説明

徐溶解剤および水洗トイレット用洗浄剤

【課題】 水洗トイレット用洗浄剤用の徐溶解剤として使用したときに、水を吸収して膨潤することなく、十分な持続時間が得られ、洗浄性を阻害せず、成型時の生産効率がよい徐溶解剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される化合物(A)を必須成分とし、数平均分子量が10,000〜25,000かつオキシエチレン鎖部分の含有量が70〜90重量%であることを特徴とする徐溶解剤(B)を使用する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水への溶解消失時間が長い徐溶解剤に関する。さらに詳しくは、その徐溶解剤を含有してなる水洗トイレット用芳香洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水洗トイレット用洗浄剤は固形状であり、容器に収納して、またはそのままの状態で水洗トイレットの貯水タンク内に直接投入したり、貯水タンクの手洗い部に取付けたりすることにより、タンク内の貯留水にその組成物を徐々に溶解または分散させ、水洗時の流水とともにトイレット便器などを洗浄し、かつ芳香を漂わせ、トイレット内をさわやかに保つための薬剤として用いられている。
前記の水洗トイレット用洗浄剤には、洗浄成分および芳香成分のほかに、これらを徐々に溶解または分散させる徐放性基剤として徐溶解剤が配合されている。この徐溶解剤は、芳香成分や洗浄成分を固形化するためのバインダーとしての役割のほか、流水や貯水への配合成分の溶解速度をコントロールして適度な芳香性と洗浄性を適度な期間持続させる役割を担っている。
【0003】
こうした徐溶解剤としては、古くはポリエチレングリコールが使用されていたが、水溶性が高すぎて持続時間が非常に短い。
そのため、疎水基としてポリオキシプロピレン鎖を導入したもの(特許文献1)、ポリエチレングリコールの片末端もしくは両末端の水酸基をアルキル基などの疎水性基で置換してエーテルまたはエステルとしたもの(特許文献2)、炭素数4〜40のエポキシドをポリエチレングリコールと共重合させたもの(特許文献3)、高級アルコールアルキレンオキサイドと多価アルコールとのウレタン化物などが用いられている(特許文献4)。
しかしながら、これら従来の水洗トイレット用芳香洗浄剤の基剤には、以下のような問題がある。
【0004】
すなわち、特許文献1の技術は、ポリオキシプロピレン鎖の疎水性および結晶性が弱く満足できる十分な持続性は得られない。
また、特許文献2の技術は、薬剤の徐放性は改善されるが水酸基を脂肪酸などでエステル化し水酸基を封鎖してしまうため、水を吸収し膨潤して容器からはみ出るという別の大きな問題を生じる。
特許文献3の技術は、炭素数4〜40のエポキシドを共重合させているが、炭素数4のブチレンオキサイドではプロピレンオキサイドと効果は変わらず、炭素数が5より大きいものは立体障害が大きく共重合性が悪いため、非水溶性の副生物が生成し、トイレット洗浄水が濁り、汚れ付着の原因になるという問題が生じる。
特許文献4の技術は、ポリウレタン化するため設計どおりの分子構造のものは得られず、イソシアネートに起因する不溶解物が副生し便器を汚染するという問題がある。また、数平均分子量が5万未満では満足する持続性は得られず、5万以上にすると粘度が上がりすぎて成型温度80〜100℃での成形性が悪化し生産効率が悪くなるといった問題がある。
【特許文献1】特開昭51−39705号公報
【特許文献2】特開昭57−179298号公報
【特許文献3】特開平5−59398号公報
【特許文献4】特開平9−20825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、徐溶解剤として使用したときに水を吸収して膨潤することなく、十分な持続時間が得られ、洗浄性を阻害せず、成型時の生産効率がよい徐溶解剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、従来疎水基として導入されていたポリオキシプロピレン鎖の中心付近に一つの疎水基を持たせることに加え、オキシエチレン鎖長とバランスをとることで良好な結晶性を与えることができ、膨潤することなく十分な徐放性が得られ、洗浄性や成型時の生産効率も良好であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される化合物(A)を必須成分とし、数平均分子量が10,000〜25,000かつオキシエチレン鎖部分の含有量が70〜90重量%であることを特徴とする徐溶解剤(B);およびこの徐溶解剤を配合した水洗トイレット用洗浄剤である。
【0007】
【化1】

【0008】
[式(1)中、Rは、炭素数が6〜24の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、またはR2OCHCHCH−で表されるアルコキシプロピル基であり、R2は炭素数6〜24の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。aとbはそれぞれオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、15〜40の数である。cとdはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、100〜250の数である。]
【発明の効果】
【0009】
本発明の徐溶解剤は、従来のものに比べ溶解時間の持続性を長くすることが可能であり、トイレット洗浄剤として用いる場合、固形剤の生産効率化が図れ、実使用においても洗浄性を高めることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の徐溶解剤(B)は、下記一般式(1)で表される化合物(A)を必須成分とする。さらに、この化合物(A)の数平均分子量は10,000〜25,000であり、さらに分子中のオキシエチレン鎖の含有量は70〜90重量%である。
【化2】

【0011】
[式(1)中、Rは、炭素数が6〜24の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、またはR2OCHCHCH−で表されるアルコキシプロピル基であり、R2は炭素数6〜24の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。aとbはそれぞれオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、15〜40の数である。cとdはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、100〜250の数である。]
【0012】
上記一般化学式(1)中のRは、直鎖または分岐鎖でもよい炭素数が6〜24の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、またはR2OCHCHCH−で表される。
飽和または不飽和の炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖でもよく、炭素数が通常6〜24である。好ましくは直鎖で炭素数10〜18の飽和炭化水素基である。
また、R2OCHCHCHで表されるアルコキシプロピル基としては、炭素数が通常6〜18、好ましくは10〜18、さらに好ましくは12〜18である。
【0013】
本発明の化合物(A)の製造方法としては、まず脂肪族第一アミンを用いる。またはアクリロニトリルに脂肪族アルコールを付加反応させニトリル基を還元水素化して第一アミンとしたアルコキシプロピルアミンを用いる。
【0014】
原料となる脂肪族第一アミンの具体例としては、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、オクタデセニルアミン、オクタデカジエニルアミンや、これらの混合物である牛脂アミン、硬化牛脂アミン、ヤシ油アミン、パーム油アミン、大豆油アミン等動植物油由来の脂肪族第1アミン:3−(2−エチルヘキシル)プロピルアミン、3−デシロキシプロピルアミン、3−ステアリロキシプロピルアミン等、脂肪族アルコールにアクリロニトリルを付加反応させ水素化により得られるアルコキシプロピルアミンを挙げることができる。
脂肪族第1アミンは1種または2種以上の混合物を用いてもよい。また、これらの脂肪族第1アミンは蒸留精製してあることが望ましい。
【0015】
原料の脂肪族第1アミンから本発明の徐溶解剤(B)を製造する第1段目の反応は、通常、アルカリ金属触媒の存在下、プロピレンオキサイドを付加させる。
前述の一般式(1)中のaとbはそれぞれオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、15〜40の数である。
a+bは30〜80の数である。
プロピレンオキサイドの平均付加モル数a+bは、通常30〜80モルであり、好ましくは30〜60モルである。30モル以上で適度の疎水性が得られ、良好な徐溶解性能が得られる。80モルを超えると反応させるプロピレンオキサイドがアリルアルコールに転位し、目的物以外に副生物としてアリルアルコールプロピレンオキサイド付加物が多くできるため徐溶解性能が悪くなる。
【0016】
本発明の徐溶解剤(B)を製造する第2段目の反応は、エチレンオキサイドを付加させる。
前述の一般式(1)中のcとdはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、100〜250の数である。c+dは200〜500の数である。
エチレンオキサイドの平均付加モル数c+dは、通常200〜500モルであり、好ましくは225〜450モルであり、さらに好ましくは250〜400モルである。200モル以上で徐溶解剤(B)に良好な結晶性を付与することができる。500モルを超えると結晶性が高すぎて固化成型時にひび割れを起こす等の問題を生じる。
【0017】
本発明の徐溶解剤(B)を製造する第1段目および第2段目の反応におけるアルカリ金属触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどが挙げられるが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましく、水酸化カリウムがより好ましい。
【0018】
触媒量は第一段目の反応で得られるプロピレンオキサイド付加物の仕上がり量に対して0.1〜0.3%が好ましく、0.15〜0.25%がより好ましい。0.1〜0.3%の間であれば、プロピレンオキサイドの副反応も起こりにくく、第2段目のエチレンオキサイド付加反応時に新たに触媒を追加する必要がなく、生産性の面でよい。
【0019】
本発明の徐溶解剤(B)を製造する第1段目の反応温度は好ましくは95〜115℃であり、より好ましくは100〜110℃である。95〜115℃の範囲で反応速度は良好であり、95℃未満では生産効率が悪く、115℃を超えると副生物が多くなる。
【0020】
反応に用いる触媒残渣は徐溶解剤(B)の徐溶解性能に影響は与えないので、反応終了後の触媒は除去する必要はなく、必要に応じて、塩酸、硫酸、燐酸、硝酸などの鉱酸や酢酸、乳酸、蟻酸などの有機酸で中和してもよい。
【0021】
本発明の徐溶解剤(B)は数平均分子量が10,000〜25,000である必要がある。数平均分子量が10,000以上で十分な徐溶解性能が得られる。数平均分子量が25,000 を超えるものは生産性が悪く、副生物が多くなり、粘度も高くなるため好ましくない。
【0022】
本発明の徐溶解剤(B)はオキシエチレン鎖の含有量が70〜90重量%である必要がある。
好ましくは75〜85重量%である。
70%重量以上であれば、室温で適度な徐溶解性能を有する結晶物となる。90%重量を超えると硬くなりすぎて、成型物にひび割れを生じるため好ましくない。
【0023】
本発明の徐溶解剤(B)は、融点が50〜70℃のものが好ましく、55〜70℃がより好ましい。融点が50℃未満であると徐溶解能において温度の影響を受けやすく夏季など水温上昇時に溶解速度が速くなってしまう。
融点が50〜70℃であると適度な徐溶解性能を有する結晶物となる。
液体と固体の境界は通常、凝固点や融点で表わされるが、本願発明では正確な温度を測定できる点で融点を採用する。
【0024】
本発明の徐溶解剤(B)は、100℃における粘度が500〜20,000mP・sであることが好ましく、さらに1,000〜10,000mPa・sのものが好ましい。
粘度が500mPa・s未満のものは、水への拡散速度が速いため溶解時間も短くなる。粘度が20,000mPa・sを超えるものは成型時に他の薬剤と混合し難いという問題がある。
【0025】
また、本発明の徐溶解剤(B)を用いて直径3cm、厚さ1cmの円柱状の試験片を作成し、これを25℃で300mlの水中に浸漬して溶解試験を行った場合、この試験片が完全に溶解するまでの溶解時間は、通常8時間以上、好ましくは10時間以上である
【0026】
溶解試験の具体的な試験方法は以下の通りである。
<試験片の作成>
まず、徐溶解剤を80〜120℃の範囲で溶融させる。溶融した徐溶解剤を直径3cmの円柱状の型(材質は問わないが、120℃以上耐熱性のあるポリプロピレンやポリエチレンが型からの取り外しの点において好ましい。)に7.0g流し込み、約1時間かけて放冷して冷却する。粘度が低いほど成型しやすく、成形性の良いものは容易に型から外すことができる。
【0027】
<溶解試験>
25℃に温度調節した水中で試験を行う。
300mlのビーカーに300mlの水を入れ、長さが約3cmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)被覆の磁性撹拌子にて、100rpmで撹拌し水流を作る。
10メッシュのステンレス製金網で、直径4cm×高さ2〜3cmの円柱状のかごを作成し、試験片の受け容器とした。これをビーカーの底から高さ3cmの位置に吊り下げる。
試験片を受け容器に入れた時点を開始時刻とする。試験片が溶解して完全に消失するまでの時間を溶解時間とする。
【0028】
本発明の第2発明は、徐溶解剤(B)含有してなることを特徴とする水洗トイレット用洗浄剤(C)である。
【0029】
水洗トイレット用洗浄剤(C)中の本発明の徐溶解剤(B)の含有量は特に限定されないが、通常50〜95重量%、好ましくは60〜85重量%である。
【0030】
本発明の徐溶解剤(B)を用いることで成型時の温度で成型しやすい適度な粘度が得られ、固化物は水を吸収して膨潤することなく、薬剤の徐放性が高い水洗トイレット用洗浄剤(C)が出来る。
【0031】
水洗トイレット用洗浄剤(C)には、本発明の徐溶解剤(B)以外に、通常使われるその他の成分を配合する。例えば、洗浄成分としてノニオン性の界面活性剤、芳香成分として各種香料、清涼感を出すための色素、殺菌性を与えるための塩化ベンザルコニウムのようなカチオン活性剤やその他の抗菌成分、溶解性調整剤などが挙げられる。
【実施例】
【0032】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
製造例1
温度計、撹拌機、アルキレンオキサイド導入口および窒素導入口を備えた耐圧反応容器に、ステアリルアミン269.5g(1.0モル)、水酸化カリウム2.1gを仕込み、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し、減圧下脱水を30分行った。脱水後、110℃でプロピレンオキサイド580.0g(10.0モル)を0.5MPa以下の圧力を保ちながら6時間かけて滴下し、同温度で1時間熟成を行い、850gのステアリルアミンプロピレンオキサイド10モル付加物を得た。
ステアリルアミンプロピレンオキサイド10モル付加物272.3g(0.32モル)を耐圧反応容器に戻し、水酸化カリウム1.4gを追加し、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し、減圧下脱水を30分行った。脱水後、110℃でプロピレンオキサイド575.4g(9.92モル)を0.5MPa以下の圧力を保ちながら10時間かけて滴下し、同温度で2時間熟成を行い、850.0gのステアリルアミンプロピレンオキサイド41モル付加物を得た。
【0034】
ステアリルアミンプロピレンオキサイド41モル付加物184.0g(0.069モル)を再度、耐圧反応容器に戻し、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、110℃に加熱し、減圧下脱水を30分行った。脱水後、110℃でエチレンオキサイド666.0g(15.14モル)を0.5MPa以下の圧力を保ちながら20時間かけて滴下し、同温度で2時間熟成を行い、本発明のステアリルアミンプロピレンオキサイド(41モル)エチレンオキサイド(219モル)付加物(A−1)を得た。
(A−1)の数平均分子量は約12,200である。
【0035】
製造例2〜6
製造例1と同様にして、本発明の化合物(A−2)〜(A−6)を得た。
(A−1)〜(A−6)の原料アミン、プロピレンオキサイド(PO)付加モル数(a+b)、エチレンオキサイド(EO)付加モル数(c+d)、オキシエチレン鎖含有量、および数平均分子量、融点、100℃における粘度の測定結果を表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
比較製造例1〜3
製造例1と同様にして、比較製造例の化合物(A’−1)〜(A’−3)を得た。
(A’−1)〜(A’−3)の原料アミン、プロピレンオキサイド(PO)付加モル数(a+b)、エチレンオキサイド(EO)付加モル数(c+d)、オキシエチレン鎖含有量、および数平均分子量、融点、100℃における粘度の測定結果を表1に示す。
【0038】
比較製造例4
特開平5−59398号公報(特許文献3の製造例1)に記載の方法で、プロピレングリコールへのブチレンオキサイド(13.7モル)プロピレンオキサイド(43.2モル)エチレンオキサイド(320モル)分子量380の1,2−エポキシアルカン1.2モルのブロック付加物を製造し、比較のための化合物(D−2)とした。
【0039】
実施例1〜6および比較例1〜6
実施例として、製造例1〜6で得られた本発明の化合物(A−1)〜(A−6)の溶解試験結果および比較例1〜6を表2に示す。
なお、比較例4では分子量20,000のポリエチレングリコール(D−1)、比較例5では上記の比較製造例4の化合物(D−2)、比較例6ではポリエチレングリコール分子量8,000のジステアリン酸エステル(D−3)を用いて溶解試験を行った。
【0040】
【表2】

【0041】
本発明の化合物(A)を必須成分とする徐溶解剤(B)は溶解時間の点において優れていることがわかる。
一方、PO付加モル数以外本発明を満足しない比較例1は溶解時間が非常に速い。分子量が低い比較例2は溶解時間が不十分である。オキシエチレン鎖の含有量が高すぎる比較例3は溶解時間がやや不十分であると同時に成型物自体にひび割れを生じ、きれいな成型物が得られなかった。比較例4は非常に溶解時間が速過ぎる。比較例5は溶解時間がやや不十分であると同時に試験後の水が白くにごり、水への不溶解分が多くビーカーに付着し汚染した。水酸基を封鎖した比較例6は、徐溶解作用を示さず膨らみ続け金網からはみ出してきた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の徐溶解剤(B)を用いることで成型時の温度で成型しやすい適度な粘度が得られ、固化物は水を吸収して膨潤することなく、従来に比べ、薬剤の徐放性が高い水洗トイレット用洗浄剤(C)が出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物(A)を必須成分とし、数平均分子量が10,000〜25,000かつオキシエチレン鎖部分の含有量が70〜90重量%であることを特徴とする徐溶解剤(B)。
【化1】

[式(1)中、Rは、炭素数が6〜24の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、またはR2OCHCHCH−で表されるアルコキシプロピル基であり、R2は炭素数6〜24の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。aとbはそれぞれオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、15〜40の数である。cとdはそれぞれオキシエチレン基の平均付加モル数を表し、100〜250の数である。]
【請求項2】
融点が50〜70℃であり、100℃における粘度が500〜20,000mP・sである請求項1記載の徐溶解剤(B)。
【請求項3】
直径3cm、厚さ1cmの円柱状の該徐溶解剤の試験片を25℃で300mlの水中に浸漬して行う溶解試験において、溶解時間が8時間以上である請求項1または2記載の徐溶解剤(B)。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか記載の徐溶解剤(B)を含有してなることを特徴とする水洗トイレット用洗浄剤(C)。


【公開番号】特開2010−155939(P2010−155939A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335611(P2008−335611)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】