情報コード読取装置及び情報コード読取り方法
【課題】情報コードの読取り及びデコードに要する時間を低コストな構成で短縮することができる情報コード読取装置を提供する。
【解決手段】CPUは、特徴検出用ゲートアレイによって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し(ステップB4)、判別した種類に応じてCCDセンサによる情報コードデータの取り込み時間、即ち読取り状態を変化させる(ステップB11)。
【解決手段】CPUは、特徴検出用ゲートアレイによって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し(ステップB4)、判別した種類に応じてCCDセンサによる情報コードデータの取り込み時間、即ち読取り状態を変化させる(ステップB11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読取ってデコードする情報コード読取装置、及び情報コード読取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、バーコードや2次元コードなどの情報コードは、例えば商品の販売管理などに広く利用されている。そして、従来の情報コード読取装置は、例えば特許文献1に開示されているように、受光センサによって読取られたデータを一旦画像メモリに記憶させ、読み取りが終了すると、プロセッサが画像メモリに記憶させたデータを読み出してデコードを行うように構成されている。
【0003】
そして、特許文献1は、画像データの読取りにやり直しが発生するケースにおいて時間のロスを最小限にし、高速読み取りを可能とする目的で、2次元画像データをフレーム毎に予め複数のメモリに夫々記憶させるようにしている。
【特許文献1】特開平10−198753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の構成では、一般的な構成の読取装置に対してメモリの容量が余分に必要となるため、コスト面で問題がある。また、例えばVGA(Video Graphic Array)クラスの画素数では、データを一回読込むのに数十ms程度の時間を要する。従って、情報コード読取り装置においても読取り精度を向上させる目的で受光センサの画素数が増加することを想定すると、特許文献1の構成では読取りに要する時間が長くなることが避けられない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報コードの読取り及びデコードに要する時間を低コストな構成で短縮することができる情報コード読取装置、及び情報コード読取り方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の情報コード読取装置によれば、状態変化手段は、特徴検出回路によって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し、判別した種類に応じて受光センサによる情報コードの読取り状態を変化させる。即ち、情報コードは、種類に応じて記録されている情報量又は情報密度が異なるので、夫々の情報コードに応じて読み取りが可能な解像度や取り込みに要する時間も異なっている。
従って、情報コード読取装置が多種類の情報コードの読み取りに対応している場合に、判別した種類に応じて例えば読取り解像度やデータ取り込みに要する時間を変化させれば、夫々の情報コードに応じた適切な読み取りを行なって読取り処理を効率化することができる。
【0007】
請求項2記載の情報コード読取装置によれば、特徴検出回路は、検出された特徴パターンに応じて情報コードの種類を判別し、その判別した種類をデコード手段に伝達するので、デコード手段は、最初から伝達された情報コードの種類に応じたデコード処理を行なうことができる。従って、デコード手段自体が情報コードの種類を判別するための処理を行なう必要がないので、デコード処理を一層速く完了することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図7を参照して説明する。図1は、情報コード読取装置におけるデータ処理系の構成を中心として示す機能ブロック図である。CCDセンサ(受光センサ)1は、LEDなどの光源によって照射された情報コードを光学的に読み取るためのエリアセンサであり、読み取りは、タイミングジェネレータ(TG)2によって出力されるクロック信号に同期して行われる。
【0009】
CCDセンサ1によって読取られ、出力される画像データは、アンプ3によって増幅され、A/D変換回路(ADC)4によりA/D変換される。そして、A/D変換されたデジタルデータは、特徴検出用ゲートアレイ5に与えられている。特徴検出用ゲートアレイ5は、データバッファ6,信号出力部(信号出力回路)7,特徴検出部(特徴検出回路)8を備えている。
【0010】
データバッファ6は、先入れ先出しのFIFO(First In First Out)として構成されている。信号出力部7は、データバッファ6に書き込まれたデータ、即ち、CCDセンサ1によって読取られ出力される画像データが所定量、例えば1走査ライン分に達する毎に、検出タイミング信号を出力するように構成されている。また、特徴検出部8は、データバッファ6に書き込まれたデータに基づいて、CCDセンサ1によって読取られた情報コードが備えている特徴パターンの有無を検出するものである。
【0011】
例えば、図4に示すように、2次元コードの一種であるQRコード(登録商標)では、データを読み取るための基準位置決めシンボルとして、明暗パターン比が1:1:3:1:1に設定されたファインダパターンが配置されている。そして、特徴検出部8は、データバッファ6に書き込まれたデータの明暗パターンに基づいて上記ファインダパターンのような特徴パターンを検出すると、検出信号を出力するように構成されている。
【0012】
また、情報コードがバーコード又は2次元コードの一種であるPDF417であれば、図5に示すように、一定本数のバーとそれらのバーの配置比率を求め、それが許容範囲内であればバーコードと認識する。図5に示す例では、4値コードを想定し、バーの本数5本についてナロー/ワイド比4までを許容する。また、バーの太り細りは20%まで許容する。一例として、上記の条件下で1,2,1,4,2,1,1,1の比率が明確に検出できたことで、バーコードであると認識する。
【0013】
尚、PDF417の場合は、上記形式と同様のバーコードに2次元コードパターンが組み合わされたものなので、バーコードパターンに続いて2次元コードパターンが検出された場合にPDF417であると認識する。
また、情報コードが2次元コードの一種であるデータマトリックスであれば、図6に示すように、L字パターンの縦,横何れかのバーを検出した場合に、次回の取り込みにおいてその何れかの一端側に続く他方のバーが存在するか否かを検出する。そして、L字パターンがある程度推定可能な箇所まで検出を行なった時点でデータマトリックスと判定する。
【0014】
また、特徴検出用ゲートアレイ5は、システムバス9に接続されている。そのシステムバス9には、情報コード読取装置を制御するCPU(デコード手段,報知手段)10,画像メモリであるS(Synchronous)DRAM11、制御プログラムなどが記憶されるフラッシュメモリ12及びCPU10の周辺処理用であるゲートアレイ13,DMA(Direct Memory Access)コントローラ(DMAC,データ転送回路)14などが接続されている。
【0015】
ゲートアレイ13は、その内部に割込み制御回路15を備えている。この割込み制御回路15は、特徴検出用ゲートアレイ5による割込み発生も可能となるように構成されている。即ち、図4乃至図6で説明したように、特徴検出部8が検出した情報コードの特徴パターンに基づいてその種類を判別すると、特徴検出用ゲートアレイ5は、その種類に応じて割込み制御回路15に対応するビットをセットすることでCPU10に割込み(INT)を発生させることが可能に構成されている。
そして、CPU10は、その割り込みの発生を認識すると、割込み制御回路15のレジスタを読み出し、セットされているビットにより特徴検出用ゲートアレイ5で判別された情報コードの種類を認識することができる。
【0016】
また、ゲートアレイ13には、CPU10が報知処理を行なうためのブザー(報知手段)16が接続されており、CPU10は、ゲートアレイ13内部のブザー駆動用レジスタ(図示せず)に書込みを行うことで、図示しない駆動回路を介してブザー16を鳴動させることが可能となっている。同様に、ゲートアレイ13には、露光用光源としてのLED17が接続されており、CPU10により駆動制御が行われる。
DMAコントローラ14は、特徴検出用ゲートアレイ5のデータバッファ6に書き込まれたデータをSDRAM11に転送するものであり、CPU10がシステムバス9を介してリソースアクセスを行っている間にサイクルスチールを実行してデータ転送を行う。
【0017】
次に、本実施例の作用について図2,図3及び図7も参照して説明する。図2は、特徴検出用ゲートアレイ5の処理内容を示すフローチャートである。尚、特徴検出用ゲートアレイ5は、ロジックのみで構成される純粋なハードウエアであるから、そのハードウエアによる処理を示すものである。
【0018】
情報コードの読み取りが開始されると、LED17が発する光が読取り対象の情報コードに照射され(「露光」,図7(a)参照)、CCDセンサ1は、情報コードに照射された光の明暗を2次元的に読取り電荷データを発生させる。続いて、CCDセンサ1は、タイミングジェネレータ2のクロック信号に同期して、発生させた電荷データをアンプ3に出力する(「取り込み」)。すると、特徴検出用ゲートアレイ5にはA/D変換回路4によってA/D変換されたデータが与えられるので、特徴検出用ゲートアレイ5は、そのデータをデータバッファ6に書き込む(ステップA1)。
【0019】
特徴検出部8は、信号出力部7によりタイミング信号が出力されると(ステップA2,「YES」)特徴検出処理を開始する(ステップA3)。そして、何れかの情報コードに応じた特徴パターンが検出された場合は(ステップA4,「YES」)、特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別する(ステップA5)。
尚、情報コードが2次元コードである場合には、CCDセンサ1の1走査ラインのみでは特徴パターンが検出できないので(ステップA4,「NO」)、検出を行なうリミットを所定ライン数に設定しておき(ステップA11)、その検出リミットに達していなければ(「NO」)ステップA1に戻りデータの取り込みを継続する。そして、ステップA11において検出リミットをオーバーした場合は(「YES」)ユーザに対する報知処理を行なうようにCPU10に割込みを発生させて指示を出力する(ステップA12)。
【0020】
特徴検出部8は、情報コードの種類を判別すると、その種類に応じてCPU10にデコード開始を指示する(ステップA6)。即ち、上述したように、ゲートアレイ13の割込み制御回路15にビットをセットする。続いて、特徴検出用ゲートアレイ5は、データバッファ6に書き込まれたデータが所定量(フル)に達したか否かを書き込みポインタの値に基づいて判断し(ステップA7)、所定量に達していなければ(「NO」) データバッファ6に対するデータの取り込みを継続する(ステップA8)。
【0021】
一方、ステップA7においてデータバッファ6に書き込まれたデータが所定量に達したと判断すると(「YES」)、特徴検出用ゲートアレイ5は、DMAコントローラ14を起動する(ステップA9)。すると、DMAコントローラ14は、データバッファ6からSDRAM11へのデータ転送を開始する。そして、特徴検出用ゲートアレイ5は、データの取り込みが終了していなければ(ステップA10,「NO」)、ステップA8に移行して取り込みを継続する。
尚、ステップA7〜A10の処理が行なわれている間においても、信号出力部7は、データバッファ6に書き込まれたデータが1走査ライン分に達する毎にタイミング信号を出力する。そして、本実施例では、バッファ・フルを判定する所定量を1走査ライン分に等しくなるように設定しておく。
【0022】
図3は、CPU10側の処理内容を示すフローチャートである。CPU10は、先ずLED17を点灯させて露光を行い(ステップB0),続いてCCDセンサ1によって読み取られたデータの取り込み開始を指示する(ステップB0a)。即ち、タイミングジェネレータ2によりクロック信号の出力を開始させる。
それから、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5によるデコード開始指示(ステップB1)または報知処理指示(ステップB2)があるまで待機している。そして、CPU10に対する割込みが発生し、CPU10がその割込み処理を行なうことでデコード開始指示が発生したことを認識すると(ステップB1,「YES」)、CPU10は、割込み制御回路15のビット設定によって情報コードの種類を判別する(ステップB4)。
【0023】
それから、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5によりタイミング信号が出力されるまで待機し(ステップB5)、タイミング信号が出力されると(「YES」)SDRAM11にアクセスして画像データを読み出す(ステップB6)。ここで、上記タイミング信号もCPU10に対する割り込みとして発生するが、その割り込みは、特徴検出用ゲートアレイ5がデコード開始指示を行うと同時に受付が許可されるように割込み制御回路15を設定する。
従って、ステップB5においてタイミング信号が出力された時点では、DMAコントローラ14によるSDRAM11に対する最初のデータ転送は完了しており、CPU10は、SDRAM11より画像データを読み出すことが可能となっている。
【0024】
次に、CPU10は、ステップB4で判別した情報コードの種類に応じてそのデコード処理を行なう(ステップB7)。そして、情報コードの種類に応じたデータ量のデコードが完了すれば(ステップB8,「YES」)処理を終了し、デコードが完了していなければ(「NO」)ステップB5に戻る。
一方、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5による報知処理指示が発生したことを認識した場合(ステップB2,「YES」)、ブザー16を鳴動させて読取り処理が失敗したことをユーザに報知する処理を行なう(ステップB3)。
【0025】
図7(a)には、本実施例における処理の流れをタイミングチャートで示す。即ち、「露光」においてCCDセンサ1に読取られたデータを続く「取り込み」において特徴検出用ゲートアレイ5のデータバッファ6に取り込む処理に並行して、特徴検出部8における特徴検出処理が行なわれ、更に、データバッファ6のデータがSDRAM11に転送されて、CPU10によるデコード処理もデータ取り込みと並行して行われる。
そして、図7(b)には、従来の一般的な構成の情報コード読取装置における処理の流れを示す。即ち、一般的な従来構成では、画像メモリに全てのデータを書き込んだ後に、特徴検出処理、デコード処理がシリアルに行なわれるため、全工程が完了するまでに長い時間を要していたことが判る。
【0026】
以上のように本実施例によれば、CCDセンサ1によって読取られ、A/D変換された情報コードの画像信号データは先ず特徴検出ゲートアレイ5に入力され、特徴検出部8により情報コードに含まれている特徴パターンの検出が行なわれる。そして、その画像データはSDRAM11に転送され、CPU10は、信号出力部7が出力するタイミング信号に応じてSDRAM11に記憶されたデータをデコードする。
【0027】
即ち、画像データが順次読み込まれる間に、特徴検出用ゲートアレイ5における情報コードの特徴パターン検出が先に行なわれ、それからCPU10によるデコードが行なわれる。従って、従来とは異なり、異なる処理を並行して行なうために複数フレームの画像メモリを必要とすることがなく低コストで構成することができる。そして、画像データの読み取りと特徴検出処理,デコード処理が並行して行なわれるので、情報コードのデコードをより速く完了することが可能となる。
【0028】
そして、信号出力部7は、CCDセンサ1が1走査ライン分の画像信号を出力する毎にタイミング信号を出力するので、例えば情報コードが1次元的に配列されているバーコードである場合は、デコードをより速く行なうことができる。
また、特徴検出部8は、情報コードがQRコードである場合は特徴パターンとしてファインダパターンを検出し、情報コードがバーコード又はPDF417である場合はバーの本数並びにバーの間隔比を検出し、情報コードがデータマトリクスである場合はL字パターンを検出する。従って、夫々の情報コードに対応した特徴を検出することができる。
【0029】
更に、DMAコントローラ14は、特徴検出用ゲートアレイ5が特徴パターンを検出すると起動され、データバッファ6に入力されたデジタルデータをSDRAM11に転送するので、CPU10は、情報コードの読取りが確実に行われたことが判別された場合にデコードを開始することになり、無用なデコード処理が行なわれることを回避できる。
加えて、特徴検出用ゲートアレイ5は、検出された特徴パターンに応じて情報コードの種類を判別し、その判別した種類をCPU10に伝達するので、CPU10は、最初から伝達された情報コードの種類に応じたデコード処理を行なうことができる。従って、CPU10自体が情報コードの種類を判別するための処理を行なう必要がないので、デコード処理を一層速く完了することが可能となる。
【0030】
(第2実施例)
図8及び図9は本発明の第2実施例であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。図3相当図である図8において、CPU10は、デコード処理が終了してステップB8で「YES」と判断すると、タイミングジェネレータ2,特徴検出用ゲートアレイ5及びDMAコントローラ14に対してデータ取り込みを停止させるための指示を出力する(ステップB9)。
【0031】
すると、タイミングジェネレータ2は、CCDセンサ1に対するクロック信号の出力を停止する。また、特徴検出用ゲートアレイ5は、データバッファ6に対するデータの書込みを停止し(その時点でステップA10において「YES」と判断する)、DMAコントローラ14は、データ転送処理を実行中であればその時点で転送を停止させる(図9参照)。
続いて、CPU10は、デコードが完了したことをユーザに対して報知する処理を行なう(ステップB10)。この報知処理は、前述したステップB3と同様に、ブザー16を鳴動させることで行なうようにする。
【0032】
以上のように第2実施例によれば、CPU10は、デコードが完了すると、その時点でCCDセンサ1による情報コードの取り込みを停止させるので、不要なデータを取り込むことが無く電力消費を低減することができる。また、CPU10は、デコードが完了した時点でブザー16を鳴動させてユーザに対する報知動作を行なうので、ユーザは、その報知によってデコードが完了したことを認識することができる。
【0033】
(第3実施例)
図10及び図11は本発明の第3実施例であり、第1又は第2実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。図3相当図である図10において、CPU(再実行手段)10は、特徴検出用ゲートアレイ5より特徴検出の失敗が通知されてステップB3を実行すると、第2実施例と同様のステップB9を実行してデータの読み取りを停止させる。それから、ステップB0に戻り、直ちに次の読取りを行うための露光動作を開始させる。この場合の動作タイミングチャートは、図11に示すようになる。
【0034】
以上のように第3実施例によれば、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5による情報コードの特徴パターン検出が失敗すると、その時点でCCDセンサ1による情報コードの読み取りを停止させ、新たな読取り動作を開始させるようにした。即ち、読取り対象となっている情報コード以外のものを読取ろうとしたり、或いは不鮮明で読取り不能な情報コードを読取ろうとした場合は、その読み取り動作は停止されて次の読み取り動作が実行される。従って、無用な読取り動作が継続されること無く、作業者は読取り作業をより効率的に行うことができる。
【0035】
(第4実施例)
図12及び図13は本発明の第4実施例を示すものであり、第2実施例と異なる部分についてのみ説明する。第4実施例では、情報コードを連続的に読取る場合を想定する。そして、1つの情報コードについてデコード処理が完了した場合は(ステップB8,「YES」)第2実施例と同様にステップB9,B10を実行する。それから、CPU(状態変化手段)10は、ステップB4で判別した情報コードの種類に応じて、ステップB0aにおけるデータ取り込みの所要時間を変化させる(ステップB11)。
【0036】
即ち、情報コードの種類によっては記憶されているデータ容量が小さいため、データ取り込みに要する時間が短くても良い場合がある。例えば、QRコードに比較して、バーコードの読み取りに要する時間は短い。従って、初期状態として設定されていた取り込み時間がQRコードに併せて設定されている場合に、実際に読取ったデータがバーコードデータであった場合は、ステップB11においてそれに応じて取り込み時間が短くなるように再設定する。それから、ステップB0に移行して次の読取り動作を行なう。
【0037】
以上のように第4実施例によれば、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5によって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し、判別した種類に応じてCCDセンサ1による情報コードデータの取り込み時間、即ち読取り状態を変化させるようにした。従って、情報コード読取装置が多種類の情報コードの読み取りに対応している場合に、判別した種類に応じて読取り状態を変化させれば、夫々の情報コードに応じた適切な読み取りを行なうことで読取り処理を効率化することができる。
【0038】
(第5実施例)
図14及び図15は本発明の第5実施例を示すものである。第5実施例では、タイミングジェネレータ2のクロックレートが十分高く設定されていると共に、DMAコントローラ14によるデータ転送処理も十分高速に行なわれるため、特徴検出用ゲートアレイ5が特徴パターンの検出を行なっている間に、SDRAM11に対するデコード対象となるデータの転送が完了するように構成されている場合を想定する。
【0039】
図2相当図である図14において、特徴検出用ゲートアレイ5は、ステップA11において「NO」と判断した場合にステップA7の判断を行い、「YES」と判断するとその時点でDMAコントローラ14を起動する(ステップA9)。それから、ステップA1に戻る。
そして、特徴パターンが正常に検出されると(ステップA4,「YES」)、データ取り込みの停止を指示する(ステップA13)。ここでの処理は、第2実施例においてはCPU10が行ったステップB9と同様の処理であり、第5実施例ではCPU10に代わって特徴検出用ゲートアレイ5が実行する。それから、ステップA5,A6を実行して処理を終了する。
【0040】
即ち、この場合の処理は図15のタイミングチャートで表される。CPU10は、データ取り込みが停止された後に、SDRAM11からデータを読み出してデコード処理を行なう。
【0041】
以上のように第5実施例によれば、特徴検出用ゲートアレイ5が特徴パターンの検出を完了すると、CCDセンサ1による情報コードの取り込みを停止するようにした。即ち、DMAコントローラ14によるデコード対象データの転送処理が特徴パターンの検出を行なっている間に全て完了していれば、後はCPU10がデコード処理を行なうだけで良い。従って、データを過剰に取り込むことを防止して電力消費を低減することができる。
【0042】
本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
例えば第1実施例において、特徴検出用ゲートアレイ5からCPU10に対して判別した情報コードの種類を伝達する処理を行なわずに、CPU10は、デコード開始が指示されるとデコード処理の中で情報コードの種類を判別するようにしても良い。
情報コード読取装置は、必ずしも複数種類の情報コードに対応する必要はなく、何れかの種類にのみ対応するように構成しても良いし、例えばスイッチ設定によって外部的に対応切替を行なうように構成しても良い。
信号出力部7によるタイミング信号は、必ずしも1走査ライン毎に出力する必要はない。また、特徴検出用ゲートアレイ5の内部で特徴検出部8が使用するタイミング信号と、CPU10に対して出力するタイミング信号は、異なるタイミングで出力されるものでも良い。
【0043】
更に、信号出力部7を削除して、CPU10が自身の処理タイミングに基づいてデコード処理を行うようにしても良い。
コスト的に問題が無ければ、別途CPUを用いることで特徴検出用ゲートアレイ5の機能をソフトウエアによって実現しても良い。
第2実施例において、データの取り込みを停止させる場合には、CCDセンサ1やタイミングジェネレータ2等の電源供給を停止させても良い。
第5実施例において、データ取り込み時間を変更することに加えて、或いはそれに代えて、CCDセンサ1による読取り解像度を変化させても良い。例えば、初期設定がQRコードである場合に、実際に読み込んだものがマイクロQRコードやバーコードである場合には、解像度を低下させたり、CCDセンサ1の読取りエリアの一部だけをアクティブにするように切替えても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施例であり、情報コード読取装置におけるデータ処理系の構成を中心として示す機能ブロック図
【図2】特徴検出用ゲートアレイのハードウエアによる処理内容を示すフローチャート
【図3】CPUの処理内容を示すフローチャート
【図4】情報コードがQRコードである場合に検出する特徴パターンを説明する図
【図5】情報コードがバーコード又はPDF417である場合の図4相当図
【図6】情報コードがデータマトリクスである場合の図4相当図
【図7】(a)は本実施例における処理の流れをタイミングチャート、(b)は従来の情報コード読取装置における処理の流れを示すタイミングチャート
【図8】本発明の第2実施例を示す図3相当図
【図9】図7(a)相当図
【図10】本発明の第3実施例を示す図3相当図
【図11】図7(a)相当図
【図12】本発明の第4実施例を示す図3相当図
【図13】図7(a)相当図
【図14】本発明の第5実施例を示す図2相当図
【図15】図7(a)相当図
【符号の説明】
【0045】
1はCCDセンサ(受光センサ)、4はA/D変換回路、5は特徴検出用ゲートアレイ、7は信号出力部(信号出力回路)、8は特徴検出部(特徴検出回路)、10はCPU(デコード手段,報知手段,再実行手段,状態変化手段)、11はSDRAM(画像メモリ)、14はDMAコントローラ(データ転送回路)、16はブザー(報知手段)を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コードを光学的に読取ってデコードする情報コード読取装置、及び情報コード読取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、バーコードや2次元コードなどの情報コードは、例えば商品の販売管理などに広く利用されている。そして、従来の情報コード読取装置は、例えば特許文献1に開示されているように、受光センサによって読取られたデータを一旦画像メモリに記憶させ、読み取りが終了すると、プロセッサが画像メモリに記憶させたデータを読み出してデコードを行うように構成されている。
【0003】
そして、特許文献1は、画像データの読取りにやり直しが発生するケースにおいて時間のロスを最小限にし、高速読み取りを可能とする目的で、2次元画像データをフレーム毎に予め複数のメモリに夫々記憶させるようにしている。
【特許文献1】特開平10−198753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の構成では、一般的な構成の読取装置に対してメモリの容量が余分に必要となるため、コスト面で問題がある。また、例えばVGA(Video Graphic Array)クラスの画素数では、データを一回読込むのに数十ms程度の時間を要する。従って、情報コード読取り装置においても読取り精度を向上させる目的で受光センサの画素数が増加することを想定すると、特許文献1の構成では読取りに要する時間が長くなることが避けられない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、情報コードの読取り及びデコードに要する時間を低コストな構成で短縮することができる情報コード読取装置、及び情報コード読取り方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の情報コード読取装置によれば、状態変化手段は、特徴検出回路によって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し、判別した種類に応じて受光センサによる情報コードの読取り状態を変化させる。即ち、情報コードは、種類に応じて記録されている情報量又は情報密度が異なるので、夫々の情報コードに応じて読み取りが可能な解像度や取り込みに要する時間も異なっている。
従って、情報コード読取装置が多種類の情報コードの読み取りに対応している場合に、判別した種類に応じて例えば読取り解像度やデータ取り込みに要する時間を変化させれば、夫々の情報コードに応じた適切な読み取りを行なって読取り処理を効率化することができる。
【0007】
請求項2記載の情報コード読取装置によれば、特徴検出回路は、検出された特徴パターンに応じて情報コードの種類を判別し、その判別した種類をデコード手段に伝達するので、デコード手段は、最初から伝達された情報コードの種類に応じたデコード処理を行なうことができる。従って、デコード手段自体が情報コードの種類を判別するための処理を行なう必要がないので、デコード処理を一層速く完了することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例について図1乃至図7を参照して説明する。図1は、情報コード読取装置におけるデータ処理系の構成を中心として示す機能ブロック図である。CCDセンサ(受光センサ)1は、LEDなどの光源によって照射された情報コードを光学的に読み取るためのエリアセンサであり、読み取りは、タイミングジェネレータ(TG)2によって出力されるクロック信号に同期して行われる。
【0009】
CCDセンサ1によって読取られ、出力される画像データは、アンプ3によって増幅され、A/D変換回路(ADC)4によりA/D変換される。そして、A/D変換されたデジタルデータは、特徴検出用ゲートアレイ5に与えられている。特徴検出用ゲートアレイ5は、データバッファ6,信号出力部(信号出力回路)7,特徴検出部(特徴検出回路)8を備えている。
【0010】
データバッファ6は、先入れ先出しのFIFO(First In First Out)として構成されている。信号出力部7は、データバッファ6に書き込まれたデータ、即ち、CCDセンサ1によって読取られ出力される画像データが所定量、例えば1走査ライン分に達する毎に、検出タイミング信号を出力するように構成されている。また、特徴検出部8は、データバッファ6に書き込まれたデータに基づいて、CCDセンサ1によって読取られた情報コードが備えている特徴パターンの有無を検出するものである。
【0011】
例えば、図4に示すように、2次元コードの一種であるQRコード(登録商標)では、データを読み取るための基準位置決めシンボルとして、明暗パターン比が1:1:3:1:1に設定されたファインダパターンが配置されている。そして、特徴検出部8は、データバッファ6に書き込まれたデータの明暗パターンに基づいて上記ファインダパターンのような特徴パターンを検出すると、検出信号を出力するように構成されている。
【0012】
また、情報コードがバーコード又は2次元コードの一種であるPDF417であれば、図5に示すように、一定本数のバーとそれらのバーの配置比率を求め、それが許容範囲内であればバーコードと認識する。図5に示す例では、4値コードを想定し、バーの本数5本についてナロー/ワイド比4までを許容する。また、バーの太り細りは20%まで許容する。一例として、上記の条件下で1,2,1,4,2,1,1,1の比率が明確に検出できたことで、バーコードであると認識する。
【0013】
尚、PDF417の場合は、上記形式と同様のバーコードに2次元コードパターンが組み合わされたものなので、バーコードパターンに続いて2次元コードパターンが検出された場合にPDF417であると認識する。
また、情報コードが2次元コードの一種であるデータマトリックスであれば、図6に示すように、L字パターンの縦,横何れかのバーを検出した場合に、次回の取り込みにおいてその何れかの一端側に続く他方のバーが存在するか否かを検出する。そして、L字パターンがある程度推定可能な箇所まで検出を行なった時点でデータマトリックスと判定する。
【0014】
また、特徴検出用ゲートアレイ5は、システムバス9に接続されている。そのシステムバス9には、情報コード読取装置を制御するCPU(デコード手段,報知手段)10,画像メモリであるS(Synchronous)DRAM11、制御プログラムなどが記憶されるフラッシュメモリ12及びCPU10の周辺処理用であるゲートアレイ13,DMA(Direct Memory Access)コントローラ(DMAC,データ転送回路)14などが接続されている。
【0015】
ゲートアレイ13は、その内部に割込み制御回路15を備えている。この割込み制御回路15は、特徴検出用ゲートアレイ5による割込み発生も可能となるように構成されている。即ち、図4乃至図6で説明したように、特徴検出部8が検出した情報コードの特徴パターンに基づいてその種類を判別すると、特徴検出用ゲートアレイ5は、その種類に応じて割込み制御回路15に対応するビットをセットすることでCPU10に割込み(INT)を発生させることが可能に構成されている。
そして、CPU10は、その割り込みの発生を認識すると、割込み制御回路15のレジスタを読み出し、セットされているビットにより特徴検出用ゲートアレイ5で判別された情報コードの種類を認識することができる。
【0016】
また、ゲートアレイ13には、CPU10が報知処理を行なうためのブザー(報知手段)16が接続されており、CPU10は、ゲートアレイ13内部のブザー駆動用レジスタ(図示せず)に書込みを行うことで、図示しない駆動回路を介してブザー16を鳴動させることが可能となっている。同様に、ゲートアレイ13には、露光用光源としてのLED17が接続されており、CPU10により駆動制御が行われる。
DMAコントローラ14は、特徴検出用ゲートアレイ5のデータバッファ6に書き込まれたデータをSDRAM11に転送するものであり、CPU10がシステムバス9を介してリソースアクセスを行っている間にサイクルスチールを実行してデータ転送を行う。
【0017】
次に、本実施例の作用について図2,図3及び図7も参照して説明する。図2は、特徴検出用ゲートアレイ5の処理内容を示すフローチャートである。尚、特徴検出用ゲートアレイ5は、ロジックのみで構成される純粋なハードウエアであるから、そのハードウエアによる処理を示すものである。
【0018】
情報コードの読み取りが開始されると、LED17が発する光が読取り対象の情報コードに照射され(「露光」,図7(a)参照)、CCDセンサ1は、情報コードに照射された光の明暗を2次元的に読取り電荷データを発生させる。続いて、CCDセンサ1は、タイミングジェネレータ2のクロック信号に同期して、発生させた電荷データをアンプ3に出力する(「取り込み」)。すると、特徴検出用ゲートアレイ5にはA/D変換回路4によってA/D変換されたデータが与えられるので、特徴検出用ゲートアレイ5は、そのデータをデータバッファ6に書き込む(ステップA1)。
【0019】
特徴検出部8は、信号出力部7によりタイミング信号が出力されると(ステップA2,「YES」)特徴検出処理を開始する(ステップA3)。そして、何れかの情報コードに応じた特徴パターンが検出された場合は(ステップA4,「YES」)、特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別する(ステップA5)。
尚、情報コードが2次元コードである場合には、CCDセンサ1の1走査ラインのみでは特徴パターンが検出できないので(ステップA4,「NO」)、検出を行なうリミットを所定ライン数に設定しておき(ステップA11)、その検出リミットに達していなければ(「NO」)ステップA1に戻りデータの取り込みを継続する。そして、ステップA11において検出リミットをオーバーした場合は(「YES」)ユーザに対する報知処理を行なうようにCPU10に割込みを発生させて指示を出力する(ステップA12)。
【0020】
特徴検出部8は、情報コードの種類を判別すると、その種類に応じてCPU10にデコード開始を指示する(ステップA6)。即ち、上述したように、ゲートアレイ13の割込み制御回路15にビットをセットする。続いて、特徴検出用ゲートアレイ5は、データバッファ6に書き込まれたデータが所定量(フル)に達したか否かを書き込みポインタの値に基づいて判断し(ステップA7)、所定量に達していなければ(「NO」) データバッファ6に対するデータの取り込みを継続する(ステップA8)。
【0021】
一方、ステップA7においてデータバッファ6に書き込まれたデータが所定量に達したと判断すると(「YES」)、特徴検出用ゲートアレイ5は、DMAコントローラ14を起動する(ステップA9)。すると、DMAコントローラ14は、データバッファ6からSDRAM11へのデータ転送を開始する。そして、特徴検出用ゲートアレイ5は、データの取り込みが終了していなければ(ステップA10,「NO」)、ステップA8に移行して取り込みを継続する。
尚、ステップA7〜A10の処理が行なわれている間においても、信号出力部7は、データバッファ6に書き込まれたデータが1走査ライン分に達する毎にタイミング信号を出力する。そして、本実施例では、バッファ・フルを判定する所定量を1走査ライン分に等しくなるように設定しておく。
【0022】
図3は、CPU10側の処理内容を示すフローチャートである。CPU10は、先ずLED17を点灯させて露光を行い(ステップB0),続いてCCDセンサ1によって読み取られたデータの取り込み開始を指示する(ステップB0a)。即ち、タイミングジェネレータ2によりクロック信号の出力を開始させる。
それから、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5によるデコード開始指示(ステップB1)または報知処理指示(ステップB2)があるまで待機している。そして、CPU10に対する割込みが発生し、CPU10がその割込み処理を行なうことでデコード開始指示が発生したことを認識すると(ステップB1,「YES」)、CPU10は、割込み制御回路15のビット設定によって情報コードの種類を判別する(ステップB4)。
【0023】
それから、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5によりタイミング信号が出力されるまで待機し(ステップB5)、タイミング信号が出力されると(「YES」)SDRAM11にアクセスして画像データを読み出す(ステップB6)。ここで、上記タイミング信号もCPU10に対する割り込みとして発生するが、その割り込みは、特徴検出用ゲートアレイ5がデコード開始指示を行うと同時に受付が許可されるように割込み制御回路15を設定する。
従って、ステップB5においてタイミング信号が出力された時点では、DMAコントローラ14によるSDRAM11に対する最初のデータ転送は完了しており、CPU10は、SDRAM11より画像データを読み出すことが可能となっている。
【0024】
次に、CPU10は、ステップB4で判別した情報コードの種類に応じてそのデコード処理を行なう(ステップB7)。そして、情報コードの種類に応じたデータ量のデコードが完了すれば(ステップB8,「YES」)処理を終了し、デコードが完了していなければ(「NO」)ステップB5に戻る。
一方、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5による報知処理指示が発生したことを認識した場合(ステップB2,「YES」)、ブザー16を鳴動させて読取り処理が失敗したことをユーザに報知する処理を行なう(ステップB3)。
【0025】
図7(a)には、本実施例における処理の流れをタイミングチャートで示す。即ち、「露光」においてCCDセンサ1に読取られたデータを続く「取り込み」において特徴検出用ゲートアレイ5のデータバッファ6に取り込む処理に並行して、特徴検出部8における特徴検出処理が行なわれ、更に、データバッファ6のデータがSDRAM11に転送されて、CPU10によるデコード処理もデータ取り込みと並行して行われる。
そして、図7(b)には、従来の一般的な構成の情報コード読取装置における処理の流れを示す。即ち、一般的な従来構成では、画像メモリに全てのデータを書き込んだ後に、特徴検出処理、デコード処理がシリアルに行なわれるため、全工程が完了するまでに長い時間を要していたことが判る。
【0026】
以上のように本実施例によれば、CCDセンサ1によって読取られ、A/D変換された情報コードの画像信号データは先ず特徴検出ゲートアレイ5に入力され、特徴検出部8により情報コードに含まれている特徴パターンの検出が行なわれる。そして、その画像データはSDRAM11に転送され、CPU10は、信号出力部7が出力するタイミング信号に応じてSDRAM11に記憶されたデータをデコードする。
【0027】
即ち、画像データが順次読み込まれる間に、特徴検出用ゲートアレイ5における情報コードの特徴パターン検出が先に行なわれ、それからCPU10によるデコードが行なわれる。従って、従来とは異なり、異なる処理を並行して行なうために複数フレームの画像メモリを必要とすることがなく低コストで構成することができる。そして、画像データの読み取りと特徴検出処理,デコード処理が並行して行なわれるので、情報コードのデコードをより速く完了することが可能となる。
【0028】
そして、信号出力部7は、CCDセンサ1が1走査ライン分の画像信号を出力する毎にタイミング信号を出力するので、例えば情報コードが1次元的に配列されているバーコードである場合は、デコードをより速く行なうことができる。
また、特徴検出部8は、情報コードがQRコードである場合は特徴パターンとしてファインダパターンを検出し、情報コードがバーコード又はPDF417である場合はバーの本数並びにバーの間隔比を検出し、情報コードがデータマトリクスである場合はL字パターンを検出する。従って、夫々の情報コードに対応した特徴を検出することができる。
【0029】
更に、DMAコントローラ14は、特徴検出用ゲートアレイ5が特徴パターンを検出すると起動され、データバッファ6に入力されたデジタルデータをSDRAM11に転送するので、CPU10は、情報コードの読取りが確実に行われたことが判別された場合にデコードを開始することになり、無用なデコード処理が行なわれることを回避できる。
加えて、特徴検出用ゲートアレイ5は、検出された特徴パターンに応じて情報コードの種類を判別し、その判別した種類をCPU10に伝達するので、CPU10は、最初から伝達された情報コードの種類に応じたデコード処理を行なうことができる。従って、CPU10自体が情報コードの種類を判別するための処理を行なう必要がないので、デコード処理を一層速く完了することが可能となる。
【0030】
(第2実施例)
図8及び図9は本発明の第2実施例であり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。図3相当図である図8において、CPU10は、デコード処理が終了してステップB8で「YES」と判断すると、タイミングジェネレータ2,特徴検出用ゲートアレイ5及びDMAコントローラ14に対してデータ取り込みを停止させるための指示を出力する(ステップB9)。
【0031】
すると、タイミングジェネレータ2は、CCDセンサ1に対するクロック信号の出力を停止する。また、特徴検出用ゲートアレイ5は、データバッファ6に対するデータの書込みを停止し(その時点でステップA10において「YES」と判断する)、DMAコントローラ14は、データ転送処理を実行中であればその時点で転送を停止させる(図9参照)。
続いて、CPU10は、デコードが完了したことをユーザに対して報知する処理を行なう(ステップB10)。この報知処理は、前述したステップB3と同様に、ブザー16を鳴動させることで行なうようにする。
【0032】
以上のように第2実施例によれば、CPU10は、デコードが完了すると、その時点でCCDセンサ1による情報コードの取り込みを停止させるので、不要なデータを取り込むことが無く電力消費を低減することができる。また、CPU10は、デコードが完了した時点でブザー16を鳴動させてユーザに対する報知動作を行なうので、ユーザは、その報知によってデコードが完了したことを認識することができる。
【0033】
(第3実施例)
図10及び図11は本発明の第3実施例であり、第1又は第2実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分についてのみ説明する。図3相当図である図10において、CPU(再実行手段)10は、特徴検出用ゲートアレイ5より特徴検出の失敗が通知されてステップB3を実行すると、第2実施例と同様のステップB9を実行してデータの読み取りを停止させる。それから、ステップB0に戻り、直ちに次の読取りを行うための露光動作を開始させる。この場合の動作タイミングチャートは、図11に示すようになる。
【0034】
以上のように第3実施例によれば、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5による情報コードの特徴パターン検出が失敗すると、その時点でCCDセンサ1による情報コードの読み取りを停止させ、新たな読取り動作を開始させるようにした。即ち、読取り対象となっている情報コード以外のものを読取ろうとしたり、或いは不鮮明で読取り不能な情報コードを読取ろうとした場合は、その読み取り動作は停止されて次の読み取り動作が実行される。従って、無用な読取り動作が継続されること無く、作業者は読取り作業をより効率的に行うことができる。
【0035】
(第4実施例)
図12及び図13は本発明の第4実施例を示すものであり、第2実施例と異なる部分についてのみ説明する。第4実施例では、情報コードを連続的に読取る場合を想定する。そして、1つの情報コードについてデコード処理が完了した場合は(ステップB8,「YES」)第2実施例と同様にステップB9,B10を実行する。それから、CPU(状態変化手段)10は、ステップB4で判別した情報コードの種類に応じて、ステップB0aにおけるデータ取り込みの所要時間を変化させる(ステップB11)。
【0036】
即ち、情報コードの種類によっては記憶されているデータ容量が小さいため、データ取り込みに要する時間が短くても良い場合がある。例えば、QRコードに比較して、バーコードの読み取りに要する時間は短い。従って、初期状態として設定されていた取り込み時間がQRコードに併せて設定されている場合に、実際に読取ったデータがバーコードデータであった場合は、ステップB11においてそれに応じて取り込み時間が短くなるように再設定する。それから、ステップB0に移行して次の読取り動作を行なう。
【0037】
以上のように第4実施例によれば、CPU10は、特徴検出用ゲートアレイ5によって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し、判別した種類に応じてCCDセンサ1による情報コードデータの取り込み時間、即ち読取り状態を変化させるようにした。従って、情報コード読取装置が多種類の情報コードの読み取りに対応している場合に、判別した種類に応じて読取り状態を変化させれば、夫々の情報コードに応じた適切な読み取りを行なうことで読取り処理を効率化することができる。
【0038】
(第5実施例)
図14及び図15は本発明の第5実施例を示すものである。第5実施例では、タイミングジェネレータ2のクロックレートが十分高く設定されていると共に、DMAコントローラ14によるデータ転送処理も十分高速に行なわれるため、特徴検出用ゲートアレイ5が特徴パターンの検出を行なっている間に、SDRAM11に対するデコード対象となるデータの転送が完了するように構成されている場合を想定する。
【0039】
図2相当図である図14において、特徴検出用ゲートアレイ5は、ステップA11において「NO」と判断した場合にステップA7の判断を行い、「YES」と判断するとその時点でDMAコントローラ14を起動する(ステップA9)。それから、ステップA1に戻る。
そして、特徴パターンが正常に検出されると(ステップA4,「YES」)、データ取り込みの停止を指示する(ステップA13)。ここでの処理は、第2実施例においてはCPU10が行ったステップB9と同様の処理であり、第5実施例ではCPU10に代わって特徴検出用ゲートアレイ5が実行する。それから、ステップA5,A6を実行して処理を終了する。
【0040】
即ち、この場合の処理は図15のタイミングチャートで表される。CPU10は、データ取り込みが停止された後に、SDRAM11からデータを読み出してデコード処理を行なう。
【0041】
以上のように第5実施例によれば、特徴検出用ゲートアレイ5が特徴パターンの検出を完了すると、CCDセンサ1による情報コードの取り込みを停止するようにした。即ち、DMAコントローラ14によるデコード対象データの転送処理が特徴パターンの検出を行なっている間に全て完了していれば、後はCPU10がデコード処理を行なうだけで良い。従って、データを過剰に取り込むことを防止して電力消費を低減することができる。
【0042】
本発明は上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
例えば第1実施例において、特徴検出用ゲートアレイ5からCPU10に対して判別した情報コードの種類を伝達する処理を行なわずに、CPU10は、デコード開始が指示されるとデコード処理の中で情報コードの種類を判別するようにしても良い。
情報コード読取装置は、必ずしも複数種類の情報コードに対応する必要はなく、何れかの種類にのみ対応するように構成しても良いし、例えばスイッチ設定によって外部的に対応切替を行なうように構成しても良い。
信号出力部7によるタイミング信号は、必ずしも1走査ライン毎に出力する必要はない。また、特徴検出用ゲートアレイ5の内部で特徴検出部8が使用するタイミング信号と、CPU10に対して出力するタイミング信号は、異なるタイミングで出力されるものでも良い。
【0043】
更に、信号出力部7を削除して、CPU10が自身の処理タイミングに基づいてデコード処理を行うようにしても良い。
コスト的に問題が無ければ、別途CPUを用いることで特徴検出用ゲートアレイ5の機能をソフトウエアによって実現しても良い。
第2実施例において、データの取り込みを停止させる場合には、CCDセンサ1やタイミングジェネレータ2等の電源供給を停止させても良い。
第5実施例において、データ取り込み時間を変更することに加えて、或いはそれに代えて、CCDセンサ1による読取り解像度を変化させても良い。例えば、初期設定がQRコードである場合に、実際に読み込んだものがマイクロQRコードやバーコードである場合には、解像度を低下させたり、CCDセンサ1の読取りエリアの一部だけをアクティブにするように切替えても良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施例であり、情報コード読取装置におけるデータ処理系の構成を中心として示す機能ブロック図
【図2】特徴検出用ゲートアレイのハードウエアによる処理内容を示すフローチャート
【図3】CPUの処理内容を示すフローチャート
【図4】情報コードがQRコードである場合に検出する特徴パターンを説明する図
【図5】情報コードがバーコード又はPDF417である場合の図4相当図
【図6】情報コードがデータマトリクスである場合の図4相当図
【図7】(a)は本実施例における処理の流れをタイミングチャート、(b)は従来の情報コード読取装置における処理の流れを示すタイミングチャート
【図8】本発明の第2実施例を示す図3相当図
【図9】図7(a)相当図
【図10】本発明の第3実施例を示す図3相当図
【図11】図7(a)相当図
【図12】本発明の第4実施例を示す図3相当図
【図13】図7(a)相当図
【図14】本発明の第5実施例を示す図2相当図
【図15】図7(a)相当図
【符号の説明】
【0045】
1はCCDセンサ(受光センサ)、4はA/D変換回路、5は特徴検出用ゲートアレイ、7は信号出力部(信号出力回路)、8は特徴検出部(特徴検出回路)、10はCPU(デコード手段,報知手段,再実行手段,状態変化手段)、11はSDRAM(画像メモリ)、14はDMAコントローラ(データ転送回路)、16はブザー(報知手段)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報コードを光学的に読取り画像信号を出力するための受光センサと、
前記画像信号をA/D変換するA/D変換回路と、
このA/D変換回路より出力されるデジタルデータが入力され、前記情報コードに含まれている特徴パターンを検出する特徴検出回路と、
前記特徴検出回路に入力されたデジタルデータを画像メモリに転送するデータ転送回路と、
前記画像メモリに記憶されたデータをデコードするデコード手段と、
前記特徴検出回路によって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し、判別した種類に応じて前記受光センサによる情報コードの読取り状態を変化させる状態変化手段とを備えることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記特徴検出回路は、検出された特徴パターンに応じて情報コードの種類を判別し、その判別した種類を前記デコード手段に伝達するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の情報コード読取装置。
【請求項3】
受光センサにより情報コードを光学的に読取り画像信号を出力する過程と、
前記画像信号をA/D変換する過程と、
A/D変換されたデジタルデータに基づいて、特徴検出回路が前記情報コードに含まれている特徴パターンを検出する過程と、
前記デジタルデータを前記特徴検出回路から画像メモリに転送する過程と、
前記画像メモリに記憶されたデータをデコードする過程と、
前記特徴検出回路によって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し、判別した種類に応じて前記受光センサによる情報コードの読取り状態を変化させる過程とからなることを特徴とする情報コード読取り方法。
【請求項4】
前記特徴検出回路が、検出された特徴パターンに応じて情報コードの種類を判別し、
その判別した種類に応じて前記情報コードをデコードすることを特徴とする請求項3記載の情報コード読取り方法。
【請求項1】
情報コードを光学的に読取り画像信号を出力するための受光センサと、
前記画像信号をA/D変換するA/D変換回路と、
このA/D変換回路より出力されるデジタルデータが入力され、前記情報コードに含まれている特徴パターンを検出する特徴検出回路と、
前記特徴検出回路に入力されたデジタルデータを画像メモリに転送するデータ転送回路と、
前記画像メモリに記憶されたデータをデコードするデコード手段と、
前記特徴検出回路によって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し、判別した種類に応じて前記受光センサによる情報コードの読取り状態を変化させる状態変化手段とを備えることを特徴とする情報コード読取装置。
【請求項2】
前記特徴検出回路は、検出された特徴パターンに応じて情報コードの種類を判別し、その判別した種類を前記デコード手段に伝達するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の情報コード読取装置。
【請求項3】
受光センサにより情報コードを光学的に読取り画像信号を出力する過程と、
前記画像信号をA/D変換する過程と、
A/D変換されたデジタルデータに基づいて、特徴検出回路が前記情報コードに含まれている特徴パターンを検出する過程と、
前記デジタルデータを前記特徴検出回路から画像メモリに転送する過程と、
前記画像メモリに記憶されたデータをデコードする過程と、
前記特徴検出回路によって検出される特徴パターンに基づいて情報コードの種類を判別し、判別した種類に応じて前記受光センサによる情報コードの読取り状態を変化させる過程とからなることを特徴とする情報コード読取り方法。
【請求項4】
前記特徴検出回路が、検出された特徴パターンに応じて情報コードの種類を判別し、
その判別した種類に応じて前記情報コードをデコードすることを特徴とする請求項3記載の情報コード読取り方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−102971(P2008−102971A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6997(P2008−6997)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【分割の表示】特願2003−121821(P2003−121821)の分割
【原出願日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【分割の表示】特願2003−121821(P2003−121821)の分割
【原出願日】平成15年4月25日(2003.4.25)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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