説明

情報処理装置、方法およびプログラム

【課題】適切な書類の撮影データを取得する。
【解決手段】実施形態に係る情報処理装置は、書類を撮影した画像データを処理する。情報処理装置の記憶装置には、撮影部と書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠のデータである理想枠データが記憶される。情報処理装置は、撮影部が書類を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得手段と、画像データから検出された書類のエッジから特定される角の位置と、理想枠データにおける当該書類の角の位置と、の差分に基づいて、位置関係を判定する位置判定手段と、画像データと理想枠とを表示部に表示するとともに、位置判定手段により判定された位置関係に基づいて、位置関係を適切にするためのガイドを出力する出力手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、書類を撮影した画像データを処理する情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理装置の発達に伴い、小型化および高性能化が著しい。これに伴い、保険会社などの営業担当者が、ノートパソコンなどの情報処理装置を携行して顧客の元を訪れ、職務に当たる機会が増えている。
【0003】
例えば、顧客が記入した申込書などの書類に基づいて、営業担当者が、携行したノートパソコンにデータを入力するとともに、その書類を撮影して電子データ化して、エビデンスデータとして保管する場合が考えられる。ここで、書類を撮影した電子データを保管する際、エビデンスデータとして保管することに対して顧客の同意を得るため、顧客の前で電子データ化して保管することが好ましい。また、文字の可読性などのエビデンスデータとしての画質を備えていることが、リアルタイムに確認できることが好ましい。
【0004】
文字の可読性など、エビデンスデータに求められる条件を備えていることを、営業担当者がリアルタイムに確認するためには、客先で画像を取り込む必要がある。また、文字のそのように取得した画像の可読性を担保するために、常に一定のレベル以上の画質で撮影可能な仕組みが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−194450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の技術でエビデンスデータに求められる条件を備えた撮影データを取得することは、困難である。
【0007】
適切な書類の撮影データを取得することのできる情報処理装置、方法およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る情報処理装置は、書類を撮影した画像データを処理する。情報処理装置の記憶装置には、撮影部と書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠のデータである理想枠データが記憶される。情報処理装置は、撮影部が書類を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得手段と、画像データから検出された書類のエッジから特定される角の位置と、理想枠データにおける当該書類の角の位置と、の差分に基づいて、位置関係を判定する位置判定手段と、画像データと理想枠とを表示部に表示するとともに、位置判定手段により判定された位置関係に基づいて、位置関係を適切にするためのガイドを出力する出力手段を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る情報処理装置の外観を説明する図である。
【図2】第1の実施形態に係る情報処理装置が、書類を撮影する様子を説明する図である。
【図3】第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成図である。
【図4】第1の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る情報処理装置の位置判定処理を説明するフローチャートである。
【図6】第1の実施形態において、撮影エリアに書類の角が含まれない場合または一つの角のみが含まれている場合を説明する図である。
【図7】第1の実施形態において、撮影エリアに書類の4つの角が含まれている場合を説明する図である。
【図8】第1の実施形態において、撮影エリアに書類の3つの角が含まれている場合を説明する図である。
【図9】第1の実施形態において、撮影部と書類の距離が適切でない場合を説明する図である。
【図10】第1の実施形態において、撮影部と書類の位置関係が適切な場合を説明する図である。
【図11】第2の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【図12】第2の実施形態に係る情報処理装置が表示する画面を説明する図である。
【図13】第3の実施形態に係る情報処理装置が、書類を撮影する様子を説明する図である。
【図14】第4の実施形態に係る情報処理装置が、書類を撮影する様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係る情報処理装置1は、例えば、図1のように、タブレット形コンピュータである。第1の実施形態に係る情報処理装置1の表面は、図1(a)に示すように、表示部105備える。また表示部105を備えた面と対向する裏面は、図1(b)に示すように、撮影部121を備える。情報処理装置1の表示部105は、タッチパネルを備える。情報処理装置1で実行されるソフトウェアによって、表示部105にキーボードやボタンなどが表示される。ユーザは、表示されたキーボードやボタンをタッチすることにより、情報処理装置1に指示を入力することができる。また、情報処理装置1にキーボードやマウスが接続されてもよいし、情報処理装置1の筐体に、指示を入力するボタンが設けられてもよい。
【0012】
情報処理装置1で書類3を撮影する場合を説明する。図2に示すように、机の上に書類3を設置し、ユーザは、情報処理装置1をスタンド5に設置するとともに、情報処理装置1の撮影部121を書類3側に向けて、書類3を撮影する。ほかの撮影の形態として、書類3を机の上に設置し、スタンド5を使用せず、ユーザが情報処理装置1を把持し、書類3の上方から情報処理装置1で書類3を撮影する場合も考えられる。
【0013】
情報処理装置1の表示部105には、撮影部121によって撮影された画像データが逐次プレビュー表示されるとともに、理想枠51およびガイド53が表示される。図2においては、書類3は矩形である。書類3を斜め上方向から撮影するので、書類3は、下辺が長く上辺が短い台形形状で、表示部105に表示される。
【0014】
理想枠51は、画像データにおける、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の書類3の位置を、表示部105上に示すものである。画像データが表示部105に逐次プレビュー表示されるので、ユーザは、表示部105をみながら、表示部105に表示された書類部52が、理想枠51に合うように、情報処理装置1や書類3の位置を調整する。ここで、撮影部121と書類3との「位置関係が適切な場合」とは、例えば、書類3をエビデンスデータとして保存する場合、そのエビデンスデータとしての画質を備える画像データを撮影できる位置関係であることを言う。情報処理装置1が書類3の画像データを保存する目的に応じて、適切な位置関係は異なってもよい。
【0015】
図2に示す例において理想枠51は、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合に表示部105にプレビューされる書類部52を囲う形状を備える。理想枠51の形状は、書類部52を囲う形状に限られず、例えば、書類部52の角を、「L」字上のマーカーを施す形状なども考えられる。
【0016】
表示部105において書類部52のエッジと理想枠51とがずれている場合、表示部105には、書類部52のエッジと理想枠51とを一致させるためのガイド53が表示される。図2に示す例においてガイド53は、書類部52のそれぞれの角から、その角に対応する理想枠51のそれぞれの角に向かう矢印である。書類3は矩形であるので、それぞれの角について、ガイド53aないし53dが、表示部105に表示される。逐次表示される画像データについてガイドも逐次表示されるので、このガイドによりユーザは、情報処理装置1をどの方向に向ければ、書類部52のエッジと理想枠51とが一致するかを視覚的に把握することができる。
【0017】
図2に示す例においてガイド53は、矢印で示したが、矢印に限られず、例えばテキストメッセージや音声メッセージで示してもよい。また、第1の実施形態において、書類3と撮影部121との距離について、近い、遠いなどの情報が、ガイドとして通知されてもよい。
【0018】
図3に示すように、第1の実施形態に係る情報処理装置1は、中央処理制御装置101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、入出力インタフェース109および画像データ生成部123が、バス110を介して接続されている。入出力インタフェース109には、入力装置104、表示部105、通信制御装置106、記憶装置107およびリムーバブルディスク108が接続されている。画像データ生成部123には、第1の撮影部121および第2の撮影部が接続されている。
【0019】
撮影部121は、例えばCCDであって、書類3から受けた光を電気信号に変換する。撮影部121は、電気信号を、画像データ生成部122に入力する。撮影部121は、例えば、情報処理装置1に固定され、かつ内蔵されたCCDである。
【0020】
撮影部121は、例えば、情報処理装置1に固定可能であって、USBポート等を介して接続可能なカメラであってもよい。ここで、「固定可能」とは、情報処理装置1と撮影部121が別のハードウェアで構成されており、撮影部121が、フックなどの接続部材によって取り外し可能な状態で情報処理装置1に固定できることを言う。この場合、撮影部121は、USBポートなどの外部インタフェースを介して、中央処理制御装置101に画像データを入力する。
【0021】
画像データ生成部122は、撮影部121から受信した電気信号を画像データに変換して、バス110に送出する回路である。第1の実施形態に係る画像データ生成部122は、画像データ生成部122は、回路基盤により実装されてもよいし、ソフトウェアプログラムによって実装されてもよい。
【0022】
中央処理制御装置101は、入力装置104からの入力信号に基づいてROM102から情報処理装置1を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、さらに記憶装置107に記憶されたオペレーティングシステムを読み出す。さらに中央処理制御装置101は、入力装置104や通信制御装置106などの入力信号に基づいて、各種装置の制御を行ったり、RAM103や記憶装置107などに記憶されたプログラムおよびデータを読み出してRAM103にロードするとともに、RAM103から読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、データの計算または加工など、後述する一連の処理を実現する処理装置である。
【0023】
入力装置104は、操作者が各種の操作を入力するキーボード104a、マウス104bなどの入力デバイスにより構成されており、操作者の操作に基づいて入力信号を作成し、入出力インタフェース109およびバス110を介して中央処理制御装置101に送信される。
【0024】
表示部105は、例えば液晶ディスプレイである。表示部105は、中央処理制御装置101からバス110および入出力インタフェース109を介して表示部105において表示させる出力信号を受信し、例えば中央処理制御装置101の処理結果などを表示する。第1の実施形態に係る情報処理装置1の表示部105には、タッチパネル105aが施されており、ユーザが表示部105の画面をタッチすることにより、入力信号を中央処理制御装置101に送信することができる。
【0025】
通信制御装置106は、LANカードやモデムなどの装置であり、情報処理装置1をインターネットやLANなどの通信ネットワークに接続する装置である。通信制御装置106を介して通信ネットワークと送受信したデータは入力信号または出力信号として、入出力インタフェース109およびバス110を介して中央処理制御装置101に送受信される。
【0026】
記憶装置107は半導体記憶装置や磁気ディスク装置であって、中央処理制御装置101で実行されるプログラムやデータが記憶されている。リムーバブルディスク108は、光ディスクやフレキシブルディスクのことであり、ディスクドライブによって読み書きされた信号は、入出力インタフェース109およびバス110を介して中央処理制御装置101に送受信される。
【0027】
第1の実施形態に係る情報処理装置1の記憶装置107には、情報処理プログラムが記憶されるとともに、図4示すように、記憶装置107は、画像データ記憶部11、理想枠データ記憶部12および保存画像データ記憶部13を備える。また、情報処理プログラムが情報処理装置1の中央処理制御装置101に読み込まれ実行されることによって、取得手段21、位置判定手段22、出力手段25、保存手段28が情報処理装置1に実装される。
【0028】
画像データ記憶部11は、記憶装置107のうち、撮影部121および画像データ生成部122によって生成された画像データ11aが記憶された記憶領域である。画像データ11aは、撮影部121および取得手段21により逐次入力される。
【0029】
理想枠データ記憶部12は、記憶装置107のうち、理想枠データ12aが記憶された記憶領域である。理想枠データ12aは、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の書類3の位置を示すデータである。理想枠データ12aには、表示部105に表示する理想枠51の表示位置のデータや、理想枠51の角の座標位置のデータが含まれてもよい。理想枠データ12aは、後述の判定手段24において、書類部52の位置と比較するときや、理想枠表示手段26において表示部105に理想枠51を表示するときに参照される。書類3の種別や大きさごとに、複数の理想枠データ12aが記憶されてもよい。ユーザが書類3の種別や大きさを入力することにより、その種別や大きさに対応する理想枠データ12aが、判定手段24や理想枠表示手段26において参照される。
【0030】
保存画像データ記憶部13は、記憶装置107のうち保存画像データ13aが記憶された記憶領域である。保存画像データ13aは、ユーザによって入力部104やタッチパネル105aから保存の指示が入力されたタイミングでの画像データ11aである。また、中央処理制御装置101が、図2に示す書類部52のエッジと理想枠51との距離の差分が所定値内になったタイミングを検出すると、ユーザからの保存の指示の入力を待たずに、画像データ11aを、保存画像データ13aとして保存画像データ記憶部13に格納してもよい。
【0031】
取得手段21は、撮影部121によって撮影された電気信号に基づいて、画像データ生成部122で生成された画像データ11aを取得して、取得した画像データ11aを画像データ記憶部11に記憶する。
【0032】
位置判定手段22は、画像データ11aを処理して、撮影部121と書類3との位置関係を判定する。具体的には、位置判定手段22は、画像データ11aから検出された書類のエッジから特定される角の位置と、理想枠データ12aにおける書類の角の位置と、の差分に基づいて、位置関係を判定する。ここで位置関係とは、撮影部121と書類3との角度や、距離などである。撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の書類の角の位置の情報は、理想枠データ記憶部12に記憶された理想枠データ12aとして予め記憶される。位置判定手段22は、画像データ11aがエビデンスデータとしての画質を備える条件を満たしている角度や距離で撮影されたものであるかを、画像データ11aを処理することによって判定する。位置判定手段22は、エッジ検出手段23および判定手段24を備える。
【0033】
エッジ検出手段23は、画像データ11aから、書類3が撮影された部分である撮影部52を特定するために、書類3のエッジを検出する。エッジ検出手段23は、例えば、画像データ11aにおいて色調変化率の大きい部分を、書類3のエッジ部分として検出する。また書類3の色や書類3が設置された机の色などが予めわかっている場合、エッジ検出手段23は、画像データ11aからそれぞれの色の境界を検出して、書類3のエッジとしてもよい。
【0034】
判定手段24は、エッジ検出手段23によって検出された画像データ11aにおける書類3の位置に基づいて、書類部52の角の座標位置を検出する。判定手段24は、検出した書類部3の座標位置と、理想枠データ12aの理想枠51の角の座標位置との差分に基づいて、撮影部121と書類3との位置関係が適切であるかを判定する。判定手段24は、撮影部121と書類3の距離や角度を算出するのではなく、画像データ11aにおける書類部52の位置により、撮影部121と書類3の相対的な位置が、撮影部121で撮影した書類3の画像データ11aが、エビデンスデータとしての画質を備えるような位置であるかを判定する。判定手段24は、エッジ検出手段23によって検出された書類3のエッジから、画像データ11aに含まれる書類3の角の数を算出し、その数に基づいて、書類3と撮影部121との位置関係を判定してもよい。
【0035】
書類3の角の数の算出方法については、様々な方法が考えられる。例えば、エッジ検出手段23が書類部52のエッジを検出することにより、4辺の位置を検出することができる。判定手段24は、そのうち2辺を延伸し、2辺の交点を算出する。交点の座標位置が、画像データ11aの撮影エリア内である場合、判定手段24は、その交点は、画像データ11aに含まれる書類3の角であると判断することができる。
【0036】
出力手段25は、画像データ11aと理想枠511とを表示部105に表示するとともに、位置判定手段22により判定された位置関係に基づいて、位置関係を適切にするためのガイドを出力する。ここで、「位置関係を適切にする」とは、撮影部121と書類3との位置関係が、例えば、書類3をエビデンスデータとして保存する場合、そのエビデンスデータとしての画質を備える画像データを撮影できる位置関係とすることをいう。また、「ガイドを出力」するとは、位置関係の調整のメッセージを、音声データでスピーカー(図示せず)から出力し、またはテキストデータで表示部105に表示することにより、出力することである。
【0037】
出力手段25は、例えば、図2の表示部105に表示するように、表示部105に、画像データ11aをプレビュー表示するとともに、理想枠51およびガイド53を表示する。出力手段25は、理想枠表示手段26およびガイド表示手段27を備える。
【0038】
理想枠表示手段26は、画像データ11aがプレビュー表示された画面上に、理想枠51をさらに表示する。この理想枠51の情報は、書類の種類などによって予め設定されている。理想枠51は、画像データ11aにおける書類3の撮影領域を示すものであるので、書類部52の形状に合致するように、台形形状を有する。理想枠の形状や表示位置は、理想枠データ12aとして、予め記憶装置107に記憶される。
【0039】
ガイド表示手段27は、位置判定手段22によって、撮影部121と書類3との位置関係に調節が必要となった場合に、その調節の方向を示すガイド53を、プレビュー表示された画面上にさらに表示する。出力手段25による出力に基づいて、ユーザは、撮影部121と書類3との位置関係を調節するために、情報処理装置1の位置や書類3の位置などを変更することができる。
【0040】
保存手段28は、ユーザによるタッチパネル105aなどの操作に従って、画像データ11aを、保存画像データ13aとして保存画像データ記憶部13に記憶する。保存手段28は、ユーザによる操作を待たずに、位置判定手段22によって、書類部52と理想枠51とが一致していると判断したタイミングで、自動的に画像データ11aを保存画像データ13aとして記憶してもよい。
【0041】
図5を参照して、第1の実施形態に係る位置判定手段22による位置判定処理を説明する。
【0042】
まずステップS101において位置判定手段22は、記憶装置107の画像データ記憶部11から画像データ11aを読み出す。ステップS102において位置判定手段22は、ステップS101で読み出した画像データ11aから書類3のエッジを検出し、画像データ11aのうち、書類3に対応する書類部52の領域を特定する。
【0043】
ステップS103において位置判定手段22は、ステップS102において特定された書類部52の形状に基づいて、画像データ11aに書類3の角がいくつ含まれているかをカウントし、角の数により、処理を振り分ける。
【0044】
ステップS103において、画像データ11aに含まれる書類3の角の数が0と判定された場合、ステップS104に進む。例えば、図6(a)に示すような場合である。図6(a)は、画像データ11aにおける撮影エリア50に、書類3の書類部52が含まれているものの、その書類3のすべての角が撮影エリア50の外側に存在する状態を示している。この場合、撮影部121と書類3との距離が近すぎる場合が考えられるので、位置判定手段22は、「カメラを遠ざけてください」とメッセージを出力する。また、画像データ11aの色調が書類3の色と異なる場合、位置判定手段22は、「書類を設置してください」とメッセージを出力してもよい。その後位置判定手段22は、ステップS101に戻り新たな画像データを取得する。
【0045】
一方、ステップS103において、画像データ11aに含まれる書類3の角の数が1または2と判定された場合、ステップS105に進む。例えば、図6(b)に示すような場合である。図6(b)は、画像データ11aにおける撮影エリア50に、書類3の書類部52が含まれ、その書類3の角のうち、一つは撮影エリア50の内側に存在しているものの、そのほかの角が撮影エリア50の外側に存在する状態を示している。この場合、書類3と撮影部121の位置を調整する方向を示すガイドを表示するための前処理として、位置判定手段22は、理想枠51と書類部52の各角を対応づけることができない。従ってステップS105において位置判定手段22は、ユーザにカメラ位置の調節を促すために「カメラをずらしてください」とのメッセージを出力する。また、図6(b)に示す場合以外にも、画像データ11aにおける撮影エリア50に、書類3の書類部52が含まれ、その書類3の角のうち、二つは撮影エリア50の内側に存在しているものの、そのほかの二つの角が撮影エリア50の外側に存在する場合も、ステップS105において、位置関係を調整を促すメッセージが出力される。
【0046】
このメッセージは、表示部105に画面表示されてもよいし、音声メッセージでスピーカーから出力されてもよい。また位置判定手段22は、ユーザに書類3の位置の調節を促すために「書類位置をずらしてください」とのメッセージを出力してもよい。その後位置判定手段22は、ステップS101に戻り新たな画像データを取得する。
【0047】
ステップS103において、画像データ11aに含まれる書類3の角の数が3または4と判定された場合、位置判定手段22は、理想枠51と書類部52の各角を対応づけることができるので、ステップS106に進む。例えば図7(a)および図8(a)に示すような場合である。図7(a)は、画像データ11aにおける撮影エリア50の内側に、書類3のすべての角が存在する状態を示している。図8(a)は、画像データ11aにおける撮影エリア50の内側に、書類3の4つの角のうち3つの角が存在する状態を示している。この場合、書類3と撮影部121との位置関係の調節が必要なので、位置判定手段22は、位置関係の調節に必要なガイドを出力するために、ステップS106以降を処理する。
【0048】
ここで第1の実施形態に係る情報処理装置1は、図2に示すように、書類部52の各角から、それに対応する理想枠51の角へのベクトルを表示部105に表示する。このガイドによりユーザは、書類3が理想枠51に合致するように、撮影部121と書類3との位置関係を調整することができる。これを実現するため、ステップS106において位置判定手段22は、ステップS106において、書類部52の各角について、それぞれ対応する理想枠51の角を対応づける。書類部52の各角の座標は、ステップS102における書類部52のエッジにより算出される。また理想枠51の各角の座標は、理想枠データ12aに含まれる。
【0049】
ここで、書類部52の各角とそれぞれ対応する理想枠51の角を対応づけるために、様々な方法が考えられる。例えば、書類部52の各角について、最も近い理想枠51の角を対応づける方法が考えられる。また、書類部52の各角と、任意の理想枠51の角とを対応づけて4ペアを生成し、作成した4ペアについて書類部52の角と理想枠51の角との距離を算出し、各距離の和が最小になるように対応づけることにより、書類部52の各角とそれぞれ対応する理想枠51の角を対応づける方法も考えられる。この対応づけの方法の一例については、後述する。
【0050】
書類部52の各角とそれぞれ対応する理想枠51の角とが対応づけられると、ステップS107において位置判定手段22は、対応づけられたそれぞれのペアについて、書類部52の角からそれに対応する理想枠51の角への距離の和を算出する。ステップS108において位置判定手段22は、ステップS107で算出された距離の和が、所定値内であるか否かを判定する。
【0051】
所定値内でない場合、ステップS109において位置判定手段22は、ステップS106で対応づけられた書類部52の角と理想枠51の角の各ペアについて、書類部52の各角から、対応する理想枠51の角へのベクトルの向きを判定する。
【0052】
ベクトルの向きが内向きの場合とは、例えば、図9(a)に示すような場合である。図9(a)は、画像データ11aを表示部105にプレビュー表示するとともに、書類部52の各角から、それぞれに対応する理想枠51の角へベクトルG1ないしG4を表示した図である。図9(a)は、表示部105に書類部52のすべての角が表示されているものの、理想枠51よりも大きい状態で表示されている。画像データ11aにおいて、理想枠51よりも大きく書類部52が撮影されていると考えられるので、ステップS105において位置判定手段22は、「カメラを遠ざけてください」など、撮影部121と書類3の距離をより大きくする操作を促すメッセージを出力する。例えば位置判定手段22は、予め画像データ11aにおける中心座標を算出し、すべての角のペアについて、理想枠51の角の座標が、対応する書類部52の角の座標より、中心座標により近い場合、ベクトルの向きが内向きで、理想枠51より書類部52が大きいと判定する。メッセージを出力した後、位置判定手段22は、ステップS101に戻り新たな画像データを取得する。
【0053】
一方、ベクトルの向きが外向きの場合とは、例えば、図9(b)に示すような場合である。図9(b)は、表示部105に書類部52のすべての角が表示されているものの、理想枠51よりも小さい状態で表示されている。画像データ11aにおいて、理想枠51よりも小さく書類部52が撮影されていると考えられるので、ステップS110において位置判定手段22は、「カメラを近づけてください」など、撮影部121と書類3の距離をより小さくする操作を促すメッセージを出力する。例えば位置判定手段22は、予め画像データ11aにおける中心座標を算出し、すべての角のペアについて、書類部52の角の座標が、対応する理想枠51の角の座標より、中心座標により近い場合、ベクトルの向きが外向きで、理想枠51より書類部52が小さいと判定する。メッセージを出力した後、位置判定手段22は、ステップS101に戻り新たな画像データを取得する。
【0054】
ステップS108において所定値内であると判定された場合、例えば図10に示すような状態である。図10は、表示部105に書類部52において書類3の4つの角がすべて表示され、理想枠51と書類部52とが重なっている。このように、書類部52と理想枠51とが一致していか、所定値の誤差の範囲ないであると考えられるので、位置判定手段22は処理を終了する。その後、保存手段28により、画像データ11aは保存画像データ13aとして記憶装置107に記憶される。
【0055】
ここで、図8および図9を参照して、図5のステップS106における書類の角と理想枠の角とを対応づける処理を説明する。第1の実施形態に係る情報処理装置1は、撮影部121と書類3との位置関係の調整を支援するために、書類部52の各角からそれに対応する理想枠51の角へのベクトルを、表示部105に表示する。そこで位置判定手段22は、書類部52の各角について、その角に対応する理想枠51の角を、下記のような方法で推測することができる。
【0056】
図7(a)および図8(b)において、理想枠51の各頂点を、E1、E2、E3およびE4と定義し、書類部52の各頂点を、P1、P2、P3およびP4と定義する。ここで、書類部52の頂点Piから理想枠51の頂点Ejへの距離を|Pi−Ej|と表記する。なお、図8(b)に示す図は、撮影エリア50に書類3の3つの頂点のみが含まれている場合を説明するので、理想枠51の頂点E3および書類部52の頂点P3は、表示されていない。
【0057】
書類部52の各角と、任意の理想枠51の角とを対応づけて4ペアを生成し、作成した4ペアについて書類部52の角と理想枠51の角との距離を算出し、各距離の和が最小になるように対応づけることにより、書類部52の各角とそれぞれ対応する理想枠51の角を対応づける方法を説明する。
【0058】
位置判定手段22は、書類部52の4つの角と、任意の理想枠51とすべてのパターンの対応づけを作成し、各パターンについて各角の距離の和を算出する。
【0059】
例えば、P1とE1、P2とE2、P3とE3、P4とE4が対応づけられるパターンの場合、各角の距離の和は、|P1−E1|+|P2−E2|+|P3−E3|+|P4−E4|と算出される。次に、P1とE2、P2とE3、P3とE4、P4とE1が対応づけられるパターンの場合、各角の距離の和は、|P1−E2|+|P2−E3|+|P3−E4|+|P4−E1|と算出される。P1とE3、P2とE4、P3とE1、P4とE2が対応づけられるパターンの場合、各角の距離の和は、|P1−E3|+|P2−E4|+|P3−E1|+|P4−E2|と算出される。P1とE4、P2とE1、P3とE2、P4とE3が対応づけられるパターンの場合、各角の距離の和は、|P1−E4|+|P2−E1|+|P3−E2|+|P4−E3|と算出される。位置判定手段22は、図5のステップS106において、この4つのパターンの距離の和のうち、最も小さい距離となるパターンを、特定して、書類部52の4つの角と、理想枠51の4つの角とを対応づける。
【0060】
ここで、P1とE1、P2とE2、P3とE3、P4とE4が対応づけられるパターンの距離の和が最小になる場合、図7(b)に示すように、ガイド表示手段27は、書類部52の頂点P1から理想枠51の頂点E1へのベクトルG1、書類部52の頂点P2から理想枠51の頂点E2へのベクトルG2、書類部52の頂点P3から理想枠51の頂点E3へのベクトルG3および書類部52の頂点P4から理想枠51の頂点E4へのベクトルG4を、表示部105に表示する。
【0061】
図8(b)に示すように、撮影エリア50に書類部52の角が3つのみ含まれている場合でも、上記と同様に算出して、書類部52の各角とそれぞれ対応する理想枠51の角を対応づけることができる。
【0062】
具体的には、P1とE1、P2とE2、P4とE4が対応づけられるパターンの場合、各角の距離の和は、|P1−E1|+|P2−E2|+|P4−E4|と算出される。次に、P1とE2、P2とE3、P4とE1が対応づけられるパターンの場合、各角の距離の和は、|P1−E2|+|P2−E3|+|P4−E1|と算出される。P1とE3、P2とE4、P4とE2が対応づけられるパターンの場合、各角の距離の和は、|P1−E3|+|P2−E4|+|P4−E2|と算出される。P1とE4、P2とE1、P4とE3が対応づけられるパターンの場合、各角の距離の和は、|P1−E4|+|P2−E1|+|P4−E3|と算出される。位置判定手段22は、図5のステップS106において、この3つのパターンの距離の和のうち、最も小さい距離となるパターンを、特定して、書類部52の3つの角と、理想枠51の3つの角とを対応づける。
【0063】
このように第1の実施形態に係る情報処理装置1は、表示部105に理想枠とともに、調整方向を示すベクトルを表示することにより、ユーザに、撮影部121と書類3との位置関係を容易に調整させることができる。画像データ11aに含まれる書類部52の角の数から、撮影部121と書類3との距離が適切であるかを判断するとともに、書類部52の角と理想枠51の角との距離から、書類3の方向が適切であるかを判断することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
図11を参照して、第2の実施形態に係る情報処理装置1aを説明する。第2の実施形態に係る情報処理装置1aは、図4を参照して説明した第1の実施形態に係る情報処理装置1と比べて、取得手段21が台形補正手段29を備えている点が異なる。また、理想枠データ記憶部12に記憶される理想枠データ12bは、台形補正に適応する理想枠の座標の情報などが含まれる。
【0065】
取得手段21は、撮影部121および画像データ正西部122から入力された画像データを台形補正した画像データ11bを画像データ記憶部に記憶する。位置判定手段22は、その画像データ11bを参照して処理するとともに、出力手段25は、その画像データ11bを表示部105にプレビュー表示する。また、出力手段25の理想枠表示手段26aは、台形補正後の画像データ11bの書類部52aに適合する理想枠データ12bに基づいて、矩形の理想枠51aを表示する。
【0066】
第2の実施形態において、表示部105には、図12に示すような画像が表示される。
【0067】
図12(a)は、撮影部121と書類3とが遠すぎる場合の画面で、第1の実施形態で説明した図9(b)に対応する。図9(b)において、書類部52および理想枠51の形状が台形であるのに対し、図12(a)において、書類部52aおよび理想枠51aの形状は矩形である。
【0068】
図12(b)は、撮影部121と書類3との位置関係が適切な場合の画面で、第1の実施形態で説明した図10に対応する。図10において、書類部52の形状が台形であるのに対し、図12(a)において、書類部52aの形状は矩形である。
【0069】
このように第2の実施形態に係る情報処理装置1aは、台形補正後の図形を表示するので、ユーザが書類3の遠近に違和感を感じることなく、補正することができる。
【0070】
なお、第2の実施形態に係る情報処理装置1aにおいて、取得手段21が台形補正し、台形補正された画像データを位置判定手段22などで参照する場合について説明したが、位置判定手段22において台形補正するなどの処理の順序は問わない。
【0071】
(第3の実施形態)
図13を参照して、第3の実施形態に係る情報処理装置1bを説明する。第3の実施形態に係る情報処理装置1bは、デジタルカメラである。このような情報処理装置1bが、第1の実施形態で説明した処理を実行する回路を備えることにより、第1の実施形態で説明した発明を適用することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
図14を参照して、第4の実施形態に係る情報処理装置1cを説明する。第4の実施形態に係る情報処理装置1cは、ノート型コンピュータである。第4の実施形態に係る情報処理装置1cの表示部の裏面に、撮影部121が設けられており、書類3を撮影することができる。このような情報処理装置1bにも、第1の実施形態で説明した発明を適用することができる。
【0073】
以上説明した少なくとも一つの実施形態に係る情報処理装置は、適切な書類の撮影データを取得することができる。
【0074】
なお、以上説明した少なくとも一つの実施形態に係る情報処理装置の処理の順序は、上記の説明の通りに限定するものではない。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 情報処理装置
3 書類
5 スタンド
11 画像データ記憶部
12 理想枠データ記憶部
13 保存画像データ記憶部
21 取得手段
22 位置判定手段
23 エッジ検出手段
24 判定手段
25 出力手段
26 ガイド表示手段
27 理想枠表示手段
28 保存送信手段
50 撮影部
51 理想枠
52 書類部
53 ガイド
101 中央処理制御装置
102 ROM
103 RAM
104 入力装置
105 表示部
105a タッチパネル
106 通信制御装置
107 記憶装置
108 リムーバブルディスク
109 入出力インタフェース
110 バス
121 撮影部
122 画像データ変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理装置であって、
撮影部と書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠のデータである理想枠データが記憶された記憶装置と、
前記撮影部が前記書類を撮影して生成された画像データを取得して、前記記憶装置に記憶する取得手段と、
前記画像データから検出された前記書類のエッジから特定される角の位置と、前記理想枠データにおける当該書類の角の位置と、の差分に基づいて、前記位置関係を判定する位置判定手段と、
前記画像データと前記理想枠とを表示部に表示するとともに、前記位置判定手段により判定された位置関係に基づいて、前記位置関係を適切にするためのガイドを出力する出力手段
とを備える情報処理装置。
【請求項2】
前記書類が矩形で、前記位置判定手段が前記画像データから前記書類の角の位置を3以上検出した場合、前記出力手段は、前記画像データから特定された角の位置から、前記位置関係が適切な場合の書類の角の位置へのベクトルを、前記ガイドとして前記表示部に表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、前記位置判定手段により判定された位置関係に基づいて、前記書類と前記撮影部との距離の変更を促すガイドを出力する請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理方法であって、
撮影部が書類を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置に記憶するステップと、
前記記憶装置から、前記撮影部と前記書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠のデータを読み出して、前記画像データから検出された前記書類のエッジから特定される角の位置と、前記理想枠データにおける当該書類の角の位置と、の差分に基づいて、前記位置関係を判定するステップと、
前記画像データと、前記理想枠を表示部に表示するとともに、前記位置関係に基づいて、前記位置関係を適切にするためのガイドを出力するステップ
を備える情報処理方法。
【請求項5】
書類を撮影した画像データを処理する情報処理プログラムであって、
コンピュータを、
前記撮影部が前記書類を撮影して生成された画像データを取得して、記憶装置に記憶する取得手段と、
前記記憶装置から、前記撮影部と前記書類との位置関係が適切な場合の当該書類の位置を示す理想枠のデータを読み出して、前記画像データから検出された前記書類のエッジから特定される角の位置と、前記理想枠データにおける当該書類の角の位置と、の差分に基づいて、前記位置関係を判定する位置判定手段と、
前記画像データと、前記理想枠を表示部に表示するとともに、前記位置判定手段により判定された位置関係に基づいて、前記位置関係を適切にするためのガイドを出力する出力手段
として機能させる情報処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−65247(P2012−65247A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209361(P2010−209361)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】