説明

徐放性抗菌剤およびその製法ならびにそれを用いるスライム発生防止方法

【課題】
本発明の目的は、塩化ベンザルコニウムの溶出を、長時間にわたって安定に徐放性を維持することができるように制御する徐放性抗菌剤を提供することである。
【解決手段】
本発明は、塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂の溶融物を均一に混合したのち、冷却、固化して得られる徐放性抗菌剤であって、該抗菌剤におけるシリコーン樹脂の比率が70〜85%であることを特徴とする徐放性抗菌剤であり、塩化ベンザルコニウムをスライム発生の防止に効果的な濃度で長期間にわたって溶出という優れた効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライム防止のために用いられる徐放性抗菌剤およびその製法ならびにそれを用いるスライム発生防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室内機の冷房運転中、蒸発器の表面には室内の空気中の水蒸気が凝縮し、ドレンが発生する。このドレンは、蒸発器の下方に配置されたドレンパンに貯留される。ドレンパン内の水が、冷房運転を休止したとき、たとえば夏などの夜間、20〜30℃の温度環境下で、そのドレンパン内の水に微生物が繁殖し、その結果、粘着性の物質(スライムと呼ばれる)がドレンパン内に発生して広がる。このようなスライムは、ドレンパンからの水を排出するためのポンプを閉塞して、故障を生じさせる。
【0003】
先行技術では、室内機の本体から着脱可能にドレンパンを定期的に取外して洗浄する。この先行技術では、室内機が特に天井据付け形であるときには、ドレンパンの着脱を天井の高所で頻繁に行う必要があり、作業性が悪い。
【0004】
この問題を解決するために、ドレンパン内の水でスライムが発生しないようにするためのスライム防止剤が添加される。
【0005】
典型的な先行技術は、特許2727669に開示される。この先行技術は、塩化ベンザルコニウムが水溶性であるので、塩化ベンザルコニウムだけから成る構成では、塩化ベンザルコニウムが短時間で溶出してしまい、長期間にわたる使用が不可能であるという問題を解決するために、塩化ベンザルコニウムに動物性または植物性のロウを加えて成型した構成を有する。この先行技術では、流過する結露水中における微生物の繁殖を、長時間にわたって防止する効果が不明であり、信頼性が劣る。このような問題は、空気調和装置の室内機の結露水に関連して生じるだけでなく、厨房、台所などにおける栄養分が豊富な結露水およびそのほかの液体においても同様な問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2727669号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、塩化ベンザルコニウムの溶出を、長時間にわたって安定に徐放性を維持することができるように制御する徐放性抗菌剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂の溶融物を均一に混合したのち、冷却、固化して得られる徐放性抗菌剤であって、該抗菌剤におけるシリコーン樹脂の比率が70〜85%であることを特徴とする徐放性抗菌剤である。
【0009】
また本発明は、所定量の塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂を、それぞれ溶融し、ついで均一となるよう混合して得られる混合物を冷却、固化することを特徴とするシリコーン樹脂の比率が70〜85%である徐放性抗菌剤の製法である。
【0010】
さらにまた、本発明は、徐放性抗菌剤であって、該抗菌剤におけるシリコーン樹脂の比率が70〜85%である徐放性抗菌剤を結露水中に浸漬することを特徴とするスライム防止方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の徐放性抗菌剤は、塩化ベンザルコニウムとシリコーン樹脂が溶融状態で均一に混合されたのち、冷却された固形物(いわゆるワックスマトリックス)となっているため、成分比で多くを占めるシリコーン樹脂の連続相中に、冷却によって析出した塩化ベンザルコニムが微小な状態で均一に分布するものとなっている。
【0012】
そのため、本発明の徐放性抗菌剤を、空調装置などの結露水中に置くと、当該抗菌剤の周囲に存在する微小の塩化ベンザルコニウムが水に溶解して、抗菌剤の周囲に細孔が形成され、毛細管現象や浸透圧によって細孔内部に水分が侵入して塩化ベンザルコニウムを溶解し、この細孔を経て水中に塩化ベンザルコニウムが溶出する。このような細孔は微細であり、したがって塩化ベンザルコニウムの水への溶出を、長時間にわたって安定に徐放性を維持するように制御することができる。とりわけ、スライム発生の防止に効果的な濃度、たとえば16ppm以上を、長期間にわたって維持することができるようになる。
【0013】
本発明の徐放性抗菌剤は、空調機器のほか、厨房、台所などの栄養豊富な水の殺菌、滅菌のために広範囲に置いて実施することができ、その形状は、立方体、直方体、円柱状などであってもよく、または薄い扁平なフィルム状であってもよく、さらに金型を用いない形状を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の徐放性抗菌剤の実施の一形態の正面図である
【図2】本発明の徐放性抗菌剤が、水温の変化に関係なく、スライム発生防止に適した濃度の塩化ベンザルコニウムを溶出することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の徐放性抗菌剤を長方形に形成した場合を示し、参照符1はその全体を表す。
本発明は、塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂の溶融物を混合したのち、冷却、固化して得られる徐放性抗菌剤であって、該抗菌剤におけるシリコーン樹脂の比率が70〜85%であることを特徴とする徐放性抗菌剤であり、結露水などにおけるスライムの発生を長期にわたって防止するという効果を奏するものである。
【0016】
本発明において使用されるシリコーン樹脂としては、室温硬化形シリコーン樹脂、すなわち軟性シリコーン樹脂であってもよく、硬化形シリコーン樹脂であってもよい。
シリコーン樹脂としては、公知のシリコーン樹脂を好適に使用することができ、かかるシリコーン樹脂としては、例えばKR−216(商品名、信越化学社製)、KR−5206(商品名、信越化学社製)、KR−272(商品名、信越化学社製)、などのシリコーン樹脂があげられる。
【0017】
前述の軟性シリコーン樹脂は、たとえばチューブに収納されて商業的に入手可能であり、チューブから出すと、空気中の湿気と反応して固まる性質を有する。
【0018】
本発明において使用される塩化ベンザルコニウムは、室温で粉末またはゼリー状の物質であり、市販のものを好適に使用することができる。
【0019】
本発明の抗菌剤においては、塩化ベンザルコニウムとシリコーン樹脂の比率が70〜85%であり、これは塩化ベンザルコニウムとシリコーン樹脂の混合比が30/70〜15/85であることを特徴とする。
【0020】
本発明の徐放性抗菌剤は、所定量の塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂を、それぞれ溶融し、ついで混合するか、または所定量の塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂を混合したのち溶融し、ついで均一となるよう混合して得られる混合物を冷却、固化することにより製造することができる。
【0021】
この場合、所定量とは、得られる徐放性抗菌剤中の塩化ベンザルコニウムとシリコーン樹脂の比率が目的とする比率となる量を意味し、例えばシリコーン樹脂の抗菌剤中におけるシリコーン樹脂の比率が70%のものを製造する場合には、シリコーン樹脂70重量部と塩化ベンザルコニウム30重量部を使用することを意味する。
【0022】
溶融および混合は、公知の方法で実施することができ、塩化ベンザルコニウムとシリコーン樹脂をそれぞれ、加熱して溶融させたのち、溶融状態を維持しうる条件下に攪拌すればよい。
【0023】
本発明の徐放性抗菌剤は、シリコーン樹脂と塩化ベンザルコニウムを溶融状態で均一となるよう攪拌した後、冷却の段階で所望の形状となるよう金型等に流し込み、固化させることにより、所望の形状に成型することができる。
【0024】
本発明の徐放性抗菌剤は、任意の形状、たとえば直方体、立方体、円柱状などの形状とすることができる。さらにフィルム状であってもよい。またかかる形状とするためには、金型によって成型されてもよいが、金型を用いることなく、固形物に製造されてもよい。
【0025】
表1は、本件発明者の実験結果を示す。この表1は、空気調和装置の室内機の蒸発器から得られる結露水であるドレンに、塩化ベンザルコニウムを添加し、その濃度が変化したときにおける繁殖した微生物の個数(単位:個/mL)を示す。Lは、リットルを示す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1において、ブランクとは、塩化ベンザルコニウムを添加しないときにおける状態を示す。結露水において微生物を繁殖させず、スライム防止効果を確実に達成するには、塩化ベンザルコニウム濃度16ppm以上であることが必要であり、これによって、各種の微生物の繁殖を抑制することができることが確認された。
【0028】
本発明を実施例および実験例によってさらに具体的に説明する。
(実施例1)
シリコーン樹脂として変性シリコーンワニスKR−216と塩化ベンザルコニウムを、重量比で7対3となる量を用い、変性シリコーンワニスを140℃、20分加熱溶融し、塩化ベンザルコニウムを90℃、10分間加熱溶融したものを機械撹拌によって均一に混合し、金型に流し込み、室温約20℃で冷却固化した。
【0029】
得られた徐放性抗菌剤は、表2に示すとおり、電気伝導度、形態とも比較例に比べて優れた結果を示した。
【0030】
(実施例2)
実施例1において、変性シリコーンワニスKR−216と塩化ベンザルコニウムを、重量比で8対2となる量を用いるほかは、実施例1と同様にして、実施することにより、シリコーン樹脂の比率が80%である徐放性抗菌剤を得た。
【0031】
得られた徐放性抗菌剤は、表2に示すとおり、電気伝導度、形態とも比較例に比べて優れた結果を示した。
【0032】
(実施例3)
実施例1において、変性シリコーンワニスKR−216と塩化ベンザルコニウムを、重量比で8.5対1.5となる量を用いるほかは、実施例1と同様にして、実施することにより、シリコーン樹脂の比率が85%である徐放性抗菌剤を得た。
【0033】
(実験例1)
<実験方法>
実施例1〜3で得られた本発明の実施例と比較例1〜25の徐放性抗菌剤を用いて、電気伝導度、水中での形態変化を基準に徐放性製剤としての性状を評価した。
【0034】
また、比較例1〜25は次のようにして製造した。
(比較例1)
シリコーン樹脂として、変性シリコーンワニスKR−216と塩化ベンザルコニウムを、重量比で9対1となる量を用いるほかは、実施例1と同様にして、実施することにより、シリコーン樹脂の比率が90%である徐放性抗菌剤を得た。
【0035】
(比較例2〜25)
表2に示す樹脂成分と塩化ベンザルコニウムを、表2に示す比率となる量を使用する他は、実施例1と同様にして、実施することにより、樹脂および抗菌剤中の比率を種々変更した比較例の徐放性抗菌剤を得た。
【0036】
比較例として使用した各樹脂の性状は以下のとおりである。
ポリエチレン樹脂のうち、HIWAX(商品名、三井化学社製)は、分子量1,000、密度0.92g/cm3、融点109℃、溶融粘度20cpである。
【0037】
ポリエチレン樹脂であるサンワックス(商品名、三洋化成社製)は、上記の商品名HIWAXとほぼ同様の特性を有する。
【0038】
パラフィン樹脂であるパラフィンワックス130F(商品名、日本精蝋社製)は、融点55℃、粘度3.8cSt/100℃、密度(25℃)0.908g/cm3、引火点228℃、平均分子量373である。
【0039】
アルキルフェノール樹脂であるタマノル510(商品名、荒川化学工業社製)は、軟化点(環球法)75〜95℃である。石炭酸系樹脂であるタマノル758は、軟化点(環球法)78〜86℃であり、高純度フェノールである。
【0040】
(結果)
<結果>
結果は、下記表2に示すとおりであり、本発明の徐放性抗菌剤は電気伝導度、水中での形態変化とも優れた効果を示したが、比較例の徐放性抗菌剤は、表2に示すとおり、本発明の徐放性抗菌剤に比べて、電気伝導度、形態とも劣っておりスライム防止には適していないことが明らかであった。
【0041】
【表2】

(上記表において、樹脂比率は、本件徐放性抗菌剤1に含まれる樹脂の重量混合比を表し、たとえば樹脂比率80%というのは、シリコーン樹脂と塩化ベンザルコニウムとの重量混合比が80/20であることを示す。)
【0042】
表2における評価方法は、各実施例および比較例の徐放性抗菌剤を、水に浸漬し、6時間経過した時点で、徐放性抗菌剤の形状にほとんど変化がないときを◎、形状を保持しているときを○、水への溶出速度が高く、寸法形状の保持が困難である場合を×印で示した。
【0043】
(実験例2)
<実験方法>
実施例および比較例の徐放性抗菌剤のうち、表3に示すものを使用して、経日的な塩化ベンザルコニウムの溶出濃度の変化を調べた。溶出濃度の測定は、各日毎に、水を新たに取換えて、その濃度がほぼ一定になる約10時間経過後における塩化ベンザルコニウムの濃度を測定した。
【0044】
【表3】

(上記表において、−は塩化ベンザルコニウムが検出されなかったことを示す)
【0045】
<結果>
結果は、表3に示すとおりであり、本発明の徐放性抗菌剤である実施例3(抗菌剤中のシリコーン樹脂の比率が70%のもの)は、最初から結露水のスライム防止に有効な濃度の塩化ベンザルコニウムを溶出していることがわかった。
【0046】
これに対して、各比較例の徐放性抗菌剤は、初期の溶出濃度が高すぎ長期間にわたる塩化ベンザルコニウムの徐放効果がえられないか(比較例3、4、14〜16、20、24および25)、または当初からスライム防止に有効な溶出濃度が得られない(比較例1、13、17、18、21および22)ことが確認された。
【0047】
例えば、比較例1は実施例3と同じシリコーン樹脂を90%の比率で使用したものであるが、全く塩化ベンザルコニウムを溶出していない。
【0048】
また、比較例14は、パラフィンワックスを実施例3と同様の樹脂比率(70%)で使用したものであるが、当初の溶出速度が大きいうえ、3日目には塩化ベンザルコニウムの溶出が見られない。
【0049】
これらの結果から、シリコーン樹脂を抗菌剤中に70〜85%含有させた本発明の抗菌剤は、当初からスライム防止に適した濃度の塩化ベンザルコニウムを溶出し、長期間にわたってスライムの発生を防止するという優れた効果を奏することが明らかである。
【0050】
(実験例3)
<実験方法>
本発明の徐放性抗菌剤が水の温度変化により、溶出濃度がどのような影響を受けるかを調べた。
【0051】
本発明の徐放性抗菌剤として、シリコーン樹脂を抗菌剤に対して樹脂比率が81.5%となるようにする他は実施例1と同様にして製造したものを使用した。
【0052】
<結果>
結果は、図2に示すとおりであり、水の温度の変化にかかわらず、スライム防止効果を達成するために必要な参照符2で示される16ppm以上の濃度を維持することができ、優れた効果を得ることができることが、確認された。
なお、塩化ベンザルコニウム濃度測定は、実験例2と同様にして実施した。
【0053】
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)4級アンモニウム塩とシリコーン樹脂とを含み、固形物であることを特徴とする徐放性抗菌剤。
【0054】
塩化ベンザルコニウムにシリコーン樹脂、さらにはアルキルフェノール樹脂を含んで固形物とした徐放性抗菌剤が得られ、これによって長時間にわたって安定した徐放性を維持して水に溶出する塩化ベンザルコニウムの濃度を正確に制御することができるようになる。
【0055】
(2)前述の徐放性抗菌剤を、結露水に、浸漬することを特徴とするスライム防止方法である。
【0056】
空気調和装置の室内機の蒸発器からの結露水であるドレンに、徐放性抗菌剤を浸漬することによって、4級アンモニウム塩がその水に溶出し、長時間にわたり、安定した徐放性を維持してスライムの発生を防止することができる。4級アンモニウム塩の水への溶出によって、スライム発生の防止に効果的な4級アンモニウム塩の濃度、たとえば16ppm以上を、長期間にわたって維持することができるようになる。シリコーン樹脂は、室温硬化形シリコーン樹脂、すなわち軟性シリコーン樹脂であってもよいが、硬化形シリコーン樹脂であってもよい。前述の軟性シリコーン樹脂は、たとえばチューブに収納されて商業的に入手可能であり、チューブから出すと、空気中の湿気と反応して固まる性質を有する。硬化形シリコーン樹脂は、粉末を高温度で一度溶融してから室温に冷却することによって、硬く固まる性質を有する。
【0057】
4級アンモニウム塩とシリコーン樹脂とを含んで構成される固形物である徐放性抗菌剤を、たとえば空気調和装置の室内機における蒸発器の結露水であるドレンを受けるドレンパン内などの結露水の流路に浸漬することによって、4級アンモニウム塩が水に溶出し、これによって本件徐放性抗菌剤に細孔が形成され、この細孔を経て、結露水などの抗菌すべき液体中に、4級アンモニウム塩が溶出する。このような細孔は微細であり、したがって4級アンモニウム塩の水への溶出を、長時間にわたって安定に徐放性を維持するように制御することができる。シリコーン樹脂は、水に不溶性である。シリコーン樹脂は、製造過程で発生した亀裂により、4級アンモニウム塩が溶出する特性を併せ持っていてもよい。
【0058】
厨房、台所などの栄養豊富な水の殺菌、滅菌のために、広範囲に実施することができる。固形物の形状は、立方体、直方体、円柱状などであってもよく、または薄い扁平なフィルム状であってもよく、さらに金型を用いない形状を有してもよい。
【0059】
(3)シラノール基を持ち、シリコーン樹脂と4級アンモニウム塩との混合比は、10/90〜85/15であることを特徴とする徐放性抗菌剤。

【0060】
シラノール基を持つシリコーン樹脂を、4級アンモニウム塩との重量混合比10/90〜85/15で混合して、徐放性抗菌剤を得る。これによって4級アンモニウム塩の溶出する速度を正確に制御することが、確実になる。
【0061】
(4)4級アンモニウム塩と、シリコーン樹脂と、アルキルフェノール樹脂とを含み、固形物であることを特徴とする徐放性抗菌剤。
【0062】
(5)4級アンモニウム塩とアルキルフェノール樹脂とを含み、固形物であることを特徴とする徐放性抗菌剤。
【0063】
4級アンモニウム塩にアルキルフェノール樹脂を含み、シリコーン樹脂を含まなくてもよく、このような構成によっても、長期間にわたる安定した徐放性を維持するように、4級アンモニウム塩の水への溶出を正確に制御することができるようになる。
【0064】
(6)塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムであることを特徴とする徐放性抗菌剤。
【符号の説明】
【0065】
1 徐放性抗菌剤
2 スライム防止効果を達成するために必要な濃度16ppmを示すライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂の溶融物を均一に混合したのち、冷却、固化して得られる徐放性抗菌剤であって、該抗菌剤におけるシリコーン樹脂の比率が70〜85%であることを特徴とする徐放性抗菌剤。
【請求項2】
所定量の塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂を、それぞれ溶融し、ついで均一となるよう混合して得られる混合物を冷却、固化することを特徴とするシリコーン樹脂の比率が70〜85%である徐放性抗菌剤の製法。
【請求項3】
塩化ベンザルコニウムおよびシリコーン樹脂の溶融物を均一に混合したのち、冷却、固化して得られる徐放性抗菌剤であって、該抗菌剤におけるシリコーン樹脂の比率が70〜85%である徐放性抗菌剤を、結露水に浸漬することを特徴とするスライム防止方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−155351(P2009−155351A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101429(P2009−101429)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【分割の表示】特願2002−90216(P2002−90216)の分割
【原出願日】平成14年3月28日(2002.3.28)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】