説明

微弱電流治療器

【課題】通電効率を高め、刺激感を緩和し、感染症の危険性も最小限に抑えることができる微弱電流治療器を提供する。
【解決手段】人体の患部へ接触する表面を凸曲面状または平面状に形成した導電性の単電極体1を設け、該単電極体1表面に、複数の溝5を放射状もしくは縦横格子状に刻設し、各溝5同士の交差位置にできる鋭角状もしくは直角状の複数の交差外縁部6によって、人の患部への電気的刺激を緩和する通電ポイントを形成し、また交差外縁部6は、単電極体1表面のレベルから突出しないように形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば首痛、背中痛、腰痛等、人体に発生する種々な疼痛治療用器具として使用する単電極導子式の微弱電流治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性の電極から、電圧1〜40Vで、電流1mA〜50mA程度の低周波電流を人体の患部に流すことで刺激を与えて治療する様々な低周波治療器が知られている。このような低周波治療器を用いる場合、人間の皮膚は約4kΩと電気抵抗が高く、乾燥した導電性電極を皮膚に接触させただけでは通電しない。
【0003】
このため、従来では、例えば、(1)電極表面にスポンジで水もしくは導電性のジェルを塗布したり、(2)電圧を高くしたり、(3)電極表面に鋭角突起を設けたりする等の様々な処置が採られている。
【0004】
また、従来の微弱電流療法においては、800μA以下の弱い電流を人体に通流して治療するのであるが、湿式の電極である場合は、このような800μAという微弱電流では刺激感が全くなく、刺激感を与えるためには乾式の電極を用いる必要がある。
【特許文献1】特になし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記(1)の処置では、乾いてしまえば効果が挙がらないことから、均一な治療成果が得られず、しばしば水やジェル等の塗布が必要となり、作業性が低下する。
【0006】
上記(2)の処置では、患者の受ける刺激が強くなりすぎ、恐怖感、不快感等を与える問題がある。
【0007】
上記(3)の処置では、不快な疼痛感がある上に、皮膚に傷を付けることがあり、感染症等を引き起こす危険性がある。
【0008】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、通電効率を高め、刺激感を緩和させ、感染症の危険性も最小限に抑えることができる微弱電流治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明にあっては、人体の患部へ接触させる表面を凸曲面状または平面状に形成した導電性の単電極体を設け、該単電極体表面に、複数の溝を放射状もしくは縦横格子状に刻設し、該各溝同士の交差位置にできる鋭角状もしくは直角状の複数の交差外縁部によって、人の患部への電気的刺激を緩和させる通電ポイントを形成したものであって、前記交差外縁部は、単電極体表面のレベルから突出しないように形成したことを特徴とする。
【0010】
溝は、その幅・深さが共に0.1〜5mm程度の大きさを有する。
【0011】
単電極体の通電は、800μA以下の微弱電流を使用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、通電効率を高め、刺激感を緩和させ、感染症の危険性も最小限に抑えることができる。
【0013】
また、交差外縁部は、単電極体表面のレベルから突出しないように形成したので、皮膚に対して交差外縁部が食い込んで傷付けることがなく、感染症の危険性を最小限に抑えることができる。
【0014】
そして、溝は、その幅・深さが共に0.1〜5mm程度の大きさを有するので、交差外縁部からの通電効率を十分に高めることができ、しかも交差させる溝の本数の2倍の鋭角部分、すなわち交差外縁部が形成されることから、多数の通電ポイントを単電極体表面に効率的に設けることができる。
【0015】
さらに、単電極体の通電は、800μA以下の微弱電流を使用するので、乾式の単電極体を用いることで、微弱電流療法による治療効果を十分に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。
【0017】
本発明に係る微弱電流治療器は、例えば800μA以下の微弱電流を通電可能とした導電性の材料、例えば鉄、銅、ステンレス、アルミニウム等の導電金属からなる乾式の単電極体1を、例えばプラスチック製の把持部2の先端に備えている。この単電極体1は、プラスチック製の把持部2の中心部にステンレスパイプ製の内部導体3を装着し、この内部導体3の後端を把持部2の末端から開口3aさせてある。そして、この開口3aにプラグ付きコード4のプラグピン4aを差し込むことによって不図示の電源に接続可能となっている。
【0018】
図1に示すように、この単電極体1は、平面内もしくは周縁部のみが皮膚に強く当たることで、周縁部からだけの通電にならないようにするために、皮膚に対する接触面が滑らかな凸曲面状として、例えば球面状に加工形成され且つ表面には、複数の溝5を放射状に刻設してある。ちなみに、この単電極体1の表面を平面状に形成してもよい。
【0019】
そして、図2(a)に示すように、各溝5同士の交差位置には、交差する全ての溝5の2倍の数の交差外縁部6が形成され、これによって、人の患部への電気的刺激を緩和可能とした通電ポイントが形成される。
【0020】
また、上記交差外縁部6は、図2(b)に示すように、その先端部分が鋭角状に形成され、且つ単電極体1の表面レベルと略同一か、あるいは表面レベルから突出することがないように形成される。この交差外縁部6の先端部分の高さは、皮膚に対する単電極体1の接触時に、皮膚表面がその柔軟性により追従するため、単電極体1の接触面レベルより僅かに低い程度に設定するのが望ましい。
【0021】
図3には、単電極体1の他の例が示されている。
尚、前記した形態における構成と同じ部分には同じ符号を付すことでその説明を省略する。
【0022】
すなわち、この単電極体1は、導電性ゴムからなり、皮膚に対する接触面が滑らかな平面状として形成され且つ表面には、複数の溝5を縦横格子状に刻設してある。
【0023】
そして、各溝5の交差位置には、交差する2つの溝5の2倍である4つの交差外縁部6が形成され、これによって、人の患部への電気的刺激を緩和可能とした通電ポイントが形成される。
【0024】
また、上記交差外縁部6は、溝5が十文字状に交差することから、その先端部分が直角状に形成され、且つ単電極体1の表面レベルと略同一か、あるいは表面レベルから突出することがないように形成される。
【0025】
さらに、前記構成と同様に、この交差外縁部6の先端部分の高さは、皮膚に対する単電極体1の接触時に、皮膚表面がその柔軟性により追従するため、単電極体1の接触面レベルより僅かに低い程度に設定するのが望ましい。
【0026】
尚、上記した形態において、単電極体1の表面に、人体の患部に刺激を与える交差外縁部6が、単電極体1表面のレベルから突出しないように形成されるものであれば、溝5の表面形状は特に限定されるものではない。図中4は前記した実施形態と同じプラグ付きコードを示す。
【0027】
次に、以上のように構成された最良の形態についての使用、動作の一例について説明する。
【0028】
把持部2を持って乾式の単電極体1を人体の患部に押し付け接触させた状態で、単電極体1に800μA以下の微弱電流を通電する。この電流は皮膚を通して患部に電気刺激となって与えられる。これにより、例えば首痛、背中痛、腰痛等の各種の治療が施される。
【0029】
この治療中、交差外縁部6により形成された通電ポイントによって、人の患部への電気的刺激が緩和される。また、皮膚表面に交差外縁部6を押し付けた際に、当該交差外縁部6は、単電極体1表面のレベルから突出しないように形成されているため、当該交差外縁部6が皮膚に食い込み傷付けることがない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における微弱電流治療器の断面図である。
【図2】同じく微弱電流治療器の単電極体の一例を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図3】他の例における微弱電流治療器の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 単電極体
2 把持部
3 内部導体
3a 開口
4 プラグ付きコード
4a プラグピン
5 溝
6 交差外縁部(通電ポイント)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の患部へ接触させる表面を凸曲面状または平面状に形成した導電性の単電極体を設け、該単電極体表面に、複数の溝を放射状もしくは縦横格子状に刻設し、該各溝同士の交差位置にできる鋭角状もしくは直角状の複数の交差外縁部によって、人の患部への電気的刺激を緩和させる通電ポイントを形成したものであって、前記交差外縁部は、単電極体表面のレベルから突出しないように形成したことを特徴とする微弱電流治療器。
【請求項2】
溝は、その幅・深さが共に0.1〜5mm程度の大きさを有する請求項1記載の微弱電流治療器。
【請求項3】
単電極体の通電は、800μA以下の微弱電流を使用する請求項1または2記載の微弱電流治療器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−28154(P2009−28154A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193514(P2007−193514)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(501304733)有限会社ユニフェアー (1)
【Fターム(参考)】