説明

心拍計測装置

【課題】電波式ドップラーセンサを用いて人体表面からの反射波の振幅成分と位相成分とを含む出力信号を検出して、人体の体動により発生した振幅成分を分離して心拍成分だけを抽出した心拍計測装置を提供する。
【解決手段】電波式ドップラーセンサ5が出力する反射波4の振幅成分と位相成分との情報を含む出力信号(I信号6及びQ信号7)を振幅・位相変換手段12において極座標変換して振幅成分信号8と位相成分信号9とを心拍抽出手段13に出力する。心拍抽出手段13において、振幅成分信号8と位相成分信号9とから独立成分分析(ICA)の手法を用いて振幅成分出力8に含まれる体動による振幅成分を分離して、正確な心拍だけを抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波式ドップラーセンサを用い、人体に非接触で人体表面の位置変化と血流による人体表面の反射率変化を含む出力信号を得て、人体表面の動き成分を主とした出力と、血流による人体表面の反射率変化を主とした出力と、の二つの出力に対して独立成分分析(ICA)を行うことで人体表面の動き成分を除去し、心拍を正確に検出する心拍検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサを使用して呼吸や心拍を検出する装置が、特許文献1や特許文献2に開示されている。
特許文献1の人体検出装置はセンサとして圧電素子を使用し、圧電素子を人体に接触させて人体の呼吸活動や心拍による体動を検出している。このとき、圧電素子に起因する高周波のノイズ成分を除去する信号処理を行っているが、人体呼吸活動や心拍による人体表面の変位と人体自身の体動とを分離することは考慮されていない。
また、特許文献2に開示されている心拍の検出方法は、人体を圧迫または押圧することで人体にマッサージを施すマッサージ用空気袋を備えたマッサージ機において、この空気袋に骨振動によって伝わる動脈の脈拍や心臓の拍動による空気袋内の圧力変化をセンサにより検出するものであるが、やはり人体自身の位置変化に起因するノイズについては考慮されていない。
また、マイクロ波ドップラーセンサを用いて、人体に非接触で人体の呼吸や心拍を検出する心肺機能監視装置が特許文献3に開示されている。特許文献3に開示されている発明は、ドップラーセンサの出力が測定対象である人体とドップラーセンサとの距離によって周期的に変動するので、人体とドップラーセンサとの距離を変える、電波の周波数を変える、電波の位相を変える等の手段を用いてドップラーセンサの出力が大きくなるようにすることで検出信号の対ノイズ特性を改善しているものである。
【特許文献1】特開平6−317676
【特許文献2】特開2003−275317
【特許文献3】特開2002−65677
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の発明では、いずれの場合も、センサは人体表面の動きを検出しているため、検出目的の心拍(あるいは呼吸)による人体表面の変位とともに人体自身が動くことによる体動をも合わせて検出することとなる。従って、心拍の微小な変位に対して人体自身が動くことによる体動は、ノイズ成分となり正確な心拍の計測の妨げとなっていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電波式ドップラーセンサを用いて、電波の反射率は、心拍に関係する血流の変化に対応することに着目し、心拍をドップラーセンサの受信波(反射波)の振幅成分として検出する。
しかし、人体表面がドップラーセンサの電波に対して垂直であるとは限らないので、受信波(反射波)の振幅成分の中には体動による振幅の影響も含まれてしまう。ただし、人体自身が動くことによる体動は、ドップラーシフト(位相成分)として検出することができる。
そこで、この二つの情報を含むドップラーセンサの出力信号を、例えば、独立成分分析(ICA:Independent Conponent Analysis)の手法を用いて振幅成分に含まれる反射率の変化による振幅成分以外の振幅成分(すなわち、体動により発生した振幅成分)を分離して、ドップラーセンサの出力信号から心拍成分だけを抽出した心拍計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために請求項1は、人体表面に非接触で電波を放射し、人体表面からの反射波を受信する電波式ドップラーセンサと、電波式ドップラーセンサが反射波を受信して検出した人体表面の動きに係わる位相成分と人体表面の血流の変化に係わる振幅成分とを含む信号出力を極座標変換して振幅成分出力と位相成分出力との2つの信号を出力する振幅・位相変換手段と、その振幅・位相変換手段が出力する振幅成分出力と位相成分出力の2つの出力信号から人体表面の動き成分を分離して、振幅成分出力から人体の心拍を抽出する心拍抽出手段と、を具備することを特徴としている。
【0005】
本願請求項1の発明は、電波式ドップラーセンサを用いて人体表面に非接触でマイクロ波を放射し、人体表面からの反射波の情報を得て心拍を検出するものであるが、人体表面からの反射波は、血流の変化に対応してその反射率が変化するので、血流の変化(すなわち心拍)を反射波の振幅の変化として捕らえるものである。
しかし、人体表面はドップラーセンサの電波に対して常に垂直の角度を保っている訳ではないので体動がある場合は、ドップラーセンサが検出した振幅成分には体動による振幅の変化も含まれてしまう。そこで、ドップラーセンサの検出した振幅成分と位相成分の二つの信号をもとに、振幅成分から人体の体動に起因する成分を分離する処理行うことで純粋に心拍だけを抽出している。
【0006】
請求項2の発明では、請求項1に記載の心拍計測装置において、心拍抽出手段は、振幅・位相変換手段が出力する振幅成分出力と位相成分出力の2つの信号をもとに独立成分分析(ICA)を行うことにより振幅成分出力から人体表面の動き成分を分離して心拍を抽出することを特徴としている。
【0007】
独立成分分析(ICA)は、振幅成分出力から位相成分出力をもとに振幅成分出力に含まれる体動による振幅成分を分離する手法である。この操作により体動の影響を除去した心拍を抽出することができる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1および請求項2に記載の心拍計測装置において、振幅・位相変換手段は、電波式ドップラーセンサの信号出力を増幅する信号増幅部と、電波式ドップラーセンサの信号出力からDC成分を抽出して増幅し、信号増幅部の出力信号に補償するDC成分補償部と、DC成分補償部の出力信号を極座標変換する振幅・位相変換部と、から構成されていることを特徴としている。
【0009】
心拍成分は非常に微小であるので、電波式ドップラーセンサの信号出力を極座標変換する振幅・位相変換部において信号処理をするのに適した信号レべルに増幅する必要があるが、信号増幅部で失われる信号のDC成分の補償を行うDC成分補償部を設けることで、厳密な信号処理が行え、正確な心拍を検出することができる。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1および請求項2に記載の心拍計測装置において、振幅・位相変換手段は、電波式ドップラーセンサの信号出力を増幅する信号増幅部と、電波式ドップラーセンサの信号出力の円弧ベクトル値を予測し、予測した該円弧ベクトル値に基づいて信号増幅部の出力信号を補償する円弧ベクトル予測部と、円弧ベクトル予測部の出力信号を極座標変換する振幅・位相変換部と、から構成されていることを特徴とする。
【0011】
すなわち、請求項4の発明では、信号増幅部で失われる信号のDC成分の補償をベクトルの大きさを予測する手法で算出し、信号増幅部の出力信号に対してDC成分補償を行うもので請求項3の手法より簡素な構成である。
【0012】
請求項5の発明は、人体表面に非接触で電波を放射し、人体表面からの反射波を受信する電波式ドップラーセンサと、人体表面に近接して配置され、人体内の血流の変化に対応した振幅成分出力を出力する低周波センサと、電波式ドップラーセンサが反射波を受信して検出した信号出力を極座標変換して位相成分出力を出力する振幅・位相変換手段と、振幅・位相変換手段が出力する位相成分出力と低周波センサが出力する振幅成分出力の2つの信号から人体表面の動き成分を分離して、低周波センサが検出した振幅成分出力から人体の心拍を抽出する心拍抽出手段と、を具備することを特徴としている。
【0013】
請求項1〜請求項4の心拍計測装置はドップラーセンサ1個で人体表面の振幅成分と位相成分の検出を行っている。それに対して請求項5の発明では、振幅成分の検出に低周波センサを使用し、ドップラーセンサの検出した位相成分と組み合わせて、人体の心拍を抽出する方法をとっている。
振幅成分の検出に低周波センサを使用することの利点は、ドップラーセンサの電波はマイクロ波で高い周波数であるため、人体に進入しにくく血流の変化を微小なレベルでしか振幅成分として捕らえられないが、それに比較して使用する電波が低い周波数(数百KHz程度)である低周波センサは、電波がより人体に進入し易いため血流の変化をより大きな振幅成分として捕らえることができるという点にある。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明の心拍計測装置によれば次に述べる効果がある。
一つのドップラーセンサで人体表面の反射率の変化に係る反射波の振幅成分と、人体自身の体動によるドップラーシフトから位相成分とを検出し、この二つの情報をもとに心拍と体動と分離する信号処理を行っているので、体動の影響を除去した正確な心拍の計測が可能となる。
また、振幅成分の検出にドップラーセンサとは別に低周波センサを設けることで、より確実に振幅成分を検出する心拍計測装置とすることもできる。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。図1は、本発明の概略の構成を示すブロック図である。心拍計測装置60は、電波式ドップラーセンサ5と、振幅・位相変換手段12と、心拍抽出手段13とから構成されている。6と7は、ドップラーセンサ5の出力信号( I信号6とQ信号7)であり、8と9は、振幅・位相変換手段12の出力信号( 振幅成分出力8と位相成分出力9)である。10は心拍出力、11は体動出力である。
また、2は計測対象の人体表面で、1は人体を流れる血流である。3はドップラーセンサ5が放射するマイクロ波であり、4はその反射波である。
【0016】
実施例1の心拍計測装置は、図2のブロック図に示すように、図1における振幅・位相変換手段12が信号増幅部14と、DC成分補償部15と、振幅・位相変換部16と、から構成されている。また、心拍抽出手段13として独立成分分析(ICA)の手法を採用している。
【0017】
次に、実施例1の動作について図1および図2にもとづいて説明する。
電波式ドップラーセンサ5は、計測対象の人体表面2にマイクロ波3を放射し、人体表面2で反射されてくる反射波4を受信して反射波4の振幅と位相情報を含んだ出力信号( 複素信号のI信号6とQ信号7)を出力する。
このドップラーセンサ5の出力信号に対して信号増幅部14に備えられたアンプ23、24において数百倍の増幅を行う。これは検出する心拍が非常に微小であるためである。ただし、ドップラーセンサ5の出力信号をそのまま増幅したのではDC成分やノイズ成分も同時に増幅されてA/Dコンバータ25、26が飽和してしまう。従って、必要な信号のみを増幅するためバンドパスフイルタ21、22が設けられている。
しかし、バンドパスフイルタ21、22で出力信号のDC成分がカットされることにより、複素平面上のベクトルの軌跡が異なったものとなってしまう。図3にその様子を模式的に示している。図3は、ドップラーセンサ5の出力のベクトルの軌跡を複素平面上に表したものである。横軸は実軸で信号の実数部分(I信号)を表し、縦軸は虚軸で信号の虚数部分(Q信号)を表している。出力のベクトルの軌跡は、図3に示すように、本来、軌跡41であるべきものがDC成分がカットされることにより軌跡42のようになってしまう。
DC成分補償部15は、上述の信号増幅部14において消失したDC成分を増幅後の信号に補償して軌跡41にもどすための操作である。すなわち、ドップラーセンサ5の出力信号からローパスフイルタ27、28でDC成分を抽出し、A/Dコンバータ29、30でデジタル信号に変換後、アンプ31、32で増幅する。増幅度はアンプ23、24と同じ倍率である。アンプ23、24で増幅されたDC成分は加算回路33、34において信号増幅部14からのI信号およびQ信号とそれぞれ合成されてDC成分を補償する。
このDC成分補償の操作により、DC成分補償部15の出力信号は軌跡41をもつものとなる。
【0018】
信号増幅部14で増幅され、DC成分補償部15においてDC成分補償の処理が行われたI信号およびQ信号は、振幅・位相変換部16に入力される。振幅・位相変換部16では直交座標から極座標に変換する信号処理が行われて、振幅成分出力8と位相成分出力9が心拍抽出手段13に出力される。
心拍抽出手段13においては、振幅成分出力8と位相成分出力9の情報をもとに振幅成分8から人体の体動による振幅成分への影響を取り除いて心拍を抽出する。
振幅成分出力8に含まれている人体の体動による振幅の変動分の分離は、独立成分分析(ICA)の手法を用いている。
【実施例2】
【0019】
実施例2の心拍計測装置は、図4のブロック図に示すように、図1における振幅・位相変換手段12が信号増幅部14と、円弧ベクトル予測部40と、振幅・位相変換部16と、から構成されている。また、心拍抽出手段13として独立成分分析(ICA)の手法を採用している。本実施例が実施例1と異なる点は信号増幅部14において失われる信号のDC成分を補償する円弧ベクトル予測部40を有している点である。
【0020】
実施例2の動作について図1および図3にもとづいて説明する。
電波式ドップラーセンサ5が出力する、人体表面2からの反射波4にもとづいた検出信号(複素信号のI信号6とQ信号7)は、信号増幅部14に入力されバンドパスフイルタ21、22を経て増幅され、A/Dコンバータ25、26でデジタル信号に変換されるのは、実施例1と同一の構成で同じ動作をする。
しかし、本実施例では、信号増幅部14において失われる信号のDC成分を補償する方法として、バンドパスフイルタ21、22およびアンプ23、24の特性から信号増幅部14の出力に対して補償すべきDC成分を予測し、その値にもとづいて円弧ベクトル予測部40で信号に対してDC成分補償を行うものである。
円弧ベクトル予測方法は、円弧からその中心点を求めればよく、具体的な方法としては図5に示すように、円弧の両端P1、P2及び円弧の中心座標P3を計算し、線分P1−P3の中点を通る法線と、線分P2−P3の中点を通る法線の交点C1が中心点である。
円弧ベクトル予測部40の出力は、振幅・位相変換部16に入力される。振幅・位相変換部16では直交座標から極座標に変換する信号処理が行われて、振幅成分8と位相成分9が心拍抽出手段13に出力される。
心拍抽出手段13においては、実施例1と同じ構成、すなわち、独立成分分析(ICA)の手法を用いて振幅成分8と位相成分9の情報をもとに振幅成分8から人体の体動による振幅成分への影響を取り除いた心拍を抽出する。
【実施例3】
【0021】
実施例3の心拍計測装置61は、図6のブロック図に示すように、電波式ドップラーセンサ5と、低周波センサ50と、振幅・位相変換手段12と、心拍抽出手段13とから構成されている。6と7は、ドップラーセンサ5の出力信号( I信号6とQ信号7)であり、8は、低周波センサ50の出力信号であり、9は、振幅・位相変換手段12の出力信号( 位相成分出力)である。その他、1、2、3、4、10、11は図1に示すものと同じである。
また、心拍抽出手段13として、実施例1及び実施例2と同様に独立成分分析(ICA)の手法を採用している。実施例3が実施例1及び実施例2と異なる点は、血流1の変化の検出に低周波センサ50を使用していることにある。
【0022】
実施例3の動作は、次のようになる。図6において、電波式ドップラーセンサ5は、計測対象の人体表面2にマイクロ波3を放射し、人体表面2で反射されてくる反射波4を受信して反射波4の振幅と位相情報を含んだ出力信号を振幅・位相変換手段12に出力し、振幅・位相変換手段12において極座標変換され、振幅成分と位相成分の出力が得られるが、位相成分のみを位相成分出力9として心拍抽出手段13に出力する。
一方、人体表面2に近接して配置された低周波センサ50が出力する人体内の血流の変化に同期した出力信号は、振幅成分出力8として心拍抽出手段13に入力される。心拍抽出手段13では、上記の振幅成分出力8と位相成分出力9とから独立成分分析(ICA)の手法を用いて体動の影響を取り除いた心拍を抽出する。
なお、低周波センサと人体表面との距離は、低周波センサのシート状コイル(アンテナ部)が人体表面に接していてもよいし、多少空間を設けて配置されていてもよい。また、低周波センサを配置する場所は、血流を検出し易い場所(例えば、背中など)を任意に選定することができる。
【0023】
図7に低周波センサ50の具体的な構成及び動作の一例を示す。
シート状コイル51とコンデンサ53で共振回路を構成し、オッシレータ52から所定の周波数の信号を共振回路に供給する。このとき、人体に近接して配置されたシート状コイル51のインダクタンスが血流の変化に対応して変化する。従って、共振回路の共振周波数が変化して、抵抗54の両端の電圧(低周波センサ50の出力)が変化することとなる。本実施例のシート状コイル51の値は550μH、コンデンサ53は100pF、
抵抗54は10KΩを使用し、オッシレータ52の発振周波数は400KHzである。
本実施例の低周波センサの場合は、ドップラーセンサで振幅成分として血流の反射率の変化を検出しているものとは異なるが、血流の変化を捕らえて振幅成分として出力しているので振幅成分出力8と同等の出力が得られている。
低周波センサは、低周波であるためドップラーセンサのマイクロ波に比較し電波が人体内に進入し易く、S(信号)/N(ノイズ)比のよい出力信号が得られる。
なお、本実施例では、血流の変化を検出するのにシート状コイルを使用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、フェライトにコイルを巻いたアンテナなど血流の変化に反応する構成のものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の心拍計測装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の心拍計測装置の電波式ドップラーセンサの出力信号の増幅に関する説明図である。
【図4】本発明の実施例2の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の円弧ベクトル予測法の説明図である。
【図6】本発明の実施例3の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例3の低周波センサの概略の構成図である。
【符号の説明】
【0025】
1:血流
2:人体表面
3:放射波
4:反射波
5:電波式ドップラーセンサ
6:電波式ドップラーセンサの出力信号(I信号)
7:電波式ドップラーセンサの出力信号(Q信号)
8:振幅成分出力
9:位相成分出力
10:心拍出力
11:体動出力
12:振幅・位相変換手段
13:心拍抽出手段
14:信号増幅部
15:DC成分補償部
16:振幅・位相変換部
21、22:バンドパスフイルタ
23、24、31、32:アンプ
25、26、29、30:A/Dコンバータ
27、28:ローパスフイルタ
33、34:加算回路
40:円弧ベクトル予測部
41、42:出力信号のベクトル軌跡
50:低周波センサ
51:シート状コイル
52:オッシレータ
53:コンデンサ
54:抵抗
60、61:心拍計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体表面に非接触で電波を放射し、該人体表面からの反射波を受信する電波式ドップラーセンサと、
前記電波式ドップラーセンサが該反射波を受信して検出した前記人体表面の動きに係わる位相成分と前記人体表面の血流の変化に係わる振幅成分とを含む信号出力を極座標変換して振幅成分出力と位相成分出力との2つの信号を出力する振幅・位相変換手段と、
前記振幅・位相変換手段が出力する該振幅成分出力と該位相成分出力の2つの該信号から人体表面の動き成分を分離して、前記振幅成分出力から人体の心拍を抽出する心拍抽出手段と、を具備することを特徴とする心拍計測装置。
【請求項2】
前記心拍抽出手段は、前記振幅成分出力と前記位相成分出力の2つの前記信号をもとに独立成分分析(ICA)を行うことにより前記振幅成分出力から人体表面の動き成分を分離して心拍を抽出することを特徴とする請求項1に記載の心拍計測装置。
【請求項3】
前記振幅・位相変換手段は、前記電波式ドップラーセンサの前記信号出力を増幅する信号増幅部と、
前記電波式ドップラーセンサの前記信号出力からDC成分を抽出して増幅し、該信号増幅部の出力信号に補償するDC成分補償部と、
該DC成分補償部の出力信号を極座標変換する振幅・位相変換部と、から構成されていることを特徴とする請求項1および請求項2に記載の心拍計測装置。
【請求項4】
前記振幅・位相変換手段は、前記電波式ドップラーセンサの前記信号出力を増幅する信号増幅部と、
前記電波式ドップラーセンサの前記信号出力の円弧ベクトル値を予測し、予測した該円弧ベクトル値に基づいて該信号増幅部の出力信号にDC成分を補償する円弧ベクトル予測部と、
該円弧ベクトル予測部の出力信号を極座標変換する振幅・位相変換部と、から構成されていることを特徴とする請求項1および請求項2に記載の心拍計測装置。
【請求項5】
人体表面に非接触で電波を放射し、該人体表面からの反射波を受信する電波式ドップラーセンサと、
前記人体表面に近接して配置され、人体内の血流の変化に対応した振幅成分出力を出力する低周波センサと、
前記電波式ドップラーセンサが該反射波を受信して検出した信号出力を極座標変換して位相成分出力を出力する振幅・位相変換手段と、
前記振幅・位相変換手段が出力する該位相成分出力と該低周波センサが出力する該振幅成分出力の2つの信号から人体表面の動き成分を分離して、前記振幅成分出力から人体の心拍を抽出する心拍抽出手段と、を具備することを特徴とする心拍計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−55504(P2006−55504A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242438(P2004−242438)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】