説明

心機能を促進するための装置、システム、および方法

心臓の内部組織および外部組織を含む組織にアクセスするための装置、システム、および方法を開示する。本明細書で開示される実施形態のうちの少なくとも一部は、心機能を補助するための心臓の内部組織および外部組織へのアクセスを提供する。少なくとも1つの実施形態において、心臓を囲む心膜腔に気体を送達するために、吸引/注入カテーテルが使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心機能を促進するための装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本国際特許出願は、2007年4月27日出願の米国仮特許出願第60/914,452号、および2006年6月30日出願の米国仮特許出願第60/817,421号に対する優先権を主張する、2007年6月29日出願の国際出願第PCT/US2007/015207号に対する優先権を主張し、少なくとも一部の指定国においてはその一部継続出願であると見なされるべきである、2008年2月5日出願の国際特許出願第PCT/US2008/053061号に対する優先権を主張し、少なくとも一部の指定国においてはその一部継続出願であると見なされるべきである、2008年3月12日出願の国際特許出願第PCT/US2008/056666号に対する優先権を主張し、少なくとも一部の指定国においてはその一部継続出願であると見なされるべきである。本出願は、2008年2月5日出願の国際特許出願第PCT/US2008/053061号、2007年6月29日出願の国際出願第PCT/US2007/015207号、および2007年4月27日出願の米国仮特許出願第60/914,452号に対しても優先権を主張する。これらの出願の各々は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0003】
虚血性心疾患または冠状動脈性心疾患によって、他のいずれの単一原因よりも多くの米国人が毎年死亡している。2004年には、米国において5人に1人が虚血性心疾患により死亡している。この疾患は、世界中で実に深刻な影響を及ぼしている。未治療のままであると、虚血性心疾患は慢性心不全に至る場合があり、これは血液を送り出す心臓の能力の著しい低下として定義され得る。慢性心不全は、しばしば薬物療法で治療される。
【0004】
虚血性心疾患は、一般に、心筋に対する血流の減少によって特徴付けられ、やはりしばしば薬物療法で治療される。使用可能な薬物の多くは、全身的に投与することができるが、心臓に直接局所薬物送達(「LDD」)することにより、局所薬物濃度が高まり、全身性副作用を低減することができ、結果として治療転帰を改善する。
【0005】
心臓病薬は、血管を通るカテーテルを介して心臓の内部に局所的に送達し得る。しかし、管腔内薬物送達は、(1)送達が一貫しない、(2)位置特定の効率が低い、(3)循環への流出が比較的速い、等の幾つかの短所を有する。
【0006】
そのような短所を克服するために、心臓の外表面を囲む心膜腔に薬物を直接送達することができる。心膜腔は、心臓と心臓を包む比較的堅い心膜嚢との間に形成された空洞である。心膜嚢および心臓がそのような近接状態にあるため、通常、心膜腔は比較的小さいが、カテーテルを使用して、心膜腔に薬物を注入し、心筋組織および冠動脈組織に局所投与することができる。心膜腔を介して心臓に薬剤を供給する薬物送達方法は、(1)強化された一貫性および(2)心臓組織に対する薬物の長時間暴露、を含む、管腔内送達を越える幾つかの利点を提供する。
【0007】
現行の医療において、薬物は、経皮的経心室方法または経胸腔的アプローチのいずれかによって心膜腔に送達される。経皮的経心室方法は、心室心筋を通じて心膜腔にカテーテルを制御挿入するステップを含む。経胸腔的アプローチは、吸引先端を備えるシース針を使用し、心膜を把持して心臓の外側から心膜腔にアクセスするステップと、心筋から心膜を引き離して心膜腔を拡張するステップと、針を用いて心膜腔に薬物を注入するステップと、を含む。
【0008】
慢性心不全を有する患者の一部には、心機能を改善させるために薬物療法に加えて心臓再同期療法(「CRT」)を使用することができる。そのような患者は、一般に、左右心室をわずかにずれて拍動(すなわち、収縮期を開始)させる伝導異常を有し、これが心臓のすでに制限されている機能をさらに低下させる。CRTは、心室を再同期することにより同期不全の問題の解決を助け、これにより心機能の改善に至る。該療法は、心臓の指定領域への電気リードの配置を通じて心室の少なくとも1つのペーシングの制御を助ける、埋め込み型装置の使用を伴う。そして、小さな電気信号がリードを介して心臓に送達され、左右心室を同時に拍動させる。
【0009】
心臓への薬物の局所送達と同様、心臓へのCRTリードの配置は、標的配置部位が左心室である場合、特に困難であり得る。リードは、冠状静脈洞を介した経静脈的アプローチ、心外膜での外科的配置、または心内膜的アプローチを用いて配置することができる。リード配置のこれらの方法に伴う問題には、不適切な位置への配置(電気信号に応答しない瘢痕組織またはその近傍への不慮の配置を含む)、配置中の冠状静脈洞または心静脈の切開または穿孔、配置中の長時間の蛍光透視鏡への暴露(および関連する放射線のリスク)、配置後のリードの除去、ならびに配置に要する長く予測不可能な所要時間(約30分から数時間の範囲)が含まれる。
【0010】
臨床的に、心膜腔にアクセスするために承認された唯一の非外科的手段は、剣状突起下カテーテル、および超音波誘導尖端および胸骨傍針カテーテル手技を含み、各方法は経胸腔的アプローチを含む。剣状突起下方法においては、蛍光透視誘導下で、吸引先端を備えるシース針を剣状突起下位置から縦隔に進める。カテーテルは、心膜嚢の前方外表面上に位置付けられ、吸引先端を使用して心膜を把持し、心臓組織から引き離すことによって、心膜嚢と心臓との間にさらなる隙間を形成する。さらなる隙間は、心膜嚢が穿刺される場合に、心筋が不注意に穿刺される可能性を低減する傾向がある。
【0011】
本手技は正常な心臓において有効に機能するが、罹患または肥大した心臓、すなわち、まさに薬物送達およびCRTリード配置を最も必要とする心臓においては重大な制限がある。心臓が肥大している場合、心膜腔は著しく小さく、右心室またはその他の心臓構造を穿刺するリスクが増大する。さらに、心膜は非常に堅い膜であるため、心膜の吸引は心膜をほとんど変形させず、そのため、提供される心臓からの心膜の隙間は非常に小さい。
【0012】
すでに言及されたように、心臓は、心膜と称される「嚢」によって囲まれている。心臓の表面と心膜との間の間隙は、通常、流体が心膜内に貯留する緊急状態として定義される心タンポナーデを発症する前には、少量の流体のみ収容することができる。したがって、心穿孔が急速にタンポナーデをもたらし得ることは当然のことであり、これは致死的であり得る。しかしながら、徐々に貯留する浸出液では、多くの疾病においてよく見られることであるが、タンポナーデをもたらすことなく、大量の浸出液が貯留され得る。主要な要因は、心膜内の総容積のために心膜がその圧力−容積関係の不適合領域に達することであり、その場合、タンポナーデは急激に発症する。Little W.C.and Freeman G.L.(2006).“Pericardial Disease.”Circulation 113(12):1622−1632。
【0013】
心タンポナーデは、心膜腔内の流体貯留が、心臓充満が影響を受ける点まで心臓を囲む圧力を上昇させるのに十分である時に起こる。最終的に、加圧された心膜液浸出による心臓の圧迫が、著しい静脈圧の上昇および心拍出量の低下をもたらし、ショック状態を引き起こし、治療されなければ急速に致命的となり得る。同上。
【0014】
異なる原因の心膜液浸出の頻度は、一部地理および患者集団によって異なる。Corey G.R.(2007).“Diagnosis and treatment of pericardial effusion.”http://patients.uptodate.com。心膜液浸出の高い発生率は、一部の疾病に関連する。例えば、癌患者の21パーセントが心膜への転移を有する。最も一般的なものは、肺癌(悪性浸出液の37%)、乳癌(22%)、および白血病/リンパ腫(17%)である。HIV患者は、AIDSを発症しているいないに関わらず、高い有病率を有することが見出され、41〜87%が無症状性の浸出、13%が中程度から重度の浸出を有する。Strimel W.J.et al.(2006).“Pericardial Effusion.”http://www.emedicine.com/med/topic1786.htm。
【0015】
末期腎疾患は、大きな公衆衛生問題である。米国では、350,000を超える患者が血液透析または持続的外来腹膜透析のいずれかで治療を受けている。Venkat A.et al.(2006).“Care of the end−stage renal disease patient on dialysis in the ED.”Am J Emerg Med 24(7):847−58。腎不全は、患者の最大20%に大量の心膜液浸出を引き起こす、心膜疾患の一般的な原因である。Task Force members,Maisch B.,Seferovic P.M.,Ristic A.D.,Erbel R.,Rienmuller R.,Adler Y.,Tomkowski W.Z.,Thiene G.,Yacoub M.H.,ESC Committee for Practice Guidelines,Priori S.G.,Alonso Garcia M.A.,Blanc J.−J.,Budaj A.,Cowie M.,Dean V.,Deckers J.,Fernandez Burgos E.,Lekakis J.,Lindahl B.,Mazzotta G.,Moraies J.,Oto A.,Smiseth O.A.,Document Reviewers,Acar J.,Arbustini E.,Becker A.E.,Chiaranda G.,Hasin Y.,Jenni R.,Klein W.,Lang I.,Luscher T.F.,Pinto F.J.,Shabetai R.,Simoons M.L.,Soler Soler J.,Spodick D.H.(2004).“Guidelines on the Diagnosis and Management of Pericardial Diseases Executive Summary:The Task Force on the Diagnosis and Management of Pericardial Diseases of the European Society of Cardiology.”Eur Heart J 25(7):587−610。
【0016】
ウイルス性心膜炎は、心膜の最も一般的な感染症である。炎症性異常は、直接的ウイルス攻撃、免疫応答(抗ウイルスまたは抗心臓)、またはその両方による。同上。成人の化膿性(細菌性)心膜炎はまれであるが、治療されなければ常に致命的である。治療された患者の死亡率は40%であり、ほとんどが心タンポナーデ、毒性、および狭窄による。大抵は、連続的な伝播または血行性の拡散により生じる、体内の他の場所から発生した感染症の合併症である。同上。心膜炎の他の形態には、結核性および腫瘍性が含まれる。
【0017】
最も一般的な続発性悪性腫瘍は、肺癌、乳癌、悪性黒色腫、リンパ腫、および白血病である。切迫したタンポナーデでは、浸出は少量あるいは大量であり得る。悪性と確認された患者のほぼ3分の2において、例えば放射線心膜炎または日和見感染等の悪性でない疾病によって、心膜液浸出が引き起こされる。悪性心膜疾患の確認には、心膜流体の分析、心膜または心外膜生検が必須である。同上。
【0018】
心膜液浸出の管理は、依然として問題である。この難しい病型を治療するための最良の方法に関して一様な合意はない。心膜液浸出を有する患者の約半分が心タンポナーデの症状を呈する。これらの症例の場合、根本原因に関わらず、心膜の除圧により症状が緩和する。Georghiou G.P.et al.(2005).“Video−Assisted Thoracoscopic Pericardial Window for Diagnosis and Management of Pericardial Effusions.”Ann Thorac Surg 80(2):607−610。症候性心膜液貯留は一般的であり、種々の原因から生じ得る。薬物治療で浸出が管理できない、あるいは診断が必要である場合、外科的介入が必要となる。同上。
【0019】
心膜液浸出の最も効果的な管理はまだ特定されていない。従来の手順は、全身麻酔下での心膜開窓の外科的配置である。これらの患者は頻繁に複数の併存症を有するため、この手順は重大な手術および麻酔リスクを意味する。盲目針心膜穿刺術等の低侵襲性手技は、高い合併症および再発率を有する。長期カテーテルドレナージを用いた心エコー誘導下の心膜穿刺術の手技は、静脈内鎮静方での局所麻酔薬下で行われる。適所のカテーテルを用いて心膜切開を行うことにより、長期ドレナージおよび硬化療法が可能になる。心エコー誘導下の心膜穿刺術は、大学付属または学術機関で行われる場合、安全で成功する手順であることが示されている。しかし、地域の病院での実践の詳細についてはほとんど研究されていない。Buchanan C.L.et al.(2003).“Pericardiocentesis with extended catheter drainage:an effective therapy.”Ann.Thorac.Surg.76(3):817−82。
【0020】
心タンポナーデの治療は、心膜液浸出のドレナージである。医学的管理は通常効果がなく、心膜ドレナージの手配がなされる間のみ、使用されるべきである。患者の体液量が減少している場合(低循環血液量による心タンポナーデ)、流体蘇生法は一時的な利益でしかない場合がある。
【0021】
外科的ドレナージ(または心膜切除術)は、多くの患者にとって過剰である。最良の選択肢は、ピッグテール型ドレナージカテーテルを残してドレナージが完了するまで適所に保持するセルディンガー手技を用いた心膜穿刺術である。Sagrista Sauleda J.et al.(2005).“[Diagnosis and management of acute pericardial syndromes].”Rev Esp Cardiol 58(7):830−41。この低侵襲性手技は、短い手術時間、補給品、外科医、および麻酔費用の軽減をもたらした。我々の機関で心膜開窓とカテーテルドレナージを伴うエコー誘導下の心膜穿刺術との手順費用を比較すると、カテーテルドレナージを支持する約$1,800/症例の費用節減があった。医療費が高騰する時代には、これらの節減は注目に値する重要性を持つ。Buchanan C.L.et al.,2003。
【0022】
現在、45歳を超える米国人口の0.2%(ほぼ200,000患者)が、許容可能な水準の心機能を維持するためには内科的治療が十分ではない、重度のうっ血性心不全(CHF)の段階に達している。米国では、毎年約2,000個のドナー心臓しか移植に利用することができないため、心臓の支持または交換が必要である。Baughman K.L.and Jarcho J.A.(2007).“Bridge to Life−−Cardiac Mechanical Support.”N.Engl.J.Med.357(9):846−849。
【0023】
死亡率を顕著に低下させた、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、β遮断薬、およびアルドステロン阻害剤等のCHFのための薬物治療における重要な向上はあったが、無症状性の左心室機能不全から症候性のCHFへの進行は、依然として大きな問題である。Mancini D.and Burkhoff D.(2005).“Mechanical Device−Based Methods of Managing and Treating Heart Failure.”Circulation 112(3):438−448。
【0024】
多くの心不全治療の目的は、プロセスを減速させるか、または逆行させることである。いくつかの研究は、主要な神経ホルモン経路の薬理的遮断により、悪循環が中断され、進行が遅延し、生存率が改善されることを示している。それでもなお、研究は、さらなる神経ホルモン経路の遮断を試みることは、有害であり得ることを示唆している。これらの所見は、心不全に対する薬物治療の限界を強調している。同上。
【0025】
CHFの治療のための装置については、急性および慢性の両方の心不全を有する患者を対象とした、装置に基づく療法を開発および試験するために、広範囲に及ぶ努力がなされてきた。例えば、心臓再同期療法(CRT)、筋形成(例えば幹細胞および筋芽細胞)、および低侵襲性の除細動器等の電気療法が、活発に調査されているところである。湾曲の半径の縮小を含む拡張した心臓の外科的再形成は、壁応力を低下させることができ、原理上逆リモデリングが可能になる。運動障害のある瘢痕の除去は、臨床的に認められており、満足のいく結果と関連することが報告されている。また、無動性瘢痕の除去(ドール術または外科的前心室再建術(SAVR)としばしば称される)の効果も、調査中である。壁応力を低下させて逆リモデリングを誘発するために提案されている別の方法は、受動的心室抑制装置によるものである。この概念は、心筋形成術と呼ばれる初期の調査的アプローチから発展した。同上。
【0026】
僧帽弁閉鎖不全による心不全の症状を治療するために、非侵襲性手順としてリスクを軽減するように経皮的に僧帽弁の修復を行うための、カテーテルに基づく多くの装置が開発中である。同上。
【0027】
40年以上にわたり、多くの研究者が心臓の機械的支持の開発を進めている。臨床的用途の最初の形態は、心肺バイパスにより1953年に導入され、心臓手術中の心肺支持に使用された。1962年、大動脈内バルーン対抗脈動が導入され、心筋収縮能および冠灌流を改善するために、一時的に血行動態を部分的に支持するために使用された。しかしながら、それぞれのアプローチは、例えば、大腿部の血行路に大口径のカニューレ挿入が必要であることが患者の運動性を制限し、機能的回復を制限する等、手順の侵襲性により制限されるため、いずれのアプローチも、一時的にさえも完全な心臓の交換を提供しない。また、出血、血栓塞栓症、および感染のリスクも支持の実行可能な期間を制限する。Baughman and Jarcho,2007。
【0028】
大動脈内バルーンボンプ(IABP)は、全ての循環補助装置のうちで最も広く使用されている。対抗脈動は、心筋の酸素平衡を強化することにより、左心室(LV)の活動を改善する。これは、冠灌流の拡張期の増大により心筋の酸素供給を増加し、心仕事量の後負荷要素の低減を介して心筋の酸素需要量を減少する。Azevedo C.F.et al.(2005).“The effect of intra−aortic balloon counterpulsation on left ventricular functional recovery early after acute myocardial infarction:a randomized experimental magnetic resonance imaging study.”Eur.Heart J.26(12):1235−1241。
【0029】
急性心筋梗塞(AMI)を有する患者におけるIABPの使用に対する支持は、上記の理論考察に基づいている。しかし、対抗脈動の有益な生理学的効果と、AMI後のLVの機能的回復との間の関係は、その大部分が依然として定義されないままである。実際、いくつかの研究は、LV活動に対するIABPの即効性を調査し、対抗脈動の間、LVの血行動態に有意な改善が見られることを示した。
【0030】
対抗脈動自体により提供される血行動態の改善と、AMI後の補助なしのLV収縮能に対する可能性のある好影響との間には、重要な差異が存在する。同上。さらに、再灌流の24時間後、機能的回復の程度がIABP対抗脈動の存否に関わらず同様であったことを強調することが重要である。したがって、IABP対抗脈動が、AMIの再灌流の初期段階では患者の臨床状態の支持および改善に重要な役割を果たし得たとしても、長期のLVの機能改善については有意な有益な効果を有するとは思えない。同上。
【0031】
心臓の機械的支持の利用可能な形態は、遠心ポンプ、容積置換ポンプ、および軸流ポンプの3つの種類に分類することができる、ポンプとして知られる装置である。さらに、心臓の機械的支持に対して3つのはっきり区別することのできる臨床的適応が定義されている。自然な心機能の回復が期待される場合、一時的な支持が設けられる。心臓移植の候補者であるが、移植の待ち時間を生き延びることができないかもしれない患者には、「移植への橋渡し」として心室補助装置を使用する場合がある。最後に、心臓移植の候補者ではなく、心機能の回復が有望でない患者は、「最終療法」、すなわち、生来の心臓との永久的交換として、機械装置を利用することができる。この最後の適応は、臨床診療では最近確立されたばかりであるが、今後その重要性の高まりが予期される。Baughman and Jarcho,2007。
【0032】
広範に渡るポンプが現在利用可能であるにも関わらず、この技術に関連する問題は、その開発の初期から変わっていない。同上。循環を支持するために利用可能な装置は、不全の心臓を補助するためにポンプと接触する多くの血液を使用する。静脈循環から除去された血液は、臓器灌流を高めるために動脈循環に注入される。残念なことに、血液接触は、依然として一般に機械的循環支持に関連する主要な合併症の中心である。血栓塞栓性現象、抗凝固、出血、溶血、免疫抑制、および炎症系の活性化の必要性が、引き続きこの療法を必要とするものを脅かしつづける要因である。さらに、装置移植は、困難かつ時間がかかり、心血管虚脱が突然生じた場合、その実行可能性を制限する。これらの未解決の問題は、非血液接触型循環支持装置を開発する継続的動機を提供する。心臓の負荷を軽減する代わりに、心室壁のポンプ性能を高める方向へ機械力を向ける。Anstadt M.P.et al.(2002).“Non−blood contacting biventricular support for severe heart failure.”Ann.Thorac.Surg.73(2):556−562。これらの複雑な問題は、心臓補助への根本的に異なるアプローチによって回避され得る。
【0033】
心臓は、全ての臓器の中でも酸素抽出がほとんど最大限に近いという点において独特である。したがって、この代謝的要求の厳しい臓器が酸素消費量を増加させることができる唯一の方法は、冠血流量を増加させることである。酸素送達のこの側面において、心臓は、ほとんどの流れが収縮期ではなく拡張期に生じることでも独特である。Carabello B.A.(2006).“Understanding Coronary Blood Flow:The Wave of the Future.”Circulation 113(14):1721−1722。収縮期の周囲の心筋による脈管構造の圧縮により、流れの圧力水頭が収縮期に最大である一方、流れは拡張期に最大となるように、流れが妨げられる。
【0034】
近位の波動は前に進み、遠位の波動は後ろへ進むため、波動は冠脈管構造の両端から生成される。この仕組みでは、近位の「押す」波動と遠位の「吸引」波動とが血流を前方へ加速し、一方近位の吸引波動と遠位の押す波動がどの逆を行う。Carabello,B.A.,2006。前方へ移動する押す波動は、収縮期圧によって生成される。これは血液を主に心外膜冠状動脈に追い込み、そこで心筋が弛緩する際に前方への流れに放出されるまで保存することができる。2番目に重要な波動は、典型的に最大である、左心室の弛緩により生成される吸引波動であり、拡張期の冠血流量における主要な要因である可能性が高い。同上。
【0035】
虚血性心疾患を有する患者の間では、心筋内の微小血管の血流を改善し、心筋を梗塞から保護することが非常に重要である。現在、多くの異なる薬物、および経皮的冠動脈形成術(PCI)および冠動脈バイパスグラフト(CABG)等の高度な手技を使用し、目覚ましい結果が得られている。それにも関わらず、大量の異なる薬物で治療され(薬剤抵抗性の狭心症に至り)、すでに1つ以上のPCIまたはCABG、あるいはその療法を受け、それでも重篤な虚血性心疾患を有する大きな患者群が存在する。これらの患者に対して満足のいく様態の治療はまだ見出されていない。Lindstedt S.et al.(2007).“Blood Flow Changes in Normal and Ischemic Myocardium During Topically Applied Negative Pressure.”Ann.Thorac.Surg.84(2):568−573。
【0036】
創傷療法における局所陰圧(TNP)の広範に渡る臨床的用途および優れた結果にも関わらず、その根本的な科学的機序は、その大部分が知られていない。TNPの既知の効果の1つは、胸骨切開創傷モデルで示されたように、創傷の縁までの血流の増進である。TNPは血流速度を高め、毛細血管床を開く。TNPおよび増加された血流により加えられた機械力が血管細胞中の細胞骨格に影響を及ぼし、血管内膜増殖、毛細血管の出芽、および血管形成に関与する肉芽組織の形成を刺激する。同上。
【0037】
本明細書の記載されるように、研究は、心筋が−50mmHgの局所陰圧にさらされると、即座に微小血管の血流に有意な増加が観察されたことを示している。虚血モデルにおいて同様の結果が得られるかどうかを調査するために、LADを20分間閉塞した。心筋の虚血領域が-50mmHgの局所陰圧にさらされると、即座に微小血管の血流に有意な増加が検出された。さらに、20分間の再灌流後、-50mmHgが印加されると、心筋血流は有意に増加した。Lindstedt S.et al.(2007)。−25mmHgのTNPでも同様の所見がなされた。
【0038】
心筋血流のTNP刺激は、見込みのある治療的介入となり得る。TNPにより加えられたせん断力が血管形成を刺激すると考えられている。TNP治療を受けた患者に、十分に血管形成された肉芽組織が4〜5日以内に心臓上に発生したことが観察された。これらの新たに形成された血管は、生来の循環が十分な血流を提供することができない場合に必要となる付随的な血液供給を提供し得る。血流のTNP刺激および付随的な血管の発生が、CABG後の、胸骨切開後の縦隔炎に対してTNP治療を受けた患者における長期死亡率の低下を、部分的に説明している可能性がある。Lindstedt S.et al.(2007)。
【0039】
心膜は、円錐形の線維漿膜性の嚢であり、中に心臓および大血管の根元が収容される。心臓は、縦隔腔の左側の3番目から7番目の肋骨の胸骨および軟骨の後ろにある。Gray H.(1918).“Anatomy of the Human Body.”Philadelphia:Lea & Febiger;Bartleby.com,2000,pp.1821−1865。心膜は、その大半が肺および肋膜により、胸郭の前壁から隔てられる。しかし、いくぶん大きさが変化し、通常胸骨体の下部の左半分および左側の4番目と5番目の肋骨の軟骨の肉側端に相当する小領域が、胸壁と直接関係する。後ろでは、心膜嚢が、気管支、食道、下行胸部大動脈、およびそれぞれの肺の縦隔面の後部の上に載っている。横方向には、肋膜で被覆され.肺の縦隔面と関連する。横隔神経は、その付随する血管と共に、いずれかの側面上で心膜と肋膜との間を下行する。同上。
【0040】
姿勢および歩行の異なる段階において、可動面が流体薄膜によって隔てられ得る滑膜関節と同様に、心臓および心膜は、変形可能な心外膜および心膜の摺動面が潤滑油によって隔てられる耐荷重システムと見ることができるだろう。deVries G.et al.(2001).“A novel technique for measurement of pericardial pressure.”Am.J.Physiol.Heart Circ.Physiol.280(6):H2815−22。
【0041】
心臓の血行動態において、心膜によって果たされる役割は重要である。ほぼ1世紀前、Barnardは、心膜が心臓充満における著しい制約で有り得るという結論を下した。Barnard H.(1898).“The functions of the pericardium.”J.Physiol.22:43−47。彼は簡単な実験で、イヌの心膜を単離し、自転車用ポンプを用いて膨張させ、950〜1330mmHgの圧力になるまで破裂しないことを観察した。Barnardによれば、「弛緩した心臓が10〜20mmHgの静脈圧にさらされると、心膜が緊張を取り、ある点を超える心臓の拡張を防ぐ。したがって、拡張した腔および薄くなった壁の機構的不利点が回避される」。Hamilton D.R.et al.(1994).“Right atrial and right ventricular transmural pressures in dogs and humans.Effects of the pericardium.”Circulation 90(5):2492−500。
【0042】
Gibbons Kroekerらは、心膜が介在する心房容積の急激な変化の埋め合わせが示すように、左心室(LV)と右心室(RV)との間の直接的な相互作用が心膜によって介在されることを示した。Gibbons Kroeker et al.(2006).“A 2D FE model of the heart demonstrates the role of the pericardium in ventricular deformation.”Am.J.Physiol.Heart.Circ.Physiol.291(5):H2229−36。緊張が低い時点では心膜は非常に膨張性であるが、緊張が10パーセントを超えると、心膜は非常に堅くなる。このため、ある範囲の低心臓容積に渡って、心膜は心臓が充満するにつれて心臓と共に容易に拡張する。しかし、ある点で、それは堅くなり、心臓の短軸の周囲でますます堅い輪になり、さらなる拡張に耐える。同上。
【0043】
心膜と心臓との間の局所的な接触力により、心臓周期の間の心膜の変形に領域格差がもたらされ、根本的な心室の容積変化を反映する。Goto Y.and LeWinter M.M.(1990).“Nonuniform regional deformation of the pericardium during the cardiac cycle in dogs.”Circ.Res.67(5):1107−14。測定される左心室の拡張期圧は、心筋および心膜全体の圧力差の合計に等しい。したがって、心膜圧の上昇により、心室容積を変化することなく測定される心室の拡張期圧が上昇し、これが圧力−容積曲線に上方移行をもたらす。Tyberg J.V.et al.(1978).“A mechanism for shifts in the diastolic,left ventricular,pressure−volume curve:the role of the pericardium.”Eur.J.Cardiol.7 Suppl:163−75。
【0044】
ヘリウム族またはネオン族としても既知である希ガスは、周期表の18群の要素である。希ガスはすでに安定しているため、他の要素とはほとんど反応しない。通常の条件下では、希ガスは無臭、無色の単原子気体であり、それぞれその融点および沸点が近く、それぞれの希ガスについて、それぞれ液体である温度範囲は僅かしかない。希ガスは、照明、溶接、および宇宙開発技術において多くの重要な用途を有する。7つの希ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、およびウンウンオクチウムである。
【0045】
ヘリウム(He)は、周期表の希ガス系を代表し、その原子番号は2である、無色、無臭、無味、非毒性、無活性の単原子化学要素である。沸点および融点は要素の中でも最低であり、極端条件時を除き、気体としてのみ存在する。ヘリウムは既知であるいずれの他の気体よりも可溶性が低く、ヘリウム中の音速は空気中の音速のほとんど3倍であるため、測定可能な粘性は全くない。
【0046】
標準条件での中性ヘリウムは非毒性であり、生物学的役割は果たさず、ヒト血液中で微量が見られる。気体混合物へのヘリウムの添加は、心室細動の発生を防ぐ。ヘリウムは、この調製が使用されると、心室細動に対して確かな予防効果を有する。予防効果の機序は、依然として確立されていない。ヘリウムは、虚血領域の側副血行を増進し得ると考えられる。Pifarre R.et al.(1969).“Helium in the Prevention of Ventricular Fibrillation.”Chest 56(2):135−138。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0047】
明らかに、うっ血性心不全を有する患者を治療するための安全かつ効果的なアプローチの臨床的必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0048】
心機能を補助するための装置、システム、および方法を本明細書に開示する。さらに、開示される種々の実施形態は、心膜腔から気体を注入および除去するための装置、システム、および方法を提供する。
【0049】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、該装置は、少なくとも2つの電磁板であって、内表面を有する少なくとも2つの電磁板と、少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つに電気的に連結される心臓用プロセッサと、内室を有する空気袋であって、少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つの内表面に取り付けられる空気袋と、空気袋の内室と連通する気体源と、近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有するカテーテルであって、カテーテルは、カテーテルの遠位端またはその近傍にその中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、カテーテルの近位端は、空気袋の内室と連通するカテーテルと、を含み、カテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられると、装置は、心膜腔に気体を注入、および/またはそこから気体を除去するように動作する。別の実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を圧縮するように動作可能であり、空気袋の圧縮により、カテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられると、心膜腔に気体が注入される。さらに別の実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を圧縮するように動作可能であり、圧縮は、1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置を使用して促進される。さらなる実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を拡張するように動作可能であり、空気袋の拡張により、カテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられると、心膜腔から気体が除去される。またさらなる実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を拡張するように動作可能であり、拡張は、1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置を使用して促進される。
【0050】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、心臓用プロセッサは、少なくとも2つの電磁板に空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である。別の実施形態において、心臓用プロセッサは心臓のデータを含み、心臓のデータは少なくとも1つのパラメータを含み、心臓用プロセッサは、心臓のデータの少なくとも1つのパラメータに基づいて、少なくとも2つの電磁板に空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である。さらに別の実施形態において、該装置は、カテーテルに動作可能に連結される少なくとも1つの圧力/容積センサをさらに含み、少なくとも1つの圧力/容積センサは、心臓用プロセッサに圧力および/または容積データを提供するように動作し、圧力および/または容積データは、少なくとも1つの圧力/容積センサで検出される気体の圧力および/または容積に関連する。さらなる実施形態において、心臓用プロセッサは、圧力および/または容積データに基づいて、少なくとも2つの電磁板に空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である。またさらなる実施形態において、心臓用プロセッサは、少なくとも1本のワイヤを使用して少なくとも2つの電磁板に連結される。
【0051】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、空気袋は、ポリウレタン製空気袋を含む。別の実施形態において、気体源は、可搬式気体容器を含む。さらに別の実施形態において、気体は、希ガスである。さらなる実施形態において、希ガスは、ヘリウムである。またさらなる実施形態において、気体はカテーテルの管腔を通って空気袋から心膜腔に進入し、カテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャから出る。
【0052】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、気体は心膜腔から、カテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャを通り、カテーテルの管腔を通って、空気袋に除去される。別の実施形態において、該装置は、気体源と空気袋との間に位置付けられる弁をさらに含む。さらに別の実施形態において、弁は、気体を気体源から流させるように動作可能な一方向弁である。さらなる実施形態において、該装置は、心臓用プロセッサに動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む。またさらなる実施形態において、該装置は、少なくとも2つの電磁板に動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む。
【0053】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、該装置は、1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置に動作可能に連結される、電源供給装置をさらに含む。別の実施形態において、電源供給装置は、バッテリを含む。さらに別の実施形態において、バッテリは、充電式バッテリを含む。さらなる実施形態において、該装置は、心臓用プロセッサと連通するデータ記憶装置をさらに含み、心臓用プロセッサは、データ記憶装置内に記憶されたデータに基づいて、少なくとも2つの電磁板に空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である。またさらなる実施形態において、心臓用プロセッサは、空気袋の圧縮の頻度を第1圧縮速度から第2圧縮速度へと上昇させるように動作可能であり、頻度の上昇は、心臓をより速い速度で拍動させる。
【0054】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、心臓用プロセッサは、空気袋の圧縮の頻度を第1圧縮速度から第2圧縮速度へと低下させるように動作可能であり、頻度の低下は、心臓をより遅い速度で拍動させる。別の実施形態において、装置の少なくとも一部分は患者の体の外部に位置付けられ、装置の少なくとも一部分は患者の体内に位置付けられる。さらに別の実施形態において、気体源は、患者の体の外部に位置付けられる。さらなる実施形態において、心臓用プロセッサは、患者の体内に位置付けられる。またさらなる実施形態において、該装置は、気体源に連結される少なくとも1つのベルトをさらに含み、少なくとも1つのベルトは、気体源を患者の体に固定するように患者の体の外部に固定され得る。
【0055】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つのバルーンがカテーテルに連結され、カテーテルの外部に位置付けられる。別の実施形態において、該装置は、近位端および遠位端を有する導管をさらに含み、導管の遠位端は少なくとも1つのバルーンに連結されており、カテーテルが心房壁の中のアパーチャ内に位置付けられ、かつ少なくとも1つのバルーンが心房壁の中のアパーチャまたはその近傍に位置付けられる際、少なくとも1つのバルーンの膨張によりカテーテルが心房壁の適所に保持される。さらに別の実施形態において、カテーテルは、吸引/注入カテーテルである。さらなる実施形態において、少なくとも1つのバルーンの膨張により、少なくとも1つのバルーンの第1部分が心房壁の第1側面上で膨張し、さらに少なくとも1つのバルーンの第2部分が心房壁の第2側面上で膨張し、カテーテルを心房壁の適所に固定する。またさらなる実施形態において、少なくとも1つのバルーンは、第1バルーンおよび第2バルーンを含む。
【0056】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、カテーテルが心房壁のアパーチャ内に位置付けられる際、第1バルーンは心房壁の第1側面上に位置付けられ、第2バルーンは心房壁の第2側面上に位置付けられ、第1バルーンおよび第2バルーンが膨張されると、カテーテルは心房壁の適所に保持される。別の実施形態において、導管の近位端は吸引/注入源に連結され、少なくとも1つのバルーンが吸引/注入源を使用して膨張される。さらに別の実施形態において、該装置は、カテーテルに連結され、カテーテルの外部に位置付けられる物理的構造をさらに含み、物理的構造は、少なくとも1つのバルーンまたはその近傍に位置付けられる。さらなる実施形態において、カテーテルは、心房壁のアパーチャ内に位置付けられ、少なくとも1つのバルーンは心房壁の一側面上に位置付けられ、物理的構造は心房壁のもう一方の側面上に位置付けられ、少なくとも1つのバルーンが膨張されると、カテーテルは心房壁の適所に保持される。またさらなる実施形態において、物理的構造は、突出を含む。
【0057】
心臓内にカテーテルを固定するための器具の少なくとも1つの実施形態によれば、該器具は、近位端、遠位端、および中を通って画定される少なくとも1つの管腔を有するカテーテルであって、カテーテルの遠位端またはその近傍で中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定するカテーテルと、カテーテルに連結され、カテーテルの外部に位置付けられる少なくとも1つのバルーンと、近位端および遠位端を有する導管であって、導管の遠位端は少なくとも1つのバルーンに連結される導管と、を含み、カテーテルが心房壁の中のアパーチャ内に位置付けられ、かつ少なくとも1つのバルーンが心房壁の中のアパーチャまたはその近傍に位置付けられると、少なくとも1つのバルーンの膨張により、カテーテルが心房壁の適所に保持される。別の実施形態において、カテーテルは、吸引/注入カテーテルである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つのバルーンの膨張により、少なくとも1つのバルーンの第1部分が心房壁の第1側面上で膨張し、さらに少なくとも1つのバルーンの第2部分が心房壁の第2側面上で膨張し、カテーテルを心房壁の適所に固定する。さらなる実施形態において、少なくとも1つのバルーンは、第1バルーンおよび第2バルーンを含む。またさらなる実施形態において、第1バルーンは心房壁の第1側面上に位置付けられ、第2バルーンは心房壁の第2側面上に位置付けられ、第1バルーンおよび第2バルーンが膨張されると、カテーテルは心房壁の適所に保持される。
【0058】
心臓内にカテーテルを固定するための器具の少なくとも1つの実施形態によれば、導管の近位端は吸引/注入源に連結され、少なくとも1つのバルーンが吸引/注入源を使用して膨張される。別の実施形態において、該器具は、カテーテルに連結され、カテーテルの外部に位置付けられる物理的構造をさらに含み、物理的構造は、少なくとも1つのバルーンまたはその近傍に位置付けられる。さらに別の実施形態において、カテーテルが心房壁のアパーチャ内に位置付けられる際、少なくとも1つのバルーンは心房壁の一側面上に位置付けられ、物理的構造は心房壁のもう一方の側面上に位置付けられ、少なくとも1つのバルーンが膨張されると、カテーテルは心房壁の適所に保持される。さらなる実施形態において、物理的構造は、突出を含む。
【0059】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、該方法は、心機能を補助するための装置を提供するステップであって、少なくとも2つの電磁板であって、内表面を有する少なくとも2つの電磁板と、少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つに電気的に連結される心臓用プロセッサと、内室を有する空気袋であって、少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つの内表面に取り付けられる空気袋と、空気袋の内室と連通する気体源と、近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有するカテーテルであって、カテーテルは、カテーテルの遠位端またはその近傍にその中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、カテーテルの近位端は、空気袋の内室と連通するカテーテルと、を含む、ステップと、心膜腔に気体を注入および/またはそこから気体を除去して心機能を補助するように、装置を動作させるステップと、を含む。別の実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を圧縮するように動作可能であり、空気袋の圧縮により、カテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられると、心膜腔に気体が注入される。さらに別の実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を圧縮するように動作可能であり、圧縮は、1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置を使用して促進される。さらなる実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を拡張するように動作可能であり、空気袋の拡張により、カテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられると、心膜腔から気体が除去される。またさらなる実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を拡張するように動作可能であり、拡張は、1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置を使用して促進される。
【0060】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、心臓用プロセッサは、少なくとも2つの電磁板に空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である。別の実施形態において、心臓用プロセッサは、心臓のデータを含み、心臓のデータは少なくとも1つのパラメータを含み、心臓用プロセッサは、心臓のデータの少なくとも1つのパラメータに基づいて、少なくとも2つの電磁板に空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である。さらに別の実施形態において、カテーテルは、カテーテルに動作可能に連結される少なくとも1つの圧力/容積センサをさらに含み、少なくとも1つの圧力/容積センサは、心臓用プロセッサに圧力および/または容積データを提供するように動作可能であり、圧力および/または容積データは、少なくとも1つの圧力/容積センサで検出される気体の圧力および/または容積に関連する。さらなる実施形態において、心臓用プロセッサは、圧力および/または容積データに基づいて、少なくとも2つの電磁板に空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である。またさらなる実施形態において、心臓用プロセッサは、少なくとも1本のワイヤを使用して少なくとも2つの電磁板に連結される。
【0061】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、空気袋は、ポリウレタン製空気袋を含む。別の実施形態において、空気袋は、シラスティック製空気袋を含む。さらに別の実施形態において、気体源は、可搬式気体容器を含む。さらなる実施形態において、気体は、希ガスである。またさらなる実施形態において、希ガスは、ヘリウムである。
【0062】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、気体はカテーテルの管腔を通って空気袋から心膜腔に進入し、カテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャから出る。別の実施形態において、気体は心膜腔から、カテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャを通り、カテーテルの管腔を通って、空気袋に除去される。さらに別の実施形態において、該装置は、気体源と空気袋との間に位置付けられる弁をさらに含む。さらなる実施形態において、弁は、気体を気体源から流させるように動作可能な一方向弁である。またさらなる実施形態において、該装置は、心臓用プロセッサに動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む。
【0063】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、該装置は、少なくとも2つの電磁板に動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む。別の実施形態において、該装置は、1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置に動作可能に連結される、電源供給装置をさらに含む。さらに別の実施形態において、電源供給装置は、バッテリを含む。さらなる実施形態において、バッテリは、充電式バッテリを含む。またさらなる実施形態において、該装置は、心臓用プロセッサと連通するデータ記憶装置をさらに含み、心臓用プロセッサは、データ記憶装置内に記憶されたデータに基づいて、少なくとも2つの電磁板に空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である。
【0064】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、心臓用プロセッサは、空気袋の圧縮の頻度を第1圧縮速度から第2圧縮速度へと上昇させるように動作可能であり、頻度の上昇は、心臓をより速い速度で拍動させる。別の実施形態において、心臓用プロセッサは、空気袋の圧縮の頻度を第1圧縮速度から第2圧縮速度へと低下させるように動作可能であり、頻度の低下は、心臓をより遅い速度で拍動させる。さらに別の実施形態において、装置の少なくとも一部分は患者の体の外部に位置付けられ、装置の少なくとも一部分は患者の体内に位置付けられる。さらなる実施形態において、気体源は、患者の体の外部に位置付けられる。またさらなる実施形態において、心臓用プロセッサは、患者の体内に位置付けられる。
【0065】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、該装置は、気体源に連結される少なくとも1つのベルトをさらに含み、少なくとも1つのベルトは、気体源を患者の体に固定するように患者の体の外部に固定され得る。別の実施形態において、少なくとも1つのバルーンがカテーテルに連結され、カテーテルの外部に位置付けられる。さらに別の実施形態において、該装置は、近位端および遠位端を有する導管をさらに含み、導管の遠位端は、少なくとも1つのバルーンに連結され、少なくとも1つのバルーンの膨張により、カテーテルが心房壁のアパーチャ内に位置付けられて、少なくとも1つのバルーンがアパーチャまたはその近傍に位置付けられると、カテーテルが心房壁の適所に保持される。さらなる実施形態において、カテーテルは、吸引/注入カテーテルである。またさらなる実施形態において、少なくとも1つのバルーンの膨張により、少なくとも1つのバルーンの第1部分が心房壁の第1側面上で膨張し、さらに少なくとも1つのバルーンの第2部分が心房壁の第2側面上で膨張し、カテーテルを心房壁の適所に固定する。
【0066】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つのバルーンは、第1バルーンおよび第2バルーンを含む。別の実施形態において、第1バルーンは心房壁の第1側面上に位置付けられ、第2バルーンは心房壁の第2側面上に位置付けられ、第1バルーンおよび第2バルーンが膨張されると、カテーテルは心房壁の適所に保持される。さらに別の実施形態において、導管の近位端は吸引/注入源に連結され、少なくとも1つのバルーンが吸引/注入源を使用して膨張される。さらなる実施形態において、カテーテルは、カテーテルに連結され、カテーテルの外部に位置付けられる物理的構造をさらに含み、物理的構造は、少なくとも1つのバルーンまたはその近傍に位置付けられる。またさらなる実施形態において、カテーテルが心房壁のアパーチャ内に位置付けられる際、少なくとも1つのバルーンは心房壁の一側面上に位置付けられ、物理的構造は心房壁のもう一方の側面上に位置付けられ、少なくとも1つのバルーンが膨張されると、カテーテルは心房壁の適所に保持される。別の実施形態において、物理的構造は、突出を含む。
【0067】
心臓内にカテーテルを固定するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、該方法は、心房壁のアパーチャを通ってカテーテルを導入するステップであって、カテーテルは、近位端、遠位端、および中を通って画定される少なくとも1つの管腔であって、カテーテルは、カテーテルの遠位端またはその近傍に中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定する、近位端、遠位端、および管腔と、カテーテルに連結され、カテーテルの外部に位置付けられる少なくとも1つのバルーンと、近位端および遠位端を有する導管であって、導管の遠位端は少なくとも1つのバルーンに連結される導管と、を含む、ステップと、少なくとも1つのバルーンが心房壁のアパーチャまたはその近傍に位置付けられるように、カテーテルを位置付けるステップと、少なくとも1つのバルーンを膨張させて、カテーテルを心房壁の適所に固定するステップと、を含む。別の実施形態において、カテーテルは、吸引/注入カテーテルである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つのバルーンを膨張させるステップにより、少なくとも1つのバルーンの第1部分が心房壁の第1側面上で膨張し、さらに少なくとも1つのバルーンの第2部分が心房壁の第2側面上で膨張し、カテーテルを心房壁の適所に固定する。さらなる実施形態において、少なくとも1つのバルーンは、第1バルーンおよび第2バルーンを含む。またさらなる実施形態において、カテーテルが心房壁のアパーチャ内に位置付けられる際、第1バルーンは心房壁の第1側面上に位置付けられ、第2バルーンは心房壁の第2側面上に位置付けられ、第1バルーンおよび第2バルーンが膨張されると、カテーテルは心房壁の適所に保持される。
【0068】
心臓内にカテーテルを固定するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、導管の近位端は吸引/注入源に連結され、少なくとも1つのバルーンが吸引/注入源を使用して膨張される。別の実施形態において、カテーテルは、カテーテルに連結され、カテーテルの外部に位置付けられる物理的構造をさらに含み、物理的構造は、少なくとも1つのバルーンまたはその近傍に位置付けられる。さらに別の実施形態において、カテーテルが心房壁のアパーチャ内に位置付けられる際、少なくとも1つのバルーンは心房壁の一側面上に位置付けられ、物理的構造は心房壁のもう一方の側面上に位置付けられ、少なくとも1つのバルーンが膨張されると、カテーテルは心房壁の適所に保持される。さらなる実施形態において、物理的構造は、突出を含む。
【0069】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、該装置は、近位端、遠位端、および内室を有するピストンと、ピストンに電気的に連結される心臓用プロセッサと、ピストンの近位端でピストンの内室と連通する気体源と、近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有するカテーテルであって、カテーテルは、カテーテルの遠位端またはその近傍にその中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、カテーテルの近位端は、ピストンの内室と連通するカテーテルと、を含み、カテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられると、装置は、心膜腔に気体を注入、および/またはそこから気体を除去するように動作する。別の実施形態において、ピストンの作動により、心膜腔に気体が注入される。さらに別の実施形態において、ピストンの作動により、心膜腔から気体が除去される。さらなる実施形態において、心臓用プロセッサは、ピストンにピストンから気体を注入させる、および/またはそこに気体を引き込ませるように動作可能である。またさらなる実施形態において、気体源は可搬式気体容器を含み、気体はヘリウムである。
【0070】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、気体はカテーテルの管腔を通ってピストンから心膜腔に進入し、カテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャから出る。別の実施形態において、気体は心膜腔から、カテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャを通り、カテーテルの管腔を通って、ピストンに除去される。さらに別の実施形態において、該装置は、気体源とピストンとの間に位置付けられる一方向弁をさらに含み、一方向弁は、気体を気体源から流させるように動作可能である。さらなる実施形態において、該装置は、心臓用プロセッサに動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む。またさらなる実施形態において、電源供給装置は、バッテリを含む。
【0071】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、該装置は、第1電磁板であって、内表面を有する第1電磁板と、第1非電磁性板であって、内表面を有する第1非電磁性板と、第1電磁板に電気的に連結される心臓用プロセッサと、近位端、遠位端、および内室を有する空気袋であって、第1電磁板および/または第1非電磁性板の内表面に取り付けられる空気袋と、空気袋の近位端で空気袋の内室と連通する気体源と、近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有するカテーテルであって、カテーテルは、カテーテルの遠位端またはその近傍にその中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、カテーテルの近位端は、空気袋の遠位端で空気袋の内室と連通するカテーテルと、を含み、カテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられると、装置は、心膜腔に気体を注入、および/またはそこから気体を除去するように動作する。
【0072】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、該装置は、少なくとも2つの電磁板であって、内表面を有する少なくとも2つの電磁板と、少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つに電気的に連結される心臓用プロセッサと、内室を有する空気袋であって、少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つの内表面に取り付けられる空気袋と、空気袋の内室と連通する気体源と、近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有する少なくとも1つのカテーテルであって、少なくとも1つのカテーテルは、少なくとも1つのカテーテルの遠位端またはその近傍で、その中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、少なくとも1つのカテーテルの遠位端またはその近傍で、少なくとも1つのカテーテルに連結される心膜バルーンを含み、少なくとも1つのカテーテルの近位端は、空気袋の内室と連通するカテーテルと、を含み、少なくとも1つのカテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられると、装置は、心膜バルーンに気体を注入、および/またはそこから気体を除去するように動作する。別の実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を圧縮するように動作可能であり、空気袋の圧縮により、気体が心膜バルーンに注入され、心膜バルーンを膨張させる。さらに別の実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を拡張するように動作可能であり、空気袋の拡張により、気体が心膜バルーンから除去され、心膜バルーンを収縮させる。さらなる実施形態において、気体は少なくとも1つのカテーテルの管腔を通って空気袋から心膜バルーンに進入し、少なくとも1つのカテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャから出る。またさらなる実施形態において、気体は心膜バルーンから、少なくとも1つのカテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャを通り、少なくとも1つのカテーテルの管腔を通って、空気袋に除去される。
【0073】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、少なくとも1つのカテーテルの遠位端が、心腔またはその近傍で心膜腔内に位置付けられると、心膜バルーンの膨張により、心腔を囲む心外膜壁上に圧力が加わり、心膜バルーンの収縮により、心外膜壁上の圧力が取り除かれ、心膜バルーンの膨張および収縮は、心機能を促進するように動作可能である。別の実施形態において、心腔は、左心室である。さらに別の実施形態において、心腔は、右心室である。さらなる実施形態において、少なくとも1つのカテーテルは、第1カテーテルおよび第2カテーテルを含む。またさらなる実施形態において、少なくとも1つのカテーテルは、3つ以上のカテーテルを含む。
【0074】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、第1カテーテルの遠位端が第1心腔またはその近傍で心膜腔内に位置付けられ、かつ第2カテーテルの遠位端が第2心腔またはその近傍で心膜腔内に位置付けられると、第1カテーテルおよび第2カテーテルに連結される心膜バルーンの膨張により、第1心腔および第2心腔を囲む心外膜壁上に圧力が加わり、第1カテーテルおよび第2カテーテルに連結される心膜バルーンの収縮により、心外膜壁上の圧力が取り除かれ、心膜バルーンの膨張および収縮は、心機能を促進するように動作可能である。別の実施形態において、第1カテーテルの心膜バルーンの膨張および収縮は、第2カテーテルの心膜バルーンのそれぞれ膨張および収縮時に生じる。さらに別の実施形態において、第1および第2カテーテルの心膜バルーンの膨張および収縮は、対抗脈動を生じさせる。さらなる実施形態において、第1カテーテルの心膜バルーンの膨張および収縮は、第2カテーテルの心膜バルーンのそれぞれ膨張および収縮時とは異なる時に生じる。またさらなる実施形態において、第1心腔は左心室であり、第2心腔は右心室である。
【0075】
心機能を補助するための装置の少なくとも1つの実施形態によれば、心膜バルーンは、ポリウレタン製である。別の実施形態において、心膜バルーンは、30〜40立法センチメートルの膨張容積を有する。
【0076】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、該方法は、心機能を補助するための装置を提供するステップであって、少なくとも2つの電磁板であって、内表面を有する少なくとも2つの電磁板と、少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つに電気的に連結される心臓用プロセッサと、内室を有する空気袋であって、少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つの内表面に取り付けられる空気袋と、空気袋の内室と連通する気体源と、近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有する少なくとも1つのカテーテルであって、少なくとも1つのカテーテルは、少なくとも1つのカテーテルの遠位端またはその近傍で、その中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、少なくとも1つのカテーテルの遠位端またはその近傍で、少なくとも1つのカテーテルに連結される心膜バルーンを含み、少なくとも1つのカテーテルの近位端は、空気袋の内室と連通するカテーテルと、を含む、ステップと、少なくとも1つのカテーテルの遠位端が心膜腔内に位置付けられた際、心膜バルーンに気体を注入および/またはそこから気体を除去して心機能を補助するように装置を動作させるステップと、を含む。
【0077】
別の実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を圧縮するように動作可能であり、空気袋の圧縮により、気体が心膜バルーンに注入され、心膜バルーンを膨張させる。さらに別の実施形態において、少なくとも2つの電磁板は、空気袋を拡張するように動作可能であり、空気袋の拡張により、気体が心膜バルーンから除去され、心膜バルーンを収縮させる。さらなる実施形態において、気体は少なくとも1つのカテーテルの管腔を通って空気袋から心膜バルーンに進入し、少なくとも1つのカテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャから出る。
【0078】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、気体は心膜バルーンから、少なくとも1つのカテーテル内に画定される少なくとも1つのアパーチャを通り、少なくとも1つのカテーテルの管腔を通って、空気袋に除去される。別の実施形態において、少なくとも1つのカテーテルの遠位端が、心腔またはその近傍で心膜腔内に位置付けられると、心膜バルーンの膨張により、心腔を囲む心外膜壁上に圧力が加わり、心膜バルーンの収縮により、心外膜壁上の圧力が取り除かれ、心膜バルーンの膨張および収縮は、心機能を促進するように動作可能である。さらに別の実施形態において、心腔は、左心室である。さらなる実施形態において、心腔は、右心室である。またさらなる実施形態において、少なくとも1つのカテーテルは、第1カテーテルおよび第2カテーテルを含む。別の実施形態において、少なくとも1つのカテーテルは、3つ以上のカテーテルを含む。
【0079】
別の実施形態において、第1カテーテルの遠位端が第1心腔またはその近傍で心膜腔内に位置付けられ、かつ第2カテーテルの遠位端が第2心腔またはその近傍で心膜腔内に位置付けられると、第1カテーテルおよび第2カテーテルに連結される心膜バルーンの膨張により、第1心腔および第2心腔を囲む心外膜壁上に圧力が加わり、第1カテーテルおよび第2カテーテルに連結される心膜バルーンの収縮により、心外膜壁上の圧力が取り除かれ、心膜バルーンの膨張および収縮は、心機能を促進するように動作可能である。さらに別の実施形態において、第1カテーテルの心膜バルーンの膨張および収縮は、第2カテーテルの心膜バルーンのそれぞれ膨張および収縮時に生じる。さらなる実施形態において、第1および第2カテーテルの心膜バルーンの膨張および収縮は、対抗脈動を生じさせる。またさらなる実施形態において、第1カテーテルの心膜バルーンの膨張および収縮は、第2カテーテルの心膜バルーンのそれぞれ膨張および収縮時とは異なる時に生じる。
【0080】
心機能を補助する方法の少なくとも1つの実施形態によれば、第1心腔は左心室であり、第2心腔は右心室である。
標的組織のアパーチャを閉合するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、該方法は、標的組織にカテーテルを導入するステップであって、カテーテルは、その中を通って画定される管腔を有するステップと、カテーテルの管腔内にコイルを挿入するステップと、カテーテルの管腔内にシャフトを挿入するステップであって、シャフトは、コイルを標的組織に位置付けるように動作可能であるステップと、標的組織のアパーチャ内にコイルを位置付けるステップであって、コイルの少なくとも一部は標的組織の第1側面上に存在し、コイルの少なくとも一部は標的組織の第2側面上に存在するステップと、を含む。別の実施形態において、コイルは記憶機構を含み、記憶機構は第1構成および第2構成を含む。さらに別の実施形態において、第1構成は非圧縮構成であり、第2構成は圧縮構成である。さらなる実施形態において、該方法は、コイルの記憶機構が第1構成から第2構成に変化するように、シャフトを使用してコイルを押すステップをさらに含む。またさらなる実施形態において、該方法は、コイルが圧縮して標的組織のアパーチャを閉合するように、シャフトを使用してコイルを押すステップをさらに含む。
【0081】
標的組織のアパーチャを閉合するための方法の少なくとも1つの実施形態によれば、該方法は、コイルが圧縮して標的組織のアパーチャを閉合するように、シャフトを使用してコイルをねじるステップをさらに含む。別の実施形態において、標的組織は、心臓の心房壁である。さらに別の実施形態において、カテーテルの管腔内にコイルを挿入するステップは、コイルの挿入の前にカテーテルの管腔内にガイドワイヤを挿入するステップを含み、ガイドワイヤがコイルの挿入を促進し得るようにする。さらなる実施形態において、コイルを位置付けるステップは、標的組織のアパーチャの閉合をもたらす。またさらなる実施形態において、カテーテルを標的組織に導入するステップは、カテーテルによる標的組織の係合をさらに含む。
【0082】
標的組織のアパーチャを閉合するためのシステムの少なくとも1つの実施形態によれば、該システムは、中を通って画定される管腔を有する第1カテーテルと、カテーテルの管腔内に位置付けられるコイルと、カテーテルの管腔内に位置付けられるシャフトであって、コイルを標的組織に位置付けるように動作可能であるシャフトと、を含み、コイルは、標的組織のアパーチャ内に位置付けられて該アパーチャを閉合することができる。少なくとも1つの実施形態において、コイルは、放射線不透過性である。別の実施形態において、第1カテーテルは送達カテーテルを含み、コイルおよびシャフトは送達カテーテル内に位置付けられる。さらに別の実施形態において、該システムは、中を通って画定される管腔を有する第2カテーテルをさらに含み、第2カテーテルは係合カテーテルを含み、送達カテーテルは、係合カテーテルの管腔内に位置付けられる。さらなる実施形態において、コイルが標的組織のアパーチャ内に位置付けられた際、コイルの少なくとも一部は標的組織の第1側面上に存在し、コイルの少なくとも一部は標的組織の第2側面上に存在する。またさらなる実施形態において、コイルは記憶機構を含み、記憶機構は第1構成および第2構成を含む。
【0083】
標的組織のアパーチャを閉合するためのシステムの少なくとも1つの実施形態によれば、第1構成は非圧縮構成であり、第2構成は圧縮構成である。別の実施形態において、シャフトは、コイルの記憶機構が第1構成から第2構成に変化するように、コイルを押すようにさらに動作可能である。さらに別の実施形態において、シャフトは、コイルが圧縮して標的組織のアパーチャを閉合するように、コイルを押すようにさらに動作可能である。さらなる実施形態において、シャフトは、コイルが圧縮して標的組織のアパーチャを閉合するように、コイルをねじるようにさらに動作可能である。またさらなる実施形態において、標的組織は、心臓の心房壁である。
【0084】
標的組織のアパーチャを閉合するためのシステムの少なくとも1つの実施形態によれば、該システムは、カテーテルの管腔内にコイルを位置付ける前にカテーテルの管腔内に位置付けられるガイドワイヤをさらに含み、ガイドワイヤがコイルの位置付けを促進し得るようにする。別の実施形態において、係合カテーテルは、標的組織を係合するように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1A】本明細書に開示される、係合カテーテルの一実施形態および送達カテーテルの一実施形態を示す。
【図1B】本明細書に開示される、係合カテーテルの別の一実施形態および送達カテーテルの別の一実施形態を使用する、経皮的血管内心膜送達を示す。
【図2A】図1Aに示される係合および送達カテーテルを使用し、右心房壁または心耳を通じて心膜腔にアクセスするための経皮的血管内手技を示す。
【図2B】図2Aに示される係合カテーテルの実施形態を示す。
【図2C】図2Aおよび2Bに示される係合カテーテルの実施形態の遠位端の別の図を示す。
【図3A】本明細書に開示される、カテーテルの一実施形態の除去を示す。
【図3B】本明細書に開示される、一実施形態に従う、穿刺の再密閉を示す。
【図4A−4C】本明細書に開示される、一実施形態を使用する、心房壁内の穴の閉合を示す。
【図4D】本明細書に開示される別の実施形態を使用した心臓組織の穴の別の閉合を示す。
【図4E】本明細書に開示される別の実施形態を使用した心臓組織の穴のさらに別の閉合を示す。
【図4F】本明細書に開示される別の実施形態を使用した心臓組織の穴のまた別の閉合を示す。
【図5A】本明細書に開示される係合カテーテルの一実施形態を示す。
【図5B】図5Aに示される係合カテーテルの近位端の断面図を示す。
【図5C】図5Aに示される係合カテーテルの遠位端の断面図を示す。
【図5D】心臓の内側から心臓壁に接近する、図5Aに示される係合カテーテルを示す。
【図6A】本明細書に開示される、送達カテーテルの一実施形態を示す。
【図6B】図6Aに示される針の拡大図を示す。
【図6C】図6Aおよび6Bに示される針の断面図を示す。
【図7】本明細書に開示される送達カテーテルの一実施形態を示す。
【図8】操縦チャネル内の操縦ワイヤシステムの一実施形態を示す。
【図9A】本明細書に開示される操縦ワイヤシステムの別の実施形態を示し、本実施形態は一箇所で屈折される。
【図9B】図9Aに示される操縦ワイヤシステムであって、2箇所で屈折される操縦ワイヤシステムを示す。
【図9C】その原位置にある、図9Aおよび9Bに示される操縦ワイヤシステムを示す。
【図10】操縦ワイヤシステムの別の実施形態の一部分を示す。
【図11】本明細書に開示される送達カテーテルの別の実施形態の断面図を示す。
【図12A】本明細書に開示される、心臓組織の穴を閉合するためのシステムの一実施形態を示す。
【図12B】本明細書に開示される、心臓組織の穴を閉合するためのシステムの別の実施形態を示す。
【図12C】本明細書に開示される、心臓組織の穴を閉合するためのシステムの別の実施形態を示す。
【図13】本明細書に開示される、心臓組織の穴を閉合するためのシステムの別の実施形態を示す。
【図14】本明細書に開示される、心臓組織の穴を閉合するためのシステムの別の実施形態を示す。
【図15A】本明細書に開示される、心臓組織の穴を閉合するためのシステムの別の実施形態を示す。
【図15B】心臓組織に接近する図15Aの実施形態を示す。
【図15C】心臓組織の中で展開される、図15A〜15Cの実施形態を示す。
【図15D】本明細書に開示される、心臓組織のアパーチャを閉合するためのシステムの実施形態を示す。
【図15E】本明細書に開示される、コイルが穴を部分的にまたは完全に閉合している、心臓組織のアパーチャを閉合するためのシステムの実施形態を示す。
【図15F】本明細書に開示される、心臓組織のアパーチャを閉合するためのシステムのコイルの実施形態を示す。
【図16A】本明細書に開示される、実質的にスリーブ内に位置付けられるスカートを有する、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図16B】本明細書に開示される、組織に係合するための器具の一部分の別の実施形態を示す。
【図16C】本明細書に開示される、実質的にスリーブの外に位置付けられるスカートを有する、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図17A】本明細書に開示される、組織に係合している、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図17B】本明細書に開示される、組織に係合している拡張したスカートを有する、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図18A】本明細書に開示される、スリーブ内に存在する仕舞われたスカート有する、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図18B】本明細書に開示される、拡張したスカートを有する、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図19】本明細書に開示される、組織に係合するためのシステムの実施形態を示す。
【図20A】本明細書に開示される、中を通って位置付けられるリードを有する、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図20B】本明細書に開示される針を示す、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図20C】中を通って位置付けられるリードを有する図20Bの実施形態を示す。
【図21A】本明細書に開示される、組織から流体を除去するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図21B】本明細書に開示される、組織から流体を除去するため溝を含む器具の一部分の実施形態を示す。
【図22】本明細書に開示される、心臓内に挿入される、組織から流体を除去するための器具の一部分の実施形態を示す。
【図23A】本明細書に開示される、収縮したバルーンを伴うカテーテルシステムの実施形態を示す。
【図23B】本明細書に開示される、膨張したバルーンを伴うカテーテルシステムの実施形態を示す。
【図24】本明細書に開示される、心臓を囲む心膜腔内に位置付けられるカテーテルシステムの実施形態を示す。
【図25A】本明細書に開示される器具、吸引/注入カテーテルの一部分の実施形態を示す。
【図25B】本明細書に開示される、溝を含む吸引/注入カテーテルの一部分の実施形態を示す。
【図26】本明細書に開示される、収縮した空気袋を伴う心臓補助装置の実施形態を示す。
【図27】本明細書に開示される、膨張した空気袋を伴う心臓補助装置の実施形態を示す。
【図28】本明細書に開示される、心臓補助装置の実施形態を着用する患者を示す。
【図29A】本明細書に開示される、膨張した心膜腔内に位置付けられる吸引/注入カテーテルの実施形態を示す。
【図29B】本明細書に開示される、膨張した心膜腔内に位置付けられる吸引/注入カテーテルの実施形態を示す。
【図30A】本明細書に開示される、そこに連結される心膜バルーンを伴う吸引/注入カテーテルの実施形態を示す。
【図30B】膨張した心膜バルーンを伴う図30Aの実施形態を示す。
【図31A】本明細書に開示される、心臓を囲む心膜腔内に位置付けられる吸引/注入カテーテルの実施形態を示す。
【図31B】膨張した心膜バルーンを伴う図31Aの実施形態を示す。
【図32A】本明細書に開示される、心臓の左心室またはその近傍で心膜腔内に位置付けられる心膜バルーンを伴う、吸引/注入カテーテルの実施形態を示す。
【図32B】本明細書に開示される、心臓を囲む心膜腔内に存在する心膜バルーンを伴う複数の吸引/注入カテーテルを含む、本開示の装置/器具の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0086】
開示される実施形態に関する以下の発明を実施するための形態は、本質的に単なる例示であり、添付の請求項の範囲を限定するものでないことが当業者には理解されるであろう。
【0087】
開示される実施形態には、心臓の内側から心臓の種々の組織にアクセスするために有用な装置、システム、および方法が含まれ、うっ血性心不全(CHF)の異なる機能的分類を有する患者を含む、うっ血性心不全を有する患者を治療するための装置、システム、および方法を対象とする。例えば、種々の実施形態は、心房壁または心耳の壁を通じた心膜腔への経皮的血管内アクセスを提供する。少なくとも一部の実施形態において、心臓壁を心膜嚢から吸い込み、引き込んで、心臓と心膜嚢との間の心膜腔を増大させることにより、心膜腔へのアクセスを容易にする。本開示のシステムおよび装置は、生来の心収縮の支持、および非血液接触型システムまたは装置と見なされる。心膜腔において、(拡張期に心筋灌流を強化するための)吸引および(収縮期に心臓を補助し負荷を軽減するための)圧縮が、本開示の装置、システム、および方法に従う心臓周期に同期される。
【0088】
本開示の装置、システム、および方法は、心膜嚢(壁側心膜と臓側心膜との間の間隙)のポンプ空気袋としての使用により特徴付けられる。本開示のカテーテルを介した心臓へおよび心臓からの希ガスの注入および吸引が、臓周期と同調して制御された様式で行われる。
【0089】
本開示は、局所的に印加された陰圧がどうのように心筋内の微小血管の血流を改善し得るかに関して、興味深い意外な新事実を提供する。研究は、心筋が−50mmHgの局所陰圧にさらされると、即座に微小血管の血流に有意な増加が観察されたことを示している。これは、TNPの印加時に骨格筋の微小血管の血流の増加を示す先の結果と一致する。Lindstedt S.et al.(2007)。本開示の装置、システム、および方法は、本明細書に開示される新規かつ有益な手段によるそのような血流の改善に関する。
【0090】
比較的堅い心膜嚢とは異なり、心房壁および心耳はむしろ柔軟で変形可能である。そのため、心房壁または心耳の吸引は、心膜の吸引と比較して、心膜からの心臓組織の著しく大きな隙間を提供することができる。さらに、血管内領域(心臓の内側)からのナビゲーションは、胸腔内アクセス(心臓の外側)よりも正確に重要な心臓構造の位置を提供する。
【0091】
心膜腔へのアクセスは、心膜流体内の診断マーカの同定、心膜穿刺術、および血管形成能、筋原性、および抗不整脈能を備える治療因子の投与に使用することができる。さらに、以下でさらに詳しく説明されるように、心外膜ペーシングリードを心膜腔を介して送達し、アブレーションカテーテルを心膜腔から心外膜組織上で使用することができる。
【0092】
図1Aに示されるカテーテルシステムの実施形態では、カテーテルシステム10は、係合カテーテル20、送達カテーテル30、および針40を含む。係合カテーテル20、送達カテーテル30、および針40のそれぞれが近位端および遠位端を有するが、図1Aは遠位端のみを示す。係合カテーテル20は、送達カテーテル30が挿入された管腔を有し、送達カテーテル30は、針40が挿入された管腔を有する。送達カテーテル30は、多数の開口50を有し、カテーテルの管腔からカテーテルの遠位端に近接する心臓組織に流体を伝送するために使用できる。
【0093】
図2A、2B、2Cにおいてさらに詳しく示されるように、係合カテーテル20は、心臓内の標的組織65の吸引に使用される真空チャネル60、および標的組織65に対する物質の注入に使用される注入チャネル70を含み、物質は、例えば、生分解性または非生分解性の接着剤を含む。図2Bおよび2Cに示されるように、注入チャネル70はリング型であり、注入された物質を標的組織上に比較的均一に分散する傾向にあるが、その他の形状の注入チャネルが好適な場合もある。シリンジ80は、注入チャネル70に取り付けられ、適切な物質を注入チャネル70に送達し、シリンジ90は、係合カテーテル20の近位端において、真空ポート(図示せず)を通じて真空チャネル60に取り付けられ、真空チャネル60を通じて適切な吸引を提供する。係合カテーテル20の遠位端において、吸引ポート95は、真空チャネル60に取り付けられ、標的組織65と接触して、吸引ポート95が標的組織65を囲むことにより、標的組織65が、吸引ポート95の周囲内に包含されるようにする。シリンジ90は、図2Bにおいて、係合カテーテル20の吸引を提供する真空源として示されているが、その他の種類の真空源、例えば、特定の吸引圧力を提供する制御真空システムを使用してもよい。同様に、シリンジ80は、図2Bに示される実施形態において、外部流体源として機能するが、その他の外部流体源を使用してもよい。
【0094】
本明細書に開示される種々の実施形態を使用するための進入経路は、頸静脈または大腿静脈を通じて、それぞれ上大静脈または下大静脈、右心房壁または心耳を(経皮的に)通り、(穿刺を通じて)心膜嚢に至る。
【0095】
ここで図1Bを参照すると、係合カテーテル100は、標準的なアプローチによって頸静脈または大腿静脈に配置される。4または5Fr.であり得るカテーテルは、蛍光透視または心エコー誘導下で、右心耳110に位置付けられる。吸引を開始し、心臓を囲む心膜嚢120から心耳110の一部分を吸い込む。ここで説明されるように、心臓組織の吸い込みは、係合カテーテル100を通じて血液を引き戻すことができない場合、吸引圧力を測定する際、吸引圧力が徐々に増加する場合に明らかである。次に、送達カテーテル130を係合カテーテル100の管腔を通じて挿入する。図1Aおよび2Aに示されるように、針40等の針を用いて、吸い込まれた心耳110に小穿孔を形成することができる。次に、送達カテーテル130を通じてガイドワイヤ(図示せず)を心膜腔に進め、心耳を通る進入点125を固定し、送達カテーテル130または別のカテーテルのさらなる挿入を誘導することができる。蛍光透視または心エコーを使用し、心膜腔内のカテーテルの位置を確認することができる。代替として、圧力先端針が圧力を感知し、心房(約10mmHg)から心膜腔(約2mmHg)までの圧力変化を測定することができる。これは、特に経中隔アクセスに有用であり、以下でさらに詳述されるように、動脈構造(例えば、大動脈)の穿刺を診断し、接着剤で密閉することができる。
【0096】
心房壁または心耳を吸い込むことにより、心臓壁または心耳を心膜嚢から引き込み、追加の心膜腔を形成することができるが、送達カテーテル130等のカテーテルを通じて、CO2ガスを心膜腔に送達し、心膜嚢と心臓表面との間に追加腔を形成することができる。
【0097】
ここで図3Aを参照すると、図1Bに示されるカテーテルシステムは、進入経路を通じて引き戻すことによって回収される。しかし、心臓内の標的組織(例えば、図3Aに示されるような右心耳)の穿刺は、カテーテルを引き抜く際に密閉することができ、心膜腔への出血を防ぐ。カテーテルの回収は、(1)注入チャネル70を介して組織接着剤またはポリマ75を放出し、図3Bに示されるように、穿刺穴を密閉する、(2)内部クリップまたは機械的ステッチを解放し、本明細書で論じられるように、空洞または心臓の内側から穴を閉合する、または(3)壁の両側から穴に接近するサンドイッチ型の機械装置を用いて心臓を機械的に閉合する(図4A、4B、および4Cを参照)方法のうちの1つにおいて、組織の密閉と組み合わせることができる。つまり、例えば、生分解性接着材料(例えば、フィブリン接着剤またはシアノメタクリル酸)、磁気システム、または傘型ニチノールステントを使用することによって、閉合を行うことができる。心房内の穴を閉合する一例を図3Bに示す。係合カテーテル20は、吸引ポート60を通じた吸引を使用して、標的組織95に取り付けられる。組織接着剤75は、注入チャネル70を通じて注入され、標的組織95における刺創を被覆および密閉する。次に、係合カテーテル20を引き抜き、心房壁または心耳に取り付けられた組織接着剤75のプラグを残す。
【0098】
心房壁または心耳における刺創を密閉するための他の例を図4A〜4Fに示す。ここで図4A〜4Cを参照すると、外被膜610および内被膜620を有するサンドイッチ型閉合部材は、心房壁630の標的組織に取り付けられる、係合カテーテル600の管腔を通じて挿入される。外被膜および内被膜610、620のそれぞれは、傘と同様に、カテーテルを通じてその折り畳み構成で挿入し、カテーテルの外側に出た時点で拡張構成に拡張することができる。図4Aに示されるように、刺創を通って心膜腔にすでに送達された外被膜610は、心房壁の外側上で(その拡張構成に)展開され、標的組織における刺創を密閉する。内被膜620は、4Aおよび4Bに示されるように、内被膜620が(例えばねじ状機構により)可逆的に取り付けられている細長い送達ワイヤ615により、係合カテーテル600を通じて(その折り畳み構成で)送達される。内被膜620が標的組織において、心房壁630の内部上の適所に配置されると、内被膜620を展開し、標的組織における刺創の密閉を助ける(図4Cを参照)。
【0099】
内被膜620および外被膜610は、ニチノール等の形状記憶合金を含む、多くの材料から作製することができる。そのような実施形態は、カテーテル内では折り畳み構成で存在し、体内で展開されると拡張構成に拡張することができる。構成におけるそのような変化は、例えば温度の変化により生じ得る。内被膜および外被膜の他の実施形態は、他の生体適合性材料から作製して機械的に展開することができる。
【0100】
内被膜620の展開後、係合カテーテル600は、標的組織上でそのグリップを解放し、引き抜いて、図4Cに示されるように、刺創を密閉するためのサンドイッチ型閉合を残す。外被膜610および内被膜620は、生体適合性接着剤を使用して、適所に保持することができる。同様に、外被膜610および内被膜620は、例えば、磁石を含む外被膜610の内面(図示せず)、磁石を含む内被膜620の内面(図示せず)、または磁石を含む外被膜610もしくは内被膜620の両方の内面等により、磁力を使用して適所に保持することができる。
【0101】
図4A、4B、および4Cに示される実施形態において、閉合部材は外被膜610および内被膜620を含む。しかし、少なくとも一部の他の実施形態では、閉合部材が2つの被覆を有する必要はない。例えば、図4Dに示されるように、閉合部材632は1つのみの被覆634から作製される。被覆634は、第1面636および第2面638を有し、第1面636は送達ワイヤ640の遠位端642に可逆的に取り付けられるように構成される。閉合部材632は、折り畳み構成から拡張構成へ移行することができる、ニチノールを含む任意の好適な材料から作製され得る。
【0102】
図4Eに示される実施形態において、閉合部材1500は、送達カテーテル1530内で外被膜1510および内被膜1520を含む。外被膜1510および内被膜1520は、結合部1540において付着され、これは例えば機械的付着または磁気付着によって形成することができる。磁気付着を有する実施形態において、外被膜および内被膜のそれぞれは、もう一方の強磁性構成要素に磁気的に係合することができる強磁性構成要素を有し得る。
【0103】
心房壁1550の穴1555を通って挿入後の送達カテーテル1530が示される。ロッド1560を押すことにより、心房壁1550に接近するように送達カテーテル1530を通じて閉合部材1500を進めることができる。ロッド1560は、閉合部材1500が適切に展開された後、ロッド1560が内被膜1520から取り外され得るように、内被膜1520に可逆的に取り付けることができる。例えば、ロッド1560は、展開の完了後、閉合部材1500からロッド1560を回して容易に外すことができるようにねじ状の先端を備える内被膜1520に係合してもよい。代替として、内被膜1520をロッド1560に付着させずに、内被膜1520が送達カテーテル1530の内側に沿って押され得るように、単にロッド1560を内被膜1520に係合してもよい。
【0104】
閉合部材1500は、外被膜1510が心房壁1550に隣接する送達カテーテル1530の一部分に到達するまで、送達カテーテル1530を通って進められ、外被膜1510は送達カテーテル1530から心膜腔にゆっくりと押される。次に、外被膜1510が拡張し、心房壁1550の外表面に位置付けられる。外被膜1510が心房壁1550上に適切に位置付けられると、結合部1540は穴1555内の心房壁1550とほぼ平行になる。次に、送達カテーテル1530をゆっくりと引き抜き、結合部1540の周りで穴1555をわずかに閉合させる。送達カテーテル1530の引き抜きを継続すると、内被膜1520が送達カテーテル1530から展開し、これによりその拡張形態に開く。その結果、心房壁1550が内被膜1520と外被膜1510との間で締め付けられ、穴1555を閉合し、心臓からの血液の漏出を防ぐ。
【0105】
図4Fは、外被膜1610と内被膜1620との間で心房壁1600を挟むことによる、心房壁1600の穴(図示せず)の閉合を示す。心房壁1600の外表面上で展開された外被膜1610が示され、一方送達カテーテル1630は心房壁1600の内表面上に展開される。示されるように、ロッド1640は内被膜1620と係合し、送達カテーテル1650は引き抜かれている途中であり、これにより内被膜1620が完全に展開される。次に、ロッド1640が送達カテーテル1630を通って引き抜かれる。本明細書においてより完全に説明されるように、係合カテーテル(図示せず)が送達カテーテル1650を囲んでもよい。
【0106】
心臓組織の刺創を密閉するための他の例を、図12〜15に示す。ここで図12Aを参照すると、第1端652、第2端654、および第1端652から第2端654へと延在する穴656を有するプラグ650が示される。プラグ650は、カゼイン、ポリウレタン、シリコーン、およびポリテトラフルオロエチレンを含む任意の好適な材料から作製することができる。ワイヤ660は、プラグ650の穴656に摺動可能に挿入される。ワイヤ660は、心臓組織の穴(図示せず)を通って延在する限り、例えばガイドワイヤまたはペーシングリード等であり得る。図12Aに示されるように、第1端652は硫酸バリウム等の放射線不透過性材料で被覆され、したがって放射線不透過性である。これにより、医師は、X線画像法を使用して体内のプラグの配置を見ることができる。例えば、医師は手順中にプラグの位置を確認することができ、患者に対するより安全でより効果的な手順が可能になる。
【0107】
図12Aに示されるように、プラグ650の第1端652は、プラグ650の第2端654よりも小さな直径を有する。実際、図12Bに示されるプラグ680、および図13および14に示されるプラグ684は、それらのそれぞれの第2端よりも小さな直径の第1端を有する。しかし、プラグのすべての実施形態が、第2端よりも小さい直径の第1端を有するわけではない。例えば、図12Cに示されるプラグ682は、第2端の直径よりも小さくはない直径を持つ第1端を有する。両方の種類のプラグを使用して、心臓組織の穴を閉合することができる。
【0108】
再び図12Aを参照すると、細長いシャフト670は、近位端(図示せず)、遠位端672、および近位端から遠位端672へと延在する管腔674を有する。図12Aにはカテーテルは示されていないが、プラグ650、ワイヤ660、およびシャフト670は、本明細書に開示される係合カテーテルの実施形態等のカテーテルの管腔(図14を参照)に挿入されるように構成される。また、プラグ650およびシャフト670は、ワイヤ660上で挿入されるように構成されており、プラグ650の管腔656およびシャフト670の管腔674のそれぞれはワイヤ660の周囲よりもわずかに大きいため、ワイヤ660に沿って摺動することができる。
【0109】
図13および14に示されるように、プラグ684は、シャフト672を使用して、細長いチューブ676内のワイヤ674に沿って標的心臓組織678の穴およびその中へと押される。細長いチューブ676の遠位端677は、心臓組織678に取り付けられて示されるが、遠位端677が心臓組織678に隣接している限り、遠位端677が心臓組織678に取り付けられる必要はない。プラグ684穴に挿入されると、ワイヤ674は、プラグ684および心臓の内部(図示せず)の穴から引き抜くことができ、シャフト672が細長いチューブ676から引き抜かれる。一部の実施形態において、プラグは自己密閉型であり、つまりプラグの穴はワイヤが引き抜かれた後に閉合する。例えばプラグは、流体を吸収した後に膨張するカゼインまたはアメロイド等の乾燥タンパク質基質から作製することができる。シャフト672が引き抜かれた後、細長いチューブ676を心臓から引き抜くことができる。
【0110】
一部の実施形態において、ワイヤはプラグの穴から引き抜かれないことに留意されたい。例えば、ワイヤがペーシングリードである場合、ワイヤをプラグ内に残して、CRT装置に動作可能に接続することができる。
【0111】
ここで図12Bを参照すると、プラグ684と類似したプラグ680が示される。しかし、プラグ680は、螺旋またはネジ状の形状のプラグ680を囲む隆起683を有する外表面681を含む。隆起683は、プラグ680の標的組織の穴(図示せず)への固定を助ける。プラグの他の実施形態は、例えば円形の、プラグを囲む多数の隆起を有する外表面を含んでもよい。
【0112】
図15A〜15Cは、組織の穴を閉合するための閉合部材のまた別の実施形態を示す。カテーテル1702内の、頭部1705、ならびに複数のアーム1710、1720、1730、および1740を含む蜘蛛型クリップ1700が示される。アーム1710、1720、1730、および1740のうちのそれぞれはその近位端で頭部1705に取り付けられる。蜘蛛型クリップ1700は4本のアームを有するが、蜘蛛型クリップの他の実施形態は、4本未満またはそれを超えるアームを含む。例えば、蜘蛛型クリップの一部の実施形態は、3本のアームを有し、一方他の実施形態は、5本以上のアームを有する。
【0113】
再び図15A〜15Cを参照すると、アーム1710、1720、1730、および1740は、形状記憶合金(例えば、ニチノール)またはステンレス鋼等の、2つの形状の間を移行することができる任意の可撓性の生体適合性金属から作製することができる。蜘蛛型クリップ1700は、そのアーム1710、1720、1730、および1740の遠位端が離間する開位置(図15Aを参照)と、アーム1710、1720、1730、よび1740の遠位端が集合する閉位置(図15Cを参照)との間を移行することができる。形状記憶合金から作製される実施形態について、クリップは、クリップが心臓組織の中に配置された際等で、該金属がほぼ体温に温められると、開位置から閉位置に移行するように構成され得る。ステンレス鋼等の他の種類の金属から作製される実施形態について、クリップはその閉位置に構成されるが、クリップの頭部に圧力が加えられた際、開位置に移行されてもよい。そのような圧力がアームを外側に突き出させることにより、アームの遠位端が離れる。
【0114】
このようにして、蜘蛛型クリップ1700を使用して心房壁を通る穴等の組織の創傷または穴を密閉することができる。例えば、図15Bは、係合カテーテル1760内でロッド1750により係合される蜘蛛型クリップ1700を示す。示されるように、係合カテーテル1760は鐘形の吸引ポート1765を有し、これは本明細書で開示されるように、心臓組織1770を吸い込んでいる。心臓組織1770は、そこを通る穴1775を含み、吸引ポート1765は、穴1775を蜘蛛型クリップ1700に向けるように穴1775上に適合している。
【0115】
ロッド1750は、係合カテーテル1760を通って蜘蛛型クリップ1700を押し、蜘蛛型クリップ1700を心臓組織1770の方へ進める。ロッド1750は、単に頭部1705を押すことにより頭部1705に係合するが、他の実施形態において、ねじ式のシステムを使用して頭部にロッドを可逆的に取り付けてもよい。そのような実施形態において、単に頭部にロッドをねじ込むか、または頭部からロッドを回して外すことにより、それぞれ、ロッドを頭部に取り付けおよび頭部から取り外すことができる。
【0116】
少なくとも一部の実施形態において、蜘蛛型クリップは、ロッドによりクリップの頭部に加えられる圧力によって、係合カテーテルを通って進む間、その開位置に保持される。この圧力は、前進中の係合カテーテルに対する脚の付勢により対向され得る。
【0117】
図15Cを参照すると、蜘蛛型クリップ1700は心臓組織1770に接近し、最終的にはアーム1710、1720、1730、および1740のそれぞれの遠位端が心臓組織1670に接触するように心臓組織1770に係合する。ロッド1750が蜘蛛型クリップ1700から係脱し、蜘蛛型クリップ1700がその閉位置に移行することにより、アーム1710、1720、1730、および1740の遠位端を引き寄せる。アームの遠位端が引き寄せられるにつれて、遠位端が心臓組織1770の一部分を把持することにより、アーム1710、1720、1730、および1740の間の組織がつぶれて穴1775が効果的に閉合されるようになる。
【0118】
次に、ロッド1750が引き抜かれ、係合カテーテル1760が心臓組織1770から係脱する。心臓組織1770の収縮が穴1775の閉合を保持し、係合カテーテル1760が除去された後、穴1775を通って血液が漏出することはない。比較的短期間の後、体の自然な治癒プロセスにより、穴1775は永久的に閉合される。蜘蛛型クリップ1700は、無期限に体内に残存してもよい。
【0119】
図15Dは、本開示に従う組織のアパーチャを閉合するためのシステムの例示的な実施形態を示す。図15Dに示されるように、システム3800は、限定されないが、本明細書に記載される係合、送達、および/または吸引/注入カテーテルを含むカテーテル3802を含み、カテーテル3802の内部管腔内に位置付けられるコイル3804およびシャフト3806をさらに含む。図15Dに示される例示的な実施形態において、任意のガイドワイヤ3808を使用して、心房壁3810へのカテーテル3802の位置付けを促進してもよい。少なくとも1つの実施形態において、カテーテル3802は係合カテーテルを含み、係合カテーテルは心房壁3810に係合し、心房壁3810内のアパーチャにより、例えば、ガイドワイヤ3808、送達カテーテル、吸引/注入カテーテル、および/または別の装置もしくは器具が心房壁3810内のアパーチャに進入することが可能になる。
【0120】
少なくとも1つの実施形態において、コイル3804は、カテーテル3802の管腔内に導入される際、実質的に直線である。別の実施形態において、コイル3804は、カテーテル3800の管腔内に導入される際、完全にではないが、いくぶんコイル状である。少なくとも1つの実施形態において、コイル3804は「記憶機構」を含み、記憶機構は第1構成を含む。例示的な実施形態において、第1構成は非圧縮構成である。別の実施形態において、記憶機構は第2構成をさらに含み、少なくとも1つの実施形態において、第2構成は圧縮構成である。少なくとも1つの実施形態において、コイル3804は、コイル3804の使用者が、例えばX線技術を使用して、コイル3804の体内への配置を補助することができるように、蛍光透視用である。
【0121】
図15Dに示される例示的な実施形態において、コイル3804はカテーテル3802の管腔内に位置付けられ、コイル3804が心房壁3810またはその近傍に導入されるにつれて、コイル3804の一部分は心房壁3810内のアパーチャ内に位置付けられる。位置付けられると、コイル3804は、例えばシャフト3806を使用して圧縮することができ、シャフト3806はコイル3804上に圧力を加え、心房壁3810内のアパーチャまたはその近傍でコイル3804を圧縮させる。図15Eに示される実施形態において、シャフト3806はコイル3804上に圧力を加え、コイル3804を心房壁3810の両側で圧縮させる(心膜嚢内に位置付けられるコイル3804の一部と、心房腔内に位置付けられるコイルの一部とにより)。次に、コイル3804の部分が、図15Eに示されるように圧縮されると、心房壁3810の片側または両側に圧力を加えることができ、それにつれて、この圧縮が、心房壁3810内のアパーチャの閉合を促進することができ、心房壁3810内のアパーチャは、コイル3804によって部分的あるいは完全にのいずれかで閉塞され得る。図15Fは、圧縮形態にあるコイル3804の例示的な実施形態を示す。
【0122】
シャフト3806によってコイル3804上に加えられた圧力は、心房壁3810内のアパーチャまたはその近傍でコイル3804の配置を促進し得ることも理解され得る。少なくとも1つの実施形態において、コイル3804は、シャフト3806を使用して、および/またはコイル3804が心房壁3810内に位置付けられる際にコイル3804を物理的に回転させることによって、心房壁3810内のアパーチャに「ねじ込まれ」てもよい。さらに、少なくとも1つの実施形態において、ガイドワイヤ3808が、心房壁3810のアパーチャ内でコイル3804の配置を促進してもよい。
【0123】
限定されないが、ニチノールおよび/またはステンレス鋼を含む任意の数の材料を使用して、コイル3804を形成することができる。さらに、コイル3804は、限定されないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テレフタル酸ポリエチレン(例えばDacron)、および/またはポリウレタンを含む1つ以上の材料で被覆され得る。さらに、限定されないが、血液凝固を促進するものとして当技術分野において既知である材料(限定されないが、綿繊維を含む)を含む、1つ以上の他の材料をコイル3804に連結して、アパーチャの閉塞を促進してもよい。
【0124】
図16A、16B、および16Cは、本明細書に開示される、組織に係合するための器具の一部分の実施形態を示す。図16Aに示されるように、スリーブ1800が、係合カテーテル1810の少なくとも一部分の周囲に存在する。スリーブ1800は、本明細書に記載されるように、中を通る管腔を有し、係合カテーテル1810の外側の周囲に示され、係合カテーテル1810に摺動係合する、硬質または可撓性のチューブを含み得る。少なくとも図16Aに示される実施形態において、係合カテーテル1810の遠位端1820はスカート1830を含み、図16Aではスリーブ1800内に格納されて示されている。送達カテーテル1840は、示されるように係合カテーテル1810内に存在し、生成物(気体、液体、および/または微粒子)の標的部位への送達を促進することができる。本実施形態では、送達カテーテル1840は少なくとも部分的に係合カテーテル1810の管腔内に存在し、係合カテーテルは少なくとも部分的にスリーブ1800の管腔内に配置される。
【0125】
ここで図16Bを参照すると、図16Aに示される器具または図16Aに示される実施形態に類似した実施形態が示され、スリーブ1800は係合カテーテル1810の遠位端から引き戻されている。図16Bに示されるように、スリーブ1800が(矢印の方向に)引き戻されるとスカート1830が露出し、スリーブ1800がスカート1830の周囲に存在しなくなると、スカート1830は任意選択的にフラスト円錐形(「鐘形」)スカート1830に拡張することができる。スカート1830は、図16Aおよび図18Aに示されるように、スリーブ1800の管腔内に存在する時は可逆的に変形され(仕舞われ)てもよく、これは本明細書でさらに詳細に記載される。不定形のフラスト円錐形構成を含む、スカート1830のフラスト円錐形構成への多くの代替の構成が存在し得ることが理解され得、本明細書でさらに詳細に記載されるように、近位位置よりも大きい遠位部分(係合される組織に最も近接した)を有するスカート1830の構成が、組織のより大きな表面積の吸引からの利益を得ることができることに留意されたい。
【0126】
図16Cは、拡張したスカート1830を有する、本明細書に記載される器具の実施形態を示す。図16Cに示されるように、スリーブ1800は、スカート1830の拡張構成が組織(図示せず)に係合するように示され得るように、(矢印の方向に)引き戻されている。
【0127】
図17Aおよび17Bは、本明細書に記載される、組織に係合するための器具の一部分の代替の実施形態を示す。図17Aおよび17Bはそれぞれ、スリーブ1800、スカート1830を有する係合カテーテル1810、および送達カテーテル1840を示す。各図において、スカート1830は組織1850の表面に係合して示される。17Aおよび17Bに示される実施形態において、示されるようにスリーブ1800、係合カテーテル1810、および送達カテーテル1840の相対的な大きさは類似しているが、係合カテーテル1810のスカート1830の相対的な大きさは明らかに異なる。図17Aに示される、組織に係合するための器具の一部分の例示的な実施形態は、係合カテーテル1810と同一、あるいは実質的に類似した相対的な大きさのスカート1830を含み、つまり、図17Aに示される係合カテーテル1810およびスカート1830の直径は、ほぼ同一である。逆に、図17Bに示される、組織に係合するための器具の一部分の例示的な実施形態は、係合カテーテル1810より顕著に大きなスカート1830を含み、つまり、図17Bに示される係合カテーテル1810およびスカート1830の最も幅広な点における直径は、顕著に異なる。図17Bに示されるように、スカート1830が係合カテーテル1810から組織1850へと延在するにつれて、スカート1830の直径は増す。したがって、図17Bに示される実施形態のスカート1830は、図17Aに示されるスカート1830の実施形態よりも大きな表面積の組織(1860と図示)に係合することができる。スカート1830によってより大きな表面積の組織1850に係合する能力により、本明細書で詳述されるように真空が提供されると、組織1850のより良好な可逆的係合が可能になる。この吸引の改善により、そのような器具の使用者は、そうでなければスカート1830がより小さな表面の組織に係合する際に可能であるよりも効果的に組織1850に係合することができる。
【0128】
図18Aおよび18Bは、組織に係合するための器具の一部分の実施形態の斜視図を示す。図18Aは、係合カテーテル1810のスカート1830が実質的にスリーブ1800内に位置付けられる実施形態を表す。図18Bは、係合カテーテル1810のスカート1830がスリーブ1800外に位置付けられる実施形態を表す。したがって、スリーブ1800内のスカート1830の位置付けは図16Aおよび18Aの実施形態で見ることができ、スリーブ1800外のスカート1830の位置付けは、図16Cおよび18Bの実施形態で見ることができる。
【0129】
図18Aに示されるように、係合カテーテル1810のスカート1830はスリーブ1800内に位置付けられ、それによってスカート1830の構成は、スカート1830がスリーブ1800内に適合し得るように仕舞われる。スリーブ1800が図18Bに示される矢印の方向に移動するにつれてスカート1830が露出するようになり、スリーブ1800の内壁によって提供される制約がないため、その構成は拡張を許される。
【0130】
また、図18Aおよび18Bに示される実施形態は、係合カテーテル1810の構成の例示的な実施形態も示す。図18Bに示されるように、係合カテーテル1810は係合カテーテル1810の遠位端(スカート1830の近位端)に存在する多数の(管腔を表す)アパーチャを画定し、これには1つ以上の真空ポート1870(真空チューブの遠位端またはその近傍のアパーチャを表す)、および送達ポート1880(送達チューブの遠位端またはその近傍のアパーチャを表す)が含まれるが、それらに限定されない。本明細書に記載されるように、1つ以上の真空チューブの近位端に位置する吸引ポートに真空源(図示せず)を連結することができ、真空ポートでの真空の導入により、気体、流体、および/または微粒子を1つ以上の真空ポート1870に導入することができる。気体、流体、および/または微粒子は、送達アパーチャ1880から組織(図18Aまたは18Bには図示せず)へ導入してもよい。
【0131】
図17Aおよび17Bの例示的な実施形態によって示されるように、組織に係合するためのそのような器具の使用者にとって、適切な吸引を獲得する能力は、少なくとも部分的に組織1850またはその近傍におけるスカート1830および送達カテーテル1840の相対的配置に依存する。図5Dに示される例示的な実施形態について本明細書で詳述されるように、真空源が(図18Aおよび18Bに示される)1つ以上の真空ポート1870を通って吸引を提供しても、スカート1830が組織1850に効果的に係合しなければ、組織1850の領域における気体、流体、および/もしくは微粒子、ならびに/または送達カテーテル1840を介して組織1850の領域へ送達される気体、流体、および/もしくは微粒子は、1つ以上の真空ポート1870によって吸い込まれ得る。スカート1830が組織1850に効果的に係合しても、送達カテーテル1840が組織1850に係合していない場合は、送達カテーテル1840を介して送達されるいずれの気体、液体、および/または微粒子も1つ以上の真空ポート1870によって吸い込まれ得る。スカート1830および送達カテーテル1840が組織1850に効果的に係合した場合、組織1850上またはその中の送達カテーテル1840の配置が組織1850またはその中に直接送達をもたらすため、送達カテーテル1840によって組織1850に送達されるいずれかの気体、液体、および/または微粒子のうちの全てではないにしてもほとんどが、1つ以上の真空ポート1870によって吸引されない。
【0132】
本明細書に記載される、組織に係合するためのシステムおよび/または装置の例示的な実施形態を図19に示す。図19に示されるように、例示的な器具は、矢印の方向に動かされて、係合カテーテル1810の遠位端にスカート1830を現し、スカートを拡張したフラスト円錐形構成に戻す、スリーブ1800を示す。本実施形態に示されるように、送達カテーテル1840が器具の近位端に導入され(破線矢印によって示される方向に)、係合カテーテル1840の遠位端で送達カテーテル1840が送達管腔(図示せず)から出ることができる。針1890を送達カテーテル1840の遠位端に存在させ、組織(図示せず)の潜在的な穿刺を促進し、送達カテーテル1840の遠位端を組織に進入させてもよい。
【0133】
さらに、また図19の例示的な実施形態に示されるように、リード1900が送達カテーテル1840に(破線矢印によって示される方向に)導入されてもよく、これによってリード1900の遠位端が針1890のアパーチャを出て、任意選択的に組織および/または組織の管腔に進入することができる。本明細書に記載されるように、感知リードおよび/またはペーシングリードを含む、任意の数の好適な種類のリード1900を、本明細書に記載される送達カテーテルと併用することができる。また、真空源1910は、そのような器具への真空源を提供し、吸引を用いてスカート1830を組織に係合させることができる。
【0134】
図19に示されるように、組織に係合するための器具の例示的な実施形態は、湾曲を有する係合カテーテル1810を含む。そのような湾曲した係合カテーテル1810により、そのような器具の使用者は、例えば、ある方向から体内または組織へ器具を挿入し、別の方向からスカート1830、送達カテーテル1840、針1890、および/またはリード1900を用いて組織を係合することができる。例えば、使用者は、器具の一部分を心臓の片側から導入し、器具が器具の導入の方向とは異なる方向から心臓に係合してもよい。
【0135】
また、本開示の器具の例示的な実施形態を使用して、臓器の内部に係合することができることが理解され得る。本明細書ですでに言及されたように、そのような器具を使用して、組織の表面に係合することができる。しかし、そのような組織は、限定されないが、心臓、肺、腸、胃、または任意の数の他の臓器もしくは組織を含む、任意の数の組織の外表面であり得ることが理解され得る。また、例えば心臓を含むこれらの種類の臓器または組織の一部は、本開示の器具によって係合され得る、1つ以上の内部組織表面を有することも理解され得る。例えば、そのような器具の使用者は、器具を使用して、心臓の片側をもう一方から分割する心臓の中隔に係合することができる。そのような使用は気体、液体、および/または微粒子の心臓の特定の側への送達を促進することができ、したがって標的送達が有益な効果を提供することができ、これには心臓の左側の内壁をペーシングするためにリードを送達する能力が含まれるが、それに限定されない。
【0136】
ここで図20A、20B、および20Cを参照すると、本開示に従う、組織に係合するための器具の一部分の実施形態が示される。図20Aに示されるように、組織に係合するための器具の一部分の例示的な実施形態は、係合カテーテル1810に摺動係合するスリーブ1800を含み、スリーブ1800が示される矢印の方向に摺動されると、示されるように、拡張した、任意選択的にフラスト円錐形構成を有するスカート1830が現れる。送達カテーテル1840は、送達カテーテル1840の遠位端に針1890を示して送達管腔(図示せず)から出ることができる。図20Aの実施形態に示されるように、針1890のアパーチャから出るリード1900が示される。
【0137】
図20Bおよび20Cは、図20Aに示される、本開示に従う組織に係合するための器具の一部分の実施形態の拡大図を示す。図20Bおよび20Cに示されるように、針1890のアパーチャ1920が示され、図20Cに示されるように、リード1900は針1890のアパーチャ1920から出ることができる。
【0138】
ここで図5A、5B、5C、および5Dを参照すると、本明細書に開示される係合カテーテルの別の実施形態が示される。係合カテーテル700は、近位端710、および遠位端720、ならびに近位端710と遠位端720との間に延在する2つの管腔730、740を有する細長いチューブである。管腔730、740は、特に図5Bおよび5Cに示されるように、同心の内壁750および外壁760によって形成される。近位端710において、係合カテーテル700は、管腔730に取り付けられる真空ポート770を含み、真空源を真空ポート770に取り付けて管腔730内に吸引を形成することによって、吸引チャネルを形成するようにする。カテーテル700の遠位端720において、吸引ポート780を管腔730に取り付け、吸引ポート780を心臓組織775(図5Dを参照)と接触して配置し、組織を吸い込むことによって、真空源が取り付けられて係合される際、吸引ポート780と組織775との間に真空密閉を形成できるようにする。真空密閉により、吸引ポート780は組織775を把持、固定、および牽引することができる。例えば、真空源を使用して吸引ポートを内部心房壁に取り付けることにより、吸引ポートは心臓を囲む心膜嚢から心房壁を牽引することができ、心房壁と心膜嚢との間の心膜腔を拡張する。
【0139】
図5Cに示されるように、2つの内部管腔支持810、820は管腔730内に位置し、内壁750および外壁760に取り付けられて、壁に対する支持を提供する。これらの管腔支持は、管腔730を2つの吸引チャネルに分割する。内部管腔支持810、820は、カテーテル700の長さの大部分に沿ってカテーテル700の遠位端720から延在するが、内部管腔支持810、820は、カテーテル700の全長に渡る場合とそうでない場合とがある。実際に、図5A、5B、および5Cに示されるように、内部管腔支持810、820は、近位端710まで延在せず、外部真空源からの吸引がカテーテル700の周囲に比較的均一に分散されることを保証する。図5Cに示される実施形態は、2つの内部管腔支持を含むが、他の実施形態は、1つのみの内部支持を有するか、または3つ以上のそのような支持を有し得る。
【0140】
図5Dは、そこに取り付けるために心臓組織775に接近する、係合カテーテル700を示す。本手順を行う医師にとって、いつ吸引ポートが心房壁または心耳の組織を係合したかを知ることは、重要である。例えば、図5Dを参照すると、吸引ポート780は、密閉が形成されるように組織775を完全に係合していないことが明らかである。しかし、吸引ポート780は通常、手順中に見られないため、医師は、吸い込まれた血液の量を監視する、圧力センサ/調整器を用いて吸引圧力を監視する、またはそれら両方によって、心房組織と吸引ポートとの間に適切な真空密閉が形成されたことを判断することができる。例えば、係合カテーテル700が心房壁組織(例えば、組織775)に接近して適所に近づくと、管腔730を通じて吸引を行うことができる。圧力センサ/調整器を用いて、所定レベルの吸引(例えば、10mmHg)を課し、測定することができる。カテーテル700が壁を係合しない限り、一部血液がカテーテルに吸い込まれ、吸引圧力は同一である。しかし、カテーテル700が(図5Dにおいて組織775として示される)心臓の壁に係合または取り付けられる場合、最小量の血液が吸い込まれ、吸引圧力は徐々に増加し始める。そのような各兆候は、係合の指標として(アラームまたはその他の手段を通じて)医師に警告することができる。次に圧力調整器は、吸引圧力を規定値に維持し、組織の過剰な吸引を防ぐことができる。
【0141】
係合カテーテル、例えば、係合カテーテル700は、心房壁または心室壁を含む心臓の壁の内部組織に流体またはその他の物質を送達するように構成することができる。例えば、図5Aおよび5Cに示される管腔740は、遠位端720に注入チャネル790を含む。注入チャネル790は、管腔740を通って流れる物質を標的組織に分配する。図5Dに示されるように、注入チャネル790は、管腔740の遠位端である。しかし、他の実施形態において、注入チャネルは、リング型(図2Cを参照)であるか、または他の幾つかの好適な構成を有し得る。
【0142】
係合カテーテルを用いて局所的に投与できる物質は、遺伝子または細胞療法用の製剤、薬物、および心臓における使用に安全な接着剤を含む。管腔740の近位端は、外部流体源に取り付けることができる流体ポート800を有し、送達される流体を標的組織に供給する。実際に、標的組織から針を引き抜いた後、本明細書で論じられるように、係合カテーテルによって接着剤を標的組織に投与し、標的組織から針を引き抜くことによってできた刺創を密閉することができる。
【0143】
ここで図6A、6B、および6Cを参照すると、近位端860、遠位端870、およびカテーテルの長さに沿って管腔885を有する細長い中空チューブ880を含む送達カテーテル850が示される。中空針890は遠位端870から延在し、管腔885と連通する。図6A、6B、および6Cの実施形態において、針890は遠位端870に取り付けられるが、他の実施形態において、針をカテーテルの遠位端(図1Aを参照)に着脱可能に取り付けるか、または他の方法で配置することができる。図6A、6B、および6Cに示される実施形態において、針が取り付けられる一部の他の実施形態の場合と同様に、中空チューブ880と針890との間の接合(すなわち、取り付け部位)は、針890の周囲の周方向に安全ノッチ910を形成し、針890の過剰な穿孔を防ぐ。従って、医師は、針890を心房壁に挿入して心膜腔にアクセスする際、通常の条件下において、安全ノッチ910における中空チューブ880の直径が(針890の直径と比べて)大きく、さらなる針の挿入を妨げるため、心膜嚢を針890で無意識に穿孔することはない。図6A、6B、および6Cに示される実施形態において、安全ノッチ910は、中空チューブ880と針890との接合によって形成されるが、他の実施形態は、異なって構成される安全ノッチを有し得る。例えば、安全ノッチは、バンド、リング、または針の先端から好適な距離を置いて針に取り付けられる類似装置を含み得る。安全ノッチ910と同様に、他の安全ノッチの実施形態は、針のプロファイルよりも大きいプロファイルを呈することによって、針がノッチ本体を越えて挿入されるのを防ぎ、ノッチが針の進入によって生じた組織の穴に容易に進入しないようにする。
【0144】
本手順を行う医師にとって、いつ針が心房組織を穿刺したかを知ることは有用である。これは、幾つかの方法で行うことができる。例えば、送達カテーテルを圧力変換器に接続し、針の先端における圧力を測定することができる。心膜腔における圧力は心房内よりも低く、拍動もはるかに少ないため、医師は、針が心房組織を通過して心膜腔に入ったことを即座に認識することができる。
【0145】
代替として、図6Bに示されるように、カテーテルアセンブリの一部として、針890をひずみゲージ915に接続してもよい。針890が組織に接触する際(図示せず)、針890は変形する。変形はひずみゲージ915に伝達され、電気信号が(古典的なホイートストンブリッジを通じて)変形を反映することにより、医師に警告する。そのように壁の穿刺を確認することによって、過剰な穿刺を防ぎ、手順の、さらなる制御を提供することができる。
【0146】
一部の実施形態において、送達カテーテル、例えば、図6A、6B、および6Cに示されるカテーテル850を係合カテーテル、例えば、図5A、5B、5C、および5Dに示されるカテーテル700と併用して、心臓壁と心膜嚢との間の心膜腔にアクセスする。例えば、係合カテーテル700を血管系に挿入し、係合カテーテルの遠位端が心房内に入るように進めることができる。本明細書に開示される吸引ポートを使用して、係合カテーテルを心房の壁の内部上の標的組織に取り付けることができる。送達カテーテルは、係合カテーテルの内部管腔、例えば、図5Bおよび5Cに示される管腔740を通じて挿入される際、標準的なガイドワイヤを送達カテーテルの管腔を通じて挿入することができる。ガイドワイヤを使用することにより、送達カテーテル850をより効果的にナビゲートし、針890が係合カテーテル700の内壁750を損傷しないようにすることができる。ガイドワイヤが突出している送達カテーテルの先端が心房に到達した際、ワイヤを引き戻し、針を前方に押して標的組織を穿孔する。次に、穿孔を通じて心膜腔へガイドワイヤを進め、心房壁を通じた心膜腔へのアクセスを提供する。
【0147】
再び図6A、6B、および6Cを参照すると、針890を心房壁または心耳を通じて挿入した後に、送達カテーテル850の管腔885を使用して流体を心膜腔に送達することができる。壁または心耳の穿刺後に、針管腔900を通じて心膜腔にガイドワイヤ(図示せず)を挿入し、心房壁または心耳を通じたアクセスを維持することができる。次に、多くの方法で心膜腔に流体を導入することができる。例えば、心房壁または心耳を針で穿刺した後、一般に針を引き抜く。図6Aおよび6Bに示される実施形態のように、針が送達カテーテルに永久に取り付けられる場合は、次に送達カテーテル850を引き抜き、別の(針が取り付けられていない)送達カテーテルをガイドワイヤで心膜腔に導入する。次に、第2送達カテーテルの管腔を通じて心膜腔に流体を導入することができる。
【0148】
しかし、一部の実施形態において、単一の送達カテーテルのみが使用される。そのような実施形態において、針は送達カテーテルに取り付けられないが、代わりに針ワイヤ(図1Aを参照)であってもよい。そのような実施形態において、送達カテーテルの管腔を通じて針を引き抜き、送達カテーテルをガイドワイヤで心膜腔に挿入することができる。次に、送達カテーテルの管腔を通じて心膜腔に流体を導入する。
【0149】
医師は、本明細書に開示される種々の実施形態を使用して、例えば、(1)遺伝子、細胞、薬物等を送達する、(2)心外膜刺激のためのカテーテルアクセスを提供する、(3)急激に(例えば、心臓タンポナーデの場合)または慢性的に(例えば、慢性腎疾患、癌等により生じた浸出を緩和するために)流体を排出する、(4)経中隔的穿刺を行い、電気生理学的治療、生検等のために左心耳を通じてカテーテルを送達する、(5)右心耳を通じて大動脈基部に磁気の糊またはリングを送達し、経皮大動脈弁を所定の位置に保持する、(6)例えば、肺静脈、または心房性および心室性不整脈の心臓の右心房および心外膜表面に組織アブレーションのためのカテーテルを送達する、(7)(本明細書で論じられるように)心外膜、右心房、および左右心室ペーシングリードを送達および配置する、(8)経皮的アプローチを通じて左心耳を閉塞する、および(9)内視カメラまたは内視鏡を用いて心膜腔を可視化し、治療的送達、診断、リード配置、マッピング等のために心臓の心外膜表面をナビゲートすることができる。ここに明記されていないその他の多くの適用も可能であり、本開示の範囲内である。
【0150】
ここで図7を参照すると、送達カテーテル1000が示される。送達カテーテル1000は、チューブ1010の近位端(図示せず)からチューブ1010の遠位端1025へと延在する壁1020を有する細長いチューブ1010を含む。チューブ1010は2つの管腔を含むが、送達カテーテルの他の実施形態は、送達カテーテルの使用目的により、2つ未満またはそれを超える管腔を有してもよい。また、チューブ1010は、操縦ワイヤシステム1040の一部分が中に位置する操縦チャネル1030も含む。操縦チャネル1030はチューブ1010の遠位端1025において開孔1044を形成し、ガイドワイヤ1050上で適合する大きさである。
【0151】
図8は、操縦チャネル1030内の操縦ワイヤシステム1040をより詳しく示す(残りの送達カテーテルから切り離されて示される)。操縦ワイヤシステム1040は、部分的に操縦チャネル1030内に位置し、2本の操縦ワイヤ1060および1070、ならびに制御装置1080を含み、制御装置1080は、図8に示される実施形態において、第1ハンドル1090および第2ハンドル1094を含む。第1ハンドル1090は操縦ワイヤ1060の近位端1064に取り付けられ、第2ハンドル1094は操縦ワイヤ1070の近位端1074に取り付けられる。操縦ワイヤ1060の遠位端1066は、取り付け点1100で、操縦チャネル1030内の送達カテーテルのチューブの壁に取り付けられ、操縦ワイヤ1070の遠位端1076は、取り付け点1110で、操縦チャネル1030内の送達カテーテルのチューブの壁に取り付けられる。図7に示されるように、取り付け点1100および取り付け点1110は、送達カテーテル1000の遠位先端1120の近傍の、操縦チャネル1030の対向側面に位置する。
【0152】
図8の実施形態において、操縦ワイヤ1060および1070は操縦チャネル1030を通る1組として通されている。しかし、他の実施形態の操縦ワイヤシステムは、操縦チャネル内で個別に小さな管腔に通される操縦ワイヤを含んでもよい。例えば、図11は、壁1266、操縦チャネル1290、第1管腔1270、および第2管腔1280を含む細長いチューブ1264を有する送達カテーテル1260の断面図を示す。送達カテーテル1260は、操縦ワイヤ管腔1293内に操縦ワイヤ1292、操縦ワイヤ管腔1295内に操縦ワイヤ1294、および操縦ワイヤ管腔1297内に操縦ワイヤ1296をさらに含む。操縦ワイヤ管腔1293、1295、および1297のそれぞれは操縦チャネル1290内に位置し、壁1266から形成される。操縦ワイヤ1292、1294、および1296のそれぞれは、操縦チャネル1290内の壁1266に取り付けられる。説明されるように、各操縦ワイヤの壁への取り付け点は、送達カテーテルの遠位先端近傍に位置してもよく、あるいは送達カテーテルの中央により近接して位置してもよい。
【0153】
ここで図7および8を参照すると、操縦ワイヤシステム1040を使用して、送達カテーテル1000の遠位先端1120を制御することができる。例えば、第1ハンドル1090が引かれると、操縦ワイヤ1060が遠位先端1120を引き、これが送達カテーテル1000を屈曲させ、先端を第1方向へ屈折させる。同様に、第2ハンドル1094が引かれると、操縦ワイヤ1070が反対方向に遠位先端1120を引き、これが送達カテーテル1000を屈曲させ、先端を反対方向へ屈折させる。したがって、操縦ワイヤシステム1040を使用して、送達カテーテル1000を体を通って方向付ける(すなわち、操縦する)ことができる。
【0154】
操縦ワイヤシステム1040は2本の操縦ワイヤのみを有するが、操縦ワイヤシステムの他の実施形態は2つを超える操縦ワイヤを有してもよい。例えば、操縦ワイヤシステムの一部の実施形態は3本の操縦ワイヤを有してもよく(図11を参照)、そのそれぞれが異なる取り付け点で操縦チャネルに取り付けられる。操縦ワイヤシステムの他の実施形態は、4本の操縦ワイヤを有してもよい。一般に、操縦ワイヤが多いほど、それぞれのさらなる操縦ワイヤにより、ユーザは送達カテーテルの先端をさらなる方向に屈折させることができるため、医師は送達カテーテルの方向付けをより制御できる。例えば、4本の操縦ワイヤを使用して、送達カテーテルを4つの異なる方向(例えば、上、下、右、左)に方向付けることができる。
【0155】
操縦ワイヤシステムが2本を越える操縦ワイヤを含む場合、送達カテーテルは異なる点で同じ方向に屈折することができる。例えば、3本の操縦ワイヤを備える送達カテーテルは、ある方向に屈折するための2本の操縦ワイヤと、逆に屈折(すなわち、反対方向への屈折)するための第3操縦ワイヤを含み得る。そのような実施形態において、屈折のための2本の操縦ワイヤが、送達カテーテルの長さに沿って異なる位置に取り付けられる。ここで図9A〜9Cを参照すると、異なる屈折状態の操縦チャネル1360内の操縦ワイヤシステム1350が示される(残りの送達カテーテルから切り離されて示される)。操縦ワイヤシステム1350は、部分的に操縦チャネル1360内に位置し、3本の操縦ワイヤ1370、1380、および1390、ならびに制御装置1400を含み、制御装置1400は、図9A〜9Cで示される実施形態ではハンドル1410を含む。ハンドル1410は、操縦ワイヤ1370の近位端1374、操縦ワイヤ1380の近位端1384、および操縦ワイヤ1390の近位端1394に取り付けられる。操縦ワイヤ1370の遠位端1376は、取り付け点1378で、操縦チャネル1360内の送達カテーテルのチューブの壁に取り付けられ、これは送達カテーテルの遠位先端近傍である(図示せず)。操縦ワイヤ1380の遠位端1386は、取り付け点1388で、操縦チャネル1360内の送達カテーテルのチューブの壁に取り付けられ、これは送達カテーテルの遠位先端近傍である(図示せず)。取り付け点1378および取り付け点1388は、操縦チャネル1360の対向側面に位置し、操縦ワイヤ1370および1380が、引き締められた際(以下で説明されるように)、送達カテーテルを反対方向に屈折させる傾向にあるようにする。操縦ワイヤ1390の遠位端1396は、取り付け点1398で、操縦チャネル1360内の送達カテーテルのチューブの壁に取り付けられ、これは、送達カテーテル上の、取り付け点1378および1388よりも送達カテーテルの近位端に近接した点に位置する。取り付け点1398は、操縦チャネル1360の取り付け点1388と同じ側面に位置し、操縦ワイヤ1380および1390が、引き締められた際(以下で説明されるように)、送達カテーテルを同じ方向に屈折させる傾向にあるようにする。しかし、取り付け点1398は取り付け点1388よりも送達カテーテルの近位端に近接するため、操縦ワイヤ1390の引き締めは、操縦ワイヤ1380の引き締めが行うよりも送達カテーテルの近位端に近接する点で送達カテーテルを屈折させる傾向にある。したがって、図9Aに示されるように、操縦ワイヤ1390の引き締めは、送達カテーテルをほぼ点1410で屈折させる。操縦ワイヤ1380の同時の引き締めは、図9Bに示されるように、送達カテーテルをほぼ点1420でさらに屈折させる。したがって、操縦ワイヤ1370の引き締めは逆の屈折を生じ、送達カテーテルをその原位置に戻す(図9Cを参照)。
【0156】
再び図7を参照すると、細長いチューブ1010は管腔1130および管腔1140をさらに含む。管腔1130は、チューブ1010のほぼ近位端(図示せず)からチューブ1010の遠位端1025またはその近傍に延在する。管腔1130は、チューブ1010の遠位端1025またはその近傍にチューブ1010に対する屈曲1134と、チューブ1010の遠位端1025またはその近傍にチューブ1010の壁1020を通る出口1136とを有する。同様に、管腔1140は、チューブ1010の遠位端1025またはその近傍にチューブ1010に対する屈曲1144と、チューブ1010の遠位端1025またはその近傍にチューブ1010の壁1020を通る出口1146とを有する。図7に示される実施形態において、管腔1130は、レーザードップラー先端部として構成され、管腔1140は、引き込み式の感知リード1150、および該リードの遠位端に先端を有するペーシングリード1160を受容する大きさである。光ファイバーレーザードップラー先端部は、(先端部により発される光の波長の変化を測定することにより)血流を検出および測定し、これが医師によるリード配置中の血管の特定―そして回避―を助ける。感知リード1150は、心臓組織内の電気信号を検出するように設計され、医師が瘢痕組織等の電気的に無反応である組織にペーシングリードを配置することを回避できるようにする。ペーシングリード1160は心臓組織へ配置するためにねじ式のリードであり、電極であるその先端は、実質的にねじ状の形状を有する。ペーシングリード1160は、心臓ペーシングのためにCRT装置(図示せず)に動作可能に取り付けることができる。心臓ペーシング用のリード1160が使用されているが、感知リードを含む任意の好適な種類のリードを、本明細書に記載される送達カテーテルと併用することができる。
【0157】
管腔1130の屈曲1134および管腔1140の屈曲1144のそれぞれは、約90度の角度を形成し、これによりカテーテルが心膜腔内で操作される際に、それぞれの出口1136および1146が心臓の外表面に面するようになる。しかし、他の実施形態は、管腔が心膜腔から心臓の外表面への適切なアクセスを提供する限り、90度未満またはそれ以上の他の角度を形成する屈曲を有してもよい。そのような角度は、例えば約25度〜約155度の範囲であってもよい。リードおよびドップラー先端部の送達に加えて、管腔1130および管腔1140は、例えば生検の採取、遺伝子細胞治療剤もしくは薬理学的薬剤の送達、心室の補強のための生物接着剤の送達、急性心筋梗塞および境界部位の心室心外膜の吸引の実施、心膜液貯留あるいは心タンポナーデの治療における流体の除去、または心房細動の治療における心臓組織のアブレーションを可能にするように構成されてもよい。
【0158】
例えば、管腔1130を使用して、遺伝子細胞、幹細胞、医用材料、成長因子(サイトキナーゼ、線維芽細胞成長因子、または血管内皮成長因子等)および/もしくは生分解性合成高分子、RGDリポソーム生物接着剤、または治療もしくは診断用の任意の他の好適な薬物もしくは物質の心筋内注入用のカテーテル針を送達することができる。例えば、好適な生分解性合成高分子には、ポリ乳酸、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ酸無水物、ポリアミド、およびポリウレタンが含まれ得る。一部の実施形態において、該物質は、メタロプロテイナーゼ(例えば、メタロプロテイナーゼ1)等の組織阻害剤を含む。
【0159】
一部の物質(生体高分子およびRGDリポソーム生物接着剤等)の注入は、慢性心不全の治療に有用であり、左心室壁を補強および強化する。したがって、本明細書に開示される実施形態を使用して、心膜腔から心臓組織へのそのような物質の注入は、経胸腔的アプローチを介した送達に関連する問題およびリスクを緩和する。例えば、本明細書に開示されるように、送達カテーテルの遠位端が心膜腔まで進められると、針が送達カテーテルの管腔を通って心臓組織の中に延在され、針を通って心臓組織に物質が注入される。
【0160】
心膜腔から心臓組織への物質の送達は、レーザードップラー先端部を使用して促進され得る。例えば、心室壁の菲薄化を治療する際、図7に示される実施形態の管腔1140に位置するレーザードップラー先端部を使用して、手順中(リアルタイムで)左心室壁の厚さを測定し、注入のための適切な標的領域を決定することができる。
【0161】
再び図8を参照すると、制御装置1080は第1ハンドル1090および第2ハンドル1094を含むが、制御装置の他の実施形態は、異なる構成を含んでもよい。例えば、ハンドルを使用する代わりに、制御装置が操縦ワイヤシステムの操縦ワイヤを制御するための任意の好適なトルクシステムを含んでもよい。ここで図10を参照すると、操縦ワイヤ1180、操縦ワイヤ1190、および制御装置1200を有する操縦ワイヤシステム1170の一部分が示される。制御装置1200は、第1の回転可能なスプール1220を有するトルクシステム1210を含み、これは、回転時に操縦ワイヤ1180を回収および分配することができる。例えば、第1の回転可能なスプール1220がある方向に回転すると、操縦ワイヤ1180がスプール1220上に回収されることにより、操縦ワイヤ1180を引き締める。スプール1220が反対方向に回転すると、操縦ワイヤ1180がスプール1220から分配されることにより、操縦ワイヤ1180が弛緩する。また、トルクシステム1210は第2の回転可能なスプール1230も有し、これは上述のとおり回転時に操縦ワイヤ1190を回収および分配することができる。
【0162】
トルクシステム1210は、第1の回転可能なダイヤル1240および第2の回転可能なダイヤル1250をさらに含む。第1の回転可能なダイヤル1240は第1の回転可能なスプール1220に取り付けられ、第1の回転可能なダイヤル1240の回転が、第1の回転可能なスプール1220を回転させるようにする。同様に、第2の回転可能なダイヤル1250は第2の回転可能なスプール1230に取り付けられ、第2の回転可能なダイヤル1250の回転が、第2の回転可能なスプール1230を回転させるようにする。カテーテルの操作を容易にするために、トルクシステム1210、具体的には第1および第2の回転可能なダイヤル1240および1250は、任意選択的にチューブ1010の近位端でカテーテルハンドル(図示せず)上に位置付けられてもよい。
【0163】
操縦ワイヤシステム1170を使用して、操縦ワイヤシステム1140と類似の様式で、体を通って送達カテーテルを方向付けることができる。したがって、例えば、第1の回転可能なダイヤル1240が第1方向(例えば時計回り)に回転されると、操縦ワイヤ1180が引き締められ、送達カテーテルがある方向に屈折される。第1の回転可能なダイヤル1240が他の方向(例えば反時計回り)に回転されると、操縦ワイヤ1180が弛緩し、送達カテーテルはその原位置に伸展する。第2の回転可能なダイヤル1250が一方向(例えば反時計回り)に回転されると、操縦ワイヤ1190が引き締められ、送達カテーテルは第1屈折と反対の方向に屈折する。第2の回転可能なダイヤル1250が他の方向(例えば時計回り)に回転されると、操縦ワイヤ1190が弛緩し、送達カテーテルはその原位置に伸展する。
【0164】
操縦ワイヤシステムの一部の他の実施形態は、トルクシステムにより、医師が種々の操縦ワイヤを確実に引き締めおよび弛緩できる限り、他の種類のトルクシステムを含み得る。各操縦ワイヤの引き締めおよび弛緩の程度は、トルクシステムにより制御可能であるべきである。
【0165】
再び図11を参照すると、送達カテーテル1260の断面図が示される。送達カテーテル1260は、チューブ1265、第1管腔1270、第2管腔1280、および操縦チャネル1290を含む。操縦ワイヤ1292、1294、および1296が操縦チャネル1290内に示される。第1管腔1270は出口1275を有し、これを用いて、マイクロカメラシステム(図示せず)またはレーザードップラー先端部1278を送達することができる。第2管腔1280は、ペーシングリード1300、ならびに感知リード(図示せず)を送達するための大きさである。
【0166】
心膜液浸出の除去による心タンポナーデの治療は、以下に記載されるように、本開示の器具を使用して行うことができる。典型的な手順には体内への器具の一部分の経皮的血管内挿入を伴い、これは局所または全身麻酔下で行うことができる。次に、本明細書に記載されるアプローチまたは使用者に既知である他の方法を利用して、器具の一部分を経皮血管的に心膜嚢に進入させることができる。そのような器具を使用して体内の他の間隙にアクセスし、本明細書に記載されるように流体を除去および/または気体、液体、および/または微粒子を送達することができ、そのような器具は心臓へのアクセスおよび心膜液浸出の除去に限定されないことが理解され得る。
【0167】
そのような器具の一部分の例示的な実施形態が、図21Aおよび21Bに示される。図21Aに示されるように、有孔ドレナージカテーテル2100が提供される。有孔ドレナージカテーテル2100は、少なくとも1つの吸引/注入アパーチャ2110を画定するチューブを含み、図21Aの実施形態に示されるように、有孔ドレナージカテーテル2100は、複数の吸引/注入アパーチャ2110を画定する。吸引/注入アパーチャ2110は、有孔送達カテーテル2100内に画定される内部管腔に動作可能に接続される。有孔ドレナージカテーテル2100の一部分は、図21Aおよび21Bに示されるように、本明細書に記載される組織に係合するためのシステムの1つ以上の部分に連結可能であることが理解され得る。したがって、組織に係合するためのシステムの1つ以上の部分を使用して、本明細書に記載されるように流体を除去するためのシステムを画定することができる。
【0168】
有孔送達カテーテル2100内の内部管腔は、複数の内部チャネルを画定できることが理解され得る。例えば、有孔送達カテーテル2100は2つのチャネルを画定することができ、1つのチャネルは、1つ以上の吸引/注入アパーチャ2110に動作可能に連結され、チャネルの一端に連結される真空源が吸引/注入アパーチャ2110を介して吸引を提供するのを可能にし、1つのチャネルは1つ以上の他の吸引/注入チャネルに動作可能に接続され、標的部位への気体、液体、および/または微粒子の注入を可能にする。
【0169】
以下でさらに詳述されるように、有孔ドレナージカテーテル2100が体内の間隙、例えば心膜嚢に進入すると、有孔ドレナージカテーテル2100を用いて、1つ以上の吸引/注入アパーチャ2110を通る吸引の使用により、流体を除去することができる。また、有孔ドレナージカテーテル2100を使用して、1つ以上の吸引/注入アパーチャ2110を通って標的部位へ気体、液体、および/または微粒子を送達することもできる。
【0170】
有孔ドレナージカテーテル2100の一部分の別の例示的な実施形態を図21Bに示す。図21Bに示されるように、有孔ドレナージカテーテル2100は、複数の吸引/注入アパーチャ2110を備えるチューブを含む。しかし、例示的な本実施形態では、有孔ドレナージカテーテル2100は、有孔ドレナージカテーテル2100の長さの一部分に延在する多数の凹溝2120を含み、これによりその中の陥凹部分に吸引/注入アパーチャ2110が提供される。凹溝2120は、少なくとも部分的に有孔ドレナージカテーテル2100の周囲の周りに位置付けられると、有孔ドレナージカテーテル2100の長さの一部分に延在する1つ以上の隆起2130を画定する。有孔ドレナージカテーテル2100の該隆起2130は、組織(図示せず)またはその近傍に位置付けられると、組織が1つ以上の吸引/注入アパーチャ2110と直接接触するのを防ぐのを補助する。例えば、有孔ドレナージカテーテル2100が本明細書に記載される様式で使用され、真空が有孔ドレナージカテーテル2100に連結されると、1つ以上の凹溝2120内に位置付けられる1つ以上の吸引/注入アパーチャ2110からの吸引により、有孔ドレナージカテーテル2100の領域に存在する流体の除去が可能になる。隆起2130は、1つ以上の吸引/注入アパーチャ2110との組織の接着および/または接触を防ぐか、あるいは最小限に抑えるのを補助する。
【0171】
有孔ドレナージカテーテル2100を使用する手順は、例えば蛍光透視法および/またはエコードップラー可視化手技を使用して、有孔ドレナージカテーテル2100を心膜嚢、その後心臓表面に挿入することにより行うことができる。有孔ドレナージカテーテル2100が心膜嚢に挿入されると、心膜嚢内に存在する心膜液浸出は、例えば、シリンジを使用した弱吸引により除去することができる。一例では、60ccのシリンジを使用し、手動で優しく吸引し、浸出液を除去してもよい。浸出液が除去されたら、患者の血行動態パラメータを監視して浸出液の除去の有効性を確認することができる。例えば、蛍光透視法またはエコードップラー可視化によって心膜嚢が空であることが確認されたら、急性心膜液浸出のカテーテルは除去することができ、あるいは以下に記載されるように局所治療に使用して、例えば抗生物質、化学療法、または別の薬物を導入してもよい。
【0172】
心膜嚢内に存在する有孔ドレナージカテーテル2100の一部分の例示的な実施形態を図22に示す。図22に示されるように、有孔ドレナージカテーテル2100は、本明細書に記載される手技および/または手順のうちの1つ以上を使用してまず心臓2200に挿入され、右心耳2210、臓側心膜2215を通って心膜嚢2220に配置される。心膜嚢2220の外側部分は、壁側心膜2230によって画定される。次に、有孔ドレナージカテーテル2100を使用して、心膜液滲出2240(心膜嚢2220内の流体)を除去することができる。真空源(図示せず)が流体を除去するためのシステムの一部分(部分的に、有孔ドレナージカテーテル2100、および本明細書に記載される組織に係合するためのシステムの1つ以上の他の構成要素を含む)の近位端に連結されると、有孔ドレナージカテーテル2100への真空の導入により、心膜液滲出2240(流体)を、心膜嚢2220から吸引/注入アパーチャ2110の長さに沿って画定される1つ以上の吸引/注入アパーチャ2110へ引き抜くことができる。
【0173】
有孔ドレナージカテーテル2100は、心膜液浸出(または体内の間隙内に存在する他の流体)の一部または全ての除去に使用され、流体が除去された間隙またはその近傍に気体、液体、および/または微粒子を送達するために使用することもできる。例えば、心膜液浸出を除去するための有孔ドレナージカテーテル2100の使用により、感染症のリスクが増す場合がある。したがって、有孔ドレナージカテーテル2100は、水および/または任意の数の有益な溶液で心膜嚢(または体内に存在する他の間隙)をすすぐために使用することができ、また、1つ以上の抗生物質を送達して、患者に効果的な全身的抗生物質療法を提供するために使用することもできる。抗生物質(例えばゲンタマイシン)の心膜内への点滴注入は有用であるが、典型的にはそれ自体では十分ではなく、したがってより効果的な治療のために全身的な抗生物質治療と組み合わせることができる。
【0174】
本開示の装置、システム、および/または方法を使用して、タンポナーデを伴わない腫瘍性の心膜液浸出を治療するためのさらなる方法を利用してもよい。例えば、全身的な抗腫瘍薬治療を行って、腫瘍の進行を抑制および/または阻止するための薬物を導入してもよい。緊急を要しない状態である(例えば心タンポナーデではない)場合、本開示のシステムおよび/または方法を使用して心膜穿刺術を行ってもよい。さらに、本開示により、細胞分裂阻害剤/硬化剤の心膜内への点滴注入が可能になる。本明細書に開示される装置、システム、および/または方法のうちの1つ以上を使用して、硬化剤、細胞傷害性薬物、または免疫調節剤の心膜内への点滴注入により再発の阻止を達成できることが理解され得るが、心膜内治療は腫瘍の種類に合わせて調整され得ることに留意されたい。慢性的な自己反応性の心膜液浸出に関しては、クリスタロイドグルココルチコイドの心膜内への点滴注入は、高用量の局所適用を可能にしつつ全身性副作用を回避することができる。
【0175】
ペーシングリードは、本明細書に開示される係合カテーテルおよび送達カテーテルを使用して、心臓の外表面に配置することができる。例えば、係合カテーテルの細長いチューブを血管の中に延在し、チューブの遠位端が心臓の壁の内部上の標的組織と接触するようにする。上記で説明されるように、標的組織は心房壁または心耳の内部に位置し得る。吸引を開始し、標的組織の一部分を吸い込み、心臓を囲む心膜嚢から心臓壁を引き離すことにより、心膜嚢と心臓壁との間の心膜腔を拡張する。次に、チューブの管腔を通って針を挿入し、心臓へ進める。針を標的組織に挿入し、標的組織を穿孔する。針を通してガイドワイヤの遠位端を心膜腔に挿入し、心臓壁を通る進入点を固定する。そして、標的組織から針を引き抜く。
【0176】
本明細書に記載される送達カテーテルは、係合カテーテルのチューブの管腔にガイドワイヤ上で挿入される。送達カテーテルは、14Fr.の放射線不透過性操縦カテーテルであり得る。送達カテーテルの遠位端を、ガイドワイヤ上で標的組織を通って心膜腔に進める。心膜腔に入ると、本明細書に開示される操縦ワイヤシステムを使用して送達カテーテルを方向付ける。さらに、マイクロカメラシステムを送達カテーテルの管腔を通って延在し、心膜腔内の所望の位置への送達カテーテルの方向付けを補助してもよい。送達カテーテルとの併用に好適なマイクロカメラシステムは、当技術分野において周知である。さらに、送達カテーテルの管腔を通ってレーザードップラーシステムを延在し、送達カテーテルの方向付けを補助してもよい。送達カテーテルを、送達カテーテルの管腔のうちの1つの出口が心臓の外表面(例えば心房または心室の外表面)に隣接するように位置付ける。送達カテーテルの管腔を通ってペーシングリードを心臓の外表面に延在する。ペーシングリードは、例えばリードを心臓組織にねじ込むことにより、心臓の外表面に取り付けてもよい。加えて、リードをさらに組織内にねじ込むことにより、心臓組織のより深部、例えば心内膜下組織にペーシングリードを配置してもよい。リードを適切な位置に配置した後、心膜腔および体から送達カテーテルを引き抜く。ガイドワイヤを心膜腔および体から引き抜き、係合カテーテルを体から引き抜く。
【0177】
開示される実施形態は、心内膜下ならびに心外膜のペーシングに使用することができる。リードの配置が心外膜である場合、心内膜下壁の近傍に到達する長いねじ状の先端を有するようにリードを構成することができる。リードの先端は、心内膜下領域へのペーシングを行うように、またそれを提供するように刺激型であるように作製することができる。一般に、リードの長さは、心臓壁の厚さを通じて任意の部位で経壁的にペーシングするように選択することができる。当業者は、当該患者にとって心外膜、心内膜下、またはいずれかの経壁的位置での筋肉の刺激が最適であるかを決定することができる。
【0178】
本開示に従う心機能を改善するカテーテル器具の実施形態を、図23Aおよび23Bに示す。図23Aに示されるように、カテーテル器具3100は、吸引/注入カテーテル3102と、膨張可能な少なくとも1つのバルーン3104とを含む。バルーン3104は、バルーン3104を吸引/膨張源3106に連結する導管3108を介して吸引/膨張源3106に連結され得る。少なくとも1つの実施形態において、導管3108は、吸引/注入カテーテル3102の管腔3110内に位置付けられるチューブを含む。別の実施形態において、導管3108は、吸引/注入カテーテル3102および導管3108が同様の様式で体内に位置付けられ得るように、吸引/注入カテーテル3102の外側に位置付けられるが、吸引/注入カテーテル3102の近位に位置付けられる、チューブを含む。導管3108は、吸引/注入カテーテル3102の壁内に位置付けられる導管も含むことができ、あるいは吸引/注入カテーテル3102の内壁または外壁のいずれかまたは両方に連結される導管を含み得ることが理解され得る。
【0179】
図23Aに示されるように、バルーン3104は吸引/注入カテーテル3102に連結される。バルーン3104は、図23Aでは収縮した状態で示され、図23Bに示されるカテーテル器具3100の例示的な実施形態では、膨張した状態で示される。
【0180】
図23Bは、心臓の心房壁3112に着脱可能に連結されるカテーテル器具3100の実施形態を示す。図23Bに示されるように、カテーテル器具3100は、心房壁3112のアパーチャを通って位置付けることができ、バルーン3104の膨張および/または収縮により心房壁3112に着脱可能に連結することができる。図23Bに示されるように、カテーテル器具3100は、バルーン3104を含むカテーテル器具3100の一部分を心房壁3112またはその近傍に位置付けて、心房腔3114内で心房壁3112を通り心膜腔3116に位置付けることができる。位置付けられると、バルーン3104の膨張により、バルーン3104の少なくとも2つの部分が膨張し、バルーン3104の少なくとも1つの部分が心房壁3112のいずれかの側で膨張するか、あるいは代替として、バルーン3104の膨張により、少なくとも2つのバルーン3104が膨張し、少なくとも1つのバルーン3104が心房壁3112のいずれかの側に位置付けられる。バルーン3104が膨張されると、カテーテル器具3100は心房壁3112に着脱可能に連結するようになり、カテーテル器具3100の使用者により所望される時間の間、適所に保持される。上述の通り1つを超えるバルーン3104がカテーテル器具3100に連結されてもよく、複数のバルーンの膨張が1つ以上の吸引/注入源3106からの膨張後に生じることが理解され得る。バルーン3104を有するカテーテル器具3100は、心房壁3104の片側で実質的にまたは完全にバルーン3104の膨張を介して心房壁3112のアパーチャ内に着脱可能に固定されてもよく、心房壁3112のもう一方の側でカテーテル器具3100に連結される隆起、突出、または何らかの他の物理的構造が、バルーン3104が膨張される際、カテーテル器具3100を適所に保持するように機能してもよいことがさらに理解され得る。
【0181】
図24は、心臓3200を囲む心膜腔3116内に位置付けられる吸引/注入カテーテル3102の実施形態を示す。図24に示されるように、吸引/注入カテーテル3102は心房壁3112のアパーチャ内に位置付けられ、吸引/注入カテーテル3102のバルーン3104の膨張を介して適所に保持される。次に、吸引/注入カテーテル3102を使用して、心臓3200内、および/または心臓3200を囲む標的部位へ、または標的部位から物質を注入、吸引を介して物質を除去、または両方を行うことができる。少なくとも1つの実施形態において、吸引/注入カテーテル3102の挿入は、局所麻酔下で行われる。
【0182】
図25Aおよび25Bは、吸引/注入カテーテル3102の遠位端の実施形態を示す。図25Aに示されるように、吸引/注入カテーテル3102は、吸引/注入カテーテル3102の遠位端またはその近傍に位置付けられる少なくとも1つのアパーチャ3300を含む。図25Aおよび25Bの実施形態で示されるように、吸引/注入カテーテル3102は複数のアパーチャ3300を画定する。アパーチャ3300は、吸引/注入カテーテル3102内に画定される内部管腔に動作可能に接続される。吸引/注入カテーテル3102の一部分は、図25Aおよび25Bに示されるように、本明細書に記載されるカテーテル器具3100の1つ以上の部分に連結され得ることが理解され得る。
【0183】
吸引/注入カテーテル3102内の内部管腔は、複数の内部チャネルを画定することができる。例えば、吸引/注入カテーテル3102は2つのチャネルを画定することができ、1つのチャネルは1つ以上のアパーチャ3300に動作可能に連結されて吸引を提供し、1つのチャネルは1つ以上の他のアパーチャ3300に動作可能に連結され、標的部位への気体、液体、および/または微粒子の注入を可能にする。
【0184】
以下でさらに詳述されるように、吸引/注入カテーテル3102が体内の間隙(例えば心膜嚢)に進入すると、吸引/注入カテーテル3102を使用して、1つ以上のアパーチャ3300を通る吸引の使用により、流体を除去することができる。また、吸引/注入カテーテル3102を使用して、1つ以上のアパーチャ3300を通って標的部位へ気体、液体、および/または微粒子を送達することもできる。
【0185】
吸引/注入カテーテル3102の遠位端の一部分の例示的な実施形態を、図25Bに示す。図25Bに示されるように、吸引/注入カテーテル3102は、複数のアパーチャ3300を有するチューブを含む。しかし、例示的な本実施形態において、吸引/注入カテーテル3102は、吸引/注入カテーテル3102の長さの一部分に延在する多数の凹溝3302を含み、これによりその中の陥凹部分にアパーチャ3300が提供される。凹溝3302は、少なくとも部分的に吸引/注入カテーテル3102の周囲に位置付けられると、吸引/注入カテーテル3102の長さの一部分に延在する1つ以上の隆起3304を画定する。吸引/注入カテーテル3102の該隆起3304は、組織(図示せず)またはその近傍に位置付けられると、組織が1つ以上のアパーチャ3300と直接接触するのを防ぐのを助ける。
【0186】
また、例示的な吸引/注入カテーテル3102は、図25Aおよび25Bに示されるように、1つ以上の圧力/容積センサ3306も含み得る。圧力/容積センサ3306は、心膜嚢3116へまたはそこから送達される気体(例えばヘリウム)の量に関する圧力および/または容積データ/読み取り値を提供することができる。
【0187】
本開示の心臓補助装置3400の実施形態を図26に示す。図26に示されるように、心臓補助装置3400は、心臓用プロセッサ3404に連結される少なくとも2つの電磁板3402を含む。心臓用プロセッサ3404は、図26に示されるように、1本以上のワイヤ3406を介して少なくとも1つの電磁板3402に任意選択的に連結することができる。空気袋3408は、少なくとも部分的に電磁板3402の間に位置付けられ、永久的または着脱可能のいずれかで電磁板3402に取り付けられる。少なくとも1つの例示的な実施形態において、心臓補助装置3400は、電磁板および非電磁性板を含む。心臓用プロセッサ3404は、例えば心電図(EKGまたはECG)であり得、電磁板3402を動かすように動作し、電磁板3402は互いに対して離れるおよび/または近づくように動くことができる。電磁板3402が互いに対して動くと、空気袋3408は電磁板3402に対して膨張および/または収縮することができる。空気袋3408は、例えばポリウレタン、シラスティック、空気袋3408の適切な機能に好適である別の材料を含み得る。例えば、電磁板3402が互いに離れて動く場合、空気袋3408は、電磁板3402に付着して、拡張/膨張する。また、空気袋3408の拡張/膨張は、容器3410内に保存される気体によっても促進され得る。少なくとも1つの実施形態において、ヘリウムが気体として使用され、容器3410内に保存される。
【0188】
図26に示される心臓補助装置3400の例示的な実施形態は、心臓3200の「収縮時」を意味する比較的圧縮された状態の心臓補助装置3400を示す。電磁板3402上に見える2つの垂直な矢印によって示されるように、それぞれの電磁板3402が垂直な矢印の方向に動くと、空気袋3408は圧縮/収縮することができ、そのような圧縮/収縮により、吸引/注入カテーテル3102へ(またはカテーテル器具3100の一部分へ)、図26に示される水平な矢印の方向に気体が移動するように動作し得、これにより気体が1つ以上のアパーチャ3300から心臓3200を囲む間隙に排出され得る。弁3412は、容器3410と空気袋3408との間に任意選択的に位置付けられ、容器3410からの気体の流れを調節することができる。少なくとも1つの実施形態において、弁3412は、容器3410からの気体の流れを調節するが、容器3410への流れは調節しない一方向弁である。また、圧力/容積センサ3306が心臓補助装置3400と共に位置付けられてもよく、心膜嚢3116へまたはそこから送達される気体(例えばヘリウム)の量に関する圧力および/または容積データ/読み取り値を提供してもよい。
【0189】
また、本開示の例示的な心臓補助装置3400は、任意選択的に電源供給装置3414(例えばバッテリまたは充電式バッテリ)を含んで、限定されないが、電磁板3402、心臓用プロセッサ3404、および記憶装置3416を含む心臓補助装置3400の1つ以上の特徴に電力を提供することができる。電源供給装置3414および記憶装置3416は、心臓補助装置3400の動作を可能にするように、心臓用プロセッサに連結されるか、あるいは利用可能であり得る心臓補助装置3400の他の部分に連結されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、電源供給装置3414は、患者の胸筋領域内の皮下に位置付けられる。記憶装置3416は、限定されないが、一般的な心臓の信号、信号の放出、EKG収縮期/拡張期時間、心拍数、心室容積、収縮信号、心臓壁厚等(前述のリストは心臓のデータの少なくとも1つのパラメータを示す)を含む測定値(心臓のデータ)を保有することができ、そのような測定値は、心臓用プロセッサ3404によってアクセス可能であり、心臓補助装置3400の特定の動作を可能にし得る。例えば、心臓3200が所望されるよりも遅い速度でポンピングする場合、心臓用プロセッサ3404は、本明細書に記載されるように、心膜腔3116へ気体を導入、および/またはそこから気体を除去する速度を増加させることにより、心臓のポンピング速度を増加させるように動作し、心臓補助装置3400がペースメーカーとして機能することが可能になる。逆に、心臓3200が所望されるよりも速い速度でポンピングする場合、心臓用プロセッサ3404は、本明細書に記載されるように、心膜腔3116へ気体を導入、および/またはそこから気体を除去する速度を減少させることにより、心臓のポンピング速度を減少させるように動作することができる。心臓用プロセッサ3404は、記憶装置3416内に記憶される測定値に基づいてそのような様式で動作することができる。少なくとも1つの実施形態において、そのような動作は、本明細書に記載されるように、心臓補助装置3400によって受信されるEKG信号に従って開始される。別の実施形態において、そのような動作は、圧力/容積センサ3306から心臓用プロセッサ3404に提供される情報に基づく。
【0190】
本開示の心臓補助装置3400の別の実施形態を図27に示す。図27に示される心臓補助装置3400の例示的な実施形態は、図26に示される実施形態の中で示されるように1つ以上の要素を含み得るが、そのような要素には限定されず、特定の実施形態に所望されるより多くの、あるいはより少ない要素を含み得る。図27に示される例示的な実施形態について論じる目的で、図26に示される例示的な実施形態で含まれる要素が、図27に示される例示的な実施形態にも含まれる。
【0191】
図27に示される心臓補助装置3400の例示的な実施形態は、心臓3200の「拡張時」を意味する比較的膨張された状態の心臓補助装置3400を示す。電磁板3402上に見える2つの垂直な矢印によって示されるように、それぞれの電磁板3402が垂直な矢印の方向に動くと、空気袋3408は膨張することができ、そのような膨張により、吸引/注入カテーテル3102から図27に示される水平な矢印の方向に気体が移動するように動作し得、これにより気体は、吸引/注入カテーテル3102に沿って1つ以上のアパーチャ3300を介して心臓3200を囲む間隙から除去され得る。
【0192】
図28は、本開示の心臓補助装置3400を着用する患者の例示的な実施形態を示す。図28に示されるように、患者3600は心臓補助装置3400を着用し、心臓補助装置3400は、例えば任意のベルト3602を使用して患者3600に固定される。図28に示されるように、容器3410は患者3600の外部に位置付けられる。心臓補助装置3400は、図26および27内に記載されるものと同様の機能で動作することができ、これにより心臓用プロセッサ3404は、吸引/注入カテーテル3102を介して心臓3200を囲む間隙に、およびそこから気体をポンピングするように心臓補助装置3400を動作し、心臓3200の機能性を補助する。そのような心臓補助装置3400は、最適に小型、軽量、可搬式、充電式、患者3600にとって持ち運び易くあり得る。
【0193】
図29Aは、心臓3200内で心房壁3112を通って心膜腔3116に位置付けられる、カテーテル器具3100の吸引/注入カテーテル3102の実施形態を示す。吸引/注入カテーテル3102は、本明細書に記載されるように、「収縮時」に気体(例えばヘリウム)を心膜腔3116に導入するように動作可能であり得る。例えばEKGによって確認される収縮期には、心臓3200を圧縮し、心臓3200の壁寸法を減少させるために心膜腔3116からの気体の注入が行われ、壁応力の減少をもたらす。心臓3200の収縮の間(「収縮時」)、心膜腔3116は部分的に気体で充満し、心臓3200の収縮を補助することができる。収縮時の間の心膜腔3116内の気体による心臓3200への同期された圧縮圧力により、心臓3200の心室からの血液の排出が強化される。
【0194】
本明細書の図26に関する説明内で記載されたように、心膜腔3116に気体を導入することができる。気体を使用した心膜腔3116の拡張により、図29Aの矢印で示されるように、心臓3200の種々の壁に圧力が加えられる。そのような拡張は、心臓3200の収縮機能を補助し得るだけでなく、さらなる心膜壁への有益なさらなる支持を提供し得る。
【0195】
また、図29Bは、心臓3200内で心房壁3112を通って心膜腔3116に位置付けられる、カテーテル器具3100の吸引/注入カテーテル3102の実施形態を示す。吸引/注入カテーテル3102は、本明細書に記載されるように、「拡張時」に心膜腔3116から気体(例えばヘリウム)を除去するように動作可能であり得る。例えばEKGによって確認される拡張期には、心臓3200の負荷を軽減し、心筋の流れを増加させるために心膜腔3116からの気体の除去が行われ、灌流の増加をもたらす。気体の吸引による拡張時の間の心膜腔3116の収縮により心臓3200への圧縮圧力が減少し、血液による心臓3200の室の拡張/充満を促進する。本明細書の図27に関する説明内で記載されたように、心膜腔3116から期待を除去することができる。
【0196】
心臓3200の拡張の間(「拡張時」)、気体は部分的または完全に心膜腔3116から排出され、心臓3200の拡張を補助することができる。心膜腔3116からの気体の除去により、図29Bの矢印によって示されるように内部心腔の拡張が補助され、心膜腔3116から気体が排出されるにつれて、最も内側の心膜壁が内側に引かれ(矢印で示されるように)、心臓3200の室が血液で充満するにつれてその拡張を補助することが留意される。したがって、心膜腔3116は、本開示のカテーテル器具3100を使用して心臓3200のポンプ空気袋として機能する。例えば、壁側心膜および臓側心膜は、ポンプ空気袋のポンピング特徴を有し、気体は、収縮時の間に心臓3200に圧縮圧力を提供するようにポンプ空気袋を膨張させ、拡張時の間、気体の吸引によりポンプ空気袋を収縮させる。さらに、気体の量は、心臓用プロセッサ3404に提供される血行動態パラメータに従って、所望に応じて増加および/または減少され得る。
【0197】
図30Aおよび30Bは、そこに連結される心膜バルーン3700を有する吸引/注入カテーテル3102の遠位端の実施形態を示す。図30Aに示されるように、吸引/注入カテーテル3102は、吸引/注入カテーテル3102の遠位端またはその近傍に位置付けられる少なくとも1つのアパーチャ3300を含む。図30Aおよび30Bの実施形態に示されるように、吸引/注入カテーテル3102は、複数のアパーチャ3300を画定する。アパーチャ3300は、吸引/注入カテーテル3102内に画定される内部管腔に動作可能に接続される。吸引/注入カテーテル3102の一部分は、図30Aおよび30Bに示されるように、本明細書に記載されるカテーテル器具3100の1つ以上の部分に連結され得ることが理解され得る。
【0198】
図30Aに示される吸引/注入カテーテル3102の例示的な実施形態は、収縮した心膜バルーン3700を伴って示される。吸引/注入カテーテル3102が心臓3200を囲む心膜腔3116に導入される少なくとも1つの手順において、吸引/注入カテーテル3102は、吸引/注入カテーテル3102がより容易に心膜腔3116に挿入され得るように、そこに連結される収縮した心膜バルーン3700を有し得る。図30Bに示される実施形態で示されるように、吸引/注入カテーテル3102は膨張した心膜バルーン3700を伴って示される。吸引/注入カテーテル3102が心臓3200を囲む心膜腔3116に導入される少なくとも1つの手順において、心膜バルーン3700は、限定されないが、吸引/膨張源3106を含む膨張源により膨張され得る。当技術分野において既知である任意の数の膨張源を使用して、心膜バルーン3700を膨張させ得ることが理解され得る。
【0199】
心膜バルーン3700は、限定されないが、ポリウレタン製の心膜バルーン3700を含む、特定の用途に好適な任意の材料を含むことができ、限定されないが、30ccまたは40ccの心膜バルーン3700を含む、膨張した心膜バルーン3700の任意の数の容積を含み得る。
【0200】
図31Aおよび31Bは、心臓3200を囲む心膜腔3116内に位置付けられる吸引/注入カテーテル3102の例示的な実施形態を示す。図31Aに示される例示的な実施形態において、吸引/注入カテーテル3102は、心耳内で心房壁3112を通って心臓3200を囲む心膜腔3116に位置付けられて示される。本実施形態において、吸引/注入カテーテル3102は、吸引/注入カテーテル3102の遠位端またはその近傍に位置付けられる心膜バルーン3700を含み、心膜バルーン3700は収縮している(「拡張時」の間)。例示的な本実施形態および他の実施形態は、本開示の装置および/または器具に連結されて、その一部となり得る。
【0201】
図31Bに示されるように、心臓3200を囲む心膜腔3116内に位置付けられる吸引/注入カテーテル3102の例示的な実施形態を示す。例示的な本実施形態において、心膜バルーン3700は、心臓3200を囲む心膜腔3116内に位置付けられ、心膜バルーン3700は膨張されて示される(「収縮時」の間)。心膜バルーン3700は、吸引/膨張源3106を使用して、または吸引/注入カテーテル3102の内部管腔に動作可能に連結される別の膨張源を使用して膨張することができ、気体は、例えば吸引/膨張源3106、または吸引/注入カテーテル3102に連結される別の膨張源により、吸引/注入カテーテルの管腔に導入され得、中を通って画定される1つ以上のアパーチャ3300を介して心膜バルーン3700に進入する。少なくとも1つの実施形態において、導管(図示せず)を使用して、吸引/膨張源3106または別の膨張源を心膜バルーン3700に接続し、心膜バルーン3700の膨張および/または収縮を促進することができる。本明細書においてさらなる詳細が提供されるように、心臓3200を囲む心膜腔3116内の特定の領域内に吸引/注入カテーテル3102を位置付けることにより、心膜バルーン3700の局所的な膨張および/または収縮が可能になり、心膜バルーン3700が心臓3200の所望の室またはその近傍で心外膜壁に接触することが可能になる可能性がある。
【0202】
図32Aおよび32Bは、心臓3200を囲む心膜腔3116内に位置付けられる心膜バルーン3700を含む、吸引/注入カテーテル3012の例示的な実施形態を示す。図32Aに示されるように、吸引/注入カテーテル3102は、心房壁3112のアパーチャを通って心臓3200を囲む心膜腔3116に位置付けられる。本実施形態において、吸引/注入カテーテル3102は、心臓3200の左心室近傍の心膜腔3116内に位置付けられる。例示的な本実施形態において、心膜バルーン3700は心臓3200の収縮時の間に膨張され、心臓の拍動を促進することができる。例えば、心臓3200が損傷し、左心室が血液をポンピングするように適切に拍動できない場合、心臓3200の左心室近傍の心膜腔3116内に吸引/注入カテーテル3102を位置付け、収縮時に心膜バルーンを膨張させ、心臓3200の自然な拍動が、左心室の外側の心外膜壁に圧力を加える心膜バルーン3700の膨張と共に、より強力な心臓の拍動、ひいては心臓3200全体の機能を促進する。
【0203】
図32Bは、複数の吸引/注入カテーテル3102を含む、本明細書に記載される装置/器具の例示的な実施形態を示す。例示的な本実施形態において、2つの吸引/注入カテーテル3102が提供され、それぞれの吸引/注入カテーテル3102が心膜バルーン3700を含む。本開示の装置/器具は、限定されないが、吸引/注入カテーテル3102を含む、特定の用途に所望され得る任意の数および/または種類のカテーテルを含み得ることが理解され得る。
【0204】
図32Bに示される例示的な実施形態において、1つの吸引/注入カテーテル3102が心臓3200の左心室またはその近傍の心膜腔3116内に位置付けられ、もう1つの吸引/注入カテーテル3102が心臓3200の右心室またはその近傍の心膜腔3116内に位置付けられる。心膜バルーン3700を有する2つ以上の吸引/注入カテーテル3102を含む実施形態は、2つの心膜バルーン3700の同時の膨張および/または収縮を可能にし、膨張および/または収縮される際、2つのバルーン3700の「対抗脈動」を可能にする。心膜腔3116内に位置付けられる心膜バルーン3700が膨張されるにつれて、心膜バルーン3700は心外膜壁に対して圧力を加え、そのような圧力が心臓3200の拍動を促進し得る。
【0205】
本開示のカテーテルシステム3100および心臓補助装置3400に関して、非血液接触型である(カテーテルシステム3100の少なくとも一部分は使用時に心膜腔3116内に位置付けられるため)ことを含み、血管内電源、ポンプ、および/または弁が必要とされないという、いくつかの利点が存在する。そのようなシステム/装置の部分は局所麻酔下で患者3600に導入され得、かつ正式な/侵襲性の外科的手順は必要とされないため、感染、塞栓症、出血、および材料疲労のリスクを軽減する。
【0206】
さらに、システム/装置の部分は比較的簡単に挿入および除去され、かつそのようなシステム/装置は医薬品の使用を必要としないため、薬物治療の禁忌は存在しない。さらに、容器3410は患者3600の体の外部に位置付けられるため、交換時期にも患者3600は合併症を併発することなく完全に再充電可能である。また、そのようなシステム/装置は、オンラインで心調律、心室容積の変位、圧力等を測定し、特定の患者3600向けに治療を調整することができる。さらに、そのようなシステム/装置により、患者3600は不快感を伴わずに自由に運動することができる。
【0207】
本明細書に記載される心臓補助装置3400は、心膜腔3116から気体を注入および/または除去する他の手段を含み得ることが理解され得る。例えば、また1つ以上の電磁板3402および空気袋3408を使用せずに、心臓補助装置は、気体注入/除去機構として代わりにピストンを使用してもよく、これにより該ピストンは、動作において、本明細書に記載される1つ以上の電磁板3402および空気袋3408を使用した心臓補助装置の動作と同じ効果を有する。
【0208】
心臓組織にアクセスし、心機能を補助するための装置、システム、および方法の種々の実施形態は、本明細書において極めて詳細に説明されているが、それらの実施形態は、本明細書に記載される開示の非限定例として提供されるにすぎない。本明細書に記載される実施形態の多くの変型例および修正は、本開示に照らして、当業者には明らかとなるであろう。よって当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、種々の変更および修正を行うことができること、また相当物をその要素に代替できることを理解するであろう。実際に、本開示は、本開示の範囲を網羅する、または限定するものではない。本開示の範囲は、添付の請求項、およびそれらの相当物により画定されるものとする。
【0209】
さらに、代表的な実施形態を説明する際に、本開示は、方法および/またはプロセスを特定順序のステップとして表している場合がある。しかし、方法またはプロセスが本明細書で説明される特定順序のステップに依存しない限り、方法またはプロセスは説明される特定順序のステップに限定されてはならない。当業者に理解されるように、その他の順序のステップが可能である場合がある。そのため、本明細書に開示される特定順序のステップは、請求項を限定するものと見なされてはならない。さらに、方法および/またはプロセスを対象とする請求項は、記載される順序のステップの実行に限定されてはならず、当業者であれば、配列を変更することができ、それでもなお本開示の精神および範囲内であることが容易に理解できる。
【0210】
したがって、本開示は、および本説明ならびに添付の請求項は、本開示に基づいて当業者に明らかとなるすべての修正および変更を含み、包含するものとする。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
心機能を補助するための装置であって、
少なくとも2つの電磁板であって、内表面を有する少なくとも2つの電磁板と、
前記少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つに電気的に連結される心臓用プロセッサと、
内室を有する空気袋であって、前記少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つの内表面に取り付けられる空気袋と、
前記空気袋の前記内室と連通する気体源と、
近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記カテーテルの前記遠位端またはその近傍にその中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、前記カテーテルの前記近位端は、前記空気袋の前記内室と連通するカテーテルと、を含み、
前記カテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられると、前記装置は、前記心膜腔に気体を注入、および/またはそこから気体を除去するように動作する、装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を圧縮するように動作可能であり、前記空気袋の前記圧縮により、前記カテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられると、前記心膜腔に気体が注入される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を圧縮するように動作可能であり、前記圧縮は、前記1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置を使用して促進される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を拡張するように動作可能であり、前記空気袋の前記拡張により、前記カテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられると、前記心膜腔から気体が除去される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を拡張するように動作可能であり、前記拡張は、前記1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置を使用して促進される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記心臓用プロセッサは、前記少なくとも2つの電磁板に前記空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記心臓用プロセッサは心臓のデータを含み、前記心臓のデータは少なくとも1つのパラメータを含み、前記心臓用プロセッサは、前記心臓のデータの前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記少なくとも2つの電磁板に前記空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カテーテルに動作可能に連結される少なくとも1つの圧力/容積センサをさらに含み、前記少なくとも1つの圧力/容積センサは、前記心臓用プロセッサに圧力および/または容積データを提供するように動作し、前記圧力および/または容積データは、前記少なくとも1つの圧力/容積センサで検出される気体の前記圧力および/または容積に関連する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記心臓用プロセッサは、圧力および/または容積データに基づいて、前記少なくとも2つの電磁板に前記空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記心臓用プロセッサは、少なくとも1本のワイヤを使用して前記少なくとも2つの電磁板に連結される、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記空気袋は、ポリウレタン製空気袋を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記気体源は、可搬式気体容器を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記気体は、希ガスである、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記希ガスは、ヘリウムである、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
気体は前記カテーテルの前記管腔を通って前記空気袋から前記心膜腔に進入し、前記カテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャから出る、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
気体は前記心膜腔から、前記カテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャを通り、前記カテーテルの前記管腔を通って、前記空気袋に除去される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記気体源と前記空気袋との間に位置付けられる弁をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記弁は、気体を前記気体源から流させるように動作可能な一方向弁である、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記心臓用プロセッサに動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記少なくとも2つの電磁板に動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置に動作可能に連結される、電源供給装置をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記電源供給装置は、バッテリを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記バッテリは、充電式バッテリを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項24】
前記心臓用プロセッサと連通するデータ記憶装置をさらに含み、前記心臓用プロセッサは、前記データ記憶装置内に記憶されたデータに基づいて、前記少なくとも2つの電磁板に前記空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記心臓用プロセッサは、前記空気袋の圧縮の頻度を第1圧縮速度から第2圧縮速度へと上昇させるように動作可能であり、前記頻度の上昇は、心臓をより速い速度で拍動させる、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記心臓用プロセッサは、前記空気袋の圧縮の頻度を第1圧縮速度から第2圧縮速度へと低下させるように動作可能であり、前記頻度の低下は、心臓をより遅い速度で拍動させる、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記装置の少なくとも一部分は患者の体の外部に位置付けられ、前記装置の少なくとも一部分は患者の体内に位置付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記気体源は、前記患者の体の外部に位置付けられる、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記心臓用プロセッサは、前記患者の体内に位置付けられる、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
前記気体源に連結される少なくとも1つのベルトをさらに含み、前記少なくとも1つのベルトは、前記気体源を前記患者の体に固定するように前記患者の体の外部に固定され得る、請求項27に記載の装置。
【請求項31】
少なくとも1つのバルーンが前記カテーテルに連結され、前記カテーテルの外部に位置付けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項32】
近位端および遠位端を有する導管をさらに含み、前記導管の前記遠位端は前記少なくとも1つのバルーンに連結されており、前記カテーテルが心房壁の中のアパーチャ内に位置付けられ、かつ前記少なくとも1つのバルーンが前記心房壁の中の前記アパーチャまたはその近傍に位置付けられる際、前記少なくとも1つのバルーンの膨張により前記カテーテルが前記心房壁の適所に保持される、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記カテーテルは、吸引/注入カテーテルである、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記少なくとも1つのバルーンの前記膨張により、前記少なくとも1つのバルーンの第1部分が前記心房壁の第1側面上で膨張し、さらに前記少なくとも1つのバルーンの第2部分が前記心房壁の第2側面上で膨張し、前記カテーテルを前記心房壁の適所に固定する、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記少なくとも1つのバルーンは、第1バルーンおよび第2バルーンを含む、請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記カテーテルが心房壁のアパーチャ内に位置付けられる際、前記第1バルーンは前記心房壁の第1側面上に位置付けられ、前記第2バルーンは前記心房壁の第2側面上に位置付けられ、前記第1バルーンおよび前記第2バルーンが膨張されると、前記カテーテルは前記心房壁の適所に保持される、請求項35に記載の装置。
【請求項37】
前記導管の前記近位端は吸引/注入源に連結され、少なくとも1つのバルーンが前記吸引/注入源を使用して膨張される、請求項32に記載の装置。
【請求項38】
前記カテーテルに連結され、前記カテーテルの外部に位置付けられる物理的構造をさらに含み、前記物理的構造は、前記少なくとも1つのバルーンまたはその近傍に位置付けられる、請求項32に記載の装置。
【請求項39】
前記カテーテルが前記心房壁の前記アパーチャ内に位置付けられる際、前記少なくとも1つのバルーンは前記心房壁の一側面上に位置付けられ、前記物理的構造は前記心房壁のもう一方の側面上に位置付けられ、前記少なくとも1つのバルーンが膨張されると、前記カテーテルは前記心房壁の適所に保持される、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記物理的構造は、突出を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
心臓内でカテーテルを固定するための器具であって、
近位端、遠位端、および中を通って画定される少なくとも1つの管腔を有するカテーテルであって、前記カテーテルの前記遠位端またはその近傍で中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定するカテーテルと、
前記カテーテルに連結され、前記カテーテルの外部に位置付けられる少なくとも1つのバルーンと、
近位端および遠位端を有する導管であって、前記導管の前記遠位端は前記少なくとも1つのバルーンに連結される導管と、を含み、
前記カテーテルが心房壁の中のアパーチャ内に位置付けられ、かつ前記少なくとも1つのバルーンが前記心房壁の中の前記アパーチャまたはその近傍に位置付けられると、前記少なくとも1つのバルーンの膨張により、前記カテーテルが前記心房壁の適所に保持される、器具。
【請求項42】
前記カテーテルは、吸引/注入カテーテルである、請求項41に記載の器具。
【請求項43】
前記少なくとも1つのバルーンの膨張により、前記少なくとも1つのバルーンの第1部分が前記心房壁の第1側面上で膨張し、さらに前記少なくとも1つのバルーンの第2部分が前記心房壁の第2側面上で膨張し、前記カテーテルを前記心房壁の適所に固定する、請求項41に記載の器具。
【請求項44】
前記少なくとも1つのバルーンは、第1バルーンおよび第2バルーンを含む、請求項41に記載の器具。
【請求項45】
前記第1バルーンは前記心房壁の第1側面上に位置付けられ、前記第2バルーンは前記心房壁の第2側面上に位置付けられ、前記第1バルーンおよび前記第2バルーンが膨張されると、前記カテーテルは前記心房壁の適所に保持される、請求項44に記載の器具。
【請求項46】
前記導管の前記近位端は吸引/注入源に連結され、少なくとも1つのバルーンが前記吸引/注入源を使用して膨張される、請求項41に記載の器具。
【請求項47】
前記カテーテルに連結され、前記カテーテルの外部に位置付けられる物理的構造をさらに含み、前記物理的構造は、前記少なくとも1つのバルーンまたはその近傍に位置付けられる、請求項41に記載の器具。
【請求項48】
前記カテーテルが前記心房壁の前記アパーチャ内に位置付けられる際、前記少なくとも1つのバルーンは前記心房壁の一側面上に位置付けられ、前記物理的構造は前記心房壁のもう一方の側面上に位置付けられ、前記少なくとも1つのバルーンが膨張されると、前記カテーテルは前記心房壁の適所に保持される、請求項47に記載の器具。
【請求項49】
前記物理的構造は、突出を含む、請求項47に記載の器具。
【請求項50】
心機能を補助する方法であって、
心機能を補助するための装置を提供するステップであって、
少なくとも2つの電磁板であって、内表面を有する少なくとも2つの電磁板と、
前記少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つに電気的に連結される心臓用プロセッサと、
内室を有する空気袋であって、前記少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つの内表面に取り付けられる空気袋と、
前記空気袋の前記内室と連通する気体源と、
近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記カテーテルの前記遠位端またはその近傍にその中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、前記カテーテルの前記近位端は、前記空気袋の前記内室と連通するカテーテルと、を含む、ステップと、
心膜腔に気体を注入および/またはそこから気体を除去して心機能を補助するように、前記装置を動作させるステップと、を含む、方法。
【請求項51】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を圧縮するように動作可能であり、前記空気袋の前記圧縮により、前記カテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられると、前記心膜腔に気体が注入される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を圧縮するように動作可能であり、前記圧縮は、前記1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置を使用して促進される、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を拡張するように動作可能であり、前記空気袋の前記拡張により、前記カテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられると、前記心膜腔から気体が除去される、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を拡張するように動作可能であり、前記拡張は、前記1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置を使用して促進される、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記心臓用プロセッサは、前記少なくとも2つの電磁板に前記空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記心臓用プロセッサは、心臓のデータを含み、前記心臓のデータは少なくとも1つのパラメータを含み、前記心臓用プロセッサは、前記心臓のデータの前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記少なくとも2つの電磁板に前記空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記カテーテルは、前記カテーテルに動作可能に連結される少なくとも1つの圧力/容積センサをさらに含み、前記少なくとも1つの圧力/容積センサは、前記心臓用プロセッサに圧力および/または容積データを提供するように動作可能であり、前記圧力および/または容積データは、前記少なくとも1つの圧力/容積センサで検出される気体の前記圧力および/または容積に関連する、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記心臓用プロセッサは、圧力および/または容積データに基づいて、前記少なくとも2つの電磁板に前記空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記心臓用プロセッサは、少なくとも1本のワイヤを使用して前記少なくとも2つの電磁板に連結される、請求項50に記載の方法。
【請求項60】
前記空気袋は、ポリウレタン製空気袋を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項61】
前記空気袋は、シラスティック製空気袋を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項62】
前記気体源は、可搬式気体容器を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項63】
前記気体は、希ガスである、請求項50に記載の方法。
【請求項64】
前記希ガスは、ヘリウムである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
気体は前記カテーテルの前記管腔を通って前記空気袋から前記心膜腔に進入し、前記カテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャから出る、請求項50に記載の方法。
【請求項66】
気体は前記心膜腔から、前記カテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャを通り、前記カテーテルの前記管腔を通って、前記空気袋に除去される、請求項50に記載の方法。
【請求項67】
前記装置は、前記気体源と前記空気袋との間に位置付けられる弁をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項68】
前記弁は、気体を前記気体源から流させるように動作可能な一方向弁である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記装置は、前記心臓用プロセッサに動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項70】
前記装置は、前記少なくとも2つの電磁板に動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項71】
前記装置は、前記1つ以上の電磁板に動作可能に連結される1つ以上の作動装置に動作可能に連結される、電源供給装置をさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項72】
前記電源供給装置は、バッテリを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記バッテリは、充電式バッテリを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記装置は、前記心臓用プロセッサと連通するデータ記憶装置をさらに含み、前記心臓用プロセッサは、前記データ記憶装置内に記憶されたデータに基づいて、前記少なくとも2つの電磁板に前記空気袋を圧縮および/または拡張させるように動作可能である、請求項50に記載の方法。
【請求項75】
前記心臓用プロセッサは、前記空気袋の圧縮の頻度を第1圧縮速度から第2圧縮速度へと上昇させるように動作可能であり、前記頻度の上昇は、心臓をより速い速度で拍動させる、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記心臓用プロセッサは、前記空気袋の圧縮の頻度を第1圧縮速度から第2圧縮速度へと低下させるように動作可能であり、前記頻度の低下は、心臓をより遅い速度で拍動させる、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記装置の少なくとも一部分は患者の体の外部に位置付けられ、前記装置の少なくとも一部分は患者の体内に位置付けられる、請求項50に記載の方法。
【請求項78】
前記気体源は、前記患者の体の外部に位置付けられる、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記心臓用プロセッサは、前記患者の体内に位置付けられる、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記装置は、前記気体源に連結される少なくとも1つのベルトをさらに含み、前記少なくとも1つのベルトは、前記気体源を前記患者の体に固定するように前記患者の体の外部に固定され得る、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
少なくとも1つのバルーンが前記カテーテルに連結され、前記カテーテルの外部に位置付けられる、請求項50に記載の方法。
【請求項82】
前記装置は、近位端および遠位端を有する導管をさらに含み、前記導管の前記遠位端は、前記少なくとも1つのバルーンに連結され、前記少なくとも1つのバルーンの膨張により、前記カテーテルが心房壁のアパーチャ内に位置付けられて、前記少なくとも1つのバルーンが前記アパーチャまたはその近傍に位置付けられると、前記カテーテルが前記心房壁の適所に保持される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記カテーテルは、吸引/注入カテーテルである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記少なくとも1つのバルーンの前記膨張により、前記少なくとも1つのバルーンの第1部分が前記心房壁の第1側面上で膨張し、さらに前記少なくとも1つのバルーンの第2部分が前記心房壁の第2側面上で膨張し、前記カテーテルを前記心房壁の適所に固定する、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記少なくとも1つのバルーンは、第1バルーンおよび第2バルーンを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
前記第1バルーンは前記心房壁の第1側面上に位置付けられ、前記第2バルーンは前記心房壁の第2側面上に位置付けられ、前記第1バルーンおよび前記第2バルーンが膨張されると、前記カテーテルは前記心房壁の適所に保持される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記導管の前記近位端は吸引/注入源に連結され、少なくとも1つのバルーンが前記吸引/注入源を使用して膨張される、請求項82に記載の方法。
【請求項88】
前記カテーテルは、前記カテーテルに連結され、前記カテーテルの外部に位置付けられる物理的構造をさらに含み、前記物理的構造は、前記少なくとも1つのバルーンまたはその近傍に位置付けられる、請求項82に記載の方法。
【請求項89】
前記カテーテルが前記心房壁の前記アパーチャ内に位置付けられる際、前記少なくとも1つのバルーンは前記心房壁の一側面上に位置付けられ、前記物理的構造は前記心房壁のもう一方の側面上に位置付けられ、前記少なくとも1つのバルーンが膨張されると、前記カテーテルは前記心房壁の適所に保持される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記物理的構造は、突出を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
心臓内にカテーテルを固定するための方法であって、
心房壁のアパーチャを通ってカテーテルを導入するステップであって、前記カテーテルは、
近位端、遠位端、および中を通って画定される少なくとも1つの管腔であって、前記カテーテルは、前記カテーテルの前記遠位端またはその近傍に中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定する、近位端、遠位端、および管腔と、
前記カテーテルに連結され、前記カテーテルの外部に位置付けられる少なくとも1つのバルーンと、
近位端および遠位端を有する導管であって、前記導管の前記遠位端は前記少なくとも1つのバルーンに連結される導管と、を含む、ステップと、
前記少なくとも1つのバルーンが前記心房壁の前記アパーチャまたはその近傍に位置付けられるように、前記カテーテルを位置付けるステップと、
前記少なくとも1つのバルーンを膨張させて、前記カテーテルを前記心房壁の適所に固定するステップと、を含む、方法。
【請求項92】
前記カテーテルは、吸引/注入カテーテルである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記少なくとも1つのバルーンを膨張させる前記ステップにより、前記少なくとも1つのバルーンの第1部分が前記心房壁の第1側面上で膨張し、さらに前記少なくとも1つのバルーンの第2部分が前記心房壁の第2側面上で膨張し、前記カテーテルを前記心房壁の適所に固定する、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記少なくとも1つのバルーンは、第1バルーンおよび第2バルーンを含む、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記カテーテルが前記心房壁の前記アパーチャ内に位置付けられる際、前記第1バルーンは前記心房壁の第1側面上に位置付けられ、前記第2バルーンは前記心房壁の第2側面上に位置付けられ、前記第1バルーンおよび前記第2バルーンが膨張されると、前記カテーテルは前記心房壁の適所に保持される、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記導管の前記近位端は吸引/注入源に連結され、少なくとも1つのバルーンが前記吸引/注入源を使用して膨張される、請求項91に記載の方法。
【請求項97】
前記カテーテルは、前記カテーテルに連結され、前記カテーテルの外部に位置付けられる物理的構造をさらに含み、前記物理的構造は、前記少なくとも1つのバルーンまたはその近傍に位置付けられる、請求項91に記載の方法。
【請求項98】
前記カテーテルが前記心房壁の前記アパーチャ内に位置付けられる際、前記少なくとも1つのバルーンは前記心房壁の一側面上に位置付けられ、前記物理的構造は前記心房壁のもう一方の側面上に位置付けられ、前記少なくとも1つのバルーンが膨張されると、前記カテーテルは前記心房壁の適所に保持される、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記物理的構造は、突出を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項100】
心機能を補助するための装置であって、
近位端、遠位端、および内室を有するピストンと、
前記ピストンに電気的に連結される心臓用プロセッサと、
前記ピストンの前記近位端で前記ピストンの前記内室と連通する気体源と、
近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記カテーテルの前記遠位端またはその近傍にその中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、前記カテーテルの前記近位端は、前記ピストンの前記内室と連通するカテーテルと、を含み、
前記カテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられると、前記装置は、前記心膜腔に気体を注入、および/またはそこから気体を除去するように動作する、装置。
【請求項101】
前記ピストンの作動により、前記心膜腔に気体が注入される、請求項100に記載の装置。
【請求項102】
前記ピストンの作動により、前記心膜腔から気体が除去される、請求項100に記載の装置。
【請求項103】
前記心臓用プロセッサは、前記ピストンに前記ピストンから気体を注入させる、および/またはそこに気体を引き込ませるように動作可能である、請求項100に記載の装置。
【請求項104】
前記気体源は可搬式気体容器を含み、前記気体はヘリウムである、請求項100に記載の装置。
【請求項105】
気体は前記カテーテルの前記管腔を通って前記ピストンから前記心膜腔に進入し、前記カテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャから出る、請求項100に記載の装置。
【請求項106】
気体は前記心膜腔から、前記カテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャを通り、前記カテーテルの前記管腔を通って、前記ピストンに除去される、請求項100に記載の装置。
【請求項107】
前記気体源と前記ピストンとの間に位置付けられる一方向弁をさらに含み、前記一方向弁は、気体を前記気体源から流させるように動作可能である、請求項100に記載の装置。
【請求項108】
前記心臓用プロセッサに動作可能に連結される電源供給装置をさらに含む、請求項100に記載の装置。
【請求項109】
前記電源供給装置は、バッテリを含む、請求項108に記載の装置。
【請求項110】
心機能を補助するための装置であって、
第1電磁板であって、内表面を有する第1電磁板と、
第1非電磁性板であって、内表面を有する第1非電磁性板と、
前記第1電磁板に電気的に連結される心臓用プロセッサと、
近位端、遠位端、および内室を有する空気袋であって、前記第1電磁板および/または前記第1非電磁性板の内表面に取り付けられる空気袋と、
前記空気袋の前記近位端で前記空気袋の前記内室と連通する気体源と、
近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有するカテーテルであって、前記カテーテルは、前記カテーテルの前記遠位端またはその近傍にその中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、前記カテーテルの前記近位端は、前記空気袋の前記遠位端で前記空気袋の前記内室と連通するカテーテルと、を含み、
前記カテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられると、前記装置は、前記心膜腔に気体を注入、および/またはそこから気体を除去するように動作する、装置。
【請求項111】
心機能を補助するための装置であって、
少なくとも2つの電磁板であって、内表面を有する少なくとも2つの電磁板と、
前記少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つに電気的に連結される心臓用プロセッサと、
内室を有する空気袋であって、前記少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つの内表面に取り付けられる空気袋と、
前記空気袋の前記内室と連通する気体源と、
近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有する少なくとも1つのカテーテルであって、前記少なくとも1つのカテーテルは、前記少なくとも1つのカテーテルの前記遠位端またはその近傍で、その中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、前記少なくとも1つのカテーテルの前記遠位端またはその近傍で、前記少なくとも1つのカテーテルに連結される心膜バルーンを含み、前記少なくとも1つのカテーテルの前記近位端は、前記空気袋の前記内室と連通するカテーテルと、を含み、
前記少なくとも1つのカテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられると、前記装置は、前記心膜バルーンに気体を注入、および/またはそこから気体を除去するように動作する、装置。
【請求項112】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を圧縮するように動作可能であり、前記空気袋の前記圧縮により、気体が前記心膜バルーンに注入され、前記心膜バルーンを膨張させる、請求項111に記載の装置。
【請求項113】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を拡張するように動作可能であり、前記空気袋の前記拡張により、気体が前記心膜バルーンから除去され、前記心膜バルーンを収縮させる、請求項111に記載の装置。
【請求項114】
気体は前記少なくとも1つのカテーテルの前記管腔を通って前記空気袋から前記心膜バルーンに進入し、前記少なくとも1つのカテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャから出る、請求項111に記載の装置。
【請求項115】
気体は前記心膜バルーンから、前記少なくとも1つのカテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャを通り、前記少なくとも1つのカテーテルの前記管腔を通って、前記空気袋に除去される、請求項111に記載の装置。
【請求項116】
前記少なくとも1つのカテーテルの前記遠位端が、心腔またはその近傍で前記心膜腔内に位置付けられると、前記心膜バルーンの膨張により、前記心腔を囲む心外膜壁上に圧力が加わり、前記心膜バルーンの収縮により、前記心外膜壁上の圧力が取り除かれ、前記心膜バルーンの前記膨張および収縮は、心機能を促進するように動作可能である、請求項111に記載の装置。
【請求項117】
前記心腔は、左心室である、請求項116に記載の装置。
【請求項118】
前記心腔は、右心室である、請求項118に記載の装置。
【請求項119】
前記少なくとも1つのカテーテルは、第1カテーテルおよび第2カテーテルを含む、請求項111に記載の装置。
【請求項120】
前記少なくとも1つのカテーテルは、3つ以上のカテーテルを含む、請求項111に記載の装置。
【請求項121】
前記第1カテーテルの前記遠位端が第1心腔またはその近傍で前記心膜腔内に位置付けられ、かつ前記第2カテーテルの前記遠位端が第2心腔またはその近傍で前記心膜腔内に位置付けられると、前記第1カテーテルおよび前記第2カテーテルに連結される前記心膜バルーンの膨張により、前記第1心腔および前記第2心腔を囲む心外膜壁上に圧力が加わり、前記第1カテーテルおよび前記第2カテーテルに連結される前記心膜バルーンの収縮により、前記心外膜壁上の圧力が取り除かれ、前記心膜バルーンの前記膨張および収縮は、心機能を促進するように動作可能である、請求項119に記載の装置。
【請求項122】
前記第1カテーテルの前記心膜バルーンの膨張および収縮は、前記第2カテーテルの前記心膜バルーンのそれぞれ膨張および収縮時に生じる、請求項121に記載の装置。
【請求項123】
前記第1および第2カテーテルの前記心膜バルーンの前記膨張および収縮は、対抗脈動を生じさせる、請求項122に記載の装置。
【請求項124】
前記第1カテーテルの前記心膜バルーンの膨張および収縮は、前記第2カテーテルの前記心膜バルーンのそれぞれ膨張および収縮時とは異なる時に生じる、請求項121に記載の装置。
【請求項125】
前記第1心腔は左心室であり、前記第2心腔は右心室である、請求項121に記載の装置。
【請求項126】
前記心膜バルーンは、ポリウレタン製である、請求項111に記載の装置。
【請求項127】
前記心膜バルーンは、30〜40立法センチメートルの膨張容積を有する、請求項111に記載の装置。
【請求項128】
心機能を補助する方法であって、
心機能を補助するための装置を提供するステップであって、
少なくとも2つの電磁板であって、内表面を有する少なくとも2つの電磁板と、
前記少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つに電気的に連結される心臓用プロセッサと、
内室を有する空気袋であって、前記少なくとも2つの電磁板のうちの少なくとも1つの内表面に取り付けられる空気袋と、
前記空気袋の前記内室と連通する気体源と、
近位端および遠位端を有し、中を通る管腔を有する少なくとも1つのカテーテルであって、前記少なくとも1つのカテーテルは、前記少なくとも1つのカテーテルの前記遠位端またはその近傍で、その中を通って位置付けられる少なくとも1つのアパーチャを画定し、前記少なくとも1つのカテーテルの前記遠位端またはその近傍で、前記少なくとも1つのカテーテルに連結される心膜バルーンを含み、前記少なくとも1つのカテーテルの前記近位端は、前記空気袋の前記内室と連通するカテーテルと、を含む、ステップと、
前記少なくとも1つのカテーテルの前記遠位端が心膜腔内に位置付けられた際、前記心膜バルーンに気体を注入および/またはそこから気体を除去して心機能を補助するように前記装置を動作させるステップと、を含む、方法。
【請求項129】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を圧縮するように動作可能であり、前記空気袋の前記圧縮により、気体が前記心膜バルーンに注入され、前記心膜バルーンを膨張させる、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記少なくとも2つの電磁板は、前記空気袋を拡張するように動作可能であり、前記空気袋の前記拡張により、気体が前記心膜バルーンから除去され、前記心膜バルーンを収縮させる、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
気体は前記少なくとも1つのカテーテルの前記管腔を通って前記空気袋から前記心膜バルーンに進入し、前記少なくとも1つのカテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャから出る、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
気体は前記心膜バルーンから、前記少なくとも1つのカテーテル内に画定される前記少なくとも1つのアパーチャを通り、前記少なくとも1つのカテーテルの前記管腔を通って、前記空気袋に除去される、請求項128に記載の方法。
【請求項133】
前記少なくとも1つのカテーテルの前記遠位端が、心腔またはその近傍で前記心膜腔内に位置付けられると、前記心膜バルーンの膨張により、前記心腔を囲む心外膜壁上に圧力が加わり、前記心膜バルーンの収縮により、前記心外膜壁上の圧力が取り除かれ、前記心膜バルーンの前記膨張および収縮は、心機能を促進するように動作可能である、請求項128に記載の方法。
【請求項134】
前記心腔は、左心室である、請求項133に記載の方法。
【請求項135】
前記心腔は、右心室である、請求項133に記載の方法。
【請求項136】
前記少なくとも1つのカテーテルは、第1カテーテルおよび第2カテーテルを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項137】
前記少なくとも1つのカテーテルは、3つ以上のカテーテルを含む、請求項128に記載の方法。
【請求項138】
前記第1カテーテルの前記遠位端が第1心腔またはその近傍で前記心膜腔内に位置付けられ、かつ前記第2カテーテルの前記遠位端が第2心腔またはその近傍で前記心膜腔内に位置付けられると、前記第1カテーテルおよび前記第2カテーテルに連結される前記心膜バルーンの膨張により、前記第1心腔および前記第2心腔を囲む心外膜壁上に圧力が加わり、前記第1カテーテルおよび前記第2カテーテルに連結される前記心膜バルーンの収縮により、前記心外膜壁上の圧力が取り除かれ、前記心膜バルーンの前記膨張および収縮は、心機能を促進するように動作可能である、請求項136に記載の方法。
【請求項139】
前記第1カテーテルの前記心膜バルーンの膨張および収縮は、前記第2カテーテルの前記心膜バルーンのそれぞれ膨張および収縮時に生じる、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記第1および第2カテーテルの前記心膜バルーンの前記膨張および収縮は、対抗脈動を生じさせる、請求項139に記載の方法。

【請求項141】
前記第1カテーテルの前記心膜バルーンの膨張および収縮は、前記第2カテーテルの前記心膜バルーンのそれぞれ膨張および収縮時とは異なる時に生じる、請求項138に記載の方法。
【請求項142】
前記第1心腔は左心室であり、前記第2心腔は右心室である、請求項138に記載の方法。
【請求項143】
標的組織のアパーチャを閉合するための方法であって、
前記標的組織にカテーテルを導入するステップであって、前記カテーテルは、その中を通って画定される管腔を有するステップと、
前記カテーテルの前記管腔内にコイルを挿入するステップと、
前記カテーテルの前記管腔内にシャフトを挿入するステップであって、前記シャフトは、前記コイルを前記標的組織に位置付けるように動作可能であるステップと、
前記標的組織の前記アパーチャ内に前記コイルを位置付けるステップであって、前記コイルの少なくとも一部は前記標的組織の第1側面上に存在し、前記コイルの少なくとも一部は前記標的組織の第2側面上に存在するステップと、を含む、方法。
【請求項144】
前記コイルは記憶機構を含み、前記記憶機構は第1構成および第2構成を含む、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
前記第1構成は非圧縮構成であり、前記第2構成は圧縮構成である、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記コイルの前記記憶機構が第1構成から第2構成に変化するように、前記シャフトを使用して前記コイルを押すステップをさらに含む、請求項144に記載の方法。
【請求項147】
前記コイルが圧縮して前記標的組織の前記アパーチャを閉合するように、前記シャフトを使用して前記コイルを押すステップをさらに含む、請求項143に記載の方法。
【請求項148】
前記コイルが圧縮して前記標的組織の前記アパーチャを閉合するように、前記シャフトを使用して前記コイルをねじるステップをさらに含む、請求項143に記載の方法。
【請求項149】
前記標的組織は、心臓の心房壁である、請求項143に記載の方法。
【請求項150】
前記カテーテルの前記管腔内にコイルを挿入する前記ステップは、前記コイルの挿入の前に前記カテーテルの前記管腔内にガイドワイヤを挿入するステップを含み、前記ガイドワイヤが前記コイルの挿入を促進し得るようにする、請求項143に記載の方法。
【請求項151】
前記コイルを位置付ける前記ステップは、前記標的組織の前記アパーチャの閉合をもたらす、請求項143に記載の方法。
【請求項152】
カテーテルを前記標的組織に導入する前記ステップは、前記カテーテルによる前記標的組織の係合をさらに含む、請求項143に記載の方法。
【請求項153】
標的組織のアパーチャを閉合するためのシステムであって、
中を通って画定される管腔を有する第1カテーテルと、
前記カテーテルの前記管腔内に位置付けられるコイルと、
前記カテーテルの前記管腔内に位置付けられるシャフトであって、前記コイルを前記標的組織に位置付けるように動作可能であるシャフトと、を含み、
前記コイルは、前記標的組織の前記アパーチャ内に位置付けられて前記アパーチャを閉合することができる、システム。
【請求項154】
前記コイルは、放射線不透過性である、請求項153に記載のシステム。
【請求項155】
前記第1カテーテルは送達カテーテルを含み、前記コイルおよび前記シャフトは前記送達カテーテル内に位置付けられる、請求項153に記載のシステム。
【請求項156】
中を通って画定される管腔を有する第2カテーテルをさらに含み、前記第2カテーテルは係合カテーテルを含み、前記送達カテーテルは、前記係合カテーテルの前記管腔内に位置付けられる、請求項155に記載のシステム。
【請求項157】
前記コイルが前記標的組織の前記アパーチャ内に位置付けられた際、前記コイルの少なくとも一部は前記標的組織の第1側面上に存在し、前記コイルの少なくとも一部は前記標的組織の第2側面上に存在する、請求項153に記載のシステム。
【請求項158】
前記コイルは記憶機構を含み、前記記憶機構は第1構成および第2構成を含む、請求項153に記載のシステム。
【請求項159】
前記第1構成は非圧縮構成であり、前記第2構成は圧縮構成である、請求項158に記載のシステム。
【請求項160】
前記シャフトは、前記コイルの前記記憶機構が第1構成から第2構成に変化するように、前記コイルを押すようにさらに動作可能である、請求項158に記載のシステム。
【請求項161】
前記シャフトは、前記コイルが圧縮して前記標的組織の前記アパーチャを閉合するように、前記コイルを押すようにさらに動作可能である、請求項153に記載のシステム。
【請求項162】
前記シャフトは、前記コイルが圧縮して前記標的組織の前記アパーチャを閉合するように、前記コイルをねじるようにさらに動作可能である、請求項153に記載のシステム。
【請求項163】
前記標的組織は、心臓の心房壁である、請求項153に記載のシステム。
【請求項164】
前記カテーテルの前記管腔内に前記コイルを位置付ける前に前記カテーテルの前記管腔内に位置付けられるガイドワイヤをさらに含み、前記ガイドワイヤが前記コイルの位置付けを促進し得るようにする、請求項153に記載のシステム。
【請求項165】
前記係合カテーテルは、前記標的組織を係合するように動作可能である、請求項156に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5A−5C】
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【図5D】
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【図6A−6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31A】
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【図31B】
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【図32A】
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【図32B】
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【公表番号】特表2010−529866(P2010−529866A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−506408(P2010−506408)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/060870
【国際公開番号】WO2008/134267
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509004620)シーヴィ デヴァイシズ,エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】