説明

情報処理装置、フォーカス制御方法及びプログラム

【課題】テキスト入力フィールドの操作性を向上させる。
【解決手段】テキスト入力フィールド302を持つアプリケーションウィンドウ(ランチャー201)を表示するGUI制御部101と、ユーザによるマウス104の操作入力に基づいてカーソル301を制御する入力制御部102とを備え、GUI制御部101は、カーソル301がランチャー201上でクリックされた場合に、クリックされたオブジェクトにオブジェクトフォーカスを与え、前記クリック後、テキスト入力フィールド302に入力フォーカスを与える制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、フォーカス制御方法及びプログラムに関し、特に、GUIにおけるテキスト入力フィールドの操作性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置のグラフィカルユーザインターフェース(以下、「GUI」という)の技術分野においては、ランチャーアプリケーション(以下、「ランチャー」と呼ぶ場合がある)という種類のアプリケーションが広く知られている。
【0003】
ランチャーは、一般的に、アプリケーションソフトウェア起動のリンク等を並べて、デスクトップ環境に常駐し、ユーザによるアプリケーションソフトウェアの起動を補助し高速化するものである。このリンクには、URI(Uniform Resource Indicator)を引数にとってブラウザを起動させるものもある。
【0004】
本明細書と関連するランチャーは、特にテキスト入力フィールドを有するランチャーである。ここで、テキスト入力フィールドは、好適には、所定の検索エンジンに入力されたテキストをポスト等して検索結果を得る検索入力欄であるが、これに限定されない。テキスト入力フィールドは、入力されたテキストをメモとして保存するメモウィジットの入力欄でもよい。
【0005】
テキスト入力は、通常、キーボード等の文字入力デバイスを用いる一方、GUIは、直感的な操作を実現するためにマウス等のポインティングデバイスを用いることを主体にした設計である。したがって、文字入力やテキスト入力の操作性の向上という課題が存在する。
【0006】
マルチウィンドウシステムであって、テキスト入力欄が複数のウィンドウにそれぞれ存在するようなシステムにおけるテキスト入力の操作性を向上させる技術としては、例えば、特許文献1に記載のものがある。特許文献1では、複数のウィンドウごとにテキスト入力エリアがあるシステムで、キー入力によってフォーカスを変更する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−282403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1においても、マウス操作にて利用することを主眼としたランチャーが有するテキスト入力欄の操作性を向上させる技術は開示されていないと考えられる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、テキスト入力フィールドの操作性を向上させることが可能な情報処理装置、フォーカス制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の態様として、テキスト入力フィールドを持つアプリケーションウィンドウを表示するGUI制御手段と、ユーザによるポインティングデバイスの操作入力に基づいてカーソルを制御する入力制御手段とを備え、前記GUI制御手段は、前記カーソルが前記アプリケーションウィンドウ上でクリックされた場合に、クリックされたオブジェクトにオブジェクトフォーカスを与え、前記クリック後、前記テキスト入力フィールドに入力フォーカスを与える制御を行うことを特徴とする、情報処理装置を提供するものである。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、第2の態様として、テキスト入力フィールドを持つアプリケーションウィンドウを表示する表示工程と、ユーザによるポインティングデバイスの操作入力に基づいてカーソルを制御する入力制御工程と、前記入力制御工程にて、前記カーソルが前記アプリケーションウィンドウ上でクリックされた場合に、クリックされたオブジェクトにオブジェクトフォーカスを与える制御をする工程と、前記クリック後、前記テキスト入力フィールドに入力フォーカスを与える制御をする工程と、を含むことを特徴とする、フォーカス制御方法を提供するものである。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明は、第3の態様として、コンピュータに、テキスト入力フィールドを持つアプリケーションウィンドウを表示する表示処理と、ユーザによるポインティングデバイスの操作入力に基づいてカーソルを制御する入力制御処理と、前記入力制御処理にて、前記カーソルが前記アプリケーションウィンドウ上でクリックされた場合に、クリックされたオブジェクトにオブジェクトフォーカスを与える制御をする処理と、前記クリック後、前記テキスト入力フィールドに入力フォーカスを与える制御をする処理と、を実行させることを特徴とする、プログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、テキスト入力フィールドの操作性を向上させることが可能な情報処理装置、フォーカス制御方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のランチャー201の表示画面例を示す図である。
【図4】本実施形態のランチャー201の上に他のアプリケーション202が重なっている状態の表示画面例を示す図である。
【図5】本実施形態におけるフォーカス制御処理(1)の手順を示すフローチャート図である。
【図6】本実施形態におけるフォーカス制御処理(2)の手順を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、例えばノートブック型パーソナルコンピュータのような情報処理装置に本発明を実施した例であるが、本発明は、本説明例に限定して解釈されない。
【0016】
図1に、本実施形態の機能ブロック図を示す。
図1に示すように、本実施形態に係る情報処理装置1は、制御部100と、表示装置103と、マウス104と、キーボード105を有する。制御部100は、情報処理装置1全体の制御を行う。制御部100は、GUI制御部101と、入力制御部102を有する。
【0017】
マウス104は、ポインティングデバイスであり、キーボード105は、文字やテキストの入力を可能にする文字入力手段である。マウス104とキーボード105は、ユーザによる情報処理装置1への操作入力を実現する入力インターフェースである。
【0018】
マウス104とキーボード105による操作入力は、入力制御部102により検知検出され、検出された操作入力に基づいた制御が制御部100及び/又はGUI制御部101によりなされる。
【0019】
表示装置103は、情報処理装置1による情報処理結果を可視的に表示するマン・マシン・インターフェースである。表示装置103が表示する画面は、GUI制御部101で生成され、送出される。
【0020】
図2に、本実施形態のソフトウェア構成を示す。
図示のように、本実施形態においては、コンピュータの基本ソフトウェアであるオペレーティングシステム200が稼働しており、その上に、本実施形態のランチャーアプリケーション(以下、ランチャー201と呼ぶ)や、他のアプリケーション202が実行されている。オペレーティングシステム200は、GUI環境も提供する。
【0021】
ランチャー201は、特にテキスト入力フィールドを有するランチャーである。ここで、テキスト入力フィールドは、好適には、所定の検索エンジンに入力されたテキストをポスト等して検索結果を得る検索入力欄であるが、これに限定されない。テキスト入力フィールドは、入力されたテキストをメモとして保存するメモウィジットの入力欄でもよい。
【0022】
また、ランチャー201は、他のアプリケーション202起動のリンク等を並べて、デスクトップ環境に常駐し、ユーザによるアプリケーションソフトウェアの起動を補助し高速化する。このリンクには、URI(Uniform Resource Indicator)を引数にとってブラウザを起動させるものもある。ランチャー201は、電子商取引サイトのURIを引数に取るリンクも設定可能である。
【0023】
図3に、ランチャー201の表示画面例を示す。
図3には、GUI制御部101で生成されたデスクトップ300の画面上に、カーソル301と、ランチャー201が描画されている画面例が示されている。なお、図3中のランチャー201は、厳密にはアプリケーションであるランチャー201が起動されて生成されるランチャーの画像であるが、同じ符号を付して説明する。他のアプリケーション202についても同じである。
【0024】
カーソル301は、マウス104の操作に追随して動く。
ランチャー201は、文字入力欄であるテキスト入力フィールド302と、サービス1〜nへのリンク303を提供する。
【0025】
このようなデスクトップ環境で、本実施形態のGUI制御部101は、カーソル301がランチャー201上にマウスオーバーすると、入力フォーカスを自動的にテキスト入力フィールド302に移動する制御を行う。
【0026】
従来のランチャーアプリケーション等では、テキスト入力フィールドが検索入力欄であるような場合に、ユーザがワードを検索したいと考えても、カーソルを検索入力欄に移動させた上、いちいちクリックしなければ文字入力ができるようにはならなかった。ところが、本実施形態のランチャー201は、マウスオーバーするだけで文字入力が可能になり、(テキスト入力フィールド302が検索入力欄であるような場合に)検索実行が可能である。
【0027】
しかしながら、上記のような挙動をするとき、ランチャー201の上にさらに他のアプリケーションのウィンドウが重複していたような場合に、不具合が起きる可能性がある。特に上に乗っている他のアプリケーションが文字入力欄を有するワードプロセッサ等のアプリケーションであったような場合、マウスオーバーによって入力フォーカスが常にテキスト入力フィールド302に奪われると、不便である。
【0028】
図4に、ランチャー201の上に他のアプリケーション202が重なっている状態の表示画面例を示す。
図中点線で囲った重複領域304内に、カーソル301が来た場合であっても(例えば、Aの位置)、テキスト入力フィールド302は、入力フォーカスを奪わない。一方で、重複エリア304から離れ、ランチャー201上に移動した場合には(例えば、Bの位置)、テキスト入力フィールド302は、入力フォーカスを奪う。
【0029】
図5に、上記フォーカス制御処理(フォーカス制御処理(1))の手順を示す。
図示のように、GUI制御部101は、まず、入力制御部102よりマウス104の操作入力を受けて、カーソル301の移動を検知する(ステップS101)。
【0030】
移動を検知し、ランチャー201にマウスオーバーしていると判断され(ステップS102/Yes)、さらにカーソル301のポイントする位置が重複エリア304でない場合(ステップS103/No)、GUI制御部101は、入力フォーカスをテキスト入力フィールド302に自動的に動かす。
【0031】
本実施形態は、上述のようなフォーカス制御(1)を行うため、他のアプリケーション利用時でもユーザの作業を邪魔することなく、テキスト入力フィールドの操作性をさらに向上させることができる。
【0032】
上記フォーカス制御処理(1)によれば、ランチャー201の上にカーソル301が移動して、入力フォーカスがテキスト入力フィールド302に自動的に移る。ところが、その後、ユーザ操作によりランチャー201が提供するリンク303がクリックされると、従来の技術では入力フォーカスがクリックされたオブジェクトに奪われていた。
【0033】
しかしながら、ユーザはリンク303をクリックしつつもすぐにテキスト入力フィールド301を用いて検索したい場合があり、上記のような従来技術では不便である。そこで、本実施形態では、以下に説明するようなフォーカス制御処理(フォーカス制御処理(2))を実行し、この課題を解決する。
【0034】
図6に、フォーカス制御処理(2)の手順を示す。
図6において、GUI制御部101は、まず、カーソル301がランチャー201の上に来ているか否かを判断し(ステップS201)、マウスオーバーしている場合、マウス104の図示しないボタンがプレースされたか否かを検知する(ステップS202)。
【0035】
プレースされた場合、プレースされたオブジェクト(リンク303等)にオブジェクトフォーカスを移した上で(ステップS203)、ボタンのリリースを検知する(ステップS204)。なお、ボタンのプレース及びリリースで1クリックが成立する。
【0036】
リリースを検知した場合、GUI制御部101は、入力フォーカスを自動的にテキスト入力フィールド302に移す(ステップS205)。
以上に説明したフォーカス制御処理(2)によれば、ユーザがリンク303をクリックしつつもすぐにテキスト入力フィールド301を用いて検索したいような場合の不便さを改善することができ、テキスト入力フィールドの操作性をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 情報処理装置
100 制御部
101 GUI制御部
102 入力制御部
103 表示装置
104 マウス
105 キーボード
200 オペレーティングシステム
201 ランチャー
202 他のアプリケーション
300 デスクトップ
301 カーソル
302 テキスト入力フィールド
303 リンク
304 重複エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テキスト入力フィールドを持つアプリケーションウィンドウを表示するGUI制御手段と、
ユーザによるポインティングデバイスの操作入力に基づいてカーソルを制御する入力制御手段とを備え、
前記GUI制御手段は、前記カーソルが前記アプリケーションウィンドウ上でクリックされた場合に、クリックされたオブジェクトにオブジェクトフォーカスを与え、前記クリック後、前記テキスト入力フィールドに入力フォーカスを与える制御を行うことを特徴とする、情報処理装置。
【請求項2】
前記GUI制御手段は、前記カーソルが前記アプリケーションウィンドウ上にマウスオーバーすると、前記テキスト入力フィールドに入力フォーカスを与える制御を行うことを特徴とする、請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記GUI制御手段は、
他のアプリケーションのウィンドウを、前記アプリケーションウィンドウ上に一部重ねて表示する場合に、
前記カーソルが、前記アプリケーションウィンドウと前記他のアプリケーションのウィンドウの重複エリア上にマウスオーバーしても、
前記テキスト入力フィールドに入力フォーカスを与えない制御を行うことを特徴とする、請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
テキスト入力フィールドを持つアプリケーションウィンドウを表示する表示工程と、
ユーザによるポインティングデバイスの操作入力に基づいてカーソルを制御する入力制御工程と、
前記入力制御工程にて、前記カーソルが前記アプリケーションウィンドウ上でクリックされた場合に、クリックされたオブジェクトにオブジェクトフォーカスを与える制御をする工程と、
前記クリック後、前記テキスト入力フィールドに入力フォーカスを与える制御をする工程と、を含むことを特徴とする、フォーカス制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
テキスト入力フィールドを持つアプリケーションウィンドウを表示する表示処理と、
ユーザによるポインティングデバイスの操作入力に基づいてカーソルを制御する入力制御処理と、
前記入力制御処理にて、前記カーソルが前記アプリケーションウィンドウ上でクリックされた場合に、クリックされたオブジェクトにオブジェクトフォーカスを与える制御をする処理と、
前記クリック後、前記テキスト入力フィールドに入力フォーカスを与える制御をする処理と、を実行させることを特徴とする、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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