説明

情報処理システム及びプログラム

【課題】情報処理装置の使用環境に応じて、制御プログラムの更新を適切に行うことができる情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理システム100において、サーバ4は、アプリケーションA等と制御プログラムD1等とに関する適合性情報を管理する管理手段4Aと、PC1等から送信される制御プログラムD1等の更新の可否に関する問い合わせ情報であって、PC1等に係るアプリケーションA等の情報と、PC1等に係る制御プログラムD1等の情報とを含む情報を受信する受信手段S201と、管理手段4Aに管理された適合性情報から、問い合わせ情報に含まれる制御プログラムD1等の情報に基づいて特定される適合性情報を参照し、制御プログラムD1等の更新の可否を判断する判断手段S203、…と、判断手段S203、…の判断結果を内容とする応答情報を設定して、PC1等に対して応答する応答手段S204、…とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の情報処理システムの例が開示されている。この情報処理システムは、情報処理を行う情報処理装置と、情報処理装置と接続されたプリンタ等の周辺装置と、情報処理装置と接続されたサーバとを備えている。
【0003】
情報処理装置には、周辺装置を動作させる制御プログラムとしてのデバイスドライバが格納されている。一方、サーバには、デバイスドライバの少なくとも一部となるコアプログラムが情報処理装置に対して提供可能な状態で格納されている。
【0004】
この情報処理システムでは、情報処理装置上で周辺装置における外部処理の実行を指示すると、デバイスドライバがサーバから最新のコアプログラムを自動的にダウンロードして、周辺装置に外部処理を実行させる。こうして、この情報処理システムでは、周辺装置の利用時にデバイスドライバを自動的に更新して処理を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−131976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の情報処理システムのように、周辺装置を動作させる制御プログラムを自動的に最新のものに更新してしまうと、情報処理装置で使用されるOSやアプリケーション等の使用環境によっては不具合が発生してしまう場合がある。つまり、最新の制御プログラムが、情報処理装置において必ずしも適切に動作するとは限らない。
【0007】
具体例としては、情報処理装置において、アプリケーションと連携して動作するデバイスドライバは、販売されている多数のアプリケーションとの適合性が良くなるように作成されているものの、中には適合性が悪いアプリケーションとデバイスドライバとの組み合わせが存在し得る。そして、情報処理装置において使用されるアプリケーションは、販売されている多数のアプリケーションから、ユーザによって任意に選択される。このため、デバイスドライバが自動的に更新された結果として、情報処理装置内に適合性が悪いアプリケーションとデバイスドライバとの組み合わせが存在することになれば、そのアプリケーションとデバイスドライバとが同時に使用されることにより、不具合が生じる可能性が高くなる。このような場合には、元の古いバージョンのデバイスドライバに戻す作業が余計に必要となって、ユーザの手間が増えてしまう。
【0008】
同様の問題が、周辺装置内で作動する制御プログラムと、情報処理装置の使用環境(オペレーティングシステム等)との間においても発生する可能性がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、情報処理装置の使用環境に応じて、制御プログラムの更新を適切に行うことができる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報処理システムは、オペレーティングシステム上で少なくとも1つのアプリケーションを起動して情報処理を行う情報処理装置と、前記情報処理装置と接続された周辺装置と、前記情報処理装置と接続されたサーバとを備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、前記情報処理を行う際に前記アプリケーションと連携して前記周辺装置を動作させる制御プログラム、あるいは前記周辺装置に転送する制御プログラムを前記サーバから取得可能であり、
前記サーバには、前記制御プログラムの更新プログラムが前記情報処理装置に対して提供可能な状態で格納されており、
前記サーバは、前記オペレーティングシステム又は前記アプリケーションと、前記更新プログラムとの間の適合性に関する情報である適合性情報を管理する管理手段と、
前記情報処理装置から送信される前記制御プログラムの更新の可否に関する問い合わせ情報であって、前記情報処理装置に搭載されている前記オペレーティングシステム及び/又は前記アプリケーションの情報と、前記情報処理装置又は前記周辺装置に搭載されている前記制御プログラムの情報とを含む前記問い合わせ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記問い合わせ情報が受信された場合、前記管理手段により管理されている前記適合性情報の中から、前記問い合わせ情報に含まれる前記制御プログラムの情報に基づいて特定される適合性情報を参照し、前記制御プログラムの更新の可否を判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を内容とする応答情報を設定して、前記情報処理装置に対して応答する応答手段とを備えることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
本発明の情報処理システムによれば、情報処理装置に搭載されているオペレーティングシステム(以下、単に「OS」という。)及び/又はアプリケーションの情報と、情報処理装置又は周辺装置に搭載されている制御プログラムの情報とを含む問い合わせ情報をサーバ側で受信し、その問い合わせ情報の内容と、管理手段が管理する適合性情報とを照らし合わせて、制御プログラムの更新の可否を判断する。適合性情報とは、例えば、更新プログラムと、情報処理装置に搭載されているオペレーティングシステム及び/又はアプリケーションとの組み合わせでは不具合がおきるというマイナス情報や、その組み合わせではパフォーマンスが向上する等のプラス情報等である。そして、その判断結果を内容とする応答情報を適宜設定し、情報処理装置に応答する。その結果、情報処理装置側では、応答情報を受信して、その応答情報の内容に基づいて制御プログラムの更新を適切に行うことができる。
【0012】
したがって、本発明の情報処理システムによれば、情報処理装置の使用環境に応じて、制御プログラムの更新を適切に行うことができる。
【0013】
本発明の情報処理システムにおいて、管理手段は、更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションを識別するためのアプリケーション識別情報を適合性情報として管理しており、アプリケーションの情報にはアプリケーション識別情報が含まれ、判断手段は、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーション識別情報と、判断手段により参照される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーション識別情報とが一致する場合、制御プログラムの更新を否と判断するものであることが望ましい(請求項2)。
【0014】
このような構成では、適合性情報として管理されている適合性の悪いアプリケーションのアプリケーション識別情報(例えば、アプリケーションの名称や識別子(ID))と、問い合わせ情報に含まれるアプリケーション識別情報とが一致する場合に、制御プログラムを更新してしまうと、返って不具合を生じる可能性が高くなる。そこで、このような場合は更新させないようにすることで、情報処理装置において制御プログラムの更新により不具合が生じることを防止できる。
【0015】
本発明の情報処理システムにおいて、管理手段は、更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションのバージョン情報を適合性情報として管理しており、アプリケーションの情報にはさらにアプリケーションのバージョン情報が含まれ、判断手段は、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーション識別情報と、判断手段により参照される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーション識別情報とが一致する場合であっても、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーションのバージョン情報と、判断手段により参照される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションのバージョン情報とが一致しない場合、更新を可と判断するものであることが望ましい(請求項3)。
【0016】
このような構成では、適合性情報として管理されている適合性の悪いアプリケーションのバージョン情報と、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションのバージョン情報とが一致する場合に、制御プログラムを更新してしまうと、特定のアプリケーションにおける特定のバージョンに限って不具合を生じる可能性が高くなる。そこで、このような場合は更新させないようにすることで、情報処理装置において制御プログラムの更新により不具合が生じることを防止できる。一方、適合性情報として管理されている適合性の悪いアプリケーションのバージョン情報と、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションのバージョン情報とが一致しない場合には、制御プログラムを更新しても不具合を生じる可能性が低いので、このような場合は更新を制限しない。これにより、情報処理装置において制御プログラムの更新により不具合が生じることを確実に防止しつつ、更新に問題のない制御プログラムについては提供することが可能となる。
【0017】
本発明の情報処理システムにおいて、管理手段は、更新プログラムとの適合性が悪いオペレーティングシステムの情報を適合性情報として管理しており、判断手段は、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーション識別情報と、判断手段により参照される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーション識別情報とが一致する場合であっても、問い合わせ情報に含まれるオペレーティングシステムの情報と、判断手段により参照される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いオペレーティングシステムの情報とが一致しない場合、更新を可と判断するものであることが望ましい(請求項4)。
【0018】
このような構成では、適合性情報として管理されている適合性の悪いOSの情報と、問い合わせ情報に含まれるOSとが一致する場合に、制御プログラムを更新してしまうと、返って不具合を生じる可能性が高くなる。そこで、このような場合は更新させないようにすることで、情報処理装置において制御プログラムの更新により不具合が生じることを一層確実に防止できる。
【0019】
本発明の情報処理システムにおいて、管理手段は、更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションの開発元情報を適合性情報として管理しており、アプリケーションの情報にはさらにアプリケーションの開発元情報が含まれ、判断手段は、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーション識別情報と、判断手段により参照される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーション識別情報とが一致しない場合、及び問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーションのバージョン情報と、判断手段により参照される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションのバージョン情報とが一致しない場合のどちらかの場合であっても、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーションの開発元情報と、判断手段により参照される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションの開発元情報とが一致しない場合は更新を可と判断し、一致する場合は更新が可であるが更新の要否の問い合わせが必要であると判断するものであることが望ましい(請求項5)。
【0020】
経験則として、更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションと同じ開発元により開発されたアプリケーションも、同様に更新プログラムとの適合性が悪い可能性がある。
【0021】
そこで、このような構成では、適合性情報として管理されている適合性の悪いアプリケーションの開発元情報と、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの開発元情報とが一致する場合に、制御プログラムを更新してしまうと、不具合を生じる可能性があるが、このような場合は制御プログラムを更新する前に、更新の要否をユーザに問い合わせる、といった対応をとることができる。したがって、ユーザの判断に基づいて更新プログラムをサーバが提供するか否かを決定することができる。一方、適合性情報として管理されている適合性の悪いアプリケーションの開発元情報と、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの開発元情報とが一致しない場合には、制御プログラムを更新しても不具合を生じる可能性が低いので、このような場合は更新を制限しない。これにより、情報処理装置において制御プログラムの更新により不具合が生じることを一層確実に防止しつつ、ユーザの判断に基づいて、更新に問題のない制御プログラムについては提供することが可能となる。
【0022】
本発明の情報処理システムにおいて、応答手段は、判断手段の更新を可とする判断結果に基づいて、更新プログラムが存在していること、及び更新プログラムの更新の要否の問い合わせを内容とする応答情報を設定するものであることが望ましい(請求項6)。
【0023】
このような構成によれば、更新を可と判断した場合に、更新プログラムが存在していること、及び更新プログラムの更新の要否の問い合わせを内容とする応答情報が情報処理装置に送信されるため、情報処理装置側で更新プログラムの更新の要否を決定でき、情報処理装置の使用環境に応じて、制御プログラムの更新をより適切に行うことができる。
【0024】
本発明の情報処理システムにおいて、応答手段は、判断手段の更新を可とする判断結果に基づいて、更新プログラムが存在していること、及び更新プログラムの自動送信を内容とする応答情報を設定するものであることが望ましい(請求項7)。
【0025】
このような構成によれば、更新を可と判断した場合に更新プログラムを自動的に更新できるので、情報処理装置側で更新プログラムの更新の要否を決定するための処理、さらには、情報処理装置のユーザが更新プログラムをサーバから取得する作業を省くことができる。
【0026】
本発明のプログラムは、オペレーティングシステム上で少なくとも1つのアプリケーションを起動して情報処理を行う情報処理装置と、前記情報処理装置と接続された周辺装置と、前記情報処理装置と接続されたサーバとを備えた情報処理システムに搭載されるプログラムであって、
前記情報処理装置は、前記情報処理を行う際に前記アプリケーションと連携して前記周辺装置を動作させる制御プログラム、あるいは前記周辺装置に転送する制御プログラムを前記サーバから取得可能であり、
前記サーバには、前記制御プログラムの更新プログラムが前記情報処理装置に対して提供可能な状態で格納されており、
前記サーバを、前記オペレーティングシステム又は前記アプリケーションと、前記更新プログラムとの間の適合性に関する情報である適合性情報を管理する管理手段と、
前記情報処理装置から送信される前記制御プログラムの更新の可否に関する問い合わせ情報であって、前記情報処理装置に搭載されている前記オペレーティングシステム及び/又は前記アプリケーションの情報と、前記情報処理装置又は前記周辺装置に搭載されている前記制御プログラムの情報とを含む前記問い合わせ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記問い合わせ情報が受信された場合、前記管理手段により管理されている前記適合性情報の中から、前記問い合わせ情報に含まれる前記制御プログラムの情報に基づいて特定される適合性情報を参照し、前記制御プログラムの更新の可否を判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を内容とする応答情報を設定して、前記情報処理装置に対して応答する応答手段として機能させることを特徴とする(請求項8)。
【0027】
本発明のプログラムによれば、情報処理システムに搭載されることにより、情報処理システムに上述の作用効果を奏させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例の情報処理システムの構成図である。
【図2】実施例の情報処理システムに係り、情報処理装置の概略ブロック図である。
【図3】実施例の情報処理システムに係り、「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンのフローチャートである。
【図4】実施例の情報処理システムに係り、「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンのフローチャートである。
【図5】実施例の情報処理システムに係り、「更新可否の応答」処理ルーチンのフローチャートである。
【図6】実施例の情報処理システムに係り、「更新可否の応答」処理ルーチンのフローチャートである。
【図7】実施例の情報処理システムに係り、デバイスドライバに関する適合性情報のデータベースの説明図である。
【図8】実施例の情報処理システムに係り、ファームウェアに関する適合性情報のデータベースの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0030】
(実施例)
図1に示すように、実施例の情報処理システム100は、情報処理装置の具体的態様であるパーソナルコンピュータ(以下、単に「PC」と呼ぶ。)1、2と、周辺装置の具体的態様であるプリンタ3と、サーバ4とを備えている。情報処理システム100は、PC1、PC2、プリンタ3及びサーバ4以外に、他のPCや、スキャナー、複合機等の周辺装置を備え得る。本実施例では、説明の簡略化のため、PC1、PC2、プリンタ3及びサーバ4に限って以下の説明を行う。
【0031】
PC1、2及びプリンタ3は、例えば「イーサネット(登録商標)」と呼ばれるLAN(Local Area Network)等のネットワーク5を介して接続されている。サーバ4とネットワーク5とは、ルータ6及びインターネットを介して接続されている。なお、プリンタ3は、PC1、2のいずれかと、シリアルケーブルやUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等を介して直接接続されていてもよい。
【0032】
PC1は、図2に示すように、CPU11、ROM12及びRAM13等を有する情報処理部10と、HDD(Hard Disk Drive)14と、ディスプレイ15と、入力部16と、ネットワーク接続に用いられるLANアダプタ等のNIC(Network Interface Card)17と、CD−ROMに記憶されたデータを読み出すCD−ROMドライブ18とを備え、これらの各構成要素が内部バス19を介して相互に通信可能に接続された周知の構成のものである。PC2の内部構成もPC1と同様である。図1に示すように、PC1、2は、オペレーティングシステム(以下、単に「OS」という。)の元で、各種ソフトウェアプログラムを起動して情報処理を行うようになっている。本実施例では、PC1に「α」というOSが搭載され、PC2に「β」というOSが搭載されているものとする。
【0033】
PC1、2のHDD14には、図1に示すように、システムフォルダ14S及びプログラムフォルダ14P等が設けられている。システムフォルダ14Sには、OSの動作に必要な各種システムファイルや、周辺装置の動作を制御する制御プログラムであるデバイスドライバが格納されている。本実施例では、各PC1、2のシステムフォルダ14Sに、プリンタ3の動作を制御するプリンタドライバD1が格納されているものとする。プログラムフォルダ14Pには、各種のアプリケーションソフトウェアのプログラムが格納されている。本実施例では、PC1のプログラムフォルダ14Pに、アプリケーションAが格納され、PC2のプログラムフォルダ14Pに、アプリケーションBが格納されているものとする。
【0034】
プリンタ3は、周知の印刷機能を備えており、PC1、2から送信された印刷データに基づいて、画像や文書を記録用紙に印刷するものである。プリンタ3の内部記憶装置には、プリンタ3を動作させる制御プログラムとしてのファームウェアF1が格納されている。例えば、ユーザがPC1においてアプリケーションAを起動して印刷を実行する場合、PC1のプリンタドライバD1がアプリケーションAに連携して起動し、印刷データを作成してプリンタ3に送信する。そうすると、プリンタ3では、ファームウェアF1がプリンタドライバD1に連携してプリンタ3を制御し、印刷を実行する。なお、プリンタドライバD1が印刷データの元データをプリンタ3に送信し、プリンタ3のファームウェアF1が元データから印刷データを生成する構成もあり得る。
【0035】
サーバ4は、クライアントであるPC1、2側からの要求を受けて、何らかのサービスを提供する周知の情報処理装置である。サーバ4も、PC1と同様の内部構成(図2に示すブロック図)を有している。サーバ4の内部記憶装置4Aには、PC1、2等に接続される周辺装置を動作させるデバイスドライバや周辺装置内に記憶され周辺装置の動作を制御するファームウェアがPC1、2等にネットワークを介して提供可能な状態で格納されている。通常、ファームウェアは、サーバ4からPC1、2等を介してプリンタ3等の周辺装置に提供される。本実施例では、サーバ4の内部記憶装置4Aに、プリンタドライバD1の更新プログラム、及びファームウェアF1の更新プログラムが格納されているものとする。また、サーバ4の内部記憶装置4Aには、後述する適合性情報のデータベースが管理されている。
【0036】
このような構成である情報処理システム100では、以下に詳述する通り、PC1、2とサーバ4との間で、プリンタドライバD1及びファームウェアF1の更新についての問い合わせ及び応答が行われ、その結果として、プリンタドライバD1及びファームウェアF1の更新を適切に行えるようになっている。
【0037】
本実施例では、ユーザがPC1においてOS「α」上でアプリケーションAを起動し、プリンタ3により印刷を実行しようとする場合を想定して説明する。この場合、PC1の情報処理部10を構成するCPU11が図3、4に示す「更新可否の問い合わせ」処理ルーチン(ステップS100〜S116)を実行する。具体的には、ユーザが、アプリケーションAの表示画面において、印刷するプリンタとしてプリンタ3を指定し、印刷開始の指示を入力すると、プリンタ3のプリンタドライバD1がアプリケーションAからの指示により起動する。そして、プリンタドライバD1は、ドライバとしての処理を開始する。ここで行なわれる処理は通常のドライバ処理と同様のため、詳細な説明は省略するが、例えば、アプリケーションAで作成された文書データをプリンタ3が印字可能な印字データの形式に変換し、プリンタ3に送信する処理を行う。
【0038】
一方、「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンは、PC1が起動されている間は、S100において、いずれかのプリンタドライバが起動されたか否かを監視している。したがって、いずれかのプリンタドライバが起動されると、プリンタドライバが行うドライバ処理と、図3、4に示す「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンとが並行して行われることになる。
【0039】
また、サーバ4では、サーバ4の情報処理部を構成するCPU(図示せず)が図5、6に示す「更新可否の応答」処理ルーチン(ステップS201〜S214)をバックグランドで実行しており、通常は、ステップS201において待機状態となっている。
【0040】
「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンにおいて、図3に示すステップS100でPC1が備えているプリンタドライバのいずれかが起動されたと判断された場合には「Yes」となり、ステップS101に移行して、起動されたプリンタドライバの種別を特定する。本実施例においては、PC1に搭載されたプリンタドライバD1が起動され、そのバージョンが「1.0.0」であるものとする。
【0041】
次に、ステップS102に移行して、プリンタドライバD1の呼び出し元アプリケーションの名称を取得する。本実施例のPC1においては、PC1に搭載されたアプリケーションAの名称「アプリケーションA」を取得することとなる。
【0042】
次に、ステップS103に移行して、プリンタドライバD1の呼び出し元アプリケーションのバージョン情報を取得する。本実施例のPC1においては、PC1に搭載されたアプリケーションAのバージョン情報として「1.0」を取得するものとする。
【0043】
次に、ステップS104に移行して、プリンタドライバD1の呼び出し元アプリケーションの開発元情報を取得する。本実施例のPC1においては、PC1に搭載されたアプリケーションAの開発元情報として「XXX」を取得するものとする。
【0044】
次に、ステップS105に移行して、PC1に搭載されているOSの情報を取得する。本実施例のPC1においては、PC1に搭載されたOS「α」をOSの名称として取得する。なお、OSの情報にOSのバージョン情報等が含まれ得る。
【0045】
次に、ステップS106に移行して、サーバ4に対してプリンタドライバD1の更新の確認が必要か否かを判断する。例えば、事前設定により、所定の期間毎にサーバ4に対して更新の確認を行う設定がされている場合、その期間が経過していなければ、プリンタドライバD1の更新の確認が不要としてステップS106で「No」となり、図4に示すように「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンを終了する。
【0046】
一方、所定の期間が経過していれば、プリンタドライバD1の更新の確認が必要として、ステップS106で「Yes」となり、ステップS107に移行する。なお、ステップS106において、更新の確認が必要か否かをユーザに問い合わせるユーザインターフェース画面を表示し、ユーザに選択させてもよい。
【0047】
プリンタドライバD1の更新の確認が必要としてステップS107に移行すると、サーバ4に対して、プリンタドライバD1の更新の可否を問い合わせる問い合わせ情報を送信する。問い合わせ情報には、PC1に搭載されているOS及びアプリケーションAの情報と、PC1に搭載されているプリンタドライバD1の情報とが含まれている。本実施例のPC1においては、PC1に搭載されているOS及びアプリケーションAの情報として、ステップS102で取得された「アプリケーションA」という名称、ステップS103で取得された「1.0」というバージョン情報、ステップS104で取得された「XXX」という開発元情報、及びステップS105で取得された「OS:α」というOSの情報が問い合わせ情報に含まれることとなる。また、プリンタドライバD1の情報として、「プリンタドライバD1」という名称、及び「1.0.0」というバージョン情報が問い合わせ情報に含まれることとなる。
【0048】
次に、ステップS108に移行して、サーバ4から送信される応答情報を受信するまで待機状態となる。なお、サーバ4がPC1からの問い合わせ情報を受信し、PC1に対して応答情報を送信するまでの処理については後述する。
【0049】
ステップS108で、サーバ4から送信される応答情報を受信したと判断された場合には「Yes」となり、ステップS109に移行して、「更新プログラムが存在する」という応答内容か否かを判断する。
【0050】
後述するサーバ4側のステップS204又はS209に基づく応答情報を受信した場合、「更新プログラムが存在しない」という内容であるので、ステップS109において「No」となり、図4に示すように「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンを終了する。そして、プリンタドライバD1は、アプリケーションAと連携して、プリンタ3に印刷機能を実行させる。
【0051】
一方、後述するサーバ4側のステップS210又はS212に基づく応答情報を受信した場合、「更新プログラムが存在する」という内容であるので、ステップS109において「Yes」となり、ステップS110に移行する。
【0052】
ステップS110では、応答情報の中に更新の要否の問い合わせがあるか否かを判断する。後述するサーバ4側のステップS210に基づく応答情報を受信した場合、更新の要否の問い合わせはないので、ステップS110において「No」となり、図4に示すステップS114に移行する。そして、ステップS114において、サーバ4の応答情報として自動送信されるプリンタドライバD1の更新プログラム(バージョン「1.0.1」)を受信する。
【0053】
次に、ステップS115に移行して、プリンタドライバD1の更新プログラムによりプリンタドライバD1を更新して、「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンを終了する。そして、バージョン「1.0.0」からバージョン「1.0.1」に更新されたプリンタドライバD1は、アプリケーションAと連携して、プリンタ3に印刷機能を実行させる。なお、プリンタドライバD1の更新は、並行して動作している旧プリンタドイライバD1の処理の終了を待って行う。また、更新されたプリンタドライバD1を使用可能な状態とするには、通常、PC1の再起動が必要である。
【0054】
一方、後述するサーバ4側のステップS212に基づく応答情報を受信した場合、更新の要否の問い合わせがあるので、図3に示すステップS110において「Yes」となり、ステップS111に移行する。
【0055】
ステップS111では、図示は省略するが、PC1のディスプレイ15に、「利用可能な更新プログラムが存在しますが、開発元の観点から不具合が発生する可能性があります。」という警告画面と、「更新する」選択ボタンと、「更新しない」選択ボタンとを表示して、ユーザに更新の要否を選択させる。
【0056】
次に、ステップS112に移行して、ユーザが更新の実行を選択したか否かを判断する。ユーザが「更新しない」選択ボタンをクリックした場合、ステップS112において「No」となり、図4に示すステップS116に移行する。そして、ステップS116において、サーバ4に対して、「更新を実行しない」旨を通知して、「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンを終了する。そして、プリンタドライバD1は、アプリケーションAと連携して、プリンタ3に印刷機能を実行させる。
【0057】
一方、ユーザが「更新する」選択ボタンをクリックした場合、ステップS112において「Yes」となり、ステップS113に移行する。そして、ステップS113において、サーバ4に対して、「更新を実行する」旨を通知して、図4に示すステップS114に移行する。ステップS114以降の処理は上述した通りである。
【0058】
こうして、PC1は、サーバ4に対して、プリンタドライバD1の更新について問い合わせ情報を送信し、サーバ4から更新の可否を内容とする応答情報を受信することにより、プリンタドライバD1の更新を適切に行うことができる。説明は省略するが、PC2についても同様である。
【0059】
一方、サーバ4では、図5に示すように、ステップS201においてPC1、2から送信される問い合わせ情報を受信するまで待機状態となっている。そして、S201でサーバ4が問い合わせ情報を受信したと判断された場合には「Yes」となり、ステップS202に移行する。
【0060】
ステップS202では、受信した問い合わせ情報に含まれるプリンタドライバD1の情報とサーバ4に格納されているデバイスドライバの更新プログラムとを照らし合わせる。本実施例のPC1の問い合わせ情報に基づくと、プリンタドライバD1の更新プログラムが参照結果として抽出される。
【0061】
次に、ステップS203に移行して、ステップS202の参照結果に基づいて、プリンタドライバD1の更新プログラムがサーバ4に存在するか否かを判断する。ステップS203において「No」の場合、ステップS204に移行して、「更新プログラムが存在しない」という内容の応答情報を設定してPC1に対して応答し、「更新可否の応答」処理ルーチンを終了する。そして、サーバ4のCPUは、再び「更新可否の応答」処理ルーチンを開始し、ステップS201において待機状態となる。なお、ステップS204の応答情報に対応して、PC1側で行われるステップS108以降の処理については上述した通りである。
【0062】
一方、ステップS203において「Yes」の場合、ステップS205に移行する。本実施例では、サーバ4に、PC1のプリンタドライバD1(バージョン「1.0.0」)に対応するプリンタドライバD1の更新プログラム(バージョン「1.0.1」)が格納されているものとする。この場合、ステップS203において「Yes」となり、ステップS205に移行する。
【0063】
ステップS205では、サーバ4の内部記憶装置4Aに管理されている適合性情報のデータベースと、受信した問い合わせ情報に含まれるプリンタドライバD1の情報とを照らし合わせて、プリンタドライバD1に対応する適合性情報を特定する。
【0064】
ここで、適合性情報のデータベースとは、図7に具体例を示すように、市販されている各種のOS又はアプリケーションと、サーバ4に格納されている各種のデバイスドライバ(更新プログラム)との間の適合性に関する情報である。特に、本実施例では、適合性情報として、適合性が悪い組み合わせ、すなわち、不具合が発生する可能性が高い組み合わせの情報を管理している。
【0065】
より詳しくは、図7の例において、左側の「デバイスドライバの情報」欄L1には、サーバ4の内部記憶装置4Aに格納されているデバイスドライバとして、プリンタドライバD1〜D4の名称とそれぞれのバージョン情報とが管理されている。また、中央の「適合性が悪いアプリケーションの情報」欄L2には、プリンタドライバD1〜D4のそれぞれに対して、適合性が悪いアプリケーションの名称、バージョン情報及び開発元情報が対応付けて管理されている。さらに、右側の「適合性が悪いOSの情報」欄L3には、プリンタドライバD1〜D4のそれぞれに対して、適合性が悪いOSの名称が対応付けて管理されている。
【0066】
本実施例のPC1の問い合わせ情報に基づくと、ステップS205において、図7の適合性情報のデータベースと、問い合わせ情報に含まれるプリンタドライバD1の情報(「プリンタドライバD1」、バージョン「1、0、0」)とを照らし合わせることにより、プリンタドライバD1に対応する適合性情報として、サーバ4に格納されたプリンタドライバD1の更新プログラム(バージョン「1.0.1」)と、プリンタドライバD1の更新プログラム(バージョン「1.0.1」)に対して適合性が悪いアプリケーションAの名称「アプリケーションA」、バージョン「1.0」及び開発元「XXX」と、プリンタドライバD1の更新プログラム(バージョン「1.0.1」)に対して適合性が悪いOSの名称「α」とが特定される。
【0067】
次に、ステップS206に移行して、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの名称と、特定された適合性情報に含まれるアプリケーションの名称とが一致するか否かを判断する。ステップS206において「No」の場合、図6に示すステップS211に移行する。
【0068】
一方、ステップS206において「Yes」の場合、ステップS207に移行する。本実施例のPC1の問い合わせ情報に基づくと、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの名称と、特定された適合性情報に含まれるアプリケーションの名称とが「アプリケーションA」であり、一致するので「Yes」となり、ステップS207に移行する。
【0069】
ステップS207では、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションのバージョン情報と、特定された適合性情報に含まれるアプリケーションのバージョン情報とが一致するか否かを判断する。ステップS207において「No」の場合、図6に示すステップS211に移行する。
【0070】
一方、ステップS207において「Yes」の場合、ステップS208に移行する。本実施例のPC1の問い合わせ情報に基づくと、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションのバージョン情報と、特定された適合性情報に含まれるアプリケーションのバージョン情報とが「1.0」であり、一致するので「Yes」となり、ステップS208に移行する。
【0071】
ステップS208では、問い合わせ情報に含まれるOSの情報と、特定された適合性情報に含まれるOSの情報とが一致するか否かを判断する。ステップS208において「Yes」の場合、ステップS209に移行して、「利用可能な更新プログラムが存在しない」という内容の応用情報を設定して、PC1に対して応答して、「更新可否の応答」処理ルーチンを終了する。すなわち、本実施例のPC1の使用環境によれば、サーバ4にプリンタドライバD1の更新プログラムが格納されているが、適合性情報を参照した結果、プリンタドライバD1の更新プログラムとPC1に搭載されているOS「α」との適合性が悪く、更新すると不具合が発生し得るので更新しないほうがいいと判断するのである。なお、ステップS209の応答情報に対応して、PC1側で行われるステップS108以降の処理については上述した通りである。
【0072】
一方、ステップS208において「No」の場合、ステップS210に移行して、「利用可能な更新プログラムが存在する」旨と、プリンタドライバD1の更新プログラムの自動送信とを内容とする応用情報を設定して、PC1に対して応答し、「更新可否の応答」処理ルーチンを終了する。すなわち、本実施例のPC1の使用環境によれば、プリンタドライバD1の更新プログラムは、PC1の使用環境と照らし合わせて適合性が悪くないので、更新しても不具合が発生し難いと判断するのである。なお、ステップS210の応答情報に対応して、PC1側で行われるステップS108以降の処理については上述した通りである。
【0073】
ステップS206又はS207から図6に示すステップS211に移行すると、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの開発元情報と、特定された適合性情報に含まれるアプリケーションの開発元情報とが一致するか否かを判断する。ステップS211において「No」の場合、図5に示すステップS210に移行して、上述した処理を行う。すなわち、プリンタドライバD1の更新プログラムは、PC1の使用環境と照らし合わせて適合性が悪くないので、更新しても不具合が発生し難いと判断するのである。
【0074】
一方、ステップS211において「Yes」の場合、ステップS212に移行する。本実施例のPC1の問い合わせ情報に基づくと、上述の通り、PC1について、ステップS206及びS207で「Yes」となるのでステップS211に移行しないが、仮に、ステップS206又はS207で「No」となり、ステップS211に移行した場合、PC1の問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの開発元情報と、特定された適合性情報に含まれるアプリケーションの開発元情報とが「XXX」であり、一致するので「Yes」となり、ステップS212に移行する。そして、ステップS212において、「利用可能な更新プログラムが存在するが、開発元の観点から不具合が発生する可能性がある」旨と、更新の要否の問い合わせとを内容とする応答情報を設定し、PCに対して応答する。すなわち、本実施例のPC1の使用環境によれば、サーバ4にプリンタドライバD1の更新プログラムが格納されているが、適合性情報に参照した結果、開発元が一致する場合、経験則として、更新すると不具合が発生する可能性があるので、更新が必要か否かをPC1側に確認したほうがよいと判断するのである。なお、ステップS212の応答情報に対応して、PC1側で行われるステップS108以降の処理については上述した通りである。
【0075】
次に、ステップS213に移行して、PC1から送信される更新を実行するか否かの通知を受信するまで待機する状態となる。
【0076】
ステップS213において、上述したPC1側のステップS113又はS116による通知を受信すると、ステップS214に移行して、受信内容が「更新を実行する」という内容か否かを判断する。
【0077】
ステップS213において「Yes」の場合、ステップS210に移行する。ステップS210の処理は上述した通りであるので、説明は省く。
【0078】
一方、ステップS213において「No」の場合、「更新可否の応答」処理ルーチンを終了する。そして、サーバ4のCPUは、再び「更新可否の応答」処理ルーチンを開始し、ステップS201において待機状態となる。
【0079】
こうして、サーバ4は、プリンタドライバD1の更新について問い合わせ情報をPC1から受信し、更新の可否を内容とする応答情報をPC1に送信することにより、PC1にプリンタドライバD1の更新を適切に行わせることができる。サーバ4がPC2から問い合わせ情報を受信する場合も同様である。
【0080】
また、情報処理システム100では、説明を簡略化するが、プリンタ3に搭載されるファームウェアF1の更新についても、同様に、PC1、2とサーバ4との間で、ファームウェアF1の更新についての問い合わせ及び応答が行われ、その結果として、ファームウェアF1の更新を適切に行える。
【0081】
この場合、サーバ4の内部記憶装置4Aは、ファームウェアに関する適合性情報として、例えば、図8に具体例を示す適合性情報のデータベースを管理している。図8の例において、左側の「ファームウェアの情報」欄L4には、サーバ4の内部記憶装置4Aに格納されているファームウェアF1〜F4の名称とそれぞれのバージョン情報とが管理されている。また、右側の「適合性が悪いOSの情報」欄L5には、ファームウェアF1〜F4のそれぞれに対して、適合性が悪いOSの名称が対応付けて管理されている。
【0082】
一方、PC1は、「更新可否の問い合わせ」処理ルーチンにおいて、ファームウェアF1の更新の可否の問い合わせ情報をサーバ4に送信する。この際、問い合わせ情報には、ファームウェアF1の情報(名称やバージョン情報)と、PC1で使用されるOS(例えば、OS「α」)の情報とを含む問い合わせ情報が含まれる。
【0083】
サーバ4は、「更新可否の応答」処理ルーチンにおいて、その問い合わせ情報を受信し、図8に示す適合性情報のデータベースと参照して、サーバ4に格納されているファームウェアF1の更新プログラム(図1に示す。)とPC1のOS環境との組み合わせでは不具合が生じる可能性があるか否かを判断し、更新の可否を内容とする応答情報をPC1に対して応答する。PC1ではその応答情報に基づいて、ファームウェアF1を適切に更新することができる。例えば、PC1がファームウェアF1の更新を可とする内容の応答情報をサーバ4から受信した場合、PC1がサーバ4から送信されるファームウェアF1の更新プログラムを受信し、さらに、その更新プログラムをプリンタ3に転送して、プリンタ3内のファームウェアF1を更新させる。説明は省略するが、PC2も、同様にしてファームウェアF1を適切に更新することができる。
【0084】
<発明特定事項との対応関係>
プリンタドライバD1が、情報処理装置としてのPC1、2が情報処理を行う際にアプリケーションA等と連携して周辺装置としてのプリンタ3を動作させる制御プログラムに相当する。ファームウェアF1が、情報処理装置としてのPC1、2が周辺装置としてのプリンタ3に転送する制御プログラムに相当する。
【0085】
サーバ4の内部記憶装置4Aが、OS又はアプリケーションと、プリンタドライバD1等及びファームウェアF1等の更新プログラムとの間の適合性に関する情報である適合性情報(例えば、図7、8に示す適合性情報のデータベース)を管理する管理手段に相当する。
【0086】
ステップS201が、PC1、2から送信されるプリンタドライバD1又はファームウェアF1の更新の可否に関する問い合わせ情報であって、PC1、2に搭載されているOS及び/又はアプリケーションの情報と、PC1、2又はプリンタ3に搭載されているプリンタドライバD1又はファームウェアF1の情報とを含む問い合わせ情報を受信する受信手段に相当する。
【0087】
ステップS203、S205〜S208、S211、S212〜S214が、受信手段により問い合わせ情報が受信された場合、管理手段により管理されている適合性情報の中から、問い合わせ情報に含まれるプリンタドライバD1又はファームウェアF1の情報に基づいて特定される適合性情報を参照し、プリンタドライバD1又はファームウェアF1の更新の可否を判断する判断手段に相当する。
【0088】
ステップS204、S209、S210、S212が、判断手段の判断結果を内容とする応答情報を設定して、PC1、2に対して応答する応答手段に相当する。
【0089】
<作用効果>
実施例の情報処理システム100は、PC1、2に搭載されているOS及び/又はアプリケーションの情報と、PC1、2又はプリンタ3に搭載されているプリンタドライバD1又はファームウェアF1の情報とを含む問い合わせ情報をサーバ4側で受信し、その問い合わせ情報の内容と、サーバ4の内部記憶装置4Aが管理する適合性情報(例えば、図7、8の適合性情報のデータベース)とを照らし合わせて、プリンタドライバD1又はファームウェアF1の更新の可否を判断する。適合性情報とは、本実施例では、プリンタドライバD1又はファームウェアF1の更新プログラムと、PC1、2に搭載されているOS及び/又はアプリケーションA等との組み合わせでは不具合がおきるというマイナス情報である。そして、その判断結果を内容とする応答情報を適宜設定し、PC1、2に応答する。その結果、PC1、2側では、応答情報を受信して、その応答情報の内容に基づいてプリンタドライバD1又はファームウェアF1の更新を適切に行うことができる。
【0090】
したがって、実施例の情報処理システム100によれば、PC1、2の使用環境に応じて、プリンタドライバD1やファームウェアF1等の制御プログラムの更新を適切に行うことができる。
【0091】
また、サーバ4の内部記憶装置4Aは、プリンタドライバD1等の更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションを識別するためのアプリケーション識別情報(アプリケーションの名称)を適合性情報として管理している。そして、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーションの名称と、ステップS205より特定される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションの名称とが一致する場合(「Yes」となる場合)、ステップS206においてプリンタドライバD1等の更新を否と判断する。すなわち、アプリケーションの名称が一致する場合にプリンタドライバD1等を更新してしまうと、返って不具合を生じる可能性が高くなる。そこで、このような場合は更新させないようにすることで、PC1、2においてプリンタドライバD1等の更新により不具合が生じることを防止できる。
【0092】
さらに、サーバ4の内部記憶装置4Aは、プリンタドライバD1等の更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションのバージョン情報を適合性情報として管理している。そして、ステップS206において「Yes」となる場合であっても、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーションのバージョン情報と、ステップS205により特定される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションのバージョン情報とが一致しない場合(「No」となる場合)、ステップS207において更新を可と判断する。すなわち、アプリケーションのバージョン情報が一致する場合にプリンタドライバD1等を更新してしまうと、特定のアプリケーションにおける特定のバージョンに限って不具合を生じる可能性が高くなる。そこで、このような場合は更新させないようにすることで、PC1、2においてプリンタドライバD1等の更新により不具合が生じることを防止できる。一方、適合性情報として管理されている適合性の悪いアプリケーションのバージョン情報と、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションのバージョン情報とが一致しない場合には、プリンタドライバD1等を更新しても不具合を生じる可能性が低いので、このような場合は更新を制限しない。これにより、PC1、2においてプリンタドライバD1等の更新により不具合が生じることを確実に防止しつつ、更新に問題のないプリンタドライバD1等の更新プログラムについては提供することが可能となる。
【0093】
また、サーバ4の内部記憶装置4Aは、プリンタドライバD1等の更新プログラムとの適合性が悪いOSの情報を適合性情報として管理している。そして、ステップS206において「Yes」となる場合であっても、問い合わせ情報に含まれるOSの情報と、ステップS205により特定される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いOSの情報とが一致しない場合(「No」となる場合)、ステップS208において更新を可と判断する。すなわち、適合性の悪いOSの情報が一致する場合に、プリンタドライバD1等を更新してしまうと、返って不具合を生じる可能性が高くなる。そこで、このような場合は更新させないようにすることで、PC1、2においてプリンタドライバD1等の更新により不具合が生じることを一層確実に防止できる。
【0094】
さらに、サーバ4の内部記憶装置4Aは、プリンタドライバD1等の更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションの開発元情報を適合性情報として管理している。そして、ステップS206において「No」となる場合、及びステップS207において「No」となる場合のどちらかの場合であっても、問い合わせ情報に含まれるアプリケーションの情報が示すアプリケーションの開発元情報と、ステップS205により特定される適合性情報が示す更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションの開発元情報とが一致しない場合はステップS212において更新を可と判断し、一致しない場合はステップS212において更新が可であるが更新の要否の問い合わせが必要であると判断する。すなわち、経験則として、更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションと同じ開発元により開発されたアプリケーションも、同様に更新プログラムとの適合性が悪い可能性がある。そこで、アプリケーションの開発元情報が一致する場合に、プリンタドライバD1等を更新してしまうと、不具合を生じる可能性があるが、このような場合は、ステップS212により、更新の要否をユーザに問い合わせることができる。したがって、ユーザの判断に基づいてプリンタドライバD1等の更新プログラムをサーバ4が提供するか否かを決定することができる。一方、アプリケーションの開発元情報が一致しない場合には、プリンタドライバD1等を更新しても不具合を生じる可能性が低いので、このような場合は更新を制限しない。これにより、PC1、2においてプリンタドライバD1等の更新により不具合が生じることを一層確実に防止しつつ、ユーザの判断に基づいて、更新に問題のないプリンタドライバD1等の更新プログラムについては提供することが可能となる。
【0095】
特に、ステップS212では、プリンタドライバD1等の更新プログラムが存在していること、及びプリンタドライバD1等の更新プログラムの更新の要否の問い合わせを内容とする応答情報を送信する。これにより、PC1、2側でプリンタドライバD1等の更新の要否を決定でき、PC1、2の使用環境に応じて、プリンタドライバD1等の更新をより適切に行うことができる。
【0096】
また、ステップS210では、プリンタドライバD1等の更新プログラムが存在していること、及びプリンタドライバD1等の更新プログラムの自動送信を内容とする応答情報を送信する。これにより、PC1、2においてプリンタドライバD1等の自動更新が実行されるので、PC1、2側でプリンタドライバD1等の更新の要否を決定するための処理、さらには、PC1、2のユーザがプリンタドライバD1等の更新プログラムをサーバ4から取得する作業を省くことができる。
【0097】
また、「更新可否の問い合わせ」処理ルーチン(図3、4のステップS100〜S116)及び「更新可否の応答」処理ルーチン(図5、6のステップS201〜S214)によれば、情報処理システム100に搭載されることにより、情報処理システム100に上述の作用効果を奏させることができる。
【0098】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は情報処理システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0100】
100…情報処理システム
1、2…情報処理装置
3…周辺装置(プリンタ)
4…サーバ
D1、F1…制御プログラム(D1…デバイスドライバ(プリンタドライバ)、F1…ファームウェア)
A、B…アプリケーション
4A…管理手段(サーバの内部記憶装置)
S201…受信手段
S203、S205〜S208、S211、S212〜S214…判断手段
S204、S209、S210、S212…応答手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレーティングシステム上で少なくとも1つのアプリケーションを起動して情報処理を行う情報処理装置と、前記情報処理装置と接続された周辺装置と、前記情報処理装置と接続されたサーバとを備えた情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、前記情報処理を行う際に前記アプリケーションと連携して前記周辺装置を動作させる制御プログラム、あるいは前記周辺装置に転送する制御プログラムを前記サーバから取得可能であり、
前記サーバには、前記制御プログラムの更新プログラムが前記情報処理装置に対して提供可能な状態で格納されており、
前記サーバは、前記オペレーティングシステム又は前記アプリケーションと、前記更新プログラムとの間の適合性に関する情報である適合性情報を管理する管理手段と、
前記情報処理装置から送信される前記制御プログラムの更新の可否に関する問い合わせ情報であって、前記情報処理装置に搭載されている前記オペレーティングシステム及び/又は前記アプリケーションの情報と、前記情報処理装置又は前記周辺装置に搭載されている前記制御プログラムの情報とを含む前記問い合わせ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記問い合わせ情報が受信された場合、前記管理手段により管理されている前記適合性情報の中から、前記問い合わせ情報に含まれる前記制御プログラムの情報に基づいて特定される適合性情報を参照し、前記制御プログラムの更新の可否を判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を内容とする応答情報を設定して、前記情報処理装置に対して応答する応答手段とを備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記管理手段は、前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションを識別するためのアプリケーション識別情報を前記適合性情報として管理しており、
前記アプリケーションの情報には前記アプリケーション識別情報が含まれ、
前記判断手段は、前記問い合わせ情報に含まれる前記アプリケーションの情報が示す前記アプリケーション識別情報と、前記判断手段により参照される適合性情報が示す前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーション識別情報とが一致する場合、前記制御プログラムの更新を否と判断することを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記管理手段は、前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションのバージョン情報を前記適合性情報として管理しており、
前記アプリケーションの情報にはさらに前記アプリケーションのバージョン情報が含まれ、
前記判断手段は、前記問い合わせ情報に含まれる前記アプリケーションの情報が示す前記アプリケーション識別情報と、前記判断手段により参照される適合性情報が示す前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーション識別情報とが一致する場合であっても、前記問い合わせ情報に含まれる前記アプリケーションの情報が示す前記アプリケーションのバージョン情報と、前記判断手段により参照される適合性情報が示す前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションのバージョン情報とが一致しない場合、更新を可と判断することを特徴とする請求項2記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記管理手段は、前記更新プログラムとの適合性が悪いオペレーティングシステムの情報を前記適合性情報として管理しており、
前記判断手段は、前記問い合わせ情報に含まれる前記アプリケーションの情報が示す前記アプリケーション識別情報と、前記判断手段により参照される適合性情報が示す前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーション識別情報とが一致する場合であっても、前記問い合わせ情報に含まれる前記オペレーティングシステムの情報と、前記判断手段により参照される適合性情報が示す前記更新プログラムとの適合性が悪いオペレーティングシステムの情報とが一致しない場合、更新を可と判断することを特徴とする請求項2又は3記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記管理手段は、前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションの開発元情報を前記適合性情報として管理しており、
前記アプリケーションの情報にはさらに前記アプリケーションの開発元情報が含まれ、
前記判断手段は、前記問い合わせ情報に含まれる前記アプリケーションの情報が示す前記アプリケーション識別情報と、前記判断手段により参照される適合性情報が示す前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーション識別情報とが一致しない場合、及び前記問い合わせ情報に含まれる前記アプリケーションの情報が示す前記アプリケーションのバージョン情報と、前記判断手段により参照される適合性情報が示す前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションのバージョン情報とが一致しない場合のどちらかの場合であっても、前記問い合わせ情報に含まれる前記アプリケーションの情報が示す前記アプリケーションの開発元情報と、前記判断手段により参照される適合性情報が示す前記更新プログラムとの適合性が悪いアプリケーションの開発元情報とが一致しない場合は更新を可と判断し、一致する場合は更新が可であるが更新の要否の問い合わせが必要であると判断することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記応答手段は、前記判断手段の前記更新を可とする判断結果に基づいて、前記更新プログラムが存在していること、及び前記更新プログラムの更新の要否の問い合わせを内容とする応答情報を設定することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記応答手段は、前記判断手段の前記更新を可とする判断結果に基づいて、前記更新プログラムが存在していること、及び前記更新プログラムの自動送信を内容とする応答情報を設定することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載の情報処理システム。
【請求項8】
オペレーティングシステム上で少なくとも1つのアプリケーションを起動して情報処理を行う情報処理装置と、前記情報処理装置と接続された周辺装置と、前記情報処理装置と接続されたサーバとを備えた情報処理システムに搭載されるプログラムであって、
前記情報処理装置は、前記情報処理を行う際に前記アプリケーションと連携して前記周辺装置を動作させる制御プログラム、あるいは前記周辺装置に転送する制御プログラムを前記サーバから取得可能であり、
前記サーバには、前記制御プログラムの更新プログラムが前記情報処理装置に対して提供可能な状態で格納されており、
前記サーバを、前記オペレーティングシステム又は前記アプリケーションと、前記更新プログラムとの間の適合性に関する情報である適合性情報を管理する管理手段と、
前記情報処理装置から送信される前記制御プログラムの更新の可否に関する問い合わせ情報であって、前記情報処理装置に搭載されている前記オペレーティングシステム及び/又は前記アプリケーションの情報と、前記情報処理装置又は前記周辺装置に搭載されている前記制御プログラムの情報とを含む前記問い合わせ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記問い合わせ情報が受信された場合、前記管理手段により管理されている前記適合性情報の中から、前記問い合わせ情報に含まれる前記制御プログラムの情報に基づいて特定される適合性情報を参照し、前記制御プログラムの更新の可否を判断する判断手段と、
前記判断手段の判断結果を内容とする応答情報を設定して、前記情報処理装置に対して応答する応答手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate