微伸縮性テープ及びこれを用いた衣類
【課題】男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等比較的薄手の布地を用いた衣類の胴部の上縁部位置等に使用して水着等が体からずれるのを防止し、かつ従来の微伸縮性の細紐と同様に安価で経済的なコストで各種の衣類に幅広く使用できる微伸縮性テープ及びこれを用いた衣類を提供することを課題とする。
【解決手段】微伸縮性テープＴ１を、微伸縮性の素材を用いた細紐１の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部２を形成し、広幅部２以外は紐を所定の細紐状に形成して競泳用水着など激しい運動をしても、水着等の衣類が腰からずれを生じるのを防止し、衣類の保持、密着を確保する。
【解決手段】微伸縮性テープＴ１を、微伸縮性の素材を用いた細紐１の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部２を形成し、広幅部２以外は紐を所定の細紐状に形成して競泳用水着など激しい運動をしても、水着等の衣類が腰からずれを生じるのを防止し、衣類の保持、密着を確保する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、水着、スポーツウエア等の衣類の主として胴部の締め付けに使用される微伸縮性テープ及びこれを用いた衣類に関する。
【背景技術】
【０００２】
水着、テニスウエア、フィギュア等のスポーツウエアや下着などを含む薄手の衣類は、一般に脚口部、ウエスト部、ネック部、袖口部等の開口を有し、この開口にはゴムテープなどの伸縮性のテープを縁材としてミシン等で縫合している。このようなゴムテープを縁材として衣類の所定の縁部に取り付けることにより衣類を着用時に、その縁部がずれ上がらないようにして衣類が身体に密着しているという密着感を保持している。このような水着のずれを防止する構成の例として、特許文献１の「水着のズレ防止構造」が公知である。
【０００３】
特許文献１の「水着のズレ防止構造」は、水着の縁部ないし縁部の近傍の裏面側に、シリコーン系のエラストマーからなるズレ防止部が固着して設けられ、このズレ防止部が多数の点状凸部を散点状に配置して形成されている。上記シリコーン系のエラストマーは、実際にはシリコンゴムやシリコーン樹脂が用いられており、このようなズレ防止部を有する水着は、泳いでいるうちに臀部や胸部の部分がずれ上がったり、ずれ下がったりし、フィット感の低下を招き、見栄えを損なうのを防止するとされている。
【０００４】
これに対して、男性の競泳用水着は、一般にパンツの胴部上縁の袋状に形成される紐挿通部に紐が通されており、水泳競技時にパンツが胴部からずれないように水着の上縁の前位置で紐を直接結んで使用される。この男性の競泳用水着ではパンツのずれを防止するために、紐は一般に微伸縮性の細い紐が使用される。この細紐は微伸縮性のため、使用者が自分の身体のサイズに合わせて長さを調整し、ずれが生じない状態で使用される。このように、水着のずれが生じる部分は、上記の水着の脚口部又はその開口部付近の縁部だけでなく、胴部上縁部やその上縁部付近にも生じる。
【特許文献１】特開２００１−０１１７１１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、男性の競泳用水着は、一般にパンツの胴部上縁に通された紐が、水泳競技時にパンツが胴部からずれないように胴部上縁を腰（背中）に密着させ、水着の上縁の前位置で紐を直接結んで使用され、紐は全長が微伸縮性の細紐であるが、長さを調整するために身体の前で結ぶ際に結び易く、かつ結びが容易には解けないものでなければならない。また、使用される紐が細紐であり、かつ長さを調整するとその長さのままであるため、運動中に変化する身体の伸縮に対応する伸縮性がない分腰（背中）に当る位置では必ずしも腰（背中）に密着して保持されない。
【０００６】
一方、一般的なパンツやアンダーシャツ等の下着類では、伸縮性のあるゴムテープ状の生地が、パンツやアンダーシャツ等の衣類のウエスト部や裾の履き口に、身体にフィットさせたり、ずり下がりを防止したりするために広く用いられているが、このような伸縮性のあるゴムテープの生地やゴムテープを、激しい運動をする競泳用水着に用いるには伸縮性が大きすぎて、運動中にずれが生じるという問題がある。
【０００７】
特許文献１の「水着のズレ防止構造」は、激しい泳ぎを繰り返すうちに、臀部や胸部などの部分がずれ上がったり、ずれ下がったりして、フィット感が失われ、見栄えを損なうなどの不都合を防止するため、ズレ防止部の点状凸部を、水着の縁部ないし縁部の近傍の裏面に突起状に多数所定範囲に亘って付着されたものであるが、男性の競泳用水着のパンツの胴部のずれを防止することに利用することはできない。
【０００８】
従って、衣類の密着性を保持することは出来るが、男性の競泳用水着の締め紐のように長さ調整をしてその長さに固定して使用する用途の衣類のずれを防止することには上記特許文献１の水着のズレ防止構造は利用することができず、又従来のいずれの細紐状のテープも衣類の上端縁のズレ防止の用途に使用される細紐を男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類に安価で、かつ経済的なコストで適用できるというものではない。このように、従来の衣類の上端縁に対応する手段には一長一短があり、簡易な構成の微伸縮性の細紐を、合理的かつ経済的な手段として利用することについて解決すべき問題が残されている。
【０００９】
この発明は、上記の問題に留意して、男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等布地を用いた衣類の胴部の上縁部位置等に使用して水着等が体からずれるのを防止し、かつ従来の微伸縮性の細紐と同様に安価で経済的なコストで各種の衣類に幅広く使用できる微伸縮性テープ及びこれを用いた衣類を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
この発明は、上記の問題を解決する手段として、微伸縮性の素材を用いた細紐の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部を形成し、広幅部以外は紐を所定の細紐状に形成した微伸縮性テープの構成としたのである。
この場合、上記所定の広幅部を人体の背中幅に相当する長さ範囲に設けた微伸縮性テープとすることもできる。
さらに、衣類の上端縁部に紐を挿通させるための紐挿通部を形成し、この紐挿通部に上記微伸縮性テープを挿通させて衣類を、身体へ密着、保持をするようにした微伸縮性テープを有する衣類とすることもできる。この衣類では、上記衣類を競泳用水着とし、この競泳用水着の胴部上端縁に形成された紐挿通部に、上記の微伸縮性テープを挿通させて胴部を締め付け自在とした衣類とすることもできる。
【００１１】
上記いずれかの構成としたこの発明の微伸縮性テープは、微伸縮性の素材を用いた細紐の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部を形成し、広幅部以外は紐を所定の細紐状に形成したから、いずれのテープも男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類の、主として胴部上端縁の紐挿通部に挿通されて使用される。いずれのテープも、広幅部が腰（背中）に位置するように使用されるため、激しい運動をしても、この微伸縮性テープを使用した衣類を着用した場合、その装着フィット感、胴部への保持感が良好であり、衣類の上端縁が微伸縮性テープにより腰（背中）に密着するため、着用中に少しずつ腰部から胴部上端縁がずり上がる、ずり下がるという不都合な状態が生じることがなくなる。
【発明の効果】
【００１２】
この発明の微伸縮性テープ及びこれを用いた衣類は、いずれのテープも男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類の、主として胴部上端縁の紐挿通部に挿通されて使用され、衣類の胴部の保持、密着性を確保でき、かつ従来の微伸縮性の紐と同様に安価で経済的なコストで各種の衣類に幅広く使用できるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図１は第１実施形態の微伸縮性テープＴ１の（ａ）平面図、（ｂ）（ｃ）断面図である。図示のように、この実施形態の微伸縮性テープＴ１は、細紐１の長さ中央位置を中心に所定の範囲に設けられた広幅部２を有し、この広幅部２以外の長さ部分には通常の細紐１が形成されている。素材は、綿又は合成繊維による伸縮性の小さい素材（微伸縮性）が用いられている。図示の例では、細紐１は（ａ）図の平面図、（ｂ）（ｃ）図の断面図に示すように、薄いフラットな細紐状に形成され、広幅部２は幅が細紐１の幅ｄの約２倍の幅Ｄ（図示の例ではＤ＝約１．５ｃｍ）に形成されている。
【００１４】
断面は広幅部２の幅Ｄが広いだけで、細紐１、広幅部２はいずれも同様な形状、構成である。細紐１、広幅部２は、いずれも上記素材の糸を用いて図示のような細い紐幅、広幅部にそれぞれ編織されており、編織の際に細紐１、広幅部２が伸びの小さい硬い状態に編まれる。広幅部２の幅Ｄは、約２倍又は２〜３倍程度の範囲とし、長さＬの範囲は、使用する対象が、例えば男性の競泳用水着に使用する場合、人体の腰（背中）部分に対応する長さとし、その水着の上端部の紐挿通部３（図３参照）に挿通される（図示の例では約３０ｃｍ）。他の対象の衣類では、その衣類の用途に応じて長さＬを適宜に設定する。
【００１５】
細紐１は、従来の細紐のように、水着の胴部の上端部を締め付けて、例えば蝶結びするのに必要で、かつ広幅部２を含む全体長さが長すぎない十分な長さとして形成されている。広幅部２を含む細紐１の全体長さの選択は、例えばＳ、Ｍ、Ｌの水着サイズに合わせて適宜長さに設定されたものから選択する。この場合、身体の前面又は横位置で細紐１を結ぶ際に、長すぎず、かつ結ぶのに短すぎない長さとする必要がある。
【００１６】
図２は第２実施形態の微伸縮性テープＴ２の（ａ）斜視図、（ｂ）（ｃ）断面図である。この実施形態の微伸縮性テープＴ２の全体形状は、大略第１実施形態と同じであり、同じ部材には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に以下説明する。広幅部２は第１実施形態と同様に細紐１の略２倍の幅に形成されているが、図２の（ａ）図に示すように、広幅部２は第１実施形態のテープよりやや広幅部２の断面が楕円形状で、かつ細紐１の断面も、（ｂ）図に示すように、薄い略楕円形状に形成されている。（ｃ）図に示すように、この広幅部２の長さ方向に挿通された中芯材２ａの周りは、その中芯材２ａを囲んで編織された外周材２ｂで囲まれており、第１実施形態の広幅部２より柔らかく形成されている。細紐１の断面も、（ｂ）図に示すように、幅が広幅部２より小さいだけで、同様に断面は中芯材１ａ、外周材１ｂからなる薄い略楕円状である。
【００１７】
上記のように形成したこの実施形態の微伸縮性テープＴ１、Ｔ２は、いずれのテープも男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類の、主として胴部上端縁の紐挿通部に挿通されて使用される。この場合、長さは紐を結ぶに適する長さとし、広幅部２が人体の腰（背中）に位置するように使用されるから、紐を適宜の長さに調整した状態で結ぶことにより、しっかりと胴部の周囲に巻きつけて使用される。広幅部２は、細紐１より幅Ｄが広いため、腰（背中）に当接した状態で安定して胴部の周りを締め付け、激しい運動をしても紐の締め付けによる締め付け保持状態に変化が極めて少なく、両端は細紐１となっているため、結びやすい。従って、全長が細紐１だけで形成された従来の締め紐に比較すると、その結びやすさを保持して締め付けの保持力、安定感が格段に向上する。
【実施例】
【００１８】
上記微伸縮性テープＴ１又はＴ２を具体的な衣類に適用した一例として、男性の競泳用水着Ｐに用いられた例を図３に示す。図３は、（ａ）ロングトランクスのタイプのパンツＰ１の外形図、（ｂ）ショートタイプのパンツＰ２の外形図である。上記いずれの男性の競泳用水着Ｐの場合も、パンツの胴部上縁の袋状に形成される紐挿通部３に紐が通されており、水泳競技時にパンツが胴部からずれないように水着の上縁の前位置又は横位置で紐を直接結んで使用される。
【００１９】
上記のように形成した男性の競泳用水着Ｐは、競泳用の場合激しい運動を伴うため、胴部の紐は腰にしっかりと水着の上端部を保持していなければ、競技ができないという厳しい条件で使用される。従って、胴部の上端部を保持するには伸縮性のあるゴムテープの使用が適さないため、従来は一般に全長が微伸縮性の細紐が使用されているが、微伸縮性の細紐だけでは腰（背中）に当る部分の保持、密着性が十分でない。これに対して、この実施例の競泳用のパンツでは、その胴部の上端縁の紐挿通部３に挿通され、広幅部２が腰（背中）に対応するように使用される。このため、細紐１による紐の締め付けがしっかりとでき、かつ腰（背中）に対するパンツの上端部の保持、密着が一層増すため、安定した保持、密着感が得られる。
【００２０】
以上、種々の例の形態を含めた微伸縮性テープを使用した水着の例を説明したが、微伸縮性テープ及びその適用例の水着等の衣類の構成は上記以外にも各種の構成が可能であり、実施形態として記載していないものであってもこの発明の趣旨の範囲内のものは全てこの発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【００２１】
この発明の微伸縮性テープは、微伸縮性の素材を用いた細紐の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部を形成し、広幅部以外は紐を所定の細紐状に形成したから、いずれのテープも男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類の、主として胴部上端縁の紐挿通部に挿通されて衣類のずれを防止するのに広く使用される。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】第１実施形態の微伸縮性テープの（ａ）平面図、（ｂ）（ａ）のＢ−Ｂ断面図、（ｃ）（ａ）のＣ−Ｃ断面図
【図２】第２実施形態の微伸縮性テープの（ａ）外観斜視図、（ｂ）（ａ）のＢ−Ｂ断面図、（ｃ）（ａ）のＣ−Ｃ断面図
【図３】男性の競泳用水着への微伸縮性テープの適用例の概略図（ａ）ロングトランクタイプのパンツ、（ｂ）ショートタイプのパンツ
【符号の説明】
【００２３】
１ 細紐
２ 広幅部
３ 紐挿通部
Ｔ１、Ｔ２ 微伸縮性テープ
Ｐ 競泳用水着
Ｐ１、Ｐ２ パンツ
【技術分野】
【０００１】
この発明は、水着、スポーツウエア等の衣類の主として胴部の締め付けに使用される微伸縮性テープ及びこれを用いた衣類に関する。
【背景技術】
【０００２】
水着、テニスウエア、フィギュア等のスポーツウエアや下着などを含む薄手の衣類は、一般に脚口部、ウエスト部、ネック部、袖口部等の開口を有し、この開口にはゴムテープなどの伸縮性のテープを縁材としてミシン等で縫合している。このようなゴムテープを縁材として衣類の所定の縁部に取り付けることにより衣類を着用時に、その縁部がずれ上がらないようにして衣類が身体に密着しているという密着感を保持している。このような水着のずれを防止する構成の例として、特許文献１の「水着のズレ防止構造」が公知である。
【０００３】
特許文献１の「水着のズレ防止構造」は、水着の縁部ないし縁部の近傍の裏面側に、シリコーン系のエラストマーからなるズレ防止部が固着して設けられ、このズレ防止部が多数の点状凸部を散点状に配置して形成されている。上記シリコーン系のエラストマーは、実際にはシリコンゴムやシリコーン樹脂が用いられており、このようなズレ防止部を有する水着は、泳いでいるうちに臀部や胸部の部分がずれ上がったり、ずれ下がったりし、フィット感の低下を招き、見栄えを損なうのを防止するとされている。
【０００４】
これに対して、男性の競泳用水着は、一般にパンツの胴部上縁の袋状に形成される紐挿通部に紐が通されており、水泳競技時にパンツが胴部からずれないように水着の上縁の前位置で紐を直接結んで使用される。この男性の競泳用水着ではパンツのずれを防止するために、紐は一般に微伸縮性の細い紐が使用される。この細紐は微伸縮性のため、使用者が自分の身体のサイズに合わせて長さを調整し、ずれが生じない状態で使用される。このように、水着のずれが生じる部分は、上記の水着の脚口部又はその開口部付近の縁部だけでなく、胴部上縁部やその上縁部付近にも生じる。
【特許文献１】特開２００１−０１１７１１号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
ところで、男性の競泳用水着は、一般にパンツの胴部上縁に通された紐が、水泳競技時にパンツが胴部からずれないように胴部上縁を腰（背中）に密着させ、水着の上縁の前位置で紐を直接結んで使用され、紐は全長が微伸縮性の細紐であるが、長さを調整するために身体の前で結ぶ際に結び易く、かつ結びが容易には解けないものでなければならない。また、使用される紐が細紐であり、かつ長さを調整するとその長さのままであるため、運動中に変化する身体の伸縮に対応する伸縮性がない分腰（背中）に当る位置では必ずしも腰（背中）に密着して保持されない。
【０００６】
一方、一般的なパンツやアンダーシャツ等の下着類では、伸縮性のあるゴムテープ状の生地が、パンツやアンダーシャツ等の衣類のウエスト部や裾の履き口に、身体にフィットさせたり、ずり下がりを防止したりするために広く用いられているが、このような伸縮性のあるゴムテープの生地やゴムテープを、激しい運動をする競泳用水着に用いるには伸縮性が大きすぎて、運動中にずれが生じるという問題がある。
【０００７】
特許文献１の「水着のズレ防止構造」は、激しい泳ぎを繰り返すうちに、臀部や胸部などの部分がずれ上がったり、ずれ下がったりして、フィット感が失われ、見栄えを損なうなどの不都合を防止するため、ズレ防止部の点状凸部を、水着の縁部ないし縁部の近傍の裏面に突起状に多数所定範囲に亘って付着されたものであるが、男性の競泳用水着のパンツの胴部のずれを防止することに利用することはできない。
【０００８】
従って、衣類の密着性を保持することは出来るが、男性の競泳用水着の締め紐のように長さ調整をしてその長さに固定して使用する用途の衣類のずれを防止することには上記特許文献１の水着のズレ防止構造は利用することができず、又従来のいずれの細紐状のテープも衣類の上端縁のズレ防止の用途に使用される細紐を男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類に安価で、かつ経済的なコストで適用できるというものではない。このように、従来の衣類の上端縁に対応する手段には一長一短があり、簡易な構成の微伸縮性の細紐を、合理的かつ経済的な手段として利用することについて解決すべき問題が残されている。
【０００９】
この発明は、上記の問題に留意して、男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等布地を用いた衣類の胴部の上縁部位置等に使用して水着等が体からずれるのを防止し、かつ従来の微伸縮性の細紐と同様に安価で経済的なコストで各種の衣類に幅広く使用できる微伸縮性テープ及びこれを用いた衣類を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
この発明は、上記の問題を解決する手段として、微伸縮性の素材を用いた細紐の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部を形成し、広幅部以外は紐を所定の細紐状に形成した微伸縮性テープの構成としたのである。
この場合、上記所定の広幅部を人体の背中幅に相当する長さ範囲に設けた微伸縮性テープとすることもできる。
さらに、衣類の上端縁部に紐を挿通させるための紐挿通部を形成し、この紐挿通部に上記微伸縮性テープを挿通させて衣類を、身体へ密着、保持をするようにした微伸縮性テープを有する衣類とすることもできる。この衣類では、上記衣類を競泳用水着とし、この競泳用水着の胴部上端縁に形成された紐挿通部に、上記の微伸縮性テープを挿通させて胴部を締め付け自在とした衣類とすることもできる。
【００１１】
上記いずれかの構成としたこの発明の微伸縮性テープは、微伸縮性の素材を用いた細紐の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部を形成し、広幅部以外は紐を所定の細紐状に形成したから、いずれのテープも男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類の、主として胴部上端縁の紐挿通部に挿通されて使用される。いずれのテープも、広幅部が腰（背中）に位置するように使用されるため、激しい運動をしても、この微伸縮性テープを使用した衣類を着用した場合、その装着フィット感、胴部への保持感が良好であり、衣類の上端縁が微伸縮性テープにより腰（背中）に密着するため、着用中に少しずつ腰部から胴部上端縁がずり上がる、ずり下がるという不都合な状態が生じることがなくなる。
【発明の効果】
【００１２】
この発明の微伸縮性テープ及びこれを用いた衣類は、いずれのテープも男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類の、主として胴部上端縁の紐挿通部に挿通されて使用され、衣類の胴部の保持、密着性を確保でき、かつ従来の微伸縮性の紐と同様に安価で経済的なコストで各種の衣類に幅広く使用できるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１３】
以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。図１は第１実施形態の微伸縮性テープＴ１の（ａ）平面図、（ｂ）（ｃ）断面図である。図示のように、この実施形態の微伸縮性テープＴ１は、細紐１の長さ中央位置を中心に所定の範囲に設けられた広幅部２を有し、この広幅部２以外の長さ部分には通常の細紐１が形成されている。素材は、綿又は合成繊維による伸縮性の小さい素材（微伸縮性）が用いられている。図示の例では、細紐１は（ａ）図の平面図、（ｂ）（ｃ）図の断面図に示すように、薄いフラットな細紐状に形成され、広幅部２は幅が細紐１の幅ｄの約２倍の幅Ｄ（図示の例ではＤ＝約１．５ｃｍ）に形成されている。
【００１４】
断面は広幅部２の幅Ｄが広いだけで、細紐１、広幅部２はいずれも同様な形状、構成である。細紐１、広幅部２は、いずれも上記素材の糸を用いて図示のような細い紐幅、広幅部にそれぞれ編織されており、編織の際に細紐１、広幅部２が伸びの小さい硬い状態に編まれる。広幅部２の幅Ｄは、約２倍又は２〜３倍程度の範囲とし、長さＬの範囲は、使用する対象が、例えば男性の競泳用水着に使用する場合、人体の腰（背中）部分に対応する長さとし、その水着の上端部の紐挿通部３（図３参照）に挿通される（図示の例では約３０ｃｍ）。他の対象の衣類では、その衣類の用途に応じて長さＬを適宜に設定する。
【００１５】
細紐１は、従来の細紐のように、水着の胴部の上端部を締め付けて、例えば蝶結びするのに必要で、かつ広幅部２を含む全体長さが長すぎない十分な長さとして形成されている。広幅部２を含む細紐１の全体長さの選択は、例えばＳ、Ｍ、Ｌの水着サイズに合わせて適宜長さに設定されたものから選択する。この場合、身体の前面又は横位置で細紐１を結ぶ際に、長すぎず、かつ結ぶのに短すぎない長さとする必要がある。
【００１６】
図２は第２実施形態の微伸縮性テープＴ２の（ａ）斜視図、（ｂ）（ｃ）断面図である。この実施形態の微伸縮性テープＴ２の全体形状は、大略第１実施形態と同じであり、同じ部材には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分を中心に以下説明する。広幅部２は第１実施形態と同様に細紐１の略２倍の幅に形成されているが、図２の（ａ）図に示すように、広幅部２は第１実施形態のテープよりやや広幅部２の断面が楕円形状で、かつ細紐１の断面も、（ｂ）図に示すように、薄い略楕円形状に形成されている。（ｃ）図に示すように、この広幅部２の長さ方向に挿通された中芯材２ａの周りは、その中芯材２ａを囲んで編織された外周材２ｂで囲まれており、第１実施形態の広幅部２より柔らかく形成されている。細紐１の断面も、（ｂ）図に示すように、幅が広幅部２より小さいだけで、同様に断面は中芯材１ａ、外周材１ｂからなる薄い略楕円状である。
【００１７】
上記のように形成したこの実施形態の微伸縮性テープＴ１、Ｔ２は、いずれのテープも男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類の、主として胴部上端縁の紐挿通部に挿通されて使用される。この場合、長さは紐を結ぶに適する長さとし、広幅部２が人体の腰（背中）に位置するように使用されるから、紐を適宜の長さに調整した状態で結ぶことにより、しっかりと胴部の周囲に巻きつけて使用される。広幅部２は、細紐１より幅Ｄが広いため、腰（背中）に当接した状態で安定して胴部の周りを締め付け、激しい運動をしても紐の締め付けによる締め付け保持状態に変化が極めて少なく、両端は細紐１となっているため、結びやすい。従って、全長が細紐１だけで形成された従来の締め紐に比較すると、その結びやすさを保持して締め付けの保持力、安定感が格段に向上する。
【実施例】
【００１８】
上記微伸縮性テープＴ１又はＴ２を具体的な衣類に適用した一例として、男性の競泳用水着Ｐに用いられた例を図３に示す。図３は、（ａ）ロングトランクスのタイプのパンツＰ１の外形図、（ｂ）ショートタイプのパンツＰ２の外形図である。上記いずれの男性の競泳用水着Ｐの場合も、パンツの胴部上縁の袋状に形成される紐挿通部３に紐が通されており、水泳競技時にパンツが胴部からずれないように水着の上縁の前位置又は横位置で紐を直接結んで使用される。
【００１９】
上記のように形成した男性の競泳用水着Ｐは、競泳用の場合激しい運動を伴うため、胴部の紐は腰にしっかりと水着の上端部を保持していなければ、競技ができないという厳しい条件で使用される。従って、胴部の上端部を保持するには伸縮性のあるゴムテープの使用が適さないため、従来は一般に全長が微伸縮性の細紐が使用されているが、微伸縮性の細紐だけでは腰（背中）に当る部分の保持、密着性が十分でない。これに対して、この実施例の競泳用のパンツでは、その胴部の上端縁の紐挿通部３に挿通され、広幅部２が腰（背中）に対応するように使用される。このため、細紐１による紐の締め付けがしっかりとでき、かつ腰（背中）に対するパンツの上端部の保持、密着が一層増すため、安定した保持、密着感が得られる。
【００２０】
以上、種々の例の形態を含めた微伸縮性テープを使用した水着の例を説明したが、微伸縮性テープ及びその適用例の水着等の衣類の構成は上記以外にも各種の構成が可能であり、実施形態として記載していないものであってもこの発明の趣旨の範囲内のものは全てこの発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【００２１】
この発明の微伸縮性テープは、微伸縮性の素材を用いた細紐の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部を形成し、広幅部以外は紐を所定の細紐状に形成したから、いずれのテープも男性の競泳用水着、女性用スパッツ、スラックスパンツ、スキーウエア、ウインドブレーカ、スエットパンツ等の各種の衣類の、主として胴部上端縁の紐挿通部に挿通されて衣類のずれを防止するのに広く使用される。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】第１実施形態の微伸縮性テープの（ａ）平面図、（ｂ）（ａ）のＢ−Ｂ断面図、（ｃ）（ａ）のＣ−Ｃ断面図
【図２】第２実施形態の微伸縮性テープの（ａ）外観斜視図、（ｂ）（ａ）のＢ−Ｂ断面図、（ｃ）（ａ）のＣ−Ｃ断面図
【図３】男性の競泳用水着への微伸縮性テープの適用例の概略図（ａ）ロングトランクタイプのパンツ、（ｂ）ショートタイプのパンツ
【符号の説明】
【００２３】
１ 細紐
２ 広幅部
３ 紐挿通部
Ｔ１、Ｔ２ 微伸縮性テープ
Ｐ 競泳用水着
Ｐ１、Ｐ２ パンツ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
微伸縮性の素材を用いた細紐１の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部２を形成し、広幅部２以外は紐を所定の細紐状に形成した微伸縮性テープ。
【請求項２】
上記所定の広幅部２を人体の背中幅に相当する長さ範囲に設けたことを特徴とする請求項１に記載の微伸縮性テープ。
【請求項３】
衣類の上端縁部に紐を挿通させるための紐挿通部３を形成し、この紐挿通部３に前記請求項１又は２に記載の微伸縮性テープを挿通させて衣類を、身体へ密着、保持をするようにした微伸縮性テープを有する衣類。
【請求項４】
前記衣類を競泳用水着Ｐとし、この競泳用水着Ｐの胴部上端縁に形成された紐挿通部３に、前記請求項１又は２に記載の微伸縮性テープを挿通させて胴部を締め付け自在とした請求項３に記載の衣類。
【請求項１】
微伸縮性の素材を用いた細紐１の長さ中央位置を中心に所定長さ範囲に亘り広幅部２を形成し、広幅部２以外は紐を所定の細紐状に形成した微伸縮性テープ。
【請求項２】
上記所定の広幅部２を人体の背中幅に相当する長さ範囲に設けたことを特徴とする請求項１に記載の微伸縮性テープ。
【請求項３】
衣類の上端縁部に紐を挿通させるための紐挿通部３を形成し、この紐挿通部３に前記請求項１又は２に記載の微伸縮性テープを挿通させて衣類を、身体へ密着、保持をするようにした微伸縮性テープを有する衣類。
【請求項４】
前記衣類を競泳用水着Ｐとし、この競泳用水着Ｐの胴部上端縁に形成された紐挿通部３に、前記請求項１又は２に記載の微伸縮性テープを挿通させて胴部を締め付け自在とした請求項３に記載の衣類。
【図１】
【図２】
【図３】
【図２】
【図３】
【公開番号】特開２００９−１２７１３７（Ｐ２００９−１２７１３７Ａ）
【公開日】平成２１年６月１１日（２００９．６．１１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００７−３００６２１（Ｐ２００７−３００６２１）
【出願日】平成１９年１１月２０日（２００７．１１．２０）
【出願人】（５０２３８６９７２）
【出願人】（５０７０８５６５６）
【出願人】（５０７３８４２５０）
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年６月１１日（２００９．６．１１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１９年１１月２０日（２００７．１１．２０）
【出願人】（５０２３８６９７２）
【出願人】（５０７０８５６５６）
【出願人】（５０７３８４２５０）
【Ｆターム（参考）】
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