説明

情報共有システム、情報管理装置およびプログラム

【課題】複数の携帯型の端末によって文書を共有する場合に適合した情報共有の仕組みを
提供する。
【解決手段】情報管理装置11は、複数の情報表示装置21a、21bに対して、文書を
表す文書ファイルを送信する。その後、情報管理装置11は、送信した文書ファイルが表
す文書のうちの、それぞれの情報表示装置21a、21bのユーザが閲覧すべき箇所とそ
の順序とを示す案内情報を生成する。この案内情報は、それぞれのユーザ毎に異なる内容
となる。そして、情報管理装置11は、生成した案内情報をそれぞれの情報表示装置21
a、21bに送信する。また、情報表示装置21a、21bは、案内情報を受信すると、
案内情報が示す内容にしたがった表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザが共同で文書を取り扱うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
文書の共有を管理する管理装置と、複数のユーザが文書を閲覧するための複数の端末と
を有するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムによ
れば、紙にプリントした文書を閲覧する場合よりも効率的に文書の共有を行うことができ
る。また、このようなシステムは、膨大なページ数の文書を共有する場合に特に効果的で
ある。
【特許文献1】特開2004−199446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ユーザがいつでも手軽に文書を閲覧するためには、閲覧する端末は可搬性の
携帯型端末であることが望ましいといえる。このような端末を用いた場合には、特許文献
1に記載された場合とは異なる事情が存在する。例えば、携帯型の端末である場合は、ネ
ットワークに常時接続されるとは限らず、また、通信量や通信速度にも制限があることが
多い。そのため、特許文献1に記載の技術のように、ネットワークへの常時接続を前提と
し、ある程度の通信量を必要とするシステムでは不都合があった。
また、文書のページ数が膨大である場合、全てのユーザが文書の全体に目を通すのは効
率的でないから、各ユーザについて割り当てを決め、分担して作業を行うことがよくある
。しかし、携帯型の端末である場合、端末の機能や処理能力が制限されることも多いため
、分担の仕方や文書の体裁によっては、ユーザが自身に割り当てられた箇所を特定するの
が容易でないこともあった。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の携帯型の端末に
よって文書を共有する場合に適合した情報共有の仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した目的を達成するため、本発明は、情報管理装置と複数の情報表示装置とを備え
る情報共有システムであって、前記情報管理装置は、1または複数のページを有する文書
を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別する文書識別情報とを記憶する第1の記
憶手段と、前記第1の記憶手段に記憶された文書ファイルが表す文書のうちの閲覧すべき
箇所を示す案内情報を、前記情報表示装置毎に生成する生成手段と、前記第1の記憶手段
に記憶された文書ファイルと当該文書情報の文書識別情報とを出力する第1の出力手段と
、前記生成手段により生成された案内情報のいずれかと、前記第1の記憶手段に記憶され
た文書識別情報とを出力する第2の出力手段とを備え、各々の前記情報表示装置は、前記
第1の出力手段により出力された文書ファイルと文書識別情報とを取得する第1の取得手
段と、前記第2の出力手段により出力された案内情報と文書識別情報とを取得する第2の
取得手段と、前記第1の取得手段により取得された文書ファイルと文書識別情報とを関連
付けて記憶するとともに、前記第2の取得手段により当該文書識別情報とともに取得され
た案内情報を当該文書ファイルに関連付けて記憶する第2の記憶手段と、前記第2の記憶
手段に記憶された文書ファイルが表す文書を表示する表示手段と、前記第2の記憶手段に
記憶された文書ファイルが表す文書を、当該文書ファイルに関連付けられて記憶された前
記案内情報が示す内容にしたがって表示するように前記表示手段を制御する表示制御手段
とを備える情報共有システムを提供する。
かかる情報共有システムによれば、情報管理装置が、各々の情報表示装置により閲覧す
べき箇所を示す案内情報を生成し、これを出力する。これにより、各々の情報表示装置は
、この案内情報が示す内容にしたがって文書を表示し、必要な箇所の閲覧を容易ならしめ
ることが可能となる。
【0005】
また、本発明は、1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書
ファイルを識別する文書識別情報とを記憶する第1の記憶手段と、前記記憶手段に記憶さ
れた文書ファイルが表す文書のうちの閲覧すべき箇所を示す案内情報を、当該文書ファイ
ルを取得して当該文書を表示する情報表示装置毎に生成する生成手段と、前記記憶手段に
記憶された文書ファイルと当該文書ファイルの文書識別情報とを出力する第1の出力手段
と、前記生成手段により生成された案内情報のいずれかと、前記記憶手段に記憶された文
書識別情報とを出力する第2の出力手段とを備える情報管理装置を提供する。
かかる情報管理装置によれば、各々の情報表示装置により閲覧すべき箇所を示す案内情
報を生成し、これを出力することができるので、各々の情報表示装置において、この案内
情報が示す内容にしたがって文書を表示し、必要な箇所の閲覧を容易ならしめることが可
能となる。
【0006】
また、本発明において、前記生成手段が、その示す箇所が重複しないように複数の前記
案内情報を生成する構成を採用してもよい。この構成によれば、各々の情報表示装置にお
いて相異なる箇所を閲覧することができるので、文書の閲覧を効率的に行うことが可能と
なる。特に、文書の内容が膨大である場合は、このような構成であると望ましい。
【0007】
また、本発明において、前記情報管理装置が、前記情報表示装置において前記文書のあ
る箇所に当該文書とともに表示される情報を表す付加情報を取得する取得手段をさらに備
え、前記生成手段が、前記取得手段により取得された付加情報が表示される箇所を前記閲
覧すべき箇所として含む前記案内情報を生成する構成を採用してもよい。この構成によれ
ば、例えば、ユーザが文書に対して付記を行った場合に、その付記を行った箇所の確認を
容易ならしめることが可能となる。
【0008】
また、本発明において、前記生成手段が、ある情報表示装置について、その示す箇所が
異なる複数の前記案内情報を生成し、前記第2の出力手段が、前記生成手段により生成さ
れた前記複数の案内情報を前記ある情報表示装置に対して出力する構成を採用してもよい
。この構成によれば、情報表示装置において、同一の文書を異なる態様(順序等)で表示
させることが可能となる。
【0009】
また、本発明は、上述した情報管理装置が実現する機能をコンピュータに実現させるた
めのプログラムとしても提供され、また、このプログラムを記録媒体に記憶させたり、あ
るいはネットワークを介してダウンロードさせたりする態様によっても提供される。すな
わち、本発明は、コンピュータを、1または複数のページを有する文書を表す文書ファイ
ルが表す文書のうちの閲覧すべき箇所を示す案内情報を、当該文書ファイルを取得して当
該文書を表示する情報表示装置毎に生成する生成手段と、前記文書ファイルと当該文書フ
ァイルを識別する文書識別情報とを出力する第1の出力手段と、前記生成手段により生成
された案内情報のいずれかと、前記文書識別情報とを出力する第2の出力手段として機能
させるためのプログラムとしても提供され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[実施形態の構成]
図1は、本発明の一実施形態である情報共有システム100の全体構成を概略的に示す
ブロック図である。同図に示すように、この情報共有システム100は、コンテンツサー
バ41と、第1ネットワーク31と、情報管理装置11と、PC12と、第2ネットワー
ク32と、第3ネットワーク33と、複数のユーザ端末22a、22bと、複数の情報表
示装置21a、21bとを備える。なお、ユーザ端末22a、22bおよび情報表示装置
21a、21bは、記載を省略するものの、実際には図示したよりも多く存在し得る。
【0011】
第1ネットワーク31は、コンテンツサーバ41と情報管理装置11とを接続するネッ
トワークである。第1ネットワーク31としては、例えば、インターネットや専用線が用
いられる。第2ネットワーク32は、情報管理装置11と複数のユーザ端末22aとを接
続するネットワークである。第2ネットワーク32としては、例えばインターネットが用
いられる。第3ネットワーク33は、情報管理装置11と複数のユーザ端末22bとを接
続するネットワークである。第3ネットワーク33としては、例えば移動体通信網等の無
線通信ネットワークが用いられる。
【0012】
コンテンツサーバ41は、コンテンツをダウンロードするサービスを提供するためのサ
ーバ装置であり、複数のコンテンツを記憶している。このサービスは、所定の事業者によ
り提供されるものである。コンテンツサーバ41が記憶するコンテンツとは、文書を表す
文書ファイルである。各々の文書ファイルには、キーワード等の所定の検索条件が関連付
けられており、このサービスを利用する者は、検索条件を適宜指定して所望の文書ファイ
ルをダウンロードすることが可能になっている。なお、コンテンツサーバ41が提供する
このサービスのことを、以下では「文書検索サービス」という。
【0013】
情報管理装置11およびPC(Personal Computer)12は、企業や事務所等の所定の
団体により利用されるコンピュータ装置であり、図示せぬルータやその他のコンピュータ
とともにLAN(Local Area Network)等の内部ネットワークを構成している。情報管理
装置11は、この内部ネットワークを管理するとともに、第1ネットワーク31、第2ネ
ットワーク32または第3ネットワーク33を介したデータの送受信を制御するサーバ装
置である。また、情報管理装置11は、複数の文書ファイルを記憶する文書データベース
DB1を有する。PC12は、コンテンツサーバ41により提供される文書検索サービス
を利用する者(以下「サーチャ」という。)が操作するコンピュータ装置である。PC1
2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM
(Random Access Memory)等を備えた制御部に加え、液晶ディスプレイ、キーボードおよ
びマウス等を備えており、文書ファイルの検索やダウンロードを実行できるように構成さ
れている。
【0014】
ユーザ端末22a、22bおよび情報表示装置21a、21bは、それぞれ、上述した
所定の団体に属する者が利用する端末である。ユーザ端末22a、22bおよび情報表示
装置21a、21bの利用者のことを、以下では「ユーザ」という。ユーザ端末22aは
、いわゆるノートPC等の携帯可能なコンピュータ装置であり、ユーザ端末22bは、い
わゆるスマートフォン等の移動体通信端末である。ユーザ端末22a、22bは、それぞ
れ、情報表示装置21a、21bとデータの送受信を行うためのインタフェースを備える
。このインタフェースとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠し
たシリアルインタフェースに加え、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth
(登録商標)などに準拠した無線インタフェースを用いることができる。情報表示装置2
1a、21bは、文書ファイルが表す文書を表示する携帯可能な表示装置である。情報表
示装置21aは、ユーザ端末22aとデータの送受信が可能であり、情報表示装置21b
は、ユーザ端末22bとデータの送受信が可能である。
【0015】
続いて、情報管理装置11および情報表示装置21a、21bの構成をより詳細に説明
する。なお、以下において、情報表示装置21a、21bを区別する必要のない場合には
、これらを総称して「情報表示装置21」という。また、同様に、ユーザ端末22a、2
1bを区別する必要のない場合には、これらを総称して「ユーザ端末22」という。
【0016】
図2は、情報管理装置11の構成を示すブロック図である。同図に示すように、情報管
理装置11は、CPU111と、ROM112と、RAM113と、HDD(Hard Disk
Drive)114と、インタフェース115とを備える。CPU111は、ROM112や
HDD114に記憶されたプログラムを実行することにより、情報管理装置11の各部を
制御するとともに、文書ファイルに関する所定の処理を実行する。RAM113は、CP
U111がプログラムを実行する際に、CPU111のワークエリアとして機能する。H
DD114は、CPU111が実行するプログラムを記憶するとともに、ユーザに関する
情報であるユーザ情報を記憶する。また、HDD114は、上述した文書データベースD
B1を実現するための記憶領域を有し、この記憶領域に文書ファイルを蓄積する。インタ
フェース115は、第1ネットワーク31、第2ネットワーク32および第3ネットワー
ク33を介してデータの送受信を行うためのインタフェース装置である。
【0017】
ここで、HDD114に記憶された文書ファイルについて説明する。文書ファイルは、
複数のページの文書を表すデータの集合である。すなわち、文書ファイルは、1ファイル
に複数ページのデータが含まれ得る、いわゆるマルチページファイルである。文書ファイ
ルを構成するデータのうち、各ページの文書を表すデータのことを、以下では「文書情報
」という。すなわち、文書ファイルは、複数ページ分の文書情報を含むものである。なお
、文書ファイルは、単一の文書からなるものであってもよいし、複数の異なる文書を単一
のファイルとしたものであってもよい。
【0018】
文書情報は、文書の実体的な内容である文字や画像を表すデータに加え、文書の区切り
を示す属性的なデータを含み得る。この、文書の区切りを示すデータのことを、以下では
「セクション情報」という。セクション情報は、その全体により、文書がどのようなセク
ション(区分、項など)により構成されるかを示すとともに、個々のセクション情報は、
各々の文書情報がどのセクションに属しているかを示す。例えば、ある文書ファイルが、
「第1章」、「第2章」というような「章」毎に区切ることのできる文書を表している場
合であれば、「セクション情報」は、この「章」を表す情報として定義することができる
。もちろん、この例に限らず、所定数のページ毎に異なるセクションとしてもよいし、文
書毎に任意のセクションを定義してもよい。例えば、文書ファイルが複数の異なる文書を
単一のファイルとしたものである場合、それぞれの文書をセクションとして区切るよう定
義してもよい。
なお、説明の便宜上、本実施形態においては、文書ファイルの冒頭のセクションを「第
1セクション」といい、以下順番に「第2セクション」、「第3セクション」というよう
に続くものとする。なお、各々のセクション情報は、当該セクションの見出しに相当する
文字列(例えば「第1章」等)を含むと、より望ましい。
【0019】
また、文書ファイルは、所定のフォーマットのデータとなっている。文書ファイルは、
コンテンツサーバ41からダウンロードされるときには、例えばPDF(Portable Docum
ent Format)のような汎用的なフォーマットとなっている。一方、文書ファイルは、情報
表示装置21a、21bに送信されるときには、専用のフォーマットに変換される。CP
U111は、文書ファイルのフォーマットを変換する機能を有しており、HDD114に
記憶された文書ファイルのフォーマットを適当なタイミングで変換する。
【0020】
フォーマット変換後の文書ファイルは、変換前と同数のページの文書情報を含むマルチ
ページファイルである。また、この文書ファイルは、文書を識別するための文書識別情報
を含んでいる。この文書識別情報は、文書ファイルのファイル名であってもよいし、文書
ファイルにヘッダ情報のようにして埋め込まれてもよい。
また、フォーマット変換後の文書ファイルは、各々の文書情報に関連付けられた付加情
報を含み得る。付加情報とは、文書の各ページに付加することのできる情報であり、所定
の表示態様で表示される。付加情報には、文書の指定されたページに対して付加される情
報と、文書の指定されたページの指定された位置に付加される情報とがあるが、詳細につ
いては後述する。
【0021】
なお、文書ファイルは、ネットワークを介して通信されるという観点からいえば、その
容量が小さいことが望ましい。この観点からいえば、CPU111は、文書ファイルを、
所定の圧縮方式により圧縮されたフォーマットのデータに変換するのが望ましい。また、
文書の内容の秘密を確保するためには、CPU111は、文書ファイルを、所定の暗号化
方式により暗号化されたフォーマットのデータに変換するのが望ましい。しかし、圧縮処
理や暗号化処理を行った場合には、情報表示装置21が伸張(解凍)処理や復号処理を実
行する必要を生じる。そのため、情報表示装置21のCPU111の処理能力などが制限
される場合には、圧縮処理や暗号化処理を行わないフォーマットの文書ファイルとしても
よい。
【0022】
続いて、HDD114に記憶されたユーザ情報について説明する。
図3は、ユーザ情報の一例を示す図である。ユーザ情報は、情報表示装置21の各ユー
ザに個別に割り当てられたデータを含む。具体的には、ユーザ情報は、ユーザ識別情報と
、アドレス情報と、文書識別情報とを含むデータのセットである。HDD114は、この
ようなユーザ情報を情報表示装置21のユーザ毎に記憶している。
【0023】
ユーザ識別情報は、情報表示装置21の各ユーザを一意的に識別する情報である。ユー
ザ識別情報は、あらかじめ情報表示装置21の各ユーザに割り当てられた文字列等のデー
タである。また、アドレス情報は、データの送信先を表す情報であり、情報表示装置21
の各ユーザと一意的に関連付けられている。このアドレス情報としては、例えば、ユーザ
端末22aのIP(Internet Protocol)アドレスやユーザ端末22bのメールアドレス
を用いることができる。また、ユーザ情報に含まれる文書識別情報は、そのユーザ情報に
より特定されるユーザによって閲覧されるべき文書を表す。例えば、図3の第1行が表す
ユーザ情報を例に挙げれば、このユーザ情報により特定されるユーザのユーザ識別情報は
「usr1」、そのアドレス情報は「X」であり、当該ユーザは、文書識別情報が「fi
le1」である文書ファイルにより表される文書を閲覧する予定にあるということである

【0024】
次に、情報表示装置21の構成を説明する。
図4は、情報表示装置21の構成を示すブロック図である。同図に示すように、情報表
示装置21は、電源部210と、CPU211と、ROM212と、RAM213と、フ
ラッシュメモリ214と、インタフェース215と、操作部216と、表示体コントロー
ラ217と、記憶性表示体218と、タッチスクリーン219とを備える。
【0025】
電源部210は、バッテリと電力制御回路とを備え、情報表示装置21の作動に要する
電力を供給する。電源部210のバッテリは、二次電池であると望ましい。CPU211
は、ROM212やフラッシュメモリ214に記憶されたプログラムを実行することによ
り、文書ファイルに各種処理を施して記憶性表示体218に文書情報を表示させるための
制御を行う。RAM213は、CPU211がプログラムを実行する際に、CPU211
のワークエリアとして機能する。フラッシュメモリ214は、書き換え可能な記憶媒体で
あり、CPU211により実行されるプログラムや文書ファイルを記憶する。フラッシュ
メモリ214は、情報表示装置21に対して着脱自在な構成としてもよい。インタフェー
ス215は、ユーザ端末22a、22bのインタフェースに対応したインタフェースであ
り、ユーザ端末22a、22bとデータの送受信を行う。インタフェース215の構成は
、情報表示装置21aと情報表示装置21bとで異なっていてもよい。操作部216は、
複数の操作キーを備え、それぞれの操作キーに応じた操作信号をCPU211に出力する

【0026】
表示体コントローラ217は、記憶性表示体218の動作を制御する駆動回路を備える
。表示体コントローラ217は、表示すべき文字や画像に応じた表示データを記憶性表示
体218に供給するとともに、記憶性表示体218に供給する電力のオン・オフを制御す
る。記憶性表示体218は、記憶性液晶による液晶層を有する表示体である。ここにおい
て、記憶性液晶とは、電圧を印加しなくても表示状態(すなわち階調)を維持することが
可能な液晶のことである。この記憶性液晶としては、例えばコレステリック液晶が用いら
れる。記憶性表示体218は、複数行複数列の画素を有し、それぞれの画素は、供給され
る表示データに応じた階調となる。記憶性表示体218の各画素の階調数は任意であるが
、本実施形態においては、モノクロの16階調とする。タッチスクリーン219は、ユー
ザから見て記憶性表示体218の前面に設けられた透明のスクリーンであり、所定の微小
領域毎に物体の接触の有無を感知する。この微小領域は、記憶性表示体218の画素に対
応付けられており、望ましくは、この画素と同一のサイズである。タッチスクリーン21
9は、物体が接触していることを示す感知信号を微小領域毎に出力し、CPU211に供
給する。
なお、以下においては、必要に応じて、記憶性表示体218およびタッチスクリーン2
19を総称して「表示部21D」という。すなわち、表示部21Dは、いわゆるタッチス
クリーン方式の液晶パネルである。
【0027】
続いて、情報表示装置21の構成をその外観を例示して説明する。
図5は、情報表示装置21の外観を示す斜視図である。同図に示すように、情報表示装
置21は、表示部21Dと、複数の操作キー216a〜216dとを有する。また、情報
表示装置21とともに用いられるものとして、スタイラスペン21Sがある。なお、スタ
イラスペン21Sは、表示部21Dに対して手書き文字等の入力を行うためのペン状の器
具である。
【0028】
表示部21Dは、上述した記憶性表示体218の表示領域を表しており、その表面にタ
ッチスクリーン219を備えている。この表示部21Dの表示領域は所定のサイズを有し
ており、そのサイズは、例えばレターサイズ(8.5×11インチ)やA4サイズ(21
0×297mm)である。複数の操作キー216a〜216dは、ページ操作や付加情報
の付加を行うための操作子であり、それぞれが所定の操作信号を発生させる。図5に示し
た操作キーは、移動キー216a、同期キー216b、付箋キー216cおよびラインキ
ー216dである。
【0029】
移動キー216aは、表示部21Dに表示される文書のページを遷移させるための操作
キーであり、上下(または左右)に傾けることにより、前後のページや別の文書に遷移す
る旨の指示を表す操作信号を発生させる。同期キー216bは、情報表示装置21と情報
管理装置11との間で文書ファイルの同期を行うための操作キーである。なお、文書ファ
イルの同期については、後述する。付箋キー216cおよびラインキー216dは、付加
情報の付加を指示するための操作キーである。付箋キーは、表示部21Dに表示されたペ
ージに対して「付箋」を表す付加情報を付加するための操作キーであり、ラインキー21
6dは、表示部21Dに表示されたページの所定の文字に対して「ライン」を表す付加情
報を付加するための操作キーである。なお、これらの付加情報の詳細については、後述す
る。
【0030】
[実施形態の動作]
上記構成のもと、情報共有システム100においては、サーチャが、PC12を用いて
文書検索サービスにアクセスし、文書ファイルの検索を行う。文書ファイルの検索は、サ
ーチャが適当なキーワードを指定することにより行われる。サーチャは、検索により所望
の文書ファイルを知得すると、これをコンテンツサーバ41からダウンロードする。PC
12によりダウンロードされた文書ファイルは、情報管理装置11の文書データベースD
B1に蓄積される。そして、情報管理装置11は、文書データベースDB1に蓄積された
文書ファイルを複数の情報表示装置21に送信する。このようにすることで、情報管理装
置11が、文書ファイルを一括して管理し、ユーザが、情報表示装置21により文書を閲
覧することが可能となる。
【0031】
情報管理装置11は、所定の文書ファイルを複数の情報表示装置21に送信する。情報
管理装置11は、複数の情報表示装置21のそれぞれに異なる内容の文書ファイルを送信
することも可能であるし、複数の情報表示装置21に同一の文書ファイルを送信すること
も可能であるが、以下においては、複数の情報表示装置21に同一の文書ファイルを送信
する場合を例示して説明する。ここにおいて、情報管理装置11が送信する文書ファイル
は、図3において文書識別情報を「file1」とした文書ファイルであるとする。
【0032】
図6は、情報管理装置11と情報表示装置21の間におけるデータのやりとりと各装置
が実行する処理の概要を示すシーケンスチャートである。なお、同図においては一の情報
表示装置21のみを示しているが、情報管理装置11は、複数の情報表示装置21との間
で同様の処理を実行する。また、それぞれの情報表示装置21も、文書ファイルに対して
同様の処理を実行する。
【0033】
まず、情報管理装置11は、文書識別情報が「file1」である文書ファイルを情報
表示装置21に送信する(ステップS1)。この動作は、情報管理装置11が主体的に行
ってもよいし、ユーザ(すなわち情報表示装置21またはユーザ端末22)からの要求に
応じて行われてもよい。このとき、情報管理装置11のCPU111は、文書データベー
スDB1から文書ファイルを抽出し、抽出した文書ファイルをインタフェース115を介
して出力する。CPU111は、電子メールに文書ファイルを添付することにより文書フ
ァイルを送信してもよい。
なお、CPU111は、文書ファイルの送信をユーザからの要求に応じて行った場合に
は、ユーザ情報を書き換える可能性がある。すなわち、CPU111は、当該ユーザに対
応するユーザ情報に、送信した文書ファイルの文書識別情報が含まれていない場合には、
当該文書識別情報を含むようにそのユーザ情報を書き換える。
【0034】
続いて、CPU111は、HDD114に記憶されたユーザ情報に基づいて、各ユーザ
が閲覧すべき箇所(セクション)を示す情報を生成する(ステップS2)。ここにおいて
生成される情報のことを、以下では「案内情報」という。案内情報は、ある文書ファイル
が表す文書について、各ユーザに割り当てられる箇所を順序とともに案内する情報である
。各ユーザは、それぞれに与えられる指示情報にしたがって文書を閲覧すると、ユーザ全
体として効率的に閲覧を終えることができるようになっている。CPU111は、案内情
報を各ユーザについて生成したら、これをそれぞれのユーザに送信する(ステップS3)
。このとき、CPU111は、この案内情報に対応する文書ファイルを特定させるべく、
案内情報に対応する文書ファイルの文書識別情報を案内情報とともに送信する。また、C
PU111は、生成した案内情報をHDD114に記憶させてもよい。
【0035】
ここで、案内情報の生成方法を説明する。まず、CPU111は、HDD114に記憶
されたユーザ情報を読み出し、文書識別情報が「file1」である文書ファイルを送信
した情報表示装置21に割り当てられたユーザを特定する。次に、CPU111は、この
とき特定したユーザと、送信した文書ファイルのセクション数とに基づき、各ユーザに割
り当てる1または複数のセクションを特定する。また、CPU111は、複数のセクショ
ンを特定した場合には、必要に応じて、それぞれに対して表示の順序を特定する。このと
き特定される1または複数のセクションのセクション情報が、上述した案内情報となる。
【0036】
なお、CPU111は、複数のユーザが同一のセクションを閲覧することがないように
、あるユーザに割り当てたセクション情報は他のユーザに割り当てないようにしてもよい
。すなわちこれは、CPU111が、セクション情報の重複がないように複数の案内情報
を生成するということである。また、CPU111は、ユーザの総数と文書ファイルが表
す文書のページ数とを考慮し、各ユーザの閲覧するページ数がほぼ同程度となるように各
ユーザにセクション情報を割り当ててもよい。
【0037】
情報表示装置21は、案内情報を受信すると、これをフラッシュメモリ214に記憶さ
せるとともに、文書の表示モードを選択させるための画像を記憶性表示体218に表示さ
せる(ステップS4)。具体的には、情報表示装置21のCPU211は、ページ遷移の
順序を情報表示装置21に選択させる「自動選択モード」と、ページ遷移の順序をユーザ
自身に選択させる「ユーザ選択モード」のいずれかの表示モードの選択を促す画像を記憶
性表示体218に表示させる。ユーザは、例えば、自身の指やスタイラスペン21Sを用
いて、表示モードの選択を行う。
【0038】
表示モードとして「ユーザ選択モード」が選択されると、CPU211は、受信した案
内情報と文書ファイルとに基づき、目次を表す表示データを生成し、記憶性表示体218
に表示させる。
図7は、表示部21Dが目次を表示した状態を例示した図である。図7は、あるユーザ
が「ユーザ選択モード」を選択した場合において、当該ユーザに割り当てられたセクショ
ンが第1セクションと第5セクションであるときの目次を示している。ここにおいて、「
第1章」、「第2章」、…、「第7章」と表された文字列は、それぞれ、セクションの見
出しに相当する文字列である。
【0039】
セクションの見出しに相当する文字列は、それぞれ、当該セクションの最初のページへ
のリンク(ハイパーリンク)の機能を有している。すなわち、例えば、ユーザが「第1章
」と表された文字列を選択すると、CPU211は、第1セクションの最初のページを表
示部21Dに表示させる。
なお、情報表示装置21は、所定の操作(例えば、複数の操作キーの同時押下や長押し
など)により文書の表示と目次の表示とを切り替えられるように構成されている。つまり
、ユーザは、文書の閲覧を行っている最中でも、所定の操作により目次を表示させること
が可能である。
【0040】
また、この表示に際して、CPU211は、案内情報に含まれるセクション情報とその
他のセクション情報とで、表示部21Dにおける表示の態様を異ならせる。具体的には、
例えば、CPU211は、案内情報に含まれるセクション情報に相当する文字列を、その
他のセクション情報に相当する文字列よりも太い文字で表示させたり、あるいは大きい文
字で表示させる。これは、案内情報に含まれるセクション情報に相当する文字列を目立つ
ように表示させることで、自身に割り当てられたセクションをユーザに容易に認識せしめ
るためである。なお、文字列の表示態様の変化のさせ方は、上述した例に限らず、例えば
、案内情報に含まれるセクション情報に相当する文字列の近傍に所定の画像(マーク)を
表示させるなどしてもよい。
【0041】
一方、表示モードとして「自動選択モード」が選択されると、CPU211は、案内情
報に含まれるセクションの文書が続けて表示されるように制御を行う。例えば、あるユー
ザが「自動選択モード」を選択した場合において、当該ユーザに割り当てられたセクショ
ンが第1セクションと第5セクションであるとき、CPU211は、第1セクションに続
いて第5セクションが表示されるように制御を行う。具体的には、CPU211は、第1
セクションの最初のページを表示させた後、移動キー216aの押下に応じてページを遷
移させ、その後、第1セクションの最後のページを表示させた後に次のページの表示を指
示されると、第5セクションの最初のページを表示させる。すなわち、この場合、案内情
報に含まれないセクションは表示されない。
【0042】
なお、いずれの表示モードが選択されたとしても、文書の表示や付加情報の付加を行う
ための具体的な動作は同様である。そこで、以下の説明は、表示モードの違いを区別する
ことなく行う。
表示モードが選択されると、CPU211は、受信した文書ファイルを用いて、記憶性
表示体218における表示に適合した表示データを生成する(ステップS5)。具体的に
は、情報表示装置21のCPU211が、文書ファイルに含まれる文書情報の表示内容を
解釈し、その内容に応じた階調値となる4ビット(すなわち16階調)の表示データを記
憶性表示体218の各画素について算出する。CPU211は、このようにして生成され
た複数ページ分の表示データを、フラッシュメモリ214に記憶させる。
なお、本実施形態においては、階調値が「0」の表示データを無色、すなわち文書の背
景に相当する表示データとし、階調値が「15」の表示データを黒に相当する表示データ
とする。すなわち、本実施形態においては、階調値が大きい表示データを与えられた画素
ほど濃度の高い表示となるということである。
【0043】
次に、情報表示装置21は、生成した表示データを表示体コントローラ217に供給し
、記憶性表示体218に文書を表示させる(ステップS6)。このとき、情報表示装置2
1のCPU211は、ユーザにより指示されたページの表示データをRAM213にロー
ドし、これを表示体コントローラ217に供給する。表示体コントローラ217は、供給
された1ページ分の表示データに応じた電圧のデータ信号を発生させ、対応する画素にそ
れぞれのデータ信号を供給する。記憶性表示体218の各画素は、供給されたデータ信号
に応じた階調を呈し、これによりユーザが文書を視認できる状態となる。
【0044】
このようにして表示部21Dに文書が表示されると、ユーザはこれを閲覧する。ユーザ
は、必要に応じて移動キー216aを操作し、表示部21Dに表示される文書のページを
遷移させるよう指示する。移動キー216aに応じた操作信号が供給されると、CPU2
11は、次に表示させるべきページの表示データをフラッシュメモリ214からRAM2
13にロードし、表示体コントローラ217に供給する。なお、このときの動作は、ユー
ザが選択した表示モードに応じて異なる。
また、ユーザは、文書を閲覧しつつ、必要なページに「付箋」を付したり、必要なペー
ジの必要な箇所に「ライン」や「手書き文字」を付したりする。このような操作を受け付
けると、情報表示装置21のCPU211は、ユーザの操作に応じた付加情報を生成し、
これを文書ファイルに関連付けてフラッシュメモリ214に記憶する(ステップS7)。
【0045】
ここで、付加情報が付加されるときにCPU211が実行する処理を、ユーザの動作と
併せて説明する。上述したように、付加情報の態様は、「付箋」、「ライン」および「手
書き文字」の3通りであるため、以下ではそれぞれについて説明する。なお、それぞれで
重複する説明については、適宜省略する。
【0046】
「付箋」は、ここでは、あるページを他のページと区別するために貼付する紙片(いわ
ゆる付箋紙)を模した画像であり、表示部21Dの所定の位置に表示される。「付箋」を
表示させるためには、ユーザは、所望のページが表示されているときに付箋キー216c
を押下する。CPU211は、付箋キー216cに応じた操作信号を取得すると、「付箋
」を表す表示データを供給するとともに、付加情報を生成する。
【0047】
図8は、「付箋」の表示態様の一例を示す図である。同図にハッチングで示したように
、「付箋」は、表示部21Dに表示されたページの所定の位置(同図においては、右上)
に表示される。なお、表示データは、「付箋」が表示された画素のみがそれ以前と異なり
、それ以外の画素については、直前に電圧を印加したときと同様となる。CPU211は
、このような表示データを表示体コントローラ217に供給し、表示部21Dの書き換え
を行わせる。
【0048】
表示部21Dの書き換えの指示に次いで、CPU211は、「付箋」が付加されたこと
を表す付加情報を生成し、これを文書ファイルに関連付けてフラッシュメモリ214に記
憶させる。CPU211が生成する付加情報には、付加情報を識別する付加識別情報と、
付加された情報の種別を表す種別情報と、情報が付加されたページや場所を表す場所情報
とが含まれる。例えば、「付箋」が付加された場合、CPU211は、種別が「付箋」で
あることを表す種別情報と、「付箋」が付加されたページを表す場所情報とを含んだ付加
情報を生成する。また、付加識別情報は、各々の付加情報を一意的に特定可能に構成され
た情報である。
【0049】
また、「ライン」は、1または複数の文字を強調するために付される線状または帯状の
画像である。「ライン」は、例えば、アンダーラインのような細線や、ラインマーカ(い
わゆる蛍光ペン等)の表示態様を模した網掛けなどの表示態様で表示される。「ライン」
を表示させるためには、ユーザは、所望のページが表示されているときにラインキー21
6dを押下し、スタイラスペン21Sでタッチスクリーン219に接触することにより始
点と終点とを指定する。CPU211は、ラインキー216dに応じた操作信号と、始点
と終点とを示す感知信号とを取得すると、「ライン」を表す表示データを供給するととも
に、付加情報を生成する。
【0050】
図9は、「ライン」の表示態様の一例を示す図であり、P1を始点、P2を終点として
指定された場合に付される細線として「ライン」を表している。なお、このときCPU2
11が供給する表示データは、「付箋」の場合と同様に、この細線を表す画素のみがそれ
以前と異なったものとなる。CPU211は、タッチスクリーン219において感知信号
が出力された微小領域を特定し、特定した微小領域に対応する画素に所定の階調値(例え
ば「15(黒)」)を示す表示データを供給する。
【0051】
表示部21Dが「ライン」を含む画像に書き換えられると、CPU211は、「ライン
」が付加されたことを表す付加情報を生成し、これをフラッシュメモリ214に記憶させ
る。「ライン」が付加された場合、CPU211は、これを識別する付加識別情報と、種
別が「ライン」であることを表す種別情報と、「ライン」が付加されたページと当該ペー
ジ内の位置とを表す場所情報とを含んだ付加情報を生成する。ここにおける「位置」とは
、少なくとも上述した始点と終点の位置とを含むものである。
【0052】
また、「手書き文字」は、ユーザが任意に付すことが可能な文字や線により構成される
画像である。なお、「手書き文字」は、文字に限定されるわけではない。「手書き文字」
を表示させるためには、ユーザは、スタイラスペン21Sでタッチスクリーン219に所
望の文字や線を書く(描く)ような動作を行う。CPU211は、このような動作を示す
感知信号を取得すると、「手書き文字」を表す表示データを供給するとともに、付加情報
を生成する。CPU211は、タッチスクリーン219において感知信号が出力された微
小領域を特定し、特定した微小領域に対応する画素に所定の階調値(例えば「15(黒)
」)を示す表示データを供給する。なお、表示データは、この場合も、「手書き文字」に
相当する画素のみがそれ以前と異なる。
【0053】
表示部21Dが「手書き文字」を含む画像に書き換えられると、CPU211は、「手
書き文字」が付加されたことを表す付加情報を生成し、これをフラッシュメモリ214に
記憶させる。「手書き文字」が付加された場合、CPU211は、これを識別する付加識
別情報と、種別が「手書き文字」であることを表す種別情報と、「手書き文字」が付加さ
れたページと当該ページ内の位置とを表す場所情報とを含んだ付加情報を生成する。ここ
における場所情報とは、タッチスクリーン219の感知信号が出力された微小領域に対応
する画素の位置を表すものである。
【0054】
なお、付加情報が付加されたページを表示する指示をユーザが行った場合には、CPU
211は、当該ページの文書情報と当該ページに付加された付加情報とに基づいて表示デ
ータを生成する。このとき、CPU211は、付加情報の種別情報や場所情報を参照し、
文書情報が表す文書と付加情報が表す画像とを含む表示データを生成する。また、複数の
異なる付加情報が付加されている場合には、CPU211は、それぞれの付加情報が表す
画像を含む表示データを生成する。この表示データは、もとの文書に付加情報が表す画像
を重ねたような表示態様となる。
【0055】
ここで、図6のシーケンスチャートの説明に戻る。上述のように付加情報を生成すると
、CPU211は、生成した付加情報と当該付加情報が付加された文書ファイルの文書識
別情報とを情報管理装置11に送信する(ステップS8)。付加情報と文書識別情報とを
受信した情報管理装置11においては、CPU111が、受信した文書識別情報に基づい
て文書ファイルを特定し、受信した付加情報を特定した文書ファイルと関連付けてHDD
114に記憶する(ステップS9)。なお、ステップS8およびS9の処理は、付加情報
が付加される毎に実行される。
【0056】
情報管理装置11は、このような動作を複数の情報表示装置21と行うことにより、複
数の付加情報を累積的に記憶する。一方、それぞれの情報表示装置21は、自装置のユー
ザにより付加された付加情報を記憶するのみであるため、記憶する付加情報の内容が情報
管理装置11のそれとは異なるものとなる。また、情報管理装置11においては、サーチ
ャが新たな文書ファイルを検索し、文書データベースDB1に追加することもある。その
ため、情報管理装置11が記憶する文書ファイルは、情報表示装置21が記憶する文書フ
ァイルよりも多くなることがある。
このような場合に、情報管理装置11の記憶内容と情報表示装置21の記憶内容とを一
致させる必要があるときには、ステップS10〜S14に示す処理によって文書ファイル
の同期が行われる。
【0057】
文書ファイルの同期は、ユーザが同期キー216bを押下したことを契機に実行される
。情報表示装置21のCPU211は、同期キー216bに応じた操作信号が供給される
と、フラッシュメモリ214に記憶された文書ファイルと付加情報とを特定する(ステッ
プS10)。このとき、CPU211は、フラッシュメモリ214に記憶された文書ファ
イルを特定し、特定した文書ファイルの文書識別情報と、当該文書ファイルに関連付けら
れた付加情報の付加識別情報とを特定する。そして、CPU211は、特定した付加識別
情報と文書識別情報とを情報管理装置11に送信する(ステップS11)。
【0058】
文書識別情報と付加識別情報とを受信した情報管理装置11においては、CPU111
が、HDD114に記憶された文書ファイルと付加情報とを特定する(ステップS12)
。このとき、CPU111は、HDD114に記憶された文書ファイルを特定し、特定し
た文書ファイルの文書識別情報と、当該文書ファイルに関連付けられた付加情報の付加識
別情報とを特定する。続いて、CPU111は、ステップS12において特定した付加識
別情報と、情報表示装置21から受信した付加識別情報とを比較し、これらの差異を特定
する(ステップS13)。そして、CPU111は、情報表示装置21から受信した付加
識別情報に含まれていない付加識別情報が存在した場合には、これを特定し、当該付加識
別情報により識別される付加情報をHDD114から読み出し、情報表示装置21に送信
する(ステップS14)。つまり、ステップS14の処理は、情報管理装置11と情報表
示装置21との間の差異分に相当する付加情報を送信する処理であるといえる。
【0059】
以上の動作を行うことにより、ユーザは、協働して1つの文書を閲覧し、付加情報の付
加を行うことができるため、文書の閲覧やチェックを効率的に行うことが可能となる。本
実施形態の情報管理装置11は、複数のユーザが同一のセクションを閲覧することのない
ように案内情報を生成したり、各ユーザの閲覧するページ数がほぼ同程度となるように案
内情報を生成したりすることが可能であるため、ユーザ全員に文書の閲覧を無駄なく効率
的に行わせることが可能となる。また、本実施形態の情報管理装置11および情報表示装
置21は、案内情報によって閲覧すべきページを案内することにより、各ユーザに自身の
分担を的確に把握させるとともに、これを容易な操作で確認させることが可能となる。こ
のとき、上述した「ユーザ選択モード」によれば、ユーザは、自身に割り当てられたセク
ション以外のセクションの閲覧も可能であるから、ユーザの自由な閲覧を妨げることもな
い。
【0060】
加えて、本実施形態の情報表示装置21によれば、文書ファイルに種々の付加情報を付
加するとともに、これを表示することが可能となる。情報表示装置21は、文書ファイル
に関連付けられる付加情報を生成するので、文書ファイル自体を変更することなく文書に
情報の追加を行うことができる。すなわち、本実施形態の情報表示装置21によれば、文
書に情報を追加したとしても、文書ファイルの同一性は保持されることとなる。また、情
報表示装置21は、付加情報をこのような形式とすることによって、付加情報を送信する
際のデータ量を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態の情報管理装置11は、上述した同期処理によって、自装置に記憶さ
れているものと同様の付加情報を情報表示装置21に記憶させることが可能となる。すな
わち、本実施形態によれば、複数の情報表示装置21と情報管理装置11との間で情報を
共有することが可能となり、他のユーザが追加した付加情報も参照することが可能となる
。このとき、情報表示装置21は、情報管理装置11が特定した差異分に相当する付加情
報を受信するので、既に記憶されている付加情報を改めて受信することがなく、比較的少
ないデータのやりとりによって同期処理を実行することが可能となる。
【0062】
さらに、本実施形態の情報表示装置21は、ユーザが随時文書の閲覧や付加情報の付加
を行える一方、ユーザが所望するタイミングで同期処理を実行することが可能である。す
なわち、本実施形態の情報表示装置21によれば、他の装置との情報の共有に際して、ネ
ットワーク接続は必要なときだけで十分であり、常時接続されている必要はない。したが
って、本実施形態によれば、ユーザに高い利便性を提供することが可能となる。
【0063】
[変形例]
以上においては、一の実施形態を例示して本発明を説明したが、本発明は、上述した実
施形態に限定されず、その他の種々の態様にて実施することが可能である。以下では、他
の実施形態の一例を示す。
【0064】
(変形例1)
情報表示装置21に対して、ユーザから文字列の入力を受け付けるとともに、これを認
識する機能を設けて、文書ファイル中の文字列を検索できるようにしてもよい。この場合
において、文字列を検索する処理は、情報表示装置21で行ってもよいし、情報管理装置
11で行ってもよい。なお、情報管理装置11が検索処理を行う場合には、情報表示装置
21またはユーザ端末22のいずれかで文字列を入力し、ネットワークを介して文字列に
相当するデータを送信する構成とすればよい。そして、情報管理装置11は、検索結果を
表すデータを情報表示装置21へと出力する構成とすればよい。
【0065】
このとき、情報管理装置11は、検索結果を表すデータを上述した案内情報と同様の形
式で出力する構成としてもよい。すなわち、情報管理装置11は、ユーザが入力した文字
列が含まれるセクションが表示されるような案内情報を生成し、これを情報表示装置21
に送信してもよい。このようにすれば、ユーザが所望する情報を含むページをより容易に
表示させることが可能となる。
なお、このような場合には、文書ファイルが表す文書をより多くのセクションに区切る
のが望ましい。例えば、各ページを異なるセクションとしたり、各段落を異なるセクショ
ンとするとよい。
【0066】
(変形例2)
情報管理装置11は、同期処理の後に新たな案内情報を送信してもよい。例えば、情報
管理装置11は、付加情報が付加されたセクションを示す案内情報を生成し、これを情報
表示装置21に送信する構成としてもよい。このようにすれば、各ユーザが閲覧した結果
を容易に知ることができるため、例えば、膨大な文書から必要な箇所だけを抽出し、当該
箇所を要領良く確認することが可能となる。なお、この処理は、上述したステップS14
の処理とともに行ってもよい。
【0067】
(変形例3)
情報管理装置11は、文書ファイルを表示やプリントアウトのために出力する構成を備
えてもよい。すなわち、情報管理装置11が、表示装置(液晶ディスプレイ等)における
表示やプリンタによる用紙への表示に適合した形式に文書ファイルを変換する変換手段と
、変換した文書ファイルを表示装置やプリンタに出力する出力手段とをさらに備える構成
としてもよい。また、この場合において、上述した変換手段は、文書ファイルに付加情報
が付加されていれば、付加情報の内容も併せて表示されるような変換を行える構成である
と望ましい。このようにすれば、複数のユーザによって追加された情報を、表示装置や用
紙に表示された態様で視認することが可能となる。
また、情報管理装置11に対して、情報表示装置21と直接に接続することが可能なイ
ンタフェース(上述したシリアルインタフェースや無線インタフェース等)を付加しても
よいし、情報表示装置21と共通の記憶媒体(いわゆるメモリカードやUSBメモリ等)
を着脱可能にし、この記憶媒体に対して読み書きを行える構成を付加してもよい。
【0068】
(変形例4)
セクション情報は、所定の属性を含む情報としてもよい。例えば、セクション情報が「
第1章」、「第2章」といった区切りを示す情報である場合には、「第1節」、「第2節
」のような、より細かい区分を表す情報を属性として付与してもよい。あるいは、セクシ
ョン情報が「1ページ」、「2ページ」といった区切りを示す情報である場合には、「第
1章」、「第2章」のような、より大まかな区分を表す情報を属性として付与してもよい

また、セクション情報がこのような属性を含む場合、情報表示装置21は、目次の表示
にこの属性に用いてもよい。例えば、情報表示装置21は、セクションと属性とを用いて
ツリー状の目次を表す表示データを生成してもよい。
【0069】
(変形例5)
上述した実施形態においては、図7に示したように、目次には全てのセクションへのリ
ンクが表示され、案内情報に含まれるセクション情報は、それ以外のセクション情報とは
異なる表示態様で表示されるとした。しかし、情報表示装置21は、案内情報に含まれる
セクション情報のみを目次として表示させてもよい。
【0070】
(変形例6)
上述した実施形態においては、ステップS1の処理によって情報管理装置11から情報
表示装置21に文書ファイルが送信されたが、情報表示装置21は他の手段を介して文書
ファイルを取得してもよい。例えば、情報表示装置21は、着脱可能な記憶媒体(いわゆ
るメモリカードやUSBメモリ等)から文書ファイルを取得できる構成を設けてもよい。
要するに、情報表示装置21は、情報管理装置11に記憶された文書ファイルと同様の文
書ファイルを取得可能であれば、その取得の手段を特に問わない。なお、文書ファイルに
限らず、その他のデータについても同様である。
このようにすれば、ネットワークを経由せずに文書ファイルを取得できるため、ネット
ワーク通信が有料である場合には、その費用を抑えることが可能となる。特に、文書ファ
イルの容量が大きい場合には、このような取得の態様であるのが望ましい。
【0071】
(変形例7)
上述した実施形態は、複数のユーザが協働し、単一の文書を分担して閲覧するような状
況を想定したものであったが、本発明は、これとは異なる態様でも利用され得る。本発明
は、文書を表す文書ファイルと、その文書の一部(または全部)を示す案内情報とを用い
ることに特徴があるため、このことを利用すれば、例えば以下のような実施をすることも
可能である。
【0072】
上述した情報管理装置11と情報表示装置21とによれば、文書の連続していないペー
ジ(あるいはセクション)を、あたかも連続しているかのように閲覧させることが可能で
ある。例えば、上述した「自動選択モード」を表示モードとして選択すれば、ユーザは、
移動キー216aを続けて押下するだけで、案内情報が示すセクションを続けて閲覧する
ことができる。これにより、同一の文書ファイルを体裁が全く異なる文書であるかのよう
にユーザに閲覧させることが可能となる。特に、情報管理装置11が、同一の情報表示装
置21に対して異なる案内情報を送信することにより、同一の文書ファイルが表す文書を
さまざまな見せ方で情報表示装置21に表示させることが可能となる。
【0073】
ここで、本発明の利用例を挙げる。例えば、複数の問題を収録した問題集と、これらの
問題に対応した解答を収録した解答集とを表す文書ファイルがあるとする。この場合にお
いて、それぞれの問題には、所定の難度(例えば、「難」、「やや難」、「普通」など)
があらかじめ設定されているものとする。このような文書ファイルを記憶した情報表示装
置21に対して、情報管理装置11が、それぞれの問題・解答毎が異なるセクションとな
るようなセクション情報を定義するとともに、ある問題に続いてその問題の解答が表示さ
れるようにした案内情報を送信する。すると、ユーザは、自分で解答が記載された箇所を
調べなくても容易に解答を確認することが可能となる。
【0074】
また、この場合において、情報管理装置11は、あるユーザに対しては、難度が「難」
である問題のみが表示されるような案内情報を生成して送信する一方で、別のユーザに対
しては、難度が「普通」である問題のみが表示されるような案内情報を生成して送信する
、というように、それぞれのユーザに応じた案内情報を生成および送信してもよい。さら
には、表示される問題の難度が徐々に高く(難しく)なるような案内情報を生成してもよ
い。
また、セクション情報に設定される属性は、難度に限らない。例えば、上述した例にお
いては、「国語」や「算数」といった「教科」を属性として設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】情報共有システムの構成を示すブロック図である。
【図2】情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ユーザ情報の一例を示す図である。
【図4】情報表示装置の構成を示すブロック図である。
【図5】情報表示装置の外観を示す斜視図である。
【図6】情報管理装置と情報表示装置とが実行する処理を示す図である。
【図7】表示部が目次を表示した状態を例示した図である。
【図8】付加情報(付箋)の表示態様の一例を示す図である。
【図9】付加情報(ライン)の表示態様の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
100…情報共有システム、11…情報管理装置、111…CPU、112…ROM、1
13…RAM、114…HDD、115…インタフェース、12…PC、22、22a、
22b…ユーザ端末、21、21a、21b…情報表示装置、210…電源部、211…
CPU、212…ROM、213…RAM、214…フラッシュメモリ、215…インタ
フェース、216…操作部、217…表示体コントローラ、218…記憶性表示体、21
9…タッチスクリーン、31…第1ネットワーク、32…第2ネットワーク、33…第3
ネットワーク、41…コンテンツサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報管理装置と複数の情報表示装置とを備える情報共有システムであって、
前記情報管理装置は、
1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別す
る文書識別情報とを記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された文書ファイルが表す文書のうちの閲覧すべき箇所を示
す案内情報を、前記情報表示装置毎に生成する生成手段と、
前記第1の記憶手段に記憶された文書ファイルと当該文書情報の文書識別情報とを出力
する第1の出力手段と、
前記生成手段により生成された案内情報のいずれかと、前記第1の記憶手段に記憶され
た文書識別情報とを出力する第2の出力手段とを備え、
各々の前記情報表示装置は、
前記第1の出力手段により出力された文書ファイルと文書識別情報とを取得する第1の
取得手段と、
前記第2の出力手段により出力された案内情報と文書識別情報とを取得する第2の取得
手段と、
前記第1の取得手段により取得された文書ファイルと文書識別情報とを関連付けて記憶
するとともに、前記第2の取得手段により当該文書識別情報とともに取得された案内情報
を当該文書ファイルに関連付けて記憶する第2の記憶手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された文書ファイルが表す文書を表示する表示手段と、
前記第2の記憶手段に記憶された文書ファイルが表す文書を、当該文書ファイルに関連
付けられて記憶された前記案内情報が示す内容にしたがって表示するように前記表示手段
を制御する表示制御手段とを備える
ことを特徴とする情報共有システム。
【請求項2】
1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルと、当該文書ファイルを識別す
る文書識別情報とを記憶する第1の記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された文書ファイルが表す文書のうちの閲覧すべき箇所を示す案内
情報を、当該文書ファイルを取得して当該文書を表示する情報表示装置毎に生成する生成
手段と、
前記記憶手段に記憶された文書ファイルと当該文書ファイルの文書識別情報とを出力す
る第1の出力手段と、
前記生成手段により生成された案内情報のいずれかと、前記記憶手段に記憶された文書
識別情報とを出力する第2の出力手段と
を備えることを特徴とする情報管理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、
その示す箇所が重複しないように複数の前記案内情報を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記情報表示装置において前記文書のある箇所に当該文書とともに表示される情報を表
す付加情報を取得する取得手段を備え、
前記生成手段は、前記取得手段により取得された付加情報が表示される箇所を前記閲覧
すべき箇所として含む前記案内情報を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、ある情報表示装置について、その示す箇所が異なる複数の前記案内情
報を生成し、
前記第2の出力手段は、前記生成手段により生成された前記複数の案内情報を前記ある
情報表示装置に対して出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の情報管理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
1または複数のページを有する文書を表す文書ファイルが表す文書のうちの閲覧すべき
箇所を示す案内情報を、当該文書ファイルを取得して当該文書を表示する情報表示装置毎
に生成する生成手段と、
前記文書ファイルと当該文書ファイルを識別する文書識別情報とを出力する第1の出力
手段と、
前記生成手段により生成された案内情報のいずれかと、前記文書識別情報とを出力する
第2の出力手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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