説明

情報処理装置、情報入力方法およびプログラム

【課題】タッチパッドによる誤入力を、様々な利用者に適した状態で防止する。
【解決手段】キー入力検知部102が、キー101が押下されたことを検知し、キー情報入力部103が、キー入力検知部102が押下を検知したキー101に応じた情報を入力し、接触入力部104が、情報処理装置100の外部からの接触を検知し、検知した接触に応じた情報を入力し、間隔学習部105が、キー入力検知部102が押下を検知してから次の押下を検知するまでの時間間隔を学習し、接触無効部106が、キー入力検知部102が押下を検知してから間隔学習部105が学習した時間間隔に応じた学習時間が経過するまで、接触入力部104の入力を無効にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部から入力された情報を処理する情報処理装置、および当該情報処理装置に情報を入力する情報入力方法ならびにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコン等の情報処理装置は、当該情報処理装置へ情報を入力する機能として、キーボードやマウス以外に、表面を指でなぞったり、叩いたりすることにより、カーソルの移動やアイコンの選択といった情報の入力を行うことができるタッチパッド(タッチパネル式マウス)が具備されたものが多い。
【0003】
このタッチパッドの機能は、利用者がキーボードを用いて文字等を入力している間も、常に起動状態(有効)となっている。そのため、キーボードを用いて文字等を入力している間に、タッチパッドに無意識に触れてしまうと、カーソルが意図しない位置へ移動してしまい、その結果、誤った情報を入力してしまうおそれがある。
【0004】
その解決策として、ハードウェアによる対処でタッチパッドの機能を一時的に無効にするといったものや、ソフトウェア上でタッチパッドの感度を下げ、誤作動を起こりにくくするなどといったものがある。
【0005】
しかし、ハードウェアによる対処は現状のノートパソコンでは簡単には導入できず、またソフトウェア上でタッチパネルの感度を下げる方法では、意図してタッチパッドを使用する際に反応が悪いことにより、使用感に影響が出てしまう。
【0006】
そこで、キー入力を検知してから、あらかじめ設定された時間が経過するまでの間は、タッチパッドの機能を無効にする技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3243423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された技術においては、無効となる時間が、情報を入力する利用者に応じたものとなっていないため、利用者によっては使い勝手が悪いものとなってしまうおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、上述した課題を解決する情報処理装置、情報入力方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の情報処理装置は、
外部から入力された情報を処理する情報処理装置であって、
当該情報処理装置の外部から押下可能な複数のキーと、
前記キーが押下されたことを検知するキー入力検知部と、
前記キー入力検知部が前記押下を検知したキーに応じた情報を入力するキー情報入力部と、
当該情報処理装置の外部からの接触を検知し、該検知した接触に応じた情報を入力する接触入力部と、
前記キー入力検知部が前記押下を検知してから次の押下を検知するまでの時間間隔を学習する間隔学習部と、
前記キー入力検知部が前記押下を検知してから、前記間隔学習部が学習した時間間隔に応じた学習時間が経過するまで、前記接触入力部の入力を無効にする接触無効部とを有する。
【0011】
また、本発明の情報入力方法は、
情報を入力する情報入力方法であって、
情報処理装置の外部から押下可能な複数のキーが押下されたことを検知する処理と、
前記押下を検知したキーに応じた情報を入力する処理と、
前記情報処理装置の外部からの接触を検知する処理と、
前記検知した接触に応じた情報を入力する処理と、
前記押下を検知してから次の押下を検知するまでの時間間隔を学習する処理と、
前記押下を検知してから、前記学習した時間間隔に応じた学習時間が経過するまで、前記接触に応じた入力を無効にする処理とを有する。
【0012】
また、本発明のプログラムは、
外部から入力された情報を処理する情報処理装置に実行させるためのプログラムであって、
当該情報処理装置の外部から押下可能な複数のキーが押下されたことを検知する手順と、
前記押下を検知したキーに応じた情報を入力する手順と、
当該情報処理装置の外部からの接触を検知する手順と、
前記検知した接触に応じた情報を入力する手順と、
前記押下を検知してから次の押下を検知するまでの時間間隔を学習する手順と、
前記押下を検知してから、前記学習した時間間隔に応じた学習時間が経過するまで、前記接触に応じた入力を無効にする手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明においては、タッチパッドによる誤入力を、様々な利用者に適した状態で防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の情報処理装置の外観図である。
【図2】本発明の情報処理装置の実施の一形態を示す図である。
【図3】本形態における情報入力方法のうち、図2に示した間隔学習部における学習方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本形態における情報入力方法のうち、メインとなる情報入力方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の情報処理装置の外観図である。
【0017】
図1においては、本発明の情報処理装置がノートパソコンである場合を例に挙げて示す。
【0018】
図1に示した情報処理装置100には、キー101と、接触入力部104とが設けられている。
【0019】
キー101は、情報処理装置100の外部から押下可能な構成であり、ノートパソコンに一般的に具備されている複数のキーからなるキーボードである。
【0020】
接触入力部104は、その表面を指でなぞったり、叩いたりすることにより、カーソルの移動やアイコンの選択といった情報の入力を行うことができるタッチパッドである。接触入力部104は、情報処理装置100の外部からの接触を検知し、その検知した接触に応じた情報を入力する。
【0021】
図2は、本発明の情報処理装置の実施の一形態を示す図である。
【0022】
本形態における情報処理装置100には図2に示すように、キー101と、キー入力検知部102と、キー情報入力部103と、接触入力部104と、間隔学習部105と、接触無効部106と、処理部107とが設けられている。なお、図2には情報処理装置100に具備された構成要素のうち、本発明に係わる構成要素のみを示した。
【0023】
キー101は、図1に示したキー101と同じものである。
【0024】
キー入力検知部102は、キー101が押下されたことを検知する。また、キー入力検知部102は、キー101が押下されたことを検知した場合、どのキーが押下されたかを示す情報をキー情報入力部103へ通知する。
【0025】
キー情報入力部103は、キー入力検知部102から通知された、押下を検知したキーに応じた情報を情報処理装置100内に入力する。つまり、キー入力検知部102から通知されたキーに応じた情報(例えば、「A」のキーが押下されたことが通知された場合、「A」という情報)を処理部107へ出力する。
【0026】
接触入力部104は、図1に示した接触入力部104と同じものである。接触入力部104は、検知した接触に応じた情報を接触無効部106へ出力する。
【0027】
間隔学習部105は、キー入力検知部102がキー101の押下を検知してから次の押下を検知するまでの時間間隔、つまり、キー入力の入力時間間隔を学習する。この時間間隔の学習方法は、サンプルデータとして収集されたキー101の押下を検知する時間間隔に基づいて行う一般的なものであれば良く、特に規定しない。例えば、キー入力検知部102がキー101の押下を最初に検知してからEnterキーの2回連続の押下を検知するまでの時間を測定時間とし、その測定時間内にキー入力検知部102がキー101の押下を検知した回数に基づいて、キー101の入力時間間隔の平均値を算出し、算出した平均値を学習した時間間隔(後述する学習時間)とするものであっても良い。また、算出した平均値に所定の数値を乗じた値を学習時間とするものであっても良い。また、間隔学習部105は、時間を測定するためのタイマや、上述した回数をカウントするためのカウンタを具備しているものであってもかまわない。
【0028】
接触無効部106は、キー入力検知部102がキー101の押下を検知してから、間隔学習部105が学習した時間間隔に応じた学習時間が経過するまで、接触入力部104の入力を無効にする。つまり、その間は、接触入力部104から出力されてきた情報の処理部107への出力をマスクする。それ以外の時間では、接触入力部104から出力されてきた情報をそのまま処理部107へ出力する。
【0029】
また、接触無効部106には、タイマ108が設けられている。接触無効部106は、キー入力検知部102がキー101の押下を検知した際にタイマ108を起動する。タイマ108は、起動してから学習時間が経過した際、タイムアウトする。接触無効部106は、タイマ108が起動してからタイムアウトするまで、接触入力部104の入力を無効にする。なお、タイマ108は、所定の周期でカウントアップするアップカウンタや、所定の周期でカウントダウンするダウンカウンタであっても良い。例えば、タイマ108がアップカウンタである場合、当該カウンタが起動し、カウント値が学習時間に応じた値となった際にタイムアウトとするものであっても良い。また、タイマ108がダウンカウンタである場合、当該カウンタが起動する際に、学習時間に応じた値が設定され、カウント値が「0」となった際にタイムアウトとするものであっても良い。
【0030】
処理部107は、キー情報入力部103から出力されてきた情報、および接触入力部104から接触無効部106を介して出力されてきた情報に基づいて、所定の処理を行う。
【0031】
以下に、本形態における情報入力方法について説明する。まずは、情報入力方法のうち、図2に示した間隔学習部105における学習方法について説明する。
【0032】
図3は、本形態における情報入力方法のうち、図2に示した間隔学習部105における学習方法を説明するためのフローチャートである。
【0033】
キー入力検知部102にて、キー101の入力が検知されると(ステップS1)、間隔学習部105にて時間の測定が開始される(ステップS2)。また、ステップS2の処理と同時に、キー入力検知部102におけるキー101の入力を検知した回数(キー101の入力数)のカウントが開始される(ステップS3)。
【0034】
その後、キー入力検知部102にて、Enterキーが2回連続で押下されたことが検知されると(ステップS4)、時間の測定が開始されてからそれまでの時間におけるキー入力の時間間隔の平均値が算出される(ステップS5)。
【0035】
そして、算出された平均値が学習時間として接触無効部106に設定される(ステップS6)。このとき、算出された平均値をそのまま学習時間とするのではなく、当該平均値に所定の数値を乗じた値を学習時間とするものであっても良い。また、ステップS1〜S5までの処理を所定の回数繰り返し、その結果得た値を平均して学習時間として設定するものであってもかまわない。
【0036】
以下に、本形態における情報入力方法のうち、メインとなる情報入力方法について説明する。
【0037】
図4は、本形態における情報入力方法のうち、メインとなる情報入力方法を説明するためのフローチャートである。
【0038】
キー入力検知部102にて、キー101の入力が検知されると(ステップS11)、接触無効部106によって接触入力部104からの入力が無効とされる(ステップS12)。また、ステップS12の処理と同時に、タイマ108が起動する(ステップS13)。このとき、タイマ108がダウンカウンタである場合、間隔学習部105によって設定された学習時間に応じた値がタイマ108の初期値とされ、カウントダウンが開始される。
【0039】
その後、タイマ108がタイムアウトすると(ステップS14)、接触無効部106による接触入力部104からの入力の無効化が解除され(有効にされ)(ステップS15)、接触入力部104からの入力が接触無効部106を介して処理部107へ出力される。
【0040】
ここで、タイマ108がアップカウンタである場合、タイマ108が起動してから間隔学習部105によって設定された学習時間に応じたカウント値になるまで、接触入力部104の入力が無効とされる。そして、タイマ108が間隔学習部105によって設定された学習時間に応じたカウント値になった際、タイマ108はタイムアウトする。
【0041】
また、タイマ108がダウンカウンタである場合、タイマ108が起動してからカウント値が「0」になるまで、接触入力部104の入力が無効とされる。そして、タイマ108が「0」になった際、タイマ108はタイムアウトする。
【0042】
なお、タイマ108がタイムアウトする前に、キー入力検知部102にて、さらにキー101の入力が検知されると、タイマ108はリセットされ(初期値に戻り)、再起動することになる。
【0043】
また、上述した学習時間は、情報処理装置100の外部から設定することも可能である。
【0044】
このように、学習方法で得た値を接触入力部104の入力を無効としておく時間として設定することで、利用者に最適な設定を可能とする。また、利用者に最適な時間で、キー入力中の誤作動を防ぐことができる。また、その際、接触入力部104の使用時の感度を下げる必要がないため、反応が悪くなるといったことも無い。
【0045】
上述した情報処理装置100の処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、それぞれの処理内容を手順として記述したプログラムを情報処理装置100にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを情報処理装置100に読み込ませ、実行するものであっても良い。情報処理装置100にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、情報処理装置100に内蔵されたROM、RAM等のメモリやHDD等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、情報処理装置100内のCPU(不図示)にて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0046】
100 情報処理装置
101 キー
102 キー入力検知部
103 キー情報入力部
104 接触入力部
105 間隔学習部
106 接触無効部
107 処理部
108 タイマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された情報を処理する情報処理装置であって、
当該情報処理装置の外部から押下可能な複数のキーと、
前記キーが押下されたことを検知するキー入力検知部と、
前記キー入力検知部が前記押下を検知したキーに応じた情報を入力するキー情報入力部と、
当該情報処理装置の外部からの接触を検知し、該検知した接触に応じた情報を入力する接触入力部と、
前記キー入力検知部が前記押下を検知してから次の押下を検知するまでの時間間隔を学習する間隔学習部と、
前記キー入力検知部が前記押下を検知してから、前記間隔学習部が学習した時間間隔に応じた学習時間が経過するまで、前記接触入力部の入力を無効にする接触無効部とを有する情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記間隔学習部は、前記キー入力検知部が前記押下を検知してからEnterキーの2回連続の押下を検知するまでの時間である測定時間と、該測定時間内に前記キー入力検知部が前記押下を検知した回数とに基づいて、平均値を算出し、該平均値を前記時間間隔として学習することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記接触無効部は、前記キー入力検知部が前記押下を検知した際に起動し、該起動してから前記学習時間が経過した際、タイムアウトするタイマを有し、該タイマが起動してから前記タイムアウトするまで、前記接触入力部の入力を無効にすることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記接触入力部は、タッチパッドであることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置の外部から押下可能な複数のキーが押下されたことを検知する処理と、
前記押下を検知したキーに応じた情報を入力する処理と、
前記情報処理装置の外部からの接触を検知する処理と、
前記検知した接触に応じた情報を入力する処理と、
前記押下を検知してから次の押下を検知するまでの時間間隔を学習する処理と、
前記押下を検知してから、前記学習した時間間隔に応じた学習時間が経過するまで、前記接触に応じた入力を無効にする処理とを有する情報入力方法。
【請求項6】
外部から入力された情報を処理する情報処理装置に、
当該情報処理装置の外部から押下可能な複数のキーが押下されたことを検知する手順と、
前記押下を検知したキーに応じた情報を入力する手順と、
当該情報処理装置の外部からの接触を検知する手順と、
前記検知した接触に応じた情報を入力する手順と、
前記押下を検知してから次の押下を検知するまでの時間間隔を学習する手順と、
前記押下を検知してから、前記学習した時間間隔に応じた学習時間が経過するまで、前記接触に応じた入力を無効にする手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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