説明

復元装置を有するアキシャルピストンマシン

傾きが可変の旋回クレードルを包含するアキシャルピストンマシンに関連する発明。アキシャルピストンマシンは、アキシャルピストンマシンの長手方向に実質的に延在する少なくとも一つの調節装置を有する。アキシャルピストンマシンはさらに、旋回クレードルの位置を復元するための復元要素を包含する。復元要素と調節装置とは、アキシャルピストンマシンの回転軸に対して平行に、そして旋回クレードルの旋回軸に対して垂直に延在する面に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節装置と、旋回クレードルの位置を回復させるための復元装置とを有するアキシャルピストンマシンに関連する。
【背景技術】
【0002】
復元システムでは、調節可能なアキシャルピストンマシンの旋回クレードルの傾きを調節するための調節装置から分断された状態で、頻繁に位置が検出されて制御装置へフィードバックされる。たいていは、そのために線形調節フィードバック部材が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、小型の調節システム及びこれと一体化された復元装置を有するアキシャルピストンマシンを製作することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、アキシャルピストンマシンの調節装置の調節ピストンに復元要素が設けられ、この復元要素と調節ピストンとは、旋回クレードルの旋回軸に対して垂直に、そしてアキシャルピストンマシンの回転軸に対して平行に延在する面に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】調節後の排出量の回復が行われないアキシャルピストンマシンの長手方向断面を示す。
【図2】旋回クレードルの調節位置の回復が行われるアキシャルピストンマシンの調節システムの本質的部品の図を示す。
【図3】本発明による復元装置を有する調節システムの部分的断面図を示す。
【図4】図3の復元装置の復元要素の拡大図を示す。
【図5】図3の復元装置の一部の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図面を用いて、本発明を以下で詳細に説明する。
【0007】
図1は、アキシャルピストンマシン1の断面図を示し、断面は、アキシャルピストンマシン1の回転軸と平行に延在するが、中心は外れている。アキシャルピストンマシン1は、いくつかのシリンダボアが図示されていない状態で周囲の円上に分散されたシリンダドラム2を包含する。ピストンは、長手方向変位可能な方法でシリンダボアに配置され、図のアキシャルピストンマシン1がポンプである時には行程運動により圧力媒体を送出する。
【0008】
アキシャルピストンマシン1は、第1カップ状ハウジング部分3と、フランジ部分4として形成された第2ハウジング部分とで構成されるハウジングを包含する。図1には示していないが駆動シャフトは、フランジ部分4及び第1カップ状ハウジング部分3に回転可能に取り付けられ、シリンダドラム2には回転固定状態で接続されている。駆動シャフトが回転すると、回転固定接続のためシリンダドラム2が回転する。シリンダドラム2に配置された長手方向変位可能なピストンは、摺動シューを介して旋回クレードル5に周知の方法で支持されている。このため、旋回クレードル5は作用面6を包含する。吸気行程中に旋回クレードル5の作用面6から摺動シューが浮き上がることを防止するため、反動プレート7が設けられている。反動プレート7は、旋回クレードル5の作用面6から一定距離に保持されることで、摺動シューが作用面6から浮き上がるのを防止する。旋回クレードル5の回転運動を許容するため、摺動シューはピストンに関節接合式に接続されている。こうして旋回クレードル5の傾斜位置に応じて、シリンダドラム2のピストンは、駆動シャフト又はシリンダドラム2の回転ごとの行程を異なる大きさにする。
【0009】
フランジ部分4に面する側において、旋回クレードル5は旋回クレードルベアリング8を包含する。このため、少なくとも一つの第1ベアリング領域が旋回クレードル5に形成され、フランジ部分4の対応の凹部9と摺動ベアリングを形成する。旋回クレードル5の旋回角度ベアリングの形成については、図2及び5を参照して後でさらに説明する。
【0010】
旋回クレードルベアリングにおいて旋回クレードル5を転回させることにより、旋回クレードル5は旋回軸S2を中心として回転できる。シリンダドラム2の回転軸に対する作用面6の傾きがこうして変化する。
【0011】
旋回クレードル5の傾きを調節することでシリンダドラム2の回転中のシリンダドラム2でのピストンの行程を調節するため、アキシャルピストンマシン1のハウジング内には調節システムが設けられている。調節システムは、少なくとも一つの調節装置10を包含する。第1調節装置10は、第1調節ピストン11を包含する。第1調節ピストン11は、第1端部12に圧力室13を画定する。圧力室13は、カップ状ハウジング部分2の基部に形成される。圧力室13を形成するため、カップ状ハウジング部分3の基部にブラインドボア14が設けられて、ここにスリーブ15が挿入される。スリーブ15は、ブラインドボア14に圧入されることが好ましい。スリーブ15の内壁は、調節ピストン11の第1端部12の摺動面として使用され、第1調節ピストン11の第1端部12と密閉式に協働する。調節ピストン11がスリーブ15の長手軸に対して傾斜位置にある時のスリーブ15の傾きを防止するため、調節ピストン11の第1端部12は円筒形に形成されるのでなく、略冠形状を有する。調節ピストン11の第1端部12の冠形状領域には、密封リングが配置されてもよい。
【0012】
第1端部12から離れた調節ピストン12の第2端部16には、球形ヘッドが形成されている。牽引力、そして圧縮力も伝達されるように、球形ヘッドは保持区分17に接続されている。保持区分17は、ねじによって旋回クレードル5に固定接続されている。保持区分17は、旋回クレードル5の外側領域で作用面6にねじ止めされている。保持区分17はまた、反動プレート7と嵌合して反動プレート7に当接することで、旋回クレードル5の作用面6から一定距離に反動プレート7が保持されるようにする保持面19を包含する。
【0013】
調節ピストン11の球形ヘッド状第2端部16を装着するため、球形凹部20が保持区分17に設けられ、調節ピストン11の球形ヘッド状第2端部16を包囲している。調節ピストン11と保持区分17との接続はロック接続として設計される、つまり球形ヘッド状第2端部16が保持区分の球形凹部に赤道より上まで包囲されているのである。
【0014】
第1調節装置10の調節ピストン11の中には、潤滑通路21が形成されている。潤滑通路21は、調節ピストン11の第1端部12から第2端部16まで延在する。こうして潤滑通路21は、圧力室13を調節ピストン11の球形ヘッド状第2端部16に接続する。そのため圧力室13で発生する圧力は、調節ピストン11の球形ヘッド状第2端部16で圧力媒体を吐出するのに充分である。こうして調節ピストン11と保持区分17との関節状接続において潤滑が行われ、静水圧が低下する。
【0015】
最大排出量方向にアキシャルピストンマシン1を旋回させるために第1調節装置10が設けられていることが図1から推測される。このため、圧力室13は、ポンプとして設計されたアキシャルピストンマシン1の運搬側に接続される。フランジ部分4の旋回クレードル5の静水圧を低下させるため、圧力室13に存在する高い圧力がさらに使用される。このため、保持区分17と、旋回クレードル5にはそれぞれ、圧力媒体通路22,23が形成される。旋回クレードル5の圧力媒体通路23は、図1に図示された断面図の外側でベアリング領域8に接続されているため、この状態は示されていない。こうして、圧力室13から流出する加圧状態の圧力媒体は凹部9と旋回クレードル5のベアリング領域8との間に吐出され、ゆえに旋回クレードル5の静水圧を低下させるのに充分である。この結果、必要な作動力がかなり低下する。
【0016】
旋回クレードル5に対する保持区分17の位置決めを可能にするため、旋回クレードル5のボア及び保持区分17の対応のボアに挿入される整合ピン24が設けられている。さらに、調節ピストン11と保持区分17との間のボールソケットジョイント接続から離れた保持区分17の端部の領域において、カップ状ハウジング部分3には調節可能な第1制限装置25が設けられている。第1制限装置25は、保持区分17に形成された第1停止面26と協働する。第1停止面の26は冠形状に形成され、つまり第1制限装置25の調節とは無関係に、制限装置25から第1停止面26へ垂直に、ゆえに冠形状の中心点を通って力が印加されることを意味する。この冠形状の中心点は、停止面から見て旋回クレードル5の方向に位置する。
【0017】
第1制限装置25は、この目的のために設けられたねじ山でハウジングボアにねじ止めされる調節ねじ27を含む。ねじ止めの奥行に応じて、第1移動方向における旋回クレードル5の最大偏向が第1制限装置25によって固定される。カップ状ハウジング部分3の境界面の領域に、ハウジングボアが配置される。ハウジングボアは、調節ねじ27の中心軸が停止面26の冠形状の中心点を通るような角度を、回転軸とともに形成する。
【0018】
第1調節装置10と第1制限装置25と第1保持区分17とはすべて、旋回クレードル5の第1方向移動のためのものである。第1調節装置10が旋回クレードル5を第1移動方向に変位させようとするのに対して、第1制限装置25は調節可能な停止部として使用されることで、この第1移動方向の最大変位を規定する。選択された位置に調節ねじ27を保持するため、カウンタナット28が設けられている。カウンタナット28は同時に、ハウジング内部を囲繞範囲に対して密封するのに使用される。安全キャップ29は、調節された値の無断変更を防止する。
【0019】
アキシャルピストンマシン1の安全性を常に保証するため、調節ねじ27が突然ずれた場合でも、調節ピストン11の第2端部16と第1保持区分17との間のボールソケット接続が存在する保持区分17の同じ端部に、追加停止面30も形成されている。追加停止面30はフランジ部分4に面する側に形成され、フランジ部分4の対応部分51と協働して安全停止部を形成する。そのため、調節ねじ27が完全に抜けても、安全停止部と接触するまでしか、ずれは発生しない。
【0020】
最大行程容量の方向にアキシャルピストンマシン1が変位する間、フランジ部分4と第1保持区分17の追加停止面30との間に安全停止部が形成されることが好ましい。
【0021】
第1調節装置10と第2制限装置25とは、図1から直接分かるように、シリンダドラム2の回転軸に対して平行に、そしてさらに旋回クレードル5の旋回軸Sに対して垂直に延在する面に配置されている。ゆえに、第1調節装置10に調節力を導入する力方向、そして調節可能な第1制限装置25で停止する時の力方向も、回転軸に対して平行に形成された面にある。この面は同時に、旋回クレードル5とフランジ部分4とに形成された第1ベアリング領域にも延在するので、旋回クレードル5へのねじり力が回避される。
【0022】
圧力室13に圧力が存在しない場合でも、アキシャルピストンマシン1を最大排出量方向に付勢するため、第1調節装置10には弾性要素が設けられている。図示された例示的実施形態では、弾性要素はばね33として設計されている。鋼製のコイルばねであることが好ましいばね33は、一方において、第2端部16の付近に形成された第1ばねベアリング31に支持されている。ばねベアリング31は、調節ピストン11の径方向肩部として形成され、ばね33をセンタリングするための案内部を包含し、この案内部は、軸方向にほぼ調節ピストン11の第1端部12の方向へ延在する。ばね33の反対側端部において、ばね33は第2ばねベアリング32と当接する。ばねベアリング32も、軸方向に延在する案内部を包含する。ばねベアリング32は、ハウジング部分3のセンタリング凹部34に配置され、この位置でカップ状ハウジング部分3の基部と当接する。ばねベアリング32は同時に、センタリング凹部34の底部でカップ状ハウジング3の基部と、そしてアキシャルピストンマシン1のハウジングの内部に向かって配向されたスリーブ15の端部と当接することが好ましい。あるいは、調節システムの別の位置に、特に、後で説明する第2調節装置に配置されてもよい。
【0023】
図1は、第1調節装置10と第1調節可能制限装置25とによって画定される面の断面図を示している。第1調節装置10は、アキシャルピストンマシン1を行程容量増加方向に変位させるために設けられ、ゆえに旋回装置と呼ぶことができる。これは、アキシャルピストンマシン1が開回路などで油圧ポンプとして使用されて、一方向のみの送出を目的として設けられる場合に当てはまる。
【0024】
アキシャルピストンマシン1には、断面の配置のため図1の図には示していない第2調節装置35も設けられる。第2調節装置35も第2可変制限装置39を有し、第1調節装置10に実質的に対応する。第2調節装置35及び第2制限装置39も共通面に配置され、この別の面は、第1調節装置10及び第1制限装置25の面と平行である。両方の面がシリンダドラム2の回転軸について対称に位置することが好ましい。
【0025】
この構成は図2に見られ、調節システムの個々の部品が斜視図で再び描かれている。ゆえに、理解を容易にするため、調節システムに関係しないアキシャルピストンマシン1の部品は省略されている。図2に図示された調節システムでは、本発明による復元装置も示されている。これについては後でさらに説明する。
【0026】
第1調節装置10と第2調節装置35とが回転軸について反対側に位置していることに注意すべきである。調節システムの第2調節装置35も、第2スリーブ36に第1端部が取り付けられた調節ピストンを有する。第2スリーブ36も、カップ状ハウジング部分3の基部のブラインドボアに挿入されている。そのため、第2圧力室がスリーブ36に形成され、第1調節装置10の場合のようにカップ状ハウジング部分3の基部によって閉鎖されている。圧力室は同様の冠形状調節ピストンディスクによって画定される。調節システムの変位経路全体にわたって、調節ピストン1と第2調節装置35の調節ピストンの両方の冠形状調節ピストンディスクが、スリーブ15及び/又は別のスリーブ36の中で案内される。第2調節装置35の調節ピストンの他端部にも、ボールソケット接続が形成されている。第2調節装置35の調節ピストンの第2端部37も、第2保持区分38の球形凹部に挿入されている。第1保持区分17と同様に、第2保持区分38もねじ18によって旋回クレードル5に接続されている。第1及び第2保持区分17,38は形態が同一であることが好ましい。第1保持区分17は、第1調節装置10と第1制限装置25とが配置された面に実質的に延在する。これに対応する方法で、第2保持区分38は、第2調節装置35と第2可変制限装置39とが配置された別の面に実質的に延在する。第2可変制限装置39は第1可変制限装置25と構造が対応するため、他に説明は行わない。例えば、一方向又は他方向の様々な運搬量に応じて、第1移動方向用の調節ねじ27が、第2移動方向用のものと異なる長さを持つように選択されてもよい。
【0027】
図2の図は、第1調節ピストン11と第2調節装置35の調節ピストンとの間の接続線が駆動シャフトの回転軸と交差することを示している。同様に、二つの停止面26,40の別の想像上の接続線がこの回転軸と交差する。これらの部分についての2本の想像上の接続線はおよそ70°から90°の角度を形成する。一般的には矩形又は方形の断面を持つハウジングを包含するアキシャルピストンマシン1の断面を考えた場合、調節装置10,35はハウジングの内側コーナーの領域の第1対角線上に配置され、調節可能な制限装置25,39はハウジングの内側コーナーの領域の第2対角線上に配置される。このような断面では、アキシャルピストンマシンは四つの四分円に分割され、第1調節装置10は第1四分円に配置され、第1制限装置1は第4四分円に配置され、第2調節装置35は第3四分円に配置され、第2調節可能制限装置39は第2四分円に配置される。
【0028】
第2保持区分38には、冠形状の停止面40も形成されている。第1保持区分30の場合のように、停止面40を冠形状に形成すると、可変制限装置39の調節の選択に関係なく、常に停止面40に対して垂直に力が導入されることになる。安全停止面を形成するため、第2保持区分38には追加停止面41も形成されている。この追加停止面41は、第2調節装置35の調節ピストンへのボールソケットジョイント接続として第2保持区分38の同じ端部に形成されている。
【0029】
旋回クレードル5の旋回クレードルベアリング8は、第1ベアリング面と第2ベアリング面とによって形成される。第1調節装置10と第1調節可能制限装置25とが配置される、つまり第1調節装置10と第1調節可能制限装置25とを通る力方向が存在する面が第1ベアリング面に延在するように、第1ベアリング面の幅は旋回軸Sの方向に延在する。これに対応する方法で、第2調節装置35と第2制限装置39とが配置される別の面が第2ベアリング面の領域に延在するように、第2ベアリング面の幅も旋回軸Sの方向に延在する。
【0030】
第1調節装置10と第2調節装置35とが、図3に断面図で描かれている。第2調節装置35の調節ピストンには、長手方向に延在する潤滑通路42が設けられていることが、第2調節装置35の断面図から分かる。この潤滑通路42は、第2スリーブ36に形成された第2圧力室を、調節ピストンと第2保持区分38との間のボールソケットジョイント接続に接続する。
【0031】
第1圧力室13が第2圧力室よりも小さな直径を有することは、図3から明白である。その結果、ポンプとして形成されたアキシャルピストンマシン1の運搬側の高圧を常に第1圧力室13に発生させることが可能である。第2調節装置35の調節ピストンの第2圧力室が対応の調節圧力に到達すると、運搬量減少方向に変更される。
【0032】
さらに、中心を通るボア45を旋回クレードル5が有することも分かる。このボア45は、アキシャルピストンマシン1の駆動シャフトの通路を形成する。
【0033】
調節ピストン11は、復元システムの部品である。このような復元システムは、経路信号と圧力信号とを検出するための復元制御機構で使用される。このため、開回路に設けられたポンプの運搬量を増加させるための旋回ピストンに対応する第1調節ピストン11の復元装置の別の部品として、復元要素50が設けられる。
【0034】
復元要素50に関する詳細は、図4を参照して以下で説明する。復元要素50は調節ピストン11に固定接続され、その外周部に平面状に支持されている。90°の角度にある復元要素50はこうして、調節ピストン11の相対位置に関する、また調節運搬量に関する情報を、アキシャルピストンマシン1のハウジングに対する相対位置により提供する。例えば、運搬側の圧力とともに調節運搬量を動力制御システムが検出する必要がある。図1を参照してすでに説明したように、この運搬圧力は圧力室13へ供給されて、調節ピストン11の潤滑通路21にも広がる。
【0035】
復元要素50は、ハウジング側に設けられた制御装置に作用し、制御装置の復元要素によって、運搬圧力に応じた力が調節運搬量に応じた位置で発生する。
【0036】
調節ピストン11に作用する旋回角度制限は、第1調節装置10にも行われる。この旋回角度制限は、圧力室又はカップ状ハウジング部分3の基部で行われ、調節ピストン11の動程を制限する。100%から好ましくは−10%までのこの方向での最大運搬量での一方向のみでの送出を目的として設けられたポンプの場合に、旋回角度制限が調節される。調節は、構造的に、つまり復元要素50がスリーブ15のエッジに達する前に、ブラインドボア14の底部に対するスリーブ15での調節ピストン11の最大動程を固定することによって実施される。これは図4に概略的に示されている。このような固定旋回角度制限は、上述した第2調節ユニットの安全停止部に置き換えられることが好ましい。
【0037】
図4は、このために、調節スリーブ51と、部分的にその中に配置された測定ピストン52とを復元要素50が包含することを示す。調節スリーブ51は復元要素を正確に位置決めするのに充分であるが、圧力室13の圧力に対応する力が測定ピストン52によって発生される。調節ピストン11の長手軸に対して垂直に形成された横ボアに、調節スリーブ51が挿入される。
【0038】
このため、測定ピストン52は径方向の段部を包含する。その結果、調節スリーブ51の、対応の段部が形成された測定ピストン収容ボア53とともに、二つの異なる大きさの環状面が測定ピストン52に形成される。これら二つの環状面は相互に反対方向の配向を持ち、つまり、結果的に生じるアキシャルピストンマシン1の運搬圧力に左右される力が、測定ピストン52に発生するのである。
【0039】
調節スリーブ51は、調節ピストン11を通り、潤滑油通路21を横方向に通過する。このようにして最初は相互に分離していた潤滑油通路21の区分を接続するため、潤滑油通路21の領域において調節スリーブ51には、圧力媒体通路として接続ボア54が形成される。
【0040】
測定ピストン52は接続ボア54の領域で径方向テーパ状であり、つまり、こうして形成された環状通路を介して潤滑油通路21の一部から潤滑油通路21の他の部分まで圧力媒体が流れることを意味する。径方向テーパの両側に形成された測定ピストン52の領域は調節スリーブ51の収容ボア53と、密封状態で、また測定ピストン52を案内するために協働する。しかし、反対の配向を持つ環状面に圧力媒体を供給するため、力伝達端部55に向かう領域において、調節スリーブ51内の測定ピストン52の中央案内領域の直径には、平坦領域が少なくとも一つ設けられている。調節スリーブ内の測定ピストンの中央案内領域は省略されてもよい。
【0041】
力伝達端部55では、測定ピストン52にローラ56が接続されている。調節ピストン11の位置が変化する時に、力が伝達される対向面でローラ56が転動するような配向をローラは持つ。転動方向は、調節移動の場合の調節ピストン11の移動方向と一致する。
【0042】
発生直後の油圧力と関係なくローラ56を対向面と常に当接させるため、調節スリーブ51の段状収容ボア53の幅広領域に付勢ばね57が挿入される。付勢ばね57は、一方では段状収容ボア53の第2段に、他方では測定ピストン52のカラー58に支持されている。しかし、付勢ばね57は省略されてもよい。
【0043】
復元要素50の転動を防止するため、又は調節ピストン11の移動方向に転動方向を常に維持するため、調節ピストン11から離れた調節スリーブ51の端部には、案内部59が形成されている。二つの平坦面60,61が案内部59に形成され、反対方向に外向きであって、カップ状ハウジング部分3の対応の凹部に嵌合する。対応の凹部の幅は、少量の間隙を伴って復元要素が案内されて復元要素50の転動が不可能となるような寸法を持つ。
【0044】
また、相互に対向する第2追加案内面62,63が案内部59に形成されている。測定ピストン52の力伝達端部55は、案内面62,63の領域に配置される。測定ピストン52の力伝達端部55の幅は、測定ピストンが少量の間隙を伴って案内されて測定ピストン52の転動を案内部59が防止するように選択される。
【0045】
ローラ56の両側には差込み部64,65が形成され、二つの差込み部64,65はローラ56と一体的に形成されることが好ましい。力伝達端部55は二股であり、こうして形成された二つの突出部66,67に差込み部ベアリングが形成される。差込み部ベアリングは二つの差込み部とともに、測定ピストン52にローラ56をロック接続する。二つの差込み部ベアリングは差込み部を180°以上包囲し、未装填状態でもローラは落下しないことを意味する。
【0046】
二つの突出部66,67の間でローラ56を案内するため、差込み部64,65に面するローラ56の二つの側面68,69は円錐形又は凸状に設計されている。こうして、差込み部の付近の側面68,69の領域では案内及びセンタリングが行われるのに対して、側面の残りの領域は突出部66,67と接触しない。ゆえに摩擦力が低下する。
【0047】
本発明は、図示された例示的実施形態に限定されない。すなわち、図示された例示的実施形態の個々の特徴を好都合な方法で相互に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 アキシャルピストンマシン
2 シリンダドラム
3 ハウジング部分
4 フランジ部分
5 旋回クレードル
6 作用面
7 反動プレート
8 旋回クレードルベアリング
9 凹部
10 第1調節装置
11 第1調節ピストン
12 第1調節ピストンの第1端部
13 圧力室
14 ブラインドボア
15 スリーブ
16 第1調節ピストンの第2端部
17 保持区分
18 ねじ
19 保持面
20 凹部
21 潤滑油通路
22,23 圧力媒体通路
24 整合ピン
25 第1制限装置
26 第1停止面
27 調節ねじ
28 カウンタナット
29 安全キャップ
30 停止面
31 第1ばねベアリング
32 第2ばねベアリング
33 ばね
34 センタリング凹部
35 第2調節装置
36 第2スリーブ
37 第2端部
38 第2保持区分
39 第2調節可能制限装置
40,41 停止面
42 潤滑油通路
45 ボア
50 復元要素
51 調節スリーブ
52 測定ピストン
53 測定ピストン収容ボア
54 接続ボア
55 力伝達端部
56 ローラ
57 付勢ばね
58 カラー
59 案内部
60,61 平坦面
62、63 第2案内面
64,65 差込み部
66,67 突出部
68,69 側面
S 旋回軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜が変更可能である旋回クレードル(5)と、アキシャルピストンマシンの長手方向に実質的に延在する少なくとも一つの調節装置(10,35)と、前記旋回クレードル(5)の位置を回復させるための復元要素(50)とを有するアキシャルピストンマシンにおいて、
前記復元要素(50)と前記調節装置(10,35)とが、前記アキシャルピストンマシンの回転軸に対して平行に、そして前記旋回クレードル(5)の旋回軸(S)に対して垂直に延在する面に配置されることを特徴とするアキシャルピストンマシン。
【請求項2】
前記復元要素(50)が、前記調節装置(10)の調節ピストン(11)の潤滑油通路(21)を、前記復元要素(50)を介して相互に接続される二つの区分に分割することを特徴とする請求項1に記載のアキシャルピストンマシン。
【請求項3】
前記復元要素(50)を介して供給される圧力の影響を受ける測定ピストン(52)を前記復元要素(50)が包含することを特徴とする請求項1又は2に記載のアキシャルピストンマシン。
【請求項4】
回転を防止するためハウジング凹部で案内される調節スリーブ(51)を前記復元要素(50)が包含することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアキシャルピストンマシン。
【請求項5】
調節スリーブ(51)と前記調節スリーブ(51)の中を案内される測定ピストン(52)とを前記復元要素(50)が包含し、前記測定ピストン(52)が平面状の回転防止部材を介して前記調節スリーブ(51)内で案内されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアキシャルピストンマシン。
【請求項6】
圧力室に配置された冠形状の調節ピストンディスクを有する調節ピストン(52)を前記調節装置(10)が包含し、前記調節ピストン(11)に付勢ばね(33)を支持するため、前記冠形状調節ピストンディスクとベアリングリング(32)との間に前記復元要素(50)が配置されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のアキシャルピストンマシン。
【請求項7】
制御装置に力を伝達するためのローラ(56)が前記復元要素(50)に設けられ、前記ローラ(56)が円錐形又は凸状の側面を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアキシャルピストンマシン。
【請求項8】
前記復元要素(50)が前記調節ピストン(11)に配置されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のアキシャルピストンマシン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−526245(P2010−526245A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506865(P2010−506865)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003866
【国際公開番号】WO2008/138603
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(501125231)ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (329)
【Fターム(参考)】