説明

情報処理プログラムおよび情報処理装置

【課題】画面サイズよりも広い表形式の領域の一部を表示する情報処理において、視認性や操作性を高めつつ、表示した一部の領域のマス目の意味内容も把握することが可能な情報処理プログラムおよび情報処理装置を提供すること。
【解決手段】複数の見出し項目と当該見出し項目に関係づけられた升目とを有する表形式の領域のうち、プレイヤによって指示された升目を含む一部の領域を画面に表示する。次に、当該指示された升目に関係づけられている見出し項目の情報が取得される。そして、指示された升目の表示位置に関連して当該取得した見出し項目を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の見出し項目と各見出し項目に関係づけられた複数の升目とを表形式で表している領域を表示装置の画面に表示する情報処理プログラムおよび情報処理装置に関し、より特定的には、表形式の表示領域の一部を画面に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の行列からなるマス目に対して、各行列毎に表示される数字(ヒント数字)をヒントにして塗り潰すマス目を割り出し、そのとおりに塗り潰していくと、最終的に絵(または文字)が浮かび上がるタイプのパズルゲーム、いわゆる、ピクチャークロスワードパズルというパズルゲームが知られている。そして、このようなパズルゲームを電子ゲーム機上で動作可能としたゲームプログラムやゲーム機が知られている(例えば、非特許文献1)。このゲームプログラムでは、15×15のマス目、および、当該マス目の上部および左部にヒント数字が表示される。そして、プレイヤが塗りつぶしたいマス目に対応するヒント数字を拡大して表示する技術が開示されている。
【非特許文献1】”ピクロス2”、[online]、任天堂、[平成18年9月13日検索]、インターネット<URL:http://www.nintendo.co.jp/n02/dmg/ap2j/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような上記非特許文献1に開示されたゲームプログラムにおいては、従来から以下に示す問題点があった。上記非特許文献1に開示されているゲームでは、ゲーム内容としてはマス目が15×15の領域があれば十分楽しめるものであった。そのため、携帯ゲーム機のような小さい画面サイズでも、領域全体を表示しても視認性は確保できていた。しかし、近年では、ハードウェアの高性能化(より解像度の高い画面表示が可能)や、プレイヤのゲームへの慣れ等もあってゲーム内容の高度化・複雑化が要求され、例えばマス目が25×30などの、より広いゲーム領域が求められるようになっている。しかしながら、携帯ゲーム機の小さい画面にこの領域全体を表示しようとすると、マス目一つ一つがかなり小さく表示されることになり、視認性、操作性が著しく低下するという問題があった。ここで、領域の一部分を拡大して表示するということも考えられる。この場合は、確かに視認性は良くなるものの、拡大した部分によっては、上述のようなゲームのクリアに必要な情報であるヒント数字が画面内に表示されず、拡大した部分の意味内容が把握できなくなる。その結果、ゲームの面白さが損なわれることになるという問題があった。
【0004】
それ故に、本発明の目的は、画面サイズよりも広い表形式の領域の一部を表示する情報処理において、視認性や操作性を高めつつ、表示した一部の領域のマス目の意味内容も把握することが可能な情報処理プログラムおよび情報処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明等は、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係の一例を示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
【0006】
第1の発明は、複数の見出し項目と各見出し項目に関係づけられた複数の升目とを表形式で表している全体領域を表示装置の画面に表示する情報処理装置のコンピュータで実行される情報処理プログラムであって、指示ステップ(S2)と、一部領域表示ステップ(S5)と、見出し項目取得ステップ(S34)と、見出し表示ステップ(S35、S36、S38)とをコンピュータに実行させる。指示ステップは、複数の升目から任意の升目を指示するためのステップである。一部領域表示ステップは、全体領域のうち、指示された升目を含む一部の領域を画面に表示するためのステップである。見出し項目取得ステップは、指示ステップにおいて指示された升目に関係づけられている見出し項目を取得するためのステップである。見出し表示ステップは、見出し項目取得ステップにおいて取得した見出し項目を、指示された升目の表示位置に関連させて表示するためのステップである。ここで、見出し項目とは、一般的な表の見出し項目の他、例えば、ピクチャークロスワードパズルにおけるヒント数字のような、表形式の領域の上部および左部に表示される、升目に関する情報を示す項目も指す。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、見出し表示ステップは、指示された升目の表示位置の上方および左方の少なくとも一方に、見出し項目取得ステップにおいて取得した見出し項目を表示する。
【0008】
第3の発明は、第1の発明において、情報処理プログラムは、見出し項目取得ステップにおいて取得した見出し項目が一部領域内にあるか否かを判別する判別ステップをさらにコンピュータに実行させる。また、見出し表示ステップは、見出し項目が一部領域内にないことが判別されたとき、見出し項目を一部領域内に移動させる。
【0009】
第4の発明は、第1の発明において、見出し項目取得ステップは、指示された升目の上下または左右両隣の升目に関係づけられている見出し項目を取得し、見出し表示ステップは、指示された升目に関係づけられている見出し項目と併せて両隣の見出し項目も表示する。
【0010】
第5の発明は、第1の発明において、見出し表示ステップは、取得ステップにおいて取得した見出し項目の文字の大きさ、または文字色を変更して表示する。
【0011】
第6の発明は、第1の発明において、指示ステップは、表示装置の画面に設けられたタッチパネルに対するプレイヤの指示位置に対応する指示座標に基づいて所定の升目を指示する。
【0012】
第7の発明は、第1の発明において、見出し項目取得ステップは、指示された升目に関係づけられている見出し項目の部分を全体領域内から消去する対応見出し項目消去ステップを含む。
【0013】
第8の発明は、第1の発明において、見出し表示ステップは、見出し項目を、画面の上端または左端に沿って並ぶように表示する。
【0014】
第9の発明は、第1の発明において、情報処理プログラムが実行する情報処理は、ピクチャークロスワードパズルゲームであり、全体領域はピクチャークロスワードパズルであり、見出し項目は当該ピクチャークロスワードパズルを解くためのヒント情報である。
【0015】
第10の発明は、複数の見出し項目と各見出し項目に関係づけられた項目値を有する複数の升目とを表形式で表している全体領域を表示装置の画面に表示する情報処理装置(10)であって、指示入力部(16、31)と、一部領域表示部(31)と、見出し項目取得部(31)と、見出し表示部(31)とを備える。指示入力部は、複数の升目から任意の升目を指示するための指示を入力する。一部領域表示部は、全体領域のうち、指示された升目を含む一部の領域を画面に表示する。見出し項目取得部は、指示入力部で指示された升目に関係づけられている見出し項目を取得する。見出し表示部は、見出し項目取得部において取得した見出し項目を、指示された升目の表示位置に関連させて表示する。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明によれば、画面の表示サイズより大きな表形式の領域の一部を表示する際に、画面内に表示されている升目のうち、プレイヤに指示された升目についての見出し項目を常に画面内に表示させることができる。これにより、表形式の領域の視認性や操作性の良さに加え、プレイヤが指示した升目についての情報を把握しやすくすることができる。その結果、快適なゲームプレイ環境をプレイヤに提供することができる。また、画面には必要最低限の情報のみ表示することが可能となり、当該画面の表示領域を広く有効に活用することができる。
【0017】
上記第2の発明によれば、プレイヤに指示された升目についての見出し項目が当該升目の上方および左方の一方に表示させることができる。これにより、プレイヤが指示した升目についての情報を直感的に把握しやすくすることができる。
【0018】
上記第3の発明によれば、見出し項目の2重表示を防止することが可能となる。
【0019】
上記第4の発明によれば、プレイヤが指示した升目の周囲の升目についての見出し項目も表示される。そのため、より情報把握が容易となる。
【0020】
上記第5の発明によれば、見出し項目の文字を目立たせて表示することができる。これによって、プレイヤに指示した升目の意味内容を直感的に把握させることが可能となる。
【0021】
上記第6の発明によれば、直感的な指示操作が可能となり、操作性を向上させることができる。
【0022】
上記第7の発明によれば、見出し項目が2重表示されて視認性が悪くなることを防ぐことができる。
【0023】
上記第8の発明によれば、指示された升目に重ならないように見出し項目を表示させることが可能となる。
【0024】
上記第9の発明によれば、ピクチャークロスワードパズルゲームにおいて、視認性と操作性を共に高めることができる。また、画面の大きさに関わらず、広い領域を有するピクチャークロスワードパズルを快適に遊ぶことができ、ゲームの興趣を高めることも可能となる。
【0025】
また、本発明の情報処理装置によれば、上述した本発明の情報処理プログラムと同様の効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【0027】
図1は、この発明の情報処理装置の一実施例である携帯ゲーム装置10の外観図である。図1において、この実施例の携帯ゲーム装置10は、2つの液晶表示器(LCD)11及び12を所定の配置位置となるように、ハウジング13に収納して構成される。具体的には、第1の液晶表示器(以下、「LCD」という)11と第2のLCD12を上下に配置して収納する場合は、ハウジング13が上部ハウジング13aと下部ハウジング13bから構成され、上部ハウジング13aが下部ハウジング13bの上辺の一部で回動自在に支持される。上部ハウジング13aは、第1のLCD11の平面形状よりも少し大きな平面形状を有し、一方主面からLCD11の表示面を露出するように開口部が形成される。下部ハウジング13bは、その平面形状が上部ハウジング13aよりも横長に選ばれ、横方向の略中央部にLCD12の表示面を露出する開口部が形成され、LCD12を挟む何れか一方に音抜き孔14aが形成されるとともに、LCD12を挟む左右に操作スイッチ部15が装着される。
【0028】
操作スイッチ部15は、LCD12の左横における下部ハウジング13bの一方主面に装着される方向指示スイッチ15a、スタートスイッチ15b、セレクトスイッチ15cと、LCD12の右横における下部ハウジング13bの一方主面に装着される動作スイッチ15d、15eを含む。方向指示スイッチ15aは、プレイヤによって操作可能なプレイヤオブジェクト(又はプレイヤキャラクタ)の移動方向を指示したり、カーソルの移動方向の指示等に用いられる。動作スイッチ15d、15eは、方向指示以外の動作、例えばアクションゲームにおいてはジャンプ、パンチ、武器を動かす等の指示、ロールプレイングゲーム(RPG)やシミュレーションRPGにおいてはアイテムの取得,武器又はコマンドの選択決定等の指示入力に使用される。また、必要に応じて、動作スイッチをさらに追加したり、下部ハウジング13bにおける操作スイッチ15の装着領域の上部面(上部側面)に側面スイッチ15L、15Rを設けてもよい。
【0029】
LCD12の上面には、タッチパネル16が装着される。タッチパネル16は、例えば、抵抗膜方式、光学式(赤外線方式)、静電容量結合式の何れの種類でもよく、その上面をスタイラスペン17(又は指でも可)で押圧操作又は移動操作若しくは撫でる操作をしたとき、スタイラスペン17の座標位置を検出して座標データを出力するものである。
【0030】
上部ハウジング13aの側面近傍には、必要に応じてタッチパネル16を操作するスタイラスペン17を収納するための収納孔14bが形成される。この収納孔14bには、スタイラスペン17が収納される。下部ハウジング13bの側面の一部には、ゲームプログラムを記憶したメモリ(例えば、ROM)を内蔵したメモリカード18を着脱自在に装着するためのカートリッジ挿入部(図示せず)が形成される。カートリッジ挿入部の内部には、メモリカード18と電気的に接続するためのコネクタ(図示せず)が内蔵される。さらに、下部ハウジング13b(又は上部ハウジング13aでも可)には、CPU等の各種電子部品を実装した電子回路基板(後述の図2に示す30)が収納される。なお、ゲームプログラムを記憶する情報記憶媒体としては、ROM又はフラッシュメモリのような不揮発性半導体メモリに限らず、CD−ROMやDVD若しくはそれに類する光学式ディスク状記憶媒体でもよい。
【0031】
図2は、携帯ゲーム装置10のブロック図である。図2において、ハウジング13に収納される電子回路基板30には、CPU31が実装される。CPU31には、バス32を介して、コネクタ33が接続されるととともに、入出力インターフェース(I/F)回路34、第1のグラフィック処理ユニット(第1GPU)35、第2のグラフィック処理ユニット(第2GPU)36、RAM37およびLCDコントローラ40が接続される。コネクタ33には、メモリカード18が着脱自在に接続される。メモリカード18は、ゲームプログラムを格納するための記憶媒体であり、具体的には、ゲームプログラムを記憶するROM180とバックアップデータを書き換え可能に記憶するRAM185とを搭載する。メモリカード18のROM180に記憶されたゲームプログラムはRAM37にロードされ、RAM37にロードされたゲームプログラムがCPU31によって実行される。CPU31がゲームプログラムを実行して得られる一時的なデータや画像を生成するためのデータがRAM37に記憶される。I/F回路34には、操作スイッチ部15及びタッチパネル16が接続されるとともに、スピーカ19が接続される。スピーカ19は、音抜き孔14aの内側位置に配置される。
【0032】
第1GPU35には、第1のビデオRAM(以下「VRAM」)38が接続され、第2GPU36には、第2のビデオRAM(以下「VRAM」)39が接続される。第1GPU35は、CPU31からの指示に応じて、RAM37に記憶される画像を生成するためのデータに基づいて第1のゲーム画像を生成し、第1VRAM38に描画する。第2GPU36は、CPU31からの指示に応じて、RAM37に記憶される画像を生成するためのデータに基づいて第2のゲーム画像を生成し、第2VRAM39に描画する。第1VRAM38および第2VRAM39はLCDコントローラ40に接続される。
【0033】
LCDコントローラ40はレジスタ41を含む。レジスタ41はCPU31からの指示に応じて0または1の値を記憶する。LCDコントローラ40は、レジスタ41の値が0の場合は、第1VRAM38に描画されたゲーム画像をLCD11に出力し、第2VRAM39に描画されたゲーム画像をLCD12に出力する。また、レジスタ41の値が1の場合は、第1VRAM38に描画されたゲーム画像をLCD12に出力し、第2VRAM39に描画されたゲーム画像をLCD11に出力する。
【0034】
I/F回路34は、操作スイッチ部15、タッチパネル16、およびスピーカ19などの外部入出力装置とCPU31との間のデータの受け渡しを行う回路である。タッチパネル16(タッチパネル用のデバイスドライバを含む)は、スタイラスペン17によって入力(指示)された位置に対応する位置座標のデータを出力するものである。なお、本実施例では、表示画面の解像度は256dot×192dotであり、タッチパネル16の検出精度も表示画面に対応した256dot×192dotとして説明するが、タッチパネル16の検出精度は表示画面の解像度よりも低いものであってもよいし、高いものであってもよい。
【0035】
次に、図3〜図6を用いて、本実施形態で想定するゲームの概要について説明する。図3は、本実施形態で想定するゲームの画面の一例である。本ゲームは、ヒント数字を手がかりにマス目を黒くしていき、あるイラストを完成させる、いわゆるピクチャークロスワードパズルである。図3では、パズル全体が画面に収まった状態で表示されている。図3において、ヒント数字301は、その列または行の黒マスの数をあらわす。例えば、「3」とあれば、3個の連続した黒マスがその列、又は行にあるということを示す。また、「2 1」とあれば、2個の連続した黒マスと1個の黒マスがその順番通りにあるということを示す。なお、このように2個以上の数字がある場合は、お互いの黒マスに1マス以上の間隔がなければいけない。そして、プレイヤは、上部および左部に表示されてるヒント数字301をヒントにして、あるマス目を黒マスとするかどうかを判断する。そして、適宜、マス目を黒くしていく。
【0036】
次に、本実施形態における処理概要を説明する。第2のLCD12に図3のような画面が表示されている状態で、プレイヤは、拡大したいマス目をスタイラスペン17や指で指定する(タッチ操作)。すると、図4のように、指定したマス(以下、注目マス)401を含む領域が拡大表示される。ここで、本実施形態では、通常用いる背景(以下、通常背景)とは別に、拡大時専用の背景(以下、大型背景)を用意している。例えば、画面解像度が256×192ドットとすれば、画面に収まるような大きさの通常領域背景(例えば256×192ドット)と、その2倍の大きさの大型背景(例えば512×384ドット)を予め用意している。そして、拡大処理を行ったときは、背景を通常背景から大型背景に差し替えて表示している。これは、通常画面に対して拡大処理を施したものをそのまま表示すると、ドットが荒くなり、見栄えが悪くなるため、別途、拡大時専用の背景を用意しておいて、差し替えるものである。
【0037】
上記のような拡大を行ったとき、更に、図5に示すように、注目マス401と、その左右、上下1行列に対応するヒント数字501が画面の上部、左部に表示される。また、この状態で画面をスクロールさせ、別のマスを注目マス401として指定すれば、図6に示すように、新たに設定された注目マス401に応じて、ヒント数字501が表示される。また、拡大表示されている状態で、プレイヤが縮小指示を行えば、図3のような通常背景の画面に戻る。
【0038】
このように、本実施形態では、画面を拡大しても、そのマス目についてのヒント数字が常に示されることになる。そのため、プレイヤはそこを黒マスにすべきかどうかの判断がしやすく、かつ、拡大されているのでマス目の指定もしやすい、つまり操作性も高めることができる。
【0039】
次に、本実施形態で用いられる各種データについて説明する。図7は、図2に示したRAM37のメモリマップを示す図解図である。図7において、RAM37は、プログラム記憶領域330およびデータ記憶領域335を含む。プログラム記憶領域330は、CPU31によって実行されるゲームプログラムを記憶し、このゲームプログラムは、ゲームメイン処理プログラム331と、拡大プログラム332と、ヒント表示位置調整プログラム333と、縮小プログラム334などによって構成される。
【0040】
データ記憶領域335には、問題データ336や画像データ339、今回タッチ座標340、前回タッチ座標341およびモードフラグ342等が記憶される。
【0041】
問題データ336は、問題番号337およびヒントデータ338を含む。問題番号337は、それぞれの問題を識別するためのIDである。ヒントデータ338は、各問題に対応するヒント数字のデータである。
【0042】
図8は、ヒントデータ338のデータ構造の一例を示した図である。ヒントデータ338は、列ヒント343と行ヒント344の集合から成る。列ヒント343は、各列に対応するヒント数字(図9参照)のデータである。行ヒント344は、各行に対応するヒント数字(図9参照)のデータである。
【0043】
図10は、列ヒント343のデータ構造の一例を示した図である。列ヒント343は、列番号3431、ヒント数3432、ヒント値nA3433〜ヒント値nE3437の集合から成る。ここで、nは整数であり、各問題毎に設定されている行列数nに応じた値である。列番号3431は、何列目のヒントであるかを示すための番号である。ヒント数3432は、ヒント数字の数を示す。本実施形態では、ヒント数は最大5つであるとする。ヒント値3433〜3437は、ヒント数字1つ分に対応する値である。例えば、1列目のヒントが「4 1 1 1」の場合は、ヒント数3432は「4」と設定され、ヒント値1Aに4、ヒント値1Bに1、ヒント値1Cに1、ヒント値1Dに1が設定され、ヒント値1Eは空白となる。また、「10 1」の場合は、ヒント数3432は2となる。また、ヒント値1Aに10、ヒント値1Bに1が設定され、その他は空白となる。
【0044】
図11は、行ヒント344のデータ構造の一例を示した図である。行ヒント344は、行番号3441、ヒント数3442、ヒント値nA3443〜nE3447の集合から成る。ここで、自然数nは、各問題毎に設定されている行列数nに応じた値である。行番号3441は、何行目のヒントであるかを示すための番号である。ヒント数3442は、ヒント数字の数を示す。本実施形態では、ヒント数は最大5つであるとする。ヒント値3443〜3447は、ヒント数字1つ分に対応する値である。
【0045】
画像データ339は、上述した通常背景や大型背景などの画像データである。
【0046】
今回タッチ座標340、および前回タッチ座標341は、プレイヤがタッチしたタッチパネル16上の座標を格納するためのデータである。
【0047】
モードフラグ342は、表示モードを示すフラグである。本実施形態のゲームでは、パズルゲーム領域全域が表示される「通常」(図3参照)と、当該領域の一部が拡大して表示される「拡大」(図4参照)の2つの表示モードがある。
【0048】
次に、図12〜図20を参照して、携帯ゲーム装置10によって実行されるパズルゲーム処理について説明する。まず、携帯ゲーム装置10の電源が投入されると、携帯ゲーム装置10のCPU31は、図示しないブートROMに記憶されている起動プログラムを実行し、RAM37等の各ユニットが初期化される。そして、メモリカード18に格納されたパズルゲームプログラムと各種データがコネクタ33を介してRAM37に読み込まれ、そのパズルゲームプログラムの実行が開始される。
【0049】
図12は、携帯ゲーム装置10によって実行されるパズルゲーム処理の全体処理を示すフローチャートである。図12において、まず、CPU31は、初期設定処理を行う(ステップS1)。当該初期設定処理では、上記問題データ336の読み込み、当該問題に対応する通常背景と大型背景の画像データ339の読み込みが行われる。更に、CPU31は、モードフラグ342を「通常」と設定する。そして、通常背景を画面に表示する。
【0050】
次に、CPU31は、タッチパネル16からの入力データを取得する(ステップS2)。タッチされていれば、そのタッチされた座標(タッチパネル上の座標)を取得し、今回タッチ座標340に格納する。タッチされていなければ、今回タッチ座標340をクリアする。
【0051】
次に、CPU31は、モードフラグ342が「拡大」であるか否かを判定する(ステップS3)。つまり、現在、通常背景を表示している状態(以下、通常モード)でゲームがプレイされているのか、大型背景を表示している状態(以下、拡大モード)でゲームがプレイされているのかを判定する。
【0052】
ステップS3の判定の結果、「拡大」ではないときは(ステップS3でNO)、通常モードでゲームがプレイされていることになる。この場合は、次に、プレイヤによる画面拡大指示がなされたか否かを判定する(ステップS4)。当該拡大指示は、例えば、図示しない画面拡大指示ボタンをプレイヤが押した場合などが該当する。
【0053】
ステップS4の判定の結果、拡大指示がなされていないときは(ステップS4でNO)、CPU31は、処理を後述するステップS6に進める。一方、拡大指示がなされたときは(ステップS4でYES)、CPU31は、画面に虫眼鏡マークを表示し、次のステップS5の処理に進む。なお、この虫眼鏡マークは、拡大したいポイントの指示をプレイヤに促すための表示である。すなわち、プレイヤは、拡大指示を行って、当該虫眼鏡マークが表示されたら、拡大したいマス目をタッチすることになる。
【0054】
次に、CPU31は、拡大処理を行う。本処理では、プレイヤが指示したポイントを中心として、画面を拡大する処理を行う。通常背景に拡大処理を施し、徐々に拡大していくアニメーションを表示する。そして、最終的に所定の拡大率に達すれば、通常背景を上述したような大型背景に差し替える処理を行う。
【0055】
図13は、上記ステップS5で示した拡大処理の詳細を示すフローチャートである。図13において、まず、CPU31は、拡大中心点の座標を取得する(ステップS21)。当該拡大中心点とは、上記虫眼鏡マークが表示されているときにプレイヤが指示したマス目の位置である。そのため、拡大中心点の座標は、通常背景上における当該マス目の中心部分の座標となる。本拡大処理では、この拡大中心点がプレイヤの視界から動かないように通常背景を拡大するように処理する。これは、プレイヤが指示した位置が拡大処理中に移動してしまうと、プレイヤは、自分が指示したマス目を見失う可能性がある。そのため、画面上における当該マス目の位置が動かないように拡大処理を行って、プレイヤが自分の指示したマス目を見失わないようにするためである。そのため、プレイヤからは、プレイヤが指示したマス目を中心に、その周囲が外側に延びていくような感じで拡大されるように見えることになる。
【0056】
次に、CPU31は、通常背景の拡大率に所定の値を加算する(ステップS22)。具体的には、例えば拡大していない状態の通常背景の拡大率を1.0倍とすれば、0.1という値を加算する。その結果、通常背景の拡大率は1.1倍となる。
【0057】
次に、CPU31は、上記拡大中心点および現在の拡大率から、拡大パラメータの算出を行う(ステップS23)。この拡大パラメータとは、拡大中に画面に表示する通常背景の表示位置を定めるものである。つまり、拡大するアニメーションの1コマ1コマに相当する表示内容を定めるためのパラメータである。
当該拡大パラメータは、例えば、次のような式で算出する。
通常背景の次ピクセル参照方向X = 1.0 / 拡大率
通常背景の次ピクセル参照方向Y = 0
通常背景の次ライン移動量X = 0
通常背景の次ライン移動量Y = 1.0 / 拡大率
通常背景の参照開始点X = 拡大中心点X − 拡大中心点X / 拡大率
通常背景の参照開始点Y = 拡大中心点Y − 拡大中心点Y / 拡大率
【0058】
次に、CPU31は、拡大率が既定値に達したか否かを判定する(ステップS24)。この既定値は、上述の例で言うと、2.0である(通常背景:256×192ドットに対し、2倍の大きさの大型背景:512×384ドット)。当該判定の結果、既定値に達していないときは(ステップS24でNO)、上記ステップS22で算出した拡大率に基づいて拡大した通常背景を、上記拡大パラメータに基づいて定められる表示位置で画面に表示する(ステップS29)。そして、ステップS22の処理に戻る。つまり、拡大率が2.0になるまで、0.1倍ずつ大きくした通常背景を表示していくことになる。なお、ステップS22〜S24、S29の処理ループは、1フレーム毎に繰り返し実行される。
【0059】
一方、拡大率が既定値に達していれば(ステップS24でYES)、次に、CPU31は、大画面座標を算出する(ステップS25)。ここで、大画面座標について、図14〜図16を用いて説明する。大画面座標とは、通常背景から大型背景に切り替えても違和感がないように表示するための、大型背景のうち画面に表示する部分を示すための座標である。図14において、大型背景141(512×384ドット)と、画面、すなわち第2のLCD12(256×192ドット)がある。そして、図15に示すように、この大型背景141の右下部分をLCD12に表示しようとする場合は、LCD12の左上端に対応する座標151が大画面座標となる。また、図16に示すように、右上部分を表示しようとする場合は、座標161が大画面座標となる。つまり、LCD12の左上端に対応する大型背景上の座標が大画面座標ということである。
当該大画面座標は、例えば、以下の式を用いて算出できる。
大画面座標X=拡大中心点X × (拡大率−1)
大画面座標Y=拡大中心点Y × (拡大率−1)
【0060】
大画面座標の算出が終われば、次に、CPU31は、画面に表示する背景を、通常背景から大型背景に切り替える(ステップS26)。続いて、CPU31は、モードフラグ342を「拡大」と設定する(ステップS27)。そして、CPU31は画面表示を行う(ステップS28)。その結果、大型背景が表示される。この画面では、大型背景の領域のうち、プレイヤが指示したマス目を含む領域が表示されていることになる。以上で、拡大処理が終了する。
【0061】
図12に戻り、次に、ステップS4またはS5の処理の次に、CPU31は、ゲーム処理を行う(ステップS6)。ここでは、プレイヤの入力に基づいた黒マスの設定、解除の処理や、クリア条件が満たされたか否かなど、ゲーム進行にかかる処理が行われる。なお、本実施形態は、主に画面表示についての処理であるため、当該ゲーム処理の詳細な説明は省略する。
【0062】
ステップS6の処理の後、ステップS7において、ゲーム終了か否かが判断され、YESの場合、本実施形態にかかるパズルゲームを終了し、NOの場合、ステップS2に戻って、パズルゲーム処理を繰り返す。
【0063】
次に、上記ステップS3の判定の結果、モードフラグ342が「拡大」であるとき(ステップS3でYES)、つまり、大型背景が表示されている状態(拡大モード)におけるパズルゲーム処理について説明する。この場合は、CPU31は、縮小指示がなされたか否かを判定する(ステップS8)。当該縮小指示は、例えば、図示しない画面縮小指示ボタンをプレイヤが押した場合などが該当する。
【0064】
ステップS8の判定の結果、縮小指示がなされていないときは(ステップS8でNO)、CPU31は、ヒント表示位置調整処理を行う(ステップS9)。この処理では、上述したように、注目マス及びその両隣のマスに対応するヒント数字を画面内に表示するための処理が行われる。
【0065】
図17は、上記ステップS9で示したヒント表示位置調整処理の詳細を示すフローチャートである。図17において、まず、タッチ入力がされたか否かを判定する(ステップS31)。すなわち、上記ステップS2において、何らかの入力データがあったか否かを判定する。具体的には、今回タッチ座標340に何らかのデータが入っているか否かを判定する。当該判定の結果、タッチ入力がされていなかったときは(ステップS31でNO)、後述のステップS38の処理に進んで画面表示を行い、当該ヒント表示位置調整処理を終了する。
【0066】
ステップS31の判定の結果、タッチされている場合は(ステップS31でYES)、タッチ操作開始、すなわちタッチオン操作であるか否かを判定する(ステップS32)。当該判定の結果、タッチ操作の開始であるときは(ステップS32でYES)、今回タッチ座標340から注目マスの座標を算出する(ステップS33)。より具体的には、今回タッチ座標340を画面座標に変換し、当該画面座標に対応する大型背景上のマス目の座標を算出する。つまり、タッチオン操作時に、注目マスが特定されることになる。
【0067】
次に、CPU31は、当該特定した注目マスに対応するヒント数字と、注目マスの上下1行、左右1列に対応するヒント数字についてオブジェクト化する、ヒントオブジェクト生成処理を行う(ステップS34)。このステップS34の処理をより具体的に説明すると、まず、CPU31は、当該注目マスの座標に対応する行番号に基づいて、上記行ヒント344から対応する行番号3441を検索する。そして、当該行番号3441のヒント数3442を取得する。次に、当該ヒント数3442に応じて、ヒント値3443〜3447を読み出す。そして、読み出したヒント値をそれぞれオブジェクトとして生成する。例えば、「5 2 1」というヒントの場合は、「5」「2」「1」の3つのヒントオブジェクトが生成される。そして、当該生成した各ヒントオブジェクトを、大型背景上の対応するヒント数字の位置に重ねて配置する。更に、注目マスの両隣にかかる行のヒント値3443〜3447も読み出し、これらも同様にオブジェクトとして生成し、大型背景上に配置する。続いて、CPU31は、当該注目マスの座標に対応する列番号に基づいて、上記列ヒント343から対応する列番号3431を検索する。そして、行番号と同様に、ヒント数3432に応じてヒント値3433〜3437を読み出し、オブジェクト化し、大型背景上に配置する。また、注目マスの両隣の列のヒント値についても、同様にオブジェクト化、および大型背景上への配置を行う。次に、大型背景上の上記オブジェクト化したヒント数字にかかる部分について、大型背景上から消去する。これは、2重表示によって視認性が悪くなることを防ぐためである。
【0068】
図18〜図19は、ヒントオブジェクトと大型背景の関係を示す図である。図18において、大型背景181からは、オブジェクト化されたヒント数字の部分が消去されている。そして、図19に示すように、当該消去された位置に、行のヒントオブジェクト群191、および列のヒントオブジェクト群192がそれぞれ配置される(なお、図19では、わかりやすくするために各ヒントオブジェクト群を大きめに示している)。そのため、この時点では、見た目はヒント数字をオブジェクト化する前の状態と変わらない。但し、当該ヒントオブジェクト群191および192は、オブジェクト化されているが故に、大型背景181上を自由に移動することが可能な状態となっている。
【0069】
図17に戻り、次に、CPU31は、上記ステップS34で生成されたヒントオブジェクトのうち、行についてのヒントオブジェクト群191を画面内に表示されるように移動する処理を行う(ステップS35)。すなわち、注目マス、およびその上下1行に対応するヒント数字を画面内に表示するための処理を行う。このステップS35の処理をより具体的に説明すると、まず、CPU31は、注目マスにかかる行番号のヒントオブジェクト群191の一番左のオブジェクト(ヒント値3343に対応)の配置位置のX座標を取得する。そして、当該X座標が、大画面座標のX座標よりも小さいか否かを判定する。つまり、注目マスにかかる行に対応するヒントオブジェクト群191のうち一番左のオブジェクトが、表示領域外にあるか否かを判定する。その結果、表示領域外にあれば、当該一番左のヒントオブジェクトの配置位置のX座標を、大画面座標のX座標に変更する。つまり、表示領域外にあった当該一番左のヒントオブジェクトが、表示領域の一番左の位置に移動することになる。そして、注目マスにかかる行についての残りのヒントオブジェクト(ヒント値3344〜3347に対応)について、順に右側に並ぶように移動する。更に、注目マスの両隣にかかる行に対応するヒントオブジェクトについても、同様に表示領域内の左端に表示されるように移動する。一方、一番左のヒントオブジェクトが表示領域内にあれば、上記のような処理は行わず、そのままステップS35の処理を終了する。
【0070】
次に、CPU31は、上記ステップS34で生成されたヒントオブジェクトのうち、列についてのヒントオブジェクト群192を画面内に表示されるように移動する処理を行う(ステップS36)。すなわち、注目マスおよびその左右1列に対応するヒント数字を画面内に表示するための処理を行う。この処理は、上記ステップS35の処理を、行の代わりに列に置き換えて行うものである。すなわち、注目マスにかかる列のヒントオブジェクト群192のうち一番上に配置されているヒントオブジェクト(ヒント値3433に対応)のY座標が、大画面座標のY座標より大きいか否かを判定することで、表示領域の外にあるか内にあるかを判定する。そして、表示領域外であれば、一番上のヒントオブジェクトの配置位置を大画面座標のY座標に変更する。そして、残りのヒントオブジェクトを下方向に順に配置する。更に、注目マスの両隣の列に対応するヒントオブジェクトについても同様の処理を行う。これによって、列のヒントオブジェクト群が表示領域内に移動することになる。
【0071】
次に、CPU31は、前回タッチ座標341を今回タッチ座標340の値に更新する(ステップS37)。そして、大画面座標が画面の左上端に来るように画面表示を行う(ステップS38)。これにより、上記図5で示したような画面が表示されることになる。
【0072】
一方、上記ステップS32の判定の結果、タッチ操作の開始でないときは(ステップS32でNO)、タッチパネルにスタイラスペン17や指等が触れ続いている状態であるため、当該スタイラスペン17や指の動きに併せて画面をスクロールさせる処理を行う(ステップS39)。より具体的には、まず、今回タッチ座標340と前回タッチ座標341との差分を算出する。そして、大画面座標から当該差分を減算することで、大画面座標を更新する。その後、上述したステップS35以降の処理が行われる。以上で、ヒント表示位置調整処理は終了する。
【0073】
図12に戻り、ステップS9の処理が終われば、上述したステップS6の処理へと進む。一方、上記ステップS8の判定の結果、縮小指示がなされていたときは(ステップS8でYES)、背景を大型背景から通常背景へと切り替えるための縮小処理が行われる(ステップS10)。この処理では、上述したステップS5にかかる拡大処理と逆の処理が行われる。すなわち、まず背景を大型背景から、2倍に拡大されている通常背景に切り替える。そして、当該通常背景が所定の倍率で縮小していく様を表示し、最終的に1.0倍の通常背景を表示する処理が行われる。
【0074】
図20は、上記ステップS10で示した縮小処理の詳細を示すフローチャートである。図20において、まず、現在の大画面座標と、上記ステップS5の拡大処理終了時の拡大率(上記の例では2.0)とから、拡大中心点を算出する(ステップS41)。具体的には、当該拡大中心点は、以下の式で算出される。
拡大中心点X = 大画面座標X / (拡大率−1)
拡大中心点Y = 大画面座標Y / (拡大率−1)
【0075】
次に、CPU31は、拡大パラメータを算出する(ステップS42)。当該処理は、上述したステップS23と同様の処理である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0076】
次に、CPU31は、通常背景を上記拡大率に基づいて拡大する。そして、画面に表示する背景を大型背景から当該拡大された通常背景に切り替える(ステップS43)。
【0077】
次に、CPU31は、通常背景の拡大率から所定の値(例えば0.1)を減算する(ステップS44)。
【0078】
次に、現在の拡大率と上記ステップS41で算出した拡大中心点とから拡大パラメータを算出する(ステップS45)。この処理も、上記ステップS23と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
次に、CPU31は、拡大率が既定値に達したか否かを判定する(ステップS46)。この既定値は、1.0、すなわち、等倍を示す値である。当該判定の結果、通常画面が等倍まで縮小されていないときは(ステップS46でNO)、上記ステップS44で算出した拡大率に基づいて縮小した通常背景を、上記拡大パラメータに基づいて定められる表示位置で画面に表示する(ステップS49)。そして、ステップS44の処理に戻る。つまり、拡大率が1.0になるまで、0.1倍ずつ縮小した通常背景を表示していくことになる。なお、ステップS44〜S46、S49の処理ループは、1フレーム毎に繰り返し実行される。
【0080】
一方、通常画面が等倍まで縮小されたときは(ステップS46でYES)、続いて、CPU31は、モードフラグ342を「通常」と設定する(ステップS47)。そして、CPU31は画面表示を行う(ステップS48)。その結果、通常背景が等倍で表示される。以上で、縮小処理は終了する。
【0081】
図12に戻り、ステップS10にかかる縮小処理が終われば、CPU31は、処理を上述したステップS6に進める。以後の処理は、上述した通りであるため、説明は省略する。
【0082】
以上で、本実施形態に係るパズルゲーム処理は終了する。
【0083】
このように、本実施形態では、通常背景を画面のサイズよりも拡大して、その一部を画面内に表示する。このとき、画面内に表示されている注目マスについてのヒント数字を常に画面内に表示させることができる。そのため、拡大画面による視認性、操作性の良さに加え、注目マスについての情報を把握しやすくすることができ、快適なゲームプレイ環境をプレイヤに提供することができる。
【0084】
また、画面の解像度やサイズを気にすることなく、広大な領域を有するピクチャークロスワードパズルを生成することが可能となる。つまり、従来では画面の解像度と視認性とのバランスから、ピクチャークロスワードパズルの領域の大きさが実質的に限られたものとなっていたが、本発明によれば、ピクチャークロスワードパズルの領域の大きさを気にする必要が無く、広い領域を活用してゲーム内容を高度化し、奥深い内容とすることが可能となる。
【0085】
また、ヒントオブジェクトを生成する際に、対応するヒント数字の部分を大型背景上から消去することで、ヒント数字が2重に表示されて、視認性が悪くなることを防ぐことができる。
【0086】
また、注目マスの周囲のマスのヒント数字も画面の端(大画面座標)に合わせて表示するため、注目マスの周囲のマス目についても、その意味内容を容易に把握させることが可能となる。
【0087】
なお、上記ステップS34においてヒント数字をオブジェクト化する際に、当該ヒント数字の文字サイズを大きくしたり文字色を変更してヒントオブジェクトを生成してもよい。これによって、ヒント数字の視認性を高めることが可能となる。
【0088】
また、上記実施形態では、3行・3列分のヒント数字をオブジェクト化して画面内に表示していたが、これに限らず、注目マスにかかる1行・1列分のヒント数字だけを表示するようにしても良いし、3行・3列以上のヒント数字について表示するようにしても良い。また、ゲームの展開に応じて、オブジェクト化するヒント数字の行数、列数を変化させてもよい。これによって柔軟なヒント表示が可能となり、プレイヤの操作性・視認性をより高めることが可能となる。
【0089】
また、注目マスの特定に関して、上記実施形態では、拡大モード中においてタッチオン操作を行った時点で注目マスを特定していた。その後、スタイラスペン17等が触れ続いている状態で画面のスクロール操作を行っても、タッチオフ操作がされない限りは、一旦特定された注目マスは変化しなかった。これに限らず、タッチオフ操作がされてなくても注目マスの位置を変化させるようにしてもよい。例えば、画面をスクロールさせた結果、大型背景の端の方までスクロールし、これ以上画面がスクロールしないような位置まで来たときは、その後は、画面のスクロールが再開されるまで、スタイラスペン17の触れている位置を注目マスとするようにしてもよい。より具体的には、画面のスクロール量を判定し、スクロール量が0(つまり、大型背景の端のほうまで来た)になったときは、1フレーム毎に取得される今回タッチ座標340に対応するマス目を注目マスとして設定するようにしてもよい。あるいは、画面をスクロールさせることによって、スタイラスペン17の触れている位置に注目マス以外のマスが来たときに、そのマスを新たな注目マスとするようにしてもよい。この場合、1フレーム毎に取得される今回タッチ座標340に対応するマス目を常に注目マスとして設定すればよい。
【0090】
また、本実施形態では、2つの表示装置を備えた携帯型ゲーム装置を例に説明したが、単一の表示装置を備え当該表示装置の画面上にタッチパネルを備えた携帯端末であってもよい。更には、携帯端末に限らず、据え置き型テレビゲーム機やデスクトップパソコンであってもよい。また、本実施例では、操作領域に対するプレイヤの指示位置を検出する装置としてタッチパネルを例に上げたが、プレイヤが所定領域内の位置を指示できるいわゆるポインティングデバイスであればよく、例えば、画面上の任意位置を指示可能なマウス、表示画面を持たない操作面上の任意位置を指示するタブレット、遠隔から表示画面や表示画面周囲に配置されたマーカ等を撮像するための撮像手段を備えたデバイスによって、表示画面方向を指し示すことにより得られる撮像画像における表示画面やマーカの位置から、表示画面上の指し示された位置に相当する表示画面上の座標を算出するポインティングデバイスなどでもよい。また、画面上にカーソルを表示し、十字キーやアナログスティック等を操作してカーソルの位置を変化させることによって任意の位置(マス)を指示するようなものであってもよい。
【0091】
更に、上記実施形態では、ピクチャークロスワードパズルゲームを例に説明したが、本発明は、このようなゲームだけに限らず、例えば、高速道路や列車等の料金表やスポーツ試合の星取表等を画面に表示するような情報処理の場合にも適用できる。図21および図22は、高速道路の料金表に本発明を適用した場合を説明するための図である。例えば、高速道路の料金表の一部分を拡大して表示しただけでは、図21に示されるように、料金のみが表示され、どの地点間の料金になるのか把握しにくい。このような場合であっても、本発明を適用することにより、図22に示すように、地点(見出し項目)221が表示され、どの地点間にかかる料金であるかが把握しやすくなる。このように、表形式の領域の一部を画面に表示する際に、あるマス目の見出し項目が常に画面内に表示されるようにすることで、そのマス目の意味内容を容易に把握することができ、かつ視認性や操作性を高めることが可能となる。
【0092】
また、表形式の領域に関して、上記の例では行・列のそれぞれに見出し項目(ヒント数字や地点)が設定されていたが、見出し項目が行または列の一方のみに設定されているような表形式であってもよい。また、上記の例では、マスの上方および左方に見出し項目が設定されていたが、見出し項目がマスの下方および(または)右方に設定されているような表形式であってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、注目マスが特定されたとき、ヒントオブジェクトの生成処理を行うようにしたが、特定された注目マスに関係するヒント数字が表示領域外にあることが判定された後でヒントオブジェクトの生成処理を行うようにしてもよい。すなわち、プレイヤが任意のマスを指示したとき(注目マスの特定)、指示されたマスに関係付けられたヒント数字の座標を取得(見出し項目の取得)し、当該取得した座標が表示領域外にあれば、ヒント数字をオブジェクト化して表示領域内に表示されるように座標を変更(見出し表示)するようにしてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、画面の拡大処理において、プレイヤが指示したマス目の画面上での位置を固定したまま拡大するようにしたが、プレイヤの指示したマス目が画面の中心に来るように拡大してもよい。このようにすればプレイヤが指示したマス目(拡大中心点)の周囲を均等に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明にかかる情報処理プログラムおよび情報処理装置は、画面サイズより大きなサイズの表形式の領域を、視認性や操作性を保ちながら表示することができ、携帯型ゲーム装置や据え置き型ゲーム装置や携帯型情報端末等の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯ゲーム装置10の外観図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る携帯ゲーム装置10のブロック図
【図3】本実施形態において想定するゲームの画面の一例
【図4】本実施形態において想定するゲームの画面の一例
【図5】本実施形態において想定するゲームの画面の一例
【図6】本実施形態において想定するゲームの画面の一例
【図7】図2のRAM37のメモリ空間を図解的に示したメモリマップ
【図8】図7のヒントデータ338のデータ構造の一例を示した図
【図9】列ヒントと行ヒントを説明するための図
【図10】図8の列ヒント343のデータ構造の一例を示した図
【図11】図8の行ヒント344のデータ構造の一例を示した図
【図12】本発明の一実施形態に係る携帯ゲーム装置10の全体的な動作を示すメインルーチンのフローチャート
【図13】図12のステップS5で示した拡大処理の流れを示すフローチャート
【図14】大画面座標を説明するための図
【図15】大画面座標を説明するための図
【図16】大画面座標を説明するための図
【図17】図12のステップS9で示したヒント表示位置調整処理の流れを示すフローチャート
【図18】大型背景とヒントオブジェクトとの関係を説明するための図
【図19】大型背景とヒントオブジェクトとの関係を説明するための図
【図20】図12のステップS10で示した縮小処理の流れを示すフローチャート
【図21】料金表に本発明を適用した例を示す図
【図22】料金表に本発明を適用した例を示す図
【符号の説明】
【0097】
10 携帯ゲーム装置
11 第1LCD
12 第2LCD
13 ハウジング
14a 音抜き孔
14b 収納孔
15 操作スイッチ部
16 タッチパネル
17 スタイラスペン
18 メモリカード
19 スピーカ
30 電子回路基板
31 CPU
32 バス
33 コネクタ
34 インターフェース回路
35 第1GPU
36 第2GPU
37 RAM
38 第1VRAM
39 第2VRAM
40 LCDコントローラ
41 レジスタ
180 ROM
185 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の見出し項目と各見出し項目に関係づけられた複数の升目とを表形式で表している全体領域を表示装置の画面に表示する情報処理装置のコンピュータで実行される情報処理プログラムであって、
前記複数の升目から任意の升目を指示するための指示ステップと、
前記全体領域のうち前記指示された升目を含む一部の領域を画面に表示するための一部領域表示ステップと、
前記指示ステップにおいて指示された升目に関係づけられている前記見出し項目を取得するための見出し項目取得ステップと、
前記見出し項目取得ステップにおいて取得した見出し項目を前記指示された升目の表示位置に関連させて表示するための見出し表示ステップとを前記コンピュータに実行させる、情報処理プログラム。
【請求項2】
前記見出し表示ステップは、前記指示された升目の表示位置の上方および左方の少なくとも一方に、前記見出し項目取得ステップにおいて取得した見出し項目を表示する、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記情報処理プログラムは、前記見出し項目取得ステップにおいて取得した見出し項目が前記一部領域内にあるか否かを判別する判別ステップをさらに前記コンピュータに実行させ、
前記見出し表示ステップは、前記見出し項目が前記一部領域内にないことが判別されたとき、前記見出し項目を前記一部領域内に移動させる、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記見出し項目取得ステップは、前記指示された升目の上下または左右両隣の升目に関係づけられている前記見出し項目を取得し、
前記見出し表示ステップは、前記指示された升目に関係づけられている前記見出し項目と併せて前記両隣の見出し項目も表示する、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記見出し表示ステップは、前記取得ステップにおいて取得した見出し項目の文字の大きさ、または文字色を変更して表示する、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記指示ステップは、前記表示装置の画面に設けられたタッチパネルに対するプレイヤの指示位置に対応する指示座標に基づいて前記所定の升目を指示する、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記見出し項目取得ステップは、前記指示された升目に関係づけられている見出し項目の部分を前記全体領域内から消去する対応見出し項目消去ステップを含む、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記見出し表示ステップは、前記見出し項目を、前記画面の上端または左端に沿って並ぶように表示する、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
前記情報処理プログラムが実行する情報処理は、ピクチャークロスワードパズルゲームであり、前記全体領域はピクチャークロスワードパズルであり、前記見出し項目は当該ピクチャークロスワードパズルを解くためのヒント情報である、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項10】
複数の見出し項目と各見出し項目に関係づけられた複数の升目とを表形式で表している全体領域を表示装置の画面に表示する情報処理装置であって、
前記複数の升目から任意の升目を指示するための指示を入力するための指示入力部と、
前記全体領域のうち前記指示された升目を含む一部の領域を画面に表示するための一部領域表示部と、
前記指示入力部で指示された升目に関係づけられている前記見出し項目を取得するための見出し項目取得部と、
前記見出し項目取得部において取得した見出し項目を前記指示された升目の表示位置に関連させて表示するための見出し表示部とを備える、情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−110053(P2008−110053A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−294741(P2006−294741)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【Fターム(参考)】