説明

情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム

【課題】コントラストが低い画像および自己相関が高い画像が対象であっても、高速かつ高精度の対応点の探索が実現され得る技術を提供する。
【解決手段】画像取得部によって第1画像および第2画像が取得され、第1設定部によって第1画像に基準点が設定され、第2設定部によって第2画像に探索基準点が設定される。次に、検出部によって、第1画像において基準点を基準として設けられる基準領域と、第2画像において探索基準点を基準として設けられる参照領域とに係る相関演算の結果に基づき、第2画像において基準点に対応する対応点が検出される。そして、判定部によって、第2画像における探索基準点と対応点との位置関係に基づいて、対応点の信頼度が判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの撮像装置によって同一の被写体を異なる視点から撮像することで得られた基準画像と参照画像との間において対応点を探索する技術が知られている。この技術では、例えば、SAD(Sum of Absolute Difference)演算法およびPOC(Phase-Only Correlation)演算法などといった相関演算によって得られる相関度に基づき、基準画像の基準点と同一の対象物が捉えられている対応点が参照画像において探索される。
【0003】
また、例えば、基準画像と参照画像とについて、解像度の異なる複数の画像がそれぞれ生成されて解像度別に階層化され、低解像度の上位層から高解像度の下位層に向かって相関演算を用いた対応点の探索が順次に繰り返される処理が知られている。この処理では、低解像度の上位層で得られた対応点に基づいて次の階層における探索の基準となる点が決定されるため、最高解像度の最下層までの演算処理に要する時間が短縮され得る。
【0004】
そして、対応点の探索精度の向上を図るための種々の技術が提案されている。
【0005】
例えば、低解像度の上位層における対応点の探索結果を基に算出された対応点の探索精度を示す信頼度が所定値よりも低い場合には、参照画像上の別の点に変更された対応点を基に、高解像度の下位層の参照画像における初期探索点が決定される技術が提案されている(例えば、特許文献1など)。この技術では、信頼度として、相関演算で得られる相関値、基準画像における基準ウインドウ内の画像のコントラスト値、バックマッチング法で求まる探索の成功と失敗に応じた2値、または基準画像の注目点に応じたエピポーララインを基に参照画像に設定されるエピポーララインと対応点との距離が採用され得る。
【0006】
また、サブピクセルの分解能で探索された注目階層の対応点に基づいて、相対的に高解像度の1つ下位の階層の参照画像に探索の基準となる点(探索基準点とも言う)が設定される技術が提案されている(例えば、特許文献2など)。さらに、低解像度の画像から算出された視差値についてその信頼度を求め、この信頼度に基づいて、高解像度の画像における視差を算出するための対応点探索のウインドウサイズを設定する技術が提案されている(例えば、特許文献3など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−282762号公報
【特許文献2】特開2011−013066号公報
【特許文献3】特開2009−092551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1〜3の技術では、コントラストが低い画像および類似のパターンが繰り返される様な自己相関が高い画像について対応点を探索する場合には、誤った位置であっても相関値が高く算出され易く、対応点の探索精度が確保され難い。特に、相関演算が行われる際に、窓関数などが用いられて探索基準点の近傍に係る画素値に重み付けが行われる場合には、誤った位置であっても探索基準点が対応点として検出され易い。また、相関値以外の値を信頼度として算出する態様では、演算量の増大を招き、対応点の探索速度の低下を招く。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コントラストが低い画像および自己相関が高い画像が対象であっても、高速かつ高精度の対応点の探索が実現され得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、第1の態様に係る情報処理装置は、第1画像および第2画像を取得する画像取得部と、前記第1画像に基準点を設定する第1設定部と、前記第2画像に探索基準点を設定する第2設定部と、前記第1画像において前記基準点を基準として設けられる基準領域と、前記第2画像において前記探索基準点を基準として設けられる参照領域とに係る相関演算の結果に基づき、前記第2画像において前記基準点に対応する対応点を検出する検出部と、前記第2画像における前記探索基準点と前記対応点との位置関係に基づいて、前記対応点の信頼度を判定する判定部と、を備える。
【0011】
第2の態様に係る情報処理装置は、第1の態様に係る情報処理装置であって、前記第2画像において前記対応点が存在すると推定される推定領域を決定する決定部、をさらに備え、前記第2設定部が、前記第2画像において前記推定領域の外に前記探索基準点を設定する。
【0012】
第3の態様に係る情報処理装置は、第1画像および第2画像を取得する画像取得部と、前記第1画像に基準点を設定する第1設定部と、前記第2画像に探索基準点を設定する第2設定部と、前記第1画像において前記基準点を基準として設けられる基準領域と、前記第2画像において前記探索基準点を基準として設けられる参照領域とに係る相関演算の結果に基づき、前記第2画像において前記基準点に対応する対応点を検出する検出部と、前記第2画像において前記対応点が存在すると推定される推定領域を決定する決定部と、前記第2画像における前記推定領域と前記対応点との位置関係に基づいて、前記信頼度を判定する判定部と、を備える。
【0013】
第4の態様に係る情報処理装置は、第3の態様に係る情報処理装置であって、前記第2設定部が、前記第2画像において前記推定領域の外に前記探索基準点を設定する。
【0014】
第5の態様に係る情報処理装置は、第2から第4の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記判定部が、前記第2画像における前記推定領域から前記探索基準点に向かう第1方向と前記探索基準点から前記対応点に向かう第2方向との関係に基づいて、前記信頼度を判定する。
【0015】
第6の態様に係る情報処理装置は、第2から第5の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記第2画像における前記対応点の候補点の位置情報を取得する情報取得部、をさらに備える。
【0016】
第7の態様に係る情報処理装置は、第6の態様に係る情報処理装置であって、前記決定部は、前記第2画像において前記候補点を基準として前記推定領域を設定する。
【0017】
第8の態様に係る情報処理装置は、第6または第7の態様に係る情報処理装置であって、前記第2設定部が、前記参照領域に前記候補点が含まれるように前記探索基準点を設定する。
【0018】
第9の態様に係る情報処理装置は、第6から第8の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記第2設定部が、前記第2画像において、前記候補点を通る仮想的なエピポーラ線に対して垂直な方向に前記候補点からずれている位置に前記探索基準点を設定し、前記仮想的なエピポーラ線の延伸方向が、前記第1画像を撮像する第1撮像部と前記第2画像を撮像する第2撮像部との配置関係に対応する方向である。
【0019】
第10の態様に係る情報処理装置は、第6から第8の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記第2設定部が、前記第1画像における前記基準点を含む2次元領域、および前記第2画像における前記候補点を含む2次元領域のうちの少なくとも一方の領域についての周波数成分への分解によって得られる空間周波数の振幅の2次元分布において、予め設定される閾値以上の振幅の周波数成分が存在する頻度が最も高い一方向を認識し、前記第2画像において前記一方向に対応する方向に前記候補点からずれている位置に前記探索基準点を設定する。
【0020】
第11の態様に係る情報処理装置は、第6から第8の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記第2設定部が、前記第1画像における前記基準点を含む2次元領域、および前記第2画像における前記候補点を含む2次元領域のうちの少なくとも一方の領域についての周波数成分への分解によって得られる空間周波数の振幅の2次元分布において、振幅の平坦度が予め設定される平坦度よりも高い場合に、前記第2画像において前記推定領域の外に前記探索基準点を設定する。
【0021】
第12の態様に係る情報処理装置は、第10の態様に係る情報処理装置であって、前記第2設定部が、前記空間周波数の振幅の2次元分布において、振幅の平坦度が予め設定される平坦度よりも高い場合に、前記第2画像において前記推定領域の外に前記探索基準点を設定する。
【0022】
第13の態様に係る情報処理装置は、第2から第12の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記検出部が、前記第2設定部によって前記第2画像における前記推定領域の外に前記探索基準点が設定される場合に前記検出部によって検出される前記対応点と、前記第2設定部によって前記第2画像における前記推定領域の中に前記探索基準点が設定される場合に前記検出部によって検出される前記対応点との位置関係に基づいて、前記信頼度を判定する。
【0023】
第14の態様に係る情報処理装置は、第1の態様に係る情報処理装置であって、前記第2画像における前記対応点の候補点の位置情報を取得する情報取得部、をさらに備え、前記検出部が、前記基準領域に対して第1の重み付け処理を行って重み付け後基準領域画像を得るとともに、前記参照領域に対して前記第1の重み付け処理よりも重み付け係数の2次元分布が前記候補点に応じた方向に偏っている第2の重み付け処理を行うことで重み付け後参照領域画像を得て、前記重み付け後基準領域画像と前記重み付け後参照領域画像とに係る相関演算の結果に基づき、前記第2画像において前記対応点を検出する。
【0024】
第15の態様に係る情報処理装置は、第14の態様に係る情報処理装置であって、前記第2画像において前記対応点が存在すると推定される推定領域を決定する決定部、をさらに備え、前記判定部が、前記第2画像における前記推定領域と前記対応点との位置関係に基づいて、前記信頼度を判定する。
【0025】
第16の態様に係る情報処理装置は、第6から第15の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記検出部が、前記第1画像の解像度が低減されて得られる第1低解像度画像と前記第2画像の解像度が低減されて得られる第2低解像度画像との間で、前記第1低解像度画像において前記基準点と同一の対象物が捉えられている低解像度基準点を基準として設けられる低解像度基準領域と、前記第2低解像度画像において設けられる低解像度参照領域とに係る相関演算の結果に基づいて、前記第2低解像度画像において前記低解像度基準点に対応する低解像度対応点を探索する低解像度探索処理を行い、前記情報取得部が、前記第2画像における前記低解像度対応点に対応する点の位置を示す情報を前記位置情報として取得する。
【0026】
第17の態様に係る情報処理装置は、第16の態様に係る情報処理装置であって、前記決定部が、前記低解像度探索処理における前記低解像度対応点に係る分解能と、前記候補点とに基づいて前記推定領域を決定する。
【0027】
第18の態様に係る情報処理装置は、第16の態様に係る情報処理装置であって、前記決定部が、前記第2画像において、前記低解像度探索処理における相関演算によって算出される相関値が予め決められている条件を満たす画像領域を前記推定領域として決定する。
【0028】
第19の態様に係る情報処理装置は、第6から第18の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記情報取得部が、前記第1画像を撮像する第1撮像部と前記第2画像を撮像する第2撮像部との配置関係と、距離測定部によって得られる前記第1および第2撮像部から前記第1および第2画像で捉えられている対象物までの離隔距離とに基づいて、前記位置情報を取得する。
【0029】
第20の態様に係る情報処理装置は、第1から第19の何れか1つの態様に係る情報処理装置であって、前記判定部による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記検出部によって検出される前記対応点に係る対応点情報を変更する情報変更部、をさらに備える。
【0030】
第21の態様に係る情報処理装置は、第20の態様に係る情報処理装置であって、前記情報変更部が、前記判定結果に基づく前記対応点情報の削除、前記判定結果に基づく重み付け係数の前記対応点情報に対する付加、および前記判定結果に基づく精度情報の前記対応点情報に対する付加、のうちの少なくとも1つの処理を行う。
【0031】
第22の態様に係る情報処理方法は、(a)画像取得部によって、第1画像を取得するステップと、(b)前記画像取得部によって、第2画像を取得するステップと、(c)第1設定部によって、前記第1画像に基準点を設定するステップと、(d)第2設定部によって、前記第2画像に探索基準点を設定するステップと、(e)検出部によって、前記第1画像において前記基準点を基準として設けられる基準領域と、前記第2画像において前記探索基準点を基準として設けられる参照領域とに係る相関演算の結果に基づき、前記第2画像において前記基準点に対応する対応点を検出するステップと、(f)判定部によって、前記第2画像における前記探索基準点と前記対応点との位置関係に基づいて、前記対応点の信頼度を判定するステップと、を備える。
【0032】
第23の態様に係るプログラムは、情報処理装置に含まれる制御部において実行されることにより、前記情報処理装置を、第1から第21の何れか1つの態様に係る情報処理装置として機能させる。
【発明の効果】
【0033】
第1、第2および第5から第21の何れの態様に係る情報処理装置であっても、例えば、探索基準点と検出された対応点とが同一であれば該対応点の信頼度が低いものと判定され、同一でなければ該対応点の信頼度が高いものと判定され得るなどといった判定手法が実現され得る。したがって、コントラストが低い画像および自己相関が高い画像が対象であっても、高速かつ高精度の対応点の探索が実現され得る。
【0034】
第3および第15の何れの態様に係る情報処理装置によっても、例えば、検出された対応点が推定領域内であれば該対応点の信頼度が高いものと判定され得る。このため、簡易に対応点の信頼度が判定され得る。
【0035】
第2および第4の何れの態様に係る情報処理装置によっても、意図的に推定領域の外に設定された探索基準点と検出された対応点との位置関係に基づいて対応点の信頼度が簡易かつ適確に判定され得る。
【0036】
第5の態様に係る情報処理装置によれば、例えば、対応点が探索基準点を基準として推定領域とは逆側に検出されれば該対応点の信頼度が低いものと判定され得るなどといった判定手法が実現され得る。このため、対応点の信頼度が簡易に判定され得る。
【0037】
第8の態様に係る情報処理装置によれば、推定領域からの探索基準点のずらし過ぎによって対応点の検出精度が低下する不具合が低減され得る。すなわち、対応点の検出精度が確保され得る。
【0038】
第9の態様に係る情報処理装置によれば、候補点から対応点が存在しないと推定される方向にずらされた位置に探索基準点が設けられることで、例えば、探索基準点よりも候補点側に対応点が検出された場合における対応点の確からしさが向上し得る。このため、対応点の信頼度が簡易かつ適切に判定され得る。
【0039】
第10の態様に係る情報処理装置によれば、対応点の候補点から画像の特徴に差が生じ易い方向に探索基準点がずらされることで、相関演算に用いられる情報量が確保され得る。これにより、対応点の検出精度が向上し得る。
【0040】
第11および第12の何れの態様に係る情報処理装置によっても、例えば、コントラストが低い画像についてのみ、推定領域の外に探索基準点が設定され得る。このため、不必要に対応点の検出精度が低下する不具合が生じ難くなる。
【0041】
第13の態様に係る情報処理装置によれば、例えば、推定領域の外に探索基準点がずらされている場合とずらされていない場合とで、検出される対応点の位置に差があるか否かなどによって、対応点の信頼度が判定され得る。したがって、対応点の信頼度が簡易に判定され得る。
【0042】
第14の態様に係る情報処理装置によれば、基準点が基準とされた画像領域と探索基準点が基準とされた画像領域とが同一の対象物を捉えた領域を多く含む確率が高まり得る。このため、相関演算の対象となる画像における特徴などに係る情報の欠落が抑制され、対応点の検出精度が確保され得る。
【0043】
第16の態様に係る情報処理装置によれば、低解像度の画像間についての対応点の検出結果が利用されて対応点の候補点の情報が得られるため、演算量の増大が抑制され得る。
【0044】
第17の態様に係る情報処理装置によれば、低解像度の画像間についての対応点の検出処理における対応点に係る分解能を用いることにより、適切な推定領域が容易に設定され得る。
【0045】
第18の態様に係る情報処理装置によれば、低解像度の画像間についての対応点の検出精度を考慮することにより、適切な推定領域が容易に設定され得る。
【0046】
第19の態様に係る情報処理装置によれば、例えば、自動合焦機能が搭載されたカメラのような別の部分で得られる情報が有効利用され得る。これにより、演算量の増大を極力避けつつ、簡易に対応点の信頼度が判定され得る。
【0047】
第20および第21の何れの態様に係る情報処理装置によっても、簡易に得られた対応点の信頼度に関する判定結果が有効利用され得る。
【0048】
第22の態様に係る情報処理方法によれば、第1の態様に係る情報処理装置と同様な効果が得られる。
【0049】
第23の態様に係るプログラムによれば、第1から第21の態様に係る情報処理装置と同様な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】一実施形態に係る情報処理システムの概略構成を例示する図である。
【図2】一実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】第1および第2画像に係る2段階の解像度の画像群を例示する図である。
【図4】第1階層の基準点の設定態様を例示する図である。
【図5】第2階層の基準点の設定態様を例示する図である。
【図6】第2階層の候補点を例示する図である。
【図7】第1階層の候補点を例示する図である。
【図8】推定領域の決定方法を説明するための模式図である。
【図9】第2階層の探索基準点の設定態様を例示する図である。
【図10】第1階層の探索基準点の設定態様を例示する図である。
【図11】第1階層の探索基準点の候補点からのズレ方向を説明するための図である。
【図12】第1階層の探索基準点の候補点からのズレ方向を説明するための図である。
【図13】第1階層の探索基準点の候補点からのズレ方向を説明するための図である。
【図14】探索基準点を候補点からずらすか否かの判定方法を説明するための図である。
【図15】第2階層の基準領域の設定態様を例示する図である。
【図16】第1階層の基準領域の設定態様を例示する図である。
【図17】第2階層の参照領域の設定態様を例示する図である。
【図18】第1階層の参照領域の設定態様を例示する図である。
【図19】POC演算法を用いた探索処理の流れを示す図である。
【図20】POC値の分布を例示する図である。
【図21】POC値の分布と探索基準点と対応点との関係を例示する図である。
【図22】POC値の分布と探索基準点と対応点との関係を例示する図である。
【図23】POC値の分布と探索基準点と対応点との関係を例示する図である。
【図24】三角測量の原理を用いた測距方法を説明するための図である。
【図25】情報処理装置における動作フローを例示するフローチャートである。
【図26】一変形例に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図27】一変形例に係る推定領域の決定方法を説明するための模式図である。
【図28】一変形例に係る推定領域の決定方法を説明するための模式図である。
【図29】一変形例に係る推定領域の決定方法を説明するための模式図である。
【図30】一変形例に係るPOC演算法を用いた探索処理の流れを示す図である。
【図31】一変形例に係る窓関数を例示する図である。
【図32】一変形例に係る窓関数を例示する図である。
【図33】一変形例に係る第1階層の探索基準点の設定態様を例示する図である。
【図34】一変形例に係るPOC値の分布と探索基準点と対応点との関係を例示する図である。
【図35】一変形例に係るPOC値の分布と探索基準点と対応点との関係を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係などは正確に図示されたものではない。
【0052】
<(1)情報処理システムの概略構成>
図1は、一実施形態に係る情報処理システム100の概略構成を示す図である。情報処理システム100は、第1カメラ1と第2カメラ2と情報処理装置3とを備えている。第1カメラ1は通信回線L1を介して情報処理装置3に対してデータ伝送可能に接続され、第2カメラ2は通信回線L2を介して情報処理装置3に対してデータ伝送可能に接続されている。通信回線L1,L2は、有線回線および無線回線の何れであっても良い。
【0053】
第1および第2カメラ1,2は、被写体を撮像することで画像をそれぞれ取得する撮像装置である。これらの第1および第2カメラ1,2は、一方向に並んで配置されている。一方向は、例えば、水平方向であれば良い。一方向が水平方向である場合、第1カメラ1の撮像レンズの光軸と第2カメラ2の撮像レンズの光軸とが水平方向に離隔している。そして、第1カメラ1の撮像レンズの光軸と第2カメラ2の撮像レンズの光軸とが離隔している距離が、第1および第2カメラ1,2に係る基線長である。なお、ここでは、撮像の被写体の方向を向いた場合、第1カメラ1が第2カメラ2の左方に配置されている。
【0054】
また、第1および第2カメラ1,2は、例えば、撮像素子によって、カメラの正面に位置する被写体を、同じタイミングで相互に異なる視点から撮像することで、いわゆるステレオ画像を取得する。つまり、ステレオ画像は、第1カメラ1の撮像によって取得される画像(第1画像とも言う)と、第2カメラ2の撮像によって取得される画像(第2画像とも言う)とを含む。第1画像に係るデータM1と第2画像に係るデータM2は、第1および第2カメラ1,2から通信回線L1,L2を介して情報処理装置3に送信され得る。
【0055】
情報処理装置3は、例えば、パーソナルコンピュータ(パソコン)であれば良く、操作部31、表示部32、インターフェース(I/F)部33、記憶部34、入出力(I/O)部35、および制御部36を備えている。
【0056】
操作部31は、例えば、マウスおよびキーボードを含む。表示部32は、例えば、液晶ディスプレイを含む。I/F部33は、例えば、第1および第2カメラ1,2と情報処理装置3との間におけるデータの授受を行う。記憶部34は、例えば、ハードディスクなどを含み、プログラムPGおよび各種データを格納する。I/O部35は、例えば、ディスクドライブを備え、光ディスクなどの記憶媒体4を受け付けて該記憶媒体4と制御部36との間におけるデータの授受を行う。制御部36は、例えば、プロセッサーとして働くCPU36a、および情報を一時的に記憶するメモリー36bなどを含む。この制御部36は、記憶部34に格納されているプログラムPGを読み込んで実行することで、情報処理装置3の各種機能および情報処理などを実現する。そして、制御部36における各種情報処理によって一時的に得られる各種情報は、メモリー36bなどに記憶される。
【0057】
なお、本実施形態では、説明を簡素化するために、第1および第2カメラ1,2における収差が良好に補正されており、且つ第1および第2カメラ1,2は、略平行に設定されている。つまり、第1および第2カメラ1,2の光軸が略平行に設定され、第1および第2画像で捉えられた被写体は、第1および第2画像の外縁に対して略同一の角度関係を有する。但し、実際の第1および第2カメラ1,2が、このような条件にない場合は、画像処理によって同等の条件で撮像されたものと同視されるステレオ画像が得られれば良い。
【0058】
<(2)情報処理装置における主要な構成>
図2は、本実施形態に係る情報処理装置3の主要部の構成を示すブロック図である。図2では、対応点の探索処理および該処理による探索結果を用いた演算処理に係る構成が示されている。ここで、対応点の探索処理は、第1および第2カメラ1,2で得られる第1画像と第2画像との間で同一の対象物を捉えた画素の対応関係を探索する処理である。なお、対応点の探索処理では、第1画像が基準となる画像(基準画像とも言う)Ga1として用いられ、第2画像が参照される画像(参照画像とも言う)Ga2として用いられる。
【0059】
制御部36は、プログラムPGの実行によって実現される構成として、画像取得部361、画像生成部362、対応点探索部363、情報変更部364、距離算出部365、3次元位置検出部366、および情報出力部367を備えている。
【0060】
画像取得部361は、第1カメラ1から第1画像に係るデータM1を取得し、第2カメラ2から第2画像に係るデータM2を取得する。第1画像と第2画像については、解像度が同一であることが好ましい。ここで、解像度は、画像において描かれている対象物がどこまで詳しく描写されているかを意味する。そして、ここでは、解像度が同一とは、画像における横方向の画素数が同一であり、縦方向の画素数が同一であることを意味する。
【0061】
画像生成部362は、予め設定されている変換倍率にしたがって、基準画像Ga1としての第1画像の解像度を低減して第1低解像度画像としての第1変換後基準画像Gb1を生成する。また、画像生成部362は、予め設定されている変換倍率にしたがって、参照画像Ga2としての第2画像の解像度を低減して第2低解像度画像としての第1変換後参照画像Gb2を生成する。例えば、基準画像Ga1の解像度が第1の変換倍率で低減されることで第1変換後基準画像Gb1が生成され、参照画像Ga2の解像度が第2の変換倍率で低減されることで第1変換後参照画像Gb2が生成され得る。
【0062】
ここで、解像度を低減することは、例えば、画像の横方向および縦方向の画素数を低減して、同一の対象物を含む粗い画質の画像に変換することを意味する。また、第1,2の変換倍率は、変換後の画像の横方向における画素数を変換前の画像の横方向における画素数で除した数値、および変換後の画像の縦方向における画素数を変換前の画像の縦方向における画素数で除した数値を示す。例えば、これらの変換倍率は、1/n(nは1よりも大きな任意の数)で表される。1/nは、例えば、1/2などであれば良い。なお、これらの変換倍率は、画像の横方向と縦方向との間で同一であっても異なっていても良い。但し、第1の変換倍率と第2の変換倍率とが同一であることが好ましい。
【0063】
第1および第2の変換倍率が1/2である場合、例えば、基準画像Ga1および参照画像Ga2には、X方向に640個およびY方向に480個の画素が格子状に配列され得る。そして、第1変換後基準画像Gb1および第1変換後参照画像Gb2には、X方向に320個およびY方向に240個の画素が格子状に配列され得る。この場合、第1変換後基準画像Gb1および第1変換後参照画像Gb2における座標(x,y)の画素の画素値は、例えば、基準画像Ga1および参照画像Ga2における座標(2x,2y),(2x+1,2y),(2x,2y+1),(2x+1,2y+1)の4画素の画素値の平均値とされ得る。なお、x,yは、任意の自然数であれば良い。
【0064】
これにより、図3で示されるように、基準画像Ga1について、基準画像Ga1と第1変換後基準画像Gb1とを含む2段階の解像度の画像群GR1が生成される。また、参照画像Ga2について、参照画像Ga2と第1変換後参照画像Gb2とを含む2段階の解像度の画像群GR2が生成される。別の観点から言えば、基準画像Ga1と参照画像Ga2とを含む第1階層の画像群1Hyから、第1変換後基準画像Gb1と第1変換後参照画像Gb2とを含む第2階層の画像群2Hyが生成される。
【0065】
なお、基準画像Ga1、参照画像Ga2、第1変換後基準画像Gb1および第1変換後参照画像Gb2では、左上の画素が原点とされ、右方がX方向とされ、下方がY方向とされる。つまり、基準画像Ga1、参照画像Ga2、第1変換後基準画像Gb1および第1変換後参照画像Gb2における各画素は、XおよびYの座標によって表現され得る。
【0066】
対応点探索部363は、基準画像Ga1の各画素について同一の対象物を捉えた画素(対応点とも言う)を参照画像Ga2において探索するとともに、探索結果としての対応点がどの程度精度良く求められたのかを示す指標としての信頼度を求める。この対応点探索部363は、階層指定部363a、第1設定部としての基準点設定部363b、情報取得部としての候補点情報取得部363c、決定部としての推定領域決定部363d、第2設定部としての探索基準点設定部363e、基準領域設定部363f、参照領域設定部363g、検出部としての演算検出部363hおよび判定部としての信頼度判定部363iを備えている。
【0067】
階層指定部363aは、第1および第2階層の画像群1Hy,2Hyのうち、対応点の探索処理の対象となる階層の画像群を指定する。
【0068】
基準点設定部363bは、図4および図5で示されるように、基準画像Ga1に探索の基準となる画素(第1階層の基準点とも言う)BPa1を設定し、第1変換後基準画像Gb1に探索の基準となる画素(第2階層の基準点とも言う)BPb1を設定する。具体的には、基準画像Ga1において第1階層の基準点BPa1が設定され、第1変換後基準画像Gb1において第1階層の基準点BPa1と同一の対象物が捉えられている画素が第2階層の基準点BPb1として設定される。
【0069】
候補点情報取得部363cは、図6で示されるように、第1変換後参照画像Gb2のうち、第2階層の基準点BPb1と同一の対象物が捉えられている画素(第2階層の対応点)の候補(第2階層の候補点とも言う)EPb2の位置を示す位置情報を取得する。
【0070】
例えば、第2階層の候補点EPb2は、第1変換後基準画像Gb1における第2階層の基準点BPb1と予め設定されている位置関係を有する。この位置関係は、例えば、第1変換後基準画像Gb1における第2階層の基準点BPb1の位置と、第1変換後参照画像Gb2における第2階層の候補点EPb2の位置とが同一である関係などであれば良い。また、この位置関係は、例えば、第2カメラ2から第1カメラ1に至る基線長の延伸方向に対応する画像上の一方向において、予め設定された数の画素ずれた関係であっても良い。この一方向は、例えば、−X方向であれば良い。
【0071】
また、候補点情報取得部363cは、図7で示されるように、参照画像Ga2のうち、第1階層の基準点BPa1と同一の対象物が捉えられている画素(第1階層の対応点)の候補(第1階層の候補点とも言う)EPa2の位置を示す位置情報を取得する。例えば、第1階層の候補点EPa2は、第2階層の画像群2Hyが対象とされた対応点の探索処理によって第2階層の基準点(低解像度基準点とも言う)BPb1と同一の対象物が捉えられている画素として検出される第2階層の対応点(低解像度対応点とも言う)に対応する画素であれば良い。このように、相対的に低解像度の画像間についての対応点の探索処理(低解像度探索処理とも言う)における対応点の検出結果が利用されて第1階層の候補点の情報が得られれば、演算量の増大が抑制され得る。
【0072】
推定領域決定部363dは、参照画像Ga2において第1階層の候補点EPa2を基準として第1階層の対応点が存在するものと推定される領域(推定領域とも言う)を決定する。例えば、推定領域は、第2階層の対応点の探索処理において検出される低解像度対応点に係る分解能と、第1階層の候補点EPa2とに基づいて決定される。
【0073】
図8には、推定領域の決定方法が模式的に示されている。ここでは、画像生成部362における第1および第2の変換倍率が1/2である一例を挙げて説明する。
【0074】
例えば、基準画像Ga1における第1階層の基準点BPa1の座標を(Xa1+2,Ya1+2)とし、第1変換後基準画像Gb1における第2階層の基準点BPb1の座標を(xb1+1,yb1+1)とする。なお、Xa1,Ya1,xb1,yb1は、任意の自然数であれば良い。この場合、第2階層の基準点BPb1の画素値は、基準画像Ga1における座標(Xa1+2,Ya1+2),(Xa1+3,Ya1+2),(Xa1+2,Ya1+3),(Xa1+3,Ya1+3)の4画素の画素値の平均値となり得る。
【0075】
ここで、第2階層の基準点BPb1に対応する第2階層の対応点CPb2の座標を(xb2+1,yb2+1)とする。この場合、第2階層の対応点CPb2の画素値は、参照画像Ga2における座標(Xa2+2,Ya2+2),(Xa2+3,Ya2+2),(Xa2+2,Ya2+3),(Xa2+3,Ya2+3)の4画素の画素値の平均値となり得る。このため、第1階層の候補点EPa2は、座標(Xa2+2,Ya2+2),(Xa2+3,Ya2+2),(Xa2+2,Ya2+3),(Xa2+3,Ya2+3)の4画素のうちの何れか1つの画素であれば良い。つまり、第1変換後参照画像Gb2における分解能は、参照画像Ga2における分解能の1/2となっている。なお、xb2,yb2,Xa2,Ya2は、任意の自然数であれば良い。ここでは、第1階層の候補点EPa2が、座標(Xa2+2,Ya2+2)の画素である例を挙げて説明する。
【0076】
このような場合、第1変換後参照画像Gb2と参照画像Ga2との間における分解能の比率に基づいて、参照画像Ga2においては、第1階層の対応点は、第1階層の候補点EPa2を基準とする或る範囲内の領域(推定領域)に存在しているものと推定される。例えば、推定領域は、第1階層の候補点EPa2を中心とする半径が2画素の推定領域EA2として決定され得る。この2画素は、例えば、参照画像Ga2における一方向の分解能を第1変換後参照画像Gb2における該一方向の分解能で除した値である2から求まり得る。これにより、推定領域EA2が容易に設定され得る。
【0077】
探索基準点設定部363eは、低解像度探索処理における第2階層の対応点CPb2を探索する際の基準点(第2階層の探索基準点とも言う)を第1変換後参照画像Gb2に設定する。例えば、図9で示されるように、第2階層の探索基準点SPb2は、第2階層の候補点EPb2と同位置に設定され得る。
【0078】
また、探索基準点設定部363eは、基準画像Ga1と参照画像Ga2とを対象とする対応点の探索処理における第1階層の対応点を探索する際の基準点(第1階層の探索基準点とも言う)を参照画像Ga2に設定する。例えば、図8で示されるように、第1階層の探索基準点SPa2は、参照画像Ga2のうちの推定領域EA2の外に設定され得る。但し、探索基準点SPa2が推定領域EA2から外れ過ぎると、比較する領域の画像どうしが大きく異なり過ぎるため、第1階層の対応点の検出精度が低下する不具合が生じ得る。このため、例えば、図10で示されるように、後述する第1階層の参照領域Wa2(図18)に第1階層の候補点EPa2が含まれる範囲内で第1階層の探索基準点SPa2が設定されれば良い。
【0079】
また、探索基準点設定部363eでは、参照画像Ga2のうち、第1階層の候補点EPa2を通るエピポーラ線に対して垂直な方向(ズレ方向とも言う)に、第1階層の候補点EPa2からずれている位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定されても良い。ここで、エピポーラ線の延伸方向は、基準画像Ga1を撮像する第1カメラ1と、参照画像Ga2を撮像する第2カメラ2との配置関係に対応する方向となる。つまり、エピポーラ線の延伸方向は、第1カメラ1の撮像レンズの光軸と第2カメラ2の撮像レンズの光軸とが離隔している方向に対応する。
【0080】
例えば、図11で示されるように、基準画像Ga1に第1階層の基準点BPa1が設定される場合、図12で示されるように、参照画像Ga2において、第1階層の候補点EPa2を通る一点鎖線で描かれているエピポーラ線Le2が仮想的に設定され得る。そして、参照画像Ga2において、エピポーラ線Le2に垂直な矢印Ar2で示される方向に第1階層の候補点EPa2からずれている位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定され得る。このような構成により、第1階層の候補点EPa2から第1階層の対応点が存在していないと推定される方向にずらされた位置に第1階層の探索基準点SPa2が設けられ得る。
【0081】
また、探索基準点設定部363eでは、第1階層の探索基準点SPa2が第1階層の候補点EPa2からずれているズレ方向が、基準画像Ga1または参照画像Ga2に含まれる領域(被解析領域とも言う)の周波数成分の解析結果に基づいて決定されても良い。被解析領域は、例えば、基準画像Ga1における第1階層の基準点BPa1を含む2次元領域(基準被解析領域とも言う)および参照画像Ga2における第1階層の候補点EPa2を含む2次元領域(参照被解析領域とも言う)のうちの少なくとも一方の領域であれば良い。
【0082】
ここでは、被解析領域に含まれる画像について周波数成分への分解が行われることで空間周波数の振幅の2次元分布が得られる。この2次元分布では、例えば、図13で示されるように、X方向の周波数uとY方向の周波数vとを含む各空間周波数(u,v)について、横軸にuの値、縦軸にvの値が示される2次元空間に振幅の分布が示される。図13では、ハッチングなどを用いた濃淡によって振幅が4段階で示されており、振幅が大ければ大きい程、濃く描かれている。そして、この2次元分布において、予め設定されている閾値以上の振幅の周波数成分が存在する頻度が最も高い一方向が認識され、参照画像Ga2のうちの該一方向に対応する方向がズレ方向とされれば良い。図13では、太線の矢印で描かれる一方向が認識され、参照画像Ga2のうちの該一方向に対応する方向がズレ方向とされ得る。この場合、2次元分布において、参照画像Ga2において第1階層の候補点EPa2からズレ方向にずれている位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定され得る。
【0083】
このような構成により、第1階層の候補点EPa2から画像の特徴に差が生じ易い方向に探索基準点SPa2の設定位置がずらされることで、後述する相関演算に用いられる情報量が増加し得るため、第1階層の対応点の検出精度が向上し得る。
【0084】
ところで、探索基準点設定部363eでは、参照画像Ga2のうち、推定領域EA2の外に第1階層の探索基準点SPa2が常に設定されなくても良い。例えば、探索基準点設定部363eでは、上記空間周波数の振幅の2次元分布において、振幅の平坦度が予め設定されている平坦度よりも高い場合に、参照画像Ga2において推定領域EA2の外に第1階層の探索基準点SPa2が設定されても良い。振幅の平坦度は、例えば、被解析領域に係る振幅の2次元分布について、それぞれの空間周波数の振幅の総和の逆数であれば良い。図14には、空間周波数の振幅の2次元分布において、振幅の平坦度が予め設定されている平坦度よりも高い一例が示されている。これにより、例えば、コントラストが低い画像について、推定領域EA2の外に第1階層の探索基準点SPa2が設定され得る。このため、不必要に第1階層の対応点の検出精度が低下する不具合が生じ難くなる。
【0085】
基準領域設定部363fは、第1変換後基準画像Gb1において、第2階層の基準点BPb1を基準として包含する検索ウインドウ(第2階層の基準領域とも言う)Wb1を設定する。例えば、図15で示されるように、第2階層の基準領域Wb1は、第2階層の基準点BPb1が中心または重心とされて設定されれば良い。また、基準領域設定部363fは、基準画像Ga1において、第1階層の基準点BPa1を基準として包含する検索ウインドウ(第1階層の基準領域とも言う)Wa1を設定する。例えば、図16で示されるように、第1階層の基準領域Wa1は、第1階層の基準点BPa1が中心または重心とされて設定されれば良い。
【0086】
参照領域設定部363gは、第1変換後参照画像Gb2において、第2階層の探索基準点SPb2を基準として包含する検索ウインドウ(第2階層の参照領域とも言う)Wb2を設定する。例えば、図17で示されるように、第2階層の参照領域Wb2は、第2階層の探索基準点SPb2が中心または重心とされて設定されれば良い。また、参照領域設定部363gは、参照画像Ga2において、第1階層の探索基準点SPa2を基準として包含する検索ウインドウ(第1階層の参照領域とも言う)Wa2を設定する。例えば、図18で示されるように、第1階層の参照領域Wa2は、第1階層の探索基準点SPa2が中心または重心とされて設定されれば良い。
【0087】
演算検出部363hは、第2階層の基準領域Wb1と第2階層の参照領域Wb2とに係る相関演算を行い、該相関演算の結果に基づき、第1変換後参照画像Gb2において第2階層の基準点BPb1に対応する第2階層の対応点CPb2を検出する。また、演算検出部363hは、第1階層の基準領域Wa1と第1階層の参照領域Wa2とに係る相関演算を行い、該相関演算の結果に基づき、参照画像Ga2において第1階層の基準点BPa1に対応する第1階層の対応点を検出する。
【0088】
つまり、演算検出部363hでは、第1変換後基準画像Gb1と第1変換後参照画像Gb2との間で第2階層の基準点BPb1に対応する第2階層の対応点CPb2が検出される演算処理(第2階層の探索処理とも言う)が行われる。また、演算検出部363hでは、基準画像Ga1と参照画像Ga2との間で第1階層の基準点BPa1に対応する第1階層の対応点が検出される演算処理(第1階層の探索処理とも言う)が行われる。
【0089】
演算検出部363hにおける相関演算としては、例えば、位相限定相関(Phase-Only Correlation:POC)演算法などが採用され得る。
【0090】
ここで、POC演算法を用いた第1および第2階層の探索処理の具体的な処理方法について説明する。なお、第1および第2階層の探索処理は、同様な処理であるため、ここでは、第1階層の探索処理を例に挙げて説明する。
【0091】
図19は、POC演算法を用いた第1階層の探索処理の流れを示す図である。
【0092】
第1階層の探索処理では、第1階層の基準領域Wa1および第1階層の参照領域Wa2は、それぞれX方向に沿って所定数N1の画素が配列され、Y方向に沿って所定数N2の画素が配列されている画像領域として取り扱われる。そして、これらの画像領域は、次の数1で表され得る。
【0093】
【数1】

【0094】
ここで、上記数1におけるf(x,y)は、第1階層の基準領域Wa1に含まれる画像(第1階層の基準領域画像とも言う)を示し、上記数1におけるg(x,y)は、第1階層の参照領域Wa2に含まれる画像(第1階層の参照領域画像とも言う)を示す。また、N1およびN2は、例えば、N1=2M1+1、N2=2M2+1と設定され得る。
【0095】
そして、まず、第1階層の基準領域画像と第1階層の参照領域画像とに対し、下記数2で示される演算式を用いた2次元のフーリエ変換処理C11,C21が行われる。
【0096】
【数2】

【0097】
上記数2の但し書におけるWの添字Nには、N1,N2が代入され、uはX方向の周波数を示し、vはY方向の周波数を示す。このため、(u,v)は、2次元の空間周波数を示す。ここでは、2次元のフーリエ変換処理C11によって、第1階層の基準領域画像が周波数成分に分解され、2次元のフーリエ変換処理C21によって、第1階層の参照領域画像が周波数成分に分解される。これにより、第1階層の基準領域画像に係る複数の周波数成分の情報を含む周波数情報(第1階層の基準周波数情報とも言う)が得られ、第1階層の参照領域画像に係る複数の周波数成分の情報を含む周波数情報(第1階層の参照周波数情報とも言う)が得られる。
【0098】
ここで、例えば、第1階層の基準領域画像と第1階層の参照領域画像が、X方向およびY方向において2のべき乗の画素数からなる矩形状の寸法を有する場合、2次元のフーリエ変換処理C11,C21に、FFTが採用され得る。FFTは、バタフライ演算を特徴とする高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)である。
【0099】
また、上記フーリエ変換処理C11,C21で得られた第1階層の基準周波数情報と第1階層の参照周波数情報とに対しては、下記数3で示される演算式が用いられて、画像の振幅成分を除去するための規格化処理C12,C22が行われる。これにより、第4階層の基準周波数情報から各空間周波数に係る位相情報(第1階層の基準位相情報とも言う)が抽出され、第1階層の参照周波数情報から各空間周波数に係る位相情報(第1階層の参照位相情報とも言う)が抽出される。
【0100】
【数3】

【0101】
規格化処理C12,C22が完了すると、下記数4で示される演算式を用いた合成処理C3が行われる。これにより、各空間周波数について、第1階層の基準位相情報と第1階層の参照位相情報とに基づいて位相差が算出される。
【0102】
【数4】

【0103】
その後、各空間周波数に係る位相差について、下記数5で示される演算式を用いた2次元の逆フーリエ変換処理C4が行われる。これにより、各画像間の相関演算が実施され、その演算結果としての相関値であるPOC値が出力される。
【0104】
【数5】

【0105】
以上の処理により、第1階層の基準領域画像と第1階層の参照領域画像との相関を示す相関値としてのPOC値が得られる。例えば、図20で示されるようなPOC値の分布が得られる。
【0106】
図20では、X方向に沿って所定数N1の画素が配列され、Y方向に沿って所定数N2の画素が配列される矩形の画像領域において相関が高い箇所のPOC値が大きくなる。そして、第1階層の参照領域画像内のうち、POC値のピークJcに対応する点が、参照画像Ga2において第1階層の基準点BPa1に対応する第1階層の対応点として検出される。
【0107】
このようにして、演算検出部363hでは、POC演算法を用いた第1階層の探索処理により、参照画像Ga2において第1階層の対応点が検出され得る。
【0108】
なお、図20では、POC値の分布に係る3次元的な斜視図が示されたが、図21〜図23、図27〜図29、図34および図35では、POC値の分布が便宜的に簡略化されて一方向におけるPOC値の分布として示されている。
【0109】
信頼度判定部363iは、参照画像Ga2における第1階層の探索基準点SPa2と演算検出部363hによって検出される第1階層の対応点との位置関係に基づいて、第1階層の対応点の信頼度を判定する。
【0110】
例えば、図21で示されるように、参照画像Ga2において第1階層の探索基準点SPa2と第1階層の対応点CPa2とが同一となる場合が有り得る。この場合、第1階層の基準領域Wa1と第1階層の参照領域Wa2とにおいて対象物の特徴が殆ど捉えられていない可能性が高いものと推定され得る。このため、第1階層の対応点CPa2の信頼度が低いものと判定され得る。
【0111】
一方、参照画像Ga2において第1階層の探索基準点SPa2と第1階層の対応点CPa2とが同一にはならない場合が有り得る。この場合、第1階層の基準領域Wa1と第1階層の参照領域Wa2とにおいて対象物の特徴が捉えられている可能性が高いものと推定され得る。このため、第1階層の対応点CPa2の信頼度が高いものと判定され得る。
【0112】
また、信頼度判定部363iでは、参照画像Ga2における推定領域EA2と第1階層の対応点CPa2との位置関係に基づいて、第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定されても良い。
【0113】
例えば、図22で示されるように、第1階層の探索基準点SPa2と第1階層の対応点CPa2とが同一とはならず、第1階層の対応点CPa2が推定領域EA2に含まれる場合が有り得る。この場合、第1階層の基準領域Wa1と第1階層の参照領域Wa2とにおいて、対象物の同一の特徴が捉えられている可能性が高いものと推定され得る。このため、第1階層の対応点CPa2の信頼度が高いものと判定され得る。
【0114】
一方、第1階層の探索基準点SPa2と第1階層の対応点CPa2とが同一とはならないが、第1階層の対応点CPa2が推定領域EA2に含まれていない場合が有り得る。この場合、第1階層の基準領域Wa1と第1階層の参照領域Wa2とにおいて、対象物の同一の特徴が捉えられている可能性が低いものと推定され得る。このため、第1階層の対応点CPa2の信頼度が低いものと判定され得る。このような構成により、簡易に第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定され得る。
【0115】
また、信頼度判定部363iでは、参照画像Ga2における推定領域EA2から第1階層の探索基準点SPa2に向かう第1方向と第1階層の探索基準点SPa2から第1階層の対応点CPa2に向かう第2方向との関係に基づいて、第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定されても良い。
【0116】
例えば、図23で示されるように、推定領域EA2の外に第1階層の探索基準点SPa2が設定され、第1階層の探索基準点SPa2よりも推定領域EA2からさらに遠い位置において第1階層の対応点CPa2が検出される場合が有り得る。この場合、推定領域EA2から第1階層の探索基準点SPa2に向かう第1方向と、第1階層の探索基準点SPa2から第1階層の対応点CPa2に向かう第2方向とが同一となる。そして、この場合、第1階層の基準領域Wa1と第1階層の参照領域Wa2とで対象物の異なる特徴が捉えられている可能性が高いものと推定され得る。このため、第1階層の対応点CPa2の信頼度が低いものと判定され得る。
【0117】
一方、推定領域EA2の外に第1階層の探索基準点SPa2が設定され、第1階層の探索基準点SPa2よりも推定領域EA2に近い位置において第1階層の対応点CPa2が検出される場合が有り得る。この場合、推定領域EA2から第1階層の探索基準点SPa2に向かう第1方向と、第1階層の探索基準点SPa2から第1階層の対応点CPa2に向かう第2方向とが同一とはならず、逆方向の関係を有する。そして、この場合、第1階層の基準領域Wa1と第1階層の参照領域Wa2とで対象物の同一の特徴が捉えられている可能性が高いものと推定され得る。このため、第1階層の対応点CPa2の信頼度が高いものと判定され得る。これにより、容易に第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定され得る。
【0118】
特に、例えば、図12で示されたように、第1階層の候補点EPa2を通るエピポーラ線Le2から外れている位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定される場合、該エピポーラ線Le2の近傍において第1階層の対応点CPa2が検出されることが好ましい。このため、仮に、第1階層の探索基準点SPa2よりも第1階層の候補点EPa2側に位置するエピポーラ線Le2の近傍において第1階層の対応点CPa2が検出される場合には、第1階層の対応点CPa2の信頼度が高いものと判定され得る。このような構成により、第1階層の対応点CPa2の信頼度が簡易かつ適切に判定され得る。なお、エピポーラ線Le2の近傍において第1階層の対応点CPa2が検出されない場合には、エピポーラ線Le2の上に第1階層の探索基準点SPa2を設定し直して、再度、第1階層の探索処理が行われても良い。これにより、第1階層の対応点CPa2の検出精度が一旦低下しても、その検出精度の低下による不具合の発生が低減され得る。
【0119】
情報変更部364は、信頼度判定部363iによる信頼度の判定結果に基づいて、演算検出部363hによって検出された第1階層の対応点CPa2に係る情報(対応点情報とも言う)を変更する処理(情報変更処理とも言う)を行う。ここで、対応点情報は、演算検出部363hによって基準画像Ga1の各画素について得られる。また、各対応点情報には、例えば、基準画像Ga1における一画素の座標と、該一画素に対応する第1階層の対応点CPa2についての参照画像Ga2における座標とが関連付けられている情報が含まれる。そして、情報変更処理には、例えば、信頼度判定部363iによる信頼度の判定結果に基づいて対応点情報が削除される処理が含まれ得る。また、情報変更処理に、例えば、信頼度判定部363iによる信頼度の判定結果に基づく重み付け係数が対応点情報に付加される処理、および該信頼度の判定結果に基づく精度情報が対応点情報に付加される処理の何れか一方の処理が含まれても良い。
【0120】
具体的には、信頼度判定部363iによって信頼度が低いものと判定された第1階層の対応点CPa2に係る対応点情報については、削除されても良い。また、信頼度が低いものと判定された第1階層の対応点CPa2に係る対応点情報に小さな重み付け係数が付加され、信頼度が高いものと判定された第1階層の対応点CPa2に係る対応点情報に大きな重み付け係数が付加されても良い。また、信頼度が低いものと判定された第1階層の対応点CPa2に係る対応点情報に検出精度が低いとの精度情報が付加され、信頼度が高いものと判定された第1階層の対応点CPa2に係る対応点情報に検出精度が高いとの精度情報が付加されても良い。このような構成により、簡易に得られた対応点の信頼度に関する判定結果が有効利用され得る。
【0121】
距離算出部365は、情報変更部364から出力される対応点情報に基づいて、第1および第2カメラ1,2から第1階層の基準点BPa1で捉えられている対象物までの距離を算出する。該距離は、基準画像Ga1における第1階層の基準点BPa1の位置と、参照画像Ga2における第1階層の対応点CPa2の位置とのズレ量と、第1および第2カメラ1,2の内部パラメータおよび外部パラメータとに基づいて、三角測量の技術が用いられて算出される。ここで、内部パラメータには、例えば、第1および第2カメラ1,2に内蔵される光学系の焦点距離、画像中心、および撮像素子の傾きなどを示すパラメータが含まれる。また、外部パラメータには、例えば、第1カメラ1と第2カメラ2との位置関係および姿勢の関係などを示すパラメータが含まれる。
【0122】
図24は、基準画像Ga1と参照画像Ga2との間における画素の対応関係から三角測量の原理に基づいて、第1および第2カメラ1,2から対象物OB1までの距離を算出する方法を模式的に示す図である。
【0123】
基準画像Ga1と参照画像Ga2との間で、第1階層の基準点BPa1と第1階層の対応点CPa2とのズレ量(視差)がΔdであった場合、第1および第2カメラ1,2から対象物OB1までの距離Dは、次の式(1)から算出され得る。
【0124】
D=fB/Δd ・・・(1)。
【0125】
式(1)では、基線長がB、第1および第2カメラ1,2のレンズにおける焦点距離がfとされている。
【0126】
なお、距離算出部365では、情報変更部364において対応点情報が削除された画素についての距離Dが、例えば、該画素の周囲の画素について算出される距離Dを用いた補間演算によって算出されれば良い。また、距離算出部365では、情報変更部364において対応点情報に小さな重み付け係数が付加された画素についての距離Dが、該画素の周囲の画素について算出される距離Dを用いた補間演算によって算出されても良い。この補間演算において、周囲の各画素に係る距離Dは、各対応点情報に付加されている重み付け係数がそれぞれ乗じられた上で用いられても良い。この場合、重み付け係数が0であれば、対応点情報が削除されたことと同一の効果が得られる。
【0127】
また、距離算出部365では、各画素について算出された距離Dに、該各画素の対応点情報に付加された精度情報がそのまま付加されても良い。
【0128】
3次元位置検出部366は、基準画像Ga1の各注目画素について、距離算出部365で算出された距離Dを用いて、該各注目画素で捉えられた被写体の3次元位置を検出する。例えば、対象物OB1の3次元位置(X1,Y1,Z1)が、X1=x1×D/f、Y1=y1×D/f、Z1=Dの3式によって算出されても良い。ここでは、x1、y1は、基準画像Ga1上の注目画素の座標を示す。なお、3次元位置検出部366では、各画素について得られた3次元位置を示す情報に、情報変更部364で対応点情報に付加された精度情報がそのまま付加されても良い。
【0129】
情報出力部367は、基準画像Ga1の各画素について、情報変更部364で得られた対応点情報、距離算出部365で得られた距離を示す情報、および3次元位置検出部366で得られた3次元位置などを示す各種情報を出力する。例えば、情報出力部367は、各種情報を、記憶部34に出力することで該各種情報を記憶部34に記憶させ得る。
【0130】
<(3)情報処理装置の動作>
図25は、情報処理装置3における動作フローを例示するフローチャートである。本動作フローは、例えば、制御部36の制御によって実現され得る。
【0131】
まず、図25のステップSt1では、画像取得部361によって、第1カメラ1から第1画像に係るデータM1が取得される。
【0132】
ステップSt2では、画像取得部361によって、第2カメラ2から第2画像に係るデータM2が取得される。
【0133】
ステップSt3では、画像生成部362によって、第1および第2の変換倍率に従い、基準画像Ga1としての第1画像の解像度が低減されて第1変換後基準画像Gb1が生成され、参照画像Ga2としての第2画像の解像度が低減されて第1変換後参照画像Gb2が生成される。
【0134】
ステップSt4では、基準点設定部363bによって、基準画像Ga1に第1階層の基準点BPa1が設定され、第1変換後基準画像Gb1に第2階層の基準点BPb1が設定される。また、基準領域設定部363fによって、基準画像Ga1に第1階層の基準点BPa1を基準として包含する第1階層の基準領域Wa1が設定され、第1変換後基準画像Gb1に第2階層の基準点BPb1を基準として包含する第2階層の基準領域Wb1が設定される。
【0135】
ステップSt5では、階層指定部363aによって、第1および第2階層の画像群1Hy,2Hyのうち、対応点の探索処理の対象となる第2階層の画像群2Hyが指定される。
【0136】
ステップSt6では、候補点情報取得部363cによって、第2階層の候補点EPb2の位置を示す位置情報が取得される。例えば、第1変換後参照画像Gb2における第2階層の候補点EPb2の座標は、第1変換後基準画像Gb1における第2階層の基準点BPb1の座標と同一となり得る。
【0137】
ステップSt7では、探索基準点設定部363eによって、第2階層の探索基準点SPb2が第1変換後参照画像Gb2に設定される。例えば、第2階層の探索基準点SPb2は、第2階層の候補点EPb2と同一座標の位置に設定され得る。
【0138】
ステップSt8では、参照領域設定部363gによって、第1変換後参照画像Gb2において第2階層の探索基準点SPb2を基準とした第2階層の参照領域Wb2が設定される。
【0139】
ステップSt9では、演算検出部363hによって、第2階層の基準領域Wb1と第2階層の参照領域Wb2とに係る相関演算が行われ、第1変換後参照画像Gb2において第2階層の基準点BPb1に対応する第2階層の対応点CPb2が検出される。続いて、ステップSt10では、基準点設定部363bによって、第2階層の基準画像Gb1において、対応点の探索処理の対象となる画素(被処理画素とも言う)が残っているか否かが判定される。ここで、被処理画素が残っていれば、ステップSt4に戻る。そして、被処理画素がなくなるまで、ステップSt4〜St10の処理が繰り返される。一方、被処理画素が残っていなければ、ステップSt11に進む。
【0140】
ステップSt11では、階層指定部363aによって、第1および第2階層の画像群1Hy,2Hyのうち、対応点の探索処理の対象となる第1階層の画像群1Hyが指定され、候補点情報取得部363cによって、参照画像Ga2における第1階層の候補点EPa2の位置を示す位置情報が取得される。例えば、第1階層の候補点EPa2は、ステップSt9で検出された第2階層の対応点CPb2と同一の対象物が捉えられている画素であれば良い。
【0141】
ステップSt12では、推定領域決定部363dによって、参照画像Ga2において第1階層の候補点EPa2を基準とした推定領域EA2が決定される。
【0142】
ステップSt13では、探索基準点設定部363eによって、第1階層の候補点EPa2の位置から第1階層の探索基準点SPa2に向けたズレ方向が決定される。例えば、参照画像Ga2のうち、第1階層の候補点EPa2を通るエピポーラ線に対して垂直な方向が、ズレ方向として設定され得る。
【0143】
ステップSt14では、探索基準点設定部363eによって、参照画像Ga2において第1階層の探索基準点SPa2が設定される。例えば、ステップSt12で決定された推定領域EA2の外であって、第1階層の候補点EPa2の位置からズレ方向にずれた位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定される。
【0144】
ステップSt15では、参照領域設定部363gによって、参照画像Ga2において第1階層の探索基準点SPa2を基準とした第1階層の参照領域Wa2が設定される。
【0145】
ステップSt16では、演算検出部363hによって、第1階層の基準領域Wa1と第1階層の参照領域Wa2とに係る相関演算が行われ、その結果に基づき、参照画像Ga2において第1階層の基準点BPa1に対応する第1階層の対応点CPa2が検出される。
【0146】
ステップSt17では、信頼度判定部363iによって、ステップSt13で設定された第1階層の探索基準点SPa2と、ステップSt16で検出された第1階層の対応点CPa2との位置関係に基づいて、第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定される。
【0147】
ステップSt18では、情報変更部364によって、ステップSt17で得られた信頼度の判定結果に基づいて、ステップSt16で検出された第1階層の対応点CPa2に係る対応点情報を変更する情報変更処理が行われる。
【0148】
ステップSt19では、基準点設定部363bによって、第1階層の基準画像Ga1において、対応点の探索処理の対象となる画素(被処理画素とも言う)が残っているか否かが判定される。ここで、被処理画素が残っていれば、ステップSt11に戻る。そして、被処理画素がなくなるまで、ステップSt11〜St19の処理が繰り返される。一方、被処理画素が残っていなければ、本動作フローが終了される。
【0149】
<(4)一実施形態のまとめ>
以上のように、一実施形態に係る情報処理システム100では、情報処理装置3において、例えば、第1階層の探索基準点SPa2と検出された第1階層の対応点CPa2とが同一であれば第1階層の対応点CPa2の信頼度が低いものと判定され得る。その一方で、例えば、第1階層の探索基準点SPa2と検出された第1階層の対応点CPa2とが同一でなければ該第1階層の対応点CPa2の信頼度が高いものと判定され得る。これにより、基準画像Ga1および参照画像Ga2が、コントラストが低い画像および自己相関が高い画像であっても、高速かつ高精度の対応点の探索が実現され得る。
【0150】
また、例えば、検出された第1階層の対応点CPa2が、第1階層の候補点EPa2が基準とされた推定領域EA2の中に位置していれば、該第1階層の候補点EPa2の信頼度が高いものと判定され得る。これにより、簡易に第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定され得る。特に、意図的に推定領域EA2の外に設定された第1階層の探索基準点SPa2と検出された第1階層の対応点CPa2との位置関係に基づいて、該第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定されることで、第1階層の対応点CPa2の信頼度が簡易かつ適確に判定され得る。
【0151】
<(5)変形例>
なお、本発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
【0152】
◎例えば、上記一実施形態では、第2階層の画像群2Hyが対象とされた対応点の探索処理によって検出される低解像度対応点としての第2階層の対応点CPb2に基づいて第1階層の候補点EPa2の位置を示す位置情報が取得されたが、これに限られない。例えば、第1および第2カメラ1,2と第1および第2画像で捉えられている対象物との離隔距離を測定する部分(距離測定部とも言う)が設けられ、該距離測定部で得られる離隔距離に基づいて、第1階層の候補点EPa2の位置を示す位置情報が取得されても良い。この場合、該離隔距離と、第1カメラ1と第2カメラ2との配置関係とに基づいて、第1階層の候補点EPa2の位置を示す位置情報が取得され得る。
【0153】
ここで、距離測定部としては、例えば、第1および第2カメラ1,2の少なくとも一方に搭載されている自動合焦(AF)機能によって、第1および第2カメラ1,2と第1および第2画像で捉えられている対象物との離隔距離が測定されるものが挙げられる。また、第1カメラ1と第2カメラ2との配置関係には、第1および第2カメラ1,2の内部パラメータおよび外部パラメータが含まれ得る。
【0154】
AF機能は、合焦用のレンズが光軸に沿って移動することで、撮像する対象物に合焦する機能であれば良い。第1および第2カメラ1,2と対象物との距離と、合焦用のレンズの位置との関係が予め記憶部34などに記憶されていれば、上記離隔距離は、第1および第2カメラ1,2が対象物に合焦している際における合焦用のレンズの位置に基づいて取得され得る。なお、第1および第2カメラ1,2と対象物との距離と、合焦用のレンズの位置との関係は、実験的に求められても良いし、いわゆる光学シミュレーションに基づいて求められても良い。
【0155】
このような構成が採用される場合、図26で示されるように、上記一実施形態に係る情報処理装置3の候補点情報取得部363cが候補点情報取得部363cAに置換されれば良い。この場合、候補点情報取得部363cAでは、例えば、第1および第2カメラ1,2の少なくとも一方のAF機能から距離測定部363jによって得られる離隔距離と、第1カメラ1と第2カメラ2との配置関係とに基づいて、第1階層の候補点EPa2の位置を示す位置情報が取得されれば良い。このとき、図24で示された三角測量の技術が利用されて、第1階層の候補点EPa2の位置を示す位置情報が取得され得る。
【0156】
このような構成により、AF機能が搭載されたカメラのような別の部分で得られる情報が有効利用される。その結果、演算量の増大を極力避けつつ、簡易に対応点の信頼度が判定され得る。
【0157】
なお、距離測定部としては、例えば、第1および第2カメラ1,2に並設されているレーザーを用いた測距装置などといった別の構成が採用されても良い。
【0158】
◎また、上記一実施形態では、推定領域決定部363dによって、推定領域EA2が、第2階層の対応点の探索処理において検出される低解像度対応点に係る分解能と、第1階層の候補点EPa2とに基づいて決定されたが、これに限られない。例えば、参照画像Ga2において、低解像度探索処理としての第2階層の探索処理における相関演算によって算出される相関値が、予め決められている条件を満たす画像領域が推定領域EA2として決定されても良い。
【0159】
ここで、予め決められている条件としては、例えば、第1閾値以上である第1条件、および低解像度探索処理としての第2階層の探索処理における相関演算によって算出される相関値の最大値から算出される第2閾値以上である第2条件などが採用され得る。相関値は、例えば、第2階層の探索処理で算出されるPOC値であれば良い。また、図27で示されるように、第1閾値は、例えば、0.1であれば良い。さらに、図28および図29で示されるように、第2閾値は、例えば、POC値の最大値に予め設定されている係数(例えば0.5など)が乗ぜられた値であれば良い。
【0160】
これらの構成が採用されることで、低解像度の第1変換後基準画像Gb1と第1変換後参照画像Gb2との間についての対応点の検出精度が考慮されて、第1階層の候補点EPa2からずれた位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定され得る。このため、推定領域EA2が容易に設定され得る。
【0161】
◎また、上記一実施形態では、第1階層の探索処理において、第1階層の基準領域画像と第1階層の参照領域画像とに対して直接2次元のフーリエ変換処理C11,C21が行われたが、これに限られない。例えば、図30で示されるように、第1階層の基準領域画像に対して窓関数が乗じられる窓関数の乗算処理C10が行われた後に2次元のフーリエ変換処理C11が行われても良い。また、第1階層の参照領域画像に対して窓関数が乗じられる窓関数の乗算処理C20が行われた後に2次元のフーリエ変換処理C21が行われても良い。
【0162】
なお、窓関数としては、例えば、図31で示されるように、第1階層の基準領域Wa1および第1階層の参照領域Wa2について、中央の値が最も大きく、周縁部に近づくにつれて値が減じるような関数が適用されれば良い。窓関数の具体例としては、ガウス窓、ハン窓、ハミング窓、ブラックマン窓およびカイザー窓などの窓関数が挙げられる。
【0163】
上記構成が採用される場合、基準画像Ga1および参照画像Ga2が低コントラストの画像または自己相関が高い画像であり、第1階層の候補点EPa2に第1階層の探索基準点SPa2が設定されると、第1階層の探索基準点SPa2が第1階層の対応点CPa2として誤って検出され易くなる。このため、第1階層の探索基準点SPa2の位置と第1階層の対応点CPa2の位置とが異なる場合に、第1階層の対応点CPa2が第1階層の基準点BPa1と同一の対象物を捉えている可能性が高まり得る。その結果、第1階層の対応点CPa2の判定結果の確からしさが向上し得る。
【0164】
上記構成を別の観点から言えば、窓関数の乗算処理C10が行われる場合、第1階層の基準領域画像に対して第1の重み付け処理が行われて重み付け後の画像(重み付け後基準領域画像とも言う)が取得され得る。また、窓関数の乗算処理C20が行われる場合、第1階層の参照領域画像に対して第2の重み付け処理が行われて重み付け後の画像(重み付け後参照領域画像とも言う)が取得され得る。これにより、第1および第2の重み付け処理では、第1階層の基準領域画像および第1階層の参照領域画像の各画素値に重み付け係数が乗じられる。そして、演算検出部363hによって、重み付け後基準領域画像と重み付け後参照領域画像との間で相関演算が行われて、第1階層の対応点CPa2が検出される。
【0165】
ところで、上記一実施形態では、第1階層の候補点EPa2から意図的にずらされた位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定されたが、これに限られない。例えば、第2の重み付け処理が、第1の重み付け処理と比較して重み付け係数の2次元分布が一方向に偏っている処理とされても良い。すなわち、第1階層の候補点EPa2を中心として、第1階層の参照領域Wa2を設定し、第1階層の参照領域Wa2の中心の位置からずれた点の値を最大とする窓関数を用いることで、同等の効果を奏し得る。そして、この構成では、第1階層の基準点BPa1が基準とされた第1階層の基準領域Wa1と、第1階層の候補点EPa2が基準とされた第1階層の参照領域Wa2とが同一の対象物を捉えた領域を多く含む可能性が高まり得る。その結果、相関演算の対象となる画像における特徴などの情報の欠落が抑制され、第1階層の対応点CPa2の検出精度が確保され得る。
【0166】
ここで、一方向は、例えば、上記一実施形態で述べたズレ方向であれば良い。そして、第1の重み付け処理における重み付け係数の2次元分布については、例えば、図31で示されるように、中央の値が最も大きく、周縁部に近づくにつれて値が減じる窓関数によって規定されれば良い。また、第2の重み付け処理における重み付け係数の2次元分布については、例えば、図32で示されるように、第1階層の候補点EPa2の位置からずれた位置の値が最も大きく、周縁部に近づくにつれて値が減じる窓関数によって規定されれば良い。
【0167】
なお、第2階層の探索処理についても、窓関数の乗算処理C10,C20が行われても良い。
【0168】
◎また、上記一実施形態では、第1階層の候補点EPa2から意図的にずらされた位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定されたが、これに限られない。例えば、図33で示されるように、第1階層の候補点EPa2と同一の位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定されても良い。この場合、例えば、図34で示されるように、第1階層の対応点CPa2の位置が第1階層の探索基準点SPa2の位置と異なっていれば、第1階層の対応点CPa2の信頼度が高いものと判定されれば良い。一方、第1階層の対応点CPa2の位置が第1階層の探索基準点SPa2の位置と同一であれば、第1階層の対応点CPa2の信頼度が低いものと判定されれば良い。このような構成が採用されても、基準画像Ga1および参照画像Ga2が、コントラストが低い画像および自己相関が高い画像の何れであっても、高速かつ高精度の対応点の探索が実現され得る。さらに、第1階層の対応点CPa2が推定領域EA2に含まれていれば、第1階層の対応点CPa2の信頼度が高いものと判定され、第1階層の対応点CPa2が推定領域EA2に含まれていなければ、第1階層の対応点CPa2の信頼度が低いものと判定されても良い。
【0169】
◎また、上記一実施形態では、第1階層の候補点EPa2とは異なる位置に第1階層の探索基準点SPa2が設定され、第1階層の探索基準点SPa2と第1階層の対応点CPa2との位置関係に基づいて、第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定されたが、これに限られない。例えば、第1階層の探索基準点SPa2が推定領域EA2の外に設定される場合と、第1階層の探索基準点SPa2が推定領域EA2の中に設定される場合とにおいて、それぞれ検出される第1階層の対応点CPa2の位置関係に基づいて、第1階層の対応点CPa2の信頼度が判定されても良い。ここでは、探索基準点設定部363eによって推定領域EA2の内外に第1階層の探索基準点SPa2が設定され得る。また、演算検出部363hによって、各場合について、第1階層の対応点CPa2が検出される。
【0170】
このような構成が採用されれば、例えば、推定領域EA2の外に第1階層の探索基準点SPa2が設定されたか否かによって、検出される第1階層の対応点CPa2の位置に差が生じるか否かといった観点から、第1階層の対応点CPa2の信頼度が簡易に判定され得る。
【0171】
例えば、図35で示されるように、第1階層の探索基準点SPa2が推定領域EA2の外に設定される場合における第1階層の対応点CPa2と、第1階層の探索基準点SPa2が推定領域EA2の中に設定される場合における第1階層の対応点CPa2とが同一であれば、第1階層の対応点CPa2の信頼度が高いものと判定されれば良い。また、第1階層の探索基準点SPa2が推定領域EA2の外に設定される場合における第1階層の対応点CPa2と、第1階層の探索基準点SPa2が推定領域EA2の中に設定される場合における第1階層の対応点CPa2とが同一でなければ、第1階層の対応点CPa2の信頼度が低いものと判定されれば良い。
【0172】
◎また、上記一実施形態では、第1および第2階層の探索処理においてPOC演算法を用いた相関演算が行われたが、これに限られない。相関演算に、例えば、PSA(Phase-Difference Spectrum Analysis)法、およびDCT符号相関(Discrete Cosine Transform Sign Correlation:DSC)演算などといったその他の相関演算が採用されても良い。また、相関演算に、SAD(Sum of Absolute Difference)演算法が採用されても良い。相関演算にSAD演算法が採用される場合、第1および第2階層の探索基準点SPa2,SPb2を基準として第1および第2階層の参照領域Wa2,Wb2が一走査方向にシフトされつつ相関演算が行われれば良い。この場合、ズレ方向と一走査方向とが合致していることが好ましい。
【0173】
◎また、上記一実施形態では、第1および第2階層の探索処理の2段階の探索処理が行われたが、これに限られない。例えば、基準画像Ga1と参照画像Ga2とに基づいて、2段階以上に解像度が低減された画像が生成され、3段階以上の探索処理が順次に行われることで、第1階層の対応点CPa2が検出されても良い。この場合にも、前の階層における探索処理の結果に基づいて、次の階層における候補点の位置を示す情報が得られれば良い。
【0174】
◎また、上記一実施形態では、第1階層の対応点CPa2の信頼度が高低の2段階で判定されたが、これに限られない。例えば、信頼度の高低が3段階以上で判定されても良い。例えば、第1階層の対応点CPa2と第1階層の探索基準点SPa2とが同一であれば信頼度が低と判定されれば良い。また、第1階層の対応点CPa2と第1階層の探索基準点SPa2とが異なり且つ第1階層の対応点CPa2が推定領域EA2に含まれていなければ、信頼度が中と判定されれば良い。さらに、第1階層の対応点CPa2と第1階層の探索基準点SPa2とが異なり且つ第1階層の対応点CPa2が推定領域EA2に含まれていれば、信頼度が高と判定されれば良い。
【0175】
◎なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
【符号の説明】
【0176】
1 第1カメラ
2 第2カメラ
3 情報処理装置
34 記憶部
36 制御部
100 情報処理システム
361 画像取得部
362 画像生成部
363 対応点探索部
363a 階層指定部
363b 基準点設定部
363c,363cA 候補点情報取得部
363d 推定領域決定部
363e 探索基準点設定部
363f 基準領域設定部
363g 参照領域設定部
363h 演算検出部
363i 信頼度判定部
364 情報変更部
365 距離算出部
366 3次元位置検出部
367 情報出力部
PG プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像および第2画像を取得する画像取得部と、
前記第1画像に基準点を設定する第1設定部と、
前記第2画像に探索基準点を設定する第2設定部と、
前記第1画像において前記基準点を基準として設けられる基準領域と、前記第2画像において前記探索基準点を基準として設けられる参照領域とに係る相関演算の結果に基づき、前記第2画像において前記基準点に対応する対応点を検出する検出部と、
前記第2画像における前記探索基準点と前記対応点との位置関係に基づいて、前記対応点の信頼度を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第2画像において前記対応点が存在すると推定される推定領域を決定する決定部、をさらに備え、
前記第2設定部が、
前記第2画像において前記推定領域の外に前記探索基準点を設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
第1画像および第2画像を取得する画像取得部と、
前記第1画像に基準点を設定する第1設定部と、
前記第2画像に探索基準点を設定する第2設定部と、
前記第1画像において前記基準点を基準として設けられる基準領域と、前記第2画像において前記探索基準点を基準として設けられる参照領域とに係る相関演算の結果に基づき、前記第2画像において前記基準点に対応する対応点を検出する検出部と、
前記第2画像において前記対応点が存在すると推定される推定領域を決定する決定部と、
前記第2画像における前記推定領域と前記対応点との位置関係に基づいて、前記信頼度を判定する判定部と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の情報処理装置であって、
前記第2設定部が、
前記第2画像において前記推定領域の外に前記探索基準点を設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記判定部が、
前記第2画像における前記推定領域から前記探索基準点に向かう第1方向と前記探索基準点から前記対応点に向かう第2方向との関係に基づいて、前記信頼度を判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記第2画像における前記対応点の候補点の位置情報を取得する情報取得部、をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置であって、
前記決定部は、
前記第2画像において前記候補点を基準として前記推定領域を設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の情報処理装置であって、
前記第2設定部が、
前記参照領域に前記候補点が含まれるように前記探索基準点を設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項6から請求項8の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記第2設定部が、
前記第2画像において、前記候補点を通る仮想的なエピポーラ線に対して垂直な方向に前記候補点からずれている位置に前記探索基準点を設定し、
前記仮想的なエピポーラ線の延伸方向が、
前記第1画像を撮像する第1撮像部と前記第2画像を撮像する第2撮像部との配置関係に対応する方向であることを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項6から請求項8の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記第2設定部が、
前記第1画像における前記基準点を含む2次元領域、および前記第2画像における前記候補点を含む2次元領域のうちの少なくとも一方の領域についての周波数成分への分解によって得られる空間周波数の振幅の2次元分布において、予め設定される閾値以上の振幅の周波数成分が存在する頻度が最も高い一方向を認識し、前記第2画像において前記一方向に対応する方向に前記候補点からずれている位置に前記探索基準点を設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項6から請求項8の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記第2設定部が、
前記第1画像における前記基準点を含む2次元領域、および前記第2画像における前記候補点を含む2次元領域のうちの少なくとも一方の領域についての周波数成分への分解によって得られる空間周波数の振幅の2次元分布において、振幅の平坦度が予め設定される平坦度よりも高い場合に、前記第2画像において前記推定領域の外に前記探索基準点を設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項10に記載の情報処理装置であって、
前記第2設定部が、
前記空間周波数の振幅の2次元分布において、振幅の平坦度が予め設定される平坦度よりも高い場合に、前記第2画像において前記推定領域の外に前記探索基準点を設定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項2から請求項12の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記検出部が、
前記第2設定部によって前記第2画像における前記推定領域の外に前記探索基準点が設定される場合に前記検出部によって検出される前記対応点と、前記第2設定部によって前記第2画像における前記推定領域の中に前記探索基準点が設定される場合に前記検出部によって検出される前記対応点との位置関係に基づいて、前記信頼度を判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記第2画像における前記対応点の候補点の位置情報を取得する情報取得部、をさらに備え、
前記検出部が、
前記基準領域に対して第1の重み付け処理を行って重み付け後基準領域画像を得るとともに、前記参照領域に対して前記第1の重み付け処理よりも重み付け係数の2次元分布が前記候補点に応じた方向に偏っている第2の重み付け処理を行うことで重み付け後参照領域画像を得て、前記重み付け後基準領域画像と前記重み付け後参照領域画像とに係る相関演算の結果に基づき、前記第2画像において前記対応点を検出することを特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理装置であって、
前記第2画像において前記対応点が存在すると推定される推定領域を決定する決定部、をさらに備え、
前記判定部が、
前記第2画像における前記推定領域と前記対応点との位置関係に基づいて、前記信頼度を判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
請求項6から請求項15の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記検出部が、
前記第1画像の解像度が低減されて得られる第1低解像度画像と前記第2画像の解像度が低減されて得られる第2低解像度画像との間で、前記第1低解像度画像において前記基準点と同一の対象物が捉えられている低解像度基準点を基準として設けられる低解像度基準領域と、前記第2低解像度画像において設けられる低解像度参照領域とに係る相関演算の結果に基づいて、前記第2低解像度画像において前記低解像度基準点に対応する低解像度対応点を探索する低解像度探索処理を行い、
前記情報取得部が、
前記第2画像における前記低解像度対応点に対応する点の位置を示す情報を前記位置情報として取得することを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
請求項16に記載の情報処理装置であって、
前記決定部が、
前記低解像度探索処理における前記低解像度対応点に係る分解能と、前記候補点とに基づいて前記推定領域を決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項18】
請求項16に記載の情報処理装置であって、
前記決定部が、
前記第2画像において、前記低解像度探索処理における相関演算によって算出される相関値が予め決められている条件を満たす画像領域を前記推定領域として決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項19】
請求項6から請求項18の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記情報取得部が、
前記第1画像を撮像する第1撮像部と前記第2画像を撮像する第2撮像部との配置関係と、距離測定部によって得られる前記第1および第2撮像部から前記第1および第2画像で捉えられている対象物までの離隔距離とに基づいて、前記位置情報を取得することを特徴とする情報処理装置。
【請求項20】
請求項1から請求項19の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置であって、
前記判定部による前記信頼度の判定結果に基づいて、前記検出部によって検出される前記対応点に係る対応点情報を変更する情報変更部、をさらに備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項21】
請求項20に記載の情報処理装置であって、
前記情報変更部が、
前記判定結果に基づく前記対応点情報の削除、前記判定結果に基づく重み付け係数の前記対応点情報に対する付加、および前記判定結果に基づく精度情報の前記対応点情報に対する付加、のうちの少なくとも1つの処理を行うことを特徴とする情報処理装置。
【請求項22】
(a)画像取得部によって、第1画像を取得するステップと、
(b)前記画像取得部によって、第2画像を取得するステップと、
(c)第1設定部によって、前記第1画像に基準点を設定するステップと、
(d)第2設定部によって、前記第2画像に探索基準点を設定するステップと、
(e)検出部によって、前記第1画像において前記基準点を基準として設けられる基準領域と、前記第2画像において前記探索基準点を基準として設けられる参照領域とに係る相関演算の結果に基づき、前記第2画像において前記基準点に対応する対応点を検出するステップと、
(f)判定部によって、前記第2画像における前記探索基準点と前記対応点との位置関係に基づいて、前記対応点の信頼度を判定するステップと、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項23】
情報処理装置に含まれる制御部において実行されることにより、前記情報処理装置を、請求項1から請求項21の何れか1つの請求項に記載の情報処理装置として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−20588(P2013−20588A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155809(P2011−155809)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】