAM104上の現行値を画像形成装置A側から送信されたタッピング動作パラメータTPに書き替える。
【0106】
更に、IF主制御部201は、図9で示した調整用画面PG4においてタッピング動作パラメータPTを選択した場合に、そのタッピング動作パラメータPTに対応する生産性Pを判定する。そして、その判定結果が『変更するタッピング動作パラメータPTにおける生産性が変更前のタッピング動作パラメータPTにおける生産性より低くなる』、つまり変更するタッピング動作パラメータPTにおける生産性が現行値より低くなる場合に、図10に示すように“生産性が低下した”旨を表示する確認画面PG5を最上位にポップアップ表示させる。
【0107】
なお、ここでは確認画面として報知しているが、これに限定されるものでなく、音声等で操作者に報知するような形態であっても構わない。
【0108】
図10に示す確認画面PG5は、図9の調整用画面PG4においてタッピング動作パラメータPTとして3行目の“200ms”を選択した場合に図示のように生産性は“現行値の100%から90%に低くなる”と判定された場合の一例である。
【0109】
“OK”ボタンBT6が押下されると、選択された“200ms”を有効にし、FS主制御部101は選択されたタッピング動作パラメータ(200ms)をRAM104に記憶し、更に確認画面PG5及び調整用画面PG4を閉じさせる。“CANCEL”ボタンBT7が押下されると、確認画面PG5を閉じさせ、“200ms”への変更を無効にする。
【0110】
図11は、本発明に係るタッピング動作パラメータの変更する調整制御に関するフローチャートを示す。
【0111】
図11の制御フローは、操作者が使用経験の少ない用紙を交換した直後等にタッピング部に関係するジャム(以下においてタッピング部ジャムと称す)が懸念される、あるいは過去に使用した経験からタッピング部ジャムが予見される場合に、タッピング動作パラメータPTを適切に変更できるよう、動作パラメータの調整操作を支援するものである。
【0112】
S101は、図9で示した調整用画面PG4へ移行するか否かを判定する行程であり、“YES”と判定すると、S102に移行する。一例として、前述の図8で示したステイプルボタンBT2、引き続きOKボタンBT3が押された場合を示すが、これに限定されるものではない。
【0113】
S102は、前述で示した図9の調整用画面PG4をIF操作表示部202に表示する行程であり、S103に移行する。
【0114】
S103は、動作パラメータが選択されたか否かを判定する行程であり、選択された場合にS104に移行する。選択がキャンセルされた場合は変更制御を終了する。
【0115】
一例として、前述で示した図9の“200ms”の動作パラメータが選択された状態で“OK”ボタンBT6が押下された場合を示す。
【0116】
S104は、S104で選択されたタッピング動作パラメータTPでタッピング処理を行った場合に想定される生産性は100%未満であるか否かを判定する行程である。“YES”の場合はS105に移行し、“NO”の場合はS107に移行する。
【0117】
S105は、図10で示した確認画面PG5をIF操作表示部202に表示する行程であり、S106に移行する。
【0118】
S106は、調整用画面PG4で選択された動作パラメータTPが確認画面PG5で有効にされたか無効にされたかを判定する行程であり、操作者によって図10に示した“OK”ボタンBT6が押下されると、S107に移行する。“CANCEL”ボタンBT7が押下されると、調整用画面PG4の選択は無効になり、確認画面PG5は消去されて調整用画面PG4の表示に戻る。
【0119】
S107は、S103で選択されたタッピング動作パラメータTPを後処理装置FSのFS主制御部101に送信する行程である。つまり、FS主制御部101がIF制御部200からタッピング動作パラメータTPを受信する行程である。
【0120】
S108は、FS主制御部101が受信したタッピング動作パラメータTPにRAM104を書き替える行程である。
【0121】
本発明に係る動作パラメータ変更制御は、画像形成装置A及び後処理装置FSで構成される画像形成システムを利用されている操作者がタッピング部ジャムが懸念される、あるいは予見される用紙を用いて冊子を作製する場合に、後処理装置FSのタッピング動作パラメータTPを変更することによって、タッピング部ジャムの発生を未然に防ぐことを可能にする。また、タッピング動作パラメータTPを変更する際に、操作者が動作パラメータの変更に伴う生産性の影響を把握しながら適切な動作パラメータに変更することを可能にする。
【0122】
以上に示すように本発明は、多種多様な用紙が使用される環境下でも生産性及び信頼性の両面に優れた後処理装置及び画像形成システムの提供を達成できる。
【0123】
なお、上記の実施形態では、IF操作表示202から変更しているが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置AにLANを介して接続する情報処理端末装置PC、あるいは後処理装置FSのFS操作表示部102から変更するような場合も本発明の対象範囲である。
【0124】
また、上記の実施の形態では、用紙センサPS1による用紙の先端が検知された時点からタッピング部73に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間T2をタッピング部の動作パラメータとしている。但し、用紙センサPS1による用紙の後端が検知された時点からタッピング部73に用紙側端の軽打を開始させる時点までの時間をタッピング部の動作パラメータに置き換え可能である。
【0125】
[タッピング動作パラメータ変更制御における他の実施形態]
この実施形態のタッピング動作パラメータ変更制御は、後処理装置FSのタッピング機構に起因するジャムが所定レベル以上になった場合に、タッピング動作パラメータPTの変更を促すメッセージを操作者に対し自動的に報知するものである。そして、操作者の判断結果に基づき、前述の動作パラメータ変更制御に移行するものである。
【0126】
図12は、タッピング部に関係するジャムを処理するタッピングジャム処理制御を示すフローチャートである。ここでは後処理装置FSのFS主制御部101が主に司っているが、これに限定されるものでなく、画像形成システム内の制御部であればよい、IF制御部201が主体で行うことも可能である。
【0127】
S201は、画像形成装置Aからの後処理に関する信号に基づき画像形成装置Aから搬入される用紙の後処理を実行する行程であり、S202に移動する。
【0128】
S202は、用紙の後処理が終了したか否かを判定する行程であり、否の場合にはS203に移る。そして、終了の場合には後処理ジョブの実行を終了し本制御を終了する。
【0129】
S203は、ジャムが発生したか否かを判定する行程である。ジャムが発生しない場合はS201に継続し、発生した場合には実行中の後処理ジョブを中断しS204に移動する。
【0130】
S204は、発生ジャムがタッピング部ジャムであるか否かを判定する行程であり、タッピング部ジャムを判定した場合にはS205に移行する。他のジャムと判定した場合にはS207に移行する。なお、FS制御部101は、ステイプル処理される用紙束のうち最後に画像形成装置Aから中間スタッカ71に搬入されるラスト用紙が用紙センサを検出された時点から第1の所定時間を経過しても排出センサPS2がステイプル済み用紙束Saを検知しない場合、あるいは第1所定時間に検出されたが更に第2所定時間経過しても排出検出手段PS2が用紙束Saを検知し続ける場合に、タッピング部ジャムが発生したと判定している。
【0131】
S205は、タッピング部ジャムが所定レベル以上であるか否かを判定する行程であり、所定レベル以上の場合にはS206に移行し、所定レベル未満の場合にはS207に移行する。
【0132】
なお、S205行程における『ジャム発生が所定レベル以上か?』の意味するところは、後処理装置FSのタッピング動作パラメータTPに関係するジャム(TPジャム)が1枚発生した場合も包含するものである。また、所定枚数処理する中でTPジャムが所定枚数以上発生した場合、あるいはTPジャムの発生頻度を絶えず演算しその演算結果が所定頻度以上になった場合も含むものである。つまり、TPジャムの発生状態が基準以上に悪化した場合であれば本発明の対象範囲である。
【0133】
S206は、図11で示した動作パラメータ変更制御(S101からS108までの一連の行程)である。この実施形態の場合、S101の行程を実行するために、図12に示すような選択画面PG6を画像形成装置AのIF操作表示部202、あるいは後処理装置FSのFS操作表示部102に表示する。また、前述の実施形態で示したようにS206行程は、IF主制御部201、あるいはFS主制御部101のどちらが主体的に司ってもよい。
【0134】
選択画面PG6について以下に詳しく説明する。図12に示すように、選択画面PG6には『操作者にタッピング動作パラメータの変更を促す』旨のメッセージが表示されている。
【0135】
操作者はこのメッセージからジャム発生の背景を把握できる。そして、操作者によって選択画面PG6の“OK”ボタンBT8が押下されると、S101行程は“OK”と判定しS102に移行し、調整用画面PG4を操作表示部に表示させる。また、 “CANCEL”ボタンBT9が押下されると、S101行程は“NO”と判定し、選択画面PG6を消去させる。
【0136】
S207は、ジャム紙及び後処理装置FS内に滞留している用紙が取り除かれてジャムが解除されている否かを判定する行程であり、ジャム解除と判断するとS201に戻り中断中の後処理ジョブを再開させ、同時に画像形成装置AにFS通信手段106を介してジャム解除のステータス情報を送信する。
【0137】
後処理装置FSのFS制御部100は、タッピング部ジャム(ここでは、タッピング動作パラメータ及びタッピング部に関係するジャム)が発生すると、後処理ジョブを中断すると同時に、タッピング部の動作パラメータを変更するための調整用画面PG4へ移行する選択画面PG6を入力部としてのIF操作表示部201、あるいはFS操作表示部102に表示させる。
【0138】
以上で示したように、本発明は、ジャム発生時に操作者がジャム発生の背景を把握できるように選択画面PG6を表示させ、操作者がジャム発生がタッピング部に関係する場合に生産性を考慮しながら最適なタッピング部の動作パラメータに変更することを可能にするものである。その結果として後処理装置FSのタッピング部ジャムの解消を可能にしている。しかも、操作者が実際に後処理装置FSを使用する中で得られた知識及び経験を生かし、ジャム発生状況における最適な動作パラメータを設定できるため、多種多様な用紙が使用される環境下でも生産性及び信頼性の両面に優れた後処理装置及び画像形成システムの提供を達成できる。
【符号の説明】
【0139】
70 ステイプル処理部
71 中間スタッカ
73 タッピング部
731 側端規制部材
101 FS主制御部
102 FS操作表示部(入力部)
201 IF主制御部
202 IF操作表示部(入力部)
A 画像形成装置
FS 後処理装置
PS1 用紙センサ(用紙検知手段)
PS2 排出センサ
S 用紙
Sa 用紙束
TP タッピング動作パラメータ(タッピング部の動作パラメータ)
T2 タッピング開始時間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から搬入された用紙を収容するスタッカと、該スタッカに収容された用紙の側端を側端規制部材で軽打して用紙揃いを行うタッピング部と、を有する後処理装置と、
前記側端規制部材で用紙の側端を軽打するタイミングをタッピング部の動作パラメータとして、前記タッピング部の動作パラメータに基づき前記タッピング部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記動作パラメータを操作者による指示に基づき変更することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
入力部を有し、前記指示は前記入力部へ操作者が入力することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記スタッカに搬入される用紙を検知する用紙検知手段を有し、
前記タッピング部の動作パラメータが、前記用紙検知手段による用紙の先端又は後端が検知された時点から前記タッピング部に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間であることを特徴とする請求項1、又2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、ジャムが発生した際に当該ジャムが前記タッピング部に関係するか否か判定し、前記タッピング部に関係すると判定された場合に調整画面を表示部に表示させることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
表示部を有し、
前記制御部は、動作パラメータに対応する生産性を判定し、変更する動作パラメータにおける生産性が変更前の動作パラメータにおける生産性より低くなる場合に、生産性が低下する旨を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、選択可能な複数の動作パラメータを表示させた調整画面を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
画像形成装置から搬入された用紙を収容するスタッカと、該スタッカに収容された用紙の側端を側端規制部材で軽打して用紙揃いを行うタッピング部と、
前記側端規制部材で用紙の側端を軽打するタイミングをタッピング部の動作パラメータとして、前記タッピング部の動作パラメータに基づき前記タッピング部を制御する制御部と、を有する後処理装置であって、
前記制御部は、前記動作パラメータを操作者による指示に基づき変更することを特徴とする後処理装置。
【請求項8】
入力部を有し、前記指示は前記入力部へ操作者が入力することにより行われることを特徴とする請求項7に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記スタッカに搬入される用紙を検知する用紙検知手段を有し、
前記タッピング部の動作パラメータが、前記用紙検知手段による用紙の先端又は後端が検知された時点から前記タッピング部に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間であることを特徴とする請求項7、又8に記載の後処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、ジャムが発生した際に当該ジャムが前記タッピング部に関係するか否か判定し、前記タッピング部に関係すると判定された場合に調整画面を表示部に表示させることを特徴とする請求項7から9までの何れか1項に記載の後処理装置。
【請求項11】
表示部を有し、
前記制御部は、動作パラメータに対応する生産性を判定し、変更する動作パラメータにおける生産性が変更前の動作パラメータにおける生産性より低くなる場合に、生産性が低下する旨を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項7から10までの何れか1項に記載の後処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、選択可能な複数の動作パラメータを表示させた調整画面を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項7から11までの何れか1項に記載の後処理装置。
【請求項1】
用紙上に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置から搬入された用紙を収容するスタッカと、該スタッカに収容された用紙の側端を側端規制部材で軽打して用紙揃いを行うタッピング部と、を有する後処理装置と、
前記側端規制部材で用紙の側端を軽打するタイミングをタッピング部の動作パラメータとして、前記タッピング部の動作パラメータに基づき前記タッピング部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記動作パラメータを操作者による指示に基づき変更することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
入力部を有し、前記指示は前記入力部へ操作者が入力することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記スタッカに搬入される用紙を検知する用紙検知手段を有し、
前記タッピング部の動作パラメータが、前記用紙検知手段による用紙の先端又は後端が検知された時点から前記タッピング部に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間であることを特徴とする請求項1、又2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、ジャムが発生した際に当該ジャムが前記タッピング部に関係するか否か判定し、前記タッピング部に関係すると判定された場合に調整画面を表示部に表示させることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
表示部を有し、
前記制御部は、動作パラメータに対応する生産性を判定し、変更する動作パラメータにおける生産性が変更前の動作パラメータにおける生産性より低くなる場合に、生産性が低下する旨を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、選択可能な複数の動作パラメータを表示させた調整画面を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1から5までの何れか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
画像形成装置から搬入された用紙を収容するスタッカと、該スタッカに収容された用紙の側端を側端規制部材で軽打して用紙揃いを行うタッピング部と、
前記側端規制部材で用紙の側端を軽打するタイミングをタッピング部の動作パラメータとして、前記タッピング部の動作パラメータに基づき前記タッピング部を制御する制御部と、を有する後処理装置であって、
前記制御部は、前記動作パラメータを操作者による指示に基づき変更することを特徴とする後処理装置。
【請求項8】
入力部を有し、前記指示は前記入力部へ操作者が入力することにより行われることを特徴とする請求項7に記載の後処理装置。
【請求項9】
前記スタッカに搬入される用紙を検知する用紙検知手段を有し、
前記タッピング部の動作パラメータが、前記用紙検知手段による用紙の先端又は後端が検知された時点から前記タッピング部に用紙側端の軽打を開始させる時点までのタッピング開始時間であることを特徴とする請求項7、又8に記載の後処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、ジャムが発生した際に当該ジャムが前記タッピング部に関係するか否か判定し、前記タッピング部に関係すると判定された場合に調整画面を表示部に表示させることを特徴とする請求項7から9までの何れか1項に記載の後処理装置。
【請求項11】
表示部を有し、
前記制御部は、動作パラメータに対応する生産性を判定し、変更する動作パラメータにおける生産性が変更前の動作パラメータにおける生産性より低くなる場合に、生産性が低下する旨を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項7から10までの何れか1項に記載の後処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、選択可能な複数の動作パラメータを表示させた調整画面を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項7から11までの何れか1項に記載の後処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−262207(P2010−262207A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114329(P2009−114329)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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