説明

情報処理装置、データキャリア、無線通信機構、およびプログラム

【課題】所期の通信対象としてのデータキャリアを特定しやすい情報処理装置、データキャリア、無線通信機構、およびプログラムを得る。
【解決手段】POS端末のCPU24aは、無線通信機構としてのRFIDリーダライタの送信出力を変化させる出力可変制御部45と、その送信出力が大きいほど通信距離が短いデータキャリアとしてのRFIDタグを有効と判別するデータキャリア判別部46と、を備える。よって、RFIDタグが所期の通信対象であるか否かについての誤判別を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、データキャリア、無線通信機構、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency Identification)技術を利用して、POS(Point Of Sales)端末で商品の販売登録処理を行う商品販売システムが知られている(例えば特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記RFID技術を利用した商品販売システムでは、アクセサリ等の比較的小型の商品に添付するデータキャリアとしてのRFIDタグは大きくしにくい。よって、比較的小型の商品には、アンテナが小さく通信距離が短い比較的小型のRFIDタグが添付される。これに対し、洋服等の比較的大型の商品には、アンテナが大きく通信距離が長い大型のRFIDタグを添付することができる。このような状況から、従来のRFID技術を利用した商品販売システムでは、通信距離の異なるRFIDタグが混在する場合がある。
【0004】
このような通信距離の異なる複数のRFIDタグ等のデータキャリアが混在する状況では、特に、データキャリアと通信する無線通信装置からの送信出力が大きい場合、通信距離が短いデータキャリアも通信距離が長いデータキャリアも応答することになり、所期の通信対象としてのデータキャリアを特定するのが難しくなる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、所期の通信対象としてのデータキャリアを特定しやすい情報処理装置、情報処理システム、データキャリア、無線通信機構、およびプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、通信距離を示す通信距離情報を含む信号を送信するデータキャリアとの間の無線通信機構による通信を制御する通信制御部と、前記無線通信機構の送信出力を変化させる出力可変制御部と、前記送信出力が大きいほど前記通信距離が短いデータキャリアを有効と判別するデータキャリア判別部と、前記データキャリア判別部で有効と判別された前記データキャリアから受信した信号に含まれる情報を処理する情報処理部と、を備えたことを特徴の一つとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所期の通信対象としてのデータキャリアを特定しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる情報処理システムとしての商品販売システムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、情報処理装置としてのPOS端末の概略構成を示す図である。
【図3】図3は、POS端末のCPUの概略構成を示す図である。
【図4】図4は、無線通信機構としてのRFIDリーダライタの概略構成を示す図である。
【図5】図5は、データキャリアとしてのRFIDタグの概略構成を示す図である。
【図6】図6は、RFIDタグに保持されるデータの一例を示す模式図である。
【図7】図7は、RFIDタグの通信距離を示す通信距離情報の設定例を示す表である。
【図8】図8は、POS端末が有効なRFIDタグを判別する手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、可否判別情報としての可否判別テーブルの一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかる情報処理システムの一実施形態について詳細に説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態にかかる情報処理システムとしての商品販売システム1は、店舗システム2を含んでいる。店舗システム2は、公衆網やインターネットVPN(Virtual Private Network)等の電気通信回線4を介して、他の装置(例えばPOS(Point Of Sales)の本部システム(図示せず)など)に接続されている。
【0011】
店舗システム2は、システムの中枢を担うコンピュータとしてのストアサーバ21と、商品販売端末装置としてのPOS端末22とを備えている。ストアサーバ21とPOS端末22とは、LAN(Local Area Network)等の電気通信回線23を介して接続されている。
【0012】
POS端末22は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)24a、ROM(Read Only Memory)24b、RAM(Random Access Memory)24c、時計部24d、I/O(Input/Output)ポート24e、ネットワークインタフェース24f、キーボードコントローラ24g、タッチパネルコントローラ24h、ディスプレイコントローラ24i、プリンタコントローラ24j、スキャナコントローラ24k、RFIDリーダライタコントローラ24m、およびハードディスクコントローラ24nを備えている。図2に示すように、これらは、アドレスバス、データバス等のバスライン24pを介して接続されている。
【0013】
CPU24aは、ROM24bに記憶されたコンピュータ読み取り可能な各種プログラムを実行することにより、POS端末22を制御する。ROM24bは、CPU24aが実行する各種プログラムや各種データを記憶する。RAM24cは、CPU24aが各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶する。本実施形態では、POS端末22用のプログラムに、販売登録を行うモジュールや、電子決済を行うモジュール、通信制御を行うモジュール、受信した信号に含まれる情報を読み取るモジュール、RFIDリーダライタ26の送信出力を可変制御するモジュール、有効なデータキャリアを判別するモジュール等が含まれている。よって、このプログラムにより、POS端末22のCPU24aは、図3に示すように、販売登録部41や、電子決済部42、通信制御部43、情報読取部44、出力可変制御部45、データキャリア判別部46等として動作する。
【0014】
また、時計部24dは、現在の日時を計時する。ネットワークインタフェース24fは、電気通信回線23,4等を通じて接続される他の装置とのデータ通信を制御する。I/Oポート24eは、モードスイッチ25aからのモード選択信号を入力するとともにドロワ(図示せず)の引出しを自動開放させるドロワ開放装置25bに駆動信号を出力する。キーボードコントローラ24gは、キーボード25cから操作キーに対応したキー信号を取込んでCPU24aに通知する。タッチパネルコントローラ24hは、客用のタッチパネル付きディスプレイ25eを制御してCPU24aから供給される表示データに対応した文字等をカラー表示させるとともに、ディスプレイ25eの画面に取り付けられたタッチパネルセンサ25dからの信号を取込んでCPU24aに通知する。ディスプレイコントローラ24iは、オペレータ用のディスプレイ25fを制御してCPU24aから与えられる表示データに対応した文字等をカラー表示させる。プリンタコントローラ24jは、R/Jプリンタ25gの駆動を制御してCPU24aから供給される印字データをもとにレシート印字及びジャーナル印字を行わせる。スキャナコントローラ24kは、スキャナ25hで読み取られたデータの信号を取込んでCPU24aに入力する。
【0015】
また、RFIDリーダライタコントローラ24mは、CPU24aからの指示信号を受信して、データキャリアとしてのRFIDタグ27用のRFIDリーダライタ26を制御する信号を出力する。RFIDリーダライタ26は、受信した信号に基づいて、RFIDリーダあるいはRFIDライタとして動作し、RFIDタグ27に対するデータの読み出しあるいは書き込みを行い、読み出したデータをCPU24aへ通知する。
【0016】
また、ハードディスクコントローラ24nは、CPU24aからの指示信号に基づいてハードディスク25iに対するデータの書き込みおよび読み出しを制御する。ハードディスク25iは、システムに関わる諸データの他、有効なデータキャリアとしてのRFIDタグ27の判別の元となる可否判別情報としての可否判別テーブル29や、有効と判別されたRFIDタグ27のデータを格納する有効情報テーブル30等の記憶領域を有する。
【0017】
図4に示すように、RFIDリーダライタ26は、リーダライタ制御部26aや、変調部26b、復調部26c、送信アンプ26d、受信アンプ26e、インタフェース部26f、切換回路26g、アンテナ26h等を有している。リーダライタ制御部26aは、RFIDリーダライタ26の動作を制御する。変調部26bは、リーダライタ制御部26aから受け取った送信データを変調する。送信アンプ26dは、変調部26bで変調された電波を増幅してアンテナ26hから放射させる。受信アンプ26eは、アンテナ26hで受信された電波を増幅する。復調部26cは、受信アンプ26eで増幅された電波を復調する。インタフェース部26fは、CPU24aとの間でデータの通信を行う。なお、切換回路26gは、CPU24aからのデジタル信号をアナログ信号(電流値)に変換するD/A変換機能を有している。また、送信アンプ26dには、切換回路26gからのアナログ信号(電流値)により送信出力(送信電力)を切替えるパワーアンプが含まれている。
【0018】
図5に示すように、データキャリアとしてのRFIDタグ27は、ケースあるいはカバーとして構成される被覆体27aの中に、IC(Integrated Circuit)チップ27bと、アンテナ27cと、を有している。ICチップ27bは、電源生成部や、復調部、変調部、メモリ部28(図6参照)、これらを制御する制御部等が形成された電子回路部品である。電源生成部は、アンテナ27cで受信した電波の整流と安定化を行なうことによりICチップ27bの各部に電源を供給する。復調部は、アンテナ27cで受信した電波を復調して制御部へ送出する。変調部は、制御部から送出されたデータを電波に変調し、アンテナ27cから放射させる。制御部は、復調部で復調されたデータのメモリ部28への書込みや、メモリ部28からデータを読み出して変調部へ送出する。このような構成のRFIDタグ27は、無線通信機構としてのRFIDリーダライタ26から受信した信号に応じて、メモリ部28に保持されたデータを含む信号を送信するデータキャリアとして機能する。
【0019】
図6に示すように、メモリ部28には、各RFIDタグ27に固有のIDコード(シリアルナンバー)が格納される領域や、GTIN(Global Trade Item Number)等の商品識別コードが格納される領域、通信距離情報が格納される領域、フリーエリア等が含まれている。
【0020】
通信距離情報は、RFIDタグ27の通信距離(例えば1W出力時読取距離)を示す情報であり、本実施形態では2ビットの情報である。具体的には、図7に例示されるように、通信距離情報は、通信距離に応じて複数(本実施形態では四つ)に区分されている。すなわち、通信距離が50cm未満の場合には、通信距離情報は「00」に設定されている。また、通信距離が50cm以上150cm未満の場合には、通信距離情報は「01」に設定されている。また、通信距離が150cm以上500cm未満の場合には、通信距離情報は「10」に設定されている。また、通信距離が500cm以上の場合には、通信距離情報は「11」に設定されている。
【0021】
次に、図8を参照して、情報処理装置としてのPOS端末22によるRFIDタグ27の判別処理について説明する。図8のフローによって、POS端末22のCPU24aは、有効なRFIDタグ27を判別する。
【0022】
まず、CPU24aはRFIDリーダライタ26の送信出力のレベルを「1」に設定する(ステップS1)。図9に示すように、本実施形態では、RFIDリーダライタ26の送信出力レベルが、複数(本実施形態では三つ)に区分されている。そして、レベルが「1」であるとき、RFIDリーダライタ26の送信出力は50mWに設定され、レベルが「2」であるとき、RFIDリーダライタ26の送信出力は100mWに設定され、レベルが「3」であるとき、RFIDリーダライタ26の送信出力は500mWに設定される。ステップS1で、CPU24aは、出力可変制御部45(図3参照)として動作し、少なくともRFIDリーダライタコントローラ24mに対して送信出力のレベルを通知し、当該RFIDリーダライタコントローラ24m、インタフェース部26f、リーダライタ制御部26a、および切換回路26gを介して、送信アンプ26dを制御する。これにより、RFIDリーダライタ26の送信出力は、通知されたレベルに対応する値に設定される。なお、このステップS1で、CPU24aは、RFIDリーダライタ26に対して、レベルを示すデータを送信してもよいし、送信出力の値を示すデータを送信してもよい。
【0023】
次いで、CPU24aは、通信制御部43(図3参照)として動作し、RFIDタグ27と通信する(ステップS2)。このステップS2では、まず、通信制御部43は、RFIDリーダライタ26を制御し、当該RFIDリーダライタ26に、信号を出力させる。このステップS2での信号の送信出力は、ステップS1または後述するステップS8で設定された値で行われる。ステップS1の後では、レベルが「1」であるため、図9に示すように、送信出力は50mWである。ステップS8の後では、図9のレベルに対応する送信出力が設定される。
【0024】
RFIDリーダライタ26からの信号を受信したRFIDタグ27は応答信号を送信する。RFIDリーダライタ26が、RFIDタグ27の通信範囲内にある場合、RFIDリーダライタ26は、そのRFIDタグ27から信号を受信することができる。こうして、RFIDリーダライタ26とRFIDタグ27との通信が行われる。なお、このステップS2では、タイムスロット方式等によるアンチコリジョン処理によって、複数のRFIDタグ27から信号を受信することができる。
【0025】
次に、CPU24aは、情報読取部44(図3参照)として動作し、まずは、応答したRFIDタグ27から受信した信号から、当該信号に含まれる情報を取得する(ステップS3)。RFIDタグ27から取得された情報には、上述したIDコード、GTIN、通信距離情報、ならびにフリーエリアに格納された情報が含まれている。なお、ステップS3,S4は、複数のRFIDタグ27から応答信号を受信した場合、それら複数のRFIDタグ27の全てについて、順次実行される。
【0026】
次に、CPU24aは、データキャリア判別部46として動作し、可否判別情報を示す可否判別テーブル29(図2,9参照)を参照して、ステップS3で取得された通信距離情報によって示される通信距離により、応答したRFIDタグ27が有効であるか否かを判別する(ステップS4)。
【0027】
ここで、本実施形態では、図9に例示するように、送信出力のレベルに応じて、有効と判別する条件(取得条件)が異なっている。具体的に、図9の例では、送信出力のレベルが「1」である場合(すなわち、送信出力が50mWである場合)には、通信距離情報が「10」および「11」であるRFIDタグ27(すなわち、通信距離が150cm以上500cm未満のRFIDタグ27および500cm以上のRFIDタグ27)が有効であると判別され、通信距離情報が「00」および「01」であるRFIDタグ27は有効とは判別されない(無効と判別される)。
【0028】
また、送信出力のレベルが「2」である場合(すなわち、送信出力が100mWである場合)には、通信距離情報が「00」および「01」であるRFIDタグ27(すなわち、通信距離が50cm未満のRFIDタグ27および50cm以上150cm未満のRFIDタグ27)が有効であると判別され、通信距離情報が「10」および「11」であるRFIDタグ27は有効とは判別されない(無効と判別される)。
【0029】
そして、送信出力のレベルが「3」である場合(すなわち送信出力が500mWである場合)には、通信距離情報が「00」であるRFIDタグ27(すなわち、通信距離が50cm未満のRFIDタグ27)が有効であると判別され、通信距離情報が「01」、「10」、および「11」であるRFIDタグ27は有効とは判別されない(無効と判別される)。
【0030】
このように、本実施形態では、ステップS4では、RFIDリーダライタ26の送信出力が大きい場合には通信距離が短いRFIDタグ27が有効と判別される。また、RFIDリーダライタ26の送信出力が小さい場合には通信距離が長いRFIDタグ27が有効と判別される。また、RFIDリーダライタ26の送信出力が大小の中間値である場合には通信距離が長短の中間値のRFIDタグ27が有効と判別される。ここで、仮に、RFIDリーダライタ26からの送信出力が大きい場合に、通信距離が長いRFIDタグ27を有効とすると、RFIDリーダライタ26による有効な通信エリアが拡大する。このため、本来対象外(無効)とすべきであったRFIDタグ27が有効と誤判定されてしまう虞がある。一方、RFIDリーダライタ26からの送信出力が小さい場合に、通信距離が短いRFIDタグ27のみを有効とすると、RFIDリーダライタ26による有効な通信エリアが縮小する。このため、本来対象(有効)とすべきであったRFIDタグ27が検出されない虞がある。この点、本実施形態によれば、RFIDリーダライタ26の送信出力が大きい場合には、通信距離が比較的短いRFIDタグ27が有効と判別され、RFIDリーダライタ26の送信出力が小さい場合には、通信距離が比較的長いRFIDタグ27が有効と判別される。すなわち、本実施形態によれば、RFIDタグ27が所期の通信対象であるか否かについての誤判別を抑制することができる。
【0031】
次に、CPU24aは、ステップS4で有効と判別されたRFIDタグ27が有った場合(ステップS5でYes)、データキャリア判別部46として動作し、有効と判別されたRFIDタグ27のデータをハードディスク25iの有効情報テーブル30に書き込む(ステップS6)。ステップS4で有効と判別されたRFIDタグ27が複数存在した場合には、ステップS6は、有効と判別された全てのRFIDタグ27について実行される。
【0032】
そして、ステップS4で有効と判別されたRFIDタグ27が無かった場合(ステップS5でNo)、あるいはステップS6の処理が終了すると、CPU24aは、出力可変制御部45(図3参照)として動作し、送信出力レベルが「3」でなかった場合、すなわち「2」以下であった場合に(ステップS7でNo)、送信出力レベルを1増やす(ステップS8)。すなわち、ステップS8では、送信出力レベルが「1」であった場合には送信出力レベルが「2」となり、送信出力レベルが「2」であった場合には、送信出力レベルが「3」となって、ステップS2のRFIDタグとの通信処理が実行される。
【0033】
送信出力レベルが「3」であった場合は(ステップS7でYes)、全ての送信出力レベルについて、図8のフローによる処理が完了した状態であるから、この場合は、処理を終了する。
【0034】
この後、有効情報テーブル30に記憶された有効なRFIDタグ27のデータに基づいて、販売登録部41(図3参照)による販売登録処理や、電子決済部42(図3参照)による電子決済処理等が実行される。販売登録部41は、例えば、スキャナ25hで読み取った商品のバーコードのデータから商品IDを検出し、この商品IDに対応する価格データをストアサーバ21に問い合わせ、受信した価格データに基づいて当該商品の販売データを生成してこれをRAM24c等の記憶部に記憶する。また、電子決済部42は、例えば、販売データを集計して支払金額を算出して、これをディスプレイ25eに表示させる。そして、電子決済部42は、オペレータの操作に基づいて、POS端末22を、客が希望する電子決済システムによる決済が可能な状態とする。そして、CPU24aは、客が希望する電子決済システムに対応するカードリーダライタやICチップリーダライタ等(図示せず)を動作させ、カードや端末との間で決済に必要なデータの授受を行い、さらに、必要に応じて外部サーバ等と通信を行って、決済処理を行う。このとき電子決済部42は、電子決済IDをRAM24c等の記憶部に保持しておく。すなわち、本実施形態では、これら販売登録部41や電子決済部42等が、情報処理部に相当する。
【0035】
以上、説明したように、本実施形態にかかるPOS端末22は、無線通信機構としてのRFIDリーダライタ26の送信出力を変化させる出力可変制御部45と、その送信出力が大きいほど通信距離が短いデータキャリアとしてのRFIDタグ27を有効と判別するデータキャリア判別部46と、を備える。よって、RFIDタグ27が所期の通信対象であるか否かについての誤判別を抑制することができる。したがって、POS端末22においては、所定の範囲に配置されたRFIDタグ27が添付された商品を、より確実に処理対象として認識することができ、ひいては、処理効率を高めることができる。
【0036】
また、本実施形態では、出力可変制御部45は、RFIDリーダライタ26の送信出力を段階的に切り替え、データキャリア判別部46は、送信出力の複数のレベルに対して有効とする通信距離を示す可否判別情報を示す可否判別テーブル29に基づいて、RFIDタグ27の判別を実行する。複数のレベルに区分したことで、判別処理をより容易にかつより効率良く行うことができる。また、可否判別テーブル29の設定を変更することによって、区分の数や、各区分の取得条件(有効とする条件)を比較的容易に可変設定することができるようになる。
【0037】
また、本実施形態では、出力可変制御部45は、送信出力を段階的に大きく変化させる。送信出力が大きいほど、応答するデータキャリアとしてのRFIDタグ27の数が増えてステップS2,S3のデータ処理量が増大する。よって、送信出力が小さい状態から大きい状態に変化させることで、特に、対象とするデータキャリアとしてのRFIDタグ27の数(例えば1)が規定されているような場合には、処理効率を高めやすくなる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、情報処理装置および情報処理システムが、RFIDシステムを利用して構築された場合を例示したが、他のデータキャリアを用いた無線通信方式でも本発明は同様に実施することができる。
【0039】
また、上記実施形態では、本発明の情報処理装置をPOS端末22として実施した場合を例示したが、他の情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)として実施することも可能である。また、本発明の情報処理装置あるいは無線通信機構を、商品等に添付されたデータキャリアに対して商品の値段等のデータの登録を行うデータ登録システムあるいはデータ登録装置の一部として構成することもできる。
【0040】
また、上記実施形態では、通信制御部43、情報読取部44、出力可変制御部45、およびデータキャリア判別部46が、いずれもPOS端末22のCPU24aに含まれた場合について例示したが、これら、通信制御部43、情報読取部44、出力可変制御部45、およびデータキャリア判別部46を、無線通信機構としてのRFIDリーダライタ26のリーダライタ制御部26a(図4参照)が備えることができる。そして、その場合、これらの機能を実行するプログラムを、リーダライタ制御部26aに対してインストールすることができる。この場合、RFIDリーダライタ26には、図4に示さない記憶部(RAM、ROM、ハードディスク等)が装備され、インストールあるいは処理の実行に際しては、その記憶部が利用される。
【0041】
また、データキャリアのスペック、データキャリアに保持される情報、通信距離情報の区分、送信出力の区分、それらの対応関係(可否判別情報)等は、上記実施形態には限定されず、適宜に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明は、データキャリアと無線通信を行う無線通信機構、情報処理装置、および情報処理システムに有用であり、特にPOSシステム等の商品販売システムに適している。
【符号の説明】
【0043】
1 商品販売システム(情報処理システム)
22 POS端末(情報処理装置)
26 RFIDリーダライタ(無線通信機構)
27 RFIDタグ(データキャリア)
29 可否判別テーブル(可否判別情報)
41 販売登録部(情報処理部)
42 電子決済部(情報処理部)
43 通信制御部
45 出力可変制御部
46 データキャリア判別部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開2007−72681

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信距離を示す通信距離情報を含む信号を送信するデータキャリアとの間の無線通信機構による通信を制御する通信制御部と、
前記無線通信機構の送信出力を変化させる出力可変制御部と、
前記送信出力が大きいほど前記通信距離が短いデータキャリアを有効と判別するデータキャリア判別部と、
前記データキャリア判別部で有効と判別された前記データキャリアから受信した信号に含まれる情報を処理する情報処理部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記出力可変制御部は、前記送信出力を段階的に切り替え、
前記データキャリア判別部は、前記送信出力の複数のレベルに対して有効とする前記通信距離を示す可否判別情報に基づいて、前記データキャリアの判別を実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力可変制御部は、前記送信出力を段階的に大きく変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータを、請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の情報処理装置の前記通信制御部、前記出力可変制御部、前記データキャリア判別部、および前記情報処理部として機能させるプログラム。
【請求項5】
請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の情報処理装置で用いられる前記データキャリアであって、前記通信距離情報を保持するデータキャリア。
【請求項6】
通信距離を示す通信距離情報を含む信号を送信するデータキャリアとの間の無線通信機構による通信を制御する通信制御部と、
前記無線通信機構の送信出力を変化させる出力可変制御部と、
前記送信出力が大きいほど前記通信距離が短いデータキャリアを有効と判別するデータキャリア判別部と、
を備えたことを特徴とする無線通信機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−146007(P2011−146007A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8537(P2010−8537)
【出願日】平成22年1月18日(2010.1.18)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】