説明

情報入力装置および自動取引装置

【課題】簡単な構造で、視覚障害者であっても健常者と共通の操作画面で操作することのできる情報入力装置を提供する。
【解決手段】表示装置の画面上に透明なタッチパネル8を設けてなるタッチパネル式の情報入力装置において、タッチパネル8上の一部に画面探索を行なう画面探索モードに切換えるための画面探索開始検知領域17を設け、この領域17に指で触れられると画面探索モードにし、この画面探索モード中は、タッチパネル8上の接触された場所にある操作ボタンの意味を音声で読み上げて、スピーカから出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば、金融機関で用いられる現金自動支払機や現金自動預出金機などの自動取引装置などにおいて、取引情報などを入力するとともに操作案内情報などを表示するタッチパネル式の情報入力装置に関する。また、本発明は、上記情報入力装置を用いた現金自動支払機や現金自動預出金機などの自動取引装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、たとえば、銀行などの金融機関において、現金自動支払機や現金自動預出金機などの自動取引装置(いわゆるATM)の普及は目覚ましく、銀行営業店業務の70%近くを自動取引装置で処理するまでになっている。従来は、窓口を利用していた視覚障害などを持つ利用者も、窓口の開いていない土曜日や日曜日のみならず、通常日であっても自動取引装置を使いたい、銀行としても使って貰いたいというニーズが広がっている。そのため、当初は単純な入金や出金取引だけであったものが、振込み、振替取引や、公共料金の収受取引など、より複雑な取引に業務が拡大されている。
【0003】これに伴い、自動取引装置の操作は必然的に複雑にならざるを得ず、入力キーの数が増えてしまうという問題があった。これに対して、表示装置と入力装置とを一体にして、表示画面の表示部をタッチすることによって、所望の情報を入力できるタッチパネル式の情報入力装置が急速に普及して、複雑な取引における多用な各種キー操作を、表示を可変することによって実現できるようになった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のタッチパネル式の情報入力装置は、表示画面が見えないと絶対に使うことができない。そのために、たとえば、目の不自由な利用者(視覚障害者)は自動取引装置を利用することができない。すなわち、押下する位置や手順が視覚でしか確認できないため、視覚障害者など、視覚的に不自由な利用者は利用できないという問題があった。
【0005】これに対して、最近、たとえば、自動取引装置にテンキー付きのハンドセット通話装置を付加することにより、音声で操作を誘導し、たとえば「入金なら1、出金なら2のボタンを押して下さい」と音声案内して、利用者がテンキーを押すと言う具合に取引が行なえるようにした視覚障害者対応の自動取引装置も開発されているが、これは、通常の自動取引装置に対して、ハンドセットという付加装置が必要で、価格的にも高価になるので、大量の導入ができないという問題があった。
【0006】そこで、本発明は、簡単な構造で、視覚障害者であっても健常者と共通の操作画面で操作することのできる情報入力装置を提供することを目的とする。また、本発明は、簡単な構造で、視覚障害者であっても健常者と共通の操作画面で操作することのできる自動取引装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の情報入力装置は、入力項目としての複数の情報に対応した入力情報が表示される表示手段と、この表示手段上に設けられ、前記表示手段に表示されている複数の入力情報のうち所定の入力情報の表示箇所に対応する位置に接触することにより、その接触位置に対応した入力情報が示す情報を入力することができるタッチパネル入力手段と、このタッチパネル入力手段の一部に設定される画面探索開始検知領域と、この画面探索開始検知領域に接触されたことを検知すると、画面探索を行なう画面探索モードに設定するモード設定手段と、このモード設定手段で設定された画面探索モード時に、前記タッチパネル入力手段の前記表示手段に表示されている入力情報の表示箇所に対応する位置に接触されたことを検知すると、その入力情報に対応する音声を出力する音声出力手段とを具備している。
【0008】また、本発明の情報入力装置は、入力項目としての複数の情報に対応した入力情報が表示される表示手段と、この表示手段上に設けられ、前記表示手段に表示されている複数の入力情報のうち所定の入力情報の表示箇所に対応する位置に接触することにより、その接触位置に対応した入力情報が示す情報を入力することができるタッチパネル入力手段と、このタッチパネル入力手段の一部に設定される画面探索開始検知領域と、この画面探索開始検知領域に接触されたことを検知すると、画面探索を行なう画面探索モードに設定するモード設定手段と、このモード設定手段で設定された画面探索モード時に、前記画面探索開始検知領域に接触したままその接触位置が移動すると、その移動方向の位置を示す音を出力する音出力手段とを具備している。
【0009】また、本発明の自動取引装置は、利用者の操作により所定の取引を自動的に行なう自動取引装置において、利用者により取引内容を指定するために必要な取引情報に関係する複数の入力情報が表示される表示手段と、この表示手段上に設けられ、前記表示手段に表示されている複数の入力情報のうち所定の入力情報の表示箇所に対応する位置に接触することにより、その接触位置に対応した入力情報が示す取引情報を入力することができるタッチパネル入力手段と、このタッチパネル入力手段の一部に設定される画面探索開始検知領域と、この画面探索開始検知領域に接触されたことを検知すると、画面探索を行なう画面探索モードに設定するモード設定手段と、このモード設定手段で設定された画面探索モード時に、前記タッチパネル入力手段の前記表示手段に表示されている入力情報の表示箇所に対応する位置に接触されたことを検知すると、その入力情報に対応する音声を出力する音声出力手段とを具備している。
【0010】さらに、本発明の自動取引装置は、利用者の操作により所定の取引を自動的に行なう自動取引装置において、利用者により取引内容を指定するために必要な取引情報に関係する複数の入力情報が表示される表示手段と、この表示手段上に設けられ、前記表示手段に表示されている複数の入力情報のうち所定の入力情報の表示箇所に対応する位置に接触することにより、その接触位置に対応した入力情報が示す取引情報を入力することができるタッチパネル入力手段と、このタッチパネル入力手段の一部に設定される画面探索開始検知領域と、この画面探索開始検知領域に接触されたことを検知すると、画面探索を行なう画面探索モードに設定するモード設定手段と、このモード設定手段で設定された画面探索モード時に、前記画面探索開始検知領域に接触したままその接触位置が移動すると、その移動方向の位置を示す音を出力する音出力手段とを具備している。
【0011】本発明によれば、操作画面上の一部に画面探索を行なう画面探索モードに切換える画面探索開始検知領域を設け、この画面探索開始検知領域に触れると画面探索モードになり、この画面探索モード中は触れた箇所にある入力情報(操作ボタン)の意味を音声で読み上げて、視覚障害者に対し、いま触れている領域に何の入力情報(操作ボタン)があるかを通知することにより、視覚障害者であっても健常者と同じ画面で操作が可能となる。
【0012】また、本発明によれば、視覚障害者が、操作画面上のどの位置に触れているかを音で知らせることができる。また、健常者が操作する際は、健常者は画面探索モードに切換える画面探索開始検知領域を触れないため、この音が出力されない。このため、健常者と視覚障害者が同一の操作画面を用いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る自動取引装置(たとえば、銀行の営業店に設置され、入金、出金、振込、振替、残高照会、通帳記入などの取引が可能な現金自動預出金機)の外観を示すものである。図1において、筐体1の前面には、略L字形状の接客操作部2が形成されている。接客操作部2の垂直面2aには、紙幣を多数枚一括して投入し得るとともに、放出された紙幣を一括して受取る、開閉可能な蓋体を有する紙幣口3、および、硬貨を多数枚一括して投入し得るとともに、放出された硬貨を一括して受取る、開閉可能な蓋体を有する硬貨口4、取引媒体としての磁気通帳を受入れる通帳口5、暗証番号や口座番号などが記録されている取引媒体としての磁気カード、あるいは、振込取引時の振込券を受入れるとともに、取引内容を印字したレシート(明細票)を排出するカード口6、および、利用者に対して音声案内を行なう音声出力手段としてのスピーカ7などが設けられている。
【0014】また、接客操作部2の水平面2bには、表面に指を接触することにより所定の情報が入力できる矩形状の透明なタッチパネル8が設けられているとともに、その下面に相対向して表示手段としての矩形状の表示画面を有するカラー液晶表示装置9が設けられている。
【0015】液晶表示装置9は、操作案内手順、その他の情報を文字、文言、イラストあるいは画像情報によって画面にカラーで表示し、利用者の操作を誘導するとともに、取引に必要な各種取引情報を入力するための数字、片仮名文字、英文字などの各種操作キー(操作ボタン)を表示し、この表示された操作キーに対応するタッチパネル8のセグメント部位を指で触れることにより、所望のキー入力(各種取引情報の入力など)を行なうことができるようになっている。
【0016】ここに、上記タッチパネル8、および、液晶表示装置9は、本実施の形態に係るタッチパネル式の情報入力装置10を構成している。また、図2に示すように、タッチパネル8の一部、たとえば、左上の角部には、画面探索を行なう画面探索モードに切換えるための画面探索開始検知領域17が設けられていて、視覚障害者がこの画面探索開始検知領域17に指で接触すると、それを検知して画面探索モードに切換えるようになっている。
【0017】なお、図2は、タッチパネル8およびタッチパネル8に対する液晶表示装置9に表示された操作画面例を示していて、この例は取引種目選択画面であり、複数の取引種目選択用の操作ボタン18が表示されている場合を示している。
【0018】一方、筐体1の内部には、通帳口5と対応して通帳プリンタユニット11が、カード口6と対応してカードリーダ・レシートプリンタユニット12が、紙幣口3と対応して紙幣入出金ユニット13が、硬貨口4と対応して硬貨入出金ユニット14が、それぞれ設けられている。また、筐体1内の下部には、本装置の制御を司る制御ユニット15が設けられている。
【0019】図3は、上記した自動取引装置の全体的な構成を概略的に示すもので、情報入力装置10、通帳プリンタユニット11、カードリーダ・レシートプリンタユニット12、紙幣入出金ユニット13、硬貨入出金ユニット14、音声案内ユニット16、タッチパネル制御部21、表示制御部22、記憶部23、伝送制御部24、および、これら全体の制御を司る主制御部25などによって構成される。
【0020】情報入力装置10は、前述したように、タッチパネル8、および、液晶表示装置9などによって構成されており、詳細については後述する。通帳プリンタユニット11は、通帳口5から受入れた通帳の磁気ストライプに対してデータの読取りあるいは書込みを行なうとともに、必要に応じて該通帳への印字を行なう。
【0021】カードリーダ・レシートプリンタユニット12は、カード口6から受入れた磁気カードあるいは振込券の磁気ストライプに対してデータの読取りあるいは書込みを行なう。また、取引内容を印字したレシートを発行し、カード口6から排出する。
【0022】紙幣入出金ユニット13は、紙幣口3に一括して投入された紙幣を受入れて判別・計数して収納するとともに、必要に応じて、あらかじめ金庫に収納された紙幣を所定枚数だけ取出して紙幣口3から一括して払出す。
【0023】硬貨入出金ユニット14は、硬貨口4に一括して投入された硬貨を受入れて判別・計数して収納するとともに、必要に応じて、あらかじめ金庫に収納された硬貨を所定枚数だけ取出して硬貨口4から一括して払出す。
【0024】音声案内ユニット16は、前記スピーカ7から音声により利用者の操作を誘導する案内を行なう。タッチパネル制御部21は、前記タッチパネル8を制御する。表示制御部22は、前記液晶表示装置9を制御する。
【0025】記憶部23は、各種データの記憶に用いられるとともに、本装置の運用に係る処理手順のプログラムの格納、取引に供する各種の情報や取引の記録、本装置の稼働状況の記録などを行なう。
【0026】伝送制御部24は、通信回線26を介してセンタの預金元帳としてのホストコンピュータ27とオンライン接続されていて、必要に応じてホストコンピュータ27とオンライン交信するようになっている。
【0027】主制御部25は、記憶部23内のプログラム情報を参照しつつ、情報入力装置10、各ユニット11〜14,16、および、伝送制御部24を制御して、入金あるいは出金など、所定の取引動作を行なわしめる。
【0028】ここで、情報入力装置10の動作原理について、図4ないし図6を用いて説明する。タッチパネル8は、透明な板体で構成されおり、その表面には目視しがたい形で、破線で区分されるようなスイッチセグメント41が存在する。図4は従来から周知の電極形の一例で、X軸とY軸方向にそれぞれ透明な電極が埋め込まれており、操作者が指42で特定のセグメントを押下すると、X軸とY軸の各接点43,44の所定部位の抵抗値が変化することによりオンして、どのセグメントが押されたかを認識することができるようになっている。
【0029】また、最近では、たとえば、図5に示すような光線形の例もあり、これらは、タッチパネル8の上方の開口部45の側面の一方に埋設された複数の発光素子46X,46Yから赤外光などの光線を送出し、対向する他方の側面に埋設された複数の受光素子47X,47Yでその光を受光することにより、操作者の指がタッチパネル8の表面にあるときに遮光された位置からどのスイッチセグメントを指がさし示したかを認識することができるようになっている。
【0030】なお、図4、図5の各スイッチセグメント41は、それぞれ説明のために縦横の数を粗く示しているが、実際には電極や光源と受光素子との間隔を密にすることにより、もっとスイッチセグメントを細かく分布させるようになっている場合もある。
【0031】図6は、タッチパネル8に対する液晶表示装置9の表示画面例であって、操作者に金額を入力させるための案内表示と、入力に必要なテンキー(数字キー)と、[万],[千],[円]の操作キーがそれぞれ表示されている場合を示している。
【0032】次に、動作の概略について説明する。視覚障害者は、まずタッチパネル8上の画面探索開始検知領域17に指で触れ、タッチパネル8上から指を離さずに画面上を指でなぞる。なぞっている間に表示されている操作ボタン領域に指が入ったら、スビーカ7から操作ボタン上に書いてある文字を音声で出力する。
【0033】もし、この操作ボタンが希望の操作ボタンであったら、視覚障害者は一度タッチパネル8上から指を離し、再度同じ位置を触れることで希望の操作ボタンを選択する。この方法により、視覚障害者へ画面(タッチパネル8)上のどの位置に目的の操作ボタンが存在するかを提示することができる。
【0034】以下、図7に示すフローチヤートを用いて上記動作の処理について具体的に説明する。まず、主制御部25は、液晶表示装置9に操作画面を表示し(S1)、タッチパネル8により接触位置を検知するのを待機する。なお、この説明では、たとえば、図2に示す取引種目選択用の操作画面が表示されたものとして説明する。
【0035】主制御部25が、タッチパネル8上の接触位置を検知すると(S2)、その接触位置が画面探索開始検知領域17に含まれるか否かを判別する(S3)。ここで、もし操作者が直接希望の取引を選択した場合、接触位置は画面探索開始検知領域17内ではなく、接触された場所に操作ボタンがあるため(S4,S5,)、この操作ボタンにしたがった取引処理を行なう(S6)。
【0036】また、もし操作者が画面探索開始検知領域17に触れた場合、主制御部25は、操作者は視覚障害者であるとして、画面探索モードを設定し、引続きタッチパネル8から接触位置の移動を検知する(S7)。そして、指の接触位置が操作ボタン領域に入ったことを検知すると(S8,S9)、主制御部25は、音声案内ユニット16により、操作ボタン上に書かれている文字(取引名)を音声で読み上げる処理を行なう(S10)。
【0037】また、操作者の指がタッチパネル8上から離れたことを検知すると(S8)、主制御部25は、画面探索モードを解除して、ステップS1の接触位置検出処理に戻る。そして、指が操作ボタン上に触れたことを検知すると(S4)、主制御部25は、以前に画面探索モードに入っていた場合には(S5)、再度、操作ボタン上に書かれている文字(取引名)を読み上げ(S11)、取引処理を行なう(S6)。
【0038】これにより、一度、操作画面から指を離して再度操作ボタンに触れた場合に、実際に選択された取引名を音声で確認した上で、取引処理を行なうことができる。また、この場合、たとえば、画面探索モード時に出力する音声は男性の声で、画面探索モードではないときに出力する音声は女性の声で行なうことで、画面上の操作ボタンを探すときと実際に選択したときとを区別することができる。
【0039】また、画面探索開始検知領域17に触れたことを視覚障害者に通知するため、画面探索開始検知領域17内のタッチパネル8上に凹凸を設けたり、あるいは、画面探索開始検知領域17を触れると特定の音を出力することにより、よりわかり易くなる。
【0040】一方、暗証番号の入力操作など、他人には聞かれたくない操作内容の場合、音声で操作ボタンの意味を出力するのは適切でない場合がある。このような場合、現在、操作者がタッチパネル8上のどの位置を触れているのかを音で通知する方法を用いる。
【0041】まず、動作の概略について説明する。視覚障害者は、まずタッチパネル8上の画面探索開始検知領域17に指で触れる。ここで、視覚障害者は、指を離さずにタッチパネル8上を指でなぞる。このとき、タッチパネル8上における指の位置のX座標19X、Y座標19Yをそれぞれ検知する。そしてX座標の位置を示す音とY座標の位置を示す音を連続してスピーカ7から出力する。
【0042】このときの、それぞれの座標の位置を示す音は、たとえば、図8に示すように表わされる。この図8では、X座標、Y座標の位置と音階の対応関係が示されている。また、X座標に対応する音階とY座標に対応する音階との間では1オクターブのずれがある。このため、視覚障害者がタッチパネル8上で自分の触れている位置を正確に把握することができる。
【0043】以下、図9に示すフローチヤートを用いて上記動作の処理について具体的に説明する。まず、主制御部25は、液晶表示装置9に操作画面を表示し(S21)、タッチパネル8により接触位置を検知するのを待機する。なお、この説明では、たとえば、図2に示す取引種目選択用の操作画面が表示されたものとして説明する。
【0044】主制御部25が、タッチパネル8上の接触位置を検知すると(S22)、その接触位置が画面探索開始検知領域17に含まれるか否かを判別する(S23)。ここで、もし操作者が直接希望の取引を選択した場合、接触位置は画面探索開始検知領域17内ではなく、接触された場所に操作ボタンがあるため(S24,S25)、この操作ボタンにしたがった取引処理を行なう(S26)。
【0045】また、もし操作者が画面探索開始検知領域17に触れた場合、主制御部25は、操作者は視覚障害者であるとして、画面探索モードを設定し、引続きタッチパネル8から接触位置の移動を検知し(S27)、音声案内ユニット16により、その検知した位置に応じた音を発振する音発振処理を行なう(S28,S29)。
【0046】また、操作者の指がタッチパネル8上から離れたことを検知すると(S28)、主制御部25は、画面探索モードを解除して、ステップS21の接触位置検出処理に戻る。そして、指が操作ボタン上に触れたことを検知すると(S24)、主制御部25は、以前に画面探索モードに入っていた場合には(S25)、再度、音発振処理を行ない(S30)、取引処理を行なう(S26)。
【0047】これにより、一度画面から指を離して再度、操作ボタンに触れた場合に、そのときの座標位置を音で確認した上で、取引処理を行なうことができる。図10は、ステップS29,S30における音発振処理を説明するフローチャートを示している。この処理では、まず、X座標を取得したら(S31)、図9の座標位置と音階との対応関係にしたがってX座標の位置に対応した音階を取得し(S32)、スピーカ7から音を出力する(S33)。次に、Y座標を取得し(S34)、Y座標の位置に対応した音階を取得し(S35)、スピーカ7から音を出力する(36)。
【0048】これにより、X座標とY座標の位置を示す音が連続して出力され、視覚障害者は現在自分が触れている位置を音で把握することができる。以上説明したように上記実施の形態によれば、タッチパネル上の一部に画面探索を行なう画面探索モードに切換えるための画面探索開始検知領域を設け、この領域に触れられると画面探索モードになり、この画面探索モード中は接触された場所にある操作ボタンの意味を音声で読み上げることで、視覚障害者に対し、いま触れている領域に何の操作ボタンがあるかを通知して、健常者と同じ画面で操作が可能となる。
【0049】また、画面探索を行なう画面探索モードに切換える際に、指を画面探索開始検知領域に触れることで画面探索モードに入り、指を離すことで画面探索モードを解除することで、画面探索モードの切換えを容易にすることができる。
【0050】また、タッチパネル上の操作ボタンが押下された際に、どの操作ボタンが選択されたかを音声で出力することで、視覚障害者が選択した操作ボタンを確認することができる。
【0051】また、画面探索モードでタッチパネル上の操作ボタンを探している状態と、実際に操作ボタンを選択した状態とで、音声の性質を変えることで、視覚障害者が選択したことを区別することができる。
【0052】また、画面探索開始検知領域に凹凸パターンを設けることにより、視覚障害者が画面探索モードに切換える領域に触れたことを、接触感覚を用いて知ることができる。
【0053】また、画面探索開始検知領域に触れたとき、触れたことを示す音を出力することにより、視覚障害者が画面探索モードに切換える領域に触れたことを音によって知ることができる。
【0054】また、視覚障害者がタッチパネル上のどの位置に触れているかを音でしらせることができる。また、健常者が操作する際は、画面探索モードに切換える領域(画面探索開始検知領域)を触れないため、この音が出力されない。このため、健常者と視覚障害者が同一の操作画面を用いることができる。
【0055】また、タッチパネル上の縦方向の接触位置を示す音と横方向の接触位置を示す音とを区別できるようにすることで、視覚障害者に座標を正しく音で通知することができる。
【0056】なお、前記実施の形態では、現金自動支払機や現金自動預出金機などの自動取引装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、たとえば、利用者の操作により乗車券や食券などを自動的に販売する券売機、あるいは、利用者の操作により飲料水などの物品を自動的に販売する自動販売機などの自動取引装置にも同様に適用できる。
【0057】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、簡単な構造で、視覚障害者であっても健常者と共通の操作画面で操作することのできる情報入力装置を提供できる。また、本発明によれば、簡単な構造で、視覚障害者であっても健常者と共通の操作画面で操作することのできる自動取引装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動取引装置の外観構成を示す斜視図。
【図2】タッチパネルおよびタッチパネルに対する液晶表示装置に表示された操作画面例を示す図。
【図3】自動取引装置の全体的な構成を概略的に示すブロック図。
【図4】情報入力装置の動作原理を説明するための図。
【図5】情報入力装置の他の動作原理を説明するための図。
【図6】タッチパネルに対する液晶表示装置の表示画面例を示す図。
【図7】タッチパネル上において現在指が触れている位置に存在する操作ボタンの意味を音声で読み上げる処理を説明するフローチャート。
【図8】タッチパネル上の座標位置と出力する音声の音階との対応関係を示す図。
【図9】タッチパネル上において現在指が触れている座標位置を音で通知する処理を説明するフローチャート。
【図10】図9における音発振処理を説明するフローチャート。
【符号の説明】
1……筐体、2……接客操作部、3……紙幣口、4……硬貨口、5……通帳口、6……カード口、7……音声案内用のスピーカ、8……タッチパネル、9……カラー液晶表示装置、10……情報入力装置、11……通帳プリンタユニット、12……カードリーダ・レシートプリンタユニット、13……紙幣入出金ユニット、14……硬貨入出金ユニット、15……制御ユニット、16……音声案内ユニット、17……画面探索開始検知領域、18……操作ボタン、21……タッチパネル制御部、22……表示制御部、23……記憶部、25……主制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力項目としての複数の情報に対応した入力情報が表示される表示手段と、この表示手段上に設けられ、前記表示手段に表示されている複数の入力情報のうち所定の入力情報の表示箇所に対応する位置に接触することにより、その接触位置に対応した入力情報が示す情報を入力することができるタッチパネル入力手段と、このタッチパネル入力手段の一部に設定される画面探索開始検知領域と、この画面探索開始検知領域に接触されたことを検知すると、画面探索を行なう画面探索モードに設定するモード設定手段と、このモード設定手段で設定された画面探索モード時に、前記タッチパネル入力手段の前記表示手段に表示されている入力情報の表示箇所に対応する位置に接触されたことを検知すると、その入力情報に対応する音声を出力する音声出力手段と、を具備したことを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】 前記モード設定手段は、前記画面探索開始検知領域に操作者が指で触れたことを検知すると画面探索モードに設定し、前記操作者の指が接触したままの状態で移動して任意の位置で離れたことを検知すると画面探索モードを解除することを特徴とする請求項1記載の情報入力装置。
【請求項3】 前記音声出力手段は、画面探索モードに設定された後に、画面探索モードが解除された状態で、前記タッチパネル入力手段の前記表示手段に表示されている入力情報の表示箇所に対応する位置に接触されたことを検知すると、その入力情報に対応する音声を出力することを特徴とする請求項1または2記載の情報入力装置。
【請求項4】 前記音声出力手段は、画面探索モード時に出力する音声と、画面探索モードが解除された状態時に出力する音声とで、音声の性質を変えることを特徴とする請求項3記載の情報入力装置。
【請求項5】 前記画面探索開始検知領域内に凹凸パターンを設けたことを特徴とする請求項1記載の情報入力装置。
【請求項6】 前記画面探索開始検知領域に接触したとき、その旨を示す音を出力する音出力手段を更に具備したことを特徴とする請求項1記載の情報入力装置。
【請求項7】 入力項目としての複数の情報に対応した入力情報が表示される表示手段と、この表示手段上に設けられ、前記表示手段に表示されている複数の入力情報のうち所定の入力情報の表示箇所に対応する位置に接触することにより、その接触位置に対応した入力情報が示す情報を入力することができるタッチパネル入力手段と、このタッチパネル入力手段の一部に設定される画面探索開始検知領域と、この画面探索開始検知領域に接触されたことを検知すると、画面探索を行なう画面探索モードに設定するモード設定手段と、このモード設定手段で設定された画面探索モード時に、前記画面探索開始検知領域に接触したままその接触位置が移動すると、その移動方向の位置を示す音を出力する音出力手段と、を具備したことを特徴とする情報入力装置。
【請求項8】 前記移動方向は横方向および縦方向であり、前記音出力手段は、横方向の位置を示す音と縦方向の位置を示す音とで、音の性質を変えることを特徴とする請求項7記載の情報入力装置。
【請求項9】 利用者の操作により所定の取引を自動的に行なう自動取引装置において、利用者により取引内容を指定するために必要な取引情報に関係する複数の入力情報が表示される表示手段と、この表示手段上に設けられ、前記表示手段に表示されている複数の入力情報のうち所定の入力情報の表示箇所に対応する位置に接触することにより、その接触位置に対応した入力情報が示す取引情報を入力することができるタッチパネル入力手段と、このタッチパネル入力手段の一部に設定される画面探索開始検知領域と、この画面探索開始検知領域に接触されたことを検知すると、画面探索を行なう画面探索モードに設定するモード設定手段と、このモード設定手段で設定された画面探索モード時に、前記タッチパネル入力手段の前記表示手段に表示されている入力情報の表示箇所に対応する位置に接触されたことを検知すると、その入力情報に対応する音声を出力する音声出力手段と、を具備したことを特徴とする自動取引装置。
【請求項10】 前記モード設定手段は、前記画面探索開始検知領域に操作者が指で触れたことを検知すると画面探索モードに設定し、前記操作者の指が接触したままの状態で移動して任意の位置で離れたことを検知すると画面探索モードを解除することを特徴とする請求項9記載の自動取引装置。
【請求項11】 前記音声出力手段は、画面探索モードに設定された後に、画面探索モードが解除された状態で、前記タッチパネル入力手段の前記表示手段に表示されている入力情報の表示箇所に対応する位置に接触されたことを検知すると、その入力情報に対応する音声を出力することを特徴とする請求項9または10記載の自動取引装置。
【請求項12】 前記音声出力手段は、画面探索モード時に出力する音声と、画面探索モードが解除された状態時に出力する音声とで、音声の性質を変えることを特徴とする請求項11記載の自動取引装置。
【請求項13】 前記画面探索開始検知領域内に凹凸パターンを設けたことを特徴とする請求項9記載の自動取引装置。
【請求項14】 前記画面探索開始検知領域に接触したとき、その旨を示す音を出力する音出力手段を更に具備したことを特徴とする請求項9記載の自動取引装置。
【請求項15】 利用者の操作により所定の取引を自動的に行なう自動取引装置において、利用者により取引内容を指定するために必要な取引情報に関係する複数の入力情報が表示される表示手段と、この表示手段上に設けられ、前記表示手段に表示されている複数の入力情報のうち所定の入力情報の表示箇所に対応する位置に接触することにより、その接触位置に対応した入力情報が示す取引情報を入力することができるタッチパネル入力手段と、このタッチパネル入力手段の一部に設定される画面探索開始検知領域と、この画面探索開始検知領域に接触されたことを検知すると、画面探索を行なう画面探索モードに設定するモード設定手段と、このモード設定手段で設定された画面探索モード時に、前記画面探索開始検知領域に接触したままその接触位置が移動すると、その移動方向の位置を示す音を出力する音出力手段と、を具備したことを特徴とする自動取引装置。
【請求項16】 前記移動方向は横方向および縦方向であり、前記音出力手段は、横方向の位置を示す音と縦方向の位置を示す音とで、音の性質を変えることを特徴とする請求項15記載の自動取引装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図3】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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