説明

微細気泡発生装置

【課題】簡単な構成で微細気泡の発生量を大幅に増加させることで、白濁性を向上させることができる微細気泡発生装置および微細気泡発生方法を提供する。
【解決手段】水中に空気が加圧溶解された気水溶解流体を減圧手段12で圧力開放して、微細気泡を発生させながら吐出ノズル30から吐出させる微細気泡生装置であって、前記吐出ノズル30に、減圧手段としての下流側ベンチュリ管12bを備えており、この下流側ベンチュリ管12bは、下流側にいくに従って漸次径を大きくした拡径部としてのテーパー部が設けられている。又、このテーパー部は、広がり角が4°以上〜6°以下に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水廻り設備に最適な微細気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水中に空気が加圧溶解された気水溶解流体を減圧手段で圧力開放して、微細気泡を発生させながら吐出ノズルから浴槽(水廻り設備の一例)内に吐出させるようにした微細気泡発生装置がある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−33071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記のような微細気泡発生装置を水廻り設備である浴槽に適用する場合、浴槽とエプロンとの隙間のような狭いスペースに微細気泡発生装置を設置する必要があるために、大掛かりな装置や長い経路を用いることなく、簡単な構成で微細気泡の発生量を大幅に増加させたいという要望がある。
【0004】
本発明は、前記要望に応えるためになされたもので、簡単な構成で微細気泡の発生量を大幅に増加させることで、白濁性を向上させることができる微細気泡発生装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、水中に空気が加圧溶解された気水溶解流体を減圧手段で圧力開放して、微細気泡を発生させながら吐出ノズルから吐出させる微細気泡発生装置であって、前記吐出ノズルに、減圧手段を構成するベンチュリ管が設けられ、このベンチュリ管の下流側には、下流側にいくに従って漸次径が大きくなる拡径部が設けられ、前記拡径部は、その広がり角が0°を超え、10°以下となるように形成されていることを特徴とする微細気泡発生装置を提供する。
【0006】
請求項2記載のように、前記広がり角は、4°以上〜6°以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、ベンチュリ管の拡径部の広がり角が0°を超え、10°以下となるように形成されているため、ベンチュリ管の拡径部を、気水溶解流体と共に気泡が流れると、圧力開放によって気泡を分裂させて分裂気泡を生成できるとともに、拡径部の内周壁近傍で気水溶解流体の一部が渦流を起こすようなことを防止できる。これにより、例えば拡径部の内周壁近傍で渦流が起きることにより、前記生成された分裂気泡の内の比重の小さいものがその渦流の中心に集まって合一してしまうようなことを防止できる。従って、生成された分裂気泡を合一させることなく、そのままベンチュリ管の外に出すことができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、広がり角を4°以上〜6°以下にするため、より一層、拡径部の内周壁近傍での気水溶解流体の渦流の生成を、より確実に防止し、分裂気泡の合一を、より確実に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態の微細気泡発生装置の基本構成図で、本実施形態では、浴槽1に使用されるものとされ浴槽1内の浴水中に微細気泡を発生させるように構成されており、浴槽1の内側面に吸込口2と吐出口3とが設けられ、浴槽1のフランジ部に空気吸込口4が設けられている。
【0011】
吸込口2は、接続管5を介して電動ポンプ6の吸い込み側に接続され、電動ポンプ6の吐出側は流入管7を介して空気溶解装置8の吸込側の噴射口9に接続されている。空気溶解装置8の吐出側の流出口10は、流出管11を介して圧力開放部となるベンチュリ管12の一端に接続され、ベンチュリ管12の他端は接続管13を介して浴槽1の側面に設置された吐出口3に接続されている。また、空気吸込口4は、電動ポンプ6の入口側近傍の接続管5に接続管14を介して接続され、接続管14には、逆止弁15が設けられている。
【0012】
前記空気溶解装置8は、図2および図3に詳細に示すように、断面円形の直筒状をした側壁部21と、この側壁部21の両側の端部を閉塞する端壁部22とからなるタンク状の筒状体23で構成されて、長手方向すなわち略円筒状をした側壁部21の中心軸イ(図2の一点鎖線参照)が水平方向ロ(図2の矢印参照)に対して10〜45度の傾斜角度θで傾斜する姿勢で配置されている。
【0013】
この傾斜姿勢の筒状体23は、上方側の端部が上流側Aの端部になるとともに、下方側の端部が下流側Bの端部となり、上流側Aに気水混合流体を筒状体23内に噴射するための噴射口9を形成されるとともに、下流側Bに水を筒状体23内から流出する流出口10が形成されている。
【0014】
筒状体23内には、溶質となる例えば空気等の空気と、溶媒となる例えば水とが貯留されるもので、略円筒状をした側壁部21の上下方向の略中央付近には空気と水との界面24が位置し、界面24より上部の上流側Aの部分は、空気が貯留される空気貯留部25になるとともに、界面24より下流側Bの部分は、水が貯留される水貯留部26となる。
【0015】
前記噴射口9は、空気貯留部25の内壁面(界面24より上流側Aの側壁部21または端壁部22の内壁面)か、界面24寄りの位置か、あるいは界面24より若干下側の水貯留部26の内壁面(界面24より下流側Bの側壁部21の内壁面)に形成され、流出口10は、水貯留部26の端部付近の内壁面(界面24より下流側Bの側壁部21または端壁部22の内壁面)に形成される。
【0016】
筒状体23の側壁部21には、弁(図示せず)を設けた空気抜き口27が形成してあり、この空気抜き口27の位置が空気貯留部25に貯留される空気と水貯留部26に貯留される水の界面24のレベルとなる。
【0017】
次に、空気溶解装置8の作用を説明する。噴射口9から筒状体23内に貯留されているのと同じ水および空気が噴射されると、噴射口9と対向する側壁部21の上側の内壁面に衝突し、この内壁面で跳ね返って界面24にて水貯留部26に貯留されている水に衝突して攪拌される。また、水貯留部26に貯留されている水は、気水混合流体が界面24に衝突して攪拌される他に、噴射口9から筒状体23内に噴射される気水混合流体によっても攪拌される。
【0018】
このように、気水混合流体の側壁部21の内壁面との衝突や界面24での衝突による攪拌、噴射される際の水の攪拌等により、筒状体23内に貯留している空気および水、気水混合流体中の空気および水が混合され、空気の水への溶解が促進される。すなわち、混合攪拌によるせん断により、水に混合している気泡(空気)が細分化されて、水と接する総表面積が大きくなるのに加えて、水と空気との界面付近における空気の溶解濃度が混合攪拌による均一化により低減されて、空気の水への溶解速度が上昇するため、空気の水への溶解が促進される。
【0019】
空気の溶解が進行した水は筒状体23の水貯留部26に貯留されるが、貯留されている水には未溶解の気泡も数多く混合し、このような気泡は上方に行くほど密に存在しており、水貯留部26の下端部近傍では気泡はあまり存在せず、大きな気泡は殆ど存在しない。そして、空気の溶解が進行して大きな気泡が殆ど存在しない水貯留部26の下端部の水が流出口10から筒状体23外に流出されるようになる。
【0020】
図4は、前記ベンチュリ管12の基本構成図である。前記流出管11のベンチュリ管12は、中央1個の上流側ベンチュリ管12aと複数個(図4の例では5個)の下流側ベンチュリ管12bとの2段構成となっている。
【0021】
図5および図6は、図1〜図4の基本構成を具体化した微細気泡発生装置であり、基本構成と同一構成は同一番号を付して詳細な説明は省略する。
【0022】
浴槽1の側壁1aに吐出ノズル30が取付けられ、この吐出ノズル30に、前述した吸込口2、吐出口3、ベンチュリ管12(12a,12b)等が組み込まれてユニット化されている。
【0023】
吐出ノズル30には、側面視でL字状のノズルケース31が設けられ、ノズルケース31の内部には、外形状に倣ったL字状の流路31aが形成されて、この流路31aの入口側(縦向き部分)には、前記流出管11がOリング32を介して接続される。
【0024】
流路31aは、この実施形態では、気泡発生(発泡)流路領域部131と、この気泡発生流路領域部131の下流側に配設された気泡分裂流路領域部133と、この気泡分裂流路領域部133の下流側に配設された気化流路領域部132とを備えている。
【0025】
気泡発生流路領域部131は、気水溶解流体から気泡を発生させるための流路である。この実施形態の気泡発生流路領域部131は、減圧手段としての上流側ベンチュリ管12aが設けられており、この上流側ベンチュリ管12aの上流側端部から、後述の下流側ベンチュリ管12bまでの領域に形成されている。
【0026】
上流側ベンチュリ管12aは、ノズルケース31の上部に嵌め込まれることによって、気泡発生流路領域部131の入り口側に、図6で縦向きに設けられている。
【0027】
又、気泡発生流路領域部131には、変流生成手段が設けられている。変流生成手段は、上流側ベンチュリ管12aを流れる気水溶解流体の一部又は全体に渦流又は旋回流を起こさせるためのものである。この実施形態の変流生成手段は、上流側ベンチュリ管12a内に設けられた渦流生成用のエッジ12cから構成され、上流側ベンチュリ管12aを流れる気水溶解流体の一部に渦流を起こさせるようになっている。
【0028】
この渦流生成用のエッジ12cは、図7に示すように上流側ベンチュリ管12aの内周壁に、周方向に沿って全周に渡って、径方向の内側(内周側)に突設されている。
【0029】
又、この渦流生成用のエッジ12cにおける上流側の前面12dは、基端12fから突出先端12gにかけて、上流側ベンチュリ管12aの軸方向に直交する平面に対して所定の角度をもって下流側に傾斜するように構成されている。又、下流側の後面12eは、基端12hから突出先端12gにかけて、上流側ベンチュリ管12aの軸方向に直交する平面に対して所定の角度をもって上流側に傾斜するように構成されている。
【0030】
図6に戻り、気泡分裂流路領域部133は、気泡発生流路領域部131で発生させた気泡を分裂させて分裂気泡を生成させる流路である。この実施形態の気泡分裂流路領域部133は、減圧手段としての下流側ベンチュリ管12bが設けられており、下流側ベンチュリ管12bの内部に形成された流路の全体、即ち、前記流路の上流側端部から下流側端部までに至る領域に形成されている。
【0031】
下流側ベンチュリ管12bは、この実施形態では、ノズル本体29に形成された複数個のものから構成されている。そして、ノズル本体29がOリング33を介してノズルケース31のほぼ中程に嵌め込まれることによって、下流側ベンチュリ管12bは、上流側ベンチュリ管12aの下流側に、図6で横向きに配設されている。
【0032】
詳しくは、ノズル本体29には、図6及び図11に示すように、ノズルケース31の出口側(横向き部分)の部分にOリング33を介して嵌め込むための円筒状嵌め込み部29aと、この嵌め込み部29aから下流側(吐出方向)に突出する円筒状突出部29bと、この円筒状突出部29bと嵌め込み部29aとの間に板状閉塞部29cとが形成され、この閉塞部29cに、内外2重の同心円が設定され、内側の小径円に沿って、円周上等角度間隔で複数個(本例では、6個)の下流側ベンチュリ管12bが形成され、外側の大径円に沿って、円周上等角度間隔で複数個(本例では10個)の下流側ベンチュリ管12bが形成されている(本例では下流側ベンチュリ管12bが合計16個)。複数個のベンチュリ管12bは、ベンチュリ管群と呼ぶことができる。
【0033】
又、これらの下流側ベンチュリ管12bは、夫々、図9に示すように、上流側の入口部分が外向きラッパ状に形成され、その直ぐ下流側に短い最も径小のストレート部121が形成され、その下流側に、上流側から下流側に向かって拡径した長い拡径部としてのテーパー部122が形成されている。
【0034】
また、テーパー部122は、その広がり角θ(テーパー部122の内周壁122aと下流側ベンチュリ管12bの軸とのなすテーパー角の2倍の角)が0°を超え、10°以下となるように形成されている(上記テーパー角では、0°を超え、5°以下)。
【0035】
広がり角θが0°では、ストレート部121から流れてくる気泡を圧力開放によって分裂させることができない。又、広がり角θが10°以上になると、テーパー部122の内壁面近傍で気水溶解流体の一部が渦流を起こし易くなってしまう。
【0036】
詳しくは、例えば図10(a)に示すように、広がり角θを10°以上にしたベンチュリ管130では(この図10(a)では、広がり角θが略14°程度のものを例示)、テーパー部130aの下流側における内壁面130aの近傍で気水溶解流体の一部が渦流132を生成し、その渦流生成による力で、図10(b)に示すように、生成された分裂気泡の内、比重が小さい分裂気泡100bはその渦流132の中心に集まって複数が合一して合一気泡101を生成するおそれが高くなってしまうからである。
【0037】
より好ましくは、広がり角θは、4°以上〜6°以下である(上記テーパー角では、2°以上〜3°以下)。これにより、分裂気泡を生成し易く、しかも、より一層、テーパー部122の下流側における内壁面122aの近傍での気水溶解流体の渦流の生成を防止して分裂気泡の合一を防止できる。
【0038】
また、この実施形態では、バリ整形処理手段によって、図9に示すように、下流側ベンチュリ管12bの内周に、内周側に突出生成されるバリ110における上流側の一側面110aが下流側に傾斜した傾斜面とされているとともに、バリ110における下流側の他側面110bが上流側に傾斜した傾斜面に整形処理される。詳しくは、次のように行っている。
【0039】
下流側ベンチュリ管12bの内周側にバリなどの突起があると気水溶解流体が流れる際の抵抗となるので無いのが好ましいが、成形時に、この図9に示すように、ストレート部121にバリ110ができ易い。
【0040】
そこで、この実施形態においては、バリ整形処理手段としての成形型に、バリ110における上流側の一側面110aを下流側に傾斜した傾斜面に押圧整形する整形部と、バリ110における下流側の他側面110bを上流側に傾斜した傾斜面に押圧整形する整形部とを備えたものとし、下流側ベンチュリ管12bの成形に際し、この図9に示すように、下流側ベンチュリ管12bの内周のストレート部121に、内周側に突出生成するバリ110における上流側の一側面110aを下流側に傾斜した傾斜面としているとともに、バリ110における下流側の他側面110bを上流側に傾斜した傾斜面に整形処理している。
【0041】
このようにして、気水溶解流体が流れる際の摩擦抵抗を小さくしている。又、バリ110によって渦流を起こさせるようにしている。尚、バリ整形処理手段は、成形型から構成するものに限らず、例えば切削等により行っても良い。
【0042】
また、この実施形態では、バリ110における下流側ベンチュリ管12bの内周壁からの突出高さをhとし、バリ110における上流側端部110cから下流側端部110dまでの最大厚さtとした場合、h/tを、0.12〜0.13の範囲が、より一層、摩擦抵抗を小さくできる点で好ましく、より好ましくは、0.125程度である。
【0043】
次に、気化流路領域部132について説明する。この気化流路領域部132は、前記分裂気泡を成長(径を大きく)させ、白濁化に必要十分な外径の微細気泡に形成するための流路である。
【0044】
この実施形態の気化流路領域部132は、前記ノズル本体29における下流側ベンチュリ管12bの下流側(図6の左側部)に形成されている。又、この気化流路領域部132は、気化促進手段によって、気水溶解流体に溶解した溶解空気の気化を促進し、前記気水溶解流体と共に前記分裂気泡がこの気化流路領域部132を流れる間に、白濁化に必要十分な外径の微細気泡に形成できるようになっている。
【0045】
この実施形態では、気化促進手段を、気化流路領域部132の下流側端部における流路断面積をその上流側の流路断面積よりも小さくして流路を狭めた流路狭小形成部材38を備えたものから構成し、この流路狭小形成部材38によって、流路狭小形成部材38を設けない場合に比べ、気化流路領域部132を流れる気水溶解流体の流速を遅くし、気水溶解流体が気化流路領域部132を流れている時間を長くするようにしている。
【0046】
詳しくは、ノズル本体29の吐出側の端部に、下流側(吐出方向)に延在する円筒状のホルダー37が、ノズル本体29の突出部29bの前端部の雄ねじ29dに、ホルダー37の雌ねじ37aをねじ込むことにより取付けられており、このホルダー37の内周側に、流路狭小形成部材38が備えられている。
【0047】
この実施形態の流路狭小形成部材38は、図6及び図12に示すようにホルダー37の軸にほぼ直交するように配置された閉鎖部38aと、この閉鎖部38aに穿設された4つの開口部38bとから構成されている。そして、このように構成された流路狭小形成部材38によって、ノズル本体29の内側に形成される気化流路領域部132における下流側端部の流路断面積が流路狭小形成部材38の全開口部38bの断面積に相当し、気化流路領域部132における下流側端部は、気化流路領域部132の他の部分に比べて狭められている。
【0048】
尚、気化流路領域部132における吐出側端部の流路断面積は、特に限定されずに適宜変更して実施できるが、気化流路領域部132の上流側の他の部分の流路断面積に対して略60〜略90%の範囲にしておくのが好ましく、より好ましくは略75%である。
【0049】
吐出ノズル30の説明を続けると、浴槽1の側壁1aの取付け穴1bには、側面視でU字状断面のパッキン40が嵌め込まれ、浴槽1の外側からノズルケース31の出口側(横向き部分)のフランジ部31bをパッキン40に当てがうとともに、浴槽1の内側から円筒状固定フランジ41の後端部の雄ねじ41aをノズルケース31のフランジ部31bの雌ねじ31cにねじ込むことで、固定フランジ41の前端部のフランジ部41bがパッキン40に水密に密着し、ノズルケース31のフランジ部31bがパッキン40に水密に密着するようになる。これにより、ノズルケース31が固定フランジ41で浴槽1の側壁1aに固定状態で取付けられるようになる。
【0050】
そして、浴槽1の内側から円筒状ノズルカバー42の後端部の雌ねじ42aを固定フランジ41のフランジ部41bの雄ねじ41cにねじ込むことで、ノズルカバー42が固定フランジ41のフランジ部41bに取付けられるようになる。ノズルカバー42には、前記吐出口3が形成されている。
【0051】
固定フランジ41には、図13(a)、図13(b)に示すようにホルダー37の外周面との間を閉塞する板状閉塞部41dが形成され、この閉塞部41dに内外2重の同心円が設定され、内側の小径円に沿って、円周上等角度間隔で多数個の貫通孔41eが形成され、外側の大径円に沿って、内側の小径円の貫通孔41eと半ピッチずらせた状態で、円周上等角度間隔で多数個の貫通孔41eが形成されている。この閉塞部41dの内周面とホルダー37の外周面との間にパッキン(図示せず)を介在させることで、水密性を向上させることができる。
【0052】
ノズルカバー42の外周面には、図6に示したように、円周上等角度間隔で複数個の前記吸込口2が形成されている。
【0053】
前記のように構成した吐出ノズル30であれば、図6に示したように、空気が溶解した気水溶解流体としての湯水は、矢印aのように、流出管11からノズルケース31の上流側ベンチュリ管12aに入る。そして、上流側ベンチュリ管12aを通る際、湯水は、上流側ベンチュリ管12aで減圧され、湯水から気泡100aが発生する。又、図8に示すように、渦流生成用のエッジ12cによって、湯水の一部が渦流を生成し、この渦流の生成に伴い形成される低圧部によって湯水から気泡100aが発生する。
【0054】
従って、上流側ベンチュリ管12aによる減圧と渦流生成用のエッジ12cとの両者によって、気泡を発生させることができ、上流側ベンチュリ管12aの減圧だけで気泡を発生させる場合に比べて、上流側ベンチュリ管12aの上流側端部から下流側ベンチュリ管12bまでの領域に形成させる気泡発生流路領域部131で、より多量の気泡を発生させることができる。
【0055】
その後、発生した気泡100aを含む湯水は、図6、図9に示すように、下流側ベンチュリ管12bに入り、下流側ベンチュリ管12bのテーパー部122において、圧力開放によって気泡100aが、更に分裂して分裂気泡100bが生成される。
【0056】
その際、下流側ベンチュリ管12bの内周にバリ110が生成されている場合でも、バリ整形処理手段によって、バリ110における上流側の一側面110aが下流側に傾斜した傾斜面とされているとともに、バリ110における下流側の他側面110bが上流側に傾斜した傾斜面に整形処理されているため、湯水は、大きな摩擦抵抗を受けることなく円滑に流れることができる。
【0057】
又、テーパー部122の広がり角θが0°を超え、10°以下となるように形成されているため、テーパー部122の下流側における内壁面122aの近傍での湯水の渦流の生成を防止して分裂気泡100bの合一を防止できる。従って、分裂気泡100bは、そのまま、下流側ベンチュリ管12bから出て行く。
【0058】
次に、下流側ベンチュリ管12bを出た分裂気泡100bを含む湯水は、気化流路領域部132に入る。気化流路領域部132の下流側端部がその上流側よりも狭められているため、この気化流路領域部132に分裂気泡100bと共に入った湯水は、湯水から空気の気化を促進させる程度にゆっくり流される。その結果、分裂気泡100bが成長し(大きくなり)、白濁化に必要十分な外径の微細気泡100cに形成できる。
【0059】
従って、微細気泡100cを含む湯水は、十分に白濁した状態になっている。そして、微細気泡100cを含む湯水は、この状態で吐出口3から浴槽1に吐出される。
【0060】
また、浴槽1内の浴水は、図6に示す矢印bのように、ノズルカバー42の吸込口2からノズルカバー42内に吸い込まれ、固定フランジ41の閉塞部41dの貫通孔41eを通って、図5のように、ノズルケース31の外側部に接続された接続管5から電動ポンプ6に吸い込まれるようになる。
【0061】
前記実施形態は、水廻り設備として、白濁化のために微細気泡を噴射させる浴槽用のものであったが、ボウル洗浄のために微細気泡を噴射させる水洗便器等にも本発明を適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る微細気泡発生装置の基本構成図である。
【図2】図1の空気溶解装置の斜視図である。
【図3】図1の空気溶解装置であり、(a)は断面図、(b)は(a)のI―I線断面図である。
【図4】図1のベンチュリ管の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る空気溶解装置を備えた浴微細気泡発生装置を具体化した斜視図である。
【図6】ベンチュリ管を有する吐出ノズルの断面図である。
【図7】上流側ベンチュリ管の平面図である。
【図8】渦流生成用のエッジにより渦流が生成される際の説明図である。
【図9】下流側ベンチュリ管の要部拡大断面図である。
【図10】比較例としてのベンチュリ管であり、(a)はその要部拡大断面図、(b)はベンチュリ管が渦流を生成しその渦流によって分裂気泡が合一される際の説明図である。
【図11】ノズル本体とホルダーとを組み立てた斜視図である。
【図12】ホルダーの正面図である。
【図13】固定フランジであり、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 浴槽
2 吸込口
3 吐出口
8 空気溶解装置
12a 上流側ベンチュリ管(減圧手段)
12b 下流側ベンチュリ管(減圧手段)
12c 渦流生成用のエッジ(変流生成手段)
30 吐出ノズル
37 ホルダー
38 流路狭小形成部材(気化促進手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に空気が加圧溶解された気水溶解流体を減圧手段で圧力開放して、微細気泡を発生させながら吐出ノズルから吐出させる微細気泡発生装置であって、
前記吐出ノズルに、減圧手段を構成するベンチュリ管が設けられ、このベンチュリ管の下流側には、下流側にいくに従って漸次径が大きくなる拡径部が設けられ、
前記拡径部は、その広がり角が0°を超え、10°以下となるように形成されていることを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記広がり角は、4°以上〜6°以下であることを特徴とする請求項1記載の微細気泡発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−307509(P2008−307509A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160425(P2007−160425)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】