説明

悪臭減少剤としてアリル系アルコール香料の使用

【課題】汗、煙、キッチン臭およびそれらの混合物から選択される悪臭を減少させるための、アリル系アルコール香料前駆体、好ましくはエステルの用途が提供される。
【解決手段】煙、キッチン臭およびそれらの混合物から選択される悪臭を減少させるための、ゲラニオール、ネロールおよびそれらの混合物から選択されるアリル系アルコール香料の用途。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は悪臭減少剤としてアリル系アルコール香料に関する。更に詳しくは、本発明は煙および/またはキッチン臭から生じる悪臭を減少させるための上記成分、および/または汗、煙および/またはキッチン臭から生じる悪臭を減少させるためのそれらの前駆体の用途に関する。
【発明の背景】
【0002】
クリーニングおよび洗濯製品の消費者受け入れは、これら製品で達成される性能だけでなく、それに伴う美的面でも決定される。したがって、香料系はこのような商品で成功する処方上重要な側面である。それらはクリーニングされた表面または洗濯された布帛に新鮮で清潔な特徴を付与すると言われている。
【0003】
WO95/04809では、エステル化合物の加水分解による芳香性アルコール、アルデヒドまたはケトンの遅い放出を行わせる方法について開示している。上記方法は、洗濯された布帛に清潔で新鮮な特徴を付与すると言われている。
【0004】
EP0,404,470では、発汗から生じる悪臭を減少させる香料芳香について開示している。
【0005】
係属出願US08/277,558では、洗濯/クリーニング組成物で香料自体の使用によるよりも長期間にわたり香料の放出を行わせるために、アリル系アルコール香料のノニオン性またはアニオン性エステルを含有した、洗濯およびクリーニング組成物について開示している。
【0006】
本発明者は、商品で成功する処方上もう1つの重要な側面が、特に汗、煙および/またはキッチン臭のような強い悪臭への暴露後に、クリーニングされた表面および/または洗濯された布帛に残る悪臭により判断されることを発見した。これらの悪臭は、乾燥されたクリーニング表面および/または洗濯布帛上で最も持続する臭気の中に入る。
【0007】
本発明者は、アルコールがゲラニオール、ネロールおよびそれらの混合物から選択されるアリル系アルコール香料前駆体の使用が問題を解決することを発見した。
【0008】
したがって、本発明の目的は、汗、煙および/またはキッチン臭から生じる悪臭を減少させるための、上記アリル系アルコール香料前駆体の用途を提供することである。
【0009】
本発明のもう1つの目的は、煙、キッチン臭およびそれらの混合物から選択される悪臭を減少させるための、ゲラニオール、ネロールおよびそれらの混合物から選択されるアリル系アルコール香料の用途を提供することである。
【発明の要旨】
【0010】
本発明は、アリル系アルコール香料がゲラニオール、ネロールおよびそれらの混合物から選択される、煙、キッチン臭およびそれらの混合物から選択される悪臭を減少させるための、アリル系アルコール香料前駆体の用途に関する。上記前駆体は、好ましくは上記アリル系アルコール香料のノニオン性またはアニオン性エステルである。
【0011】
本発明は、煙、キッチン臭およびそれらの混合物から選択される悪臭を減少させるための、ゲラニオール、ネロールおよびそれらの混合物から選択されるアリル系アルコール香料の用途にも関する。
【0012】
本発明のもう1つの好ましい態様において、上記前駆体/香料はクリーニングまたは洗濯組成物に配合される。
【発明の具体的な説明】
【0013】
本発明は、汗、煙、キッチン臭およびそれらの混合物から選択される悪臭、好ましくはタバコ煙および火煙のような煙を、このような悪臭に後で暴されたクリーニング乾燥表面および/または洗濯乾燥布帛上で減少させるための、アリル系アルコール香料がゲラニオール、ネロールおよびそれらの混合物から選択される、アリル系アルコール香料前駆体の用途に関する。
【0014】
本発明は、煙、キッチン臭およびそれらの混合物から選択される悪臭を減少させるための、アリル系アルコール香料の用途にも関する。
【0015】
アリル系アルコール香料
本発明の目的に必須の成分は、ゲラニオール、ネロールおよびそれらの混合物から選択されるアリル系アルコール香料である。
ゲラニオールおよびネロールは、下記式を有する分子:
HO‐CH‐CH=C(CH)‐CH‐CH‐CH=C(CH
の(2,3位二重結合で)トランス/シス構造異性体である。
本発明のもう1つの必須成分は、上記アリル系アルコール香料の前駆体である。
その前駆体は、好ましくは上記アリル系アルコール香料のノニオン性またはアニオン性エステルである。
【0016】
アリル系アルコール香料のノニオン性またはアニオン性エステル
本発明で有用なアリル系アルコール香料のノニオン性またはアニオン性エステルは、下記式のエステルである:
【化1】

上記式中nは1以上の整数である;および
Rはノニオン性またはアニオン性置換または非置換C‐C30直鎖、分岐鎖または環式アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリールまたはアリール基から選択され、香料エステルを作るために用いられるカルボン酸のカルボキシレート官能基に結合されている基を表す。
【0017】
アリル系アルコールエステルの製品および加水分解速度は、Rの選択によりコントロールできる。更に詳しくは、理論に制限されないが、Rが電子供与基(例えばアルキル)であるとき、加水分解産物は転位したアリル系アルコールとなりがちで、電子吸引基(例えばフェニル)では加水分解で転位していない香料アルコールを放出しがちであると考えられる。分子当たり2以上の酸部分を有する酸のエステル(例えば、ジエステル、トリエステル)も、アリル系香料アルコールの有用なエステル内に含まれる。
【0018】
好ましくは、Rはノニオン性またはアニオン性置換または非置換の、分岐鎖、直鎖または環式C‐C20アルキレン、C‐C20アルキル、C‐C20アルキニル、アリールまたはアルキルアリール基から選択される。
【0019】
上記のように、R部分は非置換でも、あるいは1以上のノニオン性および/またはアニオン性置換基で置換されていてもよい。このような置換基には、例えばハロゲン、ニトロ、カルボキシ、カルボニル、サルフェート、スルホネート、ヒドロキシ、アルコキシおよびそれらの混合物がある。
【0020】
本発明で使用上好ましいエステルは、本明細書で“ジゲラニルサクシネート”と称される:
【化2】

本明細書で“ゲラニルフェニルアセテート”と称される:
【化3】

本明細書で“ゲラニルラウレート”と称される:
【化4】

と、混合ゲラニルネリルサクシネートエステルを含めたこれらのゲラニルエステルに相当するネリルエステルと、特に対応ゲラニルおよびネリルエステルの混合物である。
【0021】
本発明で使用上最も好ましいエステルは、ジゲラニルサクシネート、ジネリルサクシネート、ゲラニルネリルサクシネートおよびそれらの混合物から選択される。
【0022】
布帛を洗濯するために、また、クリーニングおよび/または消毒の必要な食器および他の表面のような硬質表面をクリーニングするために典型的に用いられる洗濯またはクリーニング製品における、上記エステルの本発明による用途も、本発明で提供される。
【0023】
前記されたようなアリル系アルコール香料のエステルを、結果的に、布帛に接触させることになる洗濯組成物が好ましい。これらは、布帛クリーニング効果を発揮する洗剤組成物だけでなく、柔軟および/または静電気防止効果を発揮するすすぎ液添加布帛柔軟剤組成物および乾燥機添加組成物(例えば、シート)のような洗濯組成物も含めて理解されるべきである。
【0024】
アリル系香料エステルは、典型的には組成物の約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約5%、更に好ましくは約0.1〜約2%である。
【0025】
このような洗濯およびクリーニング組成物を処方するために有用な任意成分には、以下の1種以上がある。
【0026】
布帛柔軟剤
本発明で使用に適した布帛柔軟剤は、カチオン性、ノニオン性布帛柔軟剤およびそれらの混合物から選択される。
【0027】
本組成物で用いられる好ましい布帛柔軟剤は、下記式(I)または(II)を有する四級アンモニウム化合物またはそのアミン前駆体である:
【化5】

Qは‐O‐C(O)‐、‐C(O)‐O‐、‐O‐C(O)‐O‐、‐NH‐C(O)‐、‐C(O)‐NH‐から選択される;
は(CH‐Q‐TまたはTである;
は(CH‐Q‐TまたはT、またはRである;
はC‐Cアルキル、C‐CヒドロキシアルキルまたはHである;
はH、C‐CアルキルまたはC‐Cヒドロキシアルキルである;
、T、T、T、Tは(同一または異なる)C11‐C22アルキル
またはアルケニルである;
nおよびmは1〜4の整数である;および
はクロリド、メチル硫酸などのような柔軟剤適合性アニオンである。
【0028】
アルキルまたはアルケニル鎖T、T、T、T、Tは、少くとも11の炭素原子、好ましくは少くとも16の炭素原子を有していなければならない。その鎖は直鎖でもまたは分岐鎖でもよい。
【0029】
獣脂が長鎖アルキルおよびアルケニル物質の便利で安価な供給源である。T、T、T、T、Tが獣脂に典型的な長鎖物質の混合物を表す化合物が、特に好ましい。
【0030】
本発明の水性布帛柔軟化組成物で使用に適した四級アンモニウム化合物の具体例には:
1)N,N‐ジ(タローイルオキシエチル)‐N,N‐ジメチルアンモニウムクロリド;
2)N,N‐ジ(タローイルオキシエチル)‐N‐メチル,N‐(2‐ヒドロキシエチル)アンモニウムクロリド;
3)N,N‐ジ(2‐タローイルオキシ‐2‐オキソエチル)‐N,N‐ジメチルアンモニウムクロリド;
4)N,N‐ジ(2‐タローイルオキシエチルカルボニルオキシエチル)‐N,N‐ジメチルアンモニウムクロリド;
5)N‐(2‐タローイルオキシ‐2‐エチル)‐N‐(2‐タローイルオキシ‐2‐オキソエチル)‐N,N‐ジメチルアンモニウムクロリド;
6)N,N,N‐トリ(タローイルオキシエチル)‐N‐メチルアンモニウムクロリド;
7)N‐(2‐タローイルオキシ‐2‐オキソエチル)‐N‐(タローイル)‐N,N‐ジメチルアンモニウムクロリド;
8)1,2‐ジタローイルオキシ‐3‐トリメチルアンモニオプロパンクロリド;
および上記物質の混合物がある。
【0031】
これらの中では、化合物1〜7が式(I)の化合物の例であり、化合物8が式(II)の化合物である。
【0032】
特に好ましいのは、獣脂鎖が少くとも部分的に不飽和であるN,N‐ジ(タローイルオキシエチル)‐N,N‐ジメチルアンモニウムクロリドである。
【0033】
獣脂鎖の不飽和レベルは対応脂肪酸のヨウ素価(IV)により測定でき、本発明の場合では好ましくは5〜100の範囲内にあるべきであり、25以下または以上のIVを有する2カテゴリーの化合物に分けられる。
【0034】
実際に、5〜25、好ましくは15〜20のIVを有する獣脂脂肪酸から作られた式(I)の化合物では、約30/70以上、好ましくは約50/50以上、更に好ましくは約70/30以上のシス/トランス異性体重量比が最適濃縮性(concentrability)を示すとわかった。
【0035】
25以上のIVを有する獣脂脂肪酸から作られた式(I)の化合物の場合、シス対トランス異性体の比率は、非常に高い濃度が必要とされないかぎり、さほど重要でないことがわかった。
【0036】
式(I)および(II)の適切な四級アンモニウムの他の例は、例えば、
‐上記化合物で“タロー”を、例えばココ、パーム、ラウリル、オレイル、リシノレイル、ステアリル、パルミチルなどに代える(上記脂肪アシル鎖は完全飽和であるか、または好ましくは少くとも部分的に不飽和である);
‐上記化合物で“メチル”をエチル、エトキシ、プロピル、プロポキシ、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはt‐ブチルに代える;
‐上記化合物で“クロリド”をブロミド、メチル硫酸、ギ酸、硫酸、硝酸などに代える;
ことにより得られる。
【0037】
実際には、アニオンは正荷電四級アンモニウム化合物の対イオンとして単に存在しているだけである。対イオンの性質は本発明の実務上全く重要でない。本発明の範囲はいかなる特定のアニオンにも限定されないと考えられる。
【0038】
“そのアミン前駆体”とは上記四級アンモニウム化合物に相当する二級または三級アミンを意味し、上記アミンは請求項に記載されたpH値のために本組成物中で実質的にプロトン化されている。
【0039】
四級アンモニウムまたはアミン前駆体化合物は、本発明において、5〜15%の好ましい活性剤レベルで希釈されるか、または好ましくは15〜50%、最も好ましくは15〜35%の活性剤レベルで濃縮される組成物調製に応じて、本組成物の1〜80%のレベルで存在する。
【0040】
先の布帛柔軟剤の場合、本組成物のpHは必須パラメーターである。実際に、特に長期貯蔵条件下で、それは四級アンモニウムまたはアミン前駆体化合物の安定性に影響を与える。
【0041】
本関係で規定されるようなpHは、20℃においてニート(neat)組成物で測定される。これら組成物の最適な加水分解安定性のためには、上記条件下で測定されるニートpHは2.0〜4.5、好ましくは2.0〜3.5の範囲内でなければならない。これら組成物のpHは、ブレンステッド酸の添加により調節できる。 適切な酸の例には、無機鉱酸、カルボン酸、特に低分子量(C‐C)カルボン酸と、アルキルスルホン酸がある。適切な無機酸には、HCl、HSO、HNOおよびHPOがある。適切な有機酸には、ギ酸、酢酸、クエン酸、メチルスルホン酸およびエチルスルホン酸がある。好ましい酸は、クエン酸、塩酸、リン酸、ギ酸、メチルスルホン酸および安息香酸である。
【0042】
好ましくはカチオン性柔軟剤と組み合わされたノニオン性布帛柔軟剤物質も、有用な柔軟剤である。
【0043】
典型的には、このようなノニオン性布帛柔軟剤物質は2〜9、更に典型的には3〜7のHLBを有している。このようなノニオン性布帛柔軟剤物質は、それだけで、または後で詳細に記載される単長鎖アルキルカチオン性界面活性剤のような他の物質と組み合わされたときに、容易に分散されやすい。分散性は、もっと多い単長鎖アルキルカチオン性界面活性剤、後で記載されるような他の物質との混合物の使用、もっと温かい水の使用、および/またはもっと多い撹拌により改善することができる。一般的に、選択される物質は、比較的結晶性で、高い融点(例えば>40℃)であり、かつ比較的非水溶性であるべきである。
【0044】
本組成物中における任意ノニオン性柔軟剤のレベルは、典型的には約0.1〜約10%、好ましくは約1〜約5%である。
【0045】
好ましいノニオン性柔軟剤は多価アルコールまたはその無水物の脂肪酸部分エステルであり、アルコールまたは無水物は2〜18、好ましくは2〜8の炭素原子を有して、各脂肪酸部分は12〜30、好ましくは16〜20の炭素原子を有している。典型的には、このような柔軟剤は分子当たり1〜3、好ましくは2つの脂肪酸基を有している。
【0046】
エステルの多価アルコール部分には、エチレングリコール、グリセロール、ポリ(例えば、ジ、トリ、テトラ、ペンタおよび/またはヘキサ)グリセロール、キシリトール、スクロース、エリトリトール、ペンタエリトリトール、ソルビトールまたはソルビタンがある。ソルビタンエステルおよびポリグリセロールモノステアレートが特に好ましい。
【0047】
エステルの脂肪酸部分は通常12〜30、好ましくは16〜20の炭素原子を有する脂肪酸に由来しており、上記脂肪酸の典型例はラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびベヘン酸である。
【0048】
本発明で使用上高度に好ましい任意のノニオン性柔軟剤は、ソルビトールのエステル化脱水産物であるソルビタンエステルと、グリセロールエステルである。
【0049】
市販ソルビタンモノステアレートが適切な物質である。約10:1〜約1:10のステアレート/パルミテート重量比を有するソルビタンステアレートおよびソルビタンパルミテートの混合物と、1,5‐ソルビタンエステルも有用である。
【0050】
グリセロールおよびポリグリセロールエステル、特にグリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールおよびポリグリセロールモノおよび/またはジエステル、好ましくはモノ‐が本発明では好ましい(例えば、商品名Radiasurf 7248のポリグリセロールモノステアレート)。
【0051】
有用なグリセロールおよびポリグリセロールエステルには、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸および/またはベヘン酸のモノエステルと、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸および/またはミリスチン酸のジエステルがある。典型的モノエステルはジおよびトリエステルなども一部含有していると理解されている。
【0052】
“グリセロールエステル”には、ポリグリセロール、例えばジグリセロール〜オクタグリセロールエステルも含む。ポリグリセロールポリオールは、グリセリンまたはエピクロロヒドリンを一緒に縮合させて、グリセロール部分をエーテル結合で結合させることにより形成される。ポリグリセロールポリオールのモノおよび/またはジエステルが好ましく、脂肪アシル基は典型的にはソルビタンおよびグリセロールエステルについて前記されたものである。
【0053】
本発明で有用な追加布帛柔軟剤は、US4,661,269、US4,439,335、US3,861,870、4,308,151、3,886,075、4,233,164、4,401,578、3,974,076、4,237,016およびEP472,178に記載されている。
【0054】
完全処方布帛柔軟化組成物は、好ましくは、前記成分に加えて、下記成分の1種以上を含有している。
【0055】
濃縮組成物は、他の成分に応じて、更に一層高濃度にするために、および/または更に高い安定性標準を満たすために、有機および/または無機濃縮助剤を必要とすることがある。界面活性剤濃縮助剤は、典型的には単長鎖アルキルカチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アミンオキシド、脂肪酸またはそれらの混合物からなる群より選択され、典型的には組成物の0〜約15%のレベルで用いられる。
【0056】
界面活性剤濃縮助剤のように作用するかまたはその効果を増加させる無機粘度調節剤には水溶性のイオン化しうる塩があり、これも本組成物中に場合により配合することができる。様々なイオン性塩が使用できる。適切な塩の例は、元素の周期表のIAおよびIIA族金属のハライド、例えば塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、臭化カリウムおよび塩化リチウムである。イオン性塩は、本組成物を作ってから望ましい粘度を得るために、諸成分を混合するプロセスに際して特に有用である。用いられるイオン性塩の量は組成物中に用いられる活性成分の量に依存して、業者の希望に従い調節できる。組成物粘度をコントロールするために用いられる塩の典型的レベルは、組成物の重量で約20〜約20,000部/百万(ppm)、好ましくは約20〜約11,000ppmである。
【0057】
アルキレンポリアンモニウム塩は、上記水溶性のイオン化しうる塩に加えてまたはその代わりに、粘度コントロールを行う上で組成物中に配合させることができる。加えて、これらの物質はスカベンジャーとして作用して、主洗浄液からすすぎ液中と布帛上に持ち越されたアニオン性界面活性剤とイオン対を形成でき、柔軟化性能を改善させることもある。これらの物質は、無機電解質と比較して、広範囲の温度にわたり、特に低温で粘度を安定化させる。
【0058】
アルキレンポリアンモニウム塩の具体例には、l‐リジン一塩酸塩および1,5‐ジアンモニウム 2‐メチルペンタン二塩酸塩がある。
【0059】
もう1つの任意の、但し好ましい成分は、液体キャリアである。本組成物で用いられる液体キャリアは、その低コスト、比較的入手し易さ、安全性および環境適合性のために、好ましくは少くとも主として水である。液体キャリア中における水のレベルは、好ましくはキャリアの少くとも約50重量%、最も好ましくは少くとも約60%である。水と低分子量、例えば<約200の有機溶媒、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノールまたはブタノールのような低級アルコールとの混合物が、液体キャリアとして有用である。低分子量アルコールには、一価、二価(グリコールなど)、三価(グリセロールなど)およびそれ以上の多価(ポリオール)アルコールがある。
【0060】
更に他の任意成分は、汚れ放出ポリマー、殺菌剤、着色剤、香料、保存剤、蛍光増白剤、イオン化防止剤、消泡剤などである。
【0061】
洗剤組成物のような完全処方クリーニングまたは洗濯組成物は、好ましくは、前記成分に加えて、ビルダー、漂白剤(ブリーチアクチベーターを含有する、または含有していない)、酵素、酵素安定剤、洗浄性界面活性剤、キレート化剤およびそれらの混合物から選択される1種以上の成分を含有している。このような成分の例示は、WO94/03572およびWO94/03553でみられる。他の好ましい任意成分には、ポリマー汚れ放出剤、クリーニングプロセス中にある布帛から他への染料の移動を妨げるために有効な物質(即ち、染料移動阻止剤)、ポリマー分散剤、起泡抑制剤、蛍光増白剤または他の増白もしくはホワイトニング剤、キレート化剤、布帛柔軟化クレー、静電気防止剤、他の活性成分、キャリア、ヒドロトロープ、プロセッシング助剤、染料または顔料、液体処方用の溶媒、固形組成物用の固体フィラーなどがある。
【0062】
液体洗剤組成物はキャリアとして水および他の溶媒を含有することができる。メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールで例示される低分子量一級または二級アルコールが適している。一価アルコールが界面活性剤を溶解させる上で好ましいが、2〜約6の炭素原子と2〜約6のヒドロキシ基を有するようなポリオール(例えば、1,3‐プロパンジオール、エチレングリコール、グリセリンおよび1,2‐プロパンジオール)も使用できる。組成物はこのようなキャリア5〜90%、典型的には10〜50%を含有する。
【0063】
顆粒洗剤は、例えばベース顆粒をスプレードライするか(最終製品密度約520g/L)、または凝集させる(最終製品密度約600g/L以上)ことにより製造できる。次いで残りの乾燥成分は、例えばロータリーミキシングドラムでベース顆粒と顆粒または粉末形態で混合され、液体成分(例えば、ノニオン性界面活性剤および香料)はその上にスプレーされる。
【0064】
本発明の洗剤組成物は、水性クリーニング操作で使用中に、洗浄水が約6.5〜約11、好ましくは約7.5〜約10.5のpHを有するように処方されることが好ましい。洗濯製品は、典型的にはpH9〜11である。推奨使用レベルにpHをコントロールする技術には緩衝剤、アルカリ、酸などの使用があり、当業者に周知である。
【0065】
本発明は下記非制限例で説明されており、すべてのパーセンテージは他で指摘されないかぎり重量ベースである。
【0066】

洗浄操作
2組の布帛(即ち、ニットのコットンTシャツ)を冷水中において液体布帛柔軟化組成物で処理した。
【0067】
第一組は布帛柔軟化組成物Aで処理し、第二組は布帛柔軟化組成物Bで処理した。組成物Aを用いる洗浄プロセスは本発明の態様であり、組成物Bを用いる洗浄プロセスは先行技術である。
【0068】
処方は以下に示されている:
【表1】

(1)ジ(ソフトタローイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド
(2)Dow-Corning 販売のDC‐110Aシリコーン
(3)Brilliant Polar Blue
(4)1,4‐ブタン二酸、3,7‐ジメチル‐2,6‐オクタジエニルエステル
【0069】
煙への悪臭暴露操作
その後、乾燥された洗濯布帛をタバコ煙で既に充満された200Lドラム中に1分間吊した。
タバコ煙によるドラムの充満は、閉じたドラムに煙るタバコを2分間入れることにより得る。その後、タバコを取り出して、2組の布帛と代える。
タバコ煙への布帛の暴露後に、各組をドラムから取り出し、屋外に45秒間吊し、アルミホイルに24時間包んで、その後感知分析に付す。
【0070】
感知分析
煙暴露後、布帛上に残る悪臭の知覚強度は、感知評価を用いるために訓練されたエキスパートジャッジ6人により調べた。この場合に、エキスパートとは、少くとも6月間のトレーニングを受けて、嗅覚感度が証明された人として規定される。調香師の強度スケールを用いて得られたデータは、残留悪臭の知覚強度について一致した値を得るために平均化させた。
【0071】
調香師の強度スケールは以下のとおりである:
0‐無臭
25‐やや臭う
50‐中度の臭気
75‐非常に強い臭気、および
100‐極端に強い臭気
結果
【表2】

【0072】
液体布帛柔軟化組成物A中でジゲラニルサクシネート(1,4‐ブタン二酸、3,7‐ジメチル‐2,6‐オクタジエニルエステル)の加水分解により放出されるゲラニオールの使用は、乾燥クリーニング布帛上で煙から生じた悪臭の減少を高めることがわかる。
【0073】
同一の結果が、布帛が下記試験に従いキッチン臭に暴されたときに得られた:上記洗浄操作に付された後、乾燥洗濯布帛(即ち、ニットのコットンTシャツ)を下記操作に従いキッチン臭暴露に付した:
4組の布帛を調理が行われたパーソナルキッチンで4時間にわたり着用した。その後、各組を屋外に45秒間吊し、アルミホイルに24時間包んで、その後上記感知分析に付す。
【0074】
同一の結果が、コットン衣類が汗に暴されたときに得られた。上記洗浄操作に付された後、乾燥洗濯衣類を2等分にカットし、製品Aで処理された半分を製品Bで処理された一方の半分と接ぎ合わせた。
【0075】
次いでこの“接ぎ合わせ品”を8時間(ストレスのかからない)通常の活動または1〜2時間(ストレスのかかる)スポーツ活動において20人に着用させた。
その後上記接ぎ合わせ品を上記感知分析に従い両半分について評価した。同様の結果が、製品AおよびBで各々処理された、2等分にカットされたベッドシーツが5夜暴露ベースでユーザー20人により用いられたときに得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙、キッチン臭およびそれらの混合物から選択される悪臭を減少させるための、ゲラニオール、ネロールおよびそれらの混合物から選択されるアリル系アルコール香料の用法。

【公開番号】特開2009−149883(P2009−149883A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314162(P2008−314162)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【分割の表示】特願平9−510382の分割
【原出願日】平成8年8月20日(1996.8.20)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】