説明

情報処理装置、その通信方法、およびコンピュータが実行可能なプログラム

【課題】テレビ電話機能を使用する場合に、ミュート画像を送出している間のカメラの消費電力を低減することが可能な情報処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】カメラデバイスで撮像された画像を相手方端末に送信して双方向で通信を行うテレビ電話機能を備えた情報処理装置であって、プライバシーモードのON/OFFを設定するモード設定手段と、前記プライバシーモードがOFFの場合は、前記カメラデバイスで撮像された画像を出力する一方、前記プライバシーモードがONの場合は、ミュート画像を出力すると共に、前記カメラデバイスを省電力状態にするドライバ手段と、前記ドライバ手段から出力される画像を相手方端末に送信する通信手段と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、その通信方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近時、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」と称する)では、カメラ搭載率の増加、および、通信回線の高速化・大容量化に伴い、2地点またはそれ以上の複数の地点間を結んで、画像データおよび音声データを授受するテレビ電話システム(例えば、Skype等)が普及している。かかるテレビ電話システムでは、チャットやビデオ会議等で、PCの使用者をカメラで撮影して、撮影画像を相手方のPCに送出する。相手方のPCの表示ディスプレイにはその撮影画像が表示される。
【0003】
テレビ電話システムでは、撮影画像を相手先で表示させない、いわゆるプライバシー機能を持つものがある。具体的には、プライバシーモードがOFFの場合は、撮像画像を送出して相手方に撮像画像を表示させる一方、プライバシーモードがONの場合は、撮影画像の替わりにMute(ミュート)画像を送出して、相手方にMute画像を表示させる。
【0004】
図6は、ノートPC100とノートPC200の間でテレビ電話による通信中の場合の各ノートPC100、200の表示画面の表示例を示す図である。ノートPC100とノートPC200には、マルチウィンドウOSとSkype等のテレビ電話用アプリケーションプログラムが搭載されている。図6において、ノートPC100とノートPC200では、テレビ電話用アプリケーションプログラムを使用して通話が行われている。図6(A)に示すように、AさんはPC100の所有者で、カメラ101で撮影されたAさんの画像WA1は、BさんのPC200に送信されて画面202に表示される。他方、BさんはPC200の所有者で、カメラ201で撮影されたBさんの画像WB1は、AさんのPC100に送信されて画面102に表示される。ここで、AさんのPC100でプライバシーモードをONとすると、図6(B)に示すように、AさんのPC100は、Aさんの画像WA1の替わりにMute画像WA2をBさんのノートPC200に送信し、BさんのPC200の画面202には、Mute画像WA2が表示される。
【0005】
しかしながら、プライバシーモードをONとして、Mute画像を送出する場合でも、カメラは画像を撮像し続けているため、その消費電力が問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−227919号公報
【特許文献2】特開2001−333397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、テレビ電話機能を使用する場合に、ミュート画像を送出している間のカメラの消費電力を低減することが可能な情報処理装置、その通信方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、カメラデバイスで撮像された画像を相手方端末に送信して双方向で通信を行うテレビ電話機能を備えた情報処理装置であって、プライバシーモードのON/OFFを設定するモード設定手段と、前記プライバシーモードがOFFの場合は、前記カメラデバイスで撮像された画像を出力する一方、前記プライバシーモードがONの場合は、ミュート画像を出力すると共に、前記カメラデバイスを省電力状態にするドライバ手段と、前記ドライバ手段から出力される画像を相手方端末に送信する通信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ドライバ手段は、前記プライバシーモードがOFFからONに変更された場合は、直ちに前記ミュート画像の出力を開始し、前記ミュート画像の出力を開始して所定時間、前記プライバシーモードのON/OFFの変更がない場合に、前記カメラデバイスを省電力状態とすることが望ましい。
【0010】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記ドライバ手段は、前記プライバシーモードがONからOFFに変更された場合は、直ちに前記カメラデバイスの電源を通常のON状態とし、前記カメラデバイスの電源を通常のON状態としてから所定時間経過後、前記カメラデバイスで撮像された画像を出力することが望ましい。
【0011】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記モード設定手段は、ユーザ・インターフェースの操作に応じてプライバシーモードのON/OFFを設定することが望ましい。
【0012】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記モード設定手段は、前記テレビ電話機能を実現するテレビ電話用アプリケーションプログラムを使用して、前記相手方端末と通信を行っている場合に、前記テレビ電話用アプリケーションプログラムのウィンドウが非表示状態となるのを検出した場合に、前記プライバシーモードをOFFからONに変更することが望ましい。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、カメラデバイスで撮像された画像を相手方端末に送信して双方向で通信を行うテレビ電話機能を備えた情報処理装置の通信方法であって、モード設定手段が、プライバシーモードのON/OFFを設定する工程と、ドライバ手段が、前記プライバシーモードがOFFの場合は、前記カメラデバイスで撮像された画像を出力する一方、前記プライバシーモードがONの場合は、ミュート画像を出力すると共に、前記カメラデバイスを省電力状態にする工程と、通信手段が、前記ドライバ手段から出力される画像を相手方端末に送信する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、カメラデバイスで撮像された画像を相手方端末に送信して双方向で通信を行うテレビ電話機能を備えた情報処理装置に搭載されるプログラムであって、プライバシーモードのON/OFFを設定する工程と、前記プライバシーモードがOFFの場合は、前記カメラデバイスで撮像された画像を、前記テレビ電話機能を実現するためのテレビ電話用アプリケーションプログラムに出力する一方、前記プライバシーモードがONの場合は、ミュート画像を前記テレビ電話用アプリケーションプログラムに出力すると共に、前記カメラデバイスを省電力状態にする工程と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、テレビ電話機能を使用する場合に、ミュート画像を送出している間のカメラの消費電力を低減することが可能な情報処理装置を提供することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、テレビ電話システムで用いられる情報処理装置を適用したノートPCの概略の外観図である。
【図2】図2は、図1のノートPCの概略のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】図3は、図2のノートPCのテレビ電話に関する概略の機能構成図である。
【図4】図4は、ノートPCにおいて、テレビ電話用アプリケーションプログラムが、カメラデバイスで撮像された画像を相手方端末に送信する処理の一例を説明するための説明図である。
【図5】図5は、テレビ電話用アプリケーションが相手方端末と通信をしている状態において、カメラドライバの動作の一例を説明するためのフローを示す図である。
【図6】図6は、ノートPC100とノートPC200の間において、テレビ電話で通信中の場合の各ノートPCの表示画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施の形態にかかる情報処理装置、その通信方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムを適用したコンピュータシステムの実施の形態について説明する。本発明の構成要素は、本明細書の図面に一般に示してあるが、様々な構成で広く多様に配置し設計してもよいことは容易に理解できる。したがって、本発明の装置、方法、およびプログラムの実施の形態についての以下のより詳細な説明は、特許請求の範囲に示す本発明の範囲を限定するものではなく、単に本発明の選択した実施の形態の一例を示すものであって、本明細書の特許請求の範囲に示す本発明と矛盾無く装置、システムおよび方法についての選択した実施の形態を単に示すものである。当業者は、特定の細目の1つ以上が無くても、または他の方法、部品、材料でも本発明を実現できることが理解できる。
【0018】
(実施の形態)
図1は、テレビ電話システムで用いられる情報処理装置を適用したノートPC1の概略の外観図である。ノートPC1は、同図に示すように、いずれも略直方体である本体側筐体2およびディスプレイ側筐体3を備える。本体側筐体2は、キーボードおよびタッチパッド等を有する入力部4と、マイクロフォン5と、スピーカ6a、6bとを備える。ディスプレイ側筐体3は、LCD(液晶ディスプレイ)7と、LCD7の表示面側にその上方の略中央に配置され、前方の被写体を撮像可能なカメラ8とを備える。
【0019】
本体側筐体2およびディスプレイ側筐体3は、それぞれの端部で左右の一対の連結部(ヒンジ部)9a、9bによって連結されており、連結部9a、9bは、これらの筐体を開閉自在に支持している。
【0020】
図2は、図1のノートPC1の概略のハードウェア構成例を示す図である。ノートPC1は、同図に示すように、CPU11、ROM12、メモリ13、HDD(ハードディスク)14、LCD7、入力部4、カメラデバイス15、オーディオデバイス17、通信デバイス19、バッテリ21、DC−DCコンバータ22,ACアダプタ23、USBポート24を備えており、各部はバスを介して直接または間接的に接続されている。
【0021】
CPU11は、バスを介して接続されたHDD14に格納されたOS30によりノートPC1全体の制御を行うとともに、HDD14に格納された各種のプログラムに基づいて処理を実行する機能を司る。ROM12は、BIOS(Basic Input/Output System:基本入出力システム)12aやデータ等を格納している。
【0022】
メモリ13は、キャッシュメモリやRAMで構成されており、CPU11の実行プログラムの読み込み領域として、実行プログラムの処理データを書き込む作業領域として利用される書き込み可能メモリである。
【0023】
HDD(ハードディスク)14は、例えば、Windows(登録商標) XP、Vista、7等のノートPC1全体の制御を行うためのOS30、周辺機器類をハードウェア操作するための各種ドライバ31、テレビ会議やチャットを行うためのSkype等のテレビ電話用アプリケーションプログラム32、特定業務に向けられた他のアプリプログラム33等を記憶する機能を有する。
【0024】
LCD7は、CPU11の制御に従って、表示情報をビデオ信号に変換し、変換したビデオ信号に応じた各種情報を表示画面に表示する。
【0025】
なお、本実施の形態では、ディスプレイとしてLCDを使用することにしているが、本発明はこれに限られるものではなく、有機ELディスプレイやCRT等の他のディスプレイを使用することにしてもよい。
【0026】
入力部4は、ユーザが入力操作を行うためのユーザ・インターフェースであり、文字、コマンド等を入力する各種キーより構成されるキーボードや、画面上のカーソルを移動させたり、各種メニューを選択するタッチパッド等を備えている。
【0027】
カメラデバイス15は、USBポート24に接続されたUSBカメラデバイスであり、カメラ8と、カメラ処理回路16とを備えている。カメラ8は、レンズや撮像部(CCDやCMOS)を備えており、レンズは被写体光を結像し、撮像部は結像された被写体光をR,G,Bの画像信号として出力する。カメラ処理回路16は、A/D変換器、画像処理用LSI、メモリ等を備え、撮像部の駆動タイミングや露出制御等を行うと共に、撮像部で得られたRGBの画像信号をデータ処理(A/D変換等)して、CPU11に出力する。カメラデバイス15は、その電源がONされると、ホワイトバランス調整や露出調整等の初期処理を行って、撮像条件や信号処理が安定した後に撮像画像を出力するように構成されている。
【0028】
オーディオデバイス17は、マイクロフォン5と、スピーカ6a、6bと、音声処理回路18とを備えている。マイクロフォン5は、音声を集音して音声データを音声データ処理部18に出力する。スピーカ6a、6bは、音声処理回路18から出力される音声データに応じた音声を出力する。音声処理回路18は、A/D変換器、D/A変換器、音声処理用LSI、メモリ等を備えており、マイクロフォン5から入力される音声データをデータ処理(A/D変換等)し、データ処理後の音声データ(デジタルデータ)をCPU11に出力したり、CPU11から入力される音声データ(デジタル)をD/A変換して、スピーカ6a、6bから放音させる。
【0029】
通信デバイス19は、ネットワークを介してデータの送受信を行うためのものであり、画像データおよび音声データをネットワークに送信し、また、ネットワークを介して送信されてくる画像データおよび音声データを受信する。なお、通信デバイス19は、画像データおよび音声データをコード化して送信することにしてもよく、また、コード化された画像データおよび音声データを受信した場合には、デコードすることにしてもよい。
【0030】
ACアダプタ23は、商用電源に接続して、AC電圧をDC電圧に変換してDC−DCコンバータ22に出力する。DC−DCコンバータ22は、ACアダプタ23から供給されるDC電圧を所定の電圧に変換して各部に電力を供給し、また、バッテリ21の充電を行う。バッテリ21は、DC−DCコンバータ22により充電され、充電した電圧を各部に供給する。バッテリ21は、ACアダプタ23が商用電源に接続されていない場合に使用される。
【0031】
図3は、図2のノートPC1のテレビ電話に関する概略の機能構成図である。図3において、HDD14にインストールされたOS30、テレビ電話用アプリケーションプログラム32、他のアプリケーションプログラム33、表示ドライバ31a、カメラドライバ31b、オーディオドライバ31c、通信ドライバ31dは、メイン・メモリ24に読み込まれ、CPU21によって実行される。
【0032】
テレビ電話用アプリケーションプログラム32は、OS30上で実行されるアプリケーションプログラムであり、相手方端末と画像と音声で通話を行うテレビ電話機能を実現するためのものである。テレビ電話用アプリケーションプログラム32は、通信手段として機能する。テレビ電話用アプリケーションプログラム32と各デバイス・ドライバの間のデータ又はコマンドの送受信には、OS30が介在する。
【0033】
カメラドライバ31bは、テレビ電話用アプリケーションプログラム32の指示に応じて、カメラデバイス15を制御する。カメラドライバ31bは、モード設定手段およびドライバ手段として機能する。ユーザは、カメラドライバ31bの設定画面(不図示)で、カメラデバイス15で撮像される画像の出力フォーマット{解像度(VGA、SVGA等)、圧縮方式(MPEG4,JPEG等)}を設定可能となっており、カメラドライバ31bは、設定画面で設定された出力フォーマットの撮像画像をカメラデバイス15に出力させる。また、カメラドライバ31bは、ホットキー(例えば、Fn+F6キー)の操作に応じて、プライベートモードのON/OFFを切り替え、例えば、プライベートモードがOFFの場合に、ホットキーが押下されると、プライバシーモードをONに設定し、プライベートモードがONの場合に、ホットキーが押下されると、プライバシーモードをOFFに設定する。
【0034】
カメラドライバ31bは、プライバシーモードがOFFの場合には、カメラデバイスで撮像された撮影画像を送出する一方、プライバシーモードがONの場合には、カメラデバイス31bで撮像された撮影画像の替わりにMute画像を送出する。また、カメラドライバ31bは、Mute画像を送出する場合には、カメラデバイス15の電源をOFFとして、消費電力を低減する。ここでは、カメラデバイス15の電源の全部をOFFすることにしているが、カメラデバイス15の電源の通常のON状態(撮像が可能な状態)に比して電力を削減できればよく、カメラデバイス15の一部の電源のみをOFFすることにしてもよい。すなわち、カメラデバイス15を省電力状態とすればよい。
【0035】
なお、プライベートモードのON/OFFの変更指示は、ホットキーの操作で行うことにしているが、他のユーザ・インターフェースで行ってもよく、例えば、プライベートモードのON/OFFするための設定画面で行うことにしてもよい。また、カメラドライバ21bは、テレビ電話用アプリケーションプログラム32が起動している状態で、テレビ電話用アプリケーションプログラム32のウィンドウが表示されている場合にプライバシーモードをOFF、テレビ電話用アプリケーションプログラム32のウィンドウが隠れてしまった場合(他のウィンドウの下となり非表示とされた状態、テレビ電話用アプリケーションプログラム32のウィンドウが最小化された状態、スクリーンセーバーが起動した状態、およびシステムロックが起動した状態等)に、プライバシーモードをONに設定することにしてもよい。
【0036】
テレビ電話アプリケーションプログラム32は、OS30を介して、通信デバイス19に相手方端末とリンクを確立させ、カメラ8で撮影した画像やマイクロフォン5で集音した音声を送信させたり、相手方端末から送出されてくる画像や音声をLCD7への表示・スピーカ6a、6bからの放音を行わせる。
【0037】
OS30は、ノートPC1の基本的な動作を制御しているものであり、各種資源を管理し、例えば、アプリケーションプログラムが発生した命令を、ドライバ31やBIOS102aに伝える。OS30は、マルチタスク機能およびマルチウィンドウ機能を有し、アプリケーションプログラムの実行コンテキスト(あるアプリケーションプログラムが利用しているレジスタセットやメインメモリイメージ、ファイルハンドルなど)やGUIの部品などのソフトウェア資源の管理も行うように構成されている。
【0038】
表示ドライバ31aは、OS30の指示に従ってLCD7を制御する。カメラドライバ31bは、OS30の指示に従ってカメラデバイス15を制御する。オーディオドライバ31bは、OS30の指示に従ってオーディオデバイス17を制御する。通信ドライバ31dは、OS30の指示に従って通信デバイス19を制御する。
【0039】
上記構成において、カメラデバイス15のカメラ8で撮像された画像は、カメラドライバ31b、OS30、テレビ電話用アプリケーションプログラム32、通信ドライバ31dを介して、通信デバイス19から相手方端末に送信される。また、オーディオデバイス17のマイクロフォン5で集音した音声は、オーディオドライバ31c、OS30、テレビ電話用アプリケーションプログラム32、通信ドライバ31dを介して、通信デバイス19から相手方端末に送信される。他方、相手方端末から送信されてくる画像は、通信デバイス19、通信ドライバ31d、OS30、テレビ電話用アプリケーションプログラム32、表示ドライバ31aを介して、LCD7に表示される。また、他方、相手方端末から送信されてくる音声は、通信デバイス19、通信ドライバ31d、OS30、テレビ電話用アプリケーションプログラム32、オーディオドライバ31cを介して、オーディオデバイス17のスピーカ6a、6bから出力される。
【0040】
図4は、上記図3のように構成されるノートPC1において、テレビ電話用アプリケーションプログラム32が、カメラデバイス15で撮像された画像を相手方端末に送信する処理の一例を説明するための説明図である。同図において、カメラドライバ31bとテレビ電話用アプリケーションプログラム32間のOS30の図示を省略している。
【0041】
図4において、カメラデバイス15は、画像を撮像してその撮像画像CIをカメラドライバ31bに出力する。図4(A)に示すように、カメラドライバ31bは、プライバシーモードがOFFの場合には、ストリーム発生源をカメラデバイス15側として、カメラデバイス15から入力される撮像画像CIを、OS32を介してテレビ電話用アプリケーションプログラム32に出力する。テレビ電話用アプリケーションプログラム32は、OS30,通信ドライバ31d、および通信デバイス19を介して、撮像画像CIを相手方端末に送信する。
【0042】
図4(B)に示すように、プライバシーモードがONとされると、カメラドライバ31bは、ストリーム発生源をカメラドライバ31b側に切り替え、Mute画像MIを、OS32を介してテレビ電話用アプリケーションプログラム32に出力する。テレビ電話用アプリケーションプログラム32は、OS30,通信ドライバ31d、および通信デバイス19を介して、Mute画像MIを相手方端末に送信する。また、カメラドライバ31bは、Mute画像MIの出力を開始してから第1の所定時間t1、プライバシーモードのON/OFFの変更がない場合には、カメラデバイス15の電源をOFFとする。これにより、Mute画像MIを送信している間のカメラバイス15の消費電力を低減することが可能となる。なお、図4では、Mute画像の出力を開始してから第1の所定時間t1経過後にカメラデバイス15の電源をOFFとする構成については図示を省略している。
【0043】
図4(C)に示すように、プライバシーモードがOFFとされると、カメラドライバ31bは、カメラデバイス15の電源をONとする。カメラデバイス15は電源がONされると、初期化処理を行う。カメラドライバ31bは、カメラデバイス15の電源をONとした後、その初期化処理が終了するまでの第2の所定時間t2、または、カメラデバイス15の画像出力が安定した後、ストリーム発生源をカメラデバイス15に切り替え、カメラデバイス15から入力される撮像画像CIを、OS32を介してテレビ電話用アプリケーションプログラム32に出力する。テレビ電話用アプリケーションプログラム32は、OS30,通信ドライバ31d、および通信デバイス19を介して、撮像画像CIを相手方に送信する。なお、図4では、カメラデバイス15の電源をONとした後、第2の所定時間t2経過後又はカメラデバイス15の出力が安定した後にMute画像を出力する構成については図示を省略している。
【0044】
図5は、テレビ電話用アプリケーション32が相手方端末と通信をしている場合において、カメラドライバ31bの動作の一例を説明するためのフローである。図5に示すフローは、テレビ電話用アプリケーションプログラム32が起動して、相手方端末と通信をしている場合に、所定周期でカメラドライバ31bにより繰り返し実行される。
【0045】
図5において、まず、カメラドライバ31bは、ユーザによりホットキーが操作されて、プライバシーモードの変更要求がある場合には(ステップS1)、プライバシーモードのONからOFF又はOFFからONへの変更要求であるかを判断する(ステップS2)。プライバシーモードのOFFからONへの変更要求である場合には、カメラドライバ31bは、プライバシーモードをONに設定し、カメラデバイス15に設定された出力フォーマット(解像度、圧縮方式等)を取得し(ステップS3)、カメラデバイス15が使用中のフレームと同一のMute画像を用意する(ステップS4)。
【0046】
カメラドライバ31bは、ストリーム発生源をカメラドライバ31b側に切り替える(ステップS5)。これにより、カメラドライバ31bからはMute画像が送出される。そして、カメラドライバ31bは、プライバシーステータスをONに変更する(ステップS6)。カメラドライバ31bは、第1の所定時間t1待機し(ステップS7)、待機中にプライバシーステータスの変化がなく、かつ、プライバシーステータス=ONであるか否かを判断する(ステップS8)。カメラデバイス15は、待機中にプライバシーステータスの変化がなく、かつ、プライバシーステータス=ONの条件を満たさない場合(ステップS8の「No」)、当該フローを終了する一方、待機中に、プライバシーステータスの変化がなく、かつ、プライバシーステータス=ONである場合には(ステップS8の「Yes」)、カメラデバイス15の電源をOFFにして(ステップS9)、当該フローを終了する。
【0047】
ここで、カメラドライバ31bは、第1の所定時間t1待機し、待機中にプライバシーステータスの変化がなく、かつ、プライバシーステータス=ONである場合に、カメラデバイス15の電源をOFFとしているのは、ユーザにより、プライバシーモードのON/OFFが短時間の間に頻繁に切り替えられた場合に、その都度、カメラデバイス15の電源のON/OFFを切り替えることを防止するためである。
【0048】
他方、上記ステップS2において、プライバシーモードのONからOFFへの変更要求である場合には、カメラドライバ31bは、プライバシーモードをOFFに設定した後、カメラデバイス15の電源がONであるか否かを判断する(ステップS10)。カメラデバイス15の電源がONである場合には(ステップS10の「YES」)、ステップS14に移行する一方、カメラデバイス15の電源がONでない場合、すなわち、OFFである場合には(ステップS10の「No」)、カメラデバイス15の電源をONに設定する(ステップS11)。
【0049】
続いて、カメラドライバ31bは、カメラデバイス15の出力フォーマット(解像度、圧縮方式等)を設定し(ステップS12)、第2の所定時間t2又はカメラデバイス15の画像出力が安定するまで待機する(ステップS13)。ここで、第2の所定時間t2又はカメラデバイス15の撮像出力が安定するまで待機しているのは、カメラデバイス15では、その電源がONされると、ホワイトバランス調整や露出調整等の初期処理を行って、撮像条件や信号処理が安定した後に撮像画像を出力するように構成されているため、その待ち時間が必要になるためである。
【0050】
ステップS14では、カメラドライバ31bは、ストリーム発生源をカメラデバイス15側に切り替える。これにより、カメラドライバ31bからはカメラデバイス15で撮像された撮像画像が送出される。そして、カメラドライバ31bは、プライバシーステータスをOFFに変更して(ステップS15)、当該フローを終了する。
【0051】
なお、Mute画像を送信する場合に、相手方端末に送信する音声信号をミュートにすることにしてもよい。
【0052】
以上説明したように、本実施の形態によれば、カメラドライバ31bはプライバシーモードのON/OFFを設定し、また、プライバシーモードがOFFの場合は、カメラデバイス15で撮像された画像をテレビ電話用アプリケーションプログラム32に出力する一方、プライバシーモードがONの場合は、Mute画像をテレビ電話用アプリケーションプログラム32に出力すると共に、カメラデバイス15の電源を省電力状態とすることとしたので、テレビ電話機能を使用する場合に、Mute画像を送出している間のカメラの消費電力を低減することが可能となる。付言すると、ハードウェア的にカメラデバイス15の電源をOFFすると、テレビ電話用アプリケーションプログラム32がハングアップする可能性があるが、本実施の形態では、カメラドライバ31bがカメラデバイス15の電源をOFFすることとしたので、かかる問題は生じない。
【0053】
また、本実施の形態では、カメラドライバ31bは、プライバシーモードがOFFからONに変更された場合は、Mute画像の出力を開始し、Mute画像の出力を開始して所定時間、プライバシーモードのON/OFFの変更がない場合に、カメラデバイス15の電源を省電力状態とすることとしたので、短時間でプライバシーモードのON/OFFが繰り替えされた場合に、その都度、カメラデバイス15の電源がON/OFFされるのを防止することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態では、カメラドライバ31bは、プライバシーモードがONからOFFに変更された場合は、カメラデバイス15の電源を通常のON状態とし、カメラデバイス15の電源を通常のON状態としてから所定時間経過後、カメラデバイス15で撮像された画像を出力することとしたので、カメラデバイス15で撮像される画像が安定してからカメラデバイス15で撮像される画像を相手方端末に送信することが可能となる。
【0055】
また、本実施の形態では、カメラドライバ31bは、ユーザ・インターフェースの操作に応じてプライバシーモードのON/OFFを設定することとしたので、ユーザが簡単にプライバシーモードをON/OFFすることが可能となる。
【0056】
また、本実施の形態では、カメラドライバ31bは、テレビ電話用アプリケーションプログラム32を使用して、相手方端末と通信を行っている場合に、テレビ電話用アプリケーションプログラム32のウィンドウが非表示状態となるのを検出した場合に、プライバシーモードをOFFからONに変更することとしたので、テレビ電話用アプリケーションプログラム32のウィンドウが表示されていないため、カメラデバイス15で撮像されていることを忘れて不用意な画像を相手に送信してしまうことを防止することが可能となる。
【0057】
なお、上記実施の形態では、本発明をノートPCに適用した場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、ディスクトップPC、PDA、携帯電話等の他の情報処理装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の情報処理装置、その通信方法、およびコンピュータが実行可能なプログラムは、テレビ電話で広く利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 ノートPC
2 本体側筐体
3 ディスプレイ側筐体
4 入力部
5 マイクロフォン
6a、6b スピーカ
7 LCD(液晶ディスプレイ)
8 カメラ
9a,9b 連結部(ヒンジ部)
11 CPU
12 ROM
13 メモリ
14 HDD
15 カメラデバイス
16 カメラ処理回路
17 オーディオデバイス
18 音声処理回路
19 通信デバイス
21 バッテリ
22 DC−DCコンバータ
23 ACアダプタ
24 USBポート
30 OS
31 ドライバ
32 テレビ電話用アプリケーションプログラム
33 他のアプリケーションプログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラデバイスで撮像された画像を相手方端末に送信して双方向で通信を行うテレビ電話機能を備えた情報処理装置であって、
プライバシーモードのON/OFFを設定するモード設定手段と、
前記プライバシーモードがOFFの場合は、前記カメラデバイスで撮像された画像を出力する一方、前記プライバシーモードがONの場合は、ミュート画像を出力すると共に、前記カメラデバイスを省電力状態にするドライバ手段と、
前記ドライバ手段から出力される画像を相手方端末に送信する通信手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ドライバ手段は、前記プライバシーモードがOFFからONに変更された場合は、前記ミュート画像の出力を開始し、前記ミュート画像の出力を開始して所定時間、前記プライバシーモードのON/OFFの変更がない場合に、前記カメラデバイスを省電力状態とすることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ドライバ手段は、前記プライバシーモードがONからOFFに変更された場合は、
前記カメラデバイスの電源を通常のON状態とし、前記カメラデバイスの電源を通常のON状態としてから所定時間経過後、前記カメラデバイスで撮像された画像を出力することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記モード設定手段は、ユーザ・インターフェースの操作に応じてプライバシーモードのON/OFFを設定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記モード設定手段は、前記テレビ電話機能を実現するテレビ電話用アプリケーションプログラムを使用して、前記相手方端末と通信を行っている状態において、前記テレビ電話用アプリケーションプログラムのウィンドウが非表示状態となるのを検出した場合に、前記プライバシーモードをOFFからONに変更することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
カメラデバイスで撮像された画像を相手方端末に送信して双方向で通信を行うテレビ電話機能を備えた情報処理装置の通信方法であって、
モード設定手段が、プライバシーモードのON/OFFを設定する工程と、
ドライバ手段が、前記プライバシーモードがOFFの場合は、前記カメラデバイスで撮像された画像を出力する一方、前記プライバシーモードがONの場合は、ミュート画像を出力すると共に、前記カメラデバイスを省電力状態にする工程と、
通信手段が、前記ドライバ手段から出力される画像を相手方端末に送信する工程と、
を含むことを特徴とする情報処理装置の通信方法。
【請求項7】
カメラデバイスで撮像された画像を相手方端末に送信して双方向で通信を行うテレビ電話機能を備えた情報処理装置に搭載されるプログラムであって、
プライバシーモードのON/OFFを設定する工程と、
前記プライバシーモードがOFFの場合は、前記カメラデバイスで撮像された画像を、前記テレビ電話機能を実現するためのテレビ電話用アプリケーションプログラムに出力する一方、前記プライバシーモードがONの場合は、ミュート画像を前記テレビ電話用アプリケーションプログラムに出力すると共に、前記カメラデバイスを省電力状態にする工程と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータが実行可能なプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−119774(P2012−119774A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265493(P2010−265493)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】