説明

微小血管血液量の初期増加検出により取得されるパラメータを用いた癌スクリーニング方法

本発明は、一態様では、病変部や腫瘍に近接するがそれ自体は病変部や腫瘍ではない組織の内部およびそうした病変部や腫瘍へと進行する前の組織の内部に存在する「血液供給の初期増加」(EIBS)と称されるものを用いて腫瘍や病変部のスクリーニング検査に関する。異常組織は病変部または腫瘍であってもよく、異常組織は、また、前癌状態の腺腫や異常腺窩巣などの病変部や腫瘍の形成前の組織、異形成表現型をまだ示していない異形成病変の発症前の組織、およびこれらの病変部や前段階の異形成組織に近接する組織であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府の出資を受けた研究開発の発明の権利に関する記載
本発明は、米国国立衛生研究所が認めた助成番号R01CA109861号として政府の助成を受けてなされたものである。米国政府はこの発明に所定の権利を有する。
【0002】
優先権主張
本特許出願は、“METHOD OF SCREENING FOR CANCER USING PARAMETERS OBTAINED BY THE DETECTION OF EARLY INCREASE IN MICROVASCULAR BLOOD CONTENT”(「微小血管血液含有量の初期増加の検出により取得されるパラメータを用いた癌スクリーニング方法」)と題された2009年1月8日に出願された同時係属中である米国特許出願公開第12/350,955に基づく優先権を主張すると共に該米国出願に関連するものであり、該米国特許出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
【0003】
本特許明細書の記載では、特許、特許出願、および様々な刊行物を含む参考文献が引用され論考されている。しかし、こうした参考文献を引用および/または論考することは本発明の記載を明確にするためのものに過ぎず、こうした参考文献を「従来技術」として認めるものではない。本特許出願は、本明細書で引用され論考された全ての参考文献全体を援用し、各参考文献が個々に援用される場合と同程度に援用するものである。
【0004】
本発明は、光散乱および吸光に関し、特に、検出された微小血管血液の供給量の初期増加と、それに対応する体内での腫瘍の撮像、スクリーニング、検出、および治療を含む応用、特に、病変部や腫瘍に近接しているがそれ自体は病変部や腫瘍ではない組織の内部およびそうした病変部や腫瘍が発症する前の組織の内部に存在する「血液供給の初期増加(EIBS:Early Increase in Blood Supply)」とを用いて、異常が疑われる生体組織を認識する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
組織内での異常を判断する技術として様々なものが知られている。こうした技術のうち、本発明に最も関連するものは、異常のある組織内部の血液増加を検出する技術である。こうした技術は他の技術と比較してそれ自体利点がある一方、検出するのが困難な場合がある異常組織自体を検査する必要がある。更に、こうした方法は、癌組織など、異常部分が十分に大きくなってからでないと利用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
結腸内での癌組織検出は、調査を継続する特定の領域で行われる。大腸内視鏡検査には、前駆病変である腺腫性ポリープを特定して阻止することにより大腸癌(CRC:colorectral cancer)の発生を90%まで減らせるという見込みがある。しかし、CRCは、米国で第二位のがん死亡原因となっており、2008年には新たに148,810件が予想されている。現存のCRCスクリーニング戦略が不十分であることの主な理由は、現行の勧告によると、50歳を超える全ての患者にはCRCの危険性があり少なくとも10年おきに行う大腸内視鏡観察の対象となってことにある。しかし、大腸内視鏡検査を介して全ての適格人口(50歳超の米国人は9,000万人未満)に対しスクリーニングを行うことは、費用、患者の気が進まないこと、合併症率、および内視鏡検査技師の不足などの様々な理由によりほぼ不可能である。実際、適格人口のたった20%未満しか大腸内視鏡検査を受診していない。更に、この事態を悪化させているのは、大半の大腸内視鏡検査では陰性が出るということである。例えば、大腸内視鏡検査で70〜80%までの患者は腫瘍性病変を持たない。更に、これら腺腫の多くは結腸癌へと発達することはない。臨床的/生物学的に深刻な腫瘍形成(進行性腺腫)の発生はたったの5%以下である。
【0007】
そこで、本発明は、異常組織の検出を支援するための様々な有益な光学技術、特に異常組織自体の発症の早い段階における光学測定を用いた結腸スクリーニング検査、を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一態様として、病変部や腫瘍に近接しているがそれ自体は病変部や腫瘍ではない組織の内部およびそうした病変部や腫瘍へと進行する前の組織の内部に存在する「血液供給の初期増加」(EIBS)と称されるものを用いて人体結腸内の腫瘍や病変部のスクリーニングを行う方法に関する。異常組織は病変部または腫瘍であってもよく、異常組織は、また、前癌状態の腺腫や異常腺窩巣などの病変部や腫瘍の形成前の組織、異形成表現型をまだ示していない異形成病変の発症前の組織、およびこれらの病変部や前段階の異形成組織に近接している組織であってもよい。
【0009】
特定の実施形態では、スクリーニングは、EIBS測定値の取得と、PLSとしても知られる推定血管径および推定酸素化ヘモグロビンを取得するためにこれらの測定値を用いることとを含む。推定血管径および推定酸素化ヘモグロビンのうちのいずれか、または、好ましくはその両方を予測尺度と共に結腸癌スクリーニングに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
これらおよび他の本発明の態様は、当業者が添付の図面と併せて本発明の具体的な実施形態の説明を検討すれば明らかになる。
【0011】
【図1A】図1Aは、OHb濃度のサポートデータのグラフを示す図である。
【図1B】図1Bは、パッケージ長さスケール(PLS:packaging length scale)のサポートデータのグラフを示す図である。
【図1C】図1Cは、標準パッケージ長さスケール(normalized packaging length scale)のサポートデータのグラフを示す図である。
【図2A】図2Aは、プローブと組織との接触に相関するOHb濃度を示す図である。
【図2B】図2Bは、プローブと組織との接触に相関する組織酸素化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当業者にとって本発明に対する様々な変更や変形は明らかなので、本発明は単に例示的なものとして以下の例でより具体的に説明される。以下に、本発明の様々な実施形態を詳細に説明する。図面は、全体を通して同じ参照番号が同じものを示すものとする。以下の明細書およびクレーム全体で用いられるように、“a”、“an”および“the”は、明示されない限り複数についても意味するものとする。また、以下の明細書およびクレーム全体で用いられるように、“in”は、明示されない限り“in”および“on”を意味するものとする。更に、読み易いように明細書にタイトルやサブタイトルを用いる場合があるが、これらは本発明の範囲に何ら影響するものではない。また、明細書中に用いられる用語について以下により具体的に定義する。
【0013】
本明細書で用いられる用語は通常その分野、発明の内容、および各用語が用いられる特定の内容において普通の意味をもつ。実務家に対する本発明の説明についての付加的な手引きとなるように、本発明を説明するために以下にまたは明細書中の他の箇所で用いられる特定の用語について述べる。便宜上、特定の用語は、例えばイタリック体および/または引用符を用いて強調表示することがある。強調表示を用いることが用語の範囲およびその意味に影響することはなく、つまり、強調表示されてもいなくても同じ文脈であれば用語の範囲およびその意味は同じである。同じ事を一つ以上の方法で表しても構わないことは言うまでもない。その結果、ここで述べる一つまたはそれ以上の用語の代わりとなる言葉や同義語を用いてもよく、用語が本明細書で詳述され説明されているかの是非に特別な重要性はない。特定の用語の同義語が与えられる。一以上の同義語を列挙することで他の同義語の使用が排除されることはない。明細書中のどこで例が用いられても、ここに述べるどんな用語の例も含め、それは単に例示的なものであり、本発明または例示の用語の範囲および意味を決して制限するものではない。同様に、本発明は明細書に記載の様々な実施形態に限られるものではない。
【0014】
定義しない限り、用いられる全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が関係する当業者が通常理解するのと同じ意味をもつ。抵触する場合は、定義を含め本書類により判断するものとする。
【0015】
本明細書で用いられるように、「およそ」(“around”、“about”または“approximately”)は、通常、所定の値または範囲の20%まで、好ましくは10%までを意味し、より好ましくは、5%までを意味する。ここで示す数量はおおよその値であり、これは、明言されていなければ「およそ」(“around”、“about”または“approximately”)を暗示できるということを意味する。
【0016】
本発明は、一態様において、病変部や腫瘍に近接するがそれ自体は病変部や腫瘍ではない組織の内部およびそうした病変部や腫瘍が発症する前の組織の内部に存在する「血液供給の初期増加」(EIBS)と称されるものを用いて腫瘍や病変のターゲットを検査する方法に関する。異常組織は病変部または腫瘍であってもよく、異常組織はまた、前癌状態の腺腫や異常腺窩巣などの病変部や腫瘍の形成前の組織、異形成表現型をまだ示していない異形成病変の発症前の組織、およびこれらの病変部や前段階の異形成組織に近接している組織であってもよい。
【0017】
ここで説明する特定の用途は、大腸癌(「CRC])初期の結腸粘膜内の病変部を検出するためのものであるが、他の用途についても説明する。
【0018】
ターゲットは、人間や動物などの生体被検体に関する試料である。試料は生物試料となるように生体被検体の一部であり、生物試料は癌性疾患を発症している組織を有する可能性がある。
【0019】
腫瘍性疾患は、腫瘍や病変部への過程であり、腫瘍や病変部は、結腸癌、結腸の腺腫性ポリープ、または他の癌などの異常生体組織(前癌状態または癌状態)である。
【0020】
測定ステップは生体内で行われる。測定ステップは、更にターゲットを撮像するステップを含んでもよい。検出時に得られる画像は、後に、腫瘍の大きさとその場所の分析に用いることができる。使用時、プローブは、直腸粘膜を分析するために遠位結腸に挿入されることで、直腸内視鏡検査を必要とせずかつプローブの使用時に結腸清浄を必要としない、患者の直腸癌発症の危険性を評価するメカニズムを与える。光散乱および他の光学方法を含む相互作用光を用いた血液量の測定は、生体内利用のためのプローブ挿入を含み、固形臓器内の組織で血液含有量および/または血流が測定される。一実施形態では、該方法は、血液循環のある組織を持つターゲットにビーム光を投射することを含む。その後、ターゲットから散乱した光が測定され、ターゲットに関する血液供給情報が取得される。取得された血液供給情報は、血液酸素化および本明細書に記載するPLSとして知られる血管径に関するデータを含み、このデータは後に結腸癌スクリーニングに用いられる。
【0021】
発明の範囲を制限する意図はないが、本発明の実施形態による例示の機器、装置、方法、およびこれらに関連する結果を以下に挙げる。なお、読み易いように実施例でタイトルやサブタイトルを用いる場合があるが、これらは決して本発明の範囲を制限するものではない。更に、特定の理論が提示され開示されるが、本発明により本発明が特定の理論や行動計画に関係なく実施される限り、該理論の真偽が正しくても間違っていても、該理論が本発明の範囲を制限することは決してない。血液酸素化(OHb)および血管径(PLS)を取得するために必要なデータを取得するために用いられる光学測定技術は、本特許出願に援用されるEIBS関連の特許出願に記載されおり、該EIBS関連の特許出願ではEIBS検出を背景に論考される他の光プローブおよび光学システムが説明されている。なお、本特許出願で論考される結腸癌スクリーニングに用いることができるEIBS光プローブは、“Probe Apparatus for Recognizing Abnormal Tissue”(「異常組織を認識するためのプローブ装置」)と題された2009年1月8日に出願された米国特許仮出願公開第61/143,407号に記載されており、該米国特許仮出願の代理人参照番号は042652‐0376945であり本特許出願に援用される。
【0022】
本明細書で説明するスクリーニング技術は、結腸癌スクリーニングにも用いることができる。具体的には、このスクリーニングは上記した観察に基づいており、観察には以下のものを含む。
1)EIBSは結腸癌発症過程のかなり早い段階で起こる。
2)EIBSは、内視鏡的・組織学的に(非病変の)粘膜内で結腸腺腫などの腫瘍性病変部の外部で検出可能である(すなわち、電界効果のマーカー)。EIBSから得られる特定のパラメータの一つは、上記したように、腺腫が位置する同じ結腸部分(結腸の同じ3分の1の部分)内で観察された非病変粘膜内の総ヘモグロビン(Hb)濃度の増加である。
3)分光測定は、粘膜内の酸素化ヘモグロビン(OHb)濃度および有効血管径(別名、PLSとも呼ばれるHbパッケージ長さスケール(Packaging length scale))の両方を測定するために用いることができる。
4)OHbは同じ結腸部分内の腺腫の外部にある粘膜で増加する。
5)PLSは電界効果のマーカーである。PLSの減少(平均血管径の縮小)は、近位進行性腺腫を持つ患者の遠位結腸(直腸)内で観察される。
6)OHbの増加は進行性近位線腫を持つ患者の遠位結腸で観察される。この効果は特に女性に顕著であった。
【0023】
PLSおよびOHbの増加の両方が腺腫から離れたところで検出可能であることがわかっており、これにより、結腸全体のどこかに異常組織が存在するか否かの指標として、結腸の一方の端部(通常、遠位結腸とも呼ばれる直腸)でこれらのパラメータの一方または両方を検出することが可能になる。
【0024】
PLSおよびOHbの効果は、上述したEIBSと同じく、十分に浅い組織、通常、粘膜の深さに一致して組織表面から100〜200ミクロン下で、プローブで検査された場合にのみ観察できる。よって、EIBSのこうした特徴は粘膜内で最初に明らかになる。
【0025】
EIBSの測定に基づき、この測定は推定PLSおよび推定OHbを取得し、結腸全体の健全さの指標を取得するために用いることができる。この指標を取得するため、例えば100msなど一定期間での変化率を監視できるとともにその時間枠の変化が通常変化よりも大きいかどうかが指標となるように、または、またはある深さでの血管直径の別の深さでの血管直径に対する比率の測定が指標となるように、OHbの経時的変化(例えば、図2に示すように、拡散発生時の変化)などの推定PLSおよび推定OHbの変形を用いることができる。
【0026】
血管径算出
以下の論考は、表面組織の有効血管径の算出に関する。また、同パラメータはヘモグロビン(Hb)パッケージ長さスケール(PLS)とも称される。PLSは、偏光ゲートのプローブを用いて測定される。特定の実施形態では、この偏光は、三つのコア径200μmのマルチモードファイバを有し、そのうち一つのファイバは照明チャネルとして用いられ、一方、他のファイバは集光のために用いられる。この照明ファイバは、広帯域光源に連結される。二つの薄型偏光板がプローブの近位端に搭載されて入射光を偏光し、水平偏光のI(λ)の散乱信号および垂直偏光のI(λ)の散乱信号を集めることができる。ファイバ先端に取付けられたGRIN(graded refractive index)レンズは、照明ファイバからの光を平行にするとともに試料からの後方散乱光を二つの集光ファイバに集める。GRINレンズは、また、照明ファイバが照射した同じ領域(スポット径=0.7mm)からの散乱光を集光ファイバが受光することを確実にする。GRINレンズの先端部は、8°の角度で研磨されて鏡面反射を防止する。二つの集光ファイバは、プローブの遠位端で、450nm〜700nmで組織から戻る光のスペクトルを記録する分光計に連結される。ほぼ連続した光スペクトルが好ましいが、高ヘモグロビン吸収、中ヘモグロビン吸収、低ヘモグロビン吸収の波長を少なくとも一つ含んだ少なくとも三つの不連続波長が必要となる。この特殊な偏光ゲートプローブは、本実施形態で、最も浅い=水平偏光−垂直偏光、中間=水平偏光のみ、最も深い=垂直偏光のみ(SHALLOWEST=CoPol−CrossPol、Medium=CoPol only、および、Deepest=CrossPol ONLY)に対応する三つの侵入深さからの反射信号を集める。また、他の構成とすることも可能である。例えば、二つの集光ファイバのみと、照明ファイバと、単一の偏光(水平偏光または垂直偏光)受光ファイバとを有するプローブには、単一の侵入深さのみ必要となる。
【0027】
なお、これに関連して、異なる組織深さは異なる診断感度を有することがあるので、複数の深さ、特に、粘膜層内の複数の深さ、から得られる診断情報はより良い結果を与えるが、単一の深さから得られたPLS、好ましくはPLSおよびOHbの両方、は十分な診断情報を与えることができる。また、複数の深さは、水平偏光の受信信号と垂直偏光の受信信号と水平偏光−垂直偏光の受信信号とから判断することによりEIBSを用いて一度の測定で取得できる。
【0028】
プローブの集光ファイバは、入射偏光方向に対する水平偏光(I)および垂直偏光(I)の信号を取得する。複数の光の散乱はその偏光方向を無作為に選ぶので、Iチャネルが短距離光と複数散乱光との組合せをサンプリングする(IおよびIは同量の非偏光光を集める)一方で、Iチャネルは複数散乱光を排他的にサンプリングする。よって、各チャネル(ΔI)の集光効率による正規化の後、これら二つの信号間の差は最短距離の光を分離する。周囲の背景光および変化するファイバ結合効率のシステムへの影響を最小にするために、以下の正規化スキームを用いた。
【数1】

【数2】

【数3】

【0029】
ここで、I(λ)、I(λ)、およびΔI(λ)は、それぞれ、正規化後の垂直偏光、水平偏光、および差偏光を表す。iはプローブが試料と接触した際の測定信号を表し、BGはプローブ先端が水と接触した際に取得される背景信号を表し、RFはポリテトラフルオロエチレン反射率標準から取得される信号を表し、Kは偏光解消光での反射率標準の有効性を示す定数を表す。使用される特定の白色標準に対し、定数Kは0.89に決定される。通常、この定数Kは、直線偏光光源を用いた照射時の、実験的に決定された垂直偏光の水平偏光に対する受光された光の比率である。
【0030】
よって、3つの侵入深さからの信号は、二つの独立した測定を利用し、直行偏光された集光チャネルから算出される。なおI(λ)の信号は三つのうち最も深い侵入深さに対応するが、光子散乱の拡散型と比較すると、この信号はまだ表面的である。以下に説明するように、上記の三つの異なる侵入深さは、酸素化ヘモグロビン、脱酸素化ヘモグロビン、および有効血管径に対して個々に分析することができる。これにより、診断感度が異なる可能性のある三つの異なる組織深さのOHb、DHb、およびPLSのパラメータを推定できる。例えば、表面OHb(上記の式(3)によるスペクトルに由来する)は非常に特徴的である。
【0031】
有効血管径の数値化
酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンの濃度の数値化が開示されている。ランベルト・ベールの法則に基づいて簡単にアルゴリズムを展開した。このモデルでは、試料内の光学特性の差による光路長の変動は、三種類の偏光ゲート信号それぞれで小さいものとする。
【0032】
なお、この特定の用途において、PLSの決定に関連し、減衰係数(以下に記載のAohbおよびAdhb)はPLSと共に変化し、PLSを用いる減衰係数の算出によりPLSの推定値を得られるだけでなくより正確なOHbおよびDHbを読み取ることができる。吸光による減衰は、吸収体濃度に対し逆指数関係を有し、組織からはね返る光のスペクトルは以下のように近似される。
【数4】

ここで、Iscattering(λ)は、吸光体がない場合、測定される試料からの散乱信号であり、AOHb(λ)は酸素化ヘモグロビンの吸光スペクトルであり、ADHb(λ)は脱酸素化ヘモグロビンの吸光スペクトルである。αOHbおよびαDHbはそれぞれ、光路長と酸素化ヘモグロビン濃度との積および光路長と脱酸素化ヘモグロビン濃度との積である。HbOおよびHbの吸光スペクトルは刊行物からまとめられている。
【0033】
血液供給がない場合(Hb濃度=0)、I(λ)=Iscattering(λ)となる。Hb濃度が0でなければ、記録されるスペクトルはHb吸収帯域の存在により変化する。これにより、酸素化ヘモグロビン濃度および脱酸素化ヘモグロビン濃度を数値化できる。Hbが組織体積に均一に分散されない代わりに血液組織(RCB)内に充填(パッケージ,packed)され、RCBが血管に集中するという事態によりスペクトルは更に変化する。「Hb集中(Hb‐packing)」という現象により、有効血管径(PLS)を数値化することができ、更に、酸素化ヘモグロビン濃度および脱酸素化ヘモグロビン濃度の測定精度が向上する。
【0034】
PLSを測定するために、J.C.FinlayおよびT.H.Fosterによる“Effect of pigment packaging on diffuse reflectance spectroscopy of samples containing red blood cells”,Opt Lett 29, 965-967 (2004)に記載の方法に従いヘモグロビン充填に対する吸光スペクトルの補正を行う必要がある。ヘモグロビンが赤血球や血管に閉じ込められたり充填されたりすると、血管中の赤血球が入射光を遮断するのと同じように、同じ赤血球内のヘモグロビン分子同士が入射光を遮断し合うことがある。また、赤血球で占有されていない試料の体積では、ヘモグロビンをサンプリングできない光路となる場合がある。最終的な結果は、酸素化Hbおよび脱酸素化Hb両方の吸光スペクトルの平坦化である。補正された減衰スペクトルA(λ)は、解の減衰スペクトルを上記FinlayおよびFosterに記載された歪み係数で乗算することにより得られる。例えば、脱酸素化Hb(DHb)の減衰スペクトルは、以下の式で求めることができる。
【数5】

ここで、μHbは単一赤血球のDHbの吸光係数であり、RはDHbのパッケージ長さスケールである。ここで、μDHbはAsolutionDHb(λ)*[DHb]と等しく、単一赤血球内のDHb濃度である[DHb]は脱酸素化赤血球の浮遊液に対し6.25mMであると判断される。OHbの補正された吸光スペクトルに、等価式を用いられる。赤血球溶液から測定されるスペクトルでは、Rは赤血球の半径に対応する。しかし、血管内にさらに赤血球が充填されれば、充填効果(packaging effect)は細胞自体によるものではなく、この効果は血管全体に存在し得る光路に見られるHb充填の測定値となる。こうして、血管内に充填された赤血球の長さスケールRは有効血管径と称される。
【0035】
式(1)および式(2)は、組織から記録されるスペクトルがパラメータαOHb、aDHb、およびRに関係することを示す。ここで、これらのパラメータ、特に、有効血管径Rがどのようにして細胞スペクトルから決定されるのかを論考する。有効血管径は、酸素化Hb濃度および脱酸素化Hb濃度を数値化する先に展開されたアルゴリズムの一部として決定される。「内因」散乱スペクトルIscattering(λ)がわかれば、式(1)〜(2)を用いるとともに、測定されたスペクトルI(λ)に最も合ったαOHbおよびαDHbを推定することができる。散乱スペクトルの正確な関数形式は事前にわからないが、Iscattering(λ)はゆっくりと変化する波長の関数であると考えられ、酸素化Hb吸光帯域および脱酸素化Hb吸光帯域を表さないということを踏まえ、酸素化Hb濃度および脱酸素化Hb濃度は推定可能である。
【0036】
上記式(1)および(2)を実行するには、散乱スペクトルが、値の大きな相関長さスケールの連続屈折率変動のランダム媒質に対する減少散乱係数に対する以下のボルン近似の形をとることにする。
【数6】

ここで、βは相関関数の種類を示すパラメータである(0<β<2)。特定の組織部位に対し、プローブはスペクトルI(λ)を測定する。その後、式(1)および(2)をパラメータαOHb、αDHb、およびRの所定の組合せに用いてIscattering_measured(λ)を算出する。
【数7】

【0037】
これが、パラメータαOHb、αDHb、およびRが正確に組織微小血管系を表す場合に観測される散乱スペクトルである。パラメータの選択が本当に正確であれば、Iscattering_measured(λ)∝Iscattering(λ)∝λ2βー4となる。一方、その選択が間違っていれば、Iscattering_measured(λ)は(もし、αOHbおよびαDHbが実際の濃度を過少評価していれば)Hb吸光が「下に凸(deeps)」、または(もし、αOHbおよびαDHbが実際の濃度を過大評価していれば)Hbが「上に凸(humps)」として、Hb吸光度を示す。よって、Iscattering_measured(λ)とλ2βー4との二乗誤差の合計が最小となるように係数αOHb、αDHb、およびRと係数βとが選択される。
【0038】
PLSの算出では、更に照射され集光された光のスペクトルを、前述した酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンの算出と比較する必要があり、PLSを測定するには広波長帯域が重要となる。特に、この波長帯域が酸素化Hb吸光および脱酸素化吸光の波長を無視できる波長を含むことが必須である。例えば、有効血管径には480〜680nmの波長帯域が適当である。この波長帯域が酸素化Hb吸光および脱酸素化吸光の波長を無視できる波長を含まなければ、PLS算出は不正確で不安定なものとなってしまう。この場合、酸素化Hb濃度および脱酸素化Hb濃度を決定することはできるものの、(例えばノイズによる)信号の微小なずれでさえもPLS算出値の偏差につながる可能性がある。最適な関数は関数空間で大量の類似極小値を有することが一つの理由である。例えば、Hb濃度を推定するには450nmから600nmまでの範囲が十分であるかもしれないが、この範囲は、低ヘモグロビン吸光を示す波長帯域を含まないので、PLSを決定するには不十分となる。
【0039】
PLSおよびOHbに基づく予測尺度
EIBSのPLSパラメータおよびOHbパラメータは、単独でも、好ましくはその両方が、結腸癌スクリーニング検査として有効に用いることができ、これは以下の添付書類で確認できる。この論議を始める前に、予測尺度について論考する。
【0040】
直腸EIBSに基づく進行性腺腫を持つ患者と一般患者の特定
直腸粘膜微小血管系の分析に基づいて腺腫を持つ患者と腺腫を持たない患者とを区別するには、上述した2つのEIBSパラメータ、酸素化Hb濃度および有効血管径であるPLS、に基づいて予測尺度を展開することができる。図1Cに示す散布図によると、OHbおよびPLSには相関性がなく(ピアソンのr値=0.0456)、これらは腫瘍形成の危険性を予測する独立因子であることを示している。例えば、予測尺度は以下のように設計することができる。まず、レシーバ・オブザーバ特性(ROC)曲線に基づいてOHbに対し閾値を決定することで、所望の感度および特異度を取得する。例えば、OHb(ここではOHb_tと定義する)の閾値は、感度=100%となるように選択することができる。有効血管径(EBVS_t)の閾値は同様の考え方に基づいて取得される。選択された各閾値は、結腸癌の簡単なスクリーニングテストとして独立して利用される。例えば、危険性のある患者は、一度の検査で正規化酸素化ヘモグロビン値がOHb_tよりも高くなる。これとは別に、2つ目の検査として、正規化EBVS_t未満のパッケージ長さスケールである場合は、危険性のある患者であると分類される。上記尺度は別々に用いることができるが、更に、患者がEBVS_t未満の有効血管径とOHb_tより大きなOHb値とを有する場合、かつその場合に限り、患者が陽性であると分類する予測尺度の組合せに基づいてより良い結果を得ることができる。この予測尺度により、100%の感度および74%の特異度が達成される。LOOCV(leave−one−out cross validation)の後、感度は100%のまま、特異度は71%となる。なお、取得する正規化酸素化ヘモグロビン値および正規化パッケージ長さスケールは、健常人の一般グループから取得するのが好ましい。
【0041】
上記のスクリーニング予測尺度の論考を裏付けるデータを以下に説明する。
【0042】
裏付けデータ
腺腫を持たない165人と、単一非進行性腺腫を持つ39人と、複数の非進行性腺腫を持つ9人と、複数の進行性腺腫を持つ12人とからなる216人の患者を観察した。大腸内視鏡検査を受けた患者に対し、内視鏡的に正常な直腸内で光ファイバEIBSプローブを用いて平均的に10個の測定値を得た。分析によると、複数の非進行性腺腫または単一の進行性腺腫を内包する被検体内で、表面(<100μm)OHbが変化した。図1Aに見られるように、腫瘍の危険性と平行する段階的な進行があった。直腸のPLSは、進行性腺腫を持つ患者内で減少した(図1B)。PLSおよびOHbを組み合わせて単一の予測尺度とした場合、進行性腺腫を持つ患者は明らかに分離した(図1C)。直腸のOHbおよびPLSに基づく予測尺度のレシーバ・オペレータ特性曲線下の領域(ACROC:area under the receiver operator characteristic curve)は、0.927と良好であった。
【0043】
このデータは、EIBSに基づく結腸癌スクリーニング検査は有効であることを示している。よって、大腸内視鏡検査の前に患者は直腸EIBS検査が陰性であるとわかるので、直腸EIBS検査が陽性の患者は大腸内視鏡検査が必要となる。この事前の選別がなければ、全ての患者に大腸内視鏡検査が必要となり、偽陽性率が容認されることにより偽陰性が粗末な臨床結果につながる可能性がある。それゆえに、感度100%および特異度75%を達成するための閾値を設定する。年齢や喫煙歴含む要因による交絡と、痔疾および憩室症を含む病変部であることおよび微小血管ポリープであることによる交絡とは、スクリーニング検査の結果に何ら重大な影響を与えないと判断されている。
【0044】
上述のスクリーニング検査は、腫瘍形成を内包する可能性の最も高い患者のみを対象とする方法として用いることができる。これは、多くの方法において、糞便潜血検査(FOBT:fecal occult blood test)や軟性S状結腸鏡検査を事前スクリーニング検査として用いることと、陽性であった場合にのみ患者に大腸内視鏡検査をさせることとの基本となる。問題は、現存の検査の感度が極めて低いことである(FOBTは進行性腺腫に対する感度は10%以下となっている)。事前のスクリーニング検査を有益なものとするには、臨床的に重要な病変部(進行性腺腫や癌腫)に対する優れた感度を持たせることが必要である。特異度は良くてはならないが、偽陽性(これは、大腸内視鏡検査を義務付けるが、検査がなければ全員大腸内視鏡検査を受けなければならなくなる)の許容範囲を考えると、完璧である必要はない。
【0045】
従って、直腸EIBSスクリーニング検査には少なくとも以下の用途がある。
【0046】
1)かかりつけ医または(女性では)婦人科医による年1回の身体検査における独立した検査としての直腸EIBSスクリーニング検査である。この、直腸EIBSスクリーニング検査は、大腸内視鏡検査または結腸準備を必要とせずに行うことができる。後者は、患者のノンコンプライアンスの大半の理由となっている。まず、大腸内視鏡検査を拒む患者に対し直腸EIBSスクリーニング検査を行ってもよい。直腸EIBSスクリーニング検査の結果に基づき、患者は大腸内視鏡検査を受けるように指示されてもよい(直腸EIBSスクリーニング検査の結果を考え、患者が従いやすくなる)。従って、CRCの危険性が高い患者は適切に大腸内視鏡検査を受けることになり、よって、危険性の低い患者は、高価で不快感を伴うこれらの処置を受けることがなくなる。
【0047】
2)軟性S状結腸鏡検査(FS)(遠位結腸の内視鏡的評価)中の直腸EIBSスクリーニング検査。FSは、ここ数十年間CRCスクリーニングに用いられている。FSでは、結腸の遠位部のみを観察する。腺腫が特定されると、遠位のポリープ除去および近位病変の特定の両方のために、患者は完全大腸内視鏡検査を受ける。不快感が少なく、同様に重要なことに、結腸浄清が耐え得るものであるので、患者のコンプライアンスが得られやすい。社会的観点から、S状結腸鏡検査の利点として、比較的費用が抑えられ、合併症率が低く、またかかりつけ医やナースプラクティショナーでも行うことができることが挙げられる(これにより、内視鏡的能力が高くなる)。軟性S状結腸鏡検査への批判は、大腸内視鏡検査により大半は避けられる結腸近位内の病変部を評価できないことに集中する。この制限は、単離近位腫瘍形成の有病率が高い女性にとっては特に重大である。確かに、軟性S状結腸鏡検査は、進行性腫瘍形成(進行性腺腫または癌腫)を持つ男性の3分の2を特定したが、女性の場合はたった3分の1であった。軟性S状結腸鏡検査中の、PCPまたはナースプラクティショナーによる直腸EIBSスクリーニング検査は、近位腫瘍形成を持つが遠位腺腫を持たない患者を特定するのに役立つ。
【0048】
接触測定値の取得
プローブが組織に接触すると、プローブは組織に圧力をかける。この接触により、血流が減少する。酸素が動脈の赤血球から組織に拡散し続ける一方、プローブにより測定される酸素化Hb濃度は時間とともに減少すると考えられる。50msec毎の5つの連続した測定を記録することにより、この仮説を検証した。図2は測定された酸素化Hb濃度および組織の酸素化が時間とともに減少し、この仮説を立証している。この減少は、時間の指数関数と考えられる。この効果は2つのことを示唆している。
【0049】
1)プローブが組織に接触する時間がわからない限り、接触とオペレータ(例えば、内視鏡検査技師)が信号取得を開始する時間との間には常に有限の遅延が存在する。この遅延により、プローブが測定した酸素化Hb濃度の値に不確実性さと余分な変動性とが入ってしまう。図2に示すように、この潜在的な変動性は非常に大きく、0.25秒の遅延により少なくとも15〜20%もの酸素化Hbが明らかに減少する。よって、変動性を減らして正確な測定値を保証するには、プローブと組織とが接触する時を判断できることが不可欠である。
【0050】
2)この効果は、酸素拡散率を測定する機会を与え、これは、酸素拡散率は同様に組織の代謝率を示す。これは、更に別の生理学的過程および病態生理学的過程のマーカーすることができる。接触測定は多数の方法により行うことができる。一つの方法は、プローブが集光した散乱光量はプローブ・組織間の距離と反比例の関係にあり、かつ、プローブ・組織間の距離が臨界距離を超えるとすぐになくなってしまうという事実に基づいている。例えば、データ収集に用いられる上述したプローブに対し、この臨界距離は1mm未満である。一つの実施方法では、プローブが集光した光の強度を監視し続ける。臨界値を超える強度の急増は、プローブが組織に接触していることを示す。この急増を機に正確な患者情報として用いられる信号の取得を自動的に開始してもよい。全てのスペクトルを連続して監視する必要はない。信号の取得および分析時間の両方を保存するために、狭い波長帯域に対する信号強度を記録し分析すればよい。例えば、単一の波長帯域または狭い波長帯域の反射強度に注目し、強度が閾値を超えるとプローブが組織に接触しているとわかるようにしてもよい。この方法では、50msec以下毎で監視してもよい。
【0051】
よって、接触の時点でまたは接触後の遅延期間の後で、好ましくは、接触時および接触後の両方で、測定値を取得することができる。
【0052】
更に、遠位結腸の異なる複数の箇所を検査し、結果値を平均してスクリーニング指標とすることもできる。ただ一つの測定値を得ることもできるが、3〜6個の測定値が好ましく、10個を超える測定値にはあまり利点がない。また、スクリーニング検査は、決定された測定値に基づいて、臓器内の生体組織が異常である可能性があるかどうかを再度判断する別の検査をいつ行うかの判断に利用することができる。従って、推定血管径および推定OHbが標準値に近いほど、医師は患者が別のスクリーニング検査を受けるように勧めることとしてもよい。
【0053】
解説し説明することのみを目的として本発明の例示の実施形態を示してきたが、これらが包括的で本発明を開示された形態に限定することは意図していない。上記教示を考慮した多くの変更や変形が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の全結腸内の生体組織に異常がある可能性があるかどうかの指標を与える方法であって、
プローブ内の光源が前記結腸の遠位部の内面の位置に配置されるように当該プローブを挿入するステップと、
前記位置で、前記プローブから出射される前記光源からの光で、前記結腸の前記遠位部の前記内面の組織と粘膜層内部の微小血管とを照明するステップであり、前記光で照明される前記組織は、異常がある可能性がある前記組織を含まないステップと、
前記プローブを用いて、前記組織を照射する前記ステップに起因する相互作用光を検出データとして検出するステップであり、前記相互作用光は実質的に、前記結腸の前記遠位部にあってかつ異常がある可能性がある前記生体組織を含まない前記組織内の前記粘膜層の前記微小血管内の血液と相互作用する前記光から取得されるステップと、
前記検出データを用いて前記微小血管内の有効血管径を推定するステップと、
推定された前記有効血管径を用いて、前記全結腸内の前記生体組織に異常がある可能性があるという前記指標を取得するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記推定するステップは、酸素化ヘモグロビンも推定し、前記指標を取得するステップは、推定された前記酸素化ヘモグロビンと推定された前記血管径との両方を用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
推定された前記血管径が推定血管径閾値未満である場合かつ推定された前記酸素化ヘモグロビンが酸素化ヘモグロビン閾値を超える場合に限り、前記結腸内の前記生体組織に異常がある可能性があるという前記指標となるように、推定された前記酸素化ヘモグロビンおよび推定された前記血管径が前記酸素化ヘモグロビン閾値および前記推定血管径閾値と比較されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸素化ヘモグロビン閾値および前記推定血管径閾値は健常人の一般グループから取得される測定値の平均から取得されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記指標が前記生体組織に異常がある可能性があるとする場合に、大腸内視鏡検査を行うステップを更に含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記酸素化ヘモグロビンを推定するステップは推定された前記血管径を用いて再算出されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
一定期間に複数の推定された前記酸素化ヘモグロビンが取得され、前記指標を取得するステップは前記複数の推定された酸素化ヘモグロビンを用いて推定ヘモグロビン変化率を取得することを含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記検出するステップは、前記プローブが前記組織に接触すると直ちに行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記検出するステップは、前記プローブが前記組織に接触した後の遅延時間後に行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記検出するステップは、前記プローブが前記組織に接触すると直ちにと前記プローブが前記組織と接触した後の遅延期間後にとの両方で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数の推定された前記血管径が、複数の粘膜深さから取得されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記指標を与えるために、異なる前記複数の粘膜深さからの推定された前記血管径の比率が用いられることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記検出するステップは、前記相互作用光の成分である水平偏光、垂直偏光、および非偏光のうち少なくとも一つの光を検出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記検出するステップは、前記内面の上面と粘膜下層との間の複数の侵入深さで相互作用光を検出することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組織を検出するステップは、前記内面の上面と前記粘膜層との間の複数の侵入深さで相互作用光を検出することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記挿入するステップと、前記照明するステップと、前記検出するステップとは、内視鏡装置内に少なくとも部分的に配置されるプローブを用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記指標を取得するステップは、推定された前記血管径を基準血管径と比較するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記基準血管径を定めるステップを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記人体以外の複数の人体の血管径の測定値に基づいて前記基準血管径を定めるステップを更に含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記取得するステップによる前記指標は、前記生体組織が将来のある時点で異常となる可能性があることを示すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記遠位結腸内の前記生体組織に異常がある可能性があるかどうかを再度判断する別の検査をいつ行うかの判断に前記指標を用いるステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記照明された組織は、組織学的に正常である、肉眼的に正常である、または内視鏡学的に正常であるかのうち少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
事前に結腸清浄することなく、前記プローブは前記遠位結腸に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2012−514525(P2012−514525A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545474(P2011−545474)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/020556
【国際公開番号】WO2010/081047
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(508331316)ノースショア ユニバーシティ ヘルスシステム (4)
【出願人】(596057893)ノースウエスタン ユニバーシティ (35)
【Fターム(参考)】