説明

心房内に埋め込むためのカニューレ、およびそれに関連したシステム、ならびにその方法

心房内に埋め込むためのカニューレ(10)は長手軸(24)に沿って延在した内腔(22)と、第1端部(18)と、第2端部(20)と、を備えた細長いボディ(16)を含んでいる。第1端部および第2端部(18,20)は内腔(22)に開口部(26a,26b)を形成し、第二端部(20)は平坦部(32)を含んでいる。拡張端部(30)は第2端部(20)の平坦部(32)から第1端部(18)に向かう方向において延在し、且つ長手軸(24)から第1端部に向かう方向において径方向外側に向かって拡張している。リング部材(36)は前記細長いボディ(16)の長手軸(24)の周りに延在し、拡張端部(30)から離間されており、そのリング部材(36)は細長いボディ(16)を心房の(14a)心壁(40)に対して所定の位置に保持するように形成されている。拡張端部(122)の実施形態は、カニューレ(10)が開口部(13)を通って移動する場合に、心臓(14)の心壁(40)の開口部(13)の周りの組織と接触するように形成された鉤状面(128)をさらに含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体的にカニューレに関し、より具体的には、例えば、人間の心臓の心房を流体連通するように埋め込むためのカニューレに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の心臓内へ入る、または心臓から出て行く血液のガイドは、時々必要となる。例えば、血液を心室からおよび心室へとガイドまたは誘導する補助デバイスが望ましく、そのデバイスは人体の血液を供給する点において心臓を補助している。同様に、デバイスからまたは心臓の心房からのような、他の場所へまたは他の場所から血液をガイドまたは誘導することが望ましい。
【0003】
そのために、カニューレのようなデバイスは、血液を心臓内へまたは心臓外へとガイドすることが周知である。そのようなデバイスは、心房の心壁の開口部を通して心房内へ挿入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,116,862号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、心房内に埋め込むためのカニューレ、およびそれに関連したシステム、ならびにその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一連の実施形態によれば、心房内に埋め込むためのカニューレは長手軸に沿って延在した内腔と、第1端部と、第2端部と、を備えた細長いボディを含んでいる。第1端部および第2端部は内腔に開口部を形成し、第二端部は平坦部を含んでいる。拡張端部は第2端部の平坦部から第1端部に向かう方向において延在し、且つ長手軸から第1端部に向かう方向において径方向外側に向かって拡張している。第1のリング部材は前記細長いボディの長手軸の周りに延在し、拡張端部から離間されており、その第1のリング部材は細長いボディを心房の心壁に対して所定の位置に保持するように形成されている。
【0007】
本実施形態の一側面において、拡張端部は、細長いボディが開口部を通って移動する場合に、心房の心壁にある開口部の周囲の接触組織を形成した鉤状面をさらに含んでいてもよい。
【0008】
第1のリング部材および/または拡張端部は、シリコーンのような弾性材料を含んでいてもよい。同様に、第1のリング部材は、心壁に縫合されるように形成されたファブリックを含んでいてもよい。ファブリックは代替的にまたは追加的に組織がそこを通して内に成長するように形成されている。拡張端部は堅固な材料を含んでいてもよい。例えば、その材料はチタンのような金属を含んでいる。代替的にまたは追加的に、拡張端部は弾性材料を含んでいてもよく、例えば、拡張端部の一部は、細長いボディが心壁の開口部を通って移動する場合に、長手軸に向かって曲がってもよい。カニューレは第2のリング部材を含み、その部材は第1のリング部材から離間されて、心壁に縫合されるように形成されたファブリックを含んでいてもよい。ファブリックは、代替的にまたは追加的に、組織がそこを通して内に成長するように形成されている。
【0009】
別の実施形態において、心房内へカニューレを埋め込むための方法は、心房の開口部を通して第1の方向においてカニューレを移動するステップを含んでいる。心房はカニューレの平坦部から延在したカニューレの拡張端部を受容する。心房内におけるカニューレの位置は、心壁をカニューレの長手軸周りに延在したリング部材と接触させることによって規定される。
【0010】
また別の実施形態において、心房と流体連通となるように連結された心臓補助システムは、流入口を含んだ血液ポンプと、これまでに一般的に記載した異なった実施形態の個々のカニューレに関する1つ以上の特徴を、単独でまたはいくつか組み合わせたカニューレと、を備えている。
【0011】
多様な付加的な特徴および側面が、本発明の図示された実施形態の以下の記載から、および図面から、当業者には明確になるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】人体における心臓の部分断面を示した図であり、心臓補助装置の一部としてカニューレを使用する例を示した図である。
【図2A】人間の心臓内に埋め込む前のカニューレの実施形態を示した斜視図である。
【図2B】図2Aのカニューレの斜視図であり、その埋め込みの連続したステップを示した図である。
【図3】カニューレの実施形態の横断面の正面を示した図である。
【図4A】人間の心臓内に埋め込む前のカニューレの実施例の横断面を拡大した図である。
【図4B】図4Aのカニューレの横断面を拡大した図であり、その埋め込みの間の連続したステップを示した図である。
【図4C】図4A、4Bのカニューレの横断面を拡大した図であり、その埋め込みの間の連続した別のステップを示した図である。
【図4D】図4A〜4Cのカニューレの横断面を拡大した図であり、その埋め込みの間の連続した別のステップを示した図である。
【図5A】人間の心臓内に埋め込む前のカニューレの代替的な実施形態の横断面を拡大した図である。
【図5B】図5Aの実施形態と類似した視点からの図であり、その埋め込みの間の連続したステップを示した図である。
【図6A】人間の心臓内に埋め込む前のカニューレの代替的な実施形態の横断面を拡大した図である。
【図6B】図6Aのカニューレの横断面を拡大した図であり、その埋め込みの間の連続したステップを示した図である。
【図7A】人間の心臓内に埋め込む前のカニューレの代替的な別の実施形態の横断面の部分拡大図を示している。
【図7B】図7Aの実施形態と類似した視点からの図であり、その埋め込みの間の連続したステップを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図を参照すると、より詳細には図1、2Aおよび2Bを参照すると、カニューレ10は心臓14のチャンバ内への埋め込みに適応している。例えば、そのようなチャンバは、左心房14aまたは左心室14bのように心臓14の左側にある。例えば、埋め込みはカニューレ10の一部を切開部または開口部13を介して心房14a内に挿入する。切開部は心房14aをその外部と連通させている。一旦埋め込まれると、カニューレ10は、心房14aと、人体11のその他の場所または心臓補助装置のような装置もしくは血液ポンプ15と、の間で血液が流れることを可能にする。例えば、血液ポンプ15は特許文献1に開示されているようなタイプであってもよく、その開示内容はここに参照されることによって完全に組み込まれている。カニューレ10は心房14aと流体連通となるように連結されており、さらに血液ポンプ15の流入口15aと流体連通となるように連結されている。他のカニューレは血液ポンプ15の流出口15bと流体連通となるように接続されていてもよく、最終的に、患者の循環システムに接続されており、それは図1に図示されている通りである。さらに、心房14a内でのカニューレの固定は、カニューレ10の一部を介してもしくはその周囲且つ心臓14の表面を介した縫合部19またはそのような部分の適用部に含まれている。
【0014】
図3を参照すると、カニューレ10は細長いボディ16を備え、そのボディは長手方向に対向位置にある第1端部18および第2端部20、ならびに細長いボディ16の長手軸24に関して延在した内腔22を備えている。第1端部18および第2端部20は内腔22内に開口部26aおよび26bを形成し、血液は第1端部18と第2端部20との間で内腔22に沿って流れる。
【0015】
この実施形態の一態様において、カニューレ10の細長いボディ16のいくらかまたは全ては可撓性または準可撓性材料の生体適合性材料から形成されており、それは限定されるものではないが、シリコーンまたは強化型シリコーンなどである。例えば、準可撓性材料が望まれてもよく、その材料においては、細長いボディ16は例えば金属などの剛体要素を含まず、第2端部20は開いたままであり、これによってそこを通る血流が制限されないことが可能となる。
【0016】
カニューレ10は細長いボディ16の周囲に配置された拡張端部30を含み、心臓の心房14a内へのカニューレ10の挿入を容易にしている。拡張端部30はカニューレ10の細長いボディ16の第2端部20から、第1端部18へ向かう方向において延在し、その方向において長手軸24から径方向外側に向かって拡張している。
【0017】
図3の例示的な実施形態において、拡張端部30はさらに第2端部の平坦部32から延在している。しかしながら、その代わりに、拡張端部30は細長いボディ16の他の非平坦部から延在してもよい。それに類似して、図3の実施形態が、全体的に長手軸24に直交したまたは長手軸24の法線方向である平坦部32から延在している拡張端部30を描写している一方で、拡張端部30が、全体的に代替的に直交したまたは長手軸24の法線方向でない平坦部から延在していてもよいということが考えられる。例えば、限定されるものではないが、拡張端部30は長手軸24と鋭角または鈍角を成すように傾斜した平坦部から延在していてもよい。
【0018】
ここに記載されたような平坦部はさらに細長いボディ16の壁の一部であってもよく、例示された図3の平坦部32と同様であるか、または代替的にカニューレ10の細長いボディ16の第2端部20のその他の部分であってもよい。それと同様に、平坦部は細長いボディ16の第2端部20の開口部26bによって画定された任意の平面によって形成されてもよい。
【0019】
拡張端部30は、長手軸24から第1端部18に向かう方向において径方向外側に向かって拡張している。図3に示された実施形態において、拡張端部30はさらに第2端部20の平坦部32から径方向に拡張しているが、拡張端部30は、その代わりに、一般的に上述したように、他の非平坦部からまたは代わりの任意の平坦部から径方向に拡張してもよい。
【0020】
引き続き図3を参照すると、リング部材36が細長いボディ16に配置され、長手軸24に関して延在している。リング部材36は拡張端部30から離間され、カニューレ10の適切な長さが心臓14の心房14a内に埋め込まれるように設けられている。より詳細には、一旦カニューレ10が心房14a内に挿入されると、リング部材36と心臓14の心壁40との間の接触が長手軸24に沿った且つ心臓14の心壁40に対するカニューレ10の埋め込み位置を提供し、これによって心房14a内におけるカニューレ10の部分の長さを画定している。
【0021】
図3の実施形態の一態様において、拡張端部30の構成は平滑であり、カニューレ10の細長いボディ16の第2端部20とリング部材36との間に遷移的な段差は設けられていない。
【0022】
図4A,4B,4C,4D,5A,5B,6A,6B,7Aおよび7Bを参照すると、図3の一般的な実施形態を参照して記載された1つ以上の原理を応用した、いくつかの例示的な実施形態が順番に図示され、且つ記載されている。図3に類似した特徴を引用して類似の参照符号を付した図4A〜4Dを参照すると、カニューレ70の例示的な実施形態は可撓性の拡張端部72とリング部材74とを含み、その間にはギャップ75が形成されている。可撓性の拡張端部72は鉤状面78を含み且つカニューレ70の第2端部79からエッジまたは面81の末端まで延在した壁76によって形成されている。開放位置において、図4Aに示されているように、エッジまたは面81は全体的に環状構造であり、その直径はカニューレ70の細長いボディ70aよりも大きく、同様に、ギャップ75の直径よりも大きい。
【0023】
続いて図4A〜4Dを参照すると、可撓性の拡張端部72は、カニューレ70、より詳細にはカニューレ70と可撓性の拡張端部72とが心房14aの開口部13を通って進入するときに、詳長手軸70bに向かって曲がるように形成されている。そのために、可撓性の拡張端部72は生体適合性のある可撓性の弾性材料によって形成されており、それは限定されるものではないが、シリコーンである。さらに、図4A〜4Dの例示的な実施形態において、可撓性の拡張端部72の可撓性は壁76の厚さは多様な厚さの壁76を含むことによって促進されている。より詳細には、壁76の厚さは第2端部79近傍の領域において、端部または面81近傍領域の厚さよりも厚くなっている。
【0024】
代替的に、可撓性の拡張端部72の可撓性は他の方法において制御され、または影響を受け得る。例えば、限定するものではないが、可撓性の拡張端部72は可撓性のポリマ構造体、NiTiのような金属構造体、チタンもしくはチタン合金で形成された構造体のような剛体構造体、または支柱(図示略)を含んでいてもよい。
【0025】
引き続き図4A〜4Dを参照すると、カニューレ70は可撓性の拡張端部72から離間されたリング部材74をさらに含んでいる。リング部材74は弾性材料から形成されており、開口部13を通してチャンバ14a内へまたはチャンバ14aの外への移動を容易にしている。この目的のために、リング部材74は、以下に限定されるわけではないが、シリコーンのような生体適合性のある、可撓性の弾性材料を含んでいてもよい。
【0026】
これまでに説明されたように、カニューレ70は心臓14の心房14内に埋め込まれるように設計されている。そのために、例示されたカニューレ70は心臓14の心壁40内の開口部13を通して挿入される。挿入の間、可撓性の拡張端部72の壁76は、図4bに示したように、開口部13の周囲の心臓14の心壁40の部分によって径方向内向きに、すなわち、カニューレ70の長手軸70bに向かって押圧される。可撓性の拡張端部72は、図4C、4Dに示したように、一旦可撓性の拡張端部72が心壁40を完全に通過し、心房14a内に完全に受容されたときに、元の形状に広がって戻る。
【0027】
図4C、4Dを参照すると、カニューレ70の埋め込みは、可撓性の拡張端部72の挿入に加えて、開口部13を通したリング部材74の挿入およびその後のその復旧(すなわち、心房14aから離れる、反対向きの方向におけるもの)を含んでいてもよい。リング部材74の復旧または除去は開口部13を形成している面にある緩んだ組織材料を坦持してもよく、その材料は開口部13を形成した工程、および開口部13を通した可撓性の拡張端部72の先の通過によって集まった結果として生成したものである。
【0028】
したがって、心房14内におけるカニューレ70の最終的な位置は、図4Dに最もよく表されており、それはリング部材74と心臓14の心壁40の外側面80との間で接触を形成することによって画定されている。さらに、可撓性の拡張端部72のエッジまたは面81と心壁40の内側面82との間の接触は、心房14a内におけるカニューレ70の最終的な位置を規定している。本発明の別の側面において、心房14a内におけるカニューレ70の最終的な位置はさらに固定されることが可能であり、例えば限定されるものではないが、その固定は、可撓性の拡張端部72とリング部材74との間のギャップ75を取り囲んだ心壁40の一部に行われる巾着縫合19aによって行われる。
【0029】
可撓性の拡張端部72の可撓性は心房14a内から開口部13を密封することを可能にしており、それは開口部13を取り囲んだ内側面82が不均一場合、および/またはカニューレ70が内側面82に対して直交していない場合であっても可能である。より詳細には、可撓性の開放端部72を形成している壁76は、あらゆる不均一性またはカニューレ70の非直交性を、端部または面81によって形成された境界線に沿って異なった角度に曲がることによって補正している。
【0030】
図4A〜4Dの実施形態の別の側面において、カニューレ70の内腔70c内の開口部13を取り囲んだ組織の繁茂は最小化されている。より詳細には、可撓性の拡張端部72の壁76の形状は、開口部13と第2端部79との間に比較的長い経路を設け、開口部13を形成した心壁40の一部の組織が、カニューレ70の第2端部に達することをより少なくしている。
【0031】
図3の類似した特徴を引用して類似の参照符号が付された図5A、5Bを参照すると、カニューレ90の代替的な実施形態は堅固な拡張端部92およびリング部材94を備え、その間にギャップ96を形成している。堅固な拡張端部92は、カニューレ90の第2端部99から延在し且つ横断面内のギャップ93を備えた連接部93において終端となった拡張壁98を含んでいる。
【0032】
図示されたこの実施形態の一側面において、堅固な拡張端部92は、限定されるわけではないが、適切に選択された金属のような、適切に選択された生体適合性の剛体材料から形成されている。例えば、限定されるものではないが、堅固な拡張端部92はチタンまたはチタン合金で形成されてもよい。同様に、堅固な拡張端部92は、非通気性面を含むことによって、そこでの組織の繁茂を防止または最小化し、これによって第2端部99を通る血流の制限を回避または最小化している。
【0033】
堅固な拡張端部92はカニューレ90の主部100に適切に連結され、これによってその細長いボディ111を形成している。この目的のために、連結する要素は適切に選択されており、限定されるものではないが、接着剤、機械的締結具、接続部材、一体成型のようなものを含むことが可能である。図5A、5Bの例示的な実施形態において、堅固な拡張端部92は、カニューレ90の細長いボディ111の主部100のセグメント内に埋め込まれた円筒形部102を含んでいる。
【0034】
リング部材94は細長いボディ111の周りに配置され、堅固な拡張端部92から離間されている。心房14a内におけるカニューレ90の最終位置を規定することに加えて、リング部材94はカニューレ90を心臓14の心壁40に連結することを可能にしている。この目的のために、リング部材94は心壁40に外科処置的に縫合されるように形成されたファブリック104を含んでいる。ファブリック104は代替的にまたは追加的にそこを通して内に成長する組織のために適応されており、これによってリング部材94と、リング部材94近傍に位置した組織と、の係合を可能にしている。例えば、限定されるものではないが、リング部材94はポリエステルベースのファブリックを含み、それはDacron(登録商標)の下に商業的に入手可能であり、リング部材94の構造部106をカバーしている。
【0035】
引き続き図5A、5Bを参照すると、ファブリック104は、適切に選択された要素および/または方法によって、リング部材94の構造部106に連結されている。例えば、ファブリック104は、リング部材94の構造部106の外側面に接着剤で接合されてもよい。代替的に、ファブリック104は溝107またはそのようなものおよびファブリック104から延在した対応する紐(図示略)を介して、構造部106の外側面に取り付けられてもよい。
【0036】
当業者は、ここに記載された例示的な実施形態が、リング部材94の体積を概略形成するファブリック104を含むが、リング部材94が代替的に、リング部材94の体積を少なくとも部分的に形成し且つファブリック104で覆われた他の堅固なまたは半剛体の構造(図示略)を含んでいることを十分に理解するだろう。
【0037】
上述したように、カニューレ90は堅固な拡張端部92とリング部材94との間に位置したギャップ96を含んでいる。図5A、5Bの例示的な実施形態において、ギャップ96はファブリック108を含み、それはリング部材94のファブリック104と構造、組成、下にある面との連結において類似しており、ファブリック108は心壁40のような心臓14の一部に連結されることを可能にした縫合面を設けている。さらに、ファブリック108は、代替的にまたは追加的に、心臓14の心壁40の組織が成長することが可能であり、さらに心房14a内に埋め込まれたカニューレ90の位置を固定する面を提供している。
【0038】
図4A〜4Dの実施形態に関して記載された工程に類似して、カニューレ90は心臓14の心壁40内に開口部を通して挿入され、心房14aとの流体連通を形成している。この目的のために、カニューレ90は、リング部材94が心壁40の外側面80に接触するまで挿入され、これによって心房14a内におけるカニューレ90の最終的な位置を規定してもよい。
【0039】
一旦カニューレ90が最終位置に到達すると、すなわち、リング部材94と心壁40とが接触すると、カニューレ90は当業者に周知の任意の慣習的な方法および/または要素によって固定されてもよい。したがって、カニューレ90は、例えば慣習的な縫合19b(図5B)によって心臓14の心壁40に連結され、リング部材94のファブリック104とギャップ96のファブリック106との一方または双方を係合する。
【0040】
図3の類似した特徴を引用して類似の参照符号が付された図6A、6Bを参照すると、カニューレ120の代替的な実施形態は鉤のある拡張端部122とリング部材124とを含み、その間にギャップ126を形成している。鉤のある拡張端部122は拡張壁128を含み、その壁はカニューレ120の第2端部から延在し、且つギャップ126との連接点を形成し且つカニューレ120の細長いボディ133の外側面132aの周囲に延在した面130において終端となっている。
【0041】
カニューレ90の実施形態(図5A、5B)に類似して、鉤のある拡張端部122は適切に選択された剛体の生体適合性材料から形成されており、それは限定するものではないが、チタンまたはチタン合金である。同様に、鉤のある拡張端部122は、堅固な拡張端部92は、非通気性面を含むことによって、そこでの組織の繁茂を防止または最小化し、これによって第2端部99を通る血流の制限を回避または最小化している。
【0042】
鉤のある拡張端部122はカニューレ120の主部131に適切に連結され、これによってその細長いボディ133を形成している。この目的のために、連結する要素は適切に選択されており、限定されるものではないが、接着剤、機械的締結具、接続部材、一体成型のようなものを含むことが可能である。図6A、6Bの例示的な実施形態において、鉤のある拡張端部122は、カニューレ120の細長いボディ133の主部131のセグメント内に埋め込まれた円筒形部132を含んでいる。
【0043】
リング部材124は細長いボディ133の周りに配置され、鉤のある拡張端部122から離間されている。カニューレ90(図5A、5B)の実施形態に類似して、心房14a内におけるカニューレ120の最終位置を規定することに加えて、リング部材124はカニューレ120を心臓14の心壁40に連結することを可能にしている。この目的のために、リング部材124は心壁40に外科処置的に縫合されるように形成されたファブリック134を含んでいる。ファブリック134は代替的にまたは追加的にそこを通して内に成長する組織のために適応されており、これによってリング部材124と、リング部材124近傍に位置した組織と、の係合を可能にしている。例えば、限定されるものではないが、リング部材124はポリエステルベースのファブリックを含み、それはDacron(登録商標)の下に商業的に入手可能であり、リング部材124の構造部136をカバーしている。
【0044】
この例示的な実施形態において、ファブリック134は、適切に選択された要素および/または方法によって、リング部材124の構造部136に連結されている。例えば、ファブリック134は、リング部材124の構造部136の外側面に接着剤で接合されてもよい。代替的に、ファブリック134は溝137またはそのようなものおよびファブリック104から延在した対応する紐(図示略)を介して、構造部136の外側面に取り付けられてもよい。
【0045】
当業者は、ここに記載された例示的な実施形態が、リング部材124の体積を概略形成するファブリック134を含むが、リング部材124が代替的に、リング部材124の体積を少なくとも部分的に形成し且つファブリック134で覆われた他の堅固なまたは半剛体の構造(図示略)を含んでいることを十分に理解するだろう。
【0046】
図4A〜4Dおよび5A、5Bの実施形態に関して記載された工程に類似して、図6A、6Bのカニューレ120は心臓14の心壁40内に開口部を通して挿入され、心房14aとの流体連通を形成している。この目的のために、カニューレ120は、リング部材124が心壁40の外側面80に接触するまで挿入され、これによって心房14a内におけるカニューレ120の最終的な位置を規定してもよい。さらに、面130は、心壁40の内側面に対して配置されることによって、心房14a内から開口部13を密封することを提供している。
【0047】
引き続き図6A、6Bを参照すると、一旦カニューレ120が最終位置に到達すると、すなわち、リング部材124と心壁40とが接触すると、カニューレ120は当業者に周知の任意の慣習的な方法および/または要素によって固定されてもよい。したがって、カニューレ120は、例えば慣習的な縫合19bによって心臓14の心壁40に連結され、リング部材124のファブリック134を係合する。
【0048】
図3の類似した特徴を引用して類似の参照符号が付された図7A7Bを参照すると、カニューレ150の代替的な実施形態は堅固な拡張端部152と堅固な拡張端部152から離間された第1のリング部材154と、堅固な拡張端部152に隣接した第2のリング部材156と、を含み、第1のリング部材154と第2のリング部材156との間にギャップ158を形成している。
【0049】
堅固な拡張端部152は拡張壁160を含み、その壁はカニューレ150の第2端部から延在し、細長いボディ168の管状領域164を備えた連接点164において終端となっている。この例示的な実施形態において、堅固な拡張端部152と管状領域164とは、連接店162において同一の直径となっている。しかしながら、当業者は、連接点162における堅固な拡張端部152および管状領域164の個々の直径が、代替的に互いに異なっていてもよいということをすでに理解しているだろう。
【0050】
この図示された実施形態の一側面において、堅固な拡張端部152は適切に選択された剛体の生体適合性材料から形成されており、それは限定するものではないが、適切に選択された金属である。例えば、限定するものではないが、堅固な拡張端部152はチタンまたはチタン合金で形成されてもよい。同様に、堅固な拡張端部152は、非通気性面を含むことによって、そこでの組織の繁茂を防止または最小化し、これによって第2端部159を通る血流の制限を回避または最小化している。
【0051】
堅固な拡張端部152はカニューレ150の主部161に適切に連結され、これによってその細長いボディ168を形成している。この目的のために、連結する要素は適切に選択されており、限定されるものではないが、接着剤、機械的締結具、接続部材、一体成型のようなものを含むことが可能である。図7A、7Bの例示的な実施形態において、堅固な拡張端部152はカニューレ150の細長いボディ168の主部161のセグメント内に埋め込まれた円筒形部163を含んでいる。
【0052】
引き続き図7A、7Bを参照すると、カニューレ150は、堅固な拡張端部152から離間された第1のリング部材154を含んでいる。第1のリング部材154は弾性材料から形成されており、心房14a内へのまたは心房14aの外側への移動を容易にしている。この目的のために、第1のリング部材154は、限定されるものではないが、シリコーンのような可撓性のある弾性の生体適合性材料を含んでいてもよい。
【0053】
上述のように、カニューレ150は第2のリング部材156を含んでいる。第2のリング部材156は細長いボディ168の管状領域164の周囲に配置され、堅固な拡張端部152に隣接して配置されている。第2のリング部材156はカニューレ150を心臓14の心壁14aの内側面82に連結することを可能にしている。この目的のために、第2のリング部材156は心壁40に外科処置的に縫合されるように形成されたファブリック165を含んでいる。ファブリック165は代替的にまたは追加的にそこを通して内に成長する組織のために適応されており、これによってリング部材156と、リング部材156近傍に位置した組織と、の係合を可能にしている。例えば、限定されるものではないが、第2のリング部材156はポリエステルベースのファブリックを含み、それはDacron(登録商標)の下に商業的に入手可能であり、第2のリング部材156の構造部166をカバーしている。
【0054】
さらに、ファブリック165によって設けられた第2のリング部材156の通気性構造体は代替的にまたは追加的に面を設けてもよく、その面内において、心臓14の心房14a内の組織が成長し、これによって心房14a内におけるカニューレ150の長時間の固定に寄与している。この実施形態の別の側面において、組織の内への成長を可能とすることによって、第2のリング部材156は心臓14の心壁40内の開口部13をさらに密封する。
【0055】
図7A、7Bの例示的な実施形態において、ファブリック165は、適切に選択された要素および/または方法によって、第2のリング部材156の構造部166に連結されている。例えば、ファブリック165は、リング部材156の構造部166の外側面に接着剤で接合されてもよい。代替的に、ファブリック165は溝167またはそのようなものおよびファブリック165から延在した対応する紐(図示略)を介して、構造部166の外側面に取り付けられてもよい。
【0056】
当業者は、ここに記載された例示的な実施形態が、第2のリング部材156の体積を概略形成するファブリック165を含むが、第2のリング部材156が代替的に、第2のリング部材156の体積を少なくとも部分的に形成し且つファブリック165で覆われた他の堅固なまたは半剛体の構造(図示略)を含んでいることを十分に理解するだろう。
【0057】
図4A〜4D、5A、5B、6Aおよび6Bの実施形態に関して記載された工程に類似して、図7A、7Bのカニューレ150は心臓14の心壁40における開口部を通して挿入され、心房14aとの流体連通を形成している。この目的のために、カニューレ150は、第1のリング部材154および第2のリング部材156が開口部13を完全に通過し、心房14a内に位置するまで挿入されてもよい。
【0058】
引き続き図7A、7Bを参照すると、心房14a内へのカニューレ150の埋め込みは、心臓14に向かう第1の方向におけるカニューレ150の移動およびそれに続いた心房14a内への堅固な拡張端部152および第1のリング部材154ならびに第2のリング部材156の挿入に加えて、それに続いた心房14aからの(すなわち第1の方向と反対となる第2の方向における)第1のリング部材の除去を含んでいてもよい。第1のリング部材154の復旧は開口部13を形成している面にある緩んだ組織材料を引き出してもよく、その材料は先に開口部13を形成した工程の結果として生成したものである。
【0059】
したがって、心房14内におけるカニューレ150の最終的な位置は、第1のリング部材154と心臓14の心壁40の外側面80との間で接触を形成することによって画定されている。さらに、第2のリング部材156と心壁40の内側面82との間の接触は、心房14a内におけるカニューレ150の最終的な位置を規定している。本発明の別の側面において、心房14a内におけるカニューレ150の最終的な位置はさらに固定されることが可能であり、例えば限定されるものではないが、その固定は、第1のリング部材154と第2のリング部材156との間のギャップ158を取り囲んだ心臓14の心壁40の一部に行われる巾着縫合19a(図7B)によって行われる。
【0060】
図4A、4B、5A、5B、6A、6B、および7A、7Bの例示的な実施形態がアウトラインを上述された一方で、任意の例示的なカニューレ70、90、120、および150がここに記載された任意の他の実施形態に関して記載された態様を組み合わせてもよいということは考えられる。例えば、限定されるものではないが、カニューレ70、90または120(それぞれ図4A、4B、5A、5B、および6A、6B)のいずれかが図7A、7Bの例示的なカニューレ150の第2のリング部材156に類似した第2の部材をさらに含んでいてもよい。
【0061】
それと同様に、上述の例示的な実施形態が全体的に円形のリング部材を表しているが、当業者は、任意のリング部材が適切に選択された形状をとり得るということをすでに理解しているだろう。選択された形状が、実施形態の1つまたは複数のリング部材が上述の機能を実行する限り、任意の実施形態のリング部材はこれによって標準的なまたは非標準的な形状をとることが可能である。
【0062】
本発明は種々の好適な実施形態の記載によって現され、およびこれらの実施形態は少し詳細に記載されている一方で、添付の特許請求の範囲をそのような詳細なものにまで制限するまたは何らかに限定することは、出願人の意図ではない。追加の利点および改良は当業者によって容易に現されるだろう。本発明の多様な特徴はユーザの必要性または優先度に依存して、単独でまたは任意に組み合わされて使用されてもよい。これは、現在の時点で知られた本発明の実施の好適な方法に沿って本願に記載されている。しかしながら、本発明自身は添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0063】
10,70,90,120,150 ・・・カニューレ
13 ・・・開口部
14 ・・・心臓
14a ・・・心房
14b ・・・心室
15 ・・・血液ポンプ
16,111 ・・・ボディ
18 ・・・第1端部
20 ・・・第2端部
22 ・・・内腔
24 ・・・長手軸
30,72,92,122,152 ・・・拡張端部
36,74,94,124 ・・・リング部材
40 ・・・心壁
78 ・・・鉤状面
134,165 ・・・ファブリック
154 ・・・第1のリング部材
156 ・・・第2のリング部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
心房内に埋め込むためのカニューレであって、該カニューレは、
長手軸に沿って延在した内腔と、第1端部および第2端部と、を含み、該第1端部および第2端部が前記内腔に開口部を形成し、前記第2端部は平坦部を含んだ細長いボディと、
該細長いボディ上の拡張端部であって、前記第2端部の前記平坦部から前記第1端部に向かう方向において延在し、且つ前記長手軸から前記第1端部に向かう方向において径方向外側に向かって拡張している拡張端部と、
前記細長いボディ上の第1のリング部材であって、前記長手軸周りに延在し、前記第1のリング部材は前記拡張端部から離間され、且つ前記心房の心壁に対して所定の位置において前記細長いボディを保持するために形成された第1のリング部材と、
を具備していることを特徴とするカニューレ。
【請求項2】
前記第1のリング部材は、前記心房の前記心壁に縫合されるように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項1に記載のカニューレ。
【請求項3】
前記第1のリング部材は、組織がそこを通して内に成長するように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項1に記載のカニューレ。
【請求項4】
前記ファブリックはポリエステルベースの素材をさらに具備していることを特徴とする請求項3に記載のカニューレ。
【請求項5】
前記拡張端部はチタンを含んでいることを特徴とする請求項1に記載のカニューレ。
【請求項6】
前記拡張端部は弾性材料を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のカニューレ。
【請求項7】
前記弾性材料はシリコーンをさらに含んでいることを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項8】
前記拡張端部は、前記細長いボディが前記心房の心壁の開口部を通って移動する場合に、前記長手軸に向かって曲がるように形成されていることを特徴とする請求項6に記載のカニューレ。
【請求項9】
前記第1のリング部材は弾性材料を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のカニューレ。
【請求項10】
前記弾性材料はシリコーンをさらに含んでいることを特徴とする請求項9に記載のカニューレ。
【請求項11】
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸の周りに延在した第2のリング部材をさらに具備し、該第2のリング部材は前記長手軸に沿って前記第1のリング部材から離間されていることを特徴とする請求項1に記載のカニューレ。
【請求項12】
前記第2のリング部材は、前記心房の前記心壁に縫合されるように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項11に記載のカニューレ。
【請求項13】
前記第2のリング部材は、組織がそこを通して内に成長するように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項11に記載のカニューレ。
【請求項14】
前記ファブリックはポリエステルベースの素材をさらに具備していることを特徴とする請求項13に記載のカニューレ。
【請求項15】
前記第1のリング部材と前記拡張端部との間にギャップを形成し、該ギャップ内にファブリックが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカニューレ。
【請求項16】
前記ファブリックは、前記心房の前記心壁に縫合されるように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項15に記載のカニューレ。
【請求項17】
前記ファブリックは、組織がそこを通して内に成長するように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項15に記載のカニューレ。
【請求項18】
前記ファブリックはポリエステルベースの素材をさらに具備していることを特徴とする請求項17に記載のカニューレ。
【請求項19】
心房と流体連通となるように連結された心臓補助システムであって、該心臓補助システムは、
流入口を含んだ血液ポンプと、
第1端部、第2端部および前記流入口に流体連通となるように連結されるために形成された内腔を含んだ細長いボディであって、前記内腔は長手軸に沿って延在し、前記第1端部と前記第2端部とは前記内腔に開口部を形成し、前記第2端部は平坦部を含んでいる細長いボディと、
該細長いボディ上にあり、前記第2端部の前記平坦部から、前記第1端部に向かう方向において延在し、前記長手軸から径方向外側に且つ前記第1端部に向かう方向に拡張した拡張端部と、
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸周りに延在したリング部材であって、該リング部材は前記拡張端部から離間されて、前記細長いボディを前記心房の心壁に対して所定の位置に保持するように形成されているリング部材と、
を具備していることを特徴とする心臓補助システム。
【請求項20】
心房内に埋め込まれるカニューレであって、該カニューレは、
長手軸に沿って延在した内腔と、第1端部および第2端部と、を含み、該第1端部および第2端部が前記内腔に開口部を形成している細長いボディと、
該細長いボディ上にあり、前記第2端部から、前記第1端部に向かう方向において延在し、前記長手軸から径方向外側に且つ前記第1端部に向かう方向に拡張した拡張端部であって、該拡張端部は、前記細長いボディが前記心房の心壁の開口部を通って移動する場合に、前記長手軸に向かって曲がるように形成された拡張端部と、
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸周りに延在したリング部材であって、該リング部材は前記拡張端部から離間されて、前記細長いボディを前記心房の前記心壁に対して所定の位置に保持するように形成されているリング部材と、
を具備していることを特徴とするカニューレ。
【請求項21】
前記拡張端部は弾性材料を含んでいることを特徴とする請求項20に記載のカニューレ。
【請求項22】
前記弾性材料はシリコーンをさらに含んでいることを特徴とする請求項21に記載のカニューレ。
【請求項23】
前記リング部材は弾性材料を含んでいることを特徴とする請求項20に記載のカニューレ。
【請求項24】
前記弾性材料はシリコーンをさらに含んでいることを特徴とする請求23に記載のカニューレ。
【請求項25】
心房と流体連通となるように連結された心臓補助システムであって、該心臓補助システムは、
流入口を含んだ血液ポンプと、
第1端部、第2端部および前記流入口に流体連通となるように連結されるために形成された内腔を含んだ細長いボディであって、前記内腔は長手軸に沿って延在し、前記第1端部と前記第2端部とは前記内腔に開口部を形成している細長いボディと、
該細長いボディ上にあり、前記第2端部から、前記第1端部に向かう方向において延在し、前記長手軸から径方向外側に且つ前記第1端部に向かう方向に拡張した拡張端部であって、該拡張端部は、前記拡張端部が前記心房の心壁の開口部を通って移動する場合に、前記長手軸に向かって曲がるように形成された拡張端部と、
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸周りに延在したリング部材であって、該リング部材は前記拡張端部から離間されて、前記細長いボディを前記心房の前記心壁に対して所定の位置に保持するように形成されているリング部材と、
を具備していることを特徴とする心臓補助システム。
【請求項26】
心房内に埋め込まれるカニューレであって、該カニューレは、
長手軸に沿って延在した内腔と、第1端部および第2端部と、を含み、該第1端部および第2端部が前記内腔に開口部を形成している細長いボディと、
該細長いボディ上にあり、前記第2端部から、前記第1端部に向かう方向において延在し、前記長手軸から径方向外側に且つ前記第1端部に向かう方向に拡張した拡張端部であって、該拡張端部は、前記細長いボディが前記心房の心壁の開口部を通って移動する場合に、前記心房の心壁の前記開口部の周りの組織に接触するように形成された鉤状面を含んでいる拡張端部と、
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸周りに延在したリング部材であって、該リング部材は前記拡張端部から離間されて、前記細長いボディを前記心房の前記心壁に対して所定の位置に保持するように形成されているリング部材と、
を具備していることを特徴とするカニューレ。
【請求項27】
前記リング部材は、前記心房の前記心壁に縫合されるように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項26に記載のカニューレ。
【請求項28】
前記リング部材は、組織がそこを通して内に成長するように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項26に記載のカニューレ。
【請求項29】
前記リング部材はポリエステルベースの素材をさらに具備していることを特徴とする請求項28に記載のカニューレ。
【請求項30】
前記拡張端部はチタンを含んでいることを特徴とする請求項26に記載のカニューレ。
【請求項31】
前記リング部材は弾性材料を含んでいることを特徴とする請求項30に記載のカニューレ。
【請求項32】
前記弾性材料はシリコーンをさらに含んでいることを特徴とする請求項31に記載のカニューレ。
【請求項33】
前記拡張端部は弾性材料を含んでいることを特徴とする請求項26に記載のカニューレ。
【請求項34】
前記弾性材料はシリコーンをさらに含んでいることを特徴とする請求項33に記載のカニューレ。
【請求項35】
心房と流体連通となるように連結された心臓補助システムであって、該心臓補助システムは、
流入口を含んだ血液ポンプと、
第1端部、第2端部および前記流入口に流体連通となるように連結されるように形成された内腔を含んだ細長いボディであって、前記内腔は長手軸に沿って延在し、前記第1端部と前記第2端部とは前記内腔に開口部を形成している細長いボディと、
該細長いボディ上にあり、前記第2端部から、前記第1端部に向かう方向において延在し、前記長手軸から径方向外側に且つ前記第1端部に向かう方向に拡張した拡張端部であって、該拡張端部は、該拡張端部が前記心房の心壁の開口部を通って移動する場合に、前記心房の心壁の前記開口部の周りの組織に接触するように形成された鉤状面を含んでいる拡張端部と、
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸周りに延在したリング部材であって、該リング部材は前記拡張端部から離間されて、前記細長いボディを前記心房の前記心壁に対して所定の位置に保持するように形成されているリング部材と、
を具備していることを特徴とする心臓補助システム。
【請求項36】
心房内に埋め込まれるカニューレであって、該カニューレは、
長手軸に沿って延在した内腔と、第1端部および第2端部と、を含み、該第1端部および第2端部が前記内腔に開口部を形成している細長いボディと、
該細長いボディ上にあり、前記第2端部から、前記第1端部に向かう方向において延在し、前記長手軸から径方向外側に且つ前記第1端部に向かう方向に拡張した金属製の拡張端部と、
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸周りに延在した第1のリング部材であって、該第1のリング部材は前記金属製の拡張端部から離間されて、前記細長いボディを前記心房の前記心壁に対して所定の位置に保持するように形成されている第1のリング部材と、
を具備していることを特徴とするカニューレ。
【請求項37】
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸周りに延在した第2のリング部材をさらに具備し、該第2のリング部材は前記第1のリング部材から前記長手軸に沿って離間されていることを特徴とする請求項36に記載のカニューレ。
【請求項38】
前記第2のリング部材は、前記心房の前記心壁に縫合されるように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項37に記載のカニューレ。
【請求項39】
前記第2のリング部材は、組織がそこを通して内に成長するように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項37に記載のカニューレ。
【請求項40】
前記ファブリックはポリエステルベースの素材をさらに具備していることを特徴とする請求項39に記載のカニューレ。
【請求項41】
前記第1のリング部材と前記金属製の拡張端部との間に形成されたギャップを含み、前記ファブリックは前記ギャップ内に配置され、前記ファブリックは前記心房の心壁に縫合されるように形成されていることを特徴とする請求項36に記載のカニューレ。
【請求項42】
前記第1のリング部材と前記金属製の拡張端部との間に形成されたギャップを含み、前記ファブリックは前記ギャップ内に配置され、前記ファブリックは、組織がそこを通して内に成長するように形成されていることを特徴とする請求項36に記載のカニューレ。
【請求項43】
前記ファブリックはポリエステルベースの素材をさらに具備していることを特徴とする請求項42に記載のカニューレ。
【請求項44】
前記金属製の拡張端部はチタンを含んでいることを特徴とする請求項36に記載のカニューレ。
【請求項45】
前記第1のリング部材は、前記心房の前記心壁に縫合されるように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項36に記載のカニューレ。
【請求項46】
前記第1のリング部材は、組織がそこを通して内に成長するように形成されたファブリックを具備していることを特徴とする請求項36に記載のカニューレ。
【請求項47】
前記ファブリックはポリエステルベースの素材をさらに具備していることを特徴とする請求項46に記載のカニューレ。
【請求項48】
前記第1のリング部材は弾性材料を含んでいることを特徴とする請求項36に記載のカニューレ。
【請求項49】
前記弾性材料はシリコーンをさらに含んでいることを特徴とする請求項48に記載のカニューレ。
【請求項50】
心房と流体連通となるように連結された心臓補助システムであって、該心臓補助システムは、
流入口を含んだ血液ポンプと、
第1端部、第2端部および前記流入口に流体連通となるように連結されるために形成された内腔を含んだ細長いボディであって、前記内腔は長手軸に沿って延在し、前記第1端部と前記第2端部とは前記内腔に開口部を形成している細長いボディと、
該細長いボディ上にあり、前記第2端部から、前記第1端部に向かう方向において延在し、前記長手軸から径方向外側に且つ前記第1端部に向かう方向に拡張した金属製の拡張端部と、
前記細長いボディ上にあり且つ前記長手軸周りに延在したリング部材であって、該リング部材は前記金属製の拡張端部から離間されて、前記細長いボディを前記心房の心壁に対して所定の位置に保持するように形成されているリング部材と、
を具備していることを特徴とする心臓補助システム。
【請求項51】
長手軸を備えたカニューレを心房内に埋め込むための方法であて、前記心房は心壁と該心壁を貫通した開口部とを備えており、前記方法は、
前記開口部を通る第1の方向において前記カニューレを移動するステップと、
前記心房内に前記カニューレの拡張端部を受け入れるステップであって、前記拡張端部は前記カニューレの端部の平坦部から延在しているステップと、
前記心房の心壁を前記長手軸周りに延在したリング部材と接触させることによって、前記心房内において前記長手方向に沿って前記カニューレの位置を規定するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項52】
前記第1の方向とは反対となる第2の方向において、前記リング部材が前記心房の前記心壁の外側面に接触するまで、前記カニューレを移動するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記第1の方向とは反対となる第2の方向において、第2のリング部材が前記心房の前記心壁の内側面に接触するまで、前記カニューレを移動するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記カニューレが前記開口部を通って移動する場合に、前記長手方向に向かって前記拡張端部を曲げるステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記リング部材を前記心房の前記心壁に連結するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記リング部材の連結は、前記リング部材を前記心房の前記心壁に縫合することを含んでいることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記リング部材を、前記リング部材の近傍に位置した組織と相互に固定するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項58】
前記リング部材と前記拡張端部との間に形成されたギャップを、前記心房の前記心壁の一部に連結するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項59】
前記ギャップの連結は、前記ギャップを前記心房の前記心壁に縫合することを含んでいることを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記リング部材と前記拡張端部との間に形成されたギャップを、該ギャップの近傍に位置した組織と相互に固定するステップをさらに含んでいることを特徴とする請求項51に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2010−533550(P2010−533550A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517041(P2010−517041)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/066406
【国際公開番号】WO2009/011993
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(508226322)サーキュライト・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】