説明

情報処理装置および方法、並びにプログラム

【課題】 視力検査の結果を正確に得ることができるようにする。
【解決手段】 視標読出部49は、ランドルト環を視標記憶部48から読み出す。視標方向変更部50は、乱数発生部51から発生された乱数に基づいて、ランドルト環の切れ目部分の方向を変更する。視標サイズ変更部52は、ランドルト環のサイズを、視力の各レベル値のうちの検査値に対応するサイズに変更する。被験者用表示制御部53は、切れ目部分の方向がランダムに変更されたランドルト環を、検査値に対応するサイズで被験者用表示部14に表示させる。検査結果取得部54は、被験者用キーパッド12の操作内容に基づいて、ランドルト環の切れ目部分の方向を被検者が正しく視認できたのか否かを示す検査結果を取得する。本発明は、視力検査に関する処理を実行する情報処理装置に適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置および方法並びにプログラムに関し、特に、視力検査の正確な検査結果を得ることができる情報処理装置および方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検者による被検者の視力検査が行われる場合、複数のランドルト環が所定の位置に予め印刷されたプレート(以下、視力表と称する)を有する装置が使用されていた(例えば、非特許文献1参照)。即ち、従来、視力表から所定の距離だけ離れた場所に被検者が位置すると、検者は、視力の所定のレベル値を検査対象として、視力表の複数のランドルト環の中から、検査対象のレベル値(以下、検査値と称する)に対応するサイズのランドルト環を1つだけ指定し、そのランドルト環を被検者が正確に視認できたか否かを確認することで、被検者の視力検査を行っていた。
【0003】
ランドルト環とは、アルファベット文字のCに類似した形状を有する、視力検査用の記号をいう。なお、以下、ランドルト環を、便宜上「C」の文字で適宜記述する。
【0004】
詳細には、例えば日本国においては、視力のレベル値の表現方式(以下、視力レベル表現方式と称する)として、被検者が視認可能な最小視角が1分の場合における被検者の視力のレベル値は1.0と表現され、被検者が実際に視認できた最小視角がn分(nは任意の整数値)の場合、被検者の視力のレベル値は1.0÷nの演算値で表現される方式が採用されていることが多い。なお、このような視力レベル表現方式は、「小数視力」と称される。
【0005】
また、例えば日本国においては、5m視力表が採用されていることが多々ある。即ち、5m視力表を利用して被検者の視力検査が行われる場合、被検者は、5m視力表から5m離れた場所に位置し、5m視力表に印刷されている複数のランドルト環のうちの検者により指定された1つを視認し、そのランドルト環のCの切れ目部分は何れの方向であるのかを検者に通知することになる。
【0006】
この場合、5m視力表において、視力のレベル値1.0に対応するランドルト環のサイズは、Cの高さ7.5ミリ、Cの太さ1.5ミリ、かつ、Cの切れ目部分の幅1.5ミリとなる。即ち、この「Cの切れ目部分の幅1.5ミリ」がちょうど、5メートル離れた場所に位置する被検者にとっての視角1分に相当することになる。従って、被検者は、5メートル離れた位置から視力のレベル1.0に該当するランドルト環を視認できれば、即ち、そのCの切れ目部分の方向を視認できれば、レベル値1.0の視力の能力を少なくとも有していることになる。その他、視力のレベル値0.5,0.2,0.1のそれぞれに対応するランドルト環のサイズは、視力のレベル値1.0に対応するランドルト環のサイズと比較すると、2倍、5倍、10倍のそれぞれのサイズになる。
【非特許文献1】湖崎克、田淵昭雄編、「新 眼科スタッフハンドブック」、日本国 南江堂社、2002年10月10日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、被検者が、視力検査の前に、視力表に印刷されているランドルト環のCの切れ目部分の方向を予め記憶してしまうことが多々あり、このような視力表を用いる従来の視力検査では正確な検査結果を得ることが困難である、という課題があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、視力検査の正確な検査結果を得ることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の情報処理装置は、検者により行われる被検者の視力検査であって、ランドルト環を利用する視力検査に関する処理を実行する。この本発明の情報処理装置は、複数のレベル値の中の所定の1つを検査方法に従って決定する検査値決定手段と、検査値決定手段により検査値が決定される毎に、ランドルト環の切れ目部分の方向をランダムに変更する方向変更手段と、ランドルト環のサイズを、検査値決定手段により決定された検査値に対応するサイズに変更するサイズ変更手段と、サイズ変更手段によりサイズが変更され、かつ、方向変更手段により切れ目部分の方向がランダムに変更されたランドルト環を、被検者が利用する表示装置に表示させるように制御する表示制御手段と、表示制御手段の制御により表示装置に表示されたランドルト環の切れ目部分の方向を被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報を、検査値決定手段により決定された検査値についての検査結果として取得する検査結果取得手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
ランドルト環の切れ目部分の方向はm種類(mは2以上の整数値)存在し、m種類の方向のそれぞれに対して1乃至mのそれぞれの整数値が予め対応付けられており、整数値である1乃至mを範囲として、その範囲の中から乱数を発生する乱数発生手段をさらに設け、方向変更手段は、ランドルト環の切れ目部分の方向を、乱数発生手段により発生された乱数に対応する方向に変更するようにすることができる。
【0011】
複数の検査方法の中から1つの検査方法を設定する設定手段をさらに設けるようにすることができる。
【0012】
設定手段により設定される検査方法は、上下法または恒常法であるようにすることができる。
【0013】
本発明の情報処理方法は、検者により行われる被検者の視力検査であって、ランドルト環を利用する視力検査に関する処理を実行する情報処理装置の情報処理方法であって、複数のレベル値の中の所定の1つを検査方法に従って決定する検査値決定ステップと、検査値決定ステップの処理により検査値が決定される毎に、ランドルト環の切れ目部分の方向をランダムに変更する方向変更ステップと、ランドルト環のサイズを、検査値決定ステップの処理により決定された検査値に対応するサイズに変更するサイズ変更ステップと、サイズ変更ステップの処理によりサイズが変更され、かつ、方向変更ステップの処理により切れ目部分の方向がランダムに変更されたランドルト環を、被検者が利用する表示装置に表示させるように制御する表示制御ステップと、表示制御ステップの制御処理により表示装置に表示されたランドルト環の切れ目部分の方向を被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報を、検査値決定ステップの処理により決定された検査値についての検査結果として取得する検査結果取得ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明のプログラムは、検者により行われる被検者の視力検査であって、ランドルト環を利用する視力検査に関する処理を実行する情報処理装置を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、複数のレベル値の中の所定の1つを検査方法に従って決定する検査値決定ステップと、検査値決定ステップの処理により検査値が決定される毎に、ランドルト環の切れ目部分の方向をランダムに変更する方向変更ステップと、ランドルト環のサイズを、検査値決定ステップの処理により決定された検査値に対応するサイズに変更するサイズ変更ステップと、サイズ変更ステップの処理によりサイズが変更され、かつ、方向変更ステップの処理により切れ目部分の方向がランダムに変更されたランドルト環を、被検者が利用する表示装置に表示させるように制御する表示制御ステップと、表示制御ステップの制御処理により表示装置に表示されたランドルト環の切れ目部分の方向を被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報を、検査値決定ステップの処理により決定された検査値についての検査結果として取得する検査結果取得ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の情報処理装置および方法、並びにプログラムにおいては、視力の複数のレベル値の中から所定の1つが検査方法に従って決定される。その際、検査値が決定される毎に、ランドルト環の切れ目部分の方向がランダムに変更され、また、ランドルト環のサイズが、検査値に対応するサイズに変更され、サイズが変更されてかつ切れ目部分の方向がランダムに変更されたランドルト環が、被検者が利用する表示装置に表示され、そのランドルト環の切れ目部分の方向を被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報が、検査値についての検査結果として取得される。
【発明の効果】
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、検者は視力検査を簡単に行うことができる。特に、視力検査の正確な検査結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、請求項に記載の構成要件と、発明の実施の形態における具体例との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、請求項に記載されている発明をサポートする具体例が、発明の実施の形態に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の実施の形態中には記載されているが、構成要件に対応するものとして、ここには記載されていない具体例があったとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、具体例が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その具体例が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0018】
さらに、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明が、請求項に全て記載されていることを意味するものではない。換言すれば、この記載は、発明の実施の形態に記載されている具体例に対応する発明であって、この出願の請求項には記載されていない発明の存在、すなわち、将来、分割出願されたり、補正により追加される発明の存在を否定するものではない。
【0019】
本発明によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置(例えば、図1のハードウエア構成を有し、図8の機能的構成を有する情報処理装置)は、検者(例えば、図2の検者22)により行われる被検者(例えば、図2の被験者21)の視力検査であって、ランドルト環(例えば、図4のランドルト環32)を利用する前記視力検査に関する処理を実行する情報処理装置であって、複数のレベル値の中の所定の1つを検査方法に従って決定する検査値決定手段(例えば、図8の検査制御部42)と、前記検査値決定手段により前記検査値が決定される毎に、前記ランドルト環の切れ目部分の方向をランダムに変更する方向変更手段(例えば、図8の視標方向変更部50)と、前記ランドルト環のサイズを、前記検査値決定手段により決定された前記検査値に対応するサイズに変更するサイズ変更手段(例えば、図8の視標サイズ変更部52)と、前記サイズ変更手段によりサイズが変更され、かつ、前記方向変更手段により前記切れ目部分の方向がランダムに変更された前記ランドルト環を、前記被検者が利用する表示装置(例えば、図1、図2、および図8の被験者用表示部14)に表示させるように制御する表示制御手段(例えば、図8の被験者用表示制御部53)と、前記表示制御手段の制御により前記表示装置に表示された前記ランドルト環の前記切れ目部分の方向を前記被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報(例えば、図8の被験者用キーパッド12の操作内容)を、前記検査値決定手段により決定された前記検査値についての検査結果として取得する検査結果取得手段(例えば、図8の検査結果取得部54)とを備えることを特徴とする。
【0020】
この情報処理装置において、前記ランドルト環の前記切れ目部分の方向はm種類(mは2以上の整数値)存在し、前記m種類の方向のそれぞれに対して1乃至mのそれぞれの整数値が予め対応付けられており、整数値である1乃至mを範囲として、前記範囲の中から乱数を発生する乱数発生手段(例えば、図8の乱数発生部51)をさらに設け、前記方向変更手段は、前記ランドルト環の切れ目部分の方向を、前記乱数発生手段により発生された乱数に対応する方向に変更するようにすることができる。
【0021】
この情報処理装置は、複数の前記検査方法の中から1つの前記検査方法を設定する設定手段(例えば、図9の選択メニュー73の中から所定の検査方法を選択する操作が可能な、図1、図2、および図8の検者用マウス11)をさらに設けるようにすることができる。
【0022】
この情報処理装置において、前記設定手段により設定される前記検査方法は、上下法(例えば、図13と図14の「上下法」に対応する検査制御方法)または恒常法(例えば、図15の「恒常法」に対応する検査制御方法)であるようにすることができる。
【0023】
本発明によれば、情報処理方法が提供される。この情報処理方法(例えば、図11の「視力検査処理」に対応する方法)は、検者により行われる被検者の視力検査であって、ランドルト環を利用する前記視力検査に関する処理を実行する情報処理装置(例えば、図8の機能的構成を有する情報処理装置)の情報処理方法であって、複数のレベル値の中の所定の1つを検査方法に従って決定する検査値決定ステップ(例えば、後述する「上下法」に従う視力検査においては、図13と図14の「上下法処理」のうちの特にステップS52、S62、S64、およびS67等の処理。また例えば、後述する「恒常法」に従う視力検査においては、図15の「恒常法処理」のうちの特にステップS82の処理)と、前記検査値決定ステップの処理により前記検査値が決定される毎に、前記ランドルト環の切れ目部分の方向をランダムに変更する方向変更ステップ(例えば、後述する「上下法」に従う視力検査においては、図13と図14との「上下法処理」のステップS56の処理。また例えば、後述する「恒常法」に従う視力検査においては、図15の「恒常法処理」のステップS84の処理)と、前記ランドルト環のサイズを、前記検査値決定ステップの処理により決定された前記検査値に対応するサイズに変更するサイズ変更ステップ(例えば、後述する「上下法」に従う視力検査においては、図13と図14との「上下法処理」のステップS57の処理。また例えば、後述する「恒常法」に従う視力検査においては、図15の「恒常法処理」のステップS85の処理)と、前記サイズ変更ステップの処理によりサイズが変更され、かつ、前記方向変更ステップの処理により前記切れ目部分の方向がランダムに変更された前記ランドルト環を、前記被検者が利用する表示装置に表示させるように制御する表示制御ステップ(例えば、後述する「上下法」に従う視力検査においては、図13と図14との「上下法処理」のステップS58の処理。また例えば、後述する「恒常法」に従う視力検査においては、図15の「恒常法処理」のステップS86の処理)と、前記表示制御ステップの制御処理により前記表示装置に表示された前記ランドルト環の前記切れ目部分の方向を前記被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報を、前記検査値決定ステップの処理により決定された前記検査値についての検査結果として取得する検査結果取得ステップ(例えば、後述する「上下法」に従う視力検査においては、図13と図14との「上下法処理」のステップS59の処理。また例えば、後述する「恒常法」に従う視力検査においては、図15の「恒常法処理」のステップS87の処理)とを含むことを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明によれば、上述した本発明の情報処理方法に対応するプログラムや、そのプログラムが記録された記録媒体が提供される。この場合、このプログラムは、例えば、図5のCPU1により実行される。
【0025】
次に、図面を参照して、本発明を適用した情報処理装置の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本発明を適用した情報処理装置のハードウエア構成例を表している。
【0027】
図1の情報処理装置において、CPU(Central Processing Unit)1は、ROM(Read Only Memory)2に記録されているプログラム、または記憶部8からRAM(Random Access Memory)3にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。例えば、詳細については後述するが、CPU1は、検者により行われる被検者の視力検査に関する各種処理を実行する。RAM3にはまた、CPU1が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0028】
CPU1、ROM2、およびRAM3は、バス4を介して相互に接続されている。このバス4にはまた、入出力インタフェース5も接続されている。
【0029】
入出力インタフェース5には、検者用マウス11や被検者用キーパッド12を含む入力部6、検者用表示部13や被検者用表示部14を含む出力部7、ハードディスクなどよりなる記憶部8、および、モデムやターミナルアダプタなどよりなる通信部9が接続されている。検者が被検者の視力検査を行う場合に、検者用マウス11と検者用表示部13とは検者により利用され、一方、被検者用キーパッド12と被検者用表示部14とは被検者により利用される。なお、検者用マウス11乃至被検者用表示部14が検者または被検者により如何にして利用されるのかについては後述する。また、通信部9は、インターネットを含む図示せぬネットワークを介して図示せぬ他の情報処理装置との間の通信を制御する。
【0030】
入出力インタフェース5にはまた、必要に応じてドライブ10が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体16が適宜装着され、そのリムーバブル記録媒体16から読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部8にインストールされる。
【0031】
また、本実施の形態の情報処理装置には筺体15が設けられており、この筺体15の内部には、上述したCPU1乃至入出力インタフェース5並びに記憶部8乃至ドライブ10が搭載されている。
【0032】
本実施の形態では、図1のハードウエア構成の情報処理装置を利用して検者が被検者の視力検査を行う場合、その情報処理装置は例えば図2に示されるように配置される。即ち、図2は、図1のハードウエア構成の情報処理装置の配置例を説明するための図である。
【0033】
詳細には、本実施の形態では例えば図2に示されるように、被検者用表示部14は、その表示画面14−1と被検者21とが所定の距離dだけ離間するように配置され、被検者用キーパッド12は被検者21により操作可能な場所に配置される。なお、距離dについては後述する。
【0034】
また、検者用マウス11と検者用表示部13とは、検者22が利用可能な場所に配置される。筐体15は、検者用マウス11乃至被検者用表示部14と電気的に接続可能な任意の場所に配置される。
【0035】
ここで、図2を参照して、検者22が被検者21の視力検査を行う場合における、被検者21にとっての検査手順について説明する。なお、視力検査に伴う情報処理装置側の処理の説明や、検者22にとっての検査手順の説明については、ここでは概略を述べるに留め、それらの詳細については図8以降の図面を参照して後述する。
【0036】
被検者21にとっての検査手順とは、例えば次の第1の手順乃至第4の手順である。即ち、被検者21は、次の第1の手順乃至第4の手順のそれぞれをその順番に行っていく。
【0037】
第1の手順とは、被検者21が、被検者用表示部14の表示画面14−1から距離dだけ離間した場所に位置して、その表示画面14−1を見るといった手順である。
【0038】
この第1の手順の後、検者22は、視力検査の開始を図1のCPU1に対して指示する。すると、CPU1は、被検者用表示部14の表示画面14−1の所定の位置に視標を表示させる。
【0039】
第2の手順とは、被検者21が、右目と左目とのうちの検査対象の目でその視標を視認し、その視認結果を情報処理装置に入力させるために、被検者用キーパッド12を利用して所定の操作を行うといった手順である。
【0040】
なお、第2の手順として被検者21により行われる操作は、被検者用表示部14の表示画面14−1に表示される視標のタイプにより異なる。具体的には例えば、本実施の形態では、図3乃至図7のそれぞれに示される各種タイプの視標が利用可能とされている。即ち、図3乃至図7のそれぞれは、被検者用表示部14の表示画面14−1に表示される視標のタイプの各例を示している。詳細には、図3の例では、視標のタイプとして、固定視標31(固視標31と称される場合も多々ある)が表示画面14−1に表示されている。図4の例では、視標のタイプとして、1つのランドルト環32が表示画面14−1に表示されている。図5の例では、視標のタイプとして、複数のランドルト環からなる字詰まり視標33が表示画面14−1に表示されている。図6の例では、視標のタイプとして、乱視表34が表示画面14−1に表示されている。図7の例では、視標のタイプとして、2つのランドルト環を含む赤色(図7においては白黒表示のため濃い灰色)の視標35−Rと、2つのランドルト環を含む緑色(図7においては白黒表示のため薄い灰色)の視標35−Gとが表示画面14−1に表示される。即ち、図7の視標35−Rと視標35−Gとは、いわゆる赤緑テストで利用される視標のタイプである。
【0041】
以下、これらの各種タイプのうちの、図4の1つのランドルト環32を利用した視力検査が行われる場合の第2の手順について説明する。
【0042】
即ち、詳細については後述するが、第1の手順が行われた後、CPU1は、はじめに、図3の固定視標31を、被検者用表示部14の表示画面14−1の中央に表示させ、次に、固定視標31を消去させた後、図4の1つのランドルト環32を、視力の各レベル値のうちの検査値に対応するサイズで、表示画面14−1の中央に表示させる。
【0043】
この間、図2の被検者21は、左目と右目とのうちの検査対象の目で、被検者用表示部14の表示画面14−1の中央を注視し続ける。そして、被検者21は、1つのランドルト環32が表示画面14−1の中央に表示されたとき、そのランドルト環32のCの切れ目部分の方向を視認し、視認したその方向を、被検者用キーパッド12を操作することでCPU1に通知する。なお、被検者21は、ランドルト環32のCの切れ目部分を視認できなかった場合、即ち、Cの切れ目部分の方向がわからなかった場合、被検者用キーパッド12による所定の操作を行うことで、ランドルト環32の切れ目部分を視認できなかったことをCPU1に通知する。このような被検者21の一連の操作が、第2の手順として行われる。
【0044】
このような第2の手順が行われた場合、CPU1は、被検者用キーパッド12の操作内容等に基づいて、被検者21からの通知内容を認識する。そして、CPU1は、被検者21からの通知内容に基づいて、被検者用表示部14に表示されている(または直前に表示された)ランドルト環32のCの切れ目部分が被検者21により正しく視認されたのか否かを判定し、その判定結果を検査結果として取得する。
【0045】
なお、以下、ランドルト環32のCの切れ目部分が被検者21により正しく視認されたという検査結果を、「正答」と称する。これに対して、ランドルト環32の切れ目部分が被検者21により正しく視認されなかったという検査結果を、「誤答」と称する。即ち、被検者21が通知してきた方向が、ランドルト環32のCの切れ目部分の実際の方向と一致していた場合、「正答」がCPU1により取得される。これに対して、被検者21が通知してきた方向が、ランドルト環32のCの切れ目部分の実際の方向とは異なっていた場合、または、被検者21が、ランドルト環32のCの切れ目部分を視認できなかった場合も、「誤答」がCPU1により取得される。
【0046】
CPU1は、「正当」または「誤答」の検査結果を取得すると、ランドルト環32を一旦消去して、図3の固定視標31を被検者用表示部14の表示画面14−1の中央に再度表示させる。そして、CPU1は、検査値を更新し(更新の中には、前回の検査値のまま保持することも含む)、更新後の検査値に対応するサイズのランドルト環32を表示画面14−1の中央に再度表示させる。その後、CPU1は、「正当」または「誤答」の検査結果を取得する毎に、このような処理を繰り返し実行していく。
【0047】
ここで注目すべき点は、本実施の形態では、ランドルト環32が一旦消去された後、新たなランドルト環32が被検者用表示部14の表示画面14−1に表示される場合、そのCの切れ目部分の方向がランダムに更新される点である。即ち、詳細については後述するが、CPU1は、新たなランドルト環32を表示画面14−1の中央に表示させる場合、新たなランドルト環32を、検査値に対応するサイズで、かつ、そのCの切れ目部分が更新された方向に配置されるように、表示画面14−1の中央に表示させる、という点である。
【0048】
従って、被検者21の目には、表示画面14−1におけるランドルト環32の表示が更新される毎に、そのCの切れ目部分の方向もランダムに更新されていくように映ることになる。
【0049】
このように、本実施の形態では、新たなランドルト環32が表示される場合、そのCの切れ目部分の方向がランダムに更新されるので、被検者21はその方向を予測することは実質上不可能であり、その結果、CPU1は、視力検査の正確な検査結果を取得することが可能になる。即ち、CPU1は、ランドルト環32のCの切れ目部分を被検者21が実際に視認できたのか否かを正確に検出することが可能になる。
【0050】
即ち、上述したように、従来においては、被検者は、視力表に印刷されたランドルト環のCの切れ目部分の方向を視力検査前に予め記憶してしまうことが多々あり、その結果、ランドルト環のCの切れ目部分を実際に視認できなくても、予め記憶している方向を通知してしまうことが多々あった。このため、CPU1は、検査結果として、本来「誤答」を取得しなければいけないところ「正答」を取得してしまうという課題、即ち、視力検査の正確な検査結果を得ることができないという課題が生じていた。
【0051】
これに対して、本実施の形態では、被検者用表示部14の表示画面14−1に順次表示されていく各ランドルト環32のCの切れ目部分の方向はランダムに更新されていくので、被検者21は、その方向を予測することは実質上不可能である。その結果、被検者21が、ランドルト環32のCの切れ目部分を実際に視認できない場合には、CPU1は、「誤答」という正確な検査結果をほぼ確実に取得することが可能になる。即ち、本実施の形態では、上述した従来の課題を解決することが可能になる。
【0052】
以上の内容をまとめると、最初に、所定のサイズのランドルト環32が表示されて、上述した第2の手順が被検者21により行われる。それ以降、被検者21の目には、そのランドルト環32の表示内容が順次更新されていくように映る。ランドルト環32の表示内容とは、そのCのサイズや、そのCの切れ目部分の方向をいう。
【0053】
そこで、被検者21は、次のような第3の手順を行うことになる。即ち、このようにして被検者用表示部14の表示画面14−1におけるランドルト環32の表示内容が更新されていく毎に、被検者21が第2の手順と同様の手順を繰り返し行っていく、といった手順が第3の手順である。換言すると、被検者21が、ランドルト環32の表示内容が更新されていく毎に、そのランドルト環32のCの切れ目部分の方向をその都度視認し、その視認結果(視認した方向、または、視認できなかったということ)を、被検者用キーパッド12を操作することでCPU1に通知する、といった手順が第3の手順である。
【0054】
このような第3の手順が行われている間、CPU1は、上述したように、被検者21からの各通知内容に基づいて「正答」または「誤答」の検査結果を取得していき、検査結果を取得する毎に、被検者用表示部14の表示画面14−1におけるランドルト環32の表示内容を更新させる、といった一連の処理を繰り返し実行していく。このような一連の処理の繰り返しは、所定の終了条件が満たされるまで行われる。
【0055】
そして、所定の条件が満たされると、CPU1は、これまで取得した各検査結果を参照して、被検者21の検査対象の目の視力値を確定し、その視力値を、検者用表示部13に表示させる。このとき、CPU1は、これまで取得した各検査結果も検者用表示部13に表示させることができる。或いは、CPU1は、これまで取得した各検査結果のみを検者用表示部13に表示させるに留め、被検者21の検査対象の目の視力値の確定を自分自身では行わずに検者22に委ねることもできる。
【0056】
なお、上述した視力の検査値の更新方法や終了条件は、視力検査の検査方法によって異なる。具体的には例えば、本実施の形態では、視力検査の検査方法として、「通常の測定法」、「上下法」、「恒常法」、および「手動」と称される4つの検査方法が利用可能とされている。従って、本実施の形態では、これらの4つの検査方法のうちの何れの方法で視力検査が行われているのかによって、検査値の更新方法や終了条件も異なることになる。ただし、「通常の測定法」、「上下法」、「恒常法」、および「手動」のそれぞれの詳細(検査値の更新方法や終了条件も含む)については、図12乃至図16のそれぞれのフローチャートを参照して後述する。
【0057】
このようにして、検者22は、被検者21の検査対象の目の視力検査の最終的な結果、即ち、被検者21の検査対象の目の視力値を得た後に、被検者21の検査対象の目の視力検査を終了させることを所望した場合、そのことをCPU1に対して指示する。すると、CPU1は、視力検査が終了したというメッセージを被検者用表示部14の表示画面14−1に表示させる。
【0058】
このようにして視力検査が終了したというメッセージが被検者用表示部14の表示画面14−1に表示されると、被検者21は、右目と左目とのうちの一方の目の視力検査が終了したことを認識する。そして、他方の目の視力検査が未実施の場合には、被験者21は、検査対象の目を他方の目に変更して、上述した第1の手順乃至第3の手順を行う。これに対して、他方の目の視力検査も実施済の場合には、被験者21は、視力検査全体が終了したことを認識して所定の動作を行う(例えば、被検者用表示部14から離れる等)。このような手順が第4の手順である。
【0059】
以上の第1の手順乃至第4の手順が被検者21によりその両目に対して行われると、被検者21の視力検査の全てが終了することになる。
【0060】
以上の第1の手順乃至第4の手順による視力検査が行われる場合には、図1のハードウエア構成の情報処理装置の機能的構成は例えば図8に示されるようになる。即ち、図8は、本発明を適用した情報処理装置の機能的構成例を示している。
【0061】
図8に示されるように、以上の第1の手順乃至第4の手順による視力検査が行われる場合には、本発明を適用した情報処理装置は、例えば、上述した検者用マウス11、被検者用キーパッド12、検者用表示部13、および、被検者用表示部14に加えて、操作内容認識部41乃至検査結果記憶部55を含むように構成される。
【0062】
本実施の形態では、情報処理装置のハードウエア構成は上述した図1の構成とされていることから、操作内容認識部41乃至視力レベル表現方式決定部47並びに視標読出部49乃至検査結果取得部54といった機能ブロックは例えば、主に、図1のCPU1が実行するソフトウエアモジュールとして構成されているとする。なお、主にと記述したのは、ソフトウエア単体ではなく、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせで構成されている機能ブロックも存在する可能性があるからである。
【0063】
また、本実施の形態では、視標記憶部48と検査結果記憶部55とは、例えば図1の記憶部8またはRAM3の一領域として構成されているとする。
【0064】
以下、操作内容認識部41乃至検査結果記憶部55のそれぞれの詳細についてその順番で説明していく。
【0065】
操作内容認識部41は、図2の検者22により検者用マウス11が操作された場合、検者用マウス11から入力されてくる信号の内容と、その操作時点の状況とに基づいて、検者22の操作内容を認識する。そして、操作内容認識部41は、認識した操作内容を、検査制御部42並びに視標タイプ決定部45乃至視力レベル表現方式決定部47のうちの少なくとも1つに通知する。
【0066】
検査制御部42は、操作内容認識部41からの通知内容の他、視標タイプ決定部45乃至視力レベル表現方式決定部47からの各通知内容(これらの各通知内容については後述する)に基づいて、上述した第1の手順乃至第4の手順で行われる視力検査の実行を制御する。具体的には、検査制御部42は、検者用画像生成部43並びに視標読出部49乃至検査結果記憶部55のそれぞれの処理を制御することで、視力検査の実行を制御する。
【0067】
検者用画像生成部43は、検査制御部42の制御に基づいて、視力検査前の各種選択操作や視力検査中の各種指示操作を検者22が行ったり、視力検査後にその検査結果を検者22に呈示する場合に利用される画像(以下、検者用画像と称する)に対応する画像データを生成する。このとき、検者用画像生成部43は、検査制御部42から提供される各種情報を適宜参照する。検査制御部42から検者用画像生成部43に供給される情報としては、例えば、操作内容認識部41から検査制御部42に通知される検者用マウス11の操作内容、視標タイプ決定部45乃至視力レベル表現方式決定部47のそれぞれから検査制御部42に通知される内容(これらの内容については後述する)、および、検査結果取得部54から検査制御部42に通知される「正答」または「誤答」といった検査結果が存在する。
【0068】
検者用表示制御部44は、検者用画像生成部43から供給された画像データに対応する検者用画像を、検者用表示部13に表示させるように制御する。
【0069】
具体的には例えば、検者用画像生成部43は、例えば図9に示される画像を検者用画像のひとつ(または一部分)として、それに対応する画像データを生成し、検者用表示制御部44に提供する。検者用表示制御部44は、検者用画像生成部43から供給された画像データに対応する図9の画像を検者用表示部13に表示させる。
【0070】
即ち、図9の画像は、検者用画像の一例である。以下、図9の検者用画像の詳細について説明する。
【0071】
図9の画像において、その左上方にはプルダウンメニュー71とプルダウンメニュー72とがその順番で上から順に配置され、それらの右方には選択メニュー73が配置され、その右方には表示領域74とソフトウエアボタン75とがその順番で上から順に配置され、さらにその右方には表示領域76が配置されている。また、図9の画像において、プルダウンメニュー72の下方には、ソフトウエアボタン77乃至ソフトウエアボタン81並びにプルダウンメニュー82およびプルダウンメニュー83がその順番で上から順に配置され、それらの右方には、表示領域84乃至表示領域86がその順番で配置され、表示領域84乃至表示領域86のそれぞれの上方には、選択ボックス87乃至選択ボックス89のそれぞれが配置されている。また、図9の画像において、表示領域86と選択ボックス89との右方には、表示領域90が配置されている。
【0072】
プルダウンメニュー71は、その上方に「視標呈示時間 ms」と記述されているように、検者22が検者用マウス11を操作して、予め設定されている幾つかの時間の中から所定の1つを「視標呈示時間 ms」として選択するためのメニューである。「視標呈示時間 ms」とは、1つの視標が被検者21に呈示される時間(ms)、即ち、1つの視標が被検者用表示部14に表示され続ける時間(ms)をいう。
【0073】
プルダウンメニュー72は、その上方に「1視標での試行回数」と記述されているように、検者22が検者用マウス11を操作して、予め設定されている幾つかの回数の中から所定の1つを「1視標での試行回数」として選択するためのメニューである。「1視標での試行回数」とは、検査値についての視力検査を行うための視標が被検者21に呈示される回数、即ち、1つの検査値について取得される検査結果の総数をいう。
【0074】
具体的には例えば、図9の例では、「視標呈示時間」として500msが、「1視標での試行回数」として10回が、それぞれ検者22により選択されていることがわかる。これらの選択内容がそのまま設定され、かつ、視標のタイプとして図4の1つのランドルト環32が利用されて、被検者21の視力検査が行われる場合、ランドルト環32が所定のサイズで500msの間だけ表示されては消去されていく動作が、視力検査全体で10回だけ行われることになる。
【0075】
選択メニュー73は、それに記述されているように、検者22が検者用マウス11を操作して、「通常の測定法」、「上下法」、「恒常法」、「手動」の中から所定の1つを「測定法」として選択するためのメニューである。「測定法」とは、被検者21の視力検査で利用される検査方法をいう。具体的には例えば図9の例では、「恒常法」が検者22により選択されていることがわかる。なお、「通常の測定法」、「上下法」、「恒常法」、「手動」のそれぞれの詳細については、図12乃至図16のそれぞれを参照して後述する。
【0076】
表示領域74には、被検者用表示部14に現在表示されているまたは直前に表示された視標についての検査結果が表示される。詳細には、図9に示されるように、表示領域74には、「視標」、「視標の方向 答」、「反応時間s」、および「試行数」が表示される。「視標」とは、現在利用されている視標のタイプをいう。「視標の方向 答」とは、その視標についての検査結果、即ち、「正答」または「誤答」をいう。より正確には本実施の形態では、「視標の方向 答」として、「正答」または「誤答」を示すシンボル、例えば、○印(白い丸の印)または×印(ばつの印)が表示される。「反応時間 s」とは、1つの視標が表示されてから(表示が更新されてから)、被検者用キーパッド12が被検者21により操作されるまでに要した時間をいう。「試行数」とは、検査値の視力検査を行うための視標が、被検者21に対して現在何回呈示されたのかを示す値をいう。例えば、視標のタイプとして上述した図4の1つのランドルト環32が利用される場合には、検査値に対応するサイズのランドルト環32が被検者21に対して現在までに何回呈示されたのかを示す値が「試行数」である。
【0077】
「字詰まり視標」と記述されたソフトウエアボタン75は、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして上述した図5の字詰まり視標33を検者22が選択する場合に押下されるボタンである。即ち、検者22は、検者用マウス11を利用してソフトウエアボタン75を押下することで、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして、字詰まり視標33を選択することができる。
【0078】
表示領域76には、被験者21に関する情報が表示される。具体的には、表示領域76において、「被験者名」という記述の右方のボックスには、被験者21の氏名等が表示され、「ID」という記述の右方のボックスには、被験者21を特定する識別子が表示され、また、「備考」という記述の右方のボックスには被験者21に関するその他の情報が表示される。
【0079】
「検査開始」と記述されたソフトウエアボタン77は、被検者21の視力検査の開始を指示する場合に検者22により押下されるボタンである。即ち、検者22は、検者用マウス11を利用して検査開始ボタン77を押下することで、被検者21の視力検査の開始を指示することができる。
【0080】
「終了」と記述されたソフトウエアボタン78は、被検者21の視力検査の終了を指示する場合に検者22により押下されるボタンである。即ち、このソフトウエアボタン78が押下されると、図示はしないが、視力検査が終了したというメッセージが被検者用表示部14に表示されることになる。
【0081】
「測定再開」と記述されたソフトウエアボタン79は、被検者21の視力検査の一時中断中にその再開を指示する場合に検者22により押下されるボタンである。
【0082】
「乱視標呈示」と記述されたソフトウエアボタン80は、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして上述した図6の乱視標34を検者22が選択する場合に押下されるボタンである。即ち、検者22が検者用マウス11を利用してソフトウエアボタン80を押下すると、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして乱視標34が設定される。そして、乱視標34が、図6に示されるように被検者用表示部14の表示画面14−1の中央に表示される。
【0083】
「RED GREEN」と記述されたソフトウエアボタン81は、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして上述した図7の視標35−Rと視標35−Gとを検者22が設定する場合に、即ち、被検者21に対して赤緑テストを検者22が実行する場合に押下されるボタンである。即ち、検者22が検者用マウス11を利用してソフトウエアボタン81を押下すると、図7の視標35−Rと視標35−Gとが、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして設定される。そして、視標35−Rと視標35−Gとが、図7に示されるように被検者用表示部14の表示画面14−1に表示されて、赤緑テストが行われる。
【0084】
このように、ソフトウエアボタン75、ソフトウエアボタン80、および、ソフトウエアボタン81のそれぞれは、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして、図5の字詰まり視標33、図6の乱視標34、並びに、図7の視標35−Rおよび視標35−Gのそれぞれを検者22が選択する場合に押下されるボタンである。換言すると、ソフトウエアボタン75、ソフトウエアボタン80、および、ソフトウエアボタン81のいずれも押下されない場合には、上述した図4の1つのランドルト環32が、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして強制的に設定されることになる。
【0085】
プルダウンメニュー82は、その上方に「検査距離 mm」と記述されているように、検者22が検者用マウス11を操作して、予め設定されている幾つかの距離の中から所定の1つを「検査距離 mm」として選択するためのメニューである。「検査距離 mm」とは、上述した図2の距離d(mm)をいう。即ち、検者22は、例えば、このプルダウンメニュー82で選択した「検査距離 mm」を距離d(mm)として確定した後に、被検者用表示部14の表示画面14−1から距離d(mm)だけ離間した場所に被検者21を位置させて、被検者21の視力検査を行うことができる。或いは、被検者21が自分自身の所望する場所に位置した後に、検者22が、被検者21と表示画面14−1との間の距離d(mm)を測定し、プルダウンメニュー82により、その測定結果である距離d(mm)を「検査距離 mm」として選択することができる。
【0086】
いずれの場合であっても、図9の例では、「検査距離 mm」として5000mm、即ち、5mが検者22により選択されているので、被検者21と表示画面14−1との間の距離d(mm)は5000mmであるとして、被検者21の視力検査が行われることになる。即ち、例えば、視標のタイプとして図4の1つのランドルト環32が設定されて、かつ、視力レベル表現方式として「小数視力」が設定されて被検者21の視力検査が行われる場合、視力の検査値が1.0に設定されると、上述した従来の5m視力表と同様に、Cの高さ7.5ミリ、Cの太さ1.5ミリ、かつ、Cの切れ目部分の幅1.5ミリのランドルト環32が被検者用表示部14の表示画面14−1の中央に表示されることになる。
【0087】
なお、視力の検査値が1.0に設定されている場合に、Cの高さ7.5ミリ、Cの太さ1.5ミリ、かつ、Cの切れ目部分の幅1.5ミリのランドルト環32を表示画面14−1に表示させるためには、より一般的な表現に直すと、検査値に対応するサイズのランドルト環32を表示画面14−1に表示させるためには、上述した「検査距離 mm」の他、「ディスプレイの横幅 mm」も必要になる。「ディスプレイの横幅 mm」とは、表示画面14−1の横方向のサイズ(mm)をいう。表示画面14−1の横方向のサイズとは、表示画面14−1を構成する4辺のうちの、被験者用表示部14の配置位置における水平方向に近い方向の辺の長さをいう。この「ディスプレイの横幅 mm」を設定するためのメニューとして、プルダウンメニュー83が設けられている。即ち、プルダウンメニュー83は、検者22が検者用マウス11を操作して、予め設定されている幾つかの長さの中から所定の1つを「ディスプレイの横幅 mm」として選択するためのメニューである。
【0088】
表示領域84乃至表示領域86のそれぞれには、「小数視力」、「分数視力」、および「logMAR」のそれぞれが取り得るレベル値が表示されている。上述したように、「小数視力」は、日本国において広く利用されている視力レベル表現方式である。また、その他の視力レベル表現方式として、表示領域85に示されるように視力の各レベル値を分数で表現する「分数視力」、表示領域86に示されるように視力の各レベル値を対数で表現する「logMAR」、および、表示領域90に示されるような「対数視力」などが存在する。
【0089】
なお、表示領域84において2乃至0.8のレベル値は反転表示されているが、この反転表示の意味については後述する。
【0090】
選択ボックス87乃至選択ボックス89のそれぞれは、被検者21の視力検査に利用する視力レベル表現方式として、それらの下方の表示領域84乃至表示領域86のそれぞれに対応する「小数視力」、「分数視力」、および「logMAR」のそれぞれを検者22が選択する場合にチェックされるボックスである。即ち、選択ボックス87乃至選択ボックス89のうちの所定の1つのみがチェック可能とされており、チェックされた選択ボックスの下方の表示領域に対応する視力レベル表現方式が選択されることになる。具体的には例えば図9の例では、選択ボックス87がチェックされていることから、その下方の表示領域84に対応する「小数視力」が選択されていることになる。
【0091】
表示領域90には、「分数視力」と「小数視力」との相互換算表、および、「対数視力」と「logMAR」との相互換算表が表示されている。
【0092】
以上、図9を参照して、検者用画像の一例について説明した。
【0093】
その他、検者用画像として、例えば図10に示される画像91も検者用表示部13に表示される。即ち、図10には、検者用画像の他の例として、被検者21の視力検査の検査結果を示す検者用画像91が示されている。検者用画像91は、これまでに取得された各検査値のそれぞれの検査結果を表形式で示す画像92と、これまでに取得された各検査値のそれぞれの検査結果をグラフ形式で示す画像93とから構成される。なお、図10の検者用画像92に表示されている各値や検者用画像93に表示されているグラフは、後述する恒常法に従って行われた視力検査についての検査結果の一例を示している。
【0094】
以上、図9と図10とを参照して、検者用画像の一例について説明した。
【0095】
以下、図8に戻り、視標タイプ決定部45乃至検査結果記憶部55のそれぞれの詳細について説明していく。
【0096】
視標タイプ決定部45は、操作内容認識部41からの通知内容、即ち、検者22による検者用マウス11の操作内容に基づいて、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプを決定して、その決定結果を検査制御部42に通知する。
【0097】
具体的には例えば、上述した図9のソフトウエアボタン75が押下されたことが操作内容認識部41から通知された場合、視標タイプ決定部45は、上述した図5の字詰まり視標33を、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして決定する。例えば、上述した図9のソフトウエアボタン80が押下されたことが操作内容認識部41から通知された場合、視標タイプ決定部45は、上述した図6の乱視標34を、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして決定する。例えば、上述した図9のソフトウエアボタン81が押下されたことが操作内容認識部41から通知された場合、視標タイプ決定部45は、上述した図7の視標35−Rおよび視標35−Gを、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして決定する。また例えば、ソフトウエアボタン75、ソフトウエアボタン80、および、ソフトウエアボタン81のいずれも押下されなかったことが操作内容認識部41から通知された場合、視標タイプ決定部45は、上述した図4の1つのランドルト環32を、被検者21の視力検査に利用する視標のタイプとして決定する。
【0098】
検査方法決定部46は、操作内容認識部41からの通知内容、即ち、検者22による検者用マウス11の操作内容に基づいて、被検者21の視力検査に利用する検査方法を決定して、その決定結果を検査制御部42に通知する。
【0099】
具体的には例えば、上述した図9の選択メニュー73において、「通常の測定法」が選択されたことが操作内容認識部41から通知された場合、検査方法決定部46は、「通常の測定法」を、被検者21の視力検査に利用する検査方法として決定する。例えば「上下法」が選択されたことが操作内容認識部41から通知された場合、検査方法決定部46は、「上下法」を、被検者21の視力検査に利用する検査方法として決定する。「恒常法」が選択されたことが操作内容認識部41から通知された場合、検査方法決定部46は、「恒常法」を、被検者21の視力検査に利用する検査方法として決定する。「手動」が選択されたことが操作内容認識部41から通知された場合、検査方法決定部46は、「手動」を、被検者21の視力検査に利用する検査方法として決定する。なお、「通常の測定法」、「上下法」、「恒常法」、「手動」のそれぞれの詳細については、図12乃至図16のそれぞれを参照して後述する。
【0100】
視力レベル表現方式決定部47は、操作内容認識部41からの通知内容、即ち、検者22による検者用マウス11の操作内容に基づいて、被検者21の視力検査に利用する視力レベル表現方式を決定して、その決定結果を検査制御部42に通知する。
【0101】
具体的には例えば、上述した図9の選択ボックス87が選択(チェック)されたことが操作内容認識部41から通知された場合、視力レベル表現方式決定部47は、選択ボックス87の下方の表示領域84に対応する「小数視力」を、被検者21の視力検査に利用する視力レベル表現方式として決定する。例えば、上述した図9の選択ボックス88が選択(チェック)されたことが操作内容認識部41から通知された場合、視力レベル表現方式決定部47は、選択ボックス88の下方の表示領域85に対応する「分数視力」を、被検者21の視力検査に利用する視力レベル表現方式として決定する。例えば、上述した図9の選択ボックス89が選択(チェック)されたことが操作内容認識部41から通知された場合、視力レベル表現方式決定部47は、選択ボックス89の下方の表示領域86に対応する「logMAR」を、被検者21の視力検査に利用する視力レベル表現方式として決定する。
【0102】
視標記憶部48は、各タイプのそれぞれの視標に対応する画像データをそれぞれ記憶している。即ち、本実施の形態では、図3の固定視標31、図4の1つのランドルト環32、図5の字詰まり視標33、図6の乱視標34、並びに、図7の視標35−Rおよび視標35−Gのそれぞれに対応する画像データが、視標記憶部48に記憶されていることになる。
【0103】
なお、本実施の形態では、ランドルト環を1以上含む視標については、そのランドルト環のCの切れ目部分は所定の方向を向いているとする。後述する視標方向変更部50の画像処理により、その方向は自在に可変可能だからである。なお、ランドルト環を1以上含む視標とは、本実施の形態においては、図3の固定視標31、図4の1つのランドルト環32、図5の字詰まり視標33、図6の乱視標34、並びに、図7の視標35−Rおよび視標35−Gをいう。
【0104】
視標読出部49には、前回の検査値も含む視力の各レベル値の中から所定の1つの値が今回の検査値として検査制御部42により設定されると、視標タイプ決定部45により決定されたタイプが検査制御部42から通知される。すると、視標読出部49は、通知されたタイプの視標に対応する画像データを視標記憶部48から読み出して、視標方向変更部50に供給する。
【0105】
視標方向変更部50は、ランドルト環を含む視標に対応する画像データが視標読出部49から供給された場合、その画像データに対して、ランドルト環のCの切れ目部分の方向を変更させるための画像処理(例えば回転処理等)を施し、その結果得られる画像データ、即ち、Cの切れ目部分の方向が変更されたランドルト環を含む視標に対応する画像データを視標サイズ変更部50に供給する。
【0106】
ここで注目すべき点は、視標方向変更部50は、ランドルト環のCの切れ目部分の方向を変更させる場合、変更させる方向をランダムに決定する点である。
【0107】
具体的には例えば、本実施の形態では、ランドルト環のCの切れ目部分の方向としてm種類(mは2以上の整数値)が使用され、かつ、m種類の方向のそれぞれには1乃至mの整数値のそれぞれが予め対応付けられてする。
【0108】
この場合、本実施の形態では、乱数発生部51は、1乃至mの整数値の中から所定の1つを乱数としてランダムに発生させ、視標方向変更部50に通知する。すると、視標方向変更部50は、視標読出部49から供給された画像データに対して、ランドルト環のCの切れ目部分の方向を、乱数発生部51により発生された乱数に対応する方向に変更させるための画像処理を施す。
【0109】
そして、視標方向変更部50は、その画像処理の結果得られる画像データ、即ち、乱数発生部51により発生された乱数に対応する方向にCの切れ目部分が配置されたランドルト環を含む視標に対応する画像データを、視標サイズ変更部50に供給する。
【0110】
なお、このような視標方向変更部50の画像処理は、視標に含まれる1以上のランドルト環のそれぞれに対して他とは独立して個別に実行される。即ち、視標に複数のランドルト環が含まれている場合、複数のランドルト環のCの切れ目部分の各方向は、一律ではなくランダムに様々な方向に変更されることになる。
【0111】
また、視標方向変更部50は、ランドルト環を含まない視標に対応する画像データが視標読出部49から供給された場合、その画像データをそのまま視標サイズ変更部50に供給する。
【0112】
視標サイズ変更部52は、視標のサイズを、検査制御部42により設定された今回の検査値に対応するサイズに変更させるための画像処理(例えば拡大縮小処理)を、視標方向変更部50から供給された画像データに対して適宜施し、その結果得られる画像データ、即ち、サイズが変更された視標に対応する画像データを被検者用表示制御部53に供給する。
【0113】
具体的には例えば図4の1つのランドルト環32に対応する画像データが視標方向変更部50から供給された場合、視標サイズ変更部52は、その画像データに対して、今回の検査値に対応するサイズにランドルト環32を変更させるための画像処理を施し、その結果得られる画像データを被検者用表示部14に供給する。
【0114】
なお、視標サイズ変更部52がこのような画像処理を行うためには、上述した今回の検査値の他、視標のタイプ、視力レベル表現方式、図2に示される被検者21と表示画面14−1との距離d、および、表示画面14−1のサイズ(横幅)等の情報が必要になる。視標のタイプと視力レベル表現方式とのそれぞれは、視標タイプ決定部45と視力レベル表現方式決定部47とのそれぞれから検査制御部42に通知される。図2の距離dと表示画面14−1のサイズ(横幅)とのそれぞれは、上述した図9のプルダウンメニュー82とプルダウンメニュー83とのそれぞれについての検者22による選択内容として、操作内容認識部41から検査制御部42に通知される。そこで、検査制御部42は、上述した今回の検査値の他これらの各情報もまとめて視標サイズ変更部52に供給する。すると、視標サイズ変更部52は、検査制御部42から供給された今回の検査値の他これらの各情報も利用して、上述した画像処理を実行する。
【0115】
被検者用表示制御部53は、視標サイズ変更部52から供給された画像データに対応する視標を被検者用表示部14に表示させるように制御する。
【0116】
具体的には例えば、視標のタイプとして図4の1つのランドルト環32を利用して被検者21の視力検査が行われる場合、Cの切れ目部分の方向が視標方向変更部50によりランダムに変更され、かつ、検査値に対応するサイズとなるようにCのサイズが視標サイズ変更部52により変更されたランドルト環32に対応する画像データが、視標サイズ変更部52から被検者用表示制御部53に供給されることになる。そこで、被検者用表示制御部53は、このような画像データに対応するランドルト環32を、被検者用表示部14の表示画面14−1に中央に表示させるように制御する。
【0117】
このようにして、ランドルト環32が表示画面14−1に表示されると、被検者21は、上述した第2の手順や第3の手順を行うことになる。即ち、被検者21は、表示画面14−1に表示されるランドルト環32のCの切れ目部分の視認を試みる。そして、被検者21は、Cの切れ目部分を視認できた(と思う)場合には、被検者用キーパッド12を用いて、ランドルト環32のCの切れ目部分が向いている(と思う)方向を通知するための所定の操作を行う。これに対して、被検者21は、Cの切れ目部分を視認できなかった場合には、被検者用キーパッド12の操作自体を行わないか、或いは、被検者用キーパッド12を用いて、視認できなかったことを通知するための所定の操作を行う。
【0118】
この間、検査結果取得部54は、被検者用キーパッド12の操作内容を監視しており、その監視結果に基づいて、今回の検査値についての検査結果を取得し、検査制御部42に供給する。詳細には、検査結果取得部54は、被検者用キーパッド12から所定の方向が入力されてきた場合、即ち、被検者21から所定の方向が通知された場合、通知された方向が、表示画面14−1に表示されている(または直前に表示された)ランドルト環32のCの切れ目部分の実際の方向と一致しているか否かを判定し、一致していると判定したときには「正答」という検査結果を取得し、一方、一致していないと判定したときには「誤答」という検査結果を取得する。また、検査結果取得部54は、被検者用キーパッド12から所定の方向が入力されてこなかった場合、即ち、被検者21がランドルト環32のCの切れ目部分を視認できなかった場合、「誤答」という検査結果を取得する。
【0119】
なお、以上、図4の1つのランドルト環32が視標タイプとして設定された場合の検査結果取得部54の処理について説明したが、検査結果取得部54は、その他の視標タイプが設定されている場合も全く同様に、被検者用キーパッド12の操作内容に基づいて、今回の検査値についての検査結果を取得し、検査制御部42に供給する。
【0120】
検査制御部42は、検査結果取得部54から供給されてくる検査結果を検査結果記憶部55に記憶させる。即ち、検査結果記憶部55には、検査制御部42により今回の検査値が新たに設定される毎に、検査結果取得部54により順次取得される「正答」や「誤答」といった検査結果が記憶されていく。
【0121】
検査制御部42は、検査結果記憶部55に記憶されている1以上の検査結果を適宜読み出して、それらの1以上の検査結果に基づいて所定の処理を実行することができる。具体的には例えば、検査制御部42は、検査結果記憶部55に記憶されている1以上の検査結果を適宜読み出して、それらの検査結果を利用して、上述した図10の検者用画像91の画像92に含まれるような各値を算出して、検者用画像生成部43に供給することができる。この場合、検者用画像生成部43は、検査制御部41から供給された各値に基づいて、図10の画像92や画像93に対応する画像データを生成し、検者用表示制御部44に供給する。検者用表示制御部44は、検者用画像生成部43から供給された画像データに対応する図10の画像92や画像93を、検者用画像91として検者用表示部13に表示させる。
【0122】
以上、図1乃至図10を参照して、本発明が適用される情報処理装置のハードウエア構成例と機能的構成例とについて説明した。
【0123】
なお、本発明が適用される情報処理装置のハードウエア構成や機能的構成は、上述した図1や図8等の構成に限定されないことは言うまでも無い。
【0124】
例えば、本実施の形態では1台の情報処理装置により本発明が実現されているが、その他、図示はしないが、検者22が主に使用する情報処理装置と、被検者21が主に使用する情報処理装置とが所定のネットワークに接続されることで構成される情報処理システムにより、本発明が実現されてもよい。
【0125】
また、図8の操作内容認識部41乃至視力レベル表現方式決定部47並びに視標読出部49乃至検査結果取得部54といった機能ブロックは、本実施の形態では、主にソフトウエアモジュールで構成されるとしたが、本実施の形態に限定されず、ハードウエア単体で構成してもよいし、或いは、上述したように、ソフトウエアとハードウエアとの組み合わせで構成してもよい。また、各機能ブロックの単位は、図8の単位に限定されず、任意の単位で構わない。即ち、本発明が適用される情報処理装置の機能的構成は、図8の操作内容認識部41乃至視力レベル表現方式決定部47並びに視標読出部49乃至検査結果取得部54等の各機能を総合的に有する構成であれば、任意の数の任意の機能を有する機能ブロックを任意に組み合わせた構成でも構わない。
【0126】
例えば、本実施の形態の情報処理装置は、その機能的構成として、図8に示されるように視標方向変更部50と乱数発生部51とを有しているので、被検者用表示部14におけるランドルト環の表示を更新する毎に、そのCの切れ目部分の方向もランダムに更新していくことができる。これにより、図2の被検者21にとっては、その方向を予測することが実質上不可能になる。その結果、上述したように、被検者21が、ランドルト環32のCの切れ目部分を実際に視認できない場合には、検査結果取得部54は、「誤答」という正確な検査結果をほぼ確実に取得することができるという効果、即ち、上述した従来の課題を解決できるという効果を奏することが可能になる。
【0127】
しかしながら、係る効果を奏するためには、情報処理装置の機能的構成は、単に、被検者用表示部14におけるランドルト環の表示を更新する毎に、そのCの切れ目部分の方向もランダムに更新していくことが可能な機能的構成であれば足り、視標方向変更部50と乱数発生部51とは必ずしも必須な構成要素ではない。
【0128】
具体的には例えば、視標方向変更部50と乱数発生部51とが仮に存在しない場合であっても、情報処理装置は、次のような機能的構成を有することで、係る効果を同様に奏することが可能になる。
【0129】
即ち、視標読出部49の出力が、視標方向変換部50ではなく、視標サイズ変更部52に接続された機能的構成を有する情報処理装置であっても、係る効果を同様に奏することが可能になる。ただし、この場合、ランドルト環のCの切れ目部分の方向として上述したようにm種類が使用されるとすると、例えば、図4のランドルト環32については、Cの切れ目部分の方向が他とは異なるm種類のランドルト環32のそれぞれに対応するm種類の画像データが、視標記憶部48に予め記憶されている必要がある。そして、視標読出部49が、今回の検査値が検査制御部42により決定される毎に、m種類の画像データの中から読み出す画像データをランダムに決定する必要がある。その他のランドルト環を含む視標についても同様である。
【0130】
次に、図11のフローチャートを参照して、検者22が被検者21の視力検査を行う場合における、図8の機能的構成を有する情報処理装置の処理について説明する。なお、以下、係る処理を「視力検査処理」と称する。
【0131】
ステップS1において、検査制御部42は、検者22の操作内容に基づいて、視力検査に必要な各種情報の設定を行う。
【0132】
本実施の形態では、視力検査に必要な各種情報とは、上述したように、図9の検者画像のうちの、プルダウンメニュー71、プルダウンメニュー72、選択メニュー73、プルダウンメニュー82、プルダウンメニュー83、選択ボックス87、選択ボックス88、および、選択ボックス89等と、検者用マウス11とを利用するGUI(Graphical User Interface)操作により選択される情報のことをいう。
【0133】
従って、具体的には例えば、ステップS1の処理とは次のような処理になる。
【0134】
即ち、はじめに、検査制御部42は、検者用画像生成部43に対して図9の検者用画像の生成を指令する。すると、検者用画像生成部43は、図9の検者用画像に対応する画像データを生成し、検者用表示制御部44に供給する。検者用表示制御部44は、供給された画像データに対応する図9の検者用画像を検者用表示部13に表示させる。
【0135】
すると、検者22は、上述したGUI操作を行うことで、視力検査に必要な各種情報を選択する。
【0136】
この間、操作内容認識部41は、検者22による検者用マウス11の操作内容を監視しており、その監視結果に基づいて、各種情報についての検者22による選択内容を認識し、その認識結果を、検査制御部42並びに視標タイプ決定部45乃至視力レベル表現方式決定部47のうちの対応するブロックに通知する。
【0137】
視標タイプ決定部45、検査方法決定部46、および、視力レベル表現方式決定部47のそれぞれは、上述したように、検者22により選択された視標タイプ、検査方法、および、視力レベル表現方式のそれぞれを視力検査で利用することを決定し、その決定結果を検査制御部42に通知する。
【0138】
このようにして、視力検査に必要な各種情報のそれぞれについての検者22による選択内容は検査制御部42に通知されることになる。そこで、検査制御部42は、検者22による選択内容に基づいて、視力検査に必要な各種情報の設定を行う。
【0139】
以上のようなステップS1の処理が実行されると、処理はステップS2に進められる。
【0140】
ステップS2において、検査制御部42は、検査開始が検者22により指示されたか否かを判定する。
【0141】
即ち、検者22は、上述したように、被検者用表示部14の表示画面14−1から図2の距離dだけ離間した場所に位置した被検者21が表示画面14−1を見るといった第1の手順が行われたことを確認した後、検者用マウス11を利用して図9の検査開始と記述されたソフトウエアボタン77を押下することで、被検者21の視力検査の開始を指示することができる。
【0142】
従って、ソフトウエアボタン77が押下されるまでの間、ステップS2において、検査開始が検者22により指示されていないと判定されて、処理はステップS2に戻されて、検査開始が検者22により指示されたか否かが再度判定される。即ち、ソフトウエアボタン77が押下されるまでの間、ステップS2の判定処理が繰り返し実行される。
【0143】
その後、ソフトウエアボタン77が押下されると、ステップS2において、検査開始が検者22により指示されたと判定されて、処理はステップS3に進められる。
【0144】
ステップS3において、検査制御部42は、視力検査の検査方法として「通常の測定法」が設定されたか否かを判定する。
【0145】
ステップS3において、視力検査の検査方法として「通常の測定法」が設定されたと判定された場合、処理はステップS4に進められる。ステップS4において、「通常の測定法」に則った視力検査を行うために必要な一連の処理が行われる。以下、このようなステップS4の一連の処理を「通常の測定法処理」と称する。「通常の測定法処理」の詳細については、図12のフローチャートを参照して後述する。
【0146】
これに対して、ステップS3において、視力検査の検査方法として「通常の測定法」が設定されていないと判定された場合、即ち、視力検査の検査方法として「通常の測定法」以外が設定された場合、処理はステップS5に進められる。
【0147】
ステップS5において、検査制御部42は、視力検査の検査方法として「上下法」が設定されたか否かを判定する。
【0148】
ステップS5において、視力検査の検査方法として「上下法」が設定されたと判定された場合、処理はステップS6に進められる。ステップS6において、「上下法」に則った視力検査を行うために必要な一連の処理が行われる。以下、このようなステップS6の一連の処理を「上下法処理」と称する。「上下法処理」の詳細については、図13と図14のフローチャートを参照して後述する。
【0149】
これに対して、ステップS5において、視力検査の検査方法として「上下法」が設定されていないと判定された場合、即ち、視力検査の検査方法として「通常の測定法」および「上下法」以外が設定された場合、処理はステップS7に進められる。
【0150】
ステップS7において、検査制御部42は、視力検査の検査方法として「恒常法」が設定されたか否かを判定する。
【0151】
ステップS7において、視力検査の検査方法として「恒常法」が設定されたと判定された場合、処理はステップS8に進められる。ステップS8において、「恒常法」に則った視力検査を行うために必要な一連の処理が行われる。以下、このようなステップS8の処理を「恒常法処理」と称する。「恒常法処理」の詳細については、図15のフローチャートを参照して後述する。
【0152】
これに対して、ステップS7において、視力検査の検査方法として「恒常法」が設定されていないと判定された場合、即ち、視力検査の検査方法として「手動」が設定された場合、処理はステップS9に進められる。ステップS9において、「手動」に則った視力検査を行うために必要な一連の処理が行われる。以下、このようなステップS9の一連の処理を「手動処理」と称する。「手動処理」の詳細については、図16のフローチャートを参照して後述する。
【0153】
ステップS4の「通常の測定法処理」、ステップS6の「上下法処理」、ステップS8の「恒常法処理」および、ステップS9の「手動処理」のうちの何れかが終了すると、検査方法に応じた個数の検査結果が検査結果記憶部55に記憶されて、処理はステップS10に進められる。
【0154】
ステップS10において、検査制御部42は、検査結果を、検者用画像生成部43と検者用表示制御部44とを介して検者用表示部13に表示させる。
【0155】
詳細には、ステップS10の処理は次のような一連の処理となる。即ち、検査制御部42は、1以上の検査結果を検査結果記憶部55から読み出して、検者用画像生成部43に供給する。また、必要に応じて、検査制御部43は、検査結果記憶部55から読み出した検査結果に基づいて各種値を算出し、検者用画像生成部43に供給する。検者用画像生成部43は、検査制御部42から供給された検査結果や各種値を含む画像を検者用画像として、その検者用画像に対応する画像データを生成して、検者用表示制御部44に供給する。検者用表示制御部44は、供給された画像データに対応する検者用画像、即ち、検査結果や各種値を含む検者用画像を検者用表示部13に表示させる。
【0156】
具体的には例えば、ステップS8の「恒常法処理」が実行された場合、即ち、「恒常法」に則って視力検査が行われた場合、上述した図10の検者用画像91が、ステップS10の処理で検者用表示部13に表示されることになる。
【0157】
ステップS11において、検査制御部42は、再検査が検者22により指示されたか否かを判定する。
【0158】
即ち、検者22は、上述したように、検者用マウス11を利用して図9の検査開始と記述されたソフトウエアボタン77を再度押下することで、視力検査の再検査を指示することができる。
【0159】
従って、ソフトウエアボタン77が再度押下された場合、ステップS11において、再検査が検者22により指示されたと判定されて、処理はステップS3に戻され、それ以降の処理が繰り返し実行される。即ち、被検者21の左目と右目とのうちの検査対象の目の視力検査が再度行われる。
【0160】
これに対して、ソフトウエアボタン77が再度押下されなかった場合、ステップS11において、再検査が検者22により指示されなかったと判定されて、処理はステップS12に進められる。
【0161】
ステップS12において、検査制御部42は、視力検査が終了したというメッセージを、被検者用表示制御部53を介して被検者用表示部14に表示させる。
【0162】
これにより、「視力検査処理」は終了となる。
【0163】
なお、被検者21の両目のうちの片方の目についての「視力検査処理」がまだ実行されていない場合、即ち、片方の目が未検査の場合、検者22は、検査対象を未検査の目に変更することを被検者21に通知して、図9のソフトウエアボタン77を押下する。これにより、情報処理装置は、今度は、未検査の目についての「視力検査処理」を実行することになる。
【0164】
次に、ステップS4の「通常の測定法処理」、ステップS6の「上下法処理」、ステップS8の「恒常法処理」および、ステップS9の「手動処理」のそれぞれの詳細について、その順番に個別に説明する。なお、以下の説明においては、説明の簡略上、視標のタイプとして図4の1つのランドルト環32が設定されたとする。
【0165】
はじめに、図12のフローチャートを参照して、「通常の測定法処理」の詳細例について説明する。
【0166】
ステップS21において、検査制御部42は、視力の検査値を初期値に設定する。具体的には例えば、視力レベル表現方式として「小数視力」が利用される場合には、ステップS21の処理で、視力の検査値の初期値として1.0等の値が設定される。
【0167】
次に、ステップS22乃至S26の処理で、検査値に対応するサイズのランドルト環32が被検者用表示部14に表示され、その検査値についての検査結果が1つだけ取得される。
【0168】
即ち、ステップS22において、視標読出部49は、ランドルト環32に対応する画像データを視標記憶部48から読み出して、視標方向変更部50に供給する。
【0169】
なお、以下、ランドルト環32に対応する画像データと、ランドルト環32とを個々に区別する必要が無い場合、ランドルト環32に対応する画像データを、単にランドルト環32と称する。
【0170】
ステップS23において、視標方向変更部50は、ランドルト環32のCの切れ目部分を、乱数発生部51から発生された乱数(整数値)に対応する方向に変更する。即ち、ステップS23の処理が実行される毎に、ランドルト環32Cの切れ目部分の方向はランダムに変更されることになる。
【0171】
Cの切れ目部分の方向がランダムに変更されたランドルト環32が、視標方向変更部50から視標サイズ変更部52に供給されると、処理はステップS24に進められる。
【0172】
ステップS24において、視標サイズ変更部52は、ランドルト環32のサイズを、検査値に対応するサイズに変更する。
【0173】
このようにして、Cの切れ目部分の方向がランダムに変更され、かつ、検査値に対応するサイズに変更されたランドルト環32が、視標サイズ変更部52から被検者用表示制御部53に供給されると、処理はステップS25に進められる。
【0174】
ステップS25において、被検者用表示制御部53は、被検者用表示部14にランドルト環32を表示させる。
【0175】
このようにして、ランドルト環32が被検者用表示部14に表示されると、被検者21は、上述した第2の手順や第3の手順を行うことになる。即ち、被検者21は、被検者用表示部14に表示されたランドルト環32のCの切れ目部分の視認を試み、その視認結果を、被検者用キーパッド12を操作することで検査結果取得部54に入力させる。
【0176】
すると、ステップS26において、検査結果取得部54は、上述したように、被検者用キーパッド12の操作内容に基づいて、検査値についての検査結果を1つだけ取得し、検査制御部42に供給する。即ち、ステップS26の処理で、上述した「正答」または「誤答」という検査結果が検査結果取得部54により1つだけ取得されて検査制御部42に供給される。
【0177】
ステップS27において、検査制御部42は、同一の検査値についての検査結果をa個取得したか否かを判定する。
【0178】
ステップS27で言うa個とは、上述した図9のプルダウンメニュー72で設定される「1視標での試行回数」(以下単に、試行回数と称する)のことをいう。即ち、ステップS27の判定処理は、同一の検査値についての視力検査が試行回数a分だけ行われたか否かを判定する判定処理であるといえる。
【0179】
従って、同一の検査値についての視力検査がまだ試行回数a分だけ行われていない場合、ステップS27において、同一の検査値についての検査結果をまだa個取得していないと判定されて、処理はステップS22に戻され、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0180】
即ち、同一サイズのランドルト環32が、そのCの切れ目部分の方向がランダムに更新されながら、被検者用表示部14に表示されては消去されていく、といった処理が試行回数a分だけ繰り返し実行される。この間、被検者22は、上述した第3の手順を試行回数a分だけ繰り返し行うことになるので、検査結果取得部54は、同一の検査値についての検査結果をa個取得することになる。
【0181】
このようにして、同一の検査値についての検査結果がa個取得されると、ステップS27において、同一の検査値についての検査結果をa個取得したと判定されて、処理はステップS28に進められる。
【0182】
ステップS28において、検査制御部42は、a個の検査結果の中にb個以上の「正答」が存在するか否かを判定する。
【0183】
換言すると、ステップS28の判定処理は、結局、正答率が閾値b/a以上であるか否かの判定処理であるといえる。従って、bは、閾値b/aによって決定される整数値となる。具体的には例えば、この閾値b/aが50%とされている場合には、bとしてa/2が採用されることになる。閾値b/aとは、被検者21の視力は検査値以上の能力を持っていると判断できる正答率のうちの最低値をいう。
【0184】
ステップS28において、a個の検査結果の中にb個以上の「正答」が存在すると判定した場合、即ち、正答率が閾値b/a以上であると判定した場合、検査制御部42は、被検者21の視力は検査値以上の能力を持っていると判断して、ステップS29において、検査値を1レベル上の値に設定して、処理をステップS22に戻す。その後、これまでの検査値よりも1レベル上の値が新たな検査値となり、新たな検査値についての検査結果をa個だけ取得するために必要な上述した一連の処理が実行される。
【0185】
具体的には例えば、視力レベル表現方式として「小数視力」が利用され、検査値として1.0が設定されて、1.0についてのステップS22乃至S27のループ処理が繰り返し実行されて、1.0についての検査結果がa個取得され、ステップS28の処理で、1.0についてのa個の検査結果の中にb個以上の正答が存在すると判定されたとする。この場合、今度は、次のステップS29の処理で、図9に示されるように、1.0より1レベル上の値である1.25が新たな検査値に設定され、1.25についてのステップS22乃至S27のループ処理が繰り返し実行されて、1.25についての検査結果がa個取得されることになる。そして、ステップS28において、a個の検査結果の中にb個以上の「正答」が存在するか否かが再度判定されることになる。
【0186】
これに対して、ステップS28において、a個の検査結果の中にb個以上の「正答」が存在しないと判定した場合、即ち、正答率が閾値b/a未満であると判定した場合、検査制御部42は、被検者21の視力は検査値以上の能力を持っていないと判断して、処理をステップS30に進める。
【0187】
ステップS30において、検査制御部42は、検査値より1レベル下の値についての検査は終了しているか否かを判定する。
【0188】
ステップS30において、検査値より1レベル下の値についての検査はまだ終了していないと判定した場合、検査制御部42は、検査値を1レベル下の値に設定して、処理をステップS22に戻す。その後、これまでの検査値よりも1レベル下の値が新たな検査値となり、新たな検査値についての検査結果をa個だけ取得するために必要な上述した一連の処理が実行される。
【0189】
これに対して、ステップS30において、検査値より1レベル下の値についての検査は既に終了していると判定した場合、検査制御部42は、ステップS32において、検査値より1レベル下の値を、被検者21の視力値に確定する。即ち、ステップS32において、被検者21の視力は、検査値よりも1レベル下の値の能力を持っていると確定されることになる。
【0190】
具体的には例えば、視力レベル表現方式として「小数視力」が利用され、検査値として1.0が設定されて、1.0についてのステップS22乃至S27のループ処理が繰り返し実行されて、1.0についての検査結果がa個取得され、ステップS28の処理で、1.0についてのa個の検査結果の中にb個以上の正答が存在しない、即ち、正答の個数はb個未満であると判定されているとする。
【0191】
この場合、ステップS30の処理で、図9に示されるように、1.0より1レベル下の値である0.9についての検査は終了しているか否かが判定されることになる。
【0192】
ステップS30の処理で、0.9についての検査はまだ終了していないと判定された場合、今度は、次のステップS31の処理で、0.9が新たな検査値に設定され、0.9についてのステップS22乃至S27のループ処理が繰り返し実行されて、0.9についての検査結果がa個取得されることになる。そして、ステップS28において、a個の検査結果の中にb個以上の「正答」が存在するか否かが再度判定されることになる。
【0193】
これに対して、ステップS30の処理で、0.9についての検査は終了していると判定された場合、ステップS32において、被検者21の視力値として0.9が確定される。即ち、ステップS32において、被検者21の視力は0.9の能力を持っていると確定される。
【0194】
このようにしてステップS32の処理で被験者21の視力値が確定されると、「通常の測定法処理」が終了となる。
【0195】
次に、図13と図14とのフローチャートを参照して、「上下法処理」の詳細例について説明する。
【0196】
ステップS51において、検査制御部42は、視力検査の検査範囲を設定する。
【0197】
検査範囲とは、視力の各レベル値が取り得る全範囲のうちの、検査値として使用される範囲をいう。この検査範囲は、検査制御部42自身の判断により設定されてもよいし、図9の表示領域84の反転表示で示されるように、検者22により選択された範囲が設定されてもよい。即ち、表示領域84の反転表示は、検者22により選択された検査範囲を示している。このように、検者22は、選択ボックス87乃至選択ボックス89の中から所定の1つをチェックすることで視力レベル表現方式を選択した後、チェックした選択ボックスの下方の表示領域(図9の例では表示領域84)に示される視力の各値の中から、検査値として利用したい値を反転表示させることで、検査範囲を自在に選択することができる。
【0198】
ステップS52において、検査制御部42は、検査範囲のうちの最低値を検査値に設定する。具体的には例えば、図9の表示領域84の反転表示の範囲が検査範囲に設定されている場合には、ステップS52の処理で0.8が検査値として設定される。
【0199】
ステップS53において、検査制御部42は、検査の変化方向を上向き方向に設定する。
【0200】
即ち、「上下法」においては、検査範囲に含まれる各レベル値のそれぞれが、上向き方向または下向き方向に順番に検査値に設定されて、新たな検査値が設定される毎に、被検者21の視力検査が行われて、その検査結果が1つずつ順次取得されていく。そして、検査範囲の最大値(上向き方向の場合)または最小値(下向き方向の場合)が検査値に設定されてその検査結果が取得されると、今度は、検査方向が逆方向に更新されて、検査範囲に含まれる各レベル値のそれぞれが、更新された方向に順番に検査値に設定されて、新たな検査値が設定される毎に、被検者21の視力検査が行われて、その検査結果が1つずつ順次取得されていく。その後、以上の一連の処理が所定の回数だけ繰り返し実行される。ここでは、このような上向き方向または下向き方向が、検査の変化方向と称されている。
【0201】
そこで、ステップS52の処理で検査値の初期設定として最低値が設定されたので、ステップ53の処理では、検査の変化方向の初期設定として上向き方向が設定されるのである。具体的には例えば、図9の表示領域84の反転表示の範囲が検査範囲に設定されている場合には、ステップS52の処理で0.8が検査値として設定されて、検査の変化方向として、0.8から2に向かう上向き方向が設定されるのである。
【0202】
ステップS54において、検査制御部42は、検査範囲についての検査回数iを1に設定する。
【0203】
検査回数iとは、検査範囲に含まれる各レベル値のそれぞれが検査値に設定されて、それらの検査結果の全てが得られた場合に1回と数える回数のことを言う。そこで、ステップS54の処理では、検査回数iとして1が初期設定されるのである。
【0204】
次に、ステップS55乃至S59の処理で、検査値に対応する図4のランドルト環32が被検者用表示部14に表示され、その検査値に対応するランドルト環32についての検査結果が1つだけ取得される。即ち、ステップS55乃至S59のそれぞれの処理は、上述した図12のステップS22乃至S26のそれぞれの処理と基本的に同様の処理であるので、ここではそれらの説明については省略する。
【0205】
ステップS59の処理が終了すると、処理は図14のステップS60に進められる。
【0206】
ステップS60において、検査制御部42は、検査の変化方向は上向き方向であるか否かを判定する。
【0207】
ステップS60において、検査の変化方向は上向き方向であると判定した場合、検査制御部42は、ステップS61において、検査値は、検査範囲のうちの最大値であるか否かを判定する。
【0208】
ステップS61において、検査値は、検査範囲のうちの最大値ではないと判定した場合、検査制御部42は、ステップS62において、検査値を1レベル上の値に設定する。その後、処理は図13のステップS55に戻され、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0209】
即ち、検査方向が上向き方向である場合には、検査範囲のうちの最大値に達するまで、これまでの検査値よりも1レベル上の値が新たな検査値とされて、ランドルト環32が、新たな検査値に対応するサイズに更新されるとともに、そのCの切れ目部分の方向がランダムに更新されながら被検者用表示部14に表示されては消去されていくことが繰り返されていく。この間、被検者22は、検査範囲内の各レベル値のそれぞれについて、上述した第3の手順を繰り返し行うことになるので、検査結果取得部54は、検査範囲内の各レベル値のそれぞれについての検査結果を1つずつ取得することができる。
【0210】
具体的には例えば、図9の表示領域84の反転表示の範囲が検査範囲に設定されており、かつ、検査方向が上向き方向である場合には、0.8,0.9,1.0,1.25,1.5,1.7,2.0のそれぞれがその順番で検査値に順次設定されて、ランドルト環32が、0.8,0.9,1.0,1.25,1.5,1.7,2.0のそれぞれに対応するサイズに順次更新されていくとともに、そのCの切れ目部分の方向がランダムに順次更新されていきながら被検者用表示部14に表示されていく。その結果、0.8,0.9,1.0,1.25,1.5,1.7,2.0のそれぞれについての検査結果がその順番に1つずつ取得されていくことになる。
【0211】
そして、検査範囲のうちの最大値についての検査結果が検査結果取得部54により取得されると、次のステップS61の処理では、検査値は、検査範囲のうちの最大値であると判定されて、処理はステップS65に進められる。
【0212】
ステップS65において、検査制御部42は、検査回数iがPに到達したか否かを判定する。
【0213】
ステップS65で言う数値Pとは、上述した図9のプルダウンメニュー72で設定される試行回数のことをいう。即ち、上下法では、検査回数1乃至Pのそれぞれ毎に、検査範囲に含まれる各レベル値のそれぞれの検査結果が1つずつ取得されていく。従って、ステップS65の処理とは結局、検査範囲に含まれる各レベル値のそれぞれについての検査結果の個数が何れもP個取得されたか否かを判定する処理であるといえる。
【0214】
従って、ステップS65において、検査回数iがPにまだ到達していないと判定された場合には、処理はステップS66に進められて、検査結果を取得するための処理が続行されるのである。
【0215】
即ち、ステップS66において、検査制御部42は、検査の変化方向を逆方向に更新する。
【0216】
ステップS67において、検査制御部42は、更新された検査の変化方向に応じて、検査値を最大値または最小値に設定する。即ち、下向き方向から上向き方向に更新された場合には最小値が、上向き方向から下向き方向に更新された場合には最大値が、それぞれステップS67の処理で設定される。
【0217】
ステップS68において、検査制御部42は、検査回数iを1だけインクリメントする。
【0218】
その後、処理は図13のステップS55に戻され、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0219】
具体的には例えば、図9の表示領域84の反転表示の範囲が検査範囲に設定されて、0.8から2に向かう上向き方向で、0.8乃至2のそれぞれについての検査結果が1つずつ取得され、その後、ステップS65において、検査回数iがPにまだ到達していないと判定されたとする。
【0220】
この場合、ステップS66の処理で、検査の変化方向は下向き方向に更新され、ステップS67の処理で、検査値が最大値である2に設定され、ステップS68の処理で、検査回数iが2に設定される。
【0221】
そして、今度は、検査回数2についての図13のステップS55乃至S59のループ処理が繰り返し実行されることになる。詳細には、ステップS59の処理が実行される毎に、次のステップS60の処理で、検査の変化方向は上向き方向ではないと判定されて、処理はステップS63に進められる。
【0222】
ステップS63において、検査制御部42は、検査値は、検査範囲のうちの最小値であるか否かを判定する。
【0223】
従って、検査値が最小値になるまでは、ステップS63おいて、検査値は、検査範囲のうちの最小値ではないと判定し、ステップS64において、検査値を1レベル下の値に設定することになる。そして、その後、処理はステップS55に戻され、それ以降の処理が繰り返し実行されることになる。
【0224】
即ち、今度は、検査範囲のうちの最小値である0.8に達するまで、これまでの検査値よりも1レベル下の値が新たな検査値とされて、ランドルト環32が、新たな検査値に対応するサイズに更新されるとともに、そのCの切れ目部分の方向がランダムに更新されながら被検者用表示部14に表示されては消去されていくことが繰り返される。この間、被検者22は、検査範囲内の各レベル値のそれぞれについて、上述した第3の手順を繰り返し行うことになるので、検査結果取得部54は、検査範囲内の各レベル値のそれぞれについての検査結果を1つずつ取得することができる。
【0225】
そして、検査範囲のうちの最小値についての検査結果が検査結果取得部54により取得されると、次のステップS63の処理では、検査値は、検査範囲のうちの最小値であると判定されて、処理はステップS65に進められる。
【0226】
具体的には例えば、図9の表示領域84の反転表示の範囲が検査範囲に設定されており、かつ、検査方向が下向き方向である場合には、2.0,1.7,1.5,1.25,1.0,0.9,0.8のそれぞれがその順番で検査値に順次設定されて、ランドルト環32が、2.0,1.7,1.5,1.25,1.0,0.9,0.のそれぞれに対応するサイズに順次更新されていくとともに、そのCの切れ目部分の方向がランダムに順次更新されていきながら被検者用表示部14に表示されていく。その結果、2.0,1.7,1.5,1.25,1.0,0.9,0.8のそれぞれについての検査結果がその順番に1つずつ取得されていくことになる。
【0227】
その後、検査回数iが1回インクリメントされる毎に一連の処理が繰り返されていき、検査回数iがPになると、次のステップS65において、検査回数iがPに到達したと判定されて、処理はステップS69に進められる。
【0228】
ステップS69において、検査制御部42は、検査回数1乃至P(即ち、試行回数1乃至P)のそれぞれについて「正答」の検査結果の最高値を抽出し、抽出されたP個の最高値の平均を演算し、その演算結果を被検者21の視力値に確定する。
【0229】
具体的には例えば、図9の表示領域84の反転表示の範囲が検査範囲に設定され、かつ、P=5に設定されて、上述した「上下法」が実行された結果、検査回数1乃至5のそれぞれについて次のような検査結果が得られたとする。なお、次の検査結果において、各数値は、「小数視力」の各レベル値を示し、各レベル値の右方の○印と×印とのそれぞれは、その左方のレベル値の取得された検査結果が「正答」と「誤答」とのそれぞれであったことを表している。
【0230】
即ち、検査回数1の検査結果が例えば、「0.8:○,0.9:○,1.0:○,1.25:×,1,5:×,1.75:×,2.0:×」であったとする。検査回数2の検査結果が例えば、「2.0:×,1.75:×,1,5:×,1.25:○,1.0:○,0.9:○,0.8:○」であったとする。検査回数3の検査結果が例えば、「0.8:○,0.9:○,1.0:○,1.25:×,1,5:×,1.75:×,2.0:×」であったとする。検査回数4の検査結果が例えば、「2.0:×,1.75:×,1,5:×,1.25:×,1.0:×,0.9:○,0.8:○」であったとする。検査回数5の検査結果が例えば、「0.8:○,0.9:○,1.0:○,1.25:×,1,5:×,1.75:×,2.0:×」であったとする。
【0231】
この場合、検査回数1乃至5のそれぞれの「正答」の検査結果の最高値は、1.0,1.25,1.0,0.9,1.0のそれぞれとなる。また、これらの平均値は1.03(=(1.0+1.25+1.0+0.9+1.0)/5)となる。従って、ステップS69の処理では、1.03が被検者21の視力値として確定される。
【0232】
ただし、図9の表示領域84に示されるように、1.03は視力のレベル値として採用されていない。このような場合、検査制御部42は、ステップS69の処理として、視力のレベル値として採用されている値のうちの1.03に最も近い値、即ち、1.0を被検者21の視力値として確定する処理を実行すればよい。
【0233】
このようにして、ステップS69の処理で被検者21の視力値が確定されると、「上下法処理」が終了となる。
【0234】
次に、図15を参照して、「恒常法処理」の詳細例について説明する。
【0235】
ステップS81において、検査制御部42は、被験者22の予測される視力値に基づいて、視力検査の検査範囲を設定する。
【0236】
詳細には例えば、ステップS81において、検査制御部42が、自分自身の判断で、前回の検査結果等に基づいて被験者22の予測される視力値を決定して、それに基づいて視力検査範囲を設定してもよい。
【0237】
或いは、検者22が、選択ボックス87乃至選択ボックス89の中から所定の1つを選択することで視力レベル表現方式を選択した後、選択した選択ボックスの下方の表示領域(図9の例では表示領域84)に示される視力の各レベル値の中から、被験者22の予測される視力値とその前後の値を幾つか反転表示させることで、検査範囲を選択してもよい。この場合、ステップS81において、検査制御部42は、検者22により選択された検査範囲を、視力検査の検査範囲に設定すればよい。
【0238】
ステップS82において、検査制御部42は、検査範囲の中から所定の1つの値を選択し、その1つの値を検査値に設定する。
【0239】
なお、後述するステップS88に示されるように、恒常法では、検査範囲に含まれる各値のそれぞれについて、Q個の検査結果がそれぞれ取得されることになる。ここで言うQ個とは、上述した図9のプルダウンメニュー72で設定される試行回数のことをいう。即ち、恒常法では、検査範囲に含まれる各値のそれぞれについて、試行回数Q分の検査結果が取得されることになる。従って、検査範囲に含まれる各値のうちの、既にQ個の検査結果が取得されているレベル値については、ステップS82の処理で検査値として選択されない。
【0240】
次に、ステップS83乃至S87の処理で、検査値に対応する図4のランドルト環32が被検者用表示部14に表示され、その検査値に対応するランドルト環32についての検査結果が1つだけ取得される。即ち、ステップS83乃至S87のそれぞれの処理は、上述した図12のステップS22乃至S26のそれぞれの処理と基本的に同様の処理であるので、ここではそれらの説明については省略する。
【0241】
ステップS87の処理が終了すると、処理はステップS88に進められる。
【0242】
ステップS88において、検査制御部42は、検査範囲に含まれる各値のそれぞれについてQ個の検査結果が取得されたか否かを判定する。
【0243】
検査範囲に含まれる各値の中に、Q個の検査結果がまだ取得されていない値が1つでも存在する場合、ステップS88において、検査範囲に含まれる各値のそれぞれについてQ個の検査結果がまだ取得されていないと判定されて、処理はステップS82に戻され、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0244】
即ち、検査範囲に含まれる各値の全てについてQ個の検査結果が取得されるまで、ステップS82乃至S88のループ処理が繰り返され、1回のループ処理につき、検査範囲に含まれる各値のうちの何れかの値についての検査値が1つ取得されていく。
【0245】
そして、検査範囲に含まれる各値の全てについてQ回のループ処理が実行されると、各値の検査結果の個数は何れもQ個になるので、次のステップS88において、検査範囲に含まれる各値のそれぞれについてQ個の検査結果が取得されたと判定されて、処理はステップS89に進められる。
【0246】
ステップS89において、検査制御部42は、検査範囲に含まれる各値のそれぞれについて正答率を演算し、正答率がR%を超えた値のうちの最高値を、被験者の視力の値に確定する。なお、Rは、上述した図12のステップS17の処理で言う閾値b/aに対応する数値、即ち、0乃至100のうちの閾値として予め設定された値である。
【0247】
次に、図16を参照して、「手動処理」の詳細例について説明する。
【0248】
ステップS101において、検査制御部42は、検者22により検査値の候補が選択されたか否かを判定する。
【0249】
なお、検者22による検査値の候補の選択操作は特に限定されないが、本実施の形態では、例えば、次の選択操作が採用されているとする。即ち、検者22は、図9の表示領域84乃至表示領域86のうちの、現在設定されている視標レベル表現方式に対応する表示領域、即ち、選択ボックス87乃至選択ボックス89のうちの現在選択されている選択ボックスの下方の表示領域に含まれる視力の各レベル値の中から所定の1つに、検者用マウス11を利用して図示せぬカーソルを配置させ、検者用マウス11を利用していわゆる「ダブルクリック操作」を行うことで、検査値の候補を選択する、といった選択操作が本実施の形態では採用されているとする。
【0250】
従って、本実施の形態では、上述した選択操作の操作内容、即ち、検者22により選択された検査値の候補が操作内容認識部41により認識されて検査制御部42に通知されてくると、ステップS101において、検者22により検査値の候補が選択されたと判定されて、処理はステップS102に進められる。
【0251】
ステップS102において、検査制御部42は、検者22により選択された候補を検査値に設定する。
【0252】
次に、ステップS103乃至S107の処理で、検査値に対応する図4のランドルト環32が被検者用表示部14に表示され、その検査値に対応するランドルト環32についての検査結果が1つだけ取得される。即ち、ステップS102乃至S107のそれぞれの処理は、上述した図12のステップS22乃至S26のそれぞれの処理と基本的に同様の処理であるので、ここではそれらの説明については省略する。
【0253】
ステップS107の処理が終了すると、処理はステップS108に進められる。
【0254】
ステップS108において、検査制御部42は、検者22により検査の終了が指示されたか否かを判定する。
【0255】
上述した図9の終了と記述されたソフトウエアボタン78が押下されると、ステップS108において、検者22により検査の終了が指示されたと判定されて、「手動処理」は終了となる。
【0256】
これに対して、ソフトウエアボタン78が押下されない限り、ステップS108において、検者22により検査の終了がまだ指示されていないと判定されて、処理はステップS101に戻され、検者22により検査値の候補が選択されたか否かが再度判定される。
【0257】
検者22により新たな検査値の候補が選択された場合には、即ち、ステップS101において、検者22により検査値の候補が選択された場合には、ステップS102の処理で、新たな検査値の候補が検査値に新たに設定され、ステップS103乃至S107の処理が実行されて、その結果、新たに設定された検査値についての検査結果が1つ取得される。その後、処理はステップS108に再び進められる。
【0258】
これに対して、検者22により新たな検査値の候補が選択されなかった場合には、即ち、ステップS101において、検者22により検査値の候補が選択されなかったと判定された場合には、ステップS102乃至S107の処理は実行されずに、処理はステップS108に再び進められる。
【0259】
その後、図9の終了と記述されたソフトウエアボタン78が押下されるまで、ステップS101乃至S108のループ処理が繰り返し実行され、検者により新たな検査値の候補が選択される毎に、その候補が検査値に設定されて被験者21の視力検査が行われて、その検査結果が取得されていく。
【0260】
そして、ソフトウエアボタン78が押下されると、ステップS108において、検者22により検査の終了が指示されたと判定されて、「手動処理」は終了となる。
【0261】
以上、図11乃至図16を参照して「視力検査処理」の一例について説明した。
【0262】
なお、「視力検査処理」において、上述した例では説明の簡略上、視標タイプとして図4の1つのランドルト環32を利用することが前提事項とされていたが、実際には、1以上のランドルト環を含む視標を利用することが前提事項となる。即ち、1以上のランドルト環を含む視標を利用する場合にも、情報処理装置は、上述した「視力検査処理」を実行することができる。
【0263】
以上説明したように、検者22は、本発明が適用される情報処理装置にこのような「視力検査処理」を実行させることで、「通常の測定法」、「上下法」、「恒常法」、および「手動」のうちの所望の検査方法で、被検者21の視力検査を行うことができる。即ち、検者22は、被験者21の容態等を考慮して、被験者21にとって最適な検査方法で視力検査を行うことができる。これにより、検者22は、正確な検査結果を得ることが可能になる。
【0264】
さらに、本発明が適用される情報処理装置は、このような「視力検査処理」を実行することで、被検者用表部14におけるランドルト環の表示を更新する毎に、そのCの切れ目部分の方向もランダムに更新していくことができる。例えば、本発明が適用される情報処理装置は、「通常の測定法」、「上下法」、および「恒常法」においては、視力の1つの検査値について、試行回数分だけ、ランドルト環のCの切れ目部分の方向をランダムに更新することができる。これにより、被検者21にとっては、その方向を予測することが実質上不可能になる。その結果、検者22は、より一段と正確な検査結果を得ることが可能になる。
【0265】
ところで、上述した一連の処理は、上述したように、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0266】
このようなプログラムを含む記録媒体は、例えば、図1に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブル記録媒体(パッケージメディア)16により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM2や、記憶部8に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0267】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0268】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置や処理部により構成される装置全体を表すものである。
【図面の簡単な説明】
【0269】
【図1】本発明が適用される情報処理装置のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の情報処理装置の一部の配置例と、被検者にとっての視力検査の手順とを説明するための図である。
【図3】視力検査で利用する固定視標の一例を示す図である。
【図4】視力検査で利用するランドルト環の一例を示す図である。
【図5】視力検査で利用する字詰まり視標の一例を示す図である。
【図6】視力検査で利用する乱視標の一例を示す図である。
【図7】視力検査の赤緑テストで利用する視標の一例を示す図である。
【図8】本発明が適用される情報処理装置の機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【図9】図1、図2、および図8の検者用表示部に表示される検者用画像の一例を示す図である。
【図10】図1、図2、および図8の検者用表示部に表示される検者用画像の他の例を示す図である。
【図11】図8の情報処理装置が実行する視力検査処理例を説明するフローチャートである。
【図12】図11のフローチャートのステップS4の通常の測定法処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図13】図11のフローチャートのステップS6の上下法処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図14】図11のフローチャートのステップS6の上下法処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図15】図11のフローチャートのステップS8の恒常法処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【図16】図11のフローチャートのステップS9の手動処理の詳細例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0270】
1 CPU, 2 ROM, 3 RAM, 8 記憶部, 11 検者用マウス ,12 被検者用キーパッド, 13 検者用表示部, 14 被検者用表示部, 14−1 表示画面, 16 リムーバブル記録媒体, 21 被検者, 22 検者, 32 ランドルト環, 41 操作内容認識部, 42 検査制御部, 43 検者用画像生成部, 44 検者用表示制御部, 45 視標タイプ決定部, 46 検査方法決定部, 47 視力レベル表現方式決定部, 48 視標記憶部, 49 視標読出部, 50 視標方向変更部, 51 乱数発生部, 52 視標サイズ変更部, 53 被験者用表示制御部, 54 検査結果取得部, 55 検査結果記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検者により行われる被検者の視力検査であって、ランドルト環を利用する前記視力検査に関する処理を実行する情報処理装置において、
複数のレベル値の中の所定の1つを検査方法に従って決定する検査値決定手段と、
前記検査値決定手段により前記検査値が決定される毎に、前記ランドルト環の切れ目部分の方向をランダムに変更する方向変更手段と、
前記ランドルト環のサイズを、前記検査値決定手段により決定された前記検査値に対応するサイズに変更するサイズ変更手段と、
前記サイズ変更手段によりサイズが変更され、かつ、前記方向変更手段により前記切れ目部分の方向がランダムに変更された前記ランドルト環を、前記被検者が利用する表示装置に表示させるように制御する表示制御手段と、
前記表示制御手段の制御により前記表示装置に表示された前記ランドルト環の前記切れ目部分の方向を前記被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報を、前記検査値決定手段により決定された前記検査値についての検査結果として取得する検査結果取得手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記ランドルト環の前記切れ目部分の方向はm種類(mは2以上の整数値)存在し、前記m種類の方向のそれぞれに対して1乃至mのそれぞれの整数値が予め対応付けられており、
整数値である1乃至mを範囲として、前記範囲の中から乱数を発生する乱数発生手段をさらに備え、
前記方向変更手段は、前記ランドルト環の切れ目部分の方向を、前記乱数発生手段により発生された乱数に対応する方向に変更する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数の前記検査方法の中から1つの前記検査方法を設定する設定手段を
さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定手段により設定される前記検査方法は、上下法または恒常法である
ことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
検者により行われる被検者の視力検査であって、ランドルト環を利用する前記視力検査に関する処理を実行する情報処理装置の情報処理方法において、
複数のレベル値の中の所定の1つを検査方法に従って決定する検査値決定ステップと、
前記検査値決定ステップの処理により前記検査値が決定される毎に、前記ランドルト環の切れ目部分の方向をランダムに変更する方向変更ステップと、
前記ランドルト環のサイズを、前記検査値決定ステップの処理により決定された前記検査値に対応するサイズに変更するサイズ変更ステップと、
前記サイズ変更ステップの処理によりサイズが変更され、かつ、前記方向変更ステップの処理により前記切れ目部分の方向がランダムに変更された前記ランドルト環を、前記被検者が利用する表示装置に表示させるように制御する表示制御ステップと、
前記表示制御ステップの制御処理により前記表示装置に表示された前記ランドルト環の前記切れ目部分の方向を前記被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報を、前記検査値決定ステップの処理により決定された前記検査値についての検査結果として取得する検査結果取得ステップと
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
検者により行われる被検者の視力検査であって、ランドルト環を利用する前記視力検査に関する処理を実行する情報処理装置を制御するコンピュータに実行させるプログラムであって、
複数のレベル値の中の所定の1つを検査方法に従って決定する検査値決定ステップと、
前記検査値決定ステップの処理により前記検査値が決定される毎に、前記ランドルト環の切れ目部分の方向をランダムに変更する方向変更ステップと、
前記ランドルト環のサイズを、前記検査値決定ステップの処理により決定された前記検査値に対応するサイズに変更するサイズ変更ステップと、
前記サイズ変更ステップの処理によりサイズが変更され、かつ、前記方向変更ステップの処理により前記切れ目部分の方向がランダムに変更された前記ランドルト環を、前記被検者が利用する表示装置に表示させるように制御する表示制御ステップと、
前記表示制御ステップの制御処理により前記表示装置に表示された前記ランドルト環の前記切れ目部分の方向を前記被検者が正しく視認できたのか否かを示す情報を、前記検査値決定ステップの処理により決定された前記検査値についての検査結果として取得する検査結果取得ステップと
を含むことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−246992(P2006−246992A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64809(P2005−64809)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(391000896)株式会社フローベル (10)