説明

情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム

【課題】受信環境を適切に把握することができる情報を作成する
【解決手段】電界強度測定部21は、基地局から送信電波の電界強度の測定を行う。制御部15は、送信電波の電界強度に基づいて、測定地点において、上記基地局からの送信電波を受信できるか否かを判定し、受信できないと判定した場合、測定地点と基地局の間にある、基地局からの送信電波を遮る遮蔽物を特定する。制御部15は、地図画像を出力するための地図情報であって、受信不能であった地点は、受信不能であることを示す態様で表示され、遮蔽物であると特定された物体は、遮蔽物であることを示す態様で表示される地図情報を作成する作成。本発明は、地図作成装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電波塔からの送信電波の電界強度を、車両に搭載した測定装置で測定し、表示装置に、地図と各測定地点での電界強度を表示するようにした電界強度分布地図作成装置が開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
また各基地局からの電波が直進電波かどうかを特定し、また地上物体を予め登録されている地図情報から認識し、これらに基づいて電波伝搬損失と閉曲線(セル)を求め、端末表示手段に閉曲線の重複する面として表示し、端末の存在する位置エリアを特定するといった技術も開発されている(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−253446号公報
【特許文献2】特開2000−261845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、電界強度の分布や閉曲線が地図情報に対応付けられて表示されるだけで、受信環境を適切に判断することができない場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、受信環境を適切に把握することができる情報を作成することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の情報処理装置は、送信装置からの送信電波の電界強度の測定を行う測定手段と、測定手段により測定された送信電波の電界強度に基づいて、測定地点において、送信装置からの送信電波を受信できるか否かを判定する判定手段と、受信できないと判定された場合、測定地点と送信装置の間にある、送信装置からの送信電波を遮る遮蔽物を特定する特定手段と、地図画像を出力するための地図情報であって、受信不能であった地点は、受信不能であることを示す態様で表示され、遮蔽物であると特定された物体は、遮蔽物であることを示す態様で表示される地図情報を作成する作成手段とを有する。
【0008】
特定手段は、判定手段により測定地点において受信不能であると判定されたとき、送信装置と測定地点の間にある、遮蔽物となり得る物体を検出し、測定地点が移動した結果、判定手段により受信可能であると判定されたとき、検出した遮蔽物となり得る物体を遮蔽物として特定することができる。
【0009】
特定手段は、判定手段により測定地点において受信不能であると判定されたとき、送信装置と測定地点の間にある、遮蔽物となり得る物体を検出し、遮蔽物となり得る物体に、電波の遮蔽に影響を与える変更があった場合、検出した遮蔽物となり得る物体を、遮蔽物として特定することができる。
【0010】
作成手段は、測定手段により測定された電界強度の分布をさらに地図情報に合成することができる。
【0011】
本発明の一側面の情報処理方法は、送信装置からの送信電波の電界強度の測定を行う測定ステップと、送信電波の電界強度に基づいて、測定地点において、送信装置からの送信電波を受信できるか否かを判定する判定ステップと、受信できないと判定された場合、測定地点と送信装置の間にある、送信装置からの送信電波を遮る遮蔽物を特定する特定ステップと、地図画像を出力するための地図情報であって、受信不能であった地点は、受信不能であることを示す態様で表示され、遮蔽物であると特定された物体は、遮蔽物であることを示す態様で表示される地図情報を作成する作成ステップとを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の一側面のプログラムは、地図画像を出力するための地図情報を作成する地図作成処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、送信装置からの送信電波の電界強度の測定を行う測定ステップと、送信電波の電界強度に基づいて、測定地点において、送信装置からの送信電波を受信できるか否かを判定する判定ステップと、受信できないと判定された場合、測定地点と送信装置の間にある、送信装置からの送信電波を遮る遮蔽物を特定する特定ステップと、地図画像を出力するための地図情報であって、受信不能であった地点は、受信不能であることを示す態様で表示され、遮蔽物であると特定された物体は、遮蔽物であることを示す態様で表示される地図情報を作成する作成ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一側面によれば、受信環境を適切に把握することができる情報を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る受信環境情報処理装置1の利用例を示す図である。
【図2】図1の受信環境情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
【図3】受信環境情報取得処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】遮蔽物となり得る建物Wを示す図である。
【図5】図4に示した建物W付近の受信環境を示す図である。
【図6】受信環境地図の一部の表示例を示す図である。
【図7】他の受信環境情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図5に示した建物Wが建てられていなかったときの受信環境を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[受信環境情報処理装置1の利用例]
図1は、本発明の実施の形態に係る受信環境情報処理装置1の利用例を示す図である。この処理装置1は、たとえば自動車などの移動体2に搭載されて移動するものとする。処理装置1は、移動した先の測定地点で送信装置としての基地局3からの送信電波の電界強度を測定し、各測定地点の電界強度と地図情報に基づいて、地図上においてたとえば受信可能な領域、受信不能な領域、または電波を遮蔽する遮蔽物を特定する。処理装置1はまた、特定した受信可能な領域、受信不能な領域、または電波を遮蔽する遮蔽物を、ユーザがそれぞれ認識できる地図(以下、受信環境地図と称する)を作成する。処理装置1は、生成した受信環境地図を表示する。
【0016】
図2は、処理装置1の構成例を示すブロック図である。処理装置1は、受信部11、入力部12、出力部13、記憶部14および制御部15を有して構成されている。受信部11は、電界強度測定部21および位置検出部22を有している。電界強度測定部21は、アンテナ11Aにより受信される電波に基づいて電界強度を測定し、その測定結果を制御部15に通知する。位置検出部22は、たとえば、図示せぬGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して、現在位置(緯度経度)を取得し、取得した位置を制御部15に通知する。なおここではGPS電波を用いて位置を検出したが、他の方法で位置検出を行うこともできる。
【0017】
入力部12は、ボタン、タッチパネル、またはリモコンなどで構成され、それらに対するユーザの操作内容に応じた信号を制御部15に供給する。
【0018】
出力部13は、液晶ディスプレイやスピーカなどで構成され、制御部15から供給された情報を画像表示したり音声出力する。
【0019】
記憶部14には、地図データベース(DB)14Aが記憶されている。地図データベース14Aには、たとえば、建物の位置や高さなどの情報(以下、建物情報と称する)や基地局3の位置などの情報(以下、基地局情報と称する)を含む地図情報が格納されている。なお地図情報は、建物や道路の建造物、および河川等の地形の位置や名称を示す情報データ群で、その情報に基づいて、たとえば出力部13に地図画像を表示したり、図示せぬ印刷装置で地図画像を印刷したり、または音声で出力することができる。
【0020】
記憶部14はまた、受信部11の電界強度測定部21により測定された電界強度を、制御部15を介して入力し、それを記憶する。記憶部14はまた、制御部15が実行するプログラムが記憶されている。なお記憶部14としては、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disk)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact
Disk ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0021】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Member)、RAM(Random Access Memory)等で構成されており、記憶部14に記憶されているプログラムを実行し、各部を制御して、後述する処理を実行する。
【0022】
[受信環境情報取得処理]
図3は、受信環境情報取得処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートを参照して、受信環境情報取得処理を説明する。
【0023】
処理装置1の制御部15は、受信部11を制御して、基地局3からの送信電波の受信を開始させると、ステップS1において、基地局3からの送信電波を受信することができるか否かを判定する。具体的には、受信部11の電界強度測定部21により測定された受信電波の電界強度がある閾値より大きいか、またはそれ以上であるか否かが判定され、閾値より大きい、またはそれ以上であると判定された場合、受信可能であるとされる。一方、電界強度が、閾値以下、またはそれより小さい場合、受信不能であると判定される。なお測定された電界強度は、必要に応じて記憶部14に記憶される。
【0024】
処理装置1が基地局3から十分に近い距離に位置し、基地局3からの送信電波を遮る遮蔽物が存在しない場合、ステップS1で、受信可能であると判定され、処理は、ステップS2に進む。ステップS2において、制御部15は、そのときの測定地点を、受信可能な地点として特定する。受信可能な地点として特定された測定地点は、記憶部14に登録される。具体的には、地図データベース14Aの測定地点の緯度経度情報に対応付けて、受信可能な地点であることを示す情報が記憶される。
【0025】
一方ステップS1で、受信不能であると判定された場合、処理は、ステップS3に進み、制御部15は、測定地点が、遮蔽物がなければ受信できる領域(以下、自由空間における受信可能領域と称する)内であるか否かを判定する。
【0026】
電波の進行を妨げるものがない自由空間では、電波は、距離の二乗に比例して減衰することから、自由空間において基地局3からの試験電波が受信できる最長距離(以下、受信限界距離と称する)を求めることができる。したがって制御部15は、地図データベース14Aを利用して基地局3と測定地点の距離を算出し、その距離が受信限界距離より短いかまたはそれ以下であるか否かを判定する。なおこの例の場合、基地局3からの試験電波の強度に応じて予め求められた受信限界距離が記憶部14に記憶されているものとする。制御部15は、記憶部14から受信限界距離を読み出して、基地局3と測定地点との距離と比較する。
【0027】
図1には、基地局3から受信限界距離L以内またはそれより近い領域である自由空間における受信可能領域Raと、基地局3から受信限界距離Lより離れているかまたはそれ以上離れている領域(以下、自由空間における受信不能領域と称する)Rbが示されている。
【0028】
ステップS3で、自由空間における受信可能領域内であると判定された場合、処理は、ステップS4に進む。自由空間における受信可能領域内に位置しても、たとえば基地局3からの送信電波を遮る遮蔽物が存在する場合(すなわち自由空間でない場合)、受信不能となる場合がある。図4には、遮蔽物となり得る建物Wが示される。建物Wの基地局3がある方向とは反対方向の領域Rcでは、自由空間における受信可能領域内であっても基地局3からの送信電波が建物Wにより遮蔽されるので、領域Rcは、受信不能領域となる。すなわち処理装置1が領域Rc内に位置する場合、ステップS1で受信不能と判定され、ステップS3で、自由空間における受信可能領域内であると判定される。
【0029】
図3に戻りステップS4において、制御部15は、少なくとも基地局3と測定地点の位置を含む地図情報を記憶部14から読み出し、ステップS5において、読み出した地図情報に基づいて遮蔽物となり得る物体が存在するか否かを判定する。たとえば、地図情報において、測定地点と基地局3の間の所定の範囲に存在する建物、丘や山などの物体を検出し、検出した物体(以下、対象物と称する)のそれぞれについて、測定地点が、基地局3と対象物とを結ぶ直線を含む所定の領域(以下、遮蔽領域と称する)内であるか否か(すなわち測定地点が、基地局3からの送信電波がその物体により遮蔽される位置であるか否か)が判定される。
【0030】
具体的には、測定地点から基地局3方向にある建物等の対象物が検出され、その対象物のそれぞれについて、その対象物と基地局3を結ぶ直線を含む遮蔽領域内に測定地点が存在するか否かが判定される。そして、そのような対象物が存在すると判定された場合、遮蔽物となり得る物体が存在すると判定される。
【0031】
たとえば、測定地点が、図5に示す黒丸印の位置Pであり、基地局3と対象物として検出された建物Wとを結ぶ直線Xを含む所定の遮蔽領域XR内に位置する場合、遮蔽物となり得る物体として建物Wが存在すると判定される。本実施例では、遮蔽領域XRが、建物Wにより電波が遮蔽される領域を含むように、遮蔽領域XRの位置や大きさが、たとえば直線X、および建物Wの位置や大きさに応じて予め設定されている。なお図5には、図4に示した建物W付近の様子が示されている。
【0032】
図3に戻りステップS5で、遮蔽物となり得る物体が存在すると判定された場合、ステップS6において、制御部15は、出力部13を制御して、アラームを出力させ、たとえば、遮蔽物によって受信不能となっている可能性がある旨を、ユーザに提示する。ユーザはそのアラームを認識すると、たとえば移動体2を移動させる。
【0033】
次にステップS7において、制御部15は、処理装置1が、遮蔽物となり得る物体の遮蔽領域から出たか否かの判定を、その遮蔽領域から出たと判定するまで繰り返し実行する。
【0034】
たとえば移動体2が移動し、遮蔽物となり得る物体の遮蔽領域から出たと判定された場合、ステップS7でYESの判定がなされ、処理は、ステップS8に進み、制御部15は、受信可能になったか否かを判定し、受信可能になったと判定した場合、ステップS9に進む。このように、遮蔽物となり得る物体の遮蔽領域から出たときに受信可能になった場合、受信できなかった原因は、送信電波が遮蔽物となり得る物体により遮蔽されたためと考えることができる。したがって、遮蔽物となり得る物体とされた物体(図5の例では、建物W)は、遮蔽物であると特定することができる。またステップS1で受信不能であると判定されたときの測定地点(図1の零では、位置P)は、受信不能な地点として特定することができる。
【0035】
そこで、ステップS9において、制御部15は、遮蔽物となり得る物体を、遮蔽物として特定し、ステップS10において、測定地点を、受信不能な地点として特定する。遮蔽物として特定された遮蔽物となり得る物体および受信不能な地点として特定された測定地点は、それぞれ記憶部14に登録される。具体的には、地図データベース14Aの遮蔽物とされた対象物の緯度経度情報に対応付けて、遮蔽物である旨を示す情報が記憶される。また地図データベース14Aの測定地点の緯度経度情報に対応付けて、受信不能である旨を示す情報が記憶される。図5の例では、建物Wが遮蔽物として登録され、地点Pが受信不能な地点として登録される。
【0036】
ステップS3で、自由空間における受信可能領域内ではないと判定されたとき、ステップS5で、遮蔽物となり得る物体が存在しないと判定されたとき、またはステップS8で、受信可能にならなかったと判定されたときは、遮蔽物が特定されなかったとして、ステップS9の処理はスキップされ、ステップS10で、受信不能な地点の登録だけが行われる。
【0037】
以上のように、受信可能な地点、並びに受信不能な地点および遮蔽物が特定されてそれらを示す情報(以下、個々に区別する必要がない場合、受信環境情報と称する)が登録される。すなわちこのようにして受信環境情報が取得される。この処理が、予定した測定区域の各測定地点で行われ、その測定区域における受信環境情報が取得される。
【0038】
[受信環境地図作成処理と受信環境地図表示処理]
測定区域における受信環境情報が取得されると、制御部15は、例えば、入力部12に対する所定の操作に応じて、受信環境情報と、地図情報を合成して、受信環境地図を作成する。具体的には、地図上において、受信可能な地点として登録された地点を含む所定の領域(以下、登録受信可能領域と称する)を、受信可能であることを表す態様で、受信不能な地点として登録された地点を含む所定の領域(以下、登録受信不能領域と称する)を、受信不能であることを表す態様で、そして遮蔽物として登録された物体を、遮蔽物であることを表す態様でそれぞれ出力することができる地図情報が作成される。
【0039】
制御部15はまた、作成した受信環境地図を、出力部13を介して表示する。
【0040】
図6は、受信環境地図の一部の表示例を示す図である。図6の例は、図4や図5に示した建物W付近を含む部分が表示されている。建物Wを囲む道路のうち、基地局3がある方向と反対側にある道路は、登録受信不能領域とされ、受信不能であることを示す態様で表示されている。また建物Wは、遮蔽物を示す態様で表示されている。
【0041】
以上のように、地図上に、受信可能領域、受信不能領域、および遮蔽物をそれぞれの態様で表示するようにしたので、ユーザは、受信可能領域および受信不能領域をそれぞれ認識することができるとともに、遮蔽物によって受信不能となっていることを容易に認識することができる。すなわち受信環境を適切に把握することができる。
【0042】
また、受信可能領域、受信不能領域、遮蔽物を特定することにより、受信不能領域を通過しないような制御や、受信不能領域に入った場合は受信可能領域に案内するような制御が可能になる。
【0043】
[受信環境情報取得処理の他の例]
図7は、受信環境情報取得処理の他の例を示すフローチャートである。ステップS21からステップS25、およびステップS28とS29においては、図3のステップS1からステップS5、およびステップS9とS10における場合と同様の処理が実行されるので、その詳細な説明は省略する。
【0044】
ステップS25で、遮蔽物となり得る物体が存在するか否かを判定された場合、ステップS26において、制御部15は、遮蔽物となり得る物体に、電波の遮蔽に影響を与える変更があったか否かを判定する。たとえば、数年前に、図3に示した処理により得られた受信環境情報に基づく過去の受信環境地図(以下、旧受信環境地図と称する)が記憶部14に記憶されており、制御部15は、その旧受信環境地図を用いて、いま遮蔽物となり得る物体が存在していなかったかまたは増築されて以前と比べ高くなったなどの変更があったか否かを判定する。
【0045】
ステップS26で、遮蔽物となり得る物体に、電波の遮蔽に影響を与える変更があったと判定された場合、ステップS27において、制御部15は、旧受信環境地図では、測定地点が、受信可能な地点として登録されていたか(すなわち登録受信可能領域内であったか)を判定する。
【0046】
ステップS27で、受信可能な地点として登録されていたと判定された場合、ステップS28において、制御部15は、遮蔽物となり得る物体を、遮蔽物として登録する。すなわち遮蔽物となり得る物体が存在しないときにおいて受信可能領域であった場合、いま受信不能となっているのは遮蔽物となり得る物体により電波が遮蔽されていることが原因と考えられるので、遮蔽物となり得る物体は、遮蔽物であると特定することができる。
【0047】
たとえば図5に示す建物Wが、図8に示すように建っておらず、位置Pでは受信可能であった場合、いま位置Pが受信不能となっているのは、建物Wにより電波が遮蔽されていることが原因と考えられるので、建物Wは遮蔽物であると特定することができる。
【0048】
[他の実施例]
以上においては、処理装置1は、移動体2に搭載されて移動する場合を例として説明したが、ユーザが携帯するなどして移動させることもできる。また処理装置1を移動しない場合でも、本発明を適用することも可能である。
【0049】
また以上においては、受信可能領域、受信不能領域、および遮蔽物を登録し、それぞれを、それぞれの態様で表示する場合を例として説明したが、それらのうちの1つまたは2つを登録して表示することもできる。また電界強度の分布を合成して表示することもできる。
【0050】
また以上においては、遮蔽物には所定のハッチが付される場合を例として説明したが、ランドマークや文字等を付すこともできる。
【0051】
また以上においては、地図上の建物等の物体は、遮蔽物であるか否かに関わりなく、通常の地図のように常に表示されるようにすることもできるし、遮蔽物とされた物体だけが表示されるようにすることもできる。
【0052】
また制御部15が実行するプログラムは、記憶部14に記憶されている場合を例として説明したが、制御部15を構成するROMまたはRAMに記憶することもできる。また有線または無線の伝送媒体を介して、図示せぬ通信部で受信し、記憶部14や制御部15のROMまたはRAMに記憶することもできる。
【0053】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0054】
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0055】
またフローチャートにその流れを示した処理は、各ステップが、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくても、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。また適宜処理を省略することもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 受信環境情報処理装置, 3 基地局, 11 受信部, 12 入力部, 13 出力部, 14 記憶部, 15 制御部, 21 電界強度測定部, 22 位置検出部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置からの送信電波の電界強度の測定を行う測定手段と、
上記測定手段により測定された送信電波の電界強度に基づいて、測定地点において、上記送信装置からの送信電波を受信できるか否かを判定する判定手段と、
受信できないと判定された場合、測定地点と送信装置の間にある、上記送信装置からの送信電波を遮る遮蔽物を特定する特定手段と、
地図画像を出力するための地図情報であって、受信不能であった地点は、受信不能であることを示す態様で表示され、遮蔽物であると特定された物体は、遮蔽物であることを示す態様で表示される地図情報を作成する作成手段と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記特定手段は、
前記判定手段により測定地点において受信不能であると判定されたとき、前記送信装置と測定地点の間にある、遮蔽物となり得る物体を検出し、
測定地点が移動した結果、前記判定手段により受信可能であると判定されたとき、検出した遮蔽物となり得る物体を遮蔽物として特定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記特定手段は、
前記判定手段により測定地点において受信不能であると判定されたとき、前記送信装置と測定地点の間にある、遮蔽物となり得る物体を検出し、
遮蔽物となり得る物体に、電波の遮蔽に影響を与える変更があった場合、検出した遮蔽物となり得る物体を、遮蔽物として特定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記作成手段は、前記測定手段により測定された電界強度の分布をさらに前記地図情報に合成する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
送信装置からの送信電波の電界強度の測定を行う測定ステップと、
送信電波の電界強度に基づいて、測定地点において、上記送信装置からの送信電波を受信できるか否かを判定する判定ステップと、
受信できないと判定された場合、測定地点と送信装置の間にある、上記送信装置からの送信電波を遮る遮蔽物を特定する特定ステップと、
地図画像を出力するための地図情報であって、受信不能であった地点は、受信不能であることを示す態様で表示され、遮蔽物であると特定された物体は、遮蔽物であることを示す態様で表示される地図情報を作成する作成ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
地図画像を出力するための地図情報を作成する地図作成処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
送信装置からの送信電波の電界強度の測定を行う測定ステップと、
送信電波の電界強度に基づいて、測定地点において、上記送信装置からの送信電波を受信できるか否かを判定する判定ステップと、
受信できないと判定された場合、測定地点と送信装置の間にある、上記送信装置からの送信電波を遮る遮蔽物を特定する特定ステップと、
地図画像を出力するための地図情報であって、受信不能であった地点は、受信不能であることを示す態様で表示され、遮蔽物であると特定された物体は、遮蔽物であることを示す態様で表示される地図情報を作成する作成ステップと
を含む地図作成処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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