説明

循環濾過水の殺菌・加温方法

【課題】循環させて再使用する温水プール、銭湯、温泉、24時間風呂等の用水を確実に殺菌できる装置を提供する。
【解決手段】循環濾過装置に熱交換器5を組み込んで殺菌・加温を行わせるもので、浴槽1から装置に入った循環水はヘアーキャッチャー2を通りポンプ3で加圧され、濾過器4を通って熱交換器5に送られ予熱される。さらにヒーター6に導かれて加熱され殺菌温度以上に昇温される。ヒーター6の出口から熱交換器5の入口の間は殺菌に必要な温度と時間を調整し、つぎに循環水は熱交換器5でポンプ3から新たに流れてくる循環水を予熱し、殺菌済みの高温の循環水と新たに入ってくる低温の循環水と熱交換を行い、あらかじめ設定した温度にして浴槽1にもどす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
循環させて再使用する温水プール、銭湯、温泉、24時間風呂等の水〈以下循環水と呼ぶ〉は、塩素系薬剤の投入による殺菌が厚労省により指導されている。これは主としてレジオネラ属菌と大腸菌を対象にしている。
[背景技術]
【0001】
従来使われている循環水の殺菌方法は塩素系薬剤の投入の他には、オゾン気泡の混入、紫外線の照射、光触媒、温水全体の加熱殺菌などが行はれている。しかしながら、これらの方法には、循環水の種類が多種多様であり、また使用目的も一様ではないので、一長一短となっている。たとえば温泉のなかには殺菌目的で投入された塩素剤と中和して、殺菌効果を失わせるものもあり、塩素臭のある温泉は嫌われるので大量投入もできない。また、オゾン発生器、光触媒は高価であり、オゾン気泡が水中に多く残留すると人体に悪影響をおよぼす。さらに、紫外線の照射は混濁した水には効果がなく、配管途中に発生するであろうバイオフィルムには、手がでない。
【0002】
レジオネラ属菌は、60度Cの水にふれると15分、70度Cでは1分で死滅し、直接細菌が熱水に触れた場合には5秒で死滅するともいわれている。そのための加熱殺菌槽が市販されているが、それは65度C 30分で運転され全水量を加熱しているので燃料にかかる費用が多くなっている。実際にはこれらの殺菌方法をいくつか組み合わせて使用しているのが現状である。以下の参考文献に詳しい。
【0003】
参考文献;
1.循環式浴槽におけるレジオネラ症防止対策マニュアルについて
厚生労働省ホームページ
2.温泉の殺菌処方について
特定非営利法人(NPO) 入浴施設衛生施設管理推進協議会
[発明の開示]
[発明が解決しようとする課題]
【0004】
確実な殺菌がすべての水質に適用できるとともに、循環装置を使用するときに、必要となる再加温をも同時に行い、装置を安価でかつ、運転経費、主として燃料費の増加を防止する。また、殺菌後に循環水の水質の変化や、人体に悪影響のある変化を起こさせない。
[課題を解決する手段]
【0005】
循環水を再使用するには当然水質の汚れをとるのと同時に、一旦冷えた循環水を加熱して昇温させる必要がある。また、一方で殺菌のためには加熱温度とその保持時間の両方を必要としている。たとえば、65度Cでは保持時間は30分間であり、70度C 以上ならば1分間でもよい。これは装置の中を流れる循環水全部を一時に加熱するのではなく、1分間流れる距離を、あるいは装置のなかの一部分で1分間滞留するあいだだけ加熱すればよいことを示している。以下図をもって説明する。
【0006】
図1において浴槽から装置にはいった循環水は、ヘアーキャッチャーを通りポンプで加圧され、濾過器を通って熱交換器に送られ予熱される。さらにヒーターに導かれて加熱され殺菌温度以上に昇温される。ヒーターの出口から熱交換器の入り口までの間、殺菌するのに必要な温度と保持時間を配管内の流速などを調整して、循環水が保てるようにする。場合によっては時間保持用の滞留ポットをこの区間に設けても良い。つぎに循環水は熱交換器でポンプからあらたに流れてくる循環水を予熱し、自身は殺菌温度からあらかじめ設定された吐出温度に冷やされ浴槽に戻される。説明は浴槽についておこなったが、プールについても同じである
[発明の効果]
実際に使用される多種類の循環水は加熱されるだけなので水質を変化させること無く、確実な殺菌を行うことができる。また循環再使用には装置の使用目的からいって必ず必要となる加温のエネルギーが節約できる。装置は単純でありオゾン発生器のような高価な機器は必要がなく、安価に作成、設置できる。
[発明を実施するための最良の形態]
本発明は温泉水等の資源の再利用に使用されるもので濾過循環装置に熱交換器または、熱交換器の機能を組み込んで殺菌・加温を行わせるものである。熱交換器の伝熱面積が大きいほど装置から吐出される循環水は多くなるので新に計画、設置するほうが使い勝手が良い。しかしヒーターから熱交換器のあいだだけを高温にして循環水の熱殺菌を行い、熱交換器以降は通常の吐出温度になるので、既設の装置に容易に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明による配管図である。
【符号の説明】
1は浴槽、2はヘアーキャッチャー、3はポンプ、4は濾過器、5は熱交換器、6はヒーター、
→ は循環水の流れの方向を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プール、銭湯、温泉、24時間風呂とうの用水を再使用する温浴設備において、熱交換器を設けて、用水の熱殺菌と加温を同時に行えるようにした循環濾過装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−334340(P2006−334340A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187317(P2005−187317)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(504070088)
【Fターム(参考)】