説明

微細エッチングマスクの製造方法及び露光処理装置

【課題】被加工材上へのパターン転写による微細エッチングマスクの製造方法において、転写後のパターン転写層の残渣厚みを転写層内で均一且つ薄膜にすることができ、しかもエッチング処理後の厚さが均一な微細エッチングマスクの製造方法及びそれに用いる露光処理装置を提供する。
【解決手段】微細エッチングマスクの製造方法は、被加工材層フィルム上に光硬化性樹脂を塗布する塗布工程と、弾性体層を備えたバックロール31の外周面上において、樹脂モールド20樹脂パターン層を転写する賦型硬化工程と、賦型硬化工程後の被加工材フィルムと樹脂モールド20とを剥離する剥離工程と、転写パターンの残渣部分を除去するエッチング工程とを含み、賦型硬化工程では、バックロール31の弾性体層のヤング率が所定値を満たす条件で転写パターンを賦型する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細エッチングマスクの製造方法に関し、特に被加工材上へのパターン転写よる微細エッチングマスクの製造方法及びそれに用いる露光処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のフォトリソグラフィー技術の発達により、光の波長レベルのピッチを有する微細パターンを形成することができるようになってきた。このような非常に小さいピッチの微細パターンを有する部材や製品は、半導体分野だけでなく、光学分野において利用範囲が広く有用である(非特許文献1)。微細パターンを用いたナノサイズのリソグラフィー用マスク構造体を形成するための有望な方法として、微細パターンを有する型を熱可塑性樹脂や光硬化性樹脂に押し付けてパターンを転写する方法が知られている(特許文献1、非特許文献2)。このような方法としては、古くは1975年に出願された文献など(特許文献2、非特許文献3)を参考にすることが出来る。
【0003】
連続的に大面積の微細パターンを形成する方法としては、微細パターンを形成した円筒形ローラーを用いる方法が知られている(特許文献3、特許文献4)。この方法では、円筒形ローラーとフィルム基材との間に光硬化性樹脂を挟んで微細パターンと光硬化性樹脂とを押し付け、紫外線を照射して光硬化性樹脂を硬化させることによりフィルム基材上にパターンを転写する。
【0004】
また、所定の条件で作製したパターン賦型フィルムを型として用い、被加工材上にパターンを転写する方法が知られている(特許文献5)。この方法では、パターン賦型フィルム型越しに光照射することができるので、被加工材が光遮光性であっても光硬化性樹脂を硬化させることができる。また、熱可塑性樹脂を用いる方法も知られている(特許文献6)。
【0005】
また、特許文献1には、被加工材上にパターン転写した光硬化性樹脂をエッチングマスクとして用いる方法が開示されている。この方法では、パターン賦型フィルム型を形成した後、パターン賦型フィルム型の表面に離型処理を行い、上記方法で被加工材上の光硬化性樹脂にパターン転写を行う。そして被加工材上に形成された硬化後の光硬化性樹脂をエッチングマスクとして利用し、被加工材をエッチングにより加工している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−145742号公報
【特許文献2】特公昭53−22427号公報
【特許文献3】特開平03−064701号公報
【特許文献4】特開平05−47048号公報
【特許文献5】特開2000−321675号公報
【特許文献6】特許第2925069号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本女子大学紀要 理学部 第14号(2006年)
【非特許文献2】Applied Physics Letters, vol.96, 1995,pp.3114−3116
【非特許文献3】電子通信学会技術研究報告 CPM76−125(1977年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、パターン転写された樹脂材料をエッチングマスクとして用いる場合には、微細凹凸形状がパターン転写された樹脂材料層(パターン転写層)の凹部の残渣厚みが薄く、且つフィルム基材面内で均一であることが望ましい。このような観点からは、特許文献5に光硬化性樹脂の塗布量について開示されている。
【0009】
ところが、実際のエッチングマスクの製造においては、微細パターンを形成する被加工材表面や、パターン転写に用いるモールドの表面には数マイクロメートル程度の表面粗さが存在し、従来の方法ではパターン転写された微細凹凸形状の残渣厚みを薄くすること及び均一にすることが困難であった。このため、被加工材全面において、この表面粗さの影響を抑制し、パターン転写層の残渣厚みを均一にすると共に、数十ナノメートルサイズの厚さの微細エッチングマスクを構築することが必要とされている。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、被加工材上へのパターン転写による微細エッチングマスクの製造方法において、転写後のパターン転写層の残渣厚みを転写層内で均一且つ薄膜にすることができ、しかもエッチング処理後の厚さが均一な微細エッチングマスクの製造方法及びそれに用いる露光処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の微細エッチングマスクの製造方法は、基材と当該基材上に設けられた被加工材層とを備えた被加工材フィルム上への微細エッチングマスクの製造方法であって、前記被加工材フィルムの前記被加工材層上に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層を備えた複合フィルムとする塗布工程と、弾性体層を備えたバックロールの外周面上において、樹脂モールドの転写パターンと前記複合フィルムの前記光硬化性樹脂層とを面接触させながら露光して前記光硬化性樹脂層に転写パターンを賦型する賦型硬化工程と、前記賦型硬化工程後の前記複合フィルムと前記樹脂モールドとを剥離する剥離工程と、前記剥離工程後の前記複合フィルムの前記光硬化性樹脂層に賦型された転写パターンの残渣部分を除去するエッチング工程とを具備し、前記賦型硬化工程では、前記バックロールの前記弾性体層のヤング率E[MPa]が、下記関係式(1)を満たす条件で前記転写パターンを賦型することを特徴とする。
E ≦ 1.000×dσ…式(1)
(式(1)中、dは弾性体層の厚さ[μm]を表し、σは複合フィルムの光硬化性樹脂層に対する垂直方向の圧力[MPa]を表す。)
【0012】
本発明の微細エッチングマスクの製造方法においては、前記賦型硬化工程では、前記バックロールに併設されたニップロールの中心と前記バックロールの中心とを結ぶ直線に対する垂直面に対し、前記バックロール側の角度から前記複合フィルムを搬送することが好ましい。
【0013】
本発明の微細エッチングマスクの製造方法においては、前記賦型硬化工程では、前記バックロールの前記弾性体層に対する垂直方向の圧力σが0.0001MPa〜0.01MPaの条件で面接触させることが好ましい。
【0014】
本発明の微細エッチングマスクの製造方法においては、前記塗布工程では、前記光硬化性樹脂の塗布量を、前記樹脂モールドの前記転写パターン面内の面内垂直方向における前記転写パターン凸部頂点以下のパターン空隙体積の50%から120%の範囲とすることが好ましい。
【0015】
本発明の微細エッチングマスクの製造方法においては、前記塗布工程では、フッ素成分を含有した光硬化性樹脂を塗布し、前記賦型硬化工程では、前記樹脂モールドとして、フッ素成分を含有した樹脂モールドを用いることが好ましい。
【0016】
本発明の露光処理装置は、基材上に設けられた被加工材層と当該被加工材層上に設けられた光硬化性樹脂層とを備えた被加工材フィルムを搬送する第一搬送機構と、基材上に転写パターンが設けられた樹脂モールドを搬送する第二搬送機構と、外周面上に弾性体層を備え、当該弾性体層上において前記複合フィルムの前記光硬化性樹脂層と前記樹脂モールドの前記転写パターンとを面接触するバックロールと、前記バックロールの前記弾性体層上において面接触した前記複合フィルム及び前記樹脂モールドに対して露光する光源と、前記複合フィルムと前記樹脂モールドとを剥離する剥離機構と、前記複合フィルムの前記光硬化樹脂層に賦型された前記光硬硬化樹脂層の転写パターンの残渣部分を除去するエッチング機構と、を具備し、前記バックロールの前記弾性体層のヤング率E[MPa]が、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする。
E ≦ 1.000 × dσ…式(1)
(式(1)中、dは弾性体層の厚さ[μm]を表し、σは複合フィルムの光硬化性樹脂層に対する垂直方向の圧力[MPa]を表す。)
【0017】
本発明の露光処理装置においては、前記第一搬送機構内において、前記バックロールの前段に塗布機構を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被加工材上へのパターン転写による微細エッチングマスクの製造方法において、転写後のパターン転写層の残渣厚みを転写層内で均一且つ薄膜にすることができ、しかもエッチング処理後の厚さが均一な微細エッチングマスクの製造方法及びそれに用いる露光処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る被加工材フィルムの断面模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る樹脂モールドの断面模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る複合フィルムの断面模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る露光処理装置の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る微細エッチングマスクの製造工程の賦型硬化工程における樹脂モールドと複合フィルムとの面接触状態を示す断面模式図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る微細エッチングマスクの製造工程における複合フィルムの搬送方向の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るエッチング処理後の複合フィルムの概略模式図である。
【図8】本発明の実施に係るパターン転写後の光硬化性樹脂層の断面観察写真である。
【図9】本発明の実施に係るエッチング処理後の断面観察写真である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る微細エッチングマスクの製造方法は、基材と当該基材上に設けられた被加工材層とを備えた被加工材フィルム上に、光硬化性樹脂層を形成して複合フィルムとする塗布工程と、弾性体層を備えたバックロール上において、樹脂モールド上に形成された転写パターンを、複合フィルムの光硬化性樹脂層に所定の条件で転写する賦型硬化工程と、賦型硬化工程後の複合フィルムと樹脂モールドとを剥離する剥離工程と、複合フィルムの転写パターンの残渣部分を除去するエッチング工程とを含む。以下各工程について説明する。
【0021】
まず、本実施の形態に係る微細エッチングマスクの製造方法に用いられる被加工材フィルム及び樹脂モールドについて説明する。図1は、本実施の形態に係る被加工材フィルム10の一例を示す断面模式図である。図1に示す被加工材フィルム10は、フィルム基材11と、このフィルム基材11上に設けられた被加工材層12及び13とから構成されている。
【0022】
フィルム基材11を構成する材料としては、実質的に屈曲させることができるフィルム状のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂で形成されたフィルムが挙げられる。PET樹脂やポリカーボネート樹脂からなる基材は安価でかつ耐候性も良好であるので好ましい。また、場合によってはガラスやステンレスなどの固体基材を薄く加工したものであっても良い。また、フィルム基材11の厚みは、操作性や屈曲性を考慮すると、およそ20マイクロメートル〜300マイクロメートル程度の厚みであることが望ましい。
【0023】
被加工材層12及び13は、微細エッチングマスクが形成された後に加工される層であり、その材料は限定されない。被加工層12及び13に用いられる材料としては、例えば、Cr、Cu、Ti、Ag、Pt、Au、Al、Ni、Fe、Pb、In、Znなどの単体金属、SiOx、SiNx、Al、ITO、TiO、Nb、ZnO、CuO、CuO、ZrO、WOなどの誘電体、Ni−Cr、SUS、Cu−Znなどの合金、MgF、LiFなどのフッ化物が挙げられる。これらの金属または誘電体は1種類でも2種類以上組み合わせて成膜されていてもよく、また成膜は、1層でも多層でもよい。図1においては、2層の被加工材層12、13を成膜した例を示している。
【0024】
フィルム基材11上に金属もしくは誘電体からなる被加工材層12、13を形成する方法は、例えばスパッタリング、真空蒸着、CVD、プラズマプロセス、化学吸着、電鋳、メッキ、MBE、プレス、コーティングが挙げられる。被加工材と樹脂フィルムとの接着性を上げるため、樹脂基板表面に、例えば易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、オゾン処理、高エネルギー線処理、表面粗化処理、多孔質化処理を行っても良い。被加工材層12、13を形成するための装置は、後述する塗布装置や露光処理装置と同一の搬送路上に設けてもよく、異なる搬送路に設けて別の装置としてもよい。
【0025】
図2は、樹脂モールド20の一例を示す断面模式図である。図2に示す樹脂モールド20は、透明フィルム基材21と、この透明フィルム基材21上に設けられ、微細凹凸形状を有する転写パターンとしての樹脂パターン層22とを備える。樹脂パターン層22の上面側には、紙面手前−奥側方向に延在する凹凸構造を有する微細パターンが形成されている。図2においては、微細パターンの凸部頂点23の間の凹部24をパターン空隙断面積としている。
【0026】
透明フィルム基材21を構成する材料としては、後述する光硬化性樹脂を硬化させる波長において実質的に透明、又は高光透過率であり、実質的に屈曲させることができるフィルム状のものであれば特に限定されない。このような透明フィルム基材21としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィン樹脂(COP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂や、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂で形成された透明フィルム基材21が挙げられる。PET樹脂やポリカーボネート樹脂からなる透明フィルム基材21は安価でかつ耐候性も良好であるので好ましい。また、ガラスなどの固体基材を薄く加工したものであっても良い。また、透明フィルム基材21の厚みは、操作性や屈曲性を考慮すると、およそ20マイクロメートル〜300マイクロメートル程度の厚みであることが望ましい。
【0027】
樹脂パターン層22は、下記の要領によって作製される。まず、透明フィルム基材21の片面に、樹脂パターン層22を構成するフッ素成分を含有する光硬化性樹脂を、膜厚が均一になるように塗布する、次いで、光硬化性樹脂の上面に所望の転写パターン形状に対して反転したパターンを形成した型(A)を押し当てる。次に、透明フィルム基材21側から硬化光を照射し、光硬化性樹脂を硬化させることにより樹脂パターン層22を得ることができる。なお、型(A)として光透過性材料を用いた場合には、型(A)側から硬化光を照射することによっても光硬化性樹脂を硬化させることができ、樹脂パターン層22を得ることが出来る。
【0028】
樹脂モールド20としては、リール状の樹脂モールドを用いてもよい。リール状の樹脂モールドは、下記の要領によって作製される。まず、透明フィルム基材21の片面に樹脂パターン層22を構成するフッ素成分を含有する光硬化性樹脂を、膜厚が均一になるように塗布する。次いで、光硬化性樹脂の上面に、上記型(A)をロールの径表面に貼り付けた状態で押し当てる。次に、透明フィルム基材21側から硬化光を照射し、光硬化性樹脂を硬化させる。以上の工程を、型(A)を貼り付けたロールを回転させながら連続的に行うことでリール状の樹脂モールド20を得ることができる。
【0029】
樹脂モールド20は、フッ素系添加剤を含有しているため離型処理の必要はなく、樹脂モールド20を作製後、直ちに次工程に用いることができる。ここで直ちに次工程に用いるとは、短時間で次工程に用いることのみではなく、樹脂モールド20作製後、樹脂モールド20表面へ化学的、物理的な離型処理を行わずに次工程に用いることができることを意味している。
【0030】
離型処理は、型側にフッ素成分を含むアルコール系コーティング剤などを用いたコーティング処理として行われる。しかしながら、一般的に市販される離型処理剤は高価であり、ロールtoロールプロセスなどの連続生産工程においては、離型処理剤が大量に必要となる。また、離型処理の前段階として用いるプラズマ処理装置や、離型処理剤塗布装置が必要となり、その分装置が大規模化するばかりではなく、装置導入費用も大きくなってしまう。本実施の形態においては、上記の方法と後述する光硬化性樹脂へのフッ素成分添加によって、離型処理の必要性を無くしている。
【0031】
次に、図3を参照して本実施の形態に係る微細エッチングマスクの製造方法における塗布工程について説明する。図3は、本実施の形態に係る複合フィルムの断面模式図である。図3に示すように、塗布工程では、図1に示した被加工材フィルム10の被加工材層12、13の上面に離型性を有する光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層14を形成し、複合フィルム15を作製する。光硬化性樹脂の塗布は、リバースロールコーティングやグラビアコーティング、ダイコーティング、バーコーティングなどを用いることで好適に塗布することができる。各コーティング方法の詳細は、株式会社加工技術研究所発行・コンバーティングテクノロジー便覧(2006年)に詳細に記載されており、参考にすることができる。極薄い光硬化性樹脂の塗布膜(光硬化性樹脂層)を得る為には、光硬化性樹脂の液中に有機溶剤などを含ませた状態で塗布を行い、塗布後に有機溶剤をオーブン乾燥、もしくは室温での送風乾燥等によって気化させることにより、極薄い塗布膜を得ることができる。
【0032】
光硬化性樹脂の塗布量は、図2に示した樹脂モールド20のパターン面F1内の面内垂直方向における凸部頂点以下のパターン空隙体積の50%から120%の間に設定して塗布することが好ましい。これは、後述するパターン転写後の残渣厚みが薄くなるようにするためである。パターン空隙体積とは、図2に示した樹脂モールド20のパターン空隙断面積の部分の体積の総和である。パターン空隙断面積の体積とは、樹脂モールド20のパターンの各凸部頂点23を含むパターン面F1よりも樹脂モールド20側の凹部24となっているパターン空隙断面積部分の体積のことを指す。
【0033】
なお、光硬化性樹脂の塗布量は、樹脂モールド20の断面積を基に設定することもできる。図2に示すパターン空隙断面積を参照して、樹脂モールド20の断面積を基にした光硬化性樹脂の塗布量について説明する。図2に示す垂直断面図において、光硬化性樹脂の塗布膜は、樹脂モールド20の凸部頂点23を含むパターン面F1より樹脂モールド20側に形成されたパターン空隙断面積の50%〜150%の間の膜厚にすることが好ましい。具体的数値の一例を示すと、樹脂モールド20がライン状パターンであって、ピッチ200nm、デューティ0.5、凸部頂点23から凹部24底面までの垂直距離が100nmである矩形パターンの場合、パターン空隙断面積は10000nmである。この場合には、塗布膜厚は同じ単位面積において25nmから60nmの厚さに設定することが好ましい。
【0034】
光硬化性樹脂としては、カチオン硬化性モノマー又はラジカル硬化性モノマーを用いることができる。カチオン硬化性モノマーは酸素阻害による未硬化が発生しないため、樹脂モールド20のパターン転写性に優れる。カチオン硬化性モノマーの具体例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物が挙げられ、エポキシ化合物の例としては、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテルが挙げられる。
【0035】
また、光学性樹脂としては、含フッ素モノマーを用いてもよい。含フッ素モノマーとは上記の光樹脂硬化性モノマーの水素原子のうち少なくとも1原子がフッ素原子に置き換わったものを言う。含フッ素モノマーの例としては、含フッ素エポキシ化合物、含フッ素ビニルエーテル化合物、含フッ素アクリレート化合物などが挙げられる。
【0036】
含フッ素エポキシ化合物としては、例えばグリシジル1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、グリシジル2,2,3,3−テトラフルオロプロピルエーテル、グリシジル2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルエーテル、3−(1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチロキシ)−1,2−エポキシプロパン、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、3−パーフルオロブチル−1,2−エポキシプロパン、3−パーフルオロヘキシル−1,2−エポキシプロパン、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピル)−パーフルオロ−n−ブタン、1,6−ビス(2’,3’−エポキシプロピル)−パーフルオロ−n−ヘキサン、が挙げられる。含フッ素ビニルエーテル化合物しては、2,2,2−トリフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル等が挙げられる。
【0037】
本実施の形態においては、光硬化性樹脂は、溶媒を除く固形分中、含フッ素モノマーを10重量部〜50重量部含む。含フッ素モノマーの含有量は、好ましくは15重量部〜40重量部、より好ましくは20重量部〜35重量部である。10重量部を上回ると含フッ素モノマーによる離型性向上の効果が顕著となり、50重量部以下の含有量であれば、含フッ素モノマーと他の非含フッ素モノマーとの相溶性が維持される。
【0038】
含フッ素モノマー以外の光硬化性モノマーとしては以下のものが挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシ−6’−シクロヘキシルメチル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられる。
【0039】
グリシジルエーテルとしては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0040】
ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルなどが挙げられる。
【0041】
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタンなどが挙げられる。
【0042】
上記に挙げた含フッ素モノマー以外の光硬化性モノマーのうち、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシランに挙げられるモノマーは架橋性のシランカップリング剤としてレジスト膜の成膜状態の向上効果があるため、添加することが好ましい。
【0043】
光硬化性樹脂には、架橋性官能基を有するポリマー成分が含まれていても良い。架橋性官能基を有するポリマー成分を含むことにより、光硬化性樹脂層に柔軟性が付与できるため好ましい。架橋性官能基を有するポリマー成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0044】
次に、樹脂モールド20の転写パターンを複合フィルムの光硬化性樹脂層に転写する賦型硬化工程、賦型硬化工程後の複合フィルムと樹脂モールド20とを剥離する剥離工程、及び被加工材フィルム10の光硬化樹脂層の残渣部分をドライエッチングするエッチング工程について説明する。
【0045】
まず、賦型硬化工程、剥離工程、及びエッチング工程に用いる露光処理装置について説明する。図4は、本実施の形態に係る露光処理装置の概略図である。本実施の形態においては、図4に示す露光処理装置を用いて賦型硬化工程、剥離工程及びエッチング工程を実施する。なお、上述した塗布工程は、図4に示す露光処理装置内に塗布装置を設けて実施してもよく、他の装置で塗布工程のみを実施し、その他の工程を図4に示す露光処理装置で実施してもよい。
【0046】
図4に示すように、本実施の形態に係る露光処理装置は、複合フィルム15を搬送する第一搬送機構と、樹脂モールド20を搬送する第二搬送機構と、複合フィルム15及び樹脂モールド20の搬送経路上に設けられる光照射ユニットと、光照射後の複合フィルム15の光硬化性樹脂層14をドライエッチングするプラズマ処理装置36とを備えている。
【0047】
第一搬送機構は、上流側に設けられた搬送ロール30aと、搬送ロール30aの下流側に設けられた搬送ロール30bと、搬送ロール30bの下流側に設けられた搬送ロール30cと、搬送ロール30cの下流側に設けられた搬送ロール30dと、搬送ロール30dの下流側に設けられた巻き取りロール35と、から構成されている。第二搬送機構は、上流側に設けられた搬送ロール30eと、搬送ロール30eの下流側に設けられた巻き取りロール37と、から構成されている。光照射ユニットは、単一のバックロール31と、2つのニップロール33、34と、光照射装置32と、から構成されている。各ニップロール33、34は、バックロール31の外周面との間で複合フィルム15及び樹脂モールド20を挟持可能な位置に設けられている。
【0048】
複合フィルム15は、搬送ロール30aにより搬送され、バックロール31の外周面上において光照射装置32により光が照射された後、搬送ロール30b、30c、30dにより搬送されて巻き取りロール35に巻き取られる。樹脂モールド20は、搬送ロール30eにより搬送され、バックロール31の外周面上において、光照射装置32により光が照射された後に、巻き取りロール37に巻き取られる。
【0049】
本実施の形態では、径表面(外周面)がゴム状弾性体(弾性体層31a)で覆われたバックロール31を用いる。このように外周面が弾性体層31aで覆われたバックロール31を用いることにより、賦型硬化工程における複合フィルム15及び樹脂モールド20などの各部材の表面凹凸を吸収でき、転写後のパターン転写層の残渣厚みを均一且つ薄膜にすることができる。
【0050】
バックロール31の弾性体層31aを形成する材料としては、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴムやニトリルブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、ハイパロンゴム、シリコーンゴムなどの合成ゴムや天然ゴム、またはスポンジを好適に選択して用いることが出来る。特に、汎用性や扱いやすさからウレタンゴム、ニトリルブチルゴム、シリコーンゴムなどを用いることが好ましい。
【0051】
プラズマ処理装置36は、複合フィルム15の搬送経路の、搬送ロール30dと巻き取りロール35との間に設けられ、パターン転写された複合フィルム15の光硬化性樹脂層14をドライエッチングして後述する光硬化樹脂層14の残渣部を除去する。なお、図4に示す露光処理装置で塗布工程を行う場合には、例えば、搬送ロール30aとバックロール31との間に上述したグラビアコーターなどの塗布装置を設置することにより塗布工程を実施できる。
【0052】
次に、賦型硬化工程について説明する。賦型硬化工程では、下記のようにして、樹脂モールド20の樹脂パターン層22を複合フィルム15の光硬化性樹脂層14に転写する。まず、第一搬送機構による複合フィルム15の搬送と第二搬送機構による樹脂モールド20の搬送が共に開始される。複合フィルム15は、光硬化性樹脂層14が搬送ロール30aに対して外側(搬送ロール30aと接触する主面の反対面側)になるようにして搬送ロール30aより搬送される。樹脂モールド20は、樹脂パターン層22が形成された主面が搬送ロール30eと反対面になるようにして搬送ロール30eより搬送される。すなわち、本実施の形態においては、複合フィルム15の一方の主面(光硬化性樹脂層14形成面)に対して樹脂モールド20の一方の主面(樹脂パターン層22形成面)が対向するようにして搬送され、バックロール31の外周面上において、複合フィルム15の光硬化性樹脂層14と樹脂モールド20の樹脂パターン層22とが面接触するように構成されている。このようにして、複合フィルム15と樹脂モールド20とは、バックロール31とニップロール33との間を介してバックロール31の外周面上に搬送される。
【0053】
バックロール31の外周面に搬送された複合フィルム15及び樹脂モールド20は、樹脂モールド20のフィルム張力によってバックロール31の外周面側に押し付けられ、複合フィルム15と樹脂モールド20とが一体となって面接触する。ここで、樹脂モールド20の樹脂パターン層22が、複合フィルム15の光硬化樹脂層14に対して所定の圧力で面接触して、複合フィルム15の光硬化樹脂層14に樹脂モールド20の樹脂パターン層22の転写パターンが転写される。なお、このときニップロール33を加圧や複合フィルム15搬送時の安定性向上のために用いても良い。
【0054】
次いで、複合フィルム15と樹脂モールド20とが面接触した状態で、光照射装置32によって樹脂モールド20の透明フィルム基材21側から光が照射され、複合フィルム15の光硬化性樹脂層14を硬化させる。図5は、バックロール31の外周面上において、樹脂モールド20と複合フィルム15とが面接触した状態を示す模式図である。図5に示すように、複合フィルム15上に形成された光硬化性樹脂層14に対して樹脂モールド20の樹脂パターン層22が面接触し、光硬化性樹脂層14に凹凸形状が転写されることが分かる。ここで、本実施の形態においては、外周面上に弾性体層31aを備えたバックロール31を用いるので、パターン転写時の各部材の表面凹凸を吸収でき、図5に示すように、樹脂パターン層22の転写パターンを精度よく光硬化性樹脂層14に転写することができる。これにより、樹脂パターン層22の凸部頂点23に対応する部分に、光硬化性樹脂が残存した残渣部41を複合フィルム15の表面全域において均一に形成することができる。このため、後述するエッチング工程でこの残渣部41を除去することにより、正確な微細エッチングマスクの形成でき、エッチング処理後の厚さが均一な微細エッチングマスクを得ることができる。
【0055】
また、バックロール31の弾性体層31aのヤング率E[MPa]は、フィルム基材11や透明フィルム基材21の表面凹凸を吸収するための条件から決定された下記関係式(1)を満たす条件を用いる。下記関係式(1)を満たす条件で賦型硬化工程を実施することにより、フィルム基材11や透明フィルム基材21などの表面凹凸を弾性体層31aが吸収することができるので、転写時の押圧をフィルム面内で均一化することができ、残渣部41を均一に形成することができる。また弾性体層31aのヤング率E[MPa]は、下記関係式(2)を満たしていることがより好ましく、下記関係式(3)を満たしていることがさらに好ましい。
E ≦ 1.000 × dσ…式(1)
E ≦ 0.200 × dσ…式(2)
E ≦ 0.125 × dσ…式(3)
【0056】
上記関係式(1)〜上記関係式(3)において、dは弾性体層31aの厚さ[μm]、σは樹脂モールド20のフィルム張力によって樹脂モールド20のパターン面を光硬化性樹脂へ押し当てるときに光硬化性樹脂に対して垂直方向に掛かる圧力[MPa]を示している。
【0057】
σの測定方法に関しては、感圧紙を複合フィルム15が樹脂モールド20と接する面に貼り付け、図4の装置で実際に押圧することで圧力を評価することができる。もしくは、複合フィルム15に掛かるフィルム巻き取り方向の張力T[N/m]を、バックロール31の半径R[m]で割った値として評価することもできる。
【0058】
また、上記関係式(1)〜上記関係式(3)において、dの値は実際の装置の大きさやバックロール31の径の大きさによるが一般的に1mmから100mm程度の間であることが好ましく、またσは樹脂モールド20のフィルム巻き取り方向の張力によって複合フィルム15をバックロール31へ押圧する圧力となるため、バックロール31の径に大きく依存するが、0.0001[MPa]から0.01[MPa]の間の範囲の値であることが好ましい。圧力が0.0001[MPa]から0.01[MPa]の範囲であることにより、樹脂モールド22がフィルム巻き取り方法の張力によって破断することなく、且つ押圧時に不足なく弾性体層31aが変形し、良好に転写することができるので好ましい。
【0059】
弾性体層31aのヤング率E[MPa]は、実際に工程を行う段階でのdとσの値から上記の式に合うように選択することが望ましい。例えば、d=5000μmで、σ=0.001MPaで工程を行う場合、ヤング率5.5MPa以下のゴム状弾性体を選択することが適当である。また、dσに掛かる係数が1よりも大きいとき、各部材等の表面凹凸を吸収することは実質的に困難であることが本発明者によって明らかになっている。
【0060】
本実施の形態では、賦型硬化工程において、光硬化性樹脂層14が形成された複合フィルム15をバックロール31に搬送する角度は、図6に示すように、バックロール31の中心P1とニップロール33の中心P2とを結ぶ直線L1に対する垂直面F2に対し、バックロール31側よりの位置から搬送することがより好ましい。また、複合フィルム15をバックロールに搬送する角度は、図6に示す角度θが0°以上の条件とすることがさらに好ましい。ここで、角度θとは、複合フィルム15の搬送経路において複合フィルム15が弾性体層31aの表面と面接触する開始地点とバックロール31の中心P1とを結んだ直線と、前記直線L1とが成す角度であり、図6中でバックロール31の中心P1に対して右回りを正とする。角度θが0°以上の条件で複合フィルム15を搬送することにより、複合フィルム15と樹脂モールド20との面接触の開始地点が直線L1上となり、送り出し側(フリーロール30f側)となることを抑制することができる。このように面接触の開始地点を直線L1上にすることにより、気泡を抱き込むことなくなるので好ましい。
【0061】
複合フィルム15と樹脂モールド20との面接触の開始地点が直線L1上とならない場合は、複合フィルム15が面F2よりも下側(ニップロール側)から搬送されていることを意味し、気泡を抱き込み易くなってしまう。特に、複合フィルム15上の光硬化性樹脂層14の厚さが薄い場合においては、微少量でも気泡を抱き込んでしまうと気泡を抜くことが困難となる。このような場合においても、搬送角度θを0°以上に設定して搬送することにより、気泡の抱き込みを抑制することができる。なお、θの上限値は実際の装置寸法に依存するため、上限値の設定は実用上意味を成すものではないが、360°未満とする。
【0062】
また、バックロール31の表面の弾性体層31aは、上記関係式(1)〜上記関係式(3)で求められるヤング率の材質を用いることが好ましいが、複合フィルム15のフィルム基材面と弾性体層31aの表面とは粘着し辛いことが好ましい。一般に、ゴム状の弾性体には柔軟性を持たせるために可塑剤が添加されている場合が多く、ゴム表面とフィルム基材との間に粘着性が発生する。粘着性が発生すると、図6の構成において、弾性体層31aと複合フィルム15のフィルム基材面との間で、気泡の抱き込みが発生し、均一な押圧を行うことが困難となり、また剥離工程において弾性体層31aから複合フィルム15が離れる際にもスムーズな搬送が行えない恐れがある。
【0063】
上記の問題については、薬液を用いて弾性体層31aを構成するゴム材の表面を酸化処理する方法や、表面にコーティング処理する方法、ゴム材料の中でも比較的粘着性の低いシリコンゴム等を用いることによって解決することができる。
【0064】
光照射装置32から照射される波長と照射量は、光硬化性樹脂層14の硬化特性によって決定される。光照射装置32から照射される余分な波長は、弾性体やその他の装置構成部材によって吸収されて熱となり、樹脂モールド20や複合フィルム15を変形させる原因となる可能性があるため、バンドパスフィルターやローパスフィルター等を入れるなどによって、必要な波長のみを選択することが好ましい。光照射装置32からの光の照射量が少ない場合、照射光量不足によって光硬化性樹脂層14が半硬化状態となり、樹脂モールド20を剥離後にパターン崩れ等を引き起こしてしまうことが懸念されるため、光の照射量は若干強めであることが好ましい。また、光の照射量が過剰な場合、装置構成部材によって吸収されて熱となり、樹脂モールド20や複合フィルム15を変形させる原因となる可能性があるので、適当な照射量を選択する必要がある。本実施の形態においては、光照射装置32からの光の照射量は、10mJ/cm〜1000mJ/cmの間で照射することが好ましい。
【0065】
光硬化性樹脂を光硬化する波長は、樹脂中に添加する光酸発生剤の吸収波長に依存するため、適宜選択することができる。例えば、みどり化学社製DTS−102を用いた場合は波長365nmを選択することが望ましい。
【0066】
次に、剥離工程について説明する。微細パターンが賦型硬化された複合フィルム15及び樹脂モールド20は、バックロール31の外周面を介してバックロール31とニップロール34との間に搬送される。このバックロール31とニップロール34との間より、樹脂モールド20は、巻き取りロール37に向けて搬送され、巻き取りロール37に巻回される。一方、複合フィルム15は、巻き取りロール35に向けて搬送ロール30b〜30dを介して搬送される。以上のようにして、複合フィルム15と樹脂モールド20とが剥離される。また巻き取りロール37によって巻き取られた樹脂モールド20は、洗浄後に再びの樹脂モールド20として再利用することができる。
【0067】
次に、エッチング工程について説明する。エッチング工程では、賦型硬化工程で賦型硬化された複合フィルム15の光硬化性樹脂層14の残渣部41をドライエッチングして微細パターンを成形する。本工程では、図4に示すプラズマ処理装置36のように同一フィルム搬送路内に納められたプラズマ処理装置か、又は被加工材フィルムを巻き取った後、別搬送路のプラズマ処理装置によってエッチング処理される。エッチング処理においては、フィルム面内において均一で且つ薄い残渣部分をエッチングするので大気圧放電プラズマ処理でよいが、真空プラズマ処理でも良い。
【0068】
プラズマ処理におけるプロセスガスは、樹脂層を選択的にエッチングさせるガスであれば良く、Oガス、CFガス、Cガス、NFガス、COFガス、SFガスなどや、これらのガスにArやNなどを混合させたガスを好適に選択することができる。また、エッチング処理の時間や印加電圧などは、残渣部分のエッチング具合によって、適宜条件選択する必要があるが、図7の概念図に示すように、エッチング処理後は残渣部分の膜厚がゼロで、パターン凸部のみが残る形状となることが望ましい。
【0069】
エッチング工程で残渣部41が除去された複合フィルム15は、巻き取りロール35に巻き取りされる。以上のようにして微細エッチングマスクが製造される。
【0070】
以上のように、本発明によれば、一連の工程による微細エッチングマスクの製造方法において、外周面に弾性体層31aを備えたバックロール31を用いて各部材の表面凹凸を吸収することによって、転写後のパターン樹脂層の残渣厚みがフィルム面内で均一で且つ薄膜にすることができ、エッチング処理後に高さが均一な微細エッチングマスクを製造することができる。
【0071】
次に、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。尚、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0072】
[実施例1]
1)被加工材フィルムの作製
図1に示す被加工材フィルム10において、フィルム基材11を厚さ80μm、長さ200m、幅0.3mのポリエチルテレフタレート(PET)フィルムとし、スパッタリング法によりアルミニウムを100nmの厚さで成膜して被加工層12を形成し、さらにその上にSiOを20nmの厚さで積層成膜して被加工層13を形成した。
【0073】
2)リール状の樹脂モールド20の作製
厚さ80μm、長さ200m、幅0.3mのPETフィルムに、光硬化性アクリル系樹脂を10μmの厚さで塗膜した。塗膜された光硬化性アクリル系樹脂は、ピッチが140nmであり、デューティが0.5であり、凹凸パターンの頂部と谷底部の垂直距離が175nmであった。次いで、微細なラインアンドスペースの構造を有するニッケル製の原版を貼り合わせ、PETフィルム側から中心波長が365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm照射し、塗膜部分を硬化させた。原版を剥離し、得られたPETフィルム基板を樹脂モールドとした。樹脂モールドは、作製後に特に離型処理は実施しなかった。
【0074】
3)光硬化性樹脂の塗布工程(複合フィルム15の作製)
光硬化性樹脂として、下記の樹脂材料を使用した。
・A−1:3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン(OXT−211 東亜合成社製)
・A−2:3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(和光純薬工業社製)
・A−3:3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン(LS−2940 信越シリコーン社製)
・B−1:グリシジル2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルエーテル(アルドリッチ社製)
・C−1:AER260(旭化成ケミカルズ社製)
・D−1:DTS−102(みどり化学社製)
・E−1:1,9−ジブトキシアントラセン(川崎化成社製)
・プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0075】
上記の成分を、A−1:28.5重量部、A−2:9.5重量部、A−3:9.5重量部、B−1:23.5重量部、C−1:23.5重量部、D−1:4.5重量部、E−1:1重量部、を配合し、プロピレングリコールモノメチルエーテルにて5%に希釈して十分に撹拌し、光硬化性樹脂組成物とした。また、図4に示すような露光処理装置(ロールtoロール塗布・転写装置)において、搬送ロール30aよりも手前にグラビア塗布装置を設置し、グラビア塗布方法によって、被加工材フィルム10に光硬化性樹脂層を膜厚が80nmになるように均一に光硬化性樹脂層14を製膜して複合フィルム15を作製した。
【0076】
4)賦型硬化工程
ニトリルブチルゴム(ヤング率E=1.1MPa、厚さd=20mm)を表面に形成したバックロール31とニップロール33の間に、複合フィルム15と樹脂モールド20とを、複合フィルム15は図6に示す角度θが10度の方向から搬送し、樹脂モールド20は図6に示す搬送ロール30eに沿わせながら搬送した。気泡の抱き込みは確認されなかった。樹脂モールド20のフィルム張力によって複合フィルム15をバックロールに押し付けた状態(押圧σ=0.001MPa)で樹脂モールド20側から中心波長が365nmの紫外線ランプを用いて紫外線を1000mJ/cm照射し、塗膜部分を硬化させた。
【0077】
5)剥離工程
樹脂モールド20と複合フィルム15とを剥離させ、それぞれを別経路で搬送させて巻き取り機にて巻き取った。搬送速度は1m/分である。また、Eとdσとの関係式は、E=0.055dσであった。剥離後の被加工材を切り取り、断面を電子顕微鏡にて観察したところ、転写された凹凸パターンのピッチが140nmであり、頂部と谷底部の垂直距離が120nmであって、残渣部の厚さが10nmであった。観察像を図8に示す。図8に示すように、一様な凹凸形状を有する微細パターンが転写されていた。
【0078】
6)エッチング工程
樹脂パターン賦型後の複合フィルム15を真空チャンバー内に収め、真空圧力が5.0×10−4Paになるまで真空引きを行った後、酸素ガスをガス流速10sccmで導入した。次いで、印加電力量50W、処理圧力0.2Paで酸素プラズマを発生させ、複合フィルム15表面の凹凸パターン(転写パターン)をドライエッチング処理した。処理後の複合フィルム15を切り取り、断面を電子顕微鏡にて観察したところ、凹凸パターンのピッチが140nmであり、頂部と谷底部の垂直距離が105nmであって、残渣部は存在していなかった。断面の電子顕微鏡観察は被加工材の幅方向で端部、中央部、もう一方の端部の3点を観察したが、いずれも同様の形状をしており、フィルム面内において均一な高さであることが確認された。観察像を図9に示す。図9に示すように、光硬化性樹脂層の凹部24には、残渣部41がほとんど残っていなかった。
【0079】
[実施例2]
光硬化性樹脂のグラビア塗布膜厚を47nmとして、実施例1と同様の微細エッチングマスクの製造方法を実施した。その後、剥離後の複合フィルム15を切り取り、断面を電子顕微鏡にて観察したところ、転写された凹凸パターンのピッチが140nmであり、頂部と谷底部の垂直距離がおよそ67nmであり、残渣部41の厚さが10nmであることが確認された。また、実施例1と同様の方法で残渣部41がほぼゼロになる程度の時間でドライエッチングを行ったところ、転写パターンは三角形状をしており、頂部と谷底部の垂直距離がおよそ30nmで、三角形状の底辺部の幅はおよそ40nmであった。残渣部41は存在していなかった。断面の電子顕微鏡観察は被加工材の幅方向で端部、中央部、もう一方の端部の3点を観察したが、いずれも同様の形状をしており、フィルム面内において均一な高さであることが確認された。
【0080】
[実施例3]
光硬化性樹脂のグラビア塗布膜厚を100nmとして、実施例1と同様の条件で微細エッチングマスクを製造した。その後、剥離後の複合フィルム15を切り取り、断面を電子顕微鏡にて観察したところ、転写された凹凸パターンのピッチが140nmであり、頂部と谷底部の垂直距離がおよそ120nmであって、残渣部41の厚さが18nmであることが確認された。また、実施例1と同様の方法で残渣部41がほぼゼロになる程度の時間でドライエッチングを行ったところ、転写パターンは三角形状をしており、頂部と谷底部の垂直距離がおよそ40nmで、三角形状の底辺部の幅はおよそ30nmであった。残渣部41は存在していなかった。断面の電子顕微鏡観察は被加工材の幅方向で端部、中央部、もう一方の端部の3点を観察したが、いずれも同様の形状をしており、フィルム面内において均一な高さであることが確認された。
【0081】
[実施例4]
バックロール31表面のゴム状弾性体としてシリコーンゴム(ヤング率E=0.66MPa、厚さd=3mm)を用いて実施例1と同様の条件で微細エッチングマスクを製造した。Eとdσとの関係式はE=0.22dσであった。その後、剥離後の複合フィルム15を切り取り、転写パターンを確認したところ、実施例1と同様の結果が得られ、残渣部41の厚さは10nmであった。
【0082】
[実施例5]
バックロール31表面のゴム状弾性体としてニトリルブチルゴム(ヤング率E=8.1MPa、厚さd=10mm)を用いて実施例1と同様の条件で微細エッチングマスクを製造した。Eとdσとの関係式はE=0.81dσであった。その後、剥離後の複合フィルム15を切り取り、転写パターンを確認したところ、実施例1と同様の結果が得られ、残渣部41の厚さは10nmであった。
【0083】
[比較例1]
光硬化性樹脂のグラビア塗布膜厚を40nmとして、実施例1と同様の条件で微細エッチングマスクを製造した。その後、剥離後の複合フィルム15を切り取り、断面を電子顕微鏡にて観察したところ、転写された凹凸パターンのピッチが140nmであり、頂部と谷底部の垂直距離がおよそ50nmであって、残渣部41の厚さが10nmであり、転写パターンの頂部は矩形ではなく、矩形をなました台形か正弦波状であることが確認された。また、実施例1と同様の方法で残渣部41がほぼゼロになる程度の時間でドライエッチングを行ったところ、転写パターンは三角形状をしており、頂部と谷底部の垂直距離がおよそ20nmで、三角形状の底辺部の幅はおよそ20nmしか残っていなかった。また、転写パターンがほとんど残っていない部分も確認され、フィルム面内において不均一であった。
【0084】
[比較例2]
光硬化性樹脂のグラビア塗布膜厚を120nmとして、実施例1と同様の条件で微細エッチングマスクを製造した。その後、剥離後の複合フィルム15を切り取り、断面を電子顕微鏡にて観察したところ、転写された凹凸パターンのピッチが140nmであり、頂部と谷底部の垂直距離がおよそ120nmであって、残渣部41の厚さが50nmであることが確認された。また、実施例1と同様の方法で残渣部41がほぼゼロになる程度の時間でドライエッチングを行ったところ、転写パターンはほとんど残らなかった。
【0085】
[比較例3]
バックロール31表面のゴム状弾性体としてニトリルブチルゴム(ヤング率E=9.5MPa、厚さd=8mm)を用いて実施例1と同様の条件で微細エッチングマスクを製造した。Eとdσとの関係式はE=1.19dσである。その後、剥離後の複合フィルム15を切り取り、転写パターンの表面を確認したところ、パターンが転写されている部分と、パターンが存在しない部分とが、斑状になっていることが確認された。
【0086】
[比較例4]
実施例1の光硬化性樹脂の組成からフッ素成分を取り除いた樹脂を用いて、実施例1と同様の方法により微細エッチングマスクを製造した。その結果、樹脂モールド20と複合フィルム15とを剥離させて被加工材の表面にパターン転写された樹脂層を形成する工程、において一様に剥離することができず、樹脂モールド20に光硬化性樹脂が付着することが確認された。光硬化性樹脂が付着した樹脂モールド20を切り取り、表面をAFM観察したところ、樹脂モールド20のパターン凹部24内に樹脂が入り込み、埋めている状態であることが確認された。
【0087】
[比較例5]
実施例1と同様の条件で複合フィルム15と樹脂モールド20を作製した後、ニトリルブチルゴム(ヤング率E=1.1MPa、厚さd=20mm)を表面に形成したバックロール31とニップロール33の間に、複合フィルム15と樹脂モールド20とを、複合フィルム15は図6に示すF2よりもニップロール33側(F2と複合フィルム15の搬送面との成す角はおよそ30度に設定)の方向から搬送し、樹脂モールド20は図6に示す搬送ロール30eに沿わせながら搬送したところ、気泡を抱き込み、気泡が斑点状になっていることが確認された。
【0088】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における寸法、材質などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更して実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る微細エッチングマスクの製造方法は、フィルム面内において高さが均一な微細エッチングマスクを製造できるので、微細パターンを有する部材や製品を製造する半導体分野及び光学分野において有用である。
【符号の説明】
【0090】
10 被加工材フィルム
11 フィルム基材
12,13 被加工材層
14 光硬化性樹脂層
15 複合フィルム
20 樹脂モールド
21 透明フィルム基材
22 樹脂パターン層
23 凸部頂点
24 凹部
30a〜30e 搬送ロール
30f フリーロール
31 バックロール
31a 弾性体層
32 光照射装置
33,34 ニップロール
35、37 巻き取りロール
36 プラズマ処理装置
41 残渣部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と当該基材上に設けられた被加工材層とを備えた被加工材フィルム上への微細エッチングマスクの製造方法であって、
前記被加工材フィルムの前記被加工材層上に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層を備えた複合フィルムとする塗布工程と、
弾性体層を備えたバックロールの外周面上において、樹脂モールドの転写パターンと前記複合フィルムの前記光硬化性樹脂層とを面接触させながら露光して前記光硬化性樹脂層に転写パターンを賦型する賦型硬化工程と、
前記賦型硬化工程後の前記複合フィルムと前記樹脂モールドとを剥離する剥離工程と、
前記剥離工程後の前記複合フィルムの前記光硬化性樹脂層に賦型された転写パターンの残渣部分を除去するエッチング工程とを具備し、
前記賦型硬化工程では、前記バックロールの前記弾性体層のヤング率E[MPa]が、下記関係式(1)を満たす条件で前記転写パターンを賦型することを特徴とする微細エッチングマスクの製造方法。
E ≦ 1.000×dσ…式(1)
(式(1)中、dは弾性体層の厚さ[μm]を表し、σは複合フィルムの光硬化性樹脂層に対する垂直方向の圧力[MPa]を表す。)
【請求項2】
前記賦型硬化工程では、前記バックロールに併設されたニップロールの中心と前記バックロールの中心とを結ぶ直線に対する垂直面に対し、前記バックロール側の角度から前記複合フィルムを搬送することを特徴とする請求項1記載の微細エッチングマスクの製造方法。
【請求項3】
前記賦型硬化工程では、前記バックロールの前記弾性体層に対する垂直方向の圧力σが0.0001MPa〜0.01MPaの条件で面接触させることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の微細エッチングマスクの製造方法。
【請求項4】
前記塗布工程では、前記光硬化性樹脂の塗布量を、前記樹脂モールドの前記転写パターン面内の面内垂直方向における前記転写パターン凸部頂点以下のパターン空隙体積の50%から120%の範囲とすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の微細エッチングマスクの製造方法。
【請求項5】
前記塗布工程では、フッ素成分を含有した光硬化性樹脂を塗布し、前記賦型硬化工程では、前記樹脂モールドとして、フッ素成分を含有した樹脂モールドを用いることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の微細エッチングマスクの製造方法。
【請求項6】
基材上に設けられた被加工材層と当該被加工材層上に設けられた光硬化性樹脂層とを備えた被加工材フィルムを搬送する第一搬送機構と、
基材上に転写パターンが設けられた樹脂モールドを搬送する第二搬送機構と、
外周面上に弾性体層を備え、当該弾性体層上において前記複合フィルムの前記光硬化性樹脂層と前記樹脂モールドの前記転写パターンとを面接触するバックロールと、
前記バックロールの前記弾性体層上において、面接触した前記複合フィルム及び前記樹脂モールドに対して露光する光源と、
前記複合フィルムと前記樹脂モールドとを剥離する剥離機構と、
前記複合フィルムの前記光硬化樹脂層に賦型された前記光硬硬化樹脂層の転写パターンの残渣部分を除去するエッチング機構と、を具備し、
前記バックロールの前記弾性体層のヤング率E[MPa]が下記関係式(1)を満たすことを特徴とする露光処理装置。
E ≦ 1.000 × dσ…式(1)
(式(1)中、dは弾性体層の厚さ[μm]を表し、σは複合フィルムの光硬化性樹脂層に対する垂直方向の圧力[MPa]を表す。)
【請求項7】
前記第一搬送機構内において、前記バックロールの前段に塗布機構を設けたことを特徴とする請求項6記載の露光処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−165821(P2011−165821A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25692(P2010−25692)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000000033)旭化成株式会社 (901)
【Fターム(参考)】