説明

循環搬送装置

【課題】 受板23や搬送チエン2を容易に取り外すことができ、受板23や搬送チエン2の洗浄を容易にして衛生的とするとともに搬送チエンや搬送チエンの通過する溝の掃除が容易となる循環搬送装置を提供する。
【解決手段】 受板23と、この受板を循環させる搬送チエン2とを備えた循環搬送装置であって、搬送チエンは隣接するリンクを重ねて軸杆が挿通され、該軸杆22の下端部にOリング25が取り付けられ、このOリングがリンク下縁に係止することにより軸杆がリンクに着脱可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば寿司を載せた皿などを循環搬送させる回転寿司などに好適に用いられる循環搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の循環搬送装置として、複数の受板と、これらの受板を循環させる搬送チエンとを備え、前記受板上に寿司などの調理物が載せられた皿を置いて搬送チエンを回転駆動させることにより、各調理物を客の前に順次搬送して提供するようにしたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−192661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の循環搬送装置では、前記受板を搬送チエンに連結させるにあたって割ピンを用い、この割ピンを受板より延びる軸杆の搬送チエンから突出する端部に差し込むことにより、受板と搬送チエンとの連結を行っていた。このため、前記割ピンに調理物の一部やゴミなどが引っ掛かって不衛生となり易い。また、特に回転寿司などに用いる場合、前記受板は衛生上の観点から搬送チエンから取り外して頻繁に洗浄することが望ましく、さらに搬送チエンが通過する溝内には食べ物の残滓が入りこみ易いから、この点からもたびたび搬送チエンを外して掃除をする必要がある。しかしながら従来のように割ピンで連結する場合、この割ピンの軸杆からの抜き取りや差し込みが困難で前記受板の搬送チエンからの脱着が行いにくい。また軸杆と搬送チエンのリンクとを締まり嵌めにより固定することも行われていたが、取り外すことは困難であった。
【0004】
そこで、本発明は、受板と搬送チエンとの連結部分にゴミなどが付着しにくくて衛生的であり、しかも受板の搬送チエンからの脱着を容易に行うことができて、受板の洗浄及び搬送チエンや搬送チエンの通過する溝の清掃が行い易い循環搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、受板と、この受板を循環させる搬送チエンとを備えた循環搬送装置であって、搬送チエンは隣接するリンクを重ねて軸杆が挿通され、該軸杆の下端部にOリングが取り付けられ、このOリングがリンク下縁に係止することにより軸杆がリンクに着脱可能とされたことを特徴とする循環搬送装置である。
【0006】
このようにOリングを用いることにより、従来の割ピンを用いる場合や締り嵌めによる結合の場合に比べて、Oリングが取り付けられた軸杆を、Oリングを弾性変形させながら搬送チエンの取付孔から抜き出したり差し込んだりすることにより、前記軸杆の搬送チエンからの脱着が簡単となって、前記受板の搬送チエンへの取り外しや取り付けが容易に行え、前記受板の洗浄作業や搬送チエンが通過する溝の掃除に便利となる。また、割りピンに比べてゴミなどが引っ掛かりにくいので、衛生的に優れたものとなる。
【0007】
本発明の一実施形態では、前記軸杆のOリングの取付部位に、深さがOリングの断面直径より小さく軸方向長さがOリングの断面直径より大きい環状の溝が形成されている。このようにすれば、軸杆を挿通したり抜脱したりするときはOリングが環状の溝において扁平に変形し、貫通した後はOリングが復元してその外径がリンクの下端に係止し、Oリングの軸杆への保持が確実に行える。
また、好ましくは軸杆が基端まで挿通されたとき、Oリングが溝内にあり、かつ、リンク下縁に係止した状態にあって、しかもOリングの変形が一部残るように形成する。このようにすることにより、軸杆の上下方向のガタツキが防止され、しかもOリングの収縮方向への変形が行われ易く離脱が容易となる。
【発明の効果】
【0008】
以上の発明にかかる循環搬送装置によれば、受板の搬送チエンからの脱着を容易に行うことができて受板やリンク等の洗浄作業や搬送チエンの溝の掃除に便利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明にかかる循環搬送装置を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態にかかる循環搬送装置の全体構造を示す斜視図、図2はその要部の側断面図、図3は縦断面図である。同図では循環搬送装置の一例として回転寿司に用いるものを示しており、複数本の脚部10により支持された細長い楕円形状の受台1と、これの上部に形成された溝3とこの溝3内を回行可能に配置された無端の搬送チエンであるクレセントチエン2を備え、前記受台1上でチエン2の中央部には表示板11が立設されている。循環搬送装置としては、搬送チエンを外すことを要求されるものであれば、回転寿しに限らず、見本商品を展示するなどの場合も含む。またリンクの構成としては図2の例に限らず、図6や図7など他の形態のリンクの場合も含むものである。
【0010】
前記クレセントチエン2は、図2のように、側面視概略コ字状とされた多数のリンク21と、受板23から延びる軸杆であって各リンク21を互いに連結する連結軸22とからなり、この連結軸22の一部が前記リンク21から上方に突出されていて、その突出端に平面視概略三日月形とされた受板23が取り付けられている。また、前記クレセントチエン2は受台1の長さ方向一端に設けた駆動スプロケット20に掛回されて、このスプロケット20の駆動によりクレセントチエン2を回行させる構成となっている。
【0011】
図4は前記クレセントチエン2の一部を示すもので(A)は側面図、(B)は下方から見た底面図であり、図5はその要部の縦断面図、図6はOリングの取付部分を拡大して示す断面図である。これらの図のように、前記受板23に取り付けられた連結軸22の下端に環状の溝24を形成している。
この溝24にOリング25を嵌入させ、このOリング25が取り付けられた連結軸22を前記リンク21の上下リンク片21a,21aに形成した挿入孔26に挿入させ、このときOリング25の一部を下部リンク片21aの挿入孔26の下縁に係止させることにより、前記Oリング25を介して前記連結軸22のリンク21からの抜け止めを行って両者を連結する。
溝24は、深さがOリングの無負荷状態における断面直径より小さく軸方向長さがOリングの無負荷状態における断面直径より大きい環状の溝が形成されている。このようにしたことにより、軸杆を挿通したり抜脱したりするときであってOリングが挿入孔26の内面位置にあるときはOリングが環状の溝内において軸方向に長い扁平形断面に変形し、貫通した後はOリングが断面円形に復元してその外径がリンクの挿通孔26の下端に係止し、Oリングの軸杆への保持が確実に行える。
図6の例では、下部リンク片21aの挿入孔26の下端が座刳り部26aに形成されており、Oリング25の一部をこの座刳り部の下縁に係止させている。このOリング25としては、例えば天然ゴムや、EP、IIR、ニトロゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムなどの弾力性に富む合成ゴムで形成されたものが好適に用いられる。
【0012】
前記リンク21を連結軸22にて連結するときは、Oリング25を溝24内において変形させながら連結軸22を挿入孔26に圧入させ、圧入後挿入孔26の下端から出たときに、図5のように、Oリング25が弾性復帰することにより、このOリング25の一部が下部リンク片21aに形成した挿入孔26の下縁である座刳り部26aに係止する。
【0013】
そして、前記受板23をクレセントチエン2から取り外すときには、連結軸22を上方に強制的に引き上げる。すると、前記Oリング25が溝24内において変形されながら、連結軸22がリンク21の挿入孔26から上方に引き出される。このとき、挿入孔26の下縁周りには座刳り部26aが形成されている場合は、この挿入孔26から連結軸22の引き抜きがより容易に行える。このようにすれば、前記受板23やリンク21を洗浄するようなとき、この受板23のクレセントチエン2からの取り出しが可能となる。また、洗浄後には、前述した場合とは逆に、Oリング25が嵌入された連結軸22をリンク21の挿入孔26の上方から下方に圧入して、前記Oリング25の一部を下部リンク片21aに設けた挿入孔26の下縁に係止させる。このときOリング25が無負荷状態に復元するように溝の位置が設定されてよいが、Oリングの変形が一部残るように溝の位置が設定されるのが好ましく、このようにすることにより連結軸22が上下方向に位置決めされ、ガタツキによる騒音の発生が防止され、離脱が容易となる。
【0014】
以上のように、Oリング25を用い、これを前記連結軸22の溝24に嵌入させて、連結軸22とリンク21との連結を行うことにより、従来の割ピンを用いる場合に比べて、前記連結軸22のリンク21への脱着が容易に行え、つまり前記受板23のクレセントチエン2への取り外しや取り付けが容易に行え、受板23やリンクの洗浄や分解等が行い易くなるとともに搬送チエンが走行する溝の清掃を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態にかかる循環搬送装置の全体構造を示す斜視図である。
【図2】その要部の側断面図である。
【図3】その要部の縦断面図である。
【図4】クレセントチエンの一部を示し、(A)は側面図、(B)は底面図である。
【図5】その要部の縦断面図である。
【図6】Oリングの取付部分を拡大して示す断面図である。
【図7】搬送チエンの他の例を示す図であり、(A)は側面図、(B)は底面図である。
【図8】搬送チエンのさらに他の例を示す図であり、(A)は側面図、(B)は底面図である。
【符号の説明】
【0016】
2 搬送チエン(クレセントチエン)
22 軸杆(連結軸)
23 受板
24 環状の溝
25 Oリング
26 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受板と、この受板を循環させる搬送チエンとを備えた循環搬送装置であって、搬送チエンは隣接するリンクを重ねて軸杆が挿通され、該軸杆の下端部にOリングが取り付けられ、このOリングがリンク下縁に係止することにより軸杆がリンクに着脱可能とされたことを特徴とする循環搬送装置。
【請求項2】
請求項1において、前記軸杆のOリングの取付部位に、深さがOリングの断面直径より小さく軸方向長さがOリングの断面直径より大きい環状の溝が形成されている循環搬送装置。
【請求項3】
請求項2において、軸杆が基端まで挿通されたとき、Oリングが溝内にあり、かつ、リンク下縁に係止した状態にあって、しかもOリングの変形が一部残ることを特徴とする循環搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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