心律動異常の振動処置のための方法およびシステム
心臓のペーシング、電気的除細動、および除細動のための方法および装置は、心臓への、超音波エネルギーおよび他のエネルギーの、通常は、不整脈の発生の後の送達に依存する。振動変換器アセンブリが、移植されるか、または外部に適用され、その結果、振動エネルギーが、前方向または後方向から、この心臓の少なくとも一部分へと指向され得る。この振動変換器アセンブリは、代表的に、肋骨の上方、胸骨の上方、肋骨の間、肋骨の下方、または背中に移植される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、一般的には、医療デバイスおよび処置方法に関する。より具体的には、本発明は、振動エネルギーを用いて心律動異常を処置するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心律動異常(心室頻拍および心室細動を含む)は、西洋諸国における罹患率および死亡の主要原因である。そのような心律動異常を処置するための非常に成功率が高い技術は、一般的に、「心室電気除細動および除細動」と呼ばれ、電流が胸部に印加されて、心臓のリズムを同調化する。外部電気除細動および除細動装置の使用は、すなわち、電極パドルが胸部に外部から配置されて比較的高電流が印加される場合には、非常に有効であったが、当然、その装置と、その装置を使用可能な操作者との両方を利用することが必要である。より最近には、移植可能な電気除細動器(ICD)デバイスが、使用されるようになっており、これは、不整脈の発症後に自動的に介入するようにプログラムされている。ICDは、電気除細動、除細動、そして必要な場合にはペーシング治療を送達することによって、心臓のリズムを安定化する。そのようなICDは、生存を改善することが示されており、リスクのある患者における治療のスタンダードになっている。上記の言及は、心室不整脈に対してなされているが、心房不整脈もまた、ICDデバイスを用いて安定化される。
【0003】
しかし、ICDは、特定の不利点に悩まされる。現在、ICDの設計には、ぺーシング電流、電気除細動電流、および除細動電流を提供するために心臓上または心臓内に、1つ以上の電気リード線が移植される必要がある。そのようなリード線配置には、熟練者が必要とされ、患者は、その移植手順の間に放射線に曝される。移植されたリード線は、故障しやすく、心臓穿孔、凝固閉塞、および感染を引き起こし得る。破損または絶縁破損に起因するリード線の故障が、数年間後に患者集団のかなりの数において生じると報告されている。現在のICDにはまた、コンデンサを充電するために比較的長い時間(代表的には10秒間〜15秒間)が必要であり、このことは、致死性である可能性のある不整脈が検出された後の処置を遅らせる可能性がある。処置の遅延はまた、より高エネルギーの送達を成功させる必要がある。さらに、ICDを受けている多くの患者は、電気ショックが痛いことに気付き、そのICD発動が予測不能である性質によって、不安および恐怖が引き起こされ得る。
【0004】
心房細動は、心室細動および頻拍よりも一般的であるが、直接的に致死性ではなく、しかし、心房細動は、心耳における血栓形成に関連しており、塞栓性発作を引き起こす可能性を有する。心房細動は、左心房および右心房の両方における迅速かつ不規則な活動によって特徴付けられる。心房収縮が存在しない場合があり、しばしば、心房拡大が存在しない場合がある。協調した心房収縮が欠如していることによって、心臓出力が減少し得、他の心臓状態が悪化し得る。通常は致死性ではないが、心房細動中の患者は、胸部疼痛、疲労、立ちくらみ、および呼吸の浅さを経験し得る。心房細動に関連する迅速かつ不規則な心拍数および動悸は、患者にとって非常に悲惨であり得る。
【0005】
心房細動の処置は、一般的には、心室細動および頻拍の処置と類似している(すなわち、電気除細動)。他の場合、薬物は、心房細動を正常な洞調律へと変えるために十分であり得る。
【0006】
心房細動は、直接的には致死性ではなく、エピソードは頻繁に生じ、患者は、意識があり警戒するので、外部からかまたは移植可能なデバイスを使用してかのいずれかで、患者は、電気除細動を受けることにかなり不本意である。外部除細動について、患者は、一般的には、深い鎮静または全身麻酔を必要とする。移植可能な心房除細動器が開発されているが、患者は、そのような処置を歓迎せず、そのデバイスは、現在販売されていない。
【0007】
心房細動、心室頻拍、および心室細動(異常に速い心臓リズム)に悩まされる患者は、代表的には、その患者が異常に遅い心臓リズムを有するか心臓リズムを有さない傾向があるようにする構造的な心臓疾患(例えば、洞停止、洞徐脈、心臓ブロック、不全収縮など)を有する。さらに、異常に速い心臓リズムが突然終結すると、しばしば、その後に、異常に遅い心臓リズムであるかまたは心臓リズムがない一時的期間が続く。これらの理由のために、異常に速い心臓リズムを終了するための外部除細動器および移植除細動器の両方が、遅い心臓リズムまたは心臓リズムがないことを終了させる能力(ペーシングと呼ばれる)を組み込む。ICDデバイスについて、そのようなペーシング能力には、通常は、心臓中に移植された電気リード線を必要とする。外部デバイスについて、そのようなペーシング能力は、胸部電極を介して経皮電気エネルギーを送達することを使用する。これは、除細動のための電気エネルギーの送達に関連する疼痛と類似して、非常に痛い。
【0008】
これらの理由のために、上記の欠点のうちのいくつかまたはすべてを有さない、改良型ICDおよび外部除細動器を提供することが望ましい。特に、除細動を達成するために電流の印加に依存しない、そのようなICDおよび外部除細動器を提供することが望ましい。心臓中に構成要素を移植する必要がないICDおよび外部除細動器を提供することは、さらに望ましい。特に、ICDが心臓から離れて移植されてエネルギーを発し得るか、または実際には接触することなく心臓と相互作用し得る場合には、望ましい。そのようなICDは、移植するのが簡単であり、関連する合併症がほとんどなく、時間的遅延をほとんど伴わずに処置可能であり、そして有意な痛みも他の望ましくない副作用も伴わずに電気除細動および除細動を提供する。さらに、異常に速いか、異常に遅いか、または存在しない、心室リズムおよび心房リズムの両方を、現在のシステムよりも患者にとって受け入れられる様式で処置するためのICDおよび外部除細動器を提供することは、望ましい。これらの目的のうちの少なくともいくつかが、本明細書中下記のような発明によって満たされる。
【0009】
(2.背景技術の説明)
機械的ショック療法を使用する不整脈の処置を記載する特許としては、米国特許第6,439,236号;同第6,408,205号;同第6,330,475号;同第6,110,098号;同第5,433,731号;および同第4,651,716号;ならびにPCT出願WO 03/070323およびWO 99/061058が挙げられる。興味深い他の特許としては、米国特許第6,233,484号;同第5,800,464号;同第5,871,506号;同第5,292,338号;および同第5,165,403号が挙げられる。心臓に対する超音波エネルギーおよび/または機械的作用の効果を考察する医療刊行物としては、
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
が挙げられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、不整脈を終了させるために心臓の少なくとも一部に、制御された振動エネルギー(代表的には、超音波エネルギー)を送達することに依存する。その超音波エネルギーは、心臓から一定距離離れた位置から、しばしば、胸郭のすぐ外側の皮下位置から、送達され得る。従って、そのデバイスの移植は、従来の電気ICDの移植よりもかなり簡単であり、通常は、蛍光顕微鏡による案内を必要とせず、電気生理学の訓練をすることなく心臓学者および他の医師によっておそらく移植可能である。あるいは、上記エネルギーは、下記により詳細に記載されるように、患者の前胸部領域または後胸部領域における外部位置から送達され得る。
【0013】
本発明の方法およびデバイスは、心室不整脈または心房不整脈のいずれかもしくは両方を処置するために使用され得る。不整脈は、本明細書中においては、異常に速い心臓リズム、異常に遅い心臓リズム、または心臓リズムがないこととして、定義される。心室不整脈(不全収縮、心臓ブロック、心室頻拍、および心室細動を含み、必要に応じて、異常に遅い心房リズムまたは心房リズムがないことを含む)の処置のために、上記振動エネルギーは、心臓の心室領域へと優先的に向けられる。胸部および心臓の解剖学的構造が原因で、エネルギーは、通常は、以下により詳細に記載されるように、胸部または腹部の前方側から心室へと向けられる。
【0014】
心房不整脈(特に、心房細動であるが、洞停止および洞徐脈を含む)の処置のために、上記振動エネルギーは、心臓の心房領域へと優先的に向けられる。心房領域の種々の解剖学的構造が原因で、そのような振動エネルギーは、胸部および腹部の前方領域および後方領域のいずれかもしくは両方から送達され得る。
【0015】
すべての場合において、振動エネルギーの送達は、内部に移植されたデバイスまたは外部に適用されたデバイス(すなわち、患者の胸郭または胸部の外部へと上記振動エネルギーを直接送達するデバイス)を使用して、達成され得る。
【0016】
除細動のための超音波エネルギーの使用には、電気システムよりも低いエネルギー閾値および消費が必要であり得、従って、充電時間が長いコンデンサを使用する必要はない。さらに、上記超音波エネルギーは、神経を直接には刺激せず、それによって、電気ICDに関連している痛みを低減または排除する。
【0017】
振動エネルギーが不整脈の安定化をもたらす正確な機構は公知ではないが、その機構は、電気エネルギーの機構と類似すると、現在考えられている。特に、振動エネルギーの送達から生じる心筋組織の局所的な機械刺激は、機械電気的フィードバック機構(すなわち、振動刺激から生体電気シグナルへの変換)を介して、生体電気的応答を生じる。特に、その生体電気的刺激は、心臓および他の多くの器官に存在する機械感覚的イオンチャネルを介して生じると考えられる。医学文献は、そのようなイオンチャネルは、心臓における頻拍性不整脈の開始の原因であり得、細胞作用電位または早発心室波形(PVC)、頻拍、および細動の誘導に対して効果を有すると教示する。
【0018】
本発明の方法に従って印加される振動エネルギーが心律動異常を安定化し得る2つの潜在的機構が存在すると、考えられる。第一に、機械感覚的イオンチャネルの刺激が、起電性電流に直接影響を与え得る。第二の、但し可能性が低い機構は、特定のイオンチャネルのフラックスを変化させることによる間接的効果に依存する。
【0019】
本発明の第一の局面において、心律動異常を安定化するための方法は、
患者の心臓における不整脈の発生を検出する工程;
制御された振動エネルギーを、振動変換器から心臓へと、その不整脈を終了させる条件下で送達する工程、
を包含する。超音波エネルギーの送達は、通常は、移植された振動変換器を使用して実施されるが、いくつかの場合には、心臓の少なくとも一部へと下記の条件下で超音波エネルギーを送達するために適合された外部振動変換器を使用して実施され得る。
【0020】
振動エネルギーを心臓の心室領域へと指向する、心室不整脈の処置のために好ましい移植可能な振動変換器は、少なくとも部分的に、患者の肋骨の上に移植され得るか、または少なくとも部分的に、患者の肋骨の間の間隙内に移植され得るか、または少なくとも部分的に患者の肋骨の下に移植され得るか、または腹部に移植され得る。肋骨の間の間隙に移植された場合、その間隙は、自然の肋間隙である可能性があるが、あるいは、移植空間を規定するための1つ以上の肋骨を除去することによって生じ得る。腹部に移植される場合、移植可能な振動変換器は、腹腔内または腹腔外のいずれにあってもよい。
【0021】
心室不整脈の処置のためにこれまで記載されたデバイスおよび方法は、一般的には、心房不整脈の処置のためにも適切である。直接的に致死性ではない不整脈を有する患者、および/または直接的な医療監督下にある患者は、外部デバイスで、および/または患者もしくは主治医もしくは他の職員による手動コントロール下で、処置され得る。従って、自動検出制御、および不整脈事象の振動変換器ベースの自動検出の発動制御をかならずしも含まない、より単純な装置を使用することは、可能である。そのような外部システムを用いると、その装置は、心臓の心房領域または心室領域へと振動エネルギーを有効に指向するために、胸部前方および/または後方に配置され得る。同様に、その振動変換器は、心房または心室に振動エネルギーを指向するために、心臓の前側または後側のいずれかもしくは両方に移植され得る。例示的な移植部位が、下記により詳細に記載される。
【0022】
心室不整脈および心房不整脈のいずれかもしくは両方の処置のための振動エネルギーの送達は、1つの圧電変換素子を起動すること、圧電複合材を起動すること、その後、個々の振動変換セグメントを起動すること、短時間に組織に振動エネルギーの位相ビームを掃引することなどを包含し得る。振動エネルギーの性質は、下記に詳細に示されるが、通常は、0.02〜10MHzの範囲の周波数、5,000サイクル未満のバースト長さ、100kHz未満のバースト速度、50%未満のデューディーサイクル、50未満の機械指数、および4未満の熱指数を有する。通常は、心房細動および/または心室細動の処置のために、振動エネルギーは、心臓の筋肉量の少なくとも50%に、好ましくは心臓の筋肉量の少なくとも75%に、そしてしばしば心臓の筋肉量の少なくとも90%に、送達される。通常は、不全収縮または徐脈のペーシング処置のために、振動エネルギーは、心臓の筋肉量の50%未満に送達される。
【0023】
本発明の第二の局面において、心律動異常を安定化させるためのシステムは、
振動変換器;および
心臓における不整脈の発生を検出しそして上記振動変換器を作動させるための、制御回路構造、
を備える。その振動変換器は、好ましくは、患者の心臓付近の皮下空間において、患者内に移植可能であり、上記制御回路構造は、上記変換器が、制御された振動エネルギー(通常は超音波エネルギー)を、不整脈を終了させる条件下で心臓に送達するように適合される。そのような条件は、本発明の方法と組み合わせて上記に一般的に記載されている。
【0024】
上記振動変換器および制御回路構造は、通常は、共通のハウジング内にパッケージされるが、いくつかの場合には、別々の移植可能なハウジング内に別々にパッケージされ得、代表的には、ケーブルによって接続される。
【0025】
上記振動変換器は、上記の構造のうちのいずれかを含み得、この変換器は、上記の条件下で作動する。上記制御回路構造は、代表的には、不整脈の発生を検出するための、ECG要素または他の従来の回路構造を含み、通常は、この回路構造はまた、その変換器用の信号発生機、電力増幅器、インピーダンス整合回路をさらに含み、必要に応じて、多重セグメント化変換器のための複数のそのような回路構造を含む。通常は、バッテリまたは遠隔充電可能なバッテリ(例えば、高周波数伝達器を使用して再充電され得るバッテリ)をさらに含む。通常は、上記制御回路構造は、外部送信器および受信器と通信して通信(患者データの回収、ならびに上記制御回路構造のプログラミングおよび制御の両方を含む)を行うように、さらに適合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
本発明は、不整脈を終了させるために、振動エネルギー(特に超音波エネルギー)を、心臓組織へ指向することに依る。超音波エネルギーおよび生物学的組織の性質の理解は、有用である。
【0027】
生物学的組織における超音波は、図1Aおよび1Bに例示されるように、実質的には、もっぱら長手軸方向に進む波(longitudinal traveling wave)である。この波は、代表的には、反射も屈折もしなければ、直線で、1.5ミリメートル/マイクロ秒で進む。超音波は、CW(連続波)であり得、このことは、超音波が、いつでもオンにおいて、またはバーストモード(ある長さのオフ時間によって隔てられるオン時間の期間を含む(図1A))において存在することを意味する。オン期間およびオフ期間の長さは、同じであっても、異なっていてもよく、この「オン時間」と「オフ時間」の合計は、パルス反復期(pulse repetition period)(PRP)といわれる。図1Bに例示されるように、超音波は、瞬間的にピーク振幅に達するわけではない。立ち上がり時間および下降時間に伴うサイクル数は、デバイスのQ(線質係数(quality factor))にほぼ等しい。超音波の周期は、1完全サイクルの時間である。この周期の逆数は、周波数である。バーストは、任意の選択された周波数で起こり得る。このバースト速度は、パルス繰返し数(PRF)として規定され、このパルス繰り返し数は、パルス反復期の逆数(1/PRP)である。波の振幅は、圧力の項で(in terms of pressure)規定され得る。電力アプリケーション(power application)において、ピーク陽圧の大きさは、通常、ピーク陰圧の大きさより大きい。この波形は、非線形性であることに起因して、非対称である。これらの非線形性は、信号強度の関数として、身体中での音の速度が異なることから生じ、組織を通じる伝わる距離、および当然のことながら、振幅に依存する。
【0028】
上記の基本的な記述子から、他の超音波パラメーターが後に従う。そのデューティーサイクルは、超音波がオン状態にある時間の%として規定される。従って、連続波は、100%のデューティーサイクルを有する。強度は、超音波出力/単位面積である。さらなる一般的な定義は、Ispta(強度、空間的ピーク時間平均(spatial peak temporal average)、時間全体にわたる、ビームの中心における平均強度、およびIsppa(強度、空間的ピークパルス平均(spatial peak pulse average)、パルスの持続時間にわたってのみ平均される、ビームの中心における平均強度である。
【0029】
2つのさらなるパラメーターは、機械指数(MI)および熱指数(TI)である。MIは、ピーク陰圧(MPa単位)/周波数(MHz単位)の平方根として規定される。このパラメーターは、診断超音波について規定され、これは、超音波が広い範囲の周波数にわたって機械的損傷を引き起こす能力を示す。診断超音波についてのFDAガイドラインは、最大MI=1.9を認めている。軟組織についてのTIは、ビームにおける平均出力(mW単位)×周波数(MHz)/210として規定される。TIは、超音波が組織において熱的な生体効果をもたらす能力を規定し、ユニティー(unity)の値は、正常組織における理論的温度上昇1℃に対応する。これらの表現は、超音波についての重要な傾向を示す。所定の圧力に対して、周波数が低いほど、より大きな機械的生体効果を生じる傾向がある。さらに、より高い周波数については、より大きな熱的な生体効果の傾向がより強くなる。
【0030】
超音波ビームは、これが伝わる組織によって弱められる。組織の挙動は、超音波の減衰に対して何ら効果を有さない。5MHz未満の周波数において、血液中での減衰は、無視できる程度である。心筋、筋肉、脂肪および皮膚における減衰は、約0.3dB/MHz/センチメートル伝達経路である。結果として、1MHzのビームは、体壁および心臓を通ることによる減衰をほとんど受けない。超音波の全ての周波数は、空気を通して十分には伝わらない;これは、実質的には、完全に減衰される。肺内および腸内にあるガスは、本質的には、ビームを完全に遮断する。骨における減衰は、顕著に周波数依存性である。1MHzでの減衰は、12dBを超え、周波数に伴って、ほぼ線形的に大きくなる。100kHzでは、減衰は、無視できる程度である。
【0031】
超音波ビームは、放射器の開口部および周波数、ならびにそのビームが、連続波であるかバーストモード(パルス状)であるかに大きく依存する。単純な規則は、遠距離音場(far field)では、そのビーム幅は、波長/開口部によって与えられるということである。同じサイズの開口部を仮定すると、図2に例示されるように、低周波数(Lowf)ビームは、ほぼ等方性(全ての方向において等しい強度)であり得るが、高周波数(Highf)ビームは、集中される。さらに、開口部の形状は、ビームに影響を及ぼす。図3は、凸型開口部、平坦型開口部、および凹型開口部からの高周波数ビームを示し、これらの開口部からのビームは、それぞれ、分岐するビーム、緩やかに集中したビーム、するどく集中したビームを形成する。遠距離音場では、パルス状ビームおよび連続ビームは、ほぼ同じプロフィールを有する。しかし、近距離音場(near field)では、連続ビームは、開口部を横切る波面からの強め合う干渉および弱め合う干渉に起因して、それぞれ、複数のピークおよび谷によって特徴づけられる。超音波の短いバーストについては、強め合う干渉および弱め合う干渉は、開口部のより小さな部分からの部分からの放出に限定され、結果として、近距離音場放出プロフィールは、より均一である。
【0032】
図4Aおよび4Bを参照すると、本発明は、上記で一般に議論されるように、心臓電気的活動を安定化させるために、超音波および他の振動エネルギーを心臓Hの領域に指向することに依る。特に、除細動のために、最大の効果を呈するために、できる限り心臓の多くの部分に超音波エネルギーを指向できることが望ましい。通常、除細動のために、本発明は、心臓の少なくとも50%、好ましくは、少なくとも75%、およびより好ましくは90%以上への超音波エネルギーの指向を提供する。あるいは、超音波エネルギーをより小さな部分(例えば、心臓の50%未満)に指向できることが望ましくあり得る。なぜなら、このことは、ペーシングに有効であり得るからである。心臓が体壁(BW)、肋骨Rおよび胸骨Sの下に位置しているが、振動変換器アセンブリ(以下でより詳細に記載される)は、エネルギーを送達するために適切に位置づけられなければならない。骨および軟骨は、高周波数超音波エネルギーの伝わりを実質的に減衰させ、肺L(これは、空気で満たされている)は、このようなエネルギーの伝わりを完全に遮断する。
【0033】
一般に、図5Cに示されるように振動変換器アセンブリ10を肋骨Rおよび/もしくは胸骨Sの上、図5Bに示されるように肋骨Rの間もしくは適所に、または(おそらくあまり望ましくはないが)図5Aに示されるように肋骨Rの下のいずれかに移植することが好ましい。肋骨の下に移植される場合、この振動変換器アセンブリ10は、通常、心膜に配置されるかまたは心膜からわずかに前方に間隔を空けて配置される。あるいは、示されていないが、変換器アセンブリは、腹、腹腔の内側または外側のいずれかに移植されてもよい。
【0034】
ここで図6を参照すると、第一の例示的な振動変換器アセンブリ10Aは、4分の1波前面整合デバイスを備える。圧電セラミック12の2分の1波の厚さは、リード線17を有する薄膜電極14と、第一の表面の上に配置された4分の1波整合層16との間に挟まれる。圧電セラミック12は、その後表面に空気空洞20を有するハウジング18内に配置される。この様式で、4分の1波整合層16は、アセンブリ10Aの前表面を提供し、そしてこのハウジングの縁部および背面は、機械的な支持を提供するために十分に強いことのみが必要とされる。空気空洞20は、代表的に、約1mmの幅を有し、そしてセラミック層および整合層の厚さは、所望の操作周波数に依存して、変化する。以下の表1は、セラミック層12および整合層16の操作周波数および厚さを示す。
【0035】
【表1】
本発明の方法は、おそらく、超音波の機械的効果から生じる。従って、極大周波数は、およそ1MHzであり得る。構造的な視点から、0.10MHzにおいて、このデバイスパッケージの厚さは、およそ30mmの厚さであり得、おそらく、移植物について認容可能な最大値である。このデバイスが、肋骨の上方に移植される必要がある場合、または外部に配置される必要がある場合、より低い周波数が好ましい。0.25MHzにおいて、骨に起因する減衰が最少になり得、従って、0.10〜0.5MHzの範囲の操作周波数が提唱される。
【0036】
従来の4分の1波デバイスを用いて、0.25MHz未満で操作することは、このデバイスを駆動するために必要とされる、より高い電圧に起因して、特に有利ではないかもしれない。また、このデバイスは、より厚くなるので、かなり重くなる。
【0037】
示されるように、変換器アセンブリ10Aは、セラミックの代わりに、1−3圧電複合材料で置き換えられ得る。圧電複合材料は、ポリマーマトリックス中の圧電セラミックポストからなる。このような材料は、特定の周波数を達成するために必要とされる等価な純セラミック材料より薄く、そして整合層を提供する必要がない。従って、絶縁を提供する単純なシールが、図6の整合層16の代わりに用いられ得る。圧電複合材料についての適切な厚さは、以下の表2に示される。
【0038】
【表2】
より薄いパッケージを作製することに加えて、圧電複合材料は、これらが容易に湾曲し得るか、潜在的に、解剖学的特徴に一致し得るか、または変換器ビームプロフィールを最適化し得る点で、別の有意な利点を有する。任意の曲率が、このデバイスの焦点特徴に影響を与えることを、覚えておかなければならない。
【0039】
ここで図7を参照すると、振動変換器アセンブリ10Bは、Tonpilz変換器に対する改変物として形成され得、ここで、圧電デバイス30(圧電材料の積層体として示される)は、前振動器32において、超音波振動を誘導する。パッケージ34は、この変換器アセンブリの操作のために必要な、裾の質量を提供する。必要に応じて、前表面振動器32を、セラミック積層体30およびハウジング34に対して保持するための構造体(図示せず)が提供され得る。表面振動器の強い振動は、セラミック材料および/または結合材料の引張り強度を超え得る。このような変換器アセンブリは、0.1MHz以下の低周波数での操作に、特によく適する。
【0040】
除細動のために、本発明のデバイスは、心臓の比較的大きい部分にわたって、超音波エネルギーまたは他の振動エネルギーを送達する目的で、比較的広い音響ビームを発生させる、開口部を必要とする。生物学的制約に起因して、この変換器は、常に、心臓に近く近接し、従って、この心臓は、この音響ビームの場の近くにあり得る。長さ12cmおよび幅10cmという、代表的な人心臓の寸法に対して、超音波エネルギーまたは他の振動エネルギーの開口部は、代表的に、およそ10cmの直径を有する円形であり、より好ましくは、12cmの長軸および10cmの短軸を有する楕円形であり、そして最も好ましくは、治療エネルギーで心筋層を最大に覆うことを確実にするために、心臓の寸法をわずかに超える、超音波エネルギーまたは他の振動エネルギーの開口部を有する楕円形である。多くの異なる大きさのデバイスが、異なる患者の大きさの必要性に合うために必要とされ得ることが、認識される。
【0041】
デバイスの設計に対するさらなる変形物が、可能である。具体的には、最近開発された高ひずみ材料(例えば、単結晶圧電素子またはポリマー圧電素子)が、使用され得る。単結晶の場合、現在の技術は、心臓のかなりの割合を覆うように投影される大きさと一致する寸法を、材料に提供しない。その結果、圧電材料の個々の片またはセクション40のモザイク構造が、図8に図示されるように、使用され得る。これらのセクション40は、ケーシング44内の超音波放射性開口部42の内部に配置される。個々の片の大きさは、現在の製造技術と両立し、現在は、1辺が約1インチである。これらの単結晶は、個々の信号発生器、駆動増幅器、および/またはインピーダンス整合回路を、並列作動または直列作動のために有し得る。あるいは、これらの単結晶は、単一の信号発生器、電力増幅器、および整合回路によって、連続的な(多重化された)様式で駆動され得る。これらの単結晶は、図6に図示されるように、従来の圧電素子のために使用されるような、前面インピーダンス整合(4分の1波の厚さ)を使用し得る。個々の片のモザイクは、平坦な同一平面の表面上に設置され得るか、またはこれらのデバイスは、患者の皮膚の下へのより良好な移植のために、このデバイスの前表面に、凹状表面もしくは凸状表面のいずれかを与えるように、設置され得る。同様に、ポリマーデバイスは、患者の皮膚の下での音響カップリングのために適切であるように、平坦であっても湾曲していてもよい。ポリマーデバイスは、おそらく、前面のインピーダンス整合層を必要とせず、高インピーダンスのバッキング層で裏打ちされて、出力される音響エネルギーの可能な限り多くを患者内に発射し得る。変換器のための駆動材料はまた、他の任意の電気機械的材料を含み得、1つの具体的な例は、磁気ひずみ材料である。
【0042】
このデバイスは、高電圧および高電流で駆動され得る。適切な電気インピーダンス整合の後に、バッテリーの電流ドレインは、このバッテリーの性能を超え得る。従って、図8に示され、上記のように、圧電性の複数の個々の部品へと開口部をセグメントに分けることが提唱される。この場合、各要素は、個々の電力増幅器、インピーダンス整合回路および信号発生器(または個々のデバイスにゲート制御された信号発生器)によって駆動され得る。あるいは、この単結晶は、単一発生装置、電力増幅器、および整合回路によって、逐次的(多重化)様式で駆動され得る。このようにして、次いで、心臓への曝露は、分節性である。例えば、開口部が10個の要素からなっていた場合、1MHzで5サイクルにより作動させると、各要素は、50マイクロ秒ごとに作動され得、有効な10%デューティーサイクルが可能になり得る。このことは、バッテリーに対して要求されるピーク電流を10分の1に減少させる。
【0043】
図9Aおよび9Bは、分節された開口部から直列バーストを生成するための1つのあり得る回路構成を示し、さらに、開口部内で個々の要素の各々からのインターレースした出力(interlaced output)を示す。心周期の小部分の間に全ての要素から多重バーストを生成することが可能である。心筋は、同時に起こる超音波曝露を効率的に経験する。より小さな要素から拡がる過剰なビームおよび遠距離音場信号強度の喪失を防止するために、この概念の実行において、注意が払われなければならない。低周波数デバイスは、高周波数デバイスよりもこの問題をより抱える傾向にある。
【0044】
あるいは、電気機械的材料の個々の要素の分節された開口部、または圧電複合材料の1つからいくつかのポストのクラスターは、いくつかの特定の方向のうちの1つにおいて超音波ビームを作り出すように、位相の合った列において駆動され得る。「位相を合わせる(phasing)」とは、開口部の全ての要素またはセグメントに付与される駆動信号が、各要素またはセグメントからの波面が同時に指定された組織塊に達する(強め合う干渉)ように、タイムディレイを有することを意味する。この組織塊における振幅は、位相を合わせた開口部の集中効果に起因してより大きくなるが、このビームは、処置を要する組織の領域全体をもやは網羅しないかもしれない。結論として、迅速な遷移(succession)において、オン時間は、心周期の時間と比較して、非常に小さく、率に応じて定められ、このビームは、超音波で処置の領域全体を均一に効率的に曝すように、この領域における複数の組織塊に指向され得る。
【0045】
整列相モードにおける作動のための回路構成は、図9Aに示される回路構成に極めて類似し得る。整列相作動について、全ての要素は、異なるタイムディレイにもかかわらず、同じ時間で作動する。そのバースト発生器は、多重器(MUX)を介して特定の増幅器/要素に指向される異なるタイムディレイを提供する。タイムディレイの複数の設定は、複数の方向におけるビームを生じる。
【0046】
小型の二次元フォーマットにおける開口部をセグメントに分ける代わりに、この開口部は、線形配置において一連のセグメントまたは要素から構成され得る。このような要素のアレイは、振動エネルギーを心臓へと肋骨の間から指向するために、移植または外側に固定され得る。実際に、第2の列の要素は、第1列の要素の上または下のいずれかで、振動エネルギーを心臓へと別の肋間隙を通って指向するために、類似のフォーマットで実行され得る。代わりに、または連動して、ある列の要素は、胸骨の上で実行され得る。超音波ビームのいくらかの減衰が存在するものの、振動エネルギーを胸骨を通って指向させることは、心臓への経路が肺組織によって妨げられないことを確実にする。単一のまたは複数の線形列の開口部セグメントまたは要素は、並行フォーマットもしくは直列フォーマットにおいて電気的に駆動され得るか、または心臓の特定の領域の標的化たのためもしくは心臓のより多くの部分を通る超音波ビームを掃引するための整列フォーマットにおいて駆動され得る。
【0047】
ペーシング治療のために、本発明のデバイスは、広い音波ビームを発生するための開口部は必要としない。なぜなら、音波ビームが心臓の大部分へエネルギーを送達する必要はないからである。従って、ペーシングは、分節性の設計を用いて変換器開口部の一部から、または代わりにより狭い音波ビームを発生させる別個の変換器開口部から振動エネルギーを送達することによって、達成され得る。別個の変換器を使用すると、この別個の変換器は、サイズがより小さく、異なる形状であってもよい。従って、本発明は、ケーブルにより接続された、1つ以上の変換器アセンブリから構成され得る(示されず)。
【0048】
所望の効果は、機械的効果であることが想定される。連続波モードにおいて変換器を作動させると、最大の熱的効果および最小の機械的効果がもたらされる。低デューティーサイクルかつ高振幅バーストモードで作動させると、熱的効果を最小になり、機械的効果は最大になる。いくらかの経験的証拠によれば、高いバースト速度(および短いバースト長さ)は、機械的効果に対するなおさらなる増強を提供するとさらに考えられる。結論として、好ましい設計は、温度限界に対する、可能な限り最も短いバースト長さ、最大振幅、およびデューティーサイクルのためである。
【0049】
上記の段落は、デバイスについてのパッケージング考慮事項のいくつかを議論した。まとめるために、開口部上のオーバーヘッド(overhead)は、最小、おそらく5〜10mmをデバイスの直径に付加していると予測される。このデバイスの厚みは、そのタイプおよび周波数によって規定される。エレクトロニクスパッケージ(およびバッテリー)は、変換器と組み合わされ得るかまたは2つのユニット間をケーブルでつないで別個にハウジングに収容され得る。
【0050】
図10は、可能なエレクトロニクスパッケージのブロック図を示す。このセンサ回路は、心臓をモニタリングし、このシステムの出力側は、一般に、不整脈事象が起こるはずである時間まで空転のままである。このセンサ回路は、CPUと一体化され得る。一旦事象が検出されると、このCPUは、バースト発生器を誘発し、このバースト発生器は、心臓が正常な律動に戻るような時間まで、予めプログラムされた一連のバーストを発生させる。この電気的バーストは、電力増幅器、インピーダンス整合回路、および変換器へと移る。バッテリーは、代表的には、CPUにおけるデジタル回路、遠隔測定器(telemetry)、センサ、およびバースト発生器、代表的には、センサおよび増幅器の前面端部にあるアナログ回路、および増幅器の出力段階のために高電圧を生成する電圧変換器に電力を供給する。モニタリング回路は、電力増幅器および変換器の実働性能について、CPUにフィードバックを提供する。
【0051】
除細動システムの作動寿命は、およそ数回の事象であり得、持続時間は、各々、数分間である。ペーシングシステムの作動寿命は、およそ1年以上であり得、5年まで延びる。1つまたは2つの市販の「D」セル程度のバッテリー容積が、予測される。増幅器およびインピーダンス整合回路は、およそ25立方センチメートル程度の容積を要し得、このデジタル部分は、およそ5立方センチメートル程度を要する。全部で、パッケージが、ヒトの胸部へと移植され得ると想定することは妥当である。経皮的誘導性エネルギー伝達を利用する蓄電池システムを使用すると、有益であり得る。
【0052】
図10の回路は、不整脈を終了させるように振動エネルギーを心臓に付与する条件下で、関連づけられた振動変換器を駆動するために適合され得る。特に、この振動変換器は、表3に特定される条件下で作動され得る。本発明のデバイスは、心周期に対する治療的な超音波または振動エネルギーバーストの同期化が可能であってもよいし、可能でなくてもよい。第1の実施形態において、一旦、律動異常が検出されると、このシステムは、心周期での時点に関係なく、予めプログラムされた治療プロトコルをすぐに開始する。第2の実施形態において、このシステムは、心周期の予め特定された間隔内の任意の時間の間に誘発し得る。第3の可能性のある実施形態において、このシステムは、はじめに、予めプログラムされたプロトコルのためにエネルギー付与され得るが、次いで、正常な律動が検出または予測されるにつれて、心周期の特定された時間間隔に分かれる。
【0053】
持続時間にわたって、振動エネルギーは、変換器周波数、バースト長さ(サイクルの回数)、バースト速度およびデューティーサイクルの関数として送達される。振動治療が、1完全心周期より短い持続時間にわたって適用され得ることが予測される。この振動エネルギー治療は、1心周期より長い間にわたって反復され得ることがさらに予測される。
【0054】
【表3】
これまで言及されているこのデバイス設計および実行は、一般に、心室不整脈および心房不整脈両方の処置のために有用である。しかし、ペーシング、電気的除細動または除細動を用いる心房不整脈および心室不整脈の処置はまた、変換器が、上記のものに加えて、身体の位置で展開される、身体の外側に存在する上記のものよりいくぶん単純であり得るシステムを用いて達成され得る。外部のシステムは、患者によるか、または医師によるか、または他の医療従事者によるかのいずれかで、いずれかの手動制御のために適合され得るか、あるいは移植されたデバイスと同様に、自動的に作動し得る。最も単純には、この振動変換器は、外部ユニットに組み込まれ得、これは、胸部前方(図11)または胸部後方(図12)のいずれかまたは両方に付与することができる。前方配置については、患者は、通常、テーブル、ベッド、または地面に横になっている;取り付けコード104によって外部発電器102に取り付けられた振動変換器100は、好ましくは、接触を高めるためにゲル層を使用して、患者の胸部の上に付与される。通常、この変換器100は、一般に、心臓の上に配置され、この変換器は、特定の領域(例えば、心房または心室)の上にエネルギーを指向するように構成され得る。
【0055】
代わりにまたはさらに、振動変換器110は、図12に例示されるように、横になっている患者の胸部の後方領域と接して、この患者のすぐ下に配置され得る。この変換器110はまた、コード114によって発電器112に接続され、この配置は、振動エネルギーを優先的に心臓のある領域に指向するために選択され得る。
【0056】
外部からの使用のために具現化されるシステムは、センサ回路、制御回路、電源、および発電機に組み込まれたバースト発生器(図11において構成要素102、および図12において構成要素112)を有する。このECGセンサは、この変換器ハウジングに組み込まれ得るか、または必要に応じて、標準的な経皮ECG電極が、ケーブルを介して身体および発生器に接続され得る。
【0057】
不整脈の処置はまた、1つ以上の移植された振動変換器(自動的に誘発される変換器および手動で誘発される変換器の両方を包含する)により達成され得る。変換器の自動誘発のための回路は、上記で議論されている。手動による誘発は、変換器の作動を開始するために、外部同調棒(wand)(例えば、無線周波数コントローラまたは磁力コントローラ)を用いて達成され得る。例えば、移植可能な変換器120は、図13Aおよび13Bに示されるように、胸部前方のある領域の皮下に、肋骨Rおよび/または胸骨の上に直接、および好ましくは、心臓の領域の上に、配置され得る。代わりに、またはさらに、この振動変換器130は、図14Aおよび14Bに示されるように、胸部の後方領域の皮下に移植され得る。この変換器130は、通常、肋骨Rの上に移植され、振動エネルギーを、心房領域または心室領域に優先的に送達するように配置される。
【0058】
この振動変換器の手動で制御される実施形態において、心電図を感知するための回路は、通常、この振動エネルギーの送達のタイミングを、心室QRSの検出に基づく心周期における適切な時点に同期化させるために含められる。
【0059】
上記は、本発明の好ましい実施形態の完全な記載であるが、種々の代替物、改変物、および等価物が、使用され得る。従って、上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって規定される、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】図1Aおよび図1Bは、生物組織を通って移動する長手方向振動波の概略図である。図1Aは、パルス反復期間(PRP)を示す。
【図1B】図1Aおよび図1Bは、生物組織を通って移動する長手方向振動波の概略図である。図1Bは、1つのパルスをより詳細に示す。
【図2】図2は、超音波ビームの周波数(波長)と焦点との間の関係の概略図である。
【図3】図3は、発散ビーム、軽度集束ビーム、および鋭く集束したビームをそれぞれ形成する、凸状開口部、平坦開口部、および凹状開口部からの高周波数ビームを示す。
【図4A】図4Aおよび図4Bは、本発明の振動変換器が移植されるべき解剖学的構造を示す。
【図4B】図4Aおよび図4Bは、本発明の振動変換器が移植されるべき解剖学的構造を示す。
【図5A】図5A〜図5Cは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための、代替的移植部位を示す。
【図5B】図5A〜図5Cは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための、代替的移植部位を示す。
【図5C】図5A〜図5Cは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための、代替的移植部位を示す。
【図6】図6は、本発明の原理に従って構築される振動変換器アセンブリの第一の実施形態を示す。
【図7】図7は、本発明の原理に従って構築される振動変換器アセンブリの第二の実施形態を示す。
【図8】図8は、本発明の原理に従って構築される振動変換器アセンブリの第三の実施形態を示す。
【図9A】図9Aおよび図9Bは、図8の振動変換器アセンブリを操作するために適切な、回路構成(図9A)および連続バーストパターン(図9B)を示す。
【図9B】図9Aおよび図9Bは、図8の振動変換器アセンブリを操作するために適切な、回路構成(図9A)および連続バーストパターン(図9B)を示す。
【図10】図10は、本発明の制御回路構造実施の実施形態を示す、ブロック図である。
【図11】図11は、本発明の手動変換器が前方胸壁の外部に配置されている、解剖学的位置を示す。
【図12】図12は、本発明の手動変換器が背中の後ろに外部配置されている、解剖学的位置を示す。
【図13A】図13Aおよび図13Bは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための移植部位を示す。
【図13B】図13Aおよび図13Bは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための移植部位を示す。
【図14A】図14Aおよび図14Bは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリの移植のための、胸部前方の代替部位を示す。
【図14B】図14Aおよび図14Bは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリの移植のための、胸部前方の代替部位を示す。
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、一般的には、医療デバイスおよび処置方法に関する。より具体的には、本発明は、振動エネルギーを用いて心律動異常を処置するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心律動異常(心室頻拍および心室細動を含む)は、西洋諸国における罹患率および死亡の主要原因である。そのような心律動異常を処置するための非常に成功率が高い技術は、一般的に、「心室電気除細動および除細動」と呼ばれ、電流が胸部に印加されて、心臓のリズムを同調化する。外部電気除細動および除細動装置の使用は、すなわち、電極パドルが胸部に外部から配置されて比較的高電流が印加される場合には、非常に有効であったが、当然、その装置と、その装置を使用可能な操作者との両方を利用することが必要である。より最近には、移植可能な電気除細動器(ICD)デバイスが、使用されるようになっており、これは、不整脈の発症後に自動的に介入するようにプログラムされている。ICDは、電気除細動、除細動、そして必要な場合にはペーシング治療を送達することによって、心臓のリズムを安定化する。そのようなICDは、生存を改善することが示されており、リスクのある患者における治療のスタンダードになっている。上記の言及は、心室不整脈に対してなされているが、心房不整脈もまた、ICDデバイスを用いて安定化される。
【0003】
しかし、ICDは、特定の不利点に悩まされる。現在、ICDの設計には、ぺーシング電流、電気除細動電流、および除細動電流を提供するために心臓上または心臓内に、1つ以上の電気リード線が移植される必要がある。そのようなリード線配置には、熟練者が必要とされ、患者は、その移植手順の間に放射線に曝される。移植されたリード線は、故障しやすく、心臓穿孔、凝固閉塞、および感染を引き起こし得る。破損または絶縁破損に起因するリード線の故障が、数年間後に患者集団のかなりの数において生じると報告されている。現在のICDにはまた、コンデンサを充電するために比較的長い時間(代表的には10秒間〜15秒間)が必要であり、このことは、致死性である可能性のある不整脈が検出された後の処置を遅らせる可能性がある。処置の遅延はまた、より高エネルギーの送達を成功させる必要がある。さらに、ICDを受けている多くの患者は、電気ショックが痛いことに気付き、そのICD発動が予測不能である性質によって、不安および恐怖が引き起こされ得る。
【0004】
心房細動は、心室細動および頻拍よりも一般的であるが、直接的に致死性ではなく、しかし、心房細動は、心耳における血栓形成に関連しており、塞栓性発作を引き起こす可能性を有する。心房細動は、左心房および右心房の両方における迅速かつ不規則な活動によって特徴付けられる。心房収縮が存在しない場合があり、しばしば、心房拡大が存在しない場合がある。協調した心房収縮が欠如していることによって、心臓出力が減少し得、他の心臓状態が悪化し得る。通常は致死性ではないが、心房細動中の患者は、胸部疼痛、疲労、立ちくらみ、および呼吸の浅さを経験し得る。心房細動に関連する迅速かつ不規則な心拍数および動悸は、患者にとって非常に悲惨であり得る。
【0005】
心房細動の処置は、一般的には、心室細動および頻拍の処置と類似している(すなわち、電気除細動)。他の場合、薬物は、心房細動を正常な洞調律へと変えるために十分であり得る。
【0006】
心房細動は、直接的には致死性ではなく、エピソードは頻繁に生じ、患者は、意識があり警戒するので、外部からかまたは移植可能なデバイスを使用してかのいずれかで、患者は、電気除細動を受けることにかなり不本意である。外部除細動について、患者は、一般的には、深い鎮静または全身麻酔を必要とする。移植可能な心房除細動器が開発されているが、患者は、そのような処置を歓迎せず、そのデバイスは、現在販売されていない。
【0007】
心房細動、心室頻拍、および心室細動(異常に速い心臓リズム)に悩まされる患者は、代表的には、その患者が異常に遅い心臓リズムを有するか心臓リズムを有さない傾向があるようにする構造的な心臓疾患(例えば、洞停止、洞徐脈、心臓ブロック、不全収縮など)を有する。さらに、異常に速い心臓リズムが突然終結すると、しばしば、その後に、異常に遅い心臓リズムであるかまたは心臓リズムがない一時的期間が続く。これらの理由のために、異常に速い心臓リズムを終了するための外部除細動器および移植除細動器の両方が、遅い心臓リズムまたは心臓リズムがないことを終了させる能力(ペーシングと呼ばれる)を組み込む。ICDデバイスについて、そのようなペーシング能力には、通常は、心臓中に移植された電気リード線を必要とする。外部デバイスについて、そのようなペーシング能力は、胸部電極を介して経皮電気エネルギーを送達することを使用する。これは、除細動のための電気エネルギーの送達に関連する疼痛と類似して、非常に痛い。
【0008】
これらの理由のために、上記の欠点のうちのいくつかまたはすべてを有さない、改良型ICDおよび外部除細動器を提供することが望ましい。特に、除細動を達成するために電流の印加に依存しない、そのようなICDおよび外部除細動器を提供することが望ましい。心臓中に構成要素を移植する必要がないICDおよび外部除細動器を提供することは、さらに望ましい。特に、ICDが心臓から離れて移植されてエネルギーを発し得るか、または実際には接触することなく心臓と相互作用し得る場合には、望ましい。そのようなICDは、移植するのが簡単であり、関連する合併症がほとんどなく、時間的遅延をほとんど伴わずに処置可能であり、そして有意な痛みも他の望ましくない副作用も伴わずに電気除細動および除細動を提供する。さらに、異常に速いか、異常に遅いか、または存在しない、心室リズムおよび心房リズムの両方を、現在のシステムよりも患者にとって受け入れられる様式で処置するためのICDおよび外部除細動器を提供することは、望ましい。これらの目的のうちの少なくともいくつかが、本明細書中下記のような発明によって満たされる。
【0009】
(2.背景技術の説明)
機械的ショック療法を使用する不整脈の処置を記載する特許としては、米国特許第6,439,236号;同第6,408,205号;同第6,330,475号;同第6,110,098号;同第5,433,731号;および同第4,651,716号;ならびにPCT出願WO 03/070323およびWO 99/061058が挙げられる。興味深い他の特許としては、米国特許第6,233,484号;同第5,800,464号;同第5,871,506号;同第5,292,338号;および同第5,165,403号が挙げられる。心臓に対する超音波エネルギーおよび/または機械的作用の効果を考察する医療刊行物としては、
【0010】
【化1】
【0011】
【化2】
が挙げられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、不整脈を終了させるために心臓の少なくとも一部に、制御された振動エネルギー(代表的には、超音波エネルギー)を送達することに依存する。その超音波エネルギーは、心臓から一定距離離れた位置から、しばしば、胸郭のすぐ外側の皮下位置から、送達され得る。従って、そのデバイスの移植は、従来の電気ICDの移植よりもかなり簡単であり、通常は、蛍光顕微鏡による案内を必要とせず、電気生理学の訓練をすることなく心臓学者および他の医師によっておそらく移植可能である。あるいは、上記エネルギーは、下記により詳細に記載されるように、患者の前胸部領域または後胸部領域における外部位置から送達され得る。
【0013】
本発明の方法およびデバイスは、心室不整脈または心房不整脈のいずれかもしくは両方を処置するために使用され得る。不整脈は、本明細書中においては、異常に速い心臓リズム、異常に遅い心臓リズム、または心臓リズムがないこととして、定義される。心室不整脈(不全収縮、心臓ブロック、心室頻拍、および心室細動を含み、必要に応じて、異常に遅い心房リズムまたは心房リズムがないことを含む)の処置のために、上記振動エネルギーは、心臓の心室領域へと優先的に向けられる。胸部および心臓の解剖学的構造が原因で、エネルギーは、通常は、以下により詳細に記載されるように、胸部または腹部の前方側から心室へと向けられる。
【0014】
心房不整脈(特に、心房細動であるが、洞停止および洞徐脈を含む)の処置のために、上記振動エネルギーは、心臓の心房領域へと優先的に向けられる。心房領域の種々の解剖学的構造が原因で、そのような振動エネルギーは、胸部および腹部の前方領域および後方領域のいずれかもしくは両方から送達され得る。
【0015】
すべての場合において、振動エネルギーの送達は、内部に移植されたデバイスまたは外部に適用されたデバイス(すなわち、患者の胸郭または胸部の外部へと上記振動エネルギーを直接送達するデバイス)を使用して、達成され得る。
【0016】
除細動のための超音波エネルギーの使用には、電気システムよりも低いエネルギー閾値および消費が必要であり得、従って、充電時間が長いコンデンサを使用する必要はない。さらに、上記超音波エネルギーは、神経を直接には刺激せず、それによって、電気ICDに関連している痛みを低減または排除する。
【0017】
振動エネルギーが不整脈の安定化をもたらす正確な機構は公知ではないが、その機構は、電気エネルギーの機構と類似すると、現在考えられている。特に、振動エネルギーの送達から生じる心筋組織の局所的な機械刺激は、機械電気的フィードバック機構(すなわち、振動刺激から生体電気シグナルへの変換)を介して、生体電気的応答を生じる。特に、その生体電気的刺激は、心臓および他の多くの器官に存在する機械感覚的イオンチャネルを介して生じると考えられる。医学文献は、そのようなイオンチャネルは、心臓における頻拍性不整脈の開始の原因であり得、細胞作用電位または早発心室波形(PVC)、頻拍、および細動の誘導に対して効果を有すると教示する。
【0018】
本発明の方法に従って印加される振動エネルギーが心律動異常を安定化し得る2つの潜在的機構が存在すると、考えられる。第一に、機械感覚的イオンチャネルの刺激が、起電性電流に直接影響を与え得る。第二の、但し可能性が低い機構は、特定のイオンチャネルのフラックスを変化させることによる間接的効果に依存する。
【0019】
本発明の第一の局面において、心律動異常を安定化するための方法は、
患者の心臓における不整脈の発生を検出する工程;
制御された振動エネルギーを、振動変換器から心臓へと、その不整脈を終了させる条件下で送達する工程、
を包含する。超音波エネルギーの送達は、通常は、移植された振動変換器を使用して実施されるが、いくつかの場合には、心臓の少なくとも一部へと下記の条件下で超音波エネルギーを送達するために適合された外部振動変換器を使用して実施され得る。
【0020】
振動エネルギーを心臓の心室領域へと指向する、心室不整脈の処置のために好ましい移植可能な振動変換器は、少なくとも部分的に、患者の肋骨の上に移植され得るか、または少なくとも部分的に、患者の肋骨の間の間隙内に移植され得るか、または少なくとも部分的に患者の肋骨の下に移植され得るか、または腹部に移植され得る。肋骨の間の間隙に移植された場合、その間隙は、自然の肋間隙である可能性があるが、あるいは、移植空間を規定するための1つ以上の肋骨を除去することによって生じ得る。腹部に移植される場合、移植可能な振動変換器は、腹腔内または腹腔外のいずれにあってもよい。
【0021】
心室不整脈の処置のためにこれまで記載されたデバイスおよび方法は、一般的には、心房不整脈の処置のためにも適切である。直接的に致死性ではない不整脈を有する患者、および/または直接的な医療監督下にある患者は、外部デバイスで、および/または患者もしくは主治医もしくは他の職員による手動コントロール下で、処置され得る。従って、自動検出制御、および不整脈事象の振動変換器ベースの自動検出の発動制御をかならずしも含まない、より単純な装置を使用することは、可能である。そのような外部システムを用いると、その装置は、心臓の心房領域または心室領域へと振動エネルギーを有効に指向するために、胸部前方および/または後方に配置され得る。同様に、その振動変換器は、心房または心室に振動エネルギーを指向するために、心臓の前側または後側のいずれかもしくは両方に移植され得る。例示的な移植部位が、下記により詳細に記載される。
【0022】
心室不整脈および心房不整脈のいずれかもしくは両方の処置のための振動エネルギーの送達は、1つの圧電変換素子を起動すること、圧電複合材を起動すること、その後、個々の振動変換セグメントを起動すること、短時間に組織に振動エネルギーの位相ビームを掃引することなどを包含し得る。振動エネルギーの性質は、下記に詳細に示されるが、通常は、0.02〜10MHzの範囲の周波数、5,000サイクル未満のバースト長さ、100kHz未満のバースト速度、50%未満のデューディーサイクル、50未満の機械指数、および4未満の熱指数を有する。通常は、心房細動および/または心室細動の処置のために、振動エネルギーは、心臓の筋肉量の少なくとも50%に、好ましくは心臓の筋肉量の少なくとも75%に、そしてしばしば心臓の筋肉量の少なくとも90%に、送達される。通常は、不全収縮または徐脈のペーシング処置のために、振動エネルギーは、心臓の筋肉量の50%未満に送達される。
【0023】
本発明の第二の局面において、心律動異常を安定化させるためのシステムは、
振動変換器;および
心臓における不整脈の発生を検出しそして上記振動変換器を作動させるための、制御回路構造、
を備える。その振動変換器は、好ましくは、患者の心臓付近の皮下空間において、患者内に移植可能であり、上記制御回路構造は、上記変換器が、制御された振動エネルギー(通常は超音波エネルギー)を、不整脈を終了させる条件下で心臓に送達するように適合される。そのような条件は、本発明の方法と組み合わせて上記に一般的に記載されている。
【0024】
上記振動変換器および制御回路構造は、通常は、共通のハウジング内にパッケージされるが、いくつかの場合には、別々の移植可能なハウジング内に別々にパッケージされ得、代表的には、ケーブルによって接続される。
【0025】
上記振動変換器は、上記の構造のうちのいずれかを含み得、この変換器は、上記の条件下で作動する。上記制御回路構造は、代表的には、不整脈の発生を検出するための、ECG要素または他の従来の回路構造を含み、通常は、この回路構造はまた、その変換器用の信号発生機、電力増幅器、インピーダンス整合回路をさらに含み、必要に応じて、多重セグメント化変換器のための複数のそのような回路構造を含む。通常は、バッテリまたは遠隔充電可能なバッテリ(例えば、高周波数伝達器を使用して再充電され得るバッテリ)をさらに含む。通常は、上記制御回路構造は、外部送信器および受信器と通信して通信(患者データの回収、ならびに上記制御回路構造のプログラミングおよび制御の両方を含む)を行うように、さらに適合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
本発明は、不整脈を終了させるために、振動エネルギー(特に超音波エネルギー)を、心臓組織へ指向することに依る。超音波エネルギーおよび生物学的組織の性質の理解は、有用である。
【0027】
生物学的組織における超音波は、図1Aおよび1Bに例示されるように、実質的には、もっぱら長手軸方向に進む波(longitudinal traveling wave)である。この波は、代表的には、反射も屈折もしなければ、直線で、1.5ミリメートル/マイクロ秒で進む。超音波は、CW(連続波)であり得、このことは、超音波が、いつでもオンにおいて、またはバーストモード(ある長さのオフ時間によって隔てられるオン時間の期間を含む(図1A))において存在することを意味する。オン期間およびオフ期間の長さは、同じであっても、異なっていてもよく、この「オン時間」と「オフ時間」の合計は、パルス反復期(pulse repetition period)(PRP)といわれる。図1Bに例示されるように、超音波は、瞬間的にピーク振幅に達するわけではない。立ち上がり時間および下降時間に伴うサイクル数は、デバイスのQ(線質係数(quality factor))にほぼ等しい。超音波の周期は、1完全サイクルの時間である。この周期の逆数は、周波数である。バーストは、任意の選択された周波数で起こり得る。このバースト速度は、パルス繰返し数(PRF)として規定され、このパルス繰り返し数は、パルス反復期の逆数(1/PRP)である。波の振幅は、圧力の項で(in terms of pressure)規定され得る。電力アプリケーション(power application)において、ピーク陽圧の大きさは、通常、ピーク陰圧の大きさより大きい。この波形は、非線形性であることに起因して、非対称である。これらの非線形性は、信号強度の関数として、身体中での音の速度が異なることから生じ、組織を通じる伝わる距離、および当然のことながら、振幅に依存する。
【0028】
上記の基本的な記述子から、他の超音波パラメーターが後に従う。そのデューティーサイクルは、超音波がオン状態にある時間の%として規定される。従って、連続波は、100%のデューティーサイクルを有する。強度は、超音波出力/単位面積である。さらなる一般的な定義は、Ispta(強度、空間的ピーク時間平均(spatial peak temporal average)、時間全体にわたる、ビームの中心における平均強度、およびIsppa(強度、空間的ピークパルス平均(spatial peak pulse average)、パルスの持続時間にわたってのみ平均される、ビームの中心における平均強度である。
【0029】
2つのさらなるパラメーターは、機械指数(MI)および熱指数(TI)である。MIは、ピーク陰圧(MPa単位)/周波数(MHz単位)の平方根として規定される。このパラメーターは、診断超音波について規定され、これは、超音波が広い範囲の周波数にわたって機械的損傷を引き起こす能力を示す。診断超音波についてのFDAガイドラインは、最大MI=1.9を認めている。軟組織についてのTIは、ビームにおける平均出力(mW単位)×周波数(MHz)/210として規定される。TIは、超音波が組織において熱的な生体効果をもたらす能力を規定し、ユニティー(unity)の値は、正常組織における理論的温度上昇1℃に対応する。これらの表現は、超音波についての重要な傾向を示す。所定の圧力に対して、周波数が低いほど、より大きな機械的生体効果を生じる傾向がある。さらに、より高い周波数については、より大きな熱的な生体効果の傾向がより強くなる。
【0030】
超音波ビームは、これが伝わる組織によって弱められる。組織の挙動は、超音波の減衰に対して何ら効果を有さない。5MHz未満の周波数において、血液中での減衰は、無視できる程度である。心筋、筋肉、脂肪および皮膚における減衰は、約0.3dB/MHz/センチメートル伝達経路である。結果として、1MHzのビームは、体壁および心臓を通ることによる減衰をほとんど受けない。超音波の全ての周波数は、空気を通して十分には伝わらない;これは、実質的には、完全に減衰される。肺内および腸内にあるガスは、本質的には、ビームを完全に遮断する。骨における減衰は、顕著に周波数依存性である。1MHzでの減衰は、12dBを超え、周波数に伴って、ほぼ線形的に大きくなる。100kHzでは、減衰は、無視できる程度である。
【0031】
超音波ビームは、放射器の開口部および周波数、ならびにそのビームが、連続波であるかバーストモード(パルス状)であるかに大きく依存する。単純な規則は、遠距離音場(far field)では、そのビーム幅は、波長/開口部によって与えられるということである。同じサイズの開口部を仮定すると、図2に例示されるように、低周波数(Lowf)ビームは、ほぼ等方性(全ての方向において等しい強度)であり得るが、高周波数(Highf)ビームは、集中される。さらに、開口部の形状は、ビームに影響を及ぼす。図3は、凸型開口部、平坦型開口部、および凹型開口部からの高周波数ビームを示し、これらの開口部からのビームは、それぞれ、分岐するビーム、緩やかに集中したビーム、するどく集中したビームを形成する。遠距離音場では、パルス状ビームおよび連続ビームは、ほぼ同じプロフィールを有する。しかし、近距離音場(near field)では、連続ビームは、開口部を横切る波面からの強め合う干渉および弱め合う干渉に起因して、それぞれ、複数のピークおよび谷によって特徴づけられる。超音波の短いバーストについては、強め合う干渉および弱め合う干渉は、開口部のより小さな部分からの部分からの放出に限定され、結果として、近距離音場放出プロフィールは、より均一である。
【0032】
図4Aおよび4Bを参照すると、本発明は、上記で一般に議論されるように、心臓電気的活動を安定化させるために、超音波および他の振動エネルギーを心臓Hの領域に指向することに依る。特に、除細動のために、最大の効果を呈するために、できる限り心臓の多くの部分に超音波エネルギーを指向できることが望ましい。通常、除細動のために、本発明は、心臓の少なくとも50%、好ましくは、少なくとも75%、およびより好ましくは90%以上への超音波エネルギーの指向を提供する。あるいは、超音波エネルギーをより小さな部分(例えば、心臓の50%未満)に指向できることが望ましくあり得る。なぜなら、このことは、ペーシングに有効であり得るからである。心臓が体壁(BW)、肋骨Rおよび胸骨Sの下に位置しているが、振動変換器アセンブリ(以下でより詳細に記載される)は、エネルギーを送達するために適切に位置づけられなければならない。骨および軟骨は、高周波数超音波エネルギーの伝わりを実質的に減衰させ、肺L(これは、空気で満たされている)は、このようなエネルギーの伝わりを完全に遮断する。
【0033】
一般に、図5Cに示されるように振動変換器アセンブリ10を肋骨Rおよび/もしくは胸骨Sの上、図5Bに示されるように肋骨Rの間もしくは適所に、または(おそらくあまり望ましくはないが)図5Aに示されるように肋骨Rの下のいずれかに移植することが好ましい。肋骨の下に移植される場合、この振動変換器アセンブリ10は、通常、心膜に配置されるかまたは心膜からわずかに前方に間隔を空けて配置される。あるいは、示されていないが、変換器アセンブリは、腹、腹腔の内側または外側のいずれかに移植されてもよい。
【0034】
ここで図6を参照すると、第一の例示的な振動変換器アセンブリ10Aは、4分の1波前面整合デバイスを備える。圧電セラミック12の2分の1波の厚さは、リード線17を有する薄膜電極14と、第一の表面の上に配置された4分の1波整合層16との間に挟まれる。圧電セラミック12は、その後表面に空気空洞20を有するハウジング18内に配置される。この様式で、4分の1波整合層16は、アセンブリ10Aの前表面を提供し、そしてこのハウジングの縁部および背面は、機械的な支持を提供するために十分に強いことのみが必要とされる。空気空洞20は、代表的に、約1mmの幅を有し、そしてセラミック層および整合層の厚さは、所望の操作周波数に依存して、変化する。以下の表1は、セラミック層12および整合層16の操作周波数および厚さを示す。
【0035】
【表1】
本発明の方法は、おそらく、超音波の機械的効果から生じる。従って、極大周波数は、およそ1MHzであり得る。構造的な視点から、0.10MHzにおいて、このデバイスパッケージの厚さは、およそ30mmの厚さであり得、おそらく、移植物について認容可能な最大値である。このデバイスが、肋骨の上方に移植される必要がある場合、または外部に配置される必要がある場合、より低い周波数が好ましい。0.25MHzにおいて、骨に起因する減衰が最少になり得、従って、0.10〜0.5MHzの範囲の操作周波数が提唱される。
【0036】
従来の4分の1波デバイスを用いて、0.25MHz未満で操作することは、このデバイスを駆動するために必要とされる、より高い電圧に起因して、特に有利ではないかもしれない。また、このデバイスは、より厚くなるので、かなり重くなる。
【0037】
示されるように、変換器アセンブリ10Aは、セラミックの代わりに、1−3圧電複合材料で置き換えられ得る。圧電複合材料は、ポリマーマトリックス中の圧電セラミックポストからなる。このような材料は、特定の周波数を達成するために必要とされる等価な純セラミック材料より薄く、そして整合層を提供する必要がない。従って、絶縁を提供する単純なシールが、図6の整合層16の代わりに用いられ得る。圧電複合材料についての適切な厚さは、以下の表2に示される。
【0038】
【表2】
より薄いパッケージを作製することに加えて、圧電複合材料は、これらが容易に湾曲し得るか、潜在的に、解剖学的特徴に一致し得るか、または変換器ビームプロフィールを最適化し得る点で、別の有意な利点を有する。任意の曲率が、このデバイスの焦点特徴に影響を与えることを、覚えておかなければならない。
【0039】
ここで図7を参照すると、振動変換器アセンブリ10Bは、Tonpilz変換器に対する改変物として形成され得、ここで、圧電デバイス30(圧電材料の積層体として示される)は、前振動器32において、超音波振動を誘導する。パッケージ34は、この変換器アセンブリの操作のために必要な、裾の質量を提供する。必要に応じて、前表面振動器32を、セラミック積層体30およびハウジング34に対して保持するための構造体(図示せず)が提供され得る。表面振動器の強い振動は、セラミック材料および/または結合材料の引張り強度を超え得る。このような変換器アセンブリは、0.1MHz以下の低周波数での操作に、特によく適する。
【0040】
除細動のために、本発明のデバイスは、心臓の比較的大きい部分にわたって、超音波エネルギーまたは他の振動エネルギーを送達する目的で、比較的広い音響ビームを発生させる、開口部を必要とする。生物学的制約に起因して、この変換器は、常に、心臓に近く近接し、従って、この心臓は、この音響ビームの場の近くにあり得る。長さ12cmおよび幅10cmという、代表的な人心臓の寸法に対して、超音波エネルギーまたは他の振動エネルギーの開口部は、代表的に、およそ10cmの直径を有する円形であり、より好ましくは、12cmの長軸および10cmの短軸を有する楕円形であり、そして最も好ましくは、治療エネルギーで心筋層を最大に覆うことを確実にするために、心臓の寸法をわずかに超える、超音波エネルギーまたは他の振動エネルギーの開口部を有する楕円形である。多くの異なる大きさのデバイスが、異なる患者の大きさの必要性に合うために必要とされ得ることが、認識される。
【0041】
デバイスの設計に対するさらなる変形物が、可能である。具体的には、最近開発された高ひずみ材料(例えば、単結晶圧電素子またはポリマー圧電素子)が、使用され得る。単結晶の場合、現在の技術は、心臓のかなりの割合を覆うように投影される大きさと一致する寸法を、材料に提供しない。その結果、圧電材料の個々の片またはセクション40のモザイク構造が、図8に図示されるように、使用され得る。これらのセクション40は、ケーシング44内の超音波放射性開口部42の内部に配置される。個々の片の大きさは、現在の製造技術と両立し、現在は、1辺が約1インチである。これらの単結晶は、個々の信号発生器、駆動増幅器、および/またはインピーダンス整合回路を、並列作動または直列作動のために有し得る。あるいは、これらの単結晶は、単一の信号発生器、電力増幅器、および整合回路によって、連続的な(多重化された)様式で駆動され得る。これらの単結晶は、図6に図示されるように、従来の圧電素子のために使用されるような、前面インピーダンス整合(4分の1波の厚さ)を使用し得る。個々の片のモザイクは、平坦な同一平面の表面上に設置され得るか、またはこれらのデバイスは、患者の皮膚の下へのより良好な移植のために、このデバイスの前表面に、凹状表面もしくは凸状表面のいずれかを与えるように、設置され得る。同様に、ポリマーデバイスは、患者の皮膚の下での音響カップリングのために適切であるように、平坦であっても湾曲していてもよい。ポリマーデバイスは、おそらく、前面のインピーダンス整合層を必要とせず、高インピーダンスのバッキング層で裏打ちされて、出力される音響エネルギーの可能な限り多くを患者内に発射し得る。変換器のための駆動材料はまた、他の任意の電気機械的材料を含み得、1つの具体的な例は、磁気ひずみ材料である。
【0042】
このデバイスは、高電圧および高電流で駆動され得る。適切な電気インピーダンス整合の後に、バッテリーの電流ドレインは、このバッテリーの性能を超え得る。従って、図8に示され、上記のように、圧電性の複数の個々の部品へと開口部をセグメントに分けることが提唱される。この場合、各要素は、個々の電力増幅器、インピーダンス整合回路および信号発生器(または個々のデバイスにゲート制御された信号発生器)によって駆動され得る。あるいは、この単結晶は、単一発生装置、電力増幅器、および整合回路によって、逐次的(多重化)様式で駆動され得る。このようにして、次いで、心臓への曝露は、分節性である。例えば、開口部が10個の要素からなっていた場合、1MHzで5サイクルにより作動させると、各要素は、50マイクロ秒ごとに作動され得、有効な10%デューティーサイクルが可能になり得る。このことは、バッテリーに対して要求されるピーク電流を10分の1に減少させる。
【0043】
図9Aおよび9Bは、分節された開口部から直列バーストを生成するための1つのあり得る回路構成を示し、さらに、開口部内で個々の要素の各々からのインターレースした出力(interlaced output)を示す。心周期の小部分の間に全ての要素から多重バーストを生成することが可能である。心筋は、同時に起こる超音波曝露を効率的に経験する。より小さな要素から拡がる過剰なビームおよび遠距離音場信号強度の喪失を防止するために、この概念の実行において、注意が払われなければならない。低周波数デバイスは、高周波数デバイスよりもこの問題をより抱える傾向にある。
【0044】
あるいは、電気機械的材料の個々の要素の分節された開口部、または圧電複合材料の1つからいくつかのポストのクラスターは、いくつかの特定の方向のうちの1つにおいて超音波ビームを作り出すように、位相の合った列において駆動され得る。「位相を合わせる(phasing)」とは、開口部の全ての要素またはセグメントに付与される駆動信号が、各要素またはセグメントからの波面が同時に指定された組織塊に達する(強め合う干渉)ように、タイムディレイを有することを意味する。この組織塊における振幅は、位相を合わせた開口部の集中効果に起因してより大きくなるが、このビームは、処置を要する組織の領域全体をもやは網羅しないかもしれない。結論として、迅速な遷移(succession)において、オン時間は、心周期の時間と比較して、非常に小さく、率に応じて定められ、このビームは、超音波で処置の領域全体を均一に効率的に曝すように、この領域における複数の組織塊に指向され得る。
【0045】
整列相モードにおける作動のための回路構成は、図9Aに示される回路構成に極めて類似し得る。整列相作動について、全ての要素は、異なるタイムディレイにもかかわらず、同じ時間で作動する。そのバースト発生器は、多重器(MUX)を介して特定の増幅器/要素に指向される異なるタイムディレイを提供する。タイムディレイの複数の設定は、複数の方向におけるビームを生じる。
【0046】
小型の二次元フォーマットにおける開口部をセグメントに分ける代わりに、この開口部は、線形配置において一連のセグメントまたは要素から構成され得る。このような要素のアレイは、振動エネルギーを心臓へと肋骨の間から指向するために、移植または外側に固定され得る。実際に、第2の列の要素は、第1列の要素の上または下のいずれかで、振動エネルギーを心臓へと別の肋間隙を通って指向するために、類似のフォーマットで実行され得る。代わりに、または連動して、ある列の要素は、胸骨の上で実行され得る。超音波ビームのいくらかの減衰が存在するものの、振動エネルギーを胸骨を通って指向させることは、心臓への経路が肺組織によって妨げられないことを確実にする。単一のまたは複数の線形列の開口部セグメントまたは要素は、並行フォーマットもしくは直列フォーマットにおいて電気的に駆動され得るか、または心臓の特定の領域の標的化たのためもしくは心臓のより多くの部分を通る超音波ビームを掃引するための整列フォーマットにおいて駆動され得る。
【0047】
ペーシング治療のために、本発明のデバイスは、広い音波ビームを発生するための開口部は必要としない。なぜなら、音波ビームが心臓の大部分へエネルギーを送達する必要はないからである。従って、ペーシングは、分節性の設計を用いて変換器開口部の一部から、または代わりにより狭い音波ビームを発生させる別個の変換器開口部から振動エネルギーを送達することによって、達成され得る。別個の変換器を使用すると、この別個の変換器は、サイズがより小さく、異なる形状であってもよい。従って、本発明は、ケーブルにより接続された、1つ以上の変換器アセンブリから構成され得る(示されず)。
【0048】
所望の効果は、機械的効果であることが想定される。連続波モードにおいて変換器を作動させると、最大の熱的効果および最小の機械的効果がもたらされる。低デューティーサイクルかつ高振幅バーストモードで作動させると、熱的効果を最小になり、機械的効果は最大になる。いくらかの経験的証拠によれば、高いバースト速度(および短いバースト長さ)は、機械的効果に対するなおさらなる増強を提供するとさらに考えられる。結論として、好ましい設計は、温度限界に対する、可能な限り最も短いバースト長さ、最大振幅、およびデューティーサイクルのためである。
【0049】
上記の段落は、デバイスについてのパッケージング考慮事項のいくつかを議論した。まとめるために、開口部上のオーバーヘッド(overhead)は、最小、おそらく5〜10mmをデバイスの直径に付加していると予測される。このデバイスの厚みは、そのタイプおよび周波数によって規定される。エレクトロニクスパッケージ(およびバッテリー)は、変換器と組み合わされ得るかまたは2つのユニット間をケーブルでつないで別個にハウジングに収容され得る。
【0050】
図10は、可能なエレクトロニクスパッケージのブロック図を示す。このセンサ回路は、心臓をモニタリングし、このシステムの出力側は、一般に、不整脈事象が起こるはずである時間まで空転のままである。このセンサ回路は、CPUと一体化され得る。一旦事象が検出されると、このCPUは、バースト発生器を誘発し、このバースト発生器は、心臓が正常な律動に戻るような時間まで、予めプログラムされた一連のバーストを発生させる。この電気的バーストは、電力増幅器、インピーダンス整合回路、および変換器へと移る。バッテリーは、代表的には、CPUにおけるデジタル回路、遠隔測定器(telemetry)、センサ、およびバースト発生器、代表的には、センサおよび増幅器の前面端部にあるアナログ回路、および増幅器の出力段階のために高電圧を生成する電圧変換器に電力を供給する。モニタリング回路は、電力増幅器および変換器の実働性能について、CPUにフィードバックを提供する。
【0051】
除細動システムの作動寿命は、およそ数回の事象であり得、持続時間は、各々、数分間である。ペーシングシステムの作動寿命は、およそ1年以上であり得、5年まで延びる。1つまたは2つの市販の「D」セル程度のバッテリー容積が、予測される。増幅器およびインピーダンス整合回路は、およそ25立方センチメートル程度の容積を要し得、このデジタル部分は、およそ5立方センチメートル程度を要する。全部で、パッケージが、ヒトの胸部へと移植され得ると想定することは妥当である。経皮的誘導性エネルギー伝達を利用する蓄電池システムを使用すると、有益であり得る。
【0052】
図10の回路は、不整脈を終了させるように振動エネルギーを心臓に付与する条件下で、関連づけられた振動変換器を駆動するために適合され得る。特に、この振動変換器は、表3に特定される条件下で作動され得る。本発明のデバイスは、心周期に対する治療的な超音波または振動エネルギーバーストの同期化が可能であってもよいし、可能でなくてもよい。第1の実施形態において、一旦、律動異常が検出されると、このシステムは、心周期での時点に関係なく、予めプログラムされた治療プロトコルをすぐに開始する。第2の実施形態において、このシステムは、心周期の予め特定された間隔内の任意の時間の間に誘発し得る。第3の可能性のある実施形態において、このシステムは、はじめに、予めプログラムされたプロトコルのためにエネルギー付与され得るが、次いで、正常な律動が検出または予測されるにつれて、心周期の特定された時間間隔に分かれる。
【0053】
持続時間にわたって、振動エネルギーは、変換器周波数、バースト長さ(サイクルの回数)、バースト速度およびデューティーサイクルの関数として送達される。振動治療が、1完全心周期より短い持続時間にわたって適用され得ることが予測される。この振動エネルギー治療は、1心周期より長い間にわたって反復され得ることがさらに予測される。
【0054】
【表3】
これまで言及されているこのデバイス設計および実行は、一般に、心室不整脈および心房不整脈両方の処置のために有用である。しかし、ペーシング、電気的除細動または除細動を用いる心房不整脈および心室不整脈の処置はまた、変換器が、上記のものに加えて、身体の位置で展開される、身体の外側に存在する上記のものよりいくぶん単純であり得るシステムを用いて達成され得る。外部のシステムは、患者によるか、または医師によるか、または他の医療従事者によるかのいずれかで、いずれかの手動制御のために適合され得るか、あるいは移植されたデバイスと同様に、自動的に作動し得る。最も単純には、この振動変換器は、外部ユニットに組み込まれ得、これは、胸部前方(図11)または胸部後方(図12)のいずれかまたは両方に付与することができる。前方配置については、患者は、通常、テーブル、ベッド、または地面に横になっている;取り付けコード104によって外部発電器102に取り付けられた振動変換器100は、好ましくは、接触を高めるためにゲル層を使用して、患者の胸部の上に付与される。通常、この変換器100は、一般に、心臓の上に配置され、この変換器は、特定の領域(例えば、心房または心室)の上にエネルギーを指向するように構成され得る。
【0055】
代わりにまたはさらに、振動変換器110は、図12に例示されるように、横になっている患者の胸部の後方領域と接して、この患者のすぐ下に配置され得る。この変換器110はまた、コード114によって発電器112に接続され、この配置は、振動エネルギーを優先的に心臓のある領域に指向するために選択され得る。
【0056】
外部からの使用のために具現化されるシステムは、センサ回路、制御回路、電源、および発電機に組み込まれたバースト発生器(図11において構成要素102、および図12において構成要素112)を有する。このECGセンサは、この変換器ハウジングに組み込まれ得るか、または必要に応じて、標準的な経皮ECG電極が、ケーブルを介して身体および発生器に接続され得る。
【0057】
不整脈の処置はまた、1つ以上の移植された振動変換器(自動的に誘発される変換器および手動で誘発される変換器の両方を包含する)により達成され得る。変換器の自動誘発のための回路は、上記で議論されている。手動による誘発は、変換器の作動を開始するために、外部同調棒(wand)(例えば、無線周波数コントローラまたは磁力コントローラ)を用いて達成され得る。例えば、移植可能な変換器120は、図13Aおよび13Bに示されるように、胸部前方のある領域の皮下に、肋骨Rおよび/または胸骨の上に直接、および好ましくは、心臓の領域の上に、配置され得る。代わりに、またはさらに、この振動変換器130は、図14Aおよび14Bに示されるように、胸部の後方領域の皮下に移植され得る。この変換器130は、通常、肋骨Rの上に移植され、振動エネルギーを、心房領域または心室領域に優先的に送達するように配置される。
【0058】
この振動変換器の手動で制御される実施形態において、心電図を感知するための回路は、通常、この振動エネルギーの送達のタイミングを、心室QRSの検出に基づく心周期における適切な時点に同期化させるために含められる。
【0059】
上記は、本発明の好ましい実施形態の完全な記載であるが、種々の代替物、改変物、および等価物が、使用され得る。従って、上記の説明は、添付の特許請求の範囲によって規定される、本発明の範囲を限定するとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1A】図1Aおよび図1Bは、生物組織を通って移動する長手方向振動波の概略図である。図1Aは、パルス反復期間(PRP)を示す。
【図1B】図1Aおよび図1Bは、生物組織を通って移動する長手方向振動波の概略図である。図1Bは、1つのパルスをより詳細に示す。
【図2】図2は、超音波ビームの周波数(波長)と焦点との間の関係の概略図である。
【図3】図3は、発散ビーム、軽度集束ビーム、および鋭く集束したビームをそれぞれ形成する、凸状開口部、平坦開口部、および凹状開口部からの高周波数ビームを示す。
【図4A】図4Aおよび図4Bは、本発明の振動変換器が移植されるべき解剖学的構造を示す。
【図4B】図4Aおよび図4Bは、本発明の振動変換器が移植されるべき解剖学的構造を示す。
【図5A】図5A〜図5Cは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための、代替的移植部位を示す。
【図5B】図5A〜図5Cは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための、代替的移植部位を示す。
【図5C】図5A〜図5Cは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための、代替的移植部位を示す。
【図6】図6は、本発明の原理に従って構築される振動変換器アセンブリの第一の実施形態を示す。
【図7】図7は、本発明の原理に従って構築される振動変換器アセンブリの第二の実施形態を示す。
【図8】図8は、本発明の原理に従って構築される振動変換器アセンブリの第三の実施形態を示す。
【図9A】図9Aおよび図9Bは、図8の振動変換器アセンブリを操作するために適切な、回路構成(図9A)および連続バーストパターン(図9B)を示す。
【図9B】図9Aおよび図9Bは、図8の振動変換器アセンブリを操作するために適切な、回路構成(図9A)および連続バーストパターン(図9B)を示す。
【図10】図10は、本発明の制御回路構造実施の実施形態を示す、ブロック図である。
【図11】図11は、本発明の手動変換器が前方胸壁の外部に配置されている、解剖学的位置を示す。
【図12】図12は、本発明の手動変換器が背中の後ろに外部配置されている、解剖学的位置を示す。
【図13A】図13Aおよび図13Bは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための移植部位を示す。
【図13B】図13Aおよび図13Bは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリのための移植部位を示す。
【図14A】図14Aおよび図14Bは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリの移植のための、胸部前方の代替部位を示す。
【図14B】図14Aおよび図14Bは、本発明の振動変換器および変換器アセンブリの移植のための、胸部前方の代替部位を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心律動異常を安定化するための方法であって、該方法は、以下:
患者の心臓における不整脈の発生を検出する工程;
制御された振動エネルギーを、振動変換器から該心臓へと、該不整脈を終了させる条件下で送達する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記不整脈が、心室性であり、そして前記エネルギーが、前記心臓の心室領域へと優先的に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不整脈が、心房性であり、そして前記エネルギーが、前記心臓の心房領域へと優先的に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記送達が、移植された振動変換器によって実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記振動変換器が、少なくとも部分的に、前記患者の肋骨の下に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記振動変換器が、少なくとも部分的に、前記患者の肋骨隙に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記振動変換器が、少なくとも部分的に、前記患者の肋骨の上方に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記振動変換器が、腹領域に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記振動変換器が、胸骨の上方の、前胸部の皮下空間に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記振動変換器が、前記肋骨の上方の、前胸部の皮下空間に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記振動変換器が、後胸部の皮下空間に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記送達が、外部振動変換器を用いて実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記振動変換器が、前胸部の上方に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記振動変換器が、患者の背中に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記振動エネルギーを送達する工程が、個々の振動変換器セグメントに連続的にエネルギー付与する工程を包含し、該セグメントのうちの少なくともいくつかは、振動エネルギーを、前記心臓の異なる領域に指向する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記振動エネルギーを送達する工程が、個々の振動変換器セグメントに連続的にエネルギー付与する工程を包含し、該セグメントのうちの少なくともいくつかは、振動エネルギーを、前記心臓の同じ領域に指向する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記振動変換器が、エアバッキングを有するハウジング内に配置された、単一の圧電素子から本質的になる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記振動変換器が、ポリマーマトリックス中の圧電セラミックポストを備える圧電複合材料を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記振動エネルギーが、0.02〜10MHzの範囲の周波数、5,000サイクル未満のバースト長さ、100kHz未満のバースト速度、50%未満のデューディーサイクル、50未満の機械指数、および4未満の熱指数を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記振動エネルギーが、前記心臓の少なくとも50%に送達される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記振動エネルギーが、前記心臓の50%未満に選択的に送達される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
心律動異常を安定化させるためのシステムであって、該システムは、以下:
患者内に移植可能な振動変換器;および
不整脈の発生を検出し、そして該振動変換器を作動させて、制御された振動エネルギーを、心臓に、該不整脈を終了させる条件下で送達するための、制御回路構造、
を備える、システム。
【請求項23】
前記振動変換器および前記制御回路構造が、共通のハウジング内にパッケージされている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記振動変換器および前記制御回路構造が、別々に移植可能なハウジング内にパッケージされており、前記システムが、該ハウジングを接続するためのケーブルをさらに備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記振動変換器が、エアバッキングを有するハウジング内に配置された、単一の圧電素子から本質的になる、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記振動変換器が、ポリマーマトリックス中の圧電セラミックポストを備える圧電複合材料を備える、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記振動変換器が、別個に駆動される複数のセグメントを備え、該セグメントは、前記システムが移植される場合に、前記心臓の同じ領域に、振動エネルギーを連続的に指向するように配置されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記振動変換器が、別個に駆動される複数のセグメントを備え、該セグメントは、前記システムが移植される場合に、前記心臓の異なる領域に振動エネルギーを連続的に指向するように配置されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記振動変換器が、移植される場合に、前記心臓の少なくとも50%に振動エネルギーを送達するように適合されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記振動変換器が、移植される場合に、前記心臓の50%未満にエネルギーを送達するように適合されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記制御回路構造が、0.02〜10MHzの範囲の周波数、5,000サイクル未満のバースト長さ、100kHz未満のバースト速度、50%未満のデューディーサイクル、50未満の機械指数、および4未満の熱指数で、前記振動変換器を駆動する、請求項22〜30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記制御回路構造が、ECG要素を備え、該ECG要素は、不整脈の発生を検出し、そして該検出に応答して、振動エネルギーの送達を同期させるためのものである、請求項22〜31のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記制御回路構造が、電力増幅器、インピーダンス整合回路、および信号発生器を、前記振動変換器の各セグメントに対して備える、請求項22〜32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記制御回路構造が、遠隔充電可能なバッテリを備える、請求項22〜33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記制御回路構造が、外部制御器との通信のための、送信機および/または受信機を備える、請求項22〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記制御回路構造が、心室性細動または心室性頻拍を検出するように適合されている、請求項22〜35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記制御回路構造が、心房性細動を検出するように適合されている、請求項22〜35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記制御回路構造が、前記心室に対するプログラムされた設定より低い速度を有する任意の律動を検出するように適合されている、請求項22〜35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記制御回路構造が、前記心房に対するプログラムされた設定より低い速度を有する任意の律動を検出するように適合されている、請求項22〜35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
患者の心臓における心律動異常を安定化させるためのシステムであって、該システムは、以下:
振動変換器;および
制御回路構造であって、該振動変換器を作動させて、制御された振動エネルギーを、該心臓の標的領域へと、該律動異常を終了させる条件下で送達するための、回路構造、
を備える、システム。
【請求項41】
前記振動変換器が、前記患者の皮膚の外側表面と接触し、そして前記心臓の標的領域の上にある組織を通して、前記振動エネルギーを送達するように適合されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記標的領域が、前記心臓の心房の少なくとも一部分を含む、請求項40または41のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項43】
前記標的領域が、前記心臓の心室の少なくとも一部分を含む、請求項40または41に記載のシステム。
【請求項44】
前記制御回路構造が、前記振動変換器を作動させるための、電力増幅器、インピーダンス整合回路、および信号発生器を備える、請求項40〜43のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
前記制御回路構造が、ECG要素を備え、該ECG要素は、不整脈の発生を検出するため、および該検出に応答して、振動エネルギーの送達を同期させるためのものである、請求項40〜44のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項46】
前記制御回路構造が、手動送達のために適合されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記制御回路構造が、前記検出に応答しての自動送達のために適合されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項1】
心律動異常を安定化するための方法であって、該方法は、以下:
患者の心臓における不整脈の発生を検出する工程;
制御された振動エネルギーを、振動変換器から該心臓へと、該不整脈を終了させる条件下で送達する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記不整脈が、心室性であり、そして前記エネルギーが、前記心臓の心室領域へと優先的に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記不整脈が、心房性であり、そして前記エネルギーが、前記心臓の心房領域へと優先的に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記送達が、移植された振動変換器によって実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記振動変換器が、少なくとも部分的に、前記患者の肋骨の下に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記振動変換器が、少なくとも部分的に、前記患者の肋骨隙に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記振動変換器が、少なくとも部分的に、前記患者の肋骨の上方に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記振動変換器が、腹領域に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記振動変換器が、胸骨の上方の、前胸部の皮下空間に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記振動変換器が、前記肋骨の上方の、前胸部の皮下空間に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記振動変換器が、後胸部の皮下空間に移植される、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記送達が、外部振動変換器を用いて実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記振動変換器が、前胸部の上方に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記振動変換器が、患者の背中に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記振動エネルギーを送達する工程が、個々の振動変換器セグメントに連続的にエネルギー付与する工程を包含し、該セグメントのうちの少なくともいくつかは、振動エネルギーを、前記心臓の異なる領域に指向する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記振動エネルギーを送達する工程が、個々の振動変換器セグメントに連続的にエネルギー付与する工程を包含し、該セグメントのうちの少なくともいくつかは、振動エネルギーを、前記心臓の同じ領域に指向する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記振動変換器が、エアバッキングを有するハウジング内に配置された、単一の圧電素子から本質的になる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記振動変換器が、ポリマーマトリックス中の圧電セラミックポストを備える圧電複合材料を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記振動エネルギーが、0.02〜10MHzの範囲の周波数、5,000サイクル未満のバースト長さ、100kHz未満のバースト速度、50%未満のデューディーサイクル、50未満の機械指数、および4未満の熱指数を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記振動エネルギーが、前記心臓の少なくとも50%に送達される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記振動エネルギーが、前記心臓の50%未満に選択的に送達される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
心律動異常を安定化させるためのシステムであって、該システムは、以下:
患者内に移植可能な振動変換器;および
不整脈の発生を検出し、そして該振動変換器を作動させて、制御された振動エネルギーを、心臓に、該不整脈を終了させる条件下で送達するための、制御回路構造、
を備える、システム。
【請求項23】
前記振動変換器および前記制御回路構造が、共通のハウジング内にパッケージされている、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記振動変換器および前記制御回路構造が、別々に移植可能なハウジング内にパッケージされており、前記システムが、該ハウジングを接続するためのケーブルをさらに備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記振動変換器が、エアバッキングを有するハウジング内に配置された、単一の圧電素子から本質的になる、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記振動変換器が、ポリマーマトリックス中の圧電セラミックポストを備える圧電複合材料を備える、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記振動変換器が、別個に駆動される複数のセグメントを備え、該セグメントは、前記システムが移植される場合に、前記心臓の同じ領域に、振動エネルギーを連続的に指向するように配置されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記振動変換器が、別個に駆動される複数のセグメントを備え、該セグメントは、前記システムが移植される場合に、前記心臓の異なる領域に振動エネルギーを連続的に指向するように配置されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記振動変換器が、移植される場合に、前記心臓の少なくとも50%に振動エネルギーを送達するように適合されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記振動変換器が、移植される場合に、前記心臓の50%未満にエネルギーを送達するように適合されている、請求項22〜24のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記制御回路構造が、0.02〜10MHzの範囲の周波数、5,000サイクル未満のバースト長さ、100kHz未満のバースト速度、50%未満のデューディーサイクル、50未満の機械指数、および4未満の熱指数で、前記振動変換器を駆動する、請求項22〜30のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記制御回路構造が、ECG要素を備え、該ECG要素は、不整脈の発生を検出し、そして該検出に応答して、振動エネルギーの送達を同期させるためのものである、請求項22〜31のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項33】
前記制御回路構造が、電力増幅器、インピーダンス整合回路、および信号発生器を、前記振動変換器の各セグメントに対して備える、請求項22〜32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記制御回路構造が、遠隔充電可能なバッテリを備える、請求項22〜33のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項35】
前記制御回路構造が、外部制御器との通信のための、送信機および/または受信機を備える、請求項22〜34のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記制御回路構造が、心室性細動または心室性頻拍を検出するように適合されている、請求項22〜35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記制御回路構造が、心房性細動を検出するように適合されている、請求項22〜35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記制御回路構造が、前記心室に対するプログラムされた設定より低い速度を有する任意の律動を検出するように適合されている、請求項22〜35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項39】
前記制御回路構造が、前記心房に対するプログラムされた設定より低い速度を有する任意の律動を検出するように適合されている、請求項22〜35のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項40】
患者の心臓における心律動異常を安定化させるためのシステムであって、該システムは、以下:
振動変換器;および
制御回路構造であって、該振動変換器を作動させて、制御された振動エネルギーを、該心臓の標的領域へと、該律動異常を終了させる条件下で送達するための、回路構造、
を備える、システム。
【請求項41】
前記振動変換器が、前記患者の皮膚の外側表面と接触し、そして前記心臓の標的領域の上にある組織を通して、前記振動エネルギーを送達するように適合されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記標的領域が、前記心臓の心房の少なくとも一部分を含む、請求項40または41のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項43】
前記標的領域が、前記心臓の心室の少なくとも一部分を含む、請求項40または41に記載のシステム。
【請求項44】
前記制御回路構造が、前記振動変換器を作動させるための、電力増幅器、インピーダンス整合回路、および信号発生器を備える、請求項40〜43のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
前記制御回路構造が、ECG要素を備え、該ECG要素は、不整脈の発生を検出するため、および該検出に応答して、振動エネルギーの送達を同期させるためのものである、請求項40〜44のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項46】
前記制御回路構造が、手動送達のために適合されている、請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記制御回路構造が、前記検出に応答しての自動送達のために適合されている、請求項45に記載のシステム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【公表番号】特表2007−523670(P2007−523670A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517293(P2006−517293)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/019082
【国際公開番号】WO2004/112886
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505465977)イービーアール システムズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/019082
【国際公開番号】WO2004/112886
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(505465977)イービーアール システムズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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