説明

情報処理装置及びプログラム、情報処理システム

【課題】
複数の利用者各々に対応した設定を反映させたユーザインターフェースを提示するようにした情報処理装置及びプログラム、情報処理システムを提供する。
【解決手段】
音声や表示を通じてユーザに情報を提示するためのユーザインターフェース情報を生成する情報処理装置であって、複数のユーザ各々に対応する設定情報を取得し、当該取得した設定情報をマージするとともに、当該マージされた設定情報に基づいてユーザインターフェース情報を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声や表示を通じてユーザに情報を提示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種機器では高機能化が進み、それに伴って操作方法が複雑化している。そのため、これら機器では、利用者(以下、ユーザと言う)にとって分かりやすいユーザインターフェース(以下、UIと言う)を搭載することが求められている。分かり易いUIの代表格としてグラフィカルユーザインターフェース(以下、GUIと言う)が知られている。GUIは、ユーザの視覚情報を利用した非常に直感的なUIである。この直感さゆえに、ユーザにより自分好みの設定に変更されて使用される場合が多い。
【0003】
例えば、GUIを備えたコンピュータは、ログインしたユーザ毎に背景色やフォントの大きさ等といった設定を保持しており、ユーザがログインする度に、デスクトップ画面などの表示色を切り替えることができる。また、操作を指示する利用者(以下、操作者と言う)の好みに応じて表示するチャンネルリストを切り替えるテレビも知られている。この場合、機器側では、どの利用者が操作しているのかを認識し、上述した切り替えを行なうことになる。
【0004】
このような技術に関して、特許文献1や特許文献2では、操作者を検知し、UIを切り替える技術が提案されている。また、キーボード上にあるボタンの操作により、機器側に操作者の交代を通知する技術も知られている。
【特許文献1】特開2000−115098号公報
【特許文献2】特開2003−204565号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、製品化された機器の中には、操作者の好みをUIに反映させているものがある。例えば、上述した通り、ログインするユーザによって、背景画像やフォントサイズをユーザの好みに応じて自動で切り替える技術が知られている。
【0006】
UIは、操作者に情報を伝えることを目的とした機能である。従来、UIは、操作者だけのものと考えられがちであったが、例えば、大型ディスプレイを使ったGUIや音声を使ったUIは、操作者以外のユーザをも対象として情報を伝える役目を担っている。したがって、操作者以外のユーザの好みをもUIに反映する必要があると考えられるが、現状の技術では、このような配慮はなされていない。
【0007】
例えば、電子黒板のようなシステムは、一度に多くのユーザが関与する機器の代表格である。仮に、Aというユーザが、フォントサイズを30ptに設定し、また、Bというユーザが、フォントカラーを灰色に設定していたとする。この2人が電子黒板を同時に利用する場合、フォントを30pt、かつ灰色で表示することが望ましい。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、複数のユーザ各々に対応した設定を反映させたユーザインターフェースを提示するようにした情報処理装置及びプログラム、情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、音声や表示を通じてユーザに情報を提示するためのユーザインターフェース情報を生成する情報処理装置であって、複数のユーザ各々に対応する設定情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した設定情報をマージするマージ手段と、前記マージ手段によりマージされた設定情報に基づいて前記ユーザインターフェース情報を生成する生成手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の一態様によるプログラムは、音声や表示を通じてユーザに情報を提示するためのユーザインターフェース情報を生成する情報処理装置に内蔵されたコンピュータを、複数のユーザ各々に対応する設定情報を取得する取得手段、前記取得手段により取得した設定情報をマージするマージ手段、前記マージ手段によりマージされた設定情報に基づいて前記ユーザインターフェース情報を生成する生成手段として機能させる。
【0011】
また、本発明の一態様は、音声や表示を通じてユーザに情報を提示するためのユーザインターフェース情報を生成する情報処理システムであって、複数のユーザ各々に対応する設定情報を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した設定情報をマージするマージ手段と、前記マージ手段によりマージされた設定情報に基づいて前記ユーザインターフェース情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成されたユーザインターフェース情報を出力する出力手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のユーザ各々に対応した設定を反映させたユーザインターフェースを提示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係わる情報処理装置及びプログラム、情報処理システムの一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
まず、以下、実施形態で用いる主な用語の概念について定義する。
【0015】
実施形態では、「ユーザ」と「操作者」という用語を用いる。「ユーザ」とは、その時点で機器から情報を能動的に取得している(或いはしようとしている)者を示す。なお、「ユーザ」は、操作者を含んでいてもよい。また、「操作者」とは、その時点で機器に指示を出し、機器をコントロールしている者を示す。なお、「操作者」と言う表現は、操作者と操作者以外の者とを明確に区別したい場合に使用する。
【0016】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係わる情報処理システムの概略構成の一例を示す図である。
【0017】
情報処理システムは、設定情報保持装置10と、UI提示装置30と、UI生成装置20とを具備して構成される。
【0018】
設定情報保持装置10は、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置を含む装置等から構成され、UI(ユーザインターフェース)設定に係わる設定情報を保持するデータベースである。UI設定に係わる設定情報は、複数ユーザ各々に対応して設けられる。なお、設定情報保持装置10は、UI生成装置20の内部に設定情報保持部として設けられてもよい。
【0019】
UI提示装置30は、ディスプレイ、スピーカ等から構成され、視覚(例えば、操作画面)や音声(例えば、操作音)を通じてユーザに情報を提示する。UI提示装置30では、UI生成装置20により生成されたUI情報(ユーザインターフェース情報)に基づいて視覚や音声によりユーザに情報を提示する。なお、UI提示装置30は、UI生成装置20の内部にUI提示部として設けられてもよい。
【0020】
UI生成装置20は、視覚や音声を通じてユーザと各種機器(この場合、UI提示装置30)との間を繋ぐUI情報(例えば、操作画面、操作音)を動的に生成する。UI生成装置20は、例えば、機器に組み込まれる形で実装され、ユーザと機器との仲立ち処理を受け持つ。
【0021】
ここで、UI生成装置20は、その機能的な構成として、設定情報取得部21と、設定情報マージ部22と、UI生成部23とを具備して構成される。
【0022】
設定情報取得部21は、複数ユーザ各々に対応した設定情報を取得する。設定情報マージ部22は、設定情報取得部21により取得された複数ユーザ各々に対応した設定情報をまとめて、例えば1つにする(すなわち、マージする)。UI生成部23は、設定情報マージ部22によりマージされた設定情報に基づいてUI情報を生成する。
【0023】
以上が、UI生成装置20における機能的な構成についての説明である。なお、UI生成装置20には、コンピュータが組み込まれている。コンピュータには、CPU等の主制御手段、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の記憶手段が具備される。この他、コンピュータには、例えば、ディスプレイ又はタッチパネル等の入出力部、ネットワークカード等の通信手段等が具備されていてもよい。なお、これら各構成手段は、バス等により接続され、主制御手段が記憶手段に記憶されたプログラムを実行することで制御される。
【0024】
ここで、図2を用いて、図1に示す情報処理システムにおける処理の流れの一例について説明する。ここでは特に、UI生成装置20における動作を中心にして説明する。
【0025】
この処理は、UI生成装置20において、自身が組み込まれた機器又はユーザからイベントを検知すると開始される(ステップS101でYES)。機器側からのイベントは、例えば、電源が入った場合等に発行される。また、ユーザからのイベントは、例えば、ユーザが特定のGUIボタンや物理ボタンを押下した場合に発行される。
【0026】
イベントを検知したUI生成装置20は、設定情報取得部21において、設定情報保持装置10にアクセスし、複数ユーザ各々に対応した設定情報を取得する(ステップS102)。なお、複数ユーザ各々に対応した設定情報とは、(予め設定された)各ユーザに対応して設けられた1又は複数のUIカスタマイズ設定である。なお、この設定情報の具体例に関しては後述する。
【0027】
続いて、UI生成装置20は、設定情報マージ部22において、当該取得した各ユーザに対応した設定情報をマージする(ステップS103)。すなわち、取得した全てのユーザの設定情報をまとめる(例えば1つ)。例えば、ユーザAの設定情報が、フォントサイズ:30pt、フォントカラー:default(初期値)であり、ユーザBの設定情報が、フォントサイズ:default、フォントカラー:灰色であるとする。ここで、例えば、defaultの値よりも具体的な値を優先するというルールに基づいて設定情報をマージしたとすると、フォントサイズ:30pt、フォントカラー:灰色という設定情報が生成される。なお、ここに示すマージの手法は、あくまで一例であり、これに限定されない。
【0028】
設定情報のマージが済むと、UI生成装置20は、UI生成部23において、当該マージした設定情報に基づいてUI情報を生成する。例えば、上述の場合では、出力するメニュー画面のフォントサイズを30ptにし、そのフォントカラーを灰色にした表示情報(操作画面)をUI情報として生成する。そして、当該生成されたUI情報が、UI生成装置20外部のUI提示装置30に送られ(ステップS104)、当該UI情報に基づく出力(表示等)が行なわれる。
【0029】
以上のように実施形態1によれば、複数ユーザ各々に対応して管理されたUI設定に係わる設定情報をマージし、そのマージした設定情報をUIに反映させる。これにより、例えば、複数ユーザ(操作者を含む)の好みを同時に反映させたUI環境を提供できる。
【0030】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。実施形態2においては、本発明の一実施の形態に係わる情報処理システムを電子黒板として実現する場合について説明する。
【0031】
図3は、電子黒板における機能的な構成の一例を示す図である。
【0032】
電子黒板は、電子的に保存された画像やテキストといったデータを電子スクリーンに表示する。また、電子黒板では、電子ペンと連動し、当該ペンを使ったコマンド指示や手書き文字の入力を受ける。電子黒板では、このような機能を備えているため、会議のツールとして利用されるケースもある。
【0033】
ここで、電子黒板は、その機能的な構成として、設定情報保持装置10と、UI提示装置30と、UI生成装置20と、ユーザ識別情報取得装置40とを具備して構成される。すなわち、実施形態1における図1の構成に、ユーザ識別情報取得装置40が新たに加えて設けられる。なお、図1と同一の符号が付してあるものは、同一であるため、その説明については省略し、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0034】
ユーザ識別情報取得装置40は、例えば、マイクロフォン、リモートコントローラ、カメラ、認証装置等で構成され、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を取得する。例えば、ユーザ識別情報取得装置40が認証装置として実現される場合には、識別情報が記録されたカード等を読み込み、ユーザ識別情報を取得することになる。なお、ユーザ識別情報取得装置40は、UI生成装置20の内部にUI識別情報取得部として設けられてもよい。
【0035】
また、UI生成装置20には、ユーザ識別部24が新たに設けられる。ユーザ識別部24は、ユーザ識別情報取得装置40により取得されたユーザ識別情報に基づいてユーザを識別する。ユーザ識別は、既知の技術を用いて行なえるため、その詳細な説明については省略する。例えば、ユーザの識別情報とそれに対応するユーザ情報とを関連付けたデータベース等を予め保持しておき、そのデータベース等を用いてユーザを識別する。以上が、実施形態2に係わるUI生成装置20における機能的な構成についての説明である。
【0036】
図4は、図3に示す電子黒板の概観の一例を示す概要図である。
【0037】
電子黒板本体51には、操作画面を表示するディスプレイ52や、操作音を発するスピーカ55がUI提示装置30として配備される。この場合、ディスプレイ52には、ユーザからの指示を受け付けるためのメニュー53や、特定機能を示すアイコン54が表示されている。
【0038】
ユーザ56は、電子ペン57等を用いて電子黒板51に各種指示を行なう。例えば、アイコン54を電子ペン57で選択すれば、当該アイコンに対応付けられた機能を呼び出すことができる。また、メニュー53を表示し、そのメニュー項目を電子ペン57で選択すれば、当該メニュー項目を呼び出すことができる。また、図5に示すリモートコントローラ(以下、リモコンと言う)61を用いて操作してもよい。リモコン61には、例えば、スライドスイッチ62やカーソルキー63、テンキー64等が操作手段として設けられている。ユーザは、例えば、カーソルキー63を操作して所望のメニュー項目を選ぶことで、当該メニュー項目を呼び出すことができる。
【0039】
ここで、図6を用いて、図3に示す電子黒板における処理の流れの一例について説明する。ここでは、アイコンの一つがメニューを表示する機能を持つものとして説明する。
【0040】
まず、ユーザがメニュー表示のアイコンを選択すると、そのイベントを電子黒板が受け取り、この処理は開始される(ステップS201でYES)。この処理が開始されると、UI生成装置20は、ユーザ識別部24において、装置外部のユーザ識別情報取得装置40に問い合わせを行なう。この問い合わせにより、現在電子黒板の前にいる全ユーザが識別される(ステップS202)。ユーザ識別方法は、既知の技術を用いればよく特に問わない。例えば、ユーザ識別情報取得装置40がマイクロフォンである場合には、過去一定時間内に取り込んだ音声から話者識別を行なうことでユーザを識別する。また、例えば、ユーザ識別情報取得装置40がカメラである場合には、電子黒板の前にいるユーザの顔認識を行なうことでユーザを識別する。また、例えば、図5のようなリモコン61がユーザ識別情報取得装置40である場合には、ユーザ毎に定義された特定の操作をリモコン61上からユーザ自身に操作してもらうことで識別する。例えば、そのユーザ専用のスライドスイッチ62をユーザ自身に操作してもらう。また、例えば、電子黒板を用いて会議を行なう場合であれば、ユーザは自分の名前が書かれたスライドスイッチ62を”Checkin”側にスライドさせる。逆に会議から抜ける場合、ユーザは、自分の名前が書かれたスライドスイッチ62を”Checkout”側にスライドさせる。このようなルールを作り、この操作をユーザが間違いなく行なえば、その時点におけるユーザが誰であるかを正確に識別できることになる。なお、ここで用いる「ユーザ」とは、対等のユーザレベルを持ち、且つ実在する人間を指す。従って、コンピュータで用いられているような「All Users」(全ユーザを示すユーザ名)や、「Administrators」(管理者権限をもつ全ユーザを示すユーザ名)等といった抽象的なユーザは対象としていない。
【0041】
このようにしてUI生成装置20は、ユーザ識別部24において、ユーザを識別すると、その識別結果が設定情報取得部21に送られる。これを受けた設定情報取得部21は、設定情報保持装置10にアクセスし、複数ユーザ各々に対応した設定情報を取得する(ステップS203)。ここで、設定情報として、例えば、図7に示す内容が保持されているとする。図7に示すように、設定情報は、ユーザ名とそのユーザのUI設定情報(例えば、ユーザの好みである)の対で成り立っている。例えば、”Sadao Kaku”というユーザを例に挙げると、このユーザはフォントサイズを36ptに設定することを所望しており、また、それ以外の設定はdefaultの値を用いることを所望している。同様に、”Kiyoko Saito”というユーザは、背景色をFFFFFFに設定することを所望し、また、Line Colorを000000に設定(つまり、黒地に白の色設定)することを所望している。例えば、ユーザ識別部24において、識別されたユーザがこの2人であった場合、設定情報取得部21においては、この2人に対応する設定情報の取得を行なう。
【0042】
続いて、UI生成装置20は、設定情報マージ部22において、当該取得した各ユーザに対応した設定情報をマージする(ステップS204)。例えば、”Sadao Kaku”と”Kiyoko Saito”とに対応する設定情報をマージする。このマージを行なった場合、フォントサイズ:36pt、背景色:FFFFFF、Line Color:000000という設定情報が生成される。
【0043】
設定情報のマージが済むと、UI生成装置20は、UI生成部23において、当該マージした設定情報に基づいてUI情報を生成する。その後、当該生成されたUI情報がUI生成装置20外部のUI提示装置30に送られ(ステップS205)、当該UI情報に基づく出力(表示等)が行なわれる。なお、実施形態2においては、メニュー表示が目的であるので、このメニューのUIに上述したフォントサイズ、背景色、Line Color設定を反映する。具体的には、メニューウィンドウに表示される文字のサイズを36ptにし、また、メニューウィンドウを黒地に白で表示する。
【0044】
以上のように実施形態2によれば、電子黒板の場合であっても、上記実施形態1同様に、複数ユーザ各々に対応して管理されたUI設定に係わる設定情報をマージし、そのマージした設定情報をUIに反映させることができる。また、ユーザに面倒な操作を強いることなく、ユーザの識別を行なうことができる。
【0045】
なお、実施形態2においては、ユーザ識別方法の一例として、ユーザに特定の操作をリモコン61上から行なわせることでユーザを識別する場合等を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、電子黒板(ユーザ識別情報取得装置40)において、個々のユーザが持つIDカードや携帯電話といったデバイス(特定の機器)を検知することにより、ユーザを識別してもよい。
【0046】
(実施形態3)
次に、実施形態3について説明する。実施形態3においては、設定情報のマージに際して、ユーザ間で特定の設定が競合(以下、バッティングと言う)した場合の解決方法について説明する。上述した実施形態では、defaultの設定値とそれ以外の設定値がバッティングした場合には、default以外の設定を優先させていたが、ここでは、これ以外の手法について説明する。
【0047】
ここで、例えば、図7に示す、”Sadao Kaku”、”Sakuji Nakata”、”Kentaro Ushiroda”がユーザとして識別されたとする。このとき、フォントサイズ設定に着目すると、36pt、24pt、36ptと設定情報がバッティングしている。このような場合は、例えば、最も多くのユーザが求める値を採用する。したがって、ここでは2人が支持する36ptを採用する。なお、フォントサイズのように、設定値が数値により表される場合には、その平均値(この場合、32ptとなる)を採用してもよい。
【0048】
また、ユーザや設定に対して優先度を設けてもよい。例えば、障害を持つ者が求める設定値は、健常者が求める設定値よりも優先されるべきである。この場合、ユーザ各々に対応して予め優先度を定めておき、設定がバッティングした場合には、優先度が高いユーザの設定を優先するようにすればよい。また、設定情報のマージに際して、具体的にどの値に設定するかをUI提示装置30を介してユーザに提示するようにしてもよい。
【0049】
以上のように実施形態3によれば、ユーザ毎に設定が異なり設定値がバッティングした場合であっても、それを解決し適切な値の設定を割り当てることができる。
【0050】
(実施形態4)
次に、実施形態4について説明する。上述した実施形態では、設定情報として、画面の色合いやフォントサイズといった表示情報に関する設定項目を例に挙げて説明したが、実施形態4においては、表示情報以外の設定に対応させる場合について説明する。例えば、お気に入りリストやアドレス帳といったブックマーク情報を設定情報としてもよい。また、ユーザ毎にカスタマイズされた音声認識文法や話者クラスといった音声情報を設定情報としてもよい。或いは、視聴履歴や操作履歴、最近扱ったファイル名等の履歴情報を設定情報としてもよい。
【0051】
ここでは、最近使ったファイル名を設定情報とする場合を例に挙げて説明する。図7に示す”Sakuji Nakata”と”Kentaro Ushiroda”とに対応する設定情報には、最近扱ったファイル名を示す”My Recent Documents”が含まれている。図7では、例えば、”Sakuji Nakata”というユーザは、”JTBase.doc”と”Film30.bmp”というファイルを最近扱ったことが示されている。
【0052】
ここで、”Sakuji Nakata”と”Kentaro Ushiroda”の設定情報をマージした場合、マージ後の設定情報は、フォントサイズ:30pt、My Recent Documents:ETC22.doc,Film30.bmpとなる。この場合、フォントサイズは、2人の設定の平均値を用いてマージしている。また、My Recent Documentsは、単純にリストを連結することでマージしている。
【0053】
図8は、このマージされた設定情報をUIに反映させたものである。この場合、ディスプレイ81上のメニュー82から”最近使ったファイル”ボタン83がユーザにより選択され、最近使ったファイル群84が表示されている。マージしたMy Recent Documentsの値がこのファイル群の値として表示されている。これにより、会議参加者全員の最近使ったファイルを一覧し、呼び出すことができる。
【0054】
以上のように実施形態4によれば、表示情報に関する設定だけではなく、ブックマーク情報、音声情報、履歴情報に関する情報等も設定情報として扱うことができる。
【0055】
(実施形態5)
次に、実施形態5について説明する。上述した実施形態では、マージされた設定情報をUIに反映する際に、そのUI設定が誰によってなされたかがわからない形で反映されていたが、実施形態5においては、それを特定できるようにした場合について説明する。すなわち、実施形態5においては、設定情報と当該設定情報の取得元ユーザとの関係を示す情報を生成し出力することになる。
【0056】
例えば、図9には、最近使ったファイル91の設定がどのユーザによる設定であるのかをUIに反映させている。この場合、”ETC22.doc”は、”Sakuji Nakata”の設定により表示され、”Film30.bmp”は、”Kentaro Ushiroda”の設定により表示されていることが分かる。
【0057】
以上のように実施形態5によれば、UIに反映された設定情報がどのユーザの設定情報に基づいてなされたかを容易に認識できる。これにより、例えば、ブックマーク情報や履歴情報をマージした場合に、その検索性能が向上する。
【0058】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。例えば、実施形態1〜実施形態5の一部若しくはその全てを組み合わせて実施してもよい。
【0059】
なお、本発明は、ソフトウェアのプログラムをシステム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置に内蔵されたコンピュータが該供給されたプログラムコードを読み出して実行することにより実施形態の機能が達成される場合をも含む。この場合、供給されるプログラムは実施形態で図に示したフローチャートに対応したコンピュータプログラムである。
【0060】
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OS(Operating System)に供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0061】
コンピュータプログラムを供給するためのコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては以下が挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などである。
【0062】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、該ホームページから本発明のコンピュータプログラムをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることが挙げられる。この場合、ダウンロードされるプログラムは、圧縮され自動インストール機能を含むファイルであってもよい。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
【0063】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記録媒体に格納してユーザに配布するという形態をとることもできる。この場合、所定の条件をクリアしたユーザに、インターネットを介してホームページから暗号を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用して暗号化されたプログラムを実行し、プログラムをコンピュータにインストールさせるようにもできる。
【0064】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどとの協働で実施形態の機能が実現されてもよい。この場合、OSなどが、実際の処理の一部又は全部を行ない、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
【0065】
更に、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれて前述の実施形態の機能の一部或いは全てが実現されてもよい。この場合、機能拡張ボードや機能拡張ユニットにプログラムが書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU(Central Processing Unit)などが実際の処理の一部又は全部を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる情報処理システムの概略構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示す情報処理システムにおける処理の流れの一例について説明する。
【図3】電子黒板における機能的な構成の一例を示す図である。
【図4】図3に示す電子黒板の概観の一例を示す概要図である。
【図5】リモートコントローラの概観の一例を示す図である。
【図6】図3に示す電子黒板における処理の流れの一例について説明する。
【図7】設定情報の一例を示す図である。
【図8】実施形態4に係わるUI情報を表示させた場合の表示態様の一例を示す図である。
【図9】実施形態5に係わるUI情報を表示させた場合の表示態様の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 設定情報保持装置
20 UI生成装置
21 設定情報取得部
22 設定情報マージ部
23 UI生成部
24 ユーザ識別部
30 UI提示装置
40 ユーザ識別情報取得装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声や表示を通じてユーザに情報を提示するためのユーザインターフェース情報を生成する情報処理装置であって、
複数のユーザ各々に対応する設定情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した設定情報をマージするマージ手段と、
前記マージ手段によりマージされた設定情報に基づいて前記ユーザインターフェース情報を生成する生成手段と
を具備することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
ユーザを識別するユーザ識別手段
を更に具備し、
前記取得手段は、
前記ユーザ識別手段により識別されたユーザに対応する設定情報を取得する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザ識別手段は、
ユーザ毎に定義された特定の操作に基づき前記ユーザの識別を行なう
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ識別手段は、
ユーザが個々に持つ特定の機器の検知に基づき前記ユーザの識別を行なう
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記マージ手段は、
特定の設定情報に関してユーザ間で競合が生じた場合、所定のルールに基づいて該特定の設定情報に関するマージ後の設定値を決める
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記マージ手段は、
特定の設定情報に関してユーザ間で競合が生じた場合、初期値よりも該初期値が変更された設定値を優先して該特定の設定情報に関するマージ後の設定値を決める
ことを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記マージ手段は、
特定の設定情報に関してユーザ間で競合が生じた場合、競合が生じたユーザの中で多くのユーザが使用する設定値を優先して該特定の設定情報に関するマージ後の設定値を決める
ことを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記マージ手段は、
特定の設定情報に関してユーザ間で競合が生じた場合、予め定められた優先度の高いユーザの設定値を優先して該特定の設定情報に関するマージ後の設定値を決める
ことを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記マージ手段は、
特定の設定情報に関してユーザ間で競合が生じた場合、該特定の設定情報に関するマージ後の設定値として該設定値の平均を用いる
ことを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記取得手段は、
複数のユーザ各々に対応する設定情報として、表示情報、ブックマーク情報、音声情報、履歴情報の少なくとも1つを取得する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記生成手段は、
前記取得手段により取得された設定情報と該設定情報に対応するユーザとの関係を示す情報を含む前記ユーザインターフェース情報を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項12】
音声や表示を通じてユーザに情報を提示するためのユーザインターフェース情報を生成する情報処理装置に内蔵されたコンピュータを、
複数のユーザ各々に対応する設定情報を取得する取得手段、
前記取得手段により取得した設定情報をマージするマージ手段、
前記マージ手段によりマージされた設定情報に基づいて前記ユーザインターフェース情報を生成する生成手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項13】
音声や表示を通じてユーザに情報を提示するためのユーザインターフェース情報を生成する情報処理システムであって、
複数のユーザ各々に対応する設定情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した設定情報をマージするマージ手段と、
前記マージ手段によりマージされた設定情報に基づいて前記ユーザインターフェース情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成されたユーザインターフェース情報を出力する出力手段と
を具備することを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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