説明

徐放性肥料組成物

徐放性肥料組成物及びこの徐放性肥料組成物の製造方法について記載する。この徐放性肥料組成物は水溶性肥料コアを含み、このコアは高分子層、中間層及び硫黄層によって被覆される。望ましい場合は、この硫黄層を外方非水溶性層で被覆することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、徐放性肥料に関する。
【背景技術】
【0002】
肥料は、培地において栄養素を補うために長年に亘って使用されている。近年、調節された量の植物栄養素を土壌又はその他の培地に送出するための技術に注目が集まっている。例えば、栄養素をより長時間に亘って放出させることによって、植物による施肥効率が上昇し、肥料の必要投与回数が減ることから肥料投与コストが削減され、溶脱及び脱窒によって失われる栄養素が減少することを含む利点が得られるため、可溶性が極めて高い肥料の顆粒からの植物栄養素(窒素等)の放出を制御することが望ましいとわかる。肥料顆粒の表面に硫黄のコーティングを施すことによって、顆粒の溶解速度が低下し、徐放特性が付与される場合がある。基本的に、亀裂、裂け目等の傷が顆粒のコーティングに生じる又は微生物の作用によってコーティングに穴が開くまで、土壌中の水分及び雨水は、極めて可溶性が高い肥料から遠ざけられる。
【0003】
顆粒上に施される結晶状固形硫黄コーティングは元々脆く、また顆粒の多くにおいてコーティングは薄く又は非連続的でさえあるため、何らかの2次的外方コーティング又はシーリング剤を、硫黄被覆面に塗布することが重要である。このシーリング剤は、慣用的には高分子炭化水素、石油系蝋又は高粘度高分子量パラフィン油とポリエチレンとを組み合わせたものであり、熱いが固化している硫黄被覆面にホットメルト液として噴霧によって塗布される。これらの硫黄被覆肥料は極めてよく使用されているものの、均一なコーティング厚さを得ること、硫黄コーティングの亀裂から得られる予測可能な放出特性、不可欠となる耐摩耗・耐衝撃性及び処理工程の複雑度という観点から問題がある。
【0004】
より最近では、上述のような硫黄被覆肥料に関する問題点により、ポリマー被覆肥料に、特にはコーティング塗布量がより少ない特定のポリマー被覆肥料で得られる改良された徐放特性という観点から、大きな関心が集まっている。
【0005】
米国特許第5538531号(Hudson)明細書は、複数の非水溶性の耐摩耗性コーティングに包まれた水溶性肥料の中心塊を有する徐放性粒子状肥料生成物について教示している。少なくとも1つの内方コーティングが、記載のイソシアネートとポリオールとの反応から得られるウレタン反応生成物である。外方コーティングは有機蝋から形成される。
【0006】
米国特許第6358296号(Markuschら)明細書は、オレオポリオールを使用した緩効性ポリウレタンカプセル化肥料について教示している。米国特許第5851261号(Markuschら)明細書では、ポリ尿素カプセル化肥料粒子の製造方法が提供され、この方法は、少なくとも2つのアミン基を有するイソシアネート反応性成分を肥料粒子に塗布し、ポリイソシアネートをこのアミン被覆粒子に塗布してポリ尿素被覆粒子を形成することを含む。
【0007】
硫黄含有イソシアネート組成物及びカプセル化肥料組成物の製造方法が、米国特許第6152981号(Markuschら)明細書に記載されている。この肥料組成物は、硫黄とイソシアネートとの混合物を肥料に塗布し、次にイソシアネート反応性材料を塗布することによって調製される。米国特許第5599374号(Detrick)明細書は、硫黄コーティングを肥料コアに塗布し、その後、ポリマーコーティングをその硫黄上に塗布する肥料組成物について記載している。
【0008】
米国特許第6231633号(Hiranoら)明細書は、ウレタン等の熱硬化性樹脂コーティング及び蝋等の疎水性化合物で被覆された顆粒状肥料を教示している。米国特許第6663686号(Geigerら)明細書は、ポリウレタン及び蝋を使用した緩効性ポリウレタンカプセル化肥料について教示している。
【0009】
粒子状植物栄養素を有機油及び粒子でプレコートすることによって、この粒子状植物栄養素の放出プロファイルを改善することも当該分野で知られている(米国特許第6039781号、Goertzら)。
【0010】
米国特許第6338746号(Detrickら)明細書は、肥料をまずポリマーで被覆し、次にこのポリマーを硫黄で被覆し、その後、ポリマーコーティングを塗布する方法について記載している。ポリマーは、米国特許第4711659号(Moore)明細書、第4804403号(Moore)明細書及び第5374292号(Detrick)明細書に記載されている。これらのポリマーは、基体が最少量の反応性−NH2基を有することを必要とする。このため、緩効性が望ましいとされる全ての肥料組成物に適用できるわけではない。
【0011】
上述のようなポリマー被覆肥料に大きな関心が集まっているものの、その製造コストは高くつく。このため、当該分野において、耐摩耗性であり且つ肥料製造コストを削減できる徐放性肥料処方を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、徐放性肥料に関する。
【0013】
本発明は、粒子状の植物栄養素化合物の水溶性中央コアと、この植物栄養素上のポリマーコーティングと、このポリマー層上の中間層(IL)と、この中間層上の元素硫黄層とを含む徐放性肥料組成物を提供する。この徐放性肥料組成物は、元素硫黄層上に外方非水溶性層を含み得る。中央コアの植物栄養素は、尿素であり得る。ポリマー層は、熱硬化性高分子層であり得る。中間層及び外方非水溶性層は同一又は異なり、石油製品、蝋、パラフィン油、ビチューメン、アスファルト、潤滑剤、石炭製品、油、菜種油、大豆油、ココナツ油、亜麻仁油、桐油、植物蝋、動物性脂肪、動物蝋、林産物、トール油、変性トール油、トール油ピッチ、パインタール、合成油、合成蝋、合成潤滑剤、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−ビニル、アルコール−ビニルアセテートターポリマー、界面活性剤、セッケン及びこれらの組み合わせから成る群から選択され得る。
【0014】
本発明は、質量基準で約37%N〜約44%Nの植物栄養素化合物と、質量基準で約1.2〜約3.0%のポリマー層と、質量基準で約0.1〜約0.8%の中間層と、質量基準で約1.7〜約15%の元素硫黄層とを含む、上述のような徐放性肥料組成物も提供する。更に、この徐放性肥料組成物が外方非水溶性層を備える場合、この層は約0.1〜約0.8質量%を構成する。
【0015】
本発明は、徐放性肥料組成物を製造するための方法にも関し、この方法は、植物栄養素化合物を、ポリマーを形成する反応性の2種以上の前駆体化合物で被覆し、中間層をこのポリマーに塗布し、溶融硫黄を中間層上に噴霧して硫黄層を形成することを含む。外方非水溶性層を硫黄層上に塗布し得る。ポリマーは熱硬化性ポリマーであり得て、また植物栄養素化合物を、ポリマーを形成する反応性の2種以上の前駆体化合物で被覆する工程は、ポリマーを熱硬化させるのに十分な温度で行われ得る。
【0016】
本発明は、質量基準で約37%N〜約44%Nの植物栄養素化合物と、質量基準で約1.2〜約3.0%のポリマー層と、質量基準で約0.1〜約0.8%の中間層と、質量基準で約1.7〜約15%の元素硫黄層とを含む上述のような方法にも関する。更に、この徐放性肥料組成物が外方非水溶性層を備える場合、この層は約0.1〜約0.8質量%を構成する。ポリマー層は熱硬化性高分子層になり得る。
【0017】
本明細書に記載の徐放性肥料は耐衝撃性及び耐摩耗性を示し、低コストで製造され、徐放性肥料組成物についての業界における要件に沿い且つ従来技術で知られるような徐放性製剤の特徴と同様の形で肥料コアの徐放を行う。従来技術(例えば、米国特許第6338746号明細書)に記載されるような熱硬化性ポリマーの外層を除去し、また肥料コアを被覆する最内層上に熱硬化性ポリマーコーティングを利用することによって、熱硬化性ポリマー層の形成に必要な前駆体モノマー化合物の必要量が少なくなる。更に、ポリマー層を被覆する1つ以上の中間層を硫黄層と組み合わせることによって、ポリマーコーティングの量を削減することができる。中間層成分及び硫黄は、ポリマーコーティングと比べると比較的安価である。このため、徐放性肥料組成物の製造に関連したコストが大幅に削減され、また最終的な肥料組成物中に存在する肥料成分を質量基準で増量することができる。37%N〜44%Nを含み且つ所望の徐放特性を有する組成物を、本明細書に記載の方法を使用して得ることができる。
【0018】
更に、高分子外方コーティングを備えた従来技術の肥料組成物では、肥料の取り扱い及び包装前に高分子層を硬化させる時間を必要とする。このため、製造後、包装する前に肥料組成物を貯蔵する工程を必要とする。外方高分子層が硬化してから、肥料組成物を包装し得る。この外方高分子コーティング層を排除することで本発明の肥料組成物では製造に続いて包装が可能であり、外方コーティングを硬化させる工程を必要としない。したがって、本明細書に記載されるような徐放性肥料組成物及びこの肥料の製造方法によって製造効率が上昇する。
【0019】
本発明のこの概要が、本発明の全ての特徴を必ずしも説明しているとは限らない。
【0020】
本発明のこれら及びその他の特徴は、添付の図面を参照する以下の説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1A】図1は肥料放出の経時変化を示す。図1Aは、肥料組成物の幾つかの実施例の衝撃試験前の放出を示す。
【図1B】図1は肥料放出の経時変化を示す。図1Bは、肥料組成物の幾つかの実施例の衝撃試験後の放出を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、徐放性肥料に関する。
【0023】
本発明は、内側から外側に向かって順番にポリマー層、中間層(IL)、硫黄層及び望ましい場合は外方非水溶性層から成る一連のコーティングによって取り囲まれた粒子状植物栄養素を含む徐放性肥料組成物に関する。
【0024】
本発明の徐放性肥料材料に有用な粒子状植物栄養素材料の選択に制限はない。本発明の肥料材料を、植物栄養素として主に尿素を挙げて説明している。しかしながら、当業者には明らかなように、微量栄養素を含むその他の栄養素を使用して、本発明による徐放性肥料組成物を調製することもできる。例えば、植物栄養素材料は、窒素、リン、カリウム、硫黄、微量栄養素及びこれらの混合物から成る群から選択され得る。その他の肥料材料も利用することができ、例えば、限定するものではないがリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及びこれらの混合物又は基本的な肥料材料の顆粒混合物を挙げることができる。有用な微量栄養素の非限定的な例は、銅、亜鉛、ホウ素、マンガン、鉄及びこれらの混合物を含む群から選択され得る。
【0025】
尿素は、その表面に官能性反応基を有していることを特徴とし、ポリマー層を形成する際、ジイソシアネートとの反応にはこの官能性反応基が使用され得る。この反応によってポリマー層は尿素に化学的に結合される。しかしながら、本発明において、ポリマー層を尿素材料に結合させる必要はない。
【0026】
本明細書に記載されるような徐放性肥料組成物内に存在する肥料の量は、肥料組成物の質量に対して約37%N〜約45%N(質量基準)又はこの数値間のいずれかの量、例えば、肥料組成物の質量に対して37%N、38%N、39%N、40%N、41%N、42%N、43%N、44%N(質量基準)又はこの数値間のいずれかの量になり得る。本明細書に記載されるような徐放性肥料組成物の成分及び徐放性肥料の製造方法を使用して、42%N〜43%N(窒素:N)を含む高濃度肥料がごく普通に製造されている。
【0027】
本発明の徐放性肥料組成物の肥料コアは、高分子コーティングで被覆される。高分子コーティングの例(Concise Encyclopedia of Chemical Technology(CECT)、Wiley InterScience(1985)を参照のこと)には、ポリウレタン又はポリエステル、例えばアルキド(CECTの70〜71頁)若しくは変性アルキド樹脂(CECTの70〜71頁)、エポキシ樹脂(CECTの431〜433頁)、アミノプラスチック樹脂(CECTの90〜91頁)、ユリアホルムアルデヒド熱硬化性樹脂(CECTの9〜92頁)、メラミン−ホルムアルデヒド熱硬化性樹脂(CECTの90頁)、フェノール熱硬化性樹脂(CECTの867〜868頁)、ポリイミド熱硬化性樹脂(CECTの932〜933頁)、不飽和ポリエステル熱硬化性樹脂(CECTの926〜927頁)及びこれらの混合物を含むコーティングが含まれる。高分子コーティングは、熱硬化性高分子コーティングになり得る。
【0028】
本発明の徐放性肥料の高分子層は例えばポリウレタンであり、このコーティングは、2種以上の前駆体化合物を使用して形成され得る。例えば、これらの前駆体化合物の1つはイソシアネート、例えばジイソシアネート又はポリイソシアネートである。ジイソシアネートの非限定的な例は高分子MDI(4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート)であるが、米国特許第4804403号(Moore)明細書(例えば、第8欄64行目〜第9欄 行目及び実施例1を参照のこと。この内容は参照により本明細書に取り込まれる)に記載されるように、その他の多官能性イソシアネートを利用することもでき、脂肪族、芳香族及び脂肪族芳香族ポリイソシアネートが含まれる。イソシアネートは反応可能な2つ以上の−NCO基を有し、当業者に知られているように、ウレタンポリマーの製造に広く使用される。適したイソシアネートの非限定的な例には、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、フルフリリデンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4´−ジフェニル−3,3´−ジメチルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアネート−5−クロロベンゼン、2,4−ジイソシアネート−s−トリアジン、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、ビス−(4−イソシアネートフェニル)メタン、ビス−(3−メチル−4−イソシアネートフェニル)メタン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート及びこれらの混合物が含まれる。
【0029】
本明細書に記載されるような高分子コーティングの形成に使用される2種以上の前駆体化合物の2つめには、例えば米国特許第4804403号(Moore)明細書に記載されるようにポリオールが含まれ得る(例えば、第9欄3〜20行目及び実施例1を参照のこと;この内容は参照により本明細書に取り込まれる)。ポリオールの非限定的な例には、ジエチレングリコールポリオール、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、有機ポリオール(例えば、米国特許第4804403号(Moore)明細書に記載される通りである。この内容は参照により本明細書に取り込まれる)、オルトフタレートジエチレングリコール系ポリエステルポリオール、テレフタレート−ジエチレングリコール系ポリエステルポリオール、ひまし油、アミン基又はOH基を有するように変性された油、例えば変性桐油、大豆油、菜種油、ひまわり油、亜麻仁油(例えば、米国特許第6364925号(Markuschら)明細書の例えば第8欄39行目〜第9欄27行目及び実施例、米国特許第6358296号(Markuschら)明細書の例えば第9欄1〜13行目及び実施例を参照のこと。この内容は参照により本明細書に取り込まれる)、オレオポリオール、例えばエポキシ化ひまし油、エポキシ化ひまわり油、エポキシ化亜麻仁油(米国特許第6358296号(Markuschら)明細書に記載される通りである。この内容は参照により本明細書に取り込まれる)、ポリエーテルポリオール、ひまし油誘導体、例えばひまし油とジオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)から選択されたポリオールとを反応させることによるひまし油の部分加水分解産物、グリセロール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、リシノール酸とこれらの化合物から選択されたポリオールとの間の反応によって生成されるエステル(米国特許第6176891号(Komoriyaら)明細書に記載される通りである。例えば第7欄4〜16行目、第8欄49〜62行目を参照のこと。この内容は参照により本明細書に取り込まれる)及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0030】
本発明で使用されるポリマーコーティングがイソシアネート又はポリオール系である必要はない。ポリマーは、熱硬化性であって植物栄養素に塗布することができ且つ徐放特性又は徐放特性の一部を肥料組成物に付与する実質的にいずれのポリマーでもあり得る。
【0031】
植物栄養素材料を取り囲むポリマーコーティングは、最終的な肥料組成物の約0.5〜約3.0質量%の範囲内の量又はこの数値間のいずれかの量で存在する。例えば、高分子コーティングは、最終的な肥料組成物の約0.5〜約2.5質量%若しくはこの数値間のいずれかの量、肥料組成物の質量に対して約1.2〜約1.8質量%若しくはこの数値間のいずれかの量又は肥料組成物の質量に対して約0.5、0.7、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0質量%若しくはこの数値間のいずれかの量を構成し得る。
【0032】
上述のようなポリマーコーティングは、硫黄の塗布を促進する材料で被覆される。このコーティングは本明細書において中間層(IL)と称される。この中間層に使用し得る好ましい材料には、限定するものではないが石油製品、蝋、パラフィン油、ビチューメン、アスファルト、潤滑剤、石炭製品、油、菜種油、大豆油、ココナツ油、亜麻仁油、桐油、植物蝋、動物性脂肪、動物蝋、林産物、トール油、変性トール油、トール油ピッチ、パインタール、合成油、合成蝋、合成潤滑剤、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、エチレン−ビニルアルコール−ビニルアセテートターポリマー、界面活性剤、セッケン及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0033】
ポリマーコーティング及び中間層を、例えば米国特許第6663686号明細書(この内容は参照により本明細書に取り込まれる;第2〜6欄を参照のこと)に記載されるように、硫黄層の追加に先だって予備混合物として塗布し得る。この例において、ポリマー/蝋予備混合物の蝋成分は、(ポリマーと蝋との組み合わせ全体の)約10〜約60質量%若しくはこの数値間のいずれかの量のポリマー/蝋予備混合物、例えば(ポリマーと蝋との組み合わせ全体の)40〜60質量%若しくはこの数値間のいずれかの量又は(ポリマーと蝋との組み合わせ全体の)10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60質量%若しくはこの数値間のいずれかの量を構成し得る。
【0034】
肥料組成物が外方非水溶性層を備える場合、内側の中間層及び外方非水溶性層は同一又は異なる成分を含み得る。
【0035】
中間層、外方非水溶性層又は中間層と外方非水溶性層との両方に蝋を使用する場合、この蝋は1種類から成る蝋又は異なる複数の蝋の混合物になり得る。例えば、蝋を、中間石油蝋、α−オレフィン蝋、ポリエチレン蝋、パラフィン蝋、シリコン蝋、軟蝋、微結晶蝋及び天然蝋から選択し得る。本発明の徐放性肥料の組成物で使用し得る非限定的な蝋には、米国特許第5538531号(Hudson)明細書(例えば、第5欄13〜27行目及び実施例を参照のこと;この内容は参照により本明細書に取り込まれる)に記載のものが含まれる。蝋は、ドロップ融点(drop melting point temperature)約60〜80℃又はこの数値間のいずれかの温度、例えば60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80℃又はこの数値間のいずれかの温度を有し得る。
【0036】
ポリマー被覆植物栄養素材料を取り囲む中間層は、肥料組成物の質量に対して約0.1〜約1.0%の範囲内の量又はこの数値間のいずれかの量で存在し得る。例えば、非水溶性層は、肥料組成物の質量に対して約0.2〜約0.5%若しくはこの数値間のいずれかの量又は肥料組成物の質量に対して0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0%若しくはこの数値間のいずれかの量で存在し得る。中間層の量の非限定的な例は肥料組成物の約0.3質量%であり、この例において、中間層は中間石油蝋になり得る。しかしながら、油、グリース、蝋又はこれらの混合物も上述したように使用し得る。
【0037】
中間層を、肥料コア及びポリマーコーティングがまだ熱いうちに(例えば、約120oF(48.887℃)〜約250oF(121.11℃)又はこの数値間のいずれかの温度)ポリマー被覆肥料に塗布し得る。この温度は中間層に使用され得る成分の一部の融点より高いため、中間層は高分子層周囲に液状でコーティングを形成し得る。ポリマーコーティング上の中間層の厚さ及び量を、塗布する中間層の量並びに肥料コア及びポリマー被覆コアの温度制御によって変化させ得る。
【0038】
中間層材料、外方非水溶性層材料又は中間層材料と外方非水溶性層材料との両方は、石油製品、例えば限定するものではないが蝋、例えば限定するものではないが石油蝋、パラフィン油、ビチューメン、アスファルト、潤滑剤及びこれらの組み合わせの群から選択され得る。中間層もまた、限定するものではないが石炭製品、石炭由来油、石炭由来潤滑剤、石炭由来ビチューメン、石炭由来蝋及びこれらの組み合わせ、又は天然物、例えば限定するものではないが植物油、例えば限定するものではないが菜種油、大豆油、ココナツ油、ひまわり油、ひまし油、亜麻仁油、桐油、植物蝋、動物性脂肪、動物蝋、林産物、例えばトール油、変性トール油、トール油ピッチ、パインタール及びこれらの組み合わせを含む群から選択され得る。合成生成物、例えば限定するものではないが合成油、合成蝋、合成潤滑剤及びこれらの組み合わせも中間層に使用し得る。上で挙げた2つ以上の分類に属する材料の混合物、例えば石油製品、石炭製品、天然物、合成生成物及びこれらの材料の組み合わせも使用し得る。更に、材料は、工業プロセスの副生成物としても入手し得る。本発明の肥料の中間層材料は、セッケン、界面活性剤又はこれらの組み合わせからも選択され得る。
【0039】
理論による拘束を望むものではないが、硫黄層を塗布する場合、中間層は潤滑剤として機能し得る。中間層の使用は、徐放性肥料組成物製造中の硫黄の均一な被覆を確保し得る。また、徐放性肥料組成物に塗布する必要がある硫黄の量を最小限に抑え得る。したがって、潤滑剤の役割を果たす材料を、中間層の成分として使用し得る。
【0040】
上述のように、中間層材料は油、蝋と油との組み合わせ又は蝋、油若しくはこれらの組み合わせと組み合わせた別の潤滑剤になり得る。油を使用する場合(単体又は蝋若しくは別の潤滑剤との組み合わせ)、油が約120oF(48.887℃)〜約250oF(121.11℃)又はこの数値間のいずれかの温度、例えば120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250oC又はこの数値間のいずれかの温度の液状であることが好ましい。
【0041】
外方非水溶性層を使用して硫黄層を取り囲む場合、この外方非水溶性層は、肥料組成物の質量に対して約0.1〜約1.5%又はこの数値間のいずれかの量で存在する。例えば、非水溶性層は、肥料組成物の質量に対して約0.2〜約0.8%若しくはこの数値間のいずれかの量又は肥料組成物の質量に対して0.1、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、1.2、1.5%若しくはこの数値間のいずれかの量で存在し得る。
【0042】
非水溶性層の量の非限定的な例は肥料組成物の約0.5質量%であり、この例において、非水溶性層は中間石油蝋であり得る。蝋は、約60〜80℃又はこの数値間のいずれかの温度であるドロップ融点を有し得て、例えば60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80℃又はこの数値間のいずれかの温度である。
【0043】
徐放性肥料組成物の取り扱い中に発生する硫黄粉塵の量を最小限に抑えるために、外方非水溶性層を使用し得る。非水溶性層は、肥料組成物の耐摩耗性も上昇させ、また肥料組成物が水に曝露された場合に徐放性肥料組成物内の肥料の放出を制御する機能を果たす。外方非水溶性層は、硫黄コーティングの亀裂内への水分の侵入を防止する疎水性層としての役割を果たし得る。
【0044】
外方非水溶性層の油の含有量は、層の適切な硬化を確実にし、最終的な肥料生成物が適切に取り扱いし易くなるように、約5%未満であるべきである。
【0045】
硫黄層は、ポリマー被覆植物栄養素材料の蝋コーティングを、肥料組成物の質量に対して約1.7〜約15%の範囲内の量又はこの数値間のいずれかの量で取り囲む。例えば、硫黄コーティングは、肥料組成物の質量に対して約2〜4%若しくはこの数値間のいずれかの量、肥料組成物の質量に対して約2.2〜3.8%若しくはこの数値間のいずれかの量又は肥料組成物の質量に対して約1.7、1.9、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、4.4、4.6、4.8、5.0、5.2、5.4、5.6、5.8、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、8.2、8.4、8.6、8.8、9.0、9.2、9.4、9.6、9.8、10.0、10.2、10.4、10.6、10.8、11.0、11.2、11.4、11.6、11.8、12.0、12.2、12.4、12.6、12.8、13.0、13.2、13.4、13.6、13.8、14.0、14.2、14.4、14.6、14.8、15%若しくはこの数値間のいずれかの量を構成し得る。
【0046】
したがって、本発明は、質量基準で約37%N〜約44%Nの植物栄養素化合物と、質量基準で約1.2〜約3.0%のポリマー層と、質量基準で約0.1〜約0.8%の中間層と、質量基準で約1.7〜約15%の元素硫黄層とを含む徐放性肥料組成物を提供する。この徐放性肥料組成物は、約0.1〜約0.8質量%の外方非水溶性層も含み得る。
【0047】
本発明は徐放性肥料組成物を製造するための方法も提供し、この方法は、植物栄養素化合物を、反応によってポリマーを形成する2種以上の前駆体化合物で被覆し、中間層をこのポリマー上に塗布し、溶融硫黄を中間層上に噴霧して硫黄層を形成することを含む。外方非水溶性層を硫黄層上に塗布し得る。ポリマーが熱硬化性ポリマーの場合、ポリマーは、熱硬化したポリマーを形成するのに十分な温度で被覆される。
【0048】
徐放性肥料組成物は、肥料顆粒上にポリマー層を形成するための前駆体成分を入れた第1回転ドラムを使用して生成され得る。この手順において、約1.0〜約3.0mmのサイズ範囲又はこの数値間のいずれかのサイズ、例えば約1.5〜約2.0mm又はこの数値間のいずれかのサイズ、例えば1.0、1.2、1.4、1.5、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.5、2.6、2.8、3.0mm又はこの数値間のいずれかのサイズを有する肥料顆粒を貯蔵領域からコンベヤに乗せて回転ドラム又は予備加熱装置内へと供給する。ドラムを使用する場合、回転ドラムの第1セクションにおいて、肥料顆粒を約120oF(48.887℃)〜250oF(121.11℃)若しくはこの数値間のいずれかの温度、例えば約150oF(65.554℃)〜約200oF(93.332℃)又は約120(48.887)、125(51.665)、130(54.443)、135(57.221)、140(59.998)、145(62.776)、150(65.554)、155(68.332)、160(71.11)、165(73.887)、170(76.665)、175(79.443)、180(82.221)、185(84.999)、190(87.776)、195(90.554)、200(93.332)、205(96.11)、210(98.888)、220(104.44)、240(115.55)、230(110)、240(115.55)、250oF(121.11℃)若しくはこの数値間のいずれかの量、例えば約170oF(76.665℃)に予備加熱し得る。次に、加熱された顆粒を別々に前駆体化合物で被覆してポリマーコーティングを形成する。例えば、ポリマーが熱硬化性ポリマーの場合、高分子MDI(4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート)及びTEA(トリエタノールアミン)とDEG(ジエチレングリコール)ポリオールとの混合物をブレンドして肥料顆粒に塗布し、ポリマー成分は顆粒表面で重合してポリマーコーティングを形成する。
【0049】
第2コーティング工程において、ポリマー被覆顆粒を、中間層材料、例えば限定するものではないが蝋、油、グリース又はこれらの組み合わせと、温度120oF(48.887℃)〜約250oF(121.11℃)若しくはその数値間のいずれかの温度、例えば約150oF(65.554)〜約200oF(93.332℃)、約170oF(76.665℃)又は約120(48.887)、125(51.665)、130(54.443)、135(57.221)、140(59.998)、145(62.776)、150(65.554)、155(68.332)、160(71.11)、165(73.887)、170(76.665)、175(79.443)、180(82.221)、185(84.999)、190(87.776)、195(90.554)、200(93.332)、205(96.11)、210(98.888)、220(104.44)、240(115.55)、230(110)、240(115.55)、250oF(121.11℃)若しくはこの数値間のいずれかの量、例えば約160oF(71.11℃)で接触させ、中間層材料はポリマー被覆顆粒上に塗布される。
【0050】
ポリマー層と中間層とで被覆された尿素は第1ドラムからコンベヤ上に取り出され、第2回転ドラムへと続くコンベヤに送られる。連続プロセスにおいて、次に被覆顆粒は溶融硫黄と約240oF(115.55℃)〜約310oF(154.44℃)又はこの数値間のいずれかの温度、例えば約240(115.55)、250(121.11)、260(126.67)、270(132.22)、280(137.78)、290(143.33)、300(148.89)、310oF(154.44℃)又はこの数値間のいずれかの量、例えば約290oF(143.33℃)で接触させられ、溶融硫黄は、ポリマー被覆顆粒の中間層コーティングの上に噴霧される。溶融硫黄は、中間層上で固体の硫黄層を形成する。
【0051】
望ましい場合は、外方非水溶性コーティングを、第2ドラム内のノズルからポリマー被覆顆粒上に塗布し得る。外方非水溶性層、例えば蝋は、約120oF(48.887)〜約250oF(121.11℃)若しくはこの数値間のいずれかの温度、例えば約150oF(65.554℃)〜約200oF(93.332℃)、約170oF(76.665)又は約120(48.887)、125(51.665)、130(54.443)、135(57.221)、140(59.998)、145(62.776)、150(65.554)、155(68.332)、160(71.11)、165(73.887)、170(76.665)、175(79.443)、180(82.221)、185(84.999)、190(87.776)、195(90.554)、200(93.332)、205(96.11)、210(98.888)、220(104.44)、240(115.55)、230(110)、240(115.55)、250oF(121.11℃)若しくはこの数値間のいずれかの量、例えば約160oF(71.11℃)で塗布され得る。
【0052】
したがって、本発明は徐放性肥料組成物を製造するための方法を提供し、この方法は、植物栄養素化合物を、反応によって約1.2〜約3.0%(質量基準)のポリマーを形成する2種以上の前駆体化合物で被覆し、ある成分又は組成物をこのポリマー上に塗布して約0.1〜約0.8%(質量基準)の中間層を形成し、約1.7〜約15%(質量基準)の溶融硫黄を中間層上に噴霧して硫黄層を形成することを含む。植物栄養素組成物は、徐放性肥料組成物の全原料の質量に対して約37%N〜約44%Nである。望ましい場合は、外方非水溶性層を約0.1〜約0.8質量%で硫黄層上に塗布し得る。ポリマーが熱硬化性ポリマーの場合、ポリマーは、熱硬化したポリマーの形成に十分な温度で被覆される。
【0053】
本明細書に記載されるような徐放性肥料組成物の放出速度及び耐久性を、例えば、衝撃試験又は被覆肥料生成物の完全性の測定に使用されるその他の試験に従って測定し得る。衝撃試験は、例えば60グラムの被覆生成物を長さ20フィート(6.096m)、直径3〜6インチ(7.62〜15.2cm)のチューブを通して金属板上に落下させ、続いて摩耗した肥料生成物からの肥料成分の放出速度を測定することを伴い得る。水中放出速度を測定するために、約10〜20グラムの摩耗した肥料を150〜200mlの水中に入れ、試料を異なる時間間隔、例えば2時間、1日、3日、7日、14日、21日目に引き上げ、試料を、肥料材料について適当な試験で試験する。例えば、尿素系肥料の場合、試料の尿素及びアンモニア性窒素は、いずれの適切な試験、例えばAssociation of Official Analytical Chemists(AOAC)によって概要が示されている方法を利用して測定され得る。
【0054】
このような試験の結果は、肥料コアを取り囲み且つ肥料組成物の全質量の例えば1.8質量%のポリウレタン層と、蝋コーティング(0.3質量%)と、蝋層(0.5質量%)で被覆される硫黄コーティング(3.8質量%)とを順番に含む本発明の徐放性肥料組成物(実施例3に従って製造された生成物43N−1.8PU−0.3W−3.8S−0.5W、表1、図1A、1Bを参照のこと)が、肥料コアを取り囲む硫黄層(肥料組成物の全質量の5質量%)と、ポリウレタン層(2.8質量%)と、蝋コーティング(0.5質量%)とを順番に含む従来の徐放性組成物(実施例1に従って製造された生成物42N−5S−2.8PU−0.5W、表1、図1A、1Bを参照のこと)より肥料成分を効果的に持続放出することを証明している。ポリウレタンの量を1.8%から2.5%へと質量%基準で上昇させることによって(実施例4に記載の生成物43N−2.5PU−0.3W−3.8S−0.5W、表1、図1A、1Bを参照のこと)、肥料組成物からの窒素の放出速度が更に低下する。
【0055】
本発明の徐放性肥料、例えば実施例3に記載の生成物(表1、43N−1.8PU−0.3W−3.8S−0.5W、図1、2を参照のこと)の製造に関連したコストを分析したところ、実施例1に記載の生成物(表1、42N−5S−2.8PU−0.5W、図1、2を参照のこと)又は例えば米国特許第6338746号明細書に記載されるような肥料コア及び硫黄コーティングの外側を取り囲むポリマーコーティングの場合のその他の肥料徐放特性と比較した場合、大幅なコスト削減を示す。本発明の実施例3に記載のもの等の徐放性肥料組成物(43N−1.8PU−0.3W−3.8S−0.5W)は、実施例1に記載の従来の生成物(42N−5S−2.8PU−0.5W)のコスト指数9.58に対して、コスト指数8.63を有する。コスト指数は、肥料生成物内の単位窒素あたりの徐放性肥料製造コスト(各成分のコスト、生成物の製造にあたっての生産・取り扱いコストを含む)を計算することによって求められる。
【0056】
コスト指数を、所望の放出特性を依然として維持しつつ、ポリマー層で使用するポリマーを減量することによって更に低下させ得る。例えば、1.2%のポリウレタンを含む生成物は、コスト指数8.43を有する。2.8%のポリウレタンを含む徐放性肥料生成物(例えば、実施例4に記載の生成物;43N−2.8PU−0.3W−2.2S−0.5W)もまた、コスト指数9.58を有する従来の生成物(実施例1;42N−5S−2.8PU−0.5W)より低いコスト指数(9.43)を示す。
【0057】
本発明の徐放性肥料を、以下の実施例を参照しながら説明する。
【0058】
以下の実施例の徐放性肥料組成物は、本質的に米国特許第5599374号明細書に記載されるようにして調製されたが(例えば、第5欄21行目〜第6欄33行目を参照のこと。この内容は参照により本明細書に取り込まれる)、コーティングを実施例に記載の順番で塗布するようにこの方法は改変された。この方法は本質的に、尿素顆粒(サイズ範囲:約1.0〜約3.0mm)を熱風で約160oF(71.11℃)〜約180oF(82.221℃)にまで予備加熱し、この加熱された顆粒を、1つ以上のドラム内の一連の塗布ノズルを使用して所望の組み合わせの成分で被覆することを伴う。
【0059】
ポリウレタンコーティングを塗布する場合(実施例2、3、4)、加熱された顆粒を前駆体化合物で被覆してポリマーコーティングを形成する。例えば、高分子MDI(4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート)と、TEA(トリエタノールアミン)とDEG(ジエチレングリコール)ポリオールとの混合物が肥料顆粒に塗布され、ポリマー成分は顆粒の表面上で重合してポリマーコーティングを形成する。
【0060】
ポリマーコーティングを蝋層で被覆する場合(実施例3、4)、ポリマー被覆顆粒を蝋と約120oF(48.887℃)〜約250oF(121.11℃)の温度、例えば約160oF(71.11℃)で接触させ、蝋をポリマー被覆顆粒上に塗布する。次に、この蝋/ポリマー被覆尿素を第1ドラムから取り出して第2回転ドラムに運搬し、溶融硫黄と約280oF(137.78℃)〜約310oF(154.44℃)の温度、例えば約290oF(143.33℃)で接触させ、溶融硫黄は蝋コーティング上に噴霧される。第2蝋コーティングを、第2ドラム内の塗布ノズルを使用して硫黄被覆顆粒に塗布し、また約120oF(48.887℃)〜約250oF(121.11℃)の温度、例えば160oF(71.11℃)で塗布する。
【0061】
肥料コアをまず硫黄層で被覆する場合は(実施例1)、溶融硫黄を加熱された肥料顆粒に約280oF(137.78℃)〜約310oF(154.44℃)の温度で塗布する。次に、硫黄被覆尿素顆粒を第2回転ドラム内に搬送し、肥料顆粒に塗布する高分子MDI(4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート)と、TEA(トリエタノールアミン)とDEG(ジエチレングリコール)ポリオールとの混合物を含む、ポリマーコーティングを形成するための前駆体化合物で被覆し、ポリマー成分は顆粒の表面上で重合してポリマーコーティングを形成する。次に、ポリマー被覆顆粒を蝋層で約120oF(48.887℃)〜約250oF(121.11℃)の温度、例えば160oF(71.11℃)で被覆する。
【0062】
肥料コアをポリウレタン及び硫黄で被覆する場合(実施例2)、ポリウレタン被覆肥料顆粒は、硫黄層によって約280o(137.78)〜約310oF(154.44℃)の温度で被覆される。次に、硫黄被覆尿素顆粒を、第2ドラム内の塗布ノズルを使用して蝋層で被覆し、また約120oF(48.887℃)〜約250oF(121.11℃)の温度、例えば約160oF(71.11℃)で塗布する。
【0063】
次に、上述のように製造された肥料組成物を、冷風で約95(34.998)〜約115oF(46.109℃)の範囲の温度に、例えば流動層冷却装置を使用して冷却し得る。次に、顆粒をサイズで仕分けし、貯蔵し、包装し得る。
【実施例】
【0064】
実施例1:42N−5S−2.8PU−0.5W(比較例)
この実施例において、徐放性肥料材料は、Detrickによる米国特許第5599374号明細書(例えば、第2欄65行目〜第3欄22行目を参照のこと。この内容は参照により本明細書に取り込まれる)の教示に従って調製され、上述のように塗布された外側の蝋層が追加された。尿素顆粒(全肥料組成物の91.7質量%;42質量%の窒素(42N)分に寄与する)をまず硫黄で被覆し、続いて熱硬化性ポリマー(DEG−TEAポリオール及びジイソシアネート、MDI)のコーティング及び蝋のコーティングで被覆する。硫黄コーティングは、顆粒の全質量に対して約5質量%の塗布(5S)によって達成される厚さを有し、ポリマー層は顆粒の全質量に対して約2.8質量%(2.8PU)、ワックス層は顆粒の全質量に対して約0.5質量%(0.5W)の塗布によって達成される厚さを有する(42N−5S−2.8PU−0.5Wと省略表記)。
【0065】
実施例2:42N−2.8PU−5S−0.5W(比較例)
尿素顆粒(全肥料組成物の91.7質量%;42質量%の窒素(42N)分に寄与する)は、熱硬化性ポリマー(DEA−TEG、MDI;組成は実施例1に記載の通りである)の第1コーティング、次に硫黄層、次に蝋層を有する。第1ポリマーコーティングは、顆粒の全質量に対して約2.8質量%(2.8PU)の塗布によって達成される厚さを有し、顆粒の全質量に対して硫黄層は約5質量%(5S)、蝋層は0.5質量%(0.5W)(中間蝋、パラフィン蝋、α−オレフィン蝋のいずれか)の塗布によって達成される厚さを有する(42N−2.8PU−5S−0.5Wと省略表記)。
【0066】
実施例3:43N−1.8PU−0.3W−3.8S−0.5W
この実施例において、徐放性肥料は本発明に従って調製されたが、その他の組成物も本発明に記載されるようにして調製され得ることを理解されたい。
【0067】
尿素顆粒(全肥料組成物の93.6質量%;43質量%の窒素(43N)分に寄与する)は、熱硬化性ポリマー(DEA−TEG、MDI;組成は実施例1に記載の通りである)の第1コーティング、次に蝋層、次に硫黄層、次に蝋層を有する。ポリマーコーティングは、顆粒の全質量に対して約1.8質量%(1.8PU)の塗布によって達成される厚さを有し、顆粒の全質量に対して第1蝋層は約0.3質量%(0.3W)、硫黄層は約3.8質量%(3.8S)、蝋層は約0.5質量%(0.5W)(中間蝋、パラフィン蝋、α−オレフィン蝋のいずれか)の塗布によって達成される厚さを有する(43N−1.8PU−0.3W−3.8S−0.5Wと省略表記)。
【0068】
実施例4:43N−2.8PU−0.3W−2.2S−0.5W
この実施例において、徐放性肥料は本発明に従って調製されたが、その他の組成物も本発明に記載されるようにして調製され得ることを理解されたい。
【0069】
尿素顆粒(全肥料組成物の94.5質量%;43質量%の窒素(43N)分に寄与する)は、熱硬化性ポリマー(DEA−TEG、MDI;組成は実施例1に記載の通りである)の第1コーティング、次に蝋層、次に硫黄層、次に蝋層を有する。ポリマーコーティングは、顆粒の全質量に対して約2.5質量%(2.5PU)の塗布によって達成される厚さを有し、顆粒の全質量に対して蝋層は約0.3質量%(0.3W)、硫黄層は約2.2質量%(2.2S)、蝋層は約0.5質量%(0.5W)(中間蝋、パラフィン蝋、α−オレフィン蝋のいずれか)の塗布によって達成される厚さを有する(43N−2.8PU−0.3W−2.2S−0.5Wと省略表記)。
【0070】
実施例5:徐放性肥料組成物からの窒素(N)の放出速度
実施例1〜4において調製された徐放性肥料組成物を、衝撃試験の前後での肥料コアの放出速度について試験した。この試験の結果を表1、図1A、1Bに示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1、図1、2に示されるように、順番にポリマー層、中間層、硫黄層及び外方非水溶性層で被覆された内方肥料コアを含む本発明に記載の徐放性肥料生成物(実施例3の43N−1.8PU−0.3W−3.8S−0.5W、実施例4の43N−2.8PU−0.3W−2.2S−0.5W等)は、質量基準あたりより多くのポリウレタンを含む従来の生成物(実施例1の42N−5S−2.8PU−0.5W)(衝撃試験前は7日目で24%の窒素放出。衝撃試験後は48%の窒素放出)と比較した場合、同様又はより遅い肥料放出速度(衝撃試験前は7日目で19.5%又は13.3%の窒素放出。落下試験後は7日目で42.2%及び30.9%の窒素放出)を示す。
【0073】
肥料生成物の製造に関連したコストは、各成分のコスト、生成物を製造するための生産・取り扱いコストを含む徐放性肥料を製造するためのコスト(肥料生成物中の単位窒素あたりで表される)を計算してコスト指数を得ることによって求められる。表1に示されるように、従来の生成物42N−5S−2.8PU−0.5W(実施例1)のコスト指数9.58又は43N−2.8PU−0.3W−2.2S−0.5W(実施例4)のコスト指数9.43と比較すると、43N−1.8PU−0.3W−3.8S−0.5W(実施例3)のコスト指数は8.63である。
【0074】
全引用は参照により本明細書に取り込まれる。
【0075】
本発明を1つ以上の実施形態に関して説明してきた。しかしながら、請求項において定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなく多数の変形及び変更を成し得ることは当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
徐放性肥料組成物であって、水溶性植物栄養素化合物のコアを含み、前記コアが、前記コアから外側に向かって順番にポリマー層、中間層及び元素硫黄層によって被覆される、徐放性肥料組成物。
【請求項2】
前記水溶性植物栄養素が尿素である、請求項1に記載の徐放性肥料。
【請求項3】
前記ポリマー層が熱硬化性ポリマー層である、請求項1に記載の徐放性肥料。
【請求項4】
外方非水溶性層を含む、請求項1に記載の徐放性肥料。
【請求項5】
前記中間層が、蝋、油、潤滑剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される成分を含む、請求項1に記載の徐放性肥料。
【請求項6】
前記中間層及び前記外方非水溶性層が同一又は異なり、また蝋、油、潤滑剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される成分を含む、請求項4に記載の徐放性肥料。
【請求項7】
前記水溶性植物栄養素化合物が質量基準で約37%N〜約44%Nであり、前記ポリマー層が質量基準で約1.2〜3.0%であり、前記中間層が質量基準で約0.1〜約0.8%であり、前記元素硫黄層が質量基準で約1.7〜15%であり、前記外方非水溶性層が質量基準で約0.1〜約0.8%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
徐放性肥料組成物を製造する方法であって、
(i)植物栄養素化合物を、ポリマーを形成する反応性の2種以上の前駆体化合物で被覆し、
(ii)中間層を前記ポリマー上に塗布し、
(iii)溶融硫黄を前記中間層上に噴霧して硫黄層を形成する
ことを含む、方法。
【請求項9】
前記植物栄養素化合物が尿素である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
溶融硫黄を噴霧する前記工程の後、外方非水溶性層を前記硫黄層上に塗布する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーが熱硬化性ポリマーであり、植物栄養素化合物をポリマーを形成する反応性の2種以上の前駆体化合物で被覆する前記工程が、前記ポリマーを熱硬化させるのに十分な温度で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記2種以上の前駆体化合物がポリイソシアネート及びポリオールである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記中間層が、蝋、油、潤滑剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記非水溶性層が、蝋、油、潤滑剤、界面活性剤及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記水溶性植物栄養素化合物が質量基準で約37%N〜約44%Nであり、前記ポリマーが質量基準で約1.2〜3.0%であり、前記中間層が質量基準で約0.1〜約0.8%であり、前記硫黄層が質量基準で約1.7〜15.0%であり、前記外方非水溶性層が質量基準で約0.1〜約0.8%である、請求項6に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【公表番号】特表2011−527980(P2011−527980A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517720(P2011−517720)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000110
【国際公開番号】WO2010/006406
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(503009122)アグリウム・インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】