説明

微生物発電装置及びその作製方法

【課題】エアーカソードを用いた微生物発電装置における発電効率の経時低下を防止して、長期間安定した高効率発電を維持する。
【解決手段】負極34を有し、微生物及び電子供与体を含む液を保持する負極室32と、正極35を有し、負極室32に対しイオン透過性非導電性膜35Aを介して隔てられた正極室33と、正極室33に酸素含有ガスを供給する手段とを備えた微生物発電装置。正極35を殺菌剤により殺菌処理した後、正極室33の形成に用いる。微生物発電装置を作製するに当たり、予め正極35を殺菌剤で殺菌処理することにより、発電効率の経時低下の原因である正極35のスライム発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物の代謝反応を利用する発電装置及びその作製方法に関する。本発明は特に、有機物を微生物に酸化分解させる際に得られる還元力を電気エネルギーとして取り出す微生物発電装置及びその作製方法に関する。本発明はまた、この微生物発電装置を用いた微生物発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境に配慮した発電方法へのニーズが高まり、微生物発電の技術開発も進められている。微生物発電は、微生物が有機物を資化する際に得られる電気エネルギーを取り出すことにより発電する方法である。
【0003】
一般的に、微生物発電では負極が配置された負極室内に、微生物、微生物に資化される有機物、及び電子伝達媒体(電子メディエータ)を共存させる。電子メディエータは微生物体内に入り、微生物が有機物を酸化して発生する電子を受け取って負極に渡す。負極は外部抵抗(負荷)を介して正極と電気的に導通しており、負極に渡された電子は外部抵抗(負荷)を介して正極に移動し、正極と接する電子受容体に渡される。このような電子の移動により正極と負極との間に電流が流れる。
【0004】
微生物発電では、電子メディエータが微生物体から直接、電子を取り出すため、理論上のエネルギー変換効率は高い。しかし、実際のエネルギー変換効率は低く、発電効率の向上が求められている。そこで、発電効率を高めるため、電極の材料や構造、電子メディエータの種類、及び微生物種の選択等について様々な検討及び開発が行われている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0005】
特許文献1には、正極室と負極室とを固体電解質よりなるアルカリイオン導電体で隔て、正極室内及び負極室内をリン酸緩衝液(バッファ)でpH7とし、正極室内のリン酸緩衝液(カソード液)に空気を吹き込んで発電を行うことが記載されている。
【0006】
特許文献2には、正極室と負極室とを区画する電解質膜に接するように、正極板として多孔質体を設置し、正極室に空気を流通させ、多孔質体の空隙中で空気と液とを接触させることが記載されている。(以下、このように正極室内に空気を流通させ、空気中の酸素を電子受容体として利用する正極を「エアーカソード」と称す場合がある。)
【0007】
エアーカソードを用いる微生物発電装置であれば、カソード液が不要で、また、正極室に単に空気を流通させるのみで良く、カソード液中への曝気の必要がないといった利点がある。
【0008】
従来、エアーカソードを用いた微生物発電装置における発電効率の向上を目的として、
1)負極のメディエーター(例えば特許文献3)
2)負極室のpH調整
3)正極触媒の種類や触媒活性成分の担持方法
4)正極の形状
などについての検討がなされている。
【0009】
また、特許文献4には、微生物発電装置の負極室及び正極室を紫外線照射によって殺菌した後、滅菌水で洗浄し、その後、発電を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−133326号公報
【特許文献2】特開2004−342412号公報
【特許文献3】特開2006−331706号公報
【特許文献4】特開2008−288198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
エアーカソードを用いた微生物発電装置は、前述の如く、カソード液が不要でまた、カソード液中への曝気の必要もないといった利点を有するが、本発明者らがエアーカソードを用いた微生物発電装置を数ヶ月間継続して運転したところ、経時により発電量、即ち、発電効率が徐々に低下することが判明した。
【0012】
従って、本発明は、エアーカソードを用いた微生物発電装置であって、発電効率の経時低下の問題が軽減され、長期間安定した高効率発電を維持し得る微生物発電装置及びその作製方法と、この微生物発電装置を用いた微生物発電方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決すべく、発電効率低下の原因について鋭意検討した結果、微生物発電装置の運転を継続したときにエアーカソードに発生するスライムが、発電効率低下の主な原因であり、このエアーカソードにおけるスライムの発生は、エアーカソードを予め殺菌処理することにより有効に防止し得ることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
【0014】
[1] 負極を有し、微生物及び電子供与体を含む液を保持する負極室と、正極を有し、該負極室に対しイオン透過性非導電性膜を介して隔てられた正極室と、該正極室に酸素含有ガスを供給する手段とを備えた微生物発電装置において、該正極が、殺菌剤により殺菌処理されたものであることを特徴とする微生物発電装置。
【0015】
[2] [1]において、前記正極は、前記イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材との積層体よりなり、該イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の一方の積層面側に酸素還元触媒が担持されていることを特徴とする微生物発電装置。
【0016】
[3] [2]において、前記イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の一方の酸素還元触媒担持面と、イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の他方の積層面のうちの少なくとも一方が、前記殺菌剤により殺菌処理されたものであることを特徴とする微生物発電装置。
【0017】
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記殺菌剤が、銀微粒子、銅微粒子、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド、クロラミン、クロロスルファミン酸、クロロスルファミン酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩及び二酸化塩素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする微生物発電装置。
【0018】
[5] 負極を有し、微生物及び電子供与体を含む液を保持する負極室と、正極を有し、該負極室に対しイオン透過性非導電性膜を介して隔てられた正極室と、該正極室に酸素含有ガスを供給する手段とを備えた微生物発電装置を作製する方法において、該正極を、殺菌剤により殺菌処理した後、該正極室の形成に用いることを特徴とする微生物発電装置の作製方法。
【0019】
[6] [5]において、前記正極は、前記イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材との積層体よりなり、該イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の一方の積層面側に酸素還元触媒が担持されていることを特徴とする微生物発電装置の作製方法。
【0020】
[7] [6]において、前記イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の一方の酸素還元触媒担持面と、イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の他方の積層面のうちの少なくとも一方を、前記殺菌剤により殺菌処理することを特徴とする微生物発電装置の作製方法。
【0021】
[8] [5]ないし[7]のいずれかにおいて、前記殺菌剤が、銀微粒子、銅微粒子、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド、クロラミン、クロロスルファミン酸、クロロスルファミン酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩及び二酸化塩素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする微生物発電装置の作製方法。
【0022】
[9] [1]ないし[4]のいずれかに記載の微生物発電装置により発電を行うことを特徴とする微生物発電方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、エアーカソードを用いた微生物発電装置における発電効率の経時低下を防止して、長期間安定した高効率発電を維持することができる。
【0024】
即ち、エアーカソードを用いた微生物発電装置における経時的な発電効率低下の主原因は、上述の如く、エアーカソードにおけるスライム発生にあり、エアーカソードにスライムが発生すると、正極触媒の性能低下及び負極から正極へのイオンの移動や酸素の透過が阻害され、その結果、発電効率が低下するものと考えられる。
【0025】
エアーカソードは、通常、イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材との積層体よりなり、このうちイオン透過性非導電性膜の通気性導電性基材との積層面或いは通気性導電性基材のイオン透過性非導電性膜との積層面に酸素還元触媒が担持された構成とされている。エアーカソードの通気性導電性基材は、酸素含有ガスが流通する正極室の空室に面しているため、通気性導電性基材については、微生物発電装置の組み立て後であっても、正極室内の酸洗浄又はアルカリ洗浄で通気性導電性基材面に発生したスライムを除去することもできるが、この通気性導電性基材は通常撥水処理されており、このような空室側からの洗浄では、洗浄液は、通気性導電性基材の後方には行きわたらない。このため、通気性導電性基材の後方に位置するイオン透過性非導電性膜や通気性導電性基材とイオン透過性非導電性膜との積層面である酸素還元触媒の担持面に発生したスライムは、装置組み立て後の洗浄では除去し得ない。
【0026】
本発明では、予め殺菌剤で殺菌処理したエアーカソードを用いて微生物発電装置を組み立てるため、運転中のエアーカソードにおけるスライムの発生を大幅に抑制することができ、その結果、発電効率を長期に亘り安定かつ高効率に維持することができる。
【0027】
なお、前述の特許文献4のように、単に正極室内や負極室内を紫外線照射で殺菌するのみでは、エアーカソードを十分に殺菌処理することができず、エアーカソードにおけるスライムの発生を長期間抑制することはできない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る微生物発電装置の断面模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る微生物発電装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0030】
[エアーカソード]
まず、本発明の微生物発電装置に用いられる正極(エアーカソード)の好適な構成について説明する。
本発明で用いる正極としては、イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材との積層体よりなり、このうち、イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材の積層面のうちの一方に酸素還元触媒が担持されているものが好ましい。
【0031】
<イオン透過性非導電性膜>
イオン透過性非導電性膜としては、イオン交換膜(アニオン交換膜又はカチオン交換膜)、限外濾過(UF)膜、精密濾過(MF)膜、非導電性不織布等を用いることができる。
一般に、エアーカソードのスライムは、イオン透過性非導電性膜としてアニオン交換膜やUF膜、MF膜、非導電性不織布等を用いた場合の方が、カチオン交換膜を用いた場合よりも多量に発生する。特に、UF膜、MF膜、非導電性不織布等を用いた場合は、負極室から微生物の餌となる有機物が多量に透過し、かつ正極室内の豊富な酸素によって、多量のスライムが発生する。
【0032】
なお、イオン交換膜の市販品としては、例えばカチオン交換膜としてデュポン株式会社製ナフィオン(登録商標)、株式会社アストム製のカチオン交換膜であるCMB膜等が、また、アニオン交換膜として、アストム製アニオン交換膜やアサヒガラス製アニオン型電解質膜などが好適である。
【0033】
イオン透過性非導電性膜はその膜厚が薄過ぎると取り扱い時に十分な強度を維持することができず、厚過ぎると微生物発電装置の小型薄肉化を図れず、また、イオン透過性が悪くなることから、10〜300μm、特に15〜200μm程度であることが好ましい。
【0034】
<酸素還元触媒>
酸素還元触媒としては、正極反応に対して触媒作用を有するものであれば良く、従来公知の白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)等の白金族元素触媒や、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、銀(Ag)、酸化銀(AgO)、鉄(Fe)、二酸化マンガン(MnO)等の1種又は2種以上を用いることもできるが、安価で安全性が高く、また触媒効果に優れることから二酸化マンガンを用いることも好ましい。
【0035】
<通気性導電性基材>
通気性導電性基材としては、導電性及び通気性が高く、耐食性が高く、厚みが薄くても十分な導電性と耐食性、更には導電性基材としての機械的強度を得ることがあるものであれば良く、特に制限はないが、グラファイトペーパー、グラファイトフェルト、グラファイトクロス、ステンレスメッシュ、チタンメッシュ等を用いることができ、これらのうち、特に耐久性と加工のしやすさ等の点から、カーボンペーパー、グラファイトフェルト、グラファイトクロス等のカーボン基材が好ましい。なお、これらのカーボン基材はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で疎水化されたものであっても良い。
【0036】
通気性導電性基材の厚さは、厚過ぎると酸素の透過が悪くなり、薄過ぎると、基材に必要な強度等の要求特性を満たすことができないことから、20〜2000μm程度であることが好ましい。
【0037】
<酸素還元触媒の担持量>
通気性導電性基材又はイオン透過性非導電性膜への酸素還元触媒の担持は、常法に従って行うことができるが、その担持量については、少な過ぎると酸素還元触媒を担持したことによる発電効率の向上効果を十分に得ることができず、一方で、酸素還元触媒の担持量を過度に多くすることは困難であり、また、担持量が過度に多いものはイオン透過性が低下するため、好ましくない。従って、酸素還元触媒の担持量は、通気性導電性基材又はイオン透過性非導電性膜に対する目付量として0.01〜0.5mg/cmとすることが好ましい。
【0038】
<微生物発電装置用正極の作成方法>
微生物発電装置用正極は、前述のイオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材の一方の面に酸素還元触媒を担持させた後、酸素還元触媒担持面を積層面側(内側)として、両者が密着するように積層することにより、容易に作成することができる。なお、イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材とは単に積層させるのみで良いが、イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材との密着性を高めるために、溶着しても良く、また、接着剤で接着しても良い。
【0039】
<微生物発電装置用正極の殺菌方法>
本発明においては、上述のような微生物発電装置用正極を、殺菌剤で殺菌処理した後微生物発電装置の組み立てに用いる。
【0040】
正極の殺菌処理は、予めイオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材とを積層して形成された正極に対して行っても良く、積層前のイオン透過性非導電性膜や通気性導電性基材に対して行っても良いが、後者の方が殺菌剤がよくいきわたるので好ましい。殺菌処理は正極を構成するイオン透過性非導電性膜、触媒を担持したイオン透過性非導電性膜、通気性導電性基材及び酸素還元触媒担持面のすべてに対して行っても良く、これらのうちの1種又は2種以上に行っても良い。
【0041】
通常、スライムは、酸素還元触媒を担持したイオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材とを積層した正極にあっては、通気性導電性基材側のイオン透過性非導電性膜の酸素還元触媒担持面との積層面に発生し易く、酸素還元触媒を担持した通気性導電性基材とイオン透過性非導電性膜とを積層した正極にあっては、イオン透過性非導電性膜側の通気性導電性基材の酸素還元触媒担持面との積層面に発生し易い。従って、このスライムの発生し易い面を少なくとも殺菌処理することが好ましい。
【0042】
殺菌処理に用いる殺菌剤としては、銀微粒子、銅微粒子、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CL−MIT)、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド(DBNPA)、クロラミン、クロロスルファミン酸、クロロスルファミン酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩、二酸化炭素などが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0043】
銀微粒子、銅微粒子としては、平均粒径10〜1,000nm程度の微粒子ないしはナノコロイドを用いることができる。また、CL−MITやDBNPA等はこれと同程度の大きさにマイクロカプセル化して用いることもできる。
【0044】
このような殺菌剤を用いた殺菌処理方法としては、殺菌剤を含む水溶液又は分散液中に、イオン透過性非導電性膜、通気性導電性基材又はこれらが積層された正極を浸漬した後乾燥させる方法、殺菌剤を含む水溶液又は分散液をイオン透過性非導電性膜、通気性導電性基材又はこれらが積層された正極の被殺菌処理面に刷毛塗り、スプレー等で塗布する方法などが挙げられる。
【0045】
CL−MITやDBNPA等水溶性殺菌剤は、例えば10mg/L〜10重量%程度の水溶液として用いることができる。銀微粒子、銅微粒子やマイクロカプセルは、後述の如く、ナフィオン(登録商標)溶液中に分散させて用いることができる。
【0046】
殺菌剤による殺菌処理の程度は、用いる殺菌剤の種類や、殺菌処理方法(イオン透過性非導電性膜又は通気性導電性基材のみを殺菌処理するか、正極全体を殺菌処理するか)によっても異なるが、正極の面積(正極室の空室に対面する面積)当たりの殺菌剤の付着量として0.1〜10mg/cm程度とすることが好ましい。
【0047】
[微生物発電装置]
次に、上述のようにして殺菌剤により殺菌処理された微生物発電装置用正極を用いる本発明の微生物発電装置について、図面を参照して説明する。
本発明の微生物発電装置は、殺菌剤により殺菌処理された正極を用いること以外は常法に従って作製することができる。
【0048】
第2図は本発明の微生物発電装置の概略的な構成を示す模式的断面図である。
【0049】
槽体1内がイオン透過性非導電性膜(本実施の形態ではカチオン透過膜)5Aによって正極室3と負極室4とに区画されている。正極室3内にあっては、このイオン透過性非導電性膜5Aとこのイオン透過性非導電性膜5Aに積層された通気性導電性基材5Bとで正極5が構成されている。
【0050】
即ち、正極5は、図示の如く、イオン透過性非導電性膜5Aと通気性導電性基材5Bとの積層構造とされ、この積層面のイオン透過性非導電性膜5A及び通気性導電性基材5Bのいずれか一方に酸素還元触媒が担持されているが、このうち、通気性導電性基材5Bが正極室3側に位置し、イオン透過性非導電性膜5Aに密着するように設けられる。また、正極5からの電流取り出し導体は通気性導電性基材5B側に設けられており、従って、後述の外部抵抗21に接続される端子20は通気性導電性基材5Bに接続されている。
【0051】
負極室4内には、導電性多孔質材料よりなる負極6が配置されている。この負極6は、イオン透過性非導電性膜5Aに直に、又は1〜2層程度の微生物の膜を介して接しており、イオン透過性非導電性膜5Aがカチオン透過膜であれば、負極6からイオン透過性非導電性膜2にプロトン(H)が受け渡し可能となっている。
【0052】
正極室3内は、空室であり、ガス流入口7から空気などの酸素含有ガスが導入され、ガス流出口8から排ガスが流出する。負極室4内には負極溶液Lが存在しており、この負極溶液Lは循環往口9、循環配管10、循環用ポンプ11及び循環戻口12を介して循環される。
【0053】
上記のイオン透過性非導電性膜5Aのカチオン透過膜としては、カチオン交換膜が好適であるが、その他のものであってもよい。
【0054】
多孔質材料よりなる負極6に微生物が担持されている。負極室4には流入口4aから負極溶液Lを導入し、流出口から廃液を排出させる。なお、負極室4内は嫌気性とされる。
【0055】
本実施の形態では、正極室3内で生じた凝縮水が凝縮水流出口13、凝縮水配管14、凝縮水タンク15、配管16、弁17介して循環配管10に導入可能とされている。なお、配管16がポンプ11の吸込側に接続されているため、弁17を開くとタンク15内の凝縮水が配管16に吸引される。ただし、弁17の代わりにポンプを配管16に設けてもよい。タンク15は、不溶性物質を沈降分離させる作用も有する。
【0056】
正極5と負極6との間に生じた起電力により、端子20,22を介して外部抵抗21に電流が流れる。
【0057】
負極溶液LのpHが7〜9となるように、正極室3の凝縮水が負極溶液Lに対し添加される。この正極室凝縮水は、負極室6に直接に添加されてもよいが、循環水に添加することにより、負極室6内の全域を部分的な偏りなしにpH7〜9に保つことができる。なお、凝縮水は酸素を含む場合があるため、活性炭充填塔のような脱酸素装置によって凝縮水を脱酸素処理した後、負極溶液に添加するようにしてもよい。
【0058】
正極室3に酸素含有ガスを通気すると共に、必要に応じポンプ11を作動させて負極溶液Lを循環させることにより、負極室4内では、
(有機物)+HO→CO+H+e
なる反応が進行する。この電子eが負極6、端子22、外部抵抗21、端子20を経て正極5へ流れる。
【0059】
上記反応で生じたプロトンHは、イオン透過性非導電性膜5Aのカチオン透過膜を通って正極5に移動する。正極5では、
+4H+4e→2H
なる反応が進行するが、正極5のイオン透過性非導電性膜5A又は通気性導電性基材5Bに例えば二酸化マンガン等の酸素還元触媒が担持されていることにより、
MnO+2H+2e → Mn2++2OH
Mn2++O+HO → MnO+2H
の反応で、電子消費反応に寄与して電極反応が促進される。
【0060】
正極5において、O+4H+4e→2HOの反応で生成したHOは凝縮して凝縮水が生じる。この凝縮水には、イオン透過性非導電性膜5Aのカチオン透過膜を透過してきたK,Naなどが溶け込み、これにより凝縮水がpH9.5〜12.5程度の高アルカリ性となる。
【0061】
負極室4では、微生物による有機物及び水の分解反応によってCOが生成することにより、pHが低下しようとする。前述の通り、正極室5からの高アルカリ性の凝縮水が負極溶液Lに添加されることにより、負極溶液LのpHが7より低くなることが防止される。
【0062】
第1図は本発明の特に好ましい形態に係る微生物発電装置の概略的な断面図である。
【0063】
略直方体形状の槽体30内に2枚の板状の正極35,35が互いに平行に配置されることにより、該正極35,35同士の間に負極室32が形成され、該負極室32とそれぞれ該正極35を隔てて2個の正極室33,33が形成されている。
【0064】
負極室32内には、各正極35のイオン透過性非導電性膜35Aと直に、又は1層〜2層程度の生物膜を介して接するように、多孔質材料よりなる負極34が配置されている。負極34は、イオン透過性非導電性膜35Aに対し軽く(例えば0.1kg/cm以下の圧力で)押し付けられるのが好ましい。
【0065】
正極室33内には、イオン交換膜35Aと通気性導電性基材35Bとの積層体であって、いずれか一方の積層面に酸素還元触媒が担持された正極35が配置されている。この正極35は、パッキン36に押圧されて負極34に押し付けられている。
【0066】
正極35と槽体30の側壁との間は、酸素含有ガスの流通スペースとなっている。
【0067】
この正極35の通気性導電性基材35B及び負極34は、端子37,39を介して外部抵抗38に接続されている。
【0068】
負極室32には、流入口32aから負極溶液Lが導入され、流出口32bから廃液が流出する。負極室32内は嫌気性とされる。
【0069】
負極室32内の負極溶液は、循環往口41、循環配管42、循環ポンプ43及び循環戻口44を介して循環される。各正極室33には、ガス流入口51から酸素含有ガスが流入し、排ガスがガス流出口52から流出する。
【0070】
正極室33内の凝縮水は、凝縮水流出口53、配管54を介して凝縮水タンク55に導入され、貯留される。この凝縮水タンク55内の凝縮水は、配管56、弁57、循環配管42、ポンプ43を介して負極室32に供給可能とされている。
【0071】
配管56がポンプ43の吸込側に接続されているため、弁57を開くとタンク55内の凝縮水が配管50に吸引される。なお、弁57の代わりにポンプを配管56に設けてもよい。
【0072】
負極溶液のpHをpH計60で検出し、このpHが7〜9となるように制御器(図示略)によって弁57が制御される。
【0073】
この第1図の微生物発電装置においても、正極室33に酸素含有ガスを流通させ、負極室32に負極溶液を流通させ、好ましくは負極溶液を循環させることにより、正極35と負極34との間に電位差が生じ、外部抵抗38に電流が流れる。
【0074】
この発電運転に伴って、正極室33に高pHの凝縮水が生成し、タンク55に貯留される。微生物反応によりpHが低下しようとする負極室32に、正極室33で生じた高pHの凝縮水を該タンク55から添加することにより、負極室32内のpHを7〜9に維持する。
【0075】
なお、本発明の微生物発電装置では、イオン透過性非導電性膜としては、カチオン透過膜の代りにアニオン透過膜や前述したその他のイオン透過性非導電性膜を用いることもできる。アニオン交換膜を用い、酸素還元触媒として二酸化マンガンを用いた場合には、
MnO+2HO+2e → Mn2++4OH
Mn2++O+HO → MnO+2H
の反応で生成したOHがイオン透過性非導電性膜35Aであるアニオン透過膜を透過して正極35から負極室32へと移動する。
【0076】
次に、この微生物発電装置の微生物、負極溶液、負極の好適な材料等について説明する。
【0077】
負極溶液L中に含有させることで電気エネルギーを産生させる微生物は、電子供与体としての機能を有するものであれば特に制限されない。例えば、Saccharomyces、Hansenula、Candida、Micrococcus、Staphylococcus、Streptococcus、Leuconostoa、Lactobacillus、Corynebacterium、Arthrobacter、Bacillus、Clostridium、Neisseria、Escherichia、Enterobacter、Serratia、Achromobacter、Alcaligenes、Flavobacterium、Acetobacter、Moraxella、Nitrosomonas、Nitorobacter、Thiobacillus、Gluconobacter、Pseudomonas、Xanthomonas、Vibrio、Comamonas及びProteus(Proteus vulgaris)の各属に属する細菌、糸状菌、酵母などを挙げることができる。このような微生物を含む汚泥として下水等の有機物含有水を処理する生物処理槽から得られる活性汚泥、下水の最初沈澱池からの流出水に含まれる微生物、嫌気性消化汚泥等を植種として負極室に供給し、微生物を負極に保持させることができる。発電効率を高くするためには、負極室内に保持される微生物量は高濃度であることが好ましく、例えば微生物濃度は1〜50g/Lであることが好ましい。
【0078】
負極溶液Lとしては、微生物又は細胞を保持し、かつ発電に必要な組成を有する溶液が用いられる。例えば、呼吸系の発電を行う場合は、負極側の溶液としては、ブイヨン培地、M9培地、L培地、Malt Extract、MY培地、硝化菌選択培地などの呼吸系の代謝を行うのに必要なエネルギー源や栄養素などの組成を有する培地が利用できる。また、下水、有機性産業排水、生ごみ等の有機性廃棄物を用いることができる。
【0079】
負極溶液L中には、微生物又は細胞からの電子の引き抜きをより容易とするために電子メディエーターを含有させてもよい。この電子メディエーターとしては、例えば、チオニン、ジメチルジスルホン化チオニン、ニューメチレンブルー、トルイジンブルー−O等のチオニン骨格を有する化合物、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン等の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン骨格を有する化合物、ブリリアントクレジルブルー、ガロシアニン、レソルフィン、アリザリンブリリアントブルー、フェノチアジノン、フェナジンエソスルフェート、サフラニン−O、ジクロロフェノールインドフェノール、フェロセン、ベンゾキノン、フタロシアニン、あるいはベンジルビオローゲン及びこれらの誘導体などを挙げることができる。
【0080】
さらに、微生物の発電機能を増大させるような材料、例えばビタミンCのような抗酸化剤や、微生物中の特定の電子伝達系や物質伝達系のみを働かせる機能増大材料を溶解すると、さらに効率よく電力を得ることができるので好ましい。
【0081】
負極溶液Lは、必要に応じ、リン酸バッファを含有していてもよい。
【0082】
負極溶液Lは有機物を含むものである。この有機物としては、微生物によって分解されるものであれば特に制限はなく、例えば水溶性の有機物、水中に分散する有機物微粒子などが用いられる。負極溶液は、下水、食品工場排水などの有機性廃水であってもよい。負極溶液L中の有機物濃度は、発電効率を高くするために100〜10000mg/L程度の高濃度であることが好ましい。
【0083】
正極室に流通させる酸素含有ガスとしては、空気が好適である。正極室からの排ガスを、必要に応じ脱酸素処理した後、負極室に通気し、負極溶液Lからの溶存酸素のパージに用いてもよい。
【0084】
負極は、多くの微生物を保持できるよう、表面積が大きく空隙が多く形成され通水性を有する多孔体が好ましい。具体的には、少なくとも表面が粗とされた導電性物質のシートや導電性物質をフェルト状その他の多孔性シートにした多孔性導電体(例えばグラファイトフェルト、発泡チタン、発泡ステンレス等)が挙げられる。
【0085】
このような多孔質の負極を直接に又は微生物層を介してカチオン透過体に当接させた場合、電子メディエータを用いることなく、微生物反応で生じた電子が負極に渡るようになり、電子メディエータを不要とすることができる。
【0086】
複数のシート状導電体を積層して負極としてもよい。この場合、同種の導電体シートを積層してもよく、異なる種類の導電体シート同士(例えばグラファイトフェルトと粗面を有するグラファイトシート)を積層してもよい。
【0087】
負極は全体の厚さが3mm以上40mm以下、特に5〜20mm程度であることが好ましい。積層シートによって負極を構成した場合、シート同士の合わせ面(積層面)に沿って液が流れるように、積層面を液の流入口と流出口とを結ぶ方向に配向させるのが好ましい。
【0088】
本発明では、負極室を複数の分室に分割し、各分室を直列接続することで各分室でのpH低下を抑制した上で負極室内の液のpHを調整するようにしてもよい。負極室を分割すれば、各分室での有機物分解量が小さくなる結果、炭酸ガスの生成量も小さくなるため、各分室でのpH低下を少なくできる。負極室を流れる液には、前段側の分室から後段側の分室へ流れる際にカソード凝縮水を添加すればよい。このようにすれば、前段側の分室でpHが低下した液のpHを上げて後段側の分室へ流入させることができ、負極室内の液のpHを上記範囲に調整することが容易になる。
【0089】
本発明では、正極室凝縮水とは別の、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリを負極室に添加するアルカリ添加手段を設けてもよい。このアルカリは、負極室に添加されてもよく、循環配管に添加されてもよく、凝縮水タンクに添加されてもよく、負極室に導入される負極溶液に添加されてもよい。
【実施例】
【0090】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
説明の便宜上まず比較例を挙げる。
【0091】
[比較例1]
第2図に示す微生物発電装置を作製した。ただし、負極溶液の循環液に正極室凝縮水を添加する代りに2Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH調整した。
負極室32の容積は350mL、各正極室33の容積は175mLである。
【0092】
負極34としては、250mm×70mmで厚さ10mmのグラファイトフェルト(東洋カーボン株式会社製)2枚を導電性接着剤で張り合わせて構成した各グラファイトフェルトの両表面は粗面であり、接着剤は、グラファイトフェルトの面に部分的に(面全体の10%程度)に塗布し(いわゆる「ベタ塗り」を避け)、互いに向かい合うグラファイトフェルトの面の微小な凹凸が接着剤で埋められてしまわないようにした。なお、2枚のカーボンフェルトの積層体は負極室32の厚さと同じ厚さを有したものであり、負極室32内全体に充填され、イオン透過性非導電性膜35Aと接触する。
【0093】
この微生物発電装置は、従って、負極室32に供給された液はすべて多孔性の負極34を透過するように構成されており、負極34内を通らずに負極室32を通過すること(ショートパス)が実質的にないよう構成されている。負極室32には種菌として下水処理場の生物処理槽から採取した活性汚泥を添加して培養し、負極を構成する各グラファイトフェルトの表面に微生物を付着させた。負極室32内の微生物濃度は約2200mg/Lであった。
【0094】
正極35の、イオン透過性非導電性膜35Aとしては、カチオン透過膜(デュポン株式会社製 商品名(登録商標)「ナフィオン115」)を使用し、通気性導電性基材35Bとしては、厚さ3mmのグラファイトフェルトを用いた。このグラファイトフェルトは、厚さが異なる以外は負極用のグラファイトフェルトと同様の構成であり、両表面は粗面である。正極用グラファイトフェルトは、PTFEで撥水処理し、田中貴金属社製Pt触媒(Pt担持カーボンブラック,Pt含有量50重量%)を、5重量%ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)に分散させた液を、Pt付着量が0.5mg/cmとなるように負極側表面(イオン透過性非導電性膜35Aとの積層面)に塗布し、50℃で乾燥させて用いた。
【0095】
Ptを担持したグラファイトフェルトのPt担持面とカチオン透過膜とを積層し、第1図のようにカチオン透過膜が負極側となるように配置して、パッキン36で固定した。
【0096】
負極34のグラファイトフェルトと正極35のグラファイトフェルトには、ステンレス製針金を導電性ペーストで接着して電気引出し線とし、2Ωの抵抗で接続した。
【0097】
正極室33には、空気を700mL/minの流量で通気した。
一方、負極室32には、1,000mg/Lの濃度の酢酸と、50mMの濃度のリン酸バッファ、及び塩化アンモニウム50mg/Lを含む負極溶液を1mL/minの流入量で供給し、同量の廃液を排出させた。
【0098】
循環配管42の循環流量は70mL/minとし、pH計60の検出pHが約8.0となるように2Nの水酸化ナトリウムを循環液に添加した。
【0099】
この装置で負極温度を35℃に維持して運転を開始した結果、3日後には、負極容積当たり、100mW/m−負極の発電量となり、一週間後には300W/m−負極に達した。その後、約2週間、発電量は250〜330W/m−負極の範囲で維持された。
しかし、運転を継続した結果、徐々に発電量が低下し、運転開始から45日後には、120W/m−負極まで低下し、60日後には100W/m−負極にまで低下した。
【0100】
[比較例2]
比較例1において、イオン透過性非導電性膜をアストム製アニオン交換膜ACSに変更したこと以外は、同様の装置及び運転方法で発電を行った結果、発電量は290〜360W/m−負極で約一ヶ月運転できたが、その後低下し、運転開始から2ヵ月後には、120W/m−負極になった。
【0101】
[実施例1]
比較例2において、正極の作製にあたり、アニオン交換膜のグラファイトフェルトとの積層面側に、1重量%CL−MIT水溶液を刷毛塗りした後乾燥することにより、CL−MITを1mg/cm付着させた後正極の作製に用いたこと以外は、同様にして装置を組み立て、同様の運転条件で発電を行った。
その結果、運転開始から1週間で発電量は350W/m−負極に達し、その後、60経過後も発電量は280W/m−負極で維持された。
【0102】
[実施例2]
比較例2において、正極の作製にあたり、グラファイトフェルトのPt担持面に、銀ナノコロイド(田中貴金属製、平均粒径22nm)を、5重量%ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)に分散させた液を、Ag付着量が10mg/cmとなるように、塗布し、50℃で乾燥させて用いたこと以外は、同様にして装置を組み立て、同様の運転条件で発電を行った。
その結果、運転開始から1週間で発電量は365W/m−負極に達し、その後、70経過後も発電量は310W/m−負極で維持された。
【符号の説明】
【0103】
1,30 槽体
3,33 正極室
4,32 負極室
5,35 正極
5A,35A イオン透過性非導電性膜
5B,35B 通気性導電性基材
6,34 負極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極を有し、微生物及び電子供与体を含む液を保持する負極室と、
正極を有し、該負極室に対しイオン透過性非導電性膜を介して隔てられた正極室と、
該正極室に酸素含有ガスを供給する手段と
を備えた微生物発電装置において、
該正極が、殺菌剤により殺菌処理されたものであることを特徴とする微生物発電装置。
【請求項2】
請求項1において、前記正極は、前記イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材との積層体よりなり、該イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の一方の積層面側に酸素還元触媒が担持されていることを特徴とする微生物発電装置。
【請求項3】
請求項2において、前記イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の一方の酸素還元触媒担持面と、イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の他方の積層面のうちの少なくとも一方が、前記殺菌剤により殺菌処理されたものであることを特徴とする微生物発電装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記殺菌剤が銀微粒子、銅微粒子、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド、クロラミン、クロロスルファミン酸、クロロスルファミン酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩及び二酸化塩素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする微生物発電装置。
【請求項5】
負極を有し、微生物及び電子供与体を含む液を保持する負極室と、
正極を有し、該負極室に対しイオン透過性非導電性膜を介して隔てられた正極室と、
該正極室に酸素含有ガスを供給する手段と
を備えた微生物発電装置を作製する方法において、
該正極を、殺菌剤により殺菌処理した後、該正極室の形成に用いることを特徴とする微生物発電装置の作製方法。
【請求項6】
請求項5において、前記正極は、前記イオン透過性非導電性膜と通気性導電性基材との積層体よりなり、該イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の一方の積層面側に酸素還元触媒が担持されていることを特徴とする微生物発電装置の作製方法。
【請求項7】
請求項6において、前記イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の一方の酸素還元触媒担持面と、イオン透過性非導電性膜及び通気性導電性基材の他方の積層面のうちの少なくとも一方を、前記殺菌剤により殺菌処理することを特徴とする微生物発電装置の作製方法。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれか1項において、前記殺菌剤が、銀微粒子、銅微粒子、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトロプロピオンアミド、クロラミン、クロロスルファミン酸、クロロスルファミン酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩及び二酸化塩素よりなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする微生物発電装置の作製方法。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の微生物発電装置により発電を行うことを特徴とする微生物発電方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−65822(P2011−65822A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−214670(P2009−214670)
【出願日】平成21年9月16日(2009.9.16)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】