説明

微小透析プローブ

本発明は、少なくとも1つの窓(4)が形成された連続する長さの可撓性チューブ(1)を備える改良されたリニア微小透析プローブであって、上記窓がチューブの外周の少なくとも一部に及び、残りの部分が上記チューブの第1の端部と上記チューブの第2の端部との間の少なくとも1つの切れ目のない接続部を形成し、上記端部が潅流液用の入口に取り付けられるようになっており、他端が透析用の出口を形成し、上記少なくとも1つの窓(4)が管状半透膜(2)を露出させる、改良されたリニア微小透析プローブに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、医療用装置で用いる改良型のリニア微小透析プローブに関し、より具体的には、診断目的または検査目的で使用するための改良型のリニア微小透析プローブに関する。
【0002】
本文中の特定の表現の意味は以下のように解釈されるべきである。
プローブという用語は、カテーテルとも解釈されるべきである。
記載されているプローブの入口および出口は、逆向きの流れの場合には、出口および入口としてそれぞれ使用されてもよい。
潅流液は、プローブ内に入ることができ且つそこで膜を通じて周囲組織から物質を摂取することができる微小透析で使用される液体である。
潅流液は、透析後に透析液となる。
【発明の背景】
【0003】
微小透析は、半透膜の一方側が組織および細胞外液と接触し且つ他方側が細胞外液から膜を通じて物質を摂取する透析液(潅流液)で洗い流されて濯がれるように、プローブが生体内組織中へ挿入される検査方法である。また、潅流液を通じて物質を細胞外液に対して局所的に分配することもできる。その後、これらの物質は、プローブから出る時または出た後に透析液中で分析できる。
【0004】
微小透析プローブは、本来、脆弱で非常に小さく、そのため、プローブをそれが使用される組織に挿入し且つ上記組織から引き出す際に多大な注意を要する。プローブはしばしば内側チューブおよび外側チューブの形態を成して形成され、その場合、外側チューブが膜を呈し、透析液および潅流液がチューブの一端で出入りし、チューブの他端が融合され或いは塞がれる。硬質な或いは柔軟なタイプのカニューレプローブは、それらの形状が異なる場合でも、それらの入口チューブおよび出口チューブの接合部で比較的大きな直径を有している。これは、それらが同じポイントで身体に対して出入りするからである。このタイプのプローブは、通常、身体の外側から脳組織または何らかの他の組織中に入れられ、したがって、プローブの長さに応じて利用できる深さが限られてしまい、そのため、その場所で透析が行なわれる場合がある。また、この構造は、例えば皮膚、心臓、肝臓、眼、腫瘍などの軟組織及び/又は移動性組織に対するプローブの取り付け及び上記組織内へのプローブの挿入にも限界がある。
【0005】
この種のそのような微小透析プローブは、スウェーデン特許文献SE−C−434214、米国特許第5,735,832号、米国特許第5,741,284号に記載されている。
【0006】
微小透析が、物質の平衡及び/又は物質の存在または不存在量を検査する特異な可能性、または、例えば手術中などでの薬の使用と関連付けられる物質の状態の特定の変化を監視する特異な可能性を与えることは事実である。しかしながら、従来技術で与えられるプローブを用いると、例えば真皮中、あるいは、更に言えば、一般に到達できない肝臓、心臓または腫瘍などの他の組織中で、あるいは、一般的なタイプのプローブを使用する可能性が存在しない真皮に関して透析を行なう可能性が制限される。この種の透析においては、リニアプローブがより満足できる。この種のプローブの一例は米国特許第5,706,806号から知られている。しかしながら、そのようなリニアプローブに関しては、上記プローブが細く、また、プローブを形成するチューブが細いために、挿入、使用、摘出中にプローブに特定量の歪みが生じ、膜部分でプローブが破断する傾向が避けられないという問題がある。
【0007】
米国特許第5,706,806号に記載されたリニアプローブは、チューブ部分を結び付ける短くて薄い半透膜窓を有する2つの長さが長いプラスチックチューブから構成されるプローブアセンブリを備えている。また、チューブは、好ましくはチューブの全長にわたって延びるが少なくとも窓を通り過ぎてチューブの一端を越えて延出する強力であるが柔軟な所定長の不活性補強体または支持ファイバを含んでいる。また、支持ファイバは、組織を通じてプローブを引張る際に長手方向の応力に耐えるのに役立つようにチューブの他端に対して取り付けられ或いは結合されている。支持ファイバおよびプラスチックチューブは、挿入後に切り取られるべき端部でシールされる。支持ファイバは、本来、プローブを通じた透析液の自由な流れに抗する物体である。
【発明の概要】
【0008】
一般的な微小透析プローブを使用する場合には、プローブが身体または臓器への侵入深さを制限する画成された長さを有しているため、微小透析プローブの使用に対して制限がある。上記長さは、周囲組織、例えば筋肉からの力に耐えることができる能力を考慮することによって制限される。身体の外側から容易に接近できない臓器の場合には、プローブを透析場所に挿入して維持するという問題が存在する。また、プローブが任意の組織深部で使用される場合には、プローブを挿入および引っ込めるために開口が開放状態に保たれなければならない場合がある。
【0009】
この問題に対する解決策は、前述したリニアプローブであって、従来技術に係るリニアプローブに存在する欠点を何ら有さない本発明に係るリニアプローブを使用することである。
【0010】
したがって、本発明の目的は、可撓性があるとともに、皮膚と、一般的なタイプのプローブを取り付け且つ微小透析処理中にその取り付け状態を保つことが難しいような更に深部に位置される臓器との両方に挿入され得る微小透析プローブを提供することである。
【0011】
したがって、本発明の更なる目的は、プローブの当初の強度を依然として保ちつつ、流路内に不必要な障害物が無い流れを可能にする微小透析プローブを提供することである。
【0012】
また、本発明の目的は、例えば診断目的のためにサンプルを取得する際の生体組織での一般的な使用に適した微小透析プローブを提供することである。
【0013】
これらの目的は、少なくとも1つの窓が形成された連続する長さの可撓性チューブをリニア微小透析プローブが備え、上記窓がチューブの外周の少なくとも一部に及び、残りの部分が上記チューブの第1の端部と上記チューブの第2の端部との間の少なくとも1つの切れ目のない接続部を形成し、上記端部が潅流液のための入口に取り付けられるようになっており、他端が透析液のための出口を形成し、上記少なくとも1つの窓が管状半透膜を露出させる、本発明に係る微小透析プローブによって達成される。
【0014】
無論、複数の窓を配置することができる。
【0015】
本発明の更なる目的は、管状半透膜が可撓性チューブの内側に配置されて上記可撓性チューブに対してシールされる本発明に係る微小透析プローブによって達成される。
【0016】
本発明において、本発明の説明から明らかなこれらの目的および他の目的は、添付の請求項に記載された本発明に係る微小透析プローブにおいて達成される。
【0017】
本発明のこれらの目的および他の目的、利点、特徴は、図面と併せて考慮される際に、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から更に容易に理解されよう。図面中、同様の参照符号は、幾つかの図面の全体にわたって同一の構造を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1にはプローブが側面図で示されており、図中、1で示される部品が、プローブチューブ、すなわち、チューブの内側に配置される半透膜2のための空間を与えるために窓4がカットされた長い可撓性プラスチックチューブである。適した半透膜は、当分野で公知であり、例えば、ポリアクリロニトリル、キュプロファン、ポリスルホンなどが挙げられる。プラスチックチューブの材料は例えばポリイミドであり、チューブ壁の厚さは間隔で約4.48〜5.68μmであり、ポリイミドチューブとして購入されてもよい。半透膜は例えばCuprophane(登録商標)から形成されてもよい。寸法は、単なる例であり、本発明を限定するものではない。
【0019】
図2aと図2bには、どのようにして膜2が可撓性チューブ1内に組み込まれ且つ膜をチューブに対して取り付けるために接着剤3が使用されるのかが示されている。チューブ内に膜を設ける方法は、チューブに窓を切り開いて、チューブの内側に膜を配置し、チューブの内周にわたって接着剤を塗布することである。図から分かるように、膜は、チューブ1に対して膜2をうまく固定し且つチューブと膜との間の漏れを確実になくす管状でもある。
【0020】
図3aと図3bには、膜の領域におけるプローブの断面が示されている。図3aには、膜2を露出して検査される組織と接触させる1つの窓が示されており、また、図3bには、同じ目的のために2つの窓が示されている。
【0021】
更なる実施形態では、例えばレーザを使用して、穴の形態を成す窓が形成されてもよい。これらの穴は、例えば螺旋の形態でグループ化されてチューブの外周にわたって配置されてもよい。その後、微小透析(マイクロダイアリシス)が行なわれるように周囲組織へ潅流液を近づけるためにチューブの内側に膜が配置される。
【0022】
透析が行なわれるべき位置にプローブを導入するため、プローブの膜が位置されるべき組織中へカニューレが挿入される。その後、チューブの(出口)端部が、カニューレ内に入れられて、カニューレの先端を通じて案内されるとともに、膜がその意図される位置となるまで前方へ引かれる。その後、カニューレは、カニューレの挿入方向と反対の方向に引き出される。その間、チューブが所定の位置に保持され、また、潅流チューブの入口端部が任意の適した方法で潅流液源に対して取り付けられる。
【0023】
膜の両側でチューブの2つの部分間の接続を行なうチューブの切れ目のない部分が膜を一緒に保持し、牽引に起因する破断が起こらないことは言うまでもない。また、例えば膜のための内側支持体を除去するなどの余計な措置をとらないで済むようになる。本発明に係るプローブは、軟組織及び/又は移動性組織内に挿入される間にプローブに対して必要な柔軟性を依然として与えつつ、上記プローブを通じた流れに対して何ら障害を与えない。
【0024】
1つの好ましい実施形態にほぼ特有の表現で本発明を説明してきたが、前述した実施形態の様々な変形、改良が当業者にとって容易に明らかであることは予期される。したがって、本発明は添付の請求項によって表わされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るリニアプローブの一般化された側面図を示している。
【図2a】挿入されて固定された膜を示す、本発明に係るリニアプローブの図3aにおけるA−A線に沿う長手方向断面を示している。
【図2b】挿入されて固定された膜を示す、本発明に係るリニアプローブの図3bにおけるB−B線に沿う長手方向断面を示している。
【図3a】膜がプローブの外周を部分的に覆うポイントにおけるプローブの断面を示している。
【図3b】膜がプローブの外周を部分的に覆うポイントにおけるプローブの断面を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの窓(4)が形成された連続する長さの可撓性チューブ(1)を備える改良型のリニア微小透析プローブであって、
前記窓が前記チューブの外周の少なくとも一部分に及び、残りの部分が前記チューブの第1の端部と前記チューブの第2の端部との間の少なくとも1つの切れ目のない接続部を形成し、前記端部が潅流液用の入口に取り付けられるよう構成されており、他端が透析液用の出口を形成し、前記少なくとも1つの窓(4)が管状半透膜(2)を露出させている、改良型のリニア微小透析プローブ。
【請求項2】
前記管状半透膜(2)が前記可撓性チューブ(2)の内側に配置されて前記可撓性チューブに対してシール(3)を形成していることを更に特徴とする、請求項1に記載の改良型のリニア微小透析プローブ。
【請求項3】
前記可撓性チューブ(1)に2つ以上の窓(4)が配置され、前記窓のそれぞれが前記管状半透膜(2)を露出させていることを更に特徴とする、請求項1または2に記載の改良型のリニア微小透析プローブ。
【請求項4】
前記チューブ(1)の外周に2つ以上の窓が互いに隣接して配置されることを更に特徴とする、請求項3に記載の改良型のリニア微小透析プローブ。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2009−513204(P2009−513204A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537081(P2008−537081)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067710
【国際公開番号】WO2007/048786
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(502016242)シーエムエー/マイクロダイアリシス アーベー (1)
【Fターム(参考)】