説明

微細気泡発生装置

【課題】ゴミや油の塊などの小さな異物による空気抜弁の詰まりが生じない微細気泡発生装置を提供する。
【解決手段】タンク本体11の内部に収容された液面よりも上部に設けられた上部配管開口部25と連通し、タンク本体11内の過剰気体を排出させる気体排出管24と、気体排出管24に設けられ、加圧ポンプが通常運転時の所定の圧力で加圧することにより気体排出管24の流体の流路を閉止する開閉弁体30と、を有し、気体排出管24の内面には、加圧ポンプの通常運転時に開閉弁体30により気体排出管24の流体の流路が閉止された状態で、気体排出管24の流路を一部連通させる凹溝からなるスリット部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路を流れる液体中に気体を加圧溶解させた後に、液槽内の液体中に微細気泡を噴出させる微細気泡発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、管路を流れる液体中に気体を加圧溶解させた後に、浴槽内の液体中に微細気泡を噴出する微細気泡発生装置が知られている。
【0003】
この種の微細気泡発生装置として、気液溶解タンク内の余剰気体を外方へ排出するための空気抜弁を設けた微細気泡発生装置が知られている。この空気抜弁は、液槽内の液体に気体を吸入した気液混合液体を噴射ノズルから噴射されると、気液溶解タンク内の余剰気体が多くなり液面が押し下げられ、気液混合液体から気液溶解液体への変換効果が低下することから設けられたもので、この気液溶解タンクに空気抜弁を設けることにより、気液溶解タンク内の余剰気体を外方へ排出し、気液溶解タンク内の液面の高さを一定に保ち、安定した気液混合液体から気液溶解液体への変換効果を得るものであった(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−112909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の微細気泡発生装置では、気液溶解タンク内の液体にゴミや油の塊などの小さな異物が混入した場合に、その異物が気液溶解タンクの空気抜弁に密着し、空気抜弁に詰まりが生じることにより、気液溶解タンク内の液面が不安定になり、気液溶解効率を低下させることがあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、気液溶解タンク内の液体にゴミや油の塊などの小さな異物が混入した場合でも、空気抜弁の詰まりが生じることなく、安定した気液混合液体から気液溶解液体への変換効果が得られる微細気泡発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明のうち第1の態様に係るものは、管路を流れる液体中に気体を加圧溶解させた後に、液槽内の液体中に微細気泡を噴出させる微細気泡発生装置であって、液体供給源から液体が供給される吸込管と、気体を吸引し、吸込管内の液体に気体を導入する気体導入部と、該気体導入部により吸込管内の液体に気体が導入された気液混合液体を加圧して圧送する加圧ポンプと、該加圧ポンプにより送られてきた気液混合液体中の液体と気体を加圧溶解させる気液溶解タンクと、該気液溶解タンクにより加圧溶解された気液溶解液体を減圧して微細気泡を発生させる気泡発生ノズルと、を有し、気液溶解タンクは、内部に液体が収容されるタンク本体と、該タンク本体の外部から吸い込まれた気液混合液体をタンク本体の内部に設けられた噴出口からタンク本体の内面に向けて噴出させる噴出ノズルと、タンク本体の上部で、タンク本体の内部に収容された液面よりも上部に設けられた上部配管開口部と、該上部配管開口部と連通し、タンク本体内の過剰気体を排出させる気体排出管と、該気体排出管に設けられ、加圧ポンプが通常運転時の所定の圧力で加圧することにより、タンク本体から流れてくる気体排出管内の流体の圧力が高くなって気体排出管の流体の流路を閉止する開閉弁体と、を有し、気体排出管の内面には、タンク本体から流れてくる気体排出管内の流体の圧力が高くなる加圧ポンプの通常運転時に開閉弁体により気体排出管の流体の流路が閉止された状態で、気体排出管の流路を一部連通させる凹溝からなるスリット部が設けられたものである。
【0008】
従来の空気抜き弁のような気体空気排出構造では、空気抜き弁自体が異物詰まりに対する信頼性が低く、異物が詰まる条件化での使用ができなかった。そのため、流体が清水であれば問題なく使用できるが、異物や油分を含んだ汚水等の場合は使用することが出来ないまたは使用してもメンテナンス頻度が多くなるという問題点を抱えていたが、本発明によれば、開閉弁体により気体排出管の流体の流路が閉止された状態で、気体排出管の流路を一部連通させる凹溝からなるスリット部が設けられているので、気液溶解タンク内の液体にゴミや油の塊などの小さな異物が混入している場合でも、気体排出管内のスリット部により流体を流すことができ、また小さな異物であればスリット部を通過し排出でき、異物を含まない清水だけでなく異物を含んだ汚水等でも、気液溶解タンク内の余剰気体を外方へ排出し、安定した気液混合液体から気液溶解液体への変換効果を得ることができる。
【0009】
本発明のうち第2の態様に係るものは、第1の態様に係る微細気泡発生装置であって、 気体排出管の一部に、気体溶解タンクの上部配管開口部と連通する気体排出管の流路の内径より大きくした開閉弁体収納部を設け、開閉弁体は、開閉弁体収納部に収納され、タンク本体から流れてくる気体排出管内の流体の圧力が高くなる加圧ポンプの通常運転時に開閉弁体収納部の流体出口と接し塞ぐことにより、気体排出管の流体の流路を閉止するものである。
【0010】
本発明によれば、気体排出管に気体溶解タンクの上部配管開口部と連通する気体排出管の流路の内径より大きくした開閉弁体収納部が設けられているので、開閉弁体収納部内の流体の流速を低下させると同時に圧力場を安定させ、開閉弁体の駆動を安定させることができる。また、開閉弁体が開閉弁体収納部の流体出口と接し塞ぐことにより、気体排出管内の流体の流路がスリット部のみとなって流路幅が一定になり、排出する流体の流量を一定にすることができる。このことから、気液溶解タンク内の圧力変動を抑制することが可能となり、気液溶解タンク自体の気液溶解効率低下を抑制することが可能となる。
【0011】
本発明のうち第3の態様に係るものは、第2の態様に係る微細気泡発生装置であって、スリット部は、気体排出管の開閉弁体収納部の流体出口に環状方向に所定の距離を空けて配した複数のスリットから構成されるものである。
【0012】
気体排出管の流路に凹溝からなるスリットを1つ設けたのみでは、気体排出管内のスリットが設けられている部分とスリットが設けられていない部分との間で流体の流れに変化が生じ、開閉弁体周辺を流れる流体の圧力場が乱れ、開閉弁体の駆動を乱す場合があるが、本発明によれば、スリット部が気体排出管の開閉弁体収納部の流体出口に環状方向に所定の距離を空けて配した複数のスリットから構成されているので、開閉弁体周辺における流体の流れ方の変化を抑制することができ、開閉弁体の駆動を安定させることができる。
【0013】
本発明のうち第4の態様に係るものは、第1〜第3のいずれかの態様に係る微細気泡発生装置であって、加圧ポンプの運転開始時に、所定の時間、加圧ポンプの通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くしてタンク本体から流れてくる気体排出管内の流体の圧力を低くすることにより、気体排出管の流体の流路を開放させるものである。
【0014】
スリット部にスリット部の流路幅以上の異物が混入し詰まりが生じた場合には、異物を除去するためのメンテナンスが必要となるが、本発明によれば、加圧ポンプの運転開始時に、所定の時間、加圧ポンプの通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くしてタンク本体から流れてくる気体排出管内の流体の圧力を低くすることにより、気体排出管の流体の流路を開放させるので、気体排出管内の流体により開閉弁体周辺に詰まっている異物を洗浄し除去することが可能となる。それにより、異物除去等のメンテナンスの頻度を抑制することが可能となる。
【0015】
本発明のうち第5の態様に係るものは、第1〜4のいずれかの態様に係る微細気泡発生装置であって、気体排出管の開閉弁体の下流側で、気体排出管の内部の流量を検出する流量センサを、さらに設け、加圧ポンプの通常運転の際に、タンク本体から流れてくる気体排出管内の流体の流量が所定流量以下であると流量センサにより検出されたときに、加圧ポンプの通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くすることにより、気体排出管の流体の流路を開放させるものである。
【0016】
微細気泡発生装置を長時間連続運転で使用する場合は開閉弁体の洗浄を行うことができないが、本発明によれば、加圧ポンプの通常運転の際に、タンク本体から流れてくる気体排出管内の流体の流量が所定流量以下であると流量センサにより検出されたときに、開閉弁体周辺に異物詰まり状態が発生していると検知し、加圧ポンプの通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くすることにより気体排出管の流体の流路を開放させるので、気体排出管内の流体により開閉弁体周辺に詰まっている異物を洗浄し除去することができる。これにより、長時間連続運転する場合であっても、流量センサによって、開閉弁体周辺の異物詰まり状態を検知し、気体排出管内の流体により開閉弁体周辺に詰まっている異物を洗浄し除去するので、安定して気液溶解タンク内から余剰気体を排出させることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明の微細気泡発生装置によれば、気液溶解タンク内の液体にゴミや油の塊などの小さな異物が混入した場合でも、空気抜弁の詰まりが生じることなく、安定した気液混合液体から気液溶解液体への変換効果が得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態における気液溶解タンクが使用される微細気泡発生装置の概略構成図である。
【図2】(a)本発明の一実施形態における気液溶解タンクの側面図である。 (b)同気液溶解タンクの上面図である。 (c)図2(b)のA−A断面を示す図である。
【図3】(a)本発明の一実施形態における気液溶解タンクに用いられる気体排出管の開閉弁体部分の要部断面図である。 (b)図3(a)のB−B断面を示す図である。 (c)気体排出管内の流体の流れの説明図である。
【図4】(a)気体排出管の開閉弁体収納部の流体出口に等間隔に2つのスリットを配した気体排出管の開閉弁体部分の要部断面図である。 (b)図4(a)のC−C断面を示す図である。 (c)気体排出管内の流体の流れの説明図である
【図5】本発明の一実施形態における気体排出管内の開閉弁体の動きを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の微細気泡発生装置の一実施形態について図面を参照にしながら説明する。図1は、本発明の一実施形態における気液溶解タンクが使用される微細気泡発生装置の概略構成図である。
【0020】
図1に示すように、液槽1の液体中に気泡発生ノズル3が設置されている。同じく液体中に設置の吸込口2には、吸込管4を介して液槽1の外部で加圧ポンプ5が連結されている。加圧ポンプ5の吸込口側の吸込管4には、空気などの雰囲気の気体を吸い込む気体吸込口6を有する気体導入管7(気体導入部)が配設されている。加圧ポンプ5の下流側には、気体吸込口6から吸い込んだ気体を液体に溶解する気液溶解タンク8が配設されている。加圧ポンプ5と気液溶解タンク8との間は、流入管9によって連通されている。気液溶解タンク8の下流側に吐出管10によって液槽1内の液体中に設置の気泡発生ノズル3によって液体を循環させて、微細気泡発生装置Aが形成されている。
【0021】
次に、本発明の微細気泡発生装置に用いられる気液溶解タンクについて説明する。ここで、図2(a)は、本発明の一実施形態における微細気泡発生装置に用いられる気液溶解タンクの側面図であり、図2(b)は、同気液溶解タンクの上面図であり、図2(c)は、図2(b)のA−A断面を示す図である。
【0022】
図2に示すように、気液溶解タンク8は、タンク本体11と、噴出ノズル16と、キャップ22と、気体排出管24などを有している。
【0023】
タンク本体11は、内部に液体を収容し内部で気体を液体に溶解させる容器であり、上部に開口部15が設けられている。タンク本体11の側壁12からタンク本体11内には、流入管9に接続される吸込口14とタンク本体11内の噴出口23とを接続する噴出ノズル16が配管されている(図2(c)参照)。この噴出ノズル16は、タンク本体11の外部から吸い込まれた気液混合液体をタンク本体11の内部に設けられた噴出口23からタンク本体11の内面に向けて噴出させるノズルであり、この噴出ノズル16の噴出口23は上方に向けられ、噴出口23は気液溶解タンク8内の液面17より高い位置に配置されている。キャップ22は、タンク本体11の上部の開口部15に装着するキャップである。このように、タンク本体11にキャップ22を装着することにより、タンク本体11の上部が封止される。タンク本体11とキャップ22は、一方に雌螺子、他方に雄螺子を設けて、両者を螺合一体(嵌合一体)に着脱自在に装着されている。また、タンク本体11とキャップ22の結合部は、Oリング13によりシールされている。なお、本実施形態では、噴出ノズル16をタンク本体11の一部の構成として説明しているが、噴出ノズル16とタンク本体11とは別の構成要素と考えてもよい。また、タンク本体11には、タンク本体11の外部と連通し、タンク本体11の内部に収容される液面17より下部に位置する吐出口19が設けられている。このように、タンク本体11には噴出ノズル16の噴出口23から液体が流入し、吐出口19からタンク本体11内の液体が吐出される。さらに、タンク本体11には、タンク本体11の内部に収容される液面17より上部に上部配管開口部25が設けられている。
【0024】
気体排出管24は、タンク本体11内の過剰気体を排出させる配管であり、上部配管開口部25と連通するようにして設けられている。そして、タンク本体11上部の上部配管開口部25からタンク本体11内の過剰気体(液体も含む)が気体排出管24内に入り込み外部に排出させる。気体排出管24は、タンク本体11の上部配管開口部25と一体になって構成されている配管A24aと、配管A24aの下流側の配管B24bと、配管B24bの下流側の配管C24cと、配管C24cの下流側の配管D24dなどで構成されている。そして、配管A24aと配管B24bとは取付金具A26により結合され、配管B24bと配管C24cとは取付金具B27により結合され、配管C24cと配管D24dとは取付金具C28により結合されている。気体排出管24は、内部に気体排出管24の流体の流路(主流路)が閉止する開閉弁体30を有している。また、開閉弁体30よりも下流側の気体排出管24の内部の流量を検出する流量センサ31が設けられている。
【0025】
キャップ22は、タンク本体11の開口部15と着脱自在に装着され、噴出ノズル16の噴出口23から噴出された液体が衝突する衝突部20を有している。キャップ22の衝突部20には、その下面に下向きの凹凸形状からなる複数の環状のリブ18が下向きに形成されている。この下向きに形成された複数の環状のリブ18の高さは、中央部で低く、周縁に向かって順次高くなって下に伸び、傾斜した凹凸下端面が形成されている。
【0026】
流量センサ31は、気体排出管24の内部の流量を検出するもので、気体排出管24の開閉弁体収納部32の下流側に設けられている。
【0027】
次に、本発明の気液溶解タンクに用いられる気体排出管の開閉弁体部分について詳述する。ここで、図3(a)は本発明の一実施形態における気液溶解タンクに用いられる気体排出管の開閉弁体部分の要部断面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B断面を示す図であり、図3(c)は、気体排出管内の流体の流れの説明図である。
【0028】
上述したように、気体排出管24には、開閉弁体30が設けられている。この開閉弁体30は、球状形状をしており、気体排出管24の中空状の内部を気液溶解タンク8の上部配管開口部25と連通する気体排出管24の流路の内径より大きくした開閉弁体収納部32に収納されている。この開閉弁体収納部32は配管C24cと配管D24dの内側に形成され、この配管C24cと配管D24dとの間に開閉弁体30を入れた状態で、配管C24cと配管D24dとを取付金具27により結合することにより開閉弁体収納部32が形成される。この開閉弁体収納部32の内面には、スリット部29が設けられている。このスリット部29は、気体排出管24の流路方向に向かう凹溝からなり、気体排出管24の内周面に120度等間隔に3つのスリットが環状に配されている(図3(b)参照)。この凹溝からなるスリット部29は、気体排出管24の開閉弁体収納部32の流体出口34の円周部分を外側方向に切り抜いて形成され、開閉弁体収納部32と連通して設けられている。このスリット部29が設けられていることにより、気体排出管24の開閉弁体収納部32の流体出口34が開閉弁体30により閉止された状態でも、気体排出管24の開閉弁体30の上流側の流体は、スリット部29を通って開閉弁体30の下流側に流出させることができる(図3(c)参照)。すなわち、気体排出管24の開閉弁体収納部32の流体出口34が開閉弁体30により閉止された状態でも、その脇の凹溝のスリット部29からなる従流路から気体排出管24内の流体を流すことができる。なお、本実施形態では、気体排出管24の開閉弁体収納部32の流体出口に等間隔に3つのスリットを配したが、1つのスリットを配するようにしてもよく、図4に示すように気体排出管24の開閉弁体収納部32の流体出口に等間隔に2つのスリットを配してもよく、3つ以外の複数のスリットを配するようにしてもよい。また、3つのスリットを等間隔に配したが、必ずしも等間隔でなくてもよい。すなわち、スリット部29は、複数のスリットから構成されたものについては、気体排出管の開閉弁体収納部の流体出口に環状方向に所定の距離を空けて配した複数のスリットから構成されたものであればよい。ここで、図4(a)は気体排出管の開閉弁体収納部の流体出口に等間隔に2つのスリットを配した気体排出管の開閉弁体部分の要部断面図であり、図4(b)は図4(a)のC−C断面を示す図であり、図4(c)は、気体排出管内の流体の流れの説明図である。
【0029】
次に、気体排出管内の開閉弁体の動きについて説明する。図5は、本発明の一実施形態における気体排出管内の開閉弁体の動きを説明する図である。
【0030】
(加圧ポンプの停止状態)
図5(a)に示すように、加圧ポンプ5が停止状態のときには、開閉弁体30は開閉弁体収納部32の流体入口33と接している。この加圧ポンプ5の停止状態では、開閉弁体収納部32の流体入口33が開閉弁体30に接することにより気体排出管24の流路が閉止されるので、タンク本体11の流体は気体排出管24を通り外部に排出されなくなる。
【0031】
(加圧ポンプの低速運転時)
図5(b)に示すように、加圧ポンプ5が低速運転(加圧ポンプ5の通常運転時の圧力よりも低い所定の圧力での運転)のときには、開閉弁体30は開閉弁体収納部の流体入口33にも流体出口34にも接しない状態である。この加圧ポンプ5の低速運転時では、開閉弁体収納部32の流体入口33にも流体出口34にも開閉弁体30が接していないので、気体排出管24の流路(主流路)が開放されタンク本体11の流体(余剰気体および液体)は気体排出管24を通り外部に排出されることになる。このように、この加圧ポンプ5の低速度運転時には開閉弁体30が洗浄されるので、この加圧ポンプ5の低速度運転のことを「洗浄運転」という。この加圧ポンプ5の低速運転時の圧力は、あらかじめ定まっており、この圧力により加圧ポンプ5を運転することにより、開閉弁体30が開閉弁体収納部32の流体入口33にも流体出口34にも接していない状態となる。
【0032】
(加圧ポンプの通常運転時)
図5(c)に示すように、加圧ポンプ5が所定の圧力で通常運転ときには、開閉弁体30は開閉弁体収納部の流体出口34と接する。この加圧ポンプ5の通常運転時(所定の圧力で加圧)では、開閉弁体収納部32の流体出口34が開閉弁体30に接していることにより気体排出管24の流路(主流路)が閉止されるので、タンク本体11の流体は主流路を通り外部に排出されなくなる。しかし、この場合でも、気体排出管24の内面には、気体排出管24の流路を一部連通させる凹溝からなるスリット部29が設けられているので、このスリット部29から流体(余剰気体および液体)が気体排出管24の下流側に流れ外部に排出される。ここで、本実施形態の加圧ポンプ5の通常運転とは、加圧ポンプ5が洗浄運転をしている以外の運転のことをいい、加圧ポンプ5の通常運転モードが「弱」、「中」、「強」などある場合は、タンク本体11から流れてくる気体排出管24内の流体の圧力により気体排出管24の流体の流路が開閉弁体30により閉止するように加圧ポンプ5が加圧している運転のことである。なお、後述するように、加圧ポンプ5の通常運転ボタン(図示略)を押せば、所定の時間洗浄運転を行い、その所定の時間が経過した後に加圧ポンプ5の本来の通常運転が行われる。この加圧ポンプ5の本来の通常運転時の圧力は、あらかじめ定まっており、この圧力により加圧ポンプ5を運転することにより、何も問題がなければ、開閉弁体30が開閉弁体収納部32の流体出口34と接する状態となる。
【0033】
次に、本発明の気液溶解タンクが用いられた微細気泡発生装置の動きについて説明する。
【0034】
まず、通常運転ボタン(図示略)が押圧されることにより、加圧ポンプ5の電源がONになり、液槽1内の液体が吸込口2から吸込管4を介し加圧ポンプ5へと吸入されるが、そのとき、所定の時間、加圧ポンプ5の本来の通常運転時の気液混合液体を加圧する圧力(通常運転圧力)よりも加圧する圧力を低くしてタンク本体11から流れてくる気体排出管24内の流体の圧力を低くし気体排出管24の流体の流路を開放させる洗浄運転が行われる。なお、上述したように、この洗浄運転時の加圧ポンプ5の圧力および洗浄運転する所定の時間はあらかじめ定められている。これにより、気体排出管24内の流体(気体と液体)が開閉弁体収納部32の流体入口33から流入し、そして開閉弁体30を洗浄後に流体出口34から流出するようになる(図5(b)参照)。以上のように、加圧ポンプ5の運転開始時には、通常運転ボタン(図示略)が押されてから所定の時間、開閉弁体30の洗浄運転が行われる。
【0035】
このように、加圧ポンプ5の運転開始時に、所定の時間、加圧ポンプ5の通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くして、気体排出管24の流体の流路を開放させているので、気体排出管24内の流体により開閉弁体30周辺に詰まっている異物を洗浄し除去することが可能となる。それにより、加圧ポンプ5の本来の通常運転時には開閉弁体30が綺麗な状態になるとともに、運転異物除去等のメンテナンスの頻度を抑制することができる。このようにして加圧ポンプ5の運転開始時に開閉弁体30の洗浄が行われる。ここで、加圧ポンプ5の通常運転時の気液混合液体を加圧する圧力よりも低い圧力とは、上述したように、タンク本体11から流れてくる気体排出管24内の流体の圧力により気体排出管24の流体の流路が開放する圧力のことであり、開閉弁体11の洗浄運転時には、加圧ポンプ5がこの圧力で加圧するようにあらかじめ設定されている。
【0036】
そして、所定の時間が経過することにより洗浄運転が終了し、本来の通常運転状態に移行する。加圧ポンプ5の通常運転時(洗浄運転時も同様)には、吸込管4の途中に設置された気体導入管7の気体吸込口6より気体が吸入されるので、加圧ポンプ5へと吸入された液体は気液混合状態となる。ここで、気体導入管7は、エジェクター機構の構成を用いているので、特別な動力を必要とすることなく自然吸気される。そして、この気液混合状態の液体は、加圧ポンプ5により加圧され、流入管9を通り気液溶解タンク8へ送液される。
【0037】
気液溶解タンク8では、吸込口14から吸い込まれた気液混合液体が噴出ノズル16の噴出口23から噴出される。この噴出口23から噴出された気液混合液体は、キャップ22内面の衝突部20に衝突し跳ね返った後タンク本体11内に戻り、タンク本体11内の液面17に落下する。そして、加圧ポンプ5の通常運転時においては、気液混合状態の液体が噴出ノズル16から噴射されると、気液溶解タンク8内の余剰気体が多くなり、タンク本体11から流れてくる気体排出管24内の流体の圧力が高くなる。その結果、開閉弁体30が開閉弁体収納部32の流体出口34に接することとなり、開閉弁体30により気体排出管24の流体の流路(主流路)が閉止される。この状態において、上部配管開口部25から気体排出管24内に流入した流体(余剰気体と液体)は、気体排出管24の内面に設けられた凹溝からなるスリット部29に流入して、気体排出管24から外方に排出される。
【0038】
このように、開閉弁体30が開閉弁体収納部32の流体出口34に接する場合でも、気体排出管24内面に凹溝からなるスリット部29が設けられているので、気液溶解タンク8内の液体にゴミや油の塊などの小さな異物が混入している場合でも、気体排出管24内のスリット部29から流体を流出させることができ、また小さな異物であればスリット部29を通過し排出でき、異物を含まない清水だけでなく異物を含んだ汚水等でも、気液溶解タンク8内の余剰気体を外方へ排出し、安定した気液混合液体から気液溶解液体への変換効果を得ることができる。
【0039】
この状態において、気体排出管24の内部の流量は、流量センサ31により検出されている。そして、加圧ポンプ5の通常運転の際に、開閉弁体収納部32より下流側の流体の流量が所定流量以下であると流量センサ11により検出されると、加圧ポンプ5の通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くして、気体排出管24の流体の流路を開放させて、気体排出管24内の流体(気体と液体)が開閉弁体収納部32の流体入口33から流入し、そして開閉弁体30を洗浄後に流体出口34から流出するようになる(図5(b)参照)。すなわち、開閉弁体11の洗浄運転が行われる。
【0040】
このように、微細気泡発生装置Aを長時間連続運転で使用する場合は開閉弁体30の洗浄を行うことができないが、上述したように、加圧ポンプ5の通常運転の際に、開閉弁体収納部32より下流側の流体の流量が所定流量以下であると流量センサ31により検出されたときに、開閉弁体30周辺に異物詰まり状態が発生していると検知し、加圧ポンプ5の通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くすることにより気体排出管24の流体の流路を開放させるので、気体排出管24内の流体により開閉弁体30周辺に詰まっている異物を洗浄し除去することができる。これにより、長時間連続運転する場合であっても、流量センサ31によって、開閉弁体30周辺の異物詰まり状態を検知し、気体排出管24内の流体により開閉弁体30周辺に詰まっている異物を洗浄し除去するので、安定して気液溶解タンク8内から余剰気体を排出させることができる。
【0041】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
1 液槽
2 吸込口
3 気泡発生ノズル
4 吸込管
5 加圧ポンプ
6 気体吸込口
7 気体導入管
8 気液溶解タンク
9 流入管
10 吐出管
11 タンク本体
12 側壁
14 吸込口
15 開口部
16 噴出ノズル
17 液面
18 リブ
19 吐出口
20 衝突部
22 キャップ
23 噴出口
24 気体排出管
24a 配管A
24b 配管B
24c 配管C
24d 配管D
25 上部配管開口部
26 取付金具A
27 取付金具B
28 取付金具C
29 スリット部
30 開閉弁体
31 流量センサ
32 開閉弁体収納部
33 流体入口
34 流体出口
A 微細気泡発生装置




【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路を流れる液体中に気体を加圧溶解させた後に、液槽内の液体中に微細気泡を噴出させる微細気泡発生装置であって、
液体供給源から液体が供給される吸込管と、
気体を吸引し、前記吸込管内の液体に気体を導入する気体導入部と、
該気体導入部により前記吸込管内の液体に気体が導入された気液混合液体を加圧して圧送する加圧ポンプと、
該加圧ポンプにより送られてきた気液混合液体中の液体と気体を加圧溶解させる気液溶解タンクと、
該気液溶解タンクにより加圧溶解された気液溶解液体を減圧して微細気泡を発生させる気泡発生ノズルと、を有し、
前記気液溶解タンクは、
内部に液体が収容されるタンク本体と、
該タンク本体の外部から吸い込まれた気液混合液体を前記タンク本体の内部に設けられた噴出口から前記タンク本体の内面に向けて噴出させる噴出ノズルと、
前記タンク本体の上部で、前記タンク本体の内部に収容された液面よりも上部に設けられた上部配管開口部と、
該上部配管開口部と連通し、前記タンク本体内の過剰気体を排出させる気体排出管と、
該気体排出管に設けられ、前記加圧ポンプが通常運転時の所定の圧力で加圧することにより、前記タンク本体から流れてくる前記気体排出管内の流体の圧力が高くなって前記気体排出管の流体の流路を閉止する開閉弁体と、を有し、
前記気体排出管の内面には、前記タンク本体から流れてくる前記気体排出管内の流体の圧力が高くなる前記加圧ポンプの通常運転時に前記開閉弁体により前記気体排出管の流体の流路が閉止された状態で、前記気体排出管の流路を一部連通させる凹溝からなるスリット部が設けられたことを特徴とする微細気泡発生装置。
【請求項2】
前記気体排出管の一部に、前記気体溶解タンクの前記上部配管開口部と連通する前記気体排出管の流路の内径より大きくした開閉弁体収納部を設け、
前記開閉弁体は、
前記開閉弁体収納部に収納され、前記タンク本体から流れてくる前記気体排出管内の流体の圧力が高くなる前記加圧ポンプの通常運転時に前記開閉弁体収納部の流体出口と接し塞ぐことにより、前記気体排出管の流体の流路を閉止することを特徴とする請求項1記載の微細気泡発生装置。
【請求項3】
前記スリット部は、前記気体排出管の前記開閉弁体収納部の流体出口に環状方向に所定の距離を空けて配した複数のスリットから構成されることを特徴とする請求項2記載の微細気泡発生装置。
【請求項4】
前記加圧ポンプの運転開始時に、所定の時間、前記加圧ポンプの通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くして前記タンク本体から流れてくる前記気体排出管内の流体の圧力を低くすることにより、前記気体排出管の流体の流路を開放させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置。
【請求項5】
前記気体排出管の前記開閉弁体の下流側で、前記気体排出管の内部の流量を検出する流量センサを、さらに設け、
前記加圧ポンプの通常運転の際に、前記タンク本体から流れてくる前記気体排出管内の流体の流量が所定流量以下であると前記流量センサにより検出されたときに、前記加圧ポンプの通常運転時の所定の圧力よりも気液混合液体を加圧する圧力を低くすることにより、前記気体排出管の流体の流路を開放させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微細気泡発生装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−254407(P2012−254407A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128772(P2011−128772)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000176383)三相電機株式会社 (16)
【Fターム(参考)】