説明

急硬型高靭性FRC材料ならびにその調合方法

【課題】 最小限の養生にて、所定の効を得ることができ、その結果、早期の高靭性FRCの性能発揮を可能とし、剛性補強やひびわれ抑制、ひびわれの微細化による既存構造体の耐久性の向上に効果のある打込みまたは吹付けによる補修・補強工法に関する技術の確立を可能とする。
【解決手段】 セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、使用するセメントに対して、カルシウムアルミネートと無水せっこうを主成分とする急硬剤を重量比で1/1000〜1/3を加え、材齢1日〜5日にて引張ひずみが前記引張試験において0.2%以上という前記所要値を満たすこととした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木及び建築分野において、補修・補強用材料及び構造材料として用いられる急硬型高靭性FRC材料ならびにその調合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は先に、短繊維を配合し、コンクリート、モルタル等を練り混ぜ、3次元ランダム配向させることにより、引張強度、曲げ強度を向上させる一般的にHPFRCやECCと呼ばれるPVA繊維補強セメント複合材料を下記特許文献に示すように出願した。
【特許文献1】特開平200−7395号公報
【0003】
この特許文献1は、引張試験において。0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靭性FRC材料ならびにその製造方法に関するものである。
【0004】
前記FRC材料は、配合するPVA繊維の強度、寸法および配合量とセメント系マトリックスの材料配合とを適切に組み合わせることにより、硬化体にひびわれが生じても、繊維により架橋された微細なひびわれが順次発生するというメカニズムによって、見かけ上は非常に大きいひずみが生じても、荷重に耐えることができる。
【0005】
このようなひびわれ分散型のPVA繊維補強セメント複合材料を「高靱性FRC材料」と称する。この高靱性FRC材料はその大きな変形性能やひびわれが微細に分散する特徴を活かして、道路床版の補強や構造部材および補修材等に広く利用が見込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高靭性FRC材料の引張性能を発揮させるためには、十分な硬化時間と養生期間が必要であることが分かっており、特に養生不足や硬化が不十分な状態においては、引張性能が発揮できないことが知られている。
【0007】
実際、新設の実橋にて、施工を行った時は2週間の養生期間を必要とした。
【0008】
吹付施工の高靭性FRCでは、養生剤を塗布する等の処置が必要不可欠であり、高靭性FRC材料が性能を発揮するまでの間は外力や衝撃が加わらない様十分な配慮が必要である。
【0009】
それに加えて、高靭性FRC材料は繊維の補強効果を得るためや乾燥収縮を抑えるために種々の混和剤を使用している。これら種々の混和剤の影響により凝結始発時間や終結時間が一般のモルタルに比較して、遅延する傾向が認められた。このことは、硬化するために十分な養生時間が必要であることを意味している。
【0010】
一方、高靱性FRC材料を用いる補修・補強工法は、高靱性FRC材料の変形能力及びひび割れの分散性能を活かした補修・補強工法であり、剛性の向上、ひびわれの抑制、ひびわれの微細化による中性化の抑制による耐久性向上の効果が考えられる。
【0011】
高靭性FRC材料を用いる補修・補強工法には、施工する部位により、主に床版に用いられる打込み工法と壁面等に用いられる吹付工法が考えられる。
【0012】
しかし、現在使用中の構造物の補修・補強等に高靭性FRC材料を適用するには、施工箇所によっては養生期間中その構造体の使用を中断する必要があるため十分な養生時間をとる事ができない場合があり、高靱性FRCの使用が効果的であっても、この事情のため補修・補強材として適用範囲が限られてしまっている。
【0013】
なお、養生期間を短縮するために、単に従来の高靱性FRC材料に多くの急硬材を添加したのでは、材料がすぐに硬化を初めてしまい、施工することが不可能となる。
【0014】
また、高靱性FRCは単純に硬化が速く進行すればいいだけではなく、その引張に対する変形性能が重要であるので、引張性能を発現させる必要がある。
【0015】
本発明の目的は前記不都合を解決し、セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、養生期間を短縮化、すなわち、1日〜5日の短時間で硬化させると同時に所要の引張性能を発揮させることができる急硬型高靭性FRC材料ならびにその調合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は前記目的を達成するため、急硬型高靭性FRC材料としては、セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、使用するセメントに対して、カルシウムアルミネートと無水せっこうを主成分とする急硬材を重量比で1/1000〜1/3を加え、材齢1日〜5日にて引張ひずみが前記引張試験において0.2%以上という前記所要値を満たすこととしたことを要旨とするものである。
【0017】
また、急硬型高靭性FRC材料の調合方法としては、第1に、セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、使用するセメントに対して、カルシウムアルミネートと無水せっこうを主成分とする急硬材を重量比で1/1000〜1/3を添加するに際し、ミキサーに、まず、結合材、骨材、急硬材とともに凝結遅延剤および配合水を投入して練り混ぜること、または、ミキサーに、まず、結合材、骨材および配合水を投入して練り混ぜ、その後、練上り直前や繊維投入前に急硬材を添加とすること、第2に、セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、使用するセメントに対して、カルシウムアルミネートと無水せっこうを主成分とする急硬材を重量比で1/1000〜1/3を添加し急硬材とともに凝結遅延剤を添加することを要旨とするものである。
【0018】
本発明は、単に従来の高靱性FRC材料に急硬材を添加するだけでは、材料がすぐに硬化を初めてしまい、施工することが不可能となるので、施工時間を確保するためには急硬材の種類、急硬材の割合、凝結遅延剤の選択及び製造法を総合的に検討し、工夫を凝らしたものである。
【0019】
また、高靱性FRCはその引張に対する変形性能が重要であるので、単純に硬化が速く進行すればいいだけではなく、引張性能を発現させる必要があり、そのためには、材料の選択、製造方法、施工方法等検討に工夫を凝らしてものである。
【0020】
請求項1記載の本発明によれば、セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、使用するセメントに対して、カルシウムアルミネートと無水せっこうを主成分とする急硬材を重量比で1/1000〜1/3を加えることで、施工条件に応じて1日〜5日の材齢において前記引張ひずみが0.2%以上を示すものを得ることができる。
【0021】
請求項2および請求項3記載の本発明によれば、材料がすぐに硬化を初めてしまい、施工することが不可能となることを防止できるもので、施工時間を確保することができる。施工時においては、ミキサー中にて硬化してしまわず、打込み並びに吹付けのそれぞれの施工法に対応した施工可能時間を確保できる。
【発明の効果】
【0022】
以上述べたように本発明の急硬型高靭性FRC材料ならびにその調合方法は、最小限の養生にて、所定の効を得ることができ、その結果、早期の高靭性FRCの性能発揮を可能とし、剛性補強やひびわれ抑制、ひびわれの微細化による既存構造体の耐久性の向上に効果のある打込みまたは吹付けによる補修・補強工法に関する技術の確立を可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明において、高靭性FRC材料を得るための材料配合は、基本的に特許文献1に記載されたものが適用されるが、これに加えて、各種の混和剤、混和材、骨材成分等を配合する。
【0024】
基本的には、下記〔M1〕の条件を満たすセメント調合材料に下記〔F1〕の条件を満たすPVA短繊維(ビニロン繊維)を1〜3VOL.%(重量換算で13〜39kg/m3)の配合量で配合するが、それに対して、セメント調合材料のポルトランドセメントの重量比1から25%を急硬材等に置き換え、すなわち、急硬材をセメント重量比で1/1000〜1/3の範囲で添加する。
【0025】
〔M1〕〈セメント系調合材料)
水結合材比:25%以上80%以下
骨材成分と結合材の重量比:1.5以下(0を含む)
シリカ分とセメントの重量比:0.5以下(0を含む)
単位水量:250〜450kg/m
高性能AE減水剤量30kg/m以下
[急硬材]
急硬材とセメントの重量比:1/1000〜1/3(置換比率0.1%〜25%)
〔F1〕(ビニロン繊維)
繊維径:50μm以下
繊維長:5〜20mm
繊維引張強度:1500〜2400MPa
【0026】
ここで、〔M1〕のセメント系調合材料のうち、結合材としては普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等を使用することができる。これらポルトランドセメントに加えてシリカ系粉末(人工ポゾラン)を使用することができる。シリカ系粉末としては、シリカフューム、フライアッシュ、各スラグ粉などが適用できる。したがって、前記〔M1〕において、水結合材≧25%、骨材成分と結合材比≦1.5と規定する「結合材」とはシリカ系微粉末を含む場合には「ポルトランドセメント+シリカ系微粉+急硬材」を意味する。引張り伸び性能を重視するなら、水結合材比は高い程よく、圧縮強度を重視するなら水結合材比は低い方が良い。両者のバランスをとるためには、中間値の40%以上が良い。
【0027】
セメントを早期に凝結させる材料には、瞬時に凝結させる吹付用途に使用する急結剤が知られているがそれより凝結開始時間の長い一般に急硬材(剤)と呼ばれる材料で、主成分がカルシウムアルミネートと無水せっこうのものが使用できる。このような急硬材としては、例えば電気化学工業株式会社の商品名「ビフォーム」が高靱性FRC材料の早期の強度発現性に優れており、セメント重量比で1/1000〜1/3の範囲にて配合する。
【0028】
急硬材の量は圧縮強度の早期発現に関係し、量が増えるほど圧縮強度が大きくなる。圧縮強度が大きくなると高靱性FRC材料の特徴である微細なひび割れが入りにくくなるため、急硬材(剤)は1/1000〜1/3が効果的である。条件を満たす急硬材(剤)の添加量は150g/m〜600kg/mである。
【0029】
骨材成分としては、最大粒径0.8mmの細粒体を使用するのが好ましく、特に平均粒径が0.4mm以下のものが良い。この条件を満たす細粒体であれば硅砂や石灰石粉等の任意のものを骨材成分として使用できる。この細粒体と結合材との重量比(S/C)が1.5以下となるようにこれらを配合するのが良い。
【0030】
混和剤としては、高性能AE減水剤、増粘剤、収縮低減剤などが使用できる。高性能AE減水剤としては、ポリカルボン酸系、ポリエーテル系、ナフタレン系、メラミン系、アミノスルホン酸系等のものが使用できる。この中でもポリカルボン酸系またはポリエーテル系のものが好ましく、実績もある。増粘剤は公知の水溶性高分子系のものが使用できる。特に微生物醗酵によるバイオサッカライド系の増粘剤の使用が好ましい。収縮低減剤や膨張剤を添加することで乾燥収縮量を小さく抑えることが可能となる。
【0031】
〔F1〕の条件を満たすPVA短繊維としては、ポリビニールアルコール樹脂を原料として製造されたコンクリートと同等以上の弾性係数を有する短繊維であることが好ましい。PVA短繊維の配合量が1VOL%未満では、ひびわれ発生後の耐力が十分ではない。他方PVA短繊維の配合量が3.0VOL%を超えるような多量となると、施工上必要な流動性を満たすことが困難となる。単位重量でのPVA短繊維の配合量としては13kg〜39kgの範囲とすればよい。
【0032】
〔M1〕の条件を満たすセメント系調合材料と〔F1〕の条件を満たすPVA短繊維とを混練を行い、急硬型の高靱性FRCを製造する。
【0033】
例えば、下記(1)〜(4)および(5)の手順を経て練り混ぜを行った場合に、材齢1日から5日間にて、目標とする引張ひずみ0.2%以上のひびわれ分散型の高靱性FRC材料が得られることが分かった。
【0034】
(1)結合材、急硬材、骨材および配合水を練り混ぜる。
ただし施工時間を調整するために(2)と(3)の間や(5)のタイミングで急硬材を添加する。施工条件に応じてさらに凝結遅延剤を添加することで施工時間を確保する。
(2)高性能AE減水剤を添加して練り混ぜる。
(3)増粘剤を添加して練り混ぜる。
(4)PVA短繊維を添加して練り混ぜる。
さらに、必要に応じて
(5)AE高性能減水剤および急硬材を添加する。
【0035】
すなわち、ミキサーにまず(1)結合材、急硬材、骨材および配合水を投入して練り混ぜる。このとき急硬材は注水後に急速に硬化が進行するため、必要に応じて凝結遅延剤を使用し施工可能時間を確保したり、急硬材の添加タイミングを練上り直前や繊維投入前に変更することにより施工可能時間を確保する。
【0036】
手順(2)のAE減水剤は、モルタルを所定の状態にするために添加する。
【0037】
増粘剤およびPVA短繊維を添加して混練すれば、繊維が均一に分散した混練物を得ることができる。しかし、増粘剤を添加して混練した後、繊維を添加して混練を行うことがより、望ましい。これは、増粘剤の粘性が繊維の分散に寄与しているためであり、順序が逆の場合には、繊維の分散性が前者より劣るようになる。まず手順(3)により増粘剤を添加して練り混ぜ、ついで、手順(4)によりPVA繊維を練り混ぜするのがよい。手順(5)は、施工条件に応じて決定される。施工時間をできるだけ長く取るために急硬性の高い材料の急硬材の場合には、繊維を分散させた後添加し、ただちに打込みや吹付け等の施工を行う。手順(5)において投入するAE減水剤は、所定のワーカビリティを得るために添加するもので、必要条件に応じて添加する
【0038】
凝結遅延剤は施工時間を確保するために添加する。使用量はセメント+急硬材量に対して重量比0〜5%の範囲で添加する。凝結遅延剤は使用する急硬材により所定の凝結遅延剤を使用する。炭酸カリウム、酒石酸、クエン酸を主成分としたものが使用できる。例えば電気化学工業株式会社製の「D-300」が使用できる。凝結遅延剤は急硬材と同時に添加することを基本とする。
【0039】
以上の手順により、急硬材の影響により、早期に引張ひずみ性能も0.2%以上を発揮する急硬型高靱性FRC材料の製造が施工時間を確保しながら可能となる。
【0040】
施工を行なうには、打込施工と吹付施工のいずれも可能である。施工方法により、確保すべき施工時間が異なる。
【0041】
本発明の急硬型高靭性FRCは練上がり後ただちに打込み施工を行う。
【0042】
吹付施工は主に柱面や壁面等の垂直面、梁底やスラブ底のような見上げ面に適用する。急硬型高靱性FRC材料が練上り後ただちに吹付施工を行う。
【0043】
1日から5日で引張性能を発現する急硬型高靱性FRCを使用した以上のような施工によって、既存構造物に対してわずかな養生期間にて、高靱性FRC材料の優れた性質を活かした補修・補強工法が可能となる。
【0044】
(試験結果例)
急硬型高靱性FRCの配合は打ち込み用にセメント量の1/3から1/999の量の急硬材を添加したもので下記表2にその配合を示す。製造法の(1)から(4)の手順にて製造したものである。
【0045】
【表1】

【0046】
図1に示したものは、表1における急硬材を添加した急硬型高靱性FRCの材齢1日の引張性能と従来型の高靱性複合材料の引張り性能を比較したものである。この表2は従来型と急硬型のA配合、B配合の引張り性能をの比較を表したものである
【0047】
【表2】

【0048】
図1は、図2に示すようなダンベル型の試験片を作製しそれを直接に引張りその時の試験片のひずみと断面にかかる応力を示したものである。
【0049】
図1のグラフの描く図形とX軸とで囲まれた面積が大きいほど変形性能や靱性が高い。引張り性能は降伏点より大きなひずみとなる領域で、引張降伏強度と同じ値に達した点を終局ひずみとし、その大きさが大きいほど引張変形性能に優れていると判断し、その目標値は0.2%以上である。終局ひずみは材齢1日でA配合8.2%およびB配合7.6%であり、非常に優れた値を示した。
【0050】
A配合の凝結遅延剤の量を0.2%(対単位セメント量)増量した急硬型高靱性FRC材料(以下C配合とする)とA配合の高靱性FRC材料の練上り後の経時とその性状をまとめたものが下記表3である。
【0051】
【表3】

【0052】
この表3に示すように施工時間を10分延長することが可能となり、凝結遅延剤での施工時間の確保が可能である。
【0053】
図3は、従来型の高靱性FRCとA配合の急硬型高靱性FRCとの凝結始発および終結時間を示した例である。
【0054】
この図3から知見できるように、従来の高靱性FRCは添加混和剤が多いため、硬化が遅く1日では脱型ができない場合が多い。従来型の高靱性FRCでは性能を発現するために十分な養生時間が必要である。
【0055】
図4、図5、図6は、更に急硬材の添加量を減少させて急硬材の添加量を重量比でセメントに対して1/999にしたとき(D配合)の急硬型の高靱性FRCと従来型の高靱性FRCとの性状を比較したものである。
【0056】
図4は、フレッシュ時の性状としてスランプフローの値と経時変化を示したものである。図5は、D配合の硬化後の性状として材齢1、2、3日での圧縮試験結果と引張性能の一例を示したものである。材齢1日で引張り降伏強度において大きな差異が認められないが、引張りひずみに対して効果が認められた。また、圧縮強度に対しても効果が認められた。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】急硬型高靱性FRCの材齢1日の引張性能と従来型の高靱性複合材料の引張り性能を比較したグラフである。
【図2】引張試験方法を示す説明図である。
【図3】従来型の高靱性FRCとA配合の急硬型高靱性FRCとの凝結始発および終結時間を示したグラフである。表1はA配合、B配合の練上りからの経過時間とその時の材料の性状を表したものである
【図4】急硬材の添加量を減少させて急硬材の添加量を重量比でセメントに対して1/999にしたとき(D配合)の急硬型の高靱性FRCと従来型の高靱性FRCとの性状を比較したもので、フレッシュ時の性状としてスランプフローの値と経時変化を示したグラフである。
【図5】急硬材の添加量を減少させて急硬材の添加量を重量比でセメントに対して1/999にしたとき(D配合)の急硬型の高靱性FRCと従来型の高靱性FRCとの性状を比較したもので、材齢1、2、3日での圧縮試験結果を示すグラフである。
【図6】急硬材の添加量を減少させて急硬材の添加量を重量比でセメントに対して1/999にしたとき(D配合)の急硬型の高靱性FRCと従来型の高靱性FRCとの性状を比較したもので、材齢1日での引張性能を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、使用するセメントに対して、カルシウムアルミネートと無水せっこうを主成分とする急硬材を重量比で1/1000〜1/3を加え、材齢1日〜5日にて引張ひずみが前記引張試験において0.2%以上という前記所要値を満たすこととしたことを特徴とする急硬型高靭性FRC材料。
【請求項2】
セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、使用するセメントに対して、カルシウムアルミネートと無水せっこうを主成分とする急硬材を重量比で1/1000〜1/3を添加するに際し、ミキサーに、まず、結合材、骨材、急硬材とともに凝結遅延剤および配合水を投入して練り混ぜること、または、ミキサーに、まず、結合材、骨材および配合水を投入して練り混ぜ、その後、練上り直前や繊維投入前に急硬材を添加とすることを特徴とする急硬型高靭性FRC材料の製造方法。
【請求項3】
セメント系調合材料にPVAの短繊維を配合し、引張試験において0.2%以上の引張ひずみを示すひびわれ分散型の高靱性FRC材料において、使用するセメントに対して、カルシウムアルミネートと無水せっこうを主成分とする急硬材を重量比で1/1000〜1/3を添加し急硬材とともに凝結遅延剤を添加することを特徴とする急硬型高靭性FRC材料の調合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−63103(P2007−63103A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254871(P2005−254871)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】