説明

微生物によるプレニルアルコールの高生産方法

【解決手段】プレニルアルコール生産菌を界面活性剤、油脂類、及びテルペノイドから選ばれる少なくとも1種の存在下に糖濃度を高めた培地にて培養し、プレニルアルコールを菌体内に生成蓄積せしめ、これを菌体外に分泌させ採取することを特徴とする、プレニルアルコールの高生産方法。
【効果】本発明によれば、プレニルアルコール生産菌を培養するに際し、界面活性剤、油脂類、及びテルペノイドから選ばれる少なくとも1種の存在下に糖濃度を高めた培地を用いることによって、プレニルアルコールの生産量を増大させ、かつ菌体外へ効率よく分泌生産することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を利用するプレニルアルコールの高生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
代表的なプレニルアルコールであるゲラニルゲラニオール、ファルネソールは、生物ではゲラニルゲラニルピロリン酸、ファルネシルピロリン酸がフォスファターゼによって加水分解を受けることにより生成すると考えられる。ゲラニルゲラニルピロリン酸は、ゲラニルゲラニオールのピロリン酸エステルで、イソペンテニルピロリン酸とファネシルピロリン酸の縮合または3分子のイソペンテニルピロリン酸とジメチルアリールピロリン酸の縮合により得られる。ゲラニルゲラニルピロリン酸は、環化反応によりジベレリンなどのジテルペンへ、尾部と尾部で縮合してフィトエンを生成したのちカロチノイドへ、またイソペンテニルピロリン酸と頭部と尾部で縮合してポリプレニルピロリン酸などへと代謝される。一方、ファルネシルピロリン酸はイソペンテニルピロリン酸とゲラニルピロリン酸の縮合または2分子のイソペンテニルピロリン酸とジメチルアリールピロリン酸の縮合により生じ、環化反応によりセスキテルペンに、尾部と尾部との縮合によりスクアレンになったのち、ステロイド及びトリテルペンに、またイソペンテニルピロリン酸と頭部と尾部で縮合してポリプレニルピロリン酸やドリコールに代謝される。また、Ras タンパク質やGタンパク質などある種のタンパク質のシステインと結合してプレニル化タンパク質に代謝される。このように、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルゲラニルピロリン酸、及びこれらの前駆体であるファルネシルピロリン酸、ファルネソール、ゲラニルピロリン酸、ゲラニオールなどの一連のゲラニルゲラニオール誘導体は、テルペン類、カロチノイド類、ステロイド類の生合成中間体として中心的な化合物である。また、ゲラニルゲラニオールおよびその類縁化合物は香料、抗腫瘍活性を有するタキサン類の製造(特願平8-227481号) 、養毛剤(特願平8-180449号) 、骨粗鬆症治療剤(特願平9-294089号)など、重要な用途がある。
【0003】
上記のようなゲラニルゲラニオール誘導体に関し、これまで、Saccharomycescerevisie
のerg 変異株がファルネソールを分泌生産する例 [Curr.Genet., 18,41-46 (1990)] が
あるが、生産量が少なく(1mg/L)、実用的ではない。また、アラキドン酸含有脂質生産能を有する微生物に変異処理を施した変異株を炭化水素、脂肪酸、油脂等を培地に添加してアラキンドン酸含有脂質を製造する例(特開2000-69987号) があるが、添加した上記成分は、アラキドン酸への変換、つまり最終生成物の前駆体として利用されたり、または栄養源として消費されるものの、菌体内生成物質の抽出効果はない。また、有用物質を生産する場合、合成エネルギー及び原料となる糖源の濃度を上げればよいと考えられるが、糖濃度を上げて油状物質を生産する場合、細胞膜の透過性が悪く、菌体内に蓄積されて生成物阻害が起き、収率が期待できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、プレニルアルコールを生産することのできる微生物を用いて、菌体内に生成蓄積したプレニルアルコールを菌体外に効率よく分泌生産させる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するべく検討を重ねた結果、プレニルアルコールを生産することのできる酵母菌(子嚢菌類、不完全菌類)、細菌、放線菌、糸状菌を培養するにあたり、界面活性剤、油脂類、及びテルペノイドから選ばれる少なくとも1種の存在下に糖
濃度を高めた培地にて培養することにより、菌体内に蓄積されたプレニルアルコールを積極的に菌体外に分泌させるとともに、菌体内濃度を下げることによって生産性自体を向上させることができることを見いだした。また、さらに驚くべきことに、通常の培養条件ではプレニルアルコールを生産しない上記微生物菌においても上記と同様な条件で培養することにより、当該化合物の生産が可能となることをも見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のいずれかの属に属するプレニルアルコール生産菌を界面活性剤、油脂類、及びテルペノイドから選ばれる少なくとも1種の存在下に糖濃度を高めた培地にて培養し、プレニルアルコールを菌体内に生成蓄積せしめ、これを菌体外に分泌させ採取することを特徴とする、プレニルアルコールの高生産方法である。
【0007】
サッカロミセス(Saccharomyces)属
サッカロミコシス(Saccharomycopsis) 属
サッカロミコデス(Saccharomycodes)属
シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属
ヴィッカーハミア(Wickerhamia) 属
デバリオミセス(Debaryomyces)属
ハンゼヌラ (Hansenula)属
ハンゼニアスポーラ(Hanseniaspora)属
リポミセス(Lypomyces)属ピキア(Pichia)属
クロッケラ(Kloeckera) 属
カンジダ(Candida) 属
ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces) 属
オガタエア(Ogataea) 属
クライシア(Kuraishia) 属
コマガタエラ (Komagataella) 属
ヤロウヴィア (Yarrowia) 属
バチルス (Bacillus) 属
スタフィロコッカス(Staphylococcus)属
シュードモナス(Pseudomonas) 属
ウィリオプシス(Williopsis) 属
ナカザワエア(Nakazawaea )属
クリベロマイセス(Kluyveromyces)属
トルラスポーラ(Torulaspora)属
シテロマイセス(Citeromyces) 属
ウォルトマイセス(Waltomyces)属
マイクロコッカス(Micrococcus)属
クリプトコッカス(Cryptococcus)属
エキシグオバクテリウム(Exiguobacterium) 属
ノカルディア(Nocardia) 属
ムコール(Mucor)属
アンブロジオザイマ(Ambrosiozyma)属
シストフィロバシジウム(Cystofilobasidium)属
メトシュニコヴィア(Metschnikowia)属
トリコスポロン(Trichosporon)属
キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属
ブレラ(Bullera)属
フェロミセス(Fellomyces)属
フィロバシジウム(Filobasidium)属
ホルテルマンニア(Holtermannia)属
ファフィア(Phaffia)属
ロドトルラ(Rhodotorula)属
スポリジオボラス(Sporidiobolus)属
スポロボロミセス(Sporobolomyces)属
ウィロプシス(Willopsis)属
ジゴアスカス(Zygoascus)属
ハロフェラックス(Haloferax)属
ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属
ロイコスポリジウム(leucosporidium)属
ミキソザイマ(Myxozyma)属
トリコスポリエラ(Trichosporiella)属
アルカリゲネス(Alcaligenes)属
以下に本発明を詳細に説明する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プレニルアルコール生産菌を培養するに際し、界面活性剤、油脂類、及びテルペノイドから選ばれる少なくとも1種の存在下に糖濃度を高めた培地を用いることによって、プレニルアルコールの生産量を増大させ、かつ菌体外へ効率よく分泌生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では微生物を用いる発酵法によってプレニルアルコール、代表的にはゲラニルゲラニオール及びその類縁化合物を製造する。本発明にいう、ゲラニルゲラニオールの類縁化合物とは、ゲラニルゲラニルピロリン酸、及びこれらの合成に関連し生成するファルネシルピロリン酸、ファルネシルモノリン酸、ファルネソール、ゲラニルピロリン酸、ゲラニルモノリン酸、ゲラニオール、ネロリドール、ゲラニルリナロール、リナロールなどをいう。
【0010】
本発明においてゲラニルゲラニオールの生産に使用する微生物は、サッカロミセス(Saccharomyces)属、サッカロミコシス(Saccharomycopsis) 属、サッカロミコデス(Saccharomycodes)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、ヴィッカーハミア(Wickerhamia) 属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、ハンゼヌラ (Hansenula)属、ハンゼニアスポーラ(Hanseniaspora)属、ピキア(Pichia)属、クロッケラ(Kloeckera) 属、キャンジダ(Candida) 属、ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces) 属、オガタエア(Ogataea) 属、クライシア(Kuraishia) 属、コマガタエラ (Komagataella) 属、ヤロウヴィア (Yarrowia) 属、ウィリオプシス(Williopsis) 属、ナカザワエア(Nakazawaea )属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、トルラスポーラ(Torulaspora)属又はクリプトコッカス(Cryptococcus)属、ブレラ(Bullera)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属、クロッケラ (Kloeckera)属、ウィロプシス(Willopsis)属のいずれかの属に属する酵母、あるいはムコール(Mucor)属に属する糸状菌、ハロフェラックス(Haloferax)属に属する始原菌、アルカリゲネス(Alcaligenes)属に属する細菌であって、ゲラニルゲラニオールを生産する能力が潜在的にある菌株であればよい。
【0011】
ゲラニルゲラニオール生産菌を以下に具体的に列挙する。
(1) サッカロミセス(Saccharomyces )属;Saccharomyces cerevisiae ATCC 12341, IFO
0565, IFO 0222, ATCC 64031, ATCC 76625, 京都大学保存株4104, 京都大学保存株4045,
京都大学保存株4103,京都大学保存株4104, ATCC 9080, IFO 1346, ATCC 204660, IFO 0538, IFO 0210、Saccharomyces ellipsoideus 京都大学保存株4102、Saccharomyces sake 京都大学保存株4023, 協会2 号、Saccharomyces rosei IFO 0252 Saccharomycespeka、Saccharomyces kluyveri IFO 18921, Saccharomyces Hafe logos van Laer 京都大学保存株3009
(2) サッカロミコシス(Saccharomycopsis) 属;Saccharomycopsis fibuligera IFO 0106(3) サッカロミコデス(Saccharomycodes)属;Saccharomycodes ludwigii IFO 0339
(4) シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属;Schizosaccharomyces octosporus IAM 4842 、Schizosaccharomyces pombe IFO 0346, IFO 0638
(5) ヴィッカーハミア(Wickerhamia) 属;Wickerhamia fluorescens IFO 1116
(6) デバリオミセス(Debaryomyces)属;Debaryomyces hansenii var.fabryi IFO 0794 、Debaryomyces castellii IFO1359 、Debaryomyces vanrijiae var.vanrijiae JCM 2169
(7) ハンゼヌラ (Hansenula)属;Hansenula valbyensis 、Hansenula saturnus、Hansenula beijerinckii、Hansenula matritensis 、Hansenula capsulata 、Hansenula polymorpha、Hansenula polymopla
(8) ハンゼニアスポーラ(Hanseniaspora)属;Hanseniaspora valbyensis IFO 0115
(9) ピキア(Pichia)属;Pichia membranaefaciens IFO 0128、Pichia aganobii 、Pichia
naganishiiIFO 1670 、Pichia silvicola IFO 0807 、Pichia anomala IFO 0118, IFO 0569, IFO 0707 、Pichia pastoris ATCC 20864
(10) クロッケラ(Kloeckera) 属;Kloeckera japonica IFO 0151
(11) キャンジダ(Candida) 属;Candida krusei IFO 0013、Candida kefyr IFO 0706、Candida tenuis IFO 0716 、Candida solani IFO 0762 、Candida glabrata IFO 0005, IFO 0622 、Candida albicans IFO 1060 、Candida zeylanoides IFO 0719、Candida catenulataIFO 0720 、Candida cariosilignicola IFO 1910 、Candida stellata IFO 0701、Candida utilis IFO 0619
(12) ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces) 属;Zygosaccharomyces rouxii IFO 0487, IFO 0686、Zygosaccharomyces japanicus IFO 0595
(13) オガタエア(Ogataea) 属;Ogataea glucozyma IFO 1472 、 Ogataea polymorpha IFO 1475
(14) クライシア(Kuraishia) 属;Kuraishia capsulata IFO 0974
(15) コマガタエラ (Komagataella) 属;Komagataella pastoris IFO 0948
(16) ヤロウヴィア (Yarrowia) 属;Yarrowia lopolytica IFO 0717
(17) ウィリオプシス(Williopsis) 属;Williopsis saturnus var. saturnus IFO 0125,
IFO 0941、Williopsis saturnus IFO 0895
(18) ナカザワエア(Nakazawaea )属;Nakazawaea holstii IFO 0980
(19) クリベロマイセス(Kluyveromyces)属;Kluyveromyces marxianus IFO 0617, IFO 0288、Kluyveromyces thermotolerans IFO 0662 、Kluyveromyces lactis IFO 0648
(20) トルラスポーラ(Torulaspora)属;Torulaspora delbrueckii IFO 0422
(21) クリプトコッカス(Cryptococcus)) 属;Cryptococcus humicolus IFO 1527
(22) ムコール(Mucor)属;Mucor javanicus IFO 4570
(23) ブレラ(Bullera)属;Bullera pseudoalba IFO 10179
(24) ロドトルラ(Rhodotorula)属;Rhodotorula minuta IFO 0715、Rhodotorula rubra IFO 0870
(25) スポロボロミセス(Sporobolomyces)属;Sporobolomyces salmonicolor IFO 0374
(26) ハロフェラックス(Haloferax)属;Haloferax volcanii IFO 14742
(27) アルカリゲネス(Alcaligenes)属;Alcaligenes faecalis IFO 13111
【0012】
本発明において、ファルネソール生産に使用することのできる微生物としては、サッカロミセス(Saccharomyces)属、サッカロミコデス(Saccharomycodes)属、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属、ヴィッカーハミア(Wickerhamia) 属、デバリオミセス(Debaryomyces)属、ハンゼニアスポーラ(Hanseniaspora)属、リポミセス(Lypomyces)属、ピキア(Pichia)属、カンジダ(Candida) 属、オガタエア(Ogataea) 属、クライシア(Kuraishia) 属、コマガタエラ (Komagataella) 属、ヤロウヴィア (Yarrowia) 属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、トルラスポーラ(Torulaspora)属、ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces) 属、ウィリオプシス(Williopsis) 属、シテロマイセス(Citeromyces) 属、ウォルトマイセス(Waltomyces)属又はクリプトコッカス(Cryptococcus)属のいずれかの属に属する酵母、バチルス (Bacillus) 属、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属、シュードモナス(Pseudomonas) 属、マイクロコッカス(Micrococcus)属、エキシグオバクテリウム(Exiguobacterium) 属のいずれかの属に属する細菌、ノカルディア(Nocardia)属に属する放線菌、あるいはムコール(Mucor)属に属する糸状菌、アンブロジオザイマ(Ambrosiozyma)属、シストフィロバシジウム(Cystofilobasidium)属、メトシュニコヴィア(Metschnikowia)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属、ブレラ(Bullera)属、フェロミセス(Fellomyces)属、フィロバシジウム(Filobasidium)属、ホルテルマンニア(Holtermannia)属、ファフィア(Phaffia)属、スポリジオボラス(Sporidiobolus)属、スポロボロミセス(Sporobolomyces)属、ウィロプシス(Willopsis)属、ジゴアスカス(Zygoascus)属、ロイコスポリジウム(leucosporidium)属、ミキソザイマ(Myxozyma)属、トリコスポリエラ(Trichosporiella)属、ハロフェラックス(Haloferax)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属等に属する微生物であって、ファルネソールを生産する能力が潜在的にある菌株であればよい。
【0013】
ファルネソール生産菌を以下に具体的に列挙する。
(1) サッカロミセス(Saccharomyces)属;Saccharomyces cerevisiae IFO 1346, ATCC 204660, IFO 0258, IFO 0565, ATCC 64031, ATCC 76625, IFO 0262, IFO 0538, 京都大学保存株4104, 京都大学保存株4045, 京都大学保存株4103, IFO 0210, IFO 2347、Saccharomyces unisporus IFO 0215、Saccharomyces sake 協会2 号、、Saccharomyces ellipsoideus京都大学保存株 4102 、Saccharomyces rosei IFO 0252、Saccharomyces logos京都大学保存株 4101 、Saccharomyces dairensis 、Saccharomyces bayanus IFO 0539, IFO 0613、Saccharomyces kluyveri IFO 1892 、Saccharomyces paradoxus IFO 0259, Saccharomyces Hafe logos van Laer 京都大学保存株 4003
(2) サッカロミコデス(Saccharomycodes)属;Saccharomycodes ludwigii IFO 0339
(3) シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属;Schizosaccharomyces pombe IFO 0346, IFO 0638, IFO 0358、Schizosaccharomyces octosporus JAM 4842
(4) ハンゼニアスポーラ(Hanseniaspora)属;Hanseniaspora valbyensis IFO 0115
(5) デバリオミセス(Debaryomyces)属;Debaryomyces hansenii IFO 0023、Debaryomyces
hansenii var.fabryi IFO 0749 、Debaryomyces castellii IFO 1359 、Debaryomyces vanrijiae var. vanrijiae JCM 2169
(6) リポミセス(Lypomyces)属;Lypomyces starkeyi IFO 0678
(7) ピキア(Pichia)属;Pichia aganobii 京都大学保存株 4261 、Pichia naganishii IFO 1670、Pichia anomala IFO 0118, IFO 0569, IFO 0963, IFO 707, IFO 0146、Pichia pastoris ATCC 20864
(8) カンジダ(Candida) 属;Candida utilis IFO 0626, IFO 0619、Candida albicans IFO 0579, IFO 1060、Candida zeylanoides IFO 0719、Candida glabrata IFO 0005, IFO 0622 , IFO 0741、Candida cariosilignicola IFO 1910 、Candida stellata IFO 0701 、Candida solani IFO 0762、Candida intermedia IFO 0761、Candida krusei IFO0941、Candida tenuis IFO 0716
(9) ヴィッカーハミア(Wickerhamia) 属;Wickerhamia fluoresces IFO 1116
(10) クライシア(Kuraishia) 属;Kuraishia capsulata IFO 0974
(11) コマガタエラ (Komagataella) 属;Komagataella pastoris IFO 0948
(12) オガタエア(Ogataea) 属;Ogataea glucozyma IFO 1472 、Ogataea polymorpha IFO
1475
(13) ヤロウヴィア (Yarrowia) 属;Yerrowia lopolytica IFO 0717
(14) クリベロマイセス(Kluyveromyces)属;Kluyveromyces marxianus IFO 0288, IFO 0617、Kluyveromyces thermotolerans IFO 0662 、Kluyveromyces lactis IFO 0648
(15) トルラスポーラ(Torulaspora)属;Torulaspora delbrueckii IFO 0422
(16) ザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces) 属;Zygosaccharomyces rouxii IFO 0487, IFO 0686、Zygosaccharomyces japanicus IFO 0595、Zygosaccharomyces fermentati IFO 0021
(17) ウィリオプシス(Williopsis) 属;Williopsis saturnus var. saturnus IFO 0941
、Williopsis californica IFO0800、Willopsis saturnus IFO 0895
(18) シテロマイセス(Citeromyces) 属Citeromyces matritensis IFO 0954
(19) ウォルトマイセス(Waltomyces)属Waltomyces lipoder IFO 0673
(20) クリプトコッカス(Cryptococcus)) 属;Cryptococcus humicolus IFO 1527
(21) バチルス (Bacillus) 属;Bacillus amyloliquefaciens IFO 3022、Bacillus pumilus IFO 3030
(22) スタフィロコッカス(Staphylococcus)属;Staphylococcus epidermidis IFO 3762
(23) シュードモナス(Pseudomonas) 属;Pseudomonas sp. 京都大学保存株 876
(24) マイクロコッカス(Micrococcus)属;Micrococcus luteus IFO 3067
(25) エキシグオバクテリウム(Exiguobacterium)属;
Exiguobacterium acetylicum IFO 12146
(26) ノカルディア(Nocardia)属;Nocardia asteroides 京都大学保存株 2103
(27) ムコール(Mucor) 属;Mucor Javanicus IFO 4570
(28) アンブロジオザイマ(Ambrosiozyma)属;Ambrosiozyma platypodis IFO 10752
(29) シストフィロバシジウム(Cystofilobasidium)属;Cystofilobasidium infirmominiatum IFO 1057
(30) ロイコスポリジウム(leucosporidium)属;Leucosporidium scottii IFO 1924
(31) メトシュニコヴィア(Metschnikowia)属;Metschnikowia lunata IFO 1605
(32) ミキソザイマ(Myxozyma)属;Myxozyma lipomycoides IFO 10351
(33) トリコスポロン(Trichosporon)属;Trichosporon pullulans IFO 1232
(34) キサントフィロミセス(Xanthophyllomyces)属;Xanthophyllomyces dendrorhous IFO 10130
(35) ブレラ(Bullera)属;Bullera pseudoalba IFO 10179
(36) フェロミセス(Fellomyces)属;Fellomyces penicillatus IFO 10119
(37) フィロバシジウム(Filobasidium)属;Filobasidium capsuligenum IFO 1185、Filobasidium uniguttulatum IFO 0699
(38) クロッケラ(Kloeckera) 属;Kloeckera corticis IFO 0633
(39) ホルテルマンニア(Holtermannia)属;Holtermannia corniformis IFO 10742
(40) ファフィア(Phaffia)属;Phaffia rhodozyma ATCC 66270
(41) サッカロミコシス(Saccharomycopsis) 属;Saccharomycopsis fermentans IFO 10772
(42) スポリジオボラス(Sporidiobolus)属;Sporidiobolus samonicolar IFO 1035
(43) スポロボロミセス(Sporobolomyces)属;Sporobolomyces salmonicolor IFO 0374
(44) トリコスポリエラ(Trichosporiella)属;Trichosporiella flavificans IFO 1573
(45) ジゴアスカス(Zygoascus)属;Zygoascus hellenicus IFO IFO 10184
(46) ハロフェラックス(Haloferax)属;Haloferax volcanii IFO 14742
(47) ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属;Brevibacterium linens IFO 12171
【0014】
本発明においてネロリドールの生産に使用する微生物は、サッカロミセス(Saccharomyces)属又はカンジダ(Candida) 属に属する酵母、あるいはムコール(Mucor)属に属する糸状菌、シストフィロバシジウム(Cystofilobasidium)属、ロドトルラ(Rhodotorula)属、ウィロプシス(Willopsis)属、ジゴアスカス(Zygoascus)属、ハロフェラックス(Haloferax)属等に属する微生物であって、ネロリドールを生産する能力が潜在的にある菌株であればよい。
【0015】
ネロリドール生産菌を以下に具体的に列挙する。
(1) サッカロミセス(Saccharomyces)属;Saccharomyces unisporus IFO 0215 、Saccharomyces cerevisiae 京都大学保存株4045, 京都大学保存株4103, 京都大学保存株4104, IFO 0210, ATCC 64031、Saccharomyces Hafe logos van Laer 京都大学保存株 4003 、Saccharomyces elliposoideus 京都大学保存株 4102
(2) カンジダ(Candida) 属;Candida grabrata IFO 0622, IFO 0005, IFO 0741、Candida
solani IFO 0762、 Candida cariosilignicola IFO 1910、Candida krusei IFO 0941
(3) ムコール(Mucor) 属;Mucor Javanicus IFO 4570
(4) シストフィロバシジウム(Cystofilobasidium)属;Cystofilobasidium infirmominiatum IFO 1057
(5) ロドトルラ(Rhodotorula)属;Rhodotorula minuta IFO 0715,Rhodotorula rubra IFO 0870
(6) ウィロプシス(Willopsis)属;Williopsis californica IFO 0800
(7) ハロフェラックス(Haloferax)属;Haloferax volcanii IFO 14742
【0016】
その他に、本発明で用いることのできるゲラニルゲラニオール、ファルネソール、及び/又はネロリドール等のプレニルアルコールを生産する菌としては、ディポダスカス(Dipodascus)属、イサチェンキア(Issatchenkia)属、モルチエレラ(Mortierella)属、ロドスポリジウム(Rhodosporidium)属、ツカムレラ(Tsukamurella)属、ヤマダザイマ(Yamadazyma)属、ベンシントニア(Bensingtonia)属、ボツリオザイマ(Botryozyma)属、ブレタノミセス(Brettanomyces)属、クラビスポラ(Clavispora)属、デッケラ(Dekkera)属、エレマスカス(Eremascus)属、エレモテシウム(Eremothecium)属、エリスロバシジウム(Erythrobasidium)属、クロッケラスポラ(Kloeckeraspora)属、ココバエラ(Kockovaella)属、コダマエア(Kodamaea)属、クルツマノミセス(Kurtzmanomyces)属、ロデロミセス(Lodderomyces)属、マラセジア(Malassezia)属、マラキア(Mrakia)属、ナドソニア(Nadsonia)属、パシソレン(Pachysolen)属、サツニスポラ(Saturnispora)属、シゾブラストスポリオン(Schizoblastosporion)属、スポロパシダミア(Sporopachydermia)属、ステファノアスカス(Stephanoascus)属、ステリグマトミセス(Sterigmatomyces)属、ステリグマトスポリジウム(Sterigmatosporidium)属、シンポジオミセス(Sympodiomyces)属、シンポジオミコシス(Sympodiomycopsis)属、トリゴノプシス(Trigonopsis)属、ツチヤエア(Tsuchiyaea)属、ジゴザイマ(Zygozyma)属、アシクロコニジウム(Aciculoconidium)属等に属するものが挙げられる。また、本発明で用いる微生物は、上記に掲げた天然より採取した菌に、遺伝子を導入して改変を加えた組換え菌をも包含する。
【0017】
次に本発明で用いる微生物の培養について説明する。微生物を培養する培地としては通常、これらの微生物が生育し得る培地であれば良く、具体的には、酵母菌(子嚢菌酵母類、不完全酵母類)の場合、YM培地、KY培地、F101培地等が、細菌・放線菌・糸状菌の場合、KB培地等が例示される。
【0018】
炭素源としては菌体が資化し生育できる炭素化合物であればいずれでも使用可能である。窒素源としては、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等の無機窒素源、酵母エキス、ペプトン、肉エキスなどの有機窒素源を使用することができる。これらの他に、必要に応じて、無機塩類、金属塩、ビタミンなどを添加することもできる。
【0019】
培養は、微生物の種類によって異なるが、通常は、温度20〜40℃、より好ましくは25〜35℃でpH5〜9で行うことが好ましい。また、微生物の種類に応じて嫌気下でも好気下でもいずれも行うことができるが、増殖速度が速いことから好気下での振盪培養や回転培養が好ましい。但し、培養条件は、用いる微生物や培地組成などに応じてプレニルアルコールの生産量が最大になるように設定することが重要であることは当然である。
【0020】
本発明においては、プレニルアルコールの生産量を増大させ、かつ生成物質の菌体外への分泌を促進させるには、当該プレニルアルコール生産菌を界面活性剤、油脂類、及びテルペノイドから選ばれる少なくとも1種の存在下に糖濃度を高めた培地にて培養を行う。
【0021】
本発明において「糖濃度を高めた培地」とは、糖類の培地への添加量が2%〜7%とした培地をいい、糖類としては、例えばグルコース、シュクロース等が挙げられる。なお、本明細書では、添加割合を示すときに用いる(%)はw/v(%)を意味する。
【0022】
本発明において用いる油脂類としては、例えば大豆油、魚油、アーモンド油、オリーブ油等が挙げられ、その添加量は培地に対して例えば0.01%以上、好ましくは1%以上である。なお、添加量が3%以上を超えると、それ以上効果が上がらなくなくなるのでコスト面を考慮すると、0.01〜3%とすることが望ましい。
【0023】
本発明において用いる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、例えば、ポリエチレングリコール型(高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレンエチレングリコールエチレンオキサイド付加物など)、多価アルコール型(ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテルなど)、あるいはシリコーンオイル(ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーンオイルなど)が挙げられる。
【0024】
具体的には、タージトール NP-40(ナカライ製) 、コール酸(ナカライ製)、デオキシコール酸(ナカライ製)、N−ラウリルサルコシン(ナカライ製)、スクロースモノラウレート(ナカライ製)、Triton X-100(ナカライ製) 、TritonX-305(ナカライ製) 、ノ
ニデット P-40 (岩井化学製)、Tween 20(ナカライ製) 、Tween 80(ナカライ製) 、Span 20 (ナカライ製) 、Span 85 (ナカライ製) 、CTAB(ナカライ製) 、ノニル−β−D−グルコース(シグマ製)、アデカプルロニック L-61 (旭電化製;エチレンオキサイドが結合したPPG )、アデカノール LG-109 (旭電化製;ポリエーテルタイプのPPG )、アデカノール LG-294 (旭電化製;ポリエーテルタイプのPPG )、アデカノール LG-295S(旭電化製;ポリエーテルタイプのPPG )、アデカノール LG-297 (旭電化製;ポリエーテルタイプのPPG )、アデカノール B3009A (旭電化製;油脂・脂肪酸エステル)、シリコーン系消泡剤であるKS66(信越化学製)、KS69(信越化学製)、KS502(信越化学製)、KM73(信越化学製)、KM82F(信越化学製)等の市販品を用いることができる。
【0025】
消泡効果を有さない界面活性剤の添加量は培地に対して例えば0.005%〜1%、好ましくは0.05%〜0.5%とすればよく、1%を超えて添加すると泡が発生して好ましくない。また、消泡効果を有する界面活性剤の場合は、1%を超えて添加してもよい。
【0026】
本発明において、テルペノイドとしては、例えばスクアレン、トコフェロール、等が挙げられ、その添加量は培地に対して例えば0.01%以上、好ましくは1%以上とすればよい。なお、添加量が3%を超えると、それ以上効果があがらなくなくなるので、コスト面を考慮すると、0.01〜3%が望ましい。上記添加物中、プレニルアルコールの生産量を増大させ、かつ生成物質の菌体外への分泌を促進するためには、油脂類が好ましく、油脂類と界面活性剤(特には消泡性界面活性剤)の併用がより好ましい。
【0027】
本発明においてプレニルアルコールを生産する工程はバッチ式でも、また、バイオリアクターを用いた連続式でも可能である。微生物菌体はそのままプレニルアルコールの生産に供してもよいし、破砕菌体、菌体培養液、粗酵素、精製酵素等の菌体処理物としてもよ
い。また、培養菌体又は該菌体処理物は、固定化法で固定化してもよい。かかる菌体又は菌体処理物を培養することによって、プレニルアルコールを菌体中又は培養上清中に生成蓄積せしめ、これを採取する。
【0028】
培養上清画分からプレニルアルコールを採取するには、遠心分離にて菌体を除去した後、得られた上清に塩化マグネシウムを含む緩衝液とアルカリフォスファターゼを加えて処理した後、ペンタン、メタノール等の溶剤にて抽出する。また、培養菌体画分からプレニルアルコールを採取するには、遠心分離にて集菌した菌体を破砕し、これに塩化マグネシウムを含む緩衝液とアルカリフォスファターゼを加えて処理した後、ペンタン、メタノール等の溶剤にて抽出する。また、上記の溶剤抽出法に、クロマトグラフィー等公知の精製方法を適宜併用することもできる。
【0029】
抽出の際、アルカリフォスファターゼを使用すると、菌体または培養液中にファルネソール、ゲラニルゲラニオールの前駆体として存在するファルネシルピロリン酸、ゲラニルゲラニルピロリン酸を加水分解させ、ファルネソール及びゲラニルゲラニオールの生産量を挙げるのに有効である。フォスファターゼは大腸菌由来のアルカルフォスファターゼが好ましいが、その他、ポテト酸性フォスファターゼ、子牛腸壁フォスファターゼなどを用いてもよい。また、ほとんどの微生物は、内在性フォスファターゼを有することから、若干の生産量は低下するが、フォスファターゼ処理をすることなく、有機溶媒抽出してもよい。なお、本発明の製造方法においてはプレニルアルコールの検出及び定量は、市販のガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(GC/MS)により行い、内部標準の1−ウンデカノールに対するピーク面積比により定量する。
【実施例】
【0030】
以下に代表的な実施例を示し本発明の具体的な説明を行うが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
〔参考例〕
(1) 液体培地の調製
各実施例において、酵母菌培養にはYM培地(Difco 製) 、又は以下のようにして調製
したKY培地を用いた。また、スクアレン合成酵素欠損酵母菌の培養には、酵母菌培養にはYM培地にエルゴステロールを添加した。細菌・放線菌については、KB培地を用いた。プレートは同培地に終濃度2%のバクトアガー(Difco製)を加え作製した。
【0032】
エルゴステロール添加YM培地
エルゴステロール(シグマ社製)20mgを50% タージトール(ナカライ製)を含むエタノール溶液に懸濁し、沸騰湯浴中で加温し完全に溶解した後、全量をYM broth(Difco製)1L に加え、オートクレーブ滅菌した。
【0033】
KY培地
以下を1Lの脱イオン水に加え、2N水酸化ナトリウム溶液でpH5.5に調整した後、
脱イオン水で1Lにし、オートクレーブした。
Malt Extract (Difco製) 5g
Yeast Extract (Difco製) 5g
【0034】
KB培地
以下を1Lの脱イオン水に加え、2N水酸化カリウム溶液でpH7.0に調整し後、脱イ
オン水で1Lにし、オートクレーブした。
Bactotryptone (Difco製) 5g
Yeast Extract (Difco製) 5g
グルコース(ナカライ製) 1g
KH2PO4 (ナカライ製) 0.7g
K2HPO4 (ナカライ製) 0.3g
【0035】
(2) 上清画分からのプレニルアルコールの抽出
培養液2.5ml を18φmm×125mm 試験管に入れ、ベックマン製遠心分離器GP centrifuge
で1000rpm 、5分遠心し、上清を新しい18φmm×125mm 試験管に移した。6mM の塩化マグネシウムを含むトリス塩酸緩衝液(pH8.0) 0.5ml 、大腸菌アルカリフォスファターゼ(宝酒造製)5 μl(2ユニット)を加え、65℃で30分加熱した。氷上で十分に冷却してから
ペンタン2ml 、メタノール1ml を加え、十分に混合後、ベックマン製遠心分離器GP centrifugeで1000rpm 、5分遠心し、上清を別の新しい試験管に移した。ドラフト内でペンタン・メタノール溶媒を蒸発させた後、300ml のペンタンに再溶解し、GC/MS 用バイアル瓶に詰めた。
【0036】
(3) 菌体画分からのプレニルアルコールの抽出
1 細菌・放線菌の場合
液体培養液10mlを50mlコーニングチューブに入れ、ベックマン製冷却遠心機(Avant J25-I)で6000rpm 、5分遠心分離し菌体を集めた。菌体を脱イオン水0.5ml に懸濁させた後、10mlスピッツ管に移し、東海電機製超音波細胞破砕機UC W-201で破砕した(条件:10℃、1分破砕−30秒停止を20分間繰り返す)。18φmm×125mm 試験管に移し、6mM の塩化マグネシウムを含むトリス塩酸緩衝液(pH8.0)0.5mlを加え、(2) と同様にしてフォスファターゼ処理、抽出を行なった。
【0037】
2 酵母の場合
液体培養液2.5ml を18φmm×125mm 試験管に入れ、ベックマン製遠心分離器GPcentrifugeで1000rpm 、5分遠心し菌体を集めた。6mM の塩化マグネシウムを含むトリス塩酸緩衝液(pH8.0)0.5mlを加え、菌体を懸濁させた後、破砕用ガラスチューブに移した。等量のガラスビーズ(シグマ製 acid washed 425φ-600μm)を加え、安井機械製Multi-Beads Shocker MB-200で破砕した(条件:室温、2500rpm 、20分)。18φmm×125mm 試験管に全量を移し、(2) と同様にフォスファターゼ処理、抽出を行なった。
【0038】
(4) プレニルアルコールの分析
アジレント社(Agilent)製HP6890/5973 GC/MSシステムを用い以下の条件で分析した。
1 インレット温度: 250 ℃
2 ディテクター温度:260 ℃
3 MSゾーン温度
MS Quad: 150℃
MS Source: 230℃
4 スキャンパラメーター
Low Mass: 35
High Mass: 200
Threshold: 40
5 インジェクションパラメーター
モード:自動インジェクション
サンプル量:2 μl
洗浄回数:メタノールで3回、ヘキサンで2回
スプリット比:1:20
カラム:アジレント社(Agilent)製HP-5MS(0.25mm×30M、フィルム厚0.25μm)
キャリアーガス:ヘリウム1.0ml/min
ソルベントディレイ:2 min
オーブン昇温条件:115℃、1.5分保持
70/分で250℃まで昇温、2分保持
70/分で300℃まで昇温、7分保持
ポストタイム 0
内部標準:1−ウンデカノール/エタノール溶液(1μl/ml)を各バイアルに10μl添加
注入口ライナー:スプリット/スプリットレスライナー
解析:TIC を取り込んだ後、69マスをセレクションし、1−ウンデカノール(RT=3.39min)、ネロリドール(RT=3.86min)、ファルネソール(RT=4.23min)、ラニルゲラニオール(RT=5.78min)のピーク面積を積分した。内部標準のウンデカノールに対するピーク面積比より定量した。
【0039】
〔実施例1〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす界面活性剤の効果)
(1) 菌株
ATCCより購入したスクアレン合成酵素欠損酵母(ATCC#64031株) をコロニーセレクションし、ファルネソール生産が上昇した株を用いた。
【0040】
(2) 培地の調製
上記エルゴステロールを添加YM培地に、下記の界面活性剤をそれぞれ加え、オートクレーブにて滅菌した。
(界面活性剤)
タージトール NP-40(ナカライ製)
Triton X-100 (ナカライ製)
Tween 20 (ナカライ製)
アデカノール LG-109 (旭電化製)
アデカプルロニックL-61(旭電化製)
Triton X-305 (ナカライ製)
アデカノール LG-295S(旭電化製)
アデカノール LG-297 (旭電化製)
Span 85 (ナカライ製)
アデカノール B3009A (旭電化製)
【0041】
(3) 液体培養
エルゴステロール添加YM培地50mlを入れた300ml 容三角フラスコにスラントより一白金耳植菌し、26℃、150rpmで回転培養した。2 日間培養後、50μl を(2) で調製した培地5ml に加え、26℃で2 日間18φmm×150mm 試験管で振盪培養した。
【0042】
(4) 菌体量の測定
培養液100 μl を生理食塩水で希釈し、分光吸光度計によりO.D.660nm を測定した。
【0043】
(5) 上清画分からのプレニルアルコールの抽出及び分析
参考例に記載の方法に従って行った。
【0044】
(6) 結果
図1にゲラニルゲラニオール及びファルネソール分泌生産に及ぼすタージトールの効果を示す。通常、エルゴステロールを含むYM培地でエルゴステロールの分散剤として用いる濃度(0.05%)に比べ高い濃度ではファルネソールの分泌量が増加することがわかる。これは菌体(O.D.660nm) 当たりの分泌量を見ても同様であることから、ただ単に菌体内に蓄積されていたファルネソールが菌体外に放出されるというのではなく、菌体外に放出されることにより生産性自体も上昇していることを示している。一方、ゲラニルゲラニオールはタージトールによって分泌量は増加するものの、生産性自体はほとんど変化しない。
【0045】
図2は、Triton X-100又はTween20 とタージトールとを比較した結果を示すが、これらの界面活性剤でも同様の効果が得られる。特に、Triton X-100はエルゴステロール溶解能も良好で、ファルネソール生産を大幅に上昇させる。
【0046】
図3は、ジャー培養時の発泡が少なく、酵母の生育に影響の少ない界面活性剤という観点から選んだ発酵用消泡剤数種について同様に分泌効果を調べた結果である。消泡剤によっては若干の差はあるもののいずれもタージトールと同様の分泌促進効果が認められる。これらはTriton X-100等の実験室で使用している非イオン性界面活性剤に比べ安全性が高い上、消泡作用があり、非常に実用的である。
【0047】
図4は、図3において良好な結果であったアデカノールLG-109について種々の濃度にて試験を行った結果である。濃度0 〜0.5%の範囲では添加量の増加に伴い、分泌量が上昇した。
【0048】
〔実施例2〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす油脂類の効果)
前記のエルゴステロール添加YM培地に、油脂類〔アーモンド油、魚油 、大豆油、オ
リーブ油(いずれもシグマ製) 〕をそれぞれ終濃度0.1%添加した培地を用いて実施例1と同様にしてスクアレン合成酵素欠損酵母(ATCC#64031株) を培養し、ファルネソールの分泌生産に及ぼす効果を調べた。
【0049】
図5は、アーモンド油、魚油、大豆油を添加した培地で培養した場合の結果を示す。同株の要求するエルゴステロールを培地に添加するため、いずれの系でも分散剤として0.05% のタージトールを添加している。このため、油脂類無添加でも約3分の2ファルネソールが菌体外に分泌される。一方、油脂類を添加した系ではいずれもファルネソールの分泌量が98% 以上になる。
【0050】
図6は、大豆油、オリーブ油の添加量を増やして同様の実験を行った結果を示す。上記の油脂類を添加した系ではいずれもファルネソール分泌量が増えるとともに、油脂類の添加量を増やすことによりファルネソール生産量も増大する。このように、油脂類の添加によっても界面活性剤と同様にファルネソール分泌促進効果が認められた。
【0051】
〔実施例3〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす糖類の効果)
前記のエルゴステロール添加YM培地に、糖類〔グルコースまたはスクロース(いずれもナカライ製) 〕をそれぞれ添加した培地を用いて実施例1と同様にしてスクアレン合成酵素欠損酵母(ATCC#64031株) を培養し、ファルネソールの分泌生産に及ぼす効果を調べた。なお、YM培地(Difco製) には1%グルコースがはじめから含まれているので、糖類の終濃度は1%グルコース+添加したグルコースまたはスクロース(0〜5%) となる。
【0052】
図7は、種々の濃度のグルコースまたはスクロースを含む培地で培養した場合の結果を示す。糖濃度が高いほどファルネソール生産量が多くなることがわかる。生産量が多くなると菌体内に蓄積されるファルネソール量の割合も増加するが、分泌量の増加は顕著ではないことから、生産速度に比べ分泌速度は十分に速くないと考えられる。また、菌体(O.D.660nm) 当たりの分泌生産の結果も同様であることから、培地中の糖濃度を上げると菌体当たりのファルネソール生産が増大する。
【0053】
〔実施例4〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす糖類、油脂類、界面活性剤併用の効果)
前記のエルゴステロール添加YM培地に、糖類として6%グルコース、油脂類として1%大豆油、界面活性剤として0.1% TritonX-100を単独または組み合わせて添加した培地を用いて実施例1と同様にしてスクアレン合成酵素欠損酵母(ATCC#64031株) を培養し、ゲラニルゲラニオール及びファルネソールの分泌生産に及ぼす効果を調べた。
【0054】
図8にその結果を示す。1%大豆油を添加すると菌体内のファルネソールが顕著に少なくなり、ファルネソールの分泌量が増加する。6%グルコースを添加すると主として菌体内のファルネソール生産量が増加する。また、6%グルコースと1%大豆油を添加した系では、分泌量が増加し、菌体内のファルネソールがほとんど見られなくなる。この効果は、0.1% TritonX-100でも見られるが、大豆油と比較して分泌効果が少ない。さらに、6%グルコース、1%大豆油、0.1% TritonX-100を添加した系では、分泌効果及び生産量は共にグルコースと大豆油の組み合わせの場合と変わらなかった。
【0055】
一方、ゲラニルゲラニオールは菌体画分では全く検出されず、グルコースと大豆油又はTritonX-100 を添加した系でのみ菌体外に検出された。このことは、ゲラニルゲラニオールもこれらの成分添加によって分泌が促進され、生産量も増加することを示している。
【0056】
図9は、大豆油によるファルネソール分泌効果をジャーファーメンターを用いた培養で調べた結果を示す。図9(A)は、5%グルコースを添加した系での培養プロフィールであるが、培地中に蓄積されるファルネソール濃度が最大になる時期があり、ほとんど菌体内に蓄積されることがわかる。これは、菌体内に存在するファルネソールはグルコースが枯渇すると共に分解するためである。これに対し、図9(B)は、5%グルコースと1%大豆油を添加した系での培養プロフィールであるが、5%グルコースのみを添加した系に比べてファルネソール生産量が増え、95% 以上は菌体外に分泌されるようになる。培養後期でも生産量が低下しないことから、ファルネソールは大豆油に溶け込むことにより分解量が減少し、生産量が増加すると考えられる。なお、これまでの図1〜8の結果に比べ油脂類を添加しない図9(A)における分泌量が少ないのは、培養液中のエルゴステロール濃度が4mg/L であり、それに伴い分散剤であるタージトールの持込みが5分の1の0.01% であるためである。
【0057】
〔実施例5〕 (プレニルアルコール分泌生産にトコフェロール及びスクアレンの効果)
前記のエルゴステロール添加YM培地に、トコフェロールまたはスクアレンをそれぞれ表1、2にそれぞれ示す濃度で添加した培地を用い、Saccharomyces cerevisiae ATCC 64031 株及びIFO 0538株を培養し、プレニルアルコールの分泌生産に及ぼす効果を調べた。結果を、表1、2に併せて示す。Saccharomyces cerevisiae IFO 0538株は、酵母の一般的培地であるYM培地ではプレニルアルコールの生産は認められない。ところが、スクアレンを添加すると生産されるようになる。しかも、菌体内のゲラニルゲラニオール、ファルネソールに比べ菌体外に分泌される量の方が多い(表2)。表1は、元来ファルネソールを生産するSaccharomyces cerevisiae ATCC 64031 株の場合であるが、添加するトコフェロール量が増えるに伴い、培養上清画分ファルネソール量が増加する。
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
〔実施例6〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす糖類、油脂類併用の効果)
培地に特定成分を添加しなくともファルネソールとゲラニオゲラニオールの生産量の高いHanseniaspora valbyensis IFO 0115株、Saccharomycodes ludwigiiIFO 0339株、及びCandida glabrata IFO 0005株を三角フラスコ培養したときの培養日数、培地組成、フォスファターゼ処理の有無による生産量の変化を表3(培養上清画分)、表4(菌体画分)に示す。いずれの株もファルネソール、ゲラニオゲラニオール生産は培養時間とともに増加し、培地に5%グルコースを添加すると菌体画分中の生産量が増加する。さらに1%大豆油を添加した場合、Candida glabrataでは菌体外への分泌が促進される。Hanseniaspora valbyensis IFO 0115 株とSaccharomycodes ludwigii IFO 0339 株では、本試験では油脂添加による分泌促進効果が見られなかったが、この理由としては、サンプリングの時にファルネソールとゲラニルゲラニオール濃度の高い油層と低い水層に分離しており、均一なサンプリングができなかったためである。しかしながら、試験管培養に変え、全量を処理した結果、これら2株ではも同様な分泌促進効果が見られた(表9〜11)。
【0061】
このように、微生物種によって差はあるものの、5%グルコースと1%大豆油を含む培地を用いることによりファルネソールとゲラニルゲラニオールの菌体画分中の生産量、培養上清画分中の生産量(菌体外への分泌量)を増やすことが可能である。
【0062】
また、フォスファターゼ処理の有無で比較すると、上清画分ではフォスファターゼ処理しない方が検出量が多く、菌体画分では逆にフォスファターゼ処理すると検出量が多くなる傾向にあることから、ファルネシルピロリン酸、ゲラニルピロリン酸が菌体画分に存在していると考えられる。
【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
〔実施例7〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす糖類、油脂類併用の効果)
表5に示す菌株のうちの数種について、YM培地にて試験管培養した場合と、YM培地に5%グルコースと1%大豆油を添加した培地で培養した場合の生産量をそれぞれ表5、表6に示す。5%グルコースと1%大豆油を添加した培地では、菌体画分中の生産量、培養上清画分中の生産量(菌体外への分泌量)共に大幅に上昇した。
【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
〔実施例8〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす糖類、油脂類併用の効果)
下記表7,8に示す各菌株を、1 YM培地に4mg/L エルゴステロール及び0 〜20mg/Lのスクアレン合成阻害剤(SQAD)を添加した培地、または2 YM培地に5 %グルコースと1%大
豆油を添加した培地に4mg/L エルゴステロール及び0 〜20mg/Lのスクアレン合成阻害剤(SQAD)を添加した培地にてそれぞれ試験管培養し、同様にしてネロリドール、ゲラニルゲラニオール、ファルネソールの各生産量を調べた。結果を表7、8に併せて示す。菌体画分中の生産量、培養上清画分中の生産量(菌体外への分泌量)は、大豆油、グルコース、スクアレン合成阻害剤の添加によって増加することがわかる。
【0069】
【0070】
【表7】


【0071】
【0072】
【表8】


【0073】
〔実施例9〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす糖類、油脂類併用の効果)
下記表9、10に示す各菌株を、YM又はKB又はKY培地に1%大豆油、6%グルコース、4mg/L エルゴステロール及び0 mg/L又は20mg/Lのスクアレン合成阻害剤(SQAD)を添加した培地にて培養し、同様にしてネロリドール、ゲラニルゲラニオール、ファルネソールの各生産量を調べた。結果を表9(培養上清画分)、表10(菌体画分)に示す。
【0074】
比較として、同株を何も添加しないYM培地にて培養し、同様にしてネロリドール、ゲラニルゲラニオール、ファルネソールの各生産量を調べた結果を表11に示す。菌体画分中の生産量、培養上清画分中の生産量(菌体外への分泌量)は、大豆油、グルコース、スクアレン合成阻害剤の添加によって増加することがわかる。
【0075】
【表9】


【0076】
【表10】


【0077】
【表11】


【0078】
〔実施例10〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす界面活性剤、糖類、油脂類併用の効果)
下記表12に示す各菌株を培地A(YM培地に0.1%アデカノール、4mg/L エルゴステロールを添加した培地)又は培地B(YM培地に0.1%アデカノール、4mg/L エルゴステロール、5%グルコース、3%大豆油を添加した培地)にて30℃にて4日又は10日間培養し、同様にしてネロリドール、ゲラニルゲラニオール、ファルネソールの各生産量(培養上清画分および菌体画分)を調べた結果を同表に示す。
【0079】
【表12】

【0080】
〔実施例11〕 (プレニルアルコール分泌生産に及ぼす糖類、油脂類併用の効果)
ファルネソールが検出されたバクテリアに関し、KB培地に1%大豆油、4mg/L エルゴステロール、スクアレン合成阻害剤(SQAD)を0 又は20mg/Lを添加した培地にてそれぞれ培養し、同様にしてネロリドール、ゲラニルゲラニオール、ファルネソールの各生産量を調べた。結果を表13に示す。
【0081】
比較として、同株を何も添加しないKB培地にて培養し、同様にしてネロリドール、ゲラニルゲラニオール、ファルネソールの各生産量を調べた結果を表14に示す。バクテリアの場合も酵母と同様に、スクアレン合成阻害剤の添加によって生産量が増大することがわかる。
【0082】
【表13】

【0083】
【表14】

【0084】
〔実施例12〕(組換え酵母を用いたゲラニルゲラニオールの大量生産)
HMG CoA レダクターゼ遺伝子、ゲラニルゲラニルピロリン酸合成酵素とファルネシルピロリン酸合成酵素の融合遺伝子を高発現することのできるSaccharomyces cerevisiae PRS
435 GGF/pRS434 GAP-HMG1/YPH499#1 を以下の手順で作成し、5Lのジャーファーメンターで培養した。
【0085】
(1) 酵母Saccharomyces cerevisiae由来のGGPS及びHMG-CoAR1 遺伝子の取得
GenBank にあるS.cerevisiae由来GGPS(A.N.U31632)及びHMG-CoAR1 遺伝子(A.N.M22002)の情報を基にN末端、C末端にマッチする下記プライマーを作製し、これを用いて酵母のcDNAライブラリー(東洋紡No.CL7220-1)を鋳型としてPCR を下記条件にて行った。なお、HMG-CoAR1 遺伝子のPCR 時にはStratage製のPerfectmutch を使用した。
(プライマー)
GGPS用N 末 5'-atg gag gcc aag ata gat gag ct-3'(配列番号1)
C 末 5'-tca caa ttc gga taa gtg gtc ta-3'(配列番号2)
HMG-CoAR1 用N 末 5'-atg ccg ccg cta ttc aag gga ct-3'(配列番号3)
C 末 5'-tta gga ttt aat gca ggt gac gg-3'(配列番号4)
(PCR条件)
変性 94 ℃, 45秒
アニーリング 55 ℃, 1 分
伸長 72 ℃, 2 分
【0086】
目的の位置(それぞれ約1.0kbp, 3.2kbp) に断片が確認されたので,次にこれらの遺伝子をTAクローニング可能なpT7Blue T ベクターにクローニングし、GGPSの全領域、そしてHMG-CoAR1 の約40% の塩基配列を決定した。その結果、GenBank の配列と完全に一致し、S.cerevisiae由来の遺伝子であることを確認した。ここで得られたpT7Blue T ベクターにクローニングされたHMG-CoAR1 遺伝子の入ったベクターをpT7HMG1 と命名した。
【0087】
(2) 酵母発現用ベクターpYES2 の構築
(pYES-GGPS6 の作製)
pYES2(Invitrogen製) は複製起点として酵母2 μmDNAのori 、そしてガラクトースで誘導可能なGAL1プロモーターをもつ酵母発現用シャトルベクターである。GGPS遺伝子がクローニングされているpT7BlueTベクターをBamHI, SalI で処理し、GGPS遺伝子を取り出し、これをpYES2 のBamHI, XhoI サイトに導入し、pYES-GGPS6と命名した。
【0088】
(3) 酵母Saccharomyces cerevisiae由来ファルネシルピロリン酸合成酵素遺伝子(FPS)ERG20のクローニング
以下のプライマーを用い、PCR によりSaccharomyces cerevisiae YPH499 (Stratagene製)cDNAよりFPP合成酵素遺伝子ERG20をクローニングした。
Primer 1 (SCFPS1): 5'-ATG GCT TCA GAA AAA GAA ATT AG-3’(配列番号5)
Primer 2 (SCFPS2): 5'-CTA TTT GCT TCT CTT GTA AAC TT-3' (配列番号6)
増幅した約0.9 kbp断片をアガロースゲル電気泳動で精製後、pT7Blue-TへT/Aライゲー
ションし作成したプラスミドDNAをpT7ERG20とした。
【0089】
(4) 発現ベクターの構築
(4-1) pRS405Tcyc、pRS404Tcycの作成(pRSベクターへCYC1t断片の挿入)
CYC1転写ターミネーターCYC1t断片は、以下の組み合わせのプライマーを用いPCRを行って調製した。
(プライマー)
1 CYC1t-XK
XhoI-Tcyc1FW:5'-TGC ATC TCG AGG GCC GCA TCA TGT AAT TAG-3(配列番号7)
KpnI-Tcyc1RV:5'-CAT TAG GTA CCG GCC GCA AAT TAA AGC CTT CG-3'(配列番号8)
2 CYC1tXA
XhoI-Tcyc1FW:5'-TGC ATC TCG AGG GCC GCA TCA TGT AAT TAG-3' (配列番号9)
ApaI-Tcyc1RV:5'-CAT TAG GGC CCG GCC GCA AAT TAA AGC CTT CG-3'(配列番号10)(PCR条件)
鋳型:pYES2(Invitrogen社製)0.1 μg
プライマー:50 pmol primer DNA
反応液:1 × pfu buffer with MgSO4 (Promega, Madison, WI),
10 nmol dNTP,
1.5 u Pfu DNA polymerase (Promega),
1μl perfect match polymerase enhancer (Stratagene)
を含む50μl 溶液
反応:95℃ 2分 (95℃,45秒、60℃,30秒、72℃,1分)×30サイクル
72℃ 5分, 4℃ストック
【0090】
上記1,2で増幅したDNAそれぞれ、XhoIとKpnI、またはXhoIとApaIで切断し、アガロースゲル電気泳動で260 bpのDNA断片を精製し、CYC1t-XKおよびCYC1tXAとした。pRS405(Stratagene社製)のXhoI-KpnI部位にCYC1t-XKを、pRS404(Stratagene製)のXhoI-ApaI部位にCYC1tXAを挿入し、それぞれpRS405Tcyc、pRS404Tcycとした。
【0091】
(4-2) TDH3pの作成(転写プロモーターの調製)
Saccharomyces cerevisiae YPH499(Stratagene社製)ゲノムDNAを酵母ゲノムDNA調製
用キット「Genとるくん」(宝酒造製)で調製し、同ゲノムを鋳型にしてPCRを用い、TDH3p(PGK)プロモーターを含むDNA断片を調製した。
(プライマー)
DNAプライマー 100 pmol
SacI-Ptdh3FW:5'-CAC GGA GCT CCA GTT CGA GTT TAT CAT TAT CAA-3' (配列番号11)
SacII-Ptdh3RV: 5' CTC TCC GCG GTT TGT TTG TTT ATG TGT GTT TAT TC 3'(配列番号1
2)
(PCR条件)
鋳型:Saccharomyces cerevisiae YPH499 (Stratagene社製)
ゲノムDNA 0.46μg
反応溶液:1 ×ExTaq buffer (TaKaRa), 20 nmol dNTP,
0.5 u ExTaq DNA polymerase (TaKaRa),
1 μl perfect match polymerase enhancerを含む100μl 溶液
反応:95℃ 2分 (95℃, 45 秒、60℃, 1 分、72℃, 2 分)×30サイクル
72℃ 4分, 4℃ストック
増幅したDNAをSacIとSacIIで切断し、アガロースゲル電気泳動で680 bpのDNA断片を精
製し、TDH3pとした。
【0092】
(4-3) 2μOriSN の作成(2μDNA複製開始領域の調製)
pYES2(Invitrogen社製)をSspIとNheIで切断後、2μDNA複製開始点(2μori)を含む1.5
kbp断片をアガロースゲル電気泳動により精製し、Klenow酵素で平滑末端化し、このDNA
断片を2μOriSNとした。
【0093】
(4-4) pRS434GAP、pRS435GAP の作成(YEp型発現ベクターの作製)
pRS404Tcyc、pRS405TcycをBAP(bacterial alkaline phosphatase, TaKaRa)処理したNaeI部位に2μOriSNを挿入し、E. coli SURE2に形質転換後、プラスミドDNAを調製した。これを、DraIIIとEcoRI、HpaI、または、PstIとPvuIIにより切断後アガロースゲル電気泳動し、2μoriの挿入とその向きをチェックした。作製したpRS404 Tcyc、pRS405TcycにpYES2と同じ向きに2μoriが挿入されたプラスミドをそれぞれpRS434Tcyc2μOripRS435Tcyc2μOriとした。pRS434Tcyc2μOri、pRS435Tcyc2μOriの2種のプラスミドのSacI-SacII部位に転写プロモーターを含む断片TDH3pを挿入し、pRS434GAP、pRS435GAPをそれぞれ得た。
【0094】
(5) pRS435GGF(FPS-GGPS融合タンパク遺伝子)の作成
GGPS遺伝子BTS1を組み込んだpYES-GGPS6と、FPS遺伝子ERG20を組み込んだpT7-ERG20を
鋳型に用い以下の条件でPCRを行った。
1 PCR1
鋳型:pYES-GGPS6
プライマー1:SacII-BTS1, 5'-TCC CCG CGG ATG GAG GCC AAG ATA GAT-3'(配列番号
13)
プライマー2:BTSI-109I, 5'-GCA GGG ACC CCA ATT CGG ATA AGT GGT C-3'(配列番号14)
(プライマー1中、 CCG CGGはベクター連結用のSacII、XhoIまたは XbaI認識部位で、プライマー2中、GGG ACC C は、融合遺伝子作製用のEcoO109I認識部位を示す)。
2 PCR2
鋳型:pT7-ERG20
プライマー3:109I-ERG20, 5'-GTA GGG TCC TCA GAA AAA GAA ATT AGG AG-3'(配列番号15)
プライマー4:-21, 5'-TGT AAA ACG ACG GCC AGT-3'(配列番号16); T7,5'-TAA TAC GAC TCA CTA TAG GG-3'(配列番号17)
プライマー3中、 GGG TCC Tは、融合遺伝子作製用のEcoO109I認識部位を示す)。
反応液:1 ×KOD-Plus buffer (Toyobo, Osaka, Japan),
0.2 mM dNTPs,
0.25 mM MgSO4,
15 pmol primer 1, 15 pmol primer 2, 0.01-0.1μg template DNA
1u KOD-Plus DNA polymerase (Toyobo) in 50 μl
reaction cocktail
KOD-Plusには1.6 μg/μlのKOD抗体が含まれている。
反応条件:94℃-2分の後、94℃-15 秒, 55℃-30 秒, 68℃-1分を30サイクルし、68℃-2分保温
【0095】
1, 2で得られた反応産物をそれぞれ#9、#11とした。#9、#11を制限酵素EcoO109Iで消化後ライゲーションし、この溶液をPCRの鋳型とし、さらに上記SacII-BTS1と-21をプライマーとし、同様の条件で2ndPCRを行いDNA 断片#9-#11を得た。2nd PCR産物#9-#11をSacIIとBamHIで切断後pRS435GAPのSacII-BamHI部位に挿入しpRS435GGFとした。融合遺伝子でないBTS1、ERG20の発現ベクターとしてはpRS435GAP-BTS1、pRS445GAP-BTS1、pRS435GAP-ERG20、pRS445GAP-ERG20を利用し、HMG1発現用に使用したプラスミドはpRS434TEF-HMG1とpRS434GAP-HMG1を利用した。
【0096】
(6) pRS434GAP-HMG1の作成
pT7HMG1をSmaIとSalIで切断後アガロースゲル電気泳動で3.2 kbpのHMG1遺伝子断片を精製した。これをpRS434GAPのSmaI-SalI部位へ挿入pRS434GAP-HMG1を得た。
【0097】
(7) 遺伝子導入酵母(pRS435GGF/pRS434GAP-HMG1/YPH499#1)の作成
pRS434GAP-HMG1及びpRS434GAP-HMG1を "Introduction of DNA into Yeast Cells" Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., pp.13.7.1-13.7.2 (contributed by Daniel M. Becher and Victoria Lundblad) に記載の酢酸リチウム法、または、Frozen-EZ Yeast Transformation II (Zymo Research, Orange, CA) を用い、Saccharomyces cerevisiae YPH499 株(Stratagene社製)へ導入した。SD (-URA)寒天プレート (DOB+CSM (-URA), BIO 101, Vista, CA) 上で30℃で生育してくるコロニーをSD (-URA)培地で選択し、pRS435GGF/pRS434GAP-HMG1/YPH499#1を得た。
【0098】
(8) 遺伝子導入酵母(pRS435GGF/pRS434GAP-HMG1/YPH499#1)の作成
200ml の40mg/Lアデニン(シグマ社製)を含むSD-Leu-Trp培地(BIO 101 Inc.製) を500ml-バッフル付き三角フラスコの調製し、スラントより同株を一白金耳植菌した。30℃、130rpm、2 日間培養した後、培養液に含まれているグルコースを完全に除くため、遠心(1500g、5 分、4 ℃) 及び滅菌した生理食塩水による洗浄を3 回繰り返し、ファーメンターに50ml植菌(1%)した。
【0099】
<ファーメンター培地>
5%グルコース(YM 中に1%グルコースが含まれており、終濃度5%になる)
YM broth (Difco 製)
0 又は3% ダイズ油(ナカライ)
0.1% アデカノール LG-109 (旭電化)
<運転条件>
培養装置:MSJ-U 10L 培養装置(丸菱バイオエンジ)
培地容量:5 L
培地温度 :33℃
通気量 : 1vvm
アジテーション : 300rpm
pH: 特に断わらない限り4N 水酸化ナトリウム溶液及び2N 塩酸溶液を用い、以下のパラメーターでpHを比例制御
proportional Band 1.00
Non Sensitive Band 0.15
Control Period 16 sec
Full Stroke 1 sec
Minimum Stroke 0 sec
培養液または菌体中のゲラニルゲラニオールを分析したところ、大豆油の添加により培養液中に分泌されることがわかる。また、生成量自体も4倍程度増加した(図10)。
【0100】
〔実施例13〕(組換え酵母を用いたファルネソールの大量生産)
以下に示す手順によりファルネソール生産組換え酵母pYHMG044/AURGG101 を作製し、培養した。
(1) HMG1 Δ発現ベクターpYHMG044の作製
実施例12のpT7HMG1を鋳型にPCR法でベクター部分とともにHMG1コード領域の一部分を欠失させた断片を調製し、Klenow酵素で平滑末端にした後、self-ligationにより再び環
化し、E. coli JM109へ形質転換後プラスミドDNA pYHMG044 を調製した。プライマーとして使用した合成DNA配列とその組合せを以下に示す。
(プライマー)
5'-AGA AGA TAC GGA TTT CTT TTC TGC TTT-3' (配列番号18)
5'-AAC TTT GGT GCA AAT TGG GTC AAT GAT-3' (配列番号19)
【0101】
得られたプラスミドDNA内のHMG1上流、下流のアミノ酸の読み枠がずれていないことと
、その結合部位近辺にPCRエラーによるアミノ酸置換が起きていないことを373A DNA sequencer (Perkin Elmer, Foster City, CA)で確認した。
【0102】
(2) AURGG101 の作製
pAUR101 (TaKaRa, Japan)をEcoO65Iで線状化し、"Introduction of DNA intoYeast Cells" Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons,Inc., pp.13.7.1-13.7.2 (contributed by Daniel M. Becher and Victoria Lundblad)に記載の酢酸リチウム法で、Saccharomyces cerevisiae A451(ATCC 200598 )株へ導入し、1 μg/mlオーレオバシジンを含むYPD寒天プレート (1% yeastextract, 2% peptone, 2% dextrose, 2% agar) 上で30℃で生育してくるコロニーを取得した。
【0103】
(3) 遺伝子導入酵母(pYHMG044/AURGG101)の作成
pYHMG044を "Introduction of DNA into Yeast Cells" Current Protocols inMolecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., pp.13.7.1-13.7.2 (contributed by Daniel M. Becher and Victoria Lundblad) に記載の酢酸リチウム法を用い、AURGG101 へ導入した。SD (-URA)寒天プレート (DOB+CSM (-URA), BIO 101,Vista, CA) 上で30℃で生育してくるコロニーをSD (-URA)培地で選択し、pYHMG044/AURGG101を得た。
【0104】
(4) 培養条件
CSM-URA(BIO 101 Inc.製) 及びD0B (BIO 101 Inc. 製) 培地(200ml/500ml- バッフル付き三角フラスコ) のスラントより組換え酵母pYHMG044/AURGG101 を一白金耳植菌した。30℃、130rpm、2 日間培養した。次に、培養液に含まれているグルコースを完全に除くため、遠心(1500g、5 分、4 ℃) 及び滅菌した生理食塩水による洗浄を3 回繰り返し、ファーメンターに50ml植菌(1%)した。
【0105】
<ファーメンター培地>
5%グルコース
全アミノ酸を含むYNB (Difco製)
1% ダイズ油(ナカライ)
0.1% アデカノール LG-109 (旭電化)
<運転条件>
培養装置:MSJ-U 10L 培養装置(丸菱バイオエンジ)
培地容量:5 L
培地温度 :26℃
通気量 : 1vvm
アジテーション : 300rpm
pH: 特に断わらない限り4N 水酸化ナトリウム溶液及び2N 塩酸溶液を用い、以下のパラメーターでpHを比例制御
proportional Band 1.00
Non Sensitive Band 0.15
Control Period 16 sec
Full Stroke 1 sec
Minimum Stroke 0 sec
【0106】
なお、菌体数の測定は、培養液100 μl を生理食塩水で1 〜20倍に希釈し、血球計(販売元:林理化学、製造元:Sunlead Glass Co.)で細胞数を計数することによって行った
。0.06mm四方(最少のグリッドの9つ分)の菌数を4平均し、以下の式から培養液1L当たりの菌数を算出した。
【0107】
[数1]
菌数(1×109/L-broth)=0.444×(0.06mm四方の菌体数) ×希釈倍率
【0108】
組換え酵母を用いたファルネソール生産時において大豆油は分泌生産を促進し、150 時間で150mg/L あまりのファルネソールが菌体外に分泌生産された(図11)。
【0109】
〔実施例14〕
以下の表15に示す培養日数、培養温度、培地等の培養条件により、実施例1と同様の培養手順により種々の菌体を培養し、菌体画分及び上清画分からプレニルアルコールを抽出し、参考例に記載の方法に従って分析した。その結果を表15に示す。なお、LBO−SSI培地、YPDO−SSI培地、YMO−SSI培地、YMOL−SSI培地、及びHVO−SSI培地は以下のようにして調製した。
【0110】
LBO−SSI培地
以下を脱イオン水1Lに溶解し、オートクレーブ滅菌した。滅菌後、十分に培地が冷えてからフィルター滅菌したスクアレン合成阻害剤SQAD水溶液(2.5mg/ml)を20mg/Lになるように添加した。
Yeast Extract (Difco製) 5g
Bactopeptone (Difco製) 10g
NaCl(ナカライ製) 5g
グルコース(ナカライ製) 50g
大豆油(ナカライ製) 10ml
エルゴステロール溶液 200μl(2% エルゴステロール、50% タージトールを含むエタノ
ール溶液)
【0111】
YPDO−SSI培地
以下を脱イオン水1Lに溶解し、オートクレーブ滅菌した。滅菌後、十分に培地が冷えてからフィルター滅菌したスクアレン合成阻害剤SQAD水溶液(2.5mg/ml)を20mg/Lになるように添加した。
Yeast Extract (Difco製) 10g
Bactopeptone (Difco製) 20g
グルコース(ナカライ製) 50g
大豆油(ナカライ製) 10ml
エルゴステロール溶液 200μl(2% エルゴステロール、50% タージトールを含むエタノ
ール溶液)
【0112】
YMO−SSI培地
YM 培地 (Difco社製)に以下を添加し、脱イオン水で1Lにしオートクレーブ滅菌した
。滅菌後、フィルター滅菌したスクアレン合成酵素阻害剤SQAD(エーザイ社製、2.5mg/ml-水溶液)を20mg/Lになるよう添加した。
グルコース (ナカライ製) 50g
大豆油 (ナカライ製) 10ml
エルゴステロール (ナカライ製) 4mg(20mg/50%エタノール、50%タージトール溶液200μl添加)
【0113】
YMOL−SSI培地
YMO培地に10mlのオリーブオイル(ナカライ製)を添加し、YMO−SSIと同様にして調製した。
【0114】
HVO−SSI培地
以下を脱イオン水1Lに溶解し、オートクレーブ滅菌した。滅菌後、十分に培地が冷えてからフィルター滅菌したスクアレン合成阻害剤SQAD水溶液(2.5mg/ml)を20mg/Lになるように添加した。
NaCl(ナカライ製) 156g
MgCl2・6H2O(ナカライ製) 13g
MgSO4・7H2O(ナカライ製) 20g
CaCl2・2H2O(ナカライ製) 1g
KCl(ナカライ製) 4g
NaHCO3(ナカライ製) 0.2g
KBr(ナカライ製) 0.5g
Yeast Extract (Difco製) 5g
グルコース(ナカライ製) 50g
大豆油(ナカライ製) 10ml
エルゴステロール溶液 200μl(2% エルゴステロール、50% タージトールを含むエタノ
ール溶液)
【0115】
【表15】




【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】ゲラニルゲラニオール及びファルネソール分泌生産に及ぼす界面活性剤の効果を示す(A:培養液当たり、B:培養液O.D.当たり) 。
【図2】ファルネソール分泌生産に及ぼす種々の界面活性剤の効果を示す(A:培養液当たり、B:培養液 O.D.当たり) 。
【図3】ファルネソール分泌生産に及ぼす種々の界面活性剤の効果を示す(A:培養液当たり、B:培養液 O.D.当たり) 。
【図4】ファルネソール分泌生産に及ぼす種々の濃度の界面活性剤 (アデカノール LG109) の効果を示す(A:培養液当たり、B:培養液 O.D.当たり) 。
【図5】ファルネソール分泌生産に及ぼす油脂類の効果を示す(A:培養液当たり、B:培養液 O.D.当たり) 。
【図6】ファルネソール分泌生産に及ぼす油脂類の濃度の効果を示す(A:培養液当たり、B:培養液 O.D.当たり) 。
【図7】ファルネソール分泌生産に及ぼす糖類の濃度の効果を示す(A:培養液当たり、B:培養液 O.D.当たり) 。
【図8】ゲラニルゲラニオール及びファルネソール分泌生産に及ぼす糖類、油脂類、界面活性剤、及びこれらの併用の効果を示す。
【図9】ファルネソール分泌生産に及ぼす糖類及び油脂類併用の効果を示す。
【図10】組換え酵母菌におけるゲラニルゲラニオール分泌生産に及ぼす油脂類添加の効果を示す。
【図11】組換え酵母菌におけるファルネソール分泌生産に及ぼす油脂類添加の効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンゼニアスポーラ(Hanseniaspora)属に属するプレニルアルコール生産菌を油脂類及び/又はテルペノイドの存在下に糖濃度を2〜7%とした培地にて培養し、ゲラニルゲラニオール、ファルネソール及びネロリドールから選ばれる少なくとも1種を菌体内に生成蓄積せしめ、これを菌体外に分泌させ採取することを特徴とする、プレニルアルコールの高生産方法。
【請求項2】
上記培地は界面活性剤を更に含有することを特徴とする請求項1記載のプレニルアルコールの高生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−190031(P2007−190031A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102229(P2007−102229)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【分割の表示】特願2001−375842(P2001−375842)の分割
【原出願日】平成13年12月10日(2001.12.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】